説明

リアルタイムにセルラーネットワークを構成する方法及びシステム

セルラーシステム又はセルラーネットワーク内で周波数アロケーションを自動的に構成する方法及びシステム。方法は、セルラーネットワークの異なる諸部分からの測定値の収集、それらの測定値から統計を生成すること、及びそれらの統計をインベントリデータ、伝搬データ、及び地理的データと合成することを要する。合成されたデータは、周波数アロケーションアルゴリズムに対する入力として使用される。この結果、アロケーションアルゴリズムは、周波数コンフィグレーションセット、提案されるコンフィグレーションの品質測定、及び/又は、複数のセルラー基地局にフィードバックされる推奨のセットを生成して、複数のセルにおける周波数使用の再アロケーションを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラーネットワークを構成する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス通信が普及するにつれて、限られたワイヤレスリソース、例えば、有限数の、周波数帯域、時分割、及び/又は、識別符号(これらを「チャネル」と総称する。)の需要が、大幅に増大した。当然、チャネルは、インプリメントされた特定のエア(air)インタフェース標準、例えば、FDMA(frequency division multiple access)の周波数帯域と、TDMA(time division multiple access)のタイムスロットと、CDMA(code division multiple access)の符号(擬似ランダム、Walsh、OVSF(Orthogonal Variable Spreading Factor)等)等々、に基づいて、区別することができる。これら利用可能なリソースを効率的に使用するため、ワイヤレス通信システムが、地理的エリアを、基地局によりサービスされる複数の重なり合うカバレッジ(coverage)セルに、区分する、のが典型的である。各基地局が、タワー(tower)と、1つ又は複数のアンテナと、複数のワイヤレス通信デバイスをワイヤレス通信リンクのネットワーク側に接続することを可能にする無線機器と、を備えるのが、典型的である。
【0003】
予想される需要に対するモバイル無線ネットワークの展開及び成長を定義する計画プロセスが、ネットワークの運用及び管理に先行する、のが通常である。計画部門においては、目的のサービスエリア内における複数のBTS(base transceiver station)の適正配置を決定し、同様に、複数のBTSのコンフィグレーション(configuration)を決定するため、トラフィック及び伝搬環境の予測が使用される。このコンフィグレーションには、電力クラス、アンテナタイプ、アンテナ指向、又は周波数プラン、のような課題が包含され、このため、莫大な数のパラメータを設定することが必要になる。これらパラメータの中には、ひとたび決定されると、容易に変更することができないものがある(ひとたびタワーが立てられると、基地局のロケーションを変更できなのが、その例である。)。これに対して、ソフトウェアを簡単に更新して変更できるパラメータもある(搬送周波数の変更がその例である。)。ひとたび計画部門がサービスエリアのコンフィグレーションを決定すると、事業(operations)部門がこの計画を展開し、当該システムを立ち上げる(go live)ことができる。この段階で、実際のパフォーマンス測定値が(運転試験、ハンドセット測定、又はスイッチ統計のいずれかにより)収集され、この収集された実際のパフォーマンス測定値は、予測を確認するため、この計画部門にフィードバックされる。仮に(通常、損なわれたサービス品質の点で)矛盾がある場合には、この計画されたコンフィグレーションが微調整され、新しいコンフィグレーションが、展開のため、当該事業部門に戻される。この微調整プロセスは、システムパフォーマンスを向上させ、かつコンフィグレーションの大幅更新を要する変化(例えば、コールの量が予期せずに増加)も追跡するため、定期的に繰り返される。
【0004】
周波数再使用に依拠する無線モバイルネットワークにおいては、最適化する上で必要な主要なパラメータの1つは、各BTSにアロケートされた搬送周波数セットである。これらネットワークにおいて周波数をアロケートするのは、周波数は、干渉レベルが許容できなければ、各BTSにおいて全般に再使用できないからである。セルラーシステム事業者へは、この事業者が使用するための有限の数の搬送周波数が認可される。そこで、干渉レベルが許容できるようにし、同時に、(可能な限り周波数を再利用して)搬送周波数当たりの容量を最大化するため、どの周波数をどのBTSで使用できるかを決定しなければならない。1つのセットの各BTSの周波数の数が、トラフィックディメンショニング技術(traffic engineering dimensioning)によって既に定義されているとの仮定の下において、次の1)〜3)のようにするため、FAP(frequency allocation problem)は、周波数の有限のセットを複数のBTSにアロケートできるものとして、定義することができる。1)各BTSが必須の数の周波数を獲得し、2)周波数分離制約(frequency separation constraint)のセットが満足され、3)あるコスト関数(通常、干渉測定値の集まり)が最小化される。この周波数分離制約によれば、(同一のBTSにおいて隣接周波数を使用するような)過度な干渉を生じさせることが分かっている周波数の組み合せが排除され、あるいは、規制又は他の事業者との合意によって使用できない(国境地域におけるように)周波数の組み合せが排除される。
【0005】
自動周波数アロケーションシステムへの第1のアプローチは、特許文献1に記載があり、複数のBTSは、各BTSにおいて行われるダウンリンク測定に基づいて、使用周波数を選択する。このアプローチには、当該BTSは測定するため動作を停止しなければならないこと、アルゴリズム収束を保障し、かつ他の基地局での一時的なサービス障害(disruption)を回避するため、アンテナはオムニアンテナでなければならないこと、及び、局所最適(local optimum)(つまり、可能な複数のソリューションの、ある近傍で最適なソリューションではあるが、これら可能な複数のソリューションのセットの全体において最適でないソリューション)になるように当該コンフィグレーションが収束すること、において欠点がある。
【0006】
従来の技術における別の問題解決法が、特許文献2に記載されている。この問題解決法によれば、当該BTSが、メッセージを、BTSのセルラーエリア内の移動局に送信して、いずれの周波数で信号強度を測定すべきかが移動局に知らされる。ついで、この移動局は、選択された各周波数で信号強度を測定する。そして、この移動局は、測定された信号強度レベルをこれら移動局の基地局に通知する。移動局において測定された各周波数での測定された信号強度が、基地局において各周波数で測定された信号強度と合成される。各周波数での複合信号強度(composite signal strength)が計算される。そして、まだアロケートされていない周波数がアロケート済の周波数により干渉を生じさせないかを判定するため、各搬送周波数での複合信号強度が、当該セルラーシステムにより使用される。そして、このシステムは、システム周波数プランを更新して、任意のセル内のQoS(quality of service)を向上させるため、この情報を使用する。しかし、このシステムの欠点は、プロセスにより単一のセルエリアから測定データのみが使用され、単一のセルのために最適化された周波数が選択され、つまり、局所的に最適化された周波数がアロケートされる、点にある。加えて、任意の周波数の複合信号強度は、移動局と基地局の両方において測定された信号強度を合成したものであるので、この複合信号は、セクタ化されたアンテナを有するシステムにおける有効な干渉測定値を提供しない。この複合信号は、オムニ指向性BTSアンテナを有するシステムにおいて、正確な局所最適を提供する。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5212831号明細書
【特許文献2】米国特許第5966657号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、従来技術の欠点及び欠陥を克服し、システム全体の最適化のため複数のセルに周波数をアロケートすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、セルラーネットワークの異なる部分から測定値を収集し、収集された測定値の統計をとり、得られた統計をインベントリデータ、伝搬データ、及び地理的データと合成する方法及びシステムである。合成されたデータは、周波数アロケーションアルゴリズムの入力として使用される。この結果、アロケーションアルゴリズムは、周波数コンフィグレーションセット、提案されるコンフィグレーションの品質測定、及び/又は、複数のセルにおける周波数使用の再アロケーションを行うためセルラー基地局にフィードバックされる推奨セット、を生成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係るシステムは、図1に簡略化して示すセルラーシステムを考慮することにより、最も良く理解される。このセルラーシステムは、複数の伝送エリア「セル」101から構成される。各セルラーシステムにおいては、BTS(base transceiver station)102が、セルエリア101内の複数の移動局(MS; mobile station)103と通信する。本発明においては、複数の「移動局」が信号強度及び/又は干渉を測定する。これらの「移動局」には、セルラー携帯電話機と、リモートセンサと、BTSサイトその他のロケーションにおいてマウント可能な測定装置、又はBTSサイトその他のロケーションに統合された測定装置と、が含まれるが、これら移動局に含まれるものはこれらに限定されるものではない。これらのMS103は、無線リンク104に関する多くのパラメータを測定する。MS103は、測定されたパラメータを、無線リンク104を介して、BTS103に送信する。このBTS103は、収集されたパラメータデータを、通信リンク105を介して、基地局コントローラ106に通信する。この基地局コントローラ106は、収集されたリンクデータを分析サーバ107に転送する。この分析サーバ107は、コンピュータであり、複数のパラメータのうち、BSC106にフィードバックするのに最適なパラメータセットを評価し選択して、セルラーシステム100全体のパフォーマンスを最適化するため、1つ又は複数のアルゴリズムを実行する。サーバ107内において行われる統計的な処理には、複数のセル101から通知された情報を合成することも包含される。得られたデータ表現は、アロケーションアルゴリズム(allocation algorithm)に転送されることになる。このアロケーションアルゴリズムは、入力データを処理して、例えば、システム100全体のFAP(frequency allocation problem)を解決することになる。この処理結果は、複数のBTS102にダウンロードされることになる、システム100のために新たに最適化されたコンフィグレーションになる。
【0011】
いずれのセルラーシステムも直面する1つのコンフィグレーション問題が、システムに最適なパフォーマンスを提供する周波数セットを特定する問題である。このFAPは、アロケートされる必要がある周波数のセット全体を考慮することによって、直接に取り組むことができるが、通常、2つの問題に分けられる。すなわち、ビーコン周波数(つまり、サービスエリアを特定する基準として使用され、電力制御されない周波数)をアロケートする問題と、ビーコン周波数でない周波数をアロケートする問題と、に分けられる。このように問題を分ける理由は、ビーコン周波数が、通常、より厳しいパフォーマンス要件を有する点にある。とういのは、システムオペレーション全体が、ビーコン周波数に依存するからである。このため、周波数帯域を異なるグループに分割することにより、選択対象の可能な組み合せの数が少なくなるが、帯域を分割してビーコン周波数のロバストネス(robustness)を保障するのが、通常の戦略である。ひとたびこの帯域が分割されると、これら2つの問題がそれぞれFAPの例になる。ただし、異なる要件(異なる許容干渉レベルと、ビーコン周波数における電力制御及び合成ホッピング(synthesized hopping)のサポートに欠ける)を考慮に入れるため、これら2つの問題においては、異なるコスト関数を有することができる。ただし、2つのFAP事例のソリューションは、通常、同一のアルゴリズムに依拠する。
【0012】
純粋に数学的なFAPは、周知の組み合せ最適化問題である。この組み合せ最適化問題とは、複数の変数の一部又はすべてが整数であって、可能な選択の選択数が(非常に大きいが)有限であるときに、所望の目的を達成するため、限られたリソースを効率的にアロケートする問題である。この最適化は、関数を最大化又は最小化するアロケーション(これらは、それぞれ、通常、リウォード(reward)関数又はコスト関数という)を、探索し見つけ出すことにより、行われるが、制約又はペナルティを受ける可能性がある。組み合せ最適化問題に対するソリューション、すなわち、このような問題に対する最適ソリューションを求めることは、困難なタスク(task)となる可能性がある。組み合せ最適化問題においては局所最適ソリューションの数が多いので、最適ソリューションを求めることは困難であり、この問題に対する大域最適ソリューションは、特定のソリューションがすべての可能な組み合せを支配することを証明するため、必要なソリューションである。これは、ヒルクライミング(hill-climbing)に例えることができる。このヒルクライミングにおいては、探索アルゴリズムが最高点に向かって移動していく地形を、探索空間と看做すことができ、ここに、高さは、最適ソリューションに対する「近さ(closeness)」に対応する。しかし、登攀者(hill-climber)は、大域最適ソリューションである丘ではなく、局所最適ソリューションである丘に、留まる可能性がある。言い換えると、仮に多くの丘(局所最適ソリューション)により起伏に富む探索地形が形成されている場合において、当該アルゴリズムは、最も近い丘の上に辿り着き、さらに移動していくと低くなっていくので、この丘の上に留まるのであるが、実際には、最高点(大域最適ソリューション)はこの丘より高い別の丘の上にあるのである。
【0013】
正確にFAP大域最適を解決する技術は複数あるが、通常、これらの技術は複雑であるので、特にリアルタイムの応用においては、これらの技術は利用されずに排除される。そこで、局所最適ソリューションは、大抵の場合、許容できるものであり、幾つかの要件を満たすにすぎないソリューションであっても、大抵の場合、許容できるものである。局所最適ソリューションは、グリーディ(greedy)局所最適化アルゴリズム(開始点がランダムであり、コスト関数を向上させる近傍点に探索を移動させる)を使用して得ることができる。「good」ソリューションは、ヒューリスティックなソリューションアプローチ、すなわち、「good」であるが必ずしも最適ではないソリューションを迅速に得る技術であって、一般に、最適ソリューションに対するソリューションの「近さ」に関しては保証がない技術を使用して、求めることができる。
【0014】
本発明によれば、FAPを正常に得るには、次の2つの異なるモードがある。すなわち、一方のモードは、周波数アロケーションが、周波数ごとに(BTSごとに)変更され、プロセスが、当該システム内のすべてのBTSを対して繰り返されるモード(オンラインモード)である。他方のモードは、複数のBTSのシステム全体に対するソリューションが求められるまでアロケーションアルゴリズムが実行された後、そのソリューションが適用される別のモード(オフラインモード)である。このオンラインモードにおいては、周波数更新ごとに、新しい測定値の収集が要求されるが、通常、比較的局所的な最適ソリューションに収束する(すなわち、本システムは、当該システム全体からのデータを使用し、局所最適ソリューションのセットが見つけ出されるまで、繰り返すことになる)。しかし、現在のコンフィグレーションのインクリメンタルな変更のみが要求される。このオフラインモードにおいては、いくつかの局所最適ソリューションから最良のソリューションを選択すれば、より良いソリューションを求めることができる。しかし、通常、コンフィグレーションの完全なオーバーホール(overhaul)が要求されるが、この環境の変化に対する適応は遅い。いずれにしても、本発明によれば、周波数アロケーション決定が、1つのBTSによって収集された測定値だけでなく、システム全体の測定値に基づいて、行われることを要する。
【0015】
周波数アロケーションに適用される本発明の一実施形態を図2の流れ図に示す。本方法において、最初のステップで、測定データ100を収集する。当該システムが収集できる測定値のセットは、その範囲が、移動局により測定される信号強度及び信号品質(BTSに通知される)から、ドロップトコールレート(dropped call rate)までである。ドロップトコールレートはコアネットワークのスイッチに通知される。周波数アロケーションを最適化するため(202)、1つのBTSが選択される(202)。BTSによってカバーされたエリアが、複数の移動局からの測定データを使用し、BTSに関する信号レベル及び干渉レベルを計算し、カバレッジ(coverage)のための最低限の信号レベル及び干渉レベルを適用することによって、特定される(203)。現行の移動局は、ハンドオフ判定のため、BTSによって、通常、使用される測定データを収集する。本発明は、それらの測定値を使用して、中心位置で、アロケーション済みと未アロケーションの両方の、すべての周波数に対するコスト関数を計算すること(204)を提案する。前述した方法を使用して計算された干渉レベルに基づくコスト関数の一例を図3で示す。そして、アロケーション済みの周波数のいずれの1つのコスト関数よりも小さいコスト関数を有する未アロケーションの周波数が存在するかどうかを判定する(206)。存在しない場合には、ステップ202に戻り、新しいBTSを選択する。他方、存在する場合には、最小コスト関数値(205)を有する周波数で、現在の周波数を置き換える(205)。仮に全体的なシステム品質が満足できるか、又はアロケーションプロセスのためにあらかじめ設定されたタイマ時間を経過した場合、ステップ200に戻り、新しい測定値を収集し、プロセスを新たに開始する。しかし、システム最適化が行われておらず、あらかじめ設定された処理回数を超えていない場合には、ステップ202に戻り、周波数をアロケートするため、別のBTSを選択する。
【0016】
好ましい例においては、周波数アロケーションのコスト関数は、当該1つの移動局で受信される他のすべての周波数から、1つの送信機周波数での計算された干渉とすることができる。図3は、計算されたコスト関数として干渉レベルを使用する図2の完全なプロセスのための擬似コードを示す。
【0017】
周波数アロケーションのプロセスは、図3に示すように、変数I及び変数Jを0に初期設定し(301)、既存の周波数アロケーションにおけるすべてのトランシーバのRSSI(received signal strength measurement indicators )を入力する(316)、ことから開始される。Iは、選択され検査されるランダムネットワークレイアウトの数を表す変数であり、システム最適ソリューションを繰り返すために使用される(314)。言い換えると、Iの値が新しくなるごとに、当該システムは、新しいランダムシステムレイアウトを選択する。Jは、局所最適ソリューションを繰り返すために使用される変数である(315)。I及びJの最大値は、システムオペレータの経験に基づいて選択され、各回の実行が少なくとも1つだけの局所最適ソリューションに収束することを保障するため選択され、最良の局所最適ソリューションを求めるため、十分な回数実行される。
【0018】
ステップ304において、Jの値ごと、及び周波数mごとに、プロセスは、他の複数のトランシーバによる、トランシーバkにおける干渉を計算する。ステップ305において、周波数mごとに、プロセスは、他のすべてトランシーバにおいて、トランシーバkによる干渉を計算する。ステップ306において、各トランシーバkごと、及び周波数mごとに、ステップ304及びステップ305で計算された干渉レベルのサムである、トータルの干渉が計算される。これら干渉レベルは、当業者に周知の技術を使用して、同一の周波数上の、すべてのBTSからの信号強度に基づいて計算される。トランシーバごと、及び周波数ごとに、以上の計算された干渉値が、それぞれ、メモリに格納される(307)。
【0019】
新しいトランシーバがランダムに選択される(309)。選択されたトランシーバに関して、最低のトータルの計算された干渉を有する周波数が求められ、最低のトータルの計算された干渉を有する周波数が、現在アロケートされている周波数と同一でないか判定される(310)。同一でない場合には、プロセスは、ステップ309に戻り、新しいトランシーバをランダムに選択する。同一である場合には、プロセスは、すべてのシード及びラン(run)が実行されたかどうかを確認する。実行された場合には、所定の測定値セットに対するシステム最適ソリューションが、見つけ出される。各ランにおいて、Jをインデックス付けし、局所最適ソリューションを求める。各ランにおいて、Iをインデックス付けし、新しい局所最適ソリューションを求める。しかし、測定された周波数が、アロケートされた周波数と同一であるかどうかのステップに戻り(311)、同一でない場合には、その周波数がすべての周波数アロケーション規則(312)を満足するかどうかを検査する。(すべてのセルラーシステムは、周波数をアロケートするのに従わなければならない規則を有する。例えば、隣接する周波数は、同一の物理的場所における複数のBTS上で使用することができない。隣接するセルは、周波数が2チャネル分、分離されなければならない。2つのセルが、互いに干渉することが分かっており、同一の周波数を共用することができない。これらの規則は、しばしば、地理的区域において展開される所定のネットワークに固有のものであり、その区域の知識が得られるにつれ、時間とともに進化する。FAPは、周波数をアロケートする際に、これらの規則をすべて考慮に入れなければならない。)他方、規則を満たす場合には、その新しい周波数が、所定のトランシーバにアロケートされる周波数として、格納される(313)。他方、規則を満たさない場合には、プロセスは、ステップ309に戻り、新しいトランシーバをランダムに選択する。
【0020】
以上、周波数ホッピングを使用しないセルラーシステムにおけるシステム最適周波数アロケーションを求める方法を説明した。しかし、周波数ホッピングを使用するシステムにおいても、周波数アロケーション問題に対するソリューションは、やはり、前述した方法を使用して求めることができる。周波数ホッピングシステムの場合、1つのコスト関数は、ホッピングのために使用されるすべての周波数における平均の干渉である。
【0021】
本発明は、信号強度測定及び周波数アロケーション問題に限定されない。本発明は、各セルサービス提供エリア(serving area)内で収集された測定値に基づき、集中型サーバを使用して最適システムコンフィグレーションをリアルタイムで求めるという問題に対処する。本発明のシステムは、可能な測定値の次の部分的なリストの任意の1つ又は複数を使用してシステムを構成するのに、使用することができる。すなわち、(アップリンク信号強度、ダウンリンク信号強度、アップリンク信号品質、ダウンリンク信号品質、BTS当たりのドロップされたコールの数、BTS当たりのハンドオーバ失敗の数、1時間当たりの位置エリア別のページ回数(Pages per Location area per hour)、スイッチ当たりの最繁時コール試行回数(Busy Hour Call Attempts per switch)、1時間当たりのBTS毎のハンドオーバ回数、原因別の失敗したサービス要求の回数(Unsuccessful Requests for Service, per cause)、平均コール着信間タイム(Mean call inter-arrival time)、サービスエリアを特定する基地局送信電力レベル)である。
【0022】
加えて、本発明は、複数の移動局からの測定値をBTSに通知するための機構によって限定されるものではない。このような機構は、BTSへの組み込みが可能であり、通常、このような機構は、ハンドオフ管理、電力制御管理、又は監視のような他の目的のために、使用される。通知された測定値の中には、統計、例えば、通常の時間平均とすることができるものがある。ただし、複数の移動局からのデータをマージするのに、あるいは数時間、数日、又は数週間にわたって収集されたデータを要約するのに、さらなる統計処理が必要となる可能性がある。さらに、特に測定値がタイムスタンプ(測定の時刻を示す)又は位置データ(通常、GPS(Global Positioning System)デバイスからの移動局の座標)を伴う場合、異なる時刻、又は異なる場所で収集された測定値に異なる重みを与えることができる。アロケーションアルゴリズムがデータを効率的に使用することができるように、データを編成することもできる。さらに、測定データは、特に、利用できる測定値が飛び飛び(spotty)である場合、又は利用可能な測定値の量が統計的に有意ではない場合、予測されたデータと組み合わせることができる。
【0023】
以上、本発明の好ましい実施形態及び方法と考えられる実施形態及び方法を例示し、説明したが、本発明の真の範囲を逸脱しない限り、様々な変更及び改変を行うこと、及び好ましい実施形態及び方法の諸要素を均等物と置換できることは、当業者にとって当然のことである。さらに、本発明は、周波数アロケーション問題の他、多くの異なる用途にも使用することができることは、当然のことである。例えば、説明したシステムは、周波数ホッピングパラメータ、基地局電力設定、又はハンドオーバ制御パラメータの設定を最適化するのにも使用することができる。したがって、本発明は、本明細書で開示した特定の実施形態及び方法には限定されず、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】本発明に係る方法を示す流れ図である。
【図3】本発明に係る方法に従って周波数アロケーションアルゴリズムを実装する通常な擬似コードを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラー電気通信ネットワークを構成する方法であって、
複数の移動局において測定された複数のパラメータの1つ又は複数の測定値を収集するステップと、
前記測定値を複数のセルラー基地局に通知するステップと、
エレメントマネージャを介して前記複数の基地局から前記測定値をリモート集中型サーバに転送するステップと、
1つ又は複数の基地局からの前記測定値から前記複数の基地局ごとの品質パラメータを合成するステップと、
各基地局にインプリメントされる新しいパラメータであって、前記複数の基地局においてパフォーマンスが最適になる新しいパラメータを、前記リモート集中型サーバにおいて選択するステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1において、前記測定値は、周波数干渉の測定値であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2において、基地局にインプリメントされる前記新しいパラメータは、選択された周波数アロケーションであることを特徴とする方法。
【請求項4】
サービス提供エリアに少なくとも1つの基地局を有するワイヤレス電気通信ネットワークに対する最適な周波数アロケーションを決定する方法であって、
移動局において、該移動局によって受信された他のすべての周波数から、第1の周波数における干渉のレベルを測定するステップと、
前記測定値を集中型サーバに通知するステップと、
1つの周波数における前記測定された干渉のレベルを、前記移動局において測定された他のすべての周波数と比較するステップと、
すべての前記移動局における干渉レベルを全体的に最小にするため、前記基地局にそれぞれアロケートされる異なる周波数を、前記測定された周波数から選択するステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4において、最適化される周波数は、前記基地局のビーコン周波数であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4において、前記選択するステップは、
前記基地局に最適な局所最適周波数を最初に見つけるステップと、
選択された前記局所最適周波数から、前記システムからの大域最適ソリューションを求めるステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項4において、最適化される周波数は、前記送信機チャネル周波数であることを特徴とする方法。
【請求項8】
複数のセルラー無線基地局からパフォーマンスデータを受信する手段と、
前記パフォーマンスデータを格納する手段と、
セルラーシステムのパフォーマンスを向上させる新たらしいセルラーシステムパラメータを決定するため、前記パフォーマンスデータを使用する手段と、
前記新しいセルラーシステムパラメータを前記複数のセルラー無線基地局に通信する手段と
を備えたことを特徴とするコンピュータサーバ。
【請求項9】
請求項8において、前記パフォーマンスデータは、各送信機周波数ごとに測定され受信された信号強度であることを特徴とするコンピュータサーバ。
【請求項10】
請求項9において、前記パフォーマンスデータは、前記受信された信号強度に基づき計算された送信機周波数ごとの干渉測定値であることを特徴とするコンピュータサーバ。
【請求項11】
請求項10において、前記新しいセルラーシステムパラメータは、前記複数のセルラー基地局によって使用される前記周波数アロケーションであることを特徴とするコンピュータサーバ。
【請求項12】
セルラー電気通信システムにおいて周波数をアロケートする方法であって、
複数のセルラー基地局における信号強度であって、移動局により利用可能な周波数ごとに測定され受信された信号強度を、複数のモバイル端末装置から、受信するステップと、
複数のトランシーバによって利用可能な周波数ごとの干渉レベルを表す干渉レベル値を、前記セルラー基地局において、計算するステップと、
1つのトランシーバをランダムに選択するステップと、
計算された干渉レベル値のうちの前記選択されたトランシーバの最低干渉レベル値を有する周波数を識別するステップと、
前記識別された周波数が、前記選択されたトランシーバにアロケートされた周波数であるかどうかを判定し、前記識別された周波数が、前記選択されたトランシーバにアロケートされた周波数である場合、前記識別された周波数を前記新しいアロケートされた周波数にするステップと、
前記複数のセルラー基地局における複数のトランシーバに関して、前記識別するステップと前記判定するステップとを繰り返すステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12において、前記計算するステップは、
前記選択可能な周波数の1つに関して、測定値が通知されたセルにおける1つのトランシーバへの他のすべてのトランシーバによる第1の干渉レベル値を前記1つのトランシーバにおいて計算するステップと、
前記1つの周波数に関して、前記1つのトランシーバによる他のすべてのトランシーバへの第2の干渉レベル値を前記他のすべてのトランシーバにおいて計算するステップと、
前記第1の干渉レベル値と前記第2の干渉レベル値のサムをとり、前記1つの周波数に関するトータルの干渉レベル値を生成するステップと、
前記利用可能な周波数ごとに、第1の干渉レベル値を計算する前記ステップと、第2の干渉レベル値を計算する前記ステップと、サムをとる前記ステップと、を繰り返すステップと
をさらに備えたことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10において、前記パフォーマンスデータを使用する手段のうち、セルラーシステムパフォーマンスを向上させる新しいセルラーシステムパラメータを決定する手段は、請求項13に記載の方法をインプリメントすることを特徴とするコンピュータサーバ。
【請求項15】
複数のセルラー基地局における信号強度であって、移動局により利用可能な周波数ごとに測定され受信された信号強度を、複数のモバイル端末装置から、受信する手順と、
複数のトランシーバによって利用可能な周波数ごとの干渉レベルを表す干渉レベル値を、前記セルラー基地局において、計算する手順と、
1つのトランシーバをランダムに選択する手順と、
計算された干渉レベル値のうちの前記選択されたトランシーバの最低干渉レベル値を有する周波数を識別する手順と、
前記識別された周波数が、前記選択されたトランシーバにアロケートされた周波数であるかどうかを判定し、前記識別された周波数が、前記選択されたトランシーバにアロケートされた周波数である場合、前記識別された周波数を前記新しいアロケートされた周波数にする手順と、
前記複数のセルラー基地局における複数のトランシーバごとに、前記識別する手順と前記判定する手順とを繰り返す手順と
を、コンピュータにより実行させるためのコンピュータ可読プログラムコードを備えたコンピュータプログラムプロダクト。
【請求項16】
請求項15において、利用可能な周波数ごとに、前記干渉レベルを表す値を計算する手順は、
前記利用可能な1つの周波数に対して、複数のセル内の複数のトランシーバのうちの1つのトランシーバに対する残りのトランシーバによる第1の干渉レベル値であって、前記残りのトランシーバにより前記1つのトランシーバに通知された第1の干渉レベル値を、該1つのトランシーバにおいて、計算する手順と、
前記利用可能な1つの周波数に対して、前記残りのトランシーバに対する前記1つのトランシーバによる第2の干渉レベル値を、前記残りのトランシーバにおいて、計算する手順と、
前記利用可能な1つの周波数のトータルの干渉レベル値を生成するため、前記第1の干渉レベル値と前記第2の干渉レベル値とのサムをとる手順と、
前記利用可能な周波数の残りの周波数に対して、第1の干渉レベル値を計算する前記手順と、第2の干渉レベル値を計算する前記手順と、サをとる前記手順と、を繰り返す手順と
を、コンピュータにより実行させるためのコンピュータ可読プログラムコードを備えたコンピュータプログラムプロダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−504356(P2006−504356A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550112(P2004−550112)
【出願日】平成15年10月27日(2003.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2003/033870
【国際公開番号】WO2004/042971
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(399047921)テルコーディア テクノロジーズ インコーポレイテッド (61)
【Fターム(参考)】