説明

ラサリジン塩基の精製方法

無色結晶により特徴づけられる結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンおよびラセミN−プロパルギル−1−アミノインダン、同一物を含む薬学的組成物、およびその製造方法および有効性を確認する方法が開示される。また、純粋な液体R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンおよび同一物を含む薬学的組成物、並びにその製造方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本出願は、2008年6月19日に出願された米国仮出願61/132,512の優先権を主張するものであり、その内容は引用により組み込まれる。
【0002】
本出願を通して、種々の出版物および公開特許が引用される。それらの全体に亘るこれら出版物の開示は、引用により本発明に組み込まれ、それにより本発明が属する技術分野の水準がより十分に記載される。
【0003】
[発明の背景]
ラサジリンとしても知られるR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダン(「R−PAI」)は、酵素であるモノアミンオキシダーゼ(「MAO−B」)のB型の選択的阻害剤であることが報告されており、且つパーキンソン病および種々の他の状態の治療において有用である。
【0004】
ラサジリンメシレートは、パーキンソン病を治療するための単独療法剤、もしくは他の治療を伴う補助剤の何れかとして承認されている(例えば、AGILECT(登録商標)、Physician’s Desk Reference (2007)、61st Edition、Thomson Healthcare参照)。
【0005】
ラサジリンの合成は、米国特許5,532,415に開示され、そこにおいて例3は、クロマトグラフィによる分離の後に油としてのラサジリン塩基の回収を記述する。米国特許5,532,415における他の合成例は、その粗形態またはそのラセミ酸形態からラサジリン塩を製造することを示し、それは更に、適切な酸と反応され、薬学的に許容可能な塩が形成される。
【0006】
ラサジリン塩基およびその対応するラセミ塩基の精製についての必要性は、開示されてはおらず、それらはそのような精製のために適切な方法でもない。
【0007】
[本発明の概要]
対象発明は、無色結晶により特徴づけられる結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンおよびラセミN−プロパルギル−1−アミノインダンを提供する。
【0008】
対象発明はまた、無色結晶により特徴づけられる結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンと薬学的に許容可能な担体とを含む薬学的組成物を提供する。
【0009】
対象発明はまた、N−プロパルギル−1−アミノインダンの精製方法を提供し、その方法は、a)かなりの量の固体N−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華装置の昇華貯蔵器に導入すること;b)昇華貯蔵器を冷却し、且つ昇華貯蔵器における真空度を増大すること;c)固体N−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華し、且つN−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華形態から再結晶化するために昇華貯蔵器を加熱すること;d)N−プロパルギル−1−アミノインダンを再結晶化し、それによりN−プロパルギル−1−アミノインダンを精製することを含む。
【0010】
対象発明はまた、結晶性N−プロパルギル−1−アミノインダンと薬学的に許容可能な担体とを含む薬学的組成物の製造方法を提供し、その方法はa)かなりの量の固体N−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華装置の昇華貯蔵器に導入すること;b)昇華貯蔵器を冷却し、且つ昇華貯蔵器における真空度を増大すること;c)固体N−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華し、且つN−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華形態から再結晶化するために昇華貯蔵器を加熱すること;d)再結晶化されたN−プロパルギル−1−アミノインダンを回収すること;およびe)工程d)で回収された再結晶化N−プロパルギル−1−アミノインダンを薬学的に許容可能な担体と組合せて、それによって薬学的組成物を製造することを含む。
【0011】
対象発明はまた、結晶性N−プロパルギル−1−アミノインダンと少なくとも1の薬学的に許容可能な担体とを含む、分配のための薬物製品の有効バッチの生産方法を提供し、その方法はa)薬物製品のバッチを生産すること;b)バッチ中の結晶性N−プロパルギル−1−アミノインダンが無色であるか否かを判定すること;およびc)バッチ中の結晶性N−プロパルギル−1−アミノインダンが無色である場合のみ、分配のための有効なバッチとすることを含む。
【0012】
対象発明はまた、R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを98%より多く含む単離された液体R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを提供する。
【0013】
対象発明はまた、HPLCによる98%より多い純粋のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンで特徴づけられる液体R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを含む薬学的組成物をまた提供する。
【0014】
対象発明はまた、単離された液体R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを製造する方法を提供し、その方法は、
a)かなりの量のN−プロパルギル−1−アミノインダン塩基を昇華装置の昇華貯蔵器に導入すること;
b)昇華貯蔵器を冷却し、且つ昇華貯蔵器における真空度を増大すること;
c)N−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華し、且つN−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華形態から再結晶化するために、昇華貯蔵器を加熱すること;
d)昇華ヘッドからの再結晶化されたN−プロパルギル−1−アミノインダンと、加熱され液体に収集された昇華されたラサジニン塩基を収集すること;
e)液体ラサジリン塩基を溶媒と混合すること;
を含む。
【0015】
対象発明はまた、単離された液体N−プロパルギル−1−アミノインダンを製造する方法を提供し、その方法は、
a)かなりの量の粗N−プロパルギル−1−アミノインダンを蒸留装置に導入すること;
b)蒸留装置の真空度を増大すること;
c)N−プロパルギル−1−アミノインダンを蒸発するために蒸留装置を加熱すること;
d)蒸留された液体N−プロパルギル−1−アミノインダンを収集すること;
e)収集された液体N−プロパルギル−1−アミノインダンを溶媒と混合すること;
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、60℃での液体ラサジリン塩基の蒸発/昇華比における圧力の影響を示す。
【図2】図2は、固体ラサジリン塩基昇華率における圧力および温度の影響を示す。
【図3】図3は、昇華のために使用されてよい例示的な装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[発明の詳細な説明]
ラサジリンおよびラセミPAI塩基精製のための昇華の使用および利点は、従来においては開示されていない。
【0018】
対象出願は、無色結晶により特徴づけられる結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンおよびラセミN−プロパルギル−1−アミノインダンを提供する。
【0019】
対象出願はまた、無色結晶により特徴づけられる結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンと薬学的に許容可能な担体とを含む薬学的組成物を提供する。
【0020】
無色によって、結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンが、ここで述べられる昇華による精製工程の後において、より白色であることを意味する。
【0021】
1つの態様において、薬学的組成物は、経口投与のために製剤化される。もう1つの態様において、薬学的組成物は、経皮的適用のために製剤化される。さらにもう1つの態様において、薬学的組成物は経皮用パッチの形態にある。
【0022】
対象発明はまた、N−プロパルギル−1−アミノインダンの精製方法を提供し、その方法は、a)かなりの量の固体N−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華装置の昇華貯蔵器に導入すること;b)昇華貯蔵器を冷却し、昇華貯蔵器において真空度を増大すること;c)固体N−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華し、且つN−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華形態から再結晶化させるために昇華貯蔵器を加熱すること;および再結晶化されたN−プロパルギル−1−アミノインダンを回収し、それによってN−プロパルギル−1−アミノインダンを精製すること;を含む。
【0023】
1つの形態において、昇華貯蔵器は35℃−200℃の間に加熱される。もう1つの態様において、昇華貯蔵器は45℃−100℃の間に加熱される。更なるもう1つの態様において、昇華貯蔵器は55℃−75℃の間に加熱される。更なるもう1つの態様において、昇華貯蔵器は60℃−70℃の間に加熱される。更なるもう1つの別の態様において、昇華貯蔵器は60℃−100℃の間に加熱される。更なるもう1つの態様において、昇華貯蔵器は60℃に加熱される。
【0024】
1つの態様において、昇華貯蔵器での圧力は20mbarまたは20mbar以下である。別の態様において、昇華貯蔵器での圧力は10mbarまたは10mbar以下である。
【0025】
さらに別の態様において、昇華貯蔵器での圧力は5mbarまたは5mbar以下である。さらに別の態様において、昇華貯蔵器での圧力は3mbarまたは3mbar以下である。さらに別の態様において、昇華貯蔵器での圧力は2mbarまたは2mbar以下である。
【0026】
態様において、昇華貯蔵器は35℃−200℃の間に加熱され、かつ昇華貯蔵器での圧力は20mbarまたは20mbar以下である。別の形態において、昇華貯蔵器は45℃−100℃の間に加熱され、かつ昇華貯蔵器での圧力は10mbarまたは10mbar以下である。さらに別の形態において、昇華貯蔵器は55℃−75℃の間に加熱され、かつ昇華貯蔵器での圧力は5mbarまたは5mbar以下である。さらに別の形態において、昇華貯蔵器は60℃−70℃の間に加熱され、かつ昇華貯蔵器での圧力は3mbarまたは3mbar以下である。さらに別の形態において、昇華貯蔵器は60℃−100℃の間に加熱され、かつ昇華貯蔵器での圧力は3mbarまたは3mbar以下である。さらに別の形態において、昇華貯蔵器は60℃−70℃の間に加熱され、かつ昇華貯蔵器での圧力は2mbarまたは2mbar以下である。さらに別の形態において、昇華貯蔵器は60℃−100℃の間に加熱され、かつ昇華貯蔵器での圧力は2mbarまたはそれ以下である。
【0027】
対象発明または、結晶性N−プロパルギル−1−アミノインダンおよび薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物の製造方法をまた提供し、その方法はa)かなりの量の固体N−プロパルギル−l−アミノインダンを昇華装置の昇華貯蔵器に導入すること;b)昇華貯蔵器を冷却し、且つ昇華貯蔵器で真空度を増大すること;c)固体N−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華し、且つN−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華形態から再結晶化するために昇華貯蔵器を加熱すること;d)再結晶化されたN−プロパルギル−1−アミノインダンを回収すること;およびe)工程d)で回収された再結晶化されたN−プロパルギル−1−アミノインダンを薬学的に許容可能な担体と組合せ、それによって薬学的組成物を製造することを含む。
【0028】
対象発明はまた、結晶性N−プロパルギル−1−アミノインダンと少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体とを含む分配のための薬物製品の有効バッチの生産方法をまた提供し、その方法はa)薬物製品のバッチを生産すること;b)バッチ中の結晶性N−プロパルギル−1−アミノインダンが無色であるか否かを判定すること;およびc)バッチ中の結晶性N−プロパルギル−1−アミノインダンが無色である場合のみ、分配のために有効なバッチとすること;を含む。
【0029】
対象発明はまた、98%より多いR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを含む単離された液体R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを提供する。
【0030】
1つの態様において、単離された液体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンは、99,8%より多いR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを含む。
【0031】
1つの態様において、単離された液体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンは100%のR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを含む。
【0032】
対象発明はまた、HPLCにより98%より高い純粋のR(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンにより特徴づけられた液体R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンを含む薬学的組成物を提供する。
【0033】
1つの態様において、薬学的組成物、99.8%より多いR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの純度のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンで特徴づけられる単離された液体R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダン。
【0034】
別の態様において、薬学的組成物、単離された液体R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンは100%R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの純度のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンにより特徴づけられる。
【0035】
1つの態様において、薬学的組成物は経口投与のために製剤化される。
【0036】
もう1つの態様において、薬学的組成物は経皮的適用のために製剤化される。
【0037】
更なるもう1つの態様において、薬学的組成物は経皮的パッチの形態で存在する。
【0038】
対象発明はまた、単離された液体N−プロパルギル−1−アミノインダンの製造方法を提供し、当該方法は、
a)かなりの量のN−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華装置の昇華貯蔵器に導入すること;
b)昇華貯蔵器を冷却し、且つ昇華貯蔵器の真空度を増大すること;
c)N−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華し、且つ昇華形態からN−プロパルギル−1−アミノインダンを再結晶化するために昇華貯蔵器を加熱すること;
d)昇華ヘッドからの再結晶化されたN−プロパルギル−1−アミノインダンと、加熱され液体に収集された昇華されたラサジリン塩基を収集すること;および
e)液体ラサジリン塩基を溶媒と混合すること;
を含む。
【0039】
当該方法の1つの態様において、工程a)において、昇華貯蔵器は、35℃−200℃まで加熱される。
【0040】
当該方法のもう1つの態様において、昇華貯蔵器は60℃n加熱される。
【0041】
当該方法の更なるもう1つの態様において、工程b)において、昇華貯蔵器での圧力は、20mbarまたは20mbar以下である。
【0042】
当該方法の更なるもう1つの態様において、昇華貯蔵器の圧力は3mbarまたは3mbar以下である。
【0043】
当該方法の更なるもう1つの態様において、工程e)において、溶媒は薬学的に許容可能な溶媒である。
【0044】
更なるもう1つの態様において、溶媒はエタノールである。
【0045】
対象発明はまた、単離された液体N−プロパルギル−1−アミノインダンの製造方法を提供し、当該方法は、
a)かなりの量の粗N−プロパルギル−1−アミノインダンを蒸留装置に導入すること;
b)蒸留装置の真空度を増大すること;
c)N−プロパルギル−1−アミノインダンを蒸留するために蒸留装置を加熱すること;
d)蒸留された液体N−プロパルギル−1−アミノインダンを収集すること;
e)収集された液体N−プロパルギル−1−アミノインダンを溶媒と混合すること;
を含む。
【0046】
当該方法の態様において、工程a)において、蒸留装置は、35℃−55℃まで加熱される。
【0047】
当該方法のもう1つの態様において、蒸留装置は、40℃に加熱される。
【0048】
更なるもう1つの態様において、
当該方法の更なるもう1つの態様において、工程b)において、蒸留装置における圧力は、20mbarまたは20mbar以下である。
【0049】
当該方法の更なるもう1つの態様において、蒸留装置における圧力は3mbarまたは3mbar以下である。
【0050】
当該方法の更なるもう1つの態様において、工程e)において、溶媒は薬学的に許容可能な溶媒である。
【0051】
当該方法の更なるもう1つの態様において、薬学的に許容可能な溶媒はエタノール、PEG 400、植物油またはグリセロールである。
【0052】
当該方法の更なるもう1つの態様において、薬学的に許容可能な溶媒は、PEG 400である。
【0053】
35℃−200℃の温度により、その範囲に含まれる全ての小数点以下第1位と整数の摂氏度が本発明の特異的な一部であることを意味する。従って、35.1、35.2、35.2℃・・・199.8、199.9、および36、37、38℃、・・・197、198、199℃が、本発明の態様として記載される。同様に、20mbarまたは20mbar以下の圧力によって、その範囲に含まれる全ての小数点以下第1位と整数のパーセンテージが特異的に本発明の一部分として開示されることを意味する。従って、19.9、19.8、19.7mbar・・・および19、18、17mbar・・・などが、本発明の態様として含まれる。
【0054】
ここにおいて使用される場合、「PAI」はN−プロパルギル−1−アミノインダンをいう。
【0055】
ここにおいて使用される場合、「原体(drug substance)」は、薬物製品における活性成分をいい、薬理学的活性または疾患の診断、治療法、緩和または予防における他の直接的な影響を提供するか、或いはヒトまたは動物の何れかの機能の構成に影響を与える。
【0056】
ここにおいて使用される場合、「薬物製品」は、最終単位投与量形態における薬学的組成物をいい、原体および少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体を含む。
【0057】
ここにおいて使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」は、担体または賦形剤をいい、これは、甚だしい有害な副作用(例えば、毒性、炎症およびアレルギー応答など)を伴わずにヒトおよび/または動物での使用のために適切であり、妥当な利益/リスク比で釣り合っている。
【0058】
ここにおいて使用される場合、「安定性試験」は、特定の間隔および種々の環境条件(例えば、温度および湿度)で行われる試験をいい、その設計された貯蔵寿命の期間に亘り、薬物製品が劣化しないか否か、およびどの程度劣化したかを見るために行われる。当該試験の特定の条件および時間は、薬物製品がそれらの貯蔵寿命に亘り遭遇することが予想される条件を加速するような条件および時間である。
【0059】
R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンは、2つのシータ±0.2の範囲で8.5、12.6、16.1および16.9でのピークを有する粉末X線回折パターンにより特徴づけられる結晶性形態で得られる。更に、2つのシータ±0.2の範囲で20.3、20.9、25.4、26.4および28.3でピークを有する粉末X線回折パターン;または38−41℃の融点により特徴づけられる。
【0060】
結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの製造方法は、: a) R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの塩を水に溶解して溶液を形成すること;b)約0−15℃の温度に前記溶液を冷却すること;c)前記溶液を約11のpH値にまで塩基性化して懸濁液を形成すること;およびd)前記懸濁液から当該結晶性ラサジリンR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンをえること;を含む。
【0061】
更なる結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの製造方法は、a)液体R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの第1の有機溶液を得ること;b)当該溶媒を第1の有機溶液から減圧下で完全に蒸発させて、残渣を得ること;c)当該残渣を第2の溶媒に溶解して、第2の有機溶液を得ること;d)減圧下で第2の有機溶液から第2の有機溶媒を完全に蒸発して第2の残渣を形成すること;およびe)当該第2の残渣を0−25℃の温度で維持することにより、結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを形成すること;を含む。
【0062】
更にもう1つの結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの製造方法は、a)水可溶性有機溶媒中のR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの溶液を得ること;b)前記溶液を水と合わせること;c)前記溶液を0−20℃の温度に冷却して結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを形成すること;およびd)結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを単離すること;を含む。
【0063】
結晶性ラサジリン塩基は、多くのラサジリン塩、特に、メシレート塩(これは水可溶性である)などよりも低い水溶解性である。ラサジリンメシレートの水での溶解度は、共に25℃での測定で、pH6.7で92mg/mlであり、pH3.3で570mg/mlである。同じ温度で、ラサジリン塩基の水での溶解度は、pH11で5.5mg/mlである。
【0064】
結晶性ラサジリン塩基は、ラサジリン塩、例えば、ラサジリンメシレートまたはラサジリン酒石酸塩を獲得するために使用される合成中間体として使用されてよい。当該結晶性ラサジリン塩基は、溶媒において溶解されてもよく、酸と反応して、薬学的に許容可能な酸付加塩を形成してもよい。ラサジリン塩基の結晶化は、更なる酸付加塩の精製を提供する。
【0065】
水溶解性は、多くの場合、活性な薬学的成分、特に、経口用組成物を製剤化する場合に重要な特徴である。時には、活性な薬学的成分の親油性が、他の薬学的組成物を製剤化する際に要求される。結晶性ラサジリン塩基は、水での低溶解性が望まれる薬学的組成物を製剤化するために使用されてもよい。例えば、経皮投与のための組成物が親油性化合物から製剤化される。そのような経皮用組成物は、軟膏、クリームおよびパッチを含む。
【0066】
経口単位投与量形態の製剤化のために使用されてよい薬学的に許容可能な担体および賦形剤の特定の例は、例えば、2000年10月3日発行のPeskinらへの米国特許6,126,968に記載される。本発明において有用な単位投与量形態を形成するための技術および組成は、以下の参考文献において記載される;7 Modern Pharmaceutics, Chapters 9 and 10 (Banker & Rhodes, Editors、1979); Pharmaceutical dosage forms: Tablets (Lieberman et al., 1981); Ansel, Introduction to Pharmaceutical dosage forms 2nd Edition (1976); Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed. (Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1985); Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton, Trevor Jones, Eds., 1992); Advances in Pharmaceutical Sciences Vol 7. (David Ganderton, Trevor Jones, James McGinity, Eds., 1995); Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical dosage forms (Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Series 36 (James McGinity, Ed., 1989); Pharmaceutical Particulate Carriers: Therapeutic Applications: Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 61 (Alain Rolland, Ed., 1993); Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract (Ellis Horwood Books in the Biological Sciences. Series in Pharmaceutical Technology; J. G. Hardy, S. S. Davis, Clive G. Wilson, Eds.); Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 40 (Gilbert S. Banker, Christopher T. Rhodes,Eds.)。
【0067】
錠剤は、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動誘導剤および溶解剤(melting agents)を含んでよい。例えば、経口投与のための錠剤またはカプセルの単位投与量形態において、活性薬物化合物は、経口、非毒性、薬学的に許容可能な、不活性担体、例えば、ラクトース、ゼラチン、寒天、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロール、と組み合わせることが可能である。適切な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えば、グルコースまたはβ−ラクトース、コーンスターチ、天然および合成ゴム、例えば、アラビアゴム、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどを含む。これらの単位投与量形態において使用される滑沢剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルクなどを含む。崩壊剤は、これらに限定するものではないが、デンプン、メチルセルロール、寒天、ベントナイト、キサンタンガム、クロスカルメロースナトリウム(croscarmellose sodium)、スターチグリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)などを含む。
【0068】
米国特許6,126,968は、引用によりその全体の内容がここにおいて組み込まれ、これは、PAIを含む製剤の安定性が、比較的な量のあるアルコールの組み合わせにより、有意に改善されたことを開示する。特に、アルコールは、ペンタハイドリックアルコールまたはヘキサハイドリックアルコールの群から選択される(米国特許6,126,968)。アルコールは、典型的にマンニトール、キシリトールまたはソルビトールから選択される(米国特許6,126,968)当該組成物は更にクエン酸を含んでもよい(米国特許6,126,968)。
【0069】
R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンは、例えば、WO95/11016の例6Bにおいて記載される方法に従って製造されてもよい。
【0070】
経皮用製剤および経皮用パッチ
経皮用製剤は、皮膚に配置される接着性のパッチに処方され、皮膚を介して血流に薬物の時間放出用量を送達する。広範な種類の医薬、例えば、禁煙のためのニコチン、動揺病のためのスコポラミン、月経停止のためのエストロゲン、および骨粗鬆症の予防、狭心症のためのニトログリセリン、帯状疱疹による痛み緩和のためのリドカインなど、が経皮パッチを介して送達される。幾つかの医薬は、それらの皮膚への浸透性の能力を増大するために、他の物質、例えば、アルコールと組み合わされる。しかしながら、インスリンの分子および多くの他の医薬は皮膚を介する通貨が大きすぎる。経皮パッチは、幾つかの重要な成分を有し、保存中にパッチを保護するための裏打ち、薬物、接着剤、(貯蔵器からの薬物の放出を制御するための)膜、外部環境からパッチを保護するための裏あてを含む。2つの最も共通する種類の経皮パッチは、マトリックスと貯蔵器タイプである。(「経皮パッチ」 Wikipedia, November 15, 2007, Wikipedia Foundation, Inc., December 13, 2007 http://en.wikipedia.org/wiki/Transderma_patch; and Remington, The Science and Practice of Pharmacy., 20th Edition、2000)。
【0071】
貯蔵器タイプのパッチにおいて、薬物は、非揮発性、不活性液体、例えば、ミネラルオイルなどと組み合わされるのに対して、マトリックスタイプのパッチにおいて薬物は、親油性または親水性のポリマーマトリックス、例えば、アクリル系またはビニル系ポリマーなどに分散される。粘着性ポリマー、例えば、ポリイソブチレンなどは、皮膚上に配置されてパッチを保持するために使用される。(Stanley Scheindlin, (2004) “transdermal drug Delivery: PAST PRESENT、FUTURE,” Molecular Interventions, 4:308−312)。
【0072】
経皮性薬物送達の主な制限は、皮膚の内因性の障壁特性である。浸透増強剤は、多くの場合において経皮性薬物製剤に対して、皮膚表面を乱すために使用され、薬物のより早い送達を齎す。典型的に、浸透増強剤は、高沸騰アルコール、ジオール脂肪酸エステル、オレイン酸およびグリセリドを基礎とする溶媒を含み、一般に20パーセント(w/w)に対して1の濃度で添加される。(Melinda Hopp, “Developing Custom Adhesive Systems for transdermal drug Delivery Products,” Drug Deliver)。
【0073】
ラサジリンはまた、経皮パッチにおいて他の薬物、例えば、レボドパ、L−カルビドパ、バンスラジド(benserazide)、ラドスチジル(ladostigil)またはリルゾール(riluzole)などとの組み合わせにおいて使用されてもよい。
【0074】
実験の詳細
セット1:ラサジリン結晶の初期製造
例1−分離および抽出によるラサジリン塩基の単離
ラサジリンメシレートを、酒石酸塩がNaOHの添加によって分離され、ラサジリン遊離塩基を油として単離したことを除いて、米国特許5,532,415の例6Bに記述されるように実質的に製造した。次に、メシレート塩をメタンスルホン酸の添加によって形成した。
【0075】
120gのサジリンメシレートを700mlの脱イオン水に溶解した。400mlのトルエンを添加し、その混合物を25%NaOH溶液でpH約14に塩基性化した。攪拌後、2つの相を分離した。下位の水相を200mlのトルエンで抽出した。相を分離し、水相を廃棄した。
【0076】
2つのトルエン抽出物を合わせ、溶媒を真空下で蒸留した。ラサジリン塩基の産生は、20℃を下回る融点の帯黄色油を88.5gであった。
【0077】
25.1gの液体ラサジリン塩基が試料採取された。この試料をエタノールに混合し、溶媒を真空下で蒸留した。エタノールの蒸発後、22.6gのラサジリン塩基残渣が帯黄色油の形態で残留した。油形態のラサジリン塩基の形成は、数週間に亘って油に維持され、自然発生的には結晶化しなかった。
【0078】
例2−分離および抽出によるラサジリン塩基の単離
米国特許5,532,415の例6Bに記述されるように実質的に製造された155gのラサジリン酒石酸と例1に記述のように製造された20gのラサジリンメシレートとを800mlの水に溶解した。400mlのトルエンを前記溶液に添加し、その混合物を25%NaOH水溶液でpH約14に塩基性化し、45±5℃に加熱した。
【0079】
攪拌後、2つの相を分離した。下位の水相を45±5℃にて300mlのトルエンで2回抽出した。有機相を合わせ、水相を廃棄した。
【0080】
合わせた有機相を200mlの脱イオン水で洗浄した。次に、溶媒を真空下で蒸留し、50mlイソプロパノールを、その結果として得た残渣に添加した。溶媒を真空により取り除き、50mlイソプロパノールを添加し、次に真空によって取り除いた。100gのシロップ様液体ラサジリン塩基が形成された。
【0081】
例3−水からの分離と自然発生的な結晶化
15gのラサジリンメシレートを150mlの水に攪拌しながら溶解した。その溶液を5℃に冷却し、25%NaOH溶液をゆっくり添加した。添加の間、バッチ温度を3〜5℃の間に維持した。固体沈澱がpH7.5に到達した後に観測された。pH11に到達後、NaOH添加を停止し、バッチを1時間に亘って冷却しながら攪拌し、濾過した。濾過を速やかに行った。その固体生成物をフィルタ上で水で洗浄し、真空下で乾燥した。
【0082】
8.8gの固体乾燥ラサジリン塩基を獲得した。収率は、91.6%であった。固体の融点は38.2−38.4℃と測定された。
【0083】
例4−溶融結晶化
トルエン蒸発後、例1からのシロップ様形態の6gのラサジリン塩基液体を20mlのイソプロパノールに溶解した。その溶液を回転エバポレータを用いて12mbar真空下にて温かい水浴上で完全に溶媒を除去するまで蒸発した。その残渣を次に更なる20mlのイソプロパノールに溶解し、蒸発を繰り返した。その得られた残渣は、僅かな時間の後に室温にて自然発生的に結晶化した。その固体結晶性残渣をラサジリン塩基であると測定した。5.2gの固体結晶性塩基を獲得した。収量は、定量的であった。
【0084】
例5−ラサジリンエタノーリック溶液の水への添加
例1からの2.4gのラサジリン塩基を2.4gのエタノールに溶解した。溶液を攪拌しながら、5mlの冷水(0−5℃)に滴加し、その添加中に白色沈澱物が形成された。得られた混合物を約30分間に亘って冷却しながら、攪拌し、濾過した。濾過を速やかに行い、固体生成物を真空下で一定量にまで乾燥した。
【0085】
2.15gの固体結晶性ラサジリンが89.6%の収率で獲得された。
【0086】
分析:HPLC〜100%によるクロマトグラフィ純度、HPLC−99.0%による力価評価(assay)
例6−水に対するラサジリンのエタノール性溶液への添加
溶液を室温で攪拌し、4.5mlの水を添加した。沈澱は全く生じなかった。得られた溶液を冷却し、12℃で白色物質の沈澱が観測された。混合物を0℃まで冷却し、この温度で30分間攪拌し、濾過した。濾過は迅速に進めた。固体生成物をフィルタ上にて水で洗浄し、真空下で乾燥した。
【0087】
2.72の固体結晶性ラサジリンが90.0%の収率で、獲得された。
【0088】
分析:HPLC〜100%によるクロマトグラフィ純度、HPLC−100.0%による力価評価。
【0089】
例7−ラサジリンのイソプロパノール性溶液の水への添加
例1からの8.2gのラサジリン塩基を10mlのイソプロパノールに溶解し、溶液を室温で攪拌した。14mlの水を添加した。沈澱は全く起きなかった。得られた溶液を冷却し、17℃で白色物質の沈澱が観測された。混合物を0℃まで冷却し、20mlの脱イオン水を混合物に添加し、混合物をさらに〜0℃まで冷却し、この温度で30分間攪拌し、濾過した。
【0090】
濾過は迅速に進めた。固体生成物をフィルタ上にて水で洗浄し、真空下で乾燥した。
【0091】
5.96の固体結晶性ラサジリンが72.7%の収率で、獲得された。
【0092】
分析:HPLC〜100%によるクロマトグラフィ純度、HPLC−99.7%による力価評価
例8−水のラサジリンのイソプロパノール性溶液への添加
収穫物A
148gのラサジリン塩基(例1から48.0gおよび例2から100.0g)を180mlのイソプロパノールに溶解した。溶液を17℃に冷却し、252mlnの脱イオン水をこの温度で添加した。溶液を10℃に冷却し、かつ固体ラサジリン塩基で種晶を入れた。迅速な結晶化が観測された。100mlの水をそれから混合物に添加した。混合物を1℃に冷却し、この温度で30分間攪拌し、濾過した。固体をフィルタ上で200mlの水にて洗浄し、真空下で乾燥した。
【0093】
138.9gの結晶ラサジリンを収率93.8%で獲得した。開毛細管での融点は39.0−39.2℃であると測定された。
【0094】
分析:HPLC〜100%によるクロマトグラフィ純度、HPLC−98.5%による力価評価
収穫物B
収穫物Aからの母液および洗浄液を併用し、固体生成物が混合物から沈澱された。帯黄色物質をフィルタで分離し、真空下で乾燥した。
【0095】
1.5gの固体、結晶性ラサジリン塩基、を収率1.0%で、獲得した。
【0096】
考察
例3−8で合成された固体結晶ラサジリン塩基は、高純度であることが分かった。
【0097】
同じ融点値(示差走査カロリーメータ(DSC)により41℃、または開毛細管で38−39℃)を結晶性ラサジリン塩基の全てのバッチに対して測定した。低レベルの揮発性物質がカールフィッシャ(KF)によって、および熱重量分析(TGA)法によって分かった。これは、結晶性ラサジリン塩基が吸湿性でないことを示す。
【0098】
結晶性ラサジリン塩基は極性および非極性有機溶媒−アルコール、アセトン、エチルアセトン、トルエン、ジエチルエーテル、ジオクサン、ヘキサンおよびn−ヘプタンに大量に溶解可能に見出される。
【0099】
固体ラサジリン塩基の全てのバッチは粉末X線回折(XRD)およびDSC法によって高結晶性と見出される。特徴的なXRDおよびフーリエ変換赤外分光(FTIR)パターン、再現可能狭溶融範囲およびエンタルピーは例3−8からの全ての実験バッチの同じ多形組成物を示す。結晶形はI型として設計された。
【0100】
使用されるX線回折装置は、シンタッグX線粉末回折計モデルX’TRA, Cu管, ソリッドステート検出器であった。
【0101】
試料ホルダー:25(径)×0.5(深さ)mmのキャバティを有するラウンドゼロバックグラウンドクオーツプレートを持伴うラウンドスタンダードアルミニウム試料ホルダー。
【0102】
走査パラメータ:範囲:2−40°2θ。
【0103】
走査モード:連続走査。
【0104】
ステップサイズ:0.05deg.
速度:5 deg./min。
【0105】
例4によって製造される試料のピークは、下に掲げる。最も特徴的なピークは太字で掲載される。
【表A】

【0106】
試料のFTIR分析は次のように遂行される。
【0107】
装置:パーキンエルマースペクトル1つのFT−IR分光計S/N 58001。
【0108】
パラメータ:サンプルをDRIFTモードで調査した。全てのスペクトルを16走査で測定した。分解:4.0 cm−1
【0109】
この研究で製造された固体ラサジリン塩基の全ての試料は、白色結晶性粉末(帯黄色粉末として単離される例からの収穫物Bの除去を持つ)として現れる。顕微鏡観測は結晶化条件が粒子サイズおよび形態学に強く影響することを示す。シード結晶化は自然発生的析出が小さな凝集粒子の形態をもたらす間に、大きな規則的凝集結晶を提供する。
【0110】
上の例からの結晶性ラサジリン塩基の形態学および粒子サイズを、下記表に示す。形態学および粒子サイズは、顕微鏡観測から測定される。
【表B】

【0111】
例9,10および11のための出発物質:
(1)〜10−15%残留溶媒および0.7%S−異性体を含む湿潤サジリンヘミ酒石酸。
【0112】
(2)ラセミRAI塩基,油,PAI含有量− HPLCによる94%。
【0113】
例9−イソプロパノール−水からの分離および沈殿、種入れエマルジョン結晶化
70.0gのラサジリン酒石酸塩(1)を撹拌にて320ml脱イオン水で懸濁した。懸濁液を加熱し、31mlの25%NaOH水溶液を160mlトルエンと共に添加した。混合物を撹拌し、結果として得られたエマルジョンを静置した。2つの相を分離した。水相(pH=13−14)を廃棄した。上部トルエン相を45℃にて100ml脱イオン水で洗浄し、静置した。下部水相(pH=9−10)を廃棄した。
【0114】
トルエニック溶液をエバポレータで真空下にて蒸発し、溶媒蒸発完了後に50mlイソプロパノールを残渣に添加し、蒸発を続行した。
【0115】
蒸発完了後、25mlイソプロパノールを添加し、同様な条件下で蒸留した。
【0116】
残渣、R−PAI塩基(33.9g)の油を41mlイソプロパノールに溶解した。
【0117】
溶液を15℃に冷却し、58mlの脱イオン水を冷却および撹拌しながら、2時間掛けて分割して添加した。水の添加の間に、油状沈殿物を形成した。水中の油の結果として得られたエマルジョンを1−3℃で1時間撹拌し、結晶化が全く観察されなかった。
【0118】
バッチを1−3℃にて結晶性ラサジリン塩基で種入れし、速やかな発熱を伴う結晶化を行った50mlの水を得られたスラリーに添加し、攪拌能および流動能を改善した。当該バッチを更に30分間攪拌し、濾過した。その固体を水で洗浄し、室温、減圧下で乾燥した。
【0119】
31.5gの固体乾燥R−PAI塩基を油ベース上に92%の収率で獲得した。図11はラサジリン塩基の顕微鏡写真を示す。
【0120】
分析:融点(DSCによる)−40.8%,HPLC 0.02%によるS−異性体、HPLC−100%のよる純度、HPLC−98%による力価評価
例10−イソプロパノール−水からの分離および沈殿、溶液イソプロパノール−水からの種入れ結晶化
100.0gのラサジリン酒石酸 (1)を458ml脱イオン水に懸濁し、229mlトルエンを添加し、46mlの25%NaOH溶液を撹拌しながら導入した。混合物を45℃に加熱し、45℃で15分間撹拌し、この温度で静置した。
【0121】
2つの相を分離した。底部水相(pH=13−14)を廃棄し、上部トルエン相を140ml脱イオン水で洗浄した。結果として得られたエマルジョンを静置し、2つの相を分離した。下部水相(pH=9−10)を廃棄し、トルエン溶液をエバポレータにて真空下で蒸発した。
【0122】
溶媒蒸発完了後、60mlイソプロパノールを残渣に添加し、蒸発を続行した。
【0123】
蒸発完了後、50mlのイソプロパノールを添加し、同様な条件下で蒸留した。
【0124】
残渣、R−PAI塩基の油(46.4g)を56mlイソプロパノールに溶解した。
【0125】
溶液を16℃に冷却し、147.5mlの脱イオン水を冷却、撹拌しながら3時間掛けて分割して添加した。水の添加の間に、沈殿形成が観測され、バッチを速やかに結晶性R−PAI塩基で種入れした。
【0126】
結果として得られた懸濁液を2℃に冷却し、この温度で一昼夜撹拌し、濾過した。固体を水で洗浄し、真空下、室温で乾燥した。
【0127】
48.1gの固体乾燥R−PAI塩基を油ベース上に96%の収率で獲得した。図12はこのラサジリン塩の顕微鏡写真である。
【0128】
分析:融点(DSCによる)−41.3%,HPLC0.01%によるS−異性体、HPLC−100%のよる純度、HPLC−96%による力価評価
例11−イソプロパノール−水からのラセミPAI塩基結晶化(AF−8026)沈殿
51.0gのラセミPAI塩基油(2)を50mlイソプロパノールに溶解した。溶媒をエバポレータにて真空下で溶液から蒸留した。
【0129】
残渣(49.4g)を60mlイソプロパノールに溶解し、撹拌し、冷却した。156mlの脱イオン水を冷却、撹拌しながら3時間掛けて分割して添加した。水の添加の間に、脂状沈殿物を形成した。バッチを結晶性ラサジリン塩基で種入れし、結晶化が全く観測されなかった。
【0130】
水中の油の結果として得られたエマルジョンを3℃で1時間撹拌し、結晶化が全く観測されなかった。
【0131】
バッチは、1℃で一昼夜撹拌する間に自然発生的に結晶化された。固体を濾過したが、濾過の間に融解が始まった。室温で固体生成物を1−2分間、フィルタ上で完全に液化した。
【0132】
物質は融解完了前に試料採取された。
【0133】
分析:HPLC49.4%によるS−異性体、HPLC−87%のよる力価評価
考察
上に表された例9,10および11は、室温で結晶化するための能力が純粋ラサジリン塩基(R−異性体)の内因性特性であることを示す。ラセミPAI塩基は室温にて液体形態でのみ存在し、その融点は1と18℃の間である(例11)。
【0134】
例は、またS−異性体で汚染されるラサジリン塩基の結晶化が結晶化された生成物の十分な精製を提供することを示す。0.7%のS−異性体を含む出発物質を0.01−0.02%のS−異性体のみを持つ固体結晶性ラサジリン塩基に処理した。
【0135】
緩慢に種晶を入れる10−16℃での結晶化(例9)は、1−3℃での結晶化した場合(例10)よりも、ラサジリン塩基の特に高粒子サイズを提供する。
【0136】
例9,10および11はまた先の例に記載されたように、結晶化された生成物の粒子サイズで同様な傾向を示す。10-16℃での緩慢な種入れ結晶化(例9)は1-3℃でのエマルジョン結晶化(例10)に比べてラサジリン塩基のより高い粒子サイズを提供する。
【0137】
結論
上記の実験は、結晶性 R(+)-N-プロパルギル-1-アミノインダンの多様な方法を証明する。
【0138】
結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの第1の製造方法は、a)R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの塩を水に溶解して溶液を形成すること;b)前記溶液を約0−15℃の温度に冷却すること;c)前記溶液をpH約11に塩基性化し、懸濁液を形成すること;およびd)前記結晶性ラサジリンR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを当該懸濁液から得ること;を含む。
【0139】
もう1つの結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの製造方法は、a)液体R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの第1の有機溶液を得ること;b)当該溶媒を当該第1の有機溶液から減圧下で完全に蒸発させて、残渣を得ること;c)当該残渣を第2の溶媒に溶解して、第2の有機溶液を得ること;d)減圧下で当該第2の有機溶液から当該第2の有機溶媒を完全に蒸発して第2の残渣を形成すること;およびe)当該第2の残渣を0−25℃の温度で維持することにより、結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを形成すること;を含む。
【0140】
更にもう1つの結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの製造方法は、a)水可溶性有機溶媒中の結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの溶液を得ること;b)前記溶液を水と合わせること;c)前記溶液を0−20℃の温度に冷却して結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを形成すること;およびd)結晶性R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを単離すること;を含む。
【0141】
得られれた結晶性 R(+)-N-プロパルギル-1-アミノインダンは、2つのシータ±0.2の範囲で8.5、12.6、16.1および16.9でのピークを有する粉末X線回折パターンにより特徴づけられる。
【0142】
結晶性ラサジリン塩基は更に、2つのシータ±0.2の範囲で20.3、20.9、25.4、26.4および28.3でピークを有する粉末X線回折パターン;または38−41℃の融点により特徴づけられる。
【0143】
結晶性ラサジリン塩基は更に、開毛細管において測定された場合の38−39℃、または示唆操作カロリーメータにより測定された場合の41℃の融点により特徴づけられる。
【0144】
しかしながら、前記の例を使用して得られた結晶性ラサジリン塩基は、無色ではなかった。従って、更に、精製する方法を計画した。
【0145】
セット2:昇華によるN-プロパルギル-1-アミノインダンの精製
例12−2−3mbarおよび21℃の温度でのラサジリン塩基の昇華
約4グラムのラサジリン塩基を標準的なシグマ−アルドリッチガラス昇華装置(standard Sigma-Aldrich glass sublimation apparatus, (Cat. No. Z221171-1EA))の内部直径3cmの昇華貯蔵器に導入した。この装置は、真空ポンプ、バキュメーターおよび装置の昇華ヘッドを冷却するための還流氷水浴を装備する。装置を次に閉じて、0−1℃で冷却剤の循環を開始した。真空度を圧力(「P」)を2−3mbarに増大させて、貯蔵器を温度(「T」)21度で維持された恒温水浴に導入した。
【0146】
当該方法は、昇華ヘッドにおいて形成される昇華した固体の視覚的観察により制御された。昇華が完了した後に、操作時間を記録し、装置を開けて昇華された固体をヘッドから除去して重量を測定した。
【0147】
昇華率の平均値は以下のように計算した。
【0148】
平均昇華率Rs1:Rs1=m/M・t [gg−1hr−1
平均昇華率Rs2:Rs2=m/S・t [gm−2hr−1
平均昇華率R:R=m・100/M・t [%/hr]
m −昇華された物質の質量, g
M =出発物質の質量, g
t =昇華時間, hrs
S =昇華領域(装置セクション領域), m
8時間後、10mgの昇華されたラサジリン塩基を、収量0.25%で獲得した。平均昇華率はRs1=3.12x10−5gg−1hr−1;Rs2=1.333gm−2hr−1;およびR=0.0312%/hrであった。
【0149】
例13− 2−3mbar圧力および35℃温度でのラサジリン塩基の昇華
T=35℃であることを除いて、例1からの例示的な工程を使用した。
【0150】
5.33時間後、25mgの昇華したラサジリンが収率0.62%で獲得された。平均昇華率は、Rs1=1.17x10−3gg−1hr−1;Rs2=4.978gm−2hr−1;およびR=0.116%/hrであった。
【0151】
例14−ラサジリン塩基の2−3mbar圧力および60℃温度での昇華
T=60℃であること以外は、例1からの例示的な工程を使用した。60℃で出発ラサジリンは液体であった(融解)。
【0152】
4.0時間後、890mgの昇華されたラサジリンが収量22.4%で獲得された。平均昇華率は、Rs1=5.62x10−2g g−1hr−1;Rs2=236.19gm−2hr−1;およびR=5.6%/hrであった。
【0153】
例15−ラサジリン塩基の20mbar圧力および21℃温度での昇華
P=20mbarであることを除いて、例1からの例示的な工程を使用した。
【0154】
8.5時間後、0mgの昇華されたラサジリンが、収量0.0%で獲得された。平均昇華率は、Rs1=0.0g g−1hr−1;Rs2=0.0gm−2hr−1;およびR=0.0%/hrであった。
【0155】
例16−ラサジリン塩基の40mbar圧力および21℃温度での昇華
P=40mbarであることを除いて、例1からの例示的な工程を使用した。
【0156】
8.5時間後、0mgの昇華されたラサジリンが、収量0.0%で獲得された。平均昇華率は、Rs1=0.0g g−1hr−1;Rs2=0.0gm−2hr−1;およびR=0.0%/hrであった。
【0157】
例17−ラサジリン塩基の40mbar圧力および35℃温度での昇華
T=35℃およびP=35mbarであることを除いて、例1からの例示的な工程を使用した。
【0158】
5.33時間後、8mgの昇華されたラサジリンが、収量0.20%で獲得された。平均昇華率は、Rs1=3.75x10−4g g−1hr−1;Rs2=1.593gm−2hr−1;およびR=0.0375%/hrであった。
【0159】
例18−ラサジリン塩基の20mbar圧力および35℃温度での昇華
T=35℃およびP=20mbarであることを除いて、例1からの例示的な工程を使用した。
【0160】
5.33時間後、11mgの昇華されたラサジリンが、収量0.27%で獲得された。平均昇華率は、Rs1=5.15x10−4g g−1hr−1;Rs2=2.192gm−2hr−1;およびR=0.0506%/hrであった。
【0161】
例19−ラサジリン塩基の40mbar圧力および60℃温度での昇華
T=60℃およびP=40mbarであることを除いて、例1からの例示的な工程を使用した。60℃で出発ラサジリンは液体であった(融解)。
【0162】
5.33時間後、25mgの昇華されたラサジリンが、収量0.62%で獲得された。平均昇華率は、Rs1=1.17x10−3g g−1hr−1;Rs2=4.978gm−2hr−1;およびR=0.116%/hrであった。
【0163】
例20−ラサジリン塩基の20mbar圧力および60℃温度での昇華
T=60℃およびP=20mbarであることを除いて、例1からの例示的な工程を使用した。60℃で出発ラサジリンは液体であった(融解)。
【0164】
5.33時間後、162mgの昇華されたラサジリンが、収量4.1%で獲得された。平均昇華率は、Rs1=7.64x10−3g g−1hr−1;Rs2=4.32.26gm−2hr−1;およびR=0.769%/hrであった。
【0165】
例21−ラサジリン塩基の20mbar圧力および21℃温度での昇華
出発物質がラセミPAI油であり、T=22℃およびP=22mbarであることを除いて、例1からの例示的な工程を使用した。
【0166】
8時間後、0mgの昇華されたラセミPAIが、収量0.0%で獲得された。平均昇華率は、Rs1=0.0g g−1hr−1;Rs2=0.0gm−2hr−1;およびR=0.0%/hrであった。
【0167】
例22−ラサジリン塩基の20mbar圧力および35℃温度での昇華
出発物質がラセミPAI油であり、T=35℃およびP=20mbarであることを除いて、例1からの例示的な工程を使用した。
【0168】
5.33時間後、0mgの昇華されたラセミPAIが、収量0.0%で獲得された。平均昇華率は、Rs1=0.0g g−1hr−1;Rs2=0.0gm−2hr−1;およびR=0.0%/hrであった。
【0169】
例23−ラセミPAI油の2−3mbar圧力および22℃温度での昇華
出発物質がラセミPAI油であり、T=22℃であることを除いて、例1からの例示的な工程を使用した。
【0170】
3.0時間後、10mgの昇華されたラセミPAIが、収量0.25%で獲得された。平均昇華率は、Rs1=8.33gx10−4−1hr−1;Rs2=3.537gm−2hr−1;およびR=0.08%/hrであった。
【0171】
例24−ラセミPAI油の2−3mbar圧力および60℃温度での昇華
出発物質がラセミPAI油であり、T=60℃であることを除いて、例1からの例示的な工程を使用した。
【0172】
1.3時間後、130mgの昇華されたラセミPAIが、収量3.25%で獲得された。平均昇華率は、Rs1=2.50gx10−2−1hr−1;Rs2=101.16gm−2hr−1;およびR=2.5%/hrであった。
【0173】
結果の概要
例の出発物質(固体ラサジリン塩基、融解ラサジリン塩基またはラセミPAI)、昇華条件、昇華後の収量および平均昇華率を以下の表1に列記する。
【表1】

【0174】
考察
データは、ラサジリン塩基およびラセミPAI塩基が同様に昇華能力を有すること、即ち、R−異性体およびラセミ混合物の昇華率は同じであることを示した。
【0175】
昇華されたラセミPAI塩基は、0±1℃では無色結晶であったが、室温ではそれは無色油に液化された。この観察は、この化合物の融点が約8℃であるという知見と矛盾がない。
【0176】
昇華されたラサジリン塩基は、融点39−41℃の大きい(数ミリメートルサイズ)無色結晶として得られ、実験の詳細のセット1において溶液から直接的に結晶化された固体と同じ多形性の変更を有する。
【0177】
ラサジリン塩基およびラセミPAI塩基の昇華率における減圧と温度の影響は、図1および図2においてグラフで示した。
【0178】
図1は、高い減圧(3mbarよりも小さい圧力)および高い温度(60℃および60℃以上)で、高い昇華率が観察されたことを示す。
【0179】
図2は、穏やかな減圧(20mbarよりも高い圧力)および低い温度(22℃よりも低い温度)で、ゼロ昇華率が観察された。
【0180】
結論
昇華は、従来の結晶化方法よりも高い粒子サイズで且つより色の純粋な(無色)結晶性物質を提供する。
【0181】
高い減圧(3mbarよりも小さい圧力)および高い温度(60℃よりも高い温度)がラサジリンおよびラセミPAI塩基の昇華による精製のための条件として適切である。
【0182】
セット3−液体ラサジリン塩基の精製のための方法
以前の特許および出願において論じられた液体ラサジリン塩基(油)は、例えば、処理中間体としてであり、活性な薬学的成分(API)として使用するためには十分に純粋ではない。一般的な液体ラサジリン塩基(油)は、低いラサジリン力価検定(<98%)であり、且つ有機揮発性不純物(OVI)、1−アミノインダン、S−異性体などを含む高濃度の不純物が含まれる。
【0183】
許容可能に純度な液体ラサジリン塩基は、その貯蔵、輸送および特質の混合のために、薬物製品においてAPIとして有用であるであろう。
【0184】
以下、例において記載される手順が、ラサジリン塩基の液体原体の精製および安定化の方法を開示する。
【0185】
許容可能に純度な液体ラサジリン塩基(力価評価>98%)は、低い融点(38−40℃)を有する純粋なラサジリン塩基を融解することと、当該融解物に対して少量の添加物(薬学的に許容可能な溶媒)の添加することにより得られる。得られる液体生成物は、低い温度(2−25℃)では結晶とならず、冷蔵庫内での貯蔵を可能にする。
【0186】
添加物として使用可能である溶媒は、ラサジリン塩基融解物と混和性の薬学的に許容可能な液体であり、エタノール、PEG、植物油、グリセロールなどを含む。添加物の量は、0.5〜50%であってよい。
【0187】
保存剤と抗酸化剤、例えば、BHT、トコフェロール、カロチノイドなどもまた、液体生成物に対して添加されて、化学的安定性を改善できる。
【0188】
例25−昇華により薬学的に純度な安定な液体ラサジリン塩基の製造
4gのラサジリン塩基が、昇華装置の昇華貯蔵器に導入される。次に、当該装置を閉め、冷却剤(氷水)の循環を開始する。次に、真空度を2−3mbarの圧力に増大し、当該貯蔵器を温度調節用水浴に導入する。水浴は60℃まで加熱され、当該固体は昇華され、物質の80−90℃のまでが昇華し、昇華において固体を形成する。
【0189】
昇華が完了した後に、加熱を終了し、当該装置における雰囲気圧を増大し、装置を開放した。
【0190】
昇華固体を伴う昇華ヘッドを、ガラス容器に移し、循環冷却剤の温度を50℃に上昇させて、昇華されたラサジリン塩基を液体に溶解させる。
【0191】
3.2gの液体ラサジリン塩基を得て、サンプルをHPLCによる力価評価と純度について分析した。
【0192】
その後、USPグレードのエタノール0.16g(5.0重量%)を当該液体生成物に対して添加し、混合した。その液体を不活性ガス(窒素)で脱気して、封をした。
【0193】
得られた液体は、室温まで冷却され、凝固または結晶沈殿の兆候なく、+5℃の冷蔵庫内で1週間に亘り貯蔵される。
【0194】
例26−蒸留による薬学的純度の安定な液体ラサジリン塩基の製造
粗ラサジリン塩基(10g)は、ガラス高減圧蒸留ユニットのボトムフラスコに負荷される。
【0195】
そのフラスコは、湯浴により加熱され、コンデンサーおよび蒸留物受け器が水浴からの水の循環により冷却される。
【0196】
真空度(1−2mmHg)が増大される。次に当該ボトムフラスコが、加熱され、循環水の温度は+1〜+10℃の間で維持される。ラサジリン塩基は減圧下で蒸留され始める。
【0197】
低沸騰のヘッドフラクションを回収し、破棄し、その後、循環水の温度を+40℃に上昇し、蒸留物の結晶化を防止する。
【0198】
メインフラクションの蒸留が完了した後に、ボトムフラスコの加熱を停止し、当該システムにおける雰囲気圧を不活性ガス(窒素)で確立した。
【0199】
液体蒸留物は、HPLCによる力価評価と純度についてサンプリングされ、分析される。
【0200】
熱蒸留物(8.5g)を次に、0.39gのPEG400(4.5重量%)と共に、ガラス瓶に移し、混合する。この液体を不活性ガス(窒素)で脱気し、封をする。
【0201】
得られた液体は、室温にまで冷却され、凝固または結晶沈殿の兆候なく、+5℃の冷蔵庫内で1週間に亘り貯蔵される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−プロパルギル−1−アミノインダンの精製方法であって、
a)かなりの量の固体N−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華装置の昇華貯蔵器に導入すること;
b)昇華貯蔵器を冷却し、昇華貯蔵器において真空度を増大すること;
c)固体N−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華し、且つN−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華形態から再結晶化させるために昇華貯蔵器を加熱すること;および
d)再結晶化されたN−プロパルギル−1−アミノインダンを回収し、それによってN−プロパルギル−1−アミノインダンを精製すること;
を含む
方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、
請求項1の方法であって、、wherein the N−プロパルギル−l−アミノインダン is R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダン.
【請求項3】
請求項1の方法であって、当該N−プロパルギル−l−アミノインダンがラセミN−プロパルギル−l−アミノインダンである方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の方法であって、当該昇華貯蔵器が35℃〜200℃に加熱される方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の方法であって、当該昇華貯蔵器が60℃に加熱される方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の方法であって、当該昇華貯蔵器での圧力が20mbarまたは20mbar以下である方法。
【請求項7】
請求項1〜6の方法であって、当該昇華貯蔵器での圧力が3mbarまたは3mbar 以下である方法。
【請求項8】
請求項1〜7の方法であって、当該再結晶されたN−プロパルギル−1−アミノインダンが、昇華の前のN−プロパルギル−1−アミノインダンに比較して純度が高い方法。
【請求項9】
請求項1〜8の方法であって、当該再結晶された N−プロパルギル−1−アミノインダンが昇華の前のN−プロパルギル−1−アミノインダンに比較して無色である方法。
【請求項10】
請求項1〜8の方法であって、当該再結晶された R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンが、昇華の前の結晶性R(+)−N−プロパルギル−l−アミノインダンよりも大きい平均サイズの結晶を有する方法。
【請求項11】
結晶性N−プロパルギル−1−アミノインダンと薬学的に許容可能な担体とを含む薬学的組成物を製造する方法であって、
a)昇華装置の昇華貯蔵器にかなりの量の固体N−プロパルギル−1−アミノインダンを導入すること;
b)当該昇華貯蔵器を冷却し、当該昇華貯蔵器における真空度を増大すること;
c)当該固体N−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華し、当該昇華された形態からN−プロパルギル−1−アミノインダン当該昇華貯蔵器再結晶化するために前記昇華貯蔵器を加熱すること;
d)当該再結晶化されたN−プロパルギル−1−アミノインダンを回収すること;および
e)工程d)において回収された当該再結晶化されたN−プロパルギル−1−アミノインダンを当該薬学的に許容可能な担体と組み合わせて、それにより薬学的組成物を製造すること;
を含む方法。
【請求項12】
分配するための結晶性N−プロパルギル−1−アミノインダンと少なくとも1の薬学的に許容可能な担体とを含む薬物製品の有効バッチを生産する方法であって、
a)当該薬物製品のバッチを生産すること;
b)当該バッチ中の当該結晶性N−プロパルギル−1−アミノインダンが無色であるか否かを判定すること;および
c)バッチ中の結晶性N−プロパルギル−1−アミノインダンが無色である場合のみ、分配のための有効なバッチとすること
を含む方法。
【請求項13】
98%よりも多くの R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを含む単離された液体 R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダン。
【請求項14】
99.8%よりも多くのR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを含む請求項13の当該単離された液体 R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダン。
【請求項15】
R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの純度がHPLCにより98%よりも大きいことが特徴づけられた単離された液体R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを含む薬学的組成物。
【請求項16】
請求項15の薬学的組成物であって、当該液体R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンがR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの純度がHPLCにより99.8%よりも大きいことが特徴づけられた薬学的組成物。
【請求項17】
経口投与のために製剤化された請求項15または16の薬学的組成物。
【請求項18】
経皮用適用のための請求項15または16の薬学的組成物。
【請求項19】
経皮パッチの形態にある請求項18の薬学的組成物。
【請求項20】
98%よりも多くのR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを含む単離された液体N−プロパルギル−l−アミノインダンを生産する方法であって、
a)かなりの量の粗N−プロパルギル−1−アミノインダンを蒸留装置の昇華貯蔵器に導入すること;
b)当該昇華貯蔵器を冷却し、当該昇華貯蔵器における真空度を増大すること;
c)当該N−プロパルギル−1−アミノインダンを昇華し、当該昇華された形態から当該N−プロパルギル−1−アミノインダンを再結晶化するために当該昇華貯蔵器を加熱すること;
d)昇華ヘッドからの再結晶化されたN−プロパルギル−1−アミノインダンと、加熱され液体に収集された当該昇華されたラサジニン塩基とを収集すること;および
e)当該液体ラサジリン塩基を溶媒と混合すること;
を含む方法。
【請求項21】
請求項20の方法であって、工程a)において、当該昇華貯蔵器が35℃〜200℃に加熱される方法。
【請求項22】
請求項20または21の方法であって、当該昇華貯蔵器が60℃に加熱される方法。
【請求項23】
請求項20〜22の何れか1項に記載の方法であって、当該工程b)において、当該昇華貯蔵器での圧力が20mbarまたは20mbar以下である方法。
【請求項24】
請求項23の方法であって、当該昇華貯蔵器での圧力が3mbarまたは3mbar 以下である方法。
【請求項25】
請求項20の方法であって、当該工程e)において、当該溶媒が薬学的に許容可能な溶媒である方法。
【請求項26】
請求項25の方法であって、当該薬学的に許容可能な溶媒がエタノール、PEG、植物油またはグリセロールである方法。
【請求項27】
請求項26の方法であって、当該溶媒がエタノールである方法。
【請求項28】
98%よりも多くのR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンを含む単離された液体N−プロパルギル−l−アミノインダンを生産する方法であって、
a)かなりの量の粗N−プロパルギル−1−アミノインダンを蒸留装置に導入すること;
b)当該蒸留装置の真空度を増大すること;
c)当該N−プロパルギル−1−アミノインダンを蒸発するために当該蒸留装置を加熱すること;
d)当該蒸留された液体N−プロパルギル−1−アミノインダンを収集すること;および
e)当該収集された液体N−プロパルギル−1−アミノインダンを溶媒と混合すること;
を含む方法。
【請求項29】
請求項28の方法であって、工程a)において、当該蒸留装置が35℃〜55℃に加熱される方法。
【請求項30】
請求項28または29の方法であって、当該蒸留装置が40℃に加熱される方法。
【請求項31】
請求項28〜30の何れか1項に記載の方法であって、工程b)において、当該蒸留装置における圧力が20mbarまたは20mbar以下である方法。
【請求項32】
請求項31の方法であって、当該蒸留装置における圧力が3mbarまたは3mbar以下である方法。
【請求項33】
請求項28の方法であって、工程e)において、当該溶媒が薬学的に許容可能な溶媒である方法。
【請求項34】
請求項33の方法であって、当該薬学的に許容可能な溶媒がエタノールPEG 400、植物油、またはグリセロールである方法。
【請求項35】
請求項34の方法であって、当該溶媒がPEG 400である方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−525489(P2011−525489A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514621(P2011−514621)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/003677
【国際公開番号】WO2009/154782
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】