説明

ラベルプリンタ

【課題】
作業者が、商品の表面に貼付する表貼りラベルと、商品の裏面に貼付する裏貼りラベルを商品に貼り忘れ等の貼付ミスがなく貼付できるラベルプリンタを提供することを課題とする。
【解決手段】
ラベル保持センサー16の発光部20から出射される光22をプリズム17で受光部21に到達する構成にすることによって、剥離部4で帯状台紙7から剥離された表貼りラベル23と裏貼りラベル24を同時に検出でき、表貼りラベル23と裏貼りラベル24が両方共に取出された時に、制御部6の指令によって次の表貼りラベル23と裏貼り24ラベルを搬送することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の表面に貼付する表貼りラベルと、商品の裏面に貼付する裏貼りラベルを発行し、剥離するラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実開平04−47560に開示されるように、プラテンローラーを駆動して、帯状台紙にラベルを貼着したラベル連続体を搬送させ、ラベルが所定の印字位置に位置決めされたときサーマルヘッドにより印字を行い、印字終了後にラベルを帯状台紙から剥離し、その剥離されたラベルを保持すると共に、この保持されたラベルの有無をセンサーで検出し、センサーがラベル有りを検出しているときにはラベルの搬送を停止し、センサーがラベル無しを検出するとラベルの搬送停止を解除してサーマルヘッドにより新たなラベルに印字を行い、ラベルを帯状台紙から剥離し、保持するというラベルプリンタがある。
【0003】
前述したラベルプリンタを用いて、ラベルに商品の商品名、値段などを印字し、このラベルを作業者が商品に貼付けている。例えば、POSレジを採用しているスーパーマーケットの弁当や惣菜などの商品に貼付されたラベルにはバーコードが印字されている。
【0004】
このバーコードを読取る装置として、上方に向かって光を照射することにより商品に貼付されているラベルのバーコードを読取る固定型バーコードスキャナが知られている。(以下単に固定型バーコードスキャナという。)例えば、バーコードが印字されたラベルを商品の表面に貼付して販売し、精算時にレジのバーコードスキャナで商品に貼付されたラベルのバーコードを読取るときに、固定型バーコードスキャナを採用しているスーパーマーケットなどでは商品を裏返して読取るようにしている。
しかしながら、例えば、弁当や惣菜などの商品は、裏返すと内容物の型崩れや飛散などがおこることにより、商品の美観が損なわれてしまう。
【0005】
よって、固定型バーコードスキャナを採用しているスーパーマーケットなどで販売している弁当やお惣菜などの商品には、表面に商品情報として商品名、値段、賞味期限などが印字してある表貼りラベルと、裏面にバーコードなどが印字してある裏貼りラベルを作業者が貼付することによって、商品の裏面でバーコードを読取りができるようにしている。
【0006】
この表貼りラベルと裏貼りラベルをラベルプリンタで発行し、商品に貼付するためには、2台のラベルプリンタを用いて表貼りラベルと裏貼りラベルの同時発行を行い、作業者が弁当やお惣菜などに貼付することが行なわれていた。
【0007】
しかしながら、2台のラベルプリンタで表貼りラベルと裏貼りラベルの同時発行を行なう方法では、商品に表貼りラベルと裏貼りラベルのどちらかを貼り忘れても気付かないで作業者が貼付作業を続けてしまうという貼り忘れを生じる問題があった。
また、惣菜のように重さによって値段の変わる商品は、表貼りラベルの値段表示と裏貼りラベルのバーコードに記入された値段が同一でなくてはならず、表貼りラベルと裏貼りラベルの対応が必ず一致しなくてはならないにも関わらず、別個のラベルプリンタにより発行するため、表貼りラベルと裏貼りラベルの対応が不一致で商品に貼付作業を行っても作業者が気付かないという貼付けミスが生ずる問題があった。
【特許文献1】実開平04−47560
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであって、作業者が商品に表貼りラベルと裏貼りラベルの両方とも貼り忘れがなく、表面ラベルと裏面ラベルの対応が一致し貼付作業を行えるラベルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るラベルプリンタは、第一のラベルおよび第二のラベルを所定の間隔をもって帯状台紙の幅方向に並列させ、長手方向に複数仮着したラベル連続体に印字するラベルプリンタであって、サーマルヘッドとプラテンローラーを有し、第一のラベルと第二のラベルに印字する印字部と、印字部によって印字された第一のラベルと第二のラベルを帯状台紙から剥離する剥離部と、剥離部によって剥離された第一のラベルと第二のラベルを保持するラベル保持ローラーと、発光部及び受光部を有し、ラベル保持ローラーによって保持されている第一のラベルと第二のラベルを検出するラベル保持センサーと、ラベル保持センサーの発光部及び受光部の間の光路を形成するプリズムと、を有し、ラベル保持センサーが第一のラベルおよび第二のラベルのいずれも検出していない場合に、プラテンローラーの駆動により次の第一のラベルと第二のラベルをラベル保持ローラーに搬送することを特徴とする。
また、第一のラベルは、商品の表面に貼付する表貼りラベルであり、前記第二のラベルは商品の裏面に貼付する裏貼りラベルとすることもできる。
また、裏貼りラベルは、バーコードが印字することもできる。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るラベルプリンタは、第一のラベルおよび第二のラベルを所定の間隔をもって帯状台紙の幅方向に並列させ、長手方向に複数仮着したラベル連続体に印字するラベルプリンタであって、サーマルヘッドとプラテンローラーを有し、第一のラベルと第二のラベルに印字する印字部と、印字部によって印字された第一のラベルと第二のラベルを帯状台紙から剥離する剥離部と、剥離部によって剥離された第一のラベルと第二のラベルを保持するラベル保持ローラーと、発光部及び受光部を有し、ラベル保持ローラーによって保持されている第一のラベルと第二のラベルを検出するラベル保持センサーと、ラベル保持センサーの発光部及び受光部の間の光路を形成するプリズムと、を有し、ラベル保持センサーが第一のラベルおよび第二のラベルのいずれも検出していない場合に、プラテンローラーの駆動により次の第一のラベルと第二のラベルをラベル保持ローラーに搬送するため、商品に表面ラベルと裏面ラベルの両方とも貼り忘れがなく、表面ラベルと裏面ラベルの対応が一致し貼付作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明のラベルプリンタ1の全体の概略断面側面図である。
【0013】
ラベルプリンタ1は、供給部2と、印字部3と、剥離部4と、ラベル保持ローラー5と、ラベル保持センサー6と、プリズム7と、これらを制御する制御部8と、を有する。
【0014】
供給部2は、図2に示すように表貼りラベル22及び裏貼りラベル23を所定の間隔をもって帯状台紙9の幅方向に並列させたラベルL(以下単にラベルLという。)を長手方向に複数仮着し、ロール状に巻回されたラベル連続体10を回転可能に保持する。
【0015】
印字部3は、サーマルヘッド11と、プラテンローラー12と、プラテンローラー12を回転駆動する駆動モーター13を有し、ラベル連続体10のラベルLに所定の印字が施される。
【0016】
剥離部4は、剥離板14と、一対の台紙移送ローラー(駆動ローラー15および従動ローラー16)を有する。ラベル連続体10の帯状台紙9を、剥離板14を介して駆動ローラー15及び従動ローラー16で狭持し、帯状台紙9のみを転向させ、駆動モーター13により駆動ローラー15を回転駆動し、帯状台紙9を下流側に移送させることにより、ラベルLが帯状台紙9から剥離される。
【0017】
ラベル保持ローラー5は、軸方向複数箇所に図示しないリング状リブを形成し、リブの周面にラベルLを接触させるようにしている。剥離部4で帯状台紙9から剥離されたラベルLの一部をラベル取出口17からラベルプリンタ1外に排出した状態で保持し、このラベルLを作業者により取出される。また、帯状台紙9は台紙排出口18からラベルプリンタ1外に排出される。
【0018】
ラベル保持センサー6は、フォトセンサーであって、後述する発光部19と受光部20を有する。発光部19及び受光部20は、発光部19から出射された光21を受光部20で受光し、この受光した光21の強弱によりラベルLの有無を検出する。
【0019】
プリズム7は、ラベル保持センサー6の発光部19から出射された光21を反射して、受光部20が受光できるように光路を形成する。
【0020】
図2は、ラベル連続体10の斜視図である。
ラベル連続体10は表貼りラベル22と、裏貼りラベル23が帯状台紙9の幅方向並列に、搬送方向に連続的に仮着されており、帯状台紙9の剥離剤24が塗布された面に、表貼りラベル22と、裏貼りラベル23の粘着剤25が塗布された面が仮着されている。
【0021】
表貼りラベル22は、表面に商品名、値段、賞味期限が印字される。また、裏貼りラベル23にはバーコードなど表貼りラベルとは別のデータが印字される。
【0022】
表貼りラベル22は印字幅Waを有し、裏貼りラベル23は印字幅Wbを有する。また、表貼りラベル22と裏貼りラベル23の間隔をWcとする。このため、サーマルヘッド11やプラテンローラー12や剥離板14は、Wa+Wb+Wc以上の長さを有している。
【0023】
図3は、ラベル保持センサー6の発光部19と受光部20、およびプリズム7、ならびに表貼りラベル22と裏貼りラベル23との配置位置関係を示した正面図である。
【0024】
ラベル保持センサー6の発光部19及び受光部20をともに表貼りラベル22と裏貼りラベル23の表面側に配置し、かつ表貼りラベル22と裏貼りラベル23の裏面側にプリズム7を配置している。
【0025】
プリズム7は、三角形状の直角プリズムであって、その斜辺部26を発光部19及び受光部20方向に向けている。即ち、発光部19から出射される光21をプリズム7で180度反転可能とし、受光部20に戻すようにしている。
【0026】
剥離された表貼りラベル22は、ラベル保持センサー6の発光部19から出射された光21がプリズム7で反転する前の光路に配置され、剥離された裏貼りラベル23は、発光部19から出射される光21をプリズム7で反転した後の光路に配置される。これにより、表貼りラベル22と裏貼りラベル23の両方が作業者により取出されないとラベル保持センサー6の発光部19から出射された光21が表貼りラベル22と裏貼りラベル23に遮られるため、受光部20に到達しない。
【0027】
ラベル保持センサー6は、制御部8に接続されており、表貼りラベル23と裏貼りラベル24の両方が取り出されて発光部19から出射された光21が受光部20で検出されると、制御部8によりラベル無しと判断され、次の表貼りラベル22と裏貼りラベル23を排出する指令がプラテンローラー12の駆動モーター13に送信される。
【0028】
次に図4のラベルプリンタ1の動作について制御フローチャートに基づき説明する。
【0029】
最初にステップS1において、サーマルヘッド11により表貼りラベル22と、裏貼りラベル23に所定の印字が行なわれる。この印字は駆動モーター13の回転を介して回転するプラテンローラー12により搬送しながら行なわれる。
【0030】
ステップS2において、印字済みの表貼りラベル22と、裏貼りラベル23をラベル保持ローラー5まで搬送する。この時に表貼りラベル22と裏貼りラベル23は剥離板14によって帯状台紙9から剥離される。搬送はプラテンローラー12を回転することにより行なわれる。
【0031】
ステップS3において、ラベル保持センサー6によりラベルLが検出されたかを判定する。
ラベルLが検出されなかった場合は、ステップS2に戻る。
ラベルLが検出された場合、即ち、表貼りラベル22と裏貼りラベル23の両方ともに剥離板14で剥離され、ラベル保持センサー6にて検出された場合は、ステップ4に進み、ラベルLの一部をラベル取出口17から排出した状態で、ラベルLの搬送を一旦停止する。
【0032】
ステップS5において、ラベルLが検出されているか否かを判定する。この判定は、ラベルLを検出した時から、ラベル保持センサー6にて引き続き監視されるものであり、ラベルが検出されない状態、即ち、作業者により表貼りラベル22と、裏貼りラベル23が両方ともにラベル取出口17から取出されるまで行われる。
作業者により表貼りラベル22と、裏貼りラベル23の両方ともに取出されラベル保持センサー6でラベルLが検出されていない場合にステップS1に戻る。
また、制御部8から作業終了の指令があった場合、ステップS6より作業を終了する。
また、制御部8からの作業終了の指令は、例えば、設定した印字を終了時などに発生する。
【0033】
次に、図1、図2、図3、図5を参照して、本発明のラベルプリンタ1の動作及び作業者のラベル貼付について説明する。
【0034】
サーマルヘッド11で表貼りラベル22と、裏貼りラベル23と、に所定の情報を印字して、剥離板14によって表貼りラベル22と、裏貼りラベル23が剥離され、ラベル保持ローラー5で表貼りラベル22と、裏貼りラベル23が保持される。
【0035】
次に、作業者がラベル取出口17から表貼りラベル22を取出して、被着体27の表面に貼付ける。
【0036】
次に、作業者がラベル取出口17から裏貼りラベル23を取出して、被着体27の裏面に貼付ける。
【0037】
被着体27は、例えば、スーパーマーケットのお弁当箱や、惣菜、肉、魚を包装するパックである。
【0038】
次に、ラベル保持センサー6の発光部19から出射される光21を遮断する表貼りラベル22と、裏貼りラベル23が剥離されたため、ラベル保持センサー6の発光部19から出射される光がプリズム7を介して受光部20に到達する。ラベル保持センサー6の発光部19から出射される光21を受光部20が検出すると、制御部8はラベル無しと判断し、印字部3に次の表貼りラベル22と、裏貼りラベル23の発行と搬送の指令を出す。また、制御部8から作業終了の指令があった場合、作業を終了する。
【0039】
なお、ラベル保持センサー6の発光部19から出射される光を遮断する表貼りラベル22と裏貼りラベル23が両方共に作業者によってラベルプリンタ1から取出されると光21は受光部20に到達するため、ラベル取出口17から表貼りラベル22と、裏貼りラベル23を取出す順番は、どちらが先でも良く、表貼りラベル22と裏貼りラベル23の両方がラベル取出口18から取出されたら次の表貼りラベル22と裏貼りラベル23の発行と搬送の指令を出す。
【0040】
また、プリズム7は、サイズや角度の変更をすることによって、様々な形状の表貼りラベル22、裏貼りラベル23に対応できる。また、表貼りラベル22と裏貼りラベル23の間隔Wcに対応できる。
【0041】
なお、本発明が上記実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施の形態は適宜変更可能である。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のラベルプリンタの全体の概略断面側面図である。
【図2】ラベル連続体の斜視図である。
【図3】ラベル保持センサーの発光部、受光部、およびプリズム、ならびに表貼りラベルと裏貼りラベルとの配置位置関係を示した正面図である。
【図4】ラベルプリンタの制御フローチャートである。
【図5】本発明の利用図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ラベルプリンタ
2 供給部
3 印字部
4 剥離部
5 ラベル保持ローラー
6 ラベル保持センサー
7 プリズム
8 制御部
9 帯状台紙
10 ラベル連続体
11 サーマルヘッド
12 プラテンローラー
13 駆動モーター
14 剥離板
15 駆動ローラー
16 従動ローラー
17 ラベル取出口
18 台紙排出口
19 発光部
20 受光部
21 光
22 表貼りラベル
23 裏貼りラベル
24 剥離剤
25 粘着剤
26 斜辺部
27 被着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のラベルおよび第二のラベルを所定の間隔をもって帯状台紙の幅方向に並列させ、長手方向に複数仮着したラベル連続体に印字するラベルプリンタであって、
サーマルヘッドとプラテンローラーを有し、第一のラベルと第二のラベルに印字する印字部と、
印字部によって印字された第一のラベルと第二のラベルを帯状台紙から剥離する剥離部と、
剥離部によって剥離された第一のラベルと第二のラベルを保持するラベル保持ローラーと、
発光部及び受光部を有し、ラベル保持ローラーによって保持されている第一のラベルと第二のラベルを検出するラベル保持センサーと、
ラベル保持センサーの発光部及び受光部の間の光路を形成するプリズムと、を有し、
ラベル保持センサーが第一のラベルおよび第二のラベルのいずれも検出していない場合に、プラテンローラーの駆動により次の第一のラベルと第二のラベルをラベル保持ローラーに搬送することを特徴としたラベルプリンタ。
【請求項2】
前記第一のラベルは、商品の表面に貼付する表貼りラベルであり、前記第二のラベルは商品の裏面に貼付する裏貼りラベルであることを特徴とする請求項1記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
裏貼りラベルは、バーコードが印字されていることを特徴とする請求項2記載のラベルプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−150760(P2006−150760A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−344926(P2004−344926)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】