説明

ランプ冷却装置

【課題】 液晶プロジェクタで使用後に電源プラグを抜けるようにするために電気二重層コンデンサを使用したファンモータ系で、今までは通常の電源を使用して冷却すると、冷却終了後に電気二重層コンデンサに充電された電荷でファンモータが必要でないのに回転をしていた。そのために、ユーザは冷却が終了していないと判断していた。

【解決手段】 通常冷却をした場合は、電気二重層に溜められていた電荷はAC電源を使用した冷却動作を行う時はファンモータを回すのではなく、放電回路で電荷を逃がすようにする。そうする事で、冷却時間が適正化されユーザに間違った判断をさせない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ランプ冷却装置に関し、特に、主電源OFF後でもランプ部品の冷却を継続して行なう冷却ファン用モータの電源供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタやOHPなど投光表示装置における発熱部品で特にランプは電源を切断した後でも暫くの間は温度が上昇してしまう。そこで、これらの部品を冷却する為にランプの電源を切断後も冷却用のファン等で所定の温度まで冷却用のファンモータで冷やす必要がある。
【0003】
通常は、タイマーなどを使用しある一定期間冷却ファンを回していた。
【0004】
しかしながら投射動作を終了直後に本体を移動したい場合など、冷却用ファンモータによる冷却が終了する一定時間を待たなければならず不便であった。
【0005】
そこで本体から電源ケーブルを抜いても冷却動作を続ける回路として特許文献1のように、大静電容量コンデンサ(電気二重層コンデンサ等)を使用し、この問題を解決する方法が提案されている。
【0006】
図4は特許文献1に記載されている冷却ファン装置の構成図である。
【0007】
14はプラグであり商用電源コンセントから電源を得る、15はスイッチであり機器本体の電源を制御する物である。16は直流電源回路で入力された商用電源の交流を直流電源に変更する回路である。18は大容量の電気二重層コンデンサ、19は冷却用のファンモータである。17はダイオードである。
【0008】
この装置では、プラグ14がスイッチ15を介して直流電源回路16に接続している。また、直流電源回路16の正側出力端子が逆流防止用のダイオード17を介して冷却用ファンモータ+の駆動端子に接続されている。冷却用ファンモータ+の片側はGNDに接続されている。また、ダイオード17と冷却用ファンモータ+の間に電気二重層コンデンサ18が冷却用ファンモータ19と電気的に並列に接続されている。
【0009】
また、逆流防止用ダイオードは直流電源回路16側に電気エネルギーを逆流しない向きに接続されている。
【0010】
次の動作について説明をする。
【0011】
主電源のスイッチ15はオンからオフに切り替わった場合や商業コンセントからの電源供給が停止した場合、電気二重層コンデンサ18に蓄積されたエネルギーが冷却ファンモータ19の電源として働き、電気二重層コンデンサ18に蓄えられたエネルギー冷却用ファンモータ19を回転させて冷却を続ける。
【0012】
このように、直流電源回路16と冷却用ファンモータとの間に大容量の電気二重層コンデンサを配置することにより、商用電源の供給が停止すると大容量のコンデンサに蓄積されているエネルギーを冷却用ファンモータの電源として使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平09-151896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記の方式では通常電源で冷却動作を行った場合でも冷却が終了しファンが停止すると商用電源の供給が停止した事になる。
【0015】
すると、大容量コンデンサは放電を開始しさらにファンモータを回転させ必要でない冷却動作を行ってしまう。
【0016】
よって、商用電源を使用した通常冷却動作が終了してからファンモータを回転させるために、あたかも冷却が終了していないとユーザに間違った判断を起こさせ必要以上の時間を待たせていた。
【0017】
そこで、本発明の例示的な目的は、冷却動作を正確に制御することで、ユーザに間違った判断を強いる事の無い投光型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の投光型表示装置は、
入力された商用電源を所定の直流電源に変換し、冷却ファン用のモータ及び中央演算装置に供給する電源装置において、
商用電源から数種類の直流電源を作り出す直流電源回路と、
直流電源回路からの出力の一つで中央演算装置を駆動し、
直流電源回路からの出力の一つで冷却ファンモータを回し、
直流電源回路からの出力の一つに接続された大容量のコンデンサと、
前記コンデンサを充電する手段と
前記コンデンサに蓄積された電荷を放電する放電手段と
前記、直流電源回路及び冷却ファンモータ及び放電手段及び供給手段を制御する手段と、
前記コンデンサの出力を冷却ファンモータに供給する手段と、
前記コンデンサの出力を放電手段に供給する手段と
前記大容量コンデンサで商用電源からの直流電源が停止されても冷却ファンを駆動する回路を特徴とする。
このような回路を構成する事により、通常電源で冷却動作を行った後に無駄に駆動する冷却ファンを最適に制御できる。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付の図面を参照して説明される好ましい実施例等によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、冷却動作を正確に制御することで、ユーザに間違った判断を強いる事の無い投光型表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1を示す構成図である。
【図2】本発明の実施例1の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例2の動作を示すフローチャートである。
【図4】従来の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
[実施例1]
図1は本発明の第1実施例を示す構成図である。
【0023】
図2は本発明の第1実施例の動作を示すフローチャートである。
【0024】
図1は本発明の投光型表示装置の構成であり、商用電源をいかなる条件で供給を停止しても、電気二重層コンデンサに十分なエネルギーがあれば冷却用ファンモータを任意の時間駆動させる事ができる装置である。
【0025】
図2は本発明の冷却ファンモータ駆動の動作を示すフローチャートである。
【0026】
1はAC-DC電源であり、商用電源から複数系統のDC(直流)電源を作り出し、投光型表示機装置内部の各回路に供給をする。
【0027】
2はACプラグでありAC-DC電源1を商用電源に接続する。
【0028】
3は大容量の電気二重層コンデンサであり、AC-DC電源1の一つの出力により充電される、また、4は電気二重層コンデンサ3の電流が逆流しないようにする、ダイオードである。
【0029】
5は放電スイッチであり、電気二重層コンデンサ3の出力を制御する、通常はこの制御はCPU(中央演算装置)6により行なわれ、その出力はファンモータ8及び放電回路7へ接続されている、また、スイッチ5はCPU6が停止した時に備え、ファンモータ8の回転が停止すると電荷を自動的にファンモータ8へ自動的に供給する。
【0030】
冷却用ファンモータ8は、直流電源で駆動可能のものであり、電気二重層コンデンサ3により数分間回転しつづけられる物である。
【0031】
9は冷却ファンモータ制御スイッチであり、この制御はCPU(中央演算装置)6により行なわれ、AC-DC電源1の出力を制御し冷却ファンモータ9へ送る。
【0032】
10は逆流防止用ダイオードであり、SW5が電気二重層コンデンサ3からファンモータへ8を駆動する電圧を供給した時にAC-DC電源1に電流が逆流しないようにするダイオードである。
【0033】
11はメインスイッチであり、商用電源からの入力を制御するものである。
【0034】
以上のように構成された投光型表示装置の動作を以下に説明する。
【0035】
まず、ACプラグ2を図示していない商用電源のコンセントに挿し、さらに投光型表示機のメインスイッチ11を動作側にすると、AC-DC電源1は各種のDC電源を出力する。
【0036】
出力された1系統の電源は、CPU6に到達しCPUを起動させる。
【0037】
CPU6は起動後に図示していない発熱体であるランプを点灯すると同時にSW8を制御し冷却用ファンモータ8を回転さる。
【0038】
もう1系統の電源はダイオード4を通過しの電気二重層コンデンサ3を充電する。
【0039】
このように起動した後にACプラグ2が突然、商用電源から切り離されてしまったとする。
【0040】
投光型表示装置のランプは消灯後適正な冷却方法で冷却しないと寿命が縮んでしまう。
【0041】
このように正常な冷却動作が行なわれない場合は、SW5はファンモータ8の回転が停止すると自動的にファンモータ8に電気二重層コンデンサ3の電荷を供給し、ランプを冷却する事でランプ寿命を延ばすことができる。
【0042】
しかしながら、ACプラグ2が抜かれず、商用電源が図示していないランプを冷却後に停止するとAC-DC電源1の電源供給が停止しファンモータ8は停止した事になる。
【0043】
すると、SW5は大容量コンデンサ3の放電を開始しさらにファンモータ8を回転させてしまい必要でない冷却動作を行ってしまう。
【0044】
よって、AC-DC電源1使用した通常冷却動作が終了してからファンモータを回転させるために、あたかも冷却が終了していないとユーザに間違った判断を起こせさ必要以上の時間を待たせていた。
【0045】
そこで、本発明は、AC-DC電源1を使用した正常な冷却動作が行われた場合は次の図2のようなフローチャートの動作を行い、通常冷却動作を行った場合には電気二重層コンデンサ3の電荷を放電回路に送り放電させてしまい、ファンモータ8を意味無く長時間回転せないなものである。
【0046】
その動作は、ます、S201でAC-DC電源1を使用した通常冷却動作が開始される。
すると、S202でCPU6は冷却時間のカウントを開始する。
【0047】
次に、S203に移行しCUP6はファンモータ8にAC-DC電源1から電源が供給されているかを監視する。
【0048】
もし、AC-DC電源1からの電源が供給されずファンモータ8が停止したとすると、S204に移行しSW5は電気二重層コンデンサ3の電荷をファンモータ8に供給するように切り替える。
【0049】
そして、S205に移行して電気二重層コンデンサ3の電荷をファンモータ8に供給し図示していないランプの冷却をする。
【0050】
また、AC-DC電源1からファンモータ8に電源が供給され続けると、S206に移行しCPU6はカウントを続ける。
【0051】
また、カウントを終了しないと判断するとS203に戻されCUP6はファンモータ8にAC-DC電源1から電源が供給されているかの監視を行い、ファンモータ8の予期せぬ停止に備える。
【0052】
S206で規定されたカウント数に達するとカウントを停止し、S207に移行する。
【0053】
S206ではCPU6はSW5を操作し電機二重層コンデンサ3の電荷を放電回路7側に送るように切り替える。
【0054】
S208で放電回路7は送られてきた電荷を熱やスタンバイ電源として放電を開始する。
【0055】
電気二重層コンデンサ3の電荷の放電が開始されるとS209に移行し放電の完了を監視する。
【0056】
S209で電気二重層コンデンサ3の放電が完了したとCPU6が判断さすると、CPU6はS210に移行しスタンバイ動作に戻る。
【0057】
このように制御する事により、商用電源を使用した通常冷却動作が終了してからファンモータを回転させる事を防止し、あたかも冷却が終了していないとユーザに間違った判断を起こさせ必要以上の時間を待たる事を防止する。
【0058】
また、通常冷却動作を終了後、電気二重層コンデンサ3の電荷を放出するように動作させる事により、通常冷却動作中にファンモータ8が停止する事態が発生してもランプ冷却を電気二重層コンデンサの電荷に切り替えて冷却を続ける事ができる。よって、ランプの保護も行える。
【0059】
[実施例2]
図3は本発明の第2の実施例を示すものである。
【0060】
図3は本発明の第2実施例の動作を示すフローチャートである。
【0061】
図3は本発明の第2実施例の動作を示すフローチャートであり、構成は第1実施例と同じである。
【0062】
実施例1において、商用電源をいかなる条件で供給を停止しても、電気二重層コンデンサに十分なエネルギーがあれば冷却用ファンモータを任意の時間駆動してしまう。
【0063】
もし、冷却が終了する直前に商用電源の供給が停止されると、電気二重層コンデンサの容量すべてが放電され冷却時間が必要以上に長くなる可能がある。
【0064】
そこで、本発明の実施例2は、AC-DC電源1を使用した正常な冷却動作が行われた場合は次の図3のようなフローチャートの動作を行い、通常冷却動作を行う場合には電気二重層コンデンサ3の電荷を通常冷却と同時に放電回路に送り放電させてしまい、ファンモータ8を意味無く長時間回転させないものである。
【0065】
その動作は、ます、S301でAC-DC電源1を使用した通常冷却動作が開始される。
すると、S302でCPU6は冷却時間のカウントを開始する。
【0066】
次に、S303に移行しCUP6はファンモータ8にAC-DC電源1から電源が供給されているかを監視する。
【0067】
AC-DC電源1からファンモータ8に電源が供給され続けると、S306に移行しCPU6はSW5を操作し電機二重層コンデンサ3の電荷を放電回路7側に送るように切り替える。
【0068】
S307で放電回路7は送られてきた電荷を熱やスタンバイ電源として放電を開始する。
【0069】
その放電速度は、ランプ冷却の温度低下と同期する用に調整されている。
【0070】
S308ではカウントを終了しないと判断するとS303に戻されCUP6はファンモータ8にAC-DC電源1から電源が供給されているかを監視おこない、ファンモータ8の予期せぬ停止に備える。
【0071】
また、もし、S303でAC-DC電源1からの電源が供給されずファンモータ8が停止したとすると、S304に移行しSW5は電気二重層コンデンサ3の電荷をファンモータ供給するように切り替える。
【0072】
そして、S205に移行して電気二重層コンデンサの電荷をファンモータ8に供給し図示していないランプの冷却をする。
【0073】
S308で規定されたカウント数に達するとカウントを停止し、S209に移行する。
【0074】
S309でCPU6はS210に移行しスタンバイ動作に戻る。
【0075】
なお、この装置の放電回路7は、図示していないランプが通常のACDC電源1で冷却される温度と同期して電気二重層3の電荷を減少する事ができ、さらに、その残量でランプが十分冷却される事ができる容量を残す放電回路とする。
【0076】
このように制御する事により、商用電源を使用した通常冷却動作途中で商用電源を切り離しても必要以上にファンモータを回転させる事を防止し、あたかも冷却が終了していないとユーザに間違った判断を起こさせ必要以上の時間の無駄を防止する。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 AC-DC電源
2 ACプラグ
3 電気二重層コンデンサ
4 逆流防止用ダイオード
5 放電制御スイッチ
6 CPU(中央演算装置)
7 放電回路
冷却ファンモータ
ファンモータ制御スイッチ
逆流防止用ダイオード
AC電源コントロールスイッチ
従来例のACプラグ
従来例のAC電源コントロールスイッチ
従来例のAC-DC電源
従来例の逆流防止用ダイオード
従来例の電気二重層コンデンサ
従来例の冷却ファンモータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された商用電源を所定の直流電源に変換し、冷却ファン用のモータ及び中央演算装置に供給する電源装置において、
商用電源から数種類の直流電源を作り出す直流電源回路と、
直流電源回路からの出力の一つで中央演算装置を駆動し、
直流電源回路からの出力の一つで冷却ファンモータを回し、
直流電源回路からの出力の一つに接続された大容量のコンデンサを充電し
前記コンデンサに蓄積された電荷を放電する放電手段と、
前記直流電源回路及び冷却ファンモータ及び放電手段及び供給手段を制御する手段と、
前記コンデンサの出力を冷却ファンモータに供給する手段と、
前記コンデンサの出力を放電手段に供給する手段と、
前記大容量コンデンサで商用電源からの直流電源が停止されても冷却ファンを駆動することを特徴とするランプ冷却装置。
【請求項2】
上記大容量コンデンサの前に逆流防止用の素子を追加したことを特徴とする請求項1に記載のランプ冷却装置。
【請求項3】
上記大容量コンデンサを電気二重層コンデンサとしたことを特徴とする請求項1に記載のランプ冷却装置。
【請求項4】
入力された商用電源を所定の直流電源に変換し、冷却ファン用のモータ及び中央演算装置に供給する電源装置において、
商用電源から数種類の直流電源を作り出す直流電源回路と、
直流電源回路からの出力の一つで中央演算装置を駆動し、
直流電源回路からの出力の一つで冷却ファンモータを回し、
直流電源回路からの出力の一つに接続された大容量のコンデンサを充電し
前記、直流電源回路及び冷却ファンモータ及び放電手段及び供給手段を制御する手段と、
前記コンデンサの出力を冷却ファンモータに供給する手段と、
前記コンデンサの出力を直流電源回路の一つの出力に加算する手段と
前記大容量コンデンサで商用電源からの直流電源が停止されても冷却ファンを駆動することを特徴とするランプ冷却装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−246758(P2012−246758A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116433(P2011−116433)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】