説明

ライト付き内装部材

【課題】ライニングの表面に取り付けられる内装部材にライトを一体的に組み付けるものにおいて、ライニングと内装部材との隙間からの光漏れを防止する。
【解決手段】トランクサイドライニング1の表面1aとの間に空間3が画定されるように取り付けられたベース部材2に、空間内に位置する電球6を有するライト4が組み付けられると共に、電球から発せられベース部材の外周部7に至る光を遮るリブ8aを突設する。ライニングと内装部材との加工誤差や取り付け誤差などにより内装部材の外周部とライニング表面との間に隙間が生じると、電球から発せられる光がその隙間を介して外に漏れる虞があるのに対して、上記リブにより光を遮ることから、隙間から光が漏れることを防止できる。これにより、リブを設けるという通常の補強構造で光漏れを防止でき、加工精度を高めたり別部材の遮光物を用いたりする必要が無く、製品コストを低廉化し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内側に設けられたライニングの表面に取り付けられる内装部材に、ライトを一体的に設けたライト付き内装部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばハッチバック車のようにリアウィンド付きのテールゲートを開くことができるようにした自動車において、テールゲートを閉じた状態で荷室を外部に対して目隠しするなどのために、リアシートの背もたれ部分の上部からリアパネルに至るようにリアパーセルシェルフを設けたものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−238323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
また、同一車体でリアパーセルシェルフを装着しないモデルと装着モデルとを設定することができる。その場合には、リアパーセルシェルフ装着車にはパーセルシェルフを支持する内装部材(特許文献1ではパーセルシェルフボードホルダ)を車室内側のライニングに取り付け、非装着車には内装部材を取り付けないことで対応することができる。上記した構造により、リアパーセルシェルフ非装着車にはパーセルシェルフ支持用の内装部材を取り付ける必要がないため、部品点数の削減を促進し得る。
【0004】
一方、トランク内の照明のために適所にライトを設けており、例えばトランクサイドライニングに配置したものがある。照明は適当な高さから照らすことが良く、その高さがパーセルシェルフ支持用内装部材の取り付け位置と重なる場合には、パーセルシェルフ支持用内装部材にライトを組み付けることにより、パーセルシェルフ装着車でも非装着車でもほぼ同じ高さから照明することができる。
【0005】
しかしながら、小型乗用車などスペース効率を高めることが求められる車種のトランクサイドライニングの表面にあっては、ボディ形状や車載部品などの影響を受けて平坦面に形成するとスペース効率が悪化する場合には曲面で形成されている。一方、パーセルシェルフ支持用内装部材にあっては、空間を有する殻状に形成することにより軽量化を促進し得る。そのため、トランクサイドライニングとパーセルシェルフ支持用内装部材との当接部(内装部材の外周部)に加工誤差による隙間が生じる虞がある。
【0006】
また、ライトにあっては、トランクサイドライニングやパーセルシェルフ支持用内装部材の開口に嵌合状態に取り付けられるレンズ付きケースに電球を設けた構造のものがある。そのようなライトをパーセルシェルフ支持用内装部材に組み付けた場合には、光源となる電球はパーセルシェルフ支持用内装部材の空間内に位置するが、放熱性の確保などからケースの裏側に電球を覆うようなカバーは設けられていない。そのため、パーセルシェルフ支持用内装部材の外周部とトランクサイドライニングとの間に隙間があると、その隙間から光が漏れてしまうという問題があった。光漏れは美観を損ねることになるため、加工精度を上げるか、遮光物を挟むようにするなどが考えられるが、部品コストが高騰化するという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決して、ライニングの表面に取り付けられる内装部材にライトを一体的に組み付けるものにおいて、ライニングと内装部材との隙間からの光漏れを防止することを実現するために本発明に於いては、車室内側に設けられたライニング(1)の表面(1a)に取り付けられる内装部材(2)に、ライト(4)を一体的に設けたライト付き内装部材であって、前記内装部材(2)が、前記ライニング(1)の表面(1a)との間に空間(3)を有しかつ前記ライニング(1)に当接する全周に渡る外周部を(7)有する形状に形成され、前記ライト(4)の光源(6)が、前記内装部材(2)の前記空間(3)内に受容され、取り付け状態の前記内装部材(2)の裏面(2a)に、前記光源(6)から前記外周部(7)の少なくとも上および両側方に位置する部分に至る光を遮る高さのリブ(8a・8b・8c)が設けられているものとした。
【0008】
特に、前記リブ(8a・8b・8c)は、前記外周部(7)に沿うように延在すると良い。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明によれば、内装部材における外周部のライニング表面への当接部分の形状とライニング表面の対応する部分の形状との関係において、加工誤差や取り付け誤差などにより不一致となる部分があった場合に、その部分に隙間が生じると、内装部材に組み付けられたライトの光源から発せられる光がその隙間を介して外に漏れる虞があるのに対して、光源から発せられて内装部材の外周部に至る光を遮るリブを設けたことから、隙間から光が漏れることを防止できる。これにより、リブを設けるという通常の補強構造で光漏れを簡単に防止でき、加工精度を高めたり別部材の遮光物を用いたりする必要が無く、製品コストを低廉化し得る。
【0010】
特に、内装部材の外周部に沿うようにリブが延在することにより、光源から内装部材の外周部に至る光路に対してリブと外周部とが二重の遮光壁として存在することになり、好適に遮光することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明が適用された自動車のトランクルームにおける要部側面を示す正面図である。図では、例えばハッチバック車の後部トランクの左側面に取り付けられるライニングとしてのトランクサイドライニング1と、そのトランクサイドライニング1の上部近傍に取り付けられた内装部材としてのベース部材2とが示されている。
【0012】
ベース部材2は、合成樹脂材の成形品からなり、トランクサイドライニング1の表面1aとの間に空間3を画定するように薄板を曲成した形状に形成されている。ベース部材2の裏面2aの適所(図示例では4箇所)にはボス部2bが突設されており、トランクサイドライニング1側から各ボス部2bにねじ(図示せず)をねじ込むなどして、トランクサイドライニング1の表面1aにベース部材2が固定されている。
【0013】
またベース部材2には、図2および図3に併せて示されるように、トランクサイドライニング1への取り付け状態でリアパーシェルシェルフ9の端部を載置し得る顎部2cが形成されている。その顎部2cにおけるトランクルームの底面に斜め下向きに臨む下壁2dには矩形状開口2eが設けられており、開口2eにはライト4を構成するケース5が嵌合状態に組み付けられている。そのケース5には、下壁2dの下方に臨むレンズ5aが一体に形成されていると共に、レンズ5aの裏側となる空間3内に受容されるように光源としての電球6が一体的に支持されている。なお、ケース5は、放熱性を考慮して、電球6を支持するソケット部5bとレンズ5aとを除いた面が開放された形状に形成されている。
【0014】
したがって、電球6から発せられる光は、レンズ5aを通ってトランクルーム内を照明するが、ケース5の開放面から空間3内も照らすことになる。一方、ベース部材2における上記空間3を全周に渡って外囲する外周部7は、取り付け状態でトランクサイドライニング1の表面1aに当接し得るように、表面1aの対応する部分の曲面形状に合わせた曲線形状の縁(表面1aに当接する部分)を有する形状に形成されている。しかしながら、外周部7(の縁)とトランクサイドライニング1の表面1aとの間に加工誤差などによる隙間が生じていた場合には、電球6から発せられた光はその隙間から漏れ出ることになる。
【0015】
それに対して、ベース部材2の裏面2aには、裏面2aからトランクサイドライニング1の表面1aに至るリブ8a・8b・8cが突設されている。リブ8a・8b・8cは、軽量化のため薄肉板状体を曲成した形状のベース部材2の補強を兼ねると共に、図示例では電球6の図1における上側および左右の両側方側の3方を外囲するコ字状に連続して延在するように設けられている。
【0016】
図2に示されるようにリブ8aにあっては、電球6から空間3内に発せられた光において例えば図の右方に向かって外周部7(の縁)に至る光L1の光路を横切るように設けられており、かつ裏面2aからの高さが、光L1の向かう外周部7の対応する部分の高さよりも高くされている。したがって、光L1はリブ8aにより遮られてその光路の先に位置する外周部7に至らない。なお、高さの基準として光L1の光路から裏面2a側への突出量として考えることができ、その場合には外周部7の対応する部分の高さを0として、光L1の光路を横切るリブ8aが光L1の光路よりも裏面2a側へ突出(>0)していれば良い。
【0017】
これにより、表面1aと外周部7の当接部分との間に隙間が生じていても、漏れ出る光が生じない。なお、リブ8aの突出端と表面1aとの間には加工誤差や組み付け誤差などにより隙間が皆無とはならないが、その隙間から漏れ出る光は僅かであり、また漏れ出て外周部7に向かう光は電球6から直進する光ではないため、表面1aと外周部7の当接部分との隙間から漏れ出る光はほとんど無いと言える。
【0018】
同様に、図2の左方に向かう光L2の光路を横切るリブ8bが設けられ、図3の上方に向かう光L3の光路を横切るリブ8cが設けられており、それぞれ上記リブ8aと同じ作用効果を奏し得る。
【0019】
なお、外周部7におけるレンズ5a側(下側)に向かう光を遮るためのリブを設けていないが、外周部7のレンズ5a側となる部分から光が漏れ出たとしても、レンズ5aからの照射方向となる下向きのため、通常上方から見ることになる使用状態においてその光漏れは視界に入らず、また照射方向と同方向のため特に遮光しなくても問題が無いためである。
【0020】
また、リブ8a・8b・8cは対応する外周部7に沿うように設けられている。これにより、電球6をまずリブ8a・8b・8cで外囲し、さらに外周部7で外囲する二重壁構造となり、リブ8a・8b・8cと表面2aとの間で光漏れが生じてもその漏れ出る光は減衰され、さらに外周部7に隙間が生じていてもそこから漏れ出る光は減衰されるため、外周部7の隙間から外に漏れ出る光は外観上気にならない程度になる。
【0021】
なお、図示例では、リブ8a・8b・8cがトランクサイドライニング1の表面1aに当接するように示されているが、電球6の表面と外周部7とを結ぶ線を遮る高さであれば良く、当接していなくても良い。ベース部材2の取り付け時に、リブ8a・8b・8cの突出端より先に外周部7が表面1aに当接するように、それぞれの裏面2aからの高さが設定されていることにより、外周部7を確実に表面1aに接触させることができ、隙間をできるだけ小さくすることができるため、光漏れ防止に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明が適用された自動車のトランクルームにおける要部側面を示す正面図である。
【図2】図1の矢印II−II線に沿って見た断面図である。
【図3】図1の矢印III−III線に沿って見た拡大断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 トランクサイドライニング(ライニング)
1a 表面
2 ベース部材(内装部材)
2a 裏面
3 空間
4 ライト
6 電球(光源)
7 外周部
8a・8b・8c リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内側に設けられたライニングの表面に取り付けられる内装部材に、ライトを一体的に設けたライト付き内装部材であって、
前記内装部材が、前記ライニングの表面との間に空間を有しかつ前記ライニングに当接する全周に渡る外周部を有する形状に形成され、
前記ライトの光源が、前記内装部材の前記空間内に受容され、
取り付け状態の前記内装部材の裏面に、前記光源から前記外周部の少なくとも上および両側方に位置する部分に至る光を遮る高さのリブが設けられていることを特徴とするライト付き内装部材。
【請求項2】
前記リブは、前記外周部に沿うように延在することを特徴とする請求項1に記載のライト付き内装部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−73361(P2009−73361A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244666(P2007−244666)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】