説明

モノシクロペンタジエニル錯体

シクロペンタジエニル系が少なくとも1つの架橋された供与体と少なくとも1つのアリールアルキル基とを有するモノシクロペンタジエニル錯体、またモノシクロペンタジエニル錯体のうちの少なくとも1つを含む触媒系、更にまた、それらを調製する方法、
オレフィンの重合または共重合用の触媒系の使用、触媒系の存在下でオレフィンを重合または共重合させることによるポリオレフィンを調製する方法、および関連シクロペンタジエニル系の調製。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
説明
本発明は、シクロペンタジエニル系が少なくとも1つの架橋された供与体と少なくとも1つのアリールアルキル基とを有するモノシクロペンタジエニル錯体に関するものであり、また、モノシクロペンタジエニル錯体のうちの少なくとも1つを含む触媒系に関するものであり、更にまた、それらを調製する方法に関するものである。
【0002】
更に、本発明は、オレフィンの重合または共重合用の触媒系の使用と、触媒系の存在下でオレフィンを重合または共重合させることによるポリオレフィンを調製する方法と、前記方法で得ることができるポリマーを提供する。
【0003】
α−オレフィンを重合させるために使用される触媒のうちの多くは、固定された酸化クロムをベースとしている(例えば、Kirk−Othmer,”Encyclopedia of Chemical Technology”,1981,Vol.16,p. 402を参照されたい)。これらの触媒は、一般的に、高分子量のホモポリマーおよびコポリマーを与えるが、水素には比較的反応しないので、簡便な方法で分子量を制御することができない。対照的に、ビス(シクロペンタジエニル)クロム(米国特許第3,709,853号)、ビス(インデニル)クロムまたはビス(フルオレニル)クロム(米国特許第4,015,059号)を無機酸化物担体に施用すると、水素を添加することによって簡便な方法でポリエチレンの分子量を制御できる。
【0004】
チーグラーナッタ系の場合のように、クロム化合物の場合においてシングルサイト触媒として公知であるユニークに画定された活性中心を有する触媒系に関しても検索が行われている。その意図は、触媒の活性、触媒の共重合挙動およびこの方法で得られるポリマーの特性を、配位子骨格の目標変体によって簡便な方法で変化させることにある。
【0005】
独国特許第DE 197 10615号は、エテンおよびプロペンの重合に使用できる供与体配位子によって置換されたモノシクロペンタジエニルクロム化合物を記載している。その供与体は、前記特許では、15族で非荷電である。供与体は、(ZRフラグメント(式中、Rは水素、アルキルまたはアリールであり、Zは14族の原子であり、そしてnは1である)を介してシクロペンタジエニル環に結合されている。独国特許第DE 196 30 580号は、Zが炭素であり、そして供与体がアミンである錯体を特にクレームしている。
【0006】
国際公開第WO 96/13529号は、多座モノアニオン性配位子を有する周期表の4〜6族の元素の還元された遷移金属錯体を記載している。これらも、供与体機能を含むシクロペンタジエニル配位子を含む。実施例は、チタン化合物に限定されている。
【0007】
国際公開第WO 01/12641号は、直接にまたはC1もしくはSi架橋を介してシクロペンタジエニル系に結合されている特にキノリルまたはピリジル供与体を有するクロム、モリブデンおよびタングステンのモノシクロペンタジエニル錯体を記載している。
【0008】
国際公開第WO 01/92346号は、元素周期表4〜6族元素のシクロペンタジエニル錯体を開示しており、そこでは、特定のルイス塩基を有するジヒドロカルビル−Y基(式中、Yは元素周期表の14族の元素である)が、シクロペンタジエニル系に結合されている。
【0009】
上記の触媒系は、それらの活性に関してまだ最適化されていない。更に、形成されるポリマーおよびコポリマーは、通常は、非常に高分子量である。
オレフィンを重合させるのに適し且つ極めて高い活性を示す架橋された供与体を有するシクロペンタジエニル配位子をベースとする更なる遷移金属錯体を発見することは、本発明の目的である。更なる本発明の目的は、この種の錯体を調製するための有利な方法を見つけることにある。
【0010】
我々は、この目的が、式Cp−Y(I)で表される構造的特徴を含むモノシクロペンタジエニル錯体によって達成されることを発見した。前記式(I)中の変項は、以下の意味を有する:すなわち、
Cpは、アリールアルキル置換基を有するシクロペンタジエニル系であり、
Yは、Cpに結合されていて、且つ、周期表の15族または16族の少なくとも1個の原子を含む少なくとも1つの非荷電供与体を含んでいる置換基であり、
は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンまたはタングステンまたは周期表3族の元素およびランタノイドであり、
mは、1、2または3である。
【0011】
更に、我々は、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体を含む触媒系と、オレフィンの重合もしくは共重合用のモノシクロペンタジエニル錯体または触媒系の使用と、モノシクロペンタジエニル錯体の存在下または触媒系の存在下におけるオレフィンの重合または共重合によるポリオレフィンの調製法と、そしてこの方法で入手可能なポリマーとを見出した。更にまた、方法およびこの方法における中間体を見出した。
【0012】
本発明のモノシクロペンタジエニル錯体は、式Cp−Y(I)(式中の変項は上記記載の通りである)で表される構造要素を含む。而して、更なる配位子は、金属原子Mに結合させることができる。更なる配位子の数は、金属原子の酸化状態によって決まる。
【0013】
配位子は、更なるシクロペンタジエニル系ではない。適当な配位子は、Xの実例として記載してあるようなモノアニオン性およびジアニオン性の配位子である。更に、アミン、エーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、スルフィドまたはホスフィンのようなルイス塩基も、金属中心Mに結合することができる。モノシクロペンタジエニル錯体は、モノマー、ダイマーまたはオリゴマー形態であることができる。モノシクロペンタジエニル錯体は、好ましくはモノマー形態である。
【0014】
は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよびタングステンから成る群より選択される金属である。触媒活性な錯体中の遷移金属Mの酸化状態は、通常は当業者にとって公知である。クロム、モリブデンおよびタングステンは非常に恐らくは酸化状態+3で存在し、チタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびバナジウムは酸化状態4で存在し、また、チタンおよびバナジウムは酸化状態3でも存在できる。しかしながら、酸化状態が、活性触媒の酸化状態と一致しない錯体を使用することもできる。その場合、そのような錯体は、適当な活性化剤によって、適切に還元または酸化することができる。Mは、好ましくは、チタン、バナジウム、クロム、モリブデンまたはタングステンである。特に好ましくは、酸化状態2、3および4、特に3のクロムである。
【0015】
mは1、2または3であることができ、すなわち1、2または3つの供与基YがCpに結合できる。2または3つのY基が存在する場合、これらは同じかまたは異なっていることができる。好ましくは、ただ1つの供与基だけがCpに結合される(m=1)。
【0016】
非荷電供与体Yは、周期表の15族または16族の元素を含む非荷電官能基であるか、または、カルベン、例えばアミン、イミン、カルボキサミド、カルボン酸エステル、ケトン(オキソ)、エーテル、チオケトン、ホスフェン、ホスフィット、ホスフィンオキシド、スルホニル、スルホンアミド、カルベン、例えばN−置換イミダゾール−2−イリデンであるか、または、、未置換、置換もしくは縮合した、部分的に不飽和の複素環系もしくは複素芳香環系である。供与体Yは、遷移金属Mに対して分子間または分子内で結合させることができるか、または遷移金属MAに対して結合されない。好ましくは、供与体Yは、分子内で金属中心Mに結合される。特に好ましくは、式
【0017】
【化4】

【0018】
の構造要素を含むモノシクロペンタジエニル錯体である。
Cpは、任意の置換基を有することができ且つ/または1つ以上の芳香環、脂肪族環、複素環もしくは複素芳香環と縮合することができるシクロペンタジエニル系であり、その場合、1、2もしくは3つの置換基、好ましくは1つの置換基は基Yによって形成され、且つ/または1、2もしくは3つの置換基、好ましくは1つの置換基は基Yによって置換され、且つ/または芳香族縮合環、脂肪族縮合環、複素環もしくは複素芳香縮合環は1、2もしくは3つの置換基Y、好ましくは1つの置換基Yを有する。更に、シクロペンタジエニル系は、Cpに縮合されない1つ以上のアリールアルキル置換基を有し、特に好ましくはアリールアルキル置換基を有し、且つ/または芳香族縮合環、脂肪族縮合環、複素縮合環もしくは複素芳香縮合環は1、2もしくは3つのアリールアルキル置換基、好ましくは1つのアリールアルキル置換基を有する。アリールアルキル置換基は、好ましくは、シクロペンタジエニル骨格に結合される。シクロペンタジエニル骨格それ自体は、6つのπ−電子を有しているC環系であり、その炭素原子のうちの1個は、窒素または燐で、好ましくは燐で置換することもできる。好ましくは、ヘテロ原子で置換される炭素原子を有していないC環系である。例えば、N、P、OおよびSから成る群より少なくとも1個の原子を含む複素環式芳香族化合物または芳香族化合物は、このシクロペンタジエニル骨格に縮合され得る。この文脈において、「に縮合される」とは、複素環とシクロペンタジエニル骨格が、2個の原子を、好ましくは2個の炭素原子を共有することを意味している。シクロペンタジエニル系はMに結合される。
【0019】
アリールアルキル置換基は、アリール置換基を有するアルキル基である。アリールアルキル置換基は、好ましくは、アルキル基中に1〜20個の炭素原子を有し且つアリール基中に6〜22個の炭素原子を有していて、その芳香族置換基は、N、P、OもしくはSを含む置換基、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、ハロゲン、または1〜10個の炭素原子を有するハロアルキルもしくはハロアリールで置換することもできる。
【0020】
特に有用なモノシクロペンタジエニル錯体は、Yが基−Z−A−によって形成され、そして、シクロペンタジエニル系CpとMが、一緒になって、式Cp−Z−A−M (II)の構造要素を含むモノシクロペンタジエニル錯体を形成し、その場合、前記式中の変項は以下の意味を有する:すなわち、
Cp−Z−Aは、
【0021】
【化5】

【0022】
であり、上記式中の変項は以下の意味を有する:すなわち、
1A−E5Aは、それぞれ炭素であるか、または、E1AからE5Aのせいぜい1つは燐であり、
1A−R4Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子を有し且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR5A、N(SiR5A、OR5A、OSiR5A、SiR5A、BR5Aであり、その場合、有機基R1A−R4Aは、ハロゲンで置換することもでき、また、2つのビシナル基R1A−R4Aは結合して5員環、6員環もしくは7員環を形成することができ、且つ/または、2つのビシナル基R1A−R4Aは、結合して、N、P、O−もしくはSから成る群からの少なくとも1個の原子を含む5員環、6員環もしくは7員環の複素環を形成し、また、少なくとも1つのR1A−R4Aは、アルキル基中に1〜10個の炭素原子を有し且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、その場合、アリールは、N、P、OまたはSを含む置換基、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、ハロゲンまたは1〜10個の炭素原子を有するハロアルキルもしくはハロアリールで置換することもでき、
基R5Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子およびアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールであり、そして、2つのジェミナル基R5Aは、結合して、5員環または6員環を形成することができ、
Zは、AとCpの間にある二価の架橋であって、
【0023】
【化6】

【0024】
から成る群より選択され、
上記式中、
1A−L3Aは、それぞれ互いに独立に、珪素またはゲルマニウムであり、
6A−R11Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子を有し且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、またはSiR12Aであり、その場合、有機基R6A−R11Aはハロゲンで置換することもでき、また、2つのジェミナルもしくはビシナル基R6A−R11Aは、結合して、5員環もしくは6員環を形成することができ、そして
基R12Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、または、アルキル基中に1〜10個の炭素原子およびアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、C−C10−アルコキシまたはC−C10−アリールオキシであり、そして2つの基R12Aは、結合して、5員環もしくは6員環を形成することができ、
Aは、元素周期表の15族および/もしくは16族の1個以上の原子を含む非荷電供与基、またはカルベン、好ましくは未置換、置換もしくは縮合した複素芳香環系であり、
は、チタン(酸化状態3)、バナジウム、クロム、モリブデンおよびタングステンから成る群より選択される金属であり、そして
kは、0または1である。
【0025】
好ましいシクロペンタジエニル系Cpでは、E1AからE5A全てが炭素である。
置換基R1A−R4Aのうちの1つは、常に、所望の結果を達成するために、アルキル基中に1〜10個の炭素原子を有し且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールである。残りの置換基は、広範に変えることができ、そして、可能な炭素有機置換基R1A−R4Aは、例えば次の通りである;すなわち、直鎖または分岐鎖であることができるC−C22−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルまたはn−ドデシルであり、置換基C−C10−アルキル基および/またはC−C10−アリール基を有することもできる5員環〜7員環シクロアルキル、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンまたはシクロドデカン、直鎖、環状もしくは分岐鎖であることができ、且つ二重結合が内部二重結合もしくは末端二重結合であることができるC−C22−アルケニル、例えばビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルであり、更なるアルキル基によって置換され得るC−C22−アリール、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルフェニルであり、または、更なるアルキル基によって置換され得るアリールアルキル、例えばベンジル、o−,m−,p−メチルベンジル、1−もしくは2−エチルフェニルであり、そしてその場合、基R1AからR4Aのうちの2つは結合して5員環、6員環もしくは7員環を形成することができ、且つ/または、ビシナル基R1A−R4Aのうちの2つは結合して、N,P,OもしくはSから成る群からの少なくとも1個の原子を含む5員環、6員環もしくは7員環の複素環を形成することができ、且つ/または、有機基R1A−R4Aは、ハロゲン、例えばフッ素、塩素もしくは臭素によって置換することもできる。更に、R1A−R4Aは、アミノNR5A、またはN(SiR5A、アルコキシまたはアリールオキシOR5A、例えばジメチルアミノ、N−ピロリジニル、ピコリニル、メトキシ、エトキシまたはイソプロポキシであることもできる。有機珪素置換基SiR5Aでは、基R5Aは、R1A−R4Aに関して既に上で詳細に記載した同じ炭素有機基であることができ、その場合、2つのR5Aは結合して、5員環または6員環、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリルまたはジメチルフェニルシリルを形成することができる。これらのSiR5A基は、酸素または窒素を介して、例えばトリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、ブチルジメチルシリルオキシ、トリブチルシリルオキシまたはトリ−tert−ブチルシリルオキシを介してシクロペンタジエニルに結合することもできる。好ましい基R1A−R4Aは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、オルト−ジアルキル−または−ジクロロ−置換フェニル、トリアルキル−またはトリクロロ−置換フェニル、ナフチル、ビフェニルおよびアントラニルである。特に有用な有機珪素置換基は、アルキル基において1〜10個の炭素原子を有するトリアルキルシリル基であり、特にトリメチルシリル基である。
【0026】
2つのビシナル基R1A−R4Aを有する原子E1A−E5Aと一緒に2つのビシナル基R1A−R4Aは、複素環を、好ましくは複素芳香環(窒素、燐、酸素および硫黄、特に好ましくは窒素および/または硫黄から成る群から少なくとも1個の原子を含む)を形成することができ、好ましくは、複素環または複素芳香環中に存在する原子E1A−E5Aは炭素である。好ましくは、5個または6個の環原子を有する環サイズの複素環および複素芳香環である。環メンバーとして炭素原子に加えて1〜4個の窒素原子および/または硫黄原子または酸素原子を有する5員環の複素環の例は、1,2−ジヒドロフラン、フラン、チオフェン、ピロール、イソオキサゾール、3−イソチアゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾールおよび1,2,4−トリアゾールである。1〜4個の窒素原子および/または燐原子を含むことができる6員環ヘテロアリール基の例は、ピリジン、ホスホベンゼン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジンまたは1,2,3−トリアジンである。5員環および6員環の複素環は、C−C10−アルキル、C−C10−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子およびアリール基中に6〜10個の炭素原子を有するアルキルアリール、トリアルキルシリル、またはフッ素、塩素もしくは臭素のようなハロゲン、ジアルキルアミド、アルキルアリールアミド、ジアリールアミド、アルコキシまたはアリールオキシによって置換することもでき、または、1つ以上の芳香族化合物または複素環式芳香族化合物と縮合させることもできる。ベンゾ縮合した5員環を有するヘテロアリール基の例は、インドール、インダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾチアゾール、ベンゾキサゾールおよびベンゾイミダールである。ベンゾ縮合した6員環を有するヘテロアリール基の例は、クロマン、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,10−フェナントロリンおよびキノリジンである。複素環の命名および番号付けは、Lettau,Chemie der Heterocyclen,1st edition,VEB,Weinheim 1979に基づいて行った。複素環式化合物/複素環式芳香族化合物は、複素環/複素芳香環のC−C二重結合を介して、シクロペンタジエニル骨格と好ましく縮合される。1個のヘテロ原子を有する複素環式化合物/複素環式芳香族化合物は、好ましくは2,3−またはb−縮合される。
【0027】
縮合した複素環を有するシクロペンタジエニル系Cpは、例えば、チアペンタレン、メチルチアペンタレン、エチルチアペンタレン、イソプロピルチアペンタレン、n−ブチルチアペンタレン、tert−ブチル−チアペンタレン、トリメチルシリルチアペンタレン、フェニルチアペンタレン、ナフチルチアペンタレン、メチルチオペンタレン、アザペンタレン、メチルアザペンタレン、エチルアザペンタレン、イソプロピルアザペンタレン、n−ブチルアザペンタレン、トリメチルシリルアザペンタレン、フェニルアザペンタレン、ナフチルアザペンタレン、オキサペンタレンまたはホスファペンタレンである
縮合した複素環を有する前記シクロペンタジエニル系の合成は、例えば、上記した国際公開第WO 98/22486号に記載されている。”metalorganic catalysts for synthesis and polymerisation”,Springer Verlag 1999,Ewen et al.,p.150 ffには、これらのシクロペンタジエニル系の更なる合成が記載されている。
【0028】
特に好ましい置換基R1A−R4Aは、上記した炭素有機置換基であり、また、すなわち、E1A−E5A骨格と一緒に、好ましくはCシクロペンタジエニル骨格と一緒に、環状縮合環系を形成する、例えば、置換または未置換のインデニル、ベンズインデニル、フェナントレニルまたはテトラヒドロインデニル系、および特にそれらの好ましい実施態様を形成する炭素有機置換基である。
【0029】
前記シクロペンタジエニル系(基−Z−A−を有していない、好ましくは1位に配置されている、そしてアリールアルキル置換基を有していない)の例は、モノアルキルシクロペンタジエニル系、例えば3−メチルシクロペンタジエニル、3−エチルシクロペンタジエニル、3−イソプロピルシクロペンタジエニル、3−tert−ブチルシクロペンタジエニル、ジアルキルシクロペンタジエニル系、例えばテトラヒドロインデニル、2,4−ジメチル−シクロペンタジエニルまたは3−メチル−5−tert−ブチルシクロペンタジエニル、またはトリアルキルシクロペンタジエニル系、例えば2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル、またインデニルまたはベンゾインデニルである。縮合環系は、更に、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子を有し且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR5A、N(SiR5A、OR5A、OSiR5AまたはSiR5A置換基、例えば4−メチルインデニル、4−エチルインデニル、4−イソプロピルインデニル、5−メチルインデニル、4−フェニルインデニル、5−メチル−4−フェニルインデニルまたは4−ナフチルインデニルを有することができる。
【0030】
置換基R1A−R4Aのうちの1つ、好ましくはR2Aは、アルキル基中に1〜10個の炭素原子を有し且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、好ましくはC−C14−アリール、例えばベンジル、フェニルエチル、ナフチルメチル、アントラセニルメチルまたはフェナントレニルメチルであり、その場合、アリールは、N、P、OもしくはSを含む置換基、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、ハロゲン、または1〜10個の炭素原子を有するハロアルキルもしくはハロアリール、例えば、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルベンジル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルベンジル、o−、m−、p−ジメチルアミノベンジル、o−、m−、p−メトキシベンジル、o−、m−、p−フルオロベンジル、o−、m−、p−クロロベンジル、o−、m−、p−トリフルオロメチルベンジル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジフルオロベンジル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジクロロベンジルもしくは2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジ(トリフルオロメチル)ベンジルで置換することもできる。アリール基上の置換基として、N、P、O−またはSを含む置換基、好ましくはNR5A2、N(SiR5A、OR5AまたはOSiR5A、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、ハロゲン、または1〜10個の炭素原子を有するハロアルキルもしくはハロアリールは、好ましくは、シクロペンタジエニル環に結合されるアルキル基への結合に関してオルト位および/またはパラ位に配置される。アリールアルキル置換基は、置換基−Z−Aに関してビシナル位に結合され得るか、または、2つの置換基は、シクロペンタジエニル環上において互いに関して1,3位に配置される。好ましくは、−Z−Aおよびアリールアルキル置換基は、シクロペンタジエニル環上において互いに関して1,3位に配置される。
【0031】
メタロセンの場合のように、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体は、キラルであることができる。而して、シクロペンタジエニル骨格上における置換基R1A−R4Aのうちのいずれか1つは、1つ以上のキラル中心を有することができるか、あるいは、シクロペンタジエニル系Cpは、それ自体が互変性であることができ、その結果として、キラリティーは、遷移金属Mに結合されるときにのみ誘導される(シクロペンタジエニル化合物におけるキラリティに関する規則についてはR.Halterman,Chem.Rev.92,(1992),965−994を参照されたい)。
【0032】
シクロペンタジエニル系Cpと非荷電供与体Aとの間にある架橋Zは、好ましくは炭素および/または珪素および/またはホウ素を含む架橋メンバーから成る有機二価架橋(k=1)である。シクロペンタジエニル系とAとの間の結合の長さを変えることによって、触媒の活性に影響を与えることができる。
【0033】
結合Zに関して可能な炭素有機置換基R6A−R11Aは、例えば、以下の通りである:すなわち、水素であり、直鎖または分岐鎖であることができるC−C20−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルまたはn−ドデシルであり、置換基としてC−C10−アリール基を有することもできる5員環〜7員環シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニルもしくはシクロドデシルであり、直鎖、環状もしくは分岐鎖であることができ、且つ二重結合が内部二重結合もしくは末端二重結合であることができるC−C20−アルケニル、例えばビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルであり、更なるアルキル基によって置換することができるC−C20−アリール、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルフェン−1−イル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルフェン−1−イルであり、または、更なるアルキル基によって置換することができるアリールアルキル、例えばベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−もしくは2−エチルフェニルであり、その場合、2つの基R6AからR11Aは結合して、5員環もしくは6員環、例えばシクロヘキサンを形成することができ、また、有機基R6A−R11Aは、ハロゲン、例えばフッ素、塩素または臭素で置換することもでき、例えばペンタフルオロフェニルまたはビス−3,5−トリフルオロメチルフェン−1−イル、およびアルキルまたはアリールである。
【0034】
有機ケイ素置換基SiR12Aでは、可能な基R12Aは、R6A−R11Aについて上でより詳細に言及したのと同じ基であり、その場合、2つのR12Aは結合して、5員環または6員環、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリルまたはジメチルフェニルシリルを形成することもできる。好ましい基R12Aは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ベンジル、フェニル、オルト−ジアルキル−またはジクロロ−置換フェニル、トリアルキル−またはトリクロロ−置換フェニル、ナフチル、ビフェニルおよびアントラニルである。
【0035】
特に好ましい置換基R6AからR11Aは、水素、直鎖もしくは分岐鎖であることができるC−C20−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル基、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、または、更なるアルキル基によって置換することができるn−ドデシルC−C20−アリール、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルフェン−1−イル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルフェン−1−イルであり、または、更なるアルキル基によって置換することができるアリールアルキル、例えばベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−もしくは2−エチルフェニルであり、その場合、2つの基R6AからR11Aが結合して、5員環もしくは6員環、例えばシクロヘキサンを形成することができ、また、有機基R6A−R11Aは、ハロゲン、例えばフッ素、塩素または臭素、特にフッ素で置換することもでき、例えばペンタフルオロフェニルまたはビス−3,5−トリフルオロメチルフェン−1−イルであり、そしてアルキルまたはアリールである。特に好ましくは、メチル、エチル、1−プロピル、2−イソプロピル、1−ブチル、2−tert−ブチル、フェニルおよびペンタフルオロフェニルである。
【0036】
Zは、好ましくは−CR6A7A−または−SiR6A7A−基、特に−Si(CH−、CR6A7ACR8A9A−、−SiR6A7ACR8A9A−または置換もしくは未置換の1,2−フェニレン、そして特にCR6A7A−である。ここで、上記の置換基R6AからR11Aの好ましい実施態様は、同様に好ましい実施態様である。−CR6A7A−は、好ましくは−CHR6A−、−CH−または−C(CH−基である。−L1A6A7ACR8A9A−中の基−SiR5A7A−は、シクロペンタジエニル系またはAに結合することができる。この基−SiR6A7A−またはその好ましい実施態様は、好ましくはCpに結合される。
【0037】
kは、0または1であり、そして特に1に等しく、または、Aが、置換されていない、置換された、もしくは縮合した複素環系であるとき、0であることもできる。
【0038】
Aは、周期表の15族または16族の原子またはカルベン、好ましくは、酸素、硫黄、窒素および燐、好ましくは窒素および燐から成る群より選択される1個以上の原子を含む非荷電供与体である。A中の供与体官能基は、金属Mに対して分子間または分子内で結合され得る。Aにおける供与体は、好ましくは、Mに対して分子内で結合される。可能な供与体は、周期表の15族または16族の元素を含む非荷電官能基、例えばアミン、イミン、カルボキサミド、カルボン酸エステル、ケトン(オキソ)、エーテル、チオケトン、ホスフィン、ホスフィット、ホスフィンオキシド、スルホニル、スルホンアミド、カルベン、例えばN−置換イミダゾール−2−イリデンであるか、または、未置換、置換もしくは縮合した複素環系である。AからシクロペンタジエニルラジカルとZへの結合の合成は、例えば国際公開第WO 00/35928号と同様な方法で行うことができる。Aは、好ましくは、−OR13A−、−SR13A−、−NR13A14A−、−PR13A14A−、−C=NR13A−、そして未置換、置換もしくは縮合した複素芳香環系、特にNR13A14A−、−C=NR13A−、そして未置換、置換もしくは縮合した複素芳香環系から選択される基である。
【0039】
13AおよびR14Aは、それぞれ互いに独立に、水素、直鎖または分岐鎖であることができるC−C20−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルまたはn−ドデシルであり、置換基としてC−C10−アリール基を有することもできる5員環〜7員環シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニルもしくはシクロドデシルであり、直鎖、環状もしくは分岐鎖であることができ且つ二重結合が内部二重結合もしくは末端二重結合であることができるC−C20−アルケニル、例えばビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニル、更なるアルキル基によって置換することができるC−C20−アリール、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルフェン−1−イル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルフェン−1−イル、アルキル基中に1〜10個の炭素原子を有し且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有していて、そして更なるアルキル基によって置換することができるアルキルアリール、例えばベンジル、o−,m−,p−メチルベンジル、1−もしくは2−エチルフェニル、またはSiR15A3であり、その場合、有機基R13A−R14Aは、ハロゲン、例えばフッ素、塩素または臭素、または窒素含有基、そして更に、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、またはSiR15A基によって置換することもでき、そして、2つのビシナル基R13A−R14Aは、結合して、5員環もしくは6員環を形成することができ、基R15Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、またはアルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールであり、または、2つの基R15Aは、結合して、5員環または6員環を形成することができる。
【0040】
NR13A14Aは、アミド置換基である。それは、好ましくは第二アミド、例えばジメチルアミド、N−エチルメチルアミド、ジエチルアミド、N−メチルプロピルアミド、N−メチルイソプロピルアミド、N−エチルイソプロピルアミド、ジプロピルアミド、ジイソプロピルアミド、N−メチルブチルアミド、N−エチルブチルアミド、N−メチル−tert−ブチルアミド、N−tert−ブチルイソプロピルアミド、ジブチルアミド、ジ−sec−ブチルアミド、ジイソブチルアミド、tert−アミル−tert−ブチルアミド、ジペンチルアミド、N−メチルヘキシルアミド、ジヘキシルアミド、tert−アミル−tert−オクチルアミド、ジオクチルアミド、ビス(2−エチルヘキシル)アミド、ジデシルアミド、N−メチルオクタデシルアミド、N−メチルシクロヘキシルアミド、N−エチルシクロヘキシルアミド、N−イソプロピルシクロヘキシルアミド、N−tert−ブチルシクロヘキシルアミド、ジシクロヘキシルアミド、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、デカヒドロキノリン、ジフェニルアミン、N−メチルアニリドまたはN−エチルアニリドである。
【0041】
イミノ基−C=NR13Aでは、R13Aは、好ましくは、更なるアルキル基によって置換され得るC−C20−アリール基、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルフェニル−1−イル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルフェン−1−イルである。
【0042】
Aは、好ましくは、炭素環原子に加えて、酸素、硫黄、窒素および燐から成る群からのヘテロ原子を含むことができる未置換、置換または縮合した複素芳香環系である。炭素原子に加えて環メンバーとして1〜4個の窒素原子または1〜3個の窒素原子および/または硫黄原子または酸素原子を含むことができる五員環ヘテロアリール基の例は、2−フリル、2−チエニル、2−ピロリル、3−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、3−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イルまたは1,2,4−トリアゾール−3−イルである。1〜4個の窒素原子および/または燐原子を含むことができる6員環ヘテロアリール基の例は、2−ピリジニル、2−ホスファベンゾリル、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イルおよび1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−5−イルまたは1,2,4−トリアジン−6−イルである。5員環および6員環のヘテロアリール基は、C−C10−アルキル、C−C10−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜10個の炭素原子を有するアルキルアリール、トリアルキルシリル、またはフッ素、塩素もしくは臭素のようなハロゲンによって置換することもでき、または、1つ以上の芳香族化合物または複素環式芳香族化合物と縮合させることもできる。ベンゾ縮合5員環ヘテロアリール基の例は、2−インドリル、7−インドリル、2−クマロニル、7−クマロニル、2−チアナフテニル、7−チアナフテニル、3−インダゾリル、7−インダゾリル、2−ベンズイミダゾリルおよび7−ベンズイミダゾリルである。ベンゾ縮合6員環ヘテロアリール基の例は、2−キノリル、8−キノリル、3−シノリル、8−シノリル、1−フタラジル、2−キナゾリル、4−キナゾリル、8−キナゾリル、5−キノキサリル、4−アクリジル、1−フェナントリジルまたは1−フェナジルである。複素環の命名および番号付けは、L.Fieser and M.Fieser,Lehrbuch der organischen Chemie,3rd revised edition,Verlag Chemie,Weinheim 1957にしたがった。
【0043】
これらの複素環式芳香族化合物系Aの中で、特に好ましくは、複素環式芳香族化合物部分に1、2、3、4または5個の窒素原子を有する未置換、置換および/または縮合した6員環複素環式芳香族化合物、特に、置換および未置換の2−ピリジル、2−キノリルまたは8−キノリルである。
【0044】
而して、Aは、好ましくは、下式(IVa)または(IVb)
【0045】
【化7】

【0046】
(式中、
6A−E11Aは、それぞれ互いに独立に、炭素または窒素であり、
16A−R21Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、または、SiR22Aであり、
その場合、有機基R16A−R21Aは、ハロゲンまたは窒素、そして更に、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、または、SiR22A基によって置換することもでき、また、2つのビシナル基R16A−R21AまたはR16AおよびZは、結合して、5員環または6員環を形成することができ、そして、
基R22Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、またはアルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールであり、また、2つのビシナル基R22Aは、結合して、5員環または6員環を形成することができ、
pは、E6A−E11Aが窒素であるとき0であり、E6A−E11Aが炭素であるとき1である)の群である。
【0047】
特に、E6A−E11Aのうちの0または1つは窒素であり、残りは炭素である。Aは、特に好ましくは、2−ピリジル、6−メチル2−ピリジル、4−メチル−2−ピリジル、5−メチル−2−ピリジル、5−エチル−2−ピリジル、4,6−ジメチル−2−ピリジル、3−ピリダジル、4−ピリミジル、6−メチル−4−ピリミジル、2−ピラジニル、6−メチル−2−ピラジニル、5−メチル−2−ピラジニル、3−メチル−2−ピラジニル、3−エチルピラジニル、3,5,6−トリメチル−2−ピラジニル、2−キノリル、4−メチル−2−キノリル、6−メチル−2−キノリル、7−メチル2−キノリル、2−キノキサリルまたは3−メチル2−キノキサリルである。
【0048】
調製のし易さから、ZとAの好ましい組み合わせは、Zが未置換または置換1,2−フェニレン基で、AがNR16A17Aである組み合わせであり、また、Zが−CHR6A−、−CH−、−C(CHまたは−Si(CH−で、Aが未置換もしくは置換2−キノリルまたは未置換もしくは置換2−ピリジルの組み合わせである。架橋Zを有しておらず且つkが0である系も得るのが簡単である。この場合、Aは、好ましくは式(IVb)で表される置換基であり、特に未置換または置換8−キノリルである。変項の上記の好ましい実施態様は、これらの好ましい組み合わせにおいても好ましい。
【0049】
は、酸化状態3のチタン、バナジウム、クロム、モリブデンおよびタングステンから成る群より選択される金属、好ましくは酸化状態3のチタンおよびクロムから成る群より選択される金属である。特に好ましくは、酸化状態2、3および4、特に3のクロムである。金属錯体、特にクロム錯体は、(例えば、独国特許第DE 197 10615号の実施例と類似の方法を使用して)対応する金属塩、例えば金属塩化物を配位子アニオンと反応させることによって、簡便な方法で得ることができる。
【0050】
適当なモノシクロペンタジエニル錯体の中では、式Cp−Y(V)(式中、変項Cp、Y、A、mおよびMは、既に上で規定したものであり、また、それらの好ましい実施態様もここでは好ましい、そして:
基Xは、それぞれ互いに独立に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR23A24A、OR23A、SR23A、SO23A、OC(O)R23A、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF、PFまたは嵩高い非配位性アニオンであり、または2つの基Xは、置換または未置換のジエン配位子、特に1,3−ジエン配位子を形成し、また、基Xは互いに結合することができ、
23A−R24Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、SiR25Aであり、その場合、有機基R23A−R24Aは、ハロゲンまたは窒素含有基および酸素含有基によって置換することもでき、また、2つの基R23A−R24Aは結合して、5員環または6員環を形成することができ、
基R25Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、また、2つの基R25Aは、結合して、5員環または6員環を形成することができ、
nは、1、2または3である)で表される前記モノシクロペンタジエニル錯体が好ましい。
【0051】
上記したCp、Y、Z、A、mおよびMの実施態様および好ましい実施態様も、単独で、また組み合わせて、これらの好ましいモノシクロペンタジエニル錯体に適用する。
【0052】
配位子Xは、例えば、モノシクロペンタジエニル錯体の合成のための出発原料として使用される金属化合物の選択から生じるものであるが、後で変えることもできる。可能な配位子Xは、特に、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、特に塩素である。メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、アリル、フェニルまたはベンジルのようなアルキル基も、有利な配位子Xである。更なる配位子Xとしては、純粋に例として、決して網羅的ではなく、トリフルオロアセテート、BF、PFおよび弱配位性または非配位性のアニオン(例えばS.Strauss in Chem.Rev.1993,93,927−942を参照されたい)、例えばB(Cが挙げられる。
【0053】
アミド、アルコキシド、スルホネート、カルボキシレートおよびβ−ジケトネートも、特に好適な配位子Xである。基R23AおよびR24Aを変えることによって、例えば溶解度のような物性を精密に調整することができる。可能な炭素有機置換基R23A−R24Aは、例えば、以下の通りである:すなわち、直鎖または分岐鎖であることができるC−C20−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルまたはn−ドデシルであり、置換基としてC−C10−アリール基を有することもできる5員環〜7員環シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニルもしくはシクロドデシルであり、直鎖、環状もしくは分岐鎖であることができ且つ二重結合が内部二重結合もしくは末端二重結合であることができるC−C20−アルケニル、例えばビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニルもしくはシクロオクタジエニルであり、更なるアルキル基および/またはN含有基もしくはO含有基によって置換され得るC−C20−アリール、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルフェニル、2−メトキシフェニル、2−N,N−ジメチルアミノフェニルであり、または更なるアルキル基によって置換され得るアリールアルキル、例えばベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−もしくは2−エチルフェニルであり、そしてその場合、R23Aは、R24Aに結合して、5員環もしくは6員環を形成することもでき、また、有機基R23A−R24Aは、ハロゲン、例えばフッ素、塩素または臭素で置換することもできる。有機珪素置換基SiR25Aでは、基R25Aは、R23A−R24Aに関して上で詳細に記載したのと同じ基であることができ、その場合、2つのR25Aは、結合して、5員環または6員環、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリルまたはジメチルフェニルシリルを形成することもできる。基R23AおよびR24Aとして、C−C10−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、そして更にビニル、アリル、ベンジルおよびフェニルを使用することが好ましい。これらの置換された配位子Xのうちのいくつかは、安価で且つ直ちに利用可能な出発原料から得ることができるので、特に好ましく使用される。而して、特に好ましい実施態様は、Xが、ジメチルアミド、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、フェノキシド、ナフトキシド、トリフレート、p−トルエンスルホナート、アセテートまたはアセチルアセトネートである実施態様である。
【0054】
配位子Xの数nは、遷移金属Mの酸化状態に左右される。而して、数nは、一般的に示すことはできない。触媒活性な錯体における遷移金属Mの酸化状態は、通常は当業者にとって公知である。クロム、モリブデンおよびタングステンは、非常に恐らくは、酸化状態+3で存在し、バナジウムは、酸化状態+3または+4で存在する。しかしながら、酸化状態が、活性触媒の酸化状態と一致しない錯体を使用することもできる。その場合、そのような錯体は、適当な活性化剤によって、適切に還元または酸化することができる。酸化状態+3のクロム錯体および酸化状態3のチタン錯体を使用することが好ましい。
【0055】
このタイプの好ましいモノシクロペンタジエニル錯体A)は:1−(8−キノリル)−3−ベンジルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−3−(1−ナフチルメチル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−3−(4−トリフルオロメチルベンジルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−3−(4−クロロベンジル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−メチル3−ベンジルシクロ−ペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−メチル−3−(1−ナフチルメチル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−メチル−3−(4−トリフルオロメチルフェニルメチル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−メチル−3−(4−クロロフェニル)メチル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−ベンジルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−ベンジルベンズインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2−メチル−3−ベンジルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2−ベンジルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(2−ピリジルメチル)−3−ベンジルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(2−ピリジルメチル)−2−メチル−3−ベンジルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(2−キノリルメチル)−3−ベンジルシクロペンタジエニルクロムジクロリド、1−(2−ピリジルエチル)−3−ベンジルシクロペンタジエニルクロムジクロリド、1−(2−ピリジル−1−メチルエチル)−3−ベンジルシクロペンタジエニルクロムジクロリドまたは1−(2−ピリジル−1−フェニルメチル)−3−ベンジルシクロペンタジエニルクロムジクロリドである。
【0056】
この種の錯体の合成は、それ自体公知の方法によって行うことができ、好ましくは、適当に置換されたシクロペンタジエニルアニオンを、チタン、バナジウムまたはクロムのハロゲン化物と反応させる。適当な調製法の例は、特にJournal of Organometallic Chemistry,369(1989),359−370および欧州特許第EP−A−1212333号に記載されている。
【0057】
本発明のモノシクロペンタジエニル錯体は、オレフィン重合のための触媒系として、単独でまたは更なる成分と一緒に使用できる。我々は、
A)本発明による少なくとも1種のモノシクロペンタジエニル錯体、
B)任意に有機または無機の担体、
C)任意に1種以上の活性化化合物、
D)任意にオレフィン重合に適する1種以上の触媒、および
E)任意に周期表の1族、2族または13族の金属を含む1種以上の金属化合物
を含むオレフィン重合用の触媒系も発見した。
【0058】
而して、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体のうちの2種以上を、重合しようとするオレフィン(1種または複数種)と同時に接触させることができる。この方法は、広範囲にわたるポリマーを製造できるという利点を有する。例えば、双峰性(bimodal)の生成物が、この方法で調製できる。
【0059】
気相または懸濁液で重合プロセスにおいて使用できる本発明のモノシクロペンタジエニル錯体にとって、固体の形態で前記錯体を使用することは、すなわち、前記錯体を固体担体B)に施用することは、しばしば有利である。更に、担持されたモノシクロペンタジエニル錯体は、生産性が高い。而して、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体は、所望ならば、有機または無機の担体B)に固定することもでき、また、重合時に、担持された形態で使用することもできる。これにより、例えば、反応器中の付着物を防止することができ、また、ポリマーの形態を制御できる。担持材としては、シリカゲル、塩化マグネシウム、酸化アルミニウム、メソポーラス材料、アルミノシリケート、ハイドロタルサイト、および有機ポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレンまたは極性官能基を有するポリマー、例えばエテンと、アクリル酸エステル、アクロレインまたは酢酸ビニルとのコポリマーを使用することが好ましい。
【0060】
特に好ましくは、担体成分B)と共に、本発明によるモノシクロペンタジエニル錯体および少なくとも1種の活性化化合物C)を含む触媒系である。
前記担持触媒系を得るために、非担持触媒系を、担体成分B)と反応させることができる。担体成分B)、本発明によるモノシクロペンタジエニル錯体A)、および活性化化合物C)を結合させる順序は、原則として重要ではない。本発明のモノシクロペンタジエニル錯体A)および活性化化合物C)は、互いに別々に、または、同時に固定できる。個々のプロセス工程の後、固体を、適当な不活性溶媒、例えば脂肪族または芳香族の炭化水素で洗浄できる。
【0061】
担持触媒系を調製する好ましい方法では、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体のうちの少なくとも1種を、適当な溶媒中で、少なくとも1種の活性化化合物C)と接触させて、好ましくは、可溶性の反応生成物、付加物または混合物を得る。このような方法で得られた調製物を、次いで、脱水されたまたは不動態化された担体材料と混合し、溶媒を除去し、そして、得られた担持モノシクロペンタジエニル触媒系を乾燥させて、溶媒の全てまたは殆どを担体材料の孔から確実に除去する。担持触媒は、易流動性粉末として得られる。上記方法の工業的実施の例は、国際公開第WO 96/00243号、第WO 98/40419号または第WO 00/05277号に記載されている。更なる好ましい実施態様では、活性化化合物C)を、まず最初に、担体成分B)に施用し、次いで、この担持化合物を、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体A)と接触させる。
【0062】
担体成分B)として、任意の有機または無機の固体であることができる微粉担体を使用することが好ましい。特に、担体成分B)は、多孔質担体、例えばタルク、層状珪酸塩、例えばモンモリロナイト、雲母、無機酸化物、または微粉ポリマー粉末(例えばポリオレフィンもしくは極性官能基を有するポリマー)であることができる。
【0063】
使用される担持材は、好ましくは、10〜1000m/gの比表面積、0.1〜5ml/gの細孔容積および1〜500μmの平均粒径を有する。50〜700m/gの比表面積、0.4〜3.5ml/gの細孔容積および5〜350μmの平均粒径を有する担体が好ましい。200〜550m/gの比表面積、0.5〜3.05ml/gの細孔容積および10〜150μmの平均粒径を有する担体が好ましい。
【0064】
無機担体は、例えば吸着水を除去するために、熱処理にかけることができる。一般的に、前記の乾燥処理は、80〜800℃で、好ましくは100〜300℃で行い、100〜200℃における乾燥は好ましくは減圧下で且つ/または不活性ガス(例えば窒素)のブランケット下で行い、または、無機担体を200〜1000℃の温度で焼成して、所望の固体構造を生成させることができ、且つ/もしくは表面上に所望のOH濃度を設定できる。担体は、一般的な乾燥剤、例えば金属アルキル、好ましくはアルキルアルミニウム、クロロシランまたはSiCl、またはメチルアルミノキサンを使用して化学的に処理することもできる。適当な処理法は、例えば国際公開第WO 00/31090号に記載されている。
【0065】
無機担体材料は、化学的に変性させることもできる。例えば、シリカゲルを、NHSiFまたは他のフッ素化剤で処理すると、シリカゲル表面はフッ素化され、または、シリカゲルを、窒素含有基、フッ素含有基もしくは硫黄含有基で処理すると、対応する変性シリカゲル表面が得られる。
【0066】
微粉ポリオレフィン粉末(例えばポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレン)のような有機担体材料も使用することができ、また、前記担体材料は、使用前の適当な精製および乾燥運転により、付着水分、溶媒残留物または他の不純物を好ましくは同様に有していない。官能化ポリマー担体、例えばポリスチレン、ポリエチレンまたはポリプロピレンをベースとした官能化ポリマー担体を使用することも可能であり、その官能基を介して、例えばアンモニウム基またはヒドロキシ基を介して、触媒成分のうちの少なくとも1種を固定することができる。
【0067】
担体成分B)として適する無機酸化物は、元素周期表の2族、3族、4族、5族、13族、14族、15族および16族元素の酸化物の中から見出すことができる。担体として好ましい酸化物としては、例えば、二酸化珪素、酸化アルミニウム、および元素カルシウム、アルミニウム、珪素、マグネシウムまたはチタンの混合酸化物、そして更に対応する酸化物混合物が挙げられる。単独で、または、上記した好ましい酸化物担体と組み合わせて使用できる他の無機酸化物は、例えばMgO、CaO、AlPO、ZrO、TiO、Bまたはそれらの混合物である。
【0068】
この材料からサイズおよび構造がオレフィン重合用担体として適する粒子を製造できるので、オレフィン重合用触媒のための固体担持材B)としてはシリカゲルを使用することが好ましい。小さい顆粒粒子の、すなわち一次粒子の球状凝集物を含む噴霧乾燥シリカゲルが、特に有用であることを発見した。シリカゲルは、使用前に、乾燥させ且つ/または焼成することができる。
【0069】
更なる好ましい担体B)は、ヒドロタルサイトおよび焼成ヒドロタルサイトである。
鉱物学において、ヒドロタルサイトは、ブルーサイトMg(OH)の構造からその構造が誘導される、以下の理想式
【0070】
【化8】

【0071】
を有する天然ミネラルである。ブルーサイトは、最密ヒドロキシルイオンの2つの層の間に八面体配置されている空孔中に金属イオンを有していて、且つ、その八面体配置の空孔が一層おきに占有されているシート構造で結晶している。ハイドロタルサイトでは、いくつかのマグネシウムイオンは、アルミニウムイオンによって置換され、その結果として、層の堆積は正電荷を得る。この正電荷は、中間の層にある結晶水と一緒に配置されるアニオンによって補償される。
【0072】
そのようなシート構造は、マグネシウム・アルミニウム・水酸化物においてだけでなく、一般的に、シート構造を有する下式
【0073】
【化9】

【0074】
(式中、M(II)はMg、Zn、Cu、Ni、Co、Mn、Caおよび/またはFeのような二価金属であり、そしてM(III)はAl、Fe、Co、Mn、La、Ceおよび/またはCrのような三価金属であり、xは0.5区切りで0.5〜10であり、Aは割込みアニオンであり、そしてnは、1〜8、通常は1〜4であることができる割込みアニオン上の電荷であり、そしてzは1〜6の整数、特に2〜4の整数である)で表される混合金属水酸化物においても見出される。可能な割込みアニオンは、有機アニオン、例えばアルコキシドアニオン、アルキルエーテルスルフェート、アリールエーテルスルフェートもしくはグリコールエーテルスルフェート、無機アニオン、例えば特にカーボネート、炭酸水素、ニトレート、クロリド、スルフェートもしくはB(OH)、またはポリオキソメタルアニオン、例えばMo246−もしくはV10286−である。しかしながら、複数の前記アニオンから成る混合物も存在することができる。
【0075】
而して、シート構造を有する全てのこの種の混合金属水酸化物は、本発明のためのハイドロタルサイトと考えるべきである。
焼成ハイドロタルサイトは、焼成によって、すなわち熱によって(それによって、なかんずく、所望のヒドキシル基含量を設定できる)ハイドロタルサイトから調製できる。
更に、結晶構造も変化する。本発明にしたがって使用される焼成ハイドロタルサイトの調製は、通常は、180℃超の温度で行う。250℃〜1000℃、特に400℃〜700℃の温度での3〜24時間の焼成が好ましい。空気または不活性ガスを焼成中に固体の上に通すことができ、または、真空を施用することができる。
【0076】
加熱時に、天然または合成ハイドロタルサイトは、最初に水を放出する、すなわち乾燥が起こる。更なる加熱(実際の焼成)時には、金属水酸化物は、ヒドロキシル基および割込みアニオンの除去によって、金属酸化物へと転化し;OH基または例えばカーボネートのような割込みアニオンは、焼成ハイドロタルサイト中に依然として存在していることもある。それは、強熱減量によって計量される。それは、二工程で、すなわち最初は乾燥炉において200℃で30分間、次いで、マッフル炉において950℃で1時間加熱されたサンプルによって経験される重量損失である。
【0077】
成分B)として使用される焼成ハイドロタルサイトは、二価および三価の金属M(II)とM(III)の混合酸化物であり、M(II)対M(III)の割合は、0.5:1〜10:1、好ましくは0.75:1〜8:1、そして特に1:1〜4:1である。
更に、通常量の不純物、例えばSi、Fe、Na、CaまたはTi、そして更にはクロリドおよびスルフェートも存在していることがある。
【0078】
好ましい焼成ハイドロタルサイトB)は、M(II)がマグネシウムであり、そしてM(III)がアルミニウムである混合酸化物である。前記アルミニウム・マグネシウム混合酸化物は、商品名Puralox Mgという名称で、ハンブルクにあるCondea Chemie GmbH (現在はSasol Chemie)から市販されている。
【0079】
構造変態が完了しているかまたは実質的に完了している焼成ハイドロタルサイトも好ましい。焼成、すなわち構造の変態は、例えば、X線回折パターンによって確認できる。
【0080】
一般的に、使用されるハイドロタルサイト、焼成ハイドロタルサイトまたはシリカゲルは、5〜200μm、好ましくは10〜150μm、特に好ましくは15〜100μm、そして特に20〜70μmの平均粒径d50を有し、また0.1〜10cm/g、好ましくは0.2〜5cm/gの細孔容積を有し、そして30〜1000m/g、好ましくは50〜800m/g、特に100〜600m/gの比表面積を通常有する微粉として使用する。好ましくは、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体は、完成触媒系における遷移金属錯体の濃度が、担体B)1gあたり5〜200μmol、好ましくは20〜100μmol、そして特に好ましくは25〜70μmolであるような量で施用する。
【0081】
本発明のモノシクロペンタジエニル錯体のうちのいくつかは、それら自体ほとんど重合活性を有しておらず、良好な重合活性を示すことができるように、活性化剤、すなわち成分C)と接触させる。このために、触媒系は、任意に、成分(C)として、1種以上の活性化化合物、好ましくは少なくとも1種のカチオン形成化合物(C)を更に含む。
【0082】
モノシクロペンタジエニル錯体A)と反応して、それを触媒活性なまたはより活性な化合物へと転化させることができる適当な化合物C)は、例えば、アルミノキサンのような化合物、強い非荷電ルイス酸、ルイス酸カチオンを有するイオン性化合物、またはブレンステッド酸をカチオンとして含むイオン性化合物である。
【0083】
アルミノキサンとして、例えば国際公開第WO 00/31090号に記載されている化合物を使用することができる。特に有用なアルミノキサンは、下式(X)または(XI):
【0084】
【化10】

【0085】
(式中、R1C−R4Cは、それぞれ互いに独立に、C−C−アルキル基、好ましくはメチル、エチル、ブチルまたはイソブチル基であって、Iは1〜30の整数であり、好ましくは5〜25の整数である)で表される開鎖または環状のアルミノキサン化合物である。
【0086】
特に有用なアルミノキサン化合物は、メチルアルミノキサンである。
これらのオリゴマーアルミノキサン化合物は、通常は、トリアルキルアルミニウムの溶液と水との制御された反応によって調製される。一般的に、この方法で得られるオリゴマーアルミノキサン化合物は、様々な長さの線状および環状両方の鎖状分子の混合物の形態であるので、Iは平均と考えるべきである。また、アルミノキサン化合物は、他の金属アルキル、通常はアルミニウムアルキルとの混合物であることもできる。成分C)として適当なアルミノキサン調製物は市販されている。
【0087】
炭化水素基のうちのいくつかが水素原子またはアルコキシ、アリールオキシ、シロキシまたはアミド基によって置換された更に改質されたアルミノキサンを、成分(C)として、式(X)または(XI)で表されるアルミノキサン化合物の代わりに使用することもできる。
【0088】
モノシクロペンタジエニル錯体A)およびアルミノキサン化合物は、なお更に存在する全てのアルミニウムアルキルを含むアルミノキサン化合物由来のアルミニウム対モノシクロペンタジエニル錯体(A)由来の遷移金属の原子比が1:1〜1000:1、好ましくは10:1〜500:1、そして特に20:1〜400:1となるような量で使用することが有利であることを見出した。
【0089】
適当な活性化成分C)の更なる組は、ヒドロキシアルミノキサンである。これらは、例えば、低い温度で、通常は0℃未満で、アルミニウム一当量あたり0.5〜1.2当量の水、好ましくは0.8〜1.2当量の水を、アルキルアルミニウム化合物、特にトリイソブチルアルミニウムに対して加えることによって調製できる。前記化合物およびオレフィン重合におけるそれらの使用は、例えば、国際公開第WO 00/24787号に記載されている。ヒドロキシアルミノキサン化合物由来のアルミニウム対モノシクロペンタジエニル錯体A)由来の遷移金属の原子比は、通常は1:1〜100:1、好ましくは10:1〜50:1、そして特に20:1〜40:1である。この場合、モノシクロペンタジエニル金属ジアルキル化合物A)を使用することが好ましい。
【0090】
強非荷電ルイス酸としては、下式(XII)
【0091】
【化11】

【0092】
(式中、
1Cは、元素周期表13族の元素であり、特にB、AlまたはGaであり、好ましくはBであり、
1C、X2CおよびX3Cは、それぞれ、水素、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子をそれぞれ有するアルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキルもしくはハロアリールであるか、またはフッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素、特にハロアリール、好ましくはペンタフルオロフェニルである)で表される化合物が好ましい。
【0093】
強非荷電ルイス酸の更なる例は、国際公開第WO 00/31090号に記載されている。
【0094】
成分C)として特に有用であるこのタイプの化合物は、ボランおよびボロキシン、例えばトリアルキルボラン、トリアリールボランまたはトリメチルボロキシンである。少なくとも2つの過フッ化アリール基を有するボランを使用することが特に好ましい。特に好ましくは、式(XII)(式中、X1C、X2CおよびX3Cは同じである)で表される化合物、好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0095】
適当な化合物C)は、好ましくは、式(XII)で表されるアルミニウムまたはホウ素の化合物を水、アルコール、フェノール誘導体、チオフェノール誘導体またはアニリン誘導体と反応させることによって調製する。その場合、ハロゲン化アルコール、特に過フッ素化アルコールが特に重要である。特に有用な化合物の例は、ペンタフルオロフェノール、1,1−ビス(ペンタフルオロフェニル)メタノールおよび4−ヒドロキシ−2,2’,3,3’,4’,5,5’,6,6’−ノナフルオロビフェニルである。式(XII)の化合物とブレンステッド酸との組み合わせの例は、特に、トリメチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノール、トリメチルアルミニウム/1−ビス(ペンタフルオロフェニル)メタノール、トリメチルアルミニウム/4−ヒドロキシ−2,2’,3,3’,4’,5,5’,6,6’−ノナフルオロビフェニル、トリエチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノールおよびトリイソブチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノールおよびトリエチルアルミニウム/4,4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル水和物である。
【0096】
式(XII)で表される更なる適当なアルミニウムおよびホウ素の化合物では、X1CはOH基である。このタイプの化合物の例は、ボロン酸およびボリン酸であり、特に過フッ素化アリール基を有するボリン酸、例えば(CBOHである。
【0097】
活性化化合物C)として適する強非荷電ルイス酸としては、ボロン酸と、二当量のトリアルキルアルミニウムとの反応生成物、または、トリアルキルアルミニウムと、二当量の酸性のフッ素化された、特に過フッ素化された炭化水素化合物、例えばペンタフルオロフェノールもしくはビス(ペンタフルオロフェニル)ボリン酸との反応生成物も挙げられる。
【0098】
ルイス酸カチオンを有する適当なイオン性化合物としては、式(XIII)
【0099】
【化12】

【0100】
(式中、
2Cは、元素周期表の1族〜16族の元素であり、
からQは、単に負に荷電された基、例えば、C−C28−アルキル、C−C15−アリールであり、アリール部分中に6〜20個の炭素原子且つアルキル部分中に1〜28個の炭素原子をそれぞれ有するアルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ハロアリールであり、置換基としてC−C10−アルキル基を有することができるC−C10−シクロアルキルであり、水素、C−C28−アルコキシ、C−C15−アリールオキシ、シリルまたはメルカプチル基であり、
aは、1〜6の整数であり、そして、
zは0〜5の整数であり、
dは、差a−zに一致するが、dは1以上である)で表されるカチオンの塩様化合物が挙げられる。
【0101】
特に有用なカチオンは、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオンおよびスルホニウムカチオン、そして更にカチオン性遷移金属錯体である。特に、トリフェニルメチルカチオン、銀カチオンおよび1,1’−ジメチルフェロセニルカチオンを挙げることができる。それらは、好ましくは、非配位性対イオンを、特に、国際公開第WO 91/09882号でも言及されているホウ素化合物、好ましくはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを有する。
【0102】
非配位性アニオンを有する塩は、ホウ素もしくはアルミニウムの化合物、例えばアルキルアルミニウムを、反応して2個以上のホウ素もしくはアルミニウムの原子を結合させることができる第二化合物、例えば水と、ホウ素もしくはアルミニウムの化合物と一緒になってイオン化イオン性化合物を形成する第三化合物、例えばトリフェニルクロロメタンと、または任意に、塩基、好ましくは有機性窒素含有塩基、例えばアミン、アニリン誘導体もしくは窒素複素環式化合物とを組み合わせることによって、調製することもできる。更に、ホウ素またはアルミニウムの化合物と同様に反応する第四化合物を、例えばペンタフルオロフェノールを加えることができる。
【0103】
カチオンとしてブレンステッド酸を含むイオン性化合物は、好ましくは同様に非配位性対イオンを有する。ブレンステッド酸としては、プロトン化されたアミンまたはアニリンの誘導体が特に好ましい。好ましいカチオンは、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジメチルシクロヘキシルアンモニウムおよびN,N−ジメチルベンジルアンモニウムであり、そして更に、後者2つの誘導体である。
【0104】
国際公開第WO 9736937号に記載されているようなアニオン性ホウ素複素環を含む化合物、特にジメチルアニリニウムボラタベンゼンまたはトリチルボラタベンゼンも成分C)として適する。好ましいイオン性化合物C)は、少なくとも2つの過フッ素化アリール基を有するボレートを含む。特に好ましくは、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであり、特にN,N−ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはトリチルテトラキスペンタフルオロフェニルボレートである。
【0105】
また、ジアニオン[(CB−C−B(C2−もしくはアニオン[(CB−CN−B(Cのように、2つ以上のボラートアニオンおよび/もしくはボランが互いに結合することもでき、またはボラートアニオンがボランに結合することもできるか、または、ホウ酸アニオンは、適当な官能基を有する架橋を介して結合し、担体表面に結合することもできる。
【0106】
更なる適当な活性化化合物C)は、国際公開第WO 00/31090号に記載されている。
【0107】
ルイス酸カチオンを有する強非荷電ルイス酸イオン性化合物またはカチオンとしてブレンステッド酸を含むイオン性化合物の量は、モノシクロペンタジエニル錯体A)を基準として、好ましくは0.1〜20当量、更に好ましくは1〜10当量である。
【0108】
適当な活性化化合物(C)としては、ホウ素・アルミニウム化合物、例えばジ[ビス(ペンタフルオロフェニルボロキシ]メチルアランも挙げられる。この種のホウ素・アルミニウム化合物の例は、国際公開第WO 99/06414号に記載されている。
【0109】
全ての上記の活性化化合物C)の混合物を使用することもできる。好ましい混合物は、アルミノキサン、特にメチルアルミノキサン、および、イオン性化合物、特にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンを含むイオン性化合物、および/または強非荷電ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを含む。
【0110】
モノシクロペンタジエニル錯体A)と活性化化合物C)の両方を、溶媒中で、好ましくは6〜20個の炭素原子を有する芳香族炭化水素中で、特にキシレン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたはそれらの混合物中で好ましく使用する。
【0111】
更に、担体B)として同時に使用できる活性化化合物C)を使用することも可能である。前記の系は、例えば、ジルコニウムアルコキシドで処理され、続いて、例えば四塩化炭素による塩素化によって処理された無機酸化物から得られる。前記の系の調製は、例えば国際公開第WO 01/41920号に記載されている。
【0112】
同様に広範な生成物スペクトルは、オレフィンの重合に適する少なくとも1種の更なる触媒D)と組み合わせて、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体A)を使用することによって達成できる。而して、触媒系における任意の成分D)としてオレフィンの重合に適する1種以上の触媒を使用することができる。可能な触媒D)は、特に、チタンをベースとする典型的なチーグラーナッタ触媒および酸化クロムをベースとする典型的なフィリップス触媒である。
【0113】
可能な成分D)は、原則として、有機基を含み且つA)および任意にB)および/またはE)の存在下で成分C)との反応後にオレフィン重合のための有機触媒を好ましく形成する周期表3〜12族の遷移金属またはランタノイドの全ての化合物である。これらは、通常は、少なくとも1つの一座配位子または多座配位子が、σ結合またはπ結合を介して中心原子に結合されている化合物である。可能な配位子としては、シクロペンタジエニル基を含む配位子と、シクロペンタジエニル基の無い配位子の両方が挙げられる。オレフィン重合に適する多数の前記化合物B)は、Chem.Rev.2000,Vol,100,No.4に記載されている。更にまた、多核シクロペンタジエニル錯体もオレフィン重合に適する。
【0114】
特に適する成分D)としては、一般的にメタロセン錯体と呼ばれている、少なくとも1種のシクロペンタジエニル配位子を有する化合物が挙げられる。特に有用なメタロセン錯体は、下式(XIV) で表されるメタロセン錯体であり、
【0115】
【化13】

【0116】
式中、置換基および添字は以下の意味を有する:すなわち、
1Dは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンまたはタングステンまたは周期表3族の元素およびランタノイドであり、
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C15−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、
−OR6Dまたは−NR6D7Dまたは2つ基Xは、置換または未置換のジエン配位子、特に1,3−ジエン配位子を形成し、そして基Xは、同じかまたは異なっていて、互いに結合することができ、
1D−E5Dは、それぞれ炭素であるか、または、E1DからE5Dのせいぜい1つは燐もしくは窒素、好ましくは炭素であり、
tは1、2または3であって、M1Dの価数に依存して、式(XIV)のメタロセン錯体が非荷電であるような数であり、
式中、
6DおよびR7Dは、それぞれ、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子をそれぞれ有するアルキルアリール、アリールアルキル、フルオロアルキルまたはフルオロアリールであり、そして
1DからR5Dは、それぞれ互いに独立に、C−C22−アルキル、置換基としてC−C10−アルキル基を有することもできる5員環〜7員環のシクロアルキルまたはシクロアルケニル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル基中に1〜16個の炭素原子且つアリール基中に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR8D、N(SiR8D、OR8D、OSiR8D、SiR8Dであり、その場合、有機基R1D−R5Dは、ハロゲンで置換することもでき、且つ/または2つの基R1D−R5D、特にビシナル基は結合して5員環、6員環もしくは7員環を形成することもでき、且つ/または2つのビシナル基R1D−R5Dは結合して、N、P、OおよびSから成る群から少なくとも1個の原子を含む5員環、6員環もしくは7員環の複素環を形成することができ、そしてその場合、
基R8Dは、同じかまたは異なっていることができ、それぞれ、C−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C15−アリール、C−C−アルコキシまたはC−C10−アリールオキシであり、そして
1Dは、Xに関して定義されたものであるか、または
【0117】
【化14】

【0118】
であり、
式中、基
9DからR13Dは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C22−アルキル、置換基としてC−C10−アルキル基を有することもできる5員環〜7員環のシクロアルキルまたはシクロアルケニル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル基中に1〜16個の炭素原子を有し且つアリール基中に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR14D、N(SiR14D、OR14D、OSiR14D、SiR14Dであり、
その場合、有機基R9D−R13Dは、ハロゲンで置換することもでき、且つ/または2つの基R9D−R13D、特にビシナル基は結合して5員環、6員環もしくは7員環を形成することもでき、且つ/または2つのビシナル基R9D−R13Dは結合して、N、P、OおよびSから成る群から少なくとも1個の原子を含む5員環、6員環もしくは7員環の複素環を形成することができ、その場合、
基R14Dは、同じかまたは異なっていて、そしてそれぞれ、C−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C15−アリール、C−C−アルコキシまたはC−C10−アリールオキシであり、
6D−E10Dは、それぞれ炭素であるか、または、E6DからE10Dのせいぜい1つは燐もしくは窒素、好ましくは炭素であり、
または、基R4DとZ1Dは、一緒になって−R15D−A1D−基を形成し、
式中、R15D
【0119】
【化15】

【0120】
であり、
式中、
16D−R21Dは、同じかまたは異なっていて、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、C−C10−アルキル基、C−C10−フルオロアルキル基、C−C10−フルオロアリール基、C−C10−アリール基、C−C10−アルコキシ基、C−C15−アルキルアリールオキシ基、C−C10−アルケニル基、C−C40−アリールアルキル基、C−C40−アリールアルケニル基、C−C40−アルキルアリール基であるか、または2つの隣接基がそれらを結合させている原子と一緒になって、4〜15個の炭素原子を有する飽和もしくは未飽和の環を形成し、そして、
2D−M4Dは、それぞれ、珪素、ゲルマニウムまたは錫、または好ましくは珪素であり、
1Dは、
【0121】
【化16】

【0122】
または未置換、置換もしくは縮合した複素環系であり、式中、
基R22Dは、それぞれ互いに独立に、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、C−C10−シクロアルキル、C−C18−アルキルアリールまたはSi(R23Dであり、
23Dは、水素、C−C10−アルキル、置換基としてC−C10−アルキル基を有することもできるC−C15−アリール、またはC−C10−シクロアルキルであり、
vは、1であるか、または、A1Dが未置換、置換もしくは縮合した複素環系であるときは0であってもよく、
または、基R4DおよびR12Dは、一緒になって−R15D−基を形成する。
【0123】
1Dは、架橋R15Dと一緒になって、例えば、アミン、エーテル、チオエーテルまたはホスフィンを形成することができる。しかしながら、A1Dは、環の炭素原子に加えて、酸素、硫黄、窒素および燐から成る群からのヘテロ原子を含むことができる未置換、置換もしくは縮合した複素環系であることもできる。炭素原子に加えて環原子として1〜4個の窒素原子および/または硫黄原子または酸素原子を含むことができる五員環ヘテロアリール基の例は、2−フリル、2−チエニル、2−ピロリル、3−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、3−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イルまたは1,2,4−トリアゾール−3−イルである。1〜4個の窒素原子および/または燐原子を含むことができる6員環ヘテロアリール基の例は、2−ピリジニル、2−ホスファフェニル、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イルおよび1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−5−イルおよび1,2,4−トリアジン−6−イルである。5員環および6員環のヘテロアリール基は、C−C10−アルキル、C−C10−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜10個の炭素原子を有するアリールアルキル、トリアルキルシリル、またはフッ素、塩素もしくは臭素のようなハロゲンによって置換することもでき、または、1つ以上の芳香族化合物または複素環式芳香族化合物と縮合させることもできる。ベンゾ縮合5員環ヘテロアリール基の例は、2−インドリル、7−インドリル、2−クマロニル、7−クマロニル、2−チアナフテニル、7−チアナフテニル、3−インダゾリル、7−インダゾリル、2−ベンズイミダゾリルおよび7−ベンズイミダゾリルである。ベンゾ縮合6員環ヘテロアリール基の例は、2−キノリル、8−キノリル、3−シノリル、8−シノリル、1−フタラジル、2−キナゾリル、4−キナゾリル、8−キナゾリル、5−キノキサリル、4−アクリジル、1−フェナントリジルおよび1−フェナジルである。複素環の命名および番号付けは、L.Fieser and M. Fieser,Lehrbuch der organischen Chemie,3rd revised edition,VerlagChemie,Weinheim 1957にしたがった。
【0124】
一般式(XIV)における基Xは、同じであり、好ましくはフッ素、塩素、臭素、C−C−アルキルまたはアラルキルであり、特に塩素、メチルまたはベンジルである。
この種の錯体の合成は、それ自体公知の方法によって、好ましくは、適当に置換された環状炭化水素アニオンと、チタン、ジルコニウム、ハフニウムまたはクロムのハロゲン化物との反応によって行うことができる。
【0125】
式(XIV)で表されるメタロセン錯体の中では、好ましくは、
【0126】
【化17】

【0127】
である。
式(XIVa)の化合物の中で、特に好ましくは、
1Dが、チタン、バナジウムまたはクロムであり、
が、塩素、C−C−アルキル、フェニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、
tが、1または2であり、
1DからR5Dが、それぞれ水素、C−C−アルキルであるか、または2つの隣接基R1DからR5Dが置換もしくは未置換のベンゾ基を形成する前記化合物である。
【0128】
式(XIVb)で表される化合物の中で、好ましくは、
1Dが、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ハフニウムまたはクロムであり、
が、フッ素、塩素、C−C−アルキルまたはベンジルであるか、または2つの基Xが置換もしくは未置換のブタジエン配位子を形成し、
tが、クロムである場合0であり、そうでない場合は1または2、好ましくは2であり、
1DからR5Dが、それぞれ水素、C−C−アルキル、C−C−アリール、NR8D、OSiR8DもしくはSi(R8Dであり、そして
9DからR13Dは、それぞれ水素、C−C−アルキルまたはC−C−アリール、NR14D、OSiR14DまたはSi(R14Dであるか、または2つの基R1DからR5Dおよび/もしくはR9Dから R13Dが、C環と一緒になってインデニル、フルオレニルもしくは置換されたインデニル系もしくはフルオレニル系を形成する前記化合物である。
【0129】
シクロペンタジエニル基が同じである式(XIVb)で表される化合物は、特に有用である。
【0130】
特に有用な式(XIVb)の化合物D)としては、例えば:ビス(シクロペンタジエニル)クロム、ビス(インデニル)チタンジクロリド、ビス(フルオレニル)チタンジクロリド、ビス(テトラヒドロインデニル)チタンジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(トリメトキシシリルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(イソブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(3−ブテニルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(1−,3−ジ−tert−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(トリフルオロメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(N,N−ジメチルアミノメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、(シクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、(メチルシクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、(シクロペンタジエニル)(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(イソブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(3−ブテニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリフルオロメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス−(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−ジtert−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチルシクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメトキシシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドおよびビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド)が挙げられ、更には、対応するジメチルジルコニウム化合物も挙げられる。
【0131】
特に有用な式(XIVc)の化合物は、式中、R15D
【0132】
【化18】

【0133】
であり、
1Dが、チタン、ジルコニウムまたはハフニウム、特にジルコニウムでり、そして
基Xが、同じかまたは異なっていて、それぞれ塩素、C−C−アルキル、ベンジル、フェニルまたはC−C15−アルキルアリールオキシである前記化合物である。
【0134】
特に有用な式(XVIc)の化合物は、式(XVIc’)
【0135】
【化19】

【0136】
(上記式中、
基R’は、同じかまたは異なっていて、それぞれ水素、C−C10−アルキルまたはC−C10−シクロアルキル、好ましくはメチル、エチル、イソプロピルまたはシクロヘキシル、C−C20−アリール、好ましくはフェニル、ナフチルまたはメシチル、C−C40−アリールアルキル、C−C40−アルキルアリール、好ましくは4−tert−ブチルフェニルもしくは3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、またはC−C40−アリールアルケニルであり、
5DおよびR13Dは、同じかまたは異なっていて、それぞれ水素、C−C−アルキル、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、n−ヘキシルまたはtert−ブチルであり、
そして、環SおよびTは、同じかまたは異なっていて、飽和、不飽和もしくは部分的に飽和している)で表される化合物である。
【0137】
式(XIVc’)で表されるインデニル配位子またはテトラヒドロインデニル配位子は、好ましくは、2位、2,4位、4,7位、2,4,7位、2,6位、2,4,6位、2,5,6位、2,4,5,6位または2,4,5,6,7位、特に2,4位で置換される。置換位置には以下の番号が付与される:
【0138】
【化20】

【0139】
更に、成分D)としてラセミ形態または擬ラセミ形態で架橋ビスインデニル錯体を使用することが好ましい。擬ラセミという用語は、錯体の全ての他の置換基を無視すると、2つのインデニル配位子が、互いに関してラセミ配置にある錯体を指している。
【0140】
特に有用な触媒D)(XIVc)および(XIVc’)の更なる例としては、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)−ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)−ジルコニウムジクロリド、テトラメチルエチレン−9−フルオレニルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−tert−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジブロミド、ジメチルシランジイルビス(3−メチル5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−エチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−i−ブチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−(9−フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2,7−ジメチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4[p−トリフルオロメチルフェニル]−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−[3’,5’−ジメチルフェニル]インデニル))ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−n−ブチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−ヘキシル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)−ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−(1−ナフチル)インデニル)−(2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)−(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)−(2−エチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)−(2−メチル4−[3’,5’−bis−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)−(2−メチル4−[1’−ナフチル]インデニル)−ジルコニウムジクロリド、およびエチレン(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)−(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、そして更に、対応するジメチルジルコニウム、モノクロロモノ(アルキルアリールオキシ)ジルコニウムおよびジ(アルキルアリールオキシ)ジルコニウム化合物が挙げられる。
錯体は、好ましくはラセミ形態で使用される。
【0141】
この種の錯体は、それ自体公知の方法によって、好ましくは、適当に置換された環状炭化水素アニオンと、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルまたはクロムのハロゲン化物とを反応させることによって合成できる。適当な調製法の例は、特に、Journal of Organometallic Chemistry,369(1989),359−370に記載されている。
【0142】
特に有用な式(XIVd)で表される化合物は、式中、
1Dが、チタンまたはジルコニウム、特にジルコニウムであり、
が、塩素、C−C−アルキルまたはフェニルであるか、または、2つの基Xが置換もしくは未置換のブタジエン配位子を形成し、
15D
【0143】
【化21】

【0144】
であり、
1D
【0145】
【化22】

【0146】
であり、
tが、1または2、好ましくは2であり、
1DからR3DおよびR5Dが、それぞれ水素、C−C10−アルキル、好ましくはメチル、C−C10−シクロアルキル、C−C15−アリール、NR8DもしくはSi(R8Dであるか、または、2つの隣接基が、4〜12個の炭素原子を有する環状基を形成し、特に好ましくは、R1DからR3DおよびR5Dがメチルである前記化合物である。
【0147】
特に有用な式(XIVb)で表される化合物D)はジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(フェニルアミノ)チタンジクロリド、ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(ベンジルアミノ)チタンジクロリド、ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(tert−ブチルアミノ)チタンジクロリド、ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(アダマンチル)チタンジクロリド、そして、ジメチルシランジイル(インデニル)(tert−ブチルアミノ)チタンジクロリドである。
【0148】
特に有用である式(XIVd)で表される化合物の別の群は、式中、
1Dが、チタン、バナジウムまたはクロム、好ましくは酸化状態IIIのそれらであり、
が、塩素、C−C−アルキルまたはフェニルであるか、または、2つの基Xが置換もしくは未置換のブタジエン配位子を形成し、
15D
【0149】
【化23】

【0150】
であり、
1Dが、−O−R22D、−NR22D、−PR22Dまたは未置換、置換もしくは縮合した複素環、特に複素芳香環系であり、
vは、1であるか、または、A1Dが未置換、置換もしくは縮合した複素環系であるときは0または1であってもよく、そして
1DからR3DおよびR5Dが、それぞれ水素、C−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C15−アリールまたはSi(R8Dであるか、または、2つの隣接基が、4〜12個の炭素原子を有する環状基を形成する前記化合物である。
【0151】
好ましい実施態様では、A1Dは、未置換、置換もしくは縮合した複素芳香環系であり、M1Dはクロムである。極めて特に好ましくは、A1Dは、未置換または置換の、例えばアルキル置換された、特に、8位または2位に結合された置換または未置換のキノリルまたはピリジル、例えば8−キノリル、8−(2−メチルキノリル)、8−(2,3,4−トリメチルキノリル)、8−(2,3,4,5,6,7−ヘキサメチルキノリル)であり、vは0であり、そしてM1Dはクロムである。このタイプの好ましい触媒D)は、1−(8−キノリル)−2−メチル−4−メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−3−イソプロピル−5−メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2,3,4,5−テトラ−メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)テトラヒドロインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)インデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−メチルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−イソプロピルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−エチルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−tert−ブチルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)ベンズインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−メチルベンズインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2−メチル−4−メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2,3,4,5−四メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−テトラヒドロインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))インデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2−メチルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2−イソプロピルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2−エチルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2−tert−ブチルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))ベンズインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(2−ピリジルメチル)インデニルクロム(III)ジクロリドまたは1−(8−(2−メチルキノリル))−2−メチルベンズインデニルクロム(III)ジクロリドである。
【0152】
更に、調製し易くするためには、R15DがCH=CHまたは1,2−フェニレンおよびA1DがNR22Dである化合物、そしてR15DがCH、C(CHまたはSi(CHおよびA1Dが未置換または置換2−または8−キノリルもしくは未置換または置換2−ピリジルである化合物が好ましい。
【0153】
この種の官能的なシクロペンタジエニル配位子の調製は、長い間公知であった。これらの錯化配位子への様々な合成経路は、例えばM. Enders et al.in Chem.Ber.(1996),129,459−463またはP.Jutzi and U.Siemelingin J.Orgmet.Chem.(1995),500,175−185に記載されている。
【0154】
金属錯体、特にクロム錯体は、(例えば、独国特許第DE−A−197 10615号の実施例と類似の方法を使用して)適当な金属塩、例えば金属塩化物を配位子アニオンと反応させることによって、簡便な方法で得ることができる。
【0155】
更なる適当な触媒D)としては、シクロペンタジエニルまたはヘテロシクロペンタジエニルおよび縮合した複素環から形成される少なくとも1つの配位子を有するメタロセンが挙げられる。複素環は、好ましくは、芳香族であり、そして窒素および/または硫黄を含む。その種の化合物は、例えば国際公開第WO 98/22486号に記載されている。
それらは、詳しくは、ジメチルシランジイル(2−メチル−4−フェニル−インデニル)(2,5−ジメチル−N−フェニル−4−アザペンタレン)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2,5−ジメチル−n−フェニル−4−アザペンタレン)ジルコニウムジクロリドまたは(インデニル)(2,5−ジメチル−N−フェニル−4−アザペンタレン)ジルコニウムジクロリドである。
【0156】
更なる適当な触媒D)は、例えば、ジルコニウムアルコキシドで処理され、次いで例えば四塩化炭素によって塩素化された無機酸化物と、メタロセン化合物が組み合わされている系である。前記の系の調製は、例えば国際公開第WO 01/41920号に記載されている。
【0157】
他の適当な触媒D)としては、クロムが、構造的な特徴として少なくとも1つのイミド基を有するイミドクロム化合物が挙げられる。それらの化合物およびそれらの調製は、例えば国際公開第WO 01/09148号に記載されている。
【0158】
更なる適当な成分D)としては、三座大環状配位子、特に、置換および未置換の1,3,5−トリアザシクロヘキサンおよび1,4,7−トリアザシクロノナンを有する遷移金属錯体が挙げられる。このタイプの触媒の場合、クロム錯体も同様に好ましい。このタイプの好ましい触媒は、[1,3,5−トリ(メチル)−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリド、[1,3,5−トリ(エチル)−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリド、[1,3,5−トリ(オクチル)−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリド、[1,3,5−トリ(ドデシル)−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリド、および[1,3,5−トリ(ベンジル)−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリドである。
【0159】
更なる適当な触媒D)は、例えば、下式XVからXIX
【0160】
【化24】

【0161】
で表される少なくとも1つの配位子を有する遷移金属錯体であり、その場合、遷移金属は、元素Ti、Zr、Hf、Sc、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Pd、Ptおよび希土類金属の元素の中から選択される。好ましくは、中心金属として、ニッケル、鉄、コバルトまたはパラジウムを有する化合物である。
【0162】
は、元素周期表15族の元素の原子であり、好ましくはNまたはP、特に好ましくはNである。分子中の2個または3個の原子Eは、同じかまたは異なっていることができる。
【0163】
配位子系XVからXIX内において同じかまたは異なっていてもよい基R1FからR25Fは、以下の通りである:すなわち、
1FおよびR4Fは、それぞれ互いに独立に、炭化水素基または置換炭化水素基であり、好ましくは、元素Eに隣接している炭素原子が少なくとも2個の炭素原子に結合される炭化水素基であり、
2FおよびR3Fは、それぞれ互いに独立に、水素、炭化水素基または置換炭化水素基であり、その場合、R2FおよびR3Fは、一緒になって、1個以上のヘテロ原子が存在することもできる環系を形成することもでき、
6FおよびR8Fは、それぞれ互いに独立に、炭化水素基または置換炭化水素基であり、
5FおよびR9Fは、それぞれ互いに独立に、水素、炭化水素基または置換炭化水素基であり、
その場合、R6FおよびR5FまたはR8FおよびR9Fは、一緒になって環系を形成することもでき、
基R7Fは、それぞれ互いに独立に、水素、炭化水素基または置換炭化水素基であり、その場合、R7Fは、一緒になって環系を形成することもでき、
10FおよびR14Fは、それぞれ互いに独立に、炭化水素基または置換炭化水素基であり、
11F、R12F、R12F’およびR13Fは、それぞれ互いに独立に、水素、炭化水素基または置換炭化水素基であり、その場合、2つ以上のジェミナル基またはビシナル基R11A、R12A、R12A’およびR13Aは一緒になって環系を形成することができ、
15FおよびR18Fは、それぞれ互いに独立に、水素、炭化水素基または置換炭化水素基であり、
16FおよびR17Fは、それぞれ互いに独立に、水素、炭化水素基または置換炭化水素基であり、
19FおよびR25Fは、それぞれ互いに独立に、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールであり、その場合、有機基R19FおよびR25Fは、ハロゲンで置換することもでき、
20F−R24Fは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、またはSiR26Fであり、その場合、有機基R20F−R24Fは、ハロゲンで置換することもでき、また、2つのビシナル基R20F−R24Fは結合して5員環または6員環を形成することもでき、そして
基R26Fは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、または、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、また、2つの基R26Fは、結合して、5員環または6員環を形成することができ、
xは0または1であり、xが0のとき、式(XVI)の錯体は負に荷電しており、そして
yは、1〜4の整数であり、好ましくは2または3である。
【0164】
中心金属としてFe、Co、Ni、PdまたはPtを有していて且つ式(XV)の配位子を含む遷移金属錯体は、特に有用である。特に好ましくは、NiまたはPdのジイミン錯体、例えば:ジ(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンパラジウムジクロリド、ジ(ジ−i−プロピルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジクロリド、ジ(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)ジメチルジアザブタジエンジメチルパラジウム、ジ(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルニッケル、ジ(2,6−ジメチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンパラジウムジクロリド、ジ(2,6−ジメチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジクロリド、ジ(2,6−ジメチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルパラジウム、ジ(2,6−ジメチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルニッケル、ジ(2−メチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンパラジウムジクロリド、ジ(2−メチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジクロリド、ジ(2−メチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルパラジウム、ジ(2−メチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルニッケル、ジフェニル−2,3−ジメチルジアザブタジエンパラジウムジクロリド、ジフェニル−2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジクロリド、ジフェニル−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルパラジウム、ジフェニル−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルニッケル、ジ(2,6−ジメチルフェニル)アザナフテンパラジウムジクロリド、ジ(2,6−ジメチルフェニル)アザナフテンニッケルジクロリド、ジ(2,6−ジメチルフェニル)アザナフテンジメチルパラジウム、ジ(2,6−ジメチルフェニル)アザナフテンジメチルニッケル、1,1’−ビピリジルパラジウムジクロリド、1,1’−ビピリジルニッケルジクロリド、1,1’−ビピリジル(ジメチル)パラジウム、1,1’−ビピリジル(ジメチル)ニッケルである。
【0165】
特に有用な化合物(XIX)としては、J.Am.Chem.Soc.120,p.4049 ff.(1998),J.Chem.Soc,Chem.Commun.1998,849および国際公開第WO 98/27124号に記載されている化合物も挙げられる。Eは、好ましくは窒素であり、そして式(XIX)中のR19FおよびR25Fは、好ましくはフェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−または2,6−ジメチルフェニル、−ジクロロフェニルまたは−ジブロモフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−または3,4,5−トリメチルフェニル、特に2,3−または2,6−ジメチルフェニル、−ジイソプロピルフェニル、−ジクロロフェニルまたは−ジブロモフェニル、および2,4,6−トリメチルフェニルである。同時に、R20FおよびR24Fは、好ましくは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ベンジルまたはフェニルであり、特に水素またはメチルである。
【0166】
21FおよびR23Fは、好ましくは水素であり、そしてR22Fは、好ましくは水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、特に水素である。遷移金属Fe、CoまたはNi、特にFeを有する配位子の錯体F−XIXが好ましい。特に好ましくは、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4−ジメチルフェニルイミン)鉄ジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4,6−トリメチルフェニルイミン)鉄ジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2−クロロ−6−メチルフェニルイミン)鉄ジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミン)鉄ジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジクロロフェニルイミン)鉄ジクロリド、2,6−ピリジンジカルボキザルデヒドビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミン)鉄ジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4−ジメチルフェニルイミン)コバルトジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4,6−トリメチルフェニルイミン)コバルトジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2−クロロ−6−メチルフェニルイミン)コバルトジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミン)コバルトジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジクロロフェニルイミン)コバルトジクロリド、および2,6−ピリジンジカルボキシアルデヒドビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミン)コバルトジクロリドである。
【0167】
触媒D)としてイミノフェノキシド錯体も使用できる。これらの錯体の配位子は、例えば、置換または未置換のサルチルアルデヒドおよび第一級アミン、特に、置換または未置換のアリールアミンから調製できる。π系中に1個以上のヘテロ原子を有するπ配位子、例えばボラタベンゼン配位子、ピロリルアニオンまたはホスホリルアニオンを有する遷移金属錯体も触媒D)として使用することもできる。
【0168】
触媒D)として適する更なる錯体としては、二座または三座のキレート化配位子を有する錯体が挙げられる。前記配位子では、例えば、エーテル官能基がアミンに結合されるか、または、アミド官能基もしくはアミドがピリジンのような複素芳香環に結合される。
【0169】
成分A)とD)の前記組み合わせによって、例えば、双峰性生成物を調製することができるか、または、コモノマーをその場で生成させることができる。好ましくは、オレフィン重合にとって一般的な少なくとも1種の更なる触媒D)と、所望ならば、1種以上の活性化化合物C)の存在下で、少なくとも1種のモノシクロペンタジエニル錯体A)を使用する。触媒の組み合わせA)とD)に依存して、1種以上の活性化化合物C)が有利である場合がある。重合触媒D)は、同様に、担持することができ、また、本発明の錯体A)と同時にまたは任意の順序で使用できる。例えば、モノシクロペンタジエニル錯体A)および重合触媒D)は、一緒に担体B)または異なる担体B)に施用できる。成分D)として様々な触媒の混合物を使用することもできる。遷移金属錯体A)対重合触媒D)のモル比は、通常は、1:100〜100:1であり、好ましくは1:10〜20:1であり、そして特に好ましくは1:1〜10:1である。
【0170】
触媒系は、更に、追加の成分E)として、式(XX)
【0171】
【化25】

【0172】
で表される金属化合物を含むことができ、その場合、上記式中、
MGは、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、亜鉛、特にLi、Na、K、Mg、ホウ素、アルミニウムまたはZnであり、
1Gは、水素、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子をそれぞれ有するアルキルアリールまたはアリールアルキルであり、
2GおよびR3Gは、それぞれ、水素、ハロゲン、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、アルキル基中に1〜20個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子をそれぞれ有するアルキルアリール、アリールアルキルもしくはアルコキシであるか、またはC−C10−アルキルもしくはC−C15−アリールを有するアルコキシであり、
は1〜3の整数であり、そして、
およびtは、0〜2の整数であり、合計r + s + tはMの価数に一致し、
但し、成分E)は成分C)と同じではない。式(XX)で表される様々な金属化合物の混合物を使用することもできる。
【0173】
式(XX)で表される金属化合物の中では、
が、リチウム、マグネシウム、ホウ素またはアルミニウムであり、そして、
1Gが、C−C20−アルキルである金属化合物が好ましい。
【0174】
特に好ましい式(XX)の金属化合物は、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、n−ブチル−n−オクチルマグネシウム、n−ブチル−n−ヘプチルマグネシウム、特にn−ブチル−n−オクチルマグネシウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、それのメチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムクロリドおよびトリメチルアルミニウムおよびそれらの混合物である。アルキルアルミニウムとアルコールとの部分加水分解生成物を使用することもできる。
【0175】
金属化合物E)を使用するとき、好ましくは、金属化合物は、式(XX)由来のM対モノシクロペンタジエニル化合物A)由来の遷移金属のモル比が、2000:1〜0.1:1、好ましくは800:1〜0.2:1、そして特に好ましくは100:1〜1:1であるような量で触媒系に存在する。
【0176】
一般的に、触媒固体の調製で使用される金属化合物E)(1種または複数種)とは異なっていることができる式(XX)で表される更なる金属化合物E)と一緒に触媒固体を、オレフィンの重合または共重合のための触媒系の成分として使用する。特に触媒固体が活性化成分C)を含まないとき、触媒系は、触媒固体に加えて、触媒固体中に存在する任意の活性化化合物C)と同じかまたは異なる1種以上の活性化化合物C)を更に含むことも可能である。
【0177】
本発明の触媒系を調製するために、好ましくは、物理吸着によって、または、担体表面の反応性基と成分との化学反応、すなわち成分との共有結合によって、担体B)上に、成分A)および/または成分C)のうちの少なくとも1つを固定する。担体成分B)、成分A)および任意の成分C)を組み合わせる順序は、重要ではない。成分A)およびC)は、互いに独立にまたは同時にまたは予備混合された形態で、B)に加えることができる。
個々のプロセス工程の後、固体を、適当な不活性溶媒、例えば脂肪族または芳香族の炭化水素で洗浄できる。
【0178】
好ましい実施態様では、モノシクロペンタジエニル錯体A)を、適当な溶媒中で、活性化化合物C)と接触させると、通常は、可溶性の反応生成物、付加物または混合物が得られる。次いで、このようにして得られた調製物を、前処理したかもしれない担体B)と接触させて、溶媒を完全にまたは部分的に除去する。これにより、好ましくは、易流動性粉末の形態で固体が得られる。上記方法の工業的実施の例は、国際公開第WO 96/00243号、第WO 98/40419号または第WO 00/05277号に記載されている。更なる好ましい実施態様は、第一に、活性化化合物C)を担体B)に施用し、次いで、この担持活性化化合物をモノシクロペンタジエニル錯体A)と接触させる工程を含む。
【0179】
成分D)は、同様に、成分A)、そして任意にB)、C)およびE)と任意の順序で反応させることができる。好ましくは、最初に、D)を成分C)と接触させ、次いで、上記のように成分A)およびB)そして任意の更なるC)で処理する。別の好ましい実施態様では、上記したように成分A)、B)およびC)から触媒固体を調製し、そしてそれを、重合中に、重合の開始時に、または重合直前に、成分E)と接触させる。好ましくは、まず最初に、(E)を、重合しようとするα−オレフィンと接触させ、次いで、上記した成分A)、B)およびC)を含む触媒固体を加える。モノシクロペンタジエニル錯体A)は、重合しようとするオレフィンと接触させる前にまたは接触させた後に、成分C)(1種または複数種)および/またはD)と接触させることができる。オレフィンとの混合前に1種以上の成分C)によって予備活性化すること、および、その混合物をオレフィンと接触させた後に、同じかまたは異なる成分C)および/またはD)を更に加えることもできる。予備活性化は、一般的に、10〜100℃、特に20〜80℃で行う。
【0180】
触媒系は、まず最初に、α−オレフィン、好ましくは直鎖C−C10−1−アルケン、特にエチレンまたはプロピレンと予備重合させ、そして得られた予備重合させた触媒固体を、実際の重合で使用することもできる。予備重合で使用された固体触媒対その固体触媒上で重合されたモノマーの質量比は、通常は1:0.1〜1:1000、好ましくは1:1〜1:200である。
【0181】
更に、少量のオレフィン、好ましくはα−オレフィン、例えばビニルシクロヘキサン、スチレン、または改質成分としてフェニルジメチルビニルシラン、帯電防止剤または適当な不活性化合物、例えばワックスもしくはオイルを、触媒系の調製中または調製後に、添加剤として加えることができる。添加剤対遷移金属化合物B)のモル比は、通常は1:1000〜1000:1、好ましくは1:5〜20:1である。
【0182】
本発明の触媒系は、オレフィンの重合に、特にα−オレフィンの重合、すなわち末端二重結合を有する炭化水素の重合に適する。適当なモノマーとしては、官能化オレフィン不飽和化合物、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸のアクロレイン誘導体、エステル誘導体またはアミド誘導体、例えばアクリレート、メタクリレートまたはアクリロニトリル、またはビニルエステル、例えば酢酸ビニルも挙げられる。好ましくは、非極性オレフィン化合物であり、アリール置換α−オレフィンが挙げられる。特に好ましいα−オレフィンは、直鎖または分岐鎖C−C12−1−アルケン、特に直鎖C−C10−1−アルケン、例えばエテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンまたは分岐鎖C−C10−1−アルケン、例えば4−メチル−1−ペンテン、共役および非共役ジエン、例えば1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエンまたは1,7−オクタジエンまたはビニル芳香族化合物、例えばスチレンまたは置換スチレンである。様々なα−オレフィンから成る混合物を重合させることも可能である。
【0183】
好ましくは、エテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1‐オクテンおよび1−デセンから成る群より選択される少なくとも1種のオレフィンを重合させる。
【0184】
適当なオレフィンとしては、二重結合が、1つ以上の環系を有することができる環状構造の一部分であるオレフィンも挙げられる。実例は、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、テトラシクロドデセンおよびメチルノルボルネンおよびジエン、例えば5−エチリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエンまたはエチルノルボルナジエンである。
【0185】
2種以上のオレフィンから成る混合物を重合させることもできる。いくつかの公知の鉄およびコバルトの錯体とは対照的に、本発明の遷移金属錯体は、より高級なα−オレフィンの場合でも、良好な重合活性を示すので、その結果として、共重合に関するそれらの適合性は、特に強調するに値する。特に、本発明の遷移金属錯体は、エテンまたはプロペンの重合または共重合のために使用できる。エテンの重合におけるコモノマーとしては、C−C−αーオレフィンまたはノルボルネン、特に1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび/または1−オクテンを使用することが好ましい。少なくとも50モル%のエテンを含むモノマー混合物を使用することが好ましい。プロピレンの重合における好ましいコモノマは、エテンおよび/またはブテンである。
【0186】
重合は、オレフィンの重合で使用される一般的な反応器において、バルクで、懸濁液で、気相で、または超臨界媒体で、公知の方法によって行うことができる。重合は、1つ以上の段階で、回分式でまたは好ましくは連続的に行うことができる。管反応器またはオートクレーブでの高圧重合法、溶液法、懸濁液法、撹拌気相法または気相流動床法の全てが可能である。
【0187】
重合、通常は、0.5〜5時間、好ましくは0.5〜3時間の平均滞留時間で、0.5〜4000barの圧力下、−60〜350℃で行う。重合を行うための有利な圧力および温度の領域は、通常は、重合法に左右される。1000〜4000bar、特に2000〜3500barの圧力下で一般的に行われる高圧重合法の場合、高い重合温度も一般的に設定される。これらの高圧重合法のための有利な温度範囲は、200〜320℃、特に220〜290℃である。低圧重合法の場合、ポリマーの軟化温度を少なくとも数度下回る温度が、一般的に設定される。これらの重合法は、50〜180℃、好ましくは70〜120℃の温度で行う。懸濁重合の場合、重合は、通常は、懸濁媒体中で、好ましくは不活性炭化水素、例えばイソブタン中で、または炭化水素の混合物中で、またはそれら自体のモノマー中で行う。重合温度は一般的に−20〜115℃であり、圧力は一般的に1〜100barである。懸濁液の固形分は、一般的に10〜80%である。重合は、例えば撹拌オートクレーブにおいて回分式で、または、管反応器において、好ましくはループ反応器において連続的に行うことができる。米国特許第US−A 3 242 150号および米国特許第US−A 3 248 179号に記載してあるPhillips PF法を使用することが特に好ましい。気相重合は、一般的に30〜125℃で行う。
【0188】
上記した重合法の中では、特に気相流動床反応器における気相重合、特にループ反応器および撹拌槽反応器における溶液重合および懸濁重合が、特に好ましい。気相重合は、循環ガスの一部が露点未満に冷却され、そして、二相混合物として反応器へと再循環される凝縮相または超凝縮相で行うこともできる。2つの重合ゾーンが互いに結合され、そして、ポリマーが、何度も、これら2つのゾーンの中に交互に通されるマルチゾーン反応器を使用することもできる。2つのゾーンは、異なる重合条件を有することもできる。その種の反応器は、例えば国際公開第WO 97/04015号に記載されている。例えばHostalenプロセスにおけるような重合カスケードを形成するように、異なるまたは同じ重合プロセスを、所望ならば、直列に接続することもできる。2つ以上の同じかまたは異なるプロセスを使用する平行反応器配置も可能である。更に、モル質量調節剤、例えば水素、一般的な添加剤、例えば帯電防止剤も、重合で使用することができる。
【0189】
本発明のモノシクロペンタジエニル錯体およびそれらが存在している触媒系は、方法の組み合わせによって調製することもでき、または、それらの重合活性は、それらの組み合わせられた方法を使用して試験することができる。
【0190】
本発明の方法によって、オレフィンのポリマーを調製することができる。本発明の説明で使用される「重合」という用語は、ポリメリゼーションおよびオリゴメリゼーションの両方を包含している。すなわち、約56〜10000000のモル質量Mwを有するオリゴマーおよびポリマーは、本方法で製造できる。
【0191】
それらの良好な機械的性質の故に、本発明の触媒系を使用して調製されたオレフィンポリマーは、フィルム、繊維および成形品の製造に特に有用である。
本発明の触媒系は、特に高い活性を有する。
【0192】
実施例
全ての合成および重合は、保護窒素雰囲気下で行った。
密度[g/cm]は、ISO 1183にしたがって測定した。
130℃で溶媒としてのデカリン中で自動ウベローデ粘度計(Lauda PVS 1)を使用してシュタウディンガーインデックス(η)[dl/g]を測定した(ISO1628、130℃で、0.001g/mlのデカリン)。
【0193】
NMRスペクトルは、Bruker DRX 200(H:200.13MHz)で測定した。H−NMRスペクトルでは、使用される溶媒の不完全に重水素化された部分の信号は、内部標準として役立った。全ての信号を、適当な文献値で較正した。
【0194】
質量スペクトルはFinnigan MAT 8230で記録し、また、ハイレゾリューション質量スペクトルはMicromass CTD ZAB−2F VH分光計で測定した。
【0195】
下記表中の略語は以下の通りである:
cat. 触媒
t(ポリ) 重合時間
ポリマー 形成されたポリマーの量
密度 ポリマー密度
prod. 使用される触媒(クロム錯体)1ミリモルあたりに得られるポリマーg数で表される1時間あたりの触媒の生産性
ヘキセン 重合中にヘキセンが存在しているか否か
【0196】
実施例1
1.1. 1−ベンジル−1H−インデンの調製
400mlのジエチルエーテル中45.5ml(0.39mol)のインデン溶液を、−20℃まで冷却し、次いで、撹拌しながら160mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、0.4mol)を加えた。その反応混合物を室温まで温め、その温度で、もう4時間撹拌した。次いで、反応混合物を−20℃まで再び冷却し、続いて100mlのジエチルエーテル中45g(0.39mol)の(クロロメチル)ベンゼン溶液を加えた。その反応混合物を室温まで温め、その温度で、もう12時間撹拌した。その反応混合物を水で加水分解し、その水相を有機相から分離し、そして、その水相をジエチルエーテルで二度抽出した。有機相を一緒にして、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を蒸留して除去した。このようにして得られた残留物を、120〜130℃および1トルで蒸留すると1−ベンジル−1H−インデンが63.5g(79%)得られた。
NMR H(CDCl):7.49−7.26(9H);6.92(dd,1H);6.56(dd,1H);3.85(m,1H);3.23(dd,1H);2.83(dd,1H)。
【0197】
1.2. 3−ベンジル−1−(1−メチルエチリデン)−1H−インデンの調製
0℃まで冷却された150mlのテトラヒドロフラン中15.3ml(75mmol)の1−ベンジル−1H−インデン溶液を、150mlのテトラヒドロフラン中8g(0.142mol)のKOH粉末の懸濁液に撹拌しながら加えた。その反応混合物を撹拌しながら室温まで冷却し、その温度で、更に30分間撹拌した。次いで、8ml(0.1mol)のアセトンを加え、そのようにして得られた混合物を1時間還流した。その反応混合物を撹拌しながら室温まで温め、その温度で、更に12時間撹拌した。次いで、その反応混合物を10%濃度の燐酸と混合し、水相を有機相から分離し、そして塩化メチレンで水相を二度抽出した。有機相を一緒にして、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を蒸留して除去した。このようにして得られた残留物をヘキサンから再結晶させると、3−ベンジル−1−(1−メチルエチリデン)−1H−インデンが10.5g(57%)得られた。
NMR H(CDCl):7.40−7.27(9H);6.59(s,1H);4.04(s,2H),2.48(s,3H);2.29(s,3H)。
【0198】
1.3. 2−[2(1−ベンジル−1H−インデン−3−イル)−2−メチルプロピル]ピリジンおよび2−[2(3−ベンジル−1H−インデン−1−イル)−2−メチルプロピル]ピリジンの調製
50mlのテトラヒドロフラン中9.8ml(0.1mol)の2−ピコリン溶液を、−20℃まで冷却し、次いで、撹拌しながら62.5mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中15%M、0.1mol)を加えた。その混合物を撹拌しながら1時間にわたって室温で温めた。100mlのテトラヒドロフラン中24.6g(0.1mol)の[2,3]−ベンゾ−4−ベンジル−6,6−ジメチルフルベン(3−ベンジル−1−(1−メチルエチリデン)−1H−インデン)を、得られた反応混合物に加え、温度を20℃に維持した。その混合物は、室温で更に12時間撹拌した。その反応混合物を100mlの水で加水分解し、水相を有機相から分離し、そして、その水相を塩化メチレンで三度抽出した。有機相を一緒にして、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を蒸留して除去した。このようにして得られた残留物を150mlのベンゼン中に取り、ろ過し、そして、溶媒を再び蒸留して除くと、2−[2−(1−ベンジル−1H−インデン−3−イル)−2−メチルプロピル]ピリジンと2−[2−(3−ベンジル−1H−インデン−1−イル)−2−メチルプロピル]ピリジンとの混合物が26.1g(77%)残った。
NMR H(CDCl):8.55(m,1H);7.80−5.95(13H);3.95−2.25(5H);1.42(s,3H);1.37(s,3H)および8.58(m,1H);7.80−6.36(13H);3.95−2.25(5H);1.13(s,3H);1.07(s,3H)。
【0199】
1.4. 3−ベンジル−1−(1,1−ジメチル−2−(2−ピリジル)エチル)インデニルクロムジクロリドの調製
【0200】
【化26】

【0201】
370mlのジエチルエーテルおよび40mlのテトラヒドロフラン中実施例1.3から得られた21.4g(62mmol)の異性体混合物溶液を−100℃まで冷却し、次いで、40mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中15%、64mmol)を撹拌しながら加えた。添加が完了した後に、その反応混合物を、−100℃で更に1時間撹拌し、次いで室温まで温め、そして室温で4時間撹拌した。次いで、その反応混合物を−60℃まで冷却し、続いて23.8g(64mmol)のクロムトリクロリドトリス(テトラヒドロフラン)を撹拌しながら加え、そしてその混合物を再び室温までゆっくりと温めた。室温で更に12時間撹拌し、1時間還流し、次いで、また室温へと冷却した。形成した沈殿物をろ別し、エーテルで二度洗浄し、乾燥させ、続いて熱塩化メチレンで抽出した。溶媒は蒸留して除去し、残留物を減圧下で乾燥させた。これにより16.1gの3−ベンジル−1−(1,1−ジメチル−2−(2−ピリジル)エチル)インデニルクロムジクロリド(56%)が得られた。
【0202】
実施例2
2.1. 1−(2−フルオロベンジル)−1H−インデンの調製
400mlのジエチルエーテル中40.64ml(0.35mol)のインデン溶液を、−30℃まで冷却し、次いで、撹拌しながら187.5mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中15%、0.3mol)を加えた。その反応混合物を室温まで温め、その温度で、もう5時間撹拌した。次いで、反応混合物を−60℃まで再び冷却し、続いて100mlのジエチルエーテル中35.6g(0.3mol)の1−(クロロメチル)−2−フルオロベンゼン溶液を加えた。その反応混合物を室温まで温め、その温度で、もう12時間撹拌した。その反応混合物を水で加水分解し、その水相を有機相から分離し、そして、その水相をジエチルエーテルで二度抽出した。有機相を一緒にして、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を蒸留して除去した。このようにして得られた残留物を、120〜122℃および0.5トルで蒸留すると1−(2−フルオロベンジル)−1H−インデンが54.8g(82%)得られた。
NMR H(CDCl):7.44−7.10(8H);6.87(d,1H);6.50(d,1H);3.85(t,1H);3.27(dd,1H);2.80(dd,1H)。
【0203】
2.2. 2−{[3−(2−フルオロベンジル)−1H−インデン−1−イル]メチル}ピリジンおよび2−{[1−(2−フルオロベンジル)−1H−インデン−3−イル]メチル]}ピリジンの調製
420mlのジエチルエーテル中31.36g(0.14mol)の1−(2−フルオロベンジル)−1H−インデン溶液を−40℃まで冷却し、次いで87.7mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中15%、0.14mol)を撹拌しながら加えた。その混合物を室温まで温め、その温度で、もう4時間撹拌した。次いで、反応混合物を−50℃まで冷却し、続いて100mlのベンゼン中17.84g(0.14mol)の2−(クロロメチル)ピリジン溶液を加えた。その混合物を室温まで温め、その温度で、もう12時間撹拌した。その反応混合物を200mlの水で加水分解し、その水相を有機相から分離し、そして、その水相を塩化メチレンで三度抽出した。有機相を一緒にして、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を蒸留して除去した。このようにして得られた残留物を150mlのベンゼン中に取り、ろ過し、そして、溶媒を再び蒸留して除くと、2−{[3−(2−フルオロベンジル)−1−H−インデン−1−イル]メチル}ピリジンと2−{[1−(2−フルオロベンジル)−1H−インデン−3−イル]メチル}ピリジンとの混合物が32.6g(74%)残った。
NMR H(CDCl):8.75(m,1H);7.65(dt,1H);7.50−7.12(10H);6.30(br.s,1H);4.21(m,1H);4.05(br.s,2H);3.40(dd,1H);3.08(dd,1H)および8.70(m,1H);7.60(dt,1H);7.50−7.12(10H);6.36(br.s,1H);4.24(br.s,2H);3.96(m,1H);3.38 (dd,1H);2.97(dd,1H)。
【0204】
2.3. 1−(2−フルオロフェニルメチル)−3−(2−ピリジルメチル)インデニルクロムジクロリドの調製
【0205】
【化27】

【0206】
320mlのテトラヒドロフラン中実施例2.2から得られた32g(0.1mol)の異性体混合物溶液を−100℃まで冷却し、次いで、64mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中15%、0.1mol)を撹拌しながら加えた。添加が完了した後に、その反応混合物を、−100℃で更に1時間撹拌し、次いで室温まで温め、そして室温で2時間撹拌した。次いで、その反応混合物を−60℃まで冷却し、続いて38g(0.1mol)のクロムトリクロリドトリス(テトラヒドロフラン)を撹拌しながら加え、そしてその混合物を再び室温までゆっくりと温めた。室温で更に12時間撹拌し、1.5時間還流し、次いで、室温へと再び冷却した。形成した沈殿物をろ別し、エーテルで二度洗浄し、乾燥させ、続いて熱塩化メチレンで抽出した。溶媒は蒸留して除去し、残留物を減圧下で乾燥させた。これにより、19.8gの1−(2−フルオロフェニルメチル)−3−(2−ピリジルメチル)インデニルクロムジクロリド(45%)が得られた。
【0207】
実施例3
3.1. 1−[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−インデンの調製
50mlのジエチルエーテル中4.5 ml(39mmol)のインデン溶液を、−30℃まで冷却し、次いで、撹拌しながら21.7 mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中15%、0.3mmol)を加えた。その混合物を室温まで温め、その温度で、もう5時間撹拌した。次いで、その反応混合物を−60℃まで冷却し、次いで、5g(26mmol)の1−(クロロメチル)−2−(トリフルオロメチル)ベンゼンを加えた。その反応混合物を室温まで温め、その温度で、もう12時間撹拌した。その反応混合物を水で加水分解し、その水相を有機相から分離し、そして、その水相をジエチルエーテルで二度抽出した。有機相を一緒にして、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を蒸留して除去した。このようにして得られた残留物を、123〜125℃および0.5トルで蒸留すると1−[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−インデンが6.05g(85%)得られた。
NMR H(CDCl):7.76(d,1H);7.57−7.23(7H);6.88(dd,1H);6.46(dd,1H);3.80(m,1H);3.52(dd,1H);2.76(dd,1H)。
【0208】
3.2. 2−({3−[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−インデン1−イル}メチル)ピリジン、および2−({1−[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−インデン−3−イル}メチル)ピリジンの調製
70mlのジエチルエーテル中6.05g(22mmol)の1−[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−インデン溶液を−40℃まで冷却し、次いで、13.8mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中15%、22mmol)を撹拌しながら加えた。その反応混合物を室温まで温め、その温度で、もう4時間撹拌した。次いで、反応混合物を−50℃まで冷却し、続いて15mlベンゼン中2.81g(22mmol)の2−(クロロメチル)ピリジン溶液を加えた。その反応混合物を室温まで温め、その温度で、もう12時間撹拌した。その反応混合物を50mlの水で加水分解し、その水相を有機相から分離し、そして、その水相を塩化メチレンで三度抽出した。有機相を一緒にして、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を蒸留して除去した。このようにして得られた残留物を40mlのベンゼン中に取り、ろ過し、そして、溶媒を再び蒸留して除くと、2−{[3−(2−トリフルオロメチル)ベンジル]−1−H−インデン−1−イル]メチル}ピリジンと2−({1−(2−トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−インデン−3−イル}メチル}ピリジンとの混合物が7.67g(95%)残った。
NMR H(CDCl):8.65(m,1H);7.60(dt,1H);7.40−7.01(10H);6.15(br.s,1H);4.01(m,1H);3.93(br.s,2H);3.28(dd,1H);2.96(dd,1H)および8.60(m,1H);7.54(dt,1H);7.50−7.12(10H);6.23(br.s,1H);4.11(br.s,2H);3.84(m,1H);3.25(dd,1H);2.84(dd,1H)。
【0209】
3.3. 3−(2−(トリフルオロメチル)フェニルメチル)−1−{1−(2−ピリジル)メチル}インデニルクロムジクロリドの調製
【0210】
【化28】

【0211】
60mlのテトラヒドロフラン中実施例3.2から得られた7.67g(21mmol)の異性体混合物溶液を−100℃まで冷却し、次いで、13.1mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中15%、21mmol)を撹拌しながら加えた。添加が完了した後に、その反応混合物を、−100℃で更に1時間撹拌し、次いで室温まで温め、そして室温で2時間撹拌した。次いで、その反応混合物を−60℃まで冷却し、続いて7.86g(21mol)のクロムトリクロリドトリス(テトラヒドロフラン)を撹拌しながら加え、そしてその混合物を再び室温までゆっくりと温めた。室温で更に12時間撹拌し、1時間還流し、次いで、室温へと再び冷却した。形成した沈殿物をろ別し、エーテルで二度洗浄し、乾燥させ、続いて熱塩化メチレンで抽出した。溶媒は蒸留して除去し、残留物を減圧下で乾燥させた。これにより、1.9gの3−(2−(トリフルオロメチル)フェニルメチル)−1−(1−(2−ピリジル)メチル)インデニルクロムジクロリド(19%)が得られた。
【0212】
実施例4
4.1. 1−(1H−インデン−1−イルメチル)ナフタレンの調製
200mlのジエチルエーテル中17.4g(0.15mol)のインデン溶液を、−30℃まで冷却し、次いで、撹拌しながら94mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中15%、0.15mol)を加えた。その反応混合物を室温まで温め、その温度で、もう5時間撹拌した。次いで、反応混合物は0℃まで冷却し、続いて50mlのジエチルエーテル中26.5g(0.15mol)の1−(クロロメチル)ナフタレン溶液を加えた。その反応混合物を室温まで温め、その温度で、もう12時間撹拌した。その反応混合物を水で加水分解し、その水相を有機相から分離し、そして、その水相をジエチルエーテルで二度抽出した。有機相を一緒にして、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を蒸留して除去した。これにより、1−(1H−インデン−1−イルメチル)ナフタレンが36.6g(95%)得られた。
NMR H(CDCl):8.28(d,1H);8.00(d,1H);7.88(d,1H);7.66−7.26(信号群,8H);6.90(dd,1H);6.49(dd,1H);4.00(m,1H);3.71(dd,1H);3.13(dd,1H)。
【0213】
4.2. 2−{[3−(1−ナフチルメチル)−1H−インデン1−イル]メチル}ピリジンおよび2−{[1−(1−ナフチルメチル)−1H−インデン−3−イル]メチル}ピリジンの調製
250mlのジエチルエーテル中30.7g(0.12mol)の1−(1H−インデン−1−イルメチル)ナフタレン溶液を0℃に冷却し、次いで、撹拌しながら、82mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中15%、0.13mol)を加えた。その反応混合物を室温まで温め、その温度で、もう2時間撹拌した。次いで、反応混合物を−40℃まで冷却し、続いて45mlのベンゼン中15.3g(0.12mol)の2−(クロロメチル)ピリジン溶液を加えた。その反応混合物を室温まで温め、その温度で、もう12時間撹拌した。その反応混合物を100mlの水で加水分解し、その水相を有機相から分離し、そして、その水相を塩化メチレンで三度抽出した。有機相を一緒にして、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、そして溶媒を蒸留して除去した。このようにして得られた残留物を150mlのベンゼン中に取り、ろ過し、そして、溶媒を再び蒸留して除くと、2−{[3−(1−ナフチルメチル)−1H−インデン−1−イル]メチル}ピリジンと2−{[1−(1−ナフチルメチル)−1H−インデン−3−イル]メチル}ピリジンとの混合物が40g(96%)残った。
NMR H(CDCl):8.70(m,1H);8.18−7.04(14H);6.08(m,1H);4.43(br.s,2H);4.17(m,1H);3.36 (dd,1H);3.02(dd,1H)および8.72(m,1H);8.34−7.17(14H);6.29(m,1H);4.23(br.s,2H);4.09(m,1H);3.77(dd,1H);3.27(dd,1H)。
【0214】
4.3. 3−((1−ナフチル)メチル)−1−((2−ピリジル)メチル)インデニルクロムジクロリドの調製
【0215】
【化29】

【0216】
300mlのテトラヒドロフラン中実施例4.2から得られた35g(0.1mol)の異性体混合物溶液を−20℃まで冷却し、次いで、64mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中15%、0.1mol)を撹拌しながら加えた。添加が完了した後、反応混合物を室温まで温め、3時間撹拌した。次いで、その反応混合物を−60℃まで冷却し、続いて38g(0.1mol)のクロムトリクロリドトリス(テトラヒドロフラン)を撹拌しながら加え、そしてその混合物を再び室温までゆっくりと温めた。室温で更に12時間撹拌し、30分間還流し、次いで、室温へと再び冷却した。形成した沈殿物をろ別し、エーテルで二度洗浄し、乾燥させ、続いて熱塩化メチレンで抽出した。溶媒は蒸留して除去し、残留物を減圧下で乾燥させた。これにより、8.3gの3−((1−ナフチル)メチル)−1−((2−ピリジル)メチル)インデニルクロムジクロリド(18%)が得られた。
【0217】
比較実施例1
1−(2−ピリジルメチル)インデニルクロムジクロリドを、国際公開第WO 2004/056482号に記載のようにして調製した。
【0218】
比較実施例
1−(2−ピリジルメチル)−3−tert−ブチルインデニルクロムジクロリドは、1−tert−ブチルインデンを使用している国際公開第WO 2004/056482号に記載の同様な方法で調製した。
【0219】
実施例5〜8
重合
重合は、接点温度計、テフロン(登録商標)製ブレードを有する撹拌機、加熱マントルおよびガス送込管を具備している1リットル4つ口フラスコで、アルゴン雰囲気下、40℃で行った。
適当量のMAO(トルエン中30%濃度溶液、表1に記載してあるCr:Al)を、250mlのトルエン中適当な錯体の表1に示してある量の溶液に加え、次いで、その混合物を水浴で40℃に加熱した。
【0220】
エチレン単独重合では、エチレンを、大気圧下で、約20リットルl/hの流量で、その溶液に通した。一定のエチレン流量を表1に示してある時間維持した後に、メタノールHCl溶液(50mlのメタノール中15mlの濃塩酸)を添加することによって重合を停止させた。次いで、250mlのメタノールを加え、形成した白色ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄し、70℃で乾燥させた。
【0221】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Cp−Y(I)
(式中、変項は以下の意味を有する:すなわち
Cpは、アリールアルキル置換基を有するシクロペンタジエニル系であり、
Yは、Cpに結合されていて、且つ、周期表の15族または16族の少なくとも1個の原子を含む少なくとも1つの非荷電供与体を含む置換基であり、
は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンまたはタングステンまたは周期表3族の元素およびランタノイドであり、そして
mは、1、2または3である)で表される構造的特徴を含むモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項2】
式Cp−Y(V)
(式中、変項は以下の意味を有する:すなわち
Cpは、アリールアルキル置換基を有するシクロペンタジエニル系であり、
Yは、Cpに結合されていて、且つ、周期表の15族または16族の少なくとも1個の原子を含む少なくとも1つの非荷電供与体を含む置換基であり、
は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンまたはタングステンまたは周期表3族の元素およびランタノイドであり、そして、
mは、1、2または3であり、
基Xは、それぞれ互いに独立に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR23A24A、OR23A、SR23A、SO23A、OC(O)R23A、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF、PFまたは嵩高い非配位性アニオンであり、または2つの基Xは、置換または未置換のジエン配位子、特に1,3−ジエン配位子を形成し、また、基Xは互いに結合することができ、
23A−R24Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、SiR25Aであり、その場合、有機基R23A−R24Aは、ハロゲンまたは窒素含有および酸素含有の基によって置換することもでき、また、2つの基R23A−R24Aは結合して、5員環または6員環を形成することができ、
基R25Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、また、2つの基R25Aは、結合して、5員環または6員環を形成することができ、
nは、1、2または3である)を有する請求項1記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項3】
基−Z−A−によってYが形成され且つYが式Cp−Z−A−M (II)で表される構造要素を含むモノシクロペンタジエニル錯体を形成し、そしてその場合、前記式中の変項が以下の意味:すなわち、
Cp−Z−Aは
【化1】

であり、
また上記式中、変項は以下の意味を有する:すなわち
1A−E5Aは、それぞれ炭素であるか、または、E1AからE5Aのせいぜい1つは燐であり、
1A−R4Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR5A、N(SiR5A、OR5A、OSiR5A、SiR5A、BR5Aであり、その場合、有機基R1A−R4Aは、ハロゲンで置換することもでき、且つ2つのビシナル基R1A−R4Aは結合して5員環、6員環もしくは7員環を形成することができ、且つ/又は2つのビシナル基R1A−R4Aは結合して、N,P,OまたはSから成る群から少なくとも1個の原子を含む5員環、6員環もしくは7員環の複素環を形成し、そして少なくとも1つのR1A−R4Aは、アルキル基中に1〜10個の炭素原子を有し且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、その場合、アリール基は、N、P、OもしくはS含有置換基、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、ハロゲン、または1〜10個の炭素原子を有するハロアルキルもしくはハロアリールで置換することもでき、
基R5Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、そして、2つのジェミナル基R5Aは、結合して、5員環または6員環を形成することができ、
Zは、AとCpの間に存在する二価の架橋であって、
【化2】

から成る群より選択され、
上記式中、
1A−L3Aは、それぞれ互いに独立に、珪素またはゲルマニウムであり、
6A−R11Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、またはSiR26A3であり、
その場合、有機基R6A−R11Aは、ハロゲンで置換することもでき、また、2つのジェミナルまたはビシナル基R6A−R11Aは結合して5員環または6員環を形成することもでき、そして
基R12Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、または、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、C−C10−アルコキシまたはC−C10−アリールオキシであり、そして2つの基R12Aは、結合して、5員環もしくは6員環を形成することができ、そして
Aは、元素周期表の15族および/もしくは16族の1個以上の原子を含む非荷電供与基、またはカルベン、好ましくは未置換、置換もしくは縮合された複素芳香環系であり、
は、チタン(酸化状態3)、バナジウム、クロム、モリブデンおよびタングステンから成る群より選択される金属であり、そして
kは、0または1である、ことを有する請求項1または2記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項4】
Aが、下式(IVa)または(IVb)
【化3】

(式中、
6A−E11Aは、それぞれ互いに独立に、炭素または窒素であり、
16A−R21Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、または、SiR22Aであり、
その場合、有機基R16A−R21Aは、ハロゲンまたは窒素、そして更に、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、またはSiR22A基によって置換することができ、そして、2つのビシナル基R16A−R21AまたはR16AおよびZは、結合して、5員環または6員環を形成することもでき、
基R22Aは、それぞれ互いに独立に、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、またはアルキル基中に1〜10個の炭素原子且つアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、また、2つの基R22Aは、結合して、5員環または6員環を形成することができ、
pは、E6A−E11Aが窒素であるとき0であり、E6A−E11Aが炭素であるとき1である)の群である請求項1〜3のいずれかに記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項5】
−Z−Aおよびアリールアルキル置換基が、互いに関して1,3位にある請求項3または4記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項6】
A)少なくとも1種の請求項1〜5記載のモノシクロペンタジエニル錯体、
B)任意の有機または無機の担体、
C)任意の1種以上の活性化化合物、
D)オレフィン重合に適する任意の更なる触媒、そして、
E)周期表の1族、2族または13族の金属を含む任意の1種以上の金属化合物 を含むオレフィン重合のための触媒系。
【請求項7】
請求項6記載の触媒系と、該触媒系を基準として1:0.1〜1:1000の質量比で該触媒系上に重合された1種以上の直鎖C−C10−1−アルケンとを含む重合触媒系。
【請求項8】
オレフィンの重合または共重合のための請求項6または7記載の触媒系の使用。
【請求項9】
請求項6または7記載の触媒系の存在下で、オレフィンを重合または共重合させることによってポリオレフィンを調製する方法。

【公表番号】特表2008−524143(P2008−524143A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545946(P2007−545946)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013476
【国際公開番号】WO2006/063826
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(500289758)バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハー (118)
【Fターム(参考)】