説明

ラベルプリンタとその制御方法

【課題】上位コンピュータに専用プログラムを記憶させるとか、その専用プログラムを搭載したパーソナルコンピュータを増設することなく、上位コンピュータの下位機器としてラベルプリンタを設置するだけで、簡単に可変情報の印字データを印字できるようにした、ラベルプリンタとその制御方法を提供する。
【解決手段】PLC(上位コンピュータ)2のレジスタ(記憶部)300−1に可変情報として印字データDが蓄積される。PLC2に接続されたラベルプリンタ1は、PLC2にアクセスし、PLC2のレジスタ300−1から印字データDを取得する。この印字データDの取得は、PLC2に対し、レジスタ300−1に蓄積されている印字データDの送信を要求するデータ要求コマンドを送信し、このデータ要求コマンドに応じてPLC2から送信された印字データDを受信する。ラベルプリンタ1では、取得した印字データDをラベルLへ印字するためのプリンタコマンドを生成し、このプリンタコマンドに基づきラベルへの印字が行なわれるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上位コンピュータの記憶部に可変情報として蓄積されている印字データをラベルに印字するラベルプリンタとその制御方法において、特に、かかる上位コンピュータの下位機器としてラベルプリンタを設置するだけで、簡単に当該可変情報の印字データを印字できるようにしたラベルプリンタとその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラベルプリンタで可変情報の印字データを印字する場合は、ラベルプリンタに接続されている上位コンピュータで、その印字データをラベルプリンタで印字するためのラベルプリンタ専用のプリンタコマンドを生成し、この生成したプリンタコマンドが上位コンピュータからラベルプリンタへ送信され、この送信されたプリンタコマンドをラベルプリンタが受信する。そして、ラベルプリンタでは、受信したプリンタコマンドを基に可変情報の印字データを印字する(例えば特許文献1の段落0008から0016参照)。
【0003】
尚、特許文献1のものは、具体的には、上位コンピュータとして、外部インターフェイス27を介してラベルプリンタに接続されたホストコンピュータがあり、このホストコンピュータからラベルプリンタへ各種コマンドやデータが送信され、これらのコマンドやデータをラベルプリンタが受信する(特に同文献の段落0008参照)。そして、ラベルプリンタでは、受信したコマンドやデータに基づいて印字を行なっている(特に同文献の段落0016参照)。
【0004】
しかし、上記のような従来のラベルプリンタによると、上位コンピュータが生成したプリンタコマンドを受信し、この受信したプリンタコマンドを基に可変情報の印字データを印字する方式を採っている。このため、プリンタコマンドは上位コンピュータで生成されるから、プリンタコマンドを生成するための専用プログラムを上位コンピュータにインストールし記憶させるか、あるいは、その専用プログラムを搭載したパーソナルコンピュータを増設しなければならず、プログラム構成または機器構成が煩雑になる。また、プリンタコマンドの生成という処理負担が上位コンピュータに生じるという問題点もある。
【0005】
さらに、上記従来のラベルプリンタでは、そのラベルプリンタに対し上位コンピュータからプリンタコマンドが送信されてくる方式を採るから、プリンタコマンドを送信するための上位コンピュータの設定が必要となり、かかる設定を行なうためにはユーザがプリンタコマンドを理解しなければならず、簡単に可変情報の印字データをラベルプリンタで印字できるというものではない。
【0006】
【特許文献1】特開2003−54049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、上位コンピュータに専用プログラムを記憶させるとか、その専用プログラムを搭載したパーソナルコンピュータを増設することなく、上位コンピュータの下位機器としてラベルプリンタを設置するだけで、簡単に可変情報の印字データを印字できるようにした、ラベルプリンタとその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のラベルプリンタは、上位コンピュータの記憶部に可変情報として蓄積されている印字データをラベルに印字するラベルプリンタであって、上記ラベルプリンタは、上記上位コンピュータにアクセスし、該上位コンピュータの記憶部から印字データを取得するデータ取得手段と、上記データ取得手段で取得した印字データを上記ラベルへ印字するためのプリンタコマンドを生成するプリンタコマンド生成手段とを有することを特徴とする。
【0009】
上記本発明のラベルプリンタにおいて、上記データ取得手段は、上記上位コンピュータに対し、その上位コンピュータの記憶部に蓄積されている印字データの送信を要求するデータ要求コマンドを送信し、このデータ要求コマンドに応じて上記上位コンピュータから送信された上記印字データを受信するように構成してもよい。
【0010】
上記本発明のラベルプリンタにおいて、上記ラベルプリンタは、上記上位コンピュータの記憶部に可変情報として蓄積されている印字データをラベル上の指定位置に印字するための、印字位置情報を格納したROMと、上記データ取得手段により上記上位コンピュータの記憶部から取得した印字データを格納するRAMとを有し、上記プリンタコマンド生成手段は、上記RAMと上記ROMから印字データと印字位置情報を読み出し、これらを組み合わせることにより、プリンタコマンドを作成するように構成してもよい。
【0011】
本発明のラベルプリンタの制御方法は、上位コンピュータの記憶部に可変情報として蓄積されている印字データをラベルに印字するラベルプリンタの制御方法であって、上記ラベルプリンタは、上記上位コンピュータにアクセスし、該上位コンピュータの記憶部から印字データを取得し、この取得した印字データを上記ラベルへ印字するためのプリンタコマンドを生成することを特徴とする。
【0012】
上記本発明のラベルプリンタの制御方法において、上記印字データの取得は、上記上位コンピュータに対し、その上位コンピュータの記憶部に蓄積されている印字データの送信を要求するデータ要求コマンドを送信し、このデータ要求コマンドに応じて上記上位コンピュータから送信された上記印字データを受信するように構成してもよい。
【0013】
上記本発明のラベルプリンタの制御方法において、上記ラベルプリンタは、上記上位コンピュータの記憶部に可変情報として蓄積されている印字データをラベル上の指定位置に印字するための、印字位置情報を格納したROMと、上記データ取得手段により上記上位コンピュータの記憶部から取得した印字データを格納するRAMとを有し、上記プリンタコマンドの生成は、上記RAMと上記ROMから印字データと印字位置情報を読み出し、これらを組み合わせることにより、プリンタコマンドを作成するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のラベルプリンタとその制御方法にあっては、ラベルプリンタ自身がプリンタコマンドを生成するから、そのプリンタコマンドを生成するための専用プログラムを上位コンピュータにインストールし記憶させるとか、その専用プログラムを搭載したパーソナルコンピュータを増設する必要はなく、よってプログラム構成や機器構成が簡略になる。また上位コンピュータにおいてプリンタコマンドの生成という処理負担もなくなる。
【0015】
また、本発明のラベルプリンタとその制御方法にあっては、ラベルプリンタ自身が上位コンピュータにアクセスし、その上位コンピュータの記憶部から印字データを取得する方式(データ吸い上げ、あるいはデータ抜き取り方式)を採るから、プリンタコマンドを送信するための上位コンピュータの設定は不要であり、かかる設定を行なうためにユーザがプリンタコマンドを理解する必要もなく、簡単に可変情報の印字データをラベルプリンタで印字することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態であるラベルプリンタ1と、このラベルプリンタ1が接続される上位コンピュータとしてのプログラマブルコントローラ2(以下「PLC2」という)の説明図、図2は、図1に示すPLC2のレジスタ300−1の内容、図1に示すラベルプリンタ1のRAM5−2とROM5−3の内容、図1に示すラベルプリンタ1内で生成されるプリンタコマンドC3の内容、並びにそのプリンタコマンドC3に基づき印字されるラベルLの説明図、図3は、図1のラベルプリンタ1がPLC2のレジスタ300−1に蓄積されている印字データDを取得する際の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0018】
図1に示したように、本実施形態のラベルプリンタ1は、PLC2のレジスタ(記憶部)300−1に蓄積されている印字データDをラベルLに印字するものである。本実施形態ではこのPLC2が上位コンピュータとなる。
【0019】
PLC2にはラベルプリンタ1から特定のコマンドが入力される。コマンドの入力はPLC2の計算機リンクユニット4を介して行なわれる。計算機リンクユニット4は、PLC2とラベルプリンタ1との間でコマンドやデータの送受信を可能とする通信手段として機能する。また、PLC2に入力されたコマンドは同PLC2のCPUユニット3で処理される。CPUユニット3はCPU300や、図示しないROM、RAM等を含むハードウェア構成となっており、前記コマンドの処理はCPUユニット3のCPU300が実行する。
【0020】
PLC2には、図示しないキーボード等の入力手段を介して、ラベルLに印字すべき印字データDが入力される。この入力された印字データDは、図2のように、PLC2のレジスタ300−1に蓄積される。このレジスタ300−1はPLC2を構成するCPUユニット3のCPU300の記憶部である。このようなPLC2のレジスタ300−1に蓄積される印字データDは、可変情報であり、必要に応じて適宜変更される。
【0021】
図2には、PLC2のレジスタ300−1に蓄積される印字データDの例として、ラベルLに“ラベル印字”と印字する場合の例を示した。この例では、PLC2のレジスタ300−1には、そのアドレスA1に“ラ”、アドレスA2に“ベ”、アドレスA3に“ル”、アドレスA4に“印”、そしてアドレスA5に“字”という印字データDがそれぞれ個別に蓄積される。
【0022】
上記のようにPLC2のレジスタ300−1に蓄積された印字データDは、最終的にはラベルプリンタ1で“ラベル印字”という配列でラベルLに印字される。このようにPLC2のレジスタ300−1に蓄積されている印字データDをラベルL上の指定位置に印字するためには、それぞれの印字データDについて印字位置情報が必要となる。この印字位置情報は後述の通り、固定データとしてラベルプリンタ1が有している。
【0023】
ラベルプリンタ1は、図1に示したようにマイコンボード5、コントローラ6、プリント装置7、ラベル貼付装置8を備えている。
【0024】
マイコンボード5は、PLC2のレジスタ300−1から印字データを取得する手段(データ取得手段)や、取得した印字データDをラベルLへ印字するためのプリンタコマンドを生成する手段(プリンタコマンド生成手段)として機能する。これらの機能を実現するために、マイコンボード5は具体的には以下のように構成されている。
【0025】
マイコンボード5は、PLC2に対し、図2の矢印イで示すようにアクセスして特定のコマンドを送信する。この特定のコマンドには印字指令確認コマンドC1とデータ要求コマンドC2が含まれる。印字指令確認コマンドC1とは、PLC2に対し印字指令があるか否かの確認を要求するコマンドである。また、データ要求コマンドC2とは、PLC2に対しそのレジスタ300−1に蓄積されている印字データDの送信を要求する命令であり、データ要求コマンドC2には、例えば、レジスタのA1〜A5までのアドレスに存在する印字データDを要求する等といった具体的な要求内容も含まれる。マイコンボード5からPLC2へのコマンドC1、C2の送信は、マイコンボード5のRS232Cポート5−4を介して行なう。
【0026】
上記のような印字指令確認コマンドC1をPLC2が受信すると、印字指令の有無を確認する処理が行なわれる。この処理は、本実施形態では、PLC2を構成するCPUユニット3のCPU300自身が自己のレジスタ300−1に印字データDが蓄積されているか否かをチェックする。そして、レジスタ300−1への印字データDの蓄積が完了している場合は、マイコンボード5へ印字指令C4を送信するが、それ以外の場合はマイコンボード5への印字指令C4の送信は行なわない。
【0027】
尚、印字指令C4の有無の確認処理については、前記方式のほか、印字指令フラグを利用する処理方式を採用してもよい。この場合は、PLC2のレジスタ300−1の中で印字データDの蓄積場所として使用されないアドレスを、上記印字指令フラグの格納場所として設定する。そして、その格納場所に印字指令フラグが存在する場合は、印字指令確認コマンドC1をPLC2が受信した時点で、PLC2からマイコンボード5へ印字指令C4を送信する。一方、その格納場所に印字指令フラグが存在しない場合は、PLC2への印字指令確認コマンドC1の入力があっても、マイコンボード5への印字指令C4の送信はしない。なお、上記格納場所に印字指令フラグが格納される時期は、PLC2のレジスタ300−1への印字データDの蓄積が完了したときとする。
【0028】
マイコンボード5は印字指令C4を受信すると、PLC2のデータ要求コマンドC2を送信する。上記データ要求コマンドC2をPLC2が受信すると、PLC2は、データ要求コマンドC2に従い、レジスタ300−1に蓄積されている印字データDをラベルプリンタ1へ送信する。これにより、ラベルプリンタ1はPLC2のレジスタ300−1に蓄積されている印字データDを受信し取得する。取得した印字データDは、マイコンボード5のCPU5−1により同マイコンボード5のRAM5−2に一時的に格納される。例えば、図2の例では、PLC2のレジスタ300−1には“ラ”、“ベ”、“ル”、“印”、“字”という印字データDが蓄積されているから、これらの印字データDがPLC2からプリンタラベル1へ送信され、マイコンボード5のRAM5−2には“ラ”、“ベ”、“ル”、“印”、“字”という印字データDが一時的に格納される。
【0029】
RAM5−2への印字データDの一時格納は、マイコンボード5のCPU5−1が実行する。その際、同マイコンボード5のCPU5−1は、PLC2のレジスタ300−1のアドレス順に、RAM5−2に印字データDを格納していく。従って、RAM5−2の最初のアドレスB1に格納される印字データDは、レジスタ300−1の最初のアドレスA1に蓄積されている印字データDとなり、また、RAM5−2の次アドレスB2に格納される印字データDは、レジスタ300−1の次アドレスA2に蓄積されている印字データDとなる。例えば、図2の例では、レジスタ300−1の最初のアドレスA1に“ラ”の印字データDが蓄積されているので、RAM5−2の最初のアドレスB1には“ラ”の印字データDが格納され、レジスタ300−1の次アドレスA2には“ベ”の印字データDが蓄積されているので、RAM5−2の次アドレスB2には“ベ”の印字データDが格納される。
【0030】
マイコンボード5のROM5−3内には印字位置情報X1、Y1、X2、Y2…が格納されている。印字位置情報X1、Y1、X2、Y2…は、PLC2のレジスタ300−1に蓄積されている印字データDをラベルL上の指定位置に印字するために必要となる情報であって、あらかじめ設定された固定データである。また、この印字位置情報X1、Y1、X2、Y2…は、PLC2のレジスタ300−1のアドレス順に、ROM5−3に格納されている。
【0031】
すなわち、PLC2のレジスタ300−1における最初のアドレスA1の印字データDについての印字位置情報は、ROM5−3の最初のアドレスP1に格納されている。同レジスタ300−1における次アドレスA2の印字データDについての印字位置情報は、ROM5−3の次アドレスP2に格納されている。例えば、図2の例では、レジスタ300−1の最初のアドレスA1には“ラ”の印字データDが蓄積されているので、ROM5−3のアドレスP1に格納されている印字位置情報X1、Y1は“ラ”の印字データDの印字位置情報となっている。また、レジスタ300−1の次アドレスA2には“ベ”の印字データDが蓄積されているので、ROM5−3の次アドレスP2に格納されている印字位置情報X2、Y2は“ベ”の印字データDの印字位置情報となっている。
【0032】
尚、上記X1、Y1やX2、Y2等の印字位置情報は、XY座標で印字データDの印字位置を示したものである。XY座標はラベルL上に原点O1を採り、原点O1から横方向にX軸を、縦方向にY軸を採ったものとして観念される。
【0033】
マイコンボード5ではCPU5−1によりプリンタコマンドC3が生成される。プリンタコマンドC3は印字データDをラベルLへ印字するための命令である。プリンタコマンドC3は、RAM5−2内の印字データDと、ROM5−3内の印字位置情報とに基づき作成される。すなわち、マイコンボード5のCPU5−1は、RAM5−2とROM5−3からそのアドレス順に印字データDと印字位置情報を一つずつ読み出し、これらを組み合わせることにより以下のプリンタコマンドを作成する。
【0034】
プリンタコマンドC3の作成方式を図2の例で詳細に説明すると、マイコンボード5のCPU5−1は、初めに、RAM5−2のアドレスA1に格納されている“ラ”という印字データDと、ROM5−3のアドレスB1に格納されているX1、Y1という印字位置情報をそれぞれ読み出し、この印字データ(ラ)と印字情報(X1、Y1)を組み合わせることにより、図2にも示したように、下記例のプリントコマンドC3−1「電文:X=X1,Y=Y1,Printdata=“ラ”」を作成する。次に、同マイコンボード5のCPU5−1は、RAM5−2の次アドレスB2に格納されている“べ”という印字データDと、ROM5−3の次アドレスP2に格納されているX2、Y2という印字位置情報をそれぞれ読み出し、この印字データ(ベ)と印字情報(X2、Y2)を組み合わせることにより、図2にも示したように、下記例のプリンタコマンドC3−2「電文:X=X2,Y=Y2,Printdata=“べ”」を作成する。下記例の他のプリンタコマンドC3−3、C3−4、C3−5も上記同様に作成される。このようにして次々にプリンタコマンドが作成されていく。尚、プリンタコマンドの列の最初と最後には電文スタート、電文エンドというコマンドが付加される。
【0035】
<プリンタコマンドの例>
電文スタート
電文:X=X1,Y=Y1,Printdata=“ラ”
電文:X=X2,Y=Y2,Printdata=“べ”
電文:X=X3,Y=Y3,Printdata=“ル”
電文:X=X4,Y=Y4,Printdata=“印”
電文:X=X5,Y=Y5,Printdata=“字”
電文エンド
【0036】
マイコンボード5において、そのRAM5−2の最初のアドレスB1に格納される印字データDは、PLC2のレジスタ300−1の最初のアドレスA1に蓄積されている印字データDであり、また、同マイコンボード5において、そのROM5−3の最初のアドレスP1に格納されている印字位置情報は、PLC2のレジスタ300−1の最初のアドレスA1に蓄積されている印字データDの印字位置情報である。従って、その印字データDと印字位置情報に基づき作成される上記プリンタコマンドは、PLC2のレジスタ300−1において最初のアドレスA1に蓄積されている印字データDを、ラベルL上の指定位置に印字する命令となる。
【0037】
以上のようにしてマイコンボード5で生成されたプリントコマンドC3は、コントローラ6へ送出される。この送出されたプリントコマンドC3がコントローラ6に入力されると、コントローラ6は、プリント装置7を制御し、受信したプリントコマンドC3に従ってラベルLへの印字を行なう。プリント装置7での印字の方式としては、周知のドットプリント形式、インクジェット形式、レーザプリント形式等、各種の印字形式が適用される。また、プリント装置7で印字されたラベルLは、ラベル貼付装置8により製品に貼付される。
【0038】
次に、上記構成からなる本実施形態のラベルプリンタ1がPLC2のレジスタ300−1に蓄積されている印字データを取得する際の処理動作について、図3のフローチャートを基に説明する。
【0039】
同図に示すように、かかる処理動作がスタートすると、最初に、ラベルプリンタ1からPLC2に対し印字指令確認コマンドC1が送信される(ステップ100)。この印字指令確認コマンドC1の送信後に、ラベルプリンタ1がPLC2からの印字指令C4を受信したときは(ステップ102のYes)、ラベルプリンタ1からPLC2に対し更にデータ要求コマンドC2が送信される(ステップ104)。
【0040】
そして、上記データ要求コマンドC2に応じて、PLC2のレジスタ300−1に蓄積されている印字データDが、PLC2からラベルプリンタ1へ送信される。このようにしてPLC2より送信された印字データDをラベルプリンタ1が受信する。このとき、ラベルプリンタ1はデータ要求コマンドC2で要求した印字データDの受信完了待ちとなる(ステップ106のNo)。
【0041】
ここで、ラベルプリンタ1において、要求した印字データDの受信が完了すると(ステップ106のYes)、その受信した印字データDを基にプリンタコマンドC3が作成されるとともに(ステップ108)、この作成したプリンタコマンドC3に基づきラベルLへの印字が行なわれ、印字済みラベルLが発行される(ステップ110)。
【0042】
尚、前記ステップ100において、ラベルプリンタ1がPLC2に対し印字指令確認コマンドC1を送信した後に、PLC2からの印字指令C4をラベルプリンタ1が受信しなかったときは(ステップ102のNo)、ラベルプリンタ1からPLC2に対して印字指令確認コマンドC1の再送信が行なわれる(ステップ100)。つまり、ラベルプリンタ1は印字指令確認コマンドC1の送信後にPLC2からの印字指令C4待ち状態となる。
【0043】
図4(a)はPLC2のレジスタ300−1(図1、図2参照)に可変情報として蓄積される印字データDの他の例、同図(b)は(a)の印字データDを基に印字したラベルLの例を示したものである。この図4の例においては、PLC2のレジスタ300−1のアドレス「0」に“LT”、アドレス「1」に“C−”、アドレス「2」に“76”、アドレス「3」には“01”という印字データDがそれぞれ蓄積される。同図(a)の通り、他のアドレスにも印字データDが蓄積される。そして、例えば、当該レジスタ300−1のアドレス「0」〜「3」に蓄積されている印字データDは、同図(b)のように“LTC−7601”という配列でラベル上の指定位置に印字される。このような指定位置に印字するための印字位置情報は、上述の通りラベルプリンタ1のROM5−3内に固定データとして格納されている。
【0044】
以上説明した本実施形態のラベルプリンタ1とその制御方法によると、ラベルプリンタ1自身がプリンタコマンドC3を生成するから、そのプリンタコマンドC3を生成するための専用プログラムを上位コンピュータとしてのPLC2にインストールし記憶させるとか、その専用プログラムを搭載したパーソナルコンピュータを増設する必要はなく、よってプログラム構成や機器構成が簡略になる。またPLC2においてプリンタコマンドC3の生成という処理負担もなくなる。
【0045】
また、本実施形態のラベルプリンタ1とその制御方法にあっては、ラベルプリンタ1自身がPLC2にアクセスし、そのPLC2のレジスタ300−1から印字データを取得する方式(データ吸い上げ、あるいはデータ抜き取り方式)を採るから、プリンタコマンドC3を送信するためのPLC2の設定は不要であり、かかる設定を行なうためにユーザがプリンタコマンドC3を理解する必要もなく、簡単に可変情報の印字データをラベルプリンタ1で印字することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態であるラベルプリンタと、このラベルプリンタが接続される上位コンピュータとしてのPLCの説明図。
【図2】図1に示すPLCのレジスタの内容、図1に示すラベルプリンタのRAMとROMの内容、図1に示すラベルプリンタ内で生成されるプリンタコマンドの内容、並びにそのプリンタコマンドに基づき印字されるラベルの説明図である。
【図3】図1のラベルプリンタがPLCのレジスタに蓄積されている印字データを取得する際の処理動作を説明するためのフローチャート。
【図4】(a)はPLCのレジスタに蓄積される印字データの他の例、(b)は(a)の印字データを基に印字したラベルの例の説明図。
【符号の説明】
【0047】
1 ラベルプリンタ
2 PLC(上位コンピュータ)
3 CPUユニット
300 CPUユニットのCPU
300−1 レジスタ(記憶部)
5 マイコンボード
5−1 マイコンボードのCPU
5−2 マイコンボードのRAM
5−3 マイコンボードのROM
5−4 RS232Cポート
6 コントローラ
7 プリント装置
8 ラベル貼付装置
A1〜A5 PLCのレジスタのアドレス
B1〜B5 マイコンボードのRAMのアドレス
P1〜P5 マイコンボードのROMのアドレス
C1 印字指令確認コマンド
C2 データ要求コマンド
C3 プリンタコマンド
C4 印字指令
D 印字データ
L ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位コンピュータの記憶部に可変情報として蓄積されている印字データをラベルに印字するラベルプリンタであって、
上記ラベルプリンタは、
上記上位コンピュータにアクセスし、該上位コンピュータの記憶部から印字データを取得するデータ取得手段と、
上記データ取得手段で取得した印字データを上記ラベルへ印字するためのプリンタコマンドを生成するプリンタコマンド生成手段と
を有することを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
上記データ取得手段は、
上記上位コンピュータに対し、その上位コンピュータの記憶部に蓄積されている印字データの送信を要求するデータ要求コマンドを送信し、このデータ要求コマンドに応じて上記上位コンピュータから送信された上記印字データを受信する
ことを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
上記ラベルプリンタは、
上記上位コンピュータの記憶部に可変情報として蓄積されている印字データをラベル上の指定位置に印字するための、印字位置情報を格納したROMと、
上記データ取得手段により上記上位コンピュータの記憶部から取得した印字データを格納するRAMとを有し、
上記プリンタコマンド生成手段は、
上記RAMと上記ROMから印字データと印字位置情報を読み出し、これらを組み合わせることにより、プリンタコマンドを作成する
ことを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
上位コンピュータの記憶部に可変情報として蓄積されている印字データをラベルに印字するラベルプリンタの制御方法であって、
上記ラベルプリンタは、
上記上位コンピュータにアクセスし、該上位コンピュータの記憶部から印字データを取得し、この取得した印字データを上記ラベルへ印字するためのプリンタコマンドを生成する
ことを特徴とするラベルプリンタの制御方法。
【請求項5】
上記印字データの取得は、
上記上位コンピュータに対し、その上位コンピュータの記憶部に蓄積されている印字データの送信を要求するデータ要求コマンドを送信し、このデータ要求コマンドに応じて上記上位コンピュータから送信された上記印字データを受信する
ことを特徴とする請求項4に記載のラベルプリンタの制御方法。
【請求項6】
上記ラベルプリンタは、
上記上位コンピュータの記憶部に可変情報として蓄積されている印字データをラベル上の指定位置に印字するための、印字位置情報を格納したROMと、
上記データ取得手段により上記上位コンピュータの記憶部から取得した印字データを格納するRAMとを有し、
上記プリンタコマンドの生成は、
上記RAMと上記ROMから印字データと印字位置情報を読み出し、これらを組み合わせることにより、プリンタコマンドを作成する
ことを特徴とする請求項4に記載のラベルプリンタの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−130692(P2006−130692A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319532(P2004−319532)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】