説明

モータ制御装置

【課題】基板を精度良く位置決めすることにより、モータ制御装置の小型化を図ることができるようにする。
【解決手段】インバータ装置1は、ネジ19を挿通可能な4つのネジ通し穴141を有し、モータの駆動に関わる電子回路が設けられた1つの基板14と、基板14が取り付けられるヒートシンク12と、ヒートシンク12に立設され、基板14が載置される基板載置面151,161を有する4つのボス15,16とを備え、2つのボス16は、基板14のネジ通し穴141以外の縁端142と当接する突起部163を基板載置面161に有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動を制御するモータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの駆動を制御するモータ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術のモータ制御装置は、取付対象物(ヒートシンク)と、取付対象物に密着して取り付けられるパワー半導体モジュールと、パワー半導体モジュールと接続されると共に取付対象物に取り付けられる基板と、取付対象物にフィンとして取り付けられるプレート型ヒートパイプとを有している。基板には、ボス(スタッド)のネジ穴に対応する位置に挿通孔(ネジ通し穴)が設けられており、固定具(ネジ)を基板の挿通孔に通し、ボスのネジ穴に螺合させて締め付けることにより、基板がボスの基板載置面(上面)に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−335669号公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、基板を配置する際には、基板と周囲部品(例えば、変圧器や他の基板等の電気部品)との間に所定の規格(例えば、JIS C0704:「制御機器の絶縁距離・絶縁抵抗及び耐電圧」、IEC664−1:「Insulation coorrdination for equipment within low−voltage systems」、UL508C:「Power conversion equipment」、EN50178:「Electronic equipment for use in power installations」等)に準拠した絶縁距離を確保する必要がある。
【0005】
上記従来技術においては、基板の挿通孔の孔径は固定具の外径よりも大きく形成されており、そのために基板の固定位置にばらつきが生じるので、基板の位置決め精度が良くなかった。したがって、上記絶縁距離を確保するために、基板と周囲部品との距離を余分にとる必要が生じ、その結果、基板の取付対象物、ひいてはモータ制御装置の大型化を招くという課題があった。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、基板を精度良く位置決めすることにより、小型化を図ることができるモータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、モータの駆動を制御するモータ制御装置であって、固定具を挿通可能な複数の挿通孔を有し、前記モータの駆動に関わる電子回路が設けられた少なくとも1つの基板と、前記基板が取り付けられる取付対象物と、前記取付対象物に立設され、前記基板が載置される基板載置面を有する複数のボスと、を備え、前記複数のボスの少なくとも1つは、前記基板の前記挿通孔以外の縁端と当接する段差部を前記基板載置面に有しているモータ制御装置が適用される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板を精度良く位置決めすることにより、モータ制御装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施の形態のインバータ装置の全体構成を表す横断面図である。
【図2】ヒートシンク、基板、及びボスを表す側面図である。
【図3】ヒートシンク、基板、及びボスを表す斜視図である。
【図4】ヒートシンク、基板、及びボスを表す横断面図である。
【図5】ヒートシンク、基板、及びボスを表す分解斜視図である。
【図6】基板を2つ備える変形例における、ヒートシンク、基板、及びボスを表す側面図である。
【図7】ヒートシンク、基板、及びボスを表す斜視図である。
【図8】ヒートシンク、基板、及びボスを表す分解斜視図である。
【図9】基板を4つ備えるにおける、ヒートシンク、基板、及びボスを表す斜視図である。
【図10】ヒートシンク、基板、及びボスを表す分解斜視図である。
【図11】ボスがヒートシンクと別体である変形例(その1)における、ヒートシンク、基板、及びボスを表す横断面図である。
【図12】ヒートシンク、基板、及びボスを表す分解斜視図である。
【図13】ボスがヒートシンクと別体である変形例(その2)における、ヒートシンク、基板、及びボスを表す横断面図である。
【図14】ヒートシンク、基板、及びボスを表す分解斜視図である。
【図15】基板をリベットでかしめ固定する変形例における、ヒートシンク、基板、及びボスを表す横断面図である。
【図16】基板を弾性係合させてワンタッチ固定する変形例における、ヒートシンク、基板、及びボスを表す横断面図である。
【図17】基板を筐体に取り付ける変形例における、インバータ装置の全体構成を表す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1、図2、図3、図4、及び図5において、本実施形態のインバータ装置1(モータ制御装置)は、図示しないモータの駆動を制御する装置であり、直方体形状を備えた筐体10と、筐体10の上部(図1中上部)を覆う蓋11と、ヒートシンク12と、パワー半導体モジュール13と、ネジ19(固定具)を挿通可能なネジ通し穴141(挿通孔)を四隅に有し、モータの駆動に係わる図示しない電子回路が設けられた1つの基板14と、2つのボス15と、2つのボス16と、基板14上に配置される制御IC171、整流用ダイオード172、平滑コンデンサ173等、及び、基板14の周囲(この例では、基板14の図1中右側)に配置される変圧器174等を含む、インバータ制御装置1の電源投入時に通電される複数の電気部品17とを備えている。なお、基板14の各ネジ通し穴141の孔径は、ネジ19の外径よりも大きく形成されている。
【0012】
ヒートシンク12は、例えばアルミニウムや銅等の熱が伝導しやすい金属等で構成されており、直方体形状を備えている。このヒートシンク12は、筐体10の下面(図1中下面)に設けられた嵌合孔101に嵌合されることにより、筐体10の下面に取り付けられて、図示しないネジ等により固定されている。また、このヒートシンク12には、ボス15,16を介して1つの基板14が取り付けられている。すなわち、本実施形態では、このヒートシンク12が、特許請求の範囲に記載の取付対象物に相当する。
【0013】
パワー半導体モジュール13は、図示しないIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)素子と、上方に向かって伸びる複数の外部電極端子131と、ネジ18を挿通可能な複数の図示しないネジ通し穴とを有している。そして、このパワー半導体モジュール13は、各ネジ通し穴に各々挿通されたネジ18がヒートシンク12の上面(図1〜図5中上面)に設けられた複数の図示しないネジ穴に各々締結することにより、ヒートシンク12の上面に密着して取り付けられている。
【0014】
各ボス15,16は、ヒートシンク12と例えばダイカスト等により一体成型されており、ヒートシンク12の上面に立設されている。具体的には、ボス16は、ヒートシンク12の上面の四隅のうち、基板14の周囲に配置される変圧器174等の電気部品17側(図1、図2、及び図4中右側、図3及び図5中右奥側)の二隅に立設されている。ボス15は、ヒートシンク12の上面の四隅のうち、反電気部品17側(図1、図2、及び図4中左側、図3及び図5中左手前側)の二隅に立設されている。
【0015】
これらボス15,16のうち、電気部品17側に位置する2つのボス16は、基板14が載置される基板載置面161と、基板載置面161に設けられたネジ穴162と、突起部163とを有している。突起部163は、基板載置面161と高低差が生じるように基板載置面161の電気部品17側端部に上方に向かって突出するように設けられており、基板14のネジ通し穴141以外の縁部142と当接する。なお、各ボス16の基板載置面161と突起部163の上面(図1〜図5中上面)との高低差によって生じる段差部分が、特許請求の範囲に記載の段差部に相当する。
【0016】
一方、反電気部品17側に位置する2つのボス15は、円柱形状を備えており、基板14が載置される基板載置面151と、基板載置面151に設けられたネジ穴152とを有している。
【0017】
そして、基板14と周囲に配置される変圧器174等の電気部品17との間に所定の規格(例えば、JIS C0704:「制御機器の絶縁距離・絶縁抵抗及び耐電圧」、IEC664−1:「Insulation coorrdination for equipment within low−voltage systems」、UL508C:「Power conversion equipment」、EN50178:「Electronic equipment for use in power installations」等)に準拠した絶縁距離を確保するため、基板14は、電気部品17側の縁部142が2つのボス16の突起部163と当接されることにより、位置決めされている。そして、位置決めされた基板14は、各ネジ通し穴141に各々挿通されたネジ19が各ボス15,16のネジ穴152,162に各々締結することにより、縁部142がボス16の突起部163と当接した状態で各ボス15,16の基板載置面151,161に固定されている。
【0018】
以上説明したように、本実施形態のインバータ装置1においては、基板14が4つのネジ通し穴141を有しており、これらのネジ通し穴141にネジ19が挿通され、基板14がヒートシンク12に立設された4つのボス15,16の基板載置面151,161に載置されることで、基板14はヒートシンク12に取り付けられる。
【0019】
ここで、基板14を配置する際には、基板14と周囲に配置される電気部品17との間に所定の規格に準拠した絶縁距離を確保する必要がある。しかしながら、一般に基板14のネジ通し穴141の孔径は、ネジ19の外径よりも大きく形成されており、そのために基板14の固定位置にばらつきが生じる。したがって、上記絶縁距離を確保するために、基板14と周囲に配置される電気部品17との距離を余分にとる必要が生じ、その結果、基板14のヒートシンク12やインバータ装置1の大型化を招くという課題があった。
【0020】
本実施形態においては、ヒートシンク12に設けられた2つのボス16が、基板14のネジ通し穴141以外の縁端142と当接する突起部163を基板載置面161に有している。これにより、この突起部163に基板14の縁端142を接触させることにより、基板14を精度良く位置決めすることができる。その結果、上記のように各規格に準拠した絶縁距離を確保するために基板14と周囲に配置される電気部品17との距離を余分にとる必要がなくなるので、ヒートシンク12、ひいてはインバータ装置1の小型化を図ることができる。また、材料費が削減されるので、インバータ装置1をコストダウンできる効果もある。
【0021】
また本実施形態では、ボス16の突起部163は、基板14のネジ通し穴141以外の縁端142と当接する。これにより、次のような効果を奏する。すなわち、仮にボス16の突起部が基板14のネジ通し穴141の縁端と当接する構成(例えばボス16に円柱状の突起を設け、当該突起がネジ通し穴141に嵌合する構成)とした場合、基板14を精度良く位置決めするためには、基板14のネジ通し穴141の孔径を突起の外径と一致させる必要がある。このため、基板14に高い加工精度が要求されることとなり、汎用の基板を用いることができない。これに対し、本実施形態では、ボス16の突起部163を基板14のネジ通し穴141以外の縁端142と当接させるため、基板14に加工精度は要求されず、ネジ通し穴141の孔径がネジ19の外径よりも大きく形成された汎用の基板であっても精度良く位置決めすることができる。
【0022】
また、本実施形態では特に、4つのボス15,16のうち、電気部品17側に位置するボス16が突起部163を有する。これにより、この突起部163に基板14の縁端142を接触させることによって、基板14の電気部品17側の方向に対する位置決めを精度良く行うことができる。その結果、基板14と電気部品17との間に所定の規格に準拠した絶縁距離を確保し、電気部品17によるノイズや熱の影響等を抑制しつつ、基板14のヒートシンク12やインバータ装置1の小型化を図ることができる。
【0023】
また、本実施形態では特に、基板14が取り付けられる取付対象物は、ヒートシンク12である。これにより、ヒートシンク12を小型化することができる。また、ヒートシンク12の材料費を削減できるので、インバータ装置1をコストダウンできる効果もある。
【0024】
また、本実施形態では特に、ボス15,16は、ヒートシンク12と一体成型されている。ボス15,16とヒートシンク12とをダイカスト等により一体成型することにより、ボス15,16の取付け作業が不要となり、組立工数を削減できる。
【0025】
また、本実施形態では特に、基板14を固定する固定具は、ネジ19であり、基板14は、ネジ通し穴141に挿通されたネジ19がボス15,16の基板載置面151,161に設けられたネジ穴152,162に締結することにより、縁端142が突起部163と当接した状態で固定される。ネジ19を用いて基板14を固定することにより、基板14の縁端142を突起部163に当接させた状態で確実に固定することができる。
【0026】
なお、実施の形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0027】
(1)基板を2つ備える場合
上記実施形態においては、インバータ装置1が1つの基板14を備えていたが、これに限られず、並列配置された2つの基板を備える場合もある。本変形例は、このような場合に対応する実施の形態である。
【0028】
図6、図7、及び図8に示すように、本変形例のインバータ装置1は、前述のヒートシンク12に代えてヒートシンク20を、前述の1つ基板14に代えて、前述のネジ19を挿通可能なネジ通し穴211(挿通孔)を四隅に有し、電子回路が設けられた2つの基板21A,21Bを、前述の2つのボス15に代えて4つのボス22を、前述の2つのボス16に代えて2つのボス23を備えている。なお、基板21A,21Bの各ネジ通し穴211の孔径は、ネジ19の外径よりも大きく形成されている。これ以外の構成は、上記実施形態のインバータ装置1とほぼ同様である。
【0029】
ヒートシンク20は、前述のヒートシンク12と同様、例えばアルミニウムや銅等の熱が伝導しやすい金属等で構成されており、直方体形状を備えている。このヒートシンク20は、前述の筐体10の下面に取り付けられて、図示しないネジ等により固定されている。また、このヒートシンク20には、ボス22,23を介して2つの基板21A,21Bが互いに並列配置され取り付けられている。すなわち、本変形例では、このヒートシンク20が、特許請求の範囲に記載の取付対象物に相当する。
【0030】
各ボス22,23は、ヒートシンク20と例えばダイカスト等により一体成型されており、ヒートシンク20の上面に立設されている。具体的には、ボス22は、ヒートシンク20の上面の四隅に立設されている。ボス23は、ヒートシンク12Aの上面における、長手方向(図6中左右方向、図7及び図8中左手前右奥方向)略中央部の両端部の2箇所に立設されている。
【0031】
これらボス22,23のうち、ヒートシンク20の上面の四隅に位置する4つのボス22は、前述のボス15と同様の構造であり、隣り合う2つの基板21A,21Bのうち一方が載置される基板載置面221と、基板載置面221に設けられたネジ穴222とを有している。
【0032】
一方、ヒートシンク12Aの上面における長手方向略中央部の両端部に位置する2つのボス23は、隣り合う2つの基板21A,21Bが載置される基板載置面231と、基板載置面231の一方側(図6中左側、図7及び図8中左手前側)及び他方側(図6中右側、図7及び図8中右奥側)に設けられた2つのネジ穴232と、凸形状の突起部233とを有している。突起部233は、基板載置面231と高低差が生じるように基板載置面231の略中央部に上方に向かって突出するように設けられており、基板21A,21Bを基板載置面231の一方側及び他方側に隔てて載置すると共に、これら基板21A,21Bのネジ通し穴211以外の縁部212と当接する。なお、各ボス23の基板載置面231と突起部233の上面(図6〜図8中上面)との高低差によって生じる段差部分が、特許請求の範囲に記載の段差部に相当する。
【0033】
そして、基板21Aと基板21Bとの間に前述の規格に準拠した絶縁距離を確保するため、基板21Aは、基板21B側(図6中右側、図7及び図8中右奥側)の縁部212が2つのボス23の突起部233と当接されることにより、位置決めされている。基板21Bは、基板21A側(図6中左側、図7及び図8中左手前側)の縁部212が2つのボス23の突起部233と当接されることにより、位置決めされている。そして、位置決めされた基板21A,21Bは、各ネジ通し穴211に各々挿通されたネジ19が各ボス22,23のネジ穴222,232に各々締結することにより、縁部212がボス23の突起部233と当接した状態で各ボス22,23の基板載置面221,231に固定されている。
【0034】
以上説明した本変形例においては、2つの基板21A,21Bが並列配置されており、2つのボス23が、隣り合う2つの基板21A,21Bを基板載置面231の一方側及び他方側に載置すると共に、2つの基板21A,21Bの縁端212とそれぞれ当接する突起部233を基板載置面231の略中央部に有している。これにより、隣り合う2つの基板21A,21Bの互いの方向に対する位置決めを精度良く行うことができる。その結果、基板21Aと基板21Bとの間に所定の規格に準拠した絶縁距離を確保しつつ、基板21A,21Bのヒートシンク20やインバータ装置1の小型化を図ることができる。
【0035】
(2)基板を4つ備える場合
上記実施形態においては、インバータ装置1が1つの基板14を備えていたが、これに限られず、互いに縦横方向に並列配置された4つの基板を備える場合もある。本変形例は、このような場合に対応する実施の形態である。
【0036】
図9及び図10に示すように、本変形例のインバータ装置1は、前述のヒートシンク12に代えてヒートシンク24を、前述の1つの基板14に代えて、前述のネジ19を挿通可能なネジ通し穴251(挿通孔)を四隅に有し、電気回路が設けられた4つの基板25A,25B,25C,25Dを、前述の2つのボス15に代えて4つのボス26を、前述のボス16に代えて4つのボス27及び1つのボス28を備えている。なお、基板25A,25B,25C,25Dの各ネジ通し穴251の孔径は、ネジ19の外径よりも大きく形成されている。これ以外の構成は、上記実施形態のインバータ装置1とほぼ同様である。
【0037】
ヒートシンク24は、前述のヒートシンク12と同様、例えばアルミニウムや銅等の熱が伝導しやすい金属等で構成されており、直方体形状を備えている。このヒートシンク24は、前述の筐体10の下面に取り付けられて、図示しないネジ等により固定されている。また、このヒートシンク24には、ボス26,27,28を介して4つの基板25A,25B,25C,25Dが互いに縦横方向に並列配置され取り付けられている。すなわち、本変形例では、このヒートシンク24が、特許請求の範囲に記載の取付対象物に相当する。
【0038】
各ボス26,27,28は、ヒートシンク24と例えばダイカスト等により一体成型されており、ヒートシンク24の上面に立設されている。具体的には、ボス26は、ヒートシンク24の上面の四隅に立設されている。ボス27は、ヒートシンク12Aの上面における、長手方向(図9及び図10中左奥右手前方向)略中央部の両端部、及び、短手方向(図9及び図10中左手前右奥方向)の略中央部の両端部の4箇所に立設されている。ボス28は、ヒートシンク12Aの上面の略中央部に立設されている。
【0039】
これらボス26,27,28のうち、ヒートシンク24の上面の四隅に位置する4つのボス26は、前述のボス15と同様の構造であり、縦横に隣り合う4つの基板25A,25B,25C,25Dのうち1つが載置される基板載置面261と、基板載置面261に設けられたネジ穴262とを有している。
【0040】
また、ヒートシンク12Aの上面における長手方向略中央部の両端部及び短手方向の略中央部の両端部に位置する4つのボス27は、前述のボス23と同様の構造であり、縦横に隣り合う4つの基板25A,25B,25C,25Dのうち縦に隣り合う2つ又は横に隣り合う2つが載置される基板載置面271と、基板載置面271の一方側及び他方側に設けられた2つのネジ穴272と、凸形状の突起部273とを有している。突起部273は、基板載置面271と高低差が生じるように基板載置面271の略中央部に上方に向かって突出するように設けられており、縦に隣り合う2つの基板25又は横に隣り合う2つ基板25を基板載置面271の一方側及び他方側に隔てて載置すると共に、これら縦に隣り合う2つの基板25又は横に隣り合う2つ基板25のネジ通し穴251以外の縁部252と当接する。なお、各ボス27の基板載置面271と突起部273の上面(図9及び図10中上面)との高低差によって生じる段差部分が、特許請求の範囲に記載の段差部に相当する。
【0041】
また、ヒートシンク12Aの上面の略中央部に位置するボス28は、縦横に隣り合う4つの基板25A,25B,25C,25Dが載置される基板載置面281と、基板載置面281の四隅に設けられた4つのネジ穴282と、十字形状の突起部283とを有している。突起部283は、基板載置面281と高低差が生じるように基板載置面281の略中央部に上方に向かって突出するように設けられており、縦横に隣り合う4つの基板25A,25B,25C,25Dを基板載置面281の各側に隔てて載置すると共に、これら4つの基板25A,25B,25C,25Dのネジ通し穴251以外の縁部252と当接する。なお、ボス28の基板載置面281と突起部283の上面(図9及び図10中上面)との高低差によって生じる段差部分が、特許請求の範囲に記載の段差部に相当する。
【0042】
そして、各基板25A,25B,25C,25Dの間に前述の規格に準拠した絶縁距離を確保するため、基板25Aは、基板25B,25C側の縁部252が3つのボス27,28の突起部273,283と当接されることにより、位置決めされている。基板25Bは、基板25A,25D側の縁部252が3つのボス27,28の突起部273,283と当接されることにより、位置決めされている。基板25Cは、基板25A,25D側の縁部252が3つのボス27,28の突起部273,283と当接されることにより、位置決めされている。基板25Dは、基板25B,25C側の縁部252が3つのボス27,28の突起部273,283と当接されることにより、位置決めされている。そして、位置決めされた基板25A,25B,25C,25Dは、各ネジ通し穴251に各々挿通されたネジ19が各ボス26,27,28のネジ穴262,272,282に各々締結することにより、縁部252がボス27,28の突起部273,283と当接した状態で各ボス26,27,28の基板載置面261,271,281に固定されている。
【0043】
以上説明した本変形例においては、4つの基板25A,25B,25C,25Dが互いに縦横方向に並列配置されており、ボス28が、縦横に隣り合う4つの基板25A,25B,25C,25Dを基板載置面281の各側に載置すると共に、4つの基板25A,25B,25C,25Dの縁端252とそれぞれ当接する十字形状の突起部283を基板載置面281の略中央部に有している。これにより、4つの基板25A,25B,25C,25Dの互いの方向(縦、横、斜め方向)に対する位置決めを精度良く行うことができる。その結果、各基板25A,25B,25C,25Dの間に所定の規格に準拠した絶縁距離を確保しつつ、ヒートシンク24やインバータ装置1の小型化を図ることができる。
【0044】
(3)ボスがヒートシンクと別体である場合(その1)
上記実施形態においては、ボス15,16をヒートシンク12と一体成型していたが、これに限られず、ボスをヒートシンクと別体として構成してもよい。
【0045】
図11及び図12に示すように、本変形例においては、2つのボス15′及び2つのボス16′が、基板14の取付対象物であるヒートシンク12′と別体として構成されている。そして、基板14は、四隅に設けられた4つのネジ通し穴141に各々挿通されたネジ19′(固定具)が、各ボス15′,16′の基板載置面151,161に設けられたネジ穴152′,162′、及び、ヒートシンク12′の上面(図11及び図12中上面)の四隅に設けられた4つのネジ穴121に各々締結することにより、縁部142がボス16′の突起部163と当接した状態で各ボス15′,16′の基板載置面151,161に固定されている。すなわち、各ボス15′,16′は、基板14固定用のネジ19′で固定されている。なお、基板14の各ネジ通し穴141の孔径は、ネジ19′の外径よりも大きく形成されている。
【0046】
本変形例によれば、ボス15′,16′をヒートシンク12′と別体として構成することにより、例えばヒートシンク12′を金属、ボス15′,16′を樹脂で構成する等、ボス15′,16′とヒートシンク12′とを別材料で構成することが可能となり、設計の自由度を向上できる。
【0047】
(4)ボスがヒートシンクと別体である場合(その2)
図13及び図14に示すように、本変形例においては、2つのボス15″及び2つのボス16″が、基板14の取付対象物であるヒートシンク12″と別体として構成されている。そして、基板14は、四隅に設けられた4つのネジ通し穴141に各々挿通されたネジ19が、各ボス15″,16″の基板載置面151,161に設けられたネジ穴152,162に各々締結することにより、縁部142がボス16″の突起部163と当接した状態で各ボス15″,16″の基板載置面151,161に固定されている。各ボス15″,16″は、それらの下面(図13及び図14中下面)に設けられたネジ穴154,164に各々螺合されたスタッド29が、ヒートシンク12″の上面(図13及び図14中上面)の四隅に設けられた4つのネジ穴122に各々締結することにより、ヒートシンク12″の上面に固定されている。
【0048】
本変形例によれば、上記(3)の変形例と同様の効果を得ることができる。
【0049】
(5)基板をリベットでかしめ固定する場合
上記実施形態では、基板14をネジ19で固定していたが、これに限られず、基板14をリベットを用いて固定してもよい。
【0050】
図15に示すように、本変形例おいては、基板14は、前述のネジ通し穴141に代えて、ボス15A,16Aの基板載置面151,161に設けられたリベット30(固定具)を挿通可能なリベット通し穴143(挿通孔)を四隅に有している。なお、各リベット通し穴143の孔径は、リベット30の外径よりも大きく形成されている。そして、基板14は、当該基板14の取付対象物であるヒートシンク12Aの四隅と2つのボス15A及び2つのボス16Aとに一体的に設けられた4つのリベット通し穴123と、各リベット通し穴143とに各々挿通されたリベット30の先端301がかしめられることにより、縁部142がボス16Aの突起部163と当接した状態で各ボス15A,16Aの基板載置面151,161に固定されている。
【0051】
本変形例によれば、リベット30を用いて基板14を固定することにより、基板14の縁端142をボス16Aの突起部163に当接させた状態で確実に固定することができる。
【0052】
(6)基板を弾性係合させてワンタッチ固定する場合
上記実施形態では、基板14をネジ19で固定していたが、これに限られず、基板14を弾性突起部を用いて固定してもよい。
【0053】
図16に示すように、本変形例においては、2つのボス15B及び2つのボス16Bが、前述のヒートシンク12″と別体として構成されている。各ボス15B,16Bは、樹脂で構成されており、それらの基板載置面151,161には、弾性変形しつつ基板14の挿通孔144(後述)に係合可能な弾性突起部155,165(固定具)が各々設けられている。また、基板14は、前述のネジ通し穴141に代えて、ボス15B,16Aの弾性突起部155,165を挿通可能な挿通孔144を四隅に有している。なお、各挿通孔144の孔径は、弾性突起部155,165の係合部分の外径よりも大きく形成されている。そして、基板14は、各弾性突起部155,165の先端が各挿通孔144に挿通され、各弾性突起部155,165が各挿通孔144に各々係合することにより、縁部142がボス16Bの突起部163と当接した状態で各ボス15B,16Bの基板載置面151,161に固定されている。各ボス15B,16Bは、それらの下面(図16中下面)に設けられたネジ穴154,164に各々螺合されたスタッド29が、ヒートシンク12″の上面(図16中上面)の四隅に設けられた4つのネジ穴122に各々締結することにより、ヒートシンク12″の上面に固定されている。
【0054】
本変形例によれば、ボス15B,16Bの弾性突起部155,165を基板14の挿通孔144に係合させるのみの簡単な作業によって、基板14を固定することができる。したがって、ネジやリベットを用いる場合に比べ、基板の固定作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0055】
(7)基板を筐体に取り付ける場合
上記実施形態では、基板4をボス15,16を介してヒートシンク12に取り付けていたが、これに限られず、図17に示すように、基板4をボス15,16を介してインバータ装置1の筐体10′に取り付けてもよい。この場合には、筐体10′が、特許請求の範囲に記載の取付対象物に相当する。なお、ボス15,16は、ヒートシンク12と一体成型されていてもよいし、ヒートシンク12と別体として構成されていてもよい。
【0056】
本変形例によれば、インバータ装置1の筐体10′を小型化することができる。また、筐体10′の材料費を削減できるので、インバータ装置1をコストダウンできる効果もある。
【0057】
なお、上記(3)〜(7)の変形例では、インバータ装置1が1つの基板を備える場合を一例として説明したが、これに限られず、インバータ装置1が並列配置された2つ以上の基板を備えている場合や、インバータ装置1が互いに縦横方向に並列配置された4つ以上の基板を備えている場合にも適用することができる。
【0058】
また、上記(2)及び(3)の変形例では、各基板をネジ19で固定する場合を一例として説明したが、これに限られず、各基板をリベットや弾性突起部で固定する場合にも適用することができる。
【0059】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0060】
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0061】
1 インバータ装置(モータ制御装置)
10′ 筐体(取付対象物)
12 ヒートシンク(取付対象物)
12′ ヒートシンク(取付対象物)
12″ ヒートシンク(取付対象物)
14 基板
144 挿通孔
15 ボス
15′ ボス
15″ ボス
15A ボス
15B ボス
16 ボス
16′ ボス
16″ ボス
16A ボス
16B ボス
17 電気部品
19 ネジ(固定具)
19′ ネジ(固定具)
20 ヒートシンク(取付対象物)
21A,B 基板
22 ボス
23 ボス
24 ヒートシンク(取付対象物)
25A〜D 基板
26 ボス
27 ボス
28 ボス
30 リベット(固定具)
141 ネジ通し穴(挿通孔)
142 縁部(基板の挿通孔以外の縁部)
143 リベット通し穴(挿通孔)
151 基板載置面
152 ネジ穴
152′ ネジ穴
155 弾性突起部(固定具)
161 基板載置面
162 ネジ穴
162′ ネジ穴
163 突起部
165 弾性突起部(固定具)
211 ネジ通し穴(挿通孔)
212 縁部(基板の挿通孔以外の縁部)
221 基板載置面
222 ネジ穴
231 基板載置面
232 ネジ穴
233 突起部
251 ネジ通し穴(挿通孔)
252 縁部(基板の挿通孔以外の縁部)
261 基板載置面
262 ネジ穴
271 基板載置面
272 ネジ穴
273 突起部
281 基板載置面
282 ネジ穴
283 突起部
301 リベットの先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの駆動を制御するモータ制御装置であって、
固定具を挿通可能な複数の挿通孔を有し、前記モータの駆動に関わる電子回路が設けられた少なくとも1つの基板と、
前記基板が取り付けられる取付対象物と、
前記取付対象物に立設され、前記基板が載置される基板載置面を有する複数のボスと、を備え、
前記複数のボスの少なくとも1つは、
前記基板の前記挿通孔以外の縁端と当接する段差部を前記基板載置面に有している
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
前記基板の周囲に配置され、前記モータ制御装置の電源投入時に通電される電気部品をさらに備え、
前記複数のボスのうち、前記電気部品側に位置する前記ボスが前記段差部を有している
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
並列配置された少なくとも2つの前記基板を備え、
前記複数のボスの少なくとも1つは、
隣り合う2つの前記基板を前記基板載置面の一方側及び他方側に載置すると共に、前記2つの基板の縁端とそれぞれ当接する前記段差部を前記基板載置面の中央部に有している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
互いに縦横方向に並列配置された少なくとも4つの前記基板を備え、
前記複数のボスの少なくとも1つは、
縦横に隣り合う4つの前記基板を前記基板載置面の各側に載置すると共に、前記4つの基板の縁端とそれぞれ当接する十字形状の前記段差部を前記基板載置面の中央部に有している
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記取付対象物は、
ヒートシンクである
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記取付対象物は、
前記モータ制御装置の筐体である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項7】
前記ボスは、
前記取付対象物と一体成型されている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項8】
前記ボスは、
前記取付対象物と別体として構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項9】
前記固定具はネジであり、
前記基板は、
前記挿通孔に挿通された前記ネジが、前記ボスの前記基板載置面に設けられたネジ穴に締結することにより、前記縁端が前記段差部と当接した状態で固定される
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項10】
前記固定具は、
前記ボスの前記基板載置面に設けられたリベットであり、
前記基板は、
前記挿通孔に挿通された前記リベットの先端がかしめられることにより、前記縁端が前記段差部と当接した状態で固定される
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項11】
前記固定具は、
前記ボスの前記基板載置面に設けられ、弾性変形しつつ前記基板の挿通孔に係合可能な弾性突起部であり、
前記基板は、
前記弾性突起部が前記挿通孔に係合することにより、前記縁端が前記段差部と当接した状態で固定される
ことを特徴とする請求項8に記載のモータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−200071(P2012−200071A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62207(P2011−62207)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】