説明

モールド金型及びこれを用いた樹脂モールド装置

【課題】ワークの厚みにばらつきが大きい場合にも、型締めバランスが安定し、フラッシュばりの生じない成形品質の高い薄型パッケージを量産できるモールド金型を提供する。
【解決手段】他方の金型3には、一方の金型2の可動クランパ6とワーク支持部14に載置されたワークWをクランプする際に、ワーク支持部14によりワーク板厚のばらつきを吸収して可動クランパ6に押し当てるくさび機構16が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークをクランプして樹脂モールドするモールド金型及びこれを用いた樹脂モールド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、薄型の半導体装置を樹脂封止する場合、パッケージ部の厚さ寸法を狙い通りの厚さで成形し樹脂の未充填領域がない薄型パッケージを量産できるトランスファ成形装置をすでに提案した。
【0003】
具体的には、モールド金型に搬入されたワークをキャビティ駒が成形品の厚さ寸法より所定厚だけ後退した退避位置を保ったままクランパによりクランプし、該クランパがワークをクランプしたままプランジャを作動させてキャビティ凹部内へ溶融樹脂を充填して第1保圧を維持する。樹脂充填後、キャビティ駒を成形品の厚さ寸法に対応する成形位置までキャビティ凹部内へさらに押し出して当該キャビティ凹部内の余剰樹脂をゲートからポット側へ押し戻すことにより、狙い通りの成形品の厚さ寸法に合わせた樹脂量に調節する。また、プランジャを再度作動させて第1保圧より高い第2保圧を維持したまま封止樹脂を加熱硬化させる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−190400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1で用いられるモールド金型は、上型インサートが可動に設けられた上型とワーク(基板など)を載置するリジッド構造の下型とでワークをクランプするようになっているため、例えばワークが単層基板のように厚みのばらつきが小さい場合には問題はないが、多層基板のように厚みのバラツキが大きい場合には、クランパと基板とのクランプ力にばらつきが生じて、モールド樹脂のフラッシュばりが発生してしまい、成形品質が低下するおそれがあった。また、成形厚がワークの厚みの影響を受けてしまい、成形厚を均一に成形することが困難となる場合があった。
【0006】
本発明は上記従来技術の課題を解決し、ワークの厚みにばらつきが大きい場合にも、型締めバランスが安定し、フラッシュばりの生じない成形品質の高い薄型パッケージを量産できるモールド金型及びこれを用いて成形品質を高めた樹脂モールド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
即ち、一方の金型チェイスに支持されキャビティ底部を形成するキャビティ駒と、該キャビティ駒を囲んで配置され、前記チェイスより可動可能に支持された可動クランパによりキャビティ凹部が形成される一方の金型と、他方の金型チェイスに付勢支持され前記ワークが載置されるワーク支持部と、前記ワーク支持部に隣接するセンターインサートを備えた他方の金型と、前記一方の金型又は他方の金型のいずれかに組み付けられモールド樹脂を供給するポットと、を具備し、前記他方の金型には、前記一方の金型の可動クランパと前記ワーク支持部に載置されたワークをクランプする際に、前記ワーク支持部によりワーク板厚のばらつきを吸収して前記可動クランパに押し当てる板厚調整機構が設けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、ワーク支持部によりワーク板厚のばらつきを吸収してクランパに押し当てる板厚調整機構が設けられているので、成形厚がワークの厚みのばらつきによる影響を受けず、板厚がばらつく樹脂基板のようなワークであっても成形厚を均一に成形することができる。
【0008】
また、本発明によれば、前記一方の金型チェイスには、前記キャビティ駒が支持固定され、これを囲む前記可動クランパは第1弾性部材を介して支持されているのが好ましい。
これにより、キャビティ底部を形成するキャビティ駒の高さ方向の位置は変位させず他方の金型の変位量のみによってワーク上の間隔を確実に制御できるので、成形厚を高精度に維持することができる。
【0009】
また、本発明によれば、前記可動クランパを支持する第1弾性部材は、前記板厚調整機構に備えた前記ワーク支持部を付勢する第2弾性部材より弾性力が大きいものが用いられるのが望ましい。
これにより、一方の金型と他方の金型とでワークをクランプする際に可動クランパを支持する第1弾性部材を撓ませることなくワークの板厚に応じて第2弾性部材のみを撓ませてクランプするので、ワークの板厚に拘わらず均一な高さ位置でクランプすることができる。
また、可動クランパによるワークに対するクランプ力を作用し続けることができるため、モールド樹脂のフラッシュばりを防ぐことができる。
【0010】
また、本発明によれば、前記ワーク支持部と前記他方の金型チェイスとの間には、前記ワーク支持部を所定の高さで支持固定するくさび機構を備えていることが好ましい。
これにより、可動クランパによってワーク支持部が押し下げられてもくさび機構で所定高さに支持固定することができるので、可動クランパによりワーク支持部が過度に押し下げられないようにして成形厚を維持することができる。
【0011】
また、本発明によれば、前記キャビティ凹部及び板厚保調整機構は、前記センターインサートの両側に各々設けられていてもよい。
これにより、複数のワークの板厚に差があったとしても、ワークの基板上面を均一な高さにすることができ、モールド樹脂のフラッシュばりを防ぎながら成形厚を均一にすることができる。
【0012】
また、本発明によれば、前記一方の金型には、前記キャビティ駒の高さを調整するキャビティ駒調整機構を備えていてもよい。
これにより、製品に応じてキャビティ駒の昇降量によって成形厚を調整することができる。また、キャビティ駒調整機構はキャビティ駒の高さ位置を剛体的に固定可能であり、キャビティ駒の高さ方向における位置精度を維持することができ、成形厚を精度よく成形できる。
【0013】
また、本発明によれば、前記一方の金型には、金型チェイスにクランパを支持固定し、駆動源によりくさびブロックを移動させて当接する前記キャビティ駒の高さを調整するくさび機構が設けられていてもよい。
これにより、キャビティ駒をくさびブロックで支持しつつ昇降させるので、キャビティ駒の昇降が容易に行え、しかもキャビティ駒の高さ方向における位置精度を維持しながら成形厚を精度よく変更することができる。
【0014】
また、本発明によれば、前記一方の金型に形成されるキャビティ凹部を含む金型面にリリースフィルムが張設されていることが望ましい。
これにより、可動クランパとキャビティ駒の隙間に樹脂が入り込むのを防いで、成形厚の調整が容易に行えるうえに樹脂汚れに対するメンテナンスの負担を軽減することができる。
【0015】
また、本発明によれば、前記ワークを前記キャビティ駒が成形品の厚さ寸法より所定厚だけ後退した退避位置となるように可動クランパによりクランプして、ポット内の溶融樹脂をキャビティへ圧送りして充填し、再度モールド金型の更なるクランプ動作により前記キャビティ駒の前記可動クランパにクランプ面に対する相対的位置が所定深さまで浅くなるように移動させて余剰樹脂をポット側に流出させて加熱硬化させることが望ましい。
これにより、成形厚が薄い製品に対しても、キャビティ内に円滑に溶融樹脂を充填することができ、樹脂充填後に所定厚までキャビティ駒をクランプして余剰樹脂を流出させるので、成形品質を向上させることができる。
また、ポットへ流出させた余剰樹脂は、プランジャを押し下げる動作により収容することができるため、余剰樹脂を受け入れるための格別な構造は不要となるため、モールド金型の構造を簡素化することができる。
【0016】
また、本発明によれば、前記ポットに対向配置された金型カルに可動ピストンが進退動可能に設けられており、前記ピストンをクランプ面より退避させて前記余剰樹脂を収容するようにしてもよい。
これにより、ポット側に流出した余剰樹脂が可動ピストンを退避させて収容されポット側に戻される余剰樹脂量を減らせるので、成形品カルを金型より取り外し易くなる。
【0017】
また、本発明によれば、前記可動クランパのクランプ面にはオーバーフローキャビティが設けられており、前記余剰樹脂が前記キャビティより前記オーバーフローキャビティへ収容するようにしてもよい。
これにより、エアベントが設けられる可動クランパのクランプ面に設けられるオーバーフローキャビティに余剰樹脂を収容するので、ポット側に流出する余剰樹脂が少なく成形品カルの厚みを薄くできるので、成形時間を短縮することができる。
【0018】
また、前述したいずれかのモールド金型を備えた樹脂モールド装置においては、板厚のばらつきを吸収しつつ、成形品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
上記モールド金型を用いれば、ワークの厚みにばらつきが大きい場合にも、型締めバランスが安定し、フラッシュばりの生じない成形品質の高い薄型パッケージを量産できるモールド金型を提供することができる。
また、上記モールド金型を用いた樹脂モールド装置においては、成形品質を高めた樹脂モールド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1に係るモールド金型の成形動作を説明する金型断面図である。
【図2】実施例1に係るモールド金型の成形動作を説明する金型断面図である。
【図3】実施例1に係るモールド金型の成形動作を説明する金型断面図である。
【図4】実施例2に係るモールド金型の成形動作を説明する金型断面図である。
【図5】実施例3に係るモールド金型の成形動作を説明する金型断面図である。
【図6】実施例4に係るモールド金型の成形動作を説明する金型断面図である。
【図7】実施例4に係るモールド金型の成形動作を説明する金型断面図である。
【図8】他例に係るモールド金型の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るモールド金型及びこれを用いた樹脂モールド装置の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。以下の実施形態では、上型側にキャビティ凹部が形成され下型側にポットが形成されるモールド金型を用いたトランスファ成形装置を例示して説明する。また、トランスファ成形装置では、下型を可動型とし上型を固定型として説明する。
【0022】
[実施例1]
先ず、図1においてトランスファ成形装置の概略構成について説明する。モールド金型1は上型2と下型3を備えている。
上型2の構成について説明する。上型2は上型チェイスブロック4にキャビティ底部を形成するキャビティ駒5が固定されている。これにより、キャビティ底部を形成するキャビティ駒5の高さ方向の位置は変位させず下型3の変位量のみによってワークW上の間隔を確実に制御できるので、成形厚を高精度に維持することができる。この場合、キャビティ駒5は、剛体的に支持する他のブロックを介して上型チェイスブロック4に位置決めされる構成としてもよい。キャビティ駒5は、ワークWに行列状に配置されワイヤボンドされた複数の半導体チップTの配置領域よりも平面視面積が大きく成形されている。このため、このモールド金型1では、複数の半導体チップTを一括封止するマップタイプの成形が可能になっている。このようなマップタイプの成形により一括封止された半導体チップTのパッケージ領域毎に公知のダイサー等によって個片化することにより半導体装置が製造される。なお、車載用パッケージのように大型のものでは複数の半導体チップTが実装されたワークWを一括封止し、個片化せずに製品とする構成で用いることもできる。
【0023】
また、キャビティ駒5の周囲には、ワークWをクランプする可動クランパ6が第一スプリング7を介して吊下げ支持(フローティング支持)されている。可動クランパ6には、一枚の板状金型にキャビティ駒5を挿入する貫通孔が複数箇所に設けられている。可動クランパ6のクランプ面には、中央部には上型カル6a、上型ランナゲート6bが形成されている。上記キャビティ駒5及びこれを囲んで配置される可動クランパ6によりキャビティ凹部6cが形成される。
【0024】
キャビティ凹部6cを含む上型クランプ面にはリリースフィルム8が張設される。リリースフィルム8は上型クランプ面にキャビティ駒6と可動クランパ6の隙間を利用した公知の吸引機構により吸着保持されるようになっている。リリースフィルム8としては、モールド金型1の加熱温度に耐えられる耐熱性を有するもので、金型面より容易に剥離するものであって、柔軟性、伸展性を有するフィルム材、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。リリースフィルム8は、例えば長尺状のフィルム材が用いられ、ロール状に巻き取られた繰出しロールから引き出されて上型クランプ面を通過して巻取りロールへ巻き取られるように設けられる。リリースフィルム8を用いることでモールド金型1にエジェクタピンを設ける必要がなくなる。また、キャビティ駒5と可動クランパ6の隙間からの樹脂漏れを防止でき、金型の加工精度を必要以上に高めることもないため、モールド金型1を安価に製造することができる。
【0025】
次に下型3の構成について説明する。下型3は、駆動源(電動モータ)により駆動する駆動伝達機構(トグルリンク等のリンク機構若しくはねじ軸等)を介して下型チェイスブロック9を載置する下型可動プラテンを昇降させる公知の型締め機構によって型開閉が行われるようになっている。この場合、下型3の昇降動作は移動速度や加圧力等を任意に設定することができ、後述する余剰樹脂をゲートから押し戻す動作においてモールド樹脂の流動速度や樹脂圧力を任意に設定することができる。このため、型締め機構によってこれらを制御も可能となるため、装置構成を簡素化することができる。
【0026】
下型チェイスブロック9には、下型センターインサート10が組み付けられている。下型センターインサート10の中央部にはモールド樹脂(樹脂タブレット12)が装填される筒状のポット11が組み付けられている。下型センターインサート10の上端面は、ポット11の上端面と面一か若干高くなるように形成されている。ポット11内には公知のトランスファ駆動機構により上下動するプランジャ13が設けられている。プランジャ13は、複数のポット11に対応して複数本が支持ブロック(図示しない)に設けられるマルチプランジャが用いられる。各プランジャ13の支持部には図示しない弾性部材が設けられており、各プランジャ13は弾性部材の弾性により僅かに変位して過剰な押圧力を逃がすとともに保圧時にはタブレットの樹脂量のばらつきに順応することができるようになっている。
【0027】
下型チェイスブロック9の上面には下型センターインサート10の両側に隣接してワークWが載置されるワーク支持部14が各々設けられている。ワークWは、片面に半導体チップが実装された片面モールド用の製品が用いられる。各ワーク支持部14は、下型チェイスブロック9の上面との間に設けられた第二スプリング15によってフローティング支持されている。尚、可動クランパ6を吊り下げ支持する第一スプリング7の弾性力が、第二スプリング15の弾性力より大きいものが使用される。具体的には、各ワークW及びワーク支持部14に対して第一スプリング7によって加えられる力が第二スプリング15によって加えられる力よりも十分に大きくなるように設計される。これにより、型閉じの際に下型3を上昇させることで第一スプリング7を撓ませず第二スプリング15を撓ませることができ、クランプするときにワークWの板厚に拘わらず均一な高さ位置でクランプすることができる。また、可動クランパ6によるワークWに対するクランプ力を作用し続けることができるため、モールド樹脂のフラッシュばりを防ぐことができる。
【0028】
また、第二スプリング15に支持されたワーク支持部14と下型チェイスブロック9との間には、界面がテーパー面(傾斜面)に形成された板厚調整ブロック(テーパーブロック)16a,16bが重ね合わせて設けられている。換言すれば、板厚調整ブロック16a,16bは、紙面奥行き方向に厚みの異なるブロックを組み合せることで、全体の厚みが奥行き方向に均一になるように構成されている。この上下段に重ね合わせた板厚調整ブロック16a,16bのち一方がエアシリンダ、モータ等の駆動源によりスライド可能な可動構造になっている(くさび機構16;板厚調整機構)。
【0029】
このように傾斜面を組み合わせた板厚調整ブロック16a,16bをスライドすることでこれら全体の厚みを変え板厚調整ブロック16a,16bの界面における摩擦力により位置を固定する構成となっているため、樹脂圧などが駆動源に対して直接加わることがなく、駆動源によってブレーキなどで位置を固定する構成と比較して、ワーク支持部14の位置をより高精度に維持することができる。ただし、板厚調整機構としては、くさび機構16を用いない構成を採用してもよく、第二スプリング15に相当する弾性部材や、その他の駆動源(エアやオイルによるシリンダ又はサーボモータ等)やこれらを組み合わせた構成によってワーク支持部14を支持して位置を調整する構成を採用することもできる。また、階段状に段差が形成された板厚調整ブロックの段差面をかみ合わせることで板厚調整を行ってもよい。
【0030】
これにより、下型3を上昇させることで可動クランパ6によってワーク支持部14を押し下げる力が加わってもくさび機構16で所定高さに支持固定することができるので、可動クランパ6によりワーク支持部14が過度に押し下げられないようにして成形厚を維持することができる。
尚、上段の板厚調整ブロック16aは、ワーク支持部14の下面側に一体に設けてもよい。この場合には、下段の板厚調整ブロック16bが可動に設けられる。
【0031】
また、ワーク支持部14に隣接してその外周側には、クランパ支持部17が下型チェイスブロック9上に設けられている。クランパ支持部17の上端面は、下型センターインサート10の上端面と同じ高さになるように形成されている。
可動クランパ6がワークWをクランプしたままワーク支持部14を第二スプリング15の付勢力に抗して押し下げると、可動クランパ6のクランプ面がクランパ支持部17の上端面に突き当たるようになっている。
【0032】
ここで、上記トランスファ成形装置を用いた樹脂モールド動作について図1乃至図3を参照しながら説明する。
図1(A)は、モールド金型1が型開きした状態を示す。
上型クランプ面には、リリースフィルム8が吸着保持されている。また、下型センターインサート10の両側に配置されたワーク支持部14にはワークWがそれぞれ搬入され、ポット11にモールド樹脂(樹脂タブレット12)が供給される。ワーク支持部14は、その周囲に設けられた下型センターインサート10及びクランパ支持部17の上端面より若干下がった位置にある。この際に、ワークWは下型センターインサート10側に押し付けるように搬入されることで位置決めされる。また、ワーク支持部14上のワークWの基板上面は下型センターインサート10及びクランパ支持部17の上端面より若干上方になるように載置されている。
【0033】
図1(B)は、下型3を上昇させて、可動クランパ6によりワークWの基板面をクランプしてワーク支持部14を押し下げ、可動クランパ6がクランパ支持部17に突き当たった状態を示す。このとき、ワークWの基板上面と下型センターインサート10及びクランパ支持部17の上端面は面一となるように板厚差が吸収されてクランプされる。この際に、同図に示すように下型センターインサート10の両側に搬入されたワークWの板厚に差があったとしても、ワークWの基板上面を均一な高さにすることができ、モールド樹脂のフラッシュばりを防ぎながら成形厚を均一にすることができる。尚、くさび機構16の上段の板厚調整ブロック16aとワーク支持部14のとの間に隙間があってもよい。
【0034】
次いで、図2(A)に示すように、ワークWを支持するワーク支持部14の高さ位置を調整してワーク板厚のばらつきを吸収して可動クランパ6に押し当てる。具体的には、図示しない駆動源(エアシリンダ等)を作動させて、例えば下段の板厚調整ブロック16bを所定量前進若しくは進退させて上段の板厚調整ブロック16aをワーク支持部14に下面に密着させて固定する。
このとき、キャビティ駒5の可動クランパ6に対する相対的位置が成形品の厚さ寸法より所定厚だけ後退した退避位置となるように可動クランパ6によってワークWをクランプしている。
【0035】
次いで、図2(B)に示すように、可動クランパ6がワークWをクランプしたままプランジャ13を上昇させて、ポット11内で溶融した溶融樹脂(モールド樹脂)12を、上型カル6a及び上型ランナゲート6bを経てキャビティ凹部6c内へ充填する。このとき、ワークWに搭載された半導体チップTの上部に形成される隙間が大きいため、溶融樹脂の流速が抑えられ、低速低圧で樹脂が充填される。このため、充填時の樹脂の流動速度が高いと発生しやすくなるワイヤフローを防止して高品質な成形が可能となっている。
【0036】
樹脂充填後、図3に示すように、下型3を更に上昇させてクランプ動作を進行させると、下型センターインサート10及びクランパ支持部17によって可動クランパ6が第一スプリング7を押し縮めてキャビティ駒5の可動クランパ6に対する相対的位置が成形品の厚さ寸法に対応する成形位置となるようにキャビティ凹部6c内の余剰樹脂をゲートからポット11側へ押し戻す。このとき、ワーク支持部14は、くさび機構16の上段の板厚保調整ブロック16aに押し当てられているので、樹脂圧が上昇してもワーク支持部14が押し下げられることはない。ポット11側に押し戻された余剰樹脂は、プランジャ13を押し下げることで収容される。
【0037】
また、下型センターインサート10及びクランパ支持部17によって第一スプリング7を押し縮める力が加えられるため、例えばクランパ支持部17を用いずにワークWによって第一スプリング7を押し縮める力を加える構成と比較して、ワークWに対して加わるクランプ力を必要以上に大きくすることなく、ワークWの破損等を防止しながら成形が可能となる。
【0038】
具体的には、キャビティ駒5下面と半導体チップT上面の隙間は下型3の高さに比例して増減するため、最終的な成形厚となるまで下型3を上昇させたときには第一スプリング7が押し縮められる量も増加し加圧力も大きくなる。このように、成形厚によって変化する第一スプリング7による加圧力の影響により、薄く脆性なワークW(基板)などでは破損するおそれもある。これに対して、ワークWに替えてクランパ支持部17によって第一スプリング7による加圧力を受ける構成となっているため、余剰樹脂をゲートから押し戻す動作の際にワークWが破損するような事態は確実に防止される。このため、例えばより確実な充填のために加圧力を増加させたときでも、ワークWの破損を確実に防止することができる。
また、キャビティ内を保圧するため必要に応じてプランジャ13を再度上昇させながら溶融樹脂を加熱硬化させる。
【0039】
上記樹脂モールド動作によれば、板厚調整機構によってワークWの板厚のばらつきによる影響を受けることなく均一な成形厚で成形することができる。また、成形厚が薄い製品に対しても、キャビティ内に円滑に溶融樹脂を充填することができ、樹脂充填後に所定厚までキャビティ駒5をクランプして余剰樹脂を流出させるので、成形品質を向上させることができる。
また、ポット11へ流出させた余剰樹脂は、プランジャ13を押し下げる動作により収容することができるため、余剰樹脂を受け入れるための格別な構造は不要となるため、モールド金型1の構造を簡素化することができる。
【0040】
[実施例2]
次にモールド金型の他例について、樹脂モールド動作とともに説明する。上述した実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとし、異なる構成を中心に説明するものとする。
図4(A)に示すように、可動クランパ6のクランプ面にはオーバーフローキャビティ18が設けられている。樹脂モールド動作の図1及び図2(A)のワーククランプ動作までは実施例1と共通であるので省略する。
【0041】
図4(A)に示すように、可動クランパ6がワークWをクランプしたままプランジャ13を上昇させて、ポット11内で溶融した溶融樹脂(モールド樹脂)12を、上型カル6a及び上型ランナゲート6bを経てキャビティ凹部6c内へ充填する。
【0042】
樹脂充填後、図4(B)に示すように、下型3を更に上昇させてクランプ動作を進行させると、クランパ支持部17、ワークWによって可動クランパ6が第一スプリング7を押し縮めてキャビティ駒5の可動クランパ6に対する相対的位置が成形品の厚さ寸法に対応する成形位置となるようにキャビティ凹部6c内の余剰樹脂をゲートからポット11側へ押し戻す。この際に、ポット11側に押し戻された余剰樹脂は一部を除いてプランジャ13を押し下げることで収容される。一方、余剰樹脂の残りの部分はキャビティよりオーバーフローキャビティ18へ流出させて収容される。なお、キャビティとオーバーフローキャビティ18の間のゲート深さをある程度浅く成形することにより、キャビティ凹部6c内への溶融樹脂12の充填時にはオーバーフローキャビティ18に流すことなく、キャビティ凹部6c内の余剰樹脂を押し出す際の樹脂圧が高いときにのみ樹脂を流すことが可能である。
【0043】
これにより、エアベントが設けられる可動クランパ6のクランプ面に設けられるオーバーフローキャビティ18に余剰樹脂を収容するので、ポット11側に流出する余剰樹脂が少なく成形品カルの厚みを薄くできるので、カルでの樹脂の硬化時間を短くすることができ成形時間を短縮することができる。また、ポット11内に戻される余剰樹脂量を減らせるので、成形品カルを金型より取り外し易くなる。
【0044】
[実施例3]
次にモールド金型の他例について、樹脂モールド動作とともに説明する。上述した実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとし、異なる構成を中心に説明するものとする。
図5(A)に示すように、ポット11に対向配置された上型カル6aに可動ピストン19が可動クランパ6との間に設けられた第三スプリング20によって進退動可能に設けられている。第三スプリング20の弾性力は少なくともプランジャ13の上昇による樹脂圧よりも大きいものであれば足りる。また、後述するように、余剰樹脂の樹脂圧によって第三スプリング20の付勢力に抗して可動ピストン19をクランプ面より退避させて余剰樹脂を流入させるようになっている。樹脂モールド動作の図1及び図2(A)のワーククランプ動作までは実施例1と共通であるので省略する。
【0045】
図5(A)に示すように、可動クランパ6がワークWをクランプしたままプランジャ13を上昇させて、ポット11内で溶融した溶融樹脂(モールド樹脂)12を、上型カル6a及び上型ランナゲート6bを経てキャビティ凹部6c内へ充填する。
【0046】
樹脂充填後、図5(B)に示すように、下型3を更に上昇させてクランプ動作を進行させると、クランパ支持部17、ワークWによって可動クランパ6が第一スプリング7を押し縮めてキャビティ駒5の可動クランパ6に対する相対的位置が成形品の厚さ寸法に対応する成形位置となるようにキャビティ凹部6c内の余剰樹脂をゲートからポット11側へ押し戻す。余剰樹脂はポット11側へ戻る際に、第三スプリング20の付勢力に抗して可動ピストン19をクランプ面より退避させて余剰樹脂が流入する。また、ポット11側に押し戻された余剰樹脂は、プランジャ13を押し下げることで収容される。
【0047】
これにより、ポット11側に流出した余剰樹脂が可動ピストン19を退避させて収容されるので、ポット11内に戻される余剰樹脂量を減らせるので、成形品カルを金型より取り外し易くなる。
【0048】
[実施例4]
次にモールド金型の他例について、樹脂モールド動作とともに説明する。上述した実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとし、異なる構成を中心に説明するものとする。
図6に示すように、上型2には、くさび機構16と同様の構成を有してキャビティ駒5の高さを調整するキャビティ駒調整機構21を備えていてもよい。キャビティ駒5は、上型チェイスブロック4にスプリング22を介して吊り下げ支持されている。また、上型チェイスブロック4にはウェッジ機構を利用したキャビティ駒調整機構21がキャビティ駒5との間に設けられている。テーパーブロック21a,21bのスライド位置を調整することにより、キャビティ駒5の高さ位置が規制されるため、成形厚を調整することができる。この場合、キャビティ駒調整機構21の調整は、リリースフィルム8を上型クランプ面に吸着保持する前に調整しておくことによりたるみなどが生じにくいため望ましい。なお、ワークWの搬入を含む樹脂モールド動作は実施例1と共通であるので省略する。
【0049】
これにより、製品に応じてキャビティ駒の昇降量によって成形厚を調整することができる。また、テーパーブロック21a,21bを所定のスライド位置で固定しているためキャビティ駒5の高さ位置を剛体的に固定可能であり、キャビティ駒5の高さ方向における位置精度を維持することができ、成形厚を精度よく成形できる。
【0050】
[実施例5]
次にモールド金型の他例について、樹脂モールド動作とともに説明する。上述した実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとし、異なる構成を中心に説明するものとする。
図7(A)に示すように、上型2には、電動モータ(駆動源)22によりキャビティ駒5の高さを調整するくさび機構23が設けられている。また、上型チェイスブロック4に対してクランパ6´が固定支持されており、キャビティ駒5が可動に支持されている点が異なる。
【0051】
具体的には、上型チェイスブロック4の側面には電動モータ22が組み付けられており、そのモータ軸であるねじ軸22aは、くさびブロック23aにねじ嵌合している。くさびブロック22aは上型チェイスブロック4の底部をスライド可能に組み付けられており、そのキャビティ駒5との当接面はテーパー面に形成されている。電動モータ22を所定方向に回転駆動すると、くさびブロック22aが所定方向にスライドして、キャビティ駒5の高さ位置を変更することができる。
尚、テーパー面の傾き方向は右下がりではなく左下がりになっていてもよい。また、キャビティ駒5は上型チェイスブロック4に対してスプリング21により吊り下げ支持されている。樹脂モールド動作の図1及び図2(A)のワーククランプ動作までは実施例1と共通であるので省略する。
【0052】
次いで、図7(A)に示すように、クランパ6´がワークWをクランプしたままプランジャ13を上昇させて、ポット11内で溶融した溶融樹脂(モールド樹脂)12を、上型カル6a及び上型ランナゲート6bを経てキャビティ凹部6c内へ充填する。このとき、キャビティ駒5が予め上方に退避した退避位置にありワークWに搭載された半導体チップTの上部に形成される隙間が大きいため、溶融樹脂の流速が抑えられ、低速低圧で樹脂が充填される。
【0053】
樹脂充填後、図7(B)に示すように、クランパ支持部17、ワークWがクランパ6に突き当たったまま、電動モータ22を作動させてくさびブロック23aによりキャビティ駒5を成形品の厚さ寸法に対応する成形位置となるように押し下げて、キャビティ凹部6c内の余剰樹脂をゲートからポット11側へ押し戻す。このとき、ワーク支持部14は、くさび機構16の上段の板厚保調整ブロック16aに押し当てられているので、樹脂圧が上昇してもワーク支持部14が押し下げられることはない。また、キャビティ駒5は、くさび機構23のくさびブロック23aに押し当てられているのでキャビティ駒5も押し上げられることはない。ポット11側に押し戻された余剰樹脂は、プランジャ13を押し下げることで収容される。
【0054】
このような構成においても、上述の実施例と同様な構成については同様な作用効果を奏することができるほか、キャビティ駒5をくさび機構23で支持しつつ昇降させるので、キャビティ駒5の昇降が容易に行え、しかも成形厚を精度よく変更することができる。
【0055】
次に、モールド金型1の変形例について図8を参照して説明する。
キャビティ凹部6cを形成するキャビティ駒5若しくはクランパ6のいずれかが可動になっているモールド金型1においては、クランプ面にリリースフィルム8を吸着保持させる場合、キャビティ凹部6cのコーナー部におけるフィルムの伸びが大きくなりフィルム破れが発生する場合がある。以下では、これを防ぐためのモールド金型1の構成例について説明する。
【0056】
図8(A)において、キャビティ凹部6cは、キャビティ駒5の底面5a、該キャビティ駒5の底面5aと可動クランパ6の拡径孔6dとの間の貫通孔6eの内壁面の一部をなす孔壁面6fおよび拡径孔6dの内壁面6gをキャビティ側面とする空間で形成されている。また、貫通孔6eの内壁面とキャビティ駒5の外壁面との間に吸引孔25が形成されている。吸引孔25は、キャビティ凹部6cに連通していて、図示しない吸引装置によりキャビティ凹部6c内の空気を吸引することにより、キャビティ凹部6cに沿って供給されるリリースフィルム8をキャビティ凹部6c面に吸着する。
【0057】
キャビティ駒5の底面5aの周縁部に、キャビティ凹部6cの深さを浅くする突周部5bが形成されている。突周部5bの下面は平坦面に形成するのがよい。また、突周部5bとキャビティ駒5の底面5aとを連結する内壁面5cの水平面に対する傾斜角が鈍角(鈍角の大きさは特に限定されないが135°程度が好ましい)となるように、突周部5bの内壁面5cをテーパー面に形成するのが好適である。このような鈍角に形成することによって、この部位におけるリリースフィルム8の破れを防止することができる。なお、突周部5bは、半導体チップTの実装領域よりも外側であって、外周の半導体チップTのパッケージ領域よりも外側に形成される。
【0058】
また、図8(B)に示すように、拡径孔6dの内壁面が、孔壁面6fの下端部から延びるテーパー面6hに形成すると好適である。このテーパー面6hの、金型パーティング面(水平面)となす角は、概ね60°〜70°程度とするのが好ましい。
【0059】
上述したように、キャビティ駒5の底面5aの周縁部に、キャビティ凹部6cの深さが浅くなるように突周部5bが突設されている。これにより、図8(A)或いは図8(B)に示すように、キャビティ凹部6cに吸着されるリリースフィルム8の破れを可及的に少なくすることができた。
【0060】
また、金型クランプ面からの突周部5bの高さは、キャビティ駒5のクランパ6に対する相対的位置が所定深さまで浅くなるように移動させて余剰樹脂をポット側に流出させる際に、図8(C)に示すように突周部5bの下面が貫通孔6e(拡径孔6dの上端と一致する高さ)の下端となっている高さであり例えば0.5mm前後に形成される。また、キャビティ駒5の底面5aから突周部5bまでの高さは、例えば0.05〜0.25mm程度に形成される。
【0061】
上述したトランスファ成形装置は、上型キャビティ、下型ポット配置タイプのモールド金型を用いて説明したが、下型キャビティであってもよいし、上型ポット、下型キャビティ配置のモールド金型であってもよい。
また、固定型を上型2、可動型を下型3として説明したが、これに限定されるものではなく、固定型を下型3、可動型を上型2としても良い。
また、ワークWとしては基板実装された半導体チップのほかに、白色LEDなどの発光素子で、封止樹脂に蛍光体が混入されるものなどについても適用できる。
【0062】
また、基板に半導体チップTがワイヤボンドされたワークWを用いる例について説明したが、基板に半導体チップTがフリップチップボンドされたワークWを用いてもよい。また、モールド樹脂として、例えば円筒状の樹脂タブレット12を用いる例について説明したが、液状樹脂、顆粒状樹脂、粉末状樹脂といった各種の樹脂を用いることもできる。また、マップタイプの成形をする構成例について説明したが、基板上に実装された半導体チップTの個数のキャビティが行列上に配列されたマトリックスタイプの成形に用いるモールド金型において本発明を実施してもよい。
また、ポット11は下型センターインサート10に設けられていたが、上型2側に設けられていてもよい。また、このような構成において、モールド金型が上下逆に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
W ワーク T 半導体チップ 1 モールド金型 2 上型 3 下型 4 上型チェイスブロック 5 キャビティ駒 6 可動クランパ 6´ クランパ 6c キャビティ凹部 7 第一スプリング 8 リリースフィルム 9 下型チェイスブロック
10 下型センターインサート 11 ポット 12 樹脂タブレット 13 プランジャ 14 ワーク支持部 15 第二スプリング 16,24 くさび機構 16a,
16b 板厚調整ブロック 17 クランパ支持部 18 オーバーフローキャビティ 19 可動ピストン 20 第三スプリング 21 キャビティ駒調整機構 21a,21b テーパーブロック 22 スプリング 23 電動モータ 23a ねじ軸 24a くさびブロック 25 吸引孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の金型チェイスに支持されキャビティ底部を形成するキャビティ駒と、該キャビティ駒を囲んで配置され、前記チェイスより可動可能に支持された可動クランパによりキャビティ凹部が形成される一方の金型と、
他方の金型チェイスに付勢支持され前記ワークが載置されるワーク支持部と、前記ワーク支持部に隣接するセンターインサートを備えた他方の金型と、
前記一方の金型又は他方の金型のいずれかに組み付けられモールド樹脂を供給するポットと、を具備し、
前記他方の金型には、前記一方の金型の可動クランパと前記ワーク支持部に載置されたワークをクランプする際に、前記ワーク支持部によりワーク板厚のばらつきを吸収して前記可動クランパに押し当てる板厚調整機構が設けられていることを特徴とするモールド金型。
【請求項2】
前記一方の金型チェイスには、前記キャビティ駒が支持固定され、これを囲む前記可動クランパは第1弾性部材を介して支持されている請求項1記載のモールド金型。
【請求項3】
前記可動クランパを支持する第1弾性部材は、前記板厚調整機構に備えた前記ワーク支持部を付勢する第2弾性部材より弾性力が大きいものが用いられる請求項1又は2記載のモールド金型。
【請求項4】
前記ワーク支持部と前記他方の金型チェイスとの間には、前記ワーク支持部を所定の高さで支持固定するくさび機構を備えている請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のモールド金型。
【請求項5】
前記キャビティ凹部及び板厚保調整機構は、前記センターインサートの両側に各々設けられている請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のモールド金型。
【請求項6】
前記一方の金型には、前記キャビティ駒の高さを調整するキャビティ駒調整機構を備えている請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のモールド金型。
【請求項7】
前記一方の金型には、金型チェイスにクランパを支持固定し、駆動源によりくさびブロックを移動させて当接する前記キャビティ駒の高さを調整するくさび機構が設けられている請求項1乃至請求項6記載のモールド金型。
【請求項8】
前記一方の金型に形成されるキャビティ凹部を含む金型面にリリースフィルムが張設されている請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のモールド金型。
【請求項9】
前記ワークを前記キャビティ駒が成形品の厚さ寸法より所定厚だけ後退した退避位置となるように可動クランパによりクランプして、ポット内の溶融樹脂をキャビティへ圧送りして充填し、再度モールド金型の更なるクランプ動作により前記キャビティ駒の前記可動クランパにクランプ面に対する相対的位置が所定深さまで浅くなるように移動させて余剰樹脂をポット側に流出させて加熱硬化させることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のモールド金型。
【請求項10】
前記ポットに対向配置された金型カルに可動ピストンが進退動可能に設けられており、前記可動ピストンをクランプ面より退避させて前記余剰樹脂を収容する請求項9記載のモールド金型。
【請求項11】
前記可動クランパのクランプ面にはオーバーフローキャビティが設けられており、
前記キャビティより前記オーバーフローキャビティへ前記余剰樹脂を収容する請求項9記載のモールド金型。
【請求項12】
請求項1乃至請求項12のいずれかのモールド金型を備えたことを特徴とする樹脂モールド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−28087(P2013−28087A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166251(P2011−166251)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000144821)アピックヤマダ株式会社 (194)
【Fターム(参考)】