説明

モータ

【課題】界磁部を小さく(軸方向の長さを積層コアよりも短く)形成した場合であっても、界磁部の磁束分布が不均一になることによりスキューによる効果が低減することを防止することができるモータを提供する。
【解決手段】モータ1は、界磁部20(軸方向の上側に配置される第一界磁部20aと、第一界磁部20aと同一形状であって第一界磁部20aの軸方向の下側に離間して配置される第二界磁部20b)と、界磁部20と同軸上を回転可能に支持される積層コア53とを具備し、Lm(第一界磁部20a及び第二界磁部20bのそれぞれの軸方向の長さ)<Lc(積層コア53の軸方向の長さ)/2であって、la(第一界磁部20aと第二界磁部20bとの間の軸方向の長さ)=2×lo(積層コア53の一側端部から第一界磁部20aの一側端部までの軸方向の長さ、及び積層コア53の他側端部から第二界磁部20bの他側端部までの軸方向の長さ)を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの技術に関し、特にコギングトルクを低減させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環状に形成される界磁部と、前記界磁部の内側に対向して配置され、磁性板材を積み重ねて形成され、前記界磁部と同軸上を周方向に回転可能に支持される積層コアと、を具備するモータの技術は公知となっている。このような構成のモータにおいては、積層コアと界磁部とが相互に吸引力を有しているため、電流が印加されていない状態であっても前記積層コアが回転された場合には、いわゆるコギングトルクが発生する。
【0003】
このようにコギングトルクが発生すると、前記モータの使用用途に応じた様々な問題がある。例えば、前記モータをEGRバルブの駆動用モータとして使用した場合には、次に示すような問題がある。
【0004】
すなわち、通電をOFFとしてEGRバルブを作動させない場合には、フェイルセーフの観点から、バネ等の付勢力により前記EGRバルブが全閉側に閉まるように力を加えている。かかる場合、発生するコギングトルクが大きいと、前記コギングトルクに打ち勝つようなより大きな付勢力を加える必要がある。しかしながら、通電をONとしてEGRバルブを作動させる場合には、前記付勢力は抵抗力となるため、前記モータの出力をより一層上げる必要がある。このように、発生したコギングトルクが大きいと、前記モータの出力をより一層上げる必要があるという問題がある。さらに、前記EGRバルブのバルブ開度により(前記モータの位相により)出力トルクが変動するため、前記EGRバルブの制御が不安定になるという問題がある。
【0005】
これに対して、コギングトルクを低減させる技術が公知となっている。例えば、特許文献1及び2に記載された技術においては、積層コアに軸方向の一端から他端に行くに従って周方向に傾斜するスキューが形成される。これによって、積層コアの各部位におけるコギングトルク波形が相互に合成されることによって打ち消しあって、積層コア全体としてのコギングトルクを低減させることができる。また、特許文献1及び2に記載された技術においては、界磁部の形状を特定することによって、前記界磁部の磁束分布により前記スキューによる効果が低減することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−228447号公報
【特許文献2】特開平10−117469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された技術では、界磁部は、その軸方向の長さを積層コアと同一、又はそれ以上の長さにする必要がある。すなわち、例えば生産コストを抑制するため等の理由によって、界磁部を小さく(軸方向の長さを積層コアよりも短く)形成した場合には、界磁部の磁束分布が不均一になることによりスキューによる効果が低減することとなり問題があった。
【0008】
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、界磁部を小さく(軸方向の長さを積層コアよりも短く)形成した場合であっても、界磁部の磁束分布を均一化することによりスキューによる効果が低減することを防止することができるモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、環状に形成される界磁部と、前記界磁部の内側に対向して配置され、磁性板材を積み重ねて形成され、当該界磁部と同軸上を周方向に回転可能に支持される積層コアと、を具備し、前記積層コアに軸方向の一端から他端に行くに従って周方向に傾斜するスキューが形成されるモータであって、前記界磁部が、軸方向の一側に配置される第一界磁部と、前記第一界磁部と同一形状であって当該第一界磁部の軸方向の他側に離間して配置される第二界磁部と、により形成され、前記第一界磁部と前記第二界磁部とは、以下の数式(1)及び(2)を満たすものである。
数式(1)・・Lm(第一界磁部及び第二界磁部のそれぞれの軸方向の長さ)<Lc(積層コアの軸方向の長さ)/2
数式(2)・・la(第一界磁部と第二界磁部との間の軸方向の長さ)=2×lo(積層コアの一側端部から第一界磁部の一側端部までの軸方向の長さ、及び積層コアの他側端部から第二界磁部の他側端部までの軸方向の長さ)
【0011】
請求項2においては、前記界磁部として希土類磁石を用いるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、界磁部を小さく(軸方向の長さを積層コアよりも短く)形成した場合であっても、前記界磁部の磁束分布を均一化することによりスキューによる効果が低減することを防止することができる。
【0014】
請求項2においては、界磁部を小さく(軸方向の長さを積層コアよりも短く)形成するので、前記界磁部として一般的に高価である希土類磁石を用いた場合であっても、生産コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るモータの構成を示した分解斜視図。
【図2】モータの一部の構成を示した側面断面図。
【図3】図2におけるA−A線矢視端面図。
【図4】積層コアの構成を示した斜視図。
【図5】コア部材の構成を示した平面図。
【図6】界磁部の磁束分布が均一な場合のコア部材のコギングトルク波形を示したグラフ。
【図7】界磁部の構成を示した一部拡大図。
【図8】界磁部の構成と積層コアの表面の磁束分布との関係を示した表。
【図9】界磁部の磁束分布が不均一な場合のコア部材のコギングトルク波形を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の一実施形態に係るモータ1の全体的な構成について、図1から図4を用いて簡単に説明する。
なお、以下の説明では、各図面に示した矢印方向に基づいて前後方向、左右方向、及び上下方向を規定する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ1の構成を示した分解斜視図である。また、図2は、モータ1の一部の構成を示した側面断面図である。また、図3は、図2におけるA−A線矢視端面図である。また、図4は、積層コア53の構成を示した斜視図である。
【0018】
図1から図3に示すモータ1は、いわゆるDCブラシ付きモータである。モータ1は、主として、ケース10と、界磁部20と、ブラシホルダ30と、ブラケット40と、アーマチュア50と、を具備する。
【0019】
図1から図3に示すケース10は、モータ1を構成する各部材を収容すると共に、ヨークとしての機能を有するものである。ケース10は、その筒心方向を上下方向へ向けた略円筒形状に形成される。ケース10の上端部には、開口部11が形成される。ケース10の下端部には、前記開口部11に対向する支持部12が形成される。支持部12の内側には、ベアリング13が配設される。
【0020】
図1から図3に示す界磁部20は、複数のマグネット21を周方向に配置して環状に形成される。なお、界磁部20の構成についての詳細な説明は後述する。
なお、界磁部20は、本発明における「界磁部」の一実施形態である。
【0021】
図1に示すブラシホルダ30は、ケース10の開口部11に嵌合される。ブラシホルダ30は、その軸方向を上下方向へ向けた略短円柱形状に形成される。ブラシホルダ30の上側面には、電流の入出力端子であるターミナル31・31が配設される。ターミナル31・31は、ブラシホルダ30の下側面に配設されたブラシ34・34と、それぞれ電気的に接続される。ブラシホルダ30の上側中央部には、その内側に整流子52を収容する収容部32が形成される。また、収容部32の上側中央部には、挿通孔33が開口される。
【0022】
図1に示すブラケット40は、ケース10を閉塞するものである。ブラケット40の上側中央部には、支持部41が形成される。支持部41の内側には、ベアリング42が配設される。
【0023】
図1に示すアーマチュア50は、主として、回転軸51と、整流子52と、積層コア53と、を具備する。
【0024】
図1から図4に示す回転軸51は、その軸方向を上下方向へ向け、ケース10の内側であって当該ケース10(界磁部20)と同軸上に配置される。回転軸51の下端側は、ベアリング13に回動自在に支持される。また、回転軸51の上端側は、挿通孔33を通ってベアリング42に回動自在に支持される。このように、回転軸51は、ケース10の内側で、ベアリング13及びベアリング42を介して回動自在に支持される。なお、回転軸51の下端側は、モータ1の出力軸として外方へ向けて延出される。
【0025】
図1に示す整流子52は、その軸方向を上下方向へ向けた略円柱形状に形成される。整流子52は、回転軸51に相対回転不能に固定されて、ブラシホルダ30の収容部32の内側に配置される。整流子52には、ブラシホルダ30のブラシ34・34が接触される。そして、モータ1の外部からターミナル31を介して供給された電気が、ブラシ34を介して整流子52に供給される。
【0026】
図1から図4に示す積層コア53は、磁性板材からなるコア部材100を複数枚積み重ねて形成される。積層コア53は、その軸方向を上下方向へ向けた略円柱形状に形成される。積層コア53は、整流子52の下方にて回転軸51に相対回転不能に固定される。これによって、積層コア53は、界磁部20と同軸上を、回転軸51を介して軸回り(周方向)に回転可能に支持される。積層コア53は、界磁部20の内側に対向して配置され、上下方向位置で当該界磁部20と同一位置に配置される。積層コア53(より詳細には、後述する複数のティース部62)には、巻線65が巻回される。なお、図1以外の図では、説明の便宜上、巻線65の図示を省略している。
なお、積層コア53は、本発明における「積層コア」の一実施形態である。
【0027】
以上のような構成において、モータ1には、モータ1の外部からターミナル31を介して電流が供給される。そして、ターミナル31に供給された電流は、ブラシ34により整流子52に供給されて、積層コア53に巻回された巻線65に供給される。これによって、アーマチュア50が界磁部20との電磁作用により、回転軸51の軸回りに回動する。そして、回転軸51が軸回りに回動することにより、モータ1のトルクが発生する。
【0028】
次に、積層コア53の構成について、図1から図6を用いてさらに詳細に説明する。
なお、図5は、コア部材100の構成を示した平面図である。また、図6は、界磁部20の磁束分布が均一な場合のコア部材101・102・・116のコギングトルク波形を示したグラフである。
【0029】
図1から図4に示す積層コア53は、上述の如く、磁性板材からなるコア部材100を複数枚積み重ねて形成される。コア部材100は、その板面を積層コア53の軸方向と同一方向(上下方向)へ向けて積み重ねられる。図5に示すコア部材100は、主として、ヨーク部61と、ティース部62と、を具備する。
【0030】
図5に示すヨーク部61は、コア部材100の中心部に位置する部位である。ヨーク部61は、その板面を上下方向へ向けた略板状部材であって略環状に形成される。ヨーク部61の中央には、回転軸51が挿通するための挿通孔63が開口される。
【0031】
図5に示すティース部62は、コア部材100の外側部(ヨーク部61の外側)に位置する部位である。ティース部62は、平面視で略T字状に形成される。ティース部62は、同一形状のものが複数(本実施形態では、10)設けられる。ティース部62・62・・は、ヨーク部61の外周縁部に周方向に均等に配置されて、当該外周縁部から長手方向を外径方向へ向けて延出される。ティース部62・62・・には、巻線65が巻回される(図1参照)。
【0032】
また、本実施形態において、積層コア53は、コア部材100を16枚積み重ねて形成される。そして、コア部材100・100・・は、最も上側に配置されたコア部材100から1枚ずつ下側に行くに従って、平面視で反時計回りに徐々(均等に)に回転した状態(位相をずらした状態)で配置される。このような構成により、積層コア53の外周面には、複数(本実施形態では、10つ)のスキュー70・70・・が形成される。スキュー70・70・・は、上側が左方で下側が右方となるように、すなわち上側端部から下側端部に行くに従って周方向に傾斜して形成される。
なお、スキュー70は、本発明における「スキュー」の一実施形態である。
【0033】
なお、図4及び図7に示すように、以下では説明に応じて、積層コア53にて積み重ねられたコア部材100・100・・のうち、最も上側に配置されたコア部材100を「コア部材101」と称し、当該コア部材101から下側に1枚ずつ行くに従って「コア部材102・コア部材103・コア部材104・・コア部材115・コア部材116」と、それぞれ称する。
【0034】
そして、界磁部20の磁束分布が均一な場合には、スキュー70・70・・を形成することによって、コア部材101・102・・116にて、それぞれ位相がずれたコギングトルク波形が発生する。より詳細には、コア部材101とコア部材109、コア部材102とコア部材110、・・、コア部材109とコア部材116にて、相互に逆位相となると共に振幅が一致するコギングトルク波形が発生する。そして、これらの位相がずれたコギングトルク波形が相互に合成されることによって打ち消しあって、コア部材101・102・・116(積層コア53)全体としてコギングトルクが低減するのである。なお、本実施形態では、上述の如く、積層コア53の上側半分と下側半分と(すなわち、コア部材101から108と、コア部材109から116と)のコギングトルク波形が相互に合成されることによって打ち消しあうように構成される。
このように、積層コア53にスキュー70・70・・を形成することによって、コギングトルクを低減させることができる。
【0035】
次に、界磁部20の構成について、図7を用いて詳細に説明する。
図7は、界磁部20の構成を示した一部拡大図である。
【0036】
界磁部20は、上述の如く、複数のマグネット21を周方向に配置して環状に形成される。本実施形態では、マグネット21として希土類磁石が用いられる。界磁部20は、第一界磁部20aと、第二界磁部20bと、により構成される。
【0037】
第一界磁部20aは、複数のマグネット21aを周方向に配置して環状に形成される。マグネット21aは、その板面をケース10における内径方向及び外径方向へ向けた略湾曲板状に形成される。マグネット21aは、それぞれ同一形状のものが複数(本実施形態では、4つ)設けられる。マグネット21a・21a・・は、ケース10の内周面に固着される。マグネット21a・21a・・は、周方向に均等に配置され、全体として筒心(軸)方向を上下方向へ向けた略円筒形状に形成される。第一界磁部20aの上側端部は、積層コア53の上側端部よりも下方に形成される。
【0038】
第二界磁部20bは、第一界磁部20aと同一形状であって、当該第一界磁部20aの軸方向の下側に離間して配置される。
【0039】
より詳細には、第二界磁部20bは、マグネット21aと同一形状である複数のマグネット21bを周方向に配置して環状に形成される。マグネット21bは、その板面をケース10における内径方向及び外径方向へ向けた略湾曲板状に形成される。マグネット21bは、それぞれ同一形状のものが複数(本実施形態では、4つ)設けられる。マグネット21b・21b・・は、ケース10の内周面に固着される。マグネット21b・21b・・は、周方向に均等に配置され、全体として筒心方向を上下方向へ向けた略円筒形状に形成される。第二界磁部20bの下側端部は、積層コア53の下側端部よりも上方に形成される。
【0040】
このように、界磁部20(第一界磁部20a及び第二界磁部20b)は、軸方向の長さ(第一界磁部20aの上側端部から第二界磁部20bの下側端部までの長さ)が、積層コア53の軸方向の長さ(積層コア53の上側端部から下側端部までの長さ)よりも短く形成される。
【0041】
そして、第一界磁部20a及び第二界磁部20bは、以下の数式(1)及び数式(2)を満たすように形成される。
【0042】
(数1)
Lm<Lc/2
【0043】
ここで、前記「Lm」は、第一界磁部20a及び第二界磁部20bのそれぞれの軸方向の長さを指すものである。また、前記「Lc」は、積層コア53の軸方向の長さを指すものである。
【0044】
(数2)
la=2×lo
【0045】
ここで、前記「la」は、第一界磁部20aと第二界磁部20bとの間の軸方向の長さを指すものである。また、前記「lo」は、積層コア53の上側端部(一側端部)から第一界磁部20aの上側端部(一側端部)までの軸方向の長さ、及び積層コア53の下側端部(他側端部)から第二界磁部20bの下側端部(他側端部)までの軸方向の長さを指すものである。
【0046】
以下では、第一界磁部20a及び第二界磁部20bが上記数式(1)及び数式(2)を満たすことによって奏する効果について、図8及び図9を用いて説明する。
図8は、界磁部20及び従来の界磁部120の構成と積層コア53の表面の磁束分布との関係を示した表である。また、図9は、界磁部20(第一界磁部20a及び第二界磁部20b)の磁束分布が不均一な場合のコア部材101・102・・116のコギングトルク波形を示したグラフである。
【0047】
図8に示すように、従来の界磁部120の構成(上記数式(1)及び数式(2)を満たさないような構成)によれば、積層コア53の表面の磁束密度が、当該積層コア53の上側半分と下側半分との対応する箇所で一致していない。ここで、前記「積層コア53の上側半分と下側半分との対応する箇所」とは、界磁部120の磁束分布が均一な場合であれば、相互に合成されることによって打ち消しあうこととなるコギングトルク波形が生じる箇所を指すものである。したがって、かかる場合には、前記積層コア53の上側半分と下側半分との対応する箇所において、コギングトルク波形が変化して、相互に逆位相となると共に振幅が一致する関係とはならない。その結果、界磁部120の磁束分布によりスキュー70・70・・による効果が低減することとなる(コギングトルクを低減させることができない)。
【0048】
これに対して、図8に示すように、界磁部20(第一界磁部20a及び第二界磁部20b)の構成(上記数式(1)及び数式(2)を満たすような構成)によれば、積層コア53の表面の磁束密度が、当該積層コア53の上側半分と下側半分との対応する箇所で一致している。したがって、かかる場合には、前記積層コア53の上側半分と下側半分との対応する箇所において、コギングトルク波形が変化したとしても、図9に示すように、相互に逆位相となると共に振幅が一致する関係が維持されている。その結果、界磁部20(第一界磁部20a及び第二界磁部20b)の磁束分布によりスキュー70・70・・による効果が低減することを防止することができる(コギングトルクを低減させることができる)。
【0049】
以上のように、本発明の一実施形態に係るモータ1は、
環状に形成される界磁部20と、
前記界磁部20の内側に対向して配置され、コア部材100(磁性板材)を積み重ねて形成され、当該界磁部20と同軸上を周方向に回転可能に支持される積層コア53と、
を具備し、
前記積層コア53に軸方向の一端から他端に行くに従って周方向に傾斜するスキュー70・70・・が形成されるモータであって、
前記界磁部20が、軸方向の上側(一側)に配置される第一界磁部20aと、前記第一界磁部20aと同一形状であって当該第一界磁部20aの軸方向の下側(他側)に離間して配置される第二界磁部20bと、により形成され、
前記第一界磁部20aと前記第二界磁部20bとは、以下の数式(1)及び(2)を満たすものである。
数式(1)・・Lm(第一界磁部20a及び第二界磁部20bのそれぞれの軸方向の長さ)<Lc(積層コア53の軸方向の長さ)/2
数式(2)・・la(第一界磁部20aと第二界磁部20bとの間の軸方向の長さ)=2×lo(積層コア53の一側端部から第一界磁部20aの一側端部までの軸方向の長さ、及び積層コア53の他側端部から第二界磁部20bの他側端部までの軸方向の長さ)
【0050】
このような構成により、界磁部20(第一界磁部20a及び第二界磁部20b)を小さく(軸方向の長さを積層コア53よりも短く)形成した場合であっても、前記界磁部20(第一界磁部20a及び第二界磁部20b)の磁束分布を均一化することによりスキュー70・70・・による効果が低減することを防止することができる。これによって、界磁部20を小さく形成することができるので、生産コストを抑制することができる。
【0051】
また、前記界磁部20として希土類磁石を用いるものである。
【0052】
このような構成により、界磁部20(第一界磁部20a及び第二界磁部20b)を小さく(軸方向の長さを積層コア53よりも短く)形成するので、前記界磁部20(第一界磁部20a及び第二界磁部20b)として一般的に高価である希土類磁石を用いた場合であっても、生産コストを抑制することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 モータ
20 界磁部
20a 第一界磁部
20b 第二界磁部
53 積層コア
70 スキュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に形成される界磁部と、
前記界磁部の内側に対向して配置され、磁性板材を積み重ねて形成され、当該界磁部と同軸上を周方向に回転可能に支持される積層コアと、
を具備し、
前記積層コアに軸方向の一端から他端に行くに従って周方向に傾斜するスキューが形成されるモータであって、
前記界磁部が、軸方向の一側に配置される第一界磁部と、前記第一界磁部と同一形状であって当該第一界磁部の軸方向の他側に離間して配置される第二界磁部と、により形成され、
前記第一界磁部と前記第二界磁部とは、以下の数式(1)及び(2)を満たす、
ことを特徴とするモータ。
数式(1)・・Lm(第一界磁部及び第二界磁部のそれぞれの軸方向の長さ)<Lc(積層コアの軸方向の長さ)/2
数式(2)・・la(第一界磁部と第二界磁部との間の軸方向の長さ)=2×lo(積層コアの一側端部から第一界磁部の一側端部までの軸方向の長さ、及び積層コアの他側端部から第二界磁部の他側端部までの軸方向の長さ)
【請求項2】
前記界磁部として希土類磁石を用いる、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−99111(P2013−99111A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239600(P2011−239600)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000207791)大豊工業株式会社 (152)
【Fターム(参考)】