ラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロール
【課題】 従来、細孔構造のロール軸と、ロール軸の外周面に設けたロール本体で構成し、ロール軸の内圧をロール本体に分散・配分し、ロール本体の吸液機能を図って、圧損減少と、配分の均一化を図る構造である。その為に、管状のロール軸に替え、ロール軸構造をフィン状、又は溝状とし、ロール本体のロール軸側内面の内圧に対する働き表面積を最大化する構成となっている。しかし、吸液機能の効率化と、ロール軸の強度面で問題を残す。
【解決手段】 本発明は、細孔を備えたロール軸の周面に、高密度のポーラスなシート素材で構成したロール軸の内圧を作用させるラチス状気液導通路構造を備え、ラチス状気液導通路構造は、ロール軸の周面とロール本体の軸方向に設けた切欠き部でなる内圧作用室、及び、内圧作用室に連通し、かつロール本体の径方向に設けた、低密度のポーラスなシート素材、又は空間でなる内圧分岐作用路で構成したことを特徴とする。
【解決手段】 本発明は、細孔を備えたロール軸の周面に、高密度のポーラスなシート素材で構成したロール軸の内圧を作用させるラチス状気液導通路構造を備え、ラチス状気液導通路構造は、ロール軸の周面とロール本体の軸方向に設けた切欠き部でなる内圧作用室、及び、内圧作用室に連通し、かつロール本体の径方向に設けた、低密度のポーラスなシート素材、又は空間でなる内圧分岐作用路で構成したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気、及び/又は、通液透過性を備えたロール軸と、このロール軸の外周面に設けたロール本体(ロール作用部)で構成した機能性ロールであって、このロール軸の内圧を制御し、このロール本体で、被処理物の溶液、洗浄水等を吸収、又は被処理物に溶液、洗浄水等を供給する機能(吸液機能とする)を、持続的に維持する構造を備えた液の除去、又は付与(塗布等)を行う機能性ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、ロール軸の細孔構造による孔数、孔径、その配置と、このロール軸の外周面に設けたロール本体の性質、その厚み寸法等の物理的な選定で構成し、この構成を基にして、ロール軸の内圧を、ロール本体に分散・配分し、このロール本体の吸液機能が図られている。そして、この吸液機能の圧損減少と、配分の均一化を図ることを意図し、通常(管状)のロール軸に替え、ロール軸構造をフィン状、又は溝状とするとともに、このロール本体のロール軸側内面の内圧に対する働き表面積(露出面積)を最大化する構造がある。その一例を、先行文献から検討する。
【0003】
以下、ロール軸の構造に関する先行技術の文献について説明する。
【0004】
文献(1)は、本出願人が発明した、特開平5−180216号「高反撥、無粘性の不織布シート状物を利用する積層ロールの製作方法と、複合構造積層ロール」である。この発明は、円筒状の軸本体と、その両端に設けられた鍔体、及び軸受部とでなる軸体と、この軸本体の周壁面に開設し、かつ軸本体の空洞部に連通する多数の細孔と、この軸本体に套嵌される吸液機能を有するロール本体とで構成した複合構造積層ロールであって、前記軸受部に設けた貫通孔が、この軸本体の空洞部に連通する構成である。この発明の特徴は、ロール本体を、密の不織布シート状体(密のパッド:細かい密度)と、粗の不織布シート状物(粗のパッド:粗い密度)を、重畳圧縮して積層ロールを形成し、所定密度(細かい密度)のポーラス(微細な孔)を備えたロール本体を構成する。これにより、高速移行する鋼帯の表面に残留する水分、薬液等の流体を、効率的に排除し、かつ吸水、吸液(吸液機能)することにある。
【0005】
しかし、この発明では、軸本体の空洞部と細孔とは、確実に連通するが、この細孔と、重畳圧縮成型された粗のパッドとが必ずしも連通する保証がなく、十分な吸液機能を達成しない状況となることが考えられる。
【0006】
文献(2)は、本出願人が考案した、実開平1−84213号「ディスク成形された複合ロール構成材でなる吸引ロール装置」である。この考案は、円筒状の軸本体と、その両端に設けられた鍔体、及び軸受部とでなる軸体と、この軸本体の周壁面に開設し、かつ軸本体の空洞部に連通する多数の細孔と、この軸本体に套嵌される弾性多孔質体と、この弾性多孔質体の外周面に設けた極細繊維絡合体とでなる吸液機能を有するロール本体とで構成した吸引ロール装置であって、前記軸受部に設けた貫通孔が、この軸本体の空洞部に連通する構成である。この考案の特徴は、ロール本体と軸本体との接続部にスペーサーによる液溜り副室部を設けた構成である。これにより、文献(1)と略同じ吸液機能することにある。
【0007】
しかし、この考案は、軸本体にスペーサー構造を必要とし、構造が複雑となること、また、ロール本体の保持安定性が劣り、かつ軸本体の機械強度上の面で問題があること、等の改良点が考えられる。
【0008】
【特許文献1】特開平5−180216号
【特許文献2】実開平1−84213号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の機能性ロールの特質上から、実際の能力は、ロール軸の内圧を、このロール本体に対して、どのようにして作用させるかが、このロール本体の作用特性、効率に大きく依存する。
【0010】
しかし、このロール本体の素材、密度等に基づく性質、寸法等を把握し、より良い作用特性、効率を得ようとしても、単に、この性質、寸法等では、解決できない問題がある。また、その反面、この性質、寸法等とは、相反した、悪い作用特性、効率となることも少なくない。
【0011】
その解決策の一つとして、前述の文献(1)、(2)、並びに市販の機能性ロールの如く、ロール軸に設けた細孔に改良をする方法がある。例えば、この細孔の数、孔径、配置に関する構造である。しかし、この構造は、ロール軸としての役割りである強度等の機械的、構造的必要と条件を考慮した場合には、自ずから、制限があって、目的とする細孔の数、孔径、配置を確保できない問題と、また、細孔の均一な配分が得られにくく、かつ一般に圧損が大きること、等が考えられる。そして、また、この構造のみでは、ロール本体が高い効率で、均質な効果を発揮し得る状態には程遠く、実用に即した設計を余儀なくされると考えられる。
【0012】
また、文献(1)、(2)、並びに市販の機能性ロールの如く、ロール本体のロール軸側内面の内圧に対する働き表面積を最大化するロール軸構造は、その構造、かつ形状よりして、ロール本体の形状を保持し、かつその安定を保つのが難しくなり、実用上の応用に限界が考えられる。
【0013】
尚、文献(1)、(2)、並びに市販の機能性ロールにおいて、一定の分野において、その機能も一定の評価は得ている。しかしながら、本発明が意図する、高速移行する鋼帯の表面付着水分、又は高熱脱液ライン等の過酷な状況下で長時間に亙り,吸液機能を発揮し、かつ形態維持を図り得る、弾性不織布シート素材(高反撥、無粘性の不織布シート素材)、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材で構成した機能性ロールとして最適な特質を十分に引出し得ているものではないと考えられる。
【0014】
本発明の目的を総括すると、ロール軸の内圧を、ロール本体に分散・配分し、このロール本体の吸液機能を効率的に発揮しつつ、この吸液機能の圧損減少と、配分の均一化を図ることを意図し(低損失で効率が良い合理的な構造を実現し、これにより内圧により作用するロール本体本来の機能を最大限引き出すことを目的とし)、また、このロール本体のロール軸側内面の内圧に対する働き表面積(露出面積)を最大化する構造を提供することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、[A] 高密度のポーラスなシート素材(ディスク状気液透過性素材)で構成したロール本体(ロール作用部であり、気液透過性ロール本体、又は作用部ロール本体)を、管状で、かつ通気・通液構造を備えたロール軸の周面に設けた機能性ロールであって、吸液装置に接続し、ロール軸の内圧の作用をロール作用部に及ぼす構造を備え、このロール作用部によりロール軸の空洞部に作用する液量を制御し、液を吸収、又は付与する機能を持続的に維持する構造の機能性ロールを提供する。[B] 前記ロール軸の内圧を、ロール本体に分散・配分し、このロール本体の吸液機能を効率的に発揮しつつ、この吸液機能の圧損減少と、配分の均一化を図ることを意図し(低損失で効率が良い合理的な構造を実現し、これにより内圧により作用するロール本体本来の機能を最大限引き出すことを目的とし)、また、このロール本体のロール軸側内面の内圧に対する働き表面積(露出面積)を拡充する構造を提供する。
【0016】
請求項1は、多数の細孔を備えた管状のロール軸と、このロール軸が貫通されるロール孔を備えた弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなる高密度のポーラスなシート素材で構成したロール本体を設けた機能性ロールであって、
前記ロール本体は、前記ロール軸の内圧を作用させるラチス状気液導通路構造を備えおり、このラチス状気液導通路構造は、前記ロール軸の周面と、前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部とで構成した内圧作用室、及び、この内圧作用室に連通し、かつ前記ロール本体の径方向に設けた、前記高密度のポーラスなシート素材に比し、弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるロール孔を備えた低密度のポーラスなシート素材でなる内圧分岐作用路で構成し、
前記内圧を、前記ラチス状気液導通路構造を介して、前記ロール本体に作用させることを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールである。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の[A]と共通する。[C] 前記ロール軸の内圧を、ロール本体の略全体に分散・配分し、このロール本体の吸液機能を、より効率的に発揮しつつ、この吸液機能の圧損減少と、配分の均一化を、最大限に図ることを意図し(低損失で、極めて効率が良い合理的な構造を実現し、これにより内圧により作用するロール本体本来の機能を最大限引き出すことを目的とし)、また、このロール本体のロール軸側内面の内圧に対する働き表面積を最大化する構造を提供する。
【0018】
請求項2は、多数の細孔を備えた管状のロール軸と、このロール軸が貫通されるロール孔を備えた弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなる高密度のポーラスなシート素材と、この密度のポーラスなシート素材に隣接する、弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるロール孔、及び環状孔を備えた高密度のポーラスなシート素材に設けた環状孔と、で構成したロール本体を設けた機能性ロールであって、
前記ロール本体は、前記ロール軸の内圧を作用させるラチス状気液導通路構造を備えおり、このラチス状気液導通路構造は、前記ロール軸の周面と、前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部とで構成した内圧作用室、及び、この内圧作用室に連通し、かつ前記ロール本体の径方向に設けた、前記高密度のポーラスなシート素材のシート側面と、この高密度のポーラスなシート素材間に設けた高密度のポーラスなシート素材に設けた環状孔とで形成した空間の内圧分岐作用路で構成し、
前記内圧を、前記ラチス状気液導通路構造を介して、前記ロール本体に作用させることを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールである。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2の目的を達成しつつ、さらに、この目的達成に最適な、ロール本体の軸方向に設けた切欠き部の形状構造と、合せてロール軸の通気・通液構造を十分に発揮でき、かつ、実機に適した、多孔構造であって、しかも、このロール軸の機械的強度を確保できる孔数、孔径等のロール軸構造を提案することを意図する。
【0020】
請求項3は、請求項1、又は請求項2に記載のラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールであって、
前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部は、その軸方向において、流路抵抗の少ない管状断面形状とし、また、この切欠き部は、その円周方向において複数条設けることを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールである。
【0021】
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2の目的を達成しつつ、さらに、この目的達成に最適な、ロール本体の軸方向に設けた切欠き部の内周面構造(ロール軸と、ロール本体の切欠き部の内周面との境界面の面積の拡充)と、合せてロール作用部に対して、ロール軸の内圧機能を十分に発揮でき、かつ、実機に適した、多孔構造であって、しかも、このロール軸の機械的強度を確保できる孔数、孔径等のロール軸構造を提案することを意図する。
【0022】
請求項4は、請求項1、又は請求項2に記載のラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールに於いて、
前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部は、その管状内周面が軸方向において、山部と谷部で構成し、この内周面の周面積を拡大することを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールである。
【発明の効果】
【0023】
効率: 本発明の技術の場合、同一規模のロールに対し、大出力を効率良く作用させることが可能になる。下記の[図表1]は、比較真空値、[図表2]は、風量、Qとの関係を示す。従来技術では、Ia、Ibに示されるように損失が大きく、出力のロスが大きく、効率が低い。本発明の技術の場合、損失が少なく、大出力を用いても、フラットなQ特性域で効率の高い結果が得られる。
【0024】
[図表1]
【0025】
[図表2]
【0026】
除去能力: 前述の効率により、入口条件([図表3]参照)の影響が著しい従来の技術に比べ、その影響を受けにくく、高い能力を示す。そして、[図表4]に示した如く、低い入口液量条件での絶対値の比較した場合、明らかに高い能力を示すが、特に、比較的粘性の高い液体の取扱いにおいては、従来得られなかった水準の達成が可能となる。
【0027】
[図表3]
【0028】
[図表4]
【0029】
安定性−I: 実運用条件下における、ロール本体(ロール作用部)表面吸収性(g/m2・sec、単位面積・時間当たり)変化測定結果を[図表5]に示す。吸収性の変化は、運用条件下の汚れ等の影響により、定期的なロール本体(ロール作用部)表層部の研削除去(ドレッシング)整備により更新されるが、本発明の技術による場合、前述の効率の寄与が、ロール本体表面面吸収性の変化特性としても認められ、従来の技術と比較して、高い水準を持続することが可能となる。
【0030】
[図表5]
【0031】
安定性−II: 従来技術による場合、液特性によっては、[図表6]に示すように、吸収量、即ち液透過性の不規則な変動や、抵抗(真空値)の累積的増大、即ち不安定性を示しやすい。例えば、非等質性の液であるエマルション系オイルの場合、油成分サイズ、濃度等により大きな抵抗生じるほか、不均一な流動性を示すこと等から、こうした傾向が発生する。本発明の技術では、前述の効率と、これを更にロール本体表面に効率良く及ぼす構造により、[図表6](同一条件下加速度試験比較評価)に示すように、安定した結果を得ることが可能である。
【0032】
[図表6]
【0033】
以上のような効果は、少なくともその一部は、本発明の技術・構造によらないで、ロール本体の密度を極めて低くする、ロール本体の厚みを極薄くする、ロール軸の通気・通液構造をなす多孔構造の孔数、孔径を極大化する等によっても可能となるが、このロール軸としての役割である強度等の機械的、構造的必要と条件と、このロール軸の作用の均質性、処理品質(除去能力等)等を十分に満たすものとしては実勢的ではなく、目的に適うものとはならない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第一実施例の機能性ロールの円周方向の一部欠截断面模式図
【図2】第一実施例の機能性ロールを一部省略し、軸方向において一部を断面で示した一部欠截模式図
【図3】図1に示した矢印イと、矢印ロの端面箇所を欠截し、表面視するロール軸の細孔と、ラチス状気液導通路(内圧作用室と内圧分岐作用路)を示した一部欠截拡大模式図
【図4】図2の要部拡大模式図
【図5】各実施例に共通する高密度のポーラスなシート素材の拡大側面図
【図6】第二実施例の機能性ロールの内圧分岐作用路が、直接ロール本体表面に達して作用する構造を示した一部欠截要部拡大断面模式図
【図7】第三実施例で、機能性ロールの他の内圧作用室(切欠き部に山部と谷部を設けた)を示した一部欠截断面模式図
【図8】図7の一部欠截要部拡大断面模式図
【図9】第四実施例で、低密度のポーラスなシート素材の外周面を凹凸形状とし、この周面積の拡充を図る構造を示した一部欠截断面模式図
【図10】第五実施例で、内圧作用室に、低密度のポーラスなシート素材を突出させた機能性ロールの円周方向の一部欠截断面模式図
【図11】図9の要部拡大模式図
【図12】第六実施例の機能性ロールであり、高密度のポーラスなシート素材と、環状孔を備えた高密度のポーラスなシート素材との組合せで、空間の内圧分岐作用路とする構造を示した円周方向の一部欠截断面模式図
【図13】図11の環状孔を備えた高密度のポーラスなシート素材の側面図
【図14】第七実施例の機能性ロールであり、高密度のポーラスなシート素材と、環状孔を備え、かつ内周面を凹凸形状とし、この周面積の拡充を図る高密度のポーラスなシート素材との組合せで、空間の内圧分岐作用路とする構造を示した円周方向の一部欠截断面模式図
【図15−1】図13の機能性ロールの他の内圧作用室(切欠き部に山部と谷部を設けた)を示した一部欠截要部拡大断面模式図
【図15−2】図13の環状孔を備え、かつ内周面を凹凸形状とし、この周面積の拡充を図る高密度のポーラスなシート素材の側面図
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の実施形態を、実施例に基づき図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、第一実施例の機能性ロールの円周方向Bの一部欠截断面模式図を示す。図において、1は内圧作用室で、この内圧作用室1は、適宜の幅A1(小径)でなる弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるロール孔301を備えた高密度のポーラスなシート素材300の内面3bに切欠き形成した管状断面形状の切欠き部2と、このシート素材300のロール孔301に貫設される管状のロール軸4の周面400とで構成される。そして、このロール軸4の周面400に多数の細孔5(通気・通液構造)を開設する。また、このロール軸4は、管状(円筒状)で空洞部401を有する軸本体4a、及び、この軸本体4aの両端に設けられた鍔体4b・4b、及び一方に連通孔402を有する軸受部4c・4c(軸承部)で構成する。また、図5、図7及び図8の如く(第三実施例)、内圧作用室1の切欠き部2は、その管状内周面200が軸方向Xにおいて、山部2aと谷部2bで構成することで、この管状内周面200の内周面面積Z1(周面積)を拡大し、流路抵抗の少ない管状断面形状とするとともに、ロール軸4と、ロール本体3の切欠き部2の内周面200との境界面の面積の拡充を図る。この切欠き部2の管状断面形状、及び/又は、境界面の面積の拡充を図ることで、例えば、吸液機能の向上と、実機に適した(実用に供する)、ロール軸4の機械的強度を確保できる孔数、孔径等(細孔5)のロール軸構造を提案できる。尚、前記切欠き部2は、シート素材300のロール孔301の周面外方(径方向Y)に向かって、かつその軸方向Xに切欠き形成した管状断面形状とする。また、この切欠き部2は、その円周方向Bにおいて複数条設ける構造とする。
【0037】
そして、この内圧作用室1は、内圧分岐作用路6に連通するが、この内圧分岐作用路6は、適宜の小幅A2(大径)でなる一枚の弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるロール孔700を備えた低密度のポーラスなシート素材7(シート素材7)で構成する。そして、このシート素材7(内圧分岐作用路6)は、前記切欠き部2(内圧作用室1)と交差して設け、かつこのロール本体3の一部を形成する。また、このシート素材7は、第一実施例では、内圧作用室1の切欠き部2と相似する切欠き部701を形成するが、図10に示した第五実施例の如く、内圧作用室1の切欠き部2に至る延設部702を設け、この延設部702が、前記の如く、内圧作用室1に至ることで、例えば、吸液機能の向上と、実機に適した、内圧分岐作用路6としてのシート素材7構造となる。さらに、図示しないが、この延設部702を、ロール本体3の表面3aに至らしめることで、この内圧分岐作用路6の吸液機能を、直接、ロール本体3の表面3aに作用させる構造も可能となり、有益性を有する。そして、この吸液機能の向上は、例えば、吸込力の低容量化に役立つこと、省エネルギーに役立つこと等が考えられる(他の実施例も同じ)。
【0038】
そして、図2に示した第一実施例の模式図では、五枚のシート素材300と、一枚のシート素材7との組合せで、内圧分岐作用路6を形成する構造を示している(一例である)。この図においては、この五枚のシート素材300が圧縮されて、その両側面3cの形状が変化する状態を実線で模式的に示してある。
【0039】
尚、図6に示した第二実施例では、シート素材7の外周面703をロール本体3の表面3aまで至らしめることで、このロール本体3の全周面に吸液機能を付与する構造である。この一例では、内圧分岐作用路6の吸液機能を、直接、ロール本体3の表面3aに作用させる構造も可能となり、有益性を有する。その他は、前述の例に準ずる。
【0040】
また、図9に示した、第四実施例は、シート素材7の外周面703に山形、波形、その他の凹凸形状を設けて、この外周面703の外周面面積Z2を拡大することで、吸液機能の拡充と、ロール本体3の表面3aの吸液機能の向上とが図れる実益がある。また、その他は、前述の例に準ずる。
【0041】
以上で説明した、内圧作用室1と、内圧分岐作用路6が交差複合して、図3に示した、ラチス状気液導通路8が形成される。図において、ラチス状気液導通路8は、ロール軸4の細孔5と、正確に、かつ多数個が適確に連通することで、例えば、このラチス状気液導通路8は、ロール本体3の内周面表面3aに対峙する、このロール本体3の内周面内面3b(ロール軸4の周面400に接する側でロール孔301を備えた)に、このロール軸4の内圧を作用させ得ること、また、この内圧を分散・配分できる特徴があり、もって、吸液機能の有効性に寄与できる。さらに、このロール本体3の表面3aにおいて、均一な内圧作用分布、即ち、この内圧は、このロール本体3(ロール作用部)への望ましい作用特性と効率化として機能する。また、この効率化は、吸込力の低容量化に役立つこと、省エネルギーに役立つこと等が考えられる(以下、同じ)。
【0042】
そして、この内圧作用室1、及び内圧分岐作用路6を、好ましくは、図3に示した如く、ロール軸4の周面400上に、交差し、格子状を形成するよう位置関係で組込み、ラチス状気液導通路8(ラチス状構造の気液導通路)を形成して一体構造とする発明であり、複雑、かつロール本体3のポーラスな構造と、吸液機能、並びにロール本体3の全域に亙る、前記内圧構造を、極めて合理的、かつシンプルな構造をもって可能とすること、又はこの合理的、かつシンプルな構造は、一つには、構成部品数の増加回避により、コスト面での合理性、コンサベーションにも当然適すること、更には、品質の維持、性能の安定にも少なからず寄与できること、等の実益性と有効性とを備えている。尚、ロール軸4の空洞部401に連通して設け、かつ外部に開口された連通孔402には吸引機構等内圧作用機用の配管(図示せず)が接続される。従って、このロール軸4に作用する吸引力は、細孔5より、格子形状のラチス状気液導通路8(内圧作用室1→内圧分岐作用路6)からの有効な吸液(通気・通液)作用は、ロール軸4の内圧を負圧(真空)作用させる場合は、このロール本体3の表部液吸収を活性化される。そして、この吸収された液体は、負圧により、ラチス状気液導通路8(内圧分岐作用路6→内圧作用室1)と、細孔5を通じ、ロール軸4の空洞部401→連通孔402を経由して、確実、かつ効率的に流出する。
【0043】
また、望ましくは、複数の図において示す如く、ロール軸4に開設した細孔5の外側(周面400)を管状凹み部500とすることで、この細孔5の吸液機能を拡充することも可能である。但し、このロール軸4の機械的強度を確保できる構造とする。
【0044】
続いて、図12に示した第六実施例では、図13に示した、弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるシート素材300a(シート素材300aとする)であって、そのロール軸4用のロール孔301より、円周外方に向って、カットした環状孔301bを形状した大径内面3b−1を有するドーナツ形状の形状とする。そして、このシート素材300aと、前記シート素材300との組合せ構造で、ラチス状気液導通路8を形成する一例である。この一例では、一枚、又は複数枚積層したシート素材300間に、一枚、又は複数枚積層したシート素材300aを介設することで、この隣接するシート素材300のそれぞれ側面3cと、このシート素材300aの環状孔301bとで空間9を形成する。この空間9は、内圧作用室1に連通するとともに、この内圧作用室1に交差する(軸に向かった)内圧分岐作用路6であって、ラチス状気液導通路8となる。そして、この空間9を、前記内圧分岐作用路6とする構造の一例では、シート素材7の省略と、コストの削減化が図れる特徴がある。
【0045】
また、図14に示した第七実施例は、前記第六実施例の他の実施例である。そして、第七実施例は、図15−2に示した、シート素材300aであって、その環状孔301bを形状した大径内面3b−1の内周面3b−2に山形、波形、その他の凹凸形状を設けて、この内周面3b−2の内周面面積Z3を拡大することで、吸液機能の拡充と、ロール本体3の表面3aの吸液機能の向上とが図れる実益がある。また、その他は、前述の第六実施例の例に準ずる。尚、図15−1は、この第七実施例に、前記第三実施例の山部2aと谷部2bを設けた構造であり、その特徴は、第三実施例に準ずる。
【0046】
その他、本発明の機能性ロールの機能復帰と、再利用の製造方法としては、ロール本体3を、ロール軸4から外した状態において、切削、薬品処理等により、ロール本体3内部の内圧作用室1と、内圧分岐作用路6、又は細孔5の修理(機能回復)、リサイクルに役立つ実益がある。
【符号の説明】
【0047】
1 内圧作用室
2 切欠き部
200 内周面
2a 山部
2b 谷部
3 ロール本体
300 シート素材
300a シート素材
301 ロール孔
301b 環状孔
3a 表面
3b 内面
3b−1 大径内面
3b−2 内周面
3c 側面
4 ロール軸
400 周面
401 空洞部
402 連通孔
4a 軸本体
4b 鍔体
4c 軸受部
5 細孔
500 凹み部
6 内圧分岐作用路
7 シート素材
700 孔
701 切欠き部
702 延設部
703 外周面
8 ラチス状気液導通路
9 空間
A1 幅(大径)
A2 小幅(小径)
B 円周方向
X 軸方向
Y 径方向
Z1 面積
Z2 面積
Z3 面積
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気、及び/又は、通液透過性を備えたロール軸と、このロール軸の外周面に設けたロール本体(ロール作用部)で構成した機能性ロールであって、このロール軸の内圧を制御し、このロール本体で、被処理物の溶液、洗浄水等を吸収、又は被処理物に溶液、洗浄水等を供給する機能(吸液機能とする)を、持続的に維持する構造を備えた液の除去、又は付与(塗布等)を行う機能性ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、ロール軸の細孔構造による孔数、孔径、その配置と、このロール軸の外周面に設けたロール本体の性質、その厚み寸法等の物理的な選定で構成し、この構成を基にして、ロール軸の内圧を、ロール本体に分散・配分し、このロール本体の吸液機能が図られている。そして、この吸液機能の圧損減少と、配分の均一化を図ることを意図し、通常(管状)のロール軸に替え、ロール軸構造をフィン状、又は溝状とするとともに、このロール本体のロール軸側内面の内圧に対する働き表面積(露出面積)を最大化する構造がある。その一例を、先行文献から検討する。
【0003】
以下、ロール軸の構造に関する先行技術の文献について説明する。
【0004】
文献(1)は、本出願人が発明した、特開平5−180216号「高反撥、無粘性の不織布シート状物を利用する積層ロールの製作方法と、複合構造積層ロール」である。この発明は、円筒状の軸本体と、その両端に設けられた鍔体、及び軸受部とでなる軸体と、この軸本体の周壁面に開設し、かつ軸本体の空洞部に連通する多数の細孔と、この軸本体に套嵌される吸液機能を有するロール本体とで構成した複合構造積層ロールであって、前記軸受部に設けた貫通孔が、この軸本体の空洞部に連通する構成である。この発明の特徴は、ロール本体を、密の不織布シート状体(密のパッド:細かい密度)と、粗の不織布シート状物(粗のパッド:粗い密度)を、重畳圧縮して積層ロールを形成し、所定密度(細かい密度)のポーラス(微細な孔)を備えたロール本体を構成する。これにより、高速移行する鋼帯の表面に残留する水分、薬液等の流体を、効率的に排除し、かつ吸水、吸液(吸液機能)することにある。
【0005】
しかし、この発明では、軸本体の空洞部と細孔とは、確実に連通するが、この細孔と、重畳圧縮成型された粗のパッドとが必ずしも連通する保証がなく、十分な吸液機能を達成しない状況となることが考えられる。
【0006】
文献(2)は、本出願人が考案した、実開平1−84213号「ディスク成形された複合ロール構成材でなる吸引ロール装置」である。この考案は、円筒状の軸本体と、その両端に設けられた鍔体、及び軸受部とでなる軸体と、この軸本体の周壁面に開設し、かつ軸本体の空洞部に連通する多数の細孔と、この軸本体に套嵌される弾性多孔質体と、この弾性多孔質体の外周面に設けた極細繊維絡合体とでなる吸液機能を有するロール本体とで構成した吸引ロール装置であって、前記軸受部に設けた貫通孔が、この軸本体の空洞部に連通する構成である。この考案の特徴は、ロール本体と軸本体との接続部にスペーサーによる液溜り副室部を設けた構成である。これにより、文献(1)と略同じ吸液機能することにある。
【0007】
しかし、この考案は、軸本体にスペーサー構造を必要とし、構造が複雑となること、また、ロール本体の保持安定性が劣り、かつ軸本体の機械強度上の面で問題があること、等の改良点が考えられる。
【0008】
【特許文献1】特開平5−180216号
【特許文献2】実開平1−84213号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の機能性ロールの特質上から、実際の能力は、ロール軸の内圧を、このロール本体に対して、どのようにして作用させるかが、このロール本体の作用特性、効率に大きく依存する。
【0010】
しかし、このロール本体の素材、密度等に基づく性質、寸法等を把握し、より良い作用特性、効率を得ようとしても、単に、この性質、寸法等では、解決できない問題がある。また、その反面、この性質、寸法等とは、相反した、悪い作用特性、効率となることも少なくない。
【0011】
その解決策の一つとして、前述の文献(1)、(2)、並びに市販の機能性ロールの如く、ロール軸に設けた細孔に改良をする方法がある。例えば、この細孔の数、孔径、配置に関する構造である。しかし、この構造は、ロール軸としての役割りである強度等の機械的、構造的必要と条件を考慮した場合には、自ずから、制限があって、目的とする細孔の数、孔径、配置を確保できない問題と、また、細孔の均一な配分が得られにくく、かつ一般に圧損が大きること、等が考えられる。そして、また、この構造のみでは、ロール本体が高い効率で、均質な効果を発揮し得る状態には程遠く、実用に即した設計を余儀なくされると考えられる。
【0012】
また、文献(1)、(2)、並びに市販の機能性ロールの如く、ロール本体のロール軸側内面の内圧に対する働き表面積を最大化するロール軸構造は、その構造、かつ形状よりして、ロール本体の形状を保持し、かつその安定を保つのが難しくなり、実用上の応用に限界が考えられる。
【0013】
尚、文献(1)、(2)、並びに市販の機能性ロールにおいて、一定の分野において、その機能も一定の評価は得ている。しかしながら、本発明が意図する、高速移行する鋼帯の表面付着水分、又は高熱脱液ライン等の過酷な状況下で長時間に亙り,吸液機能を発揮し、かつ形態維持を図り得る、弾性不織布シート素材(高反撥、無粘性の不織布シート素材)、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材で構成した機能性ロールとして最適な特質を十分に引出し得ているものではないと考えられる。
【0014】
本発明の目的を総括すると、ロール軸の内圧を、ロール本体に分散・配分し、このロール本体の吸液機能を効率的に発揮しつつ、この吸液機能の圧損減少と、配分の均一化を図ることを意図し(低損失で効率が良い合理的な構造を実現し、これにより内圧により作用するロール本体本来の機能を最大限引き出すことを目的とし)、また、このロール本体のロール軸側内面の内圧に対する働き表面積(露出面積)を最大化する構造を提供することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、[A] 高密度のポーラスなシート素材(ディスク状気液透過性素材)で構成したロール本体(ロール作用部であり、気液透過性ロール本体、又は作用部ロール本体)を、管状で、かつ通気・通液構造を備えたロール軸の周面に設けた機能性ロールであって、吸液装置に接続し、ロール軸の内圧の作用をロール作用部に及ぼす構造を備え、このロール作用部によりロール軸の空洞部に作用する液量を制御し、液を吸収、又は付与する機能を持続的に維持する構造の機能性ロールを提供する。[B] 前記ロール軸の内圧を、ロール本体に分散・配分し、このロール本体の吸液機能を効率的に発揮しつつ、この吸液機能の圧損減少と、配分の均一化を図ることを意図し(低損失で効率が良い合理的な構造を実現し、これにより内圧により作用するロール本体本来の機能を最大限引き出すことを目的とし)、また、このロール本体のロール軸側内面の内圧に対する働き表面積(露出面積)を拡充する構造を提供する。
【0016】
請求項1は、多数の細孔を備えた管状のロール軸と、このロール軸が貫通されるロール孔を備えた弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなる高密度のポーラスなシート素材で構成したロール本体を設けた機能性ロールであって、
前記ロール本体は、前記ロール軸の内圧を作用させるラチス状気液導通路構造を備えおり、このラチス状気液導通路構造は、前記ロール軸の周面と、前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部とで構成した内圧作用室、及び、この内圧作用室に連通し、かつ前記ロール本体の径方向に設けた、前記高密度のポーラスなシート素材に比し、弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるロール孔を備えた低密度のポーラスなシート素材でなる内圧分岐作用路で構成し、
前記内圧を、前記ラチス状気液導通路構造を介して、前記ロール本体に作用させることを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールである。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の[A]と共通する。[C] 前記ロール軸の内圧を、ロール本体の略全体に分散・配分し、このロール本体の吸液機能を、より効率的に発揮しつつ、この吸液機能の圧損減少と、配分の均一化を、最大限に図ることを意図し(低損失で、極めて効率が良い合理的な構造を実現し、これにより内圧により作用するロール本体本来の機能を最大限引き出すことを目的とし)、また、このロール本体のロール軸側内面の内圧に対する働き表面積を最大化する構造を提供する。
【0018】
請求項2は、多数の細孔を備えた管状のロール軸と、このロール軸が貫通されるロール孔を備えた弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなる高密度のポーラスなシート素材と、この密度のポーラスなシート素材に隣接する、弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるロール孔、及び環状孔を備えた高密度のポーラスなシート素材に設けた環状孔と、で構成したロール本体を設けた機能性ロールであって、
前記ロール本体は、前記ロール軸の内圧を作用させるラチス状気液導通路構造を備えおり、このラチス状気液導通路構造は、前記ロール軸の周面と、前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部とで構成した内圧作用室、及び、この内圧作用室に連通し、かつ前記ロール本体の径方向に設けた、前記高密度のポーラスなシート素材のシート側面と、この高密度のポーラスなシート素材間に設けた高密度のポーラスなシート素材に設けた環状孔とで形成した空間の内圧分岐作用路で構成し、
前記内圧を、前記ラチス状気液導通路構造を介して、前記ロール本体に作用させることを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールである。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2の目的を達成しつつ、さらに、この目的達成に最適な、ロール本体の軸方向に設けた切欠き部の形状構造と、合せてロール軸の通気・通液構造を十分に発揮でき、かつ、実機に適した、多孔構造であって、しかも、このロール軸の機械的強度を確保できる孔数、孔径等のロール軸構造を提案することを意図する。
【0020】
請求項3は、請求項1、又は請求項2に記載のラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールであって、
前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部は、その軸方向において、流路抵抗の少ない管状断面形状とし、また、この切欠き部は、その円周方向において複数条設けることを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールである。
【0021】
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2の目的を達成しつつ、さらに、この目的達成に最適な、ロール本体の軸方向に設けた切欠き部の内周面構造(ロール軸と、ロール本体の切欠き部の内周面との境界面の面積の拡充)と、合せてロール作用部に対して、ロール軸の内圧機能を十分に発揮でき、かつ、実機に適した、多孔構造であって、しかも、このロール軸の機械的強度を確保できる孔数、孔径等のロール軸構造を提案することを意図する。
【0022】
請求項4は、請求項1、又は請求項2に記載のラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールに於いて、
前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部は、その管状内周面が軸方向において、山部と谷部で構成し、この内周面の周面積を拡大することを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールである。
【発明の効果】
【0023】
効率: 本発明の技術の場合、同一規模のロールに対し、大出力を効率良く作用させることが可能になる。下記の[図表1]は、比較真空値、[図表2]は、風量、Qとの関係を示す。従来技術では、Ia、Ibに示されるように損失が大きく、出力のロスが大きく、効率が低い。本発明の技術の場合、損失が少なく、大出力を用いても、フラットなQ特性域で効率の高い結果が得られる。
【0024】
[図表1]
【0025】
[図表2]
【0026】
除去能力: 前述の効率により、入口条件([図表3]参照)の影響が著しい従来の技術に比べ、その影響を受けにくく、高い能力を示す。そして、[図表4]に示した如く、低い入口液量条件での絶対値の比較した場合、明らかに高い能力を示すが、特に、比較的粘性の高い液体の取扱いにおいては、従来得られなかった水準の達成が可能となる。
【0027】
[図表3]
【0028】
[図表4]
【0029】
安定性−I: 実運用条件下における、ロール本体(ロール作用部)表面吸収性(g/m2・sec、単位面積・時間当たり)変化測定結果を[図表5]に示す。吸収性の変化は、運用条件下の汚れ等の影響により、定期的なロール本体(ロール作用部)表層部の研削除去(ドレッシング)整備により更新されるが、本発明の技術による場合、前述の効率の寄与が、ロール本体表面面吸収性の変化特性としても認められ、従来の技術と比較して、高い水準を持続することが可能となる。
【0030】
[図表5]
【0031】
安定性−II: 従来技術による場合、液特性によっては、[図表6]に示すように、吸収量、即ち液透過性の不規則な変動や、抵抗(真空値)の累積的増大、即ち不安定性を示しやすい。例えば、非等質性の液であるエマルション系オイルの場合、油成分サイズ、濃度等により大きな抵抗生じるほか、不均一な流動性を示すこと等から、こうした傾向が発生する。本発明の技術では、前述の効率と、これを更にロール本体表面に効率良く及ぼす構造により、[図表6](同一条件下加速度試験比較評価)に示すように、安定した結果を得ることが可能である。
【0032】
[図表6]
【0033】
以上のような効果は、少なくともその一部は、本発明の技術・構造によらないで、ロール本体の密度を極めて低くする、ロール本体の厚みを極薄くする、ロール軸の通気・通液構造をなす多孔構造の孔数、孔径を極大化する等によっても可能となるが、このロール軸としての役割である強度等の機械的、構造的必要と条件と、このロール軸の作用の均質性、処理品質(除去能力等)等を十分に満たすものとしては実勢的ではなく、目的に適うものとはならない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第一実施例の機能性ロールの円周方向の一部欠截断面模式図
【図2】第一実施例の機能性ロールを一部省略し、軸方向において一部を断面で示した一部欠截模式図
【図3】図1に示した矢印イと、矢印ロの端面箇所を欠截し、表面視するロール軸の細孔と、ラチス状気液導通路(内圧作用室と内圧分岐作用路)を示した一部欠截拡大模式図
【図4】図2の要部拡大模式図
【図5】各実施例に共通する高密度のポーラスなシート素材の拡大側面図
【図6】第二実施例の機能性ロールの内圧分岐作用路が、直接ロール本体表面に達して作用する構造を示した一部欠截要部拡大断面模式図
【図7】第三実施例で、機能性ロールの他の内圧作用室(切欠き部に山部と谷部を設けた)を示した一部欠截断面模式図
【図8】図7の一部欠截要部拡大断面模式図
【図9】第四実施例で、低密度のポーラスなシート素材の外周面を凹凸形状とし、この周面積の拡充を図る構造を示した一部欠截断面模式図
【図10】第五実施例で、内圧作用室に、低密度のポーラスなシート素材を突出させた機能性ロールの円周方向の一部欠截断面模式図
【図11】図9の要部拡大模式図
【図12】第六実施例の機能性ロールであり、高密度のポーラスなシート素材と、環状孔を備えた高密度のポーラスなシート素材との組合せで、空間の内圧分岐作用路とする構造を示した円周方向の一部欠截断面模式図
【図13】図11の環状孔を備えた高密度のポーラスなシート素材の側面図
【図14】第七実施例の機能性ロールであり、高密度のポーラスなシート素材と、環状孔を備え、かつ内周面を凹凸形状とし、この周面積の拡充を図る高密度のポーラスなシート素材との組合せで、空間の内圧分岐作用路とする構造を示した円周方向の一部欠截断面模式図
【図15−1】図13の機能性ロールの他の内圧作用室(切欠き部に山部と谷部を設けた)を示した一部欠截要部拡大断面模式図
【図15−2】図13の環状孔を備え、かつ内周面を凹凸形状とし、この周面積の拡充を図る高密度のポーラスなシート素材の側面図
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の実施形態を、実施例に基づき図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、第一実施例の機能性ロールの円周方向Bの一部欠截断面模式図を示す。図において、1は内圧作用室で、この内圧作用室1は、適宜の幅A1(小径)でなる弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるロール孔301を備えた高密度のポーラスなシート素材300の内面3bに切欠き形成した管状断面形状の切欠き部2と、このシート素材300のロール孔301に貫設される管状のロール軸4の周面400とで構成される。そして、このロール軸4の周面400に多数の細孔5(通気・通液構造)を開設する。また、このロール軸4は、管状(円筒状)で空洞部401を有する軸本体4a、及び、この軸本体4aの両端に設けられた鍔体4b・4b、及び一方に連通孔402を有する軸受部4c・4c(軸承部)で構成する。また、図5、図7及び図8の如く(第三実施例)、内圧作用室1の切欠き部2は、その管状内周面200が軸方向Xにおいて、山部2aと谷部2bで構成することで、この管状内周面200の内周面面積Z1(周面積)を拡大し、流路抵抗の少ない管状断面形状とするとともに、ロール軸4と、ロール本体3の切欠き部2の内周面200との境界面の面積の拡充を図る。この切欠き部2の管状断面形状、及び/又は、境界面の面積の拡充を図ることで、例えば、吸液機能の向上と、実機に適した(実用に供する)、ロール軸4の機械的強度を確保できる孔数、孔径等(細孔5)のロール軸構造を提案できる。尚、前記切欠き部2は、シート素材300のロール孔301の周面外方(径方向Y)に向かって、かつその軸方向Xに切欠き形成した管状断面形状とする。また、この切欠き部2は、その円周方向Bにおいて複数条設ける構造とする。
【0037】
そして、この内圧作用室1は、内圧分岐作用路6に連通するが、この内圧分岐作用路6は、適宜の小幅A2(大径)でなる一枚の弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるロール孔700を備えた低密度のポーラスなシート素材7(シート素材7)で構成する。そして、このシート素材7(内圧分岐作用路6)は、前記切欠き部2(内圧作用室1)と交差して設け、かつこのロール本体3の一部を形成する。また、このシート素材7は、第一実施例では、内圧作用室1の切欠き部2と相似する切欠き部701を形成するが、図10に示した第五実施例の如く、内圧作用室1の切欠き部2に至る延設部702を設け、この延設部702が、前記の如く、内圧作用室1に至ることで、例えば、吸液機能の向上と、実機に適した、内圧分岐作用路6としてのシート素材7構造となる。さらに、図示しないが、この延設部702を、ロール本体3の表面3aに至らしめることで、この内圧分岐作用路6の吸液機能を、直接、ロール本体3の表面3aに作用させる構造も可能となり、有益性を有する。そして、この吸液機能の向上は、例えば、吸込力の低容量化に役立つこと、省エネルギーに役立つこと等が考えられる(他の実施例も同じ)。
【0038】
そして、図2に示した第一実施例の模式図では、五枚のシート素材300と、一枚のシート素材7との組合せで、内圧分岐作用路6を形成する構造を示している(一例である)。この図においては、この五枚のシート素材300が圧縮されて、その両側面3cの形状が変化する状態を実線で模式的に示してある。
【0039】
尚、図6に示した第二実施例では、シート素材7の外周面703をロール本体3の表面3aまで至らしめることで、このロール本体3の全周面に吸液機能を付与する構造である。この一例では、内圧分岐作用路6の吸液機能を、直接、ロール本体3の表面3aに作用させる構造も可能となり、有益性を有する。その他は、前述の例に準ずる。
【0040】
また、図9に示した、第四実施例は、シート素材7の外周面703に山形、波形、その他の凹凸形状を設けて、この外周面703の外周面面積Z2を拡大することで、吸液機能の拡充と、ロール本体3の表面3aの吸液機能の向上とが図れる実益がある。また、その他は、前述の例に準ずる。
【0041】
以上で説明した、内圧作用室1と、内圧分岐作用路6が交差複合して、図3に示した、ラチス状気液導通路8が形成される。図において、ラチス状気液導通路8は、ロール軸4の細孔5と、正確に、かつ多数個が適確に連通することで、例えば、このラチス状気液導通路8は、ロール本体3の内周面表面3aに対峙する、このロール本体3の内周面内面3b(ロール軸4の周面400に接する側でロール孔301を備えた)に、このロール軸4の内圧を作用させ得ること、また、この内圧を分散・配分できる特徴があり、もって、吸液機能の有効性に寄与できる。さらに、このロール本体3の表面3aにおいて、均一な内圧作用分布、即ち、この内圧は、このロール本体3(ロール作用部)への望ましい作用特性と効率化として機能する。また、この効率化は、吸込力の低容量化に役立つこと、省エネルギーに役立つこと等が考えられる(以下、同じ)。
【0042】
そして、この内圧作用室1、及び内圧分岐作用路6を、好ましくは、図3に示した如く、ロール軸4の周面400上に、交差し、格子状を形成するよう位置関係で組込み、ラチス状気液導通路8(ラチス状構造の気液導通路)を形成して一体構造とする発明であり、複雑、かつロール本体3のポーラスな構造と、吸液機能、並びにロール本体3の全域に亙る、前記内圧構造を、極めて合理的、かつシンプルな構造をもって可能とすること、又はこの合理的、かつシンプルな構造は、一つには、構成部品数の増加回避により、コスト面での合理性、コンサベーションにも当然適すること、更には、品質の維持、性能の安定にも少なからず寄与できること、等の実益性と有効性とを備えている。尚、ロール軸4の空洞部401に連通して設け、かつ外部に開口された連通孔402には吸引機構等内圧作用機用の配管(図示せず)が接続される。従って、このロール軸4に作用する吸引力は、細孔5より、格子形状のラチス状気液導通路8(内圧作用室1→内圧分岐作用路6)からの有効な吸液(通気・通液)作用は、ロール軸4の内圧を負圧(真空)作用させる場合は、このロール本体3の表部液吸収を活性化される。そして、この吸収された液体は、負圧により、ラチス状気液導通路8(内圧分岐作用路6→内圧作用室1)と、細孔5を通じ、ロール軸4の空洞部401→連通孔402を経由して、確実、かつ効率的に流出する。
【0043】
また、望ましくは、複数の図において示す如く、ロール軸4に開設した細孔5の外側(周面400)を管状凹み部500とすることで、この細孔5の吸液機能を拡充することも可能である。但し、このロール軸4の機械的強度を確保できる構造とする。
【0044】
続いて、図12に示した第六実施例では、図13に示した、弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるシート素材300a(シート素材300aとする)であって、そのロール軸4用のロール孔301より、円周外方に向って、カットした環状孔301bを形状した大径内面3b−1を有するドーナツ形状の形状とする。そして、このシート素材300aと、前記シート素材300との組合せ構造で、ラチス状気液導通路8を形成する一例である。この一例では、一枚、又は複数枚積層したシート素材300間に、一枚、又は複数枚積層したシート素材300aを介設することで、この隣接するシート素材300のそれぞれ側面3cと、このシート素材300aの環状孔301bとで空間9を形成する。この空間9は、内圧作用室1に連通するとともに、この内圧作用室1に交差する(軸に向かった)内圧分岐作用路6であって、ラチス状気液導通路8となる。そして、この空間9を、前記内圧分岐作用路6とする構造の一例では、シート素材7の省略と、コストの削減化が図れる特徴がある。
【0045】
また、図14に示した第七実施例は、前記第六実施例の他の実施例である。そして、第七実施例は、図15−2に示した、シート素材300aであって、その環状孔301bを形状した大径内面3b−1の内周面3b−2に山形、波形、その他の凹凸形状を設けて、この内周面3b−2の内周面面積Z3を拡大することで、吸液機能の拡充と、ロール本体3の表面3aの吸液機能の向上とが図れる実益がある。また、その他は、前述の第六実施例の例に準ずる。尚、図15−1は、この第七実施例に、前記第三実施例の山部2aと谷部2bを設けた構造であり、その特徴は、第三実施例に準ずる。
【0046】
その他、本発明の機能性ロールの機能復帰と、再利用の製造方法としては、ロール本体3を、ロール軸4から外した状態において、切削、薬品処理等により、ロール本体3内部の内圧作用室1と、内圧分岐作用路6、又は細孔5の修理(機能回復)、リサイクルに役立つ実益がある。
【符号の説明】
【0047】
1 内圧作用室
2 切欠き部
200 内周面
2a 山部
2b 谷部
3 ロール本体
300 シート素材
300a シート素材
301 ロール孔
301b 環状孔
3a 表面
3b 内面
3b−1 大径内面
3b−2 内周面
3c 側面
4 ロール軸
400 周面
401 空洞部
402 連通孔
4a 軸本体
4b 鍔体
4c 軸受部
5 細孔
500 凹み部
6 内圧分岐作用路
7 シート素材
700 孔
701 切欠き部
702 延設部
703 外周面
8 ラチス状気液導通路
9 空間
A1 幅(大径)
A2 小幅(小径)
B 円周方向
X 軸方向
Y 径方向
Z1 面積
Z2 面積
Z3 面積
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の細孔を備えた管状のロール軸と、このロール軸が貫通されるロール孔を備えた弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなる高密度のポーラスなシート素材で構成したロール本体を設けた機能性ロールであって、
前記ロール本体は、前記ロール軸の内圧を作用させるラチス状気液導通路構造を備えおり、このラチス状気液導通路構造は、前記ロール軸の周面と、前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部とで構成した内圧作用室、及び、この内圧作用室に連通し、かつ前記ロール本体の径方向に設けた、前記高密度のポーラスなシート素材に比し、弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるロール孔を備えた低密度のポーラスなシート素材でなる内圧分岐作用路で構成し、
前記内圧を、前記ラチス状気液導通路構造を介して、前記ロール本体に作用させることを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロール。
【請求項2】
多数の細孔を備えた管状のロール軸と、このロール軸が貫通されるロール孔を備えた弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなる高密度のポーラスなシート素材と、この密度のポーラスなシート素材に隣接する、弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるロール孔、及び環状孔を備えた高密度のポーラスなシート素材に設けた環状孔と、で構成したロール本体を設けた機能性ロールであって、
前記ロール本体は、前記ロール軸の内圧を作用させるラチス状気液導通路構造を備えおり、このラチス状気液導通路構造は、前記ロール軸の周面と、前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部とで構成した内圧作用室、及び、この内圧作用室に連通し、かつ前記ロール本体の径方向に設けた、前記高密度のポーラスなシート素材のシート側面と、この高密度のポーラスなシート素材間に設けた高密度のポーラスなシート素材に設けた環状孔とで形成した空間の内圧分岐作用路で構成し、
前記内圧を、前記ラチス状気液導通路構造を介して、前記ロール本体に作用させることを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロール。
【請求項3】
請求項1、又は請求項2に記載のラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールであって、
前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部は、その軸方向において、流路抵抗の少ない管状断面形状とし、また、この切欠き部は、その円周方向において複数条設けることを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロール。
【請求項4】
請求項1、又は請求項2に記載のラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールであって、
前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部は、その管状内周面が軸方向において、山部と谷部で構成し、この内周面の周面積を拡大することを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロール。
【請求項1】
多数の細孔を備えた管状のロール軸と、このロール軸が貫通されるロール孔を備えた弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなる高密度のポーラスなシート素材で構成したロール本体を設けた機能性ロールであって、
前記ロール本体は、前記ロール軸の内圧を作用させるラチス状気液導通路構造を備えおり、このラチス状気液導通路構造は、前記ロール軸の周面と、前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部とで構成した内圧作用室、及び、この内圧作用室に連通し、かつ前記ロール本体の径方向に設けた、前記高密度のポーラスなシート素材に比し、弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるロール孔を備えた低密度のポーラスなシート素材でなる内圧分岐作用路で構成し、
前記内圧を、前記ラチス状気液導通路構造を介して、前記ロール本体に作用させることを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロール。
【請求項2】
多数の細孔を備えた管状のロール軸と、このロール軸が貫通されるロール孔を備えた弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなる高密度のポーラスなシート素材と、この密度のポーラスなシート素材に隣接する、弾性不織布シート素材、又は不織布に架橋弾性体を付与し得られた機能性複合シート素材でなるロール孔、及び環状孔を備えた高密度のポーラスなシート素材に設けた環状孔と、で構成したロール本体を設けた機能性ロールであって、
前記ロール本体は、前記ロール軸の内圧を作用させるラチス状気液導通路構造を備えおり、このラチス状気液導通路構造は、前記ロール軸の周面と、前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部とで構成した内圧作用室、及び、この内圧作用室に連通し、かつ前記ロール本体の径方向に設けた、前記高密度のポーラスなシート素材のシート側面と、この高密度のポーラスなシート素材間に設けた高密度のポーラスなシート素材に設けた環状孔とで形成した空間の内圧分岐作用路で構成し、
前記内圧を、前記ラチス状気液導通路構造を介して、前記ロール本体に作用させることを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロール。
【請求項3】
請求項1、又は請求項2に記載のラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールであって、
前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部は、その軸方向において、流路抵抗の少ない管状断面形状とし、また、この切欠き部は、その円周方向において複数条設けることを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロール。
【請求項4】
請求項1、又は請求項2に記載のラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロールであって、
前記ロール本体の軸方向に設けた切欠き部は、その管状内周面が軸方向において、山部と谷部で構成し、この内周面の周面積を拡大することを特徴としたラチス状気液導通路構造を備えた機能性ロール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【公開番号】特開2011−58621(P2011−58621A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293388(P2009−293388)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【特許番号】特許第4484168号(P4484168)
【特許公報発行日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(390021603)株式会社増田製作所 (3)
【出願人】(509228411)マスロールシステムズ 株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【特許番号】特許第4484168号(P4484168)
【特許公報発行日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(390021603)株式会社増田製作所 (3)
【出願人】(509228411)マスロールシステムズ 株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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