説明

モノアミン再取り込みにより改善する症状の処置において使用するためのベンゾチアジアゾリフェニルアルキルアミン誘導体

本発明は、式Iで表されるベンゾチアジアゾリルフェニルアルキルアミノ誘導体またはその薬学的に許容される塩、これらの誘導体を含有する組成物およびモノアミン再取り込みにより改善する症状、とりわけ、血管運動症状(VMS)、性機能障害、胃腸および泌尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症症候群、神経系障害およびこれらの組み合わせを含む症状、特に大うつ病性障害、血管運動症状、腹圧性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害およびこれらの組み合わせからなる群から選択される症状の予防および治療をするためのその使用方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2005年9月29日に出願された米国特許出願第60/721,693号に優先権を主張し、この全ての開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明はベンゾチアジアゾリルフェニルアルキルアミノ誘導体、これらの誘導体を含有する組成物、とりわけ、血管運動症状(VMS:vasomotor symptoms)、性機能障害、胃腸および泌尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症症候群、神経系障害およびこれらの組み合わせなどのモノアミン再取り込みにより改善する症状、特に大うつ病性障害、血管運動症状、腹圧性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害およびこれらの組み合わせからなる群から選択される症状の予防および治療のための使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ホットフラッシュや夜間発汗などの血管運動症状(VMS)は、自然経過または外科手術に伴う閉経により、全女性の60%〜80%が発症する最も一般的な更年期症状である。VMSは、性ステロイドの低下に対する中枢神経系(CNS:central nervous system)の適応反応であると思われる。今日まで、VMSの最も効果的な治療は、エストロゲンおよび/または多少のプロゲスチンを含むホルモンに基づく治療である。ホルモン療法はVMSの軽減に非常に有効であるが、全女性に適するわけではない。VMSは性ステロイドレベルの変動により生じ、男性および女性のどちらにおいても悪影響であり身体に障害となる可能性があることが十分に認識されている。ホットフラッシュは最長30分間持続する可能性があり、その頻度は1週間に数回から日に複数回の発症までさまざまである。患者は、顔から胸および背中、次いで身体の他の部位へと急速に広がる突然の熱を感じるホットフラッシュを経験する。それは通常、多量の発汗を伴う。時には、1時間に数回生じることもあり、また多くの場合、夜間に生じる。夜間に生じるホットフラッシュや発汗は、睡眠不足の原因となり得る。神経質、疲労、イライラ、不眠、抑うつ、記憶障害、頭痛、不安、神経質または集中力の欠如のような観察された心理学的および感情的症状は、ホットフラッシュおよび発汗に伴う睡眠不足によって引き起こされると考えられる(非特許文献1)。
【0004】
乳ガンの治療を受けた女性のホットフラッシュはさらに重症であり、その理由はいくつかある:1)乳ガン生存者の多くはタモキシフェンを投与され、その最も一般的な副作用がホットフラッシュである、2)乳ガンの治療を受けた多くの女性は、化学療法のために早期閉経を経験する、3)乳ガン既往歴のある女性は、乳ガン再発の可能性を懸念して、一般的にエストロゲン療法を拒否する(非特許文献2)。
【0005】
男性もまたステロイドホルモン(アンドロゲン)の使用停止後に、ホットフラッシュを経験する。実際、加齢によるアンドロゲン低下の場合(非特許文献3)と、同様に前立腺ガンの治療によるホルモン不足の極端な場合(非特許文献4)とである。罹患した患者の3分の1もが、不快や不自由を感じるのに十分重い持続的かつ高頻繁に起こる症状を経験する。
【0006】
これらの症状の正確な機序は知られていないが、一般に体温調整および血管運動活性を制御する正常な恒常性維持機構の異常を意味すると考えられている(非特許文献5)。
【0007】
エストロゲン治療(例えば、エストロゲン補充療法)が症状を緩和するという事実により、これらの症状とエストロゲン不足との間の関連性が証明される。例えば、更年期は上述のさまざまな他の急性症状に関連し、これらの症状は一般的にエストロゲン反応性である。
【0008】
エストロゲンは、ノルエピネフリン系(NE)および/またはセロトニン系(5−HT)の両方の活性を刺激し得ることが示唆されている(非特許文献6)。エストロゲンはNEおよび5−HTレベルを調節し、視床下部の体温調節中枢において恒常性を担うと仮定されている。視床下部から脳幹/脊髄および副腎を経由して皮膚へと至る下行経路が正常な皮膚温度の維持に関与している。NEおよび5−HT再取り込み阻害剤の作用が、CNSおよび末梢神経系(PNS:peripheral nervous system)の両方に影響を与えることは周知である。VMSの病態生理は、中枢機構および末梢機構の両方により媒介されるため、CNSおよびPNS間に相互作用があり、このため、体温調節機能不全の治療において二重作用SRI/NRIsに有効性があることは明らかであろう。実際、生理学的見地およびVMSへのCNS/PNSの関与からみると、うつ病の行動的側面を治療するために用いられる用量よりも、VMSを治療するために提案されている用量のほうが少なくなることは明らかであろう(非特許文献7;非特許文献8)。VMSの病態生理におけるCNS/PNSの相互作用および本明細書に提示されているデータは、ノルエピネフリン系がVMSを治療するためのターゲットであり得るという請求の範囲を支持するために使用された。
【0009】
VMSはホルモン療法(経口、経皮またはインプラントによる)によって、通常治療されるが、エストロゲン療法に耐えられない患者もいる(非特許文献9、非特許文献10)。さらに、ホルモン補充療法は、ホルモン感受性ガン(例えば、乳ガンや前立腺ガン)に罹患またはその危険性がある女性や男性には、通常、推奨されない。そのため、非ホルモン療法(例えば、フルオキセチン、パロキセチン〔SRIs〕およびクロニジン)が臨床的に評価されている。特許文献1には、フルオキセチンを投与することにより女性のホットフラッシュを軽減させる方法が開示されている。ホットフラッシュの治療のため、成功の度合いはさまざまだが、ステロイド、αアドレナリン作動薬およびβ遮断薬を含む他の選択肢が研究されている(非特許文献11)。
【0010】
α−アドレナリン受容体が体温調節機能障害に影響を及ぼすことが報告されている(非特許文献12)。これらの受容体は、シナプス前およびシナプス後の両方に位置し、中枢および末梢神経系の阻害的役割を媒介する。α−アドレナリン受容体には4つのサブタイプ、すなわち、α2A、α2B、α2Cおよびα2Dがある(非特許文献13;非特許文献14)。非選択的α−アドレナリン受容体遮断薬であるヨヒンビンは紅潮を含み、α−アドレナリン受容体アゴニストであるクロニジンはヨヒンビンの効果を緩和することが報告されている(非特許文献15、非特許文献12)。クロニジンはホットフラッシュを治療するために使用されてきた。しかしながら、このような治療への使途は、本願明細書において記載および従来の技術において周知であるホットフラッシュを寛解するために、高容量を必要とすることにより多くの望まない副作用を伴う。
【特許文献1】国際公開第9944601号パンフレット
【非特許文献1】Kramer et al.、In:Murphy et al.、3rd Int’l Symposium on Recent Advances in Urological Cancer Diagnosis and Treatment−Proceedings、Paris、France:SCI:3−7(1992)
【非特許文献2】Loprinzi et al.、Lancet、2000、356(9247):2059−2063
【非特許文献3】Katovich et al.、Proceedings of the Society for Experimental Biology & Medicine、1990、193(2):129−35
【非特許文献4】Berendsen et al.、European Journal of Pharmacology、2001、419(1):47−54
【非特許文献5】Kronenberg et al.、“Thermoregulatory Physiology of Menopausal Hot Flashes:A Review,” Can.J.Physiol.Pharmacol.、1987、65:1312−1324
【非特許文献6】J.Pharmacology & Experimental Therapeutics、1986、236(3) 646−652
【非特許文献7】Loprinzi et al.、Lancet、2000、356:2059−2063
【非特許文献8】Stearns et al.、JAMA、2003,289:2827−2834
【非特許文献9】Berendsen、Maturitas、2000、36(3):155−164
【非特許文献10】Fink et al.、Nature、1996、383(6598):306
【非特許文献11】Waldinger et al.、Maturitas、2000,36(3):165−168
【非特許文献12】Freedman et al.、Fertility & Sterility、2000、74(1):20−3
【非特許文献13】Mackinnon et al.、TIPS、1994、15:119
【非特許文献14】French、Pharmacol.Ther.、1995、68:175
【非特許文献15】Katovich et al.、Proceedings of the Society for Experimental Biology & Medicine、1990、193(2):129−35
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
体温調節の複雑で多面的な特徴および体温調節の恒常性を維持するCNSとPNSとの相互作用を考慮すれば、血管運動症状をターゲットとする複合的な治療および試みを発展させることができる。本発明は、これらおよびその他重要な用法に向けられる新規化合物およびこれらの化合物を含有する組成物に焦点を当てる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明はベンゾチアジアゾリルフェニルアルキルアミノ誘導体、これらの誘導体を含有する組成物、とりわけ、血管運動症状(VMS)、性機能障害、胃腸および泌尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症症候群、神経系障害およびこれらの組み合わせなどのモノアミン再取り込みにより改善する症状、特に大うつ病性障害、血管運動症状、腹圧性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害およびこれらの組み合わせからなる群から選択される症状の予防および治療のための使用方法に関するものである。
【0013】
一実施形態において、本発明は、式Iの化合物:
【0014】
【化2】

またはその薬学的に許容される塩を示し;
式中、
Zは、CRまたはNRであり;
は、各々独立に、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、0〜3個のR11で置換されたアリールアルコキシ、0〜3個のR11で置換されたアリールオキシ、0〜3個のR11で置換されたアリール、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリール、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、0〜3個のR11で置換されたアリールスルホキシド、アルキルスルホン、0〜3個のR11で置換されたアリールスルホン、アルキルスルホンアミド、0〜3個のR11で置換されたアリールスルホンアミド、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリールオキシ、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリールメトキシ、アルキルアミド、または0〜3個のR11で置換されたアリールアミド;または2つの隣接するRはメチレンジオキシを表し;
は、0〜3個のRで置換されたアリール、または0〜3個のRで置換されたヘテロアリールであり;
は、H、F、C〜Cアルキル、またはOR12であり;
12は、HまたはC〜Cアルキルであり;
は、各々独立に、H、C〜Cアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチルまたはシクロブチルメチル、または
2つのR基は、それらが結合している窒素と一緒になって、環原子4〜6個の複素環を形成し、ここで炭素原子1個は、N、O、SまたはSOで任意に置換されてもよく、ここで任意の炭素環原子または追加のN原子はC〜Cアルキル、FまたはCFで任意に置換されてもよく;
およびRは、各々独立に、H、C〜Cアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、0〜3個のRで置換されたアリール、0〜3個のRで置換されたヘテロアリール、またはシアノ;または
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、炭素原子3〜7個の炭素環を形成し、ここで1〜3個の炭素原子は、N、O、SまたはSOで任意に置換されてもよく、ここで任意の炭素環原子または追加のN原子はC〜Cアルキル、FまたはCFで任意に置換されてもよく;
は、H、C〜Cアルキル、アルケニル、アルキニル、C〜Cシクロアルキル、0〜3個のRで置換されたアリール、または0〜3個のRで置換されたヘテロアリールであり;
は、HまたはC〜Cアルキルであり;
は、H、FまたはC〜Cアルキルであり;
10は、各々独立に、HまたはC〜Cアルキルであり;またはR10およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、炭素原子3〜6個の窒素含有環を形成し;
nは0〜4の整数であり;
mは1〜2の整数であり;
11は、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホン、アルキルスルホンアミド、またはアルキルアミド;または2つの隣接するR11はさらにメチレンジオキシを表し;
環A内の炭素原子1〜3個はNと任意に置き換えられてもよく;
2つのR基間の点線は、それらが結合している窒素と一緒になって、その2つのR基間に形成されうる環原子4〜6個の任意の複素環を表す。
【0015】
さらに他の実施形態では、本発明は、
a.少なくともひとつの式Iで表される化合物;および
b.少なくともひとつの薬学的に許容される担体
を含む組成物に関するものである。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、モノアミン再取り込みによって改善される症状の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
モノアミン再取り込みによって改善される症状は、血管運動症状、性機能障害、胃腸および泌尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症症候群、神経系障害およびこれらの組み合わせ、特に大うつ病性障害、血管運動症状、腹圧性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害およびこれらの組み合わせからなる群から選択される症状を含む。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、血管運動症状の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【0018】
さらに別の実施形態では、本発明は、うつ病の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【0019】
さらに他の実施形態では、本発明は、性機能障害の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【0020】
さらに別の実施形態では、本発明は、疼痛の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、胃腸または泌尿生殖器障害、特に腹圧性尿失禁または切迫性尿失禁の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【0022】
別の実施形態では、本発明は、慢性疲労症候群の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、線維筋痛症症候群の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、本出願の一部を形成する以下の詳細な説明および添付の図面から、さらによく理解され得る。
【0025】
(発明の詳細な説明)
本発明はベンゾチアジアゾリルフェニルアルキルアミノ誘導体、これらの誘導体を含有する組成物、とりわけ、血管運動症状(VMS)、性機能障害、胃腸および泌尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症症候群、神経系障害およびこれらの組み合わせなどのモノアミン再取り込みにより改善する症状、特に大うつ病性障害、血管運動症状、腹圧性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害およびこれらの組み合わせからなる群から選択される症状の予防および治療のための使用方法に関するものである。
【0026】
以下の定義は、本明細書に使用される用語および略語を十分に理解するために提供される。
【0027】
文脈上あきらかに他の意味に解すべき場合を除き、本願明細書および添付の特許請求の範囲に使用される単数形「a」「an」および「the」は、複数形の場合も含む。従って、例えば、「アンタゴニスト」といえば、このようなアンタゴニストが複数ある場合も含み、「化合物」といえば、当業者で周知の1種以上の化合物およびその等価物を指すといった具合である。
【0028】
本明細書おける略語は、次のように、測定値、技術、特性または化合物の単位に相当する:「min」は分を意味し、「h」は(数)時間を意味し、「μL」は(数)マイクロリットルを意味し、「mL」は(数)ミリリットルを意味し、「mM」はミリモルを意味し、「M」はモルを意味し、「mmole」は(数)ミリモルを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「SEM」は平均の標準誤差を意味し、「IU」は国際単位を意味する。「Δ℃」およびΔ「ED50値」は、観察される状態または効果を50%軽減させる用量(50%平均最大終点)を意味する。
【0029】
「ノルエピネフリントランスポーター」はNETと略される。
【0030】
「ヒトノルエピネフリントランスポーター」はhNETと略される。
【0031】
「セロトニントランスポーター」はSERTと略される。
【0032】
「ヒトセロトニントランスポーター」はhSERTと略される。
【0033】
「ノルエピネフリン再取り込み阻害剤」はNRIと略される。
【0034】
「選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤」はSNRIと略される。
【0035】
「セロトニン再取り込み阻害剤」はSRIと略される。
【0036】
「選択的セロトニン再取り込み阻害剤」はSSRIと略される。
【0037】
「ノルエピネフリン」はNEと略される。
【0038】
「セロトニン」は5−HTと略される。
【0039】
「皮下」はscと略される。
【0040】
「腹腔内」はipと略される。
【0041】
「経口」はpoと略される。
【0042】
本開示の文脈では、多くの専門用語を用いることになる。本願明細書で使用する場合、「治療」という用語は、予防的(例えば、予防方法)、治癒的または緩和的な治療を含み、本願明細書で使用する場合、「治療する」という表現は、また予防的、治癒的または緩和的な治療を含む。
【0043】
「有効量」という用語は、本願明細書で使用する場合、血管運動症状、うつ病、性機能障害または疼痛の予防または治療に関して望まれる結果を得るため、必要な用量および必要な期間で有効な量のことである。特に、血管運動症状に関して、「有効量」とは、血管運動症状を患っている対象において、その対象に有効なステロイドの欠如を、部分的または全体的に補うノルエピネフリンレベルを増加させる化合物または化合物の組成物の量のことである。さまざまなホルモンレベルは、本発明に必要とされる化合物の量に影響を及ぼす。例えば、閉経前の状態は閉経前後の状態よりホルモンレベルが高いため、必要とされる化合物のレベルは低くてよい。
【0044】
当然のことながら、本発明の成分の有効量は、特定の化合物、選択された成分または組成物、投与経路および個々が期待する反応を引き出すための成分(単独または1種以上の併用薬物との組み合わせ)の効能だけでなく、緩和され得る病状または疾患の重症度、ホルモンレベル、個々の年齢、性別、体重、患者の状態および治療される病状の重症度、それに次いで特定の患者により遂行される併用薬物療法または食事療法、当業者間で周知の他の要因により患者ごとにさまざまであり、その適切な投与量は、最終的には主治医の自由裁量によるものである。投与方法は治療の反応が好転するように調節することができる。有効量はまた、治療に有益な効果が成分の毒性または有害な影響を上回るものである。
【0045】
好ましくは、本発明の化合物は、ホットフラッシュの回数が治療開始前のホットフラッシュの回数と比較して減少する用量および期間において投与される。このような治療は、また治療開始前のホットフラッシュの重症度と比較して、発症している任意のホットフラッシュの全体的な重症度または強度分布を減少するのに有益であり得る。うつ病、性機能障害および疼痛に関して、本発明の化合物は、症状または状態が予防、緩和、寛解されるような用量、期間において投与される。
【0046】
例えば、罹患した患者において、式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、好ましくは、約0.1mg/日〜約500mg/日の用量で1日1回または2回、さらに好ましくは、約1mg/日〜約200mg/日、最も好ましくは約1mg/日〜約100mg/日の用量を、ホットフラッシュやうつ病、性機能障害、疼痛の症状や状態の回数および/または重症度の軽減および/または実質的に完治するのに十分である期間投与することができる。
【0047】
「成分」、「化合物の組成物」、「化合物」、「ドラッグ」または「薬理活性物質」または「活性物質」または「薬物」という用語は、本願明細書において、交換可能に使用され、対象(ヒトまたは動物)に投与される場合、局所作用および/または全身作用により望まれる薬理学的効果および/または生理学的効果を誘発する化合物または化合物類または合成物質のことである。
【0048】
「調節」という用語は、生物学的活性またはプロセスの機能的特性、例えば、受容体結合またはシグナル伝達活性を増強するかまたは阻害するかのいずれかの能力のことである。このような増強または阻害は、シグナル伝達経路の活性化のような特定の事象の発生を条件としおよび/または特定の細胞型においてのみ明らかになるであろう。調節物質は、任意の化合物、例えば抗体、小分子、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質、好ましくは小分子、またはペプチドを含むことを意図する。
【0049】
本願明細書で使用する場合、「阻害剤」という用語は、例えば、哺乳動物、好ましくはヒトノルエピネフリン再取り込み、セロトニン再取り込みとノルエピネフリン再取り込みの両方に対して部分的に、完全に、拮抗作用および/または阻害作用を示し、それゆえに内因性ノルエピネフリン再取り込み、セロトニン再取り込みとノルエピネフリン再取り込みの両方の生物学的効果の一部や全てを低減するか遮断する、好ましくは低減する、抗体、小分子、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質、好ましくは小分子またはペプチドのようなセロトニン再取り込み活性やノルエピネフリン再取り込み活性のような特定の活性を阻害、抑制、抑止、または減少させる任意の薬剤のことである。
【0050】
本発明の範囲において、式Iで表される化合物は、薬学的に許容される塩の形態で調製され得る。本願明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、無機塩および有機塩を含む薬学的に許容される無毒な酸から調製された塩のことである。好適な非有機塩は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などのような無機酸および有機酸含む。特に好ましくは、塩酸、臭化水素酸、リン酸および硫酸であり、および最も好ましくは塩酸塩である。
【0051】
本願明細書で使用する場合、「投与する」とは、本発明の化合物や組成物を直接投与する、体内で等しい量の活性化合物や物質を形成するであろうプロドラッグ、誘導体または類似体を投与することのいずれかを意味する。
【0052】
「対象」または「患者」という用語は、本発明の組成物および/または方法で治療可能なヒトを含む動物のことである。「対象」または「複数の対象」という用語は、一方の性が特に指定されない限り、男性および女性のどちらも示すことを意味する。従って、「患者」という用語は、ヒト、特に哺乳動物が雌であるならば、閉経前、閉経前後または閉経後のいずれかにおいて血管運動症状、うつ病、性機能障害および疼痛の治療または予防から効果を得られる任意の哺乳動物を包む。さらに、患者という用語は、ヒトを含む動物の雌、ヒトのなかでも更年期を過ぎた高齢の女性だけでなく、また子宮摘出術を経験した女性、コルチコステロイドの長期投与を受けている女性、クッシング症候群を罹患または性腺発育障害を経験してきたようなその他何らかの理由でエストロゲン産生を抑えられた女性も含む。しかしながら、「患者」という用語は、女性に限定されるものではない。
【0053】
「早発閉経」または「人工閉経」という用語は、40歳前に起こり得る原因不明の卵巣障害のことである。これは喫煙、高地での生活、または栄養不良状態と関係がある可能性がある。人工閉経は卵巣摘出、化学療法、骨盤への放射線照射または卵巣の血液供給を損なう任意のプロセスの結果生じることもある。
【0054】
「閉経前」という用語は、月経閉経の前を意味し、「閉経前後」という用語は、月経閉経の間を意味し、「閉経後」という用語は、月経停止後のことを意味する。「卵巣摘出」とは、片方の卵巣または両方の卵巣の摘除を意味し、Merchenthaler et al.、Maturitas、1998、30(3):307−316に従って行うことができる。
【0055】
「副作用」という用語は、結果として使用される薬剤または処置により、特にその投与により効果を得ようとする以外の組織または器官系において、薬によって生じる有害な影響のことである。例えば、高用量のNRIsまたはNRI/SRI化合物単独の場合、「副作用」という用語は、例えば、嘔吐、嘔気、発汗およびホットフラッシュのような症状のことであろう(Janowsky et al.、Journal of Clinical Psychiatry、1984、45(10Pt2):3−9)。
【0056】
本願明細書で使用する場合、「アルキル」とは、約1個〜約20個の炭素原子(および炭素原子の範囲内にある、特定の数のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーション)を有する任意に置換された飽和の直鎖、分枝鎖または環状の炭化水素のことであり、好ましくは、約1個〜約8個の炭素原子、さらに好ましくは本願明細書において「低級アルキル」と称される約1個〜約4個の炭素原子のことである。アルキル基は、限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、および2,3−ジメチルブチルを包む。
【0057】
本願明細書で使用する場合、「ヘテロアルキル」とは、一般式(アルキル−X)−アルキル−(式中、各「アルキル」は、独立して前記定義の通りであり、「X」はイオウ、酸素またはNヘテロ原子含有部分であり、nは1〜4、好ましくは1である)の置換基のことである。ヘテロアルキル基は、限定されるものではないが、メトキシメチル、エトキシエチル、メトキシエチル、メチルスルファニルメチル、エチルスルファニルエチル、メチルスルファニルエチル、メチルアミノエチル、エチルアミノエチルおよびメチルアミノエチルを含む。
【0058】
本願明細書で使用する場合、「アルケニル」とは、1つ以上の二重結合を有する少なくとも2個の炭素原子のアルキル基のことであり、アルキルは本願明細書において定義したとおりである。アルケニル基は、任意に置換されてもよい。アルケニル基は、適切にaC〜C20アルケニルであり、好ましくは、aC〜CアルケニルまたはaC〜Cアルケニル、例えばaC〜Cアルケニルである。
【0059】
本願明細書で使用する場合、「アルキニル」とは、1つ以上の三重結合を有する少なくとも2個の炭素原子のアルキル基のことであり、アルキルは本願明細書において定義したとおりである。アルキニル基は、任意に置換されてもよい。アルキニル基は、適切にaC〜C20アルキニルであり、好ましくは、aC〜CアルキニルまたはaC〜Cアルキニル、例えばaC〜Cアルキニルである。
【0060】
本願明細書で使用する場合、「アリール」とは、約5個〜約50個の炭素原子(および炭素原子の範囲内にある、特定の数のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーション)を有する任意に置換された、単環式、二環式、三環式またはその他多環式芳香族環系のことであり、好ましくは、約6個〜約10個の炭素原子のことである。非限定的な例としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニルおよびフェナントレニルを含む。
【0061】
本願明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」とは、少なくとも1個および好ましくは1個〜約4個のイオウ、酸素および窒素から選択されるヘテロ原子の環原子を含む任意に置換された、単環式、二環式、三環式またはその他多環式芳香族環系のことである。ヘテロアリール基は例えば、約3個〜約50個の炭素原子(および炭素原子の範囲内にある、特定の数のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーション)を有することができ、好ましくは炭素原子約4個〜約10個である。例えばヘテロアリールは、イオウ、酸素および窒素から選択される4個〜10個の炭素原子および1個〜4個のヘテロ原子を有する5個〜14個の環構成基であり得る。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、例えば、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、チオフェニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリルおよびイソオキサゾリルを包含する。
【0062】
本願明細書で使用する場合、「複素環」とは、安定した5−〜7−員の単環式や二環式または7−〜10−員の二環式複素環式環のことであり、それは飽和、部分的に不飽和または不飽和(芳香族)であり、炭素原子およびN、OおよびSからなる群から独立して選択される1個〜4個のヘテロ原子を含有し、前記定義した複素環式環がベンゼン環に縮合している任意の二環式基を包含する。窒素およびイオウヘテロ原子は任意に酸化されてもよい。複素環式環は安定した構造をもたらすいずれかのヘテロ原子または炭素原子でのペンダント基に結合してもよい。本願明細書において記載の複素環式環は、結果として得られる化合物が安定しているなら、炭素または窒素原子に置換されていてもよい。特に記載されている場合、複素環内の窒素原子は任意に四級化されてもよい。複素環内のSおよびO原子の総数が1を超えている場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接していないことが好ましい。複素環内のSおよびO原子の総数が1以下であることが好ましい。複素環の例として、限定されるものではないが、1H−インダゾール、2−ピロリドニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、2H−ピロリル、3H−インドリル、4−ピペリドニル、4aH−カルバゾール、4H−キノリジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンズイミダザロニル、カルバゾリル、4H−カルバゾリル、α−、β−またはγ−カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニルピリミジニル、フェナンスリジニル、フェナントロリニル、フェノキサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、キサンテニルを含む。好ましい複素環として、限定されるものではないが、ピリジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、1H−インダゾリル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、オキシンドリル、ベンゾオキサゾリニルまたはイサチニルを含む。また、例えば、前記複合環を含有する縮合環およびスピロ化合物も包まれる。
【0063】
本願明細書で使用する場合、「アルコキシ」は、R−O−基のことであり、本願明細書で定義されたように、Rはアルキル基である。
【0064】
本願明細書で使用する場合、「アリールオキシ」は、R−O−基のことであり、本願明細書で定義されたように、Rはアリール基である。
【0065】
本願明細書で使用する場合、「ヘテロアリールオキシ」は、R−O−基のことであり、本願明細書で定義されたように、Rはヘテロアリール基である。
【0066】
本願明細書で使用する場合、「ヘテロアリールメチル」は、R−CH−基のことであり、本願明細書で定義されたように、Rはヘテロアリール基である。
【0067】
本願明細書で使用する場合、「ヘテロアリールメトキシ」は、R−CH−O−基のことであり、本願明細書で定義されたように、Rはヘテロアリール基である。
【0068】
本願明細書で使用する場合、「アリールアルコキシ」は、R−R−O−基のことであり、本願明細書で定義されたように、Rはアリール基およびRはアルキル基である。
【0069】
本願明細書で使用する場合、「アルカノイルオキシ」は、R−C(=O)−O−基のことであり、Rは炭素原子1個〜5個のアルキル基である。
【0070】
本願明細書で使用する場合、「アリールアルキル」は、R−R−基のことであり、本願明細書で定義されたように、Rはアリール基でありおよび本願明細書で定義されたように、Rアルキル基である。
【0071】
本願明細書で使用する場合、「アルキルスルホキシド」は、本願明細書での使用を参照して、−S(=O)−Rのことであり、すでに定義した通り、Rはアルキルである。
【0072】
本願明細書で使用する場合、「アルキルスルホン」は、−S(=O)−Rのことであり、すでに定義した通り、Rはアルキルである。
【0073】
本願明細書で使用する場合、「アリールスルホキシド」は、本願明細書での使用を参照して、−S(=O)−Rのことであり、すでに定義した通り、Rはアリールである。
【0074】
本願明細書で使用する場合、「アリールスルホン」は、−S(=O)−Rのことであり、すでに定義した通り、Rはアリールである。
【0075】
本願明細書で使用する場合、「アルキルスルホンアミド」は、−NR−S(=O)−Rのことであり、すでに定義した通り、Rは各々独立にアルキルでありまたはNRの部分はまたNHでもよい。
【0076】
本願明細書で使用する場合、「アルキルスルホンアミド」は、−NR−S(=O)−Rのことであり、すでに定義した通り、Rは各々独立にアリールでありまたはNRの部分はまたNH(その他のRはアリールとして提供された)でもよい。
【0077】
本願明細書で使用する場合、「ヘテロアリールメトキシ」は、−OCH−Rのことであり、すでに定義した通り、Rはヘテロアリールである。
【0078】
本願明細書で使用する場合、「アルキルアミド」は、−NR−C(=O)−Rのことであり、すでに定義した通り、Rは各々独立にアルキルでありまたはNRの部分はまたNHでもよい。
【0079】
本願明細書で使用する場合、「アリールアミド」は、−NR−C(=O)−Rのことであり、すでに定義した通り、RおよびRzはHまたはアリール(少なくともひとつのRおよびRはアリールとして提供された)である。
【0080】
本願明細書で使用する場合、「ハロ」は、クロロ、ブロモ、フルオロおよびヨードのことである。
【0081】
任意の構成要素または任意の式において、1つ以上のいくつかの変数が発生したとき、各々の発生におけるその定義は、他の全ての発生においてその定義から独立している。もしこのような組み合わせが安定した化合物になるならば、置換の組み合わせおよび/または変数および/または置き換えた原子または基は許容される。
【0082】
一実施形態において、本発明は、式Iの化合物:
【0083】
【化3】

またはその薬学的に許容される塩を示し;
式中、
Zは、CRまたはNRであり;
は、各々独立に、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、0〜3個のR11で置換されたアリールアルコキシ、0〜3個のR11で置換されたアリールオキシ、0〜3個のR11で置換されたアリール、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリール、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、0〜3個のR11で置換されたアリールスルホキシド、アルキルスルホン、0〜3個のR11で置換されたアリールスルホン、アルキルスルホンアミド、0〜3個のR11で置換されたアリールスルホンアミド、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリールオキシ、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリールメトキシ、アルキルアミド、または0〜3個のR11で置換されたアリールアミド;または2つの隣接するRはメチレンジオキシを表し;
は、0〜3個のRで置換されたアリール、または0〜3個のRで置換されたヘテロアリールであり;
は、H、F、C〜Cアルキル、またはOR12であり;
12は、HまたはC〜Cアルキルであり;
は、各々独立に、H、C〜Cアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチルまたはシクロブチルメチル、または
2つのR基は、それらが結合している窒素と一緒になって、環原子4〜6個の複素環を形成し、ここで炭素原子1個は、N、O、SまたはSOで任意に置換されてもよく、ここで任意の炭素環原子または追加のN原子はC〜Cアルキル、FまたはCFで任意に置換されてもよく;
およびRは、各々独立に、H、C〜Cアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、0〜3個のRで置換されたアリール、0〜3個のRで置換されたヘテロアリール、またはシアノ;または
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、炭素原子3〜7個の炭素環を形成し、ここで1〜3個の炭素原子は、N、O、SまたはSOで任意に置換されてもよく、ここで任意の炭素環原子または追加のN原子はC〜Cアルキル、FまたはCFで任意に置換されてもよく;
は、H、C〜Cアルキル、アルケニル、アルキニル、C〜Cシクロアルキル、0〜3個のRで置換されたアリール、または0〜3個のRで置換されたヘテロアリールであり;
は、HまたはC〜Cアルキルであり;
は、H、FまたはC〜Cアルキルであり;
10は、各々独立に、HまたはC〜Cアルキルであり;またはR10およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、炭素原子3〜6個の窒素含有環を形成し;
nは0〜4の整数であり;
mは1〜2の整数であり;
11は、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホン、アルキルスルホンアミド、またはアルキルアミド;または2つの隣接するR11はさらにメチレンジオキシを表し;
環A内の炭素原子1〜3個はNと任意に置き換えられてもよく;
2つのR基間の点線は、それらが結合している窒素と一緒になって、その2つのR基間に形成されうる環原子4〜6個の任意の複素環を表す。
【0084】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、
ZはCRであり;
およびRは、各々独立に、C〜Cアルキルであり、または
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、炭素原子3〜7個の炭素環を形成し、ここで炭素環原子はいずれもFまたはCFで任意に置換してもよく;
は、各々独立に、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、ハロ、CN、CFまたはOCFであり、
は、0〜2個のRで置換されたアリールまたは0〜2個のRで置換されたヘテロアリールであり;
は、HまたはOHであり;
のひとつはメチルおよびもうひとつのRはHであり;
は、Hであり;
は、Hであり;
10は、Hであり;
mは1であり、
nは0〜2であり;および
環A内の炭素原子はNと置き換えられない。
【0085】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、
ZはNRであり;
は、C〜Cアルキルまたは0〜2個のRで置換されたアリールであり;
は、各々独立に、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、ハロ、CN、CFまたはOCFであり、
は、0〜2個のRで置換されたアリールまたは0〜2個のRで置換されたヘテロアリールであり;
は、HまたはOHであり;
のひとつはメチルおよびもうひとつのRはHであり;
は、Hであり;
は、Hであり;
10は、Hであり;
mは1であり、
nは0〜2でありおよび
環A内の炭素原子はNと置き換えられない。
【0086】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、ZはCR、特にCHである。
【0087】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、ZはNR、特にNHである。
【0088】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、Rは、各々独立に、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、アリールアルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールメトキシまたはアリールアミド、特にアルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、アリールアルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、シアノ、アルケニルおよびアルキニルである。式Iで表される特定のさらに好ましい実施形態では、Rはアルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロおよびシアノである。式Iで表される特定のさらに一層好ましい実施形態では、Rはアルキル(特にメチル、エチル、プロピルおよびブチル)、アルコキシ(特にメトキシおよびエトキシ)、ハロ(特にフルオロおよびクロロ)、CF、OCF、アリール(特にフェニルおよびナフチル)、ヘテロアリール(特にピリル、フリル、ピリジル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、チオフェニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリルおよびイソオキサゾリル)、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ(特にアセト)、ニトロおよびシアノである。Rは、適切にメチル、メトキシ、ヒドロキシ、ハロ、CN、CFまたはOCFになり得る。
【0089】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、2つの隣接するRはメチレンジオキシを示す。
【0090】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、Rは、0〜3個のRで置換されたアリールである。特定の特に好ましい実施形態では、Rはフェニル、ナフチル、フェニルで置換されたクロロ、フェニルで置換されたフルオロおよびクロロ、フェニルで置換されたフルオロのような、任意に置換されたアリール(特に、フルオロおよびクロロを含むハロで任意に一置換または二置換されたフェニルおよびナフチル)である。
【0091】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、Rは、0〜3個のRで置換されたヘテロアリールである。特定の特に好ましい実施形態では、Rはヘテロアリール(特にピリル、フリル、ピリジル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、チオフェニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリルおよびイソオキサゾリル)である。Rは適切に、0〜2個のRで置換されたアリールまたは0〜2個のRで置換されたヘテロアリールであろう。
【0092】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、Rは、H、FまたはC〜Cアルキルである。式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、Rは、OR12である。特定の特に好ましい実施形態では、Rは、H、F、メチル、エチル、ヒドロキシまたはメトキシである。Rは適切に、HまたはOHであろう。
【0093】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、R12は、Hまたはメチルである。
【0094】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、Rは、各々独立に、H、C〜Cアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチルまたはシクロブチルメチルである。特定のさらに好ましい実施形態では、Rは、各々独立に、HまたはC〜Cアルキル(特に、メチルおよびエチル)である。
【0095】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、2つのR基は、それらが結合している窒素と一緒になって、環原子4〜6個の複素環を形成し、ここで炭素原子1個は、N、O、SまたはSOで任意に置換されてもよく、ここで任意の炭素環原子または追加のN原子はC〜Cアルキル、FまたはCFで任意に置換されてもよい。特定の実施形態では、2つのうちひとつのRは、メチルでありおよびもうひとつのRは、Hである。
【0096】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、RおよびRは、各々独立に、H、C〜Cアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシアノである。特定のさらに好ましい実施形態では、RおよびRは、各々独立に、H、メチルまたはエチルである。
【0097】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、RおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、炭素原子3〜7個の炭素環を形成し、ここで炭素原子1〜3個は、N、O、SまたはSOで任意に置換されてもよく、ここで任意の炭素環原子または追加のN原子はC〜Cアルキル、FまたはCFで任意に置換されてもよい。特定の実施形態では、RおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、炭素原子3〜7個の炭素環を形成し、ここで任意の炭素環原子はFまたはCFで任意に置換されてもよい。
【0098】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、Rは、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、アリール(特に、Rで任意に一置換された)またはヘテロアリール(特に、Rで任意に一置換された)である。特定のさらに好ましい実施形態では、Rは、H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール(特に、ハロとりわけクロロで両方任意に一置換されたフェニルおよびナフチル)またはヘテロアリール、特にピリル、フリル、ピリジル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、チオフェニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリルおよびイソオキサゾリル)である。特に好ましい実施形態では、Rは、H、C〜Cアルキル(メチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチルのような)または置換されたフェニル(フェニルで置換されたクロロおよびフェニルで置換されたフルオロのような)である。他の特に好ましい実施形態では、Rは、メチル、イソプロピルまたはフェニルで置換されたクロロである。特定の実施形態では、Rは、C〜Cアルキルまたは0〜2個のRで置換されたアリールである。
【0099】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、Rは、H、メチルまたはエチル、特にHである。
【0100】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、Rは、H、メチルまたはエチル、特にHである。
【0101】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、R10は、各々独立に、H、メチルまたはエチル、特にHである。
【0102】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、R10およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、炭素原子3〜6個を含む窒素含有環を形成する。
【0103】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、nは0〜2の整数、特に0〜1、さらにより特に0である。
【0104】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、mは1である。
【0105】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、R11は、アルキル(特にメチル、エチル、プロピルおよびブチル)、アルコキシ(特にメトキシおよびエトキシ)、ハロ(特にフルオロおよびクロロ)、CF、OCF、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ(特にアセト)、ニトロまたはシアノである。
【0106】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、2つの隣接するR11はまた、メチレンジオキシを示す。
【0107】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、環A内の炭素原子1〜3個はNと任意に置き換えられてもよい。特定の実施形態では、環A内の炭素原子はNに置き換えられない。
【0108】
式Iで表される化合物について特定の好ましい実施形態では、2つのR基間の点線は、それらが結合している窒素と一緒になって、その2つのR基間に形成されうる環原子4〜6個の任意の複素環を示す。
【0109】
式Iで表される好ましい化合物は:
3−[3−(4−クロロフェニル)−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル]−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミン;
3−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチルプロパン−1−アミン;
3−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)プロパン−1−アミン;
N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−3−フェニルプロパン−1−アミン;
N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−3−フェニルプロパン−1−アミン;
3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミン;
3−(3−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチルプロパン−1−アミン;
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0110】
特に好ましい化合物は:
(3R)−3−[3−(4−クロロフェニル)−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル]−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミン;
(3R)−3−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチルプロパン−1−アミン塩酸塩;
(3R)−3−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)プロパン−1−アミン塩酸塩;
(3R)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−3−フェニルプロパン−1−アミン塩酸塩;
(3S)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−3−フェニルプロパン−1−アミン塩酸塩;
(3R)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミン;
(3R)−3−(3−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチルプロパン−1−アミン塩酸塩;
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0111】
本発明の化合物のいくつかは、キラル中心を含有可能であり、このような化合物は、立体異性体(すなわち、エナンチオマー)の形態で存在することができる。本発明は、すべてのこのような立体異性体およびラセミ混合物を包むその任意の混合物を包含する。立体異性体のラセミ混合物および実質的に純粋な立体異性体は、本発明の範囲内に含まれる。本願明細書で使用する場合、「実質的に純粋」なる表現は、他に起こり得る立体異性体に対して、少なくとも約90モル%、さらに好ましくは少なくとも約95モル%、最も好ましくは少なくとも約98モル%の望まれる立体異性体が存在することである。好ましいエナンチオマーは、高性液体クロマトグラフィー(HPLC:high performance liquid chromatography)およびキラル塩の形成および結晶化をはじめとする当業者に周知の方法によりラミセ混合物から単離可能、あるいは本願明細書に記載された方法により調製可能である。例えば、Jacques et al.、Enantiomers、Racemates and Resolutions(Wiley Interscience、New York、1981);Wilen、S.H.et al.、Tetrahedron、33:2725(1977);Eliel、E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds、(McGraw−Hill、NY、1962);Wilen、S.H.Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions、p.268(E.L.Eliel編、University of Notre Dame、IN 1972)参照。
【0112】
本発明は、式Iで表される化合物のプロドラッグを包含する。本願明細書で使用する場合「プロドラッグ」とは、代謝的手段(例えば、加水分解)によりin vivoで式Iで表される化合物に変換可能な化合物を意味する。例えば、Bundgaard、(編)、Design of Prodrugs、Elsevier(1985);Widder et al.、(編)、Methods in Enzymology、第4巻、Academic Press(1985);Krogsgaard−Larsen et al.、(編)。“Design and Application of Prodrugs、”Textbook of Drug Design and Development、第5章、113〜191(1991)、Bundgaard et al.、Journal of Drug Deliver Reviews、1992、8:1〜38、Bundgaard、J. of Pharmaceutical Sciences、1988、77:285 et seq.;and Higuchi and Stella(編)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems、American Chemical Society(1975)に開示されるように、さまざまな形態のプロドラッグが当業者において周知である。
【0113】
さらに、式Iで表される化合物は非溶媒和ならびに水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒との溶媒和の形態にて存在可能である。一般に、溶媒和の形態は本発明の目的として非溶媒和形態と等価であると考えられる。
【0114】
本発明の化合物は当業者に周知の多くの方法にて調製可能である。本発明の化合物は、例えば、以下に記載の方法により、あるいは当業者により認識されるようなバリエーションにより合成可能である。本発明と関連して開示される方法はすべて、ミリグラム、グラム、マルチグラム、キログラム、マルチキログラムまたは商業的産生規模を含む、どのような規模でも実施されることを意図する。
【0115】
容易に理解されるように、合成の間、官能基は保護基を含有していてもよい。保護基はそれ自体、ヒドロキシ基およびカルボキシル基などの、官能基に選択的に結合し、かつ除去され得る化学官能基として知られている。これらの基は化合物中にてかかる官能基をその化合物が曝される化学反応条件に対して不活性とするために存在する。それぞれいずれの保護基も本発明にて利用可能である。本発明に従って利用されうる保護基はGreene,T.W.およびWuts,P.G.M.、Protective Groups in Organic Synthesis 第2版、Wiley & Sons、1991に記載されている。
【0116】
本発明の化合物は、以下の一般な記載および具体例に従って適切に調製される。特に記載しない限り、使用される可変基は、式Iにおいて定義される通りである。本発明の化合物の調製において使用される試薬は、商用に入手可能であるか、または文献に記載の標準的な方法により調製可能かのいずれかである。
【0117】
本発明の化合物は、キラル中心を含有し、エナンチオマー混合物ならびに光学異性体などのさまざまな立体異性体を提供する。個々の光学異性体は、不斉合成および/または立体異性体合成を介して直接的に、またエナンチオマー混合物からの光学異性体の慣用的なキラル分取によって、調製することができる。
【0118】
本発明の化合物は、当業者に周知のいくつもの方法で調整可能である。化合物は例えば、下記に記載されている方法、または当業者によって高く評価されるようなバリエーションにより合成可能である。本発明に関連する全ての開示された工程は、ミリグラム、グラム、マルチグラム、キログラム、マルチキログラムまたは商工業的基準を含むいずれのスケールで実施することを意図する。本発明の化合物は、以下の一般な記載および具体例に従って適切に調製される。特に記載しない限り、使用される可変基は、式Iにおいて定義される通りである。本発明の化合物の調製において使用される試薬は、商用に入手可能であるか、または文献に記載の標準的な方法により調製可能かのいずれかである。
【0119】
本発明の化合物は、キラル中心を含有し、エナンチオマー混合物ならびに光学異性体などのさまざまな立体異性体を提供する。個々の光学異性体は、不斉合成および/または立体異性体合成を介して直接的に、またエナンチオマー混合物からの光学異性体の慣用的なキラル分取によって、調製することができる。
【0120】
容易に理解されるように、合成の間、官能基は保護基を含有していてもよい。保護基はそれ自体、ヒドロキシ基およびカルボキシル基などの、官能基に選択的に結合し、かつ除去され得る化学官能基として知られている。これらの基は化合物中にてかかる官能基をその化合物が曝される化学反応条件に対して不活性とするために存在する。それぞれいずれの保護基も本発明にて利用可能である。本発明に従って利用されうる保護基はGreene,T.W.およびWuts,P.G.M.、Protective Groups in Organic Synthesis 第2版、Wiley & Sons、1991に記載されている。
【0121】
本発明によれば、式Iで表される化合物は、次の反応スキーム(スキームI〜VI)により合成される。本発明によれば、式Iで表される化合物は、次の反応スキーム(スキームI〜VI)により合成される。化合物は、望まれるジアステレオマーに応じて2種類の異なる合成ルート(AおよびB、スキームIおよびII)により調製可能である。式I−aで表される化合物を合成することが望まれる場合、第1アルコールを脱離基に選択的に変換し、所望のアミンと置き換えることにより、式4で表される化合物から調製することができる。(ルートA、スキームI)。この変換のため、第1アルコールの脱離基への選択的変換の任意の従来の方法および第1脱離基をアミンと置き換える任意の従来の方法を利用することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、式4で表されるジオールは、式5で表されるトシラートを形成するためピリジン中のパラトルエンスルホニルクロリドで処理され、密封管にて室温または約40℃〜約80℃に加熱したいずれか一方の過剰のアルコール性アミン溶液で処理することにより、式I−aで表される化合物に変換する。式I−aで表される化合物は、任意の従来の方法を使用して薬学的に許容される塩に変換可能である。
【0122】
【化4】

式中、
A、Z、R、n、R、R、R、R、R10、R12は前記のとおりである。
【0123】
P=保護基;好ましくはトリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、パラ−ニトロベンゾイル;およびOTs=パラ−トルエンスルホニル酸または任意の従来の脱離基。
【0124】
式I−aaで表される化合物を形成することが望まれる場合、第1級アルコールの選択的保護、第2級アルコールのアルキル化、および第1級アルコールの脱保護によって、式4の化合物から調製可能である。任意の従来のアルコール保護基は、この変換のために利用することができ、第1級アルコールの選択的保護のため任意の方法を用いることができる。本発明の好ましい実施形態によれば、この反応は、式6で表される化合物を形成するベースとしてトリメチルシリル塩化物と一体になったジクロロメタンおよびトリエチルアミンにおいて低温で行われる。第2級アルコールのアルキル化は、文献にみられるように第2級アルコールのアルキル化の従来の任意の方法によって行うことが可能である。本発明の好ましい実施形態によれば、式6で表される化合物は、式8で表される化合物を形成する塩基として、水素化ナトリウムを用いてハロゲン化アルキルと反応し、第1級アルコールの脱保護のため任意の従来の方法によって式9で表される化合物を形成するため、脱保護が可能である。本発明の好ましい実施形態によれば、式8で表される化合物は、式9で表される化合物を形成するため希塩酸水溶液またはジクロロメタン中トリフルオロ酢酸で処理される。式I−aaで表される化合物の合成を完了するため、式9で表される化合物における第1級アルコールの転換は、式I−aで表される化合物の合成のため前述のとおり行うことができる。式I−aaで表される化合物は、任意の従来の方法を用いて薬学的に許容される塩に変換することができる。
【0125】
別法として、式10で表される化合物は、式5で表される化合物から直接調節可能である。トシル基に存在する水酸基をアルキル化する任意の方法は、この転換に使用可能である。本発明の好ましい実施形態に従うと、式5で表される化合物は、アルキルトリフルオロメタンスルホン酸、例えばヒンデレド塩基に存在するメチルリフルオロメタンスルホン酸、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジンで処理される。室温または約40℃〜約80℃に加熱したどちらかにおいて、反応が起こる。式10で表される化合物は、式I−aで表される化合物の合成のため、前述のとおり式I−aaで表される化合物へ転換可能である。式I−aaで表される化合物は、任意の従来の方法を用いて薬学的に許容される塩に変換可能である。
【0126】
式I−bで表される化合物を形成することが望まれる場合、ルートB(スキームII)によって、また式4の化合物から調製可能である。このルートは、第1級アルコールの選択的保護、次いで第2級アルコール脱離基への変換を含む。この変換のため、第1級アルコールの選択的保護のための任意の従来の方法および第2アルコール脱離基への変換のための任意の従来の方法を利用することができる。本発明の好ましい実施形態に従って、式4で表される化合物は、式11で表される化合物を形成するため、低温(好ましくは約0℃以下)のピリジン中のパラ−ニトロベンゾイルクロライドで処理される。式11で表される化合物は、塩基としてトリエチルアミンを使用するジクロロメタンにおけるメタンスルホニルクロリドとの反応によって、式12で表される第2のメシル酸に変換可能である。反応は、好ましくは約−15℃〜約10℃の間の温度で行われる。式12で表される化合物における第1級アルコールの脱保護は、結果としてC2で立体中心の反転を生じるS2反応を介する第1エポキサイドの形成を可能にする。この変換のため、第1級アルコールの脱保護のための任意の従来の方法およびα脱離基の上にエポキシド形成のための任意の従来の方法を利用することができる。本発明の好ましい実施形態に従って、式12で表される化合物を、有機溶媒中の好適な塩基の水溶液、好ましくは、ジオキサン中の水酸化ナトリウム溶液で処理する。式13で表される得られたエポキシドは、式I−bで表される所望のアミノアルコールを産生するために適切なアミンと位置選択的に開環可能である。第1エポキシドの位置選択的開環のための任意の従来の方法は、この変換に使用可能である。本発明の好ましい実施形態に従って、式13で表される化合物を、密封フラスコにて室温または約40℃〜約90℃に加熱したいずれか一方の過剰のアルコール性アミン溶液で処理する。式I−bで表される化合物は従来の方法を用い、薬学的に許容される塩へ変換可能である。
【0127】
【化5】

式中、
A、Z、R、n、RおよびR、R、R10は、前記のとおりである。
【0128】
は、Hであり
PNB=パラ−ニトロベンゾイルまたは任意の従来の保護基;および
OMs=メタンスルホン酸または任意の従来の脱離基。
【0129】
式I−bbで表される化合物を形成することが望まれる場合、アミンの保護、第2級アルコールのアルキル化およびアミンの脱保護によって、式I−bで表される化合物から製造可能である(スキームIII)。この変換のため、アミンの保護、第2級アルコールのアルキル化およびアミンの脱保護のための任意の従来の方法を利用することができる。本発明の好ましい実施形態に従って、式I−bで表される化合物を、boc無水物、ここでboc=tert−ブトキシカルボニルで処理して式14で表される化合物を形成し、それを塩基としての水素化ナトリウムを使用したアルキルハロゲン化物でアルキル化し、式15で表される化合物を形成する。酸、好ましくはジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸を使用して脱保護を完了させた式I−bbで表される化合物を形成し、従来の方法を用いて薬学的に許容される塩へ変換可能である。
【0130】
【化6】

式中、
A、Z、R、n、RおよびR、R、R、R10は、前記のとおりである。
【0131】
12は、C〜C低級アルキル、P=保護基、好ましくはtert−ブトキシカルボニル)。
【0132】
式I−a(RがOR12以外の場合)で表される化合物は、最終脱離器を所望のアミンと置き換えることにより、式16で表される化合物から調製可能である(スキームIV)。この変換のため、第1脱離器をアミンと置き換えるための任意の従来の方法が利用可能である。本発明の好ましい実施形態によると、式16で表されるアルキル塩化物は、式I−a(RがOR12以外の場合)で表される化合物を提供するため、アルコール溶媒中のヨウ化カリウムやヨウ化ナトリウム、例えば、メタノールやエタノールのような求核的ヨウ化物試薬下にある適切なアミンで処理される。反応は一般に、40〜90℃に加熱した密封管の中で行われた。式I−a(RがOR12以外の場合)で表される化合物は、従来の方法を使用して、薬学的に許容される塩へ変更可能である。
【0133】
【化7】

式4で表される化合物は、式17(スキームV)で表される適切に置換された化合物と式18(アルカリ化アルコールで適切に置換されたエポキサイドによって形成)で表される適切に置換されたエポキサイドの局所および立体選択性環開によって形成され得る。この変換によって、エポキサイドの局所および立体選択性環開のための任意の従来の方法が使用可能である。本発明の好ましい実施形態によれば、式17で表される化合物は、例えば、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムtert−ブトキシド、水酸化カリウム、カリウムtert−ブトキシドを基に処理され、次に、これに限定されるものではないが、THF、DMF、水、塩化メチレンおよびエタノールを含む適切な溶剤で式18で表されるエポキサイドが処理される。式18で表されるエポキサイドは、局所選択性環開を強めるため、例えば、チタンイソ−プロポキシド、三フッ化ホウ素などのルイスさんで事前処理が可能である。反応は、室温〜80℃を超える温度に加熱し、約2時間〜約72時間の間継続して行われた。あるいは、例えばインドリンのような、適切な求核である式17で表される化合物は、式4で表される化合物により約50℃〜約170℃の温度で、式18で表されるエポキサイドと加熱可能である。
【0134】
トランス−アリル型アルコールのエポキシ化は、文献に記載されている方法を使用してラセミ的または非対称的に行うことが可能である。本発明の好ましい実施形態によれば、ラセミ的エポキシ化は、過酢酸またはメタクロロ過安息香酸のどちらかを用いて行われる。式Iで表される化合物の単一のエナンチオマーの産生を望むなら、適切な酒石酸エステル、チタン(IV)、イソプロポキシドおよびモレキュラーシーブにおいて、tert−ブチルヒドロペルオキシドまたはクメンヒドロペルオキシドを用いて、アリル型アルコールの非対称的エポキシ化を行うことが可能である。この方法は、文献にて十分に確立されている(例えば、K.B.Sharpless et al.、J.Org、Chem、1986、51、3710)。式17で表される化合物および原発アリル型アルコールは、商業的供給源より入手可能、または文献にて十分に確立された方法によって利用可能である。
【0135】
【化8】

式中、
A、Z、R、n、R、R、R10およびRは、前記のとおりである。
【0136】
式16で表される化合物は、スキームVIに従って調製可能である。式19で表される化合物の水酸基は、式16で表される化合物を産生するため、式17で表される化合物から生成された陰イオンによって、活性、続いて置換可能である。この変換のために、式19で表される化合物の水酸基を活性させるための任意の従来の方法、式17で表される化合物の陰イオンの生成および活性化した水酸基を連続して置換するための任意の従来の方法が、利用可能である。本発明の好ましい実施形態によれば、式19で表される3−クロロプロパンオールを適切に置換した水酸基は、Mitsunobuプロトコールによって活性および式16で表される化合物を産生するため式17で表される化合物で処理可能である。Mitsunobu手法は(例えば、Hughes、David L.、Organic Preparations and Procedures International、(1996)、28(2)、127−64)で十分に立証されている。本発明の好ましい実施形態によれば、式16で表される化合物は、化合物17、19の混合物およびDIAD(diisopropyl azodicarboxylate)とTHFのような非プロトン性溶媒におけるトリフェニルホスフィンの処理によって生成可能である。反応は、一般に、2〜72時間の連続した数時間、不活性ガスのブランケット下の室温において行われた。
【0137】
【化9】

他の実施形態では、本発明は、
a.少なくとも式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩;および
b.少なくともひとつの薬学的に許容される担体
を含む製剤組成物に関するものである。
一般に、式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、製剤組成物の総重量に基づいて、製剤組成物の総重量に基づいて、約0.1%重量%〜約90重量%のレベルで存在し得る。好ましくは、式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、製剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも約1重量%のレベルで存在し得る。一層好ましくは、式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、製剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも約5重量%のレベルで存在し得る。さらに一層好ましくは、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤またはその薬学的に許容される塩は、製剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも約10重量%のレベルで存在し得る。さらにより一層好ましくは、式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩は、製剤組成物の総重量に基づいて、少なくとも約25重量%のレベルで存在し得る。
【0138】
かかる組成物は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、17th edition、ed.Alfonoso R.Gennaro、Mack Publishing Company、Easton、PA(1985)に記載されているように、許容される製薬方法に従って調製される。薬学的に許容される担体は、処方中の他の成分に適合し、生物学的に許容されるものである。
【0139】
本発明の化合物は、そのまま、または従来の製薬担体との組み合わせにおいて、経口または非経口投与することができる。適用可能な固体担体は、矯味矯臭剤、潤滑剤、可溶化剤、懸濁化剤、充填剤、流動促進剤、圧縮助剤、結合剤または錠剤破壊剤またはカプセル化材としても作用可能な1種以上の物質を含むことができる。散在において、担体は微粉砕された活性成分との混合物である微粉砕された固体である。錠剤において、活性成分は、好適な割合で必要な圧縮特性を有する担体と混合され、望まれる形状およびサイズに圧縮される。散剤および錠剤は、好ましくは、活性成分を最高99%まで含む。好適な固体担体は、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、澱粉、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂を含む。
【0140】
液剤、懸濁剤、エマルジョン剤、シロップ剤およびエリキシル剤を調製するには、液体担体を用いてもよい。水、有機溶媒、その両方の混合物または薬学的に許容される油や脂のような薬学的に許容される液体担体に、本発明の活性成分を溶解または懸濁することができる。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味剤、矯味矯臭剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定化剤または浸透圧調節剤のような他の好適な製薬添加剤を含有可能である。経口および非経口投与用の液体担体の好適な例は、水(特に、上記した添加剤、例えばセルロース誘導体、好ましくはナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液を含む)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えばグリコールを含む)、それらの誘導体および油類(例えば、ヤシ油および落花生油)を包含する。非経口投与の場合、担体はまたオレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルのような油性エステルでもあり得る。滅菌液体担体は、非経口投与用の滅菌液体形態の組成物に用いられる。
【0141】
滅菌溶液または懸濁液である液体製剤組成物は、例えば、筋肉注射、腹腔内注射または皮下注射により投与可能である。滅菌溶液を静脈内に投与することもまた可能である。経口投与は、液体または固体のいずれかの形態の組成物であり得る。
【0142】
好ましくは、製剤組成物は、単位剤形、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、エマルジョン、顆粒剤または坐剤である。このような剤形において、組成物は、適量の活性成分を含有する単位用量に細分され;単位剤形は包装された組成物、例えば小包入り散剤、バイアル、アンプル、充填済み注射器または液体を含有する小袋であり得る。単位剤形は、例えば、カプセル剤または錠剤そのものであってもよく、またはパッケージ形態の適正な量の任意のこのような組成物であってもよい。
【0143】
本発明の別の実施形態では、本発明において有用な化合物は、哺乳動物が発症する全ての病状を治療するため使用される薬剤などの1種以上の他の製薬活性剤と共に、哺乳動物へ投与され得る。前記製薬活性剤の例としては、鎮痛剤、血管新生阻害剤、抗腫瘍剤、抗糖尿病薬、抗感染症薬や胃腸薬またはこれらの組み合わせを含む。
【0144】
一種以上の製薬活性剤を、治療有効量で、同時(例えば、同時だが各々、製剤組成物中に含んで)および/または一種以上の本発明で表される化合物に続いて投与可能である。
【0145】
「併用療法」という用語は、本開示において説明される治療症状または障害、例えば、ホットフラッシュ、発汗、体温調節に関連する症状や障害またはその他を治療するための、2種以上の治療薬または化合物の投与のことである。このような投与は、各種類の治療薬を同時に使用することを含む。いずれの場合においても、治療計画は、本願明細書において記載される状態または障害の治療において、薬剤の組み合わせの有益な効果をもたらす。
【0146】
投与ルートは、式Iで表される活性化合物またはその薬学的に許容される塩を、適切または所望の作用部位へ効率よく運ぶ、例えば経口、経鼻、経肺、経皮、例えば受動的またはイオン導入送達あるいは非経口、例えば経直腸、持続性薬剤、皮下、静脈内、尿道内、筋肉内、鼻腔内、点眼剤または軟膏などいずれかのルートであってよい。さらに、式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩と他の活性成分との投与は、連続的であっても同時であってもよい。
【0147】
本発明は、モノアミン再取り込みによって改善される症状、とりわけ、血管運動症状(VMS)、性機能障害、胃腸および泌尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症症候群、神経系障害およびこれらの組み合わせを含む症状、特に大うつ病性障害、血管運動症状、腹圧性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害およびこれらの組み合わせからなる群から選択される症状の治療、軽減、阻害および/または予防の分野において、実質的な飛躍的進歩をもたらすと考えられる。
【0148】
従って、一実施形態では、本発明は、モノアミン再取り込みにより改善される症状の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
モノアミン再取り込みによって改善される症状は、血管運動症状、性機能障害、胃腸および泌尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症症候群、神経系障害およびこれらの組み合わせ、特に大うつ病性障害、血管運動症状、腹圧性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害およびこれらの組み合わせからなる群から選択される症状を含む。
【0149】
「血管運動症状」、「血管運動不安定症状」および「血管運動障害」は、限定されるものではないが、特に体温調節機能不全により引き起こされる、ホットフラッシュ(ほてり)、不眠症、睡眠障害、気分障害、イライラ、過度の発汗、寝汗疲労などを含む。
【0150】
「ホットフラッシュ」という用語は、一般に、対象において突然皮膚が赤くなり、通常発汗を伴う、体温における一過性障害のことをいう専門用語である。
【0151】
「性機能障害」という用語は、限定されるものではないが、性的欲求および/または性的興奮に関連する症状を含む。
【0152】
本願明細書において用いられる、「胃腸および泌尿生殖器障害」という用語は、過敏性腸症候群、症候性GERD、食道過敏症、非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛、胆管ジスキネジア、オディ括約筋機能不全、尿失禁(すなわち、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、真性腹圧性尿失禁、混合型尿失禁)(限定されるものではないが、括約筋制御、認知機能の喪失、過度の膀胱膨満、反射亢進および/または尿道括約筋の弛緩、膀胱または神経異常に伴う筋力低下を含む1つ以上の原因による無意識の排便または排尿および便または尿または後だれまたは漏れを含む)、間質性膀胱炎(過敏性膀胱)および慢性骨盤痛(限定されるものではないが、外陰痛、前立腺痛および直腸痛を含む)を含む。
【0153】
本願明細書において用いられる、「慢性疲労症候群」(CFS:chronic fatigue syndrome)という用語は、衰弱、筋肉痛および疼痛、過剰な眠気、倦怠感、発熱、咽頭炎、リンパ節痛、記憶および/または精神集中障害、不眠、睡眠障害、限局性圧痛、広範な疼痛や疲労およびこれらの組み合わせから選択される生理学的症状を特徴とする症状である。
【0154】
本願明細書において用いられる、「線維筋痛症候群」(FMS:fibromyalgia syndrome)という用語は、FMSのほか、うつ病、身体化障害、転換性障害、疼痛障害、心気症、身体醜形障害、未分化身体表現性障害および身体表現性NOSを伴うFMSが含まれるその他の身体表現性障害を含む。FMSおよびその他の身体表現性障害は、感覚的刺激の全身性知覚の高揚、異痛症の形態の痛覚異常(無害な刺激に伴う疼痛)、痛覚過敏の形態の痛覚異常(疼痛刺激に対する感度の亢進)およびこれらの組み合わせから選択される生理学的症状を伴う。
【0155】
本願明細書において用いられる、「神経系障害」という用語は、嗜好障害(アルコール、ニコチンおよび他の精神活性物質によるものを含む)および禁断症候群、加齢に伴った学習、精神障害(アルツハイマー病を含む)、神経性摂食障害、神経性過食症、多動性障害を伴うまたは伴わない注意欠陥症状、疼痛、気分循環性障害、うつ病(大うつ病性障害、難治性のうつ病、青年期のうつ病および小うつ病を含む)、気分変調性障害、全般性不安障害(GAD:generalized anxiety)、肥満(すなわち、肥満体または太りすぎの患者の体重の減少)、強迫神経症および関連するスペクトル障害、反抗的行為障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、月経前不快気分障害(すなわち、月経前症候群および後期黄体期不快気分障害)、精神病性障害(統合失調症、統合失調性感情障害および統合失調症様障害を含む)、季節性情動障害、睡眠障害(ナルコレプシーおよび夜尿症などの)、対人恐怖(社会不安障害を含む)、選択的セロトニン再取り込み阻害(SSRI)「プープアウト(poop out)」症候群(すなわち、初期には満足のいく反応を見せるが、その後はSSRI治療に対して満足のいく反応を維持できない患者)を含む。
【0156】
本願明細書において用いられる、「疼痛」という用語は、急性疼痛および慢性疼痛の両方を含む、中心性疼痛、末梢性疼痛またはこれらの組み合わせであり得る。この用語は、限定されるものではないが、神経障害性疼痛、内臓痛、筋骨格系疼痛、骨痛、ガン性疼痛、炎症性疼痛およびこれらの組み合わせ、例えば、腰痛、非典型的胸痛、群発頭痛のような頭痛、片頭痛、ヘルペス神経痛、幻肢痛、骨盤痛、筋筋膜性顔面痛、腹痛、頸部痛、中心性疼痛、歯痛、オピオイド耐性痛、内臓痛、術後疼痛、骨損傷痛、陣痛時および出産時の痛み、火傷による痛み、分娩後の痛み、狭心痛、末梢神経障害および糖尿病性神経障害のような神経障害性疼痛、術後痛および本願明細書において記載の神経系障害との合併症である疼痛などを包含する、多くの異なる種類の疼痛を含む。
【0157】
本願明細書において用いられる、「急性疼痛」という用語は、本質的には、激痛、限局痛、鋭痛や刺痛および/または鈍痛、うずく痛み、広範な痛みまたは灼熱痛であり、短時間生じる、中心性または末梢性疼痛のことである。
【0158】
本願明細書において用いられる、「慢性疼痛」という用語は、本質的には、激痛、限局痛、鋭痛や刺痛および/または鈍痛、うずく痛み、広範な痛みまたは灼熱痛であって、長時間生じる(すなわち持続性および/または定期的に再発する)中心性または末梢性疼痛のことであり、本発明では、神経障害性疼痛およびガン性疼痛を包含する。慢性疼痛としては、神経障害性疼痛、痛覚過敏および/または異痛症が含まれる。
【0159】
本願明細書において用いられる、「神経障害性疼痛」という用語は、末梢神経系や中枢神経系の損傷または病変変化により引き起こされる慢性疼痛のことである。神経障害性疼痛に関連する病理変化の例は、遷延性の末梢神経感作または中枢神経感作、中枢神経阻害機能および/または活性(exhibitory)機能に対する中心感作関連性損傷および副交感神経と交感神経間の異常な相互作用を含む。例えば、糖尿病、切断の外傷後疼痛(幻肢痛のような末梢性および/または中枢性感作を引き起こす損傷が起因となる神経損傷)、腰痛、ガン、化学傷害、毒素、他の大手術、外傷圧迫による末梢神経損傷、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、腰椎または頸椎神経根症、線維筋痛、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、灼熱痛、視床症候群、神経根引き抜き損傷、反射性交感神経性ジストロフィーまたは開胸術後疼痛、栄養障害あるいは帯状疱疹またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)のようなウイルスまたは細菌感染症およびこれらの組み合わせを包含する、さまざまな臨床状態が、神経障害性疼痛に関連するかまたはその基礎をなす可能性がある。神経障害性疼痛の定義には、転移性浸潤、有痛脂肪症、火傷、視床症状に関連する中心性疼痛症状およびこれらの組み合わせに続発する症状も含まれる。
【0160】
本願明細書において用いられる、「痛覚過敏」という用語は、典型的侵害刺激に対する感受性の亢進がある疼痛のことである。
【0161】
本願明細書において用いられる、「異痛症」という用語は、典型的非侵害刺激に対する感受性の亢進がある疼痛のことである。
【0162】
本願明細書において用いられる、「内臓痛」という用語は、例えば潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、過敏性膀胱、クローン病、リウマチ(関節痛)、腫瘍、胃炎、膵炎、臓器感染症、胆管傷害およびこれらの組み合わせのような内臓疾患と関連するかまたはこのような疾患から生じる疼痛のことである。
【0163】
本願明細書において用いられる、「女性特有の疼痛」という表現は、女性の状態に関連した急性および/または慢性の疼痛のことである。このような疼痛は、例えば、月経、排卵、妊娠または出産、流産、子宮外妊娠、逆行性月経、卵胞嚢胞または黄体嚢胞の破裂、骨盤内臓器の炎症、子宮筋腫、腺筋症、子宮内膜症、感染症および炎症、骨盤臓器虚血、閉塞症、腹腔内癒着、骨盤内臓器の解剖学的歪み、卵巣膿瘍、骨盤支持体の喪失、腫瘍、骨盤鬱血性または非婦人科的原因による関連痛およびこれらの組み合わせを包含する女性のみまたは主に女性が直面する疼痛を含む。
【0164】
一実施形態では、本発明は、血管運動症状の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【0165】
エストロゲンレベルが低いかまたはエストロゲンが存在しない場合、NEおよび5−HT間の正常なレベルは変更され、この神経伝達物質レベルの変化の結果、体温調節中枢の感受性が変化し得る。変更された化学物質レベルが、体温調節中枢に伝わると熱感として解釈され、それに反応し、視床下部が下降自律神経経路を活性化し、その結果、血管拡張および発汗(ホットフラッシュ)により放熱される(図1)。従って、エストロゲン欠乏の結果、ノルエピネフリン活性が変わってしまう。
【0166】
脳幹の周核体で合成されたノルエピネフリンは、視床下部および脳幹にある神経末端で放出される。視床下部においてNEは、体温調節中枢にあるニューロンの活性を調節する。脳幹においてNEは、セロトニン作動性ニューロン(5HT)を神経支配し、アドレナリン作用性α1およびアドレナリン作用性α2シナプス後受容体により作用し、セロトニン作用系の活性を刺激する。それに反応して、5−HTニューロンもまた、体温調節中枢の活性を調節し、NEニューロンへフィードバックする。このフィードバック結合により、5−HT2a受容体により作用する5−HTは、NEニューロンの活性を阻害する。シナプス間隙におけるノルエピネフリンもまた、NEニューロン中に位置するNEトランスポーター(NET)により取り込まれる。トランスポーターはNEを再循環し、複数の神経伝達に利用できるようにする(図2)。
【0167】
本発明は、ノルエピネフリンの活性の低下を回復する方法による血管運動症状の治療を提供する。視床下部または脳幹におけるノルエピネフリン活性は、(i)NEトランスポーターの活性を遮断する、(ii)シナプス前アドレナリン作用性α2受容体の活性をアンタゴニストで遮断する、または(iii)NEニューロンに対する5−HTの活性を5−HT2aアンタゴニストで遮断することにより亢進され得る。
【0168】
別の実施形態では、本発明は、うつ病の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【0169】
さらに他の実施形態では、本発明は、性機能障害の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【0170】
別の実施形態では、本発明は、胃腸または泌尿生殖器障害、特に腹圧性尿失禁または切迫性尿失禁の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【0171】
別の実施形態では、本発明は、慢性疲労症候群の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【0172】
別の実施形態では、本発明は、線維筋痛症症候群の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【0173】
さらに別の実施形態では、本発明は、疼痛の治療または予防を必要とする対象で、該症状を治療または予防するための方法であって、
式Iで表される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法に関するものである。
【0174】
疼痛は、例えば、急性疼痛(短期間)または慢性疼痛(規則的に再発または持続性)であり得る。疼痛はまた、中心性または末梢性であり得る。
【0175】
急性であっても慢性であってもよく、本発明の方法に従って治療され得る疼痛の例としては、炎症性疼痛、筋骨格系疼痛、骨痛、腰仙痛、頸痛または上部背痛、内臓痛、体性痛、神経障害性疼痛、ガン性疼痛、火傷痛または歯痛のような傷害または手術によって生じる疼痛、あるいは偏頭痛または緊張性頭痛のような頭痛あるいはこれらの疼痛の組み合わせを含む。これらの疼痛が互いに重複し得ることを、当業者であるならばわかるであろう。例えば、炎症に起因する疼痛は、本質的には内臓痛または筋骨格系疼痛であり得る。
【0176】
本発明の好ましい実施形態では、本発明において有用な化合物は、哺乳動物において、慢性疼痛、例えば、末梢神経系または中枢神経系の損傷または病変変化に伴う神経障害性疼痛;ガン性疼痛;例えば、腹部、骨盤および/または会陰部位または膵炎に関連する内臓痛;例えば、腰部または背上部、脊椎、線維筋痛症、顎関節痛または筋筋膜疼痛症候群に伴う筋骨格系疼痛;例えば、変形性関節炎、関節リウマチまたは脊柱管狭窄症のような骨や関節変形障害に伴う骨痛;片頭痛または緊張性頭痛のような頭痛;またはHIV、鎌状赤血球貧血、自己免疫疾患、多発性硬化症のような感染症または変形性関節炎や関節リウマチのような炎症に伴う疼痛を治療するために投与される。
【0177】
好ましい実施形態では、本発明において有用な化合物を、本明細書に記載の方法に従って、神経障害性疼痛、内臓痛、筋骨格系疼痛、骨疼痛、ガン性疼痛や炎症性疼痛またはこれらの組み合わせである慢性疼痛を治療するために使用する。炎症性疼痛は、変形性関節炎、関節リウマチ、手術または傷害のようなさまざまな病状と関連し得る。神経障害性疼痛は、例えば、糖尿病性神経障害、末梢神経障害、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、腰椎または頸椎神経根症、線維筋痛、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、灼熱痛、視床症候群、神経根引き抜き損傷、あるいは幻肢痛、反射性交感神経性ジストロフィーまたは開胸術後痛のような末梢性および/または中枢性感作をもたらす損傷、ガン、化学傷害、毒素、栄養障害、または帯状疱疹もしくはHIVのようなウイルスもしくは細菌感染症に起因する神経損傷、またはこれらの組み合わせに関連し得る。本発明の化合物の使用方法は、さらに、神経障害性疼痛が転移浸潤性、有痛脂肪症、火傷または視床症状に関連する中心性疼痛症状に続発する症状である治療を含む。
【0178】
既に記載のとおり、本発明の方法は、本質的には体性痛および/または内臓痛である疼痛を治療するために使用できる。例えば、本発明の方法に従って治療できる体性痛は、手術、歯科処置、火傷または身体外傷の間に受けた構造組織や軟組織損傷に関連する疼痛を含む。本発明の方法に従って治療できる内臓痛の例は、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、神経性膀胱、クローン病、リウマチ性(関節痛)、腫瘍、胃炎、膵炎、臓器感染症、または胆管障害、あるいはこれらの組み合わせなどの内臓疾患に関連するかまたは疾患の結果生じる種類の疼痛を含む。本発明の方法に従って治療される疼痛が、痛覚過敏、異痛症またはその両方の症状に関連することを、当業者であればわかるであろう。加えて、慢性疼痛は、末梢性または中枢性感作を伴ってもよく、伴わなくてもよい。
【0179】
本発明において有用な化合物は、また女性特有の疼痛のことでもあり、女性の状態に関連する急性および/または慢性疼痛を治療するためにも使用され得る。このような疼痛は、女性のみまたは主に女性が直面する疼痛を含み、例えば、月経、排卵、妊娠または出産、流産、子宮外妊娠、逆行性月経、卵胞嚢胞または黄体嚢胞の破裂、骨盤内臓器の炎症、子宮筋腫、腺筋症、子宮内膜症、感染症および炎症、骨盤臓器虚血、閉塞症、腹腔内癒着、骨盤内臓器の解剖学的歪み、卵巣膿瘍、骨盤支持体の喪失、腫瘍、骨盤鬱血性または非婦人科的原因による関連痛を含む。
【0180】
本発明は、さらに以下の実施例において明示され、ここにおいて、特に記載しない限り、全ての部分およびパーセンテージは重量基準であり、温度は摂氏である。当然のことながら、これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示のためにのみ提示される。上記考察およびこれらの実施例より、当業者は、その精神および範囲から逸脱することなく本発明の本質的特性を確定可能であり、さまざまな用途および条件に適応するため、本発明のさまざまな変更および修正が可能である。
【実施例】
【0181】
(実施例1:(3R)−3−[3−(4−クロロフェニル)−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル]−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミン)
【0182】
【化10】

1−(4−クロロフェニル)−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物
【0183】
【化11】

乾燥ジグリム(10mL)を窒素気流下のフラスコに加え、活発に還流(190℃に保たれたオイルバス)させた。還流している溶液へ、ジグリム(5mL)に溶かした(N−(4−クロロ−フェニル)−ベンゼン−1,2−ジアミン(1.09g、5.0mmol)とスルファミド(0.58g、6mmol)との溶液を15分以上かけて滴下にて加えた。混合物をさらに15分間還流させ、その後冷却し、エーテルで希釈、2N HCI、水および、飽和塩類溶液で洗浄した。有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮した。粗生成物をエーテルで溶解させ、シリカゲルのプラグを通過させて、1−(3−ブロモプロピル)−3−(4−クロロフェニル)−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物(0.66g、47%)を得た。
MS(ESI)m/z279;
210〜370nm、9.3分でHPLC純度94.7%;Xterra RP18、3.5μ、150×4.6mmカラム、1.2mL/分、85/15〜5/95(Ammon.Form.Buff.Ph=3.5/ACN+MeOH)で10分間、4分間保持。
【0184】
1−(4−クロロ−フェニル)−3−(3−クロロ−1−フェニル−プロピル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,2,5]−チアジアゾール2,2−二酸化物
【0185】
【化12】

無水THF(15mL)に溶かした、1−(3−ブロモプロピル)−3−(4−クロロフェニル)−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物(0.28g、1.0mmol)、(S)−(−)−3−クロロ−1−フェニル−1−プロパノール(0.17g、1.0mmol)およびトリフェニルホスフィン(314mg、1.2mmol)の混合物に、DIAD(0.23mL,1.2mmol)を25℃の窒素下で加えた。混合物を16時間攪拌し、減圧下で混合物を濃縮した。粗生成物は、次のステップにすぐに継続できるIscoクロマトグラフィー(Redisep、シリカ、ヘキサン中勾配5〜40%の酢酸エチル)を通して精製し、1−(4−クロロ−フェニル)−3−(3−クロロ−1−フェニル−プロピル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,2,5]−チアジアゾール2,2−二酸化物を0.17g得た。これを直ちに次のステップに移した。MS(ESI)m/z[M−H]431;
(3R)−3−[3−(4−クロロフェニル)−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル]−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミン
【0186】
【化13】

1−(4−クロロ−フェニル)−3−(3−クロロ−1−フェニル−プロピル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,2,5]−チアジアゾール2,2−二酸化物(0.12g)を、メチルアミン(エタノール中8M、20mL)で溶解し、ヨウ化ナトリウム(58mg、0.39mmol)を加え、その混合物を96時間攪拌した。混合物を真空濃縮し、クロマトグラフィー(シリカ、クロロホルムに溶かしたアンモニアで飽和した5%メタノール)で精製し、(3R)−3−[3−(4−クロロフェニル)−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル]−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミンを無色油として得た。この無色基剤を、メタノール(5mL)に溶解し、2N塩酸水溶液(1.0当量)で処理し、濃縮した。残査を水に溶解し、冷結乾燥し、白色粉末である(3R)−3−[3−(4−クロロフェニル)−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル]−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミン塩酸塩を130mg(72%)得た。MS(ES)m/z427.8。
【0187】
(実施例2:(3R)−3−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチルプロパン−1−アミン塩酸塩)
【0188】
【化14】

ステップ1:塩化亜鉛(6.98g、51.2 mmol)を入れた反応フラスコ(500mL)を、減圧下でヒートガンを用いて加熱することによって乾燥させた。室温に冷却後、3−クロロ−5−フルオロフェニル臭化マグネシウム(乾燥テトラヒドロフラン中0.5M、100mL、50.0mmol)の溶液をカニューレで反応フラスコに加え、固体の塩化亜鉛がすべて溶解し、鈍く輝いた黄色の溶液を形成するまで混合物を攪拌した(約1時間)。この工程を完全にさせるため温浴(40℃)が適用されることもある。無水テトラヒドロフラン(100mL)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.89g、2.50mmol、0.05当量)を続いて加えた。0℃まで冷却した後、3−クロロプロピオニルクロリド(5.05mL、52.5mmol、1.05当量)を滴下で加え、混合物を2時間の間0℃で攪拌した。反応混合物を塩酸溶液(3N)で酸性にし、その後ジエチルエーテル(2×250mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出液を、飽和重曹溶液、塩類溶液で洗浄し、乾燥させ(無水硫酸ナトリウム)、濃縮した。粗油をIsco CombiFlash Companionのカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜15%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、得られた白色の固体を再結晶し(最小量のジエチルエーテル/ヘキサン/−25℃)、白色粉末である純粋な3−クロロ−1−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)プロパン−1−オン(5.54g、50%)を得た。
【0189】
ステップ2:−25℃の窒素気流下、テトラヒドロフラン(10mL)中(R)−2−メチル−CBS−オキサザボロリジン(トルエン中1.0M、1.5mL、1.5mmol、0.1当量)の混合物へ、ボランの溶液(テトラヒドロフラン中1.0M、9.0mL、9.0mmol、0.6当量)を加えた。テトラヒドロフラン(10mL)に溶かした3−クロロ−1−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)プロパン−1−オン(3.32g、15.0mmol)の溶液を25分間滴下にて加え、反応混合物を−25℃でさらに30分間攪拌した。反応を抑制するためメタノール(10mL)をゆっくり加えた後、−25℃で塩化水素溶液(ジエチルエーテル中1.0M、20mL)をゆっくり加えた。全ての揮発性物質を減圧除去した。ヘキサン(100mL)を加え、キラル補助基の白色塩をセリットのパッドを通してろ過し、ヘキサン(2×25mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、粘性の無色油(収量:3.34g(100%)。キラル純度:93.4%;[□]25=−10.3°(c=10mg/mL、CHCl))として(1S)−3−クロロ−1−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)プロパン−1−オールを得た。この物質をメタノール/アセトニトリル70mLに溶解した。現れた溶液500□Lを繰り返し超臨界流体クロマトグラフィー機器へ注入し、以下に記載する条件を用いて基線分割したエナンチオマーを分別分収した。各エナンチオマーのキラル純度を、同じ超臨界流体クロマトグラフィーの条件下で、分析用超臨界流体クロマトグラフィー(Berger Instruments,Inc.、デラウェア州、ニューアーク)を用い流速2.0mL/分でChiralpak AD−H 5□m、250mm×4.6mm IDカラムを使用して測定した。生成物のキラル純度は99.8%と認められた。
SFC装置:Berger MultiGram Prep SFC(Berger Instruments,Inc.、デラウェア州、ニューヨーク)。
カラム:Chiralpak AD−H;5□m;250mm L×4.6mm ID(Chiral Technologies,Inc.、ペンシルベニア州エクストン)
カラム温度:35℃
SFCモディファイヤー:20%MeOH/80%CO
流速:50mL/分
吐出風圧:100bar
検出器:220nmのUV
ステップ3:エタノール(50mL)に溶かした1−フルオロ−2−ニトロベンゼン(14.11g、100mmol)の溶液へ、イソプロピルアミン(30mL、350mmol、3.5当量)を加え、混合物を3時間、密閉反応容器内で攪拌しながら55℃で加熱した。全ての揮発物質を減圧除去した。残査をジエチルエーテル(300mL)で溶解し、その溶液を飽和重曹溶液、塩類溶液で洗浄し、乾燥(無水硫酸ナトリウム)、濃縮し、鮮やかなオレンジの液体としてN−イソプロピル−2−ニトロアニリンを得た。この液体にエタノール(50mL)と、ラネーニッケル(2.8g)を加えた。混合物を水素気流下(30psi)で全ての原発物質が消失するまで(鮮やかなオレンジ色の消失からも明らかなように、約3時間)攪拌した。反応混合物をセライトのパッドを通してろ過し、濃縮し、粘性の黒い液体として14.92g(98%)のN−イソプロピル−1,2−フェニレンジアミンを得た。
【0190】
ステップ4:ピリジン(200 mL)に溶かしたN−イソプロピル−1,2−フェニレンジアミン(7.52g、50.0mmol)の溶液に、スルファミド(7.21g、75mmol、1.5当量)を加え、その混合物を1時間還流させた。冷却後、ピリジンを減圧除去した。トルエンを使用して、残留ピリジンを共沸除去した。黒色残査をクロロホルム(150mL)で溶解し、その溶液を塩酸溶液(2N、2×50mL)、水、塩類溶液で洗浄し、乾燥(無水硫酸ナトリウム)、濃縮し、粗黒色残査を得た。これをIsco CombiFlash Companionのカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜40%酢酸エチル/ヘキサン、1%ギ酸添加物を含む)で精製し、粘性の茶色い液体として1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物を8.61g(81%)得た。
MS(ES)m/z211([M−H])。
【0191】
ステップ5:窒素下で、テトラヒドロフラン(20mL)に溶かした1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物(1.28g、6.00mmol)、(1S)−3−クロロ−1−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)プロパン−1−オール(1.34g、6.00mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.73g、6.60mmol、1.1当量)の混合物に、0℃でシリンジによりアゾジカルボン酸ジイソプロピル(1.28mL、6.60mmol、1.1当量)をゆっくりと加えた。現れた溶液をひと晩室温で攪拌した。粘性の茶色い液体残留物をIsco CombiFlash Companionのカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜15%酢酸エチル/ヘキサン)を用いて精製し、溶媒を減圧除去し、白色の固体として1−[(1R)−3−クロロ−1−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)プロピル]−3−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物を2.06g(82%)得た。
【0192】
ステップ6:1−[(1R)−3−クロロ−1−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)プロピル]−3−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物(1.75g、4.19mmol)とメチルアミン(エタノール中に33%、30mL)のエタノール溶液を4時間、密閉反応容器内で攪拌しながら85℃で加熱した。冷却後、全ての揮発性物質を減圧除去した。得られた残査をジクロロメタン(50mL)で溶解し、炭酸カリウム(20mL)溶液で洗浄し、乾燥(無水硫酸ナトリウム)、濃縮した。Isco CombiFlash Companionのカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、0〜15%メタノール/ジクロロメタン、0.5%トリエチルアミン添加)による精製で、白色の泡沫として(3R)−3−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチルプロパン−1−アミンを1.22g(70%)得た。それを、ジクロロメタン(20mL)中に溶解し、塩酸のエーテル溶液(1M、3.3mL、3.3mmol)で処理した。得られた溶液が白色粉末状になるまでヘキサンを加え、集め、ヘキサンで洗浄し、真空内で乾燥させ、白色粉末の(3R)−3−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチルプロパン−1−アミン塩酸塩を得た。MS(ES)m/z411.9([M+H]);HRMS:C1923ClFNS+Hの計算値、412.1256;測定値(ESI、[M+H])、412.1266。
【0193】
(実施例3:(3R)−3−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)プロパン−1−アミン塩酸塩)
【0194】
【化15】

実施例2のステップ4と類似の方法で、1−メチル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物を白色の固体として、N−メチル−1,2−フェニレンジアミンから調製した。MS(ES)m/z183.1([M−H])。
【0195】
実施例2のステップ5と類似の方法で、1−[(1R)−3−クロロ−1−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)プロピル]−3−メチル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物を粘性、無色の液体として、1−メチル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物および、(1S)−3−クロロ−1−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)プロパン−1−オール(実施例2、ステップ2)から調製した。
【0196】
実施例2のステップ6と類似の方法で、(3R)−3−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)プロパン−1−アミン塩酸塩を白色の粉末として、1−[(1R)−3−クロロ−1−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)プロピル]−3−メチル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物から調製した。MS(ES)m/z383.8([M+H]);HRMS:C1719ClFNS+Hの計算値、384.0943;測定値(ESI、[M+H])、384.0951。
【0197】
(実施例4:(3R)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−3−フェニルプロパン−1−アミン塩酸塩)
【0198】
【化16】

実施例2のステップ5と類似の方法で、1−[(1R)−3−クロロ−1−フェニルプロピル]−3−メチル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物を白色固体として、1−メチル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物(実施例5、ステップ1)と(S)−(−)−3−クロロ−1−フェニル−1−プロパノールから調製した。
【0199】
実施例2のステップ6と類似の方法で、(3R)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−3−フェニルプロパン−1−アミン塩酸塩を白色粉末として、1−[(1R)−3−クロロ−1−フェニルプロピル]−3−メチル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物から調製した。MS(ES)m/z331.9([M+H]);HRMS:C1721S+Hの計算値、332.1427;測定値(ESI、[M+H])、332.1423。
【0200】
(実施例5:(3S)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−3−フェニルプロパン−1−アミン塩酸塩)
【0201】
【化17】

実施例2のステップ5と類似の方法で、1−[(1S)−3−クロロ−1−フェニルプロピル]−3−メチル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物を白色の固体として、1−メチル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物(実施例5、ステップ1)および(R)−(+)−3−クロロ−1−フェニル−1−プロパノールから調製した。MS(ES)m/z336.8([M+H])。
【0202】
実施例2のステップ6と類似の方法で、(3S)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−3−フェニルプロパン−1−アミン塩酸塩を白色粉末として、1−[(1S)−3−クロロ−1−フェニルプロピル]−3−メチル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物から調製した。MS(ES)m/z331.9([M+H]);HRMS:C1721S+Hの計算値、332.1427;測定値(ESI、[M+H])、332.1429。
【0203】
(実施例6:(3R)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミン)
【0204】
【化18】

実施例2のステップ5と類似の方法で、1−[(1R)−3−クロロ−1−フェニルプロピル]−3−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物を1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物および、(S)−(−)−3−クロロ−1−フェニル−1−プロパノールから調製した。MS(ES)m/z364.9。
【0205】
実施例2のステップ6と類似の方法で、1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物(3R)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミン塩酸塩を1−[(1R)−3−クロロ−1−フェニルプロピル]−3−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物およびメチルアミンから調製した。MS(ES)m/z360.1;HRMS:C1925S+Hの計算値、360.17402;測定値(ESI、[M+H])、360.1754;[□]25=57.4°(c=10mg/mL、MeOH)。
【0206】
(実施例7:(3R)−3−(3−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチルプロパン−1−アミン塩酸塩)
【0207】
【化19】

実施例2のステップ1およびステップ2と類似の方法で、(1S)−3−クロロ−1−(3−フルオロフェニル)プロパン−1−オールを無色油として、3−フルオロ臭化フェニルマグネシウムおよび3−クロロプロピオニルクロリドから調製した。MS(ES)m/z187.2;[□]25=−15.2°(c=10mg/mL、CHCl)。
【0208】
実施例2のステップ5と類似の方法で、1−[(1R)−3−クロロ−1−(3−フルオロフェニル)プロピル]−3−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物を1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物および(1S)−3−クロロ−1−(3−フルオロフェニル)プロパン−1−オールから調製した。MS m/z382.1。
【0209】
実施例2のステップ6と類似の方法で、(3R)−3−(3−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチルプロパン−1−アミン塩酸塩を1−[(1R)−3−クロロ−1−(3−フルオロフェニル)プロピル]−3−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール2,2−二酸化物およびメチルアミンから調製した。MS(ES)m/z377.9;HRMS:C1924FNS+Hの計算値、378.16460;測定値(ESI、[M+H])、378.1682。
【0210】
(細胞系、培養試薬およびアッセイ)
ヒトhNETを安定的に形質移入したMDCK−Net6細胞(Pacholczyk,T.,R.D.Blakely,and S.G.Amara,Nature,1991,350(6316):p.350〜4)を高グルコースDMEM(ギブコ、Cat.No.11995)、10%FBS(透析され、熱不活化されたもの、US Bio−Technologies、Lot FBD1129HI)および500□g/ml G418(ギブコ,Cat.No.10131)を含む増殖培地で培養した。T75フラスコ1個当たり細胞300,000個を播種し、細胞を週に2回分割した。ATCCからJAR細胞系(ヒト胎盤絨毛癌)を購入した(Cat.No.HTB−144)。この細胞をRPMI 1640(ギブコ,Cat.No.72400)、10%FBS(Irvine、Cat.No.3000)、1%ピルビン酸ナトリウム(ギブコ、Cat.No.1136)および0.25%グルコースを含む増殖培地で培養した。T75フラスコ1個当たり細胞250,000個を播種し、細胞を週に2回分割した。すべてのアッセイにおいて、Wallacの96穴滅菌プレート(PerkinElmer、Cat.No.3983498)に細胞を播種した。
【0211】
(ノルエピネフリン(NE)取り込みアッセイ)
1日目、増殖を培地中ウェル個当たり3,000個に洞製した細胞を播種し、セルインキュベーター(37℃、5%CO)中に維持した。2日目、増殖培地を0.2mg/mLのアスコルビン酸および10μMパージリンを含むアッセイバッファー(25mM HEPES;120mM NaCl;5mM KCl;2.5mM CaCl;1.2mM MgSO;2mg/mlのグルコース(pH7.4、37℃))200μlと取り換えた。化合物を添加する前に、アッセイバッファー200μlと共に細胞を含むプレートを37℃で10分間平衡状態にした。DMSO(10mM)で調製したデシプラミンのストック溶液を、1μMの最終試験濃度で細胞を含むウェルにトリプリケートで加えた。これらのウェルからのデータを用いて非特異的NE取り込み(最小NE取り込み)を定義した。試験化合物をDMSO(10mM)中で調製し、試験範囲(1〜10,000nM)に応じてアッセイバッファーで希釈した。アッセイバッファー(最大NE取り込み)の25μLまたは試験化合物を、アッセイバッファーの200μl中に細胞を含むウェルにトリプリケートで直接加えた。試験化合物を含むアッセイバッファー中の細胞を37℃で20分間インキュベートした。NE取り込みを開始させるため、アッセイバッファーで希釈した[H]NE(120nM最終アッセイ濃度)を25μlずつ各ウェルに加えて、プレートを5分間(37℃)インキュベートした。このプレートから上清をデカントして反応を停止させた。細胞を含むプレートをアッセイバッファー(37℃)200μlで2回洗浄して遊離放射性リガンドを除去した。次いで、このプレートを反転させ、2分間乾燥させ、次いで、再度反転させ、さらに10分間風乾させた。細胞を0.25N NaOH溶液(4℃)25μlに溶解させ、振とう器上に置き、5分間激しく振とうさせた。細胞溶解の後、シンチレーションカクテル75μlを各ウェルに加え、このプレートをフィルムテープで密封した。このプレートを振とう器に戻し、有機溶液と水溶液との十分な分離を確実にするため、最低10分間激しく振とうさせた。このプレートをWallac Microbetaカウンター(PerkinElmer)にて計数し、生のcpmデータを集めた。
【0212】
(セロトニン(5−HT)取り込みアッセイ)
JAR細胞系による5−HT機能的再取り込みの方法を、先行文献(Prasadら、Placenta、1996、17(4):201〜7)を修正して用いた。1日目、増殖培地(10%FBSを含むRPMI 1640)を含む96−穴プレートのウェル当たり15,000細胞をプレートし、セルインキュベーター(37℃、5%CO)中で維持した。2日目、細胞をスタウロスポリン(40nM)で刺激して、5−HTトランスポーター[17]の発現を亢進させた。3日目、アッセイの2時間前にセルインキュベーターから細胞を取り出し、室温に維持して増殖培地を周囲の酸素濃度と平衡状態にした。その後、増殖培地を0.2mg/mlのアスコルビン酸および10μMパージリンを含むアッセイバッファー(25mM HEPES;120mM NaCl;5mM KCl;2.5mM CaCl;1.2mM MgSO;2mg/mlグルコース(pH7.4、37℃))200μlと取り換えた。パロキセチン(AHR−4389−1)のストック溶液をDMSO中(10mM)で調製し、細胞を含むウェルにトリプリケートで1μMの最終試験濃度で加えた。これらのウェルからのデータを非特異的5−HT取り込み(最小5−HT取り込み)を定義するのに用いた。試験化合物をDMSO(10mM)で調製し、試験範囲(1〜1,000nM)に応じてアッセイバッファーで希釈した。アッセイバッファー(最大5−HT取り込み)25μLまたは試験化合物を、アッセイバッファー200μl中に細胞を含むウェルにトリプリケートで直接加えた。細胞を試験化合物と一緒に10分間(37℃)インキュベーターした。アッセイバッファーで希釈した[H]ヒドロキシトリプタミン・クレアチニン硫酸塩を15nMの最終試験濃度で25μlずつ各ウェルに加えて反応を開始させた。細胞を反応混合物と一緒に37℃で5分間インキュベートした。アッセイバッファーをデカントして5−HT取り込み反応を停止させた。細胞をアッセイバッファー(37℃)200μlで2回洗浄して、遊離放射性リガンドを除去した。プレートを反転させ、2分間乾燥させ、次いで再度反転させ、さらに10分間風乾させた。その後、細胞を0.25N NaOH(4℃)25μlに溶解させ、振とう器上に置き、5分間激しく振とうさせた。細胞溶解の後、シンチレーションカクテル75μlを各ウェルに加え、このプレートをフィルムテープで密封し、最低10分間振とう器に戻した。このプレートをWallac Microbetaカウンター(PerkinElmer)にて計数し、生のcpmデータを集めた。
【0213】
(結果の評価)
各実験について、Wallac Microbetaカウンターから収集したcpm値のデータストリームをマイクロソフトエクセル統計用プログラムにダウンロードした。EC50の計算を、Wyeth Biometrics Departmentにより作成された相互変換ロジスティック用量応答プログラムを用いて行った。統計プログラムは、最大の結合または取り込みを示すウェル(アッセイバッファー)からの平均cpm値および最小の結合または取り込みを示すウェル(1μMのデシプラミン(hNET)または1μMのパロキセチン(hSERT))からの平均cpm値を用いる。EC50値の推定を対数スケールで行い、そのラインを最大および最小の結合値または取り込みの値の間に適合させた。各データポイントを最大および最小の結合値または取り込みの値を基礎とする平均パーセントに正規化させることで、全てのグラフィックデータ表示を作成した。複数の実験から報告されるEC50値は、各実験からの生のデータをプールし、そのプールされたデータをひとつの実験として分析することで算定された。
【0214】
実施例1〜4および6〜7の化合物は、IC50(NET)が約50nMから約10μM未満の間で変動する。実施例5には6μMでhNETの33%阻害がある。
【0215】
本願明細書において、分子量のような物理的特性または、化学式のような化学特性について一定の範囲が使用される場合、本発明はその中の特定な実施形態のいずれのコンビネーションおよびサブコンビネーションも含む。
【0216】
本願明細書中に引用または開示されている特許、特許出願および刊行物の開示は、各々、全体として出典明示により本願明細書に援用する。
【0217】
数値の変形および修飾が本発明の好ましい実施形態を作り出し得ることを、本願発明の精神を逸脱することなく、かかる変形および変更をなし得ることが当業者であればわかるであろう。従って、添付した特許請求の範囲は、本願発明の真の精神および範囲内にあるような、かかる全ての均等なバリエーションを含むことを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】図1は、体温調節を媒介するノルエピネフリン/セロトニンに対するエストロゲン作用の概観図である。
【図2】図2は、ノルエピネフリン、セロトニンおよび個々の受容体(5−HT2a、α1およびα2−アドレナリン)の相互作用の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、
Zは、CRまたはNRであり;
は、各々独立に、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、0〜3個のR11で置換されたアリールアルコキシ、0〜3個のR11で置換されたアリールオキシ、0〜3個のR11で置換されたアリール、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリール、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、0〜3個のR11で置換されたアリールスルホキシド、アルキルスルホン、0〜3個のR11で置換されたアリールスルホン、アルキルスルホンアミド、0〜3個のR11で置換されたアリールスルホンアミド、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリールオキシ、0〜3個のR11で置換されたヘテロアリールメトキシ、アルキルアミド、または0〜3個のR11で置換されたアリールアミドであるか;または2つの隣接するRはメチレンジオキシを表し;
は、0〜3個のRで置換されたアリール、または0〜3個のRで置換されたヘテロアリールであり;
は、H、F、C〜Cアルキル、またはOR12であり;
12は、HまたはC〜Cアルキルであり;
は、各々独立に、H、C〜Cアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチルまたはシクロブチルメチルであるか、または
2つのR基は、それらが結合している窒素と一緒になって、環原子4〜6個の複素環を形成し、ここで炭素原子1個は、N、O、SまたはSOで任意に置換されてもよく、ここでいずれの炭素環原子または追加のN原子はC〜Cアルキル、FまたはCFで任意に置換されてもよく;
およびRは、各々独立に、H、C〜Cアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、0〜3個のRで置換されたアリール、0〜3個のRで置換されたヘテロアリール、またはシアノであるか;または
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、炭素原子3〜7個の炭素環を形成し、ここで1〜3個の炭素原子は、N、O、SまたはSOで任意に置換されてもよく、ここで任意の炭素環原子または追加のN原子はC〜Cアルキル、FまたはCFで任意に置換されてもよく;
は、H、C〜Cアルキル、アルケニル、アルキニル、C〜Cシクロアルキル、0〜3個のRで置換されたアリール、または0〜3個のRで置換されたヘテロアリールであり;
は、HまたはC〜Cアルキルであり;
は、H、FまたはC〜Cアルキルであり;
10は、各々独立に、HまたはC〜Cアルキルであるか;またはR10およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、炭素原子3〜6個の窒素含有環を形成し;
nは0〜4の整数であり;
mは1〜2の整数であり;
11は、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホン、アルキルスルホンアミド、またはアルキルアミドであるか;または2つの隣接するR11はメチレンジオキシもまた表し;
環A内の炭素原子1〜3個はNと任意に置き換えられてもよく;
2つのR基間の点線は、それらが結合している窒素と一緒になって、その2つのR基間に形成されうる環原子4〜6個の任意の複素環を表す、化合物。
【請求項2】
Zが、NRである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、H、F、C〜Cアルキルである、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Zが、CRである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、各々独立であり、Rは、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロおよびシアノである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
が、0〜3個のRで置換されたアリールである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
が、フェニル、ナフチル、クロロで置換されたフェニル、フルオロで置換されたフェニル、またはクロロ、フルオロで置換されたフェニルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
が、0〜3個のRで置換されたヘテロアリールである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
が、OR12である、請求項1、2または請求項4〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
が、各々独立に、H、C〜Cアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチルまたはシクロブチルメチルである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
が、各々独立に、HまたはC〜Cアルキルである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
およびRが、各々独立に、H、C〜Cアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシアノである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
が、H、C〜Cアルキル、アルケニル、アルキニル、C〜Cシクロアルキル、Rで置換されたアリールまたはRで置換されたヘテロアリールである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
が、H、C〜Cアルキルまたは置換されたフェニルである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
が、H、メチルまたはエチルである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
が、H、メチルまたはエチルである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
10が、H、メチルまたはエチルである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
nが、0〜2の整数である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
nが、0〜1の整数である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
nが、0である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
mが、1である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
11が、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロまたはシアノである、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
ZはCRであり;
およびRは、各々独立に、C〜Cアルキルであり、または
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、炭素原子3〜7個の炭素環を形成し、ここで炭素環原子はいずれもFまたはCFで任意に置換されてもよく;
は、各々独立に、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、ハロ、CN、CFまたはOCFであり、
は、0〜2個のRで置換されたアリールまたは0〜2個のRで置換されたヘテロアリールであり;
は、HまたはOHであり;
のひとつはメチルであり、もうひとつのRはHであり;
は、Hであり;
は、Hであり;
10は、Hであり;
mは1であり、
nは0〜2であり;
環A内の炭素原子はNと置き換えられない、
請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
ZはNRであり;
は、C〜Cアルキルまたは0〜2個のRで置換されたアリールであり;
は、各々独立に、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、ハロ、CN、CFまたはOCFであり、
は、0〜2個のRで置換されたアリールまたは0〜2個のRで置換されたヘテロアリールであり;
は、HまたはOHであり;
のひとつはメチルであり、もうひとつのRはHであり;
は、Hであり;
は、Hであり;
10は、Hであり;
mは1であり、
nは0〜2であり
環A内の炭素原子はNと置き換えられない、
請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
前記化合物が:
3−[3−(4−クロロフェニル)−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル]−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミン;
3−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチルプロパン−1−アミン;
3−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)プロパン−1−アミン;
N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−3−フェニルプロパン−1−アミン;
N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−3−フェニルプロパン−1−アミン;
3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミン;
3−(3−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチルプロパン−1−アミン;または
その薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
前記化合物が:
(3R)−3−[3−(4−クロロフェニル)−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル]−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミン;
(3R)−3−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチルプロパン−1−アミン塩酸塩;
(3R)−3−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)プロパン−1−アミン塩酸塩;
(3R)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−3−フェニルプロパン−1−アミン塩酸塩;
(3S)−N−メチル−3−(3−メチル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−3−フェニルプロパン−1−アミン塩酸塩;
(3R)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチル−3−フェニルプロパン−1−アミン;
(3R)−3−(3−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピル−2,2−ジオキシド−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−1(3H)−イル)−N−メチルプロパン−1−アミン塩酸塩;または
その薬学的に許容される塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
a.請求項1〜26のいずれか1項に記載の少なくともひとつの化合物;および
b.少なくともひとつの薬学的に許容される担体
を含む組成物。
【請求項28】
モノアミン再取り込みによって改善される症状の治療または予防を必要とする対象において、該症状を治療または予防するための方法であって、
請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項29】
モノアミン再取り込みによって改善される前記症状は、血管運動症状、性機能障害、胃腸および泌尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症症候群、神経系障害およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
モノアミン再取り込みによって改善される前記症状は、大うつ病性障害、血管運動症状、腹圧性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
少なくともひとつの血管運動症状の治療または予防を必要とする対象において、該症状を治療または予防するための方法であって、
請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項32】
前記血管運動症状がホットフラッシュである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記対象がヒトの女性である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ヒトの女性が閉経前である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ヒトの女性が閉経前後である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記ヒトの女性が閉経後である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記対象が男性である、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記ヒトの男性が、自然に、化学的にまたは外科手術により男性更年期になっている、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
少なくともひとつのうつ病の治療または予防を必要とする対象において、該症状を治療または予防するための方法であって、
請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項40】
前記うつ病が大うつ病性障害、不安神経症、睡眠障害および対人恐怖症である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
少なくともひとつの性機能障害の治療または予防を必要とする対象において、該症状を治療または予防するための方法であって、
請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項42】
前記性機能障害が性的欲求に関連するものまたは性的興奮に関連するものである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
疼痛の治療または予防を必要とする対象において、該症状を治療または予防するための方法であって、
請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項44】
前記疼痛が急性中心性疼痛、急性末梢性疼痛またはその組み合わせである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記疼痛が慢性中心性疼痛、慢性末梢性疼痛またはこれらの組み合わせである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記疼痛が神経障害性疼痛、内臓痛、筋骨格系疼痛、骨疼痛、ガン性疼痛や炎症性疼痛またはこれらの組み合わせである、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記神経障害性疼痛が、糖尿病、切断の外傷後疼痛、腰痛、ガン、化学傷害、毒素、大手術、外傷圧迫による末梢神経損傷、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、腰椎または頸椎神経根症、線維筋痛、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、灼熱痛、視床症候群、神経根引き抜き損傷、反射性交感神経性ジストロフィーまたは開胸術後疼痛、栄養障害、ウイルス感染、細菌感染、転移性浸潤、有痛脂肪症、火傷、視床症状に関連する中心性疼痛症状およびこれらの組み合わせに関連する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記内臓痛が、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、過敏性膀胱、クローン病、リウマチ(関節痛)、腫瘍、胃炎、膵炎、臓器感染症、胆管傷害およびこれらの組み合わせに関連する、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記疼痛が女性特有の疼痛である、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
胃腸または泌尿生殖器障害の治療または予防を必要とする対象において、該症状を治療または予防するための方法であって、
請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項51】
前記障害が腹圧性尿失禁または切迫性尿失禁である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
慢性疲労症候群の治療または予防を必要とする対象において、該症状を治療または予防するための方法であって、
請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項53】
線維筋痛症症候群の治療または予防を必要とする対象において、該症状を治療または予防するための方法であって、
請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項54】
薬剤としての、請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項55】
モノアミン再取り込みによって改善される症状の治療を必要とする対象において、該症状を治療するための、または、
少なくともひとつの血管運動症状の治療または予防を必要とする対象における、
少なくともひとつのうつ病の治療または予防を必要とする対象における、
疼痛の治療または予防を必要とする対象における、
胃腸および泌尿生殖器障害の治療または予防を必要とする対象における、
慢性疲労症候群の治療または予防を必要とする対象における;または線維筋痛症症候群の治療または予防を必要とする対象における、
該症状を治療または予防するための薬剤の調製における、請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−510095(P2009−510095A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533628(P2008−533628)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/037962
【国際公開番号】WO2007/041258
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】