ラテラルフローアッセイシステム及び方法
【課題】低濃度の分析物が含まれる場合にも精確な結果をもたらす診断テストシステム及び診断テスト方法を提供する。
【解決手段】一態様では、診断テストシステムは、ハウジング、読み取り器及びデータ分析器を備える。読み取り器は、光学的検査に付された検出領域のエリアの局所領域から区別できる光強度測定値を得、各局所領域は、第1の次元よりも小さい少なくとも1つの表面寸法を有する。データ分析器は、少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別し、識別された各光強度測定値から少なくとも1つのパラメータを算出する。他の態様では、読み取り機は、検出領域の露光領域の複数の対応領域の各々から光強度測定値セットを得、データ分析器は、少なくとも1つの光強度測定値セットから少なくとも1つのパラメータを算出する。
【解決手段】一態様では、診断テストシステムは、ハウジング、読み取り器及びデータ分析器を備える。読み取り器は、光学的検査に付された検出領域のエリアの局所領域から区別できる光強度測定値を得、各局所領域は、第1の次元よりも小さい少なくとも1つの表面寸法を有する。データ分析器は、少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別し、識別された各光強度測定値から少なくとも1つのパラメータを算出する。他の態様では、読み取り機は、検出領域の露光領域の複数の対応領域の各々から光強度測定値セットを得、データ分析器は、少なくとも1つの光強度測定値セットから少なくとも1つのパラメータを算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
合衆国法典第35巻第120条に基づいて、本願は、以下の同時係属中の出願の利益を主張する: Patrick T. Petrunoらによる、"OPTOELECTRONIC RAPID DIAGNOSTIC TEST SYSTEM"と題された2004年4月1日付けの米国特許出願第10/816,636号;及びPatrick T. Petrunoらによる、"OPTOELECTRONIC RAPID DIAGNOSTIC TEST SYSTEM"と題された2005年1月26日付けの米国特許出願第11/044,394号、参照することでそれぞれ本明細書に取り入れることとする。
【背景技術】
【0002】
ラテラルフローアッセイテストキットは、現在、ホルモン、代謝産物、毒素、あるいは病原体由来の抗原のような広範な医学的及び環境的状態若しくは化合物を試験するために利用することができる。図1は、典型的なラテラルフローテスト細片10を示しており、それは、サンプル受容領域12、標識化領域14、検出領域15、及び吸収領域20を共通の基材22上に備える。これらの領域12〜20は、典型的に、毛管作用によって流体をサンプル受容領域12から吸収領域20へと流すことのできる材料(例えば、化学処理されたニトロセルロース)から作製される。検出領域15は、流体サンプル中のターゲット分析物の存在を検出するためのテスト領域16と、アッセイテストの完了を示すための制御領域18とを含む。
【0003】
図2A及び2Bは、例示的な実施形態のテスト細片10を用いて実施されるアッセイを示している。流体サンプル24(例えば、血液、尿、あるいは唾液)は、サンプル受容領域12に適用される。図2A及び2Bに示す例では、流体サンプル24は、ターゲット分析物26(即ち、テスト細片10によりアッセイすることのできる分子や化合物)を含む。毛管作用によって、液体サンプル24は、ターゲット分析物26の間接標識化用物質28を収容している標識化領域14へと流れを下り移動する。図示した例では、標識化物質28は、結合した染料粒子32を有する免疫グロブリン30から構成される。免疫グロブリン30は、特にターゲット分析物26と結合して、標識化されたターゲット分析物複合体を形成する。他の実施形態では、標識化物質28は、特にターゲット分析物26と結合して標識化されたターゲット分析物複合体を形成するところの、免疫グロブリン以外で標識化された化合物である。
【0004】
標識化されたターゲット分析物複合体は、過剰量の標識化物質と共に、ラテラルフロー経路に沿って、特にターゲット分析物26と結合し得る固定化された化合物34を含んでいるテスト領域16へと運ばれる。図示した例では、固定化された化合物34は、特に標識化されたターゲット分析物複合体と結合し、それによって標識化されたターゲット分析物複合体をテスト領域16内に保持するところの免疫グロブリンである。サンプル中の標識化された分析物の存在は、典型的に、標識化物質がテスト領域16内に堆積した結果現れる、視覚的に検知可能なテスト領域16の着色によって確かめられる。
【0005】
制御領域18は、典型的に、アッセイが完了に至ったことを示すように設計されている。制御領域18内の化合物35は、標識化物質28と結合し、それを保持する。十分な量の標識化物質28が堆積すると、標識化物質28は、典型的に、制御領域18内において視認できるようになる。サンプル中にターゲット分析物26が存在しない場合は、テスト領域16は着色しないが、制御領域18は着色されて、アッセイが完了したことを示すこととなる。吸収領域20は、過剰量の流体サンプル24を捕捉する。
【0006】
上述のタイプのラテラルフローアッセイ装置の視覚的な検査は質的なアッセイ結果をもたらすことはできるが、これらのタイプの装置を読み取るそのような方法は量的なアッセイ測定をもたらすことはできず、それ故、判読エラーが生じやすい。これらの欠点を克服すべく、自動化及び半自動化されたラテラルフローアッセイ読み取り器が開発されてきた。
【0007】
或るアプローチでは、ポータブルラテラルフローアッセイ読み取り器を用いて、特定のホルモン、グルコース、あるいは他の対象となる体液の存在を検出するために、体液に関してアッセイを実施する。流体サンプルを含む膜テスト細片を、読み取り器の受容ポートに直に挿入する。受容ポートは、感度を高め且つ浮遊物や周囲の光が読み取り器内に侵入するのを軽減させるために遮蔽されている。読み取り器は、光源と、受容ポート内に挿入されたテスト細片の検出領域からの反射光の強度を検出するための1つ又は複数のセンサとを備える。
【0008】
他のアプローチでは、読み取り器は、ラテラルフローアッセイテスト細片の検出領域内にある1つ又は複数の測定領域において、固定化された標識化ターゲット分析物複合体の存在の結果生じる検出シグナル強度を検出する。読み取り器は、測定領域外部と検出領域内部との検出シグナル値間を内挿することによって、測定領域からのシグナル強度のベースラインを生成する。読み取り器は、前記ベースラインに関して、固定化されている標識化されたターゲット分析物複合体のシグナル強度の指示値を定量する。このプロセスでは、読み取り器は、テスト細片上の1つ又は複数の測定領域の始めの境界と終わりの境界の位置を判定し、それによって、ラテラルフローアッセイに関する或る結果を判定するために、自動化あるいは半自動化、又は人間による読み取りが可能となる。測定領域からのシグナルは、ベースラインに関して定量され且つ比較される。次いで、種々の測定領域内にある化合物の各濃度に対応した定量値を比較し、サンプル中の抗原の存在を検出する。
【0009】
上述のラテラルフローアッセイ読み取り器によりなされる測定は、典型的に対象領域よりも著しく大きいテスト細片領域からのシグナルに基づいている。その結果、これらの測定では、ノイズレベルが高くなりがちであり、結果、これらの測定では、低濃度の分析物が含まれる場合には精確でないか又は間違った結果をもたらす可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
低濃度の分析物が含まれる場合にも精確な結果をもたらす診断テストシステム及び診断テスト方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様では、本発明は、ハウジング、読み取り器、及びデータ分析器を備える診断テストシステムに関する。ハウジングは、テスト細片を受容するためのポートを備える。テスト細片は、ラテラルフロー方向(横向き流れの方向)に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つ標識をターゲット分析物に結合させる標識化物質を含有する標識領域と、ターゲット分析物と結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域とを備える。検出領域は、光学的検査のために露光され且つラテラルフロー方向に垂直な第1の次元及びラテラルフロー方向に平行な第2の次元によって特徴付けられるエリアを有する。読み取り器は、テスト細片がポート内に装填された際に検出領域の光学的検査にさらされたエリアの局所領域からの区別し得る光強度測定値を得るように構成されており、局所領域の各々は、前記第1の次元よりも小さい少なくとも1つの表面寸法により特徴付けられる。データ分析器は、少なくとも1つのテスト領域から得られた光強度測定値の各々を識別し、且つ識別された各光強度測定値から少なくとも1つのパラメータを算出するように機能することができる。
【0012】
他の態様では、本発明は、ハウジング、読み取り器、及びデータ分析器を備える診断テストシステムに関する。ハウジングは、テスト細片を受容するためのポートを備える。テスト細片は、ラテラルフロー方向に沿って流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つ標識をターゲット分析物に結合させる標識化物質を含有する標識領域と、ターゲット分析物と結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域と、光学的検査にさらされるエリアとを備える。読み取り器は、テスト細片がポート内に装填された際に、検出領域の光学的検査にさらされるエリアの複数の対応領域の各々から個々の光強度測定値セット(一連の光強度測定値;時間を関数とした光強度測定値の変化)を得るように構成されている。データ分析器は、少なくとも1つの光強度測定値セットから少なくとも1つのパラメータを算出するように機能することができる。
【0013】
他の態様では、本発明は、診断テスト方法に関する。本発明の方法によれば、まずテスト細片が受容される。テスト細片は、ラテラルフロー方向に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つ標識をターゲット分析物に結合させる標識化物質を含有する標識化領域と、ターゲット分析物と結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域とを備える。検出領域は、光学的検査にさらされ且つラテラルフロー方向に垂直な第1の次元とラテラルフロー方向に平行な第2の次元とによって特徴付けられるエリアを有する。検出領域の当該エリアの局所領域から区別できる光強度測定値が得られ、この場合、局所領域の各々は、第1の次元よりも小さい少なくとも1つの表面寸法によって特徴付けられる。少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値が識別される。そして、識別された各光強度測定値から、少なくとも1つのパラメータが算出される。
【0014】
他の態様では、本発明は、診断テスト方法に関する。本発明の方法によれば、まずテスト細片が受容される。テスト細片は、ラテラルフロー方向に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つ標識をターゲット分析物に結合させる標識化物質を含有する標識化領域と、ターゲット分析物と結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域と、光学的検査にさらされるエリアとを備える。テスト細片がポート内に装填されると、検出領域の前記エリアの複数の対応領域の各々から、個々の光強度測定値セットが得られる。少なくとも1つの光強度測定値セットから、少なくとも1つのパラメータが算出される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低濃度の分析物が含まれる場合にも精確な結果をもたらす診断テストシステム及び診断テスト方法を提供することができる。本発明のその他の特徴や利点は、図面や特許請求の範囲を含む以下の説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下の説明では、類似の符号は類似の要素を表すために用いる。さらに、図面は、例示的な実施形態の主な特徴を図示するよう意図されている。図面は、実際の実施形態の全ての特徴を表すことや、図示する要素の相対的な寸法を表すようには意図されておらず、縮尺通りには描かれていない。
【0017】
以下に詳細に説明する幾つかの実施形態は、所望の量的情報を得ることのできるテスト細片上の対象領域へと測定範囲を制限することによって、ラテラルフローアッセイ測定におけるノイズ(例えば、光の反射やテスト細片内の物質が本来発する蛍光によって生じるノイズ)のレベルを低減させる。こうして、これらの実施形態は、測定のシグナル/ノイズ(S/N)比を高め、それによって、低濃度の分析物に関して誤った結果が発生することを低減させることができる。これらの実施形態の幾つかはまた、テスト細片の局所領域からの個々の測定値セット(当該領域についての付加的な分析情報を得ることができる)を得ることによって、ラテラルフローアッセイ結果の正確性を高めることができる。この付加的情報を用いることで、バックグランドノイズからターゲット測定値を単離(分離)することができ、且つターゲットパラメータ値のより精確な見積もり値を得ることができる。幾つかの実施形態はまた、同一のテスト細片から複数の分析物を精確に読み取ることができる。
I. 診断テストシステムの概略
図3は、診断テストシステム40の一実施形態を示しており、それは、ハウジング42、読み取り器44、データ分析器46、及びメモリ47を備える。ハウジング42は、テスト細片50を受容するためのポート48を備える。テスト細片50がポート48内に装填されると、読み取り器44は、テスト細片50から光強度測定値を得る。一般的に、光強度測定値は、フィルタ処理しなくてもよいし、少なくとも1つの波長及び方向に関してフィルタ処理してもよい。データ分析器46は、1つ又は複数の光強度測定値から少なくとも1つのパラメータを算出する。結果表示器52は、テスト細片50に関する1つ又は複数のアッセイ結果を表示する。いくつかの実施形態では、診断テストシステム40は、使い捨て用途、即ち一回のみ用いられる用途に用いることを可能とする比較的安価な構成要素から製造される。
【0018】
ハウジング42は、プラスチックや金属をはじめとする、広範な材料のうちの任意の1つから製造することができる。ハウジング42は、読み取り器44、データ分析器46、電源54、及び診断テストシステム40の他の構成要素のための保護壁を形成する。ハウジング42はまた、読み取り器44に関してテスト細片50を機械的に位置あわせする容器を画定する。当該容器は、図1記載のタイプのテスト細片をはじめとする、広範な種々のタイプのテスト細片50を受容し得るように設計することができる。
【0019】
一般に、各テスト細片50は、ラテラルフロー(横方向の流れ)の向き51に沿う流体サンプルのラテラルフローをもたらし、且つターゲット分析物に標識を結合させる標識化物質を含む標識化領域と、ターゲット分析物に結合する固定化された物質を含む少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域とを備える。テスト領域の少なくとも一部を含む、検出領域の1つ又は複数のエリアは、読み取り器44による光学的検査のために露光される。検出領域の露光エリアは、任意に透明な窓により被覆してもしなくてもよい。
【0020】
読み取り器44は、テスト細片50の検出領域の露光エリアを光学的に検査するために、1つ又は複数のオプトエレクトロニクス要素を備える。幾つかの実施形態では、読み取り器44は、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの光検出器とを備える。幾つかの実施形態では、光源は、半導体発光ダイオードを含み、光検出器は、半導体光ダイオードを含むことができる。テスト細片50に用いられる標識の特性に応じて、光源は、特定の波長範囲の光又は特定の偏光特性を有する光を発するように設計することができる。例えば、標識が量子ドットのような蛍光標識である場合には、光源は、標識から蛍光を放出させるよう誘導する波長範囲の光を、テスト細片50の検出領域の露光エリアに当てるように設計される。同様に、光検出器は、検出領域の露光エリアからの光を選択的に捕捉するように設計される。例えば、標識が蛍光標識である場合には、光検出器は、標識によって発せられた蛍光の波長範囲内の光、又は特定の偏光特性を有する光を選択的に捕捉するように設計される。一方、標識が反射タイプの標識である場合には、光検出器は、光源により発せられた光の波長範囲内の光を選択的に捕捉するように設計される。これらの目的のために、光検出器は、捕捉された光の波長範囲や偏光軸を画定する1つ又は複数のフィルターを備えることができる。
【0021】
データ分析器46は、読み取り器44によって得られた光強度測定値を処理する。一般に、データ分析器46は、デジタル電子回路やコンピュータハードウェア、ファームウェア、あるいはソフトウェアをはじめとする、任意の計算あるいは処理環境において実施することができる。幾つかの実施形態では、データ分析器46は、プロセッサ(例えば、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はASIC)及びアナログ/デジタル変換器を備える。図示した実施形態では、データ分析器46は、診断テストシステム40のハウジング42内部に取り込まれている。他の実施形態では、データ分析器46は、有線又は無線接続を介して診断テストシステム40と通信し得るコンピュータのような別個の装置内に配置される。
【0022】
一般に、結果表示器52は、アッセイテストの1つ又は複数の結果を表示するための広範な種々の機構のうちの任意の1つを含み得る。幾つかの実施形態では、結果表示器52は、例えば、陽性のテスト結果やアッセイテストの完了(即ち、十分な量の標識化物質28が制御領域内に堆積する時点)を表示すべく駆動される1つ又は複数の発光体(例えば、発光ダイオード)を備える。他の実施形態では、結果表示器52は、アッセイテスト結果を表すために、英数字ディスプレイ(例えば、2文字又は3文字を表す発光ダイオードアレイ)を備える。
【0023】
電源54は、読み取り器44、データ分析器46、及び結果表示器52を含んで成る診断テストシステム40の機能要素に電力を供給する。電源54には、例えば、交換可能なバッテリー又は充電可能なバッテリーを用いることができる。
II.区別できる局所的な光強度測定値に基づく診断テスト
以下に詳細に説明する実施形態は、所望の量的情報を得ることのできるテスト細片上の対象領域へと測定範囲を制限することによって、ラテラルフローアッセイ測定におけるノイズ(例えば、テスト細片内の物質に本来備わっている蛍光特性により生じるノイズ)のレベルを低減させることができる。こうして、これらの実施形態では、測定のシグナル/ノイズ(S/N)比を高めることができ、その結果、測定感度を高め、誤った結果の発生を低減させることができる。
【0024】
図4は、下記の診断テストシステム40の実施形態によって実行され得る診断テスト法の一実施形態を示している。この方法によれば、テスト細片50が診断テストシステム40のポート48に装填されると、読み取り器44は、テスト細片50の検出領域の露光エリア領域から区別できる局所的な光強度測定値を得る(ブロック60)。本明細書で用いるとき、「区別できる局所的な光強度測定値」とは、データ分析器46が各光強度測定値を個々に分析できるように、テスト細片の各局所領域から光強度測定値を送ったり、記録したりする読み取り器44の能力を指す。
【0025】
この実施形態では、光強度測定値が読み取り器44によって得られることになる区別できる局所領域の各々は、検出領域の露光エリアの、ラテラルフロー方向に直角をなす次元(寸法)よりも小さい少なくとも1つの表面寸法によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、これら局所領域の各々は、検出領域内の対象領域(例えば、テスト領域、制御領域、又は標識化された複合体若しくは標識化されていない複合体が固定化された領域)の最も小さい次元(寸法)とほぼ同じか又はそれより小さい寸法であるところの表面寸法を有する。
【0026】
読み取り器44が検出領域内のそのような局所的な対象領域から光強度測定値を得た(ブロック60)後は、データ分析器46が、対象領域から得られた各光強度測定値を識別する(ブロック62)。このプロセスでは、データ分析器46は、テスト細片50の他の領域に対応した測定値から、対象領域に対応した測定値を分離する。分離された測定値は、対象領域外の領域からの測定値を包含する総合測定値よりも高いシグナル/ノイズ比を有する。
【0027】
データ分析器46は、識別された各光強度測定値から少なくとも1つのパラメータを算出する(ブロック64)。例示的なパラメータとしては、ピーク強度や総合強度値が挙げられる。これらのパラメータを算出するために用いられる測定値は、より高いシグナル/ノイズ比を有しているため、それらは対象領域を非常に精確に特徴づけ、それによって、ラテラルフローアッセイ結果が改善される。
A. 2次元光検出器アレイを用いて区別できる局所的な光強度測定値を得る方法
図5Aは、光源66、光検出器70の2次元アレイ68、及びレンズ72を備える診断テストシステム40の一実施形態を示している。図5Aでは、テスト細片50は、図1記載のテスト細片10と実質的に同じである。詳細には、テスト細片50は、サンプル受容領域12、標識化領域14、検出領域15、及び吸収領域20を、共通の基材22上に備える。図示した実施形態では、検出領域15の相当な部分が光学的検査のために露光される。
【0028】
作用に関しては、光源66は、テスト細片50のテスト領域16と制御領域18とを含む検出領域15の露光エリアに光76を当てる。照射される光は、広い帯域のものでも狭い帯域のものでもよく、また、偏向されていても偏向されていなくてもよい。光検出器アレイ68は、検出領域15の光の当てられたエリアから、区別できる局所的な光強度測定値を得る。一般に、光強度測定値は、フィルタ処理しなくてもよいし、又は少なくとも1つの波長や偏光特性に関してフィルタ処理してもよい。光検出器アレイ68は、光源66に同期させることができる。一般に、光検出器アレイ68は、検出領域15に光が当てられている間若しくは光源66が検出領域15に光を当てた後に、光強度を測定することができる。検出領域15からの反射光又は蛍光は、レンズ72によって、光検出アレイ68の個々の光検出器70に集められる。各光検出器70は、検出領域15の各局所領域から光を受容する。即ち、各光検出器70は、検出領域15の各局所領域を区別し別個にイメージングすることができる。この実施形態では、局所領域は、テスト領域及び制御領域16、18の最も小さい次元(即ち、ラテラルフロー方向に沿う領域16、18の次元)とせいぜい大きさが等しい表面寸法により特徴付けられる。図示した実施形態では、局所領域は、テスト領域及び制御領域16、18のラテラルフロー方向に沿った寸法の3分の1におよそ等しい正方形領域によって特徴付けられる。光検出器70は、各局所領域から受容した光の量を表すシグナルを生成する。これらのシグナルは、メモリに格納したり、又は処理のためにデータ分析器46へと送ることができる。
【0029】
図5A及び5Bに示すように、テスト領域16からの反射光又は蛍光は、アレイ68の光検出器70のサブセット80によってのみ受容される。同様に、制御領域18からの反射光又は蛍光は、アレイ68の光検出器70のサブセット82によってのみ受容される。よって、サブセット80、82内の光検出器からのシグナルは、それぞれ、ノイズレベルの比較的低いテスト領域16及び制御領域18からの反射光又は蛍光の光強度測定値をもたらす。
【0030】
データ分析器46は、個々の光検出器70によって生成されたシグナルを処理し、対象領域(例えば、テスト領域16及び制御領域18)から得られた各光強度測定値を識別するように機能し得る。図6を参照すると、例示的な一例においては、光検出器アレイ68は、3次元の面84によって表される一群の光強度シグナルを生成する。この例では、面84は、光検出器アレイ68のサブセット80、82内の光検出器70によって得られた比較的高い強度の測定値86、88を有する。この例に関しては、データ分析器46は、強度閾値レベル90にて面84に閾を設けることで、テスト領域16及び制御領域18から得られた光強度測定値を識別することができる。幾つかの実施形態では、閾値を設けるプロセスにおいて用いられる閾値は、細片又は対象領域にわたって一定である。例えば、幾つかの実施形態では、閾値は、照明や分析物の拡散を考慮して、傾斜させたり、又は局所的に変更したりすることができる。閾値レベル90よりも高い各光強度測定値は、テスト領域16及び制御領域18に起因するものとして識別される。データ分析器46は、識別した光強度測定値が得られた光検出器アレイ68の相対位置などの付加的情報を用いることで、識別された光強度測定値を、テスト領域16や制御領域18と相関させることができる。
B. 線状光検出器アレイを用いて区別できる局所的な光強度測定値を得る方法
図7は、図5A記載の実施形態と同じテスト細片50の実施形態、並びに光検出器70の2次元アレイ68に代えて線状光検出器アレイ92を備える以外は図5A記載の実施形態と同じ診断テストシステム40の実施形態とを示している。この実施形態では、診断テストシステム40は、さらに、光学検査要素94(たとえば、光源66、レンズ72、及び光検出器線状アレイ92)とテスト細片50との間の相対的な動きをもたらす機構(図示せず)を備える。動きをもたらす機構は、テスト細片50に対し光学検査要素を一対のレール上で移動させるモータ駆動のキャリッジ、並びに光学検査要素に対しテスト細片50を移動させるモータ駆動の1つ又は複数のドライブホイールをはじめとする広範な種々の機構のうちの任意の1つとし得る。図示した実施形態では、光学検査要素94は、矢印96の方向(即ち、ラテラルフロー方向)において、テスト細片50に対し動くように示されている。光検出器線状アレイ92は、光学検査要素94の移動方向とは直角をなす向きに配向されている。
【0031】
作用に関しては、光学検査要素94がテスト細片50に対し動くとき、光源66が、検出領域15の露光エリアに光76を照射する。照射される光は、広い帯域のものでも狭い帯域のものでもよく、また、偏向されていても偏向されていなくてもよい。光検出器線状アレイ92は、検出領域15の露光エリアの狭い部分から、区別できる局所的な光強度測定値を得る。一般に、光強度測定値は、フィルタ処理しなくても、波長や偏向特性に関してフィルタ処理することもできる。光検出器アレイ92は、光源66に同期させることができる。一般に、光検出器アレイ92は、検出領域15が露光されている間あるいは光源66を検出領域15に当てた後に、光強度を測定することができる。検出領域15からの反射光又は蛍光は、レンズ72によって、光検出器アレイ92の個々の光検出器70に焦点が合わせられている。各光検出器70は、検出領域15の各局所領域から光を受容する。即ち、各光検出器70は、検出器15の各局所領域を区別したり、別個にイメージングしたりすることができる。光検出器70は、各局所領域から受容した光の量を表すシグナルを生成する。これらのシグナルは、メモリに格納したり、又は処理のためにデータ分析器46へと送ることができる。
【0032】
データ分析器46は、個々の光検出器70により生成されたシグナルを処理して、対象領域(例えば、テスト領域16及び制御領域18)から得られた各光強度測定値を識別するように機能することができる。幾つかの実施形態では、検出領域15の表面は、ラテラルフロー方向に直角をなす方向においては、ほぼ均質である。これらの実施形態では、線状アレイ92内の光検出器からのシグナルは、情報をほとんど損失することなく集めることができる。
【0033】
図8は、光検出器線状アレイ92によって生成された集合強度測定値を時間の関数としてプロットした例示的なグラフ98を示している。この例では、グラフ98は、アレイ92内の光検出器70がテスト領域16及び制御領域18の上に位置する際の、より高強度の集合強度100、102を含む。この例に関しては、データ分析器46は、しきい値レベル104にてグラフ98に閾を設けることによって、テスト領域16及び制御領域18から得られた光強度測定値を同定することができる。閾値レベル104より高い各光強度測定値は、テスト領域16及び制御領域18に起因するものとして識別することができる。データ分析器46は、同定された各光強度測定値が得られた相対時間などの付加的情報を用いて、識別した光強度測地値をテスト領域16及び制御領域18と相関させることができる。
C. 走査光源を用いて区別できる局所的な光強度測定値を得る方法
図9は、図1記載のテスト細片10と同じテスト細片50の実施形態、並びに検出領域15の露出エリアを横切って光線112を走査させるように機能し得る光源110を含む診断テストシステム40の一実施形態を示している。光線112は、広い帯域のものでも狭い帯域のものでもよく、また偏光したものでも偏光していないものでもよい。一般に、光源110は、ラテラルフロー方向に垂直な方向やラテラルフロー方向に平行な方向をはじめとする、テスト領域16及び制御領域18を含む任意の経路に沿って、検出領域15の露光エリアを横切って光線112を走査することができる。図示した実施形態では、光源110は、検出領域15の露光エリアを横切って、回りくどいジグザグ経路に沿って光線112を走査している。幾つかの実施形態では、光源110は、発光ダイオードやレーザのような発光器、及び照射された光の形状を整え走査してビーム112を生成するための1つ又は複数の光学要素(例えば、1つ又は複数のレンズや回転鏡)を含む。
【0034】
図9記載の実施形態では、診断テストシステム40は、検出領域15の露出エリア全体を横切る光線112経路を網羅した視界を有するか又はそれらに光線112が当てられる際に検出領域15の局所領域をたどる任意のタイプの単一要素又は複数要素からなる光検出器を用いて、区別できる局所的な光強度測定値を得ることができる。一般に、光強度測定値は、フィルタ処理しなくてもよいし、波長や偏向特性に関してフィルタ処理してもよい。光検出器アレイは、光源と同期させることができる。一般に、光検出器アレイは、検出領域15の個々の区別できる局所領域が露光される間若しくは光源が検出領域15に当てられた後に、光強度を測定することができる。光線112は一度に検出領域15の1つの局所領域にしか当てられないため、光検出器により得られる光は、露光された局所領域からの反射光あるいは蛍光に一致する。それ故、光検出器により生成されたシグナルの各データポイントは、各局所領域と相関性があり、検出領域15のより広い領域から得られた測定値と比較して、高いシグナル/ノイズ比を有する。
【0035】
データ分析器46は、光検出器により生成されたシグナルを処理し、対象領域(例えば、テスト領域16及び制御領域18)から得られた各光強度測定値を識別するように機能し得る。例えば、幾つかの実施形態では、データ分析器46は、光検出器により生成された経時的な光強度測定値シグナルに閾を設けることによって、テスト領域90及び制御領域92から得られた光強度測定値を識別することができる。閾レベルより高い光強度測定値は、テスト領域16及び制御領域18に由来するものとして同定することができる。同定された光強度測定値とテスト領域16及び制御領域18とを相関させるために、データ分析器46は、同定された各光強度測定値が得られた相対時間のような付加情報を用いることができる。
D. 開口を介して区別できる局所的な光強度測定値を得る方法
図10は、図5A記載の実施形態と同じテスト細片50の実施形態、並びに光源120と一対の光検出器122、124を備える診断テストシステム40の一実施形態を示している。光源120には、検出領域15内の対象領域を照射される比較的広い光線を生成する1つ又は複数の発光ダイオードを用いることができる。光検出器122、124には、単一要素からなる光検出器、又は複数要素からなる光検出器を用いることができる。
【0036】
開口プレート126は、それを介して光検出器122、124が光強度測定値を得ることができる一対の開口128、130を画定する。図示した実施形態では、開口128、130は、テスト細片50が診断テストシステム40のポート48に装填される際に、テスト領域16及び制御領域18の上に位置する。一般に、開口128、130は、検出領域内の対象領域からの反射光又は蛍光を選択的に検出器122、124へと到達させ得るように設計されている。図示した実施形態では、開口128、130はまた、検出領域15内の対象領域が光源120によって照射されるようにすることができる。開口128、130は、典型的に、実際は、対象領域の近くに位置する。幾つかの実施形態では、開口128、130は、テスト領域16及び制御領域18と、寸法、形状、向きにおいてほぼ一致する。
【0037】
作用に関しては、光源120は、開口128、130中を通して光132、134をテスト領域16及び制御領域18に当てる。照射される光は、広い帯域のものでも狭い帯域のものでもよく、また偏光されたものでも偏光されていないものでもよい。光検出器122、124は、検出領域15の露光エリアから区別できる局所的な光強度測定値を得る。一般に、光強度測定値は、フィルタ処理しなくてもよいし、波長や偏光特性に関してフィルタ処理してもよい。検出器122、124は、光源120に同期させることができる。一般に、光検出器122、124は、検出領域15に光が当てられている間若しくは光源120によって検出領域15に光が当てられた後に、光強度を測定することができる。テスト領域16及び制御領域18からの反射光又は蛍光は、レンズ136、138によって、それぞれ、光検出器122、124に集められる。こうして、光検出器122、124は、テスト領域16及び制御領域18を区別したり、別個にイメージングしたりすることができる。光検出器122、124は、テスト領域16及び制御領域18から受容した光の量を表すシグナルを生成する。光検出器122、124に単一要素からなる検出器が用いられている場合は、シグナルは、テスト領域16及び制御領域18から受容した光の全体量、即ち集合量を表す。光検出器122、124に複数要素からなる検出器を用いた場合には、シグナルは、テスト領域16及び制御領域18の局所領域から受容した光の量を表す。光検出器122、124により生成されたシグナルは、メモリに格納したり、処理のためにデータ分析器46へと送ることができる。
【0038】
テスト領域16及び制御領域18からの反射光又は蛍光は優先的に開口128、130を通るが、テスト細片50の他の領域からの光は開口プレート126によってほぼ遮断される。その結果、光検出器122、124により生成されたシグナルは、検出領域15のより大きな領域から得られた測定値よりも高いシグナル/ノイズ比を有する。さらに、光検出器122、124により得られた光は、それぞれ、テスト領域16及び制御領域18からの反射光又は蛍光にほぼ対応する。それ故、光検出器122、124により生成されたシグナルは、それぞれ、テスト領域16及び制御領域18と相関性があり、データ分析器46は、テスト領域16及び制御領域18から直に得られた各光強度測定値を識別することができる。即ち、光検出器122により生成された光強度測定値はテスト領域16から得られたものであり、光検出器124により生成された光強度測定値は制御領域18から得られたものである。
E. ポジションマーカを用いて区別できる局所的な光強度測定値を得る方法
幾つかの実施形態では、データ分析器46は、テスト細片上の少なくとも1つのポジションマーカから得られた強度測定値に基づいて、検出領域15内の対象領域から得られた各光強度測定値を識別することができる。図9記載のテスト細片50の実施形態では、例示的な一群のポジションマーカ138が含まれる。図示した実施形態では、ポリジョンマーカ138は、テスト細片50の端に沿って規則正しく配置されている。ポジションマーカ138は、テスト細片50表面とは異なる反射特性を有するフィーチャーを含む。その結果、テスト細片50の端近傍から得られた測定値は、ポジションマーカ138の存在によって強度が変化する。こうして、ポジションマーカは、ラテラルフロー方向において、テスト細片50に沿う位置をエンコード(記号化)する。
【0039】
これらの実施形態では、データ分析器46は、光強度測定値を、ラテラルフロー方向におけるテスト細片50位置と相関させる。この情報並びに対象領域の位置をポジションマーカ138のパターンとの相関を表す所定の情報に基づいて、データ分析器46は、対象領域に対応する各光強度測定値を識別することができる。
III.局所領域からの測定値セットに基づいた診断テスト方法
以下に詳細に説明する実施形態では、テスト細片の局所領域からの測定値の各セット(当該領域に関する付加的な分析情報を得ることができる)を得ることによって、ラテラルフローアッセイ結果の正確性が向上する。この付加的な情報を用いることによって、バックグランドノイズからターゲット測定値を分離したり、ターゲットパラメータ値をより精確に見積もることができる。
【0040】
図11は、上述の診断テストシステム40の実施形態によって実行することのできる診断テスト方法の一実施形態を示している。この方法によれば、読み取り器44は、検出領域の露光エリアの複数の対応領域の各々から、個々の光強度測定値セットを得る(ブロック140)。照射される光は、広い帯域のものでも狭い帯域のものでもよく、また偏光されたものでも偏光されていないものでもよい。読み取り器44は、単一要素から成る検出器又は複数要素から成る検出器を用いて、対応領域の各々から光強度測定値セットを得ることができる。一般に、光強度測定値は、フィルタ処理しなくとも、又は波長や偏光特性に関してフィルタ処理してもよい。光検出器は、光源と同期させることができる。一般に、光検出器は、検出領域15が露光されている間若しくは光源によって検出領域15に光が当てられた後に、光強度を測定することができる。
【0041】
この実施形態では、そこから読み取り器44が光強度測定値を得ることになる各局所領域は、ラテラルフロー方向に直角をなす検出領域の露光エリアの次元(寸法)よりも小さい少なくとも1つの表面寸法によって特徴付けられても特徴付けられなくてもよい(即ち、ラテラルフロー方向に直角をなす検出領域の露光エリアの次元(寸法)よりも小さい少なくとも1つの表面寸法を有しても有さなくてもよい)。幾つかの実施形態では、これらの各局所領域は、検出領域内の対象領域(例えば、テスト領域、制御領域、又は標識化された複合体若しくは標識化されていない複合体が固定化されている領域)の最も小さい次元(寸法)とほぼ同じ寸法であるかそれよりも小さい表面寸法を有する。
【0042】
読み取り器44が光強度測定値のセットを得た(ブロック140)後は、データ分析器46が、光強度測定値の少なくとも1つのセットから少なくとも1つのパラメータを算出する(ブロック142)。この工程では、データ分析器46は、光強度測定値のセットを用いることで、ターゲットパラメータ値のより精確な見積もりを実現することができる。あるいはまた、データ分析器46は、光強度測定値のセットを用いることで、対象領域(例えば、テスト領域16及び制御領域18)に対応する測定値を、テスト細片50の他の領域に対応する測定値から分離することができる。これら分離された測定値は、対象領域外の領域からの測定値を含む集合測定値よりも、高いシグナル/ノイズ比を有する。
【0043】
図12A及び12Bを参照すると、一実施形態では、読み取り器44は、検出領域15内の対象領域の蛍光反応に経時的な変化があることを示す光強度測定値のセットを得る。蛍光標識を用いるテスト細片用に設計された1つの手法では、光源はパルス光を出し(即ち、断続的な光を発し)、且つ光検出器は、各光パルス後の対応領域から一連の光強度測定値(光強度測定値セット)を得る。図12Aは、読み取り器44によって得られた一連の光強度測定値を表す1つの例示的なグラフ144を示している。この例では、光源は、時間t0にパルス光を出し、光強度測定値は、時間t1(時間t0から遅れ時間Δtだけ後の時間)になってから得られる。遅れ時間Δtのために、ピーク強度測定値146は、対象領域から発せられた蛍光の真のピーク強度を表さない。データ分析器46は、指数減衰モデル(強度がe-t/τに比例)に従って、グラフから減衰パラメータを算出し、図12Bに示すように、時間t0に遡り強度値を外挿してピーク強度の見積もりを得ることによって、蛍光ピークのより精確な見積もりを得ることができる。ピーク強度のこの見積もり値は対象領域からの実際の蛍光特性に近いため、この見積もりは、実際に測定したピーク強度146よりも蛍光ピーク値のより精確な測定値をもたらす。
【0044】
幾つかの実施形態では、データ分析器46は、検出領域15内の複数の対象領域に対応するピーク強度パラメータの各々からパラメータ値を算出する。例えば、幾つかの実施形態では、データ分析器46は、サンプル内の2つのターゲット分析物の相対濃度の測定値を得るために、第1及び第2のテスト領域に関して見積もられたピーク強度値の比を算出することができる。
【0045】
そこから光強度測定値が得られる局所領域の経時的な反応(応答)を利用することで、これらの測定値を種々の蛍光源と関係付けることができる。例えば、図13Aは、2つの光強度測定値セットから得られたlog強度プロット148、150を示している。これらのプロット148、150は同じ減衰パラメータを示しているため(即ち、それらは同じ傾斜を有するため)、データ分析器46は、これらの測定値セットを発した2つの蛍光源は同じ蛍光性種であると推測し得る。図13Bも、2つの光強度測定値セットから得られた2つのlog強度プロット152、154を示している。これらのプロット152、154は異なる減衰パラメータを示しているため(即ち、それらは異なる傾斜を有しているため)、データ分析器46は、これらの測定値セットを発した2つの蛍光源は異なる蛍光性種であると推測し得る。
【0046】
他の実施形態では、そこから強度測定値が得られる局所領域の波長応答を利用することで、これらの測定値を種々の蛍光源と関係付けることができる。例えば、幾つかの実施形態では、所与の局所領域に関して得られた光強度測定値の各々は、1つ又は複数の波長を包含する異なる波長プロファイル(又はカラーチャネル)に対応する。幾つかの実施形態では、検出領域15が、広い帯域の光源により光を当てられ、且つ光検出器が、対象となる異なるターゲット波長範囲に対応する各対応領域からの複数の測定値を得るように構成することができる。他の実施形態では、読み取り器44は、検出領域15の各対応領域に、各々が1つ又は複数の波長を包含する異なる波長プロファイルを有する光を照射する。この場合、読み取り器44は、異なる波長プロファイルを有する光を生成し得る複数の光源を備えるか、又は波長を調節可能な単一の光源を備えることができる。ターゲット波長は、典型的に、検出領域内の種々の対象領域から異なる応答を引き出すように選択されている。例えば、幾つかの実施形態では、ターゲット波長範囲は、異なる各蛍光標識が蛍光を発するように選択される。
【0047】
これらの実施形態の幾つかにおいては、読み取り器44は、検出領域15内の対象領域の異なるターゲット波長応答を識別し得るように構成された1つ又は複数の光検出器を備える。図14は、4つのカラーフィルタ(A、B、C及びD)から成る同一のセット152を複数備えるカラーフィルタアレイ150の例示的な一実施形態の一部を示しており、カラーフィルタの各々は、光検出器2次元アレイ(図示せず)の各光検出器に向けて誘導される光を遮断する。カラーフィルタは、光検出器によって得られる光強度測定値に関するカラーチャネルを画定する。カラーフィルタの所与のセット152に対応する光検出器は、検出領域15のほぼ同じ局所領域をイメージングする。それ故、所与のセット152に対応する光検出器によって生成された光シグナルは、カラーチャネルA、B、C及びDに関してイメージングされた領域の波長応答にほぼ対応する。
【0048】
これらの測定値から、データ分析器46は、検出領域15の照射エリアにわたって波長応答プロファイルを決定する。図15は、光検出器2次元アレイと図14記載のカラーフィルタアレイとを用いて光強度測定値を得る読み取り器44の一実施形態から得られた集合強度プロファイルの例示的なグラフ160、162、164、166を示している。グラフ160−166の各々は、カラーフィルタアレイ150により画定されるカラーチャネルA、B、C及びDの各々に対応する。集合強度値は、光検出器2次元アレイ内のラテラルフロー方向に沿う位置の関数としてプロットしている。図示した実施形態では、グラフ160−166は、光検出器2次元アレイ内の種々の位置におけるピーク強度値を含む。アレイ位置は検出領域15内のラテラルフロー方向に沿う位置と相関性があるため、データ分析器46は、異なる標識種が検出領域15内のこれら異なる位置に存在すると推測し得る。データ分析器46はこの情報を用いることで、異なる標識に対応する光強度測定値を互いに分離することができる。
【0049】
他の実施形態では、読み取り器44は、検出領域15の各対応領域に、異なる偏光特性を有する光を照射する。これらの実施形態では、読み取り器44は、検出領域15内の対象領域からの異なる偏光応答を識別し得るように構成された1つ又は複数の光検出器を備える。これらの測定値から、データ分析器46は、検出領域15の照射領域全体にわたって偏光応答プロファイルを決定する。データ分析器46は、この情報を利用することで、異なる標識に対応する光強度測定値を互いに分離することができる(例えば、閾値を設けたり、ピーク強度を検出したりすることによって)。
IV.結論
上述の実施形態の幾つかは、所望の量的情報を得るテスト細片の対象領域へと測定範囲を制限することによって、ラテラルフローアッセイ測定におけるノイズ(例えば、反射光やテスト細片内の物質が本来有する蛍光特性によって生じるノイズ)のレベルを低下させる。こうして、これらの実施形態では、測定値のシグナル/ノイズ比を高め、それによって、測定感度を向上させ、誤った結果が発生することを低減させる。これらの実施形他の幾つかはまた、テスト細片の複数の局所領域から個々の測定値セット(それらの領域に関して付加的な分析情報をもたらす)を得ることによって、ラテラルフローアッセイ結果の正確性を高めることができる。この付加的な情報を用いることで、バックグランドノイズからターゲット測定値を分離したり、ターゲットパラメータ値のより精確な見積もりを実現することができる。幾つかの実施形態はまた、同一のテスト細片から複数の分析物を精確に読み取ったり、空間的に離れた標識やスペクトル的に別個の標識を区別したりすることができる。
【0050】
他の実施形態も、特許請求の範囲の範囲内にある。
【0051】
例えば、前出の実施形態は、異なる波長の光を分離し、複数の光検出器の各々にそれを誘導するところの回折光学素子、即ち格子をさらに含むことができる。例えば、図16は、光検出器2次元アレイ182を用いて区別できる局所的な光強度測定値を得る診断テストシステム180を示している。この実施形態では、検出器アレイ182の個々の列にある個々の検出器要素184の各々は、回折レンズ186により分離し誘導される光の特定波長を対象とし得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ラテラルフローアッセイテスト細片の従来技術の実施形態の概略図
【図2A】図1記載のラテラルフローアッセイテスト細片のサンプル受容領域に流体サンプルが適用されていることを表す概略図
【図2B】流体サンプルがテスト細片を横切って吸収領域へと流れた後の、図2A記載のラテラルフローアッセイテスト細片の概略図
【図3】診断テストシステムの一実施形態に装填されているテスト細片を表す概略図
【図4】診断テスト法の一実施形態のフロー図
【図5A】テスト細片から光強度測定値を得る光検出器2次元アレイを備える図3記載の診断テストシステムの一実施形態の概略側面図
【図5B】テスト領域及び制御領域(強調部分)から光強度測定値を得るべく配されている、図5A記載の光検出器2次元アレイの概略図
【図6】図5A及び5B記載の光検出器2次元アレイ内の位置の関数としてプロットされた光強度の例示的なグラフ
【図7】テスト細片領域から光強度測定値を得る光検出器線状アレイを備えた、図3記載の診断テストシステムの一実施形態の概略図
【図8】時間の関数としてプロットされた、図7記載の光検出器線状アレイにより得られた集合光強度の例示的なグラフ
【図9】テスト細片の領域にわたって光線を走査する光源を備えた、図3記載の診断テストシステムの一実施形態の概略平面図
【図10】テスト細片のテスト領域及び制御領域からの選択的な光の検出を可能にする開口プレートを備えた、図3記載の診断テストシステムの一実施形態の概略側面図
【図11】診断テスト方法の一実施形態のフロー図
【図12A】時間の関数としてプロットされた強度のグラフ
【図12B】時間の関数としてプロットされた、図12A記載の強度値の対数グラフ
【図13A】時間の関数としてプロットされた2つの光強度測定値セットの対数のグラフ
【図13B】時間の関数としてプロットされた2つの光強度測定値セットの対数のグラフ
【図14】カラーフィルタアレイの一実施形態の一部の概略図
【図15】光検出器2次元アレイ内のラテラルフロー方向に沿う位置の関数としてプロットされた、4つの異なるカラーチャネルに関する集合強度のグラフ
【図16】図3記載の診断テストシステムの一実施形態の概略側面図
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
合衆国法典第35巻第120条に基づいて、本願は、以下の同時係属中の出願の利益を主張する: Patrick T. Petrunoらによる、"OPTOELECTRONIC RAPID DIAGNOSTIC TEST SYSTEM"と題された2004年4月1日付けの米国特許出願第10/816,636号;及びPatrick T. Petrunoらによる、"OPTOELECTRONIC RAPID DIAGNOSTIC TEST SYSTEM"と題された2005年1月26日付けの米国特許出願第11/044,394号、参照することでそれぞれ本明細書に取り入れることとする。
【背景技術】
【0002】
ラテラルフローアッセイテストキットは、現在、ホルモン、代謝産物、毒素、あるいは病原体由来の抗原のような広範な医学的及び環境的状態若しくは化合物を試験するために利用することができる。図1は、典型的なラテラルフローテスト細片10を示しており、それは、サンプル受容領域12、標識化領域14、検出領域15、及び吸収領域20を共通の基材22上に備える。これらの領域12〜20は、典型的に、毛管作用によって流体をサンプル受容領域12から吸収領域20へと流すことのできる材料(例えば、化学処理されたニトロセルロース)から作製される。検出領域15は、流体サンプル中のターゲット分析物の存在を検出するためのテスト領域16と、アッセイテストの完了を示すための制御領域18とを含む。
【0003】
図2A及び2Bは、例示的な実施形態のテスト細片10を用いて実施されるアッセイを示している。流体サンプル24(例えば、血液、尿、あるいは唾液)は、サンプル受容領域12に適用される。図2A及び2Bに示す例では、流体サンプル24は、ターゲット分析物26(即ち、テスト細片10によりアッセイすることのできる分子や化合物)を含む。毛管作用によって、液体サンプル24は、ターゲット分析物26の間接標識化用物質28を収容している標識化領域14へと流れを下り移動する。図示した例では、標識化物質28は、結合した染料粒子32を有する免疫グロブリン30から構成される。免疫グロブリン30は、特にターゲット分析物26と結合して、標識化されたターゲット分析物複合体を形成する。他の実施形態では、標識化物質28は、特にターゲット分析物26と結合して標識化されたターゲット分析物複合体を形成するところの、免疫グロブリン以外で標識化された化合物である。
【0004】
標識化されたターゲット分析物複合体は、過剰量の標識化物質と共に、ラテラルフロー経路に沿って、特にターゲット分析物26と結合し得る固定化された化合物34を含んでいるテスト領域16へと運ばれる。図示した例では、固定化された化合物34は、特に標識化されたターゲット分析物複合体と結合し、それによって標識化されたターゲット分析物複合体をテスト領域16内に保持するところの免疫グロブリンである。サンプル中の標識化された分析物の存在は、典型的に、標識化物質がテスト領域16内に堆積した結果現れる、視覚的に検知可能なテスト領域16の着色によって確かめられる。
【0005】
制御領域18は、典型的に、アッセイが完了に至ったことを示すように設計されている。制御領域18内の化合物35は、標識化物質28と結合し、それを保持する。十分な量の標識化物質28が堆積すると、標識化物質28は、典型的に、制御領域18内において視認できるようになる。サンプル中にターゲット分析物26が存在しない場合は、テスト領域16は着色しないが、制御領域18は着色されて、アッセイが完了したことを示すこととなる。吸収領域20は、過剰量の流体サンプル24を捕捉する。
【0006】
上述のタイプのラテラルフローアッセイ装置の視覚的な検査は質的なアッセイ結果をもたらすことはできるが、これらのタイプの装置を読み取るそのような方法は量的なアッセイ測定をもたらすことはできず、それ故、判読エラーが生じやすい。これらの欠点を克服すべく、自動化及び半自動化されたラテラルフローアッセイ読み取り器が開発されてきた。
【0007】
或るアプローチでは、ポータブルラテラルフローアッセイ読み取り器を用いて、特定のホルモン、グルコース、あるいは他の対象となる体液の存在を検出するために、体液に関してアッセイを実施する。流体サンプルを含む膜テスト細片を、読み取り器の受容ポートに直に挿入する。受容ポートは、感度を高め且つ浮遊物や周囲の光が読み取り器内に侵入するのを軽減させるために遮蔽されている。読み取り器は、光源と、受容ポート内に挿入されたテスト細片の検出領域からの反射光の強度を検出するための1つ又は複数のセンサとを備える。
【0008】
他のアプローチでは、読み取り器は、ラテラルフローアッセイテスト細片の検出領域内にある1つ又は複数の測定領域において、固定化された標識化ターゲット分析物複合体の存在の結果生じる検出シグナル強度を検出する。読み取り器は、測定領域外部と検出領域内部との検出シグナル値間を内挿することによって、測定領域からのシグナル強度のベースラインを生成する。読み取り器は、前記ベースラインに関して、固定化されている標識化されたターゲット分析物複合体のシグナル強度の指示値を定量する。このプロセスでは、読み取り器は、テスト細片上の1つ又は複数の測定領域の始めの境界と終わりの境界の位置を判定し、それによって、ラテラルフローアッセイに関する或る結果を判定するために、自動化あるいは半自動化、又は人間による読み取りが可能となる。測定領域からのシグナルは、ベースラインに関して定量され且つ比較される。次いで、種々の測定領域内にある化合物の各濃度に対応した定量値を比較し、サンプル中の抗原の存在を検出する。
【0009】
上述のラテラルフローアッセイ読み取り器によりなされる測定は、典型的に対象領域よりも著しく大きいテスト細片領域からのシグナルに基づいている。その結果、これらの測定では、ノイズレベルが高くなりがちであり、結果、これらの測定では、低濃度の分析物が含まれる場合には精確でないか又は間違った結果をもたらす可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
低濃度の分析物が含まれる場合にも精確な結果をもたらす診断テストシステム及び診断テスト方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様では、本発明は、ハウジング、読み取り器、及びデータ分析器を備える診断テストシステムに関する。ハウジングは、テスト細片を受容するためのポートを備える。テスト細片は、ラテラルフロー方向(横向き流れの方向)に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つ標識をターゲット分析物に結合させる標識化物質を含有する標識領域と、ターゲット分析物と結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域とを備える。検出領域は、光学的検査のために露光され且つラテラルフロー方向に垂直な第1の次元及びラテラルフロー方向に平行な第2の次元によって特徴付けられるエリアを有する。読み取り器は、テスト細片がポート内に装填された際に検出領域の光学的検査にさらされたエリアの局所領域からの区別し得る光強度測定値を得るように構成されており、局所領域の各々は、前記第1の次元よりも小さい少なくとも1つの表面寸法により特徴付けられる。データ分析器は、少なくとも1つのテスト領域から得られた光強度測定値の各々を識別し、且つ識別された各光強度測定値から少なくとも1つのパラメータを算出するように機能することができる。
【0012】
他の態様では、本発明は、ハウジング、読み取り器、及びデータ分析器を備える診断テストシステムに関する。ハウジングは、テスト細片を受容するためのポートを備える。テスト細片は、ラテラルフロー方向に沿って流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つ標識をターゲット分析物に結合させる標識化物質を含有する標識領域と、ターゲット分析物と結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域と、光学的検査にさらされるエリアとを備える。読み取り器は、テスト細片がポート内に装填された際に、検出領域の光学的検査にさらされるエリアの複数の対応領域の各々から個々の光強度測定値セット(一連の光強度測定値;時間を関数とした光強度測定値の変化)を得るように構成されている。データ分析器は、少なくとも1つの光強度測定値セットから少なくとも1つのパラメータを算出するように機能することができる。
【0013】
他の態様では、本発明は、診断テスト方法に関する。本発明の方法によれば、まずテスト細片が受容される。テスト細片は、ラテラルフロー方向に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つ標識をターゲット分析物に結合させる標識化物質を含有する標識化領域と、ターゲット分析物と結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域とを備える。検出領域は、光学的検査にさらされ且つラテラルフロー方向に垂直な第1の次元とラテラルフロー方向に平行な第2の次元とによって特徴付けられるエリアを有する。検出領域の当該エリアの局所領域から区別できる光強度測定値が得られ、この場合、局所領域の各々は、第1の次元よりも小さい少なくとも1つの表面寸法によって特徴付けられる。少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値が識別される。そして、識別された各光強度測定値から、少なくとも1つのパラメータが算出される。
【0014】
他の態様では、本発明は、診断テスト方法に関する。本発明の方法によれば、まずテスト細片が受容される。テスト細片は、ラテラルフロー方向に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つ標識をターゲット分析物に結合させる標識化物質を含有する標識化領域と、ターゲット分析物と結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域と、光学的検査にさらされるエリアとを備える。テスト細片がポート内に装填されると、検出領域の前記エリアの複数の対応領域の各々から、個々の光強度測定値セットが得られる。少なくとも1つの光強度測定値セットから、少なくとも1つのパラメータが算出される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低濃度の分析物が含まれる場合にも精確な結果をもたらす診断テストシステム及び診断テスト方法を提供することができる。本発明のその他の特徴や利点は、図面や特許請求の範囲を含む以下の説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下の説明では、類似の符号は類似の要素を表すために用いる。さらに、図面は、例示的な実施形態の主な特徴を図示するよう意図されている。図面は、実際の実施形態の全ての特徴を表すことや、図示する要素の相対的な寸法を表すようには意図されておらず、縮尺通りには描かれていない。
【0017】
以下に詳細に説明する幾つかの実施形態は、所望の量的情報を得ることのできるテスト細片上の対象領域へと測定範囲を制限することによって、ラテラルフローアッセイ測定におけるノイズ(例えば、光の反射やテスト細片内の物質が本来発する蛍光によって生じるノイズ)のレベルを低減させる。こうして、これらの実施形態は、測定のシグナル/ノイズ(S/N)比を高め、それによって、低濃度の分析物に関して誤った結果が発生することを低減させることができる。これらの実施形態の幾つかはまた、テスト細片の局所領域からの個々の測定値セット(当該領域についての付加的な分析情報を得ることができる)を得ることによって、ラテラルフローアッセイ結果の正確性を高めることができる。この付加的情報を用いることで、バックグランドノイズからターゲット測定値を単離(分離)することができ、且つターゲットパラメータ値のより精確な見積もり値を得ることができる。幾つかの実施形態はまた、同一のテスト細片から複数の分析物を精確に読み取ることができる。
I. 診断テストシステムの概略
図3は、診断テストシステム40の一実施形態を示しており、それは、ハウジング42、読み取り器44、データ分析器46、及びメモリ47を備える。ハウジング42は、テスト細片50を受容するためのポート48を備える。テスト細片50がポート48内に装填されると、読み取り器44は、テスト細片50から光強度測定値を得る。一般的に、光強度測定値は、フィルタ処理しなくてもよいし、少なくとも1つの波長及び方向に関してフィルタ処理してもよい。データ分析器46は、1つ又は複数の光強度測定値から少なくとも1つのパラメータを算出する。結果表示器52は、テスト細片50に関する1つ又は複数のアッセイ結果を表示する。いくつかの実施形態では、診断テストシステム40は、使い捨て用途、即ち一回のみ用いられる用途に用いることを可能とする比較的安価な構成要素から製造される。
【0018】
ハウジング42は、プラスチックや金属をはじめとする、広範な材料のうちの任意の1つから製造することができる。ハウジング42は、読み取り器44、データ分析器46、電源54、及び診断テストシステム40の他の構成要素のための保護壁を形成する。ハウジング42はまた、読み取り器44に関してテスト細片50を機械的に位置あわせする容器を画定する。当該容器は、図1記載のタイプのテスト細片をはじめとする、広範な種々のタイプのテスト細片50を受容し得るように設計することができる。
【0019】
一般に、各テスト細片50は、ラテラルフロー(横方向の流れ)の向き51に沿う流体サンプルのラテラルフローをもたらし、且つターゲット分析物に標識を結合させる標識化物質を含む標識化領域と、ターゲット分析物に結合する固定化された物質を含む少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域とを備える。テスト領域の少なくとも一部を含む、検出領域の1つ又は複数のエリアは、読み取り器44による光学的検査のために露光される。検出領域の露光エリアは、任意に透明な窓により被覆してもしなくてもよい。
【0020】
読み取り器44は、テスト細片50の検出領域の露光エリアを光学的に検査するために、1つ又は複数のオプトエレクトロニクス要素を備える。幾つかの実施形態では、読み取り器44は、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの光検出器とを備える。幾つかの実施形態では、光源は、半導体発光ダイオードを含み、光検出器は、半導体光ダイオードを含むことができる。テスト細片50に用いられる標識の特性に応じて、光源は、特定の波長範囲の光又は特定の偏光特性を有する光を発するように設計することができる。例えば、標識が量子ドットのような蛍光標識である場合には、光源は、標識から蛍光を放出させるよう誘導する波長範囲の光を、テスト細片50の検出領域の露光エリアに当てるように設計される。同様に、光検出器は、検出領域の露光エリアからの光を選択的に捕捉するように設計される。例えば、標識が蛍光標識である場合には、光検出器は、標識によって発せられた蛍光の波長範囲内の光、又は特定の偏光特性を有する光を選択的に捕捉するように設計される。一方、標識が反射タイプの標識である場合には、光検出器は、光源により発せられた光の波長範囲内の光を選択的に捕捉するように設計される。これらの目的のために、光検出器は、捕捉された光の波長範囲や偏光軸を画定する1つ又は複数のフィルターを備えることができる。
【0021】
データ分析器46は、読み取り器44によって得られた光強度測定値を処理する。一般に、データ分析器46は、デジタル電子回路やコンピュータハードウェア、ファームウェア、あるいはソフトウェアをはじめとする、任意の計算あるいは処理環境において実施することができる。幾つかの実施形態では、データ分析器46は、プロセッサ(例えば、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はASIC)及びアナログ/デジタル変換器を備える。図示した実施形態では、データ分析器46は、診断テストシステム40のハウジング42内部に取り込まれている。他の実施形態では、データ分析器46は、有線又は無線接続を介して診断テストシステム40と通信し得るコンピュータのような別個の装置内に配置される。
【0022】
一般に、結果表示器52は、アッセイテストの1つ又は複数の結果を表示するための広範な種々の機構のうちの任意の1つを含み得る。幾つかの実施形態では、結果表示器52は、例えば、陽性のテスト結果やアッセイテストの完了(即ち、十分な量の標識化物質28が制御領域内に堆積する時点)を表示すべく駆動される1つ又は複数の発光体(例えば、発光ダイオード)を備える。他の実施形態では、結果表示器52は、アッセイテスト結果を表すために、英数字ディスプレイ(例えば、2文字又は3文字を表す発光ダイオードアレイ)を備える。
【0023】
電源54は、読み取り器44、データ分析器46、及び結果表示器52を含んで成る診断テストシステム40の機能要素に電力を供給する。電源54には、例えば、交換可能なバッテリー又は充電可能なバッテリーを用いることができる。
II.区別できる局所的な光強度測定値に基づく診断テスト
以下に詳細に説明する実施形態は、所望の量的情報を得ることのできるテスト細片上の対象領域へと測定範囲を制限することによって、ラテラルフローアッセイ測定におけるノイズ(例えば、テスト細片内の物質に本来備わっている蛍光特性により生じるノイズ)のレベルを低減させることができる。こうして、これらの実施形態では、測定のシグナル/ノイズ(S/N)比を高めることができ、その結果、測定感度を高め、誤った結果の発生を低減させることができる。
【0024】
図4は、下記の診断テストシステム40の実施形態によって実行され得る診断テスト法の一実施形態を示している。この方法によれば、テスト細片50が診断テストシステム40のポート48に装填されると、読み取り器44は、テスト細片50の検出領域の露光エリア領域から区別できる局所的な光強度測定値を得る(ブロック60)。本明細書で用いるとき、「区別できる局所的な光強度測定値」とは、データ分析器46が各光強度測定値を個々に分析できるように、テスト細片の各局所領域から光強度測定値を送ったり、記録したりする読み取り器44の能力を指す。
【0025】
この実施形態では、光強度測定値が読み取り器44によって得られることになる区別できる局所領域の各々は、検出領域の露光エリアの、ラテラルフロー方向に直角をなす次元(寸法)よりも小さい少なくとも1つの表面寸法によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、これら局所領域の各々は、検出領域内の対象領域(例えば、テスト領域、制御領域、又は標識化された複合体若しくは標識化されていない複合体が固定化された領域)の最も小さい次元(寸法)とほぼ同じか又はそれより小さい寸法であるところの表面寸法を有する。
【0026】
読み取り器44が検出領域内のそのような局所的な対象領域から光強度測定値を得た(ブロック60)後は、データ分析器46が、対象領域から得られた各光強度測定値を識別する(ブロック62)。このプロセスでは、データ分析器46は、テスト細片50の他の領域に対応した測定値から、対象領域に対応した測定値を分離する。分離された測定値は、対象領域外の領域からの測定値を包含する総合測定値よりも高いシグナル/ノイズ比を有する。
【0027】
データ分析器46は、識別された各光強度測定値から少なくとも1つのパラメータを算出する(ブロック64)。例示的なパラメータとしては、ピーク強度や総合強度値が挙げられる。これらのパラメータを算出するために用いられる測定値は、より高いシグナル/ノイズ比を有しているため、それらは対象領域を非常に精確に特徴づけ、それによって、ラテラルフローアッセイ結果が改善される。
A. 2次元光検出器アレイを用いて区別できる局所的な光強度測定値を得る方法
図5Aは、光源66、光検出器70の2次元アレイ68、及びレンズ72を備える診断テストシステム40の一実施形態を示している。図5Aでは、テスト細片50は、図1記載のテスト細片10と実質的に同じである。詳細には、テスト細片50は、サンプル受容領域12、標識化領域14、検出領域15、及び吸収領域20を、共通の基材22上に備える。図示した実施形態では、検出領域15の相当な部分が光学的検査のために露光される。
【0028】
作用に関しては、光源66は、テスト細片50のテスト領域16と制御領域18とを含む検出領域15の露光エリアに光76を当てる。照射される光は、広い帯域のものでも狭い帯域のものでもよく、また、偏向されていても偏向されていなくてもよい。光検出器アレイ68は、検出領域15の光の当てられたエリアから、区別できる局所的な光強度測定値を得る。一般に、光強度測定値は、フィルタ処理しなくてもよいし、又は少なくとも1つの波長や偏光特性に関してフィルタ処理してもよい。光検出器アレイ68は、光源66に同期させることができる。一般に、光検出器アレイ68は、検出領域15に光が当てられている間若しくは光源66が検出領域15に光を当てた後に、光強度を測定することができる。検出領域15からの反射光又は蛍光は、レンズ72によって、光検出アレイ68の個々の光検出器70に集められる。各光検出器70は、検出領域15の各局所領域から光を受容する。即ち、各光検出器70は、検出領域15の各局所領域を区別し別個にイメージングすることができる。この実施形態では、局所領域は、テスト領域及び制御領域16、18の最も小さい次元(即ち、ラテラルフロー方向に沿う領域16、18の次元)とせいぜい大きさが等しい表面寸法により特徴付けられる。図示した実施形態では、局所領域は、テスト領域及び制御領域16、18のラテラルフロー方向に沿った寸法の3分の1におよそ等しい正方形領域によって特徴付けられる。光検出器70は、各局所領域から受容した光の量を表すシグナルを生成する。これらのシグナルは、メモリに格納したり、又は処理のためにデータ分析器46へと送ることができる。
【0029】
図5A及び5Bに示すように、テスト領域16からの反射光又は蛍光は、アレイ68の光検出器70のサブセット80によってのみ受容される。同様に、制御領域18からの反射光又は蛍光は、アレイ68の光検出器70のサブセット82によってのみ受容される。よって、サブセット80、82内の光検出器からのシグナルは、それぞれ、ノイズレベルの比較的低いテスト領域16及び制御領域18からの反射光又は蛍光の光強度測定値をもたらす。
【0030】
データ分析器46は、個々の光検出器70によって生成されたシグナルを処理し、対象領域(例えば、テスト領域16及び制御領域18)から得られた各光強度測定値を識別するように機能し得る。図6を参照すると、例示的な一例においては、光検出器アレイ68は、3次元の面84によって表される一群の光強度シグナルを生成する。この例では、面84は、光検出器アレイ68のサブセット80、82内の光検出器70によって得られた比較的高い強度の測定値86、88を有する。この例に関しては、データ分析器46は、強度閾値レベル90にて面84に閾を設けることで、テスト領域16及び制御領域18から得られた光強度測定値を識別することができる。幾つかの実施形態では、閾値を設けるプロセスにおいて用いられる閾値は、細片又は対象領域にわたって一定である。例えば、幾つかの実施形態では、閾値は、照明や分析物の拡散を考慮して、傾斜させたり、又は局所的に変更したりすることができる。閾値レベル90よりも高い各光強度測定値は、テスト領域16及び制御領域18に起因するものとして識別される。データ分析器46は、識別した光強度測定値が得られた光検出器アレイ68の相対位置などの付加的情報を用いることで、識別された光強度測定値を、テスト領域16や制御領域18と相関させることができる。
B. 線状光検出器アレイを用いて区別できる局所的な光強度測定値を得る方法
図7は、図5A記載の実施形態と同じテスト細片50の実施形態、並びに光検出器70の2次元アレイ68に代えて線状光検出器アレイ92を備える以外は図5A記載の実施形態と同じ診断テストシステム40の実施形態とを示している。この実施形態では、診断テストシステム40は、さらに、光学検査要素94(たとえば、光源66、レンズ72、及び光検出器線状アレイ92)とテスト細片50との間の相対的な動きをもたらす機構(図示せず)を備える。動きをもたらす機構は、テスト細片50に対し光学検査要素を一対のレール上で移動させるモータ駆動のキャリッジ、並びに光学検査要素に対しテスト細片50を移動させるモータ駆動の1つ又は複数のドライブホイールをはじめとする広範な種々の機構のうちの任意の1つとし得る。図示した実施形態では、光学検査要素94は、矢印96の方向(即ち、ラテラルフロー方向)において、テスト細片50に対し動くように示されている。光検出器線状アレイ92は、光学検査要素94の移動方向とは直角をなす向きに配向されている。
【0031】
作用に関しては、光学検査要素94がテスト細片50に対し動くとき、光源66が、検出領域15の露光エリアに光76を照射する。照射される光は、広い帯域のものでも狭い帯域のものでもよく、また、偏向されていても偏向されていなくてもよい。光検出器線状アレイ92は、検出領域15の露光エリアの狭い部分から、区別できる局所的な光強度測定値を得る。一般に、光強度測定値は、フィルタ処理しなくても、波長や偏向特性に関してフィルタ処理することもできる。光検出器アレイ92は、光源66に同期させることができる。一般に、光検出器アレイ92は、検出領域15が露光されている間あるいは光源66を検出領域15に当てた後に、光強度を測定することができる。検出領域15からの反射光又は蛍光は、レンズ72によって、光検出器アレイ92の個々の光検出器70に焦点が合わせられている。各光検出器70は、検出領域15の各局所領域から光を受容する。即ち、各光検出器70は、検出器15の各局所領域を区別したり、別個にイメージングしたりすることができる。光検出器70は、各局所領域から受容した光の量を表すシグナルを生成する。これらのシグナルは、メモリに格納したり、又は処理のためにデータ分析器46へと送ることができる。
【0032】
データ分析器46は、個々の光検出器70により生成されたシグナルを処理して、対象領域(例えば、テスト領域16及び制御領域18)から得られた各光強度測定値を識別するように機能することができる。幾つかの実施形態では、検出領域15の表面は、ラテラルフロー方向に直角をなす方向においては、ほぼ均質である。これらの実施形態では、線状アレイ92内の光検出器からのシグナルは、情報をほとんど損失することなく集めることができる。
【0033】
図8は、光検出器線状アレイ92によって生成された集合強度測定値を時間の関数としてプロットした例示的なグラフ98を示している。この例では、グラフ98は、アレイ92内の光検出器70がテスト領域16及び制御領域18の上に位置する際の、より高強度の集合強度100、102を含む。この例に関しては、データ分析器46は、しきい値レベル104にてグラフ98に閾を設けることによって、テスト領域16及び制御領域18から得られた光強度測定値を同定することができる。閾値レベル104より高い各光強度測定値は、テスト領域16及び制御領域18に起因するものとして識別することができる。データ分析器46は、同定された各光強度測定値が得られた相対時間などの付加的情報を用いて、識別した光強度測地値をテスト領域16及び制御領域18と相関させることができる。
C. 走査光源を用いて区別できる局所的な光強度測定値を得る方法
図9は、図1記載のテスト細片10と同じテスト細片50の実施形態、並びに検出領域15の露出エリアを横切って光線112を走査させるように機能し得る光源110を含む診断テストシステム40の一実施形態を示している。光線112は、広い帯域のものでも狭い帯域のものでもよく、また偏光したものでも偏光していないものでもよい。一般に、光源110は、ラテラルフロー方向に垂直な方向やラテラルフロー方向に平行な方向をはじめとする、テスト領域16及び制御領域18を含む任意の経路に沿って、検出領域15の露光エリアを横切って光線112を走査することができる。図示した実施形態では、光源110は、検出領域15の露光エリアを横切って、回りくどいジグザグ経路に沿って光線112を走査している。幾つかの実施形態では、光源110は、発光ダイオードやレーザのような発光器、及び照射された光の形状を整え走査してビーム112を生成するための1つ又は複数の光学要素(例えば、1つ又は複数のレンズや回転鏡)を含む。
【0034】
図9記載の実施形態では、診断テストシステム40は、検出領域15の露出エリア全体を横切る光線112経路を網羅した視界を有するか又はそれらに光線112が当てられる際に検出領域15の局所領域をたどる任意のタイプの単一要素又は複数要素からなる光検出器を用いて、区別できる局所的な光強度測定値を得ることができる。一般に、光強度測定値は、フィルタ処理しなくてもよいし、波長や偏向特性に関してフィルタ処理してもよい。光検出器アレイは、光源と同期させることができる。一般に、光検出器アレイは、検出領域15の個々の区別できる局所領域が露光される間若しくは光源が検出領域15に当てられた後に、光強度を測定することができる。光線112は一度に検出領域15の1つの局所領域にしか当てられないため、光検出器により得られる光は、露光された局所領域からの反射光あるいは蛍光に一致する。それ故、光検出器により生成されたシグナルの各データポイントは、各局所領域と相関性があり、検出領域15のより広い領域から得られた測定値と比較して、高いシグナル/ノイズ比を有する。
【0035】
データ分析器46は、光検出器により生成されたシグナルを処理し、対象領域(例えば、テスト領域16及び制御領域18)から得られた各光強度測定値を識別するように機能し得る。例えば、幾つかの実施形態では、データ分析器46は、光検出器により生成された経時的な光強度測定値シグナルに閾を設けることによって、テスト領域90及び制御領域92から得られた光強度測定値を識別することができる。閾レベルより高い光強度測定値は、テスト領域16及び制御領域18に由来するものとして同定することができる。同定された光強度測定値とテスト領域16及び制御領域18とを相関させるために、データ分析器46は、同定された各光強度測定値が得られた相対時間のような付加情報を用いることができる。
D. 開口を介して区別できる局所的な光強度測定値を得る方法
図10は、図5A記載の実施形態と同じテスト細片50の実施形態、並びに光源120と一対の光検出器122、124を備える診断テストシステム40の一実施形態を示している。光源120には、検出領域15内の対象領域を照射される比較的広い光線を生成する1つ又は複数の発光ダイオードを用いることができる。光検出器122、124には、単一要素からなる光検出器、又は複数要素からなる光検出器を用いることができる。
【0036】
開口プレート126は、それを介して光検出器122、124が光強度測定値を得ることができる一対の開口128、130を画定する。図示した実施形態では、開口128、130は、テスト細片50が診断テストシステム40のポート48に装填される際に、テスト領域16及び制御領域18の上に位置する。一般に、開口128、130は、検出領域内の対象領域からの反射光又は蛍光を選択的に検出器122、124へと到達させ得るように設計されている。図示した実施形態では、開口128、130はまた、検出領域15内の対象領域が光源120によって照射されるようにすることができる。開口128、130は、典型的に、実際は、対象領域の近くに位置する。幾つかの実施形態では、開口128、130は、テスト領域16及び制御領域18と、寸法、形状、向きにおいてほぼ一致する。
【0037】
作用に関しては、光源120は、開口128、130中を通して光132、134をテスト領域16及び制御領域18に当てる。照射される光は、広い帯域のものでも狭い帯域のものでもよく、また偏光されたものでも偏光されていないものでもよい。光検出器122、124は、検出領域15の露光エリアから区別できる局所的な光強度測定値を得る。一般に、光強度測定値は、フィルタ処理しなくてもよいし、波長や偏光特性に関してフィルタ処理してもよい。検出器122、124は、光源120に同期させることができる。一般に、光検出器122、124は、検出領域15に光が当てられている間若しくは光源120によって検出領域15に光が当てられた後に、光強度を測定することができる。テスト領域16及び制御領域18からの反射光又は蛍光は、レンズ136、138によって、それぞれ、光検出器122、124に集められる。こうして、光検出器122、124は、テスト領域16及び制御領域18を区別したり、別個にイメージングしたりすることができる。光検出器122、124は、テスト領域16及び制御領域18から受容した光の量を表すシグナルを生成する。光検出器122、124に単一要素からなる検出器が用いられている場合は、シグナルは、テスト領域16及び制御領域18から受容した光の全体量、即ち集合量を表す。光検出器122、124に複数要素からなる検出器を用いた場合には、シグナルは、テスト領域16及び制御領域18の局所領域から受容した光の量を表す。光検出器122、124により生成されたシグナルは、メモリに格納したり、処理のためにデータ分析器46へと送ることができる。
【0038】
テスト領域16及び制御領域18からの反射光又は蛍光は優先的に開口128、130を通るが、テスト細片50の他の領域からの光は開口プレート126によってほぼ遮断される。その結果、光検出器122、124により生成されたシグナルは、検出領域15のより大きな領域から得られた測定値よりも高いシグナル/ノイズ比を有する。さらに、光検出器122、124により得られた光は、それぞれ、テスト領域16及び制御領域18からの反射光又は蛍光にほぼ対応する。それ故、光検出器122、124により生成されたシグナルは、それぞれ、テスト領域16及び制御領域18と相関性があり、データ分析器46は、テスト領域16及び制御領域18から直に得られた各光強度測定値を識別することができる。即ち、光検出器122により生成された光強度測定値はテスト領域16から得られたものであり、光検出器124により生成された光強度測定値は制御領域18から得られたものである。
E. ポジションマーカを用いて区別できる局所的な光強度測定値を得る方法
幾つかの実施形態では、データ分析器46は、テスト細片上の少なくとも1つのポジションマーカから得られた強度測定値に基づいて、検出領域15内の対象領域から得られた各光強度測定値を識別することができる。図9記載のテスト細片50の実施形態では、例示的な一群のポジションマーカ138が含まれる。図示した実施形態では、ポリジョンマーカ138は、テスト細片50の端に沿って規則正しく配置されている。ポジションマーカ138は、テスト細片50表面とは異なる反射特性を有するフィーチャーを含む。その結果、テスト細片50の端近傍から得られた測定値は、ポジションマーカ138の存在によって強度が変化する。こうして、ポジションマーカは、ラテラルフロー方向において、テスト細片50に沿う位置をエンコード(記号化)する。
【0039】
これらの実施形態では、データ分析器46は、光強度測定値を、ラテラルフロー方向におけるテスト細片50位置と相関させる。この情報並びに対象領域の位置をポジションマーカ138のパターンとの相関を表す所定の情報に基づいて、データ分析器46は、対象領域に対応する各光強度測定値を識別することができる。
III.局所領域からの測定値セットに基づいた診断テスト方法
以下に詳細に説明する実施形態では、テスト細片の局所領域からの測定値の各セット(当該領域に関する付加的な分析情報を得ることができる)を得ることによって、ラテラルフローアッセイ結果の正確性が向上する。この付加的な情報を用いることによって、バックグランドノイズからターゲット測定値を分離したり、ターゲットパラメータ値をより精確に見積もることができる。
【0040】
図11は、上述の診断テストシステム40の実施形態によって実行することのできる診断テスト方法の一実施形態を示している。この方法によれば、読み取り器44は、検出領域の露光エリアの複数の対応領域の各々から、個々の光強度測定値セットを得る(ブロック140)。照射される光は、広い帯域のものでも狭い帯域のものでもよく、また偏光されたものでも偏光されていないものでもよい。読み取り器44は、単一要素から成る検出器又は複数要素から成る検出器を用いて、対応領域の各々から光強度測定値セットを得ることができる。一般に、光強度測定値は、フィルタ処理しなくとも、又は波長や偏光特性に関してフィルタ処理してもよい。光検出器は、光源と同期させることができる。一般に、光検出器は、検出領域15が露光されている間若しくは光源によって検出領域15に光が当てられた後に、光強度を測定することができる。
【0041】
この実施形態では、そこから読み取り器44が光強度測定値を得ることになる各局所領域は、ラテラルフロー方向に直角をなす検出領域の露光エリアの次元(寸法)よりも小さい少なくとも1つの表面寸法によって特徴付けられても特徴付けられなくてもよい(即ち、ラテラルフロー方向に直角をなす検出領域の露光エリアの次元(寸法)よりも小さい少なくとも1つの表面寸法を有しても有さなくてもよい)。幾つかの実施形態では、これらの各局所領域は、検出領域内の対象領域(例えば、テスト領域、制御領域、又は標識化された複合体若しくは標識化されていない複合体が固定化されている領域)の最も小さい次元(寸法)とほぼ同じ寸法であるかそれよりも小さい表面寸法を有する。
【0042】
読み取り器44が光強度測定値のセットを得た(ブロック140)後は、データ分析器46が、光強度測定値の少なくとも1つのセットから少なくとも1つのパラメータを算出する(ブロック142)。この工程では、データ分析器46は、光強度測定値のセットを用いることで、ターゲットパラメータ値のより精確な見積もりを実現することができる。あるいはまた、データ分析器46は、光強度測定値のセットを用いることで、対象領域(例えば、テスト領域16及び制御領域18)に対応する測定値を、テスト細片50の他の領域に対応する測定値から分離することができる。これら分離された測定値は、対象領域外の領域からの測定値を含む集合測定値よりも、高いシグナル/ノイズ比を有する。
【0043】
図12A及び12Bを参照すると、一実施形態では、読み取り器44は、検出領域15内の対象領域の蛍光反応に経時的な変化があることを示す光強度測定値のセットを得る。蛍光標識を用いるテスト細片用に設計された1つの手法では、光源はパルス光を出し(即ち、断続的な光を発し)、且つ光検出器は、各光パルス後の対応領域から一連の光強度測定値(光強度測定値セット)を得る。図12Aは、読み取り器44によって得られた一連の光強度測定値を表す1つの例示的なグラフ144を示している。この例では、光源は、時間t0にパルス光を出し、光強度測定値は、時間t1(時間t0から遅れ時間Δtだけ後の時間)になってから得られる。遅れ時間Δtのために、ピーク強度測定値146は、対象領域から発せられた蛍光の真のピーク強度を表さない。データ分析器46は、指数減衰モデル(強度がe-t/τに比例)に従って、グラフから減衰パラメータを算出し、図12Bに示すように、時間t0に遡り強度値を外挿してピーク強度の見積もりを得ることによって、蛍光ピークのより精確な見積もりを得ることができる。ピーク強度のこの見積もり値は対象領域からの実際の蛍光特性に近いため、この見積もりは、実際に測定したピーク強度146よりも蛍光ピーク値のより精確な測定値をもたらす。
【0044】
幾つかの実施形態では、データ分析器46は、検出領域15内の複数の対象領域に対応するピーク強度パラメータの各々からパラメータ値を算出する。例えば、幾つかの実施形態では、データ分析器46は、サンプル内の2つのターゲット分析物の相対濃度の測定値を得るために、第1及び第2のテスト領域に関して見積もられたピーク強度値の比を算出することができる。
【0045】
そこから光強度測定値が得られる局所領域の経時的な反応(応答)を利用することで、これらの測定値を種々の蛍光源と関係付けることができる。例えば、図13Aは、2つの光強度測定値セットから得られたlog強度プロット148、150を示している。これらのプロット148、150は同じ減衰パラメータを示しているため(即ち、それらは同じ傾斜を有するため)、データ分析器46は、これらの測定値セットを発した2つの蛍光源は同じ蛍光性種であると推測し得る。図13Bも、2つの光強度測定値セットから得られた2つのlog強度プロット152、154を示している。これらのプロット152、154は異なる減衰パラメータを示しているため(即ち、それらは異なる傾斜を有しているため)、データ分析器46は、これらの測定値セットを発した2つの蛍光源は異なる蛍光性種であると推測し得る。
【0046】
他の実施形態では、そこから強度測定値が得られる局所領域の波長応答を利用することで、これらの測定値を種々の蛍光源と関係付けることができる。例えば、幾つかの実施形態では、所与の局所領域に関して得られた光強度測定値の各々は、1つ又は複数の波長を包含する異なる波長プロファイル(又はカラーチャネル)に対応する。幾つかの実施形態では、検出領域15が、広い帯域の光源により光を当てられ、且つ光検出器が、対象となる異なるターゲット波長範囲に対応する各対応領域からの複数の測定値を得るように構成することができる。他の実施形態では、読み取り器44は、検出領域15の各対応領域に、各々が1つ又は複数の波長を包含する異なる波長プロファイルを有する光を照射する。この場合、読み取り器44は、異なる波長プロファイルを有する光を生成し得る複数の光源を備えるか、又は波長を調節可能な単一の光源を備えることができる。ターゲット波長は、典型的に、検出領域内の種々の対象領域から異なる応答を引き出すように選択されている。例えば、幾つかの実施形態では、ターゲット波長範囲は、異なる各蛍光標識が蛍光を発するように選択される。
【0047】
これらの実施形態の幾つかにおいては、読み取り器44は、検出領域15内の対象領域の異なるターゲット波長応答を識別し得るように構成された1つ又は複数の光検出器を備える。図14は、4つのカラーフィルタ(A、B、C及びD)から成る同一のセット152を複数備えるカラーフィルタアレイ150の例示的な一実施形態の一部を示しており、カラーフィルタの各々は、光検出器2次元アレイ(図示せず)の各光検出器に向けて誘導される光を遮断する。カラーフィルタは、光検出器によって得られる光強度測定値に関するカラーチャネルを画定する。カラーフィルタの所与のセット152に対応する光検出器は、検出領域15のほぼ同じ局所領域をイメージングする。それ故、所与のセット152に対応する光検出器によって生成された光シグナルは、カラーチャネルA、B、C及びDに関してイメージングされた領域の波長応答にほぼ対応する。
【0048】
これらの測定値から、データ分析器46は、検出領域15の照射エリアにわたって波長応答プロファイルを決定する。図15は、光検出器2次元アレイと図14記載のカラーフィルタアレイとを用いて光強度測定値を得る読み取り器44の一実施形態から得られた集合強度プロファイルの例示的なグラフ160、162、164、166を示している。グラフ160−166の各々は、カラーフィルタアレイ150により画定されるカラーチャネルA、B、C及びDの各々に対応する。集合強度値は、光検出器2次元アレイ内のラテラルフロー方向に沿う位置の関数としてプロットしている。図示した実施形態では、グラフ160−166は、光検出器2次元アレイ内の種々の位置におけるピーク強度値を含む。アレイ位置は検出領域15内のラテラルフロー方向に沿う位置と相関性があるため、データ分析器46は、異なる標識種が検出領域15内のこれら異なる位置に存在すると推測し得る。データ分析器46はこの情報を用いることで、異なる標識に対応する光強度測定値を互いに分離することができる。
【0049】
他の実施形態では、読み取り器44は、検出領域15の各対応領域に、異なる偏光特性を有する光を照射する。これらの実施形態では、読み取り器44は、検出領域15内の対象領域からの異なる偏光応答を識別し得るように構成された1つ又は複数の光検出器を備える。これらの測定値から、データ分析器46は、検出領域15の照射領域全体にわたって偏光応答プロファイルを決定する。データ分析器46は、この情報を利用することで、異なる標識に対応する光強度測定値を互いに分離することができる(例えば、閾値を設けたり、ピーク強度を検出したりすることによって)。
IV.結論
上述の実施形態の幾つかは、所望の量的情報を得るテスト細片の対象領域へと測定範囲を制限することによって、ラテラルフローアッセイ測定におけるノイズ(例えば、反射光やテスト細片内の物質が本来有する蛍光特性によって生じるノイズ)のレベルを低下させる。こうして、これらの実施形態では、測定値のシグナル/ノイズ比を高め、それによって、測定感度を向上させ、誤った結果が発生することを低減させる。これらの実施形他の幾つかはまた、テスト細片の複数の局所領域から個々の測定値セット(それらの領域に関して付加的な分析情報をもたらす)を得ることによって、ラテラルフローアッセイ結果の正確性を高めることができる。この付加的な情報を用いることで、バックグランドノイズからターゲット測定値を分離したり、ターゲットパラメータ値のより精確な見積もりを実現することができる。幾つかの実施形態はまた、同一のテスト細片から複数の分析物を精確に読み取ったり、空間的に離れた標識やスペクトル的に別個の標識を区別したりすることができる。
【0050】
他の実施形態も、特許請求の範囲の範囲内にある。
【0051】
例えば、前出の実施形態は、異なる波長の光を分離し、複数の光検出器の各々にそれを誘導するところの回折光学素子、即ち格子をさらに含むことができる。例えば、図16は、光検出器2次元アレイ182を用いて区別できる局所的な光強度測定値を得る診断テストシステム180を示している。この実施形態では、検出器アレイ182の個々の列にある個々の検出器要素184の各々は、回折レンズ186により分離し誘導される光の特定波長を対象とし得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ラテラルフローアッセイテスト細片の従来技術の実施形態の概略図
【図2A】図1記載のラテラルフローアッセイテスト細片のサンプル受容領域に流体サンプルが適用されていることを表す概略図
【図2B】流体サンプルがテスト細片を横切って吸収領域へと流れた後の、図2A記載のラテラルフローアッセイテスト細片の概略図
【図3】診断テストシステムの一実施形態に装填されているテスト細片を表す概略図
【図4】診断テスト法の一実施形態のフロー図
【図5A】テスト細片から光強度測定値を得る光検出器2次元アレイを備える図3記載の診断テストシステムの一実施形態の概略側面図
【図5B】テスト領域及び制御領域(強調部分)から光強度測定値を得るべく配されている、図5A記載の光検出器2次元アレイの概略図
【図6】図5A及び5B記載の光検出器2次元アレイ内の位置の関数としてプロットされた光強度の例示的なグラフ
【図7】テスト細片領域から光強度測定値を得る光検出器線状アレイを備えた、図3記載の診断テストシステムの一実施形態の概略図
【図8】時間の関数としてプロットされた、図7記載の光検出器線状アレイにより得られた集合光強度の例示的なグラフ
【図9】テスト細片の領域にわたって光線を走査する光源を備えた、図3記載の診断テストシステムの一実施形態の概略平面図
【図10】テスト細片のテスト領域及び制御領域からの選択的な光の検出を可能にする開口プレートを備えた、図3記載の診断テストシステムの一実施形態の概略側面図
【図11】診断テスト方法の一実施形態のフロー図
【図12A】時間の関数としてプロットされた強度のグラフ
【図12B】時間の関数としてプロットされた、図12A記載の強度値の対数グラフ
【図13A】時間の関数としてプロットされた2つの光強度測定値セットの対数のグラフ
【図13B】時間の関数としてプロットされた2つの光強度測定値セットの対数のグラフ
【図14】カラーフィルタアレイの一実施形態の一部の概略図
【図15】光検出器2次元アレイ内のラテラルフロー方向に沿う位置の関数としてプロットされた、4つの異なるカラーチャネルに関する集合強度のグラフ
【図16】図3記載の診断テストシステムの一実施形態の概略側面図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断テストシステムであって、
ラテラルフロー方向に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し且つターゲット分析物に標識を結合させる標識化物質を含有する標識化領域と、ターゲット分析物に結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域とを含んで成るテスト細片を受容するためのポートを具備するハウジングであって、前記検出領域が、光学的検査のために露光され且つ前記ラテラルフロー方向に直角をなす第1の次元と前記ラテラルフロー方向に平行な第2の次元によって特徴付けられるエリアを備える、ハウジングと、
前記テスト細片が前記ポート内に装填された際に前記検出領域の露光エリアの局所領域から区別できる光強度測定値を得るように構成された読み取り器であって、前記局所領域の各々が、前記第1の次元よりも小さい少なくとも1つの表面寸法によって特徴付けられる、読み取り器と、
少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別し且つ識別された各光強度測定値から少なくとも1つのパラメータを算出するように機能し得るデータ分析器と、
を含んで成る、システム。
【請求項2】
前記読み取り器が、前記検出領域の前記露光エリアの異なる個々の局所領域から光強度測定値を得るように構成された光検出器のアレイを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記読み取り器が、前記検出領域の前記露光エリアの局所領域を照射するように光線を走査するように機能する光源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記光線の照射された前記局所領域の各々が、前記テスト領域の最も小さい表面寸法と同じかそれよりも小さい少なくとも1つの寸法を有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記光源が、前記ラテラルフロー方向にほぼ平行な方向において、前記検出領域の前記露光エリアを横切って前記光線を走査するように機能する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記光源が、前記検出領域の前記露光エリアを横切って、回りくどい経路に沿って前記光線を走査するように機能する、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記読み取り器が、前記局所領域に光を当て、且つ光強度測定値の読み取りと前記局所領域の照射とを同期させるように機能する、請求項7に記載のシステム。
【請求項8】
前記読み取り器が、照射光を調節し、且つ光強度測定値の読み取りと照射光の調節とを同期させるように機能する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記読み取り器が、それを介して光強度測定値が得られる開口を含み、前記開口が、前記テスト細片が前記ポート内に装填された際に、少なくとも1つのテスト領域の上に位置することになる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記データ分析器が、前記テスト細片上にある少なくとも1つのポジションマーカから得られた強度測定値に基づいて、前記テスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記読み取り器が、前記検出領域の前記露光エリアの複数の対応領域の各々から個々の光強度測定値セットを得るように機能する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記読み取り器が、前記対応領域の各々に光を照射し且つ前記対応領域に光が照射された後に個々の光強度測定値セットを得るように機能し;
前記データ分析器が、前記個々の光強度測定値セットから個々の遅れ時間パラメータを決定し且つ決定した遅れ時間パラメータに基づいて少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記データ分析器が、決定した遅れ時間パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記対応領域の各々に関してピーク強度パラメータを算出するように機能する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記データ分析器が、決定した遅れ時間パラメータに基づいて、前記検出領域内の第2のテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記データ分析器が、第1及び第2のテスト領域に対応する個々のピーク強度パラメータ値からパラメータ値を算出するように機能する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記読み取り器が、前記対応領域の各々に異なる波長プロファイルを有する光を照射し且つ前記対応領域に異なる波長プロファイルの光が照射されると複数の光強度測定値セットを得るように機能する、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記データ分析器が、個々の光強度測定値セットから前記検出領域の前記露光エリアにわたる波長応答プロファイルを決定し且つ決定した波長応答プロファイルに基づいて少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記読み取り器が、前記対応領域の各々に異なる偏光特性を有する光を照射し且つ前記対応領域に異なる偏光特性の光が照射されると複数の光強度測定値セットを得るように機能する、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記データ分析器が、個々の光強度測定値セットから前記検出領域の前記露光エリアにわたる偏光応答プロファイルを決定し且つ決定した偏光応答プロファイルに基づいて少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
診断テストシステムであって、
ラテラルフロー方向に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つターゲット分析物に標識を結合させる標識化物質を含有する標識化領域と、ターゲット分析物に結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域と、光学的検査にさらされるエリアとを含んで成るテスト細片を受容するためのポートを具備するハウジングと、
前記テスト細片が前記ポート内に装填された際に前記検出領域の前記光学的検査にさらされた領域の複数の対応領域の各々から個々の光強度測定値セットを得るように構成された読み取り器と、
少なくとも1つの光強度測定値セットから少なくとも1つのパラメータを算出するように機能するデータ分析器と、
を含んで成る、システム。
【請求項21】
前記読み取り器が、前記対応領域の各々に光を照射し且つ前記対応領域に光が照射された後に個々の光強度測定値セットを得るように機能し、
前記データ分析器が、前記個々の光強度測定値セットから個々の遅れ時間パラメータを決定し且つ決定した遅れ時間パラメータに基づいて少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記データ分析器が、決定した遅れ時間パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記対応領域に関してピーク強度パラメータ値を算出するように機能する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記データ分析器が、決定した遅れ時間パラメータに基づいて、前記検出領域内の第2のテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記データ分析器が、第1及び第2のテスト領域に対応する個々のピーク強度パラメータ値からパラメータ値を算出するように機能する、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記読み取り器が、前記対応領域の1つ又は複数に異なる波長プロファイルを有する光を照射し且つ前記対応領域に異なる波長プロファイルの光が照射されると複数の光強度測定値セットを得るように機能する、請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
前記データ分析器が、前記個々の光強度測定値セットから、前記検出領域の前記露光エリアにわたる波長応答プロファイルを決定し且つ決定した波長応答プロファイルに基づいて少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記読み取り器が、前記対応領域の各々に異なる偏光特性を有する光を照射し且つ前記対応領域に異なる偏光特性の光が照射されると複数の光強度測定値セットを得るように機能する、請求項20に記載のシステム。
【請求項28】
前記データ分析器が、前記個々の光強度測定値セットから、前記検出領域の前記露光エリアにわたる偏光応答プロファイルを決定し且つ決定した偏光応答プロファイルに基づいて少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
診断テスト方法であって、
ラテラルフロー方向に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つターゲット分析物に標識を結合させる標識化物質を含有する標識化領域と、ターゲット分析物に結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域とを含んで成るテスト細片を受容することであって、前記検出領域が、光学的検査にさらされ且つ前記ラテラルフロー方向に直角をなす第1の次元と前記ラテラルフロー方向に平行な第2の次元によって特徴付けられるエリアを有し;
前記検出領域の前記露光エリアの局所領域から区別できる光強度測定値を得ることであって、前記局所領域の各々が、前記第1の次元よりも小さい少なくとも1つの表面寸法によって特徴付けられ;
前記少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別すること;及び
識別された各光強度測定値から少なくとも1つのパラメータを算出すること、
を包含する、方法。
【請求項30】
診断テスト方法であって、
ラテラルフロー方向に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つターゲット分析物に標識を結合させる標識化物質を含有する標識化領域と、ターゲット分析物に結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域と、光学的検査にさらされるエリアとを含んで成るテスト細片を受容すること;
前記テスト細片が前記ポート内に装填された際に前記検出領域の前記露光エリアの複数の対応領域の各々から個々の光強度測定値セットを得ること;及び
少なくとも1つの光強度測定値セットから少なくとも1つのパラメータを算出すること、
を含んで成る、方法。
【請求項1】
診断テストシステムであって、
ラテラルフロー方向に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し且つターゲット分析物に標識を結合させる標識化物質を含有する標識化領域と、ターゲット分析物に結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域とを含んで成るテスト細片を受容するためのポートを具備するハウジングであって、前記検出領域が、光学的検査のために露光され且つ前記ラテラルフロー方向に直角をなす第1の次元と前記ラテラルフロー方向に平行な第2の次元によって特徴付けられるエリアを備える、ハウジングと、
前記テスト細片が前記ポート内に装填された際に前記検出領域の露光エリアの局所領域から区別できる光強度測定値を得るように構成された読み取り器であって、前記局所領域の各々が、前記第1の次元よりも小さい少なくとも1つの表面寸法によって特徴付けられる、読み取り器と、
少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別し且つ識別された各光強度測定値から少なくとも1つのパラメータを算出するように機能し得るデータ分析器と、
を含んで成る、システム。
【請求項2】
前記読み取り器が、前記検出領域の前記露光エリアの異なる個々の局所領域から光強度測定値を得るように構成された光検出器のアレイを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記読み取り器が、前記検出領域の前記露光エリアの局所領域を照射するように光線を走査するように機能する光源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記光線の照射された前記局所領域の各々が、前記テスト領域の最も小さい表面寸法と同じかそれよりも小さい少なくとも1つの寸法を有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記光源が、前記ラテラルフロー方向にほぼ平行な方向において、前記検出領域の前記露光エリアを横切って前記光線を走査するように機能する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記光源が、前記検出領域の前記露光エリアを横切って、回りくどい経路に沿って前記光線を走査するように機能する、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記読み取り器が、前記局所領域に光を当て、且つ光強度測定値の読み取りと前記局所領域の照射とを同期させるように機能する、請求項7に記載のシステム。
【請求項8】
前記読み取り器が、照射光を調節し、且つ光強度測定値の読み取りと照射光の調節とを同期させるように機能する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記読み取り器が、それを介して光強度測定値が得られる開口を含み、前記開口が、前記テスト細片が前記ポート内に装填された際に、少なくとも1つのテスト領域の上に位置することになる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記データ分析器が、前記テスト細片上にある少なくとも1つのポジションマーカから得られた強度測定値に基づいて、前記テスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記読み取り器が、前記検出領域の前記露光エリアの複数の対応領域の各々から個々の光強度測定値セットを得るように機能する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記読み取り器が、前記対応領域の各々に光を照射し且つ前記対応領域に光が照射された後に個々の光強度測定値セットを得るように機能し;
前記データ分析器が、前記個々の光強度測定値セットから個々の遅れ時間パラメータを決定し且つ決定した遅れ時間パラメータに基づいて少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記データ分析器が、決定した遅れ時間パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記対応領域の各々に関してピーク強度パラメータを算出するように機能する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記データ分析器が、決定した遅れ時間パラメータに基づいて、前記検出領域内の第2のテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記データ分析器が、第1及び第2のテスト領域に対応する個々のピーク強度パラメータ値からパラメータ値を算出するように機能する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記読み取り器が、前記対応領域の各々に異なる波長プロファイルを有する光を照射し且つ前記対応領域に異なる波長プロファイルの光が照射されると複数の光強度測定値セットを得るように機能する、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記データ分析器が、個々の光強度測定値セットから前記検出領域の前記露光エリアにわたる波長応答プロファイルを決定し且つ決定した波長応答プロファイルに基づいて少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記読み取り器が、前記対応領域の各々に異なる偏光特性を有する光を照射し且つ前記対応領域に異なる偏光特性の光が照射されると複数の光強度測定値セットを得るように機能する、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記データ分析器が、個々の光強度測定値セットから前記検出領域の前記露光エリアにわたる偏光応答プロファイルを決定し且つ決定した偏光応答プロファイルに基づいて少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
診断テストシステムであって、
ラテラルフロー方向に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つターゲット分析物に標識を結合させる標識化物質を含有する標識化領域と、ターゲット分析物に結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域と、光学的検査にさらされるエリアとを含んで成るテスト細片を受容するためのポートを具備するハウジングと、
前記テスト細片が前記ポート内に装填された際に前記検出領域の前記光学的検査にさらされた領域の複数の対応領域の各々から個々の光強度測定値セットを得るように構成された読み取り器と、
少なくとも1つの光強度測定値セットから少なくとも1つのパラメータを算出するように機能するデータ分析器と、
を含んで成る、システム。
【請求項21】
前記読み取り器が、前記対応領域の各々に光を照射し且つ前記対応領域に光が照射された後に個々の光強度測定値セットを得るように機能し、
前記データ分析器が、前記個々の光強度測定値セットから個々の遅れ時間パラメータを決定し且つ決定した遅れ時間パラメータに基づいて少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記データ分析器が、決定した遅れ時間パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記対応領域に関してピーク強度パラメータ値を算出するように機能する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記データ分析器が、決定した遅れ時間パラメータに基づいて、前記検出領域内の第2のテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記データ分析器が、第1及び第2のテスト領域に対応する個々のピーク強度パラメータ値からパラメータ値を算出するように機能する、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記読み取り器が、前記対応領域の1つ又は複数に異なる波長プロファイルを有する光を照射し且つ前記対応領域に異なる波長プロファイルの光が照射されると複数の光強度測定値セットを得るように機能する、請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
前記データ分析器が、前記個々の光強度測定値セットから、前記検出領域の前記露光エリアにわたる波長応答プロファイルを決定し且つ決定した波長応答プロファイルに基づいて少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記読み取り器が、前記対応領域の各々に異なる偏光特性を有する光を照射し且つ前記対応領域に異なる偏光特性の光が照射されると複数の光強度測定値セットを得るように機能する、請求項20に記載のシステム。
【請求項28】
前記データ分析器が、前記個々の光強度測定値セットから、前記検出領域の前記露光エリアにわたる偏光応答プロファイルを決定し且つ決定した偏光応答プロファイルに基づいて少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別するように機能する、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
診断テスト方法であって、
ラテラルフロー方向に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つターゲット分析物に標識を結合させる標識化物質を含有する標識化領域と、ターゲット分析物に結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域とを含んで成るテスト細片を受容することであって、前記検出領域が、光学的検査にさらされ且つ前記ラテラルフロー方向に直角をなす第1の次元と前記ラテラルフロー方向に平行な第2の次元によって特徴付けられるエリアを有し;
前記検出領域の前記露光エリアの局所領域から区別できる光強度測定値を得ることであって、前記局所領域の各々が、前記第1の次元よりも小さい少なくとも1つの表面寸法によって特徴付けられ;
前記少なくとも1つのテスト領域から得られた各光強度測定値を識別すること;及び
識別された各光強度測定値から少なくとも1つのパラメータを算出すること、
を包含する、方法。
【請求項30】
診断テスト方法であって、
ラテラルフロー方向に沿った流体サンプルのラテラルフローを支援し、且つターゲット分析物に標識を結合させる標識化物質を含有する標識化領域と、ターゲット分析物に結合する固定化された物質を含有する少なくとも1つのテスト領域を含む検出領域と、光学的検査にさらされるエリアとを含んで成るテスト細片を受容すること;
前記テスト細片が前記ポート内に装填された際に前記検出領域の前記露光エリアの複数の対応領域の各々から個々の光強度測定値セットを得ること;及び
少なくとも1つの光強度測定値セットから少なくとも1つのパラメータを算出すること、
を含んで成る、方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−300950(P2006−300950A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115552(P2006−115552)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(506076606)アバゴ・テクノロジーズ・ジェネラル・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (129)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(506076606)アバゴ・テクノロジーズ・ジェネラル・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (129)
【Fターム(参考)】
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