説明

モータ内蔵ローラ

【課題】組立てが容易で作業工程が簡略化することが出来るモータ内蔵ローラを提供する。
【解決手段】摺動板22を移動させて、摺動板22をクラッチ板13と非連結とする操作手段27は、シャフト19の外周で挿通孔16の内面側に設けられ、モータ9側の端部円周上に回転子カム歯が形成され、外周面に回転子リブが形成された回転子と、シャフト19の外周に設けられ、外周面に挿通孔カム溝に嵌装されるブッシュリブが形成され、モータ9と反対側の端部の円周上に回転子カム歯と係合するブッシュカム歯が形成されたブッシュとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア装置などに用いられ、モータを内蔵したモータ内蔵ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
ローラ本体に回転駆動力を伝えるためのクラッチ機構が備えられたローラコンベアとして、たとえば、一対のコンベヤフレーム間に設けられた複数のローラが別設の回転駆動手段により駆動されることにより被搬送物が駆動搬送されるローラコンベヤが存在する。このローラは、被搬送物を搬送する固定のローラ軸に回転自在に軸支されたローラ本体と、回転駆動手段により回転駆動力を受け取る駆動力受動体から成り、該駆動力受動体が回転駆動力を受け取った場合のみ該回転駆動力をローラ本体に伝達する駆動力伝達手段が設けられているものであった(たとえば、特許文献1)。
【0003】
また、電動シャッタの分野において、たとえば、巻取りドラムをモ−タ駆動してシャッタスラットを昇降させるモ−タ駆動部と、モ−タ駆動系に設け、操作下に非連結となる常時連結型のクラッチ装置と、巻取りドラムに巻取り駆動力を与え、クラッチ装置の非連結時にシャッタスラットを巻取るためのスプリングと、クラッチ連結孔を設け、モ−タ駆動部によって駆動するクラッチ板と、巻取りドラムに一体的に取付けたケ−ス部材に挿通させてクラッチ連結孔に突入自在としたクラッチピンを設けた摺動部材と、この摺動部材を押動して進出移動させ、クラッチピンをクラッチ連結孔に突入させてクラッチ連結するばね部材よりなるクラッチ装置と、摺動部材を後退移動させ、クラッチピンをクラッチ連結孔より脱出させてクラッチ非連結とする操作手段とを備えた電動シャッタの巻取り装置が知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−292139号公報
【特許文献2】特開2002−138779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のローラコンベアでは、停電などにより伝動ロープからの駆動力が断たれると何れの方向にも回転できるフリーな状態になるので、たとえば、斜め傾斜に配置されているローラコンベアでは、停電などで伝動ロープからの駆動力が急に断たれると、そのローラコンベアの上に配置されている被搬送物が急に下方に落下するといった問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載された技術では、停電事故などにより駆動力が断たれた場合でも、クラッチ装置が連結している状態なので上記特許文献1のような問題は生じないが、このクラッチ装置が連結している状態から非連結の状態にするために、カムピン、施回レバー、ばね、ベース板、支持軸が必要となり、またその組立て時にカシメなどの作業工程が必要となる。またこれらのアセンブリをカバーに取り付ける必要があり、組立工数が増大し作業負担が大きかった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、組立てが容易で作業工程が簡略化することが出来るモータ内蔵ローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、駆動ドラムの内部に設けられ、モータにより駆動される回転軸と連結したクラッチ板と、駆動ドラムに対して固定されたカバーと、該カバーに設けられ、周面に挿通孔リブと挿通孔カム溝が複数形成されたカム部を有する挿通孔と、 該挿通孔に挿通されたシャフトと、該シャフトと連結し、シャフトの移動によりクラッチ板と連結自在に設けられた摺動板と、摺動板を押圧し、摺動板をクラッチ板に連結する方向に付勢するリターンばねと、摺動板を移動させて、該摺動板をクラッチ板と非連結とする操作手段と、を有し、該操作手段は、シャフトの外周に設けられ、モータ側の端部に回転子カム歯が形成され、外周面に回転子リブが形成された回転子と、シャフトの外周に設けられ、外周面に挿通孔カム溝に嵌装されるブッシュリブが形成され、モータと反対側の端部に回転子カム歯と係合するブッシュカム歯が形成されたブッシュと、を有し、摺動板がクラッチ板と連結されている状態から、操作手段が操作されることにより、回転子が回転し回転子リブが挿通孔カム溝から脱出し摺動板がクラッチ板と非連結状態になり、該非連結状態を維持可能としたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、摺動板をクラッチ板に連結する方向に付勢するリターンばねを設けているので停電時では摺動板がクラッチ板と連結状態になり、操作手段が操作されることにより、回転子が回転し回転子リブが挿通孔カム溝から脱出し摺動板がクラッチ板と非連結状態になるので、停電時においても操作手段が操作されることにより容易に非連結状態にすることができる。また、本発明では、ブッシュと回転子と取り付けたシャフトにカバーを嵌め込みことにより組み立てることができるので、特にカシメなどの作業工程が不要となり、作業工程の簡略化を図ることができる。
【0010】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係るモータ内蔵ローラであって、摺動板がクラッチ板と非連結の状態から、操作手段が操作されることにより、回転子が回転し回転子リブが挿通孔カム溝に嵌装され摺動板がクラッチ板と連結状態になり、該連結状態を維持可能としたことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、操作手段が操作されることにより、回転子が回転し回転子リブが挿通孔カム溝に嵌装され摺動板がクラッチ板と連結状態になるので、容易に連結状態にすることができる。
【0012】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1または第2の態様に係るモータ内蔵ローラであって、カム部は、挿通孔の周面に挿入孔リブと挿入孔カム溝が相互に形成されることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、挿通孔の周面に挿入孔リブと挿入孔カム溝が相互に形成されているので、摺動板がクラッチ板と連結されている状態から操作手段が操作されることにより摺動板がクラッチ板と非連結状態になり、さらにその非連結状態から操作手段が操作されることにより摺動板がクラッチ板と連結されている状態とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ブッシュと回転子と取り付けたシャフトにカバーを嵌め込みことにより組み立てることができるので、特にカシメなどの作業工程が不要となり、作業工程の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラを用いたコンベア装置を示す図である。
【図2】図1のX−Y−Z断面を示す図である。
【図3】図2に示すモータ内蔵ローラのクラッチ部分の部分断面図である。
【図4】図3のA−A断面を示す図である。
【図5】図3のB−B断面を示す図である。
【図6】図3のC−C断面を示す図である。
【図7】(a) 本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラに用いられるカバーの正面図である。 (b) 図7(a)のA−B−C断面を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラに用いられるカバーの挿通孔の展開図である。
【図9】(a) 本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラに用いられる回転子の正面図である。 (b) 図9(a)のL−M−N断面を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラに用いられる回転子の展開断面図である。
【図11】(a) 本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラに用いられるブッシュの正面図である。 (b) 図11(a)のS−T−U断面を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラに用いられるブッシュの展開断面図である。
【図13】本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラのクラッチ部の組立構成図である。
【図14】本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラの操作手段の動作図である。
【図15】本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラの摺動板がクラッチ板と非連結の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態について図面を参照にしながら説明する。図1は、本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラを用いたコンベア装置を示す図である。なお、本実施形態では、モータ内蔵ローラをコンベア装置に用いたものについて説明するが、これに限らず、モータ内蔵ローラをコンベア装置以外のものに用いてもよい。
【0017】
図1に示すように、コンベア装置1は、モータ内蔵ローラ2、フレーム3を有している。モータ内蔵ローラ2は、物品搬送方向と直交させた状態でフレーム3に固定されている。モータ内蔵ローラ2の内部には操作ハンドル4が取り付けられている。この操作ハンドル4についての詳細は後述する。
【0018】
次に、モータ内蔵ローラ2について、図2〜図6を用いて詳細に説明する。図2は、図1のX−Y−Z断面を示す図であり、図3は、図2に示すモータ内蔵ローラのクラッチ部分の部分断面図であり、図4は、図3のA−A断面を示す図であり、図5は、図3のB−B断面を示す図であり、図6は、図3のC−C断面を示す図である。
【0019】
図2に示すように、モータ内蔵ローラ2は、被搬送物が載置される駆動ドラム5と、この駆動ドラム5に同心で装着されたモータ部6と、このモータ6部に同心で接続されたクラッチ部7と、支持ホイール部8を有している。
【0020】
モータ部6は、モータ9と、モータ9により駆動される回転軸10と、フレーム3にモータ9を係止する係止軸11を有している。この係止軸11によりモータ9はフレーム3に固定された状態で係止される。なお、駆動ドラム5とモータ9との間に軸受A12が備えられている。そして、モータ部6の回転軸10の回転がクラッチ部7に伝えられることにより駆動ドラム5が回転可能となる。
【0021】
クラッチ部7は、モータ9の回転を駆動ドラム5に伝えたり遮断したりするものである。図3〜図6に示すように、クラッチ部7は、モータ9により駆動される回転軸10と連結したクラッチ板13と、このクラッチ板13の外周部に設けられ、ピンA14により駆動ドラム5に固着されたケース15と、挿通孔16が設けられ、ボルト17によりケース15に固着されたカバー18と、挿通孔16に挿通されたシャフト19と、このシャフト19と連結し、シャフト19の移動によりクラッチ連結孔20に嵌入自在の爪部21が設けられた摺動板22が設けられている。このカバー18は、駆動ドラム5に対して固定されており、また、シャフト19は、操作ハンドル4を係止する係止部23が一体的に形成され、摺動板22に設けられたシャフト貫通孔24に挿入された状態で止め輪25により止められている。このようにして、摺動板22は、シャフト19の移動によりクラッチ板13と連結自在となる。また、クラッチ部7は、摺動板22を押圧し、爪部21をクラッチ連結孔20に嵌入する方向に付勢するリターンばね26を有している。
【0022】
さらに、クラッチ部7には、摺動板22を移動させて、その摺動板22をクラッチ板13と非連結とする操作手段27が設けられている。操作手段27は、シャフト19の外周でかつ挿通孔16の内面側に設けられ、モータ9側の端部円周上に回転子カム歯28が形成され、外周面に回転子リブ29が形成された回転子30(図9参照)と、シャフト19の外周に設けられ、外周面にブッシュリブ31が形成され、モータ9と反対側の端部の円周上に回転子カム歯28と係合するブッシュカム歯32が形成されたブッシュ33(図11参照)を有する。なお、操作手段27の詳細については、後述する。
【0023】
駆動ドラム5は、中空円柱形状をしており、駆動ドラム5の内側には駆動ドラム5の内径と略同一の外径を有するケース15が配置されている(図3、図6参照)。この駆動ドラム5とケース15とはピンA14により一体化されている(図3参照)。また、カバー18は、ケース15と4本のボルト17により一体化されている(図3、図6参照)。また、カバー18に設けられた挿通孔16には係止部23と一体的に形成されたシャフト19が挿通されている。
【0024】
支持ホイール部8は、操作ハンドル4の外周方向側に設けられた中空円柱状の筒状部材34と、その筒状部材34の外周面上に配置された軸受B35と、その軸受B35と駆動ドラム5の間に配置された軸受支持部材36を有している(図2参照)。筒状部材34はフレーム3に固定されて、軸受支持部材36は、ピンB37により駆動ドラム5と固定されている。これにより、軸受支持部材36は駆動ドラム5の回転とともに回転する。
【0025】
次に、図7と図8を用いて、モータ内蔵ローラ2に用いられるカバー18の構造について説明する。図7(a)は、本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラに用いられるカバーの正面図であり、図7(b)は、図7(a)のE−F−G断面を示す図であり、図8は、本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラに用いられるカバーの挿通孔の展開図である
【0026】
カバー18は、外形が略4角形状をしており、4つの角付近にボルト孔38を有する(図7(a)参照)。また、カバー18には、クラッチ板13の回転軸方向の移動を制限するための突起39が設けられている(図7(b)参照)。そして、この突起39が摺動板22に設けられた突起貫通孔40を介しクラッチ板13に当接することにより、クラッチ板13が回転軸方向に移動することを制限している(図3参照)。
【0027】
このように、クラッチ板13の回転軸10方向の移動を制限するための突起39がカバー18に設けられ、その突起39をクラッチ板13に当接させているので、もともと必要となるカバー18を利用してクラッチ板13の回転軸10方向の移動を制限することができる。これにより、部品点数の削減を図ることができるとともに、組立工数の簡略化を図ることができる。また、摺動板22に突起39を貫通させる突起貫通孔40が設けられているので、カバー18に設けられた突起39が複雑な形状となることなく、単純な形状で突起39を形成することができる。これにより製造工程の簡略化を図ることができる。
【0028】
また、カバー18の挿通孔16には、内周面に挿通孔リブ41と挿通孔カム溝42が放射状に相互に形成される(図7(a)参照)。この挿通孔リブ41の頂部(先端部)には回転子リブ29の頂部と略同一形状(三角形状)の保持溝43を有している(図8参照)。これにより、回転子リブ29が挿通孔リブ41の保持溝43で保持可能となる。なお、この挿通孔リブ41と挿通孔カム溝42によりカム部を構成している。
【0029】
次に、図9と図10を用いて、モータ内蔵ローラ2に用いられる回転子30の構造について説明する。図9(a)は、本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラに用いられる回転子の正面図であり、図9(b)は、図9(a)のL−M−N断面を示す図であり、図10は、本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラに用いられる回転子の展開断面図である。なお、図10の回転子30の展開断面図は、回転子カム歯28の外周面上の断面を示している。
【0030】
回転子30は、中空円柱形状をしており、一方の端部円周上に回転子カム歯28が形成され、また外周面に回転子リブ29が円周等間隔に形成されている。回転子カム歯28は、円周上付近に同一の山型形状で形成されている。回転子リブ29は、その頂部(先端部)が回転子カム歯28の山型形状の縦割半分の形状をしており、回転子カム歯28の二つの山ごとに回転子リブ29が一つ形成されている(図10参照)。
【0031】
次に、図11と図12を用いて、モータ内蔵ローラ2に用いられるブッシュ33の構造について説明する。図11(a)は、本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラに用いられるブッシュの正面図であり、図11(b)は、図11(a)のS−T−U断面を示す図である。図12は、本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラに用いられるブッシュの展開断面図である。なお、図12の回転子30の展開断面図は、ブッシュカム歯32の外周面上の断面を示している。
【0032】
ブッシュ33は、中空円柱形状をしており、一方の端部円周上にブッシュカム歯32が形成され、また外周面にブッシュリブ31が形成されている。ブッシュリブ31は、円周等間隔に配置されており、ブッシュカム歯32は、円周上付近に同一の山型形状を有している。ブッシュリブ31は、頂部(先端部)がブッシュカム歯32の山型形状の上部半分の形状をしており、ブッシュカム歯32の二つの山ごとにブッシュリブ31が一つ形成されている(図12参照)。
【0033】
次に、本発明のモータ内蔵ローラ2の組立方法について説明する。図13は、本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラのクラッチ部の組立構成図である。
【0034】
図13に示すように、まずシャフト19に、スライドワッシャ44、ウェーブワッシャ
45、スライドワッシャ44、回転子30、そしてブッシュ33の順にそれぞれ挿入し、その挿入された状態で、カバー18の挿通孔16にシャフト19を挿入する。そして、カバー18と摺動板22の間にリターンばね26を挟み、さらにシャフト19を摺動板22のシャフト貫通孔24に挿入し、挿入後にシャフト19を止め輪25により固定する。この状態でクラッチ板13に取り付け、そしてその取り付けられたクラッチ板13をケース15のクラッチ板挿入孔46に挿入し、カバー18の4つのボルト孔38に4本のボルト17を通し、ケース15の4つのボルト穴47にそれぞれのボルト17を螺合することにより、クラッチ部7を組み立てることができる。
【0035】
このように、ブッシュ33と回転子30と取り付けたシャフト19にカバー18を嵌め込みことにより組み立てることができるので、特にカシメなどの作業工程が不要となり、作業工程の簡略化を図ることができる。
【0036】
次に、図14と図15を用いて、モータ内臓ローラ2の操作方法について説明する。図14は、本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラの操作手段の動作図であり、図15は、本発明の一実施形態におけるモータ内蔵ローラの摺動板とクラッチ板とが非連結の状態を示す図である。なお、この操作方法はノック式ホールペンで知られるカーン式ノック機構の操作方法と同様であり、その内容について説明する。
【0037】
クラッチ部7の摺動板22がクラッチ板13と連結している状態(図3参照)、すなわち摺動板22に設けられた爪部21がクラッチ板13に設けられたクラッチ連結孔20に嵌入されている状態では、回転子リブ29が挿通孔カム溝42に嵌装されておりシャフト19(シャフト19の係止部23)が前進位置になっている(図14(a)参照)。この状態からシャフト19の係止部23が操作ハンドル4からの引っ張り力により引かれると、回転子リブ29が挿通孔カム溝42から外れる(脱出する)。そして回転子リブ29が挿通孔カム溝42から外れると回転子30が僅かに回動し、回転子リブ29が挿通孔リブ41の頂部(先端部)の端と離れる。その状態で操作ハンドル4からの引っ張り力を解除すると、シャフト19の係止部23がリターンばね26の付勢力により移動し、回転子リブ29の頂部(先端部)が挿通孔リブ41の頂部(先端部)の傾斜面を滑りながら回転して、回転子リブ29の頂部(先端部)の位置が挿通孔リブ41の保持溝43と接するように位置決めされ、回転子30は後退位置にセットされる(図14(b)参照)。この状態では、クラッチ部7の摺動板22がクラッチ板13と非連結の状態となる(図15参照)。
【0038】
このように、クラッチ部7の摺動板22がクラッチ板13と連結していない状態(図15参照)、すなわち摺動板22に設けられた爪部21がクラッチ板13に設けられたクラッチ連結孔20に嵌入されていない状態では、回転子リブ29が挿通孔カム溝42に嵌装されておらずシャフト19(係止部23)が後退位置になっている(図14(b)参照)。この状態からシャフト19の係止部23が操作ハンドル4からの引っ張り力により引かれると、回転子リブ29の頂部(先端部)が挿通孔リブ41の保持溝43から外れる。その状態で操作ハンドル4からの引っ張り力を解除すると、シャフト19の係止部23がリターンばね26の付勢力により移動し、回転子リブ29の頂部(先端部)が挿通孔リブ41の頂部(先端部)の傾斜面を滑りながら回転して、回転子リブ29が挿通孔カム溝42に嵌装され、回転子30は前進位置にセットされる(図3参照)。この状態では、クラッチ部7の摺動板22がクラッチ板13と連結状態となる。このように、シャフト19の前後退で回転子30が回動して進退位置に位置決めされる。
【0039】
このように、摺動板22をクラッチ板13に連結する方向に付勢するリターンばね26を設けているので停電時では摺動板22がクラッチ板13と連結状態になる。これにより、たとえば、斜め傾斜に配置されているコンベア装置1が停電などで駆動力が急に断たれてもモータ内蔵ローラ2は自由に回転できず、コンベア装置1上に配置されている被搬送物が急に下方に落下することもない。また、停電などでモータ内蔵ローラ2が自由に回転できないときでも、操作ハンドル4を引っ張り上述した操作手段27が操作されることにより、回転子30が回転し回転子リブ29が挿通孔カム溝42から脱出し摺動板22がクラッチ板13と非連結状態になるので、停電時においても容易に非連結状態にすることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 コンベア装置
2 モータ内蔵ローラ
3 フレーム
4 操作ハンドル
5 駆動ドラム
6 モータ部
7 クラッチ部
8 支持ホイール部
9 モータ
10 回転軸
11 係止軸
12 軸受A
13 クラッチ板
14 ピンA
15 ケース
16 挿通孔
17 ボルト
18 カバー
19 シャフト
20 クラッチ連結孔
21 爪部
22 摺動板
23 係止部
24 シャフト貫通孔
25 止め輪
26 リターンばね
27 操作手段
28 回転子カム歯
29 回転子リブ
30 回転子
31 ブッシュリブ
32 ブッシュカム歯
33 ブッシュ
34 筒状部材
35 軸受B
36 軸受支持部材
37 ピンB
38 ボルト孔
39 突起
40 突起貫通孔
41 挿通孔リブ
42 挿通孔カム溝
43 保持溝
44 スライドワッシャ
45 ウェーブワッシャ
46 クラッチ板挿入孔
47 ボルト穴




【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア装置などに用いられ、モータを内蔵したモータ内蔵ローラにおいて、
駆動ドラムの内部に設けられ、前記モータにより駆動される回転軸と連結したクラッチ板と、
前記駆動ドラムに対して固定されたカバーと、
該カバーに設けられ、周面に挿通孔リブと挿通孔カム溝が複数形成されたカム部を有する挿通孔と、
該挿通孔に挿通されたシャフトと、
該シャフトと連結し、前記シャフトの移動により前記クラッチ板と連結自在に設けられた摺動板と、
前記摺動板を押圧し、前記摺動板を前記クラッチ板に連結する方向に付勢するリターンばねと、
前記摺動板を移動させて、該摺動板をクラッチ板と非連結とする操作手段と、を有し、
該操作手段は、
前記シャフトの外周に設けられ、前記モータ側の端部に回転子カム歯が形成され、外周面に回転子リブが形成された回転子と、
前記シャフトの外周に設けられ、外周面に前記挿通孔カム溝に嵌装されるブッシュリブが形成され、前記モータと反対側の端部に前記回転子カム歯と係合するブッシュカム歯が形成されたブッシュと、を有し、
前記摺動板が前記クラッチ板と連結されている状態から、前記操作手段が操作されることにより、前記回転子が回転し前記回転子リブが前記挿通孔カム溝から脱出し前記摺動板が前記クラッチ板と非連結状態になり、該非連結状態を維持可能としたことを特徴とするモータ内蔵ローラ。
【請求項2】
前記摺動板が前記クラッチ板と非連結の状態から、前記操作手段が操作されることにより、前記回転子が回転し前記回転子リブが前記挿通孔カム溝に嵌装され前記摺動板が前記クラッチ板と連結状態になり、該連結状態を維持可能としたことを特徴とする請求項1記載のモータ内蔵ローラ。
【請求項3】
前記カム部は、前記挿通孔の周面に前記挿通孔リブと前記挿通孔カム溝が相互に形成されることを特徴とする請求項1または2記載のモータ内蔵モータ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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