説明

リアトレイの取付構造

【課題】取付作業性が良く、しかも、異なるシート形態で共通の車体側構造を利用することのできるリアトレイの取付構造を提供する。
【解決手段】シートバック1とその後方の車体側の補強パネル6との隙間8をリアトレイ2によって覆う。隙間8に臨む補強パネル6の前部壁6bに、ボルト挿通孔9とウェルドナット10を設ける。リアトレイ2にブラケット27を連結し、ボルト挿通孔9を貫通するボルト33によってブラケット27をウェルドナット10に締結する。隙間8に工具21を挿し込み、その工具21でボルト33の締結を行う。異なるシート形態の場合にも、ボルト挿通孔9とウェルドナット10はリアトレイの取付け際して共用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の後部座席の後方に配置されるリアトレイの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セダン型車両等においては、後部座席のシートバックの後方側にリアトレイが配置されている(例えば、特許文献1参照)。
リアトレイは、通常、左右の側縁部が車体側部材にビス止め等によって取り付けられている。
【特許文献1】特開平9−99759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このようなリアトレイの取付構造においては、ビス止めのための工具が車体側壁等と干渉して取付作業が行いにくいうえ、固定仕様、フォールダウン仕様、リクライニング仕様等のシートの形態によってリアトレイのサイズや形状が変更になったときに、車体側部材の取付部(リアトレイ取付部)の位置を変更しなければならず、異なるシート形態のもので車体構造を共用することができない。
【0004】
そこで、この発明は、取付作業性が良く、しかも、異なるシート形態で共通の車体側構造を利用することのできるリアトレイの取付構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、後部座席のシートバック(例えば、後述の実施形態におけるシートバック1)の後方側に配置されるリアトレイ(例えば、後述の実施形態におけるリアトレイ2)を、前記シートバックとその後方側の車体側支持部材(例えば、後述の実施形態における補強パネル6)の間の隙間(例えば、後述の実施形態における隙間8)を覆うように車体に取り付けるリアトレイの取付構造であって、前記車体側支持部材の前記隙間に臨む面に、前記リアトレイを取り付けるためのリアトレイ取付部(例えば、後述の実施形態におけるボルト挿通孔9およびウェルドナット10)を設けたことを特徴とする。
これにより、リアトレイを車体に取り付ける場合には、シートバックと車体側支持部材の間の隙間に工具を入れ、リアトレイを車体側支持部材のリアトレイ取付部に取り付けることができる。また、リクライニング仕様のシートにおいては、シートバックと車体側支持部材の間の隙間でシートバックの傾動を許容するようになる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリアトレイの取付構造において、前記リアトレイに、前記リアトレイ取付部での連結部位に臨む開口部(例えば、後述の実施形態における開口部19)を設けたことを特徴とする。
これにより、リアトレイの開口部を通して工具を挿入し、リアトレイを車体側支持部材のリアトレイ取付部に取り付けることが可能になる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のリアトレイの取付構造において、前記開口部を覆う蓋部材(例えば、後述の実施形態における蓋部材20)を設けたことを特徴とする。
これにより、通常時には開口部が蓋部材によって閉塞される。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアトレイの取付構造において、前記リアトレイに連結されるトレイ連結部(例えば、後述の実施形態におけるボルト挿通孔29およびウェルドナット31)と、前記車体側支持部材のリアトレイ取付部に取り付けられる車体取付部(例えば、後述の実施形態におけるボルト挿通孔30)を備えたブラケット(例えば、後述の実施形態におけるブラケット27)を設け、前記トレイ連結部でリアトレイに連結された前記ブラケットを、前記車体取付部で前記車体側支持部材のリアトレイ取付部に取り付けることを特徴とする。
これにより、リアトレイにブラケットが一体に連結され、リアトレイはブラケットの車体取付部を介して車体側支持部材のリアトレイ取付部に取り付けられるようになる。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のリアトレイの取付構造において、前記リアトレイに、前記ブラケットのトレイ連結部での連結部位と車体取付部での連結部位に臨む開口部(例えば、後述の実施形態における開口部19)を設けたことを特徴とする。
これにより、リアトレイの開口部を通して工具を挿入し、この開口部を通してリアトレイとブラケットの連結と、ブラケットと車体側支持部材の連結を行うことが可能になる。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載のリアトレイの取付構造において、前記ブラケットに、前記シートバックのフレーム部材に固定されるシート固定部(例えば、後述の実施形態におけるシート固定部28)を設けたことを特徴とする。
これにより、シートバックが車体に固定される固定仕様の場合には、リアトレイがブラケットを介してシートバックと車体側支持部材に結合されるようになる。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項3に記載のリアトレイの取付構造において、前記蓋部材は、前記リアトレイの前端部に上下に回動可能に設けられ、前記シートバックの傾動に応じて傾動するフラップ(例えば、後述の実施形態におけるフラップ50)によって構成されていることを特徴とする。
これにより、通常時には車体側支持部材との連結部がフラップによって隠されるようになる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、シートバックの後方側の車体側支持部材の隙間に臨む面に、リアトレイを取り付けるためのリアトレイ取付部を設けたため、車体側壁等との干渉を招くことなく容易にリアトレイの取付作業を行なうことができるうえ、異なるシート形態で共通の車体側構造を利用することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、リアトレイの開口部から工具を挿入して車体側支持部材に対するリアトレイの取付作業を行うことができるため、リアトレイの取付作業性を高めることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、取付作業用の開口部を蓋部材によって閉塞することができるため、見栄えの向上を図ることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、リアトレイをブラケットを介して車体側支持部材に取り付けるため、リアトレイを高い剛性をもって車体側支持部材に取り付けることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、リアトレイの開口部を通してリアトレイとブラケットの連結と、ブラケットと車体側支持部材の連結を行うことができるため、取り付けのための作業性を高めることができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、リアトレイがブラケットを介してシートバックと車体側支持部材に結合されるため、リアトレイの支持剛性を高めることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、シートバックの傾動に応じて傾動するフラップによって車体側支持部材との連結部が隠されるため、部品点数の増加を無くし、製品コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、前後と上下については、特別に断らない限り、車両に対しての前後と上下を意味するものとする。また、各実施形態においては、同一部分に同一符号を付して重複する説明を省略するものとする。
【0020】
最初に、図1〜図7に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、セダン型車両の車体後部を車室内側から見た斜視図である。同図中1は、後部座席のシートバックであり、2は、シートバック1の後方側に略水平に配置されたリアトレイ、3A,3Bは、リヤドア4の後方側の車体の側壁パネル5(車体部材)の車室内側面に取り付けられた樹脂製の内装材である。
【0021】
シートバック1の後方側には、車体左右の側壁パネル5のリヤホイールハウス(図示せず)の上方側位置を相互に連結する補強パネル6(車体側支持部材)が配置されている。補強パネル6は、車幅方向に延出して両端部が側壁パネル5に結合されるとともに、中央領域の下方に円弧状の開口7を有する略アーチ形状に形成されている。
後部座席のシートバック1と補強パネル6の間には、車幅方向に延出する設定幅の隙間8が設けられている。リアトレイ2は、補強パネル6の後方側から前方に延出してこの隙間8の上方を覆うようになっている。
【0022】
図2は、側壁パネル5から内装材3A,3Bを取り去った状態における図1と同様の斜視図であり、図3は、リアトレイ2の斜視図、図4は、リアトレイ2を車体に取付けた状態における断面図である。
補強パネル6は、図4に示すように略水平な上壁6aの前端部に斜め下方に傾斜した前部壁6bが連設されている。前部壁6bの上縁部には、車幅方向に離間して2つのボルト挿通孔9が形成され、前部壁6bの後面側には、各ボルト挿通孔9の孔位置と合致するようにウェルドナット10が設けられている。この実施形態の場合、リアトレイ取付部は、ボルト挿通孔9とウェルドナット10によって構成されている。
【0023】
リアトレイ2は、車体取付状態において、図示しないリヤウインドシールドガラスの下端から前方に略水平に延出するリアトレイ本体11と、このリアトレイ本体11の前端部両側に延設された一対のスペーサ12,12とを備えている。
スペーサ12は、図示しないクリップ等によって側壁パネル5上の設定位置に係止固定され、側壁パネル5と内装材3A,3Bの間にあって内装材3A,3Bの背面を支持する支持壁13と、この支持壁13のほぼ中央部から車室内側に段差状に突出する車内突出壁14とを備えている。車内突出壁14は、2つの内装材3A,3Bに跨って形成された貫通孔15に嵌合され、貫通孔15を貫通した突出面14aが内装材3A,3Bの車内側面16a,16bとほぼ面一になるように設定されている。突出面14aは、内装材3A,3Bが側壁パネル6に取り付けられた状態において車室内に露出するようになっている。また、左右の各スペーサ12は、室内突出壁14においてリアトレイ本体11の前端部と一体化されている。つまり、このリアトレイ2においては、室内突出壁14の一部がリアトレイ本体11との連結部とされている。
なお、図2,図3において、17は、各スペーサ12の支持壁13に形成され、内装材3A,3Bの背部の図示しない係止突起が嵌合される嵌合孔である。また、リアトレイ本体11のスペーサ12よりも車体後方側の両側の側縁部には複数の位置決め突起18が一体に形成され、内装材3Aが側壁パネル5に取り付けられたときに、内装材3Aの下縁がこれらの位置決め突起18と係合するようになっている。
【0024】
一方、リアトレイ本体11の前縁部には、車幅方向に離間して略矩形状の2つの開口部19,19が設けられ、この各開口部19が脱着可能な蓋部材20によって閉塞されている。各開口部19は、補強パネル6上のボルト挿通孔9とウェルドナット10の設置位置に対応して設けられており、これらの各開口部19を通して締結用の工具21の挿入が可能とされている。なお、図4中22は、蓋部材20の裏面に突設され、開口部19の周縁に係止される係止爪である。
【0025】
また、リアトレイ本体11の前縁部の裏面には、図4に示すように、各開口部19の下方を跨ぐように凹状の屈曲壁23が設けられている。この屈曲壁23の底壁部23aにはボルト挿通孔24が形成され、後壁部23bには、補強パネル6のボルト挿通孔9方向に臨む作業開口25が形成されている。
【0026】
さらに、図4に示すように、シートバック1の上部のフレーム部材26には車体後方側に延出するブラケット27が溶接固定されている。ブラケット27は、一端側にフレーム部材26に溶接固定されるシート固定部28が設けられるともに、車体後方側への延出端が上方に屈曲され、その屈曲片27a部分が補強パネル6の前部壁6bに重合されるようになっている。また、ブラケット27のシート固定部28と屈曲片27aの中間領域27bの上面側には、リアトレイ本体11の屈曲壁23の底壁部23aが重合されるようになっている。ブラケット27のこの中間領域27bと屈曲片27aにはそれぞれボルト挿通孔29,30が設けられ、中間領域27bの下面側にはボルト挿通孔29の孔位置と合致するようにウェルドナット31が設けられている。
【0027】
リアトレイ本体11の屈曲壁23とブラケット27のボルト挿通孔24,29にはボルト32が挿入され、そのボルト32をウェルドナット31に締め込むことによってリアトレイ本体11がブラケット27に連結されるようになっている。この実施形態の場合、ボルト挿通孔29とウェルドナット31がブラケット27上のトレイ連結部とされている。
【0028】
また、ブラケット27と補強パネル6のボルト挿通孔30,9にはボルト33が挿入され、そのボルト33をウェルドナット10に締め込むことによってブラケット27の屈曲片27aが補強パネル6に固定されるようになっている。この実施形態の場合、ボルト挿通孔30がブラケット27上の車体取付部とされている。
なお、リアトレイ本体11上の各開口部19は、屈曲壁23の底壁部23aのボルト締結部(リアトレイ本体11とブラケット27のボルト締結部)に直接的臨むとともに、ブラケット27の屈曲片27aのボルト締結部(ブラケット27と補強パネル6のボルト締結部)に対し、屈曲壁23の作業開口25を介して臨んでいる。
【0029】
さらに、リアトレイ本体11の車体前後方向の略中央領域には、3つの開口34が車幅方向に離間して設けられ、これらの3つの開口34の上面側が一体のカバー部材35によって覆われている。カバー部材35はリアトレイ本体27の上面に接着やクリップ止めによって固定されている。
【0030】
図5,図6は、カバー部材35の構成部品を示す図であり、図7は、カバー部材35を含むリアトレイ2と補強パネル6の断面図である。
図7に示すように、補強パネル6の上壁6a上には車幅方向に離間してチャイルドシート固定用の3つのアンカー部材36が固定設置されており、リアトレイ本体11上の3つの開口34は、各アンカー部材36の設置位置に対応して設けられている。
【0031】
カバー部材35は、平面形状が車幅方向に長い略長方形状とされ、かつ、車体前後方向の断面形状が略中央が上方に膨出する略円弧状とされている。カバー部材35上のリアトレイ本体11の各開口34に対応する位置には正面視が略長方形状の窪み部37が設けられ、その各窪み部37の底壁37aには、開口34を通して上方に突出したアンカー部材36が貫通するスリット38が設けられている。各窪み部37には、その上部を覆うことのできる蓋部材39が取り付けられている。蓋部材39は、窪み部37の上部を覆った状態において、カバー部材35の上面とほぼ面一となる略円弧状の断面形状とされている。
【0032】
また、各蓋部材39の側部には枢支軸40が設けられ、その枢支軸40が窪み部37の側壁37bに回動可能に支持されている。蓋部材39の枢支軸40は後部側に偏倚して設けられており、蓋部材39は、図7中の鎖線で示すように、後部側の枢支軸40を支点に前縁部側を上方に開き操作し得るようになっている。なお、図中41は、蓋部材39を開閉する際に指を掛けるための操作突起である。
【0033】
図8,図9は、この発明の第2の実施形態のリアトレイ102の斜視図と、リアトレイ102を車体に取付けた状態における断面図である。
第1の実施形態のリアトレイ2は、シートバック1が完全に固定された固定仕様のシートを採用する場合に用いられるものであるが、第2の実施形態のリアトレイ102は、シートバック101を前方に倒すことのであるフォールダウン仕様のシートを採用する場合に用いられるものである。
【0034】
この実施形態のリアトレイ102は、シートバック101が前方に傾動可能となっている関係で、リアトレイ本体11に連結されるブラケット127にはシート固定部(第1の実施形態におけるシート固定部28)が設けられておらず、ブラケット127の前端部には、リアトレイ本体11の前縁部の下面に突設された係止突起45に係合される係合孔46が設けられている。また、この実施形態の場合、チャイルドシート固定用のアンカー部材36が補強パネル6に設けられていないため、リアトレイ本体11上には開口部やそれを覆うカバー部材は設けられていない。
その他の部分は第1の実施形態と同様の構成とされ、補強パネル6側のリアトレイ取付部であるボルト挿通孔9やウェルドナット10は、ブラケット127を固定するためにそのまま用いられている。
【0035】
図10〜図14は、この発明の第3の実施形態を示すものである。
図10,図11は、車体の側壁パネル5に内装材3A,3Bを取り付けた状態において車体後部を車室内側から見た図と、側壁パネル5から内装材3A,3Bを取り去った状態における同様の図である。また,図12は、リアトレイ202の単品の斜視図であり、図13,図14は、リアトレイ202を車体に取り付けた状態における断面図である。
この第3の実施形態のリアトレイ202は、シートバック202の傾斜角度を調整できるリクライニング仕様のシートを採用する場合に用いられるものである。
【0036】
この実施形態のリアトレイ202は、シートバック202の後方側への傾動姿勢に拘わらず、シートバック202と補強パネル6の間の隙間8を常時覆う必要があることから、シートバック202の傾動に追従して回動するフラップ50がリアトレイ本体211の前端部に設けられている。また、このリアトレイ202は、車幅方向左右のスペーサ12を連結する断面略L字状の梁部材51が設けられ、その梁部材51にリアトレイ本体211とフラップ50が支持されるようになっている。
【0037】
梁部材51の両端部は、左右のスペーサ12の車内突出壁14の後端部と一体に成形されている。梁部材51の上部壁51aは、図13に示すように、車幅方向の複数箇所でリアトレイ本体211の前端部の下面の支持ボス部52にビス53によって固定されており、梁部材51の前部壁51bには、図14に示すように、ヒンジ部材54を介してフラップ50が回動可能に取り付けられている。
【0038】
また、梁部材51の前部壁51bの車幅方向に離間した2位置には、図13に示すように、車体前方側に突出する矩形状の支持突起55が設けられ、その各支持突起55にボルト挿通孔56が形成されている。各支持突起55は、補強パネル6側のリアトレイ取付部であるボルト挿通孔9とウェルドナット10の位置にほぼ対応して設けられている。そして、補強パネル6上の2ヶ所のボルト挿通孔9とウェルドナット10には固定ナット57を保持する台座部材58がボルト59によって固定されている。
【0039】
各台座部材58には、梁部材51の支持突起55の後面側が係合され、梁部材51の前面側からボルト挿通孔9に挿入されたボルト60が固定ナット57に螺合されるようになっている。つまり、梁部材51は車体側の補強パネル6に対して台座部材58を介して取付けられている。また、支持突起55と台座部材58は、フラップ50をリアトレイ本体211のほぼ面一となるように上方に押し上げた状態において、ボルト締結用の工具21でボルト60を車体前方側から締結し得るように形成されている。
なお、この実施形態の場合、支持突起55の前部上方側の空間部が開口部を構成し、フラップ50がその開口部を覆う蓋部材を構成している。
【0040】
つづいて、以上構成を説明した各実施形態のリアトレイ2,102,202の取り付けについて説明する。
図1〜図7に示す第1の実施形態のリアトレイ2の場合には、リアトレイ本体11の前部両端のスペーサ12を車体の側壁パネル5に係止し、各スペーサ12の支持壁13の前面に内装材3A,3Bを係合した状態において、図4に示すように、リアトレイ本体11上の開口部19に工具21を挿入し、リアトレイ本体11とブラケット27をボルト32によって連結するとともに、ブラケット27を車体側の補強パネル6にボルト33によって締結する。そして、ボルト32,33の締結作業を終了した後には、開口部19を蓋部材20によって閉塞する。
【0041】
図8,図9に示す第2の実施形態のリアトレイ102の場合には、ブラケット127がシートバック101に固定されていないだけで基本的には第1の実施形態と同様の構造であるため、第1の実施形態とまったく同様にして車体に対して取り付ける。
【0042】
図10〜図14に示す第3の実施形態のリアトレイ202の場合には、リアトレイ本体211とフラップ50を梁部材51に予め組み付けておき、第1,第2の実施形態の場合と同様に、リアトレイ202のアッシーの両側のスペーサ12を側壁パネル5と内装材3A,3Bに係合させる。この後、図13に示すように、フラップ50を上方に持ち上げて梁部材51の前部壁51bの前方側から工具21を挿し入れ、梁部材51を補強パネル6上の台座部材58にボルト60によって締結する。なお、工具21でボルト60の締結を行う際には、シートバック201は前方に倒しておく。
こうして、リアトレイ202が車体に取り付けられた後には、フラップ50が常時ボルト締結部の前部上方の空間部を覆うようになり、ボルト締結部は外部から見えなくなる。
【0043】
以上のように、このリアトレイ2,102,202の取付構造においては、いずれも補強パネル6の前方側の隙間8に臨む面(前部壁6b)に共通のボルト挿通孔9とウェルドナット10が設けられ、このボルト挿通孔9とウェルドナット10を利用して各リアトレイ2,102,202を取り付けるようにしているため、車体の側壁等と干渉しない比較的広い隙間8を含むスペースで容易に取付作業を行なうことができるうえ、固定仕様、フォールダウン仕様、リクライニング仕様の異なるシート形態で共通の車体側構造をそのまま利用することができる。
したがって、この取付構造を採用した場合には、リアトレイ2,102,202の取付作業性の向上を図ることができるうえ、共通の車体側構造を利用して製造コストの削減を図ることができる。
【0044】
また、第1,第2の実施形態のリアトレイ2,102の取付構造においては、リアトレイ本体11の前縁部に開口部19が設けられ、この開口部19を通して工具21でブラケット27に対する連結と、ブラケット27と補強パネル6の結合を行うことができるため、リアトレイ2,102の取付作業性が良好になる。
そして、リアトレイ本体11上の各開口部19は取付作業の後に蓋部材20によって閉塞されるため、通常使用時には車室内側からボルト締結部等の開口部19の内側が蓋部材20によって覆い隠される。したがって、この取付構造を採用した場合に、車室内側からの見栄えが向上する。
【0045】
一方、第3の実施形態のリアトレイ202の取付構造においては、梁部材51のボルト締結部の前方側が隙間8に臨んで開放され、その開放された空間部を通して工具21で梁部材51と補強パネル6の結合を行うことができるため、リアトレイ202の取付作業性がやはり良好となる。
このリアトレイ202の場合、取付作業後にボルト締結部の前部上方側がフラップ50によって覆われるため、車室内側からの見栄えが向上する。
【0046】
さらに、第1,第2の実施形態のリアトレイ2,102の取付構造においては、リアトレイ本体11の下面側にブラケット27を結合し、そのブラケット27を車体側の補強パネル6にボルト結合するようにしているため、リアトレイ2,102を充分に高い剛性を持って車体側に取り付けることができる。
【0047】
また、第1の実施形態のリアトレイ2の取付構造においては、リアトレイ本体11に連結されるブラケット27の前縁部がシーバック1のフレーム部材26にも固定されているため、リアトレイ2の支持剛性をより高めることができる。
【0048】
また、第3の実施形態のリアトレイ202の取付構造においては、シートバック201の傾動に応じて回動するフラップ50によってボルト締結部の前部上方側が覆い隠されるため、専用の蓋部材の追加による部品点数の増加がなく、その分、製品コストの低減を図れるという利点がある。
【0049】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の第1の実施形態を示すものであり、車体後部を車室内側から見た斜視図。
【図2】同実施形態を示すものであり、内装部材を取り去った車体後部を車室内側から見た斜視図。
【図3】同実施形態のリアトレイを示す斜視図。
【図4】同実施形態を示す図3のA−A断面に対応する断面図。
【図5】同実施形態のカバー部材を示す斜視図。
【図6】同実施形態のカバー部材に取り付けられる蓋部材を示す斜視図。
【図7】同実施形態を示す図3のB−B断面に対応する断面図。
【図8】この発明の第2の実施形態のリアトレイを示す斜視図。
【図9】同実施形態を示す図8のC−C断面に対応する断面図。
【図10】この発明の第3の実施形態を示すものであり、車体後部を車室内側から見た斜視図。
【図11】同実施形態を示すものであり、内装部材を取り去った車体後部を車室内側から見た斜視図。
【図12】同実施形態のリアトレイを示す斜視図。
【図13】同実施形態を示す図12のD−D断面に対応する断面図。
【図14】同実施形態を示す図12のE−E断面に対応する断面図。
【符号の説明】
【0051】
1,101,201…シートバック
2,102,202…リアトレイ
6…補強パネル(車体側支持部材)
8…隙間
9…ボルト挿通孔(リアトレイ取付部)
10…ウェルドナット(リアトレイ取付部)
19…開口部
20…蓋部材
27…ブラケット
28…シート固定部
29…ボルト挿通孔(トレイ連結部)
30…ボルト挿通孔(車体取付部)
31…ウェルドナット(トレイ連結部)
50…フラップ(蓋部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後部座席のシートバックの後方側に配置されるリアトレイを、前記シートバックとその後方側の車体側支持部材の間の隙間を覆うように車体に取り付けるリアトレイの取付構造であって、
前記車体側支持部材の前記隙間に臨む面に、前記リアトレイを取り付けるためのリアトレイ取付部を設けたことを特徴とするリアトレイの取付構造。
【請求項2】
前記リアトレイに、前記リアトレイ取付部での連結部位に臨む開口部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のリアトレイの取付構造。
【請求項3】
前記開口部を覆う蓋部材を設けたことを特徴とする請求項2に記載のリアトレイの取付構造。
【請求項4】
前記リアトレイに連結されるトレイ連結部と、前記車体側支持部材のリアトレイ取付部に取り付けられる車体取付部を備えたブラケットを設け、前記トレイ連結部でリアトレイに連結された前記ブラケットを、前記車体取付部で前記車体側支持部材のリアトレイ取付部に取り付けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアトレイの取付構造。
【請求項5】
前記リアトレイに、前記ブラケットのトレイ連結部での連結部位と車体取付部での連結部位に臨む開口部を設けたことを特徴とする請求項4に記載のリアトレイの取付構造。
【請求項6】
前記ブラケットに、前記シートバックのフレーム部材に固定されるシート固定部を設けたことを特徴とする請求項4または5に記載のリアトレイの取付構造。
【請求項7】
前記蓋部材は、前記リアトレイの前端部に上下に回動可能に設けられ、前記シートバックの傾動に応じて傾動するフラップによって構成されていることを特徴とする請求項3に記載のリアトレイの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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