説明

ラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造

【課題】 ラジエータコアサポートアッパに対してアッパカバーを精度良く装着でき、これによってバンパフェイシア等との合わせ品質を一定にしてエンジンルーム内の見栄えを向上できるラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造の提供。
【解決手段】 ラジエータコアサポート1のラジエータコアサポートアッパ3に装着されるラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造であって、ラジエータコアサポート1の中央部にラジエータコアサポート1の左右方向の基準位置(基準孔3dに相当)を設けると共に、この基準位置の左右に近接して前後方向に突出したピンP1,P2を設け、アッパカバー2に、両ピンP1,P2を前後方向からそれぞれ挿通させて該アッパカバー2の少なくとも左右方向位置及び水平回転方向を規制する挿通孔2b,2cを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエータコアサポートのラジエータコアサポートアッパに装着されるアッパカバー固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジエータコアサポートのラジエータコアサポートアッパには、周辺部材、特にバンパフェイシアとの隙間を塞ぐようにアッパカバーが装着されており、エンジンルーム内の見栄えの向上が図られている(特許文献1参照)。
また、このようなアッパカバーは周辺部材、特にバンパフェイシアとの合わせ品質に対し高い精度が要求される。
【特許文献1】特開2003−146158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造では、アッパカバーが車幅方向に長く伸びた形状に起因してラジエータコアサポートアッパに対して特に左右方向及び水平回転方向のばらつきが大きくなってしまい、上述した合わせ品質を一定にすることが困難であった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ラジエータコアサポートアッパに対してアッパカバーを精度良く装着でき、これによって周辺部材、特にバンパフェイシアとの合わせ品質を一定にしてエンジンルーム内の見栄えを向上できるラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の発明では、ラジエータコアサポートのラジエータコアサポートアッパに装着されるラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造であって、前記ラジエータコアサポートの中央部にラジエータコアサポートの左右方向の基準位置を設けると共に、この基準位置の左右に近接して前後方向に突出したピンをそれぞれ設け、前記アッパカバーに、前記両ピンを前後方向からそれぞれ挿通させて該アッパカバーの少なくとも左右方向位置及び水平回転方向を規制する挿通孔を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、ラジエータコアサポートのラジエータコアサポートアッパに装着されるラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造であって、前記ラジエータコアサポートの中央部にラジエータコアサポートの左右方向の基準位置を設けると共に、この基準位置の左右に近接して前後方向に突出したピンをそれぞれ設け、前記アッパカバーに、前記両ピンを前後方向からそれぞれ挿通させて該アッパカバーの少なくとも左右方向位置及び水平回転方向を規制する挿通孔を設けたため、ラジエータコアサポートアッパに対してアッパカバーを精度良く装着でき、これによって周辺部材、特にバンパフェイシアとの合わせ品質を一定にしてエンジンルーム内の見栄えを向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
以下、実施例1を説明する。
図1は本発明の実施例1のラジエータコアサポートとアッパカバーの後方分解斜視図、図2は同後方斜視図、図3は同後面図、図4はラジエータコアサポートアッパの中央部付近を示す拡大斜視図、図5は本実施例1のラジエータコアサポートの後面図、図6は本実施例1のアッパカバーの後方斜視図、図7は同後面図である。
【0009】
先ず、全体構成を説明する。
図1〜5に示すように、本実施例1のラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造では、ラジエータコアサポート1とアッパカバー2が備えられている。
【0010】
ラジエータコアサポート1は、車幅方向に延在するラジエータコアサポートアッパ3と、このラジエータコアサポートアッパ3に並行するラジエータコアサポートロア4と、ラジエータコアサポートアッパ3とラジエータコアサポートロア4の両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド5,5と、ラジエータコアサポートアッパ3、ラジエータコアサポートロア4、ラジエータコアサポートサイド5,5の内側から突出して図外のモータファン用の開口部O1、O2を形成するファンシュラウド部6を備え、後述する一部の金属製部材を除いて全体が樹脂で一体的に形成されている。なお、ラジエータコアサポート1はその全体を金属製としても良い。
【0011】
ラジエータコアサポートアッパ3は、車両後方側に開口した略コ字状断面を有して車幅方向に延設されると共に、その上面にはそれぞれ螺子穴3aを有する金属製のプレート3bが樹脂モールドされた状態で4カ所設けられている(図4参照)。なお、プレート3bは射出成形後のラジエータコアサポート1に対して後工程で取り付けても良い。
【0012】
図4に示すように、ラジエータコアサポートアッパ3の中央部において、その上壁3cにはラジエータコアサポート1の左右方向の基準位置となる円形の基準孔3dが上下方向に開口した状態で設けられる他、その側壁3eには基準孔3dの左右に近接した位置から車両後方側に突出した円柱状のピンP1,P2が設けられている。
【0013】
そして、ラジエータコアサポートアッパ3には、図6、7に示すアッパカバー2が装着されている。
アッパカバー2は、樹脂製でラジエータコアサポートアッパ3の上方を覆うように車幅方向に長く形成されると共に、その後端部には下方へ屈折した側壁2aが形成されている。
そして、上記側壁2aにおけるラジエータコアサポートアッパ3のピンP1,P2と対応する位置には、円形の挿通孔2b,2cが前後方向に開口した状態で設けられている。
【0014】
また、アッパカバー2の後端部におけるラジエータコアサポートアッパ3の螺子穴3aと対応する位置には、上下方向に開口した円形の固定穴2dが設けられている。
さらに、ラジエータコアサポートアッパ1の左右方向の基準孔3dと対応する位置には、上下方向に開口した円形の貫通孔2eが設けられている。
【0015】
一方、アッパカバー2の前端部における図外のパンパフェイシアとの固定位置には、上下方向に開口した円形の固定穴2fを備える固定部2gが複数形成されている。
【0016】
ラジエータコアサポートサイド5,5の中央部には、図示を省略するサイドメンバとバンパステイに連結固定するためのサイドメンバ取り付け部5a,5aが設けられる他、各サイドメンバ取付部5a,5aに近接して車幅方向外側に突出するヘッドランプステイ7,7が形成されている。
【0017】
次に、作用を説明する。
このように構成されたラジエータコアサポート1とアッパカバー2を固定する際には、先ず、ラジエータコアサポート1とアッパカバー2をそれぞれ射出成形してそれぞれ一体的に形成する。
この際、ラジエータコアサポートアッパ1の射出成形の際に金型内に予めプレート3bを収容しておくことで樹脂モールドさせる他、成型品を該金型から押し出す際にピンP1,P2をエジェクタピンとして利用できる。
【0018】
次に、図1、2に示すように、ラジエータコアサポートアッパ3の上方にアッパカバー2を配置し、アッパカバー2の挿通孔2b,2cにラジエータコアサポートアッパ3のピンP1,P2をそれぞれ挿通した状態とする。
この際、ピンP1,P2の挿入によってアッパカバー2のラジエータコアサポート1に対する左右上下方向の位置決めを精度良く行うことができ、特に車幅方向に長いアッパカバー2に生じやすい左右方向の組み付け精度のばらつきをなくすことができる。
【0019】
加えて、ピンP1,P2は基準孔3dの左右に配置されるため、アッパカバー2のラジエータコアサポート1に対する水平回転方向の位置決めを精度良く行うことができ、組み付け精度のばらつきを完全に無くすことができる。
【0020】
従って、アッパカバー2の左右方向及び水平回転方向のばらつきはピンP1,P2の位置に依存するため、該ピンP1,P2の位置に高い精度が要求されるが、該ピンP1,P2はラジエータコアサポート1の左右方向の基準孔3dに近接して設けられているため、極めて高い精度でピンP1,P2を配置可能となる。
【0021】
次に、アッパカバー2の各固定孔2dからラジエータコアサポートアッパ3のそれぞれ対応する螺子孔3aに図示を省略するボルトを挿入して螺合することにより、両者を固定する。
【0022】
このように構成されたラジエータコアサポート1には図外の熱交換器、モータファン、ヘッドランプ等が装着された状態で車両組立工場へ搬送された後、アッパカバー2の貫通孔2eを臨んだ基準孔3dをラジエータコアサポート1の左右方向の基準位置としてエンジンルーム内に搭載される。
また、アッパカバー2の各固定部2gの固定孔2fにバンパフェイシアの固定部が図示を省略するクリップを用いて固定される。
この際、前述したように、アッパカバー2はラジエータコアサポート1に対して高い精度で装着されているため、周辺部材、特にバンパフェイシアとの合わせ品質を一定に保つことができる。
【0023】
また、部品単体精度の誤差等の何らかの原因により前後方向の合わせ品質にばらつきが生じた場合には、固定孔2dと螺子孔3aに螺合されたボルトを緩めてピンP1,P2を挿通孔2b,2cにスライドさせながらアッパカバー2を前後方向に移動させて調整した後、再び固定することもできる。
【0024】
従って、本実施例1のアッパカバー2は周辺部材、特にパンパフェイシアとの合わせ品質を一定にしてエンジンルームの見栄えを向上できる。
【0025】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例1のラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造にあっては、ラジエータコアサポート1のラジエータコアサポートアッパ3に装着されるラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造であって、ラジエータコアサポート1の中央部にラジエータコアサポート1の左右方向の基準位置(基準孔3dに相当)を設けると共に、この基準位置の左右に近接して前後方向に突出したピンP1,P2を設け、アッパカバー2に、両ピンP1,P2を前後方向からそれぞれ挿通させて該アッパカバー2の少なくとも左右方向位置及び水平回転方向を規制する挿通孔2b,2cを設けたため、ラジエータコアサポートアッパに対してアッパカバーを精度良く装着でき、これによって周辺部材、特にバンパフェイシア等との合わせ品質を一定にしてエンジンルーム内の見栄えを向上できる。
【0026】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、ピンP1,P2の形状、形成数については適宜設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1のラジエータコアサポートとアッパカバーの後方分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例1のラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造が採用されたラジエータコアサポートを示す後方斜視図である。
【図3】本発明の実施例1のラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造が採用されたラジエータコアサポートの後面である。
【図4】ラジエータコアサポートアッパとアッパカバーの中央部付近を示す拡大斜視図である。
【図5】本実施例1のラジエータコアサポートの後面図である。
【図6】本実施例1のアッパカバーの後方斜視図である。
【図7】本実施例1のアッパカバーの後面図である。
【符号の説明】
【0028】
O1、O2 開口部
P1、P2 ピン
1 ラジエータコアサポート
2 アッパカバー
2a 側壁
2b、2c 挿通孔
2d 固定孔
2e 貫通孔
2f 固定孔
2g 固定部
3 ラジエータコアサポートアッパ
3a 螺子穴
3b プレート
3c 上壁
3d 基準孔
3e 側壁
4 ラジエータコアサポートロア
5 ラジエータコアサポートサイド
5a サイドメンバ取り付け部
6 ファンシュラウド部
7 ヘッドランプステイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータコアサポートのラジエータコアサポートアッパに装着されるラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造であって、
前記ラジエータコアサポートの中央部にラジエータコアサポートの左右方向の基準位置を設けると共に、この基準位置の左右に近接して前後方向に突出したピンをそれぞれ設け、
前記アッパカバーに、前記両ピンを前後方向からそれぞれ挿通させて該アッパカバーの少なくとも左右方向位置及び水平回転方向を規制する挿通孔を設けたことを特徴とするラジエータコアサポートのアッパカバー固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−126021(P2007−126021A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320894(P2005−320894)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】