ユニット搭載治具
【課題】ユニットを搭載部に搭載する作業を容易にし、かつ、ユニットを安定した状態で移動させる。
【解決手段】ユニット搭載治具1は、開口16または切り欠きが設けられた載置面11を備える載置部材10と、載置面11の下方に収容され、回転ローラ25が取り付けられた跳ね上げ部23と軸26と操作部22とを有し、操作部22が押し下げられることにより軸26を中心に載置部材10と独立して回転し、回転により回転ローラ25が開口16または切り欠きを介して載置面11よりも上方に上昇する、跳ね上げ部材20と、を有する。
【解決手段】ユニット搭載治具1は、開口16または切り欠きが設けられた載置面11を備える載置部材10と、載置面11の下方に収容され、回転ローラ25が取り付けられた跳ね上げ部23と軸26と操作部22とを有し、操作部22が押し下げられることにより軸26を中心に載置部材10と独立して回転し、回転により回転ローラ25が開口16または切り欠きを介して載置面11よりも上方に上昇する、跳ね上げ部材20と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットを搭載部に搭載するためのユニット搭載治具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ATM(Automated Teller Machine)等の筐体に、紙幣ユニットを搭載する場合、紙幣ユニットを持ち上げ、持ち上げた紙幣ユニットをスライドさせて筐体に収納する。紙幣ユニットは大型のユニットであるため、例えば、この作業を一人で行う場合、紙幣ユニットを持ち上げられない可能性がある。このため、紙幣ユニットを筐体に搭載するために、搭載治具を用いることが考えられる。
【0003】
なお、ユニットを持ち上げるための治具としては、例えば、複数の横フレームが横並びに配置され、複数のローラが横フレーム長手方向に列設されて横フレーム間にそれぞれ枢支されるとともに、設置される床面から各ローラ枢支位置までの高さ寸法が横フレーム先端に近くなるほど小さく設定されているフォークがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、梃子棒軸部の先端部から鈍角に延出する板状に形成される鉄板へらの作用部と、支点部に車輪を備える梃子棒がある(例えば、特許文献2参照)。
また、支点を中心にして作用点側に位置する第1アーム部および力点側に位置する第2アーム部とを備えたテコ部材と、第1アーム部に取り付けて第1アーム部が物体を持ち上げたままの状態を維持できるように起立位置になるストッパーを有するストッパー付きテコ装置がある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−120388号公報
【特許文献2】特開2005−96984号公報
【特許文献3】登録実用新案第3003123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紙幣ユニットを筐体に搭載するために用いられる搭載治具には、紙幣ユニットを筐体に容易に搭載できることが求められる。
また、搭載治具を用いた紙幣ユニットの筐体への搭載、または、筐体からの紙幣ユニットの取り出し過程では、紙幣ユニットを搭載治具に載せた状態で移動させる場合がある。例えば、筐体から取り出した紙幣ユニットにキャスターを取り付けるような場合には、作業スペースを確保するため、紙幣ユニットを搭載治具に載せた状態で移動させる。
【0007】
このため、搭載治具には、紙幣ユニットが転倒しないように、紙幣ユニットを安定した状態で移動できることが求められる。
このような点に鑑み、ユニットを搭載部に搭載する作業を容易にし、かつ、ユニットを安定した状態で移動させることが可能なユニット搭載治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために以下のようなユニット搭載治具が提供される。
このユニット搭載治具は、開口または切り欠きが設けられた載置面を備える載置部材と、載置面の下方に収容され、回転ローラが取り付けられた跳ね上げ部と支点部と操作部とを有し、操作部が押し下げられることにより支点部を中心に載置部材と独立して回転し、回転により回転ローラが開口または切り欠きを介して載置面よりも上方に上昇する、跳ね上げ部材と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
開示のユニット搭載治具によれば、ユニットを搭載部に搭載する作業を容易にし、かつ、ユニットを安定した状態で移動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す側面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す側面図である。
【図3】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す上面図である。
【図4】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す側面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る紙幣ユニットの一例を示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係る紙幣ユニットと筐体の一例を示した図である。
【図7】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの搭載方法の一例を示した工程図である。
【図8】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの搭載方法の一例を示した工程図である。
【図9】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの搭載方法の一例を示した工程図である。
【図10】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの取り出し方法の一例を示した工程図である。
【図11】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの取り出し方法の一例を示した工程図である。
【図12】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの取り出し方法の一例を示した工程図である。
【図13】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの取り出し方法の一例を示した工程図である。
【図14】第2の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1、図2は、第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す側面図である。図3は、第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す上面図である。なお、図2(A)は、図1のユニット搭載治具のうち載置部材のみを示した図であり、図2(B)は、図1のユニット搭載治具のうち跳ね上げ部材のみを示した図である。
【0012】
図1に示すように、ユニット搭載治具1は、載置部材10と、跳ね上げ部材20とを有している。載置部材10には、ユニットが載置される載置面11が備えられている。跳ね上げ部材20は、この載置面11の下方に収容されている。
【0013】
まず、載置部材10について説明する。
図2(A)に示すように、載置部材10は、載置面11と側面12を含む載置部材本体部13と、載置部材本体部13の前方Fに設けられたキャスター14と、載置部材本体部13の後方Bに設けられたボルト15とを有している。
【0014】
キャスター14は、載置部材本体部13に対して、水平方向に回転自在に取り付けられている。キャスター14が水平方向に回転することにより、ユニット搭載治具1を旋回させることが可能となる。ボルト15は、回転することで、載置部材本体部13に対して、垂直方向、即ち、矢印15aの方向に上昇、または、下降する。ボルト15は、作業者により回される。
【0015】
図3に示すように、載置面11には、載置部材本体部13を貫通する開口16が設けられている。さらに、載置面11には、滑り止め17a,17bが形成されている。滑り止め17aは、開口16よりも前方Fに位置し、滑り止め17bは、開口16よりも後方Bに位置している。滑り止め17a,17bには、例えば、ゴム板が用いられている。滑り止めの機能を有していれば、素材はゴム板に限らない。また、載置されるユニットを傷つけないような素材であれば、さらに好ましい。滑り止め17a,17bが載置面11に形成されていることにより、載置面11に載置されたユニットが、滑って転倒することを抑制することが可能となる。
【0016】
次に、跳ね上げ部材20について説明する。
図2(B)に示すように、跳ね上げ部材20は、跳ね上げ部材本体部21と、操作部22とを有している。操作部22は、跳ね上げ部材本体部21に固定され、跳ね上げ部材本体部21の後方Bから突出するように設けられている。操作部22は、作業者により押し下げられる。
【0017】
跳ね上げ部材本体部21は、先端に跳ね上げ部23を有している。跳ね上げ部23には、跳ね上げ部材本体部21の幅方向に延在する軸24が取り付けられている。この軸24に、回転ローラ25が回転自在に取り付けられている。
【0018】
跳ね上げ部材本体部21には、跳ね上げ部23よりも後方Bに、跳ね上げ部材本体部21の幅方向に延在する軸26が取り付けられている。跳ね上げ部材本体部21は、軸26に対して回転自在に取り付けられている。さらに、軸26には、移動用回転ローラ27が回転自在に取り付けられている。移動用回転ローラ27が回転することで、ユニット搭載治具1を移動させることが可能となる。
【0019】
跳ね上げ部材本体部21の後方Bには、跳ね上げ部材本体部21の前後方向に延在するスリット28が設けられている。操作部22は、このスリット28に沿って、矢印22aの方向にスライドする。操作部22を、スライドさせることで、跳ね上げ部材本体部21の後方Bから突出している操作部22の長さを変えることが可能となる。
【0020】
操作部22をスライドさせて、跳ね上げ部材本体部21の後方Bから突出している操作部22の長さを短くすることで、ユニット搭載治具1の全長を短くすることが可能となり、ユニット搭載治具1を収納するスペースを縮小することが可能となる。
【0021】
図3に示すように、載置部材10の載置面11の下方に収容された跳ね上げ部材20の跳ね上げ部23、回転ローラ25、および、跳ね上げ部23から連続する跳ね上げ部材本体部21の一部は、載置部材10の開口16により露出している。
【0022】
跳ね上げ部材20の軸26は、載置部材10の側面12に固定されている。また、回転ローラ25の表面には、滑り止め17cが形成されている。滑り止め17cには、例えば、ゴム板が用いられている。
【0023】
次に、操作部22を押し下げた状態のユニット搭載治具1について説明する。
図4は、第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す側面図である。
跳ね上げ部材20の操作部22が、作業者により矢印22bに示す方向に押し下げられると、跳ね上げ部材本体部21が、軸26を中心として、矢印26aの方向に載置部材10と独立して回転する。この回転により、跳ね上げ部23に取り付けられた回転ローラ25が、開口16を介して載置部材10の載置面11よりも上方に上昇する。
【0024】
すなわち、回転ローラ25の上昇には、回転ローラ25を作用点、軸26を支点、操作部22を力点とする梃子の原理が用いられている。このようにして回転ローラ25が上昇することにより、載置部材10の載置面11に載置されたユニットの底面を回転ローラ25が押し上げ、ユニットが持ち上げられる。
【0025】
また、ここでは、ボルト15が作業者により回されて下降し、ボルト15の先端が、跳ね上げ部材本体部21に接触している。これにより、操作部22を押し下げることを停止したとしても、回転した跳ね上げ部材本体部21が、回転前の状態に戻ることを抑制することができる。すなわち、ボルト15はストッパーとして機能する。また、ストッパー機能を有する部品や機構であれば、これに限らない。
【0026】
次に、このユニット搭載治具1を用いて、紙幣ユニットをATMの筐体に搭載する方法の一例について説明する。
図5は、第1の実施の形態に係る紙幣ユニットの一例を示す図である。
【0027】
紙幣ユニット30は、上下2段の引き出し構造を有し、上段は紙幣搬送部31であり、下段はカセット部32である。さらに、紙幣ユニット30には、手前側にキャスター33と、突起35とが取り付けられており、奥側にキャスター34が取り付けられている。突起35は、紙幣ユニット30の転倒を防止するためのものである。
【0028】
図6は、第1の実施の形態に係る紙幣ユニットと筐体の一例を示した図である。図6(A)は、側面図であり、図6(B)は上面図である。
筐体40は、紙幣ユニット30を搭載する搭載部41と、紙幣ユニット30をスライドさせるための回転ローラ42とを有している。また、紙幣ユニット30は、奥側に回転ローラ36を有している。紙幣ユニット30を筐体40に搭載するときは、紙幣ユニット30は奥側から筐体40に進入する。
【0029】
図7〜図9は、第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの搭載方法の一例を示した工程図である。
まず、図7(A)に示すように、筐体40の手前に配置された紙幣ユニット30の下側に、ユニット搭載治具1を配置する。なお、この状態のときに、仮に、紙幣ユニット30を押して筐体40に搭載しようとすると、紙幣ユニット30の底面が筐体40の搭載部41よりも低いため、紙幣ユニット30が筐体40の底部にぶつかってしまい、紙幣ユニット30を筐体40に搭載できない可能性がある。特に、床が平らではなく、筐体40が設置されている床面よりも、紙幣ユニット30が位置している床面の方が低い場合、この問題は顕著となる。
【0030】
次に、図7(B)に示すように、ユニット搭載治具1の操作部22を押し下げ、回転ローラ25を上昇させる。操作部22は、例えば、作業者が操作部22を踏み込むことで押し下げられる。これにより、回転ローラ25が上昇して紙幣ユニット30の底面を押し上げ、紙幣ユニット30が持ち上げられる。このとき、紙幣ユニット30の底面は筐体40の搭載部41よりも高くなる。また、このとき、紙幣ユニット30のキャスター34は床から浮いた状態となる。なお、キャスター33は床に接している。
【0031】
次に、図8(A)に示すように、ユニット搭載治具1の操作部22を押し下げて紙幣ユニット30を持ち上げた状態で、紙幣ユニット30を横方向に押して、紙幣ユニット30の先端を筐体40の搭載部41に載せる。このとき、紙幣ユニット30の底面を押し上げているユニット搭載治具1の回転ローラ25が回転するので、紙幣ユニット30の移動は滑らかに行われる。
【0032】
次に、図8(B)に示すように、ユニット搭載治具1の操作部22を押し下げて紙幣ユニット30を持ち上げた状態で、紙幣ユニット30からキャスター34を取り外す。このとき、キャスター34は床から浮いているため、作業者は、紙幣ユニット30からキャスター34を容易に取り外すことが可能となる。
【0033】
次に、図9(A)に示すように、紙幣ユニット30を横方向に押し続け、紙幣ユニット30を筐体40に収納していく。このとき、紙幣ユニット30は、紙幣ユニット30の回転ローラ36と、筐体40の回転ローラ42と、ユニット搭載治具1の回転ローラ25と、キャスター33とが回転することにより、筐体40内を滑らかにスライドする。
【0034】
次に、図9(B)に示すように、紙幣ユニット30からキャスター33を取り外し、その後、紙幣ユニット30を、再度、横方向に押して、紙幣ユニット30を筐体40の搭載部41に搭載する。
【0035】
このようにして、紙幣ユニット30は、筐体40の搭載部41に搭載される。
次に、このユニット搭載治具1を用いて、紙幣ユニット30をATMの筐体40から取り出す方法の一例について説明する。
【0036】
図10〜図13は、第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの取り出し方法の一例を示した工程図である。なお、図11(B)は上面図を示す。
まず、紙幣ユニット30を筐体40から僅かに手前に引き出し、紙幣ユニット30にキャスター33を取り付ける。この後、図10(A)に示すように、筐体40の手前に、ユニット搭載治具1を配置し、ユニット搭載治具1の操作部22を押し下げて回転ローラ25を上昇させた状態で、紙幣ユニット30を筐体40から引き出す。
【0037】
このとき、紙幣ユニット30の底面は、ユニット搭載治具1の回転ローラ25に押し上げられるため、紙幣ユニット30は、持ち上げられた状態で筐体40から引き出される。また、紙幣ユニット30は、紙幣ユニット30の回転ローラ36と、筐体40の回転ローラ42と、ユニット搭載治具1の回転ローラ25と、キャスター33とが回転することにより、筐体40内を滑らかにスライドする。
【0038】
図10(B)は、紙幣ユニット30が、筐体40から取り出されてユニット搭載治具1に載置されている状態を示す。ユニット搭載治具1の操作部22が押し下げられて紙幣ユニット30が持ち上げられている。
【0039】
次に、図11(A)に示すように、ユニット搭載治具1の操作部22を押し下げることを止めて、回転ローラ25を下降させ、紙幣ユニット30を下降させる。このとき、紙幣ユニット30の底面は、ユニット搭載治具1の載置面11に接触している。すなわち、紙幣ユニット30は、キャスター33と、ユニット搭載治具1の載置面11とにより支持されている。
【0040】
次に、図11(B)に示すように、紙幣ユニット30にキャスター34を取り付けるための作業スペースを確保するため、ユニット搭載治具1を旋回用のキャスター14により旋回させ、紙幣ユニット30の位置を移動させる。また、図12(A)に示すように、紙幣ユニット30を横方向に押して、キャスター33、およびユニット搭載治具1の移動用回転ローラ27を回転させて、他の場所へ移動させてもよい。
【0041】
このとき、紙幣ユニット30の底面は、ユニット搭載治具1の載置面11により支持されているため、紙幣ユニット30を安定した状態で移動することが可能となる。また、このとき、紙幣ユニット30の底面には、回転ローラ25が接触していないため、回転ローラ25が回転して紙幣ユニット30がスライドしてしまう可能性を低減することが可能となる。これにより、紙幣ユニット30の移動中に、紙幣ユニット30が転倒してしまう可能性を低減することが可能となる。
【0042】
次に、図12(B)に示すように、ユニット搭載治具1の操作部22を押し下げて回転ローラ25を上昇させ、紙幣ユニット30を持ち上げる。また、ここで、ボルト15を回転させて下降させ、操作部22を押し下げた状態でボルト15により固定する。
【0043】
次に、図13(A)に示すように、紙幣ユニット30を持ち上げた状態で、紙幣ユニット30にキャスター34を取り付ける。
次に、図13(B)に示すように、ユニット搭載治具1のボルト15を回転させて上昇させ、操作部22を元の位置に戻し、紙幣ユニット30を下降させる。この結果、紙幣ユニット30は、キャスター33とキャスター34とにより支持される。
【0044】
このようにして、紙幣ユニット30は、筐体40から取り出される。
以上のように、ユニット搭載治具1は、開口16が設けられた載置面11を備える載置部材10と、載置面11の下方に収容され、回転ローラ25が取り付けられた跳ね上げ部23と軸26と操作部22とを有し、操作部22が押し下げられることにより軸26を中心に載置部材10と独立して回転し、回転により回転ローラ25が開口16を介して載置面11よりも上方に上昇する、跳ね上げ部材20とを有する。
【0045】
これにより、操作部22を押し下げることにより、載置面11に配置されたユニットを、跳ね上げ部23により容易に持ち上げることが可能となる。
また、跳ね上げ部23に回転ローラ25が取り付けられていることにより、持ち上げたユニットを容易にスライドさせて、搭載部に搭載することが可能となる。
【0046】
また、操作部22を元に戻すことで、ユニットを載置面11により支持することが可能となり、ユニットを安定した状態で移動させることが可能となる。
このように、ユニット搭載治具1は、ユニットを搭載部に搭載する作業を容易にし、かつ、ユニットを安定した状態で移動させることが可能となる。
【0047】
さらに、ユニット搭載治具1では、載置面11に滑り止め17a,17bが形成されている。これにより、ユニットが滑ることを抑制でき、ユニットをより安定した状態で移動させることが可能となる。
【0048】
さらに、ユニット搭載治具1では、回転ローラ25の表面に、滑り止め17cが形成されている。これにより、回転ローラ25により底面が押し上げられたユニットが、横滑りすることを抑制することが可能となる。
【0049】
さらに、ユニット搭載治具1では、載置部材10に、操作部22を押し下げた状態で固定するストッパーが設けられている。これにより、作業者が操作しなくても、ユニットを持ち上げた状態で維持することが可能となる。
【0050】
さらに、ユニット搭載治具1では、跳ね上げ部材20が、操作部22をスライドさせるスライド機構を備えている。これにより、ユニット搭載治具1の全長を短くすることが可能となり、ユニット搭載治具1を収納するためのスペースを縮小することが可能となる。
【0051】
[第2の実施の形態]
図14は、第2の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す上面図である。
ユニット搭載治具2では、ユニット搭載治具1の構成に対して、載置部材10の載置面11に、開口16に替えて、切り欠き18が設けられている。切り欠き18は、載置部材10の先端から後方Bに向けて設けられている。その他の構成は、ユニット搭載治具1と同様である。
【0052】
すなわち、載置部材10の載置面11の下方Bに収容された跳ね上げ部材20の跳ね上げ部23、回転ローラ25、および、跳ね上げ部23から連続する跳ね上げ部材本体部21の一部は、載置部材10の切り欠き18により露出している。また、跳ね上げ部材本体部21の回転により、跳ね上げ部23に取り付けられた回転ローラ25が、切り欠き18を介して載置部材10の載置面11よりも上方に上昇する。
【0053】
ユニット搭載治具2についても、ユニット搭載治具1と同様に、ユニットを搭載部に搭載する作業を容易にし、かつ、ユニットを安定した状態で移動させることが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1,2 ユニット搭載治具
10 載置部材
11 載置面
12 側面
13 載置部材本体部
14,33,34 キャスター
15 ボルト
16 開口
17a,17b,17c 滑り止め
18 切り欠き
20 跳ね上げ部材
21 跳ね上げ部材本体部
22 操作部
23 跳ね上げ部
24,26 軸
25,36,42 回転ローラ
27 移動用回転ローラ
28 スリット
30 紙幣ユニット
31 紙幣搬送部
32 カセット部
35 突起
40 筐体
41 搭載部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットを搭載部に搭載するためのユニット搭載治具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ATM(Automated Teller Machine)等の筐体に、紙幣ユニットを搭載する場合、紙幣ユニットを持ち上げ、持ち上げた紙幣ユニットをスライドさせて筐体に収納する。紙幣ユニットは大型のユニットであるため、例えば、この作業を一人で行う場合、紙幣ユニットを持ち上げられない可能性がある。このため、紙幣ユニットを筐体に搭載するために、搭載治具を用いることが考えられる。
【0003】
なお、ユニットを持ち上げるための治具としては、例えば、複数の横フレームが横並びに配置され、複数のローラが横フレーム長手方向に列設されて横フレーム間にそれぞれ枢支されるとともに、設置される床面から各ローラ枢支位置までの高さ寸法が横フレーム先端に近くなるほど小さく設定されているフォークがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、梃子棒軸部の先端部から鈍角に延出する板状に形成される鉄板へらの作用部と、支点部に車輪を備える梃子棒がある(例えば、特許文献2参照)。
また、支点を中心にして作用点側に位置する第1アーム部および力点側に位置する第2アーム部とを備えたテコ部材と、第1アーム部に取り付けて第1アーム部が物体を持ち上げたままの状態を維持できるように起立位置になるストッパーを有するストッパー付きテコ装置がある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−120388号公報
【特許文献2】特開2005−96984号公報
【特許文献3】登録実用新案第3003123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紙幣ユニットを筐体に搭載するために用いられる搭載治具には、紙幣ユニットを筐体に容易に搭載できることが求められる。
また、搭載治具を用いた紙幣ユニットの筐体への搭載、または、筐体からの紙幣ユニットの取り出し過程では、紙幣ユニットを搭載治具に載せた状態で移動させる場合がある。例えば、筐体から取り出した紙幣ユニットにキャスターを取り付けるような場合には、作業スペースを確保するため、紙幣ユニットを搭載治具に載せた状態で移動させる。
【0007】
このため、搭載治具には、紙幣ユニットが転倒しないように、紙幣ユニットを安定した状態で移動できることが求められる。
このような点に鑑み、ユニットを搭載部に搭載する作業を容易にし、かつ、ユニットを安定した状態で移動させることが可能なユニット搭載治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために以下のようなユニット搭載治具が提供される。
このユニット搭載治具は、開口または切り欠きが設けられた載置面を備える載置部材と、載置面の下方に収容され、回転ローラが取り付けられた跳ね上げ部と支点部と操作部とを有し、操作部が押し下げられることにより支点部を中心に載置部材と独立して回転し、回転により回転ローラが開口または切り欠きを介して載置面よりも上方に上昇する、跳ね上げ部材と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
開示のユニット搭載治具によれば、ユニットを搭載部に搭載する作業を容易にし、かつ、ユニットを安定した状態で移動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す側面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す側面図である。
【図3】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す上面図である。
【図4】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す側面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る紙幣ユニットの一例を示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係る紙幣ユニットと筐体の一例を示した図である。
【図7】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの搭載方法の一例を示した工程図である。
【図8】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの搭載方法の一例を示した工程図である。
【図9】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの搭載方法の一例を示した工程図である。
【図10】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの取り出し方法の一例を示した工程図である。
【図11】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの取り出し方法の一例を示した工程図である。
【図12】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの取り出し方法の一例を示した工程図である。
【図13】第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの取り出し方法の一例を示した工程図である。
【図14】第2の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1、図2は、第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す側面図である。図3は、第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す上面図である。なお、図2(A)は、図1のユニット搭載治具のうち載置部材のみを示した図であり、図2(B)は、図1のユニット搭載治具のうち跳ね上げ部材のみを示した図である。
【0012】
図1に示すように、ユニット搭載治具1は、載置部材10と、跳ね上げ部材20とを有している。載置部材10には、ユニットが載置される載置面11が備えられている。跳ね上げ部材20は、この載置面11の下方に収容されている。
【0013】
まず、載置部材10について説明する。
図2(A)に示すように、載置部材10は、載置面11と側面12を含む載置部材本体部13と、載置部材本体部13の前方Fに設けられたキャスター14と、載置部材本体部13の後方Bに設けられたボルト15とを有している。
【0014】
キャスター14は、載置部材本体部13に対して、水平方向に回転自在に取り付けられている。キャスター14が水平方向に回転することにより、ユニット搭載治具1を旋回させることが可能となる。ボルト15は、回転することで、載置部材本体部13に対して、垂直方向、即ち、矢印15aの方向に上昇、または、下降する。ボルト15は、作業者により回される。
【0015】
図3に示すように、載置面11には、載置部材本体部13を貫通する開口16が設けられている。さらに、載置面11には、滑り止め17a,17bが形成されている。滑り止め17aは、開口16よりも前方Fに位置し、滑り止め17bは、開口16よりも後方Bに位置している。滑り止め17a,17bには、例えば、ゴム板が用いられている。滑り止めの機能を有していれば、素材はゴム板に限らない。また、載置されるユニットを傷つけないような素材であれば、さらに好ましい。滑り止め17a,17bが載置面11に形成されていることにより、載置面11に載置されたユニットが、滑って転倒することを抑制することが可能となる。
【0016】
次に、跳ね上げ部材20について説明する。
図2(B)に示すように、跳ね上げ部材20は、跳ね上げ部材本体部21と、操作部22とを有している。操作部22は、跳ね上げ部材本体部21に固定され、跳ね上げ部材本体部21の後方Bから突出するように設けられている。操作部22は、作業者により押し下げられる。
【0017】
跳ね上げ部材本体部21は、先端に跳ね上げ部23を有している。跳ね上げ部23には、跳ね上げ部材本体部21の幅方向に延在する軸24が取り付けられている。この軸24に、回転ローラ25が回転自在に取り付けられている。
【0018】
跳ね上げ部材本体部21には、跳ね上げ部23よりも後方Bに、跳ね上げ部材本体部21の幅方向に延在する軸26が取り付けられている。跳ね上げ部材本体部21は、軸26に対して回転自在に取り付けられている。さらに、軸26には、移動用回転ローラ27が回転自在に取り付けられている。移動用回転ローラ27が回転することで、ユニット搭載治具1を移動させることが可能となる。
【0019】
跳ね上げ部材本体部21の後方Bには、跳ね上げ部材本体部21の前後方向に延在するスリット28が設けられている。操作部22は、このスリット28に沿って、矢印22aの方向にスライドする。操作部22を、スライドさせることで、跳ね上げ部材本体部21の後方Bから突出している操作部22の長さを変えることが可能となる。
【0020】
操作部22をスライドさせて、跳ね上げ部材本体部21の後方Bから突出している操作部22の長さを短くすることで、ユニット搭載治具1の全長を短くすることが可能となり、ユニット搭載治具1を収納するスペースを縮小することが可能となる。
【0021】
図3に示すように、載置部材10の載置面11の下方に収容された跳ね上げ部材20の跳ね上げ部23、回転ローラ25、および、跳ね上げ部23から連続する跳ね上げ部材本体部21の一部は、載置部材10の開口16により露出している。
【0022】
跳ね上げ部材20の軸26は、載置部材10の側面12に固定されている。また、回転ローラ25の表面には、滑り止め17cが形成されている。滑り止め17cには、例えば、ゴム板が用いられている。
【0023】
次に、操作部22を押し下げた状態のユニット搭載治具1について説明する。
図4は、第1の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す側面図である。
跳ね上げ部材20の操作部22が、作業者により矢印22bに示す方向に押し下げられると、跳ね上げ部材本体部21が、軸26を中心として、矢印26aの方向に載置部材10と独立して回転する。この回転により、跳ね上げ部23に取り付けられた回転ローラ25が、開口16を介して載置部材10の載置面11よりも上方に上昇する。
【0024】
すなわち、回転ローラ25の上昇には、回転ローラ25を作用点、軸26を支点、操作部22を力点とする梃子の原理が用いられている。このようにして回転ローラ25が上昇することにより、載置部材10の載置面11に載置されたユニットの底面を回転ローラ25が押し上げ、ユニットが持ち上げられる。
【0025】
また、ここでは、ボルト15が作業者により回されて下降し、ボルト15の先端が、跳ね上げ部材本体部21に接触している。これにより、操作部22を押し下げることを停止したとしても、回転した跳ね上げ部材本体部21が、回転前の状態に戻ることを抑制することができる。すなわち、ボルト15はストッパーとして機能する。また、ストッパー機能を有する部品や機構であれば、これに限らない。
【0026】
次に、このユニット搭載治具1を用いて、紙幣ユニットをATMの筐体に搭載する方法の一例について説明する。
図5は、第1の実施の形態に係る紙幣ユニットの一例を示す図である。
【0027】
紙幣ユニット30は、上下2段の引き出し構造を有し、上段は紙幣搬送部31であり、下段はカセット部32である。さらに、紙幣ユニット30には、手前側にキャスター33と、突起35とが取り付けられており、奥側にキャスター34が取り付けられている。突起35は、紙幣ユニット30の転倒を防止するためのものである。
【0028】
図6は、第1の実施の形態に係る紙幣ユニットと筐体の一例を示した図である。図6(A)は、側面図であり、図6(B)は上面図である。
筐体40は、紙幣ユニット30を搭載する搭載部41と、紙幣ユニット30をスライドさせるための回転ローラ42とを有している。また、紙幣ユニット30は、奥側に回転ローラ36を有している。紙幣ユニット30を筐体40に搭載するときは、紙幣ユニット30は奥側から筐体40に進入する。
【0029】
図7〜図9は、第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの搭載方法の一例を示した工程図である。
まず、図7(A)に示すように、筐体40の手前に配置された紙幣ユニット30の下側に、ユニット搭載治具1を配置する。なお、この状態のときに、仮に、紙幣ユニット30を押して筐体40に搭載しようとすると、紙幣ユニット30の底面が筐体40の搭載部41よりも低いため、紙幣ユニット30が筐体40の底部にぶつかってしまい、紙幣ユニット30を筐体40に搭載できない可能性がある。特に、床が平らではなく、筐体40が設置されている床面よりも、紙幣ユニット30が位置している床面の方が低い場合、この問題は顕著となる。
【0030】
次に、図7(B)に示すように、ユニット搭載治具1の操作部22を押し下げ、回転ローラ25を上昇させる。操作部22は、例えば、作業者が操作部22を踏み込むことで押し下げられる。これにより、回転ローラ25が上昇して紙幣ユニット30の底面を押し上げ、紙幣ユニット30が持ち上げられる。このとき、紙幣ユニット30の底面は筐体40の搭載部41よりも高くなる。また、このとき、紙幣ユニット30のキャスター34は床から浮いた状態となる。なお、キャスター33は床に接している。
【0031】
次に、図8(A)に示すように、ユニット搭載治具1の操作部22を押し下げて紙幣ユニット30を持ち上げた状態で、紙幣ユニット30を横方向に押して、紙幣ユニット30の先端を筐体40の搭載部41に載せる。このとき、紙幣ユニット30の底面を押し上げているユニット搭載治具1の回転ローラ25が回転するので、紙幣ユニット30の移動は滑らかに行われる。
【0032】
次に、図8(B)に示すように、ユニット搭載治具1の操作部22を押し下げて紙幣ユニット30を持ち上げた状態で、紙幣ユニット30からキャスター34を取り外す。このとき、キャスター34は床から浮いているため、作業者は、紙幣ユニット30からキャスター34を容易に取り外すことが可能となる。
【0033】
次に、図9(A)に示すように、紙幣ユニット30を横方向に押し続け、紙幣ユニット30を筐体40に収納していく。このとき、紙幣ユニット30は、紙幣ユニット30の回転ローラ36と、筐体40の回転ローラ42と、ユニット搭載治具1の回転ローラ25と、キャスター33とが回転することにより、筐体40内を滑らかにスライドする。
【0034】
次に、図9(B)に示すように、紙幣ユニット30からキャスター33を取り外し、その後、紙幣ユニット30を、再度、横方向に押して、紙幣ユニット30を筐体40の搭載部41に搭載する。
【0035】
このようにして、紙幣ユニット30は、筐体40の搭載部41に搭載される。
次に、このユニット搭載治具1を用いて、紙幣ユニット30をATMの筐体40から取り出す方法の一例について説明する。
【0036】
図10〜図13は、第1の実施の形態に係るユニット搭載治具を用いた紙幣ユニットの取り出し方法の一例を示した工程図である。なお、図11(B)は上面図を示す。
まず、紙幣ユニット30を筐体40から僅かに手前に引き出し、紙幣ユニット30にキャスター33を取り付ける。この後、図10(A)に示すように、筐体40の手前に、ユニット搭載治具1を配置し、ユニット搭載治具1の操作部22を押し下げて回転ローラ25を上昇させた状態で、紙幣ユニット30を筐体40から引き出す。
【0037】
このとき、紙幣ユニット30の底面は、ユニット搭載治具1の回転ローラ25に押し上げられるため、紙幣ユニット30は、持ち上げられた状態で筐体40から引き出される。また、紙幣ユニット30は、紙幣ユニット30の回転ローラ36と、筐体40の回転ローラ42と、ユニット搭載治具1の回転ローラ25と、キャスター33とが回転することにより、筐体40内を滑らかにスライドする。
【0038】
図10(B)は、紙幣ユニット30が、筐体40から取り出されてユニット搭載治具1に載置されている状態を示す。ユニット搭載治具1の操作部22が押し下げられて紙幣ユニット30が持ち上げられている。
【0039】
次に、図11(A)に示すように、ユニット搭載治具1の操作部22を押し下げることを止めて、回転ローラ25を下降させ、紙幣ユニット30を下降させる。このとき、紙幣ユニット30の底面は、ユニット搭載治具1の載置面11に接触している。すなわち、紙幣ユニット30は、キャスター33と、ユニット搭載治具1の載置面11とにより支持されている。
【0040】
次に、図11(B)に示すように、紙幣ユニット30にキャスター34を取り付けるための作業スペースを確保するため、ユニット搭載治具1を旋回用のキャスター14により旋回させ、紙幣ユニット30の位置を移動させる。また、図12(A)に示すように、紙幣ユニット30を横方向に押して、キャスター33、およびユニット搭載治具1の移動用回転ローラ27を回転させて、他の場所へ移動させてもよい。
【0041】
このとき、紙幣ユニット30の底面は、ユニット搭載治具1の載置面11により支持されているため、紙幣ユニット30を安定した状態で移動することが可能となる。また、このとき、紙幣ユニット30の底面には、回転ローラ25が接触していないため、回転ローラ25が回転して紙幣ユニット30がスライドしてしまう可能性を低減することが可能となる。これにより、紙幣ユニット30の移動中に、紙幣ユニット30が転倒してしまう可能性を低減することが可能となる。
【0042】
次に、図12(B)に示すように、ユニット搭載治具1の操作部22を押し下げて回転ローラ25を上昇させ、紙幣ユニット30を持ち上げる。また、ここで、ボルト15を回転させて下降させ、操作部22を押し下げた状態でボルト15により固定する。
【0043】
次に、図13(A)に示すように、紙幣ユニット30を持ち上げた状態で、紙幣ユニット30にキャスター34を取り付ける。
次に、図13(B)に示すように、ユニット搭載治具1のボルト15を回転させて上昇させ、操作部22を元の位置に戻し、紙幣ユニット30を下降させる。この結果、紙幣ユニット30は、キャスター33とキャスター34とにより支持される。
【0044】
このようにして、紙幣ユニット30は、筐体40から取り出される。
以上のように、ユニット搭載治具1は、開口16が設けられた載置面11を備える載置部材10と、載置面11の下方に収容され、回転ローラ25が取り付けられた跳ね上げ部23と軸26と操作部22とを有し、操作部22が押し下げられることにより軸26を中心に載置部材10と独立して回転し、回転により回転ローラ25が開口16を介して載置面11よりも上方に上昇する、跳ね上げ部材20とを有する。
【0045】
これにより、操作部22を押し下げることにより、載置面11に配置されたユニットを、跳ね上げ部23により容易に持ち上げることが可能となる。
また、跳ね上げ部23に回転ローラ25が取り付けられていることにより、持ち上げたユニットを容易にスライドさせて、搭載部に搭載することが可能となる。
【0046】
また、操作部22を元に戻すことで、ユニットを載置面11により支持することが可能となり、ユニットを安定した状態で移動させることが可能となる。
このように、ユニット搭載治具1は、ユニットを搭載部に搭載する作業を容易にし、かつ、ユニットを安定した状態で移動させることが可能となる。
【0047】
さらに、ユニット搭載治具1では、載置面11に滑り止め17a,17bが形成されている。これにより、ユニットが滑ることを抑制でき、ユニットをより安定した状態で移動させることが可能となる。
【0048】
さらに、ユニット搭載治具1では、回転ローラ25の表面に、滑り止め17cが形成されている。これにより、回転ローラ25により底面が押し上げられたユニットが、横滑りすることを抑制することが可能となる。
【0049】
さらに、ユニット搭載治具1では、載置部材10に、操作部22を押し下げた状態で固定するストッパーが設けられている。これにより、作業者が操作しなくても、ユニットを持ち上げた状態で維持することが可能となる。
【0050】
さらに、ユニット搭載治具1では、跳ね上げ部材20が、操作部22をスライドさせるスライド機構を備えている。これにより、ユニット搭載治具1の全長を短くすることが可能となり、ユニット搭載治具1を収納するためのスペースを縮小することが可能となる。
【0051】
[第2の実施の形態]
図14は、第2の実施の形態に係るユニット搭載治具の一例を示す上面図である。
ユニット搭載治具2では、ユニット搭載治具1の構成に対して、載置部材10の載置面11に、開口16に替えて、切り欠き18が設けられている。切り欠き18は、載置部材10の先端から後方Bに向けて設けられている。その他の構成は、ユニット搭載治具1と同様である。
【0052】
すなわち、載置部材10の載置面11の下方Bに収容された跳ね上げ部材20の跳ね上げ部23、回転ローラ25、および、跳ね上げ部23から連続する跳ね上げ部材本体部21の一部は、載置部材10の切り欠き18により露出している。また、跳ね上げ部材本体部21の回転により、跳ね上げ部23に取り付けられた回転ローラ25が、切り欠き18を介して載置部材10の載置面11よりも上方に上昇する。
【0053】
ユニット搭載治具2についても、ユニット搭載治具1と同様に、ユニットを搭載部に搭載する作業を容易にし、かつ、ユニットを安定した状態で移動させることが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1,2 ユニット搭載治具
10 載置部材
11 載置面
12 側面
13 載置部材本体部
14,33,34 キャスター
15 ボルト
16 開口
17a,17b,17c 滑り止め
18 切り欠き
20 跳ね上げ部材
21 跳ね上げ部材本体部
22 操作部
23 跳ね上げ部
24,26 軸
25,36,42 回転ローラ
27 移動用回転ローラ
28 スリット
30 紙幣ユニット
31 紙幣搬送部
32 カセット部
35 突起
40 筐体
41 搭載部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口または切り欠きが設けられた載置面を備える載置部材と、
前記載置面の下方に収容され、回転ローラが取り付けられた跳ね上げ部と支点部と操作部とを有し、前記操作部が押し下げられることにより前記支点部を中心に前記載置部材と独立して回転し、回転により前記回転ローラが前記開口または切り欠きを介して前記載置面よりも上方に上昇する、跳ね上げ部材と、
を有することを特徴とするユニット搭載治具。
【請求項2】
前記支点部は軸であり、前記軸には移動用回転ローラが取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のユニット搭載治具。
【請求項3】
前記載置面には、滑り止めが形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のユニット搭載治具。
【請求項4】
前記回転ローラの表面には、滑り止めが形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のユニット搭載治具。
【請求項5】
前記載置部材には、前記操作部を押し下げた状態で固定するストッパーが設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のユニット搭載治具。
【請求項6】
前記跳ね上げ部材は、前記操作部をスライドさせるスライド機構を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のユニット搭載治具。
【請求項7】
前記載置部材には、旋回用のキャスターが取り付けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のユニット搭載治具。
【請求項1】
開口または切り欠きが設けられた載置面を備える載置部材と、
前記載置面の下方に収容され、回転ローラが取り付けられた跳ね上げ部と支点部と操作部とを有し、前記操作部が押し下げられることにより前記支点部を中心に前記載置部材と独立して回転し、回転により前記回転ローラが前記開口または切り欠きを介して前記載置面よりも上方に上昇する、跳ね上げ部材と、
を有することを特徴とするユニット搭載治具。
【請求項2】
前記支点部は軸であり、前記軸には移動用回転ローラが取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のユニット搭載治具。
【請求項3】
前記載置面には、滑り止めが形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のユニット搭載治具。
【請求項4】
前記回転ローラの表面には、滑り止めが形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のユニット搭載治具。
【請求項5】
前記載置部材には、前記操作部を押し下げた状態で固定するストッパーが設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のユニット搭載治具。
【請求項6】
前記跳ね上げ部材は、前記操作部をスライドさせるスライド機構を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のユニット搭載治具。
【請求項7】
前記載置部材には、旋回用のキャスターが取り付けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のユニット搭載治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−245952(P2011−245952A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119971(P2010−119971)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
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