説明

モバイル電子デバイスにおけるマイクロホンのための電磁遮蔽および音響室

【課題】モバイル電子デバイスおよび電磁遮蔽システムを提供すること。
【解決手段】モバイル電子デバイス(10)の回路基板(80、100、120、142)は、該回路基板に搭載されたマイクロホン(96、110、126)、および関係する増幅器および信号調整回路を有する。無線周波数(RF)遮蔽物(94、108、122)は、マイクロホンを取り囲み、電磁干渉(EMI)から隔離する。RF遮蔽物は、回路基板と一緒に、マイクロホンを取り囲む音響室(81、101)を形成する。RF遮蔽物の開口部(99)は、音響エネルギーが、音響室に入り、マイクロホンに到達することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、モバイル電子デバイスの分野に関し、より具体的には、音響システムの電磁遮蔽および音響パフォーマンス、ならびにそれに関する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
現在、スマートホンおよびいわゆるスーパーホンを含むセルラー電話のような複数のモバイル通信デバイスは、世界中のますます多くの人々が、個人通信とビジネス通信の両方のためにモバイル通信デバイスを採用するために、増え続けている。そのようなモバイル通信デバイスは、ユーザーがほとんどどこを旅していても、ユーザーが電話をかけ、受けることを可能にする。モバイル通信デバイス内に取り込まれる技術が進歩するにつれ、これらデバイスの機能性も進歩した。多くのモバイル通信デバイスは、基本的な電話発受信能力に加えて、数多くの進歩した特徴を提供する。そのような特徴は、例えば、セルラーデータネットワーク(例えば、3G、4G)または利用可能なワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)ホットスポットを介したワイヤレスインターネットブラウジング、ワイヤレスeメール、カレンダリング、アドレスブック、タスクリスト、計算機、ワードプロセシング、スプレッドシートなどを含む。さらに、より進歩したモバイル通信デバイスは、特定の機能性をデバイスに提供するアプリケーション(「アプリ」と呼ばれる)を駆動させる能力を有する。そのようなアプリケーション(典型的には無料または低コスト)は、インターネットからダウンロードされ、デバイスにインストールされる。
【0003】
モバイル通信デバイスの機能性の増加は、また、ユーザーが搬送することがより容易で、より便利である、ますます小さなデバイスに対する要求を駆り立てる。これは、モバイル通信デバイスデザイナーに、デバイス内の内部回路基板および電気/電子コンポーネントの物理的サイズを縮小させるように圧力をかけている。これは、多くのコンポーネント、特にアンテナのような無線周波数(RF)コンポーネント、マイクロホンコンポーネント、RFパワー増幅器などを、一緒に近くに配置させる原因となる。これは、デバイスのさまざまな電子コンポーネントが、デバイスのRFコンポーネントとサブシステム、および/または、外部ソースからの電磁干渉(EMI)に苦しむ可能性を増加させる。例えば、内部表面搭載型マイクロホンは、RFパワー増幅器からか、またはアンテナにより放射されたエネルギーから直接伝導されたエネルギーをピックアップし得る。このパワー増幅器またはアンテナからの伝導/近フィールド放射エネルギーの望まれない受け入れは、汎欧州ディジタル移動電話方式(GSM)システムのようなバースト伝送スキームにおいて特に問題であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかのモバイルワイヤレス通信デバイスにおける他の干渉するEMI信号のソースは、RFエネルギーを放射し、遮蔽されていないコンポーネントに干渉する可能性があり、それによってデバイスのパフォーマンスを落とす液晶ディスプレイ(LCD)、マイクロプロセッサまたは中央処理装置(CPU)、クロックジェネレーター回路などを含む。伝導および放射された干渉RFエネルギーがモバイル通信デバイスに連結された場合に、さらなる問題が生じ、音響ブレークスルーテストをアップリンクとダウンリンクの両方に対して失敗させ得る。キーボード回路ですら、潜在的に望まれないEMI問題を作り得る。例えば、任意のキーボード回路により形成される最後のループに起因して、キーボードを介してマイクロプロセッサまたはCPUから放出されたスペクトル倍音(spectral harmonics)のEMIにより、RFレシーバー感度は、しばしば劣化する。いくつかの例において、強いRFエネルギー、例えば、アンテナを介して無線から伝送されたパワーは、キーボードのキーインおよびキーアウトラインを通したモバイル通信デバイスのマイクロプロセッサまたはCPU入力/出力(I/O)ラインに干渉または連結し、マイクロプロセッサまたはCPUのリセットの原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
モバイル電子デバイスの回路基板は、該回路基板に搭載されたマイクロホン、および関係する増幅器および信号調整回路を有する。無線周波数(RF)遮蔽物は、マイクロホンを取り囲み、電磁干渉から隔離する。RF遮蔽物は、回路基板と一緒に、マイクロホンを取り囲む音響室を形成する。RF遮蔽物の開口部は、音響エネルギーが、音響室に入り、マイクロホンに到達することを可能にする。
【0006】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1) モバイル電子デバイス(10)であって、該モバイル電子デバイスは、
ハウジングであって、音響エネルギーが該ハウジング(11)の中に入るための開口部(86、114)を有するハウジングと、
該ハウジングの内側に固定されている無線周波数「RF」回路であって、電磁放出を発生させることが可能な無線周波数「RF」回路と、
該ハウジングの内側に固定されている回路基板(80、100、120、142)と、
該回路基板上に搭載されているマイクロホン(96、110、126)を含む音響システムと、
該回路基板に機械的および電気的に連結されている無線周波数「RF」遮蔽物(94、108、122)であって、該RF遮蔽物は、該マイクロホンを取り囲み、該RF遮蔽物は、該マイクロホンのために、少なくとも該電磁放出からの何らかの電磁干渉「EMI」隔離を提供する、無線周波数「RF」遮蔽物(94、108、122)と、
該マイクロホンを取り囲む音響室(81、101)であって、該音響室は、該回路基板および該RF遮蔽物から形成され、該RF遮蔽物は、該音響エネルギーが該音響室に入ることを可能にするための開口部(99)を有し、該音響エネルギーは、該RF遮蔽物の該開口部(99)を通って該音響室に入った後、音響室中を伝播可能である、音響室と、
該音響エネルギーを該ハウジングの該開口部(86、114)から該RF遮蔽物の該開口部(99)に伝導させるための音響連結器(90、106)と
を含む、モバイル電子デバイス。
(項目2) 前記音響連結器は、前記ハウジングの前記開口部(86、114)から前記RF遮蔽物(94、108、122)の前記開口部(99)へ延在する音響管(90)である、上記のいずれか一項に記載のモバイル電子デバイス。
(項目3) 前記音響管(90)は、締結リング(92)を用いて前記RF遮蔽物に締結されるか、または締結リング(88)を用いて前記ハウジングに締結される、上記のいずれか一項に記載のモバイル電子デバイス。
(項目4) 前記音響連結器は、前記RF遮蔽物を部分的または完全に封入する覆い(106)を通るチャネル(114)である、上記のいずれか一項に記載のモバイル電子デバイス。
(項目5) 前記ハウジングは、前記RF遮蔽物に直接接触しており、前記音響連結器は、該ハウジングの前記開口部(86、114)および該RF遮蔽物の前記開口部(99)のオーバーラップによりもたらされる、上記のいずれか一項に記載のモバイル電子デバイス。
(項目6) 前記回路基板は、前記マイクロホンに対してさらなるRF遮蔽を提供するために、前記RF遮蔽物の実質的に下にグランドプレーンを含む、上記のいずれか一項に記載のモバイル電子デバイス。
(項目7) 前記マイクロホンに連結された1つ以上の電磁適合性「EMC」コンポーネント(98、124)をさらに含み、該1つ以上のEMCコンポーネントは、前記RF遮蔽物の内側の前記回路基板上に搭載されている、上記のいずれか一項に記載のモバイル電子デバイス。
(項目8) 前記音響室の寸法は、前記音響システムの音響学上の特性を、所定の値または所定の範囲内で達成するために選択される、上記のいずれか一項に記載のモバイル電子デバイス。
(項目9) 前記音響学上の特性は、前記音響システムの周波数応答、該音響システムの効率性、該音響システムの信号対雑音比、該音響システムの音質、該音響システムの背景雑音の取り除き、該音響システムの音声了解度のうちの1つ以上を含む、上記のいずれか一項に記載のモバイル電子デバイス。
(項目10) 電磁遮蔽音響システムであって、該電磁遮蔽音響システムは、
回路基板(80、100、120、142)と、
該回路基板上に搭載されているマイクロホン(96、110、126)と、
該回路基板に機械的および電気的に連結されている無線周波数「RF」遮蔽物(94、108、122)であって、該RF遮蔽物は、該マイクロホンを取り囲み、該RF遮蔽物は、該マイクロホンのために、何らかの電磁干渉「EMI」隔離を提供する、RF遮蔽物(94、108、122)と、
該マイクロホンを取り囲む音響室(81、101)であって、該音響室は、該回路基板および該RF遮蔽物から形成される、音響室(81、101)と
を含み、該RF遮蔽物は、開口部を有することにより、該音響室の外側からの音響エネルギーが該音響室に入ることを可能にし、音響エネルギーは、該開口部を通って該音響室に入った後、該音響室中を伝播可能である、電磁遮蔽音響システム。
(項目11) 音響エネルギーを前記RF遮蔽物の外側から該RF遮蔽物の前記開口部(99)に伝導させるために、音響連結器(90、106)をさらに含む、上記のいずれか一項に記載の電磁遮蔽音響システム。
(項目12) 前記音響連結器を前記RF遮蔽物に接続するための締結リング(92)、または、該音響連結器を前記ハウジングに接続するための締結リング(88)をさらに含む、上記のいずれか一項に記載の電磁遮蔽音響システム。
(項目13) 前記マイクロホンに連結された1つ以上の電磁適合性「EMC」コンポーネント(98、124)をさらに含み、該1つ以上のEMCコンポーネントは、前記音響室の内側の前記回路基板上に搭載されている、上記のいずれか一項に記載の電磁遮蔽音響システム。
(項目14) 前記回路基板は、前記マイクロホンのさらなるRF遮蔽を提供するために、前記RF遮蔽物の実質的に下にグランドプレーンを含む、上記のいずれか一項に記載の電磁遮蔽音響システム。
(項目15) 前記音響室の寸法は、前記音響システムの音響学上の特性を、所定の値または所定の範囲内で達成するために選択される、上記のいずれか一項に記載の電磁遮蔽音響システム。
(項目16) 前記音響学上の特性は、前記音響システムの周波数応答、該音響システムの効率性、該音響システムの信号対雑音比、該音響システムの音質、該音響システムの背景雑音の取り除き、該音響システムの音声了解度のうちの1つ以上を含む、上記のいずれか一項に記載の電磁遮蔽音響システム。
【0007】
(摘要)
モバイル電子デバイス(10)の回路基板(80、100、120、142)は、該回路基板に搭載されたマイクロホン(96、110、126)、および関係する増幅器および信号調整回路を有する。無線周波数(RF)遮蔽物(94、108、122)は、マイクロホンを取り囲み、電磁干渉(EMI)から隔離する。RF遮蔽物は、回路基板と一緒に、マイクロホンを取り囲む音響室(81、101)を形成する。RF遮蔽物の開口部(99)は、音響エネルギーが、音響室に入り、マイクロホンに到達することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
メカニズムが、例としてのみ、本明細書で添付の図面を参照して説明される。
【図1】図1は、電磁遮蔽音響システムを組み込んだ例示的ハンドヘルドワイヤレスモバイル通信デバイスのいくつかのコンポーネントブロックを例示した、単純化されたブロック概略図である。
【図2】図2は、電磁遮蔽音響システムを組み込んだ例示的ハンドヘルドワイヤレスモバイル通信デバイスのコンポーネント特徴を例示した概略図である。
【図3】図3は、電磁遮蔽音響システムを組み込んだ例示的ハンドヘルドワイヤレスモバイル通信デバイスの機能的ブロックを例示したブロック概略図である。
【図4】図4は、電磁遮蔽音響システムを組み込んだ例示的回路基板の断面の正面図である。
【図5】図5は、電磁遮蔽音響システムの一実施形態の断面図である。
【図6】図6は、電磁遮蔽音響システムの一実施形態の断面図である。
【図7】図7は、マイクロホンを示し、RF遮蔽壁半田付けフレームを取り囲むプリント配線基板の例示的層である。
【図8】図8は、RF遮蔽プレーンおよび平衡(balanced)マイクロホン信号ラインを示すプリント配線基板の例示的層である。
【図9】図9は、平衡マイクロホン信号ラインに対するRF遮蔽を示したプリント配線基板の例示的層である。
【図10】図10は、マイクロホン増幅器回路への左右の平衡信号ラインを示したプリント配線基板の例示的層である。
【図11】図11は、マイクロホン増幅器回路への左右の平衡信号ラインに対するRF遮蔽を示したプリント配線基板の例示的層である。
【図12】図12は、RF遮蔽囲い半田付けフレームおよびマイクロホン増幅器回路入力信号通路を示したプリント配線基板の例示的層である。
【図13】図13は、マイクロホン信号通路に対してRF遮蔽を示したプリント配線基板の例示的層である。
【図14】図14は、左右の遮蔽されたマイクロホン信号ラインを示したプリント配線基板の例示的層である。
【図15】図15は、マイクロホン信号通路を遮蔽するためのグラウンドプレーンを示したプリント配線基板の例示的層である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(以降用いられる表記)
以下の表記が、本明細書を通して用いられる。
【0010】
【表1】

(詳細な説明)
ここで、本開示が、添付の図面を参照して、以降、より完全に示される。添付の図面において、本開示の好ましい実施形態が示される。しかし、本願の発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が、徹底して、完璧になり、また発明の範囲を当業者に伝えるように、提供される。類似の番号は、一貫して類似の要素を指し、アポストロフィ(’)表記は、代替の実施形態において、同様の要素を示すために用いられる。
【0011】
本開示は、マイクロホンおよびマイクロホンに電気的に接続されたコンポーネント(オプション)に対して電磁遮蔽および音響室を提供することに関する。音響室は、マイクロホンの音響パフォーマンスに影響を与え得る。そのため、マイクロホンが含まれる音響システムの音響パフォーマンスに影響を与え得る。例えば、音響室は、音響システムの周波数応答、音声了解度、背景雑音の取り除き、効率性、信号対雑音比および音質に影響し得る。
【0012】
上記で説明されるように、内部マイクロホン、例えば、表面実装技術(SMT)マイクロホンが、内部または外部ソース(例えば、パワー増幅器、RFサブシステム、アンテナ、デジタル回路、クロック回路、など)からEMIを被るときに作られる懸念があり得る。EMIに関する懸念は、電磁遮蔽音響システムで解消され得る。適切なRF遮蔽およびEMCフィルターの使用は、(1つの非限定的例において)音響劣化を減らす。例示的実施形態において、無線周波数(RF)遮蔽物は、内部マイクロホンおよびその関連付けられた回路を取り囲み、マイクロホンの動作の問題に関するEMIを減らし、または排除する。RF遮蔽物は、また、無線送信中、アンテナにより放たれる放射RFエネルギーからの十分な隔離を提供し得る。つまり、RF遮蔽物は、アンテナにより放たれるRFエネルギーが遮蔽されたシステムと相互作用またはシステムに干渉するのを実質的に防ぎ得る。
【0013】
図1、図2および図3に示されるような通信デバイスの音響回路部における電磁干渉(EMI)に関連付けられた懸念は、モバイルワイヤレス通信デバイスに連結された伝導および放射干渉RFエネルギーを減らすことにより、対処され得る(伝導および放射干渉RFエネルギーを減らさない場合は、可聴雑音を作り得、アップリンクとダウンリンク通信の両方においてRFイミュニティ不全を生じる)。RF遮蔽物は、EMIフィルターおよびマイクロホンを囲み、外部または内部RF雑音ソースを介する音響回路への連結からの伝導される干渉RFエネルギーを減らし、または排除する。
【0014】
電磁遮蔽音響システムを組み込んだ例示的ハンドヘルドワイヤレスモバイル通信デバイスのコンポーネント特徴を例示するブロック概略図が、図1に示される。電磁遮蔽音響システムを組み込んだ例示的ハンドヘルドワイヤレスモバイル通信デバイスのコンポーネント特徴を例示する概略図が、図2に示される。
【0015】
図1および図2に関して、モバイルワイヤレス通信デバイス(例えば、ハンドヘルドセルラー電話)(一般的に、10で参照される)が、例示的目的のみのために示され、代表的な非限定的例である。電磁遮蔽音響システムは、そこからの範囲から逸脱することなしに、多くの他のタイプの電子デバイスに組み込まれ得ることが認められる。
【0016】
デバイス10は、ハウジング11および、例えば、ハウジングの内部に固定された従来のプリント配線基板(PCB)のような回路基板142を含む。本明細書で用いられる「回路基板」という用語は、任意の誘電性基板、PCB、セラミックス基板または信号回路および電子コンポーネントをモバイルワイヤレス通信デバイス10内に収容するための構造を収容する他の回路を指すことが注意される。さらに、回路基板という用語は、単数形で用いられるが、複数の回路基板も指し得る。この例において、ハウジング11は、例えば、多くのセルラー電話で用いられるフリップまたはスライディングハウジングと反対である、固定ハウジングを含む。しかし、これらハウジング構成および他のハウジング構成も用いられ得る。
【0017】
回路基板142に搭載されるアナログおよびデジタル回路148は、マイクロプロセッサと、メモリと、RF回路、パワー増幅器回路などを含む1つ以上のブロードバンドおよび/またはベースバンドトランシーバー(例えば、セルラー、WLAN、GPS、Bluetooth、WiMAX、UWBなど)と、キーボード回路など、とを含み得る。キーボード回路は、当業者に認められるように、回路基板などの上の別個のキーボードサブシステムまたは回路基板上に搭載され得ることが注意される。バッテリーまたは他のパワー供給(示されていない)は、また、回路148にパワーを供給するためにハウジング11により、好ましくは固定される。回路148は、また、マイクロホンおよび関係するマイクロホン信号調整回路および増幅回路を含む音響回路を含み得る。
【0018】
「RF回路」という一般的用語は、通信回路だけでなく、電磁放出を発生させる任意の他の回路および/または相互接続を包含する意図される。例えば、プロセッサは、数100メガヘルツから数ギガヘルツの範囲の周波数で動作し得、その周波数の範囲で電磁放出を発生し得る。デバイス内のPCBは、例えば、プロセッサとメモリデバイスとの間を、同じくその周波数範囲で信号を搬送し得る。もう1つの例において、ディスプレイ回路は、また、その周波数の範囲で電磁放出を発生させ得る。そのため、「RF回路」という用語は、任意のコンポーネント、回路および電磁放出を発生し得るコンポーネント間の相互接続を包含する。したがって、図1、図2および図3に関して、本明細書で説明されるコンポーネントおよび回路のいずれか、またそのようなコンポーネント間の相互接続(伝導トレース)のいずれかが、「RF回路」と考えられ得る。
【0019】
また、ハウジング11に固定され、回路148に接続された音響出力変換器144(例えば、スピーカー)をデバイス10は含み得る。キーパッド(キーボード)22のような1つ以上のユーザー入力インターフェイスデバイスは、また、ハウジング11に、好ましくは、固定され、回路148に接続される。本明細書で用いられるキーパッドという用語は、また、キーボードという用語を指し、一般に公知の、文字および/数字が付されたキーを有するユーザー入力デバイスを示し、他の実施形態では、マルチトップまたは予測入力モードを含む。ユーザー入力インターフェイスデバイスの他の例は、スクロールホイール18およびバックボタン19を含む。他のユーザー入力インターフェイスデバイス(例えば、スタイラスまたはタッチスクリーンインターフェイス)が他の実施形態において用いられ得ることが認められる。
【0020】
アンテナ/RFフロントエンド回路150は、ハウジングの下部に位置づけられ得、アンテナ回路(アンテナを物理的に作る)を作る伝導トレースのパターンとして形成され得る。RFフロントエンド回路は、オプションでアンテナブロック150または回路ブロック148にインプリメントされ得る。RF出力信号は、さらなる処理のために回路ブロック148に入力される。
【0021】
デバイス10は、また、複数の補助的I/Oデバイス146を含む。補助的I/Oデバイスの例は、WLANサブシステム、Bluetoothサブシステム、デジタルカメラ能力を提供するカメラサブシステム、GPSサブシステム、フラッシュメモリカードサブシステム、第二音響出力変換器(例えば、スピーカーホン動作のためのスピーカー)、デジタルカメラ能力を提供するカメラレンズ、電気デバイスコネクター(例えば、USB、ヘッドホン、セキュアデジタル(SD)またはメモリカード、など)を含む。
【0022】
デバイス10は、また、ディスプレイ12、例えば、ハウジング11に固定され回路148に接続された液晶ディスプレイ(LCD)を含む。バックボタン19およびスクロールホイール18は、また、ユーザーが、メニュー、テキストなどをナビゲートすることを可能にするために、回路148に接続され得、これは当業者に認められる。スクロールホイール18は、また、「サムホイール」または「トラックホイール」と呼ばれ得る。スクロールホイール18に加え、またはそれに代えて、デバイス10は、トラックボールまたは光学トラックパッド(図2には示されていない)のようなユーザーインターフェイス装置を含み得る。キーパッド22は、複数のマルチシンボルキー14を含み、各々は、その上に、複数のそれぞれのシンボルの印を有する。キーパッド22は、また、当業者に認められるように、オルタネートファンクションキー15、ネクストキー16、スペースキー17、シフトキー26、リターン(またはエンター)キー25、バックスペース/デリートキー24、センドキー13、エンドキー21およびセルラー電話を発信する際の使用のためのコンビニエンス(例えば、メニュー)キー20を含む。
【0023】
本明細書で説明されるモバイルワイヤレス通信デバイス10は、伝統的なセルラー電話として、有利に用いられ得るだけでなく、例えば、インターネットおよびeメールデータのようなセルラーデータ(3G、4Gなど)または他のネットワークを介して、データを送信および/または受信するためにも用いられ得る。もちろん、他のキーパッド構成も、また、他の実施形態において用いられ得る。マルチタップまたは予測入力モードは、当業者に認められるように、eメールなどをタイプするために用いられ得る。
【0024】
電磁遮蔽音響システムを組み込んだ例示的ハンドヘルドワイヤレスモバイル通信デバイスの機能的ブロックを例示するブロック概略図が、図3に示される。モバイル通信デバイスは、好ましくは、音声およびデータ通信能力を有する2ウェイ通信デバイスである。加えて、デバイスは、オプションで、インターネットを介して、他のコンピューターシステムと通信する能力を有する。モバイル通信デバイス(またはモバイルデバイス)は、マルチメディアプレーヤー、モバイル通信デバイス、セルラー電話、スマートホン、PDA、PNA、Bluetoothデバイスなどのような任意の適切な有線またはワイヤレスデバイスを含み得ることが注意される。例示的目的のみのために、デバイスが、セルラーベーススマートホンまたはいわゆるスーパーホンのようなモバイルデバイスとして示される。オブジェクト選択メカニズムは、幅広いさまざまな通信デバイスにインプリメントされ得るため、この例は、メカニズムの範囲を限定する意図ではないことが注意される。示されるモバイルデバイス10は、意図的に単純化され、あるコンポーネントのみ例示されるが、モバイルデバイスは、示されるコンポーネントを超えて、他のコンポーネントおよびサブシステム64を含み得ることがさらに認められる。
【0025】
モバイルデバイス(一般的に10で参照される)は、ベースバンドプロセッサ、CPU、マクロプロセッサ、DSPなどを含み得、オプションでアナログ部とデジタル部の両方を有するプロセッサ36を含む。モバイルデバイスは、複数の無線34および関連付けられたアンテナ32を含み得る。ベーシックセルラーリンクおよび任意の数の他のワイヤレススタンダードおよび無線アクセス技術(RAT)に対する無線が含まれ得る。例は、限定するものではないが、符号分割多重接続(CDMA)、パーソナルコミュニケーションサービス(PCS)、汎欧州ディジタル移動電話方式(GSM)/GPRS/EDGE 3G;WCDMA;WiMAXワイヤレスネットワークの範囲内のとき、WiMAXワイヤレス接続性を提供するWiMAX;Bluetoothワイヤレスネットワークの範囲内のとき、Bluetoothワイヤレス接続性を提供するBluetooth;ホットスポットまたはその場限りのインフラまたはメッシュベースワイヤレスLAN(WLAN)ネットワークの範囲内のとき、ワイヤレスコネクティビティを提供するWLAN;near field communications;UWB;軌道を回る1つ以上のGPS衛星から伝送されたGPS無線信号を受信するGPS受信器、ユーザーに、FM放送を聴く能力および低パワーで用いられていないFMステーションを介して音響(例えば、FM受信器を有する車またはホームステレオシステムを介した再生のため音響)を伝送する能力を提供するFMトランシーバー、デジタル放送テレビ、などを含む。モバイルデバイスは、また、プロセッサ36に全体的または部分的にインプリメントされ得るか、されない場合もあるプロトコルスタック66を含む。インプリメントされたプロトコルスタックは、必要とされる特定のワイヤレスプロトコルに依存する。
【0026】
モバイルデバイスは、また、内部揮発性記憶装置42(例えば、RAM)および永続性記憶装置38(例えば、ROM)およびフラッシュメモリ40を含み得る。永続性記憶装置38は、また、プロセッサ36により実行可能なアプリケーションを格納し、それらアプリケーションにより用いられる関係するデータファイルを含み、デバイス10が、その意図された機能を果たすことを可能にする。いくつかのユーザーインターフェイスデバイスは、ナビゲーション、メニューチョイスの選択およびアクションの確認のために用いられる、押し込み可能、または動作可能なサムホイール/タッチパッド/トラックボールを含み得るトラックボール/タッチパッド/サムホイール44と、例えば、英数字データを入力するためにQWERTY様式で配列されるキーパッド/キーボード46と、アラビア数字ダイアルを入力するため、および他の制御と入力のための(キーボードは、また、電話送信/終了キー、メニューキーおよびエスケープキーのようなシンボル、ファンクションおよびコマンドキーを含み得る)数字キーパッドと、単数または複数のマイクロホン52と、単数または複数のスピーカー50および関連付けられた音響コーデックまたは他のマルチメディアコーデックと、ユーザーを警告するバイブレーター(示されていない)と、カメラおよび関係する回路56と、単数または複数のディスプレイ54および関連付けられたディスプレイコントローラーとを含む。シリアル/USBまたは他のインターフェイス接続48(例えば、SPI、SDIO、PCI、USDなど)は、シリアルリンクをユーザーのPCまたは他のデバイスに提供する。SIM/RUIMカード72は、アドレス帳エントリー、ユーザー識別などのユーザーデータを格納するために、インターフェイスをユーザーのSIMまたはRUIMカードに提供する。
【0027】
ポータブルパワーが、パワーマネージメント回路68に連結されたバッテリー70のようなパワーパックにより提供される。外部パワーは、パワーマネージメント回路68(バッテリー70の充電および放電を管理するように動作する)に接続されたUSBパワー60またはAC/DCアダプター78を介して提供される。
【0028】
プロセッサ36により実行されるオペレーティングシステムソフトウェアは、好ましくは、永続性記憶装置38またはフラッシュメモリ40に格納されるが、リードオンリーメモリ(ROM)または同様の記憶装置要素のような他のタイプのメモリデバイスに格納され得る。加えて、システムソフトウェア、特定のデバイスアプリケーションまたはその一部は、ランダムアクセスメモリ(RAM)のような揮発性記憶装置42に一時的にロードされ得る。モバイルデバイスにより受信された通信信号は、また、RAMに格納され得る。
【0029】
プロセッサ36は、そのオペレーティングシステム機能に加えて、デバイス10上のソフトウェアアプリケーションの実行を可能にする。データ通信および音声通信のような基本的デバイス動作を制御する所定のアプリケーションのセットは、製造の間、インストールされ得る。さらなるアプリケーション(またはアプリ)はインターネットからダウンロードされ得、プロセッサ36上の実行のためにメモリにインストールされ得る。
【0030】
所望のネットワーク登録または起動手続きが完了したとき、モバイルデバイス10は、通信ネットワーク(示されていない)を介して通信信号を送信および受信し得る。通信ネットワークからアンテナ32により受信された信号は、無線回路34により処理される。例えば、処理は、信号増幅、周波数ダウンコンバージョン、フィルタリング、チャネル選択などを含み、また、アナログ−デジタル変換、同期、復号化、解読などを提供し得る。受信された信号のアナログ−デジタル変換は、復調、復号化のような、より複雑な通信機能が実行されることを可能にする。伝送される信号は、処理されて、無線回路34により伝送される(デジタル−アナログ変換、周波数アップコンバージョン、フィルタリング、増幅およびアンテナ32を介した通信ネットワークへの伝送を含む)。
【0031】
電磁遮蔽音響システムを組み込んだ例示的回路基板の断面の正面図が、図4に示される。例示的回路基板レイアウトは、図1、図2および図3のモバイル通信デバイス10内に含まれ得る回路基板120の一部を含む。回路基板レイアウトは、2つの部分を含む。第一の部分は、マイクロホン(MIC)126(表面搭載またはその他)、EMC雑音隔離回路124、RF遮蔽物122を含む。第二の部分は、マイクロホン信号調整および増幅器回路132とRF遮蔽物130を含む。図4では明確性のために示されるが、マイクロホン126およびEMC雑音隔離回路124は、RF遮蔽物122により、完全にまたは部分的に覆い隠され得、増幅器回路132は、RF遮蔽物130により、完全にまたは部分的に覆い隠され得る。
【0032】
マイクロホン126および関連する増幅器回路は、RF隔離遮蔽物(「缶」)により取り囲まれる回路基板120に搭載され、回路基板上にRF隔離コンパートメントを形成する。複数のマイクロホン信号ライン128は、マイクロホン126から増幅器回路132に経路設定される。各RF遮蔽物122、130は、電気的に伝導性であり、金属、金属で披覆されたプラスチックなどのような、さまざまな電気的に伝導性の素材から構築され得、例えば、側面と上面および丸い壁と上面などを含む、任意の適切な形状または構成を有し得る。RF遮蔽物122および130は、回路基板120に半田付け可能であり得る。
【0033】
EMCコンポーネント124は、平衡構成および/または不平衡構成のどちらかにおいて、コンデンサー、コンデンサーを通したフィード、フィルターおよび/または誘電器のような受動的コンポーネントを含む。EMCコンポーネント124は、マイクロホン126に伝導される電磁干渉を減らすために用いられ得る。
【0034】
増幅器回路132は、マイクロホン126から受信される信号を調整し、増幅するのに有用な電気コンポーネントを含む。これは、音響集積回路(IC)、音響パワー増幅器、トランジスタおよびダイオードのような能動的コンポーネントと、抵抗器、コンデンサーのような受動的コンポーネントとを含み得る。増幅器回路132は、また、抵抗器、コンデンサー、フィルターおよび/またはインダクターのような受動的コンポーネントを含み得る。
【0035】
RF遮蔽物122は、回路基板120に固定された金属または金属で披覆されたハウジングであり、マイクロホン126を取り囲み、マイクロホン126、およびオプションで電EMCコンポーネント124を電磁干渉から遮蔽する。同様に、RF遮蔽物130は、回路基板120に固定された金属または金属で披覆されたハウジングであり、増幅器回路132を取り囲み、増幅器回路132を電磁干渉から遮蔽する。
【0036】
電磁遮蔽音響システムの一実施形態の断面図が、図5に示される。システムは、2つ以上の層82を含む回路基板(例えば、プリント配線基板)80を含む。マイクロホン96およびEMCコンポーネント98は、回路基板80(表面搭載またはその他)に搭載される。金属または金属で披覆されたRF遮蔽物94は、回路基板80に機械的および電気的に連結され、回路基板80と共に、マイクロホン96および(オプションで)EMCコンポーネント98を取り囲む内部コンパートメント81を形成する。RF遮蔽物94は、マイクロホン96および(オプションで)EMCコンポーネント98に対してEMI隔離を提供する。
【0037】
RF遮蔽物94は、RF遮蔽物94の任意の適切なロケーション(例えば、上面、側面など)に配置され得る開口部99を含む。オプションの音響管90は、RF遮蔽物94をデバイス(例えば、モバイルワイヤレス通信デバイス10)のハウジング84の開口部(例えば、穴)86に音響的に接続させる。音響管90は、音響エネルギーを開口部86から開口部99に伝導させることが可能であり得、音響連結器と呼ばれ得る。開口部99および86と音響管90とは、環状断面を有し得る(しかし、有する必要はない)。さらに、開口部99および86は、サイズまたは形状またはその両方で、互いに類似する断面を有し得るか、または有さない場合がある。開口部99と開口部86との間の音響管90の通路は恣意的であり得、図5に示されるように、直線である必要はない。音響管90は、締結され得、1つ以上の締結および/または密閉リング92、88、それぞれを介して、RF遮蔽物94およびハウジング84に対して音響的に密閉され得る。
【0038】
開口部99は、ハウジング84の外側からの音響エネルギー(音波により伝えられ得る)が、コンパートメント81に向けられることを可能にし、コンパートメント81は、マイクロホン96に対して音響室81として機能する。音響室81に入ると、音響エネルギー(音波)は、音響室81中を自由に伝播可能である。音響室81の寸法は、マイクロホン96および対応する音響システムの音響パフォーマンスを改善するために選択され得る。RF遮蔽物94の開口部99のサイズは、マイクロホン96の最後の音響周波数応答に影響を与え得ることが注意される。
【0039】
RF遮蔽およびEMCの観点から、RF遮蔽物94が、実質的に、コンパートメント81への外部電磁場の貫通を減らすように、RF遮蔽物94の開口部99は、好ましくは小さく、例えば、直径1mmの範囲である。さらに、音響管90は、任意の適切な形状、形態およびプロファイルを、特定のインプリメンテーションに依存して有し得る。加えて、RF遮蔽物94に任意の数の開口部があり得、ハウジング84に任意の数の開口部があり得、任意の数の音響管があり得る。
【0040】
電磁遮蔽音響システムの代替の実施形態の断面図が、図6に示される。この代替の実施形態において、マイクロホン110およびEMCコンポーネント112は、2つ以上の層102を有する回路基板(プリント配線基板)100上に搭載される。金属または金属で披覆されたRF遮蔽物または缶108は、マイクロホン110および(オプションで)EMCコンポーネント112の上に置かれ、回路基板100に機械的および電気的に連結される(例えば、半田付けまたは圧力を用いて)。
【0041】
シリコン、ゴム、プラスチックおよび/またはそれに類似する他の素材のような適切な素材から作られる可撓性覆い106が、RF遮蔽物108の上に置かれ、そのため部分的または完全に、RF遮蔽物108を封入する。覆い106は、可撓性音響管を形成する素材であり、衝撃吸収を提供し、熱保護に貢献し、または構造の安定性を改善するといった、1つ以上の機能を果たし得る。デバイスのハウジング104は、覆い106に非常に近いか、または接触し、一実施形態において、いくらかの圧力を提供し得、覆い106をRF遮蔽物108に対して密閉する。
【0042】
図6のシステムにおけるように、内部コンパートメント101は、RF遮蔽物108と回路基板100内に作られ、マイクロホン110に対して音響室101を形成する。音響エネルギーに対するチャネル114は、RF遮蔽物108、覆い106およびハウジング104に作られた1つ以上の穴を通過する。チャネル114は、音響エネルギーをハウジング104の開口部からRF遮蔽物108の開口部へ伝導させることが可能であり得、音響連結器と呼ばれ得る。
【0043】
代替の実施形態において、チャネル(例えば、チャネル90およびチャネル114)は、ハウジング104が直接RF遮蔽物108に接触し、ハウジング104の開口部がRF遮蔽物108の開口部にオーバーラップする場合には、完全に避けられ得る。音響エネルギーは、ハウジング104の開口部から、RF遮蔽物108の開口部へ、オーバーラップを介して向けられ得、従って、音響連結器をもたらす。
【0044】
図5および図6の2つの音響室配設81および101が、例示的目的のみのために提供されることが認められる。当業者は、RF遮蔽物、マイクロホンおよび他のコンポーネントの他の配設と構成をインプリメントし得、RF遮蔽物の二重の機能性を達成し、マイクロホンに対して、EMIに対するRF遮蔽を提供し、かつ、マイクロホンに対して音響室を形成して音響パフォーマンスを改善または最適化する。
【0045】
音響室の寸法および音響室内に囲まれた音響容積は、マイクロホンが含まれる音響システムの音響学上の特性を改善または最適化するために選択され得る。音響室の寸法および音響室内に囲まれた音響容積は、所定の値または所定の範囲内で音響システムの音響学上の特性を達成するために選択され得る。音響学上の特性の例は、周波数応答、効率性、信号対雑音比、音質、背景雑音の取り除きおよび音声了解度を含む。音響室内に囲まれた音響容積は、例えば、音響室の容積から室内に囲まれたコンポーネントの容積を引いたものとして定義され得る。他の定義も、また、適切であり得る。そのため、囲まれたマイクロホン(および、オプションで、EMCコンポーネント)のサイズは、音響室のデザインに影響し得る。
【0046】
例えば、音響室に必要とされる寸法は、マイクロホンのパラメータおよび仕様と特定の用途(例えば、セルラー電話、コードレス電話などの認可条件)に対する条件とに従って、計算およびシミュレートされ得る。音響室の寸法は、任意の適切な技術を用いて(例えば、経験的計算、シミュレーション、試行錯誤、物理的測定などを介して)、決定され得る。例示的な制約は、容積、高さ、直径、形状、長さおよび音響管の直径などを含む。一実施形態において、周波数応答が計測され得、1つ以上の制約が修正され得る。周波数応答が再び計測され、制約は調節される。この処理は、所望の周波数応答が達成されるまで続き得る。
【0047】
音響室寸法の改善または最適化されたチューニングを達成することは、マイクロホンの音響パフォーマンスおよび周波数応答、音声了解度、聞かれる背景雑音のレベル(例えば、背景雑音の取り除き)、効率性、信号対雑音比、および音質の点での音響の質に影響を与え得る。「改善または最適化される」と考えられるものは、一般的には、文脈依存的であり、主観的判断に関わり得、また、多くのファクターに依存して変化し得る。したがって、いくつかの例示的実施形態が、本明細書で説明されるが、コンセプトは、それら実施形態に限定されない。また、コンセプトは、任意の特定のサイズ、形状、容積、素材または任意の他の制限に限定もされない。一般的に、本明細書で説明されたコンセプトは、さまざまなジオメトリおよびさまざまなコンポーネントを有するさまざまなデバイス(さまざまな所望の音響特徴に従う)に適用され得る。
【0048】
全ての配設および構成において、金属RF遮蔽物囲いは、改善された、または最適なマイクロホンパフォーマンスのために音響容積を提供する。デバイスのマイクロホンは、物理的および電気的に回路基板に接続される(典型的には、金属または金属を被覆されたRF缶または遮蔽物をプリント配線基板に半田付けすることにより接続される)。一実施形態において、RF囲いは、マイクロホンの上に置かれ、回路基板に半田付けされることにより、回路基板の1つ以上の層にRF囲いを電気的に接続する(例えば、少なくともグラウンド層、つまり回路グラウンドとして機能する層であり、必ずしも、アースに対して、任意の特定の電位を有していない)。
【0049】
一実施形態において、回路基板は、多層回路基板を含む。コンポーネントの例示的接続が、図7に示される。図7は、例示的プリント配線基板の上面層160を例示する。例示的プリント配線基板レイアウトは、マイクロホン搭載164、RF遮蔽物に対する半田フレーム162およびEMCコンポーネント搭載エリア166を含む。上面表面層上の囲いの半田付けの下には、プリント配線基板のより深い層の銅エリアとの導電性の接続がある。これは、遮蔽プレーン(または層)172、平衡マイクロホン信号ライン174およびグラウンドプレーンへの接触のための、RF遮蔽物の壁に沿った遮蔽缶ビア176を含む回路基板の内側の層170を例示する図8に示されている。グラウンドプレーンは、PCBを完全にカバーする、より深いシステムグラウンドプレーン層への多くのビアに接続される。これは、マイクロホンおよびEMCコンポーネントに対して、全面的な遮蔽を提供する。好ましくは、ビア間の距離は小さく作られ(例えば、5mmより小さい)、EMIに対して高いRF隔離効果を達成する。
【0050】
図9は、マイクロホン増幅器回路132(図4)につながる平衡マイクロホン信号ラインに対する遮蔽182を含む最上層の下の第二回路基板層180を例示する。
【0051】
従って、マイクロホンは、全ての側面から完全に遮蔽されている(つまり、RF遮蔽物と1つ以上のPCB遮蔽層の組み合わせにより、実質的に完全な遮蔽が提供されている)。オプションで、EMCコンポーネントが、RF遮蔽物囲い内に配置され、マイクロホンに物理的に近い。マイクロホンからの信号ラインは、多層PCBのより深い層の1つを直接介して、EMC回路コンポーネントを通過する。それらは、マイクロホンからマイクロホン入力回路への通路全体に沿って、PCBの他の層に配置される銅トレースおよびエリアで遮蔽される。これは、マクロホン入力回路への平衡左右マイクロホン信号ライン192を含む、多層PCBのさらに別の層190を例示する図10に示される。マイクロホン入力回路は、マイクロホン信号ラインを取り囲む遮蔽194を有する。図11は、図10の層の下にある層200を例示する。この層は、とりわけマイクロホン入力信号回路への平衡左右のマイクロホン信号ライン192(図10)に対する、遮蔽されたチャネルを提供する遮蔽202を含む。
【0052】
回路基板のマイクロホン入力回路(増幅器回路)部が、ここでより詳細に説明される。マイクロホンから入力回路への信号ラインは、上記に説明されるように、平衡で遮蔽されている。マイクロホンと類似して、EMIに対する保護が、回路を囲むRF遮蔽物を介して、マイクロホン信号調整および増幅器回路に対して提供される。信号調整、変換および増幅のような続く音響信号処理ステージは、また、下のシステムグラウンド(GND)プレーン層(連結および干渉を減らすために、PCB上に、マイクロホン遮蔽から比較的離れて設置されている)を有するRF遮蔽缶とにより囲まれている。
【0053】
マイクロホンおよびEMCコンポーネントからの信号トラックは、より深いPCB層における音響信号処理ステージへ経路設定される。信号トレースは、一緒に近くに置かれ、平衡信号トラック/ラインを形成し、マイクロホンおよび音響ステージに沿った左側および右側にシステムGNDエリアを有し、EMI遮蔽を提供する。平衡マイクロホン信号トレースと同じ層上に提供される遮蔽に加えて、信号ラインの上の遮蔽プレーンおよび信号ラインの下の遮蔽プレーンが、提供され、遮蔽プレーンは、複数のビアを用いてシステムGNDプレーンに接続される。これは、マイクロホン、EMCコンポーネント、平衡マイクロホン信号トラックおよびマイクロホン入力回路に対して完全な遮蔽システムを提供する。
【0054】
図12は、RF遮蔽囲い半田付けフレーム212およびマイクロホン増幅器回路入力信号通路214を示すプリント配線基板の例示的層210を例示する。
【0055】
図13は、遮蔽壁フレームグラウンド224およびマイクロホン信号通路に対する遮蔽222を示すプリント配線基板の例示的層220である。
【0056】
図14は、音響遮蔽物フレームグラウンド232に対する遮蔽を示すプリント配線基板の例示的層230である。マイクロホン信号ラインは、同じ層のGND銅プレーンの埋め込まれている左右である。さらなるGND銅プレーンが、PCB層の上下のエリアに配置される。そのため、マイクロホン信号ラインは、全ての4側面から遮蔽される。
【0057】
図15は、とりわけ、マイクロホン信号通路を遮蔽するグラウンドプレーン242を示すプリント配線基板の例示的層240である。
【0058】
従って、(1)マイクロホンおよびEMCコンポーネントが缶に配置されたRF遮蔽缶と、(2)遮蔽されたマイクロホン平衡信号通路と、(3)PCBの異なる場所に置かれたマイクロホン入力回路と、(4)マイクロホン入力回路、コーデックおよび他のステージがその中に配置されたRF遮蔽缶とが結合し、完全な遮蔽された音響システムを形成する。一実施形態において、音響ラインまたはコンポーネントは、所望のEMI隔離を提供し、音響システムの改善されたパフォーマンスを提供するこれら機械的囲いの外側にはない。
【0059】
この技術を用いて、電磁遮蔽音響システムの1つ以上の実施形態は、多くの点で利益を提供し得る。第一に、遮蔽缶は、その遮蔽としての機能に加えて、回路基板と一緒に音響室を形成(提供または定義)する。音響室は、音響パフォーマンスを改善または最適化し得る。第二に、電磁遮蔽音響システムは、マイクロホン自体に対してEMI遮蔽を提供し得る。言い換えれば、遮蔽缶は、遮蔽としての役割を適切に果たす一方で、また、所望の音響パフォーマンスを提供する「2つの異なる役割」を実質的に果たしている。第三に、遮蔽は、EMCコンポーネントおよび信号ラインからのEMI遮蔽を提供し得る。さらに、削減されたコスト、削減されたパーツの合計、スペースの節約、素材の節約、単純化された生産ステップおよび単純化されたデバイスデザインのようなさらなる利益も、また、結果として生じ得る。
【0060】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのためであって、メカニズムの限定は意図されない。本明細書で用いられた場合、単数形態の「a」、「an」および「the」は、文脈がそうではないと明確に述べない限り、複数形態も含むことが意図される。この明細書で用いられた場合、「〜を含む」および/または「〜を含んでいる」という用語は、主張される特徴、整数、ステップ、動作、要素および/またはコンポーネントの存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネントおよび/またはそのグループの存在を排除するわけではないことが、さらに理解される。「〜に動作する」という用語は、物理的なコンポーネントの能力を指す。つまりコンポーネントが機能を実行するように「動作する」場合、そのコンポーネントは、その機能を実行することが可能である。
【0061】
対応する構造、素材、行動および下記の特許請求の範囲の機能要素に加えて全ての方法またはステップの相当物は、具体的に主張されるように、他の主張される要素と組み合わせた機能を実行するための任意の構造、素材または行動を含むことが意図される。メカニズムの説明は、例示および説明の目的のために示されるが、網羅的または開示される形態のメカニズムに限定されることは意図されない。多くの改変および変更が、当業者には容易に想到され、メカニズムは、本明細書で説明された限定された数の実施形態に限定されないことが意図される。そのため、全ての適切なバリエーション、改変および相当物が、メカニズムの精神および範囲内に一致して、使用され得る。実施形態は、メカニズムおよび実用的な用途の原理を最もよく説明するため、および当業者が、予期される特定の使用に適したさまざまな改変を伴なうさまざまな実施形態に対するメカニズムを理解することを可能にするために、選ばれ、説明される。
【0062】
添付の特許請求の範囲は、メカニズムの精神および範囲に一致するメカニズムのそのような全ての特徴および利点をカバーすることが意図される。多くの改変および変更が、容易に当業者に想到されるため、メカニズムは、本明細書で説明される限定された数の実施形態に限定されないことが意図される。そのため、全ての適切なバリエーション、改変および相等物が使用され得ることが認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁遮蔽音響システムであって、該電磁遮蔽音響システムは、
回路基板(80、100、120、142)と、
該回路基板上に搭載されているマイクロホン(96、110、126)と、
該回路基板に機械的および電気的に連結されている無線周波数「RF」遮蔽物(94、108、122)であって、該RF遮蔽物は、該マイクロホンを取り囲み、該RF遮蔽物は、該マイクロホンのために、何らかの電磁干渉「EMI」隔離を提供する、RF遮蔽物(94、108、122)と、
該マイクロホンを取り囲む音響室(81、101)であって、該音響室は、該RF遮蔽物内に封入され、該回路基板によって境界が定められる、音響室(81、101)と
を含み、
該RF遮蔽物は、開口部(99)を有することにより、該音響室の外側からの音響エネルギーが該音響室に入ることを可能にし、音響エネルギーは、該開口部を通って該音響室に入った後、該音響室中を伝播可能であり、
該音響室の寸法は、該音響システムの音響学上の特性を、所定の値または所定の範囲内で達成するために選択される、電磁遮蔽音響システム。
【請求項2】
前記音響学上の特性は、前記音響システムの周波数応答、該音響システムの効率性、該音響システムの信号対雑音比、該音響システムの音質、該音響システムの背景雑音の取り除き、該音響システムの音声了解度のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の電磁遮蔽音響システム。
【請求項3】
前記マイクロホンに連結された1つ以上の電磁適合性「EMC」コンポーネント(98、124)をさらに含み、該1つ以上のEMCコンポーネントは、前記音響室の内側の前記回路基板上に搭載されている、請求項1または2に記載の電磁遮蔽音響システム。
【請求項4】
前記回路基板は、前記マイクロホンのさらなるRF遮蔽を提供するために、前記RF遮蔽物の実質的に下にグランドプレーンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁遮蔽音響システム。
【請求項5】
音響エネルギーを前記RF遮蔽物の外側から該RF遮蔽物の前記開口部(99)に伝導させるために、音響連結器(90、106)をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電磁遮蔽音響システム。
【請求項6】
前記音響連結器を前記RF遮蔽物に接続するための締結リング(92)をさらに含む、請求項5に記載の電磁遮蔽音響システム。
【請求項7】
モバイル電子デバイス(10)であって、該モバイル電子デバイスは、
ハウジング(11)であって、音響エネルギーが該ハウジングの中に入るための開口部(86、114)を有するハウジングと、
該ハウジングの内側に固定されている無線周波数「RF」回路であって、電磁放出を発生させることが可能な無線周波数「RF」回路と、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子遮蔽音響システムと、
該音響エネルギーを該ハウジングの該開口部(86、114)から該RF遮蔽物の該開口部(99)に伝導させるための音響連結器(90、106)と
を含み、
該回路基板は、該ハウジングの内側に固定され、該RF遮蔽物は、該マイクロホンのために、少なくとも該電磁放出からの何らかのEMI隔離を提供する、モバイル電子デバイス。
【請求項8】
前記音響連結器は、前記ハウジングの前記開口部(86、114)から前記RF遮蔽物(94、108、122)の前記開口部(99)へ延在する音響管(90)である、請求項7に記載のモバイル電子デバイス。
【請求項9】
前記音響管(90)は、締結リング(92)を用いて前記RF遮蔽物に締結されるか、または締結リング(88)を用いて前記ハウジングに締結される、請求項8に記載のモバイル電子デバイス。
【請求項10】
前記音響連結器は、前記RF遮蔽物を部分的または完全に封入する覆い(106)を通るチャネル(114)である、請求項7に記載のモバイル電子デバイス。
【請求項11】
前記ハウジングは、前記RF遮蔽物に直接接触しており、前記音響連結器は、該ハウジングの前記開口部(86、114)および該RF遮蔽物の前記開口部(99)のオーバーラップによりもたらされる、請求項7に記載のモバイル電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−13121(P2013−13121A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181512(P2012−181512)
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【分割の表示】特願2011−172125(P2011−172125)の分割
【原出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.BLUETOOTH
3.WCDMA
【出願人】(500043574)リサーチ イン モーション リミテッド (531)
【氏名又は名称原語表記】Research In Motion Limited
【住所又は居所原語表記】295 Phillip Street, Waterloo, Ontario N2L 3W8 Canada
【Fターム(参考)】