説明

モノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ及び/又はジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ抑制剤

【課題】食経験が豊富で安全性が高く、優れたモノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ及び/又はジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ抑制作用を有するモノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ及び/又はジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ抑制剤の提供。
【解決手段】オリーブ又はその抽出物を有効成分とするモノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ及び/又はジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ及び/又はジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ抑制に関する。
【背景技術】
【0002】
トリアシルグリセロール(TAG)は、真核生物におけるエネルギーの主要な貯蔵形態であり、TAGの生合成には主に2つの経路が存在する。一つは、モノアシルグリセロール(MAG)経路で、MAGとアシルCoAがモノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(以下、MGATと記す)の作用によりジアシルグリセロール(DAG)となり、DAGはジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(以下、DGATと記す)の作用によりTAGとなる。食事から摂取したTAGは、消化管内において加水分解されて、小腸においてMAG経路によりTAGへと再合成されて吸収される。
もう一つは、グリセロール−3−リン酸(G3P)経路で、G3PとアシルCoAの反応によるリゾホスファチジン酸の生成と、それに続くアシル化と脱リン酸化によりDAGが生じる。このDAGはMAG経路と同様にDGATによりTAGへと変換される(非特許文献1)。
【0003】
MGATとDGATにはそれぞれ複数のアイソフォームが存在する。MGATはMGAT1、MGAT2、MGAT3の3種類が存在することが知られている。MGAT1は、小腸、胃、腎臓、肝臓、脂肪組織など多くの組織で発現しているが、MGAT2とMGAT3は小腸でのみ高発現している(非特許文献2、3、4)。一方、DGATは、DGAT1とDGAT2が存在し、DGAT1は小腸をはじめ多くの組織で普遍的に発現しているが、DGAT2は肝臓において高い発現量を示すことが報告されている(非特許文献5、6)。
【0004】
DGAT1については、DGAT1のノックアウトマウスにおいて、組織中のTAG含量の減少や、脂肪組織における脂質燃焼系遺伝子及び熱産生系遺伝子の発現亢進がみられ、さらにインスリンやレプチンに対する感受性が増加することが報告されている(非特許文献7、8)。
従って、このことからも、組織におけるTAG合成酵素であるMGAT及びDGATの発現を抑制することは、内臓脂肪の過剰蓄積、ひいてはメタボリックシンドロームの予防・改善にとって効果的であると考えられる。
【0005】
MGAT及びDGATの発現を経口的に摂取するもので抑制することができれば、メタボリックシンドロームの予防、改善をより簡便かつ効果的に行うことができると考えられる。実際、ホスホン酸ジエステル誘導体を有効性分として含有するDGAT活性阻害剤(特許文献1)や、DGAT2をコードする核酸を標的としたオリゴヌクレオチドを用いたDGAT2発現調節剤(特許文献2)などが知られている。
しかし、多くの人がより手軽に使用でき、かつ安全性の問題がないもの、と考えると食経験の豊富な食品がより好ましいと考えられるが、これまでにそのような例はほとんど報告されていない。
【0006】
一方、オリーブは、モクセイ科オリーブ属に属する植物で、地中海地域をはじめとして広く栽培されている。その果実はオリーブ油の製造や、食用として全世界で幅広く利用されており、食経験は非常に豊富である。オリーブの果実には、ヒドロキシチロソール等のポリフェノール成分が含まれていることが知られている(非特許文献9、10)。オリーブ抽出物や果実に含まれるポリフェノール成分は、抗動脈硬化作用(非特許文献11)や高血圧抑制作用(非特許文献12)、骨量減少抑制作用(非特許文献13)等を有することが報告されている。また、オリーブ抽出物は、抗酸化作用、美白作用、皮膚の抗老化作用、抗腫瘍作用等を有することが報告されている(特許文献3)。
しかしながら、オリーブやオリーブ抽出物、及びそれらに含まれるポリフェノール成分が、MGAT及び/又DGATに対して如何なる影響を与えるかについてはこれまで報告されていなく、オリーブやその抽出物にMGAT及び/又DGAT抑制作用があることは全く知られていない。
【特許文献1】特開2004−67635号広報
【特許文献2】特表2007−502616号広報
【特許文献3】特開2002−186453号公報
【非特許文献1】Prog Lipid Res, vol43, No.2, 134-176, 2004
【非特許文献2】Proc Natl Acad Sci U S A, Vol.99, No.13, 8512-8517, 2002
【非特許文献3】J Biol Chem, Vol.278, No.16, 13860-13866, 2003
【非特許文献4】J Biol Chem, Vol.278, No.16, 13611-13614, 2003
【非特許文献5】Proc Natl Acad Sci U S A, Vol.95, No.22, 13018-13023, 1998
【非特許文献6】J Biol Chem, Vol.276, No.42, 38870-38876, 2001
【非特許文献7】J Clin Invest, Vol.109, No.8, 1049-1055, 2002
【非特許文献8】Nat Genet, Vol.25, No.1, 87-90, 2000
【非特許文献9】J Agric Food Chem, vol.34, pp823-826, 1986
【非特許文献10】J Agric Food Chem, vol.52, pp479-484, 2004
【非特許文献11】Atherosclerosis, vol.188, No.1, pp35-42, 2006
【非特許文献12】Int J Food Sci Nutr, vol.56, No.8, 613-620, 2005
【非特許文献13】Clin Nutr, vol.25, No.5, 859-868, 2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、食経験が豊富で安全性が高く、優れたMGAT及び/又はDGAT抑制作用を有するMGAT及び/又はDGAT抑制剤を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題に鑑み、食経験が豊富で安全性の高い天然物素材の中から有効成分の検索を行ったところ、オリーブ果実抽出物にMGAT及び/又はDGAT抑制作用があることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、オリーブ又はその抽出物を有効成分とするMGAT及び/又はDGAT抑制剤を提供するものである。
また、本発明は、モノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ及び/又はジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ抑制剤の製造のためのオリーブ又はその抽出物の使用を提供するものである。
また、本発明は、オリーブ又はその抽出物を乾燥物換算で0.0001〜10質量%含有するモノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ及び/又はジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ抑制用飲食品を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のMGAT及び/又はDGAT抑制剤は、食経験が豊富で安全性が高いオリーブ又はその抽出物を有効成分とするものであり、MGAT及び/又はDGATを抑制するための医薬品、飲食品として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において、オリーブとは、モクセイ科(Oleaceae)オリーブ属のオリーブ(Olea europaea)を意味する。オリーブの品種には、マンザニロ、ラ・タンシュ、ジェンティーレ・ディ・キエーティ、カザリーバ、ピクード、タジャスカ、コロネイキ、ペンドリーノ、ネバディロ・ブランコ、ミッション、ピクアル、オヒブランカ、アルベキナ、コルニカブラ、ゴルダル、フラントイオ、モロイオロ、レッチーノ、コラティーナ、アスコラーナ・テレナ等が知られているが、本発明においてはいずれの品種も使用することができる。
【0012】
オリーブの使用部位としては、果実、果皮、種子、種皮、葉、茎、芽等が挙げられるが、主として果実を用いるのが好ましい。これらは、そのまま又は乾燥粉砕して用いることができる。
【0013】
オリーブ抽出物としては、前記の使用部位、好ましくは果実を、そのままあるいは乾燥した後に適当な大きさに切断したり、粉砕加工したりしたものを抽出して得られる抽出エキスや果汁の他、さらに分離精製して得られるより活性の高い画分(成分)が包含される。例えば、オリーブの果実を圧搾し、得られた果汁を遠心分離により油層(オリーブオイル)と水層に分離し、得られた水層を噴霧乾燥することにより得られた粉末エキスを利用することができる。更に、得られた粉末エキスから有機溶剤等によりオリーブポリフェノールを濃縮、精製して用いることもできる。また、オリーブオイルを抽出溶剤を用いて処理し、オリーブオイル中に含まれる成分を分離精製したものを用いても良い。
【0014】
前記の使用部位からの抽出は、室温又は加熱した状態で溶剤に含浸させるか又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて行われる溶剤抽出の他に、水蒸気蒸留等の蒸留法を用いて抽出する方法、炭酸ガスを超臨界状態にして行う超臨界抽出法、あるいは圧搾して抽出物を得る圧搾法等を用いることができる。果汁等はそのまま噴霧乾燥等の処理をしたものを用いることもできる。
【0015】
溶剤抽出に用いられる抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができ、これらを混合して用いることもできる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類;超臨界二酸化炭素;油脂、ワックス、その他オイル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、溶剤を変えて繰り返し行うことも可能である。このうち、水、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等を用いるのが好ましく、水・エタノール混液を用いるのがより好ましい。
前記の使用部位からの抽出は、例えばオリーブ1質量部に対して1〜50質量部の溶剤を用い、3〜100℃で数時間〜数週間浸漬又は加熱還流するのが好ましい。
【0016】
また、抽出物の分離精製手段としては、例えば、抽出物を活性炭処理、液液分配、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ゲル濾過、精密蒸留等を挙げることができる。
【0017】
本発明のオリーブ抽出物は、斯くして得られる抽出液や画分をそのまま用いてもよく、適宜な溶媒で希釈した希釈液として用いてもよく、或いは濃縮エキスや乾燥粉末としたり、ペースト状に調製したものでもよい。
【0018】
オリーブには、ヒドロキシチロソール、及びこの配糖体等のオリーブポリフェノールや、チロソール及びその配糖体等のその他のフェノール化合物が含まれる。
本発明のオリーブ抽出物は、当該化合物を1種以上含有するものが好ましく、また、有効性及び食品配合時の色調、味等の観点から、不純物が少ないオリーブポリフェノールを20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは50〜100質量%含有するものが望ましい。
なお、本発明において、オリーブポリフェノール含有量は、OD280nmを計測することにより求められ(J Chromatogr B Biomed Appl. 24;665(2):383-9.(1995))、その含量をカテキン相当量として算出したものである。
チロソール、ヒドロキシチロソール又はこれらの配糖体を豊富に含むオリーブ抽出物としてはガルドネンク社(フランス)のオリーブポリフェノール(Olivex PHO6)等が挙げられる。
【0019】
本発明のオリーブ又はその抽出物は、後記実施例に示すように、マウスを用いたオリーブ抽出物含有食の給餌試験において、肝臓のMGAT1及びDGAT1の遺伝子発現量の抑制が確認された。従って、オリーブ又はその抽出物は、MGAT及び/又はDGATを抑制するために使用することができ、さらにMGAT及び/又はDGAT抑制剤を製造するために使用することができる。当該MGAT及び/又はDGAT抑制剤は、MGAT及び/又はDGATを抑制するための、ヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品、飲食品として使用可能である。また、当該MGAT及び/又はDGAT抑制剤は、MGAT及び/又はDGATの抑制をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した医薬部外品等として使用することもできる。
【0020】
ここで、本発明のMGAT及び/又はDGAT抑制剤は、MGAT及びDGATのいずれのアイソフォームをも対象とするものであるが、好ましくはMGAT1、DGAT1を抑制するものが好ましい。
【0021】
本発明のMGAT及び/又はDGAT抑制剤を医薬品、医薬部外品として用いる場合の投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与、又は注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、外用剤等による非経口投与が挙げられる。また、このような種々の剤型の製剤を調製するには、本発明のオリーブ又はその抽出物を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。また、これらの投与形態のうち、好ましい形態は経口投与であり、経口用液体製剤を調製する場合は、嬌味剤、緩衝剤、安定化剤等を加えて常法により製造することができる。
【0022】
本発明のMGAT及び/又はDGAT抑制剤を飲食品として用いる場合の形態としては、パン類、ケーキ類、麺類、菓子類、ゼリー類、冷凍食品、アイスクリーム類、乳製品、飲料、スープ類、食用油等の各種食品の他、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、シロップ等)が挙げられる。飲料としては、例えば、果汁飲料、炭酸飲料、茶系飲料、ニアウオーター、スポーツ飲料、乳飲料、アルコール飲料、清涼飲料等が挙げられる。また、飲料は、容器に充填した容器詰飲料とすることができる。
さらには調理用油や、調味料、マヨネーズ、ドレッシング、マーガリン等の油脂加工品類、パスタソース類等が挙げられる。
種々の形態の食品を調製するには、本発明のオリーブ又はその抽出物を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせてMGAT及び/又はDGAT抑制用食品、ペットフード等として用いることが可能である。
【0023】
これらのものに対するオリーブ又はその抽出物の配合量は、その使用形態により異なるが、飲食品の形態では、オリーブ又はその抽出物(乾燥物換算、以下同じ)は、通常0.0001〜10質量%、さらに0.001〜5質量%、特に0.002〜2質量%とするのが好ましい。例えば飲料の場合では、飲料中にオリーブ又はその抽出物は、0.001〜0.5質量%、さらに0.005〜0.25質量%、特に0.01〜0.1質量%とするのが好ましい。タブレット等の食品錠剤及び/又はカプセル剤の場合では、オリーブ又はその抽出物を0.1〜95質量%、さらに1〜90質量%、特に5〜50質量%含有しているものが好ましい。パン類やケーキ類等の一般的な食品の場合では、オリーブ又はその抽出物を0.001〜95質量%、さらに0.001〜10質量%、さらに0.01〜5質量%、特に0.02〜3質量%含有しているものが好ましい。調理用油等の食用油や油脂加工品等の場合では、オリーブ抽出物を0.01〜2質量%、さらに0.02〜1.0質量%、特に0.05〜0.5質量%含有しているものが好ましい。なお、オリーブ又はその抽出物は、溶解状態であっても、分散状態であっても良く、その存在状態は問わない。
【0024】
上記以外の医薬品、例えば錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の経口用固形製剤、内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤の場合には、オリーブ又はその抽出物(乾燥物換算)は、通常0.01〜95質量%、さらに5〜90質量%、特に10〜50質量%とするのが好ましい。
【0025】
本発明のMGAT及び/又はDGAT抑制剤の投与量(有効摂取量)は、オリーブ又はその抽出物(乾燥物換算)として、一日あたり1〜5000mg/60kg体重とするのが好ましく、さらに5〜3000mg/60kg体重、特に10〜2000mg/60kg体重とするのが好ましく、50〜1000mg/60kg体重とするのが最も好ましい。
【0026】
以下に本発明の代表的な試験例と実施例を示す。
【実施例】
【0027】
試験例 オリーブ抽出物摂取によるMGAT1及びDGAT1発現抑制作用
オリーブ抽出物のMGAT1及びDGAT1発現抑制作用に対する評価を下記の通り行った。尚、オリーブ抽出物は、ガルドネンク社(フランス)のオリーブ果実ポリフェノールPHO6(Olivex PHO6)を用いた。
21週齢のSAM−P1雄性マウスを、体重に差がないように対照食群、試験食群に群分けした(各群8匹)。
表1に示す配合で調製した対照食及び試験食を用いて13週間飼育を行った。なお、この飼育期間中の餌の摂食量は群間で差は見られなかった。飼育試験の最終日に、体重測定を行った後に解剖を行い、肝臓を採取した。その後、肝臓よりRNA抽出試薬を用いてtotal RNAを抽出し、リアルタイムPCR法により脂肪合成関連遺伝子の発現解析を行った。ここでは、Monoacylglycerol O−acyltransferase 1(Mogat1)及びDiacylglycerol O−acyltransferase 1(Dgat1)の発現量の解析を行った。反応に用いたプライマーは表2に示した。なお、各遺伝子の発現量は、ハウスキーピング遺伝子の一種である、Acidic Ribosomal Phosphoprotein P0(Arbp)の発現量を基準として補正を行い比較した。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
肝臓中のMogat1及びDgat1の発現量を測定したところ、対照食群と比較して試験食群において有意に発現が抑制されていることが明らかとなった(図1)。
これらの結果から、オリーブ抽出物を摂取することによりMGAT及び/又はDGATを抑制することができ、オリーブ抽出物は、MGAT及び/又はDGAT抑制剤として有用であることが確認された。
【0031】
実施例
MGAT及び/又はDGAT抑制剤(1)〜(11)を製造した。
(1)清涼飲料
表3に示した配合で、清涼飲料を製造した。
【0032】
【表3】

【0033】
(2)清涼飲料
表4に示した配合で、清涼飲料を製造した。
【0034】
【表4】

【0035】
(3)カプセル剤
表5に示す組成物(300mg)をカプセル中に封入し、カプセル剤を製造した。
【0036】
【表5】

【0037】
(4)錠剤
表6に示す組成物(1錠=250mg)を打錠し、錠剤を製造した。
【0038】
【表6】

【0039】
(5)顆粒剤
表7に示す組成物(1袋=500mg)を混合し顆粒剤を製造した。
【0040】
【表7】

【0041】
(6)食品
表8に示す組成物(1錠=1000mg)を打錠し、チュアブルタイプのタブレット食品を製造した。
【0042】
【表8】

【0043】
(7)スポーツ飲料
表9に示した配合及び条件で、本発明のスポーツ飲料を調製した。
【0044】
【表9】

【0045】
(8)食用油
表10に示した組成で、調理用油を調製した。
【0046】
【表10】

【0047】
(9)食用油
表11に示した組成で、調理用油を調製した。
【0048】
【表11】

【0049】
(10)食用油
表12に示した組成で、調理用油を調製した。
【0050】
【表12】

【0051】
(11)食用油
表13に示した組成で、調理用油を調製した。
【0052】
【表13】

【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】肝臓におけるトリアシルグリセロール合成系遺伝子であるMogat1及びDgat1の発現量を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリーブ又はその抽出物を有効成分とするモノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ及び/又はジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ抑制剤。
【請求項2】
オリーブ抽出物がオリーブポリフェノールを20質量%以上含有する請求項1記載のモノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ及び/又はジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ抑制剤。
【請求項3】
オリーブ抽出物が、ヒドロキシチロソール、チロソール及びこれらの配糖体から選ばれる1種以上を含有する請求項1又は2記載のモノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ及び/又はジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ抑制剤。
【請求項4】
モノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ及び/又はジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ抑制剤の製造のためのオリーブ又はその抽出物の使用。
【請求項5】
オリーブ又はその抽出物を乾燥物換算で0.0001〜10質量%含有するモノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ及び/又はジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ抑制用飲食品。

【図1】
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【公開番号】特開2009−263256(P2009−263256A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112639(P2008−112639)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】