説明

モジュラジャック

【課題】小型化が図られ、コンタクトピンがバネ性を十分に有し、コンタクトピンが短く構成され、且つ、種類の異なるモジュラプラグがプラグ挿入穴に挿入されたときに奥まで挿入されることを防止するモジュラジャックの提供。
【解決手段】凸部31Aは、平行に配置された8本のコンタクトピン3Bのうちの両端のコンタクトピン3Bの近傍であってこれらのコンタクトピン3Bの前方に設けられており、RJ11タイプのモジュラプラグがプラグ挿入穴3a内に挿入されたときに、当該モジュラプラグの前端面3Aの下端部に当接する程度の大きさを有する。コンタクトピン3Bは折り曲げ部Xと第2折り曲げ部Yと第3折り曲げ部Zとを有する。W点を支点として、W点から自由端Fまでの部分は後方へ回動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモジュラジャックに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ等の電気機器には、データ通信を行うためにLANケーブル等のプラグが接続されるモジュラジャックが設けられている。モジュラジャックは、LANケーブル等のコネクタが挿入されるプラグ挿入穴が形成されたハウジングと、ハウジング内に設けられ、一部がプラグ挿入穴内に平行に配列された複数のコンタクトピンとを有しており、実装基板に実装される。
【0003】
コンタクトピンの数は、モジュラジャックの種類によって異なっており、例えば、RJ45タイプのモジュラジャックの場合には8本であり、RJ11タイプのモジュラジャックの場合には6本である。従って、モジュラジャックに挿入されるモジュラプラグの形状も種類によって異なっている。このため、異なる種類のモジュラプラグがモジュラジャックに挿入されることを防止するための突起部が、モジュラジャックのコンタクトピンの近傍であってコンタクトピンよりもプラグ挿入穴の開口寄りの部分に設けられている。このようなモジュラジャックは、例えば、特開2007−95538号公報(特許文献1)に記載されている。
【0004】
また、モジュラジャックは実装基板上に配置されて用いられることがあるが、このようなモジュラジャックの中には、プラグ挿入穴が実装基板の上方に向けて開口しているものがある。このようなモジュラジャックは、例えば、特開平07−245147号公報(特許文献2)に記載されている。
【0005】
近年コンタクトピンの長さを短くしてモジュラジャックの製造に係る費用を低減することが要求されている。しかし、前述した特許文献1記載のモジュラジャックでは、プラグ挿入穴を画成しハウジングを構成する壁部内部に当該壁部に沿ってコンタクトピンの一部が配置され、プラグ挿入穴の開口近傍において鋭角に折り返されていた。そして、当該折り返された部分から自由端に至るまでの部分はプラグ挿入穴内に配置され、プラグ挿入穴に挿入されるモジュラプラグの端子に接触可能に構成されていた。
【0006】
このような構成において、コンタクトピンの長さを短くするために、当該壁部内部に当該壁部に沿って配置されたコンタクトピンの部分を短くした場合には、プラグ挿入穴の開口からコンタクトピンが鋭角に折り曲げられた部分までの距離が長く構成される場合がある。このような場合には、モジュラプラグがプラグ挿入穴に挿入された際に、モジュラプラグの端子がコンタクトピンに接触する当該コンタクトピンの位置が当該鋭角に折り曲げられた部分の近傍位置となり、コンタクトピンのバネ性を十分に発揮することができない。
【0007】
また、バネ性を十分に有する構成とするためには、例えば、特開平11−135182号公報(特許文献3)に記載されているように、鋭角に折り曲げるのではなく、半円状に湾曲させた構成のコンタクトピンが知られている。半円状の部分の半径を所定の大きさ以上とすることにより十分なバネ性を有する構成とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−95538号公報
【特許文献2】特開平07−245147号公報
【特許文献3】特開平11−135182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年電子機器の薄型化が要求されており、これに伴いモジュラジャックも低背化による小型化が要求されている。モジュラジャックを低背化するためには、例えば、ハウジングを構成しプラグ挿入穴を画成している壁部であって実装基板に対向配置され固定される壁部を薄くすることが考えられる。
【0010】
しかし、従来のモジュラジャックでは、薄くしようとする当該壁部内部に当該壁部に沿ってコンタクトピンの一部が配置され、特に特許文献3記載のモジュラジャックでは、半円状に湾曲している部分が当該壁部内部に配置されている。半円状の部分は、バネ性を十分に持たせるためには所定の大きさの半径とする必要があるが、壁部を薄くした場合に、薄くした壁部から当該半円状の部分が大きく突出しないようにするためには、半円状の部分の半径を小さくしなければならず、十分なバネ性を持たせることはできない。
【0011】
そこで本発明は、小型化が図られ、コンタクトピンがバネ性を十分に有し、コンタクトピンが短く構成され、且つ、種類の異なるモジュラプラグがプラグ挿入穴に挿入されたときに奥まで挿入されることを防止するモジュラジャックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、背壁と該背壁にそれぞれ一端部が接続された上壁、下壁、及び一対の側壁とを有し、上壁の他端、下壁の他端、及び一対の側壁の他端により前端面が規定され、上壁と背壁と下壁と一対の側壁とにより画成され該前端面に開口するプラグ挿入穴が形成されたハウジングと、該ハウジング内に配置され、少なくとも一部が該プラグ挿入穴内に平行に配列された複数のコンタクトピンと、を備え、少なくとも各該コンタクトピンは、該背壁から該下壁の該開口寄りの部分に至るまで延び、該開口寄りの端部が自由端部をなし、該背壁の近傍に配置された部分が基端側の部分をなし、該コンタクトピンの該基端側の部分は、支点部と、該支点部よりも該自由端寄りの部分において該下壁の該開口寄りの部分へ向かう方向へ折り曲げられた折り曲げ部とを有し、該折り曲げ部と自由端との間の部分の一部は、該プラグ挿入穴に挿入されたモジュラプラグの端子に接触可能であり、該支点部から該折り曲げ部までの部分は該支点部を中心として反開口方向へ弾性変形して湾曲可能であり、該下壁の面であって該プラグ挿入穴を画成している面には、該配列された該複数のコンタクトピンの内の少なくとも両端の列の該コンタクトピンの近傍の該開口寄りに設けられ、該プラグ挿入穴の内方へ突出し、該モジュラプラグの溝に収容可能な凸部が設けられているモジュラジャックを提供している。
【0013】
少なくとも各コンタクトピンは、背壁から下壁の開口寄りの部分に至るまで延び、開口寄りの端部が自由端部をなし、背壁の近傍に配置された部分が基端側の部分をなし、コンタクトピンの基端側の部分は、支点部と、支点部よりも自由端寄りの部分において下壁の開口寄りの部分へ向かう方向へ折り曲げられた折り曲げ部とを有し、折り曲げ部と自由端との間の部分の一部は、プラグ挿入穴に挿入されたモジュラプラグの端子に接触可能であり、支点部から折り曲げ部までの部分は支点部を中心として反開口方向へ弾性変形して湾曲可能であるため、折り曲げ部と自由端との間の部分は支点部を中心として下壁へ向かう方向へ湾曲することができる。このため、上壁と下壁とを結ぶ方向における寸法を小さくして低背化が図られたモジュラジャックにおいてコンタクトピンのバネ性を十分に確保することができ、且つコンタクトピンが短い構成とすることができる。
【0014】
また、下壁の面であってプラグ挿入穴を画成している面には、配列された複数のコンタクトピンの内の少なくとも両端の列のコンタクトピンの近傍の開口寄りに設けられ、プラグ挿入穴の内方へ突出し、モジュラプラグの溝に収容可能な凸部が設けられているため、モジュラジャックとは種類の異なるモジュラプラグがプラグ挿入穴に挿入された際に奥まで挿入されることを防止することができる。
【0015】
ここで、該コンタクトピンは、該折り曲げ部よりも該自由端寄りの部分であって該自由端近傍の部分において該下壁に向かう方向へ折り曲げられた第2折り曲げ部を有し、該第1折り曲げ部と該第2折り曲げ部との間の部分の一部は、該プラグ挿入穴に挿入された該モジュラプラグの端子に接触可能であることが好ましい。
【0016】
コンタクトピンは、折り曲げ部よりも自由端寄りの部分であって自由端近傍の部分において下壁に向かう方向へ折り曲げられた第2折り曲げ部を有し、第1折り曲げ部と第2折り曲げ部との間の部分の一部は、プラグ挿入穴に挿入されたモジュラプラグの端子に接触可能であるため、モジュラプラグが挿入されたときにモジュラプラグの端子が第2折り曲げ部の湾曲した部分に滑らかに接触することができ、モジュラジャックとモジュラプラグとのファーストコンタクトをスムーズにすることができる。このため、モジュラプラグの端子に傷がつきにくくすることができる。
【0017】
また、第2折り曲げ部と自由端との間の部分を第2折り曲げ部を中心として弾性変形して回動させることができる。このことにより、第2折り曲げ部にバネ性を持たせることができ、バネ性を更に向上させることができる。
【0018】
また、該コンタクトピンは、該第2折り曲げ部よりも該自由端寄りの部分において該前端面に向かう方向へ折り曲げられた第3折り曲げ部を有することが好ましい。
【0019】
コンタクトピンは、第2折り曲げ部よりも自由端寄りの部分において前端面に向かう方向へ折り曲げられた第3折り曲げ部を有するため、第3折り曲げ部と自由端との間の部分を第3折り曲げ部を中心として弾性変形して回動させることができ、更に下壁内部に形成されプラグ挿入穴に開口する穴部にコンタクトピンの自由端を挿入させて、バネ性を維持する構成とさせることができる。
【0020】
また、折り曲げ部と第2折り曲げ部との間の部分であってプラグ挿入穴に挿入されたモジュラプラグの端子に接触可能な部分の位置を、各コンタクトピン同士で容易に揃えることができる。
【0021】
また、本発明は、底壁と該底壁にそれぞれ一端部が接続された前壁、背壁、及び一対の側壁とを有し、前壁の他端、背壁の他端、及び一対の側壁の他端により上端面が規定され、前壁と背壁と下壁と一対の側壁とにより画成され該上端面に開口するプラグ挿入穴が形成されたハウジングと、該ハウジング内に配置され、少なくとも一部が該プラグ挿入穴内に平行に配列された複数のコンタクトピンと、を備え、少なくとも各該コンタクトピンは、該背壁から該下壁に至るまで延び、該下壁に配置された端部が自由端部をなし、該背壁の近傍に配置された部分が基端側の部分をなし、該コンタクトピンの該基端側の部分は、支点部と、該支点部よりも該自由端寄りの部分において該プラグ挿入穴の内方へ折り曲げられた第1折り曲げ部と、該第1折り曲げ部よりも該自由端寄りの部分であって該第1折り曲げ部の近傍の部分において該下壁へ向かう方向へ折り曲げられた第2折り曲げ部とを有し、該第2折り曲げ部と自由端との間の部分の一部は、該プラグ挿入穴に挿入されたモジュラプラグの端子に接触可能であり、該支点部から該第1折り曲げ部までの部分は該支点部を中心として該プラグ挿入穴の外方へ弾性変形することにより湾曲可能であり、該背壁の面であって該プラグ挿入穴を画成している面は、該配列された該複数のコンタクトピンの内の少なくとも両端の列の該コンタクトピンの近傍の該開口寄りに設けられ、該プラグ挿入穴の内方へ突出し、該モジュラプラグの溝に収容可能な凸部を備えるモジュラジャックを提供している。
【0022】
コンタクトピンの基端側の部分は、支点部と、支点部よりも自由端寄りの部分においてプラグ挿入穴の内方へ折り曲げられた第1折り曲げ部と、第1折り曲げ部よりも自由端寄りの部分であって第1折り曲げ部の近傍の部分において下壁へ向かう方向へ折り曲げられた第2折り曲げ部とを有し、第2折り曲げ部と自由端との間の部分の一部は、プラグ挿入穴に挿入されたモジュラプラグの端子に接触可能であり、支点部から第1折り曲げ部までの部分は支点部を中心としてプラグ挿入穴の外方へ弾性変形することにより湾曲可能であるため、第1折り曲げ部と第2折り曲げ部との間の部分は支点部を中心として下壁へ向かう方向へ弾性変形して回動し、また、第2折り曲げ部と自由端との間の部分は支点部を中心として下壁へ向かう方向へ弾性変形して湾曲回動することができる。このため、前壁と背壁とを結ぶ方向における寸法を小さくして小型化が図られたモジュラジャックにおいてコンタクトピンのバネ性を十分に確保することができ、且つコンタクトピンが短い構成とすることができる。
【0023】
また、背壁の面であってプラグ挿入穴を画成している面は、配列された複数のコンタクトピンの内の少なくとも両端の列のコンタクトピンの近傍の開口寄りに設けられ、プラグ挿入穴の内方へ突出し、モジュラプラグの溝に収容可能な凸部を備えるため、モジュラジャックとは種類の異なるモジュラプラグがプラグ挿入穴に挿入された際に奥まで挿入されることを防止することができる。
【0024】
ここで、該コンタクトピンは、該第2折り曲げ部よりも該自由端寄りの部分であって該第2折り曲げ部近傍の部分において該下壁に向かう方向且つ前壁に向かう方向へ折り曲げられた第3折り曲げ部を有し、該第3折り曲げ部と該自由端との間の部分の一部は、該プラグ挿入穴に挿入されたモジュラプラグの端子に接触可能であることが好ましい。
【0025】
コンタクトピンは、第2折り曲げ部よりも自由端寄りの部分であって第2折り曲げ部近傍の部分において下壁に向かう方向且つ前壁に向かう方向へ折り曲げられた第3折り曲げ部を有し、第3折り曲げ部と自由端との間の部分の一部は、プラグ挿入穴に挿入されたモジュラプラグの端子に接触可能であるため、第3折り曲げ部と自由端との間の部分を第3折り曲げ部を中心として弾性変形して回動させることができる。このことにより、第3折り曲げ部にバネ性を持たせることができ、バネ性を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上により本発明は、小型化が図られ、コンタクトピンがバネ性を十分に有し、コンタクトピンが短く構成され、且つ、種類の異なるモジュラプラグがプラグ挿入穴に挿入されたときに奥まで挿入されることを防止するモジュラジャックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるモジュラジャックを示す斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるモジュラジャックを示す断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態によるモジュラジャックにモジュラジャックと同種類のモジュラプラグが挿入された様子を示す断面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態によるモジュラジャックを示す斜視図。
【図5】本発明の第2の実施の形態によるモジュラジャックにモジュラジャックと同種類のモジュラプラグが挿入された様子を示す断面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態によるモジュラジャックの変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第1の実施の形態によるモジュラジャックについて図1乃至図3に基づき説明する。モジュラジャック1は、LANケーブルが接続されるRJ45タイプのモジュラジャックであり、図2に示すように樹脂製のコネクタ挿入部3と、樹脂製の端子保持部4と、樹脂製のカバー5と、金属ケース6と、金属ピン7とを有している。
【0029】
以下の説明において、端子保持部4からからコネクタ挿入部3に向かう方向を前方向とし、その逆方向を後方向として前後方向を定義する。また前後方向と直交する方向であって、コネクタ挿入部3から金属ケース6の後述の上板63に向かう方向を上方向とし、その逆方向を下方向として上下方向を定義する。また、図1における略右方向を右方向し、略左方向を左方向として左右方向を定義する。モジュラジャック1は、左右対称に構成されている。よって左右方向の後述する外側面32Aの説明については、一の外側面32A側のみについて説明する。
【0030】
図1、図2に示すように、コネクタ挿入部3は、下壁31と一対の側壁32、32と、背壁33と、上壁34とを有しており、これらの壁によって内部にプラグ挿入穴3aが画成された略直方体の枠体が構成されている。下壁31の一端、一対の側壁32、32の一端、及び上壁34の一端は背壁33に接続されており、下壁31の他端、一対の側壁32、32の他端、上壁34の他端は前端面3Aを構成する。
【0031】
プラグ挿入穴3aは前端面3Aにおいて開口3bを有しており、開口3bからプラグ挿入穴3a内にモジュラプラグ9(図3)を挿入可能である。プラグ挿入穴3a内には後述する8本のコンタクトピン3Bが平行に配置されて設けられている。
【0032】
側壁32の外面は外側面32Aを構成している。外側面32Aには、それぞれ係合突起32Bが設けられている。係合突起32Bは、外側面32Aの前部であって上下方向における中央部よりも少し下方に配置されている。係合突起32Bは前側から後側に向かうにつれて外側面32Aからの突出量が増えるクサビ形状をなしている。
【0033】
図1に示すように下壁31の後端部であって左右方向両端部分には、浮き上がり防止片35が設けられている。浮き上がり防止片35は、外側面32Aの最下端から延出している基部35Aと、基部35Aの延出端から上方向に延出している腕部35Bとにより略L字状に構成されている。基部35Aには、上下方向に貫通方向が指向する図示せぬピン貫通孔が形成されている。
【0034】
金属ピン7は、基部35Aの図示せぬピン貫通孔を貫通しており、長方形状をなす頭部71と、頭部71に一体接続され先端部分が先細り形状をなすピン部72とを有している。ピン部72が図示せぬピン貫通孔を貫通することにより金属ピンは基部35Aに固定されている。
【0035】
図2に示すように背壁33の下部には、前後方向に貫通するコンタクトピン貫通孔33aが形成されている。コンタクトピン貫通孔33aは、背壁33の後面から前面に向かうに従い斜め下方へ向かい、途中から前方向へ伸びている。また、前後方向における下壁31の上面の略中央部分には、下方へ窪んだ下壁凹部31aが形成されている。下壁凹部31aは、下壁31の上面に開口し、下壁31内部において当該開口よりも前方へ延出して形成されている。
【0036】
下壁31の一部には凸部31Aが設けられている。凸部31Aは、平行に配置された8本のコンタクトピン3Bのうちの両端のコンタクトピン3Bの近傍であってこれらのコンタクトピン3Bの前方に設けられており、プラグ挿入穴3aの内方であって上方に突出している。凸部31Aは、RJ45タイプのモジュラプラグ9がプラグ挿入穴3a内に挿入され奥まで差し込まれたときに、モジュラプラグ9に平行において形成された8本の溝のうちの両端の溝内に収納されるような大きさを有している。また凸部31Aは、RJ11タイプのモジュラプラグがプラグ挿入穴3a内に挿入されたときに、当該モジュラプラグの前端面3Aの下端部に当接し、当該モジュラプラグを奥まで挿入できない程度の大きさを有している。
【0037】
また、下壁31の下面には、下方へ突出する脚部36が一対設けられており、図示せぬ実装基板に形成された穴に脚部36が挿入されることにより、モジュラジャック1が図示せぬ実装基板に固定されるように構成されている。
【0038】
端子保持部4は、コネクタ挿入部3の後側に接続されている。端子保持部4は、一対の側壁41と前壁42と下壁43とを備えており、上部及び後部が開口して内部が中空状をなしている。側面41は、一対の側壁32、32の側面32Aと面一をなす。上下方向における前壁42の前面の略中央部分には、後方へ窪んだ凹部42aが形成されている。中空状の内部にはコンタクトピン3Bと電気的に接続された回路基板44が配置されている。端子保持部4の下方には、回路基板44に接続されると共に図示せぬ実装基板に接続される複数の実装端子である実装端子群4Aが略垂下されて設けられている。
【0039】
コンタクトピン3Bは厚さが0.25mm程度であり、コンタクトピン3Bの後端部は、回路基板44に形成された貫通孔を貫通している。コンタクトピン3Bは後端部から前方へ伸び、前壁42を貫通している。そして下方へ折れ曲がり(図2中の基部折り曲げ部V)、前壁42に沿って延び、前壁42の凹部42aに対向する位置において途中で折れ曲がり(図2中の折り曲げ部X)、前下方へ斜めに延びてコンタクトピン貫通孔33aを貫通し、プラグ挿入穴3a内に延び、下壁31に至る。そして下壁凹部31aの開口の前端近傍において下方へ折れ曲がり(図2中の第2折り曲げ部Y)、下壁凹部31a内に入り、前方へ折れ曲がっている(図2中の第3折り曲げ部Z)。そして、コンタクトピン3Bの前端部たる自由端Fの部分は、下壁凹部31a内であって下壁凹部31aの開口よりも前方の位置まで延び、下壁凹部31aを画成している凹部画成天井面31Bに当接している。
【0040】
コンタクトピン3Bの一部であって折り曲げ部Xから第2折り曲げ部Yの間の部分は、モジュラプラグ9がプラグ挿入穴3a内に挿入されたときにモジュラプラグ9の端子91に接触可能である。また、基部折り曲げ部Vから折り曲げ部Xの間の部分は、端子保持部4の前壁42の凹部42aの開口上端に対向配置されているため、当該開口上端に当接して弾性変形して湾曲されることができるように構成されている。即ち、図2において二点鎖線で示すように、コンタクトピン3Bの一部であって当該開口上端に当接する部分(図2中のW点)を支点として、W点から自由端Fまでの部分は後方へ回動可能である。
【0041】
但し、二点鎖線で示したコンタクトピン3Bの状態は説明の便宜上W点から自由端Fまでの部分が全く弾性変形していない状態を図示したものであり、モジュラプラグ9がプラグ挿入穴3aに挿入されたときには、実際には、図2において二点鎖線で示すような状態とはならず、コンタクトピン3Bの一部であって折り曲げ部Xから第2折り曲げ部Yの間の部分をモジュラプラグ9の端子91が押圧することで、折り曲げ部Xを支点として支点よりも自由端Fまでの部分は下壁31に接近するように弾性変形する等、全体として弾性変形することで、図3に示すような状態となる。
【0042】
図2に示すようにカバー5は、端子保持部4の上部開口及び後部開口を覆うように配置されており、端子保持部4に装着されている。カバー5は、上壁34の上面と面一となる上面を有しており、また、一対の側壁32、32の外側面32Aと面一となる側面を有している。
【0043】
金属ケース6は、薄板の金属板が折り曲げられて組立てられており、シールドケースとして機能する。金属ケース6は、前板61と、一対の側板62と、上板63と、底面64とを有しており、コネクタ挿入部3の上面全体、側面全体、下面の前端部、プラグ挿入穴3aの開口3bを除く前面全体を覆っている。前板61には、プラグ挿入孔3bと連通する挿入孔61aが形成されている。また前板61において挿入孔61aの輪郭を構成する左右方向両側縁には、プラグ挿入穴3a内に挿入されてモジュラプラグ9(図3)をプラグ挿入穴3a内に導く導入板61A、61Aが設けられている。側板62には、係合突起32Bと係合する係合孔62aが形成されている。
【0044】
各コンタクトピン3Bは、背壁33から、下壁31の一部であって開口3b寄りの部分に至るまで延び、当該開口3b寄りの端部が自由端Fの部分をなし、背壁33の近傍に配置された部分が基端側の部分をなし、コンタクトピン3Bの基端側の部分は、支点部Wと、支点部Wよりも自由端F寄りの部分において下壁31の一部であって開口3b寄りの部分へ向かう方向へ折り曲げられた折り曲げ部Xとを有し、折り曲げ部Xと自由端Fとの間の部分の一部は、プラグ挿入穴3aに挿入されたモジュラプラグ9の端子91に接触可能であり、支点部Wから折り曲げ部Xまでの部分は支点部Wを中心として反開口方向へ弾性変形して湾曲可能であるため、折り曲げ部Xと自由端Fとの間の部分は支点部Wを中心として下壁31へ向かう方向へ湾曲することができる。このため、コンタクトピン3Bのバネ性を十分に確保することができ、且つコンタクトピン3Bが短い構成とすることができる。
【0045】
また、コンタクトピン3Bが、下壁31において所定の半径を有する半円状に湾曲させた部分を有していない構成とすることができるため、下壁31を薄くしても下壁31からプラグ挿入穴3a内にコンタクトピン3Bの半円状の部分が大きく突出することがなく、上壁34と下壁31とを結ぶ方向における寸法を小さくして低背化が図られたモジュラジャック1においてもバネ性を十分に確保することができる。
【0046】
また、下壁31の面であってプラグ挿入穴3aを画成している面には、配列された複数のコンタクトピン3Bの内の両端の列のコンタクトピン3Bの近傍であって開口3b寄りの部分に設けられ、プラグ挿入穴3aの内方へ突出し、モジュラプラグ9の溝に収容可能な凸部31Aが設けられているため、モジュラジャック1とは種類の異なるモジュラプラグがプラグ挿入穴3aに挿入された際に奥まで挿入されることを防止することができる。
【0047】
また、コンタクトピン3Bは、折り曲げ部Xよりも自由端F寄りの部分であって自由端F近傍の部分において下壁31に向かう方向へ折り曲げられた第2折り曲げ部Yを有し、第1折り曲げ部Xと第2折り曲げ部Yとの間の部分の一部は、プラグ挿入穴3aに挿入されたモジュラプラグ9の端子91に接触可能であるため、モジュラプラグ9が挿入されたときに、モジュラプラグ9の端子91が第2折り曲げ部Yの湾曲した部分に滑らかに接触することができ、モジュラジャック1とモジュラプラグ9とのファーストコンタクトをスムーズにすることができる。このため、モジュラプラグ9の端子91に傷がつきにくくすることができる。
【0048】
また、第2折り曲げ部Yと自由端Fとの間の部分を第2折り曲げ部Yを中心として弾性変形して回動させることができる。このことにより、第2折り曲げ部Yにバネ性を持たせることができ、バネ性を更に向上させることができる。
【0049】
また、コンタクトピン3Bは、第2折り曲げ部Yよりも自由端F寄りの部分において前端面3Aに向かう方向へ折り曲げられた第3折り曲げ部Zを有するため、第3折り曲げ部Zと自由端Fとの間の部分を第3折り曲げ部Zを中心として弾性変形して回動させることができる。更に下壁31に形成された下壁凹部31aにコンタクトピン3Bの自由端Fを挿入させて、バネ性を維持する構成とさせることができる。
【0050】
また、下壁凹部31aを画成している凹部画成天井面31Bに自由端Fの部分を当接させることで、折り曲げ部Xと第2折り曲げ部Yとの間の部分であってプラグ挿入穴3aに挿入されたモジュラプラグ9の端子91に接触可能な部分の位置を、各コンタクトピン3B同士で容易に揃えることができる。
【0051】
次に第2の実施の形態によるモジュラジャックについて図4乃至図5に基づき説明する。第2の実施の形態によるモジュラジャック101は、コンタクトピン103Bの形状が第1の実施の形態におけるコンタクトピン3Bの形状とは異なる。また、モジュラジャック101のプラグ挿入穴103aが上方へ向けて開口している点で、第1の実施の形態によるモジュラジャック1とは異なる。
【0052】
モジュラジャック101は、第1の実施の形態によるモジュラジャック1と同様に、LANケーブルが接続されるRJ45タイプのモジュラジャックであり、図5に示すように、樹脂製のコネクタ挿入部103と、樹脂製の端子保持部104と、樹脂製のカバー105と、金属ケース106と、金属ピン107とを有している。
【0053】
以下の説明において、端子保持部104からからコネクタ挿入部103に向かう方向を前方向とし、その逆方向を後方向として前後方向を定義する。また前後方向と直交する方向であって、コネクタ挿入部103から金属ケース106の後述の上板163に向かう方向を上方向とし、その逆方向を下方向として上下方向を定義する。また、図4において右下方向を右方向し、左上方向を左方向として左右方向を定義する。モジュラジャック101は、左右対称に構成されている。よって左右方向の後述する外側面132Aの説明については、一の外側面132A側のみについて説明する。
【0054】
コネクタ挿入部103は、下壁131と一対の側壁132、132と、背壁133と、前壁134とを有しており、これらの壁によって内部にプラグ挿入穴103aが画成された略直方体の枠体が構成されている。一対の側壁132、132の一端、背壁133の一端、及び前壁134の一端は下壁131に接続されており、一対の側壁132、132の他端、背壁133の他端、及び前壁134の他端は上端面103Aを構成する。
【0055】
プラグ挿入穴103aは上端面103Aにおいて開口103bを有しており、開口103bからプラグ挿入穴103a内にモジュラプラグ9(図5)を挿入可能である。プラグ挿入穴103a内には後述する8本のコンタクトピン103Bが平行に配置されて設けられている。
【0056】
側壁132の外面は外側面132Aを構成している。外側面132Aには、それぞれ第一係合突起132Bが設けられている。第一係合突起132Bは、外側面132Aの前部であって上下方向における略中央部に配置されている。第一係合突起132Bは上側から下側に向かうにつれて外側面132Aからの突出量が増えるクサビ形状をなしている。
【0057】
前壁134には、コネクタ挿入部103の上端面103Aに開口し、上端面103Aから下方に向かって下壁131に至るまで延び、プラグ挿入穴103a内外を連通させる溝134aが形成されている。また側壁132の外側面132Aの一部であって下壁131に接続されている部分には、浮き上がり防止片135が設けられている。
【0058】
図4に示すように浮き上がり防止片135は、外側面132Aの最下端から延出している基部135Aと、基部135Aの延出端から上方向に延出している腕部135Bとにより略L字状に構成されている。腕部135Bと外側面132Aとの間の空間は、隙間である溝部135aをなす。
【0059】
基部135Aには、上下方向に貫通方向が指向する図示せぬピン貫通孔が形成されている。図示せぬピン貫通孔は、前後方向において所定の間隔を隔てて同一形状で2つ配置されている。
【0060】
金属ピン107は、2つの図示せぬピン貫通孔の内の前側の図示せぬピン貫通孔に貫通しており、第1の実施の形態における金属ピン7と同一形状をなしている。
【0061】
図5に示すように背壁133の下部には、前後方向に貫通するコンタクトピン貫通孔133aが形成されている。コンタクトピン貫通孔133aは、背壁133の後面から前面に向かうように形成されている。また、背壁133には凸部133Aが設けられている。凸部133Aは、平行に配置された8本のコンタクトピン103Bのうちの両端のコンタクトピン103Bの近傍であってこれらのコンタクトピン103Bの前方に設けられており、プラグ挿入穴103aの内方であって前方に突出している。凸部133Aは、第1の実施の形態における凸部31Aと同一形状をなしている。従って、RJ45タイプのモジュラプラグ9がプラグ挿入穴103a内に挿入され奥まで差し込まれたときに、凸部133Aはモジュラプラグ9に平行に形成された8本の溝のうちの両端の溝内に収納される。また凸部133Aは、RJ11タイプのモジュラプラグがプラグ挿入穴103a内に挿入されたときに、当該モジュラプラグの前端面の下端部に当接し、モジュラプラグを奥まで挿入できないように構成されている。
【0062】
図5に示すように下壁131の後部上面には、下壁131の上面に開口し下方へ窪んだ下壁凹部131aが形成されている。また、下壁31の下面には、下方へ突出する脚部136が一対設けられており、図示せぬ実装基板に形成された穴に脚部136が挿入されることにより、モジュラジャック101が図示せぬ実装基板に固定されるように構成されている。
【0063】
図5に示すように端子保持部104は、コネクタ挿入部103の後側に接続されている。端子保持部104は、前壁142と図示せぬ一対の側壁と下壁143とを備えており、上部及び後部が開口して内部が中空状をなしている。中空状の内部にはコンタクトピン103Bと電気的に接続された回路基板144が配置されている。
【0064】
端子保持部104の図示せぬ側面は、一対の側壁132、132の側面132Aと面一になるように構成されている。側面には、それぞれ第二係合突起141Cが設けられている。第二係合突起141Cは、側面において上下方向における略中央位置に配置されている。第二係合突起141Cは第一係合突起132Bと同形状を成しており、上側から下側に向かうに連れて外側面132Aからの突出量が増えるクサビ形状をなしている。端子保持部4の下方には、回路基板144に接続されると共に図示せぬ実装基板に接続される複数の実装端子である実装端子群104Aが略垂下されて設けられている。
【0065】
コンタクトピン103Bは、厚さが0.25mm程度であり8本設けられている。コンタクトピン103Bの後端部は、回路基板144に形成された穴を貫通している。コンタクトピン103Bは後端部から前方へ伸び、前壁142を貫通している。そして下方へ折れ曲がり(図5中の基部折り曲げ部V)、前壁142に沿って延び、途中で折れ曲がり(図5中の折り曲げ部X)、前方へ延びてコンタクトピン貫通孔133aを貫通している。そして下方へ折れ曲がり(図5中の第2折り曲げ部Y)、プラグ挿入穴103a内において下方へ少し延び前下方へ折れ曲がり(図5中の第3折り曲げ部Z)、プラグ挿入穴103a内に延びている。そして、コンタクトピン103Bの前端部は下壁凹部131a内に入り、モジュラプラグ9が挿入されていない状態のときには、下壁凹部131aの開口を画成している開口部131Aに当接している。
【0066】
コンタクトピン103Bの一部であって第3折り曲げ部Zよりも自由端F側の部分は、モジュラプラグ9がプラグ挿入穴103a内に挿入されたときにモジュラプラグ9の端子91に接触可能である。また、基部折り曲げ部Vから折り曲げ部Xの間の部分は、端子保持部104の前壁142に対向配置されているため、当該前面に当接して弾性変形して曲げられることができるように構成されている。即ち、コンタクトピン103Bの一部であって当該前面に当接する部分(図5中のW点)を支点として、W点から自由端Fまでの部分は後方へ回動可能である。モジュラプラグ9がプラグ挿入穴103aに挿入されたときには、第3折り曲げ部Zよりも自由端F側の部分をモジュラプラグ9の端子91が押圧することで、第2折り曲げ部Yよりも自由端F寄りの部分は後方に回動し、第3折り曲げ部Zよりも自由端F寄りの部分も下壁131に接近するように弾性変形する等、全体として弾性変形して、図5に示すような状態となる。
【0067】
カバー105(図5)は、端子保持部104の上部開口及び後部開口を覆うように配置されており、端子保持部104に装着されている。カバー105は、上端面103Aと面一となる上面を有しており、また、一対の側壁132、132の外側面132Aと面一となる側面を有している。
【0068】
金属ケース106は、薄板の金属板が折り曲げられて組立てられており、シールドケースとして機能する。金属ケース106は、前板161と、一対の側板162と、上板63と、後板164とを有しており、コネクタ挿入部103の上面全体及び側面全体、端子保持部104の上面全体及び側面全体、カバー105の上面全体及び側面全体、コネクタ挿入部103の前面の上部、及びカバー5の後面の上部を覆っている。上板163には、プラグ挿入孔103bと連通する挿入孔161aが形成されている。また上板163において挿入孔161aの輪郭を構成する左右方向両側縁には、プラグ挿入穴103a内に挿入されてプラグをプラグ挿入穴103a内に導く導入板161A、161Aが設けられている。
【0069】
側板62には、第一係合突起132B、第二係合突起141Cとそれぞれ係合する第一係合孔162a、第二係合孔162bが形成されると共に、外方突出部165が設けられている。外方突出部165は、側板162の下部に設けられており、略長方形状の領域全体が僅かに金属ケース106の外方へ突出して構成されている。外方突出部165は、金属ケース106の一部であって腕部135Bに対向する部分に設けられており、図1に示すように溝部135a内に配置される。外方突出部165と外側面132Aとにより金属ピン107を挟むように配置される。
【0070】
コンタクトピン103Bの基端側の部分は、支点部Wと、支点部Wよりも自由端F寄りの部分においてプラグ挿入穴103aの内方へ折り曲げられた第1折り曲げ部Xと、第1折り曲げ部Xよりも自由端F寄りの部分であって第1折り曲げ部Xの近傍の部分において下壁131へ向かう方向へ折り曲げられた第2折り曲げ部Yとを有し、第2折り曲げ部Yと自由端Fとの間の部分の一部は、プラグ挿入穴103aに挿入されたモジュラプラグ9の端子91に接触可能であり、支点部Wから第1折り曲げ部Xまでの部分は支点部Wを中心としてプラグ挿入穴103aの外方へ弾性変形することにより湾曲可能であるため、第1折り曲げ部Xと第2折り曲げ部Yとの間の部分は支点部Wを中心として下壁131へ向かう方向へ弾性変形して回動し、また、第2折り曲げ部Yと自由端Fとの間の部分は支点部Wを中心として下壁131へ向かう方向へ弾性変形して湾曲回動することができる。このため、コンタクトピン103Bのバネ性を十分に確保することができ、且つコンタクトピン103Bが短い構成とすることができる。
【0071】
また、コンタクトピン103Bが、背壁133に配置され所定の半径を有する半円状に湾曲させた部分を有していない構成とすることができるため、背壁133を薄くしても背壁133からプラグ挿入穴103a内にコンタクトピン103Bの半円状の部分が大きく突出することがなく、前壁134と背壁133とを結ぶ方向における寸法を小さくして小型化が図られたモジュラジャック101においてもバネ性を十分に確保することができる。
【0072】
また、背壁133の面であってプラグ挿入穴103aを画成している面は、配列された複数のコンタクトピン103Bの内の少なくとも両端の列のコンタクトピン103Bの近傍の開口103b寄りに設けられ、プラグ挿入穴103aの内方へ突出し、モジュラプラグ9の溝に収容可能な凸部133Aを備えるため、モジュラジャック101とは種類の異なるモジュラプラグがプラグ挿入穴103aに挿入された際に奥まで挿入されることを防止することができる。
【0073】
またコンタクトピン103Bは、第2折り曲げ部Yよりも自由端F寄りの部分であって第2折り曲げ部Y近傍の部分において下壁131に向かう方向且つ前壁134に向かう方向へ折り曲げられた第3折り曲げ部Zを有し、第3折り曲げ部Zと自由端Fとの間の部分の一部は、プラグ挿入穴103aに挿入されたモジュラプラグ9の端子91に接触可能であるため、第3折り曲げ部Zと自由端Fとの間の部分を第3折り曲げ部Zを中心として弾性変形して回動させることができる。このことにより、第3折り曲げ部Zにバネ性を持たせることができ、バネ性を更に向上させることができる。
【0074】
本発明のモジュラジャックは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、第1の実施の形態では、コンタクトピン3Bの後端部は、回路基板44に形成された穴を貫通し、後端部から前方へ伸び、前壁42を貫通し、下方へ折れ曲がり(図2中のV点)、前壁42に沿って延び、前壁42の前面の凹部42aに対向する位置において途中で折れ曲がって(図2中のX点)いたが、この形状に代えて、図6に示すような形状をなしていてもよい。即ち、モジュラジャック201のコンタクトピン203Bの後端部たる基端側の部分は前壁242の後ろ側に配置され、コンタクトピン203Bは前壁242を貫通し、上方へ折れ曲がり(図6中のV点)、前壁242に沿って延び、前壁242の前面の凹部242aに対向する位置において途中で折れ曲がって(図6中のX点)いてもよい。
【0075】
また、第2の実施の形態では、端子保持部104の前壁142には凹部が形成されていなかったが、第1の実施の形態における前壁42の凹部42aと同様に前壁の前面に開口する凹部が形成されていてもよい。凹部が形成されている場合には、第1の実施の形態と同様に、コンタクトピン103Bの一部であって当該凹部の開口上端に当接する部分を支点として、支点から自由端Fまでの部分を後方へ回動可能とすることができる。
【0076】
また、本実施の形態では、コンタクトピン103Bは第2折り曲げ部Yや第3折り曲げ部Zを有していたが、第3折り曲げ部Zを有していない構成であってもよい。更に、第1の実施の形態において第2折り曲げ部Yを有していない構成としてもよい。第1の実施の形態においてコンタクトピンが第3折り曲げ部Zを有していない場合には、折り曲げ部Xと自由端との間の部分であってプラグ挿入穴3aに挿入されたモジュラプラグ9の端子91に接触可能な部分の位置を各コンタクトピン3B同士で揃えるために、折り曲げ部Xと自由端との間の部分の一部が、コンタクトピン貫通孔33aを画成している背壁の一部に当接する構成として位置決めすればよい。
【0077】
また、凸部31A、133Aは平行に配置された8本のコンタクトピン3B、103Bのうちの両端のコンタクトピン3B、103Bの近傍であってこれらのコンタクトピン3B、103Bの前方に設けられていたが、この位置のみに設けられていることに限定されない。従って、この位置に加えて、他のコンタクトピン3B、103Bの近傍であってこれらのコンタクトピン3B、103Bの前方に設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のモジュラジャックは、特にLANケーブルが接続されるモジュラジャックの分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0079】
1、101 モジュラジャック
3、103 コネクタ挿入部
3A 前端面
3a、103a プラグ挿入穴
3B、103B コンタクトピン
3b 開口
4、104 端子保持部4
5、105 カバー
6、106 金属ケース
7、107 金属ピン
9 モジュラプラグ
31、131 下壁
31A、133A 凸部
32、132 一対の側壁
33、133 背壁
34、134 上壁
91 端子
F 自由端
W 支点
X 折り曲げ部
Y 第2折り曲げ部
Z 第3折り曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背壁と該背壁にそれぞれ一端部が接続された上壁、下壁、及び一対の側壁とを有し、上壁の他端、下壁の他端、及び一対の側壁の他端により前端面が規定され、上壁と背壁と下壁と一対の側壁とにより画成され該前端面に開口するプラグ挿入穴が形成されたハウジングと、
該ハウジング内に配置され、少なくとも一部が該プラグ挿入穴内に平行に配列された複数のコンタクトピンと、を備え、
少なくとも各該コンタクトピンは、該背壁から該下壁の該開口寄りの部分に至るまで延び、該開口寄りの端部が自由端部をなし、該背壁の近傍に配置された部分が基端側の部分をなし、
該コンタクトピンの該基端側の部分は、支点部と、該支点部よりも該自由端寄りの部分において該下壁の該開口寄りの部分へ向かう方向へ折り曲げられた折り曲げ部とを有し、該折り曲げ部と自由端との間の部分の一部は、該プラグ挿入穴に挿入されたモジュラプラグの端子に接触可能であり、該支点部から該折り曲げ部までの部分は該支点部を中心として反開口方向へ弾性変形して湾曲可能であり、
該下壁の面であって該プラグ挿入穴を画成している面には、該配列された該複数のコンタクトピンの内の少なくとも両端の列の該コンタクトピンの近傍の該開口寄りに設けられ、該プラグ挿入穴の内方へ突出し、該モジュラプラグの溝に収容可能な凸部が設けられていることを特徴とするモジュラジャック。
【請求項2】
該コンタクトピンは、該折り曲げ部よりも該自由端寄りの部分であって該自由端近傍の部分において該下壁に向かう方向へ折り曲げられた第2折り曲げ部を有し、該第1折り曲げ部と該第2折り曲げ部との間の部分の一部は、該プラグ挿入穴に挿入された該モジュラプラグの端子に接触可能であることを特徴とする請求項1記載のモジュラジャック。
【請求項3】
該コンタクトピンは、該第2折り曲げ部よりも該自由端寄りの部分において該前端面に向かう方向へ折り曲げられた第3折り曲げ部を有することを特徴とする請求項2記載のモジュラジャック。
【請求項4】
底壁と該底壁にそれぞれ一端部が接続された前壁、背壁、及び一対の側壁とを有し、前壁の他端、背壁の他端、及び一対の側壁の他端により上端面が規定され、前壁と背壁と下壁と一対の側壁とにより画成され該上端面に開口するプラグ挿入穴が形成されたハウジングと、
該ハウジング内に配置され、少なくとも一部が該プラグ挿入穴内に平行に配列された複数のコンタクトピンと、を備え、
少なくとも各該コンタクトピンは、該背壁から該下壁に至るまで延び、該下壁に配置された端部が自由端部をなし、該背壁の近傍に配置された部分が基端側の部分をなし、
該コンタクトピンの該基端側の部分は、支点部と、該支点部よりも該自由端寄りの部分において該プラグ挿入穴の内方へ折り曲げられた第1折り曲げ部と、該第1折り曲げ部よりも該自由端寄りの部分であって該第1折り曲げ部の近傍の部分において該下壁へ向かう方向へ折り曲げられた第2折り曲げ部とを有し、該第2折り曲げ部と自由端との間の部分の一部は、該プラグ挿入穴に挿入されたモジュラプラグの端子に接触可能であり、該支点部から該第1折り曲げ部までの部分は該支点部を中心として該プラグ挿入穴の外方へ弾性変形することにより湾曲可能であり、
該背壁の面であって該プラグ挿入穴を画成している面は、該配列された該複数のコンタクトピンの内の少なくとも両端の列の該コンタクトピンの近傍の該開口寄りに設けられ、該プラグ挿入穴の内方へ突出し、該モジュラプラグの溝に収容可能な凸部を備えることを特徴とするモジュラジャック。
【請求項5】
該コンタクトピンは、該第2折り曲げ部よりも該自由端寄りの部分であって該第2折り曲げ部近傍の部分において該下壁に向かう方向且つ前壁に向かう方向へ折り曲げられた第3折り曲げ部を有し、該第3折り曲げ部と該自由端との間の部分の一部は、該プラグ挿入穴に挿入されたモジュラプラグの端子に接触可能であることを特徴とする請求項4記載のモジュラジャック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−123938(P2012−123938A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271748(P2010−271748)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】