説明

メールシーラー装置

【課題】簡易で安価な構成で、用紙突き当て板のセットミスを防ぐことができるメールシーラー装置を提供する。
【解決手段】用紙搬送手段32〜36,71〜74により搬送された用紙が、紙折手段20,80a,80bで折り畳まれた後に、シーラーローラ対42,44に挟み込まれて圧着される。折種別入力手段は、用紙が折り畳まれる形態の種別である折種別が入力される。折種別検出手段62は、紙折手段20,80a,80bにより折り畳まれた用紙の折種別を検出する。判定手段が、折種別入力手段に入力された折種別と折種別検出手段62により検出された折種別とに基づいて、用紙突き当て板84a,84bが折種別入力手段に入力された折種別に応じた適正位置に設定されていないと判定したときに、制御手段は、用紙搬送手段32〜36,71〜74による用紙の搬送を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメールシーラー装置に関し、詳しくは、用紙を圧着するメールシーラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙を折り畳んだ後、シーラーローラの間に通して圧着はがきや密封書簡等を作成するメールシーラー装置が提供されている。
【0003】
メールシーラー装置は、用紙の長さや、2つ折や3つ折など用紙を折り畳む形態等に応じて、用紙を折り畳む際に用いる用紙突き当て板の位置や、シーラーローラの間の隙間を調整する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−264227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなメールシーラー装置において、ユーザーが用紙突き当て板のセット位置を間違えてセットした場合、用紙が詰まってシーラーローラをロックさせたり、違う成果物ができたりする。また、シーラーローラの間の隙間の調整を忘れて使用すると、シーラー圧不足で不良品が出来上がってしまったり、シーラーローラをロックさせたりする可能性がある。
【0005】
用紙が折り畳まれる形態や用紙長さ等が入力されると、用紙突き当て板の位置等が所定位置に自動調整されるように、メールシーラー装置を構成すれば、これらの問題を解決することができる。
【0006】
しかし、それでは、メールシーラー装置の構成が複雑になり、また、製造コストが増大する。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み、簡易で安価な構成で、用紙突き当て板のセットミスを防ぐことができるメールシーラー装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成したメールシーラー装置を提供する。
【0009】
メールシーラー装置は、(a)用紙を搬送する用紙搬送手段と、(b)前記用紙搬送手段により用紙が搬送される用紙搬送経路の上流側に設けられ、前記用紙搬送手段により搬送されている用紙の先端側が挿入される用紙挿入空間と、該用紙挿入空間内において用紙の先端が当接する用紙突き当て板と、該用紙突き当て板にその先端が当接した用紙の後端側に前記用紙搬送手段による搬送に伴って形成された湾曲部分を挟み込んで用紙を折り畳む折りローラ対とを含む、紙折手段と、(c)前記用紙搬送経路の下流側に設けられ、前記紙折手段により折り畳まれた用紙を挟み込んで圧着するシーラーローラ対とを備えたタイプのものである。メールシーラー装置は、(d)前記紙折手段において用紙が折り畳まれる形態の種別である折種別が入力される折種別入力手段と、(e)前記紙折手段により折り畳まれた用紙の折種別を検出する折種別検出手段と、(f)前記折種別入力手段に入力された折種別と前記折種別検出手段により検出された折種別とに基づいて、前記用紙突き当て板が前記折種別入力手段に入力された折種別に応じた適正位置に設定されているか否かを判定する紙折設定判定手段と、(g)前記紙折設定判定手段により前記用紙突き当て板が前記折種別入力手段に入力された折種別に対応する適正位置に設定されていないと判定されたときに、前記用紙搬送手段による用紙の搬送を停止させる制御手段とを備える。
【0010】
上記構成によれば、用紙がシーラーローラ対により圧着処理される前に、折種別入力手段に入力された折種別と折種別検出手段により検出された折種別とに基づいて、折種別入力手段に入力された折種別に応じた適正位置に用紙突き当て板が設定されているか否かを判定し、用紙突き当て板が適正位置に設定されていない場合には用紙の搬送を停止してシーラーローラ対による圧着処理を行わないようにすることができる。これによって、シーラーローラ対での紙詰まりの発生や、シーラー圧不足による不良品の発生を防止することができる。
【0011】
好ましくは、折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さが入力される用紙長さ入力手段をさらに備える。
【0012】
この場合、折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さが入力されることで、種々の搬送方向の長さの用紙について、折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さと折種別とから、折り畳まれた後の用紙の搬送方向の長さを簡易に算出することができる。
【0013】
なお、折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さは、オペレータの操作によりデータが入力されるようにしても、用紙搬送経路中に設けたセンサ等で検出したデータが入力されるようにしてもよい。
【0014】
好ましくは、前記折種別検出手段は、前記用紙搬送経路に沿って前記紙折手段と前記シーラーローラ対との間に配置され、前記紙折手段により折り畳まれた用紙の搬送方向の長さを検出する用紙長さ検出手段を含む。
【0015】
この場合、折種別検出手段は、折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さと用紙長さ検出手段により検出された折り畳まれた後の用紙の搬送方向の長さとから、紙折手段で用紙が折り畳まれた折種別を検出することができる。
【0016】
例えば、用紙長さ検出手段により検出された折り畳まれた後の用紙の搬送方向の長さが、折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さの半分程度であれば、折種別検出手段は、折種別が2つ折(V折)であることを検出することができる。用紙長さ検出手段により検出された折り畳まれた後の用紙の搬送方向の長さが、折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さの1/3程度であれば、折種別検出手段は、折種別が3つ折(C折、Z折)であることを検出することができる。
【0017】
したがって、紙折設定判定手段は、折り畳まれた後の用紙の搬送方向の長さについて、用紙長さ検出手段により検出された実測値と、折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さと折種別入力手段に入力された折種別とから算出された計算値とを比較することにより、折種別が一致しているか否かを判別することにより、用紙突き当て板が適正位置に設定されているかを簡易に判断することができる。
【0018】
折種別検出手段は、折り畳み前後の用紙の搬送長さや、折り畳み前後の用紙の厚みに基づいて、V折とV折以外とを簡単に検出することができる。例えば、折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さLが分かっている場合には、折り畳まれた用紙の搬送方向の長さの実測値を、L/3とL/2との間の適宜な閾値と比較するだけで、V折であるか、V折以外であるかを簡易に特定することができる。折り畳まれる前の用紙の厚さTが分かっている場合には、折り畳まれた用紙の厚さの実測値を、Tと2Tとの間の適宜な閾値と比較するだけで、V折であるか、V折以外であるかを簡易に特定することができる。
【0019】
好ましくは、前記折種別入力手段は、用紙が前記用紙挿入空間に搬送されないようにするターンガイドの使用の有無を検出するターンガイド検出手段を含む。
【0020】
例えば、複数の用紙挿入空間を含み3つ折以上が可能である紙折手段においてV折を行う場合、1つの用紙挿入空間のみを用いればよいので、他の用紙挿入空間についてはターンガイドを用いて用紙が搬送されないようにする。したがって、ターンガイドの使用の有無により、折種別がV折であるか否かを簡易に特定することができる。
【0021】
好ましくは、メールシーラー装置は、(i)前記シーラーローラ対の間の隙間の大きさを検出する隙間検出手段と、(ii)前記折種別入力手段に入力された前記折種別と前記隙間検出手段が検出した前記シーラーローラ対の間の隙間の大きさとに基づいて、前記シーラーローラ対が前記折種別入力手段に入力された折種別に応じた適正な大きさの隙間に設定されているか否かを判定する隙間設定判定手段と、(iii)前記隙間設定判定手段により前記シーラーローラ対が前記折種別入力手段に入力された折種別に応じた適正な大きさの隙間に設定されていないと判定されたときに、前記用紙搬送手段により用紙を搬送する前に警告を発する警告手段とをさらに備える。
【0022】
この場合、シーラーローラ対が折種別に応じた適正な大きさの隙間に設定されていない場合には、警告メッセージや警告音等により警告を発することにより、シーラーローラ対での紙詰まりの発生や、シーラー圧不足による不良品の発生を確実に防止することができる。
【0023】
好ましくは、前記隙間設定判定手段は、折種別と用紙厚みとに基づいて、前記シーラーローラ対が前記折種別入力手段に入力された折種別に応じた適正な大きさの隙間に設定されているか否かを判定する。
【0024】
この場合、通紙する用紙の厚みデータをさらに判定条件として加えることにより、さらに、シーラーローラ対の隙間設定の判定精度を向上させることができる。
【0025】
なお、用紙の厚みは、オペレータの操作によってデータが入力されるようにしても、用紙搬送中に検出されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、簡易で安価な構成で、用紙突き当て板のセットミスを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図18を参照しながら説明する。
【0028】
まず、メールシーラー装置10の概要について、図1の全体斜視図及び図2〜図4の搬送系の構成図を参照しながら説明する。
【0029】
図1及び図2〜図4に示すように、メールシーラー装置10は、装置本体12の両側に、給紙部20と紙受台52とが設けられ、給紙部20から供給された用紙(カット紙)が紙折部30において2つ又は3つに折り畳まれた後に、圧着部40のシーラーローラ42,44の間を通過する際にプレスされ、圧着された用紙が紙受台52に排出される。
【0030】
紙折部30には2つの差込部(図示せず)が設けられており、トレイ80a〜80dを、矢印80xで示す方向に抜き差しできるようになっている。3つに折り畳まれた用紙を圧着する場合には、図1及び図2に示すように、前後の差込部にそれぞれ折りトレイ80a,80bを差し込む。2つに折り畳まれた用紙を圧着する場合には、図3に示すように、前の差込部に折りトレイ80aを、後の差込部にターントレイ80cを差し込む。折り畳まれた用紙の圧着のみを行う場合には、図4に示すように、後ろの差込部に手差トレイ80dを差し込む。
【0031】
なお、2つに折り畳まれた用紙を圧着する場合に、前の差込部にターントレイを、後ろの差込部に折りトレイを差し込む構成とすることも可能である。また、折り畳まれた用紙の圧着のみを行う場合に、前の差込部に手差しトレイを、後ろの差込部にターントレイを差し込む構成とすることも可能である。
【0032】
図1に示すように、装置本体12の正面に穴17が設けられており、この穴17に工具88を差し込み、圧着部40のシーラーローラ42,44を手動で正逆両方向に回転させることができようになっている。
【0033】
装置本体12の上部には、操作パネル14とダイヤル46とが設けられている。操作パネル14は、表示パネル14aと操作キー14bとを含む。ダイヤル46を回転すると、シーラーローラ42,44間の隙間を調整できるようになっている。
【0034】
図2〜図4に示すように、シーラーローラ42,44の前後には前搬送ユニット16と後搬送ユニット18とが配置されている。前搬送ユニット16と後搬送ユニット18とは、図1に示された装置本体12の上カバー13を開けて、装置本体12の内部から取り出すことができるようになっている。
【0035】
図2〜図4に示すセンタースリッタ75,76は、圧着された用紙の中央を搬送方向に切断して分割する回転刃であり、必要に応じて設ける。
【0036】
次に、各部の構成について、さらに説明する。
【0037】
給紙部20は、図2〜図4に示すように、給紙台22と、給紙ローラユニット26と、さばき板27と、用紙通過センサ60a,60bと、重送検知ローラ28,29とを含む。
【0038】
給紙台22は、支点22aを中心に回動自在に支持され、給紙ローラユニット26に対して接離できる。給紙台22は、不図示のばねによって給紙ローラユニット26側に、すなわち図において上向きに、弾力的に付勢され、給紙台22上に載置された用紙が給紙ローラユニット26に圧接するようになっている。ばねによる付勢力の大きさは、図1に示すように給紙台22の横に設けられた給紙圧レバー22bの位置を変えることによって、調整できる。給紙圧レバー22bの位置に応じて、厚紙では「強」、標準紙では「中」、薄紙では「弱」に設定されるので、給紙圧レバー22bの設定位置をスイッチ等で検出するようにすれば、用紙の厚さを検出することができる。
【0039】
給紙ローラユニット26は、図5の要部拡大斜視図に示すように、給紙台22上に載置された用紙2に接触する前ローラ26aと、前ローラ26aの両側かつ後方(装置本体12の内側)に配置された各一対の後ローラ26b及びサイドローラ26cとを備える。
【0040】
図5に示すように、給紙台22の両側には、給紙台22上に載置された用紙2の側縁2gの位置を規制するガイド板23と、押さえローラ24とが設けられている。押さえローラ24は、アーム24bの一端に回転自在に支持され、円筒形の外周面24aには2本のOリング24s,24tが取り付けられている。アーム24bの他端は、ガイド板23の下部付近に設けられた軸24cを中心に回動自在に支持されている。
【0041】
押さえローラ24は、図5において実線で示す下位置と、鎖線で示す上位置との間を移動させることができる。
【0042】
押さえローラ24が実線で示す下位置にあるときには、アーム24bから遠い側のOリング24tのみが、給紙台22上に載置された用紙2の側縁2gの近傍部分に回転自在に当接して押さえ、用紙2の反り(カール)を防ぐ。用紙2に接するOリング24tの外径は、給紙台22上に載置された用紙2が少なくなっても押さえローラ24が回転できるように、アーム24b側のOリング24sの外径よりも大きい。
【0043】
一方、押さえローラ24が鎖線で示す上位置にあるときには、押さえローラ24のアーム24b側のOリング24sがガイド板23の上面23aに当接し、ガイド板23の上面23aが押さえローラ24で傷つかないようになっている。
【0044】
給紙ローラユニットの前ローラ26a及び後ローラ26bは、給紙台22に載置された用紙に当接して、上から1枚ずつ送り出す。サイドローラ26cは、用紙両エッジ部のカールを抑える。
【0045】
図2に戻り、さばき板27は、給紙台22から用紙が重なった状態で送り出されたときに下側の用紙に接触し、下側の用紙が送り出されないようにする。
【0046】
用紙通過センサ60a,60bは、例えば透過型センサであり、上側60aが受光部、下側60bが発光部であり、用紙の流れを検出する。
【0047】
重送検知ローラ28,29は、その間を通過する用紙の厚みを検出する。詳しくは図6の要部拡大図に示すように、下側の重送検知ローラ29は装置本体12の固定位置に回転自在に支持されている。上側の重送検知ローラ28は、支点67aを中心に回動するレバー67に回転自在に支持されている。レバー67は、不図示のばね部材によって、図において時計回り方向に付勢され、上側の重送検知ローラ28は下側の重送検知ローラ29に向けて付勢されている。
【0048】
重送検知ローラ28,29の間を用紙が通過すると、用紙の厚さに応じて上側の重送検知ローラ28が移動し、レバー67は、矢印67rで示すように傾きが変化し、レバー67の一端に設けられた突片67bの位置が変化する。突片67bは、フォトセンサ66の検知エリア66aに差し込まれており、フォトセンサ66の出力は突片67bの位置に応じて変化する。したがって、重送検知ローラ28,29間を通過する用紙の厚さの変化(例えば、2枚以上の用紙が重なって搬送される重送)を、フォトセンサ66の出力に基づいて判別することができる。
【0049】
フォトセンサ66を取り付ける取付部材65は、不図示の調整ダイヤルを回転することにより、図6において紙面に垂直な軸を中心に回転するように構成されており、フォトセンサ66の検知エリア66aは、矢印65rで示す方向に回動する。これによって、突片67bが検知エリア66aに入り込む量、すなわちフォトセンサ66の感度を調整できる。言い換えれば、支点67aを中心に、レバー67が回転することによりフォトセンサ66の検出角度を調整することができる。調整ダイヤルの回転、すなわち取付部材65の回転は、ポテンショメータ68(図17参照)により検出される。
【0050】
制御部10s(図17参照)は、メールシーラー装置10の運転前の調整時に調整支援プログラムを実行し、用紙厚さに応じてフォトセンサ66の位置を容易に調整することができるようする。
【0051】
具体的には、まず、オペレータは、重送検知ローラ28,29の間に1枚の用紙を挟んだ状態で調整ダイヤルを回転し、突片67bの端面を検出したら、所定の操作キー14bを操作する。次に、操作パネル14の表示パネル14aにOKが表示されるまで、表示パネル14aの表示に従って調整ダイヤルを所定の方向に回転する。表示パネル14aにOKが表示されたら、所定の操作キー14bを操作するとともに、重送検知ローラ28,29の間に挟んだ用紙を取り除く。
【0052】
紙折部30には、図2〜図4に示すように、用紙搬送経路の上下に交互に配置された折りローラ32〜36と、ターンガイド31とが設けられている。
【0053】
図2に示すように、折りトレイ80a,80bは、一対の板状部材81a,82a;81b,82bの間に、用紙が挿入される用紙挿入空間83a,83bが形成されており、この用紙挿入空間83a,83bを横断する用紙突き当て板84a,84bを備える。
【0054】
ターントレイ80cは、図3に示すように、下端にターンガイド85が設けられている。このターンガイド85は、ターントレイ80cが後ろの差込部に差し込まれたときに、折りローラ34,35,36で囲まれた空間30tを塞ぐようになっている。ターンガイド85は、折りトレイ80bが後ろの差込部に差し込まれたときに用紙挿入空間83bが配置される空間に、用紙が搬送されないようにする。また、ターントレイ80cには検出板86が設けられており、ターントレイ80cが後ろの差込部に差し込まれると、装置本体12に設けられた検知スイッチ87で検出することができる。
【0055】
手差トレイ80dは、図4に示すように、下端側に一対の案内部材80p,80qを備え、一対の案内部材80p,80qの間に用紙送り空間80sが形成されている。用紙送り空間80sは、手差トレイ80dが後ろの差込部に差し込まれると、折りローラ34,35,36で囲まれた空間30tに連通する。案内部材80p,80qの上端に設けられた差込口80tから用紙送り空間80s内に用紙を差し込むと、用紙は用紙送り空間80sを通り、折りローラ34,35,36で囲まれた空間30tに送り込まれ、折りローラ35,36の間に挟まれ、圧着部40側に搬送される。
【0056】
圧着部40は、用紙の流れを検出する用紙通過センサ62,64と、搬送ローラ71,72,73,74と、一対のシーラーローラ42,44とを備える。用紙通過センサ62,64は、例えば反射型センサである。
【0057】
シーラーローラ42,44よりも給紙部20側の搬送ローラ71,72は、鎖線で示すように、前搬送ユニット16内に組み込まれている。
【0058】
前搬送ユニット16は、詳しくは図7の斜視図に示すように、搬送ローラ71,72やガイド板を含む一体構造であり、上面16aに設けられた取手16kをつかんで、装置本体12から抜き差しできるようになっている。シーラーローラ42,44よりも給紙部20側で紙詰まりが発生したときに、前搬送ユニット16を装置本体12から取り外すことにより、紙詰まりの解除作業を容易に行うことができる。
【0059】
前搬送ユニット16の左右の側板16bには、下側の搬送ローラ72の両側の軸部が回転自在に支持されている。側板16bに形成された長穴内に、下側の搬送ローラ72に対して接離する方向(図において上下方向)に摺動自在に支持部材16sが配置され、この支持部材16sをばね部材16tで下側の搬送ローラ72側に付勢するようになっている。支持部材16sは、上側の搬送ローラ71の両側の軸部を回転自在に支持する。上側の搬送ローラ71は、ばね部材16tの付勢により、下側の搬送ローラ72に弾力的に圧接するようになっている。これによって、搬送ローラ71,72の間を折り畳まれた用紙が通過するときに、用紙には予備的に圧力が加えられる。
【0060】
搬送ローラ71,72の軸端には、互いにかみ合う歯車71a,72aが固定されている。前搬送ユニット16を装置本体12に差し込むと、一方の歯車72aが、装置本体12の内部に設けられた不図示の駆動伝達歯車にかみ合い、搬送ローラ71,72が回転駆動されるようになっている。
【0061】
図2〜図4に示すように、シーラーローラ42,44よりも紙受台52側の搬送ローラ73,74のうち、上側の搬送ローラ73は、鎖線で示すように後搬送ユニット18内に組み込まれている。
【0062】
後搬送ユニット18は、図8の斜視図に示すように、搬送ローラ73やガイド板を含む一体構造であり、上面18aに設けられた取手18kをつかんで装置本体12から抜き差しできるようになっている。シーラーローラ42,44よりも紙受台52側で紙詰まりが発生したときに、後搬送ユニット18を装置本体12から取り外すことにより、紙詰まりの解除作業を容易に行うことができる。
【0063】
後搬送ユニット18は、前搬送ユニット16の上側の搬送ローラ71と同様に、ばね部材18tを介して付勢される支持部材18sに上側の搬送ローラ73が回転自在に支持され、後搬送ユニット18が装置本体12内に取り付けられたとき、上側の搬送ローラ73が下側の搬送ローラ74側に弾力的に圧着する。
【0064】
シーラーローラ42,44は、図9の正面図と、図9の線A−Aに沿って切断した断面図である図10とに示すように構成され、ダイヤル46を回転すると、上側のシーラーローラ42が下側のシーラーローラ44に対して接離する方向に平行を保ちながら移動し、シーラーローラ42,44間の隙間を調整できるようになっている。
【0065】
具体的には、シーラーローラ42,44は、装置本体12に固定される略矩形の取り付けブロック41に回転自在に支持されている。下側のシーラーローラ44の両側の軸部44sは、軸受44xを介して、取り付けブロック41の縦枠部41aに回転自在に支持されている。縦枠部41aには長穴41kが形成されている。長穴41kに、下側のシーラーローラ44に接離する方向に摺動自在に移動ブロック41dが配置されている。移動ブロック41dは、軸受42xを介して、上側のシーラーローラ42の両側の軸部42sを回転自在に支持している。
【0066】
長穴41kには、移動ブロック41dよりも下側の空間にばね部材41xが配置され、ばね部材41xによって、移動ブロック41dは下側のシーラーローラ44から離れる方向に付勢されている。また、移動ブロック41dは、ばね部材と反対側(図において上側)に、偏心部材48a,48bが当接している。これにより、偏心部材48a,48bが回転すると、偏心部材48a,48bの偏心している外周面が移動し、移動ブロック41dは、下側のシーラーローラ44に対して接離する方向に移動する。左右の偏心部材48a,48bは、左右の移動ブロック41dが同期して移動するように、カップリング48cを介して連結軸48dで連結されている。
【0067】
一方の偏心部材48aにはウォームホイール46bが結合されている。ウォームホイール46bにかみ合うウォームギヤ46aは、装置本体12の上部に設けられたダイヤル46に結合されている。したがって、ダイヤル46を回転すると、偏心部材48a,48bが回転して移動ブロック41dが移動することにより、上側のシーラーローラ42が下側のシーラーローラ44に対して接離する方向に移動し、その結果、シーラーローラ42,44間の隙間が変化する。
【0068】
シーラーローラ42,44間の隙間の大きさは、カップリング48eを介して偏心部材48bの結合されたポテンショメータ69によって検出することができる。ポテンショメータ69によって検出された隙間の大きさは、操作パネル14の表示パネル14aに表示される。
【0069】
シーラーローラ42,44間の隙間の大きさが2つ折(V折)に適した大きさに設定されている場合、3つ折(C折、Z折)以上に折り畳まれた用紙がシーラーローラ42,44に搬送させると、シーラーローラ42,44で噛み込む状態となり紙詰まりエラーが発生する可能性がある。逆に、シーラーローラ42,44間の隙間の大きさが3つ折(C折、Z折)に適した大きさに設定されている場合、2つ折(V折)に折り畳まれた用紙は、シーラーローラ42,44の間を、紙詰まりエラーが発生することなく通過するが、シーラーローラ42,44でのプレス圧が不足し、圧着不良となる可能性がある。
【0070】
そこで、制御部10s(図17参照)は、操作キー14b等により入力された折種別(すなわち、設定すべき折種別)と、ポテンショメータ69によって検出されたシーラーローラ42,44間の隙間の大きさとから、シーラーローラ42,44の隙間が、設定された折種別に応じた適正な大きさに設定されているか否かを判定する。例えば、制御部10sは、予め入力されたシーラーローラ42,44間の隙間の折種別ごとの適正範囲のテーブルを参照して、あるいは操作キー14b等により入力された折種別に対応するシーラーローラ42,44間の隙間の適正範囲を算出して、ポテンショメータ69によって検出されたシーラーローラ42,44間の隙間の大きさと比較することで、シーラーローラ42,44の隙間が、設定された折種別に応じた適正な大きさに設定されているか否かを判定する。
【0071】
制御部10sは、シーラーローラ42,44の隙間が折種別に応じた適正な大きさに設定されていないと判定したときに、用紙搬送用のモータ30m,40mを起動する前に、表示パネル14aに警告メッセージを表示させる。警告メッセージの代わりに、警告音を発生させたり、警告灯を点灯させたりしてもよい。
【0072】
これにより、オペレータは、シーラーローラ42,44が折種別に応じた適正な大きさの隙間に設定されていない場合に、シーラーローラ42,44の隙間調整をやり直し、適正な大きさの隙間に設定された後に、用紙を搬送して紙折と圧着を行うことができる。
【0073】
したがって、シーラーローラ42,44での紙詰まりの発生や、シーラー圧不足による不良品の発生を確実に防止することができる。
【0074】
折種別に加え、用紙厚みも考慮して、制御手段10sがシーラーローラ42,44の隙間設定の適否を判定するようにすれば、判定精度を向上させることができる。この場合、用紙厚みは、オペレータが操作キー14bを操作して制御部10sにデータが入力されても、用紙通過センサ60a,60bの透過光量に応じた検出データや給紙圧レバー22bの位置検出データが入力されてもよい。
【0075】
あるいは、折種別の設定と通紙する用紙の厚みとから、シーラーローラ42,44間の隙間が適正な大きさに自動的に調整されるようにしてもよい。
【0076】
シーラーローラ42,44は、一端側にプーリー42a,44aが固定されている。シーラーローラ42,44は、プーリー42a,44aに係合する歯付ベルト40bを介して、ACモータ40m(図17参照)によって回転駆動される。ベルトを介してシーラーローラ42,44を回転駆動することにより、金属歯車や金属チェーン等を介して回転駆動する場合よりも騒音が小さくなる。
【0077】
シーラーローラ44の他端には、工具88(図1参照)が係合する角柱形状の係合部44kが形成されており、工具88を使って手動により、シーラーローラ42,44を正逆両方向に回すことができる。
【0078】
紙受台52は、図11の要部斜視図に示すように、大略、立板52aと底板52bとが断面L字状に結合されており、装置本体12から外側に突出する一対の支持アーム19によって、立板52aと底板52bとの結合部近傍の両側が回転自在に支持されている。
【0079】
紙受台52は、装置本体12の用紙出口15に立板52aの上部が対向し、用紙出口15から排出された用紙の先端が立板52aに当たり、用紙出口15から排出された用紙が底板52bの上に積み重ねられるようになっている。
【0080】
紙受台52は、矢印52xで示す方向に倒すと、鎖線で示すように、支持アーム19に設けられたピン19aに、紙受台52の底板52bが当接し、所定角度傾いた状態を保持する。これによって、紙受台52の上方が広がり、紙受台52の底板52bに積み重ねられた用紙の取り出しが容易になる。
【0081】
紙受台52の底板52bには、図12の要部斜視図に示すように、立板54aと底板54bが断面L字状に結合され、底板64bの底面にマグネットシート54cが貼り付けられたガイド板54を、所望位置に着脱自在に取り付け、底板52bに積み重ねられた用紙の両側を揃えることができる。
【0082】
次に、メールシーラー装置10の制御系の構成について、図17のブロック図を参照しながら説明する。
【0083】
図17に示すように、装置全体の制御を統括する制御部10sには、操作パネル14の表示パネル14a及び操作キー14bと、給紙部20及び紙折部30のローラ26a,26b,26c,32〜36を駆動するDCモータ30mと、圧着部40のローラ42,44,71,72,74やセンタースリッタ75,76を駆動するACモータ40mと、DCモータ30mの回転を検出するエンコーダ30nと、ACモータ40mの回転を検出するエンコーダ40nと、用紙通過センサ60a,60b;62;64と、重送検知用のフォトセンサ66と、重送検知用のフォトセンサ66の取付部材65の回転を検出するポテンショメータ68と、シーラーローラ42,44間の隙間調整用のダイヤル46による回転を検出するポテンショメータ69と、ターントレイ80cの差し込みを検知する検知スイッチ87と、給紙ローラユニット26のローラ26a,26b,26cを所定の給紙タイミングで回転駆動するための給紙クラッチ26xと、給紙台22の昇降を検出するUP−DOWN検出スイッチ22sと、給紙台22上の積載用紙の有無を検出する用紙有無検出スイッチ22tとが接続されている。制御部10sは、CPUの他、プログラム等を記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM等を含む。
【0084】
紙折部30がDCモータ30mで駆動され、圧着部40がACモータ40mで駆動されるため、そのままでは、電源周波数50Hz/60Hzが変わると、紙折部30から圧着部40にスムーズに用紙を受け渡すことができず、異音や紙詰まり(ジャム)の発生要因になる可能性がある。
【0085】
その対策として、制御部10sは、エンコーダ40nを使用してACモータ40mの回転数を測定することにより電源周波数50Hz/60Hzを判断し、電源周波数に応じた回転数になるようにDCモータ30mの駆動を制御する。
【0086】
例えば、電源周波数が50Hzから60Hzに切り替わると、ACモータ40mの回転速度が1.2倍になる場合、DCモータ30mの回転速度も、電源周波数が50Hzから60Hzに切り替わると1.2倍になるように制御する。
【0087】
DCモータ30mで紙折部30を駆動し、ACモータ40mで圧着部40を駆動すると、紙折部30から圧着部40に用紙が突入するときに、紙折部30側のローラによる用紙搬送速度が圧着部40側のローラによる用紙搬送速度を上回った場合には、用紙に皺が発生する原因となる。
【0088】
紙折部30側のローラの回転数が変動する要因として、
(a)紙折部30を駆動するDCモータ30m自体の製品ごとの特性ばらつき
(b)長時間駆動に伴う内部温度上昇によるDCモータ30mの回転数変化(ドリフト)
(c)気温変化による装置内部の機械的特性変化によるDCモータ30mの回転数変化
を挙げることができ。
【0089】
これらの要因に対しては、必要に応じて次の対策を行えばよい。
【0090】
要因(a)に対しては、紙折部30を駆動するDCモータ30mの回転数と、圧着部40を駆動するACモータ40mの回転数とをエンコーダ30n,40nで測定し、両者の差が所定範囲内に収まるように、少なくとも一方の回転数を制御する。例えば、一方の回転数を、他方の回転数に対応する回転数になるように、合わせ込む。
【0091】
要因(b)に対しては、紙折部30を駆動するDCモータ30m付近の温度をサーミスタ等で測定し、測定温度に応じて、DCモータ30mの回転数に補正をかける。
【0092】
要因(c)に対しては、外気をサーミスタ等で温度測定し、外気温に応じて、紙折部30を駆動するDCモータ30mの回転数に補正をかける。
【0093】
次に、メールシーラー装置10の動作について説明する。
【0094】
給紙台22に用紙2が載置された状態で、操作パネル14の所定の操作キー14bが操作され、制御部10sに操作キー14bからの信号が入力されると、制御部10sは、DCモータ30mとACモータ40mを起動し、運転を開始させる。これによって、給紙台22上の用紙は、所定の給紙タイミングで上から1枚ずつ搬送され、紙折部30で所定形状に折り畳まれた後、圧着部40のシーラーローラ42,44間を通過する際にプレスされ、折り畳まれ圧着された状態の用紙が、紙受台52の底板52b上に積み重ねられる。
【0095】
次に、紙折部30における動作について、図13〜図16を参照しながら説明する。図13は用紙の平面図、図14〜図16は、紙折り動作を模式的に示す説明図である。
【0096】
紙折部30は、例えば、用紙を2つ又は3つに折り畳むことができる。
【0097】
用紙を3つに折り畳む場合には、図13(a)の平面図に示すように、用紙2には、紙折部30において折線2x,2yが形成される。折線2x,2yは、矢印で示す用紙搬送方向と直角に形成される。なお、用紙2が折れ易くなるように、用紙2に、折線2x,2yとなる部分に予めミシン目等を形成しておいてもよい。
【0098】
用紙2の折線2x,2yによって分割される第1部分2a、第2部分2b及び第3部分2cは、第1及び第2の折りトレイ80a,80bの用紙突き当て板84a,84bの高さの設定に応じて、所定の態様で重ね合わされる。
【0099】
例えば図14(a)及び(b)に示すように、大略、第1の折りトレイ80aの用紙突き当て板84aの高さが用紙長さの2/3程度、第2の折りトレイ80bの用紙突き当て板84bの高さが用紙長さの1/3程度に設定された場合、図14(c)に示すように、用紙2は略Z状に折り畳まれる。このように用紙が折り畳まれる形態を、本明細書中でZ折という。
【0100】
すなわち、図14(a)に示すように、給紙部20から紙折部30に送られてきた用紙2は、第1折りローラ32と第2折りローラ33との間を通り、その先端2s側が第1の折りトレイ80aの用紙挿入空間83a内へと送られ、用紙2の先端2sが用紙突き当て板84aに当たる。その後も、用紙2の後端2t側は搬送され続けるため、用紙2には、点線で示したように、第1乃至第3折りローラ32,33,34で囲まれた空間30s内において、第2折りローラ33と第3折りローラ34との間に向かって湾曲する湾曲部分2pが形成される。
【0101】
用紙2の湾曲部分2pは、用紙2の後端2t側の搬送に伴って大きくなり、ついには、折りローラ対である第2折りローラ33と第3折りローラ34との間に挟まれ、折線2yが形成される。その後、用紙2は、折線2yを先頭に、用紙後端側の第3部分2cに、用紙中央の第2部分2bが重なった状態で搬送される。
【0102】
そして、図14(b)に示すように、折線2yが第2折りローラ33と第3折りローラ34との間を通り、第2の折りトレイ80bの用紙挿入空間83b内へと送られ、用紙の先端(折線2y)が用紙突き当て板84bに当たる。折りローラ33,34は、その後も用紙2の搬送を続けるため、用紙2は、点線で示したように、第3乃至第5折りローラ34,35,36で囲まれた空間30t内において、第4折りローラ35と第5折りローラ36との間に向かって湾曲する湾曲部分2qが形成される。
【0103】
用紙2の湾曲部分2qは、用紙搬送に伴って大きくなり、ついには、折りローラ対である第4折りローラ35と第5折りローラ36との間に挟まれ、折線2xが形成される。その後、図14(c)に示すように、用紙2は、折線2xを先頭に、用紙後端側の第3部分2cの上に、第1部分2a及び第2部分2bが重なった状態で、圧着部40へと搬送される。
【0104】
一方、図15(a)及び(b)に示すように、第1の折りトレイ80aの用紙突き当て板84aの高さが用紙長さの1/3程度、第2の折りトレイ80bの用紙突き当て板84bの高さが用紙長さの1/3程度に設定された場合には、図15(c)に示すように、用紙は略C字状態に折り畳まれる。このように用紙が折り畳まれる形態を、本明細書中でC折という。
【0105】
すなわち、図15(a)に示すように、用紙2の先端2sが第1折りトレイの用紙突き当て板84aに当接した後、点線で示す湾曲部分2uが形成され、この湾曲部分2uが大きくなって第2及び第3折りローラ33,34の間に挟まれると、折線2xが形成され、用紙2は、第2部分2bの上に第1部分2aが重なった状態で搬送される。そして、図15(b)に示すように、先頭の折線2xが第2折りトレイ80bの用紙突き当て板84bに当接した後、点線で示す湾曲部分2vが形成され、この湾曲部分2vが大きくなって第4及び第5折りローラ35,36の間に挟まれると、折線2yが形成され、図15(c)に示すように、用紙2は、第3部分の上に第1部分及び第2部分が重なった状態で、圧着部40へと搬送される。
【0106】
用紙を2つに折り畳んで圧着する場合には、図13(b)の平面図に示すように、用紙2には、紙折部30において、折線2rが形成され、折線2rによって分割される第1部分2dと第2部分2eが重なる。折線2rは、矢印で示す用紙搬送方向と直角に形成される。なお、用紙2が折れ易くなるように、折線2rの部分に予めミシン目を形成しておいてもよい。
【0107】
例えば図16(a)及び図16(b)に示すように、第1折りトレイ80aとターントレイ80cとを用いて、用紙を2つに折り畳む。このように用紙が折り畳まれる形態を、本明細書中でV折という。
【0108】
この場合、図16(a)に示すように、給紙部20から紙折部30に送られてきた用紙2の先端2sが、第1折りローラ32と第2折りローラ33との間を通り、第1の折りトレイ80aの用紙挿入空間83a内へと送られ、用紙突き当て板84aに当接した後、点線で示す湾曲部分2kが形成され、この湾曲部分2kが第2及び第3折りローラ33,34の間に挟まれると、折線2rが形成され、第2部分2eの上に第1部分2cが重なった状態で搬送される。そして、図16(b)に示すように、先頭の折線2rが、第3乃至第5折りローラ34,35,36の間の空間30tに入ると、ターントレイ80cのターンガイドによって、矢印で示すように、第4折りローラ35と第5折りローラ36との間を通り、図16(c)に示すように、第2部分の上に第1部分が重なった状態で、圧着部40に搬送される。
【0109】
次に、装置全体の動作について、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
【0110】
図18に示すように、まず、折種別等の設定値が制御部10sに入力される(S10)。例えば、オペレータが操作パネル14の操作キー14bを操作することにより、折種別(V折、C折、Z折など)、折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さや用紙の厚さ等が入力される。折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さや用紙の厚さ等は、用紙を搬送して、用紙通過センサ60a,60bやフォトセンサ66等で検出したデータを入力するようにしてもよい。
【0111】
操作パネル14の操作キー14bから運転開始指令が入力されると(S12でYES)、制御部10sは、ACモータ30mやDCモータ40m等を起動することにより用紙を搬送し、運転を開始する(S14)。
【0112】
そして、紙折部30で折り畳まれた用紙の搬送方向の長さを用紙通過センサ62で測定し(S16)、折り畳まれた用紙の折種別がステップ10で入力(設定)された折種別と一致するかを判定する(S18)。
【0113】
具体的には、制御部10sは、用紙通過センサ62の出力と、折りローラ35,36を駆動するACモータ30mの回転を検出するエンコーダ30nからのパルス数とに基づいて、紙折部30で折り畳まれた後の用紙の搬送方向の長さを測定する。制御部10sは、入力された折種別と折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さとから、折り畳まれた後の用紙の搬送方向の長さを算出し、算出値と測定値とが所定の誤差範囲内であるか否かによって、折り畳まれた用紙の折種別が設定された折種別と一致するかを判定する。
【0114】
例えば、折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さをLとすると、折り畳まれた後の用紙の搬送方向の長さは、V折ではL/2、C折及びZ折ではL/3となり、簡易に算出することができる。
【0115】
簡単な制御を行う場合には、折種別がV折であるか、V折以外であるかだけを基準に、折り畳まれた用紙の折種別が入力された折種別と一致するかを判定してもよい。すなわち、折り畳まれた後の用紙について検出された搬送方向の長さの測定値が、L/3とL/2との間の適宜な閾値よりも大きい場合にはV折、そうでない場合にはV折以外であると特定する。入力された折種別がV折であり、かつ、特定された折種別がV折である場合と、入力された折種別がV折以外であり、かつ、特定された折種別がV折以外である場合には、折り畳まれた用紙の折種別が入力された折種別と一致すると判定し、それ以外の場合には一致しないと判定する。
【0116】
ターントレイ80cの差し込みを検知する検知スイッチ87の信号を制御部10sに入力することにより、V折とV折以外の折種別を簡単に入力することができる。
【0117】
あるいは、用紙通過センサ60a,60bが用紙を検知してから用紙通過センサ62が用紙を検知するまでの間にエンコーダ30nが出力したパルス数をカウントすることにより用紙搬送経路の長さを測定し(S16)、用紙搬送経路の長さがC折、V折、Z折等で異なり、折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さに応じて所定値になることに基づいて、折り畳まれた用紙の折種別がステップ10で設定(入力)された折種別と一致するかを判別する(S18)。
【0118】
制御部10sは、折り畳まれた用紙の折種別が設定された折種別と一致しないと判定したときには(S18でNO)、ACモータ30mやDCモータ40m等の駆動を停止する(S22)。これによって、用紙突き当て板84a,84bが入力された折種別に応じた適正位置に設定されていない場合に用紙の搬送を停止し、シーラーローラ42,44対による圧着処理を行わないようにして、シーラーローラ42,44対での紙詰まりの発生や、シーラー圧不足による不良品の発生を防止することができる。
【0119】
一方、制御部10sは、折り畳まれた用紙について検出した折種別が入力された折種別と一致すると判定したときには(S18でYES)、操作パネル14の操作キー14bから運転停止指令が入力されない間は運転を継続し(S20でNO)、操作パネル14の操作キー14bから運転停止指令が入力されると(S20でYES)、ACモータ30mやDCモータ40m等の駆動を停止する(S22)。
【0120】
<まとめ> 以上のように、メールシーラー装置10は、簡易で安価な構成で、用紙突き当て板84a,84bのセットミスを防ぐことができる。
【0121】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】メールシーラー装置の全体斜視図である。
【図2】用紙搬送系の構成を示す構成図である。
【図3】用紙搬送系の構成を示す構成図である。
【図4】用紙搬送系の構成を示す構成図である。
【図5】給紙台付近の要部斜視図である。
【図6】重送検知機構の要部構成図である。
【図7】前搬送ユニットの斜視図である。
【図8】後搬送ユニットの斜視図である。
【図9】シーラーローラブロックの正面図である。
【図10】図9の線A−Aに沿って切断した断面図である。
【図11】紙受台付近の要部斜視図である。
【図12】紙受台付近の要部斜視図である。
【図13】用紙の平面図である。
【図14】紙折り動作の説明図である。
【図15】紙折り動作の説明図である。
【図16】紙折り動作の説明図である。
【図17】メールシーラー装置のブロック図である。
【図18】装置全体の動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0123】
2 用紙
2k,2p,2q,2u,2v 湾曲部分
10 メールシーラー装置
10s 制御部(制御手段、紙折設定判定手段、折種別検出手段、用紙長さ検出手段、隙間設定判定手段、隙間検出手段)
12 装置本体
14 操作パネル
14a 表示パネル(警告手段)
14b 操作キー(折種別入力手段、用紙長さ入力手段)
20 給紙部
22 給紙台
30 紙折部(紙折手段)
30m DCモータ
30n エンコーダ(折種別検出手段、用紙長さ検出手段)
32〜36 折りローラ(用紙搬送手段)
40 圧着部
40m ACモータ
40n エンコーダ
42 シーラーローラ(シーラーローラ対)
44 シーラーローラ(シーラーローラ対)
52 紙受台
60a,60b 用紙通過センサ(折種別検出手段)
62 用紙通過センサ(折種別検出手段、用紙長さ検出手段)
64 用紙通過センサ
69 ポテンショメータ(隙間検出手段)
71〜74 搬送ローラ(用紙搬送手段)
75,76 センタースリッタ
80a,80b 折りトレイ(紙折手段)
80c ターントレイ
83a,83b 用紙挿入空間
84a,84b 用紙突き当て板
80d 手差トレイ
87 検知スイッチ(折種別入力手段、ターンガイド検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する用紙搬送手段と、
前記用紙搬送手段により用紙が搬送される用紙搬送経路の上流側に設けられ、前記用紙搬送手段により搬送されている用紙の先端側が挿入される用紙挿入空間と、該用紙挿入空間内において用紙の先端が当接する用紙突き当て板と、該用紙突き当て板にその先端が当接した用紙の後端側に前記用紙搬送手段による搬送に伴って形成された湾曲部分を挟み込んで用紙を折り畳む折りローラ対とを含む、紙折手段と、
前記用紙搬送経路の下流側に設けられ、前記紙折手段により折り畳まれた用紙を挟み込んで圧着するシーラーローラ対と、
を備えた、メールシーラー装置において、
前記紙折手段において用紙が折り畳まれる形態の種別である折種別が入力される折種別入力手段と、
前記紙折手段により折り畳まれた用紙の折種別を検出する折種別検出手段と、
前記折種別入力手段に入力された折種別と前記折種別検出手段により検出された折種別とに基づいて、前記用紙突き当て板が前記折種別入力手段に入力された折種別に応じた適正位置に設定されているか否かを判定する紙折設定判定手段と、
前記紙折設定判定手段により前記用紙突き当て板が前記折種別入力手段に入力された折種別に応じた適正位置に設定されていないと判定されたときに、前記用紙搬送手段による用紙の搬送を停止させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする、メールシーラー装置。
【請求項2】
折り畳まれる前の用紙の搬送方向の長さが入力される用紙長さ入力手段をさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のメールシーラー装置。
【請求項3】
前記折種別検出手段は、前記用紙搬送経路に沿って前記紙折手段と前記シーラーローラ対との間に配置され、前記紙折手段により折り畳まれた用紙の搬送方向の長さを検出する用紙長さ検出手段を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のメールシーラー装置。
【請求項4】
前記折種別検出手段が検出する折種別は、用紙が2つに折り畳まれるV折と、該V折以外であることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載のメールシーラー装置。
【請求項5】
前記折種別入力手段は、前記用紙挿入空間への用紙の挿入を阻止するターンガイドの使用の有無を検出するターンガイド検出手段を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つに記載のメールシーラー装置。
【請求項6】
前記シーラーローラ対の間の隙間の大きさを検出する隙間検出手段と、
前記折種別入力手段に入力された前記折種別と前記隙間検出手段が検出した前記シーラーローラ対の間の隙間の大きさとに基づいて、前記シーラーローラ対が前記折種別入力手段に入力された折種別に応じた適正な大きさの隙間に設定されているか否かを判定する隙間設定判定手段と、
前記隙間設定判定手段により前記シーラーローラ対が前記折種別入力手段に入力された折種別に応じた適正な大きさの隙間に設定されていないと判定されたときに、前記用紙搬送手段により用紙を搬送する前に警告を発する警告手段と、
をさらに備えたことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一つに記載のメールシーラー装置。
【請求項7】
前記隙間設定判定手段は、折種別と用紙厚みとに基づいて、前記シーラーローラ対が前記折種別入力手段に入力された折種別に応じた適正な大きさの隙間に設定されているか否かを判定することを特徴とする、請求項6に記載のメールシーラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−297963(P2009−297963A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153260(P2008−153260)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】