説明

モジュール式医療ケアシステム

【課題】患者に対する保健医療の提供に用いる各種の機能を果たす複数の異なるモジュールを収納するモジュール式医療ケアシステムを提供すること。
【解決手段】モジュール式医療ケアシステムは、(a)患者への取り付けに適したセンサーから得た信号を取得し処理する患者監視モジュールと、(b)患者に対して治療を行う患者治療モジュールとを含む複数の異なるモジュールを備える。処理部は、前記複数の異なるモジュールから得た信号を処理する。通信インターフェースは、前記処理部と前記複数の異なるモジュールとの間のネットワークを介した双方向通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモジュール式医療ケアシステムに関し、特にモジュール式保健医療処理および表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院では、最初の受け入れから最終的に病院を離れるまで、患者の生理的パラメータを定期的にモニタリングする。もともと、これは、心拍数モニター、心電図モニター、SpOモニターなどの1つ以上の患者監視装置により行われていた。これらの生理的パラメータは別々の、たいていはそれぞれ異なるメーカー製の装置により検出された。このような監視装置は、生理的パラメータを測定する必要のある患者、およびその生理的パラメータを適切に表示するために必要とされる種類のディスプレイ装置に接続された。看護士などの医療従事者が患者の位置に行き、個々のシステムを見て患者のバイタルサインを収集した。
【0003】
現行のシステムでは、生理的パラメータ(例えば、心電図やSpOなど)の測定が単一の患者監視装置にまとめられているものもある。このような装置は、この装置によって測定可能な生理的パラメータの測定に必要とされる、患者に対する接続と、その生理的パラメータを適切に表示することのできるディスプレイ装置を含んでいる。かかる患者モニターは、2つのセクションに分けられるとされている。第1の操作部は、患者につなげられた電極からの信号の受信を制御し、所望の生理的パラメータを計算するために信号処理を行う。第2の制御・状態・通信部は、ユーザーと交信して制御情報を受信し、前記操作部と交信して生理的パラメータを受信し、状態情報と生理的パラメータの値を適切に表示する。これらのセクションの一方または両方が、当該セクションの動作を制御するコンピューターまたは処理部を含んでもよい。このようなアプローチは、複数のパラメータ監視機能が制御・状態・通信部を共有することができるので、経済的に有利である。
【0004】
かかる患者モニターは、病院ネットワークを介して病院の中央コンピューターシステムに接続されていてもよい。このようにして、患者の生理的パラメータを表わすデータを病院の中央コンピューターシステムに転送し、一時的または永久的に記憶装置に格納することができる。この患者モニターから受信したデータは、中心の位置にいる、看護士などの人物によっても監視することができる。格納されたデータは、病院ネットワークを介して、ほかの医療従事者が読み出して分析することができる。このようなネットワークにおける患者モニターは、病院ネットワークに接続し通信することができる端末を含む。かかる患者モニターにおいて、制御・状態・通信部は、生理的パラメータの表示だけでなく、病院ネットワークへの接続や、病院ネットワークを介して、ほかの患者モニターおよび/または中央コンピューターの記憶装置などほかのシステムとの間での生理的パラメータの交換も制御する。
【0005】
かかる患者監視モジュールは携帯型であってもよい。すなわち、これらのモジュールは、例えば患者の部屋と治療室または手術室との間など、病院内のある場所から別の場所へ移送中の患者と一緒に移動しながら動作することができる。携帯型患者モニターは、ベースユニットとベースユニットにドッキングしたり切り離したりできる携帯型ユニットを備える。ベースユニットは病院内の適切な位置に配置される。これらは、病院ネットワークに常時接続しており、電源本管から電力を供給されている。携帯型ユニットは、必要とされる患者に対する接続と、ベースユニットにドッキングするための接続と、ディスプレイ画面を備えている。この携帯型ユニットは、その携帯型ユニットの動作を制御する処理部も備えている。さらに、この携帯型ユニットは、バッテリーと内部メモリ装置を備えている。
【0006】
患者モニターの携帯型ユニットがドッキングしているとき、バッテリーは充電され、生理的パラメータを表わすデータがベースユニットを通じ病院ネットワークを介して病院の中央コンピューターに送信される。患者モニターの携帯型ユニットが切り離されているときには、バッテリーで駆動する。移動の際、患者モニターは生理的パラメータの受信と表示を継続して行い、これらのパラメータを内部メモリ装置に格納する。目的地でベースユニットが利用できる場合、携帯型ユニットはそこにドッキングしてもよい。病院の中央コンピューターとの通信が再び確立され、バッテリーの充電が始まる。このとき、それまでに格納されたパラメータを表わすデータが内部メモリ装置から読み出され、病院ネットワークを介して病院の中央コンピューターの記憶装置に送信される。
【0007】
かかる患者モニターにおいて、制御・状態・通信部は、生理的パラメータの表示と、前記ドッキングユニットを介した病院ネットワークへのパラメータの通信とを制御する。この制御・状態・通信部は、また、ドッキングと切り離しの検知や、電力の供給(ドッキングしているときはベースユニットから、切り離されているときは内部のバッテリーから)、患者モニターが切り離されているときの内部メモリにおける生理的パラメータのデータの格納、および患者モニターが再びドッキングしたときの格納された生理的パラメータのデータの送信を制御する。
【0008】
患者モニターは、また、ほかのモジュールから病院ネットワークへ情報を送信するためにも用いられるよう構成されている。これらのモジュールは、当該患者モニターでは測定できない生理的パラメータを測定する患者監視モジュール、または患者に行われている治療の状態をレポートする患者治療モジュールであってよい。かかる患者モニターは、これらその他の監視モジュールを接続する入力端子または無線入力ポートを備える。これらのモジュールからの情報は、当該患者モニターを介してベースユニットを通り病院ネットワークへと送信される。
【0009】
図1は、上述のように動作する病院100のブロック図である。図1において、手術室102、集中治療室(ICU)104、緊急治療室106、もう1つの救命救急室108という、病院内の4つの部屋が図示されている。手術室102、ICU104、緊急治療室106には上記の患者モニター装置が備えられている。各患者モニターは、患者モニターから直接、あるいはベースユニット(図示せず)を介して救命救急区域ネットワーク110に接続している。各患者モニターは、図面を簡単にするために図示していない患者に取り付けられた電極を通じた患者接続も有している。また、この患者モニターはほかの装置からデータを受信し、そのデータを救命救急区域ネットワークに転送する。手術室102において、麻酔装置と流体管理装置が、患者モニターを介して救命救急区域ネットワーク110に連結されている。集中治療室では、人工呼吸器と流体管理装置が、患者モニターを介して救命救急区域ネットワーク110に連結されている。そして、緊急治療室106には、人工呼吸器が、患者モニターを介して救命救急区域ネットワーク110に連結されている。別の救命救急室108では、人工呼吸器が、直接または人工呼吸器自身のベースユニットを介して救命救急区域ネットワーク110に連結されている。
【0010】
図1に示したモジュールはそれぞれ独立して動作し、それぞれが当該モジュールを制御するコンピューターまたは処理部を備えている。このために、個別のモジュールそれぞれにベースユニットが必要となる。手術室では、たくさんのこのようなモジュールが同時に使用され、場所と電力が必要となる。さらに、各装置はその種類の装置用のベースユニットにしかドッキングすることができない。すなわち、患者監視装置は患者モニター用のベースユニットにのみドッキングすることができ、流体監視装置は流体監視装置用のベースユニットにのみドッキングすることができるなどである。
【0011】
患者モニターは、そのモニターが接続された患者の生理的パラメータを監視するという意味で受動的である。しかしながら、ほかに、その動作が患者に影響を及ぼしうるという意味で積極的である医療機器もある。例えば、麻酔装置は例えば手術中における患者に対する麻酔の投与を制御し、流体管理装置は患者に対する流体(血液、生理食塩水、薬剤など)の投与を制御し、人工呼吸器は例えば手術中における患者の呼吸を支援または制御する、などである。これら積極的な装置も、その装置の動作を制御するコンピューターまたは処理部を備える。また、これらの装置は、ベースユニットを介して病院ネットワークに接続されてもよい。これにより、中心の位置からは、これらの積極的な装置を監視するだけでなく、制御することも可能となる。患者監視装置の場合と同じく、流体監視装置などの積極的な装置は、処理部を含む制御モジュールが固定ユニットから切り離すことができるという意味において、携帯型であってもよい。この制御モジュールは、例えば、患者がある場所から別の場所へ移送されている間最後に受信した制御設定で装置を動作させ続ける。新しい場所に到着すると、当該制御モジュールは新しい場所にある固定ユニットにドッキングさせることができ、中央コンピューターによる制御が再開される。
【0012】
さらに、各モジュールは、ほかのモジュールとは異なる独自のユーザーインターフェースを持つ。これにより、様々なモジュールの操作の訓練が必要となり、保健医療提供者の仕事は煩雑になる。また、所望の治療を行うために、患者のまわりで組み立てて患者につながれた様々なメーカー製の各種のモジュールが、パラメータの組や監視中の継続動作を制御するが、これには、すでに述べたように、様々なモジュールの多様なユーザーインターフェースに関連した困難を伴う。患者に所望の治療を行うためには、ほかのモジュールによる測定に依存することも多いこれら各種のモジュールを適切な順序と設定で動作させるための指示を、保健医療提供者に対して個別に与えられなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このような問題を緩和する医療ケアシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の原則によれば、患者に対する保健医療の提供に用いる各種の機能を果たす複数の異なるモジュールを収納するモジュール式医療ケアシステムは、(a)患者への取り付けに適したセンサーから得られた信号を取得し処理する患者監視モジュール、および(b)患者に対して治療を行う患者治療モジュール、を含む複数の異なるモジュールを備える。処理部は、前記複数の異なるモジュールから得た信号を処理する。通信インターフェースは、前記処理部と前記複数の異なるモジュールとの間で、ネットワークを介して双方向通信を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図2は、患者に対する監視および治療を行う病院システム200のブロック図である。図2において、図1と同様に、4つの部屋が図示されており、これらの部屋は同じ医療設備を含んでいる。手術室202は、患者への取り付けに適したセンサー(図示せず)からの信号を取得し処理する患者監視モジュール210を備えている。手術室202は、流体(IVポンプ)制御管理モジュール212と麻酔モジュール214の、患者治療モジュールも含んでいる。これらのモジュール(210,212,214)は、患者区域ネットワーク(PAN)216を介して中央処理部220に連結されている。中央処理部220は、ディスプレイ装置223に連結された表示生成部222に連結されている。表示生成部222も、透視図で描かれるように、任意でスレーブ・ディスプレイ装置224に連結されている。集中治療室204は監視モジュール、流体管理患者治療モジュール、換気モジュールを備え、これらはPANを介して中央処理部に連結されている。緊急治療室206は、監視モジュールおよび換気患者治療モジュールを備え、これらはPANを介して中央処理部に連結されている。もう1つの救命救急室208は換気患者治療モジュールを備え、これはPAN216を介して前記中央コンピューターに連結されている。
【0016】
動作中、PAN216は、複数のモジュールが相互に通信できればどのような形で実施されてもよい。例えば、PAN216は、有線または無線(WLAN)のイーサネット(登録商標)のネットワークとして実施されてもよい。無線ネットワークである場合、(a)WLAN802.11b規格対応、(b)802.11a規格対応、(c)802.11g規格対応、(d)Bluetooth802.15規格対応、(e)GSM/GPRS規格対応などの利用可能な規格にしたがって実施されてもよい。
【0017】
患者監視モジュール210は、先に述べた従来技術の患者モニターの動作部に対応する。これは、信号を患者に取り付けられた電極やセンサーから受信し、生理的パラメータを計算するために必要な信号の処理を行い、この情報をPAN216を介して中央処理部220に与える。同様に、患者治療モジュール、すなわち流体管理モジュール212と麻酔モジュール214は、先に述べた従来技術の治療モジュールの動作部に対応する。患者治療モジュール212,214はPAN216を介して中央処理部220から動作データを受け取り、それを受けて、例えば、患者に対し投与される流体の監視や、患者に対する麻酔の供給をするなどの、それぞれの治療機能を果たす。したがって、患者治療モジュール212,214は状態データをPAN216を介して中央処理部220に送信する。中央処理部220は、患者監視モジュール210および患者治療モジュール212,214から受信した信号を処理する。
【0018】
中央処理部220はユーザーと交信し、患者の識別子情報と、治療指示およびパラメータを受信する。中央処理部220は、患者の識別子情報と、治療指示およびパラメータを、PAN216を介して患者治療モジュール212,214へ送信することにより、患者治療モジュール212,214を設定する。
【0019】
患者監視および/または治療モジュール210,212,214は、中央処理部220から設定パラメータを受信し、モジュール210,212,214の動作を制御し、状態および患者の生理的パラメータ情報をPAN216を介して中央処理部220に送信するための処理部を備える。前記設定パラメータは、患者の識別子情報、設定パラメータ、および/または中央処理部220に送るべきデータを処理するときにモジュール210,212,214の処理部が実行する実行可能なインストラクションを表わすデータを含んでもよい。モジュール210,212,214は、次に、例えば中央処理部220に送るべきデータを処理するなどの自身の動作のサポートに、受信した設定パラメータおよび実行可能なインストラクションを用いる。
【0020】
すでに述べたように、病院の別の場所に複数の中央処理部220があってもよい。モジュール210,212,214が1つの中央処理部220から切断された場合には、前回送信された患者の識別子情報、設定パラメータ、および/または実行可能なインストラクションは、切断されている間はそのモジュール210,212,214の動作の制御に用いられる。切断されたモジュール210,212,214が、おそらくは切断された中央処理部220とは別の場所にある中央処理部220に、再び接続した場合には、再接続したモジュール210,212,214は、患者の識別子情報、そのモジュールの動作特性、および切断中に収集した患者の生理的パラメータを表わすデータを、接続先の中央処理部220に送信する。
【0021】
中央処理部220は、また、患者監視モジュール210から、あるいは患者治療モジュール212,214から、生理的パラメータを表わす信号を受信する。これらのパラメータは、心電図や心拍数、SpOなど、比較的標準的な生理的パラメータである。中央処理部220は、患者監視モジュール210および/または患者治療モジュール212,214を用いて得た信号に基づいて、新しいパラメータの生成を開始してもよい。例えば、この新しいパラメータは、(a)ガス交換、(b)皮膚の色、(c)血行動態、(d)痛覚および/または(e)電子生理機能と関連していてもよい。
【0022】
中央処理部220は、例えば波形や状態フレーズや数値といった、これらの生理的パラメータを適切に表示するための画像を表わす信号を生成するよう、表示生成部222を調整する。表示生成部222は、この画像を表示するディスプレイ装置223に連結されている。表示生成部222は、適切な画像を表わす信号をスレーブ・ディスプレイ装置224に任意に送信してもよい。スレーブ・ディスプレイ装置224は大型の高解像度画面であってもよいし、単に中央処理部から離れた場所にあるディスプレイ装置であってもよい。中央処理部220と表示生成部222の制御の下にディスプレイ装置223が生成する画像は、患者治療モジュール212,214からの患者の身元、治療指示、パラメータ、状態の表示と適切に一体化されてもよい。このようにして、ユーザーからの情報は、患者監視モジュール210および患者治療モジュール212,214からの情報と同じく、例えば、ディスプレイ装置223、224に表示される1つ以上の合成画像に一体化されてもよい。
【0023】
中央処理部220は、救命救急区域ネットワーク205を介して、集中治療室204、緊急治療室206、もう1つの救命救急室208など、病院内の別の場所に位置する対応する処理装置および表示システムの中央処理部と通信することもできる。中央処理部220は、図2に透視図で示される病院ネットワーク230を介して病院の中央位置と任意に通信することができる。このようにして、患者の生理的パラメータおよび治療指示、パラメータ、状態は中央位置へ送信され、同様に透視図で示される中央記憶装置232に格納される。
【0024】
図2において、患者監視モジュール210、および流体管理212、麻酔制御214、換気制御のための患者治療モジュールを示す。しかしながら、当業者であれば、この制御通信用の患者治療モジュールには、(a)保育器、(b)除細動器、(c)加温モジュール、(d)画像診断モジュール、(e)光線療法モジュール、(f)流体入力支援モジュール、(g)流体出力支援モジュール、(h)心肺支援モジュール、(i)血液ガスモニター、(j)制御可能な埋込治療モジュール、(k)制御可能な手術台および体重計などの、その他の監視装置や治療装置を含むことができることは理解できるであろう。図2に示すように、これらやほかの患者治療装置にかかるコマンドや通信用のモジュールを用いることができる。
【0025】
図3は、図2のシステムをさらに詳細に図示するブロック図である。図3において、図2に図示されたのと同じ要素は同一の参照符号で示され、以下では詳しく述べない。図3は、図2の部屋202,204,206,208の1つで実施されるシステムとして図示されている。図3において、中央処理部220と表示生成部222は中央ユニット300に備えられる。中央ユニット300は、中央処理部220および表示生成部222を、患者監視および患者治療モジュール210,212,214,250,260と、ディスプレイ装置224,320,330と、多患者LAN205、病院LAN230とに、相互接続するために必要な回路およびコネクタを含むハウジングである。
【0026】
中央処理部220は、通信・パワーハブ235に連結されている。通信・パワーハブ235は、患者区域ネットワーク(PAN)216と、例えば患者モニターコネクタ241、換気コネクタ243、流体管理ハブコネクタ245、麻酔搬送システムコネクタ247、流体(IVポンプ)制御管理モジュール249などの、PAN216に接続されたモジュールコネクタの組240からなる。コネクタ240は、個々のモジュール210,212,214,250,260が必要に応じて中央ユニット300につながれたり取り外されたりできるようにする。一実施の形態においては、ユーザーは、中央ユニット300からモジュール210,212,214,250,260を取り外したり、中央ユニット300にモジュールをまた取り付けたりする、ひとつの機械的な脱着機構を動かすことができる。コネクタ240は、データ信号を、PAN216を介してモジュール210,212,214,250,260と中央処理部220の間を通すことができる。
【0027】
通信・パワーハブ235はさらに、中央ユニット300に電力を供給するパワーバス234を備える。パワーバス234は、さらに、中央処理部220からのコマンドを受け取り中央処理部220へ状態を返すために、PAN216に連結される。パワーバス234は、コネクタ240(図面簡略化のため図示せず)にも連結され、患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260に電力を供給する。このようにして、中央処理部220は、患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260の電力オン・オフ状態を、中央処理部220に保持された所定のルールの組に従って管理することができる。
【0028】
上述のように、取り付けられたモジュール210,212,214,250,260の少なくともいくつかは、中央ユニット300から切断されたときでも継続しての動作を可能にする、バッテリーなどの回路を含む。ドッキングしているとき、中央処理部220は、これらのモジュール210,212,214,250,260がバッテリー駆動からパワーバス234からの電力供給により動作するように調整し、バッテリーの充電を行う。これらのモジュール210,212,214,250,260の内部電源供給回路は、現在のバッテリー容量などの電力状態情報を、コネクタ240とPAN216を介して中央処理部220へ送信することができる。中央処理部220は、表示生成部222を調整し、中央ユニット300につながれた患者監視および治療モジュール210,212,214,250,260のバッテリー充電状態を示す画像を表わす信号を生成する。この画像は、それぞれ、メイン制御パネル320のディスプレイ装置321,331,および/または225、スレーブ制御パネル330、および/または離れた位置にあるディスプレイ装置224に表示することができる。
【0029】
すでに述べたように、PAN216は無線ネットワークとして実施してもよい。かかる実施の形態においては、中央処理部220は、PAN216への無線通信インターフェースを備えることができる。かかるインターフェースは、患者監視および治療モジュール210,212,214,250,260が中央ユニット300から切断されているとき、これらのモジュールとの双方向通信を可能にする。この通信リンクにより、中央処理部300は、中央ユニットから切断されているときでも、患者監視および治療モジュール210,212,214,250,260の制御を維持することができる。
【0030】
個別の患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260は、それぞれ対応するコネクタ240に連結されている。例えば、患者監視モジュール210はモニターコネクタ241につなげることができ、換気モジュール250は換気コネクタ243につなげることができる、などである。中央ユニット300は、患者監視または治療モジュール210,212,214,250,260に特有のタイプの、プラグを差し込むためのコネクタ241,243,245,247,249を備えてもよい。また、モジュール210,212,214,250,260は、同じタイプのコネクタを持つよう作られてもいいし、コネクタ240はこれに合う同じタイプのものであってもよい。前者の実施の形態においては、特定のタイプの患者監視または治療モジュール210,212,214,250,260が、そのタイプのモジュールに対応するコネクタ241,243,245,247,248に差し込まれてもよい。後者の実施の形態においては、患者監視または治療モジュール210,212,214,250,260のどれでも、コネクタ241,243,245,247,248のいずれかに、交換可能に差し込むことができる。
【0031】
このように、モニターコネクタ241に差し込まれた患者監視モジュール210は、患者に配置することのできる複数の電極とセンサーを接続する。患者につながれた電極を患者監視モジュール210に接続するために、監視ポッド211が用いられる。同様に、換気モジュール250は、換気コネクタ243につながれる。そして、換気モジュール250は、送風器254と加湿器252に連結される。流体管理ハブ260は、流体管理ハブコネクタ245につながれる。2つの流体(IVポンプ)制御モジュール264,266が流体管理ハブ267につながれる。流体(IVポンプ)制御モジュール264,266は、それぞれ1個のIVポンプ(図示せず)に接続されている。麻酔搬送モジュールは、麻酔搬送コネクタ247につながれる。麻酔搬送モジュール214は、麻酔搬送装置(図示せず)に接続されている。個々のIVポンプ212は、IVポンプコネクタ249に連結されている。他のIVポンプモジュール264,266と同様に、流体(IVポンプ)制御モジュール212はIVポンプ(図示せず)に接続されている。
【0032】
中央処理部220は救命救急区域LAN205にも連結されており、これは、図2に示すとおり、他の部屋にある処理装置および表示システムの他の中央ユニット300に連結されている。中央処理部220は、また、任意に病院LAN230に連結してもよい。救命救急LAN205では、リアルタイム帯域幅のクオリティオブサービス(quality−of−service)が要求され、病院LAN230では、標準オフィスでの帯域幅のクオリティオブサービスが要求される。すでに述べたように、病院LAN230に接続されているとき、中央処理部220は、中央記憶装置232または病院内の離れた位置にあるその他の所望の装置(図示せず)とデータを交換することができる。データは、患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260から、中央記憶装置232へコネクタ240を通りPAN216を介して中央処理部220に、そこから病院LAN230を介して中央記憶装置232へ送信してもよい。また、制御データは、中央位置から反対方向に、患者監視または治療モジュール210,212,214,250,260に送信してもよい。
【0033】
さらに、治療室202,204,206,208のうち1つの部屋にある処理装置および表示システムの中央ユニット300の中央処理部220が、別の治療室202,204,206,208内の処理装置および表示システムの中央ユニット300の第2の中央処理部220と(図2)、救命救急区域LAN205または病院LAN230を介して通信することも可能である。このようにして、ある治療室内の中央処理部220は第2の治療室にある第2の中央処理部220の動作を制御することができ、異なる部屋にある第2の中央ユニット300から受信した患者に関するデータを表示することができ、および/または(a)特定の患者を識別する患者識別子、および/または(b)その特定の患者に関する医療情報を、この情報を受け取る第2の治療室202,204,206,208内の中央ユニット300の第2の中央処理部220に送信することができる。
【0034】
また、中央処理部220は、以下に詳しく説明するような方法で、1つ以上の患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260から、データを受信し、そのデータを処理し、1つ以上の患者治療モジュール212,214,250,260に受信したデータに応じて制御データを送信することができる。
【0035】
表示生成部222は、メイン制御パネル320に連結されている。メイン制御パネル320はディスプレイ装置321、キーボード322、マウス324としてのポインティング・デバイスを備える。ボタンもしくはスイッチもしくはダイヤルもしくはタッチスクリーン、およびライト、LCDもしくはLED、およびブザーもしくはベルなどの音を出す機器などの、その他の入力/出力機器(図示せず)は、メイン制御パネル320上に作ることができる。これらの入力/出力機器は、表示生成部222または図の簡便性のために図示されていない別の信号経路を介して、中央処理部220との間で信号を受信し送信する。メイン制御パネル320は中央ユニット300の一部として作ることができ、また別のユニットとして作ることもできる。表示生成部222は、任意で、実質的にメイン制御パネル320の機能をそのまま有するが中央ユニット300からは離れた位置にあるスレーブ制御パネル330に連結されている。表示生成部222は、任意で、スレーブ・ディスプレイ装置224にも連結されている。スレーブ・ディスプレイ装置224は、ディスプレイ装置225を備えるが、メイン制御パネル320やスレーブ制御パネル330が備えるそのほかの入力/出力機器はいずれも備えていない。
【0036】
動作中、中央ユニット300とメイン制御パネル320は、共通のユニット300に差し込まれている患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260に対して、制御および表示機能を与える。ユーザーは、メイン制御パネル320またはスレーブ制御パネル330に連結されている、例えば上記のようなキーボード322、マウス324、またはその他の入力機器を操作することができる。生じた信号は中央処理部220により受信される。これを受けて、中央処理部220は、現在中央ユニット300に差し込まれている患者監視または治療モジュール210,212,214,250,260へ制御信号をPAN216を介して送信する。
【0037】
同時に、中央処理部220は、すでに述べたように患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260からデータ信号を受信し、表示生成部222を、患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260からのデータを適切に表示するための画像を表わす信号を生成するように、調整する。例えば、患者の心電図を取ることのできる患者モニター210が中央ユニット300に差し込まれている場合、患者モニター210からの心電図誘導データが、モニターコネクタ241通しPAN216を介して中央処理部220に与えられる。次に、中央処理部220は、表示生成部222を、心電図誘導信号波形の画像を表わす信号を生成するように、調整する。これらの画像を表わす信号は、心電図誘導信号の波形の画像を表示するメイン制御パネル320のディスプレイ装置321に与えられる。心電図誘導信号から導き出された患者の心拍数を表わす画像は、同様に数値として表示することもできる。血圧、体温、SpOなど、患者モニター210が測定したその他の生理的パラメータを表わす画像も、同様に、メイン制御パネル320のディスプレイ装置321に適切に表示することができる。この画像データは、利用できる場合は、スレーブ制御パネル330のディスプレイ装置331およびスレーブ・ディスプレイ224のディスプレイ装置225にも表示することができる。
【0038】
同様に、患者治療モジュール212,214,250,260から受信したデータを表わす画像を、ディスプレイ装置321,331,225に適切に表示してもよい。かかるデータは、例えば、流体管理モジュール212,264,266に取り付けられたIVポンプに指定された滴下速度などの治療モジュールそれぞれの現在の設定を表わすことができる。このデータは、適切な形の画像によって表わされてもよい。かかるデータは、患者治療装置212,214,250,260によって測定された生理的パラメータを表わしてもよい。例えば、換気モジュール250から受信したデータに基づく呼吸曲線がグラフィック形式で表示されてもよいし、流体管理ハブ260からのデータに基づいて取り付けられたIVポンプの滴下速度が数値として表示されてもよい。
【0039】
ユーザーは、ディスプレイ装置321上に表示する生理的パラメータを選択し、選択した生理的パラメータを表示する画像のディスプレイ装置321の位置を調整することができる。また、ユーザーは、別の生理的パラメータを、スレーブ制御パネル330のディスプレイ装置331および/またはスレーブ・ディスプレイ224のディスプレイ装置225ではなく、メイン制御パネル320のディスプレイ装置321に表示するよう選択することができる。さらに、スレーブ・ディスプレイ装置224は、画像をより簡単に見ることができ、および/またはより高解像度で表示できるように、メイン制御パネル320やスレーブ制御パネル330のディスプレイ装置よりも大型および/または高解像度のディスプレイ装置225を有してもよい。
【0040】
中央処理部220は、パワーバス234からPAN216を介して、患者監視および治療モジュール210,212,214,250,260内の電力供給の状態を表わすデータを受信してもよい。中央処理部220は、例えば、表示生成部222を調整して、パワーバス234から受信したデータに基づいて、個別にあるいは合成して、中央ユニット300に差し込まれた患者監視および治療モジュール210,212,214,250,260のバッテリーそれぞれの現在の充電状態を表わす画像を表わす信号を生成するようにする。さらに、患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260は、中央処理部220に、モジュールのエラー状態を示すデータを与えてもよい。中央処理部220は、ユーザーにそのモジュールのエラー状態を示す画像を表わす信号を生成するように表示生成部222を調整することができる。
【0041】
中央処理部220は、上述のメインおよびスレーブ制御パネル320,330上の、その他の出力装置の動作を制御する信号を生成してもよい。例えば、中央処理部220は、患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260から受信した信号から得た生理的パラメータを分析し、限界が超えていないかどうかを判定することができる。これは、患者監視および/または治療モジュールから判定された生理的パラメータの反応を個別に計算および検証し、限界を超えたかどうかを判定するための所定のパラメータ範囲と比較し、または1つ以上の生理的パラメータを分析して生理的パラメータの機能が限界を超えたかどうかを判定することを伴ってもよい。限界を超えた場合、中央処理部220は、メインおよびスレーブ制御パネル320,330上の出力装置を、警報を出すように調整することができる。例えば、中央処理部220は、メイン制御パネル320、および/または、もし利用可能であれば、スレーブ制御パネル330上のライト、ブザー、ベル、および/またはその他の機器を動作させる信号を生成し、目に見えるまたは聞き取れる警報を生じさせてもよい。中央コンピューター220は、救命救急区域LAN205および/または病院LAN230上に、限界を超えたことを示す信号を送信してもよい。類似の警報は、この信号の受信に応じて、離れた場所で生成されてもよい。
【0042】
図4は、図3に図示された中央ユニット300のさらに詳細なブロック図である。図4において、図3に図示した要素と同じものについては同一の参照番号で示しており、以下では詳しく述べない。図4において、中央ユニット300は、普通のパーソナル・コンピューターに類似のコンピューターシステムにおいて実施される。かかるシステムにおいては、中央処理装置(CPU)402が、システムの残りの部分の動作を制御する。中央ユニット300に示されるその他の要素は、その接続は図面を簡単にするために示していないが、CPU402に連結されている。
【0043】
図4において、電力供給部450は中央ユニット300に電力を供給する。電力供給部450は、電源本管に連結されていてもよい。電力供給部450は、中央ユニット300に電力を供給するためにバッテリーを備えてもよい。このバッテリーは、電源本管で停電が起こった場合にバッテリーに切り替わって前記中央ユニットに電力を供給する緊急バックアップモードで動作してもよい。また、このバッテリーは前記中央ユニットの主電源としてもよく、電源本管はバッテリーを満充電状態に保つため、または停電のあとで充電するために用いられてもよい。当業者であれば、中央ユニット300に電力を供給するための処置がほかにもありうることは理解できるであろう。
【0044】
第1イーサネット(登録商標)アダプター404は、CPU402を患者区域ネットワーク(PAN)216に連結し、これは次に患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260に相互接続する。第2イーサネット(登録商標)アダプター406は、CPU402を救命救急区域LAN205に連結する。第3イーサネット(登録商標)アダプター432は、CPU402を中央記憶装置232と相互接続する病院LAN230に連結する。
【0045】
表示生成部222は、CPU402を、メイン制御パネル320のディスプレイ装置321、スレーブ制御パネル330のディスプレイ装置331、スレーブ・ディスプレイ224のディスプレイ装置225に連結する。パネルI/Oポート410の組は、CPU402を、メイン制御パネル320およびスレーブ制御パネル330上にある上述のI/O装置に連結する。すでに述べたように、かかるI/O装置はロータリースイッチ、タッチパネル、プッシュボタンキー、ライトなどを備えてもよい。
【0046】
監視回路430は、CPU402の適正な動作をチェックし、CPU402の動作が適正でない場合には故障状態を示す信号を生成する。監視回路430は、各種の方法でCPU402の適正な動作をチェックすることができる。例えば、監視回路430は、一定の間隔でCPU402にチャレンジ信号を送ってもよい。CPU402が適正に動作していれば、チャレンジ信号を受信して認識し、監視回路430に応答信号を返す。監視回路430がチャレンジ信号を出してから特定の時間内にCPU402からの応答信号を受け取らない場合には、CPU402の障害を検出し、故障状態を示す信号を生成する。監視回路430は、CPU402の障害検出の際、動作の再開、すなわちCPU402の再起動を試みてもよい。
【0047】
中央ユニット300内に図示された残りの要素は、普通パーソナル・コンピューターに備わっている。キーボード/マウスインターフェース408は、通常はPS/2またはUSB規格を用いてCPU402にキーボード332およびマウス324を連結する。サウンドカード412は、音を出すためにスピーカー(図示せず)に連結してもよく、CPU402からの指示に応じて音声を表わす信号を生成する。リード/ライト・メモリ部(RAM)414は、CPU402を制御するプログラムおよびCPU402が使用したり生成したりするデータ用のローカルな記憶装置である。シリアルポート416は、例えばRS232規格を用いて外部周辺機器とシリアルバイナリデータ信号を交換する。USBポート418も同様に、USB規格を用いて外部周辺機器とシリアルバイナリデータ信号を交換する。DVD/CDプレーヤー420は、CPU402がDVDおよび/またはCDのデータにアクセスできるようにする。DVDおよび/またはCDにデータを書き込むことも可能である。拡張カードポート422は、このCPUが、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)カード、コンパクト・フラッシュ(登録商標)(CF)、セキュア・デジタル(SD)などの携帯機器とデータを交換することができるようにする。実時間時計(RTC)424と付属のバッテリー425は、現在の日付と時刻を保持し、CPU402に与える。IDE(integrated drive electronics)バス426には適合するカードを差し込むことができ、かかるカードがCPU402と情報を交換することができるようにする。同様に、PCI(peripheral component interconnect)バスには適合するカードを差し込むことができ、かかるカードがCPU402と情報を交換することができるようにする。IDEバス426またはPCIバス428に差し込まれたカードは、中央ユニット300の内部および外部の周辺機器に連結され、CPU402に周辺機器とデータの交換を行えるようにする。
【0048】
動作中、CPU402は、ソフトウェア制御下で接続された周辺機器と交信する。中央ユニット300は普通のパーソナル・コンピューターと同様に設計および実施されているので、パーソナル・コンピューターにおいて通常実行される、患者の監視および治療に関する専門化したタスクを実行する実行可能なアプリケーションによって拡張されたソフトウェアを用いて制御することができる。
【0049】
図5は、中央ユニット300における、ハードウェアプラットフォーム504(図3、図4に示すような)およびシステムが実行可能なアプリケーション500の両方を含む、異なるコンポーネント間の関係および相互作用を示す。すでに述べたように、実行可能なアプリケーションは、例えばプログラム可能な処理部の動作を制御するのに用いることができる実行可能なインストラクションの任意の組である。これには、必要に応じて、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアが含まれてよく、当業者であれば、実行可能なアプリケーションをどのようにソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアに分割する方法や、どのような設計基準やトレードオフが伴うかは理解できるであろう。すでに述べたように、図5に示されたコンポーネントは市販のPCシステムに基づいたハードウェアシステム上で実施されているため、図5に示された実行可能なアプリケーションはソフトウェアとして実施されており、以下ではシステムソフトウェア500と呼ぶことにする。
【0050】
図5の各要素は四角で表わされている。一般に、図5における下位の要素とその機能は、上位の要素によってアクセス可能である。図5の一番下にあるのがハードウェアプラットフォーム504である。ハードウェアプラットフォーム504は、先により詳しく述べたように、ハードウェア機能を提供する。このハードウェア機能は、患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260に制御信号を与えたりそこから状態や患者の生理的パラメータ情報を受信したりする、救命救急区域LAN205や病院LAN230を介してデータを交換する、ディスプレイ装置222,225,321,331に画像を表わす信号を送る(図3)、パネルI/Oデバイス410と信号を交換する(図4)、などである。ハードウェアプラットフォーム504は、図5のその他の部分によって示されるシステムソフトウェア500には含まれない。
【0051】
図5に示すシステムソフトウェア500は、特定の機能を果たすソフトウェアフレームワーク502を含む。ソフトウェアフレームワーク502は、モジュール210,212,214,250,260(図2、図3、図4)などの、ポイントオブケアに基づく治療モジュールをサポートするソフトインフラを提供する。ここで、ポイントオブケア(POC)は、患者の近傍であって、患者に治療を行う区域のことである。図5に示すソフトウェアはPCに基づく製品として具体化されてもよい。表1(下記)において、図5の各ソフトウェアコンポーネントが果たす機能を詳細に示す。
【0052】
ソフトウェアフレームワーク502は、ハードウェア依存のオペレーティングシステム506を含み、これは図5ではウィンドウズ(登録商標)オペレーティングシステム(OS)506として具体化されている。例えば、内蔵されたウィンドウズ(登録商標)XP(マイクロソフト社)OS506がソフトウェアフレームワーク502に含まれる。OS506は、製品によって異なる、いずれは変更したり更新したりすることができるハードウェア504と交信する。OS506は、また、普通のソフトウェアインターフェースの組であり、ソフトウェアのほかの部分が使うことができ、またハードウェア504が異なっても変化しないアプリケーションプログラム・インターフェース(APIs)の組を提供する。図5に示すソフトウェアの残りの部分は、中央ユニット300が制御することのできるモジュールが必要とする機能を果たすことに関する。
【0053】
ソフトウェアフレームワーク502は、さらに、共通プラットフォームコンポーネント508の組を含む(下記の表1参照)。これらのコンポーネントは、中央ユニット300の監視および実行機能を果たす。具体的には、共通プラットフォームコンポーネント508は、監視機能、資源監視、必須構成部品の監視の機能を果たす。また、共通プラットフォームコンポーネント508は、中央ユニット300のために、安全、寿命管理、診断方法、リアルタイムインフラおよびイベント管理、安全および空き状態管理、ならびにユーザー設定サポートを行う。
【0054】
ソフトウェアフレームワーク502は、また、共通通信コンポーネント510を提供する(下記の表1参照)。より具体的には、共通通信コンポーネントは、PAN216、救命救急区域ネットワーク205、および病院ネットワーク230(図3)など、中央ユニット300を連結することのできるその他のネットワークへのアクセスを提供する。共通通信コンポーネント510は、また、シリアルポート416、USBポート418、拡張カードポート422、および/またはその他の中央ユニット300に連結可能な機器を経由して、例えば、IDEバス426またはPCIバス428に装着されたボードを経由して、他の補助機器と通信するなどの周辺機器支援を行う。
【0055】
ソフトウェアフレームワーク502は、また、共通ヒューマンインターフェースコンポーネント512を提供する(下記の表1参照)。共通ヒューマンインターフェースコンポーネント512は、ディスプレイ装置225,321,331にグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を表示し(図3、図4)、キーボード322やマウス324などの入力装置から受信したユーザー入力を表示されたGUIと調整する機能を果たす。これにより、ユーザーはシステムの設定や動作を制御し、患者の生理的パラメータを表わす状態とデータをシステムから受け取ることができる。こうした機能は、パラメータ信号グループサポート、配置サポート、ユーザーヘルプを提供する。
【0056】
これらの機能には、例えば、心電図波形や呼吸曲線などの波形表示をサポート、傾向の維持、レポートの作成といった、患者監視および治療モジュールに特有のGUI機能も含まれる。これらのGUI機能には、ユーザーが生理的パラメータを表わす画像をディスプレイ装置の画面上に配置することができる性能も含まれる。すなわち、これらの画像を画面上で動かすことができ、大きさを変えたり、ある生理的パラメータを示す画像を消したり、別の生理的パラメータを示す画像を挿入したりすることもできる。共通ヒューマンインターフェース512は、患者のデータや状態、ならびにこれらの患者のデータや状態および/またはその他のデータを格納したデータベースの維持をサポートする。共通ヒューマンインターフェースコンポーネント512は、さらに、中央ユニット300で聞き取れるおよび/または目に見える警報を生じさせ(図3、図4)、PAN216、救命救急区域ネットワーク205、および/または病院ネットワーク230を介したほかの場所への警報情報の送信を含む、警報支援および処理の機能を果たす。共通ヒューマンインターフェースコンポーネント512は、医療支援には直接関連しないほかのソフトウェアアプリケーション(以下により詳細に記す)をサポートする標準的なGUIも提供する。
【0057】
このシステムソフトウェアのコンポーネントの残る部分が、アプリケーションプログラム520である。アプリケーションプログラムは、上述のソフトウェアフレームワーク502により与えられる、ポイントオブケアにおいて治療ドメインをサポートするおよび/または治療機能を提供する機能を用いるソフトウェアである。ここで、治療ドメインは、患者監視および/または治療プロセスの領域を指す。例えば、患者監視は1つの治療ドメインであり、患者の換気は別の治療ドメイン、また、麻酔および流体管理はさらに別の治療ドメインとなる、などである。システムソフトウェア500はいくつかの種類のアプリケーションプログラム520を含む。
【0058】
アプリケーションプログラム520は、複数の治療ドメインに共通の、共通ポイントオブケア(POC)アプリケーション522(CPOC)の組を含んでいる(下記の表1参照)。CPOC522が果たす機能は、アプリケーション関連であるが、包括的であり、特定のドメインに特有のものではない。すなわち、中央ユニット300の中央処理部402は、患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260のうち2つ以上の動作をサポートするために、CPOCアプリケーション522における共通コードの少なくとも一部を実行する。
【0059】
例えば、CPOCアプリケーション522は、ホーム画面を提供してもよく、そこから他の機能を選択して設定することができる。中央ユニット300自体を設定し制御する機能は、ホーム画面から選択してもよく、ソフトウェアオプション操作、アプリケーション選択・設定、および例えば救命救急区域ネットワーク205および/または病院区域ネットワーク230(図2)を経由したスレーブ制御ユニット(図4:330)や他の中央ユニットからの有線および無線の遠隔制御、バッテリー管理などを含んでいる。また、患者区分、設定、状況、セットアップおよびプロフィールの入力、編集、転送を含む患者に関する機能は、ホーム画面から選択されてもよい。CPOCアプリケーション522は、また、測定および波形表示のリアルタイム処理、警報の作動・表示・制御、測定の設定、優先度、イベント、傾向、ストリップへの記録、曲線の表示、流量計の表示、警報限界および履歴などの、患者の監視および/または治療に関する機能を果たしてもよい。
【0060】
当業者であれば、例えば210,212,214,250,260などのポイントオブケア(POC)患者監視および/または治療モジュール(図3、図4)は、通常、特定の治療ドメインに関連付けられていることが認識できるであろう。すなわち、監視モジュール210は患者監視ドメインに関連付けられており、麻酔モジュール214は麻酔ドメインに関連付けられている、などである。特定のPOCアプリケーション(SPOC)は、図面を簡便化するため、そのうち3つの523,524,526が図に示されているが、それぞれ特定のドメイン領域のPOCモジュールに対応付けられている。SPOCアプリケーション523,524,526は、それぞれが関連付けられたモジュール210,212,214,250,260と交信する。例えば、図5において、SPOC523はあるタイプのPOCモジュール、例えば麻酔モジュール214に関連付けられ、SPOC524は別のタイプのPOCモジュール、例えば流体管理モジュール212に関連付けられ、SPOC526は別のタイプのPOCモジュール、例えば患者監視モジュール210に関連付けられる。
【0061】
通常は、SPOCアプリケーション523,524,526は、523Aなどの提示機能、523Bなどの制御および管理機能、523Cなどのデータサーバー機能、および523Dなどの差込可能なフロントエンド(FE)モジュールインターフェース機能を有している。ここで、差込可能なフロントエンドモジュールは、モジュール210,212,214,250,260などの、動作中に中央ユニット300に接続したり切断したりすることのできる医療監視および/または治療モジュールを指す(図2、図3、図4)。523DなどのFEモジュールインターフェース機能は、患者監視および治療モジュール210,212,214,250,260と双方向通信を行う。この通信には、制御および状態情報、ならびに生理的パラメータを表わすデータが含まれる。523Cなどのデータサーバー機能は、ほかのアプリケーションが制御、状態および生理データを使えるようにする。523Aなどの提示機能は、ディスプレイ装置225,321、331上に制御状態と生理データを表示できるようにする(図3)。523Bなどの制御および管理機能は、SPOCとFEモジュールの動作を制御する。
【0062】
さらに具体的に言うと、SPOCアプリケーション526は患者監視モジュール210に関連付けられており、監視モジュール210を制御しこれと交信するために必要とされる特定の機能を果たす。表1(下記)で詳しく述べるように、監視SPOC526は、モニターのセットアップ、プロトコル管理のエキスポート、ナースコール、ベッドサイドおよび手術表示モードを含む表示モード設定などの、モジュール管理、制御、およびレポート機能を果たす。監視SPOC526は、脳波、SpO、呼吸機構、観血式または非観血式血圧、体温、経皮血液ガスなどの、生理的パラメータ監視機能も果たす。
【0063】
SPOCアプリケーション523は、麻酔モジュール214と関連付けられており、麻酔モジュール214と交信するために必要とされる特定の機能を果たす。表1(下記)でさらに詳しく述べるように、麻酔SPOC523は、ウォームアップ、キャリアのガス選択などの、モジュール管理、制御、およびレポート機能を果たす。麻酔SPOC523は、NO、キセノンなどを含む麻酔ガス制御、消費監視、麻酔ガス供給などの、麻酔制御および監視機能も果たす。
【0064】
SPOCアプリケーション524は、流体管理モジュール212と関連付けられており、流体管理モジュール212と交信するために必要とされる特定の機能を果たす。表1(下記)でさらに詳しく述べるように、流体管理SPOC524は、全濃度調節投与(TCI)、完全静脈麻酔(TIVA)、自己調節鎮痛(PCA)を含む、異なる流体管理モードをサポートする機能を果たす。すでに述べたように、ほかの医療ドメインに対応するほかの医療監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260は、これらを制御および管理するSPOCアプリケーションと関連付けられている。これらのSPOCについては、表1(下記)で詳述する。
【0065】
アプリケーションプログラム520は、さらに、クロスドメインPOCアプリケーション(CDPOC)を含み、簡便性のため、図5にその1つである528を示す。CDPOCアプリケーションは、高度に統合された治療情報を提供する。この情報は、監視、換気、麻酔および/または流体管理など、それぞれ異なる治療ドメインの関連付けられた医療監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260を制御するSPOCアプリケーション523,524,526から選択された、2つ以上のアプリケーションが協力することで得られる。CDPOCアプリケーションは、選択された医療監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260の動作を調整し、以下で詳細に述べるように、これらのモジュールから受け取ったデータを統合する。当業者であれば、アプリケーションプログラム520には、異なるSPOCアプリケーションを調整する別のCDPOCアプリケーションも含むことができること、CDPOCアプリケーションは2つ以上のSPOCアプリケーションを調整可能であること、およびSPOCアプリケーションは1つ以上のCDPOCアプリケーションと関連付けることができることは理解できるであろう。
【0066】
特に図5を参照して、CDPOCアプリケーション528は、流体管理SPOC524および監視SPOC526の動作を調整する。流体管理SPOC524は、血圧など、患者の特定の生理的パラメータに影響を与えるために薬剤を投与することができる流体管理治療モジュール212の動作を制御する。監視SPOC526は、患者監視モジュール210を制御し、特に患者の血圧を監視する。CDPOCアプリケーション528は、監視中のSPOCアプリケーション526からレポートされる患者の血圧を監視し、流体管理SPOCアプリケーション524を制御して、患者の血圧が医師に指示された範囲内となるように連続的に血圧の薬剤の投与を調整する。
【0067】
アプリケーションプログラム520は、表1(下記)に詳述するように、撮像アプリケーション530をさらに含んでもよい。これらのアプリケーションは、各種のディスプレイ装置225,321,331(図3)を調整し、指示された画像を2Dおよび3Dモードで表示する。これらの撮像アプリケーション530は、さらにユーザー制御でパンやズームを行い、3D画像については視点を設定する。撮像アプリケーション520は、例えばX線、CATスキャン、またはその他の関連する画像のグループ用の仮想フィルムシート、および患者スキャナ、および問合わせ検索操作により取り出したDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)画像のビューアなどを作成することもできる。
【0068】
アプリケーションプログラム520は、表1(下記)に詳述するように、さらに情報技術(IT)アプリケーション532を含んでもよい。かかるアプリケーションは、例えば、チャート支援プログラム、遠隔閲覧プログラム、および情報を交換し分析するためのほかのプログラムを含むことができる。そのほかのサードパーティアプリケーション534も、アプリケーションプログラム520に含まれてもよい。ここで、サードパーティアプリケーション534とは、ポイントオブケアにおいて有利となる治療機能を果たすことができ、医療監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260と交信する中央ユニット300用に設計されたアーキテクチャの外部に独立して開発することができる。例えば、医療画像およびレポート分布、予約スケジュール、クライアントレコード管理、患者負担金の追跡と請求、カルテ、保険の手続きと請求、スケジューリングなどが、サードパーティアプリケーションプログラム534が果たすことのできる機能である。
【0069】
SPA(Semantical Product Application)536は、システムソフトウェアに含まれるアプリケーションプログラム520の調整を行う。SPA536は、システムの1つまたは複数の目標ドメインをカバーし、選択された医療監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260から構成されている。SPA536は、ほかのアプリケーションプログラム520を配置し組み合わせる。より具体的には、SPA536は、SPOC523,524,526の構成、CPOC522の構成、CDPOC528の構成などを含んでいる。SPA536は、システムのバージョン管理も行う。
【0070】
各救急区域および/または病院内の中央ユニット300は、実質的に同一のタイプのCPU402を採用しており、異なるタイプの患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260の動作をサポートするものとして実施されている。また、各救急区域および/または病院内の各中央ユニット300の中央処理部220は、実質的に同一のタイプの上記システムソフトウェア500を採用しており、患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260の動作をサポートする。
【0071】
上述および図2、図3、図4、図5に示したハードウェアおよびソフトウェアアーキテクチャは、開発者が、1つまたは複数の所望の医療ドメインに取り組む各種の製品を開発することを可能にする。ここで、製品はこのハードウェアおよびソフトウェアアーキテクチャを用いた所望のドメインに取り組み、きちんと定義されたアプリケーションの組を目標ドメイン用に提供する。すなわち、製造業者は、監視SPOC(例えば526)および患者監視モジュール(例えば210)を含めることにより、監視製品を製造することができる。また、換気SPOC(図示せず)と換気患者治療モジュール(これも図示せず)、流体管理SPOC(例えば524)と流体管理患者治療モジュール(例えば212)、麻酔SPOC(例えば523)と麻酔患者治療モジュール(例えば214)などを含むことにより、よりいっそうの機能を持つことができる。2つ以上のSPOCアプリケーションの動作を調整するために、CDPOC(例えば528)アプリケーションを有してもよい。
【0072】
より具体的には、製造業者は、可搬型の呼吸支援装置システムなどの製品を実施することができる。かかる装置を図2の部屋208内に示す。このシステムは、中央処理部208Bおよびドッキングコネクタ240を組み込んだ中央ユニット300(図3)(図示せず)を含む。換気モジュール208Aは、PAN208Dを介して、中央処理部208Bおよびディスプレイ装置208Cに連結されている。換気モジュール208Aは人工呼吸器(図示せず)を制御する。人工呼吸器は、ソース(図示せず)から患者の肺までの、呼吸可能なガスの流れを調節する。換気モジュール208Aは、移動の間モジュール208Aおよび人工呼吸器自体に電力を供給するバッテリーを少なくとも1つ備えている。ドッキングコネクタ240により、患者監視モジュール210、麻酔モジュール214、および/または流体管理モジュール212など、その他のモジュールは、必要であれば呼吸支援装置システムに接続することができる。システムソフトウェア500(図5)は、これらのモジュールの存在を検知し、新たに加えられたモジュール210,212,214,250,260を制御するのに必要なSPOCアプリケーションを自動的にロードする。可搬型の呼吸支援装置システムは、装置を運ぶ人力または電動のカートもしくは台車を含んでもよい。
【0073】
必要があればさらにモジュールを追加しうる製品、例えば、部屋206(図2)に示されるような患者監視および換気モジュールを備える緊急治療室用の製品や、部屋204に示されるような患者監視、換気、および流体管理モジュールを備えた集中治療室用の製品など、ほかの製品も、同様に実施することができる。
【0074】
すでに述べたように、CDPOCアプリケーション528は、2つ以上のSPOCアプリケーション523,524,526の動作を調整し、ついで関連付けられた患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260の動作を制御するという利点を有する。この調整により、中央処理部220(図2)は、(a)患者監視モジュール210および患者治療モジュール212,214,250,260から得られたパラメータの組み合わせに基づいて、ユーザーに提示するデータを得る、および/または(b)ユーザーに患者治療モジュール212,214,250,260の推奨される構成設定を促すことにより、患者治療モジュール212,214,250,260の動作の監視をサポートすることができる。
【0075】
中央処理部220は、患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260からデータを受信し、受信したデータを用いて患者治療モジュール212,214,250,260に取り付けられた治療装置の設定が患者に行うべき望ましい治療に適合しているかどうかを判断することにより、治療の安全性を確認することもできる。すなわち、中央処理部220は、治療開始後または患者治療モジュール212,214,250,260の対応する設定を変更することにより治療が変更された後受信した患者の生理的パラメータを、所定の生理的パラメータ値反応範囲と比較することにより、望ましい治療の安全性を確認することができる。患者治療モジュール212,214,250,260の設定が望ましい治療に適合していないという判断を受けて、中央処理部220は、(a)自動的に設定を変更、および/または(b)ユーザーに不適合を知らせる警告メッセージの生成を開始することができる。
【0076】
この、各種の患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260間の調整により、患者の医療検査を行うことが可能になり、かかるシステムにより、より高価で侵襲的な検査方式を用いる必要なく、生理的パラメータを判定することができる。図4および図5に示された単一構成のシステムは、例えば、次に述べるような複数の各種検査を自動的に行えるという利点を有する。検査には、時に、手動での交信が必要となる。当業者であれば、このシステムに含まれるべき患者監視および/または治療モジュール、これらのモジュールの動作を調整する方法、およびこれらのモジュールからのデータを分析する望ましい医療検査を行う方法は、理解されるであろう。
【0077】
かかる患者の医療テストの一般的な形式として、所定の生理的刺激を患者に与え、刺激を与えた後の患者の生理的パラメータを監視し、許容範囲の反応を確認する方法がある。この生理的刺激は、例えば、(a)投薬、(b)患者に投与するガス、(c)電気的刺激、(d)物理的または機械的刺激、(e)加熱または冷却、(f)音刺激、(g)光刺激、および/または(h)放射線刺激などであってよい。監視される患者の生理的パラメータは、(a)BP、(b)HR、(c)RR、(d)SpO、(e)O、(f)CO、(g)NBP、(h)脳波図、および/または(i)血液ガスパラメータであってよい。
【0078】
このようなシステムにおいては、中央処理部220(図4)が、患者治療モジュール212,250,260の動作設定を一時的に変更するよう調整することにより刺激を開始し、患者監視モジュール210を用いてその後の生理的パラメータを監視し、許容範囲の反応を確認することができる。
【0079】
より具体的な医療検査の例として、かかるシステムによって行うことのできるRSVT(respiratory systolic variation test)がある。この検査では、左心房の血液充満状態を判断する。これにより、医師は、患者への流体の入量と出量、およびラングリクルートメントの作用を管理することができる(血液量減少は、患者が従圧式吸気呼気比逆転換気(PCIRV(pressure−controlled inverse ratio ventilation))を受け付けない理由であることが多い)。この検査の結果である患者の生理的パラメータは、ディスプレイ装置225,321,331(図3)に表示されてもよい。上述のようなこのシステムを利用してRSVTを行うと、現在約100ドルかかる使い捨てのPAカテーテルに比べて、より正確でより非侵襲的である。
【0080】
上述のシステムにより、ジェデオン非侵襲性心拍出量検査(NICO)を行うこともできる。この検査では、左心室の出量および肺における有効ガス交換領域(すなわち、有効肺容量(ELV))を予測する。これにより、医師は、機械的換気の開始後、最適なCOおよびELVのために呼気終末陽圧(PEEP)を滴定することができる。ここで、「滴定する(titrate)」とは、患者の治療パラメータ(たとえばPEEP圧)を、所望の患者の生理的パラメータ(すなわち、最適なCOおよびELV)となるように調整することを指す。滴定は、医師が検査の結果に応じてマニュアルで行うこともできるし、検査を行いPEEPパラメータを滴定するようにプログラムされたCDPOC(図示せず)の制御下で自動的に行うこともできる。この検査の結果は、ディスプレイ装置225,321,331(図3)に表示することができる。この検査は、医師が、強心性(すなわち、心拍出量を向上させる)薬物治療を開始または監視する支援も行う。上述のシステムを用いてこのNICO検査を行うと、従来の方法に比べてより非侵襲的であり、ほかのNICO法に比べてより正確である。
【0081】
肺機能計算検査(LMC)も、上述のシステムによって行うことができる。この検査により、弾力および抵抗力に関して患者の呼吸器系のモデリングが可能となる。より具体的には、この検査は、呼吸サイクルの変曲点、すなわち息を吐くときの肺胞虚脱(無気肺)と息を吸い込むときの過膨脹のポイントを判定することができる。この検査は、生理学的死腔、すなわち呼吸時に体内に吸入されたが、ガス交換に加わらない空気を計算することもできる。前者の検査の結果は数値またはグラフで表示し、後者の検査の結果は数値で表示することができ、一方または両方とも、ディスプレイ装置225,321,331(図3)に表示されてもよい。医師はこの検査結果を利用して機械的換気を開始した後に設定を滴定してもいいし、CDPOCは自動的に設定を滴定するようにプログラムされてもよい。LMC検査の評価はこれまでに行われ、広く知られている。これは、現在では肺機能に関して最先端であると考えられている。上述のNICO検査の条件は、この検査と組み合わせることができる。
【0082】
応力係数検査(SI)も、上述のシステムを用いて行うことができる。この検査は、機械的換気によって生じる肺への応力を数量化する。より具体的には、この検査は周期的伸張の影響、すなわち、吸気の終わりにおける肺胞のリクルートメントおよび呼気の終わりにおける虚脱を検知し測定する。この検査の結果は、数値またはグラフで、ディスプレイ装置225,321,331(図3)に表示することができる。医師はこの検査結果を利用して換気中の肺への応力を減少させるためにPEEPや1回換気量(V)などの換気設定を滴定してもいいし、CDPOCは自動的に設定を滴定するようにプログラムされてもよい。この検査の結果は、ラングリクルートメントの試みが成功する確率の予測に用いられてもよい。SIテストに応じて行われる人工呼吸器の設定が肺組織の炎症マーカーを減少させることは、確認されている。
【0083】
ALPE(automatic lung parameter estimator test)も、上述のシステムを用いて行うことができる。この検査は、医師が肺シャントの量および肺循環の分布(例えば換気血流比(V/Q)の分散)を数量化するのを支援する。このテストは、心臓のうっ血、すなわちうっ血性心不全(CHF)を検知し数量化することもできる。この検査の結果は、数値またはグラフで、ディスプレイ装置225,321,331(図3)に表示することができる。医師はこの検査結果を利用して、CHFを処置するための利尿薬や強心薬の使用を判断することができる。この検査は、非侵襲的に、血行動態および血液ガスの総合的なモデルを提供する。これは、広い範囲で見られ、特に呼吸器系の患者の間で有病率の高い疾患であるCHFの検知と処置を行うために、医師の役に立つ。
【0084】
隔膜筋電図(EMG)により制御された換気も、上述のシステムによって効果的に行うことができる。この換気モードでは、食道カテーテルの電極を用いて、横隔膜筋の収縮にかかる隔膜電気信号が検知される。横隔膜筋の収縮は患者が息をし始める時に起こるため、EMG信号は人工呼吸器の呼吸サイクル開始のトリガーとして利用することができる。したがって、この換気モードでは、患者の脳が呼吸支援を有効に制御することが可能となる。このモードは、GUIとキーボード322およびマウス324などのユーザー入力装置の交信を介したユーザー選択によって、またはメイン制御パネル320および/またはスレーブ制御パネル320(図3、図4)上のパネルI/O装置によって、選択されてもよい。EMG信号を呼吸のトリガーとして利用することにより、換気をより患者にあったものとすることができる。これにより、広い範囲の患者の自発呼吸を支援することが可能となる。これによりマスクによる換気がより現実的となり、院内肺炎など、挿管に伴う合併症が減少する。これらの電気的信号は、心臓の後部を測定し場合によっては心房性不整脈を検知するECG信号を与えることもできる。EMG信号を用いたECGの結果は、グラフの形でディスプレイ装置225,321,331に表示することができる。不整脈が検知されれば警報を送ることもできる。心虚血および心房性不整脈の検知により、早期治療が可能となる。
【0085】
上で述べたシステムは、また、電気インピーダンス断層撮影(EIT)に用いることができる。EITは、呼吸器系および心臓の、力学と分布の連続的で、呼吸間隔および心拍間隔のそれぞれの身体構造的な画像を提供することができる。より具体的には、医師は、無気肺および肺の過膨脹の領域を見て数量化し、ならびに/または右心室の出量および各鼓動における肺への血液堆積を見て数量化することができる。電流を供給し電圧を感知する電極が患者に取り付けられて適切な信号がこれらの電極にかけられ、身体のそれぞれの部位の導電率が感知される。これらの測定値から、身体構造的な画像またはリアルタイムの一連の画像が合成される。表示生成部222(図4)は、これらの患者の身体構造的な画像を表わす信号を生成する。これらの画像をリアルタイムで表示しつづけるために、処理部402と表示生成部222間のインターフェースは、実質的にリアルタイムの双方向通信を行う。これらの画像はメイン制御パネル320およびスレーブ制御パネル330それぞれのディスプレイ装置321,331に表示することができる。これらの画像は、スレーブ・ディスプレイ・パネル224のより大型のディスプレイ装置225に与えられてもよい。医師は、肺の区画が換気されるが還流しない、または還流するが換気されないというV/Qの不適合に対応するために換気パラメータを最適化することができる。EIT画像により可能となる早期治療は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や敗血症につながるカスケード状の肺外傷を防止することができる。EITの使用により、必要なCTやX線画像の数、およびそれに伴う病院内での移動が減少する可能性もある。
【0086】
再び図5を参照して、内蔵されたオペレーティングシステム506は、シリアルポート416、USBポート418、拡張カードポート422、イーサネット(登録商標)ポート404,406、および/またはパネルI/Oポート410を含むことができる入力/出力ポートを監視し、ハードウェア装置が新たにシステムに接続されると検出するよう構成されている。新しく接続されたハードウェアが検出されると、少なくとも、システムソフトウェア500により新たなハードウェアと交信するよう要求されるソフトウェアの一部が、RAM414が備える大容量メモリから呼び出され、オペレーティングシステム506およびシステムソフトウェア500の残りの部分によって利用可能となる。この動作は、「プラグアンドプレイ」と呼ばれることもある。大容量記憶装置は、中央ユニット300にローカルであってもいいし、リモート(すなわち、病院内の中心位置)に位置してもよく、この場合はイーサネット(登録商標)接続経由で読み出される。SPOCアプリケーション523,524,526が読み出されRAM414にロードされると、新たに接続されたモジュール210,212,214,250,260はそれに連結される。新たに接続された患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260は、次に、中央ユニット300により制御されて機能を開始する。
【0087】
すでに述べたように、患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260は、ある場所にある中央ユニット300から取り外し、別の場所にある中央ユニット300に再接続することもできる(図3、図4)。患者監視および/または治療モジュール210,212,214,250,260が中央ユニット300に再接続すると、オペレーティングシステム506は、その存在を検知し、制御に必要なSPOC523,524,526を識別するという効果を持つ。必要なSPOC523,524,526がすでにロードされている場合には、新たに接続されたモジュール210,212,214,250,260に連結される。必要なSPOC523,524,526がまだロードされていない場合には、すでに述べたように、大容量記憶装置から読み出される。
【0088】
上述のシステムは、受動的な患者監視モジュール210(図3)および積極的な治療モジュール212,214,250,260(輸液ポンプ、人工呼吸器、麻酔装置、保育器など)を、中央ユニット300と統合したものであり、いずれのタイプのモジュールとの間でも生理的パラメータデータおよび動作状態情報を受信し制御情報を送信するシステムソフトウェア500と関連付けられている。ソフトウェア500は、モジュールが中央ユニット300から切り離されたり再接続したりすることを可能とする。ソフトウェア500は、2つ以上のモジュールが協力的に相互動作することも可能にする。このようなシステムは、ヒューマンエラーを減らし、治療の自動適合のスピードを上げ、および人為的な介入が必要な場合の治療の適合スピードを向上させる。また、このシステムは、手術室のような救命救急区域においては決定的な意味を持ちうる警報生成のスピードと精度を向上させる。このシステムは、また、スペースとコストを節約し、警報を組み合わせてグループ化し、統合化した文書作成を行い、モジュールの移動とユーザー操作を容易にする。複数の独立した装置を制御しなければならないという医療従事者が直面する問題を低減する。これらのモジュールは互いに双方向通信が可能であるため、監視パラメータを治療用のモジュールに供給するといった、以前はマニュアルで行っていたタスクを自動的に遂行することができ、ヒューマンエラーが減少するという効果がある。この救命救急システムは、システムへのモジュールの追加を管理するルールやプログラムされたインストラクションを採用する。この統合的な救命救急システムは、また、患者監視および治療用および生命維持モジュールの見た目および使用感の双方において、一貫したユーザーインターフェースを提供する。これにより、ユーザーフレンドリーな操作が容易になり、個別のモジュールに比較して、医療従事者がシステムの操作を覚えるための訓練を減らすことができる。
【0089】
【表1】



【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】患者を監視し治療を行う従来の病院システムを示すブロック図である。
【図2】本発明の原則にかかる患者を監視し治療を行う病院システムを示すブロック図である。
【図3】中央処理部と患者監視および治療モジュールとの相互接続を図示するさらに詳細なブロック図である。
【図4】図3の中央ユニットのさらに詳細なブロック図である。
【図5】中央ユニットを制御するソフトウェアの各種のコンポーネント間の関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対する保健医療の提供に用いる各種の機能を果たす複数の異なるモジュールを収納するモジュール式医療ケアシステムであって、
(a)患者への取り付けに適したセンサーから得た信号を取得し処理する患者監視モジュールと、(b)患者に対して治療を行う患者治療モジュールとを含む複数の異なるモジュールと、
前記複数の異なるモジュールから得た信号を処理する処理部と、
前記処理部と前記複数の異なるモジュールとの間で、ネットワークを介して双方向通信を行う通信インターフェースとを備えるシステム。
【請求項2】
患者に対する保健医療の提供に用いる各種の機能を果たす複数の異なるモジュールを収納するモジュール式医療システムであって、
少なくとも
(a)患者への取り付けに適したセンサーから得た信号を取得し処理する患者監視モジュール、
(b)患者に対する麻酔の投与をサポートするモジュール、
(c)患者の換気をサポートするモジュール、および
(d)輸液ポンプ制御をサポートするモジュール、
のうち2つを含む複数の異なるモジュールと、
前記複数の異なるモジュールから得た信号を処理する処理部と、
前記処理部と前記複数の異なるモジュールとの間で、ネットワークを介して双方向通信を行う通信インターフェースとを備えるシステム。
【請求項3】
前記複数の異なるモジュールから得た情報を含む少なくとも1つの合成ユーザーインターフェース画像を表わすデータの生成を開始する表示生成部を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記表示生成部は、第1再生装置および別の第2再生装置に表示するための少なくとも1つの合成ユーザーインターフェース画像を表わすデータの生成を開始する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記表示生成部は、前記第1再生装置および別の第2再生装置のそれぞれに表示するための、異なる第1および第2ユーザーインターフェース画像を表わすデータの生成を開始する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2ユーザーインターフェースを表わすデータは、前記第1再生装置用の前記画像よりも大きな画像を表わすデータである、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の異なるモジュールの単体モジュールは、前記複数の異なるモジュールに電力が供給されている間、少なくとも(a)前記モジュール式医療システムハウジングに差し込まれている、(b)前記モジュール式医療システムハウジングから取り外されている、のいずれか一方である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ハウジングに差し込まれている前記複数の異なるモジュールのモジュールから得た情報を含む合成ユーザーインターフェース画像を表わすデータを、前記ハウジングに差し込まれている前記複数の異なるモジュールを識別する情報を受けて、適合的に生成する表示生成部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記表示生成部は、前記ハウジングから取り外された特定のモジュールから得た情報を取り除いた合成ユーザーインターフェース画像を表わすデータを、前記特定のモジュールが前記ハウジングから取り外されたことを受けて、適合的に生成する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の異なるモジュールの単体モジュールは、前記ハウジングの異なるドッキング位置に交換可能に差し込むことができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記処理部は、前記複数の異なるモジュールから得た信号に基づいてユーザーに伝達する警報信号を得る、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、前記複数の異なるモジュールの電源のオンとオフを、所定のルールに基づいて管理する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムは、前記複数の異なるモジュールのバッテリーの充電を管理し、前記複数の異なるモジュールのバッテリー充電状態を示すユーザーに見せるための画像を表わすデータの生成を開始する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、少なくとも(a)前記複数の異なるモジュールのバッテリー充電と、前記複数の異なるモジュールのバッテリー充電状態を示すユーザーに見せるための画像を表わすデータの生成開始、(b)前記ハウジングにモジュールがドッキングするに際してのバッテリー電力からハウジング電力への移行、(c)前記複数の異なるモジュールのエラー状態を示すユーザーに見せるための画像を表わすデータの生成、のいずれか1つを管理する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
患者の身体構造的な画像を表わすデータを生成する表示生成部を含み、
前記通信インターフェースは、前記処理部と表示生成部との間で実質的にリアルタイムの双方向通信を行う、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記通信インターフェースは、少なくとも(a)WLAN802.11b規格対応の通信、(b)802.11a規格対応の通信、(c)802.11g規格対応の通信、(d)Bluetooth802.15規格対応の通信、(e)GSM/GPRS規格対応の通信、のいずれか1つを含む無線技術用いる通信をサポートする、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記通信インターフェースは、前記第2モジュールと前記複数の異なるモジュールから得た信号を処理する前記処理部との間の無線通信をサポートし、少なくとも(a)前記ハウジングから切り離され離れているときに前記第2モジュールとの双方向通信、(b)前記ハウジングから切り離され離れているときに前記処理部による前記第2モジュールの制御、のいずれか一方が可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記処理部は、所定のユーザー権限情報に基づいて、前記複数の異なるモジュールの1つの機能に対するアクセスを管理する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記処理部は、前記複数の異なるモジュールの対応する単体モジュールに関連付けられた警報信号の優先順位を決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の異なるモジュール全ての対応する単体モジュールに関連付けられた警報信号を提示する少なくとも1つの表示画像を表わすデータを生成する表示生成部を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数の異なるモジュールの単体モジュールは、単体モジュールと前記モジュール式医療システムハウジングの間を通る信号と電力の両方の物理的な接続を切断する単一の機械的な脱着機構をユーザーが動作させるのを受けて、前記モジュール式医療システムハウジングから取り外し可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
患者に特定の治療を行う際に行うべきタスクを前記複数の異なるモジュールを用いてユーザーに促す少なくとも1つの表示画像を表わすデータを生成する表示生成部を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記複数の異なるモジュールは、(a)保育器、(b)除細動器、(c)加温装置、(d)画像診断装置、(e)光線療法装置、(f)流体入力支援装置、(g)流体出力支援装置、(h)心肺支援装置、(i)血液ガスモニター、(j)制御可能な埋込治療装置、(k)制御可能な手術台および体重計、のうち1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
患者に対する保健医療の提供に用いる各種の機能を果たす複数の異なるモジュールを収納するモジュール式医療システムであって、
患者への取り付けに適したセンサーから得た信号を取得し処理する患者監視モジュールと、少なくとも
(a)患者に対する麻酔の投与、
(b)患者の換気、および
(c)輸液ポンプ制御、
の1つをサポートする第2モジュールとを含む、複数の異なるモジュールと、
前記複数の異なるモジュールから得た信号を処理する処理部と、
前記処理部と前記複数の異なるモジュールとの間で、ネットワークを用いて双方向通信を行う通信インターフェースとを備えるシステム。
【請求項25】
患者に対する保健医療の提供に用いる各種の機能を果たす複数の異なるモジュールを収納するモジュール式医療システムであって、
患者への取り付けに適したセンサーから得た信号を取得し処理する患者監視モジュールと、少なくとも
(a)患者に対する麻酔の投与、
(b)患者の換気、および
(c)輸液ポンプ制御、
の1つをサポートする第2モジュールとを含む、複数の異なるモジュールと、
前記第2モジュールを設定するために前記患者監視モジュールから得た信号を処理する処理部と、
前記処理部と前記複数の異なるモジュールとの間で、ネットワークを用いて双方向通信を行う通信インターフェースとを備えるシステム。
【請求項26】
患者に対する保健医療の提供に用いる各種の機能を果たす複数の異なるモジュールを組み込んだモジュール式医療システムであって、
(a)患者への取り付けに適したセンサーから得た信号を取得し処理する患者監視モジュール、
(b)患者に対する麻酔の投与をサポートするモジュール、
(c)患者の換気をサポートするモジュール、および
(d)輸液ポンプ制御をサポートするモジュール
を含む複数の異なるモジュールの1つ以上を適合的に収容するためのハウジングと、
前記複数の異なるモジュールから得た信号を処理する処理部と、
前記処理部と前記複数の異なるモジュールとの間で、ネットワークを用いて双方向通信を行う通信インターフェースとを備えるシステム。
【請求項27】
可搬型の呼吸支援装置システムであって、
呼吸可能なガスの流れを提供する装置と、
前記呼吸可能なガスの流れを用いて、移送中の患者の呼吸を支援する人工呼吸器と、
移送中の前記装置および前記人工呼吸器に、電力を供給する少なくとも1つのバッテリーと、
前記呼吸支援装置システムを、
少なくとも
(a)患者への取り付けに適したセンサーから得た信号を取得し処理する患者監視モジュール、
(b)患者に対する麻酔の投与をサポートするモジュール、および
(c)輸液ポンプ制御をサポートするモジュール
の1つを含む複数の異なるモジュールに接続するドッキングポートとを備えるシステム。
【請求項28】
前記患者監視モジュールから得た信号を処理する処理部と、
前記処理部と前記複数の異なるモジュールとの間で、ネットワークを用いて双方向通信を行う通信インターフェースとを備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
患者に対する保健医療の提供に用いる各種の機能を果たす複数の異なるモジュールを収納するモジュール式医療システムによって用いられる方法であって、
少なくとも
(a)患者への取り付けに適したセンサーから得た信号を取得し処理する患者監視モジュール、
(b)患者に対する麻酔の投与をサポートするモジュール、
(c)患者の換気をサポートするモジュール、および
(d)輸液ポンプ制御をサポートするモジュール、
のうち2つを含む複数の異なるモジュールへの電力供給と、
前記複数の異なるモジュールから得た信号の処理と、
前記処理部と前記複数の異なるモジュールとの間で行われるネットワークを用いた双方向通信とを行う方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−521849(P2007−521849A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539551(P2006−539551)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/035567
【国際公開番号】WO2005/050524
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(303063621)ドレーガー メディカル システムズ インコーポレイテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】Draeger Medical Systems Inc.
【住所又は居所原語表記】16 Electronics Avenue Danvers Massachusetts 01923 U.S.A
【Fターム(参考)】