説明

モータ

【課題】軸受ホルダの貫通穴内での軸受のガタつきに起因する異音の発生をより効果的に抑制することのできるモータを提案すること。
【解決手段】モータ1において、軸受7は、軸受ホルダ8の貫通穴80の内部でモータ軸線L方向に移動可能に配置されており、板バネ部90は、軸受ホルダ8の貫通穴80内に配置された軸受7を回転軸51に向けて付勢し、与圧を付与している。ここで、軸受7の外周面72と貫通穴80の内周面80aとの間には、グリス層やゴム層等の緩衝層79が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関するものである。さらに詳しくは、回転軸の軸端を支持する軸受構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、FDD、ODD等に用いられるステッピングモータは、一般に、図9に示すように、筒状のステータ140の内側にロータ105が配置されており、回転軸151の一方の軸端は、球体170を介して軸受107で支持されている。ここで、軸受107は、軸受ホルダ108の貫通穴180内に挿入されており、軸受ホルダ108よりもさらに一方端側に配置された与圧付与部材109の板バネ部190によって回転軸151に向けて付勢されている。
【0003】
このようなモータにおいて、貫通穴180の内周面と軸受107の外周面との間には隙間が存在するため、ロータ105が回転すると、軸受107が貫通穴180内でガタつくことがあり、このようなガタつきは、異音の発生の原因となる。そこで、板バネ部190をモータ軸線Lが通る部分を避けた領域で軸受107に当接させ、軸受107を貫通穴180内で傾かせて軸受107のガタつきを防止することが提案されている(特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−20347号公報
【特許文献2】特開2007−82341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載の構成でも、貫通穴180内での軸受107のガタつきを防止することができないという問題点がある。特に、軸受107を樹脂成形品で構成した場合、成形時のひけ等に起因して軸受107に外形寸法のばらつきが発生しやすいため、上記の問題が発生しやすい。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、軸受ホルダの貫通穴内での軸受のガタつきに起因する異音の発生をより効果的に抑制することのできるモータを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、モータ軸線方向で開口する筒状のステータと、前記ステータの内側に配置されたロータと、該ロータの回転軸の一方の軸端を支持する軸受と、前記ステータに保持され、前記軸受をモータ軸線方向に移動可能に貫通穴内に保持する軸受ホルダと、該軸受ホルダに対して前記ステータとは反対側に配置され、前記軸受を前記回転軸に向けて付勢する板バネ部を備えた与圧付与部材と、を有するモータにおいて、前記軸受の外周面と前記貫通穴の内周面との間には、変形可能な緩衝層が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明において、軸受は、軸受ホルダの貫通穴の内部でモータ軸線方向に移動可能に配置されており、板バネ部は、軸受ホルダの貫通穴内に配置された軸受を回転軸に向けて付勢し、与圧を付与している。ここで、軸受の外周面と貫通穴の内周面との間には、変形可能な緩衝層が設けられているため、軸受ホルダの貫通穴内で軸受がガタついた場合でも、異音の発生を抑制することができる。
【0009】
本発明において、前記緩衝層は、例えば、グリス層である。かかる構成であれば、軸受の外周面と貫通穴の内周面との間に緩衝層を容易に設けることができる。
【0010】
本発明において、前記緩衝層は、前記軸受の外周面と前記貫通穴の内周面との間のうちの少なくとも一方の周面に設けられた弾性体であってもよい。
【0011】
本発明は、前記軸受が樹脂成形品である場合に適用すると効果的である。軸受が樹脂製である場合、それを成形する際のひけ等に起因して軸受の外形寸法がばらつき、軸受の外径寸法と貫通穴の内径寸法との間に大きな差が発生しやすいが、本発明によれば、軸受が貫通穴内でガタついたとしても、異音の発生を抑制することができる。
【0012】
本発明において、前記板バネ部は、前記軸受の端面のモータ軸線が通る部分を避けた位置に当接し、前記軸受は、前記貫通穴の内部においてモータ軸線に対して傾いて、モータ軸線方向の両側では互いに周方向の反対側に位置する2個所で前記貫通穴の内周面に当接し、前記緩衝層は、少なくとも前記2個所に設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、軸受は、貫通穴の内周面との隙間寸法に応じた分だけ、モータ軸線に対して傾いた状態に保持されるため、貫通穴内でガタつきにくい。それ故、軸受のガタつきに起因する異音の発生を抑制することができる。また、モータ軸線方向の両側では互いに周方向の反対側に位置する2個所で軸受の外周面と貫通穴の内周面とが当接するので、緩衝層は、少なくとも前記の2個所に設けられていれば、異音の発生を抑制することができるという利点がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明において、軸受は、軸受ホルダの貫通穴の内部でモータ軸線方向に移動可能に配置されており、板バネ部は、軸受ホルダの貫通穴内に配置された軸受を回転軸に向けて付勢し、与圧を付与している。ここで、軸受の外周面と貫通穴の内周面との間には、変形可能な緩衝層が設けられているため、軸受ホルダの貫通穴内で軸受がガタついた場合でも、異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用したモータの縦断面図である。
【図2】本発明を適用したモータの分解斜視図である。
【図3】本発明を適用したモータの軸受周辺を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明を適用したモータに用いた軸受の説明図である。
【図5】本発明を適用したモータに用いた軸受ホルダの説明図である。
【図6】本発明を適用したモータに用いた与圧付与部材の説明図である。
【図7】本発明の変形例1に係るモータに用いた軸受の説明図である。
【図8】本発明の変形例2に係るモータの軸受周辺を拡大して示す断面図である。
【図9】従来のモータの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したモータの一例を説明する。なお、以下の説明では、モータ軸線方向を指示する際、回転軸が突出している側を出力側とし、回転軸が突出している側とは反対側を反出力側とする。
【0016】
(全体構成)
図1および図2は、本発明を適用したモータの縦断面図および分解斜視図である。図3は、本発明を適用したモータの軸受周辺を拡大して示す断面図である。図1、図2および図3に示すように、本形態のモータ1は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、FDD、ODD等に用いられる小型のステッピングモータであり、ステータ40では、コイル25が巻回された環状の第1のボビン2Aと第2のボビン2Bとがモータ軸線L方向に重ねて配置されている。また、第1のボビン2Aにおいてモータ軸線L方向の両側には、環状の内ステータコア3Aおよび外ステータコア4Aが重ねて配置され、第2のボビン2Bにおいてモータ軸線L方向の両側には、環状の内ステータコア3Bおよび外ステータコア4Bが重ねて配置されており、第1のボビン2Aおよび第2のボビン2Bの内周面では、内ステータコア3A、3Bおよび外ステータコア4A、4Bの複数の極歯31、41が周方向に並んだ構成となっている。このようにして、ロータ配置穴30を備えた円筒状のステータ40が構成されており、このロータ配置穴30の内側には、ロータ5の基端側が同軸状に配置されている。
【0017】
ロータ5は、回転軸51の基端側(反出力側)の周りにロータマグネット52を備えており、このロータマグネット52は、ロータ配置穴30の内側において、ステータ40(内ステータコア3A、3Bおよび外ステータコア4A、4B)の極歯31、41と所定の間隔を介して対向している。
【0018】
本形態では、外ステータコア4A、4Bの外周部分によって円筒状のケース10が構成され、かかるケース10の内部に、コイル25、内ステータコア3A、3B、および外ステータコア4A、4Bを備えたステータ40と、ロータ5の基端側とが配置された構造になっている。
【0019】
ケース10を構成している外ステータコア4Bの先端面(出力側の端面)にはプレート6が固着されており、このプレート6の先端側屈曲部分に保持されているスラスト軸受61によって、回転軸51の出力側の端部が支持されている。
【0020】
回転軸51は、モータ軸線L方向における反出力側(第1のボビン2Aの側)の軸端53が鋼球70を介して軸受7によって支持され、鋼球70は、軸端53側において凹錐面を備えた鋼球支持部530と、軸受7側において凹錐面を備えた鋼球支持部71との間に保持されている。また、ステータ40に対して反出力側には焼結金属体等からなる軸受ホルダ8が配置されており、軸受7は、軸受ホルダ8の貫通穴80に装着されている。ここで、軸受7は、貫通穴80の内部においてモータ軸線L方向に移動可能な状態にある。軸受ホルダ8は、以下に説明する与圧付与部材9によって、外ステータコア4Aに固定されている。なお、軸受ホルダ8は、外ステータコア4Aにスポット溶接等により固定されることもある。
【0021】
本形態において、軸受ホルダ8よりさらに反出力側には、金属板からなる与圧付与部材9が軸受ホルダ8と少なくとも一部が重なるように配置されいる。与圧付与部材9は、端板部91と、端板部91の外周縁から軸受ホルダ8の側に延びた第1爪部95と、第1爪部95に対して周方向にずれた位置で端板部91の外周縁から軸受ホルダ8の側に延びた第2爪部96とを有している。これらの爪部のうち、第1爪部95は、軸受ホルダ8の外周縁に係合している。また、第2爪部96は、外ステータコア4Aの側面に形成された係合溝49に係合し、外ステータコア4Aに固定されている。このため、軸受ホルダ8は、端板部91と外ステータコア4Aとの間に保持されている。
【0022】
与圧付与部材9の端板部91では、板バネ部90が軸受7の側に切り起こされており、板バネ部90は、貫通穴80内の軸受7を回転軸51に向けて付勢し、与圧を付与している。
【0023】
(軸受7の詳細構成)
図4は、本発明を適用したモータ1に用いた軸受7の説明図であり、図4(a)、(b)、(c)、(d)は、軸受7の平面図、側面図、底面図および断面図である。図1〜図4に示すように、軸受7は、円盤状部材の出力側の端面に鋼球70を支持する凹錐面状の鋼球支持部71が形成された形状を有している。本形態において、軸受7は樹脂成形品である。かかる軸受7の出力側の端面には、外周側から内周側に向かって、外周側環状部74aと、外周側環状部74aの内周縁から出力側に向けて突出した環状段部74bと、環状段部74bの内周縁から出力側に向けて突出した環状突条部75と、環状突条部75の内周縁から反出力側に凹む環状凹部76と、環状凹部76の内周縁から出力側に突出する環状突条部77とが形成されている。かかる軸受7において、環状突条部77の内側が鋼球70を支持する鋼球支持部71になっている。また、鋼球支持部71の底部は円錐面71aになっている。本形態では、軸受7にかかる形状を採用することにより、樹脂成形により軸受7を製造する際のひけの発生を抑制することができ、特に鋼球支持部71および軸受7の外周面72の精度(円筒度や真円度など)を良く形成することができる。
【0024】
これに対して、軸受7の反出力側の端面78bは、外周縁に沿って形成された環状突条部78aにより形成された凹部の底部からなる。このようにして、本形態では、与圧付与部材9における端板部91と、軸受7の反出力側の端面78bとの距離を調整することにより、与圧付与部材9の後述する板バネ部90(図1、図2、図3および図6参照)を弾性領域で作用させるようになっている。
【0025】
(軸受ホルダ8の詳細構成)
図5は、本発明を適用したモータ1に用いた軸受ホルダ8の説明図であり、図5(a)、(b)は、軸受ホルダ8の底面図および断面図である。図1〜図3および図5に示すように、軸受ホルダ8は、筒部81と、筒部81の反出力側の端部から拡径するフランジ部82とを備えており、筒部81とフランジ部82との境界部分には段部83が形成されている。
【0026】
軸受ホルダ8の中心には、軸受ホルダ8をモータ軸線L方向で貫通する断面円形の貫通穴80が形成されており、かかる貫通穴80の内部に、図4を参照して説明した軸受7が配置される。ここで、貫通穴80の内径寸法は、軸受7の外周面72の外径寸法より大であり、貫通穴80の内周面80aと軸受7の外周面72との間には所定のクリアランスが存在する。従って、軸受7は、貫通穴80の内部でモータ軸線L方向に移動可能である。
【0027】
なお、貫通穴80の内周縁には、切り欠き84が形成されているが、かかる切り欠き84は、ステータ40との位置決め等に用いられる。
【0028】
(与圧付与部材9の詳細構成)
図6は、本発明を適用したモータ1に用いた与圧付与部材9の説明図であり、図6(a)、(b)は、与圧付与部材9の平面図および板バネ部の断面図である。図1〜図3および図6に示す与圧付与部材9は、金属板のプレス加工品であり、端板部91の外周縁の2箇所からは、軸受ホルダ8の外周側面を回り込んでフランジ部82の出力側端面に係合する2つの第1爪部95が形成されている。また、与圧付与部材9には、端板部91の外周縁のうち、第1爪部95が形成されている位置に対して90°ずれた2個所には軸受ホルダ8の側に延びた第2爪部96が形成されている。
【0029】
また、端板部91の中央部分では、U字状の切断部により、軸受7が位置する側に板バネ部90が斜めに切り起こされている。さらに、板バネ部90は、長さ方向の途中部分で切り起こし方向に対して反対側に折り曲げられている。このため、板バネ部90は、端板部91に接続する根元部分910と、折り曲げにより形成された角部分920と、角部分920より先端側で半円形の平面形状をもった先端部分930とから構成され、本形態では、角部分920が軸受7の端面78bに当接している。ここで、根元部分910は端板部91から斜めに直線的に切り起こされ、与圧付与部材9をモータ1に組み込む前の状態において、先端部分930は、根元部分910に対して、例えば約30°の角度をなしている。
【0030】
ここで、角部分920は、軸受7の端面78bにおいてモータ軸線Lが通る部分を避けた位置に当接している。また、与圧付与部材9をモータ1に組み込んだ状態において、先端部分930は、角部分920よりモータ軸線Lの反出力側に位置している。
【0031】
(軸受7の外周面72と貫通穴80の内周面80aとの間の構成)
図3に示すように、板バネ部90は、軸受7の端面78bのうち、モータ軸線Lが通る部分を避けた位置に当接しているため、軸受7は、貫通穴80の内部においてモータ軸線Lに対して傾いた状態にある。このため、軸受7は、貫通穴80内でガタつきにくい。それでも、軸受7を樹脂成形した際、成形時のひけ等に起因して軸受7に外形寸法のばらつきが発生すると、軸受7は貫通穴80内でガタつき、その結果、異音が発生する。
【0032】
そこで、本形態では、軸受7の外周面72と貫通穴80の内周面80aとの間には変形可能な緩衝層79が設けられている。本形態において、緩衝層79はグリス層79aであり、軸受7の外周面72と貫通穴80の内周面80aとの間の略全体にわたって設けられている。本形態において、グリス層79aとしては比較的粘性が高くて、流出しない材料が用いられている。
【0033】
(本形態の作用、主な効果)
以上説明したように、本形態に係るモータ1において、軸受7は、軸受ホルダ8の貫通穴80の内部でモータ軸線L方向に移動可能に配置されており、板バネ部90は、軸受ホルダ8の貫通穴80内に配置された軸受7を回転軸51に向けて付勢し、与圧を付与している。ここで、軸受7の外周面72と貫通穴80の内周面80aとの間には、変形可能な緩衝層79としてグリス層79aが設けられているため、軸受ホルダ8の貫通穴80内で軸受7がガタついた場合でも、異音の発生を抑制することができる。
【0034】
また、軸受7では、鋼球支持部71の周りに環状凹部76が形成されている。このため、軸受7を成形する際、ヒケの発生を抑制することができるので、軸受7の寸法精度を高めることができる。それ故、軸受ホルダ8の貫通穴80内で軸受7がガタつこうとするのを抑制することができる。また、鋼球支持部71の周りに環状凹部76が形成されているため、軸受7に対してモータ軸線Lに交差する方向の力が加わった際、かかる力を環状突条部77の変形によって吸収することができる。従って、軸受7がガタつきにくいという利点がある。
【0035】
さらに、本形態において、板バネ部90は、軸受7の端面78bのうち、モータ軸線Lが通る部分を避けた位置に当接しているため、軸受7は、貫通穴80の内部においてモータ軸線Lに対して傾いた状態にある。このため、軸受7は、貫通穴80内でガタつきにくい。それ故、軸受7のガタつきに起因する異音や回転軸51の振れを抑制することができる。また、軸受7は、貫通穴80内で傾く際、鋼球70を中心に回転するように傾くため、軸受7が傾いても、鋼球70は変位せず、鋼球70の中心軸線は、モータ軸線Lと一致している。すなわち、軸受7が傾く前後において、モータ軸線Lは、位置がずれることも傾くこともないため、ロータ5が回転した際、回転軸51が振れることがない。しかも、板バネ部90は、途中部分で折り曲げることにより形成された角部分920が軸受7に当接しており、かかる角部分920には、エッジがなく、プレス成形する際にエッジに発生したバリやカエリもない。このため、板バネ部90のエッジや、エッジに発生したバリやカエリが軸受7に食い込んで引っ掛かるような事態が発生しないため、板バネ部90は、適正な与圧を軸受7に印加する。また、板バネ部90のエッジや、エッジに発生したバリやカエリが軸受7に食い込んで引っ掛かるような事態が発生しないため、軸受7は、貫通穴80内で傾くのを妨げられることがない。
【0036】
[本発明の変形例1]
図7は、本発明の変形例1に係るモータ1に用いた軸受7の説明図であり、図7(a)、(b)、(c)、(d)は、平面図、側面図、底面図および断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。上記実施の形態では、軸受7の外周面72と貫通穴80の内周面80aとの間に緩衝層79を設けるにあたって、グリス層79aを用いたが、図7に示すように、軸受7の外周面72に緩衝層79としてゴム層79b等の弾性体(図7(b)に互いに交差する斜線を付した領域)を一体に設けてもよい。かかる構成でも、軸受ホルダ8の貫通穴80内で軸受7がガタついた場合でも、異音の発生を抑制することができる。
【0037】
[本発明の変形例2]
図8は、本発明の変形例2に係るモータ1の軸受7周辺を拡大して示す断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。上記実施の形態では、軸受7の外周面72と貫通穴80の内周面80aとの間において、全周にわたって緩衝層79を設けたが、本形態では、図8に示すように、軸受7の外周面72と貫通穴80の内周面80aとの間のうち、軸受7の外周面72と貫通穴80の内周面80aとが当接する箇所に緩衝層79を設けてある。
【0038】
より具体的には、板バネ部90は、軸受7の端面78bのうち、モータ軸線Lが通る部分を避けた位置に当接しているため、軸受7は、貫通穴80の内部においてモータ軸線Lに対して傾いた状態にある。このため、軸受7は、モータ軸線L方向の両側では互いに周方向の反対側に位置する2個所P1、P2で貫通穴80の内周面80aに当接している。すなわち、モータ軸線Lの出力側において、軸受7は、周方向のうち、板バネ部90が軸受7と当接している箇所に対して周方向の反対側に位置する個所P1で貫通穴80の内周面80aに当接している。これに対して、モータ軸線Lの反出力側において、軸受7は、周方向のうち、板バネ部90が軸受7と当接している箇所と周方向の同一側に位置する個所P2で貫通穴80の内周面80aに当接している。従って、本形態では、軸受7の外周面72と貫通穴80の内周面80aとが当接する2個所P1、P2のみにグリス層79a等の緩衝層79が設けられている。かかる構成でも、軸受7の貫通穴80内でのガタつきに起因する異音の発生を効率よく抑制することができる。
【0039】
[本発明の変形例3]
上記実施の形態2では、軸受7の外周面72および貫通穴80の内周面80aのうち、軸受7の外周面72にゴム層79b(緩衝層79/弾性体)を設けたが、貫通穴80の内周面80aにゴム層79b等の弾性体(緩衝層79)を軸受ホルダ8と一体に設けてもよい。
【0040】
[本発明の変形例4]
また、軸受7の外周面72および貫通穴80の内周面80aの双方にゴム層79b等の弾性体(緩衝層79)を設けてもよい。
【0041】
[他の実施の形態]
上記実施の形態において、軸受7は、鋼球70を介して回転軸51の軸端53を支持していたが、回転軸51の軸端53自身に球部が形成され、この球部を介して軸受7が回転軸51を支持しているモータに本発明を適用してもよい。なお、本発明は、ステッピングモータ以外のモータにも適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
1・・モータ
5・・ロータ
7・・軸受
8・・軸受ホルダ
9・・与圧付与部材
40・・ステータ
51・・回転軸
70・・鋼球
79・・緩衝層
79a・・グリス層(緩衝層)
79b・・ゴム層(緩衝層/弾性体)
80・・貫通穴
90・・板バネ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸線方向で開口する筒状のステータと、前記ステータの内側に配置されたロータと、該ロータの回転軸の一方の軸端を支持する軸受と、前記ステータに保持され、前記軸受をモータ軸線方向に移動可能に貫通穴内に保持する軸受ホルダと、該軸受ホルダに対して前記ステータとは反対側に配置され、前記軸受を前記回転軸に向けて付勢する板バネ部を備えた与圧付与部材と、を有するモータにおいて、
前記軸受の外周面と前記貫通穴の内周面との間には、変形可能な緩衝層が設けられていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記緩衝層はグリス層であることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記緩衝層は、前記軸受の外周面と前記貫通穴の内周面との間のうちの少なくとも一方の周面に設けられた弾性体であることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記軸受は、樹脂成形品であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のモータ。
【請求項5】
前記板バネ部は、前記軸受の端面のモータ軸線が通る部分を避けた位置に当接し、
前記軸受は、前記貫通穴の内部においてモータ軸線に対して傾いて、モータ軸線方向の両側では互いに周方向の反対側に位置する2個所で前記貫通穴の内周面に当接し、
前記緩衝層は、少なくとも前記2個所に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−27185(P2013−27185A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160466(P2011−160466)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】