ラベル貼着装置
【課題】ラベルの後端部を容器に適切に貼着する。
【解決手段】ラベル貼着装置1は、片面に感熱接着剤11が塗布されたラベルLを多数の吸引孔302を有する吸着ドラム3の表面に吸着し、かつ吸着ドラム3で加熱して感熱接着剤11を活性化させた状態で、一定の速度v1で所定の貼着位置Pに移送する。また、ラベルLを貼着すべき容器BをラベルLが貼着位置Pに到達するタイミングで貼着位置Pに移送し、容器Bの側面を回転させながらラベルLに圧接させることで、ラベルLを容器Bの側面に貼着する。ラベル貼着装置1は、ラベルLの貼着動作の終了前の所定のタイミングで容器Bの側面の移動速度をラベルの移動速度よりも速い所定の回転速度に切り換える。これにより、ラベルLの後端部を容器Bの回転によって引っ張り、その結果、ラベルLの後端部Laが活性化した状態で容器Bの側面に接着されるので、しわの発生が抑制される。
【解決手段】ラベル貼着装置1は、片面に感熱接着剤11が塗布されたラベルLを多数の吸引孔302を有する吸着ドラム3の表面に吸着し、かつ吸着ドラム3で加熱して感熱接着剤11を活性化させた状態で、一定の速度v1で所定の貼着位置Pに移送する。また、ラベルLを貼着すべき容器BをラベルLが貼着位置Pに到達するタイミングで貼着位置Pに移送し、容器Bの側面を回転させながらラベルLに圧接させることで、ラベルLを容器Bの側面に貼着する。ラベル貼着装置1は、ラベルLの貼着動作の終了前の所定のタイミングで容器Bの側面の移動速度をラベルの移動速度よりも速い所定の回転速度に切り換える。これにより、ラベルLの後端部を容器Bの回転によって引っ張り、その結果、ラベルLの後端部Laが活性化した状態で容器Bの側面に接着されるので、しわの発生が抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばPETボトル等の容器の表面に被貼着部材(例えばラベル)を供給して貼着するためのラベル貼着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばPETボトル等の容器にラベルを供給し、容器の表面に感熱接着材によってラベルを貼着するラベル貼着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3036724号公報
【0003】
図9は、従来のラベル貼着装置を示す概略構成図である。
【0004】
このラベル貼着装置100では、供給リール101から長尺状のラベル基材S(片面に感熱接着剤層が積層された樹脂材)が複数の送りローラ102やエアダンサ103を介してカットユニット104に供給され、所定の大きさのラベルに切り抜かれる。切り抜かれたラベルは、吸着ドラム105によって吸着され、容器Bに貼着される所定の貼着位置(容器Bの側面が吸着ドラム105の周面に圧接される位置。図9では、吸着ドラム105の周面がベルトコンベア装置110を臨む位置)に移送される。
【0005】
吸着ドラム105は、加熱装置106によって加熱されており、カットユニット104から吸着ドラム105にラベルが吸着されると、ラベルの感熱接着剤が活性化され、その状態でラベルが貼着位置に移送される。感熱接着剤は、加熱されることにより活性化されラベルの容器Bに対する接着が可能となるが、この感熱接着剤は、加熱されなくなると粘着性が低下し、加熱されなくなってから粘着性が失われるまでの時間(以下、「粘着持続時間」という。)を有するといった性質をもつ。
【0006】
一方、多数の容器Bは、スクリュー軸107によって1つずつスターホイール108に送られ、スターホイール108及び案内板109によって上記貼着位置に移送される。このとき、容器Bは、ベルトコンベア装置110のベルト111によって吸着ドラム105に押圧されながら、吸着ドラム105の回転方向とは逆方向に搬送される。
【0007】
従って、吸着ドラム105に吸着されたラベルは、その先端が吸着位置に到達すると、活性化された感熱接着剤で容器Bの側面に接着され、その表面が容器Bの回転によって当該感熱接着剤により順次接着される。そして、ラベルが貼着された容器Bは、排出装置112によって次工程位置に移送される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図9には示していないが、吸着ドラム105の外周面の所定の位置には吸着面が設けられ、その吸着面には、ラベルを吸着するための複数の吸引孔が格子状に配列されて穿設されている。複数の吸引孔は、図略の吸引装置により一定の吸引力で吸引されている。カットユニット104で切り抜かれたラベルは、吸着ドラム105の吸着面で受け取られ、複数の吸引孔で吸引された状態で貼着位置に移送される。
【0009】
図10は、ラベル113が吸着ドラム105の吸着面105Aに吸着されている状態を示す断面図である。なお、図11では、説明の便宜上、吸着ドラム105の吸着面105Aを略水平に表している。
【0010】
同図に示すように、吸着面105Aに穿設された吸引孔105Bは上方に吸引されることにより、ラベル113は吸着面105A上に吸着されている。この場合、吸着面105Aのうち複数の吸引孔105Bが格子状に形成されている領域は、ラベル113の大きさよりやや小さめの矩形状となっている。そのため、図10に示すように、吸着ドラム105の移動方向(図10の矢印S参照)におけるラベル113の前端部114(右端の交差線部参照)及び後端部115(左端の交差線部参照)は、吸引孔105Bで吸引されない部分となっている。
【0011】
一方、従来のラベル装置100では、図9に示すように、反時計回りに回転する吸着ドラム105の下側で容器Bを右側から直線的に移送し、当該容器Bを吸着位置で吸着ドラム105に吸着されたラベル113に圧接させて当該ラベル113を容器Bに貼着するようにしているので、容器Bの周速度(側面が回転する速度)は吸着ドラム105の周速度(周面の回転する速度)と略同一となる。
【0012】
この結果、従来のラベル装置100では、図11に示すように、周速度vで反時計回りに回転している吸着ドラム105に貼着位置で容器Bが圧接され、これにより容器Bが周速度vで時計回りに回転する構成であるので、同図(a)乃至(c)に示すように、等価的に、静止している吸着ドラム105の吸着面105Aに吸着されているラベル113の上で容器Bを回転させて当該ラベル113を当該容器Bに巻き取るようにして貼着する構成となっている。
【0013】
そして、従来のラベル装置100では、上記のように、吸着ドラム105の吸着面105Aに吸着されたラベル113の、感熱接着剤が塗布された面上で容器Bを転がすようにして、ラベル113が当該容器Bに貼着される。
【0014】
容器Bに対するラベル113の貼着動作が開始されるときには(図11(a)参照)、上記したラベル113の先端部114は、貼着位置において容器Bに圧接されるので、ラベル113は、感熱接着剤によって容器Bに巻き取られるようにして貼着される(図11(b)参照)。
【0015】
しかしながら、ラベル113の貼着動作が終了する前では、図11(c)に示されるように、ラベル113の後端部115は、吸着ドラム105の吸引孔105Bで吸引されないので、吸着面105Aから浮き上がる。この状態で、容器Bが吸着ドラム105と同速度の周速度で回転され、感熱接着剤の粘着持続時間が経過してしまうと、ラベル113の後端部115における感熱接着剤は非活性状態となってしまう。そのため、ラベル113の後端部115が容器Bに適切に貼着されず、ラベル113の後端部115においてしわが生じるといった問題点があった。
【0016】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、ラベルの後端部を容器に適切に貼着することのできるラベル貼着装置を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0018】
本発明に係るラベル貼着装置は、多数の吸引孔が設けられた吸着面を有し、裏面に感熱接着剤が塗布されたラベルの表面を前記多数の吸引孔で吸引して当該ラベルを保持するとともに、当該ラベルを加熱して前記感熱接着剤を活性化させるラベル保持手段と、前記ラベル保持手段を所定の経路で移動させることにより、前記ラベルを前記経路で移送するラベル移送手段と、容器を回転自在に保持する容器保持手段と、前記容器保持手段を前記ラベル保持手段とは異なる経路で移動させ、前記経路上の所定の貼着位置で前記容器の側面を前記ラベル保持手段に保持された前記ラベルの裏面に圧接させる容器移送手段と、を備え、前記経路を移送するラベルを前記貼着位置で前記容器の側面に巻き取らせて前記感熱接着剤で貼着するラベル貼着装置において、前記容器の側面が前記ラベルに圧接されるときに、その側面の移動が前記ラベルの移動と同一の方向となるように前記容器を回転させる容器回転手段と、前記容器の回転速度を、前記ラベルの貼着動作が開始されたとき、当該容器の側面の移動速度が前記ラベルの移動速度とほぼ同一となる回転速度に設定し、前記ラベルの貼着動作の終了前の所定のタイミングで容器の側面の移動速度が前記ラベルの移動速度よりも速い所定の回転速度に切り換える容器回転速度制御手段と、を備えたことを特徴としている(請求項1)。
【0019】
上記ラベル貼着装置において、前記回転制御手段は、モータと、前記モータの回転力を伝達するための伝達機構と、この伝達機構によって前記回転力が伝達されて回転されかつ前記容器の一端を保持する保持手段とによって構成されるとよい(請求項2)。
【0020】
請求項1または2に記載のラベル貼着装置において、前記ラベル保持手段は、回転自在に支持され、外周面の一部に前記吸着面が形成された円筒状のドラムと、前記ドラム内に設けられ、前記吸着面に形成された多数の吸引孔を吸引する吸引手段と、前記ドラムを加熱する加熱手段とで構成され、前記ラベル移送手段は、前記ドラムを所定の回転速度で回転させるドラム駆動手段で構成され、前記容器移送手段は、回転自在に支持され、先端に前記容器を回転自在に支持する支持部が設けられた回転台と、前記回転台を前記ドラムと逆方向に回転させる回転台駆動手段とで構成され、前記容器移送手段は、前記ドラムの外周面が前記ドラムの回転中心と前記回転台の回転中心とを結ぶ線と交差する位置を前記貼着位置として、前記ドラム駆動手段により前記ドラムの吸着面に吸着されたラベルが前記貼着位置に移送されるタイミングで前記回転台の先端に支持された容器を前記貼着位置に移送し、当該容器の側面を前記ラベルに圧接させるとよい(請求項3)。
【発明の効果】
【0021】
この構成によれば、ラベルをラベル保持手段で吸着し、そのラベル保持手段を所定の経路で貼着位置に移動させる一方、容器を容器保持手段で保持し、その容器保持手段をラベル保持手段とは異なる経路で貼着位置に移動させ、その貼着位置で容器の側面をラベルに圧接しながら巻き取らせる。ラベルの貼着動作が開始されたときには、容器の回転速度を、当該容器の側面の移動速度がラベルの移動速度とほぼ同一となる回転速度に設定し、ラベルの貼着動作の終了前の所定のタイミングで容器の側面の移動速度をラベルの移動速度よりも速い所定の回転速度に切り換える。そのため、ラベルの後端部は容器の回転によって引っ張られ、この結果、ラベルの感熱接着剤の粘着持続時間が経過する前に、ラベルの後端部が活性化した状態で容器の側面に接着されるので、ラベルの後端部においてしわの発生を抑制することができる。
【0022】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係るラベル貼着装置を示す概略構成図である。なお、図中の矢印は、回転部材の回転方向を示している。また、図2は、ラベル貼着装置の電気的構成を示すブロック図である。図2において、図1に示す部材と同一の部材には同一の符号を付している。
【0025】
ラベル貼着装置1は、例えばPETボトル等の容器の表面に、その容器内に注入される飲料や洗剤等の名称を表すラベルを貼着するものである。このラベル貼着装置1は、ラベルを所定の移送経路に沿って移送する一方、容器をラベルの移送経路上の所定の貼着位置に移送し、当該所定位置で容器をラベルに圧接させるとともに、当該容器をラベルの移送方向と同一の方向に回転させてラベルを容器の側面に巻き付けるようにして貼着するものである。
【0026】
ラベル貼着装置1は、図1に示すように、長尺状のラベル基材Sを繰り出すととともに、ラベル基材Sを切り抜いて略矩形状のラベルL(図3参照)を生成するラベル生成装置2と、ラベル生成装置2によって生成されたラベルLを吸着して所定の貼着位置P(吸着ドラム3の周面が吸着ドラム3の回転中心O’と後述する回転台部521aの回転中心Oを結ぶ線分と交差する付近の位置)に移送させる吸着ドラム3と、吸着ドラム3を加熱する加熱装置4と、外部から供給される容器Bを貼着位置Pに移送し、当該貼着位置PでラベルLを貼着させた後、外部に搬出するための容器移送装置5とによって大略構成されている。
【0027】
ラベル貼着装置1では、貼着位置PにラベルLと容器Bとがそれぞれ移送されてラベルLが容器Bに貼着されるのであるが、本実施形態に係るラベル貼着装置1では、ラベルLが容器Bに貼着され、その貼着動作が終了される前の所定のタイミングで、容器Bの周速度を吸着ドラム3の周速度よりも速くすることにより、ラベルLの端部においてしわを生じさせないように構成されている点に特徴がある。以下、詳述する。
【0028】
本実施形態で用いられるラベル基材Sは、例えばポリエステルフィルムの片面に感熱接着剤を塗布した透明もしくは半透明の長尺状の基材である。このポリエステルフィルムは、例えばレトルト殺菌等による加熱温度によって収縮することのない特性を有する、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートまたはポリブチレンテレフタレート等から形成される。
【0029】
感熱接着剤は、例えば100℃以下の所定の温度で加熱されることにより活性化して接着性を発揮するホットメルト接着剤であり、例えばエチレンアクリル酸エステル共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体等のエチレン系の共重合体によって形成される。この実施形態における感熱接着剤は、粘着持続時間(本実施形態では、ラベルLが加熱されなくなってから感熱接着剤が不活性状態になるまでの時間をいう。)が例えば約0.5秒のものが用いられている。なお、ラベル基材Sの構成は、上記ポリエステルフィルム及び上記感熱接着剤に限定されるものではない。
【0030】
ラベル生成装置2は、図3に示すように、長尺状のラベル基材Sが予め巻回されている供給リール201からラベル基材Sを繰り出し、所定の間隔で所定の形状(例えば、長方形等)を切り抜いてラベルLを生成するものである。
【0031】
ラベル生成装置2は、上記の供給リール201と、ラベル基材Sを移送するための複数のガイドローラ202と、供給リール201に巻き取られているラベル基材Sを繰り出すためのラベル基材送り部203と、ラベル基材Sを所定の大きさ(容器Bに貼着される大きさ)のラベルLに切り抜くラベルカット部204と、ラベル基材Sが切り抜かれることにより生成したラベルLを吸着ドラム3に移送するためのラベル受渡しドラム205と、ラベルカット部204によってラベル基材Sが切り抜かれて残った不要部分を巻き取る残余巻取りリール206とによって概略構成される。
【0032】
ラベル基材送り部203は、ラベル送りローラ203aと、補助ローラ203bと、ラベル送りローラ203aを回転駆動するラベル送りモータ701(図2参照)と、ラベル送りモータ701を制御するサーボアンプ702(図2参照)とを備えている。サーボアンプ702は、図2に示すように、装置全体を統括的に制御する制御装置6に接続されており、ラベル送りモータ701の回転駆動は、制御装置6によりサーボアンプ702を介して行われる。
【0033】
ここで、図2の電気的な構成について簡単に説明すると、制御装置6は、図示しないマイクロコンピュータを有しており、予め記憶された動作プログラムに基づいて、ラベル移送生成装置1、吸着ドラム3及び容器移送装置5等の各動作を制御するものである。制御装置6には、各種のデータを記憶するための図示しないメモリが備えられている。
【0034】
ラベル生成装置におけるラベル送りローラ203aや、後述するカット刃ローラ204a、ラベル受渡しドラム205、残余巻取リール206、吸着ドラム3、容器移送装置5におけるスターホイール511、回転台部521a及びスターホイール531等の回転部材は、駆動部7を介して制御装置6に接続されている。駆動部7には、上記の各回転部材に対応して回転力を発生するモータとこのモータの回転動作を制御するサーボアンプ及びインバータとが設けられている。制御装置6は、駆動部7を介して上記の各回転部材の回転動作を連係させるように制御する。
【0035】
また、制御装置6には、加熱装置4と、後述するラベル受渡しドラム用の吸引装置8及び吸着ドラム用の吸引装置9と、操作表示装置10とが接続され、制御装置6は、加熱装置4の加熱動作や吸引装置8,9の各吸引動作も制御する。
【0036】
操作表示装置10は、作業者がラベルの貼着動作に関する各種の設定を行ったり、ラベル貼着の動作状態を表示データとして表示したりするための装置である。例えば作業者が操作表示装置10を通じて所定の操作を行うと、それに応じた操作信号が制御装置6に出力される。また、操作表示装置10には、制御装置6からの表示データが入力され、その表示データに応じた表示内容が表示される。
【0037】
図1に戻り、供給リール201に巻回されているラベル基材Sは、初期の設定で、複数のガイドローラ202により案内され、ラベル送りローラ203aと補助ローラ203bの間と、カット刃ローラ204aと補助ローラ204bの間とに挟み込まれるように引き回された後、残余巻取りリール206に巻き取られるように設定されている。従って、制御装置6からサーボアンプ702に制御信号が出力されると、ラベル送りモータ701によってラベル送りローラ203aが回転し、ラベル基材Sが供給リール201から繰り出される。
【0038】
ラベルカット部204は、外周面にラベル基材Sを切り抜くためのカッター刃(図略)が設けられたカット刃ローラ204aと、補助ローラ204bと、カット刃ローラ204aを回転駆動するカッターモータ703(図2参照)と、カッターモータ703を制御するサーボアンプ704(図2参照)とを備えている。サーボアンプ704も、図2に示すように、制御装置6に接続されており、カッターモータ703の回転駆動は、制御装置6によりサーボアンプ704を介して行われる。従って、制御装置6からサーボアンプ704に制御信号が出力されると、ラベル送りモータ703によってカット刃ローラ204aが回転し、ラベル送り部203から供給されるラベル基材Sがカット刃ローラ204aのカッター刃によって切り抜かれる。
【0039】
カット刃ローラ204aの周面適所にはラベル受渡しドラム205が接触しており、カット刃ローラ204aで切り抜かれたラベルLはその接触位置でラベル受渡しドラム205に受け渡される。なお、図1において、ラベル基材Sのカット刃ローラ204aに接する側の面には感熱接着剤が塗布されているが、感熱接着剤は活性化されていないので、ラベル受渡しドラム205に受け渡されたラベルLがラベル受渡しドラム205に接着されることはない。
【0040】
一方、ラベルカット部204の下流側に残余巻取りリール206が配置され、ラベル基材SのうちラベルLにならなかった不要部分は、補助ローラ204bから残余巻取りリール206に案内され、当該残余巻取りリール206に巻き取られる。残余巻取りリール206は、図2に示すように、巻取りリール用モータ707によって回転され、巻取りリール用モータ707の回転制御はサーボアンプ708と制御装置6とによって行われる。
【0041】
制御装置6は、ラベル基材送り部203におけるラベル送りローラ203a、カット刃ローラ204a及び残余巻取りリール206の各ローラに対する制御信号を同期して出力し、これらのローラを同期して回転させる。これにより、供給リール201から一定の速度で繰り出され、残余巻取りリール206で巻き取られるラベル基材Sから、図3に示すように、複数のラベルLがカット刃ローラ204aのカッター刃で順番に切り取られ、ラベル受渡しドラム205に供給される。
【0042】
ラベル受渡しドラム205は略円筒状に形成されており、カット刃ローラ204aの反対側の外周面の適所(図1では、ラベル受渡しドラム205の右側周面のQ点)は吸着ドラム3に接している。ラベル受渡しドラム205は、図2に示すように、ラベル受渡しドラム用モータ705によって一定の回転速度で所定の方向(図1では時計周り)に回転され、ラベル受渡しドラム用モータ705の回転制御はサーボアンプ706と制御装置6とによって行われる。
【0043】
ラベル受渡しドラム205の外周面には多数の吸引孔(図略)が形成されており、ラベル受渡しドラム205が回転するときには、これらの吸引孔はコンプレッサ等の吸引装置8(図2参照)で吸引されるように構成されている。従って、ラベルカット部204によって切り抜かれ、カット刃ローラ204aの周面に沿って搬送されるラベルLは、ラベル受渡しドラム205の外周面に吸着されることによって当該ラベル受渡しドラム205に受け渡される。
【0044】
なお、制御装置6は、ラベル受渡しドラム205と吸引装置8とに対する制御信号を、ラベル基材送り部203におけるラベル送りローラ203a、カット刃ローラ204a及び残余巻取りリール206の各ローラに対する制御信号と同期して出力し、これらのローラと同期してラベル受渡しドラム205を回転させるとともに、吸引装置8の吸引動作を行わせる。これにより、カット刃ローラ204aから連続的に供給される複数のラベルLは、順番にラベル受渡しドラム205に受け取られ、ラベル受渡しドラム205によって吸着ドラム3に受け渡される。
【0045】
吸着ドラム3もラベル受渡しドラム205と同様に略円筒状をなし、外周面がゴム部材で覆われている。外周面をゴム部材で覆っているのは、ラベルLを容器Bに貼着する際、容器Bの側面を吸着ドラム3の外周面に圧接させるので、その圧力を吸収するためである。なお、弾性部材であれば、ゴム部材に限られるものではない。
【0046】
吸着ドラム3の外周面の所定位置には、図4に示すように、ラベルLを吸着するための吸着面301が設けられ、その吸着面301には、格子状に配列された複数の吸引孔302が形成されている。吸引孔302の直径は約0.5mmであり、吸引孔302同士の間隔は、例えば縦間隔hが約10mm、横間隔dが約12mmである。吸着ドラム3の吸着面301のうち複数の吸引孔302が形成されている領域は、図4(b)に示すように、ラベルLの大きさよりやや小さめの矩形状となっている。なお、吸着面301における吸引孔302の配列は、格子状に限らず、例えば千鳥状配置等に適宜変更可能である。
【0047】
吸着面301の背面(吸着ドラム3の内側)にはコンプレッサ等の吸引装置9(図2参照)が接続されており、この吸引装置9で吸引孔302を吸引することにより、ラベル受渡しドラム205から受け渡されるラベルLが吸着面301に吸着される。
【0048】
吸着ドラム3の直径は、ラベル受渡しドラム205の直径よりも大きく設定されている。吸着ドラム3は、図2に示すように、吸着ドラム用モータ709によって一定の回転速度で所定の方向(図1では反時計周り)に回転され、吸着ドラム用モータ709の回転制御はサーボアンプ710と制御装置6とによって行われる。吸着ドラム3の回転速度は、吸着ドラム3の周速度とラベル受渡しドラム205の周速度とが同一となる速度である。
【0049】
吸着ドラム3のラベル受渡しドラム205よりも上流側の適所には、加熱装置4が設けられている。加熱装置4は、吸着ドラム3を加熱することにより、吸着ドラム3の吸着面301に吸着されるラベルLの表面に塗布された感熱接着剤を加熱して活性化させるものである。加熱装置4の加熱制御は、制御装置6により行われ、制御装置6は、吸着ドラム3の回転動作に同期して加熱装置4の加熱動作を行わせる。
【0050】
従って、ラベル貼着装置1が動作しているときには吸着ドラム3は加熱された状態で等速回転されるので、ラベル受渡しドラム205から受け渡し位置QでラベルLが吸着ドラム3の吸着面301に受け渡されると、ラベルLの感熱接着剤(吸着ドラム3の吸着面301に接していない面に塗布されている)が吸着ドラム3により加熱されて活性化され、ラベルLは感熱接着剤が活性化された状態で吸着ドラム3の回転により貼着位置Pまで移送される。
【0051】
容器移送装置5は、外部から供給されるラベルLの貼着されていない容器Bを受け取り、ロータリ装置52(後述)に移送する容器供給部51と、容器供給部51からの容器Bを所定サイズの円軌道を移送経路として移送するロータリ装置52と、貼着位置PでラベルLが貼着された容器Bをロータリ装置52から受け取り、外部に搬出する容器搬出部53とによって構成される。
【0052】
容器移送装置5は、図1において、吸着ドラム3の右側に配置されている。具体的には、ロータリ装置52は、吸着ドラム3と容器供給部51及び容器搬出部53との間に位置するように配置され、このロータリ装置52における容器Bの移送経路(円軌道)上に、容器供給部51からの容器Bの受け取り位置Rと、貼着位置Pと、容器排出部53への容器Bの受け渡し位置Tとがそれぞれ配されている。
【0053】
図1において、貼着位置Pは、ロータリ装置52における容器Bの円軌道の左端に配置され、受け取り位置Rは、同円軌道の右端のやや下側に配置され、受け渡し位置Tは、同円軌道の右端のやや上側に配置されている。従って、容器Bは、外部からラベル貼着装置1の右下側から供給され、貼着位置Pを通るように円軌道を描いて移送された後、ラベル貼着装置1の右上側から外部に排出される。
【0054】
容器供給部51は、容器Bを移送するためのスターホイール511と、容器Bを案内するための案内部材512と、スターホイール511を回転駆動するスターホイール用モータ715(図2参照)と、スターホイール用モータ715を制御するインバータ716(図2参照)とによって構成されている。インバータ716は、図2に示すように、制御装置6に接続されており、スターホイール用モータ715の回転駆動は、制御装置6によりインバータ716を介して行われる。
【0055】
スターホイール511には、容器Bを保持するための凹部511aが形成されている。容器供給部51は、外部から供給されるラベルLが未貼着の容器Bをスターホイール511の凹部511aで受け取り、スターホイール511の回転によりロータリ装置52に移送する。
【0056】
容器搬出部53は、基本的に容器Bの移送方向が容器供給部51と逆になるだけで、容器供給部51と同様に、容器Bを移送するためのスターホイール531と、容器Bを案内するための案内部材532と、スターホイール531を回転駆動するスターホイール用モータ717(図2参照)と、スターホイール用モータ717を制御するインバータ718(図2参照)とによって構成されている。インバータ718も制御装置6に接続されており、スターホイール用モータ717の回転駆動は、制御装置6によりインバータ718を介して行われる。
【0057】
スターホイール531には、容器Bを保持するための凹部531aが形成されており、容器搬出部53は、ロータリ装置52によって移送されるラベルLが貼着された容器Bをスターホイール531の凹部531aで受け取り、スターホイール531の回転により外部(次工程)に搬出する。
【0058】
ロータリ装置52は、容器供給部51によって供給された容器Bを貼着位置Pに移送し、その貼着位置Pで容器Bを吸着ドラム3に圧接してラベルLを貼着させた後、ラベルLが貼着された容器Bを容器搬出部53に移送するものである。ロータリ装置52は、中心O周りに回転する回転台部521aと、回転台部521aから延び、容器回転装置522が設けられた延設部521bと、回転台部521aを回転駆動する回転台部用モータ711(図2参照)と、回転台部用モータ711を制御するインバータ712(図2参照)とによって構成される回転機構521を有している。
【0059】
インバータ712は、図2に示すように、制御装置6に接続されており、回転台部用モータ711の回転駆動は、制御装置6によりインバータ712を介して行われる。回転台部521aは、回転台部用モータ711によって一定の回転速度で所定の方向(図1では時計周り)に回転される。回転台部521aの回転速度は、吸着ドラム3の回転速度と同一である。
【0060】
回転台部521aの回転動作は、制御装置6により吸着ドラム3の回転動作に同期して行われ、しかも、吸着ドラム3の吸着面301が貼着位置Pを通過するときに、回転台部521aの延設部521bの先端(容器Bを保持する部分)が貼着位置Pを通過するように制御される。
【0061】
容器回転装置522は、延設部521bの先端で容器Bを回転自在に保持する容器回転部523(図5参照)を備えている。容器回転部523は、図1において、容器供給部51から移送された容器Bの受け取り位置Rで容器Bを回転自在に保持し、ラベルLが貼着された容器Bの容器排出部53への受け渡し位置Tで当該容器Bを開放する。
【0062】
延設部521bには、更に容器Bの回転力を発生する容器回転モータ713と、容器回転モータ713の回転力を容器回転部523に伝達し、容器Bを回転させる複数のギアで構成される伝達機構(図略)とが設けられている。容器回転モータ713は、サーボアンプ714を介して制御装置6に接続され(図2参照)、容器回転部523の回転動作は、サーボアンプ714と制御装置6とによって行われる。なお、容器回転モータ713の回転力は、容器Bを上方から回転自在に保持する他の容器回転部524(図5参照)によって容器Bに伝達してもよい。あるいは、両容器回転部523,524によって、容器Bに伝達してもよい。
【0063】
容器回転装置522は、回転台部521aの回転により、図6に示すように、容器Bが貼着位置Pに移送されたときに、容器回転モータ713の回転力を伝達機構によって容器回転部523に伝達し、容器Bを所定の回転速度で所定の方向(図6で時計周り)に回転させる。
【0064】
具体的には、容器Bが貼着位置Pに移送されたときには、吸着ドラム3の周速度をv1[mm/s]とすると、容器回転装置522は、図6に示すように、吸着ドラム3の周速度v1と同じ周速度で容器Bを回転させる。また、容器回転装置522は、ラベルLの容器Bに対する貼着動作が終了する所定のタイミングで、吸着ドラム3の周速度v1よりも大きい周速度v2に切り換えて容器Bを回転させる。吸着ドラム3の周速度v1と容器Bの周速度v2との関係については、後述する。なお、図6では、吸着ドラム3の吸引孔302を概略的に示している。
【0065】
次に、ラベル貼着装置1の貼着動作について説明する。
【0066】
図1を参照すると、供給リール201に巻回されていた長尺状のラベル基材Sは、ラベル送り装置203のラベル送りローラ203aが回転駆動されることにより、供給リール201から繰り出される。繰り出されたラベル基材Sは、カッター装置204のカット刃ローラ204aが回転駆動されることにより切り抜かれ、ラベルLとなる部分と不要となる部分とにそれぞれ分離される。切り抜かれたラベルLは、吸引装置8によって吸引されているラベル受渡しドラム205の表面で吸着され、ラベル受渡しドラム205の回転により移送される。一方、不要となる部分は、残余巻取りリール206が回転駆動されることにより当該残余巻取りリール206で巻き取られる。
【0067】
ラベル受渡しドラム205で移送されたラベルLは、ラベル受渡しドラム205上の所定の受け渡し位置Qで吸着ドラム3に受け渡される。受け渡されたラベルLは、吸引装置9によって吸引されている吸着ドラム3の吸着面301で吸着され、加熱装置4によって加熱され、吸着ドラム3の回転により貼着位置Pに移送される。
【0068】
一方、外部から供給される多数のラベルLが未貼着の容器Bは、容器供給部51のスターホイール511の凹部511aで1個ずつ分離されてロータリ装置52側に移送され、受け取り位置Rで回転機構521の延設部521bに設けられた容器回転部523に受け取られる。容器回転部523に受け取られた容器Bは、回転台部521aが回転することにより貼着位置Pに移送される。このとき、容器Bは、容器回転モータ713によって容器回転部523が回転されることにより、吸着ドラム3の周速度v1とほぼ同一の周速度で回転される。
【0069】
容器Bが容器回転部523によって回転されながら貼着位置Pに移送されると、図1に示すように、容器Bはロータリ装置52の回転中心Oと吸着ドラム3の回転中心O’を結ぶ線分上に位置し、図5に示したように、容器Bの側面が吸着ドラム3の外周面に圧接される。
【0070】
図7は、ラベルLが容器Bに貼着される過程を示す図である。また、図8は、貼着動作時における容器Bの周速度の変化を示す図である。
【0071】
図7(a)は、貼着位置PにラベルLの先端が移送され、かつ、容器Bが貼着位置Pに移送され、容器BにラベルLが貼着され始めるときを示し、ラベルLの先端が容器Bに接着されていない状態を示している。図7(a)の状態は、図8に示すように、容器BにラベルLの貼着が始まる時刻t1における状態であり、この状態では容器Bの周速度(容器Bの側面の移動速度)は、吸着ドラム3の周速度v1(ラベルLの移動速度)と同じ速度に設定され、吸着ドラム3と容器Bとはともに周速度v1で回転している。制御装置6は、吸着ドラム3と容器回転部523の各回転動作を制御するので、容器BにラベルLの貼着が始まる時刻t1を認識している。
【0072】
図7(b)は、容器Bの側面にラベルLが巻き取られる状態を示している。この状態では、貼着位置Pには吸着ドラム3により感熱接着剤11が活性化された状態でラベルLが移送されているので、容器Bの側面がラベルLの感熱接着剤11に押し付けられ、これによりラベルLが容器Bの側面に巻き取られながら貼着される。図7(b)の状態においても、吸着ドラム3と容器Bとはほぼ同速度の周速度v1で回転している。
【0073】
図7(c)は、ラベルLの容器Bに対する貼着動作が終了される前の状態を示している。この状態は、吸着ドラム3の吸着面301に格子状に配置された吸引孔302のうち、ラベルLの移動方向における最後列の吸引孔302が貼着位置Pに達したときの状態であり、最後列の吸引孔302のみによってラベルLが吸着面301に吸着されている状態である。
【0074】
この状態におけるタイミングで、制御装置6は、容器Bの周速度を、図8の時刻t2に示すように、吸着ドラム3の周速度v1よりも速い周速度v2に切り換える。容器Bの周速度がv2に上昇することにより、図7(d)に示すように、ラベルLは、容器Bの回転によって引っ張られ、ラベルLの後端部La(図7(c)の交差線部参照)が吸着ドラム3の吸着面301上を距離D(図7(c)参照)だけスライドする。
【0075】
すなわち、ラベルLの容器Bに対する貼着動作が終了する前では、図7(c)に示すように、ラベルLの後端部Laは、吸引孔302によって吸引されないので、吸着ドラム3の吸着面301から浮き上がることになる。そのため、ラベルLの後端部Laには、吸着ドラム3を介しての熱が伝達されなくなり、感熱接着剤11の粘着持続時間が経過してしまうと、ラベルLの後端部Laは不活性状態となる。したがって、ラベルLの後端部Laは、容器Bに接着せず、その部分がしわとなる。
【0076】
しかしながら、本実施形態に係るラベル貼着装置1では、上記のように、容器BへのラベルLの貼着が開始されるときには、容器Bの周速度が、吸着ドラム3の周速度v1と同じ速度とされ、ラベルLの移動方向における最後列の吸引孔302が貼着位置Pに達したタイミングで、容器Bの周速度が吸着ドラム3の周速度v1よりも速い周速度v2に上昇される。そのため、ラベルLの移動速度が吸着ドラム3の周速度v1からv2に上昇したとき、ラベルLの後端部Laは、容器Bにより吸着ドラム3の周面に対して相対的に速度(v2−v1)で引っ張られることになる。
【0077】
この結果、ラベルLの後端部Laは、図7(d)に示すように、粘着持続時間が経過する前に、前方(図7(d)では右側)にスライドする。そのため、感熱接着剤11のラベルLの後端部Laに伝達されている吸着ドラム3の熱が持続し、ラベルLの後端部Laは活性化された状態で容器Bに貼着されることになる。したがって、ラベルLの後端部Laにおいてしわが生じることを抑制することができる。
【0078】
その後、制御装置6は、容器Bの周速度を、ラベルLが容器Bに対する貼着を終える時刻t3(図8参照)でv2からv1に戻し、容器Bを吸着ドラム3の周速度v2と同速度で回転させる。
【0079】
なお、吸着ドラム3は周速度v1で回転し、容器Bは回転機構521により円軌道上を移動しているので、図7の(c)と(d)との時間差により厳密には同図(d)では吸着ドラム3も容器Bも右側に移動しているが、その時間差は微小であるので図7(c),(d)では吸着ドラム3及び容器Bの移動はないものとして描いている。
【0080】
なお、上記の説明では、容器Bの周速度を貼着位置Pに移送されるまでは、吸着ドラム3の周速度v1とほぼ同じにしていたが、容器Bを容器供給部51から受け取って貼着位置Pに移送するまでは停止させておき、貼着を開始すると同時に周速度v1で回転させるようにしてもよい。
【0081】
また、容器Bの周速度を吸着ドラム3の周速度v1よりも速い周速度v2にするのは、感熱接着剤11の粘着持続時間が終了する前に容器BによってラベルLを引っ張り、しわを生じさせずにラベルLの後端部Laを貼着するためであるから、周速度v2は、最後列の吸引孔302からラベルLの終端までの距離と、吸着ドラム3に対する相対速度(v2−v1)とに基づいて、その目的を達成し得る適当な値に設定すればよい。
【0082】
この場合、本実施形態では、吸着ドラム3の直径に対して回転台部521aによる容器Bを移送する円軌道の直径は比較的大きいので、貼着位置Pでは容器Bの円軌道上の移動速度よりも吸着ドラム3に吸着されたラベルLの移動速度が大きく、ラベルLを貼着する非常に短い時間では、ラベルLに対し容器Bは停止しており、周速度v2で自転しているとみなすことができる。従って、周速度v2の設定では、容器Bの円軌道上の移動速度を無視することができる。
【0083】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態において示した、ラベルが容器に貼着されるラベル貼着装置の構成は一例であり、同様の機能を有するものであれば、上記実施形態に係る構成に限るものではない。
【0084】
また、上記実施形態では、制御装置6によってラベルLの移動方向における最後列の吸引孔302が貼着位置Pに達したときのタイミング(図7(c)参照)が認識されていたが、これに代えて、吸着ドラム3の適所に、ラベルLの移動方向における最後列の吸引孔302が貼着位置Pに達したことを検出する位置検出装置を設け、この位置検出装置の出力により上記タイミングが認識されるようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、ラベルLを円筒状の吸着ドラム3の吸着面301に吸着して貼着位置Pに移送し、容器Bも円軌道を描く回転機構521によって貼着位置Pに移送しているので、ラベルL及び容器Bの移送経路は円形となっていたが、ラベルL及び容器Bの移送経路は円形に限定されるものではない。本発明は、図7に示したように、ラベルLと容器Bを同方向に移動させながら貼着位置Pで容器BをラベルLの移動方向に自転させながらラベルLに圧接させることによって、ラベルLを容器Bに貼着させる構成を有していれば、任意の移動経路に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係るラベル貼着装置を示す概略構成図である。
【図2】ラベル貼着装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】ラベル生成装置におけるラベルの生成方法を示す図である。
【図4】吸着ドラムの外周面に形成される吸引孔とその吸引孔に吸引されるラベルとを示す図である。
【図5】貼着位置でラベルが容器に貼着される様子を示す側面図である。
【図6】貼着位置でラベルが容器に貼着される様子を示す上面図である。
【図7】吸着ドラムからラベルが容器に貼着される過程を示す図である。
【図8】容器の周速度の変化を示す図である。
【図9】従来のラベル貼着装置を示す概略構成図である。
【図10】従来のラベルが容器に貼着されるときの状態を示す図である。
【図11】従来のラベル貼着装置におけるラベルの容器への貼着動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0087】
1 ラベル貼着装置
2 ラベル生成装置
201 供給リール
202 ガイドローラ
203 ラベル基材送り部
204 ラベルカット部
205 ラベル受渡しドラム
206 残余巻取りリール
3 吸着ドラム
301 吸着面
302 吸引孔
4 加熱装置
5 容器移送装置
51 容器供給部
52 ロータリ装置
53 容器搬出部
6 制御装置
7 駆動部
8,9 吸引装置
10 操作表示装置
11 感熱接着剤
B 容器
L ラベル
S ラベル基材
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばPETボトル等の容器の表面に被貼着部材(例えばラベル)を供給して貼着するためのラベル貼着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばPETボトル等の容器にラベルを供給し、容器の表面に感熱接着材によってラベルを貼着するラベル貼着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3036724号公報
【0003】
図9は、従来のラベル貼着装置を示す概略構成図である。
【0004】
このラベル貼着装置100では、供給リール101から長尺状のラベル基材S(片面に感熱接着剤層が積層された樹脂材)が複数の送りローラ102やエアダンサ103を介してカットユニット104に供給され、所定の大きさのラベルに切り抜かれる。切り抜かれたラベルは、吸着ドラム105によって吸着され、容器Bに貼着される所定の貼着位置(容器Bの側面が吸着ドラム105の周面に圧接される位置。図9では、吸着ドラム105の周面がベルトコンベア装置110を臨む位置)に移送される。
【0005】
吸着ドラム105は、加熱装置106によって加熱されており、カットユニット104から吸着ドラム105にラベルが吸着されると、ラベルの感熱接着剤が活性化され、その状態でラベルが貼着位置に移送される。感熱接着剤は、加熱されることにより活性化されラベルの容器Bに対する接着が可能となるが、この感熱接着剤は、加熱されなくなると粘着性が低下し、加熱されなくなってから粘着性が失われるまでの時間(以下、「粘着持続時間」という。)を有するといった性質をもつ。
【0006】
一方、多数の容器Bは、スクリュー軸107によって1つずつスターホイール108に送られ、スターホイール108及び案内板109によって上記貼着位置に移送される。このとき、容器Bは、ベルトコンベア装置110のベルト111によって吸着ドラム105に押圧されながら、吸着ドラム105の回転方向とは逆方向に搬送される。
【0007】
従って、吸着ドラム105に吸着されたラベルは、その先端が吸着位置に到達すると、活性化された感熱接着剤で容器Bの側面に接着され、その表面が容器Bの回転によって当該感熱接着剤により順次接着される。そして、ラベルが貼着された容器Bは、排出装置112によって次工程位置に移送される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図9には示していないが、吸着ドラム105の外周面の所定の位置には吸着面が設けられ、その吸着面には、ラベルを吸着するための複数の吸引孔が格子状に配列されて穿設されている。複数の吸引孔は、図略の吸引装置により一定の吸引力で吸引されている。カットユニット104で切り抜かれたラベルは、吸着ドラム105の吸着面で受け取られ、複数の吸引孔で吸引された状態で貼着位置に移送される。
【0009】
図10は、ラベル113が吸着ドラム105の吸着面105Aに吸着されている状態を示す断面図である。なお、図11では、説明の便宜上、吸着ドラム105の吸着面105Aを略水平に表している。
【0010】
同図に示すように、吸着面105Aに穿設された吸引孔105Bは上方に吸引されることにより、ラベル113は吸着面105A上に吸着されている。この場合、吸着面105Aのうち複数の吸引孔105Bが格子状に形成されている領域は、ラベル113の大きさよりやや小さめの矩形状となっている。そのため、図10に示すように、吸着ドラム105の移動方向(図10の矢印S参照)におけるラベル113の前端部114(右端の交差線部参照)及び後端部115(左端の交差線部参照)は、吸引孔105Bで吸引されない部分となっている。
【0011】
一方、従来のラベル装置100では、図9に示すように、反時計回りに回転する吸着ドラム105の下側で容器Bを右側から直線的に移送し、当該容器Bを吸着位置で吸着ドラム105に吸着されたラベル113に圧接させて当該ラベル113を容器Bに貼着するようにしているので、容器Bの周速度(側面が回転する速度)は吸着ドラム105の周速度(周面の回転する速度)と略同一となる。
【0012】
この結果、従来のラベル装置100では、図11に示すように、周速度vで反時計回りに回転している吸着ドラム105に貼着位置で容器Bが圧接され、これにより容器Bが周速度vで時計回りに回転する構成であるので、同図(a)乃至(c)に示すように、等価的に、静止している吸着ドラム105の吸着面105Aに吸着されているラベル113の上で容器Bを回転させて当該ラベル113を当該容器Bに巻き取るようにして貼着する構成となっている。
【0013】
そして、従来のラベル装置100では、上記のように、吸着ドラム105の吸着面105Aに吸着されたラベル113の、感熱接着剤が塗布された面上で容器Bを転がすようにして、ラベル113が当該容器Bに貼着される。
【0014】
容器Bに対するラベル113の貼着動作が開始されるときには(図11(a)参照)、上記したラベル113の先端部114は、貼着位置において容器Bに圧接されるので、ラベル113は、感熱接着剤によって容器Bに巻き取られるようにして貼着される(図11(b)参照)。
【0015】
しかしながら、ラベル113の貼着動作が終了する前では、図11(c)に示されるように、ラベル113の後端部115は、吸着ドラム105の吸引孔105Bで吸引されないので、吸着面105Aから浮き上がる。この状態で、容器Bが吸着ドラム105と同速度の周速度で回転され、感熱接着剤の粘着持続時間が経過してしまうと、ラベル113の後端部115における感熱接着剤は非活性状態となってしまう。そのため、ラベル113の後端部115が容器Bに適切に貼着されず、ラベル113の後端部115においてしわが生じるといった問題点があった。
【0016】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、ラベルの後端部を容器に適切に貼着することのできるラベル貼着装置を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0018】
本発明に係るラベル貼着装置は、多数の吸引孔が設けられた吸着面を有し、裏面に感熱接着剤が塗布されたラベルの表面を前記多数の吸引孔で吸引して当該ラベルを保持するとともに、当該ラベルを加熱して前記感熱接着剤を活性化させるラベル保持手段と、前記ラベル保持手段を所定の経路で移動させることにより、前記ラベルを前記経路で移送するラベル移送手段と、容器を回転自在に保持する容器保持手段と、前記容器保持手段を前記ラベル保持手段とは異なる経路で移動させ、前記経路上の所定の貼着位置で前記容器の側面を前記ラベル保持手段に保持された前記ラベルの裏面に圧接させる容器移送手段と、を備え、前記経路を移送するラベルを前記貼着位置で前記容器の側面に巻き取らせて前記感熱接着剤で貼着するラベル貼着装置において、前記容器の側面が前記ラベルに圧接されるときに、その側面の移動が前記ラベルの移動と同一の方向となるように前記容器を回転させる容器回転手段と、前記容器の回転速度を、前記ラベルの貼着動作が開始されたとき、当該容器の側面の移動速度が前記ラベルの移動速度とほぼ同一となる回転速度に設定し、前記ラベルの貼着動作の終了前の所定のタイミングで容器の側面の移動速度が前記ラベルの移動速度よりも速い所定の回転速度に切り換える容器回転速度制御手段と、を備えたことを特徴としている(請求項1)。
【0019】
上記ラベル貼着装置において、前記回転制御手段は、モータと、前記モータの回転力を伝達するための伝達機構と、この伝達機構によって前記回転力が伝達されて回転されかつ前記容器の一端を保持する保持手段とによって構成されるとよい(請求項2)。
【0020】
請求項1または2に記載のラベル貼着装置において、前記ラベル保持手段は、回転自在に支持され、外周面の一部に前記吸着面が形成された円筒状のドラムと、前記ドラム内に設けられ、前記吸着面に形成された多数の吸引孔を吸引する吸引手段と、前記ドラムを加熱する加熱手段とで構成され、前記ラベル移送手段は、前記ドラムを所定の回転速度で回転させるドラム駆動手段で構成され、前記容器移送手段は、回転自在に支持され、先端に前記容器を回転自在に支持する支持部が設けられた回転台と、前記回転台を前記ドラムと逆方向に回転させる回転台駆動手段とで構成され、前記容器移送手段は、前記ドラムの外周面が前記ドラムの回転中心と前記回転台の回転中心とを結ぶ線と交差する位置を前記貼着位置として、前記ドラム駆動手段により前記ドラムの吸着面に吸着されたラベルが前記貼着位置に移送されるタイミングで前記回転台の先端に支持された容器を前記貼着位置に移送し、当該容器の側面を前記ラベルに圧接させるとよい(請求項3)。
【発明の効果】
【0021】
この構成によれば、ラベルをラベル保持手段で吸着し、そのラベル保持手段を所定の経路で貼着位置に移動させる一方、容器を容器保持手段で保持し、その容器保持手段をラベル保持手段とは異なる経路で貼着位置に移動させ、その貼着位置で容器の側面をラベルに圧接しながら巻き取らせる。ラベルの貼着動作が開始されたときには、容器の回転速度を、当該容器の側面の移動速度がラベルの移動速度とほぼ同一となる回転速度に設定し、ラベルの貼着動作の終了前の所定のタイミングで容器の側面の移動速度をラベルの移動速度よりも速い所定の回転速度に切り換える。そのため、ラベルの後端部は容器の回転によって引っ張られ、この結果、ラベルの感熱接着剤の粘着持続時間が経過する前に、ラベルの後端部が活性化した状態で容器の側面に接着されるので、ラベルの後端部においてしわの発生を抑制することができる。
【0022】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係るラベル貼着装置を示す概略構成図である。なお、図中の矢印は、回転部材の回転方向を示している。また、図2は、ラベル貼着装置の電気的構成を示すブロック図である。図2において、図1に示す部材と同一の部材には同一の符号を付している。
【0025】
ラベル貼着装置1は、例えばPETボトル等の容器の表面に、その容器内に注入される飲料や洗剤等の名称を表すラベルを貼着するものである。このラベル貼着装置1は、ラベルを所定の移送経路に沿って移送する一方、容器をラベルの移送経路上の所定の貼着位置に移送し、当該所定位置で容器をラベルに圧接させるとともに、当該容器をラベルの移送方向と同一の方向に回転させてラベルを容器の側面に巻き付けるようにして貼着するものである。
【0026】
ラベル貼着装置1は、図1に示すように、長尺状のラベル基材Sを繰り出すととともに、ラベル基材Sを切り抜いて略矩形状のラベルL(図3参照)を生成するラベル生成装置2と、ラベル生成装置2によって生成されたラベルLを吸着して所定の貼着位置P(吸着ドラム3の周面が吸着ドラム3の回転中心O’と後述する回転台部521aの回転中心Oを結ぶ線分と交差する付近の位置)に移送させる吸着ドラム3と、吸着ドラム3を加熱する加熱装置4と、外部から供給される容器Bを貼着位置Pに移送し、当該貼着位置PでラベルLを貼着させた後、外部に搬出するための容器移送装置5とによって大略構成されている。
【0027】
ラベル貼着装置1では、貼着位置PにラベルLと容器Bとがそれぞれ移送されてラベルLが容器Bに貼着されるのであるが、本実施形態に係るラベル貼着装置1では、ラベルLが容器Bに貼着され、その貼着動作が終了される前の所定のタイミングで、容器Bの周速度を吸着ドラム3の周速度よりも速くすることにより、ラベルLの端部においてしわを生じさせないように構成されている点に特徴がある。以下、詳述する。
【0028】
本実施形態で用いられるラベル基材Sは、例えばポリエステルフィルムの片面に感熱接着剤を塗布した透明もしくは半透明の長尺状の基材である。このポリエステルフィルムは、例えばレトルト殺菌等による加熱温度によって収縮することのない特性を有する、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートまたはポリブチレンテレフタレート等から形成される。
【0029】
感熱接着剤は、例えば100℃以下の所定の温度で加熱されることにより活性化して接着性を発揮するホットメルト接着剤であり、例えばエチレンアクリル酸エステル共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体等のエチレン系の共重合体によって形成される。この実施形態における感熱接着剤は、粘着持続時間(本実施形態では、ラベルLが加熱されなくなってから感熱接着剤が不活性状態になるまでの時間をいう。)が例えば約0.5秒のものが用いられている。なお、ラベル基材Sの構成は、上記ポリエステルフィルム及び上記感熱接着剤に限定されるものではない。
【0030】
ラベル生成装置2は、図3に示すように、長尺状のラベル基材Sが予め巻回されている供給リール201からラベル基材Sを繰り出し、所定の間隔で所定の形状(例えば、長方形等)を切り抜いてラベルLを生成するものである。
【0031】
ラベル生成装置2は、上記の供給リール201と、ラベル基材Sを移送するための複数のガイドローラ202と、供給リール201に巻き取られているラベル基材Sを繰り出すためのラベル基材送り部203と、ラベル基材Sを所定の大きさ(容器Bに貼着される大きさ)のラベルLに切り抜くラベルカット部204と、ラベル基材Sが切り抜かれることにより生成したラベルLを吸着ドラム3に移送するためのラベル受渡しドラム205と、ラベルカット部204によってラベル基材Sが切り抜かれて残った不要部分を巻き取る残余巻取りリール206とによって概略構成される。
【0032】
ラベル基材送り部203は、ラベル送りローラ203aと、補助ローラ203bと、ラベル送りローラ203aを回転駆動するラベル送りモータ701(図2参照)と、ラベル送りモータ701を制御するサーボアンプ702(図2参照)とを備えている。サーボアンプ702は、図2に示すように、装置全体を統括的に制御する制御装置6に接続されており、ラベル送りモータ701の回転駆動は、制御装置6によりサーボアンプ702を介して行われる。
【0033】
ここで、図2の電気的な構成について簡単に説明すると、制御装置6は、図示しないマイクロコンピュータを有しており、予め記憶された動作プログラムに基づいて、ラベル移送生成装置1、吸着ドラム3及び容器移送装置5等の各動作を制御するものである。制御装置6には、各種のデータを記憶するための図示しないメモリが備えられている。
【0034】
ラベル生成装置におけるラベル送りローラ203aや、後述するカット刃ローラ204a、ラベル受渡しドラム205、残余巻取リール206、吸着ドラム3、容器移送装置5におけるスターホイール511、回転台部521a及びスターホイール531等の回転部材は、駆動部7を介して制御装置6に接続されている。駆動部7には、上記の各回転部材に対応して回転力を発生するモータとこのモータの回転動作を制御するサーボアンプ及びインバータとが設けられている。制御装置6は、駆動部7を介して上記の各回転部材の回転動作を連係させるように制御する。
【0035】
また、制御装置6には、加熱装置4と、後述するラベル受渡しドラム用の吸引装置8及び吸着ドラム用の吸引装置9と、操作表示装置10とが接続され、制御装置6は、加熱装置4の加熱動作や吸引装置8,9の各吸引動作も制御する。
【0036】
操作表示装置10は、作業者がラベルの貼着動作に関する各種の設定を行ったり、ラベル貼着の動作状態を表示データとして表示したりするための装置である。例えば作業者が操作表示装置10を通じて所定の操作を行うと、それに応じた操作信号が制御装置6に出力される。また、操作表示装置10には、制御装置6からの表示データが入力され、その表示データに応じた表示内容が表示される。
【0037】
図1に戻り、供給リール201に巻回されているラベル基材Sは、初期の設定で、複数のガイドローラ202により案内され、ラベル送りローラ203aと補助ローラ203bの間と、カット刃ローラ204aと補助ローラ204bの間とに挟み込まれるように引き回された後、残余巻取りリール206に巻き取られるように設定されている。従って、制御装置6からサーボアンプ702に制御信号が出力されると、ラベル送りモータ701によってラベル送りローラ203aが回転し、ラベル基材Sが供給リール201から繰り出される。
【0038】
ラベルカット部204は、外周面にラベル基材Sを切り抜くためのカッター刃(図略)が設けられたカット刃ローラ204aと、補助ローラ204bと、カット刃ローラ204aを回転駆動するカッターモータ703(図2参照)と、カッターモータ703を制御するサーボアンプ704(図2参照)とを備えている。サーボアンプ704も、図2に示すように、制御装置6に接続されており、カッターモータ703の回転駆動は、制御装置6によりサーボアンプ704を介して行われる。従って、制御装置6からサーボアンプ704に制御信号が出力されると、ラベル送りモータ703によってカット刃ローラ204aが回転し、ラベル送り部203から供給されるラベル基材Sがカット刃ローラ204aのカッター刃によって切り抜かれる。
【0039】
カット刃ローラ204aの周面適所にはラベル受渡しドラム205が接触しており、カット刃ローラ204aで切り抜かれたラベルLはその接触位置でラベル受渡しドラム205に受け渡される。なお、図1において、ラベル基材Sのカット刃ローラ204aに接する側の面には感熱接着剤が塗布されているが、感熱接着剤は活性化されていないので、ラベル受渡しドラム205に受け渡されたラベルLがラベル受渡しドラム205に接着されることはない。
【0040】
一方、ラベルカット部204の下流側に残余巻取りリール206が配置され、ラベル基材SのうちラベルLにならなかった不要部分は、補助ローラ204bから残余巻取りリール206に案内され、当該残余巻取りリール206に巻き取られる。残余巻取りリール206は、図2に示すように、巻取りリール用モータ707によって回転され、巻取りリール用モータ707の回転制御はサーボアンプ708と制御装置6とによって行われる。
【0041】
制御装置6は、ラベル基材送り部203におけるラベル送りローラ203a、カット刃ローラ204a及び残余巻取りリール206の各ローラに対する制御信号を同期して出力し、これらのローラを同期して回転させる。これにより、供給リール201から一定の速度で繰り出され、残余巻取りリール206で巻き取られるラベル基材Sから、図3に示すように、複数のラベルLがカット刃ローラ204aのカッター刃で順番に切り取られ、ラベル受渡しドラム205に供給される。
【0042】
ラベル受渡しドラム205は略円筒状に形成されており、カット刃ローラ204aの反対側の外周面の適所(図1では、ラベル受渡しドラム205の右側周面のQ点)は吸着ドラム3に接している。ラベル受渡しドラム205は、図2に示すように、ラベル受渡しドラム用モータ705によって一定の回転速度で所定の方向(図1では時計周り)に回転され、ラベル受渡しドラム用モータ705の回転制御はサーボアンプ706と制御装置6とによって行われる。
【0043】
ラベル受渡しドラム205の外周面には多数の吸引孔(図略)が形成されており、ラベル受渡しドラム205が回転するときには、これらの吸引孔はコンプレッサ等の吸引装置8(図2参照)で吸引されるように構成されている。従って、ラベルカット部204によって切り抜かれ、カット刃ローラ204aの周面に沿って搬送されるラベルLは、ラベル受渡しドラム205の外周面に吸着されることによって当該ラベル受渡しドラム205に受け渡される。
【0044】
なお、制御装置6は、ラベル受渡しドラム205と吸引装置8とに対する制御信号を、ラベル基材送り部203におけるラベル送りローラ203a、カット刃ローラ204a及び残余巻取りリール206の各ローラに対する制御信号と同期して出力し、これらのローラと同期してラベル受渡しドラム205を回転させるとともに、吸引装置8の吸引動作を行わせる。これにより、カット刃ローラ204aから連続的に供給される複数のラベルLは、順番にラベル受渡しドラム205に受け取られ、ラベル受渡しドラム205によって吸着ドラム3に受け渡される。
【0045】
吸着ドラム3もラベル受渡しドラム205と同様に略円筒状をなし、外周面がゴム部材で覆われている。外周面をゴム部材で覆っているのは、ラベルLを容器Bに貼着する際、容器Bの側面を吸着ドラム3の外周面に圧接させるので、その圧力を吸収するためである。なお、弾性部材であれば、ゴム部材に限られるものではない。
【0046】
吸着ドラム3の外周面の所定位置には、図4に示すように、ラベルLを吸着するための吸着面301が設けられ、その吸着面301には、格子状に配列された複数の吸引孔302が形成されている。吸引孔302の直径は約0.5mmであり、吸引孔302同士の間隔は、例えば縦間隔hが約10mm、横間隔dが約12mmである。吸着ドラム3の吸着面301のうち複数の吸引孔302が形成されている領域は、図4(b)に示すように、ラベルLの大きさよりやや小さめの矩形状となっている。なお、吸着面301における吸引孔302の配列は、格子状に限らず、例えば千鳥状配置等に適宜変更可能である。
【0047】
吸着面301の背面(吸着ドラム3の内側)にはコンプレッサ等の吸引装置9(図2参照)が接続されており、この吸引装置9で吸引孔302を吸引することにより、ラベル受渡しドラム205から受け渡されるラベルLが吸着面301に吸着される。
【0048】
吸着ドラム3の直径は、ラベル受渡しドラム205の直径よりも大きく設定されている。吸着ドラム3は、図2に示すように、吸着ドラム用モータ709によって一定の回転速度で所定の方向(図1では反時計周り)に回転され、吸着ドラム用モータ709の回転制御はサーボアンプ710と制御装置6とによって行われる。吸着ドラム3の回転速度は、吸着ドラム3の周速度とラベル受渡しドラム205の周速度とが同一となる速度である。
【0049】
吸着ドラム3のラベル受渡しドラム205よりも上流側の適所には、加熱装置4が設けられている。加熱装置4は、吸着ドラム3を加熱することにより、吸着ドラム3の吸着面301に吸着されるラベルLの表面に塗布された感熱接着剤を加熱して活性化させるものである。加熱装置4の加熱制御は、制御装置6により行われ、制御装置6は、吸着ドラム3の回転動作に同期して加熱装置4の加熱動作を行わせる。
【0050】
従って、ラベル貼着装置1が動作しているときには吸着ドラム3は加熱された状態で等速回転されるので、ラベル受渡しドラム205から受け渡し位置QでラベルLが吸着ドラム3の吸着面301に受け渡されると、ラベルLの感熱接着剤(吸着ドラム3の吸着面301に接していない面に塗布されている)が吸着ドラム3により加熱されて活性化され、ラベルLは感熱接着剤が活性化された状態で吸着ドラム3の回転により貼着位置Pまで移送される。
【0051】
容器移送装置5は、外部から供給されるラベルLの貼着されていない容器Bを受け取り、ロータリ装置52(後述)に移送する容器供給部51と、容器供給部51からの容器Bを所定サイズの円軌道を移送経路として移送するロータリ装置52と、貼着位置PでラベルLが貼着された容器Bをロータリ装置52から受け取り、外部に搬出する容器搬出部53とによって構成される。
【0052】
容器移送装置5は、図1において、吸着ドラム3の右側に配置されている。具体的には、ロータリ装置52は、吸着ドラム3と容器供給部51及び容器搬出部53との間に位置するように配置され、このロータリ装置52における容器Bの移送経路(円軌道)上に、容器供給部51からの容器Bの受け取り位置Rと、貼着位置Pと、容器排出部53への容器Bの受け渡し位置Tとがそれぞれ配されている。
【0053】
図1において、貼着位置Pは、ロータリ装置52における容器Bの円軌道の左端に配置され、受け取り位置Rは、同円軌道の右端のやや下側に配置され、受け渡し位置Tは、同円軌道の右端のやや上側に配置されている。従って、容器Bは、外部からラベル貼着装置1の右下側から供給され、貼着位置Pを通るように円軌道を描いて移送された後、ラベル貼着装置1の右上側から外部に排出される。
【0054】
容器供給部51は、容器Bを移送するためのスターホイール511と、容器Bを案内するための案内部材512と、スターホイール511を回転駆動するスターホイール用モータ715(図2参照)と、スターホイール用モータ715を制御するインバータ716(図2参照)とによって構成されている。インバータ716は、図2に示すように、制御装置6に接続されており、スターホイール用モータ715の回転駆動は、制御装置6によりインバータ716を介して行われる。
【0055】
スターホイール511には、容器Bを保持するための凹部511aが形成されている。容器供給部51は、外部から供給されるラベルLが未貼着の容器Bをスターホイール511の凹部511aで受け取り、スターホイール511の回転によりロータリ装置52に移送する。
【0056】
容器搬出部53は、基本的に容器Bの移送方向が容器供給部51と逆になるだけで、容器供給部51と同様に、容器Bを移送するためのスターホイール531と、容器Bを案内するための案内部材532と、スターホイール531を回転駆動するスターホイール用モータ717(図2参照)と、スターホイール用モータ717を制御するインバータ718(図2参照)とによって構成されている。インバータ718も制御装置6に接続されており、スターホイール用モータ717の回転駆動は、制御装置6によりインバータ718を介して行われる。
【0057】
スターホイール531には、容器Bを保持するための凹部531aが形成されており、容器搬出部53は、ロータリ装置52によって移送されるラベルLが貼着された容器Bをスターホイール531の凹部531aで受け取り、スターホイール531の回転により外部(次工程)に搬出する。
【0058】
ロータリ装置52は、容器供給部51によって供給された容器Bを貼着位置Pに移送し、その貼着位置Pで容器Bを吸着ドラム3に圧接してラベルLを貼着させた後、ラベルLが貼着された容器Bを容器搬出部53に移送するものである。ロータリ装置52は、中心O周りに回転する回転台部521aと、回転台部521aから延び、容器回転装置522が設けられた延設部521bと、回転台部521aを回転駆動する回転台部用モータ711(図2参照)と、回転台部用モータ711を制御するインバータ712(図2参照)とによって構成される回転機構521を有している。
【0059】
インバータ712は、図2に示すように、制御装置6に接続されており、回転台部用モータ711の回転駆動は、制御装置6によりインバータ712を介して行われる。回転台部521aは、回転台部用モータ711によって一定の回転速度で所定の方向(図1では時計周り)に回転される。回転台部521aの回転速度は、吸着ドラム3の回転速度と同一である。
【0060】
回転台部521aの回転動作は、制御装置6により吸着ドラム3の回転動作に同期して行われ、しかも、吸着ドラム3の吸着面301が貼着位置Pを通過するときに、回転台部521aの延設部521bの先端(容器Bを保持する部分)が貼着位置Pを通過するように制御される。
【0061】
容器回転装置522は、延設部521bの先端で容器Bを回転自在に保持する容器回転部523(図5参照)を備えている。容器回転部523は、図1において、容器供給部51から移送された容器Bの受け取り位置Rで容器Bを回転自在に保持し、ラベルLが貼着された容器Bの容器排出部53への受け渡し位置Tで当該容器Bを開放する。
【0062】
延設部521bには、更に容器Bの回転力を発生する容器回転モータ713と、容器回転モータ713の回転力を容器回転部523に伝達し、容器Bを回転させる複数のギアで構成される伝達機構(図略)とが設けられている。容器回転モータ713は、サーボアンプ714を介して制御装置6に接続され(図2参照)、容器回転部523の回転動作は、サーボアンプ714と制御装置6とによって行われる。なお、容器回転モータ713の回転力は、容器Bを上方から回転自在に保持する他の容器回転部524(図5参照)によって容器Bに伝達してもよい。あるいは、両容器回転部523,524によって、容器Bに伝達してもよい。
【0063】
容器回転装置522は、回転台部521aの回転により、図6に示すように、容器Bが貼着位置Pに移送されたときに、容器回転モータ713の回転力を伝達機構によって容器回転部523に伝達し、容器Bを所定の回転速度で所定の方向(図6で時計周り)に回転させる。
【0064】
具体的には、容器Bが貼着位置Pに移送されたときには、吸着ドラム3の周速度をv1[mm/s]とすると、容器回転装置522は、図6に示すように、吸着ドラム3の周速度v1と同じ周速度で容器Bを回転させる。また、容器回転装置522は、ラベルLの容器Bに対する貼着動作が終了する所定のタイミングで、吸着ドラム3の周速度v1よりも大きい周速度v2に切り換えて容器Bを回転させる。吸着ドラム3の周速度v1と容器Bの周速度v2との関係については、後述する。なお、図6では、吸着ドラム3の吸引孔302を概略的に示している。
【0065】
次に、ラベル貼着装置1の貼着動作について説明する。
【0066】
図1を参照すると、供給リール201に巻回されていた長尺状のラベル基材Sは、ラベル送り装置203のラベル送りローラ203aが回転駆動されることにより、供給リール201から繰り出される。繰り出されたラベル基材Sは、カッター装置204のカット刃ローラ204aが回転駆動されることにより切り抜かれ、ラベルLとなる部分と不要となる部分とにそれぞれ分離される。切り抜かれたラベルLは、吸引装置8によって吸引されているラベル受渡しドラム205の表面で吸着され、ラベル受渡しドラム205の回転により移送される。一方、不要となる部分は、残余巻取りリール206が回転駆動されることにより当該残余巻取りリール206で巻き取られる。
【0067】
ラベル受渡しドラム205で移送されたラベルLは、ラベル受渡しドラム205上の所定の受け渡し位置Qで吸着ドラム3に受け渡される。受け渡されたラベルLは、吸引装置9によって吸引されている吸着ドラム3の吸着面301で吸着され、加熱装置4によって加熱され、吸着ドラム3の回転により貼着位置Pに移送される。
【0068】
一方、外部から供給される多数のラベルLが未貼着の容器Bは、容器供給部51のスターホイール511の凹部511aで1個ずつ分離されてロータリ装置52側に移送され、受け取り位置Rで回転機構521の延設部521bに設けられた容器回転部523に受け取られる。容器回転部523に受け取られた容器Bは、回転台部521aが回転することにより貼着位置Pに移送される。このとき、容器Bは、容器回転モータ713によって容器回転部523が回転されることにより、吸着ドラム3の周速度v1とほぼ同一の周速度で回転される。
【0069】
容器Bが容器回転部523によって回転されながら貼着位置Pに移送されると、図1に示すように、容器Bはロータリ装置52の回転中心Oと吸着ドラム3の回転中心O’を結ぶ線分上に位置し、図5に示したように、容器Bの側面が吸着ドラム3の外周面に圧接される。
【0070】
図7は、ラベルLが容器Bに貼着される過程を示す図である。また、図8は、貼着動作時における容器Bの周速度の変化を示す図である。
【0071】
図7(a)は、貼着位置PにラベルLの先端が移送され、かつ、容器Bが貼着位置Pに移送され、容器BにラベルLが貼着され始めるときを示し、ラベルLの先端が容器Bに接着されていない状態を示している。図7(a)の状態は、図8に示すように、容器BにラベルLの貼着が始まる時刻t1における状態であり、この状態では容器Bの周速度(容器Bの側面の移動速度)は、吸着ドラム3の周速度v1(ラベルLの移動速度)と同じ速度に設定され、吸着ドラム3と容器Bとはともに周速度v1で回転している。制御装置6は、吸着ドラム3と容器回転部523の各回転動作を制御するので、容器BにラベルLの貼着が始まる時刻t1を認識している。
【0072】
図7(b)は、容器Bの側面にラベルLが巻き取られる状態を示している。この状態では、貼着位置Pには吸着ドラム3により感熱接着剤11が活性化された状態でラベルLが移送されているので、容器Bの側面がラベルLの感熱接着剤11に押し付けられ、これによりラベルLが容器Bの側面に巻き取られながら貼着される。図7(b)の状態においても、吸着ドラム3と容器Bとはほぼ同速度の周速度v1で回転している。
【0073】
図7(c)は、ラベルLの容器Bに対する貼着動作が終了される前の状態を示している。この状態は、吸着ドラム3の吸着面301に格子状に配置された吸引孔302のうち、ラベルLの移動方向における最後列の吸引孔302が貼着位置Pに達したときの状態であり、最後列の吸引孔302のみによってラベルLが吸着面301に吸着されている状態である。
【0074】
この状態におけるタイミングで、制御装置6は、容器Bの周速度を、図8の時刻t2に示すように、吸着ドラム3の周速度v1よりも速い周速度v2に切り換える。容器Bの周速度がv2に上昇することにより、図7(d)に示すように、ラベルLは、容器Bの回転によって引っ張られ、ラベルLの後端部La(図7(c)の交差線部参照)が吸着ドラム3の吸着面301上を距離D(図7(c)参照)だけスライドする。
【0075】
すなわち、ラベルLの容器Bに対する貼着動作が終了する前では、図7(c)に示すように、ラベルLの後端部Laは、吸引孔302によって吸引されないので、吸着ドラム3の吸着面301から浮き上がることになる。そのため、ラベルLの後端部Laには、吸着ドラム3を介しての熱が伝達されなくなり、感熱接着剤11の粘着持続時間が経過してしまうと、ラベルLの後端部Laは不活性状態となる。したがって、ラベルLの後端部Laは、容器Bに接着せず、その部分がしわとなる。
【0076】
しかしながら、本実施形態に係るラベル貼着装置1では、上記のように、容器BへのラベルLの貼着が開始されるときには、容器Bの周速度が、吸着ドラム3の周速度v1と同じ速度とされ、ラベルLの移動方向における最後列の吸引孔302が貼着位置Pに達したタイミングで、容器Bの周速度が吸着ドラム3の周速度v1よりも速い周速度v2に上昇される。そのため、ラベルLの移動速度が吸着ドラム3の周速度v1からv2に上昇したとき、ラベルLの後端部Laは、容器Bにより吸着ドラム3の周面に対して相対的に速度(v2−v1)で引っ張られることになる。
【0077】
この結果、ラベルLの後端部Laは、図7(d)に示すように、粘着持続時間が経過する前に、前方(図7(d)では右側)にスライドする。そのため、感熱接着剤11のラベルLの後端部Laに伝達されている吸着ドラム3の熱が持続し、ラベルLの後端部Laは活性化された状態で容器Bに貼着されることになる。したがって、ラベルLの後端部Laにおいてしわが生じることを抑制することができる。
【0078】
その後、制御装置6は、容器Bの周速度を、ラベルLが容器Bに対する貼着を終える時刻t3(図8参照)でv2からv1に戻し、容器Bを吸着ドラム3の周速度v2と同速度で回転させる。
【0079】
なお、吸着ドラム3は周速度v1で回転し、容器Bは回転機構521により円軌道上を移動しているので、図7の(c)と(d)との時間差により厳密には同図(d)では吸着ドラム3も容器Bも右側に移動しているが、その時間差は微小であるので図7(c),(d)では吸着ドラム3及び容器Bの移動はないものとして描いている。
【0080】
なお、上記の説明では、容器Bの周速度を貼着位置Pに移送されるまでは、吸着ドラム3の周速度v1とほぼ同じにしていたが、容器Bを容器供給部51から受け取って貼着位置Pに移送するまでは停止させておき、貼着を開始すると同時に周速度v1で回転させるようにしてもよい。
【0081】
また、容器Bの周速度を吸着ドラム3の周速度v1よりも速い周速度v2にするのは、感熱接着剤11の粘着持続時間が終了する前に容器BによってラベルLを引っ張り、しわを生じさせずにラベルLの後端部Laを貼着するためであるから、周速度v2は、最後列の吸引孔302からラベルLの終端までの距離と、吸着ドラム3に対する相対速度(v2−v1)とに基づいて、その目的を達成し得る適当な値に設定すればよい。
【0082】
この場合、本実施形態では、吸着ドラム3の直径に対して回転台部521aによる容器Bを移送する円軌道の直径は比較的大きいので、貼着位置Pでは容器Bの円軌道上の移動速度よりも吸着ドラム3に吸着されたラベルLの移動速度が大きく、ラベルLを貼着する非常に短い時間では、ラベルLに対し容器Bは停止しており、周速度v2で自転しているとみなすことができる。従って、周速度v2の設定では、容器Bの円軌道上の移動速度を無視することができる。
【0083】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態において示した、ラベルが容器に貼着されるラベル貼着装置の構成は一例であり、同様の機能を有するものであれば、上記実施形態に係る構成に限るものではない。
【0084】
また、上記実施形態では、制御装置6によってラベルLの移動方向における最後列の吸引孔302が貼着位置Pに達したときのタイミング(図7(c)参照)が認識されていたが、これに代えて、吸着ドラム3の適所に、ラベルLの移動方向における最後列の吸引孔302が貼着位置Pに達したことを検出する位置検出装置を設け、この位置検出装置の出力により上記タイミングが認識されるようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、ラベルLを円筒状の吸着ドラム3の吸着面301に吸着して貼着位置Pに移送し、容器Bも円軌道を描く回転機構521によって貼着位置Pに移送しているので、ラベルL及び容器Bの移送経路は円形となっていたが、ラベルL及び容器Bの移送経路は円形に限定されるものではない。本発明は、図7に示したように、ラベルLと容器Bを同方向に移動させながら貼着位置Pで容器BをラベルLの移動方向に自転させながらラベルLに圧接させることによって、ラベルLを容器Bに貼着させる構成を有していれば、任意の移動経路に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係るラベル貼着装置を示す概略構成図である。
【図2】ラベル貼着装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】ラベル生成装置におけるラベルの生成方法を示す図である。
【図4】吸着ドラムの外周面に形成される吸引孔とその吸引孔に吸引されるラベルとを示す図である。
【図5】貼着位置でラベルが容器に貼着される様子を示す側面図である。
【図6】貼着位置でラベルが容器に貼着される様子を示す上面図である。
【図7】吸着ドラムからラベルが容器に貼着される過程を示す図である。
【図8】容器の周速度の変化を示す図である。
【図9】従来のラベル貼着装置を示す概略構成図である。
【図10】従来のラベルが容器に貼着されるときの状態を示す図である。
【図11】従来のラベル貼着装置におけるラベルの容器への貼着動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0087】
1 ラベル貼着装置
2 ラベル生成装置
201 供給リール
202 ガイドローラ
203 ラベル基材送り部
204 ラベルカット部
205 ラベル受渡しドラム
206 残余巻取りリール
3 吸着ドラム
301 吸着面
302 吸引孔
4 加熱装置
5 容器移送装置
51 容器供給部
52 ロータリ装置
53 容器搬出部
6 制御装置
7 駆動部
8,9 吸引装置
10 操作表示装置
11 感熱接着剤
B 容器
L ラベル
S ラベル基材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の吸引孔が設けられた吸着面を有し、裏面に感熱接着剤が塗布されたラベルの表面を前記多数の吸引孔で吸引して当該ラベルを保持するとともに、当該ラベルを加熱して前記感熱接着剤を活性化させるラベル保持手段と、
前記ラベル保持手段を所定の経路で移動させることにより、前記ラベルを前記経路で移送するラベル移送手段と、
容器を回転自在に保持する容器保持手段と、
前記容器保持手段を前記ラベル保持手段とは異なる経路で移動させ、前記経路上の所定の貼着位置で前記容器の側面を前記ラベル保持手段に保持された前記ラベルの裏面に圧接させる容器移送手段と、
を備え、前記経路を移送するラベルを前記貼着位置で前記容器の側面に巻き取らせて前記感熱接着剤で貼着するラベル貼着装置において、
前記容器の側面が前記ラベルに圧接されるときに、その側面の移動が前記ラベルの移動と同一の方向となるように前記容器を回転させる容器回転手段と、
前記容器の回転速度を、前記ラベルの貼着動作が開始されたとき、当該容器の側面の移動速度が前記ラベルの移動速度とほぼ同一となる回転速度に設定し、前記ラベルの貼着動作の終了前の所定のタイミングで容器の側面の移動速度が前記ラベルの移動速度よりも速い所定の回転速度に切り換える容器回転速度制御手段と、
を備えたことを特徴とする、ラベル貼着装置。
【請求項2】
前記多数の吸引孔は、前記吸着面に格子状に配置され、
前記容器回転速度制御手段が前記容器の回転速度を切り換えるタイミングは、前記ラベルが前記容器に巻き取られ、前記吸着面のラベル移動方向における最後の吸引孔によって前記ラベルが前記吸着面に吸着された状態になるタイミングである、請求項1に記載のラベル貼着装置。
【請求項3】
前記ラベル保持手段は、回転自在に支持され、外周面の一部に前記吸着面が形成された円筒状のドラムと、前記ドラム内に設けられ、前記吸着面に形成された多数の吸引孔を吸引する吸引手段と、前記ドラムを加熱する加熱手段とで構成され、
前記ラベル移送手段は、前記ドラムを所定の回転速度で回転させるドラム駆動手段で構成され、
前記容器移送手段は、回転自在に支持され、先端に前記容器を回転自在に支持する支持部が設けられた回転台と、前記回転台を前記ドラムと逆方向に回転させる回転台駆動手段とで構成され、
前記容器移送手段は、前記ドラムの外周面が前記ドラムの回転中心と前記回転台の回転中心とを結ぶ線と交差する位置を前記貼着位置として、前記ドラム駆動手段により前記ドラムの吸着面に吸着されたラベルが前記貼着位置に移送されるタイミングで前記回転台の先端に支持された容器を前記貼着位置に移送し、当該容器の側面を前記ラベルに圧接させる、請求項1または2に記載のラベル貼着装置。
【請求項1】
多数の吸引孔が設けられた吸着面を有し、裏面に感熱接着剤が塗布されたラベルの表面を前記多数の吸引孔で吸引して当該ラベルを保持するとともに、当該ラベルを加熱して前記感熱接着剤を活性化させるラベル保持手段と、
前記ラベル保持手段を所定の経路で移動させることにより、前記ラベルを前記経路で移送するラベル移送手段と、
容器を回転自在に保持する容器保持手段と、
前記容器保持手段を前記ラベル保持手段とは異なる経路で移動させ、前記経路上の所定の貼着位置で前記容器の側面を前記ラベル保持手段に保持された前記ラベルの裏面に圧接させる容器移送手段と、
を備え、前記経路を移送するラベルを前記貼着位置で前記容器の側面に巻き取らせて前記感熱接着剤で貼着するラベル貼着装置において、
前記容器の側面が前記ラベルに圧接されるときに、その側面の移動が前記ラベルの移動と同一の方向となるように前記容器を回転させる容器回転手段と、
前記容器の回転速度を、前記ラベルの貼着動作が開始されたとき、当該容器の側面の移動速度が前記ラベルの移動速度とほぼ同一となる回転速度に設定し、前記ラベルの貼着動作の終了前の所定のタイミングで容器の側面の移動速度が前記ラベルの移動速度よりも速い所定の回転速度に切り換える容器回転速度制御手段と、
を備えたことを特徴とする、ラベル貼着装置。
【請求項2】
前記多数の吸引孔は、前記吸着面に格子状に配置され、
前記容器回転速度制御手段が前記容器の回転速度を切り換えるタイミングは、前記ラベルが前記容器に巻き取られ、前記吸着面のラベル移動方向における最後の吸引孔によって前記ラベルが前記吸着面に吸着された状態になるタイミングである、請求項1に記載のラベル貼着装置。
【請求項3】
前記ラベル保持手段は、回転自在に支持され、外周面の一部に前記吸着面が形成された円筒状のドラムと、前記ドラム内に設けられ、前記吸着面に形成された多数の吸引孔を吸引する吸引手段と、前記ドラムを加熱する加熱手段とで構成され、
前記ラベル移送手段は、前記ドラムを所定の回転速度で回転させるドラム駆動手段で構成され、
前記容器移送手段は、回転自在に支持され、先端に前記容器を回転自在に支持する支持部が設けられた回転台と、前記回転台を前記ドラムと逆方向に回転させる回転台駆動手段とで構成され、
前記容器移送手段は、前記ドラムの外周面が前記ドラムの回転中心と前記回転台の回転中心とを結ぶ線と交差する位置を前記貼着位置として、前記ドラム駆動手段により前記ドラムの吸着面に吸着されたラベルが前記貼着位置に移送されるタイミングで前記回転台の先端に支持された容器を前記貼着位置に移送し、当該容器の側面を前記ラベルに圧接させる、請求項1または2に記載のラベル貼着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−36980(P2010−36980A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205678(P2008−205678)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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