説明

モータドライバ

【課題】エアコン室外機等の複数のモータを駆動する装置での部品点数を少なくすることを可能とし、入力端子が少ないモータドライバを提供する。
【解決手段】モータドライバ10は、モータ31,32を駆動する3相インバータ回路16,17を有するモータドライバであって、シリアル信号のモータ速度指令をパラレル信号のモータ速度指令に変換して各3相インバータ回路に出力するシリアルパラレル信号変換部23と、パラレル信号の状態信号をシリアル信号の状態信号に変換して出力するパラレルシリアル信号変換部26と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータドライバに関し、特に、モータを駆動する3相インバータ回路を2組有するモータドライバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なエアコン室外機では、コンプレッサー駆動部とファン駆動部で別々のモータドライバが用いられている。エアコン室外機のセットメーカではそれぞれのモータドライバを基板上に組み込んで、エアコン室外機の動作を行うようにしている。
【0003】
上記のようにエアコン室外機は、複数のモータを駆動する装置であるが、複数のモータ駆動を行うための方式としては、特許文献1において、Hブリッジ回路を独立に使用する方式が開示されている。
【0004】
一方、モータを駆動するためのモータドライバのモータ速度指令を入力するための入力端子は、多数存在する。そのため、ステッピングモータでは、モータ駆動用の信号をシリアル信号で入力するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−244159号公報
【特許文献2】特開2010−142043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のエアコン室外機でのコンプレッサー駆動部のモータドライバとファン駆動部のモータドライバそれぞれを基板上に組み込むようにした場合、部品点数が多数となるため、歩留まり等の組み込み品質の低下等の問題点がある。また、モータドライバの入力端子を低減するためにシリアル信号で入力する方式は、ステッピングモータでは行われていたが、エアコン室外機でのコンプレッサーとファンに用いられるDCブラシレスモータ用のモータドライバでは、モータ速度指令の入力にシリアル信号による入力は行われていなかった。そのため、モータドライバの入力端子が多数存在するという問題点があった。
【0007】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、エアコン室外機等の複数のモータを駆動する装置での部品点数を少なくすることを可能とし、入力端子が少ないモータドライバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るモータドライバは、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
第1のモータドライバ(請求項1に対応)は、モータを駆動する3相インバータ回路を2組有するモータドライバであって、シリアル信号のモータ速度指令をパラレル信号のモータ速度指令に変換して各3相インバータ回路に出力するシリアルパラレル信号変換部と、パラレル信号の状態信号をシリアル信号の状態信号に変換して出力するパラレルシリアル信号変換部と、を備えることを特徴とする。
第2のモータドライバ(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、前記状態信号は、前記各3相インバータ回路の出力電流を検出する電流検出器からの電流情報と、前記各3相インバータ回路の温度を検出する温度検出器からの温度情報とを有することを特徴とする。
第3のモータドライバ(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、前記シリアルパラレル信号変換部は、1つのクロック信号または2つのクロック信号に同期して前記シリアル信号のモータ速度指令をパラレル信号のモータ速度指令に変換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モータを駆動する3相インバータ回路を2組有するモータドライバであって、シリアル信号のモータ速度指令をパラレル信号のモータ速度指令に変換して各3相インバータ回路に出力するシリアルパラレル信号変換部と、パラレル信号の状態信号をシリアル信号の状態信号に変換して出力するパラレルシリアル信号変換部と、を備えるため、エアコン室外機等の複数のモータを駆動する装置での部品点数を少なくすることを可能とし、入力端子が少ないモータドライバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係るモータドライバのブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るモータドライバを応用した回路例を示す図である。
【図3】(a)従来のモータドライバを用いたときの入力部を示す図であり、(b)第1実施形態に係るモータドライバの入力部を示す図である。
【図4】モータドライバの入力論理部に入力されるシリアル入力のシーケンスを示す図である。
【図5】シリアル入力のタイミングを示す図である。
【図6】126個のシフトレジスタの各レジスタの割り付け(アドレス)を示す表である。
【図7】シリアル入力に対応するデューティを示す表である。
【図8】シリアル入力からのパラレル信号の再現方法を示す図である。
【図9】シミュレーション結果を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るモータドライバのブロック図である。
【図11】周波数変更回路を示す図である。
【図12】モータドライバの入力論理部に入力されるシリアル入力のシーケンスを示す図である。
【図13】126個のシフトレジスタの各レジスタの割り付け(アドレス)を示す表である。
【図14】CLK端子に2.5MHzを挿入した場合のSW周波数を示す表である。
【図15】シリアル入出力の別の形態のアドレス割り付けを示す表である。
【図16】シリアル入出力の別の形態のアドレス割り付けを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1実施形態に係るモータドライバのブロック図である。モータドライバ10は、ファンモータ駆動用の6個のパワーMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)、コンプレッサー駆動用の6個のIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)をそれぞれ駆動するためのドライバー部を兼ね備え、ドライバー部には各種保護機能を備えている。また、MCU(マイクロコンピュータユニット)とのやりとり部にシリアル通信用のロジックを備えている。すなわち、モータドライバ10は、入力論理部11、第1駆動回路12,13、第2駆動回路14,15、第1インバータ回路16、第2インバータ回路17、保護部18、レギュレータ19,20、異常信号出力部21、ADコンバータ22によって構成される。
【0013】
入力論理部11は、外部のMCUとのやりとり部であり、シリアル通信用のロジックである。また、入力論理部11は、外部からの信号に基づいて、第1駆動回路12,13と第2駆動回路14,15にPWM信号を出力する。さらに、入力論理部11は、保護部18とADコンバータ22から入力されるパラレル信号をシリアル信号に変換して出力する。そのために、入力論理部11は、シリアルパラレル信号変換部23と第1PWM発生部24と第2PWM発生部25とパラレルシリアル信号変換部26とを備えている。また、入力論理部11は、入力クロックをカウントするクロックカウンタ(図示せず)を備えている。
【0014】
シリアルパラレル信号変換部23は、外部から入力されるシリアル信号のモータ速度指令(2組の3相インバータ回路(第1インバータ回路16、第2インバータ回路17)の制御信号をパラレル信号のモータ速度指令に変換して、第1PWM発生部24と第2PWM発生部25に出力する。そのために、シリアルパラレル信号変換部23は、例えば、126個のシフトレジスタを備えている。第1PWM発生部24は、シリアルパラレル信号変換部23から入力されたパラレル信号のモータ速度指令(第1インバータ回路16に接続されたモータを駆動するためのモータ速度指令)に基づいてPWM信号を生成し、第1駆動回路12,13に出力する。また、第2PWM発生部25は、シリアルパラレル信号変換部23から入力されたパラレル信号のモータ速度指令(第2インバータ回路17に接続されたモータを駆動するためのモータ速度指令)に基づいてPWM信号を生成し、第2駆動回路14,15に出力する。パラレルシリアル信号変換部26は、センス抵抗端子(LS1,LS2,LS3)から入力されADコンバータ22で変換されたデジタル信号と、保護部18からの信号からなるパラレル信号をシリアル信号に変換し、外部に出力する。
【0015】
第1駆動回路12,13は、第1PWM発生部24からの入力されたPWM信号に従って、第1インバータ回路16のスイッチングトランジスタTr11〜Tr16を駆動する信号を出力する。
【0016】
第2駆動回路14,15は、第2PWM発生部25からの入力されたPWM信号に従って、第2インバータ回路17のスイッチングトランジスタTr21〜Tr26を駆動する信号を出力する。
【0017】
第1インバータ回路16は、コンプレッサー駆動用の3相インバータ回路であり、スイッチングトランジスタ(IGBT)Tr11〜Tr16と逆並列接続したダイオードD1〜D6よりなるスイッチング素子を6個用いて三相ブリッジ回路を構成した回路で、VBB端子から供給される直流電圧を交流電圧に変換する。この6つのスイッチングトランジスタは、第1PWM発生部24から第1駆動回路12,13を介して入力されるPWM信号によってオン/オフすることにより、U端子、V端子、W端子に接続されたモータの三相の固定子巻線に三相の駆動電流Iu,Iv,Iwを供給する。
【0018】
第2インバータ回路17は、ファンモータ駆動用の3相インバータ回路であり、スイッチングトランジスタ(パワーMOSFET)Tr21〜Tr26よりなるスイッチング素子を6個用いて三相ブリッジ回路を構成した回路で、VBB端子から供給される直流電圧を交流電圧に変換する。この6つのスイッチングトランジスタは、第2PWM発生部25から第2駆動回路14,15を介して入力されるPWM信号によってオン/オフすることにより、X端子、Y端子、Z端子に接続されたモータの三相の固定子巻線に三相の駆動電流Ix,Iy,Izを供給する。
【0019】
保護部18は、低電圧時誤動作防止(UVLO)回路18A、温度保護(TSD)回路18B、過電流保護(OCP)回路18C、出力ショート保護(STP)回路18Dの各種保護回路を備えている。そして、保護部18は、各種保護回路によって検出された状態信号を、入力論理部11のパラレルシリアル信号変換部26に出力する。
【0020】
低電圧時誤動作防止(UVLO)回路18Aは、電源電圧が低電圧時におけるモータ出力の誤動作を防止する回路である。具体的には、電源端子(VBB端子)に印加される電源電圧が設定値(例えば200V)以下になった場合に、第1,第2インバータ回路16,17の出力を停止する。
【0021】
温度保護(TSD)回路18Bは、過熱保護対策として配置されるサーマルシャットダウン回路である。モータドライバ10のチップ温度が設定値(例えば150℃)以上になった場合に、TDS回路は、第1,第2インバータ回路16,17の出力を停止する。その後、チップ温度が、例えば120℃以下になると通常動作に自動的に復帰する。
【0022】
過電流保護(OCP)回路18Cは、出力端子間ショート、電源とのショート、GNDとのショート時の破壊防止用の回路である。OCP回路は、モータドライバ10内の電流を監視し、予め規定された制限値以上の電流が設定された時間(例えば4μs程度)流れると第1,第2インバータ回路16,17の出力を停止しラッチする。電源再投入により通常状態に復帰する。
【0023】
出力ショート保護(STP)回路18Dは、出力端子間ショートの防止用の回路である。
【0024】
レギュレータ19,20は、VCC端子からモータドライバ10に供給される制御電源電圧から、モータドライバ10内部で使用される内部電源電圧を生成する。
【0025】
異常信号出力部(FO)21は、保護部18が働いた場合、異常信号を外部に出力する機能を有している。この信号は、保護状態を保持している間、継続して信号を出力する。これを受けマイコン側でシステムを停止することが可能となる。
【0026】
ADコンバータ22は、センス抵抗端子LS1,LS2,LS3から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する。
【0027】
次に、各入出力端子について説明する。
【0028】
VCC端子は、制御電源電圧(例えば、15V)を入力する端子である。FO端子は、異常信号出力部21からの異常信号を出力する端子である。CLK1端子は、外部のクロック回路等で生成されたクロック信号が入力される端子である。IN1端子は、第1インバータ回路16に接続されるモータを制御するためのモータ速度指令等からなるシリアル信号を入力する端子である。IN2端子は、第2インバータ回路17に接続されるモータを制御するためのモータ速度指令等からなるシリアル信号を入力する端子である。CLK2端子は、外部のクロック回路等で生成されたクロック信号が入力される端子である。OUT端子は、保護部18等からの状態信号を外部へ出力する端子である。COM端子は、GND等の端子である。VBB端子は、主電源電圧(例えば、300V)を入力する端子である。U端子、V端子、W端子は、第1インバータ回路16の出力端子であり、制御対象のモータに駆動電流を供給する。これらの出力端子から出力される駆動電流に従ってモータが駆動する。LS端子は、センス抵抗からの検出電流を入力する端子である。X端子、Y端子、Z端子は、第2インバータ回路17の出力端子であり、制御対象のモータに駆動電流を供給する。これらの出力端子から出力される駆動電流に従ってモータが駆動する。LS1端子、LS2端子、LS3端子は、センス抵抗からの検出電流を入力する端子である。
【0029】
図2は、モータドライバ10を応用した回路例を示す図である。この応用例では、マイクロコンピュータユニット(MCU)30が、CLK1端子、IN1端子、IN2端子、CLK2端子、FO端子、OUT端子に接続され、モータ31が、U端子、V端子、W端子に接続され、モータ32が、X端子、Y端子、Z端子に接続されている。
【0030】
図3(a)は、従来のモータドライバを用いたときの入力部を示す図であり、図3(b)は、第1実施形態に係るモータドライバ10の入力部を示す図である。従来のモータドライバを用いたときの入力部は、信号線の本数は、12本であったが、モータドライバ10では、入力線をパラレル入力からシリアル入力に変更することにより、信号線の本数は、4本に減少することができる。これにより、基板パターンの引きやすさや端子の本数削減によるコストダウンを実現することができる。モータドライバ10内には、それに伴い、シリアル信号を処理する入力論理部11を備えている。また、ラインの共通化によりVBB端子、VCC端子、FO端子の数を削減することができる。さらに、ファンモータ部は、外付け部品であるコンデンサを取り込むことにより、端子の数を削減することができる。
【0031】
次に、第1実施形態に係るモータドライバ10の動作について説明する。本実施形態のモータドライバ10の特徴は、モータを駆動する3相インバータ回路を2組有するモータドライバであって、外部のMCU30から入力されるモータ速度指令等からなるシリアル信号を、シリアルパラレル信号変換部23によって、パラレル信号のモータ速度指令に変換して各3相インバータ回路16,17に出力することである。また、モータドライバ10の特徴は、パラレル信号の状態信号をパラレルシリアル信号変換部26によって、シリアル信号の状態信号に変換して出力することである。さらに、モータドライバ10の特徴は、状態信号が、各3相インバータ回路16,17の出力電流を検出する電流検出器からの電流情報と、各3相インバータ回路16,17の温度を検出する温度検出器からの温度情報とを有することである。また、モータドライバ10の特徴は、シリアルパラレル信号変換部23が、CLK1端子とCLK2端子から入力される2つのクロック信号に同期してシリアル信号のモータ速度指令をパラレル信号のモータ速度指令に変換することである。
【0032】
図4は、モータドライバ10の入力論理部11に入力されるシリアル入力のシーケンスを示す図である。図4(a)に示す波形図は、CLK1端子、CLK2端子から入力されるクロックの時間変化を示している。図4(b)に示す波形図は、IN1端子、IN2端子から入力されるモータ速度指令等からなるシリアル信号波形である。図4(c)は、入力の詳細を示す。
【0033】
モータドライバ10内部には、126のシフトレジスタを備えているため、出力するスイッチング(SW)周波数に対して、入力クロックの周波数を決定する。例えば、ファンモータを19.8kHzでスイッチングさせようとした場合には、CLK2端子に2.5MHzのクロックを入力する。また、コンプレッサーを3.9kHzのスイッチング周波数で駆動させようとした場合には、CLK1端子に500kHzの信号を入力する。
【0034】
図5は、シリアル入力のタイミングを示す図である。IN1端子(またはIN2端子)へのシリアル入力は、図5に示すように一般的なクロックの端部(edge)に対するホールド(tinhold)時間とセット(tinset)時間を確保して行い、クロックの上端(upedge)に同期して入力を行う。
【0035】
図6で示す表には、126個のシフトレジスタの各レジスタの割り付け(アドレス)を示す。図4(b)および図4(c)に示すように、シリアル入力の先頭を認識するために、High信号を8個並べて入力する(符号A)。次に、Lowレベルを4個続けて挿入(符号B)した後に、7ビットのHighsideU相のOnデューティを入力する(符号C)。続いて区切りのためのLowbit(符号D)を挿入した後に、HighsideV相のOnデューティを入力する。
【0036】
図7で示す表には、シリアル入力に対応するデューティを示す。2の7乗により128階調を取り得るが、「1111101」で100%としているため、126階調としている。
【0037】
図8は、シリアル入力からのパラレル信号の再現方法を示す図である。図8に示すように、入力論理部11に備えられた入力クロックをカウントするクロックカウンタは、シリアル入力のスタートビットを認識した時点を「0」とする。以後クロックの入力に従って、クロックカウンターは、カウントアップされる。入力信号を126回で1周期のため、カウンターも126回まわると0に戻る。
【0038】
第1PWM発生部24と第2PWM発生部25では、63クロック目を中心としてスイッチング信号を生成する。図8に示すように、シリアル入力され、パラレル信号に変換されたデータに基づいて、Hinは、63CLK目を中心にOFFデューティ、Linは、ONデューティを作成し、シリアル信号からモータ回転指令信号を再現する。図9は、シミュレーション結果を示す。
【0039】
なお、アドレスの余っているところを使用して、デッドタイムの値を自動的に決めるようにすることも可能である。
【0040】
図10は、本発明の第2実施形態に係るモータドライバのブロック図である。第1実施形態では、シリアルパラレル信号変換部23は、2つのクロック信号に同期してシリアル信号のモータ速度指令をパラレル信号のモータ速度指令に変換するようにしていたが、第2実施形態に係るモータドライバ40では、シリアルパラレル信号変換部23’は、1つのクロック信号に同期してシリアル信号のモータ速度指令をパラレル信号のモータ速度指令に変換する。そのために、入力論理部11’では、周波数変更回路41を設けている。なお、第1の実施形態と同様の構成要素には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0041】
第2実施形態に係るモータドライバ40では、図10に示すように、CLK端子をコンプレッサー用、ファンモータ用で共通とし、さらに、ピン数の削減を図った。
【0042】
周波数変更回路41は、図11に示す回路であり、1本のCLK端子からのクロック周波数で2つのスイッチング(SW)周波数を生成する。周波数変更回路41は、周波数選択アドレスに従って、内部のクロック周波数を変更し、周波数の異なるドライバ信号を生成する。
【0043】
図12は、モータドライバ40の入力論理部11に入力されるシリアル入力のシーケンスを示す図である。図12(a)に示す波形図は、CLK端子から入力されるクロックの時間変化を示している。図12(b)に示す波形図は、IN1端子、IN2端子から入力されるモータ速度指令等からなるシリアル信号波形である。図12(c)は、入力の詳細を示す。
【0044】
図13で示す表には、126個のシフトレジスタの各レジスタの割り付け(アドレス)を示す。図13に示すように、シリアル入力の先頭を認識するために、High信号を8個並べて入力する(符号A)。次に、Lowレベルを1個挿入(符号B)した後に、スイッチング(SW)周波数選択アドレスに割り当てる(符号E)。次に7ビットのHighsideU相のONデューティを入力する(符号C)。続いて区切りのためのLowbit(符号D)を挿入した後に、HighsideV相のONデューティを入力する。
【0045】
すなわち、図12および図13に示すようにD10とD11をスイッチング(SW)周波数選択アドレスに割り当てる。
【0046】
図14の表は、CLK端子に2.5MHzを挿入した場合のSW周波数を示す。例えば、IN1端子の周波数選定ビットを「00」とし、IN2端子「11」とした場合にCLK2.5MHzの1本に対して、ファンモータを19.84kHz、コンプレッサーを2.48kHzで駆動することが可能となる。
【0047】
図15と図16にシリアル入出力の別の形態のアドレス割り付けを示す。保護機能の情報のやりとりと合わせて、シャント電圧やサーミスタ温度をマイコンへフィードバック可能となっている。これにより、マイコン側でモータドライバの機能を全て制御可能となる。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、モータを駆動する3相インバータ回路を2組有するモータドライバであって、シリアル信号のモータ速度指令をパラレル信号のモータ速度指令に変換して各3相インバータ回路に出力するシリアルパラレル信号変換部と、パラレル信号の状態信号をシリアル信号の状態信号に変換して出力するパラレルシリアル信号変換部と、を備えるため、エアコン室外機等の複数のモータを駆動する装置での部品点数を少なくすることを可能とし、入力端子が少ないモータドライバを提供することができる。
【0049】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)等については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係るモータドライバは、エアコン室外機等の複数のモータを駆動する装置として利用される。
【符号の説明】
【0051】
10 モータドライバ
11 入力論理部
11’ 入力論理部
12 第1駆動回路
13 第1駆動回路
14 第2駆動回路
15 第2駆動回路
16 第1インバータ回路
17 第2インバータ回路
18 保護部
19 レギュレータ
20 レギュレータ
21 異常信号出力部
22 ADコンバータ
23 シリアルパラレル信号変換部
23’ シリアルパラレル信号変換部
24 第1PWM発生部
25 第2PWM発生部
26 パラレルシリアル信号変換部
30 マイクロコンピュータユニット(MCU)
31 モータ
32 モータ
40 モータドライバ
41 周波数変更回路
Tr11〜Tr16 スイッチングトランジスタ
Tr21〜Tr26 スイッチングトランジスタ
D1〜D6 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動する3相インバータ回路を2組有するモータドライバであって、
シリアル信号のモータ速度指令をパラレル信号のモータ速度指令に変換して各3相インバータ回路に出力するシリアルパラレル信号変換部と、
パラレル信号の状態信号をシリアル信号の状態信号に変換して出力するパラレルシリアル信号変換部と、
を備えることを特徴とするモータドライバ。
【請求項2】
前記状態信号は、前記各3相インバータ回路の出力電流を検出する電流検出器からの電流情報と、前記各3相インバータ回路の温度を検出する温度検出器からの温度情報とを有することを特徴とする請求項1記載のモータドライバ。
【請求項3】
前記シリアルパラレル信号変換部は、1つのクロック信号または2つのクロック信号に同期して前記シリアル信号のモータ速度指令をパラレル信号のモータ速度指令に変換することを特徴とする請求項1または2記載のモータドライバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−249467(P2012−249467A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120569(P2011−120569)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】