説明

ラジエータ装置

【課題】送風ファンを有するラジエータ装置において、放熱性能を向上させる技術を提供する。
【解決手段】送風ファン18の回転軸と同一軸上を含むその近傍に設けられる内部流体の入口11と、入口11から送風ファン18の回転軸と交わる面において放射状に延伸される放熱管路13と、放熱管路13及び内部流体の出口16を接続する排出管路15と、管路に設けられる熱交換フィン14と、を備えるラジエータ装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風ファンを有するラジエータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種半導体装置は、高性能化により消費電力が加速度的に上昇しており、これに伴って発熱量が増えている。
【0003】
上述のようなLEDを含む各種半導体装置に対する放熱手段の一つとして、高い冷却性能を有する液冷システムを用いることがある。
【0004】
一般的に液冷システムとは、流体が半導体装置などの発熱体からの熱を受熱した後、この流体が受けた熱をラジエータ(熱交換器)で放熱して、冷却した流体を発熱体に循環するサイクルを繰り返すことで発熱体の冷却を促す。
【0005】
なお、液冷システムで用いるファンからの送風を有効利用することに鑑みたラジエータを提案する先行例として、送風ファンの翼部回転軌道にマッチングするように外周が円形のラジエータコアにより熱交換の効率を向上するという技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−214545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、液冷システムにおける熱の伝わりにくさ(熱抵抗)について、一般的にシステム全体の熱抵抗値に占める受熱部(ジャケット)、熱輸送部(配管)、放熱部(ラジエータ)の各部位の熱抵抗値の比率で考えると、受熱部が30%、熱輸送部が9%、放熱部が61%となり、放熱部であるラジエータの熱抵抗値の比率が最も高い。つまり、液冷システムにおいて、ラジエータの性能がシステム全体の放熱性能に大きく影響している。
【0008】
ここで、一般的なラジエータは、並列に配置された複数の細管(チューブ)とその間にある多数のフィンで構成されたコアとで形成されている。ラジエータの細管内部には冷却液が満たされており、ポンプなどの外部動力を用いて細管内を循環している。発熱体から冷却水により移送された熱は、ラジエータ内で冷却液から平板状フィンに移動して、このフィンから周辺空気に放熱する。
【0009】
以上のような放熱体から周辺空気への熱の移動経路に鑑みれば、ラジエータの放熱性能を向上させるには、移送液からコア、及び、コアから周囲空気への熱伝達を向上させることが必要である。
【0010】
熱伝達率を向上させる方策としては、理論的には、流速、流体の熱伝導率、密度、比熱、粘度という、5つのパラメータの値を高めることが挙げられる。ここで、流体の熱伝導率、密度、比熱、粘度は流体の物性値により定まるため、ラジエータの構造により熱伝達率を向上させるには、流路内の冷却水の流速を高めることが考えられる。
【0011】
また、液冷システムにおいて、ラジエータと周辺空気との熱交換を促すために、電動ファンなどを用いて周辺空気にラジエータに向かう流れを与えることもある。この場合には、ラジエータのフィンに向かう空気の流速(フィン通過流速)を高めることが、ラジエータの性能向上に貢献すると考えられる。
【0012】
そこで、本発明者らは、実験により管内移送液流速とフィン通過風速が放熱性能に与える影響について確認した。ここで、通常、管内移送液流速は、管内移送液の体積流量として検出される。
【0013】
表1,2は、120[mm]角ラジエータで100[W]の発熱体を放熱したとき、移送液流量とフィン風速について、一方のパラメータを変化させて他方のパラメータを固定して実験し、そのときの発熱体の外気に対する上昇温度を測定した結果を示す。
【表1】

【0014】
表1を参照すれば、管路の移送液流量を変化させた場合には、今回実験した範囲では発熱体に与える影響は小さい。このことから、管路の移送液流量に関しては、所定の流速で管路内を循環していればラジエータの放熱性能には大きく影響しないと考えられる。
【表2】

【0015】
一方、表2を参照すれば、フィン通過風速を変化させた場合には、今回実験した範囲でも最大約11[℃]の温度差があった。
【0016】
従って、以上の実験結果から、ラジエータの性能向上には、フィン通過流速を高めることが有効であると考えられる。
【0017】
しかしながら、従来のラジエータでは、フィン通過流速を高めて性能を向上するという点に鑑みられているとは言い難かった。
【0018】
すなわち、従来のラジエータでは、冷却用電動ファンの回転速度を上げる、あるいは外部からの空気の導入量を増加させるなどの方法でフィン通過流速を高めていたが、ラジエータ本体の構造や形状を変更することによりフィン通過流速を高めることは鑑みられていなかった。
【0019】
特に、従来のラジエータでは、矩形状の平面に細管とフィンを並列に多数配置し、これの正面に電動ファンを取り付けてフィン通過流速を高めていたが、このような構造の場合、ラジエータ本体の放熱性能を有効に利用できているとは言い難かった。
【0020】
また、特許文献1の技術は、冷却水(内部流体)の循環流路が偏平チューブを平面内で螺旋状や蛇行状に曲折した一つの流路である。一般に、流路抵抗は流路長に比例して増大するため、このような流路では流量低下の原因となる恐れがある。
【0021】
すなわち、特許文献1の技術では、このような流路を有する結果としてラジエータの放熱性能が低下するおそれがあるという問題があった。
【0022】
さらなる課題として、発光ダイオードを用いた照明装置など、液冷システムにより冷却する発熱体の応用製品一般に対する要求として、低消費電力化が近年挙げられている。
【0023】
しかしながら、ラジエータ冷却用のファン駆動にはモータなど外部動力が必要であるため、消費電力を含めた総合的なラジエータ装置の放熱性能向上には限界があった。
【0024】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、送風ファンを有するラジエータ装置において、放熱性能を向上させる技術を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段とした。
すなわち、本発明は、送風ファンの回転軸と同一軸上を含むその近傍に設けられる内部流体の入口と、入口から送風ファンの回転軸と交わる面において放射状に延伸される放熱管路と、放熱管路及び内部流体の出口を接続する排出管路と、管路に設けられる熱交換フィンと、を備えるラジエータ装置である。
【0026】
本発明は、送風ファンを有する強制冷却式ラジエータ装置であり、発熱体から受熱する冷却液(内部流体)が周辺空気と熱交換を行う放熱管路を、送風ファンの回転軸とその周囲を含まない領域に設けることとした。すなわち、本発明は、内部流体の入口を送風ファンの回転軸と同軸またはその周囲の領域に設け、この回転軸周囲から放射状に放熱管路を設ける。そして、本発明は、このような構造の放熱管路に熱交換を促すフィンを設ける。
【0027】
以上のように構成することで、本発明によれば、送風ファンからの風を受けない送風ファンの回転軸周囲を除いた領域を熱交換部として有効に利用することができる。
【0028】
また、本発明は、上記入口から放射状に伸びる放熱管路とその周囲に設けられる排出管路とにより、管路を従来のラジエータより短くすることができるため、管路による内部流体の圧力損失を低減して、管路における内部流体の流量(流速)を向上することができる。
【0029】
従って、本発明によれば、送風ファンを有するラジエータ装置において、放熱性能を向上させることができる。
【0030】
また、本発明は、放熱管路が、複数設けられ、排出管路が、複数の放熱管路のそれぞれと接続してもよい。
【0031】
以上のように構成すれば、本発明は、送風ファンの回転軸と同軸から放射状に配管された複数の放熱管路からの循環経路を構築して、より放熱性能を向上させることができる。
【0032】
また、本発明は、入口と放熱管路との間に入口から流入した内部流体を貯留するタンクをさらに備えてもよい。
【0033】
以上のように構成すれば、本発明は、フィン通過流速を妨げない場所に内部流体の温度や圧力が変化しても安定的に流量を確保するために設けるタンクを設けることによって、ひいてはラジエータ装置の放熱性能を向上させることができる。
【0034】
さらに、本発明は、タンク内に設けられ前記送風ファンの回転軸と同軸位置に回転軸を有する水車を、さらに備え、送風ファンの回転軸と水車の回転軸とが動力伝達可能に接続してもよい。
【0035】
以上のように構成すれば、ラジエータ装置の内部流体の流量により送風ファンの動力を得ることができるため、液冷システムの消費電力を含めた総合的な放熱性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明によれば、送風ファンを有するラジエータ装置において、放熱性能を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図本発明の第一の実施の形態にかかるラジエータ装置の斜視図である。
【図2】ラジエータ装置の正面図である。
【図3】本実施の形態にかかるラジエータ本体の他の一例を示す正面図である。
【図4】ラジエータ本体の放熱フィンのフィン通過流速を示す。
【図5】ラジエータ本体の放熱フィンのフィン通過流速を示す。
【図6】ラジエータ本体の放熱フィンの形状を放熱管路及び排出管路と平行に形成した一例のフィン通過流速を示す。
【図7】ラジエータ本体の放熱フィンの形状を中心から放射状に延伸するように形成した一例のフィン通過流速を示す。
【図8】従来のラジエータに電動ファンを取り付けて強制冷却したものについて、フィン通過流速を模式的に表した図である。
【図9】第二の実施の形態にかかるラジエータ装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
まず、本発明の概要について説明する。
本発明は、発光ダイオードを含む各種半導体装置などの発熱体を冷却する液冷システムのラジエータ装置に関し、特に送風ファンにより強制的にラジエータに送風するいわゆる強制冷却式ラジエータに関する。そして、本発明は、このようなラジエータ内を循環する液体(内部流体)とラジエータフィンを通過する気体(周辺空気)の熱伝達率を向上させる構造を提供する。
【0039】
以上の目的のために、本発明は、送風ファンの回転軸とラジエータの内部流体の入口(中心)が同一軸上またはその周囲に配置され、発熱体から受熱した内部流体が流れて周辺空気との間で熱交換を行う放熱管路が、上記入口から一本または複数本放射状(もしくは十字形あるいは星形など)に配置されている。そして、本発明は、この放熱管路から延伸されるフィンが周辺空気への放熱を促す。以上のような構成を、本発明の第一の要旨とする。
【0040】
また、本発明は、上記構成に加え、ラジエータ中央部にファン回転軸周囲にリザーブタンクを有する構成を第二の要旨とする。
【0041】
また、本発明は、内部流体入口付近に送風ファンの回転軸に動力伝達可能な水車を有し、内部流体の流速により送風ファンを回転させてラジエータの冷却を促す構成を第三の要旨とする。
【0042】
[第一の実施の形態]
本発明の第一の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第一の実施の形態にかかるラジエータ装置1の斜視図である。また、図2は、ラジエータ装置1の正面図である。
【0043】
ラジエータ装置1は、内部流体の入口11、タンク12、放熱管路13(移送管路)、放熱フィン14、排出管路15(フレーム)、及び内部流体の出口16を有するラジエータ本体10と、回転翼17及び回転軸(不図示)を有する送風ファン18とからなる。
【0044】
ラジエータ本体10の構成について説明する。
【0045】
放熱管路13は、入口11を中心として放射状に延伸された管路であり、例えばアルミニウムや銅などの熱伝導率の高い各種材料で形成される。放熱管路13は、入口11から導入された発熱体から受熱した高温の冷却液(内部流体)が流れる。
【0046】
図3は、本実施の形態にかかるラジエータ本体の他の一例を示す正面図である。図2のラジエータ本体10の放熱管路13は、正面視ほぼ十字型に4本設けられている。図3のラジエータ本体20の放熱管路23は、ラジエータ本体10の放熱管路13を45度回転させて2つ重ねたように8本設けられている。このように、本発明のラジエータ装置において、放熱管路の数は特に限定されない。
【0047】
タンク12は、放熱管路13及び排出管路15内の冷却液が温度上昇により蒸発したときに不足する冷却液を貯留する。
【0048】
放熱フィン14は、放熱管路13の表面に、平板状やコルゲート状の形状をなして設けられ、放熱管路13と同じく熱伝導率の高い各種材料で形成される。放熱フィン14は、放熱管路13が冷却液から受け取った熱を周辺空気へと放出(熱交換)する際に、より広い面積で放熱を行い、放熱性能を高める作用がある。
【0049】
本発明の放熱フィンの形状についてさらに説明すると、図2のラジエータ本体10及び図3のラジエータ本体20ともに、送風ファン18の回転翼17の外周と略一致する範囲まで複数枚の放熱フィン14が所定間隔で配列されている。
【0050】
図2,3において、放熱フィン14は、タンク12から排出管路15に向かって同心円状に形成されている。なお、本発明において、放熱フィンの形状は、送風ファンの回転軸を中心に放射状に形成されていてもよく、あるいは方型でもよい。
【0051】
以上のように形成した放熱フィンにより、ラジエータ本体は、高い放熱性能を得ることができる。
【0052】
そして、ラジエータ装置1は、上述のラジエータ本体と送風ファン18とが組み合わされることにより、送風ファン18からの冷却風によるフィン通過流速をラジエータ本体が有効に利用できるため、以下に示すように優れた放熱効果を得ることができる。
【0053】
[第一の実施の形態にかかるラジエータ本体の効果]
以下、第一の実施の形態にかかるラジエータ装置について、従来のラジエータと比較して効果を検証する。
【0054】
以下の実験は、超高輝度発光ダイオード照明と称される、発熱量100〜200[W]の発熱体に対する放熱システムを想定し、外形サイズ120[mm]角のラジエータとそれに対応するファンを基準として実験を行なった。
【0055】
なお、以下の実験において、第一の実施の形態にかかるラジエータ装置も従来のラジエータもラジエータ入口流量:0.4[l/min]、ファン風速1[m/s]は共通である。
【0056】
図4から7は、ラジエータ本体の放熱フィンを通過する送風ファンからの風の流速(フィン通過流速)を模式的に示す図である。図4は、ラジエータ本体10の放熱フィン14のフィン通過流速を示す。図5は、ラジエータ本体20の放熱フィン14のフィン通過流速を示す。図6は、ラジエータ本体の放熱フィンの形状を放熱管路及び排出管路と平行に形成した一例のフィン通過流速を示す。図7は、ラジエータ本体の放熱フィンの形状を中心から放射状に延伸するように形成した一例のフィン通過流速を示す。
【0057】
図4から7において、濃色の部分ほど高い流速であることを示す。また、図8は、従来のラジエータに電動ファンを取り付けて強制冷却したものについて、フィン通過流速を模式的に表した図である。
【0058】
ここで、図4から8において、送風ファン18の回転翼17の外周円と高い流速の領域とはほぼ一致している。
【0059】
図8によれば、ファンからの送風を直接受ける領域ではフィン通過流速が高いものの、他の領域、特に、モータを含む電動ファンの回転軸周辺領域については、外部からの自然風による通過流速も期待できないため、低いフィン通過流速となってしまっている。
【0060】
従って、従来のラジエータでは、電動ファンなど送風手段を用いて強制冷却する場合に、ラジエータ本体の放熱性能を有効に利用できているとは言い難かった。
【0061】
これに対して、図4,5によれば、ラジエータ本体10及びラジエータ本体20は、上記回転翼の外周円とほぼ一致する範囲で高いフィン通過流速を得ることができる。ここで、従来のラジエータのフィン通過流速を示す図8と比較すれば、第一の実施の形態にかかるラジエータ本体の放熱管路全体に占める高いフィン通過流速を得られる面積が広い(ラジエータの放熱面積を有効に利用する)ことが理解できる。
【0062】
従って、第一の実施の形態のラジエータ本体によれば、送風ファンを有するラジエータ装置において、放熱性能を向上させることができる。
【0063】
また、放熱フィンの形状を変更した図6及び図7の変形例によれば、図4,5の放熱フィンよりも長い空気流路を得られるため、上記領域Aよりも広い範囲で高いフィン通過流速を得ることができる。
【0064】
なお、図4から7のラジエータ本体におけるフィン通過流速の最大値を表3に示す。
【表3】

【0065】
次に、第一の実施の形態にかかるラジエータ本体の放熱管路及び排出管路の流速を従来のラジエータの流速と比較する。
【0066】
表4は、ラジエータ本体10、ラジエータ本体20、従来のラジエータの管路内の平均流速を示す。
【表4】

【0067】
上述の通り、ラジエータ装置において冷却液は、所定の流量が確保できていれば、放熱性能への影響は無視できる。第一の実施の形態にかかるラジエータ本体は、従来のラジエータと比較してほぼ同一流量(流速で比較)であるため、冷却液の流速という観点では大きな放熱性能の低下は見られないことがわかる。
【0068】
ここで、本実施の形態にかかるラジエータ装置1のラジエータ本体の管路(放熱管路13及び排出管路15の利点について、配管抵抗(ニュートン流体/層流)の観点から説明する。
【0069】
一般に、配管抵抗:P[Pa]の計算式は、次式で求めることができる。
【数1】

【0070】
ここで、λ:管摩擦係数、L:配管長さ[m]、ρ:密度[kg/m]、Va:配管内の流速[m/s]、d:配管直径[m]である。
【0071】
上式より、配管抵抗Pの数値は、(1)管摩擦係数、(2)管路長、(3)管路径、(4)密度、(5)流速のいずれかの値の変化により変化し、特に流速についてはその値の2乗に比例して配管抵抗を変化させる。
【0072】
つまり、圧力損失に影響を及ぼす管路抵抗は、管路の径については大きく、管路長については短くした方が低減できる。また、管路抵抗は、複数の管路に分岐した方が軽減される。
【0073】
すなわち、本実施の形態のラジエータ本体の管路は、従来のラジエータと比較して管路径を大きく管路長を短くすることができるため、配管抵抗が低減することができる。また、管路抵抗は、複数の管路に分岐した方が軽減される。
【0074】
以上の点からも、本実施の形態にかかるラジエータ装置のラジエータ本体は、優れた放熱効果を得られることがわかる。
【0075】
[第二の実施の形態]
以下、本発明の第二の実施の形態について説明する。
第二の実施の形態にかかる発明であるラジエータ装置2は、第一の実施の形態で説明したラジエータ装置1における送風ファン18に換えて、冷却液(内部流体)の流動により動作する送風ファン28を用いたことが、ラジエータ装置1との相違点である。そのため、以下の説明では、ラジエータ装置1との共通点については同一符号を付し説明を省略する。
【0076】
図9は、第二の実施の形態にかかるラジエータ装置2の正面図である。ラジエータ装置2は、ラジエータ装置1と共通の、内部流体の入口11、放熱管路13、放熱フィン14、排出管路15、内部流体の出口16を有する。ここで、ラジエータ装置2は、入口11付近に設けられるタンク22内に、送風ファン28の回転軸と同軸の水車(水流タービン)29を備える。
【0077】
タンク22は、ラジエータ装置1のタンク12と異なり、内部に水車29を納めることができるような形状を有する。
【0078】
水車29は、回転軸にブレード30が取り付けられ、入口11からタンク22内に流入した内部流体の力により回転軸を中心に回転する。この回転力は、水車29の回転軸と動力伝達可能に接続された送風ファン28の回転軸に伝達され、送風ファン28を回転させる。
【0079】
以上のような第二の実施の形態にかかるラジエータ装置2によれば、第一の実施の形態にかかるラジエータ装置1と比較して送風ファン18のモータ用電力を要しないため、当該電力分の消費電力を削減することが可能となり、ひいては液冷システム全体の冷却性能を向上させることが可能となる。
【0080】
なお、ラジエータ装置2のラジエータ本体の内部流体の圧力損失について、水車29の回転数に送風ファン28の風速が影響されるため、ラジエータ内の圧力損失は小さい方がよい。
【0081】
従って、本発明の管路構造は、第二の実施の形態にかかる水車29の回転にも適した形状である。
【0082】
[実施の形態の効果]
以下、本実施の形態にかかるラジエータ装置について、上記以外の効果を記載する。本実施の形態にかかるラジエータ装置によれば、従来のラジエータ装置の構造であれば、一般的に120mm角のラジエータであっても、その数値はコアサイズを示しており通常従来のラジエータでは両側面にタンクを持つため、実際の外寸は20〜30mm大きい。
【0083】
これに対して、本実施の形態にかかるラジエータ装置は、上述の通り送風ファンの回転軸と同一軸にタンクを配置する。つまり、本実施の形態のラジエータ装置は、熱交換部として機能していないラジエータの中央部をタンクとすることで、ラジエータ外形サイズの小型化が実現できる。
【0084】
[その他の実施の形態]
以上説明した実施の形態にかかるラジエータ装置以外に、本発明のラジエータ装置は、例えば以下のような構成を取ることも可能である。
【0085】
本発明のラジエータ装置は、ラジエータ・ファンのサイズに関わらず適応できるものである。
【0086】
本発明のラジエータ装置は、冷却液の流路が交錯しないように整流するために、タンク内に少なくとも一つ仕切りを有していてもよい。
【0087】
また、本発明のラジエータ装置は、放熱フィンの形状が第一の実施の形態及び第二の実施の形態に限定されず、例えば図6や図7の変形例のように放熱フィンが同心円状に所定間隔で複数配置されているものや放射状に延伸されたフィン形状であってもよい。
【0088】
さらに、本発明のラジエータ装置は、流路の交差をさけるために、タンク内や流路内に仕切りや逆支弁を取りつけて流れを誘導することもできる。
【符号の説明】
【0089】
1 ラジエータ装置
10 ラジエータ本体
11 入口
12 タンク
13 放熱管路
14 放熱フィン
15 排出管路
16 出口
17 回転翼
18 送風ファン
28 送風ファン
29 水車
30 ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風ファンの回転軸と同一軸上を含むその近傍に設けられる内部流体の入口と、
前記入口から前記送風ファンの回転軸と交わる面において放射状に延伸される放熱管路と、
前記放熱管路及び前記内部流体の出口を接続する排出管路と、
前記管路に設けられる熱交換フィンと、を備えるラジエータ装置。
【請求項2】
前記放熱管路が、複数設けられ、
前記排出管路が、前記複数の放熱管路のそれぞれと接続する、請求項1に記載のラジエータ装置。
【請求項3】
前記入口と前記放熱管路との間に前記入口から流入した内部流体を貯留するタンクをさらに備える、請求項1または2に記載のラジエータ装置。
【請求項4】
前記タンク内に設けられ前記送風ファンの回転軸と同軸位置に回転軸を有する水車を、さらに備え、
前記送風ファンの回転軸と前記水車の回転軸とが動力伝達可能に接続する、請求項3に記載のラジエータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図9】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−249380(P2010−249380A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98227(P2009−98227)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】