説明

リカルバゼピンを含む経口マトリックス製剤

本発明は、医薬物質として10,11−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミド(「リカルバゼピン」とも称する。)を含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬物質として10,11−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミド(本明細書中、“リカルバゼピン(licarbazepine)”とも称される)を含む、医薬組成物に関する。
【0002】
本明細書で用いるリカルバゼピンなる用語は、(S)−10,11−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミドおよび(R)−10,11−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミドのラセミ混合物を示す。
【0003】
本発明において、リカルバゼピン、(S)−10,11−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミドおよび(R)−10,11−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミドの2個のエナンチオマーのうち一方を過剰に含む混合物、あるいはリカルバゼピンの実質的に純粋なまたは純粋な一方のエナンチオマーを医薬物質として用いることができ、そしてそれらを全部まとめて下記に“本発明の化合物”と称する。
【背景技術】
【0004】
リカルバゼピン(MHDとしても公知)は、文献[例えば、Schuetz H. et al., Xenobiotica (GB), 16(8), 769−778 (1986)を参照のこと]からよく知られており、そして例えばオクスカルバゼピンから出発して、例えばUS3,637,661に記載の通りに常套方法に従い合成することができる。
【0005】
リカルバゼピンの純粋なエナンチオマーは、ラセミ化合物から出発してそれ自体公知の方法により得られる。例えば、前記ラセミ化合物は、例えばWO02/092572に開示の通り、ジアステレオマーの形成を経てそのエナンチオマーに分離され得るか、または別法として、エナンチオマー純粋なキラル酸との塩形成によるか、またはクロマトグラフィー、例えばキラルリガンドを伴うクロマトグラフィー支持体を用いるHPLCにより、分離され得る。本発明の1つの態様において、リカルバゼピンの純粋なエナンチオマーを、実施例に記載のエナンチオマー選択方法により製造する。
【0006】
リカルバゼピンは、精神的障害、てんかん、三叉神経痛および脳性痙攣(cerebral spasticity)の処置に適することが指示される。リカルバゼピンのラセミ化合物およびその純粋なエナンチオマーの両方が、てんかんに対して等しく有効であることが証明された。本発明の化合物が、それらの抗痙攣効果を発揮する機構は、完全に理解されていないが、それらの働きは、一部分には、ニューロン膜を越えるイオン流動の影響のためであり得る。しかしながら、本発明の化合物の薬物動態、吸収部位および作用機構は、詳細には分かっていない。
【0007】
リカルバゼピンは、水にわずかに溶解性である(25℃で3.2mg/ml)。この物理的特性を考慮して、リカルバゼピンの非経腸的製剤を、例えばEP1033988に記載の通りに製造することができる。公知の非経腸的剤形の利点にも関わらず、本発明の化合物の有利な経口剤形を確立する必要が未だにある。経口剤形を用いて起こり得る問題の1つは、繰り返し投与による本発明の化合物の血中濃度の変動であり、それは副作用に関係し得る。
【発明の開示】
【0008】
徹底的な試験後、現在、驚くことに、1日1回の投与が可能であり、そして特に良好な耐容性で、かつ多様な患者集団において良好な生物学的利用能を有する、有利な制御放出型経口用医薬組成物が発見された。
【0009】
従って、1つの局面において、本発明は、少なくとも1個の本発明の化合物を含む、1日1回の投与に適する制御放出型経口用医薬組成物(以下、”本発明の経口剤形”と称する)に関し、特に、より良好な耐容性のための小さい変動指数および適当なCmin(最小血漿中濃度)値での持続的な症状制御を示し、さらに、高いAUC(濃度曲線下面積)および低いCmax(最高血漿中濃度)値の利点を有するものに関する。
【0010】
本発明の経口剤形は、患者が使用するのにより簡便かつ/または安全であり、そして治療に対する患者のコンプライアンスを増すという点で、他の経口剤形よりも顕著な利点を示し得る。患者は、本発明の経口剤形を1日1回摂取するだけでよい。
【0011】
本明細書で用いる“1日1回”なる用語は、20時間から28時間毎に1回、特に24時間毎に1回を意味する。
【0012】
本発明の好ましい経口剤形は、本発明の化合物、とりわけリカルバゼピン、ならびに親油性または親水性の、好ましくは親水性の、膨潤性物質を含む。
【0013】
かかる経口剤形において、本発明の化合物、とりわけリカルバゼピンは、組成物の全重量の55から80%の量、好ましくは65から70%、例えば約68%の量で存在し得る。
【0014】
本発明の化合物、とりわけリカルバゼピンは、好ましくは粗形態、すなわち、約20から約50μm、好ましくは約30から約50μm、より好ましくは約35から約45μm、例えば約40μmの中央粒子サイズ(median particle size)(x50)を有する形態で用いられる。
【0015】
錠剤形に通常用いられる膨潤性物質を用いることができ、適する膨潤性物質の多くの文献、特に、参照により本明細書に包含されるFiedlerの“Lexikon der Hilfsstoffe”, 4th edition, ECV Aulendorf (1996)(下記に“LdH”と称する)、および“Handbook of Pharmaceutical Excipients”, Wade and Weller, 3rd ed. (2000)(下記に、“HoPE”と称する)を参照できる。
【0016】
本発明の1つの態様において、前記経口剤形は、天然の、あるいは部分的または全体的に合成の、親水性ゴム、セルロース誘導体および水溶性タンパク質物質からなる化合物群、好ましくは天然の、あるいは部分的または全体的に合成の、陰イオン性または好ましくは非イオン性の、親水性ゴム、修飾セルロース物質および水溶性タンパク質物質からなる化合物群、例えばアカシアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンゴム、グアーゴム、カラヤゴム、寒天、ペプチン、カラギーン、可溶性または不溶性アルギネート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシポリメチレンおよびゼラチンからなる化合物群、好ましくは、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース物質からなる化合物群から選択される少なくとも1個の親水性膨潤物質を含む。ヒドロキシプロピルメチルセルロースがとりわけ好ましい。
【0017】
異なる粘度を有する本発明で用いる前記膨潤性物質を、HoPEに開示される通りに製造することができる。
【0018】
前記膨潤性物質は、組成物の全重量の約5から約45%の量で、好ましくは約5から約35%、より好ましくは約10から約15%、例えば約13%の量で存在し得る。
【0019】
前記膨潤性物質と医薬物質、とりわけリカルバゼピンの重量比は、約1:3から約1:10、好ましくは約1:4から約1:7、より好ましくは約1:5から約1:6であり得る。
【0020】
前記膨潤性物質は、2個以上の膨潤性物質の混合物であり得る。
【0021】
さらなる局面において、本発明は、指示される500mgの剤形について、例えば50rpmの撹拌速度でUSPの装置2(回転パドル)を用いて行われる、好ましくは約6.8のpHを有するリン酸緩衝液中、37℃での標準的インビトロ溶解試験で、使用するとき、該リカルバゼピンの約70から約90%、好ましくは約80から約90%が約8から12時間以内に放出されることを特徴とする、リカルバゼピンを含む制御放出型経口用医薬組成物に関する。
【0022】
本発明の1つの態様において、前記経口剤形には、錠剤コアおよびコーティングが含まれ、前記錠剤コアには、医薬物質、とりわけリカルバゼピン、少なくとも1個の親水性膨潤性セルロースエーテル、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ならびに所望により充填剤が含まれる。かかる経口剤形において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと医薬物質、とりわけリカルバゼピンの重量比は、約1:3から約1:10、好ましくは約1:4から約1:7、より好ましくは約1:5から約1:6であり得る。
【0023】
臨床試験、例えば生物学的利用能試験を、常套方法で行うことができる。例えば、それらは、500mg用量の本発明の化合物を用いて、7日またはそれ以上行うことができる。好都合には、少なくとも6人、例えば10人の対象が登録される。そのような試験において、本発明の経口剤形の修飾放出特性、生物学的利用能、食物の影響、安全性、耐容性、Cmax、Cminおよび/またはAUCを決定することができる。
【0024】
医薬物質の生物学的利用能は、溶解性などのその物理化学的特性、および薬物動態的特性、例えば吸収の部位、速度および程度に依存する。さらに、胃腸(GI)管の生理機能における変化が食物により誘導されることが知られている。これらの変化は、とりわけ、胃内容物排出の遅延、胆汁流動の刺激およびpH変化を生じさせ得る。食物はまた、内腔代謝および医薬物質との物理的または化学的相互作用を変化させ得る。それ故に、食物が医薬物質の生物学的利用能にも影響することは、驚くことではない。本明細書で用いる“食物の影響”なる用語は、食後の対象における医薬物質の生物学的利用能が、空腹時の対象におけるこの医薬物質の生物学的利用能とは異なることを意味する。食物の影響は、複雑で、かつ予測が困難であり、そして、例えば食事の性質、例えばその栄養分、水分量、カロリー量および温度に依存して変化し得る。それは、所定の医薬物質について食物の影響があるかないかは、徹底的な試験後にしか決定できない、ということである。
【0025】
医薬物質の生物学的利用能が、患者が食後かまたは空腹状態のどちらであるかに依存して相違するならば、好ましくない。このことは、食事の摂取に対してその投薬時間を合わせなければならない患者にとって、少なくとも不便であり得る。
【0026】
故に、リカルバゼピンの経口剤形を、患者の状態、すなわち、患者が食後または空腹状態にあるかどうかに関わらず、患者に投与することができることが発見されたことは、驚くべきことである。
【0027】
従って、さらなる局面において、本発明は、患者に投与するとき、食物の影響を有しない本発明の経口剤形に関する。
【0028】
さらなる局面において、本発明は、本発明の経口剤形、および、例えば書面の、使用のための指示(該指示は、前記経口剤形が、食後または空腹状態の患者に等しく投与できることを規定する)を含むパッケージに関する。
【0029】
より具体的には、本発明は、本発明の経口剤形を、例えば書面の、指示(該指示は前記経口剤形が食事と共にまたは無しで等しく投与できることを規定する)と組み合わせたパッケージに関する。
【0030】
食物の影響の存在または不存在は、当技術分野で公知の方法に従い、AUC測定および/またはCmax測定をすることにより定量することができる。典型的には、そのような測定は、生物学的体液試料を経時的に採取し、そして医薬物質、例えばリカルバゼピンの血清濃度を時間に対してプロットすることにより作成される。得られた値は、患者集団において対象から得られた多くの値を示し、それ故に、患者集団全体の平均値として表わされる。平均AUCおよび/またはCmax値を比較すると、前記医薬物質、例えばリカルバゼピンが、食物の影響を示すかどうかを決定することができる。
【0031】
“食後”対象は、好都合には、標準FDA認定高脂肪食摂取前に少なくとも10時間絶食した対象として見なされ得る。その後、医薬物質、例えばリカルバゼピンを、食事の終了後直ちに、例えばその5分以内に水と共に投与することができる。好ましくは、医薬物質、例えばリカルバゼピンの投与後2時間後には、少量の水の摂取が許されるが、医薬物質、例えばリカルバゼピンの投与後4時間は、食事を摂ってはならない。
【0032】
“空腹”対象は、好都合には、少なくとも10時間の絶食後に、水と共に医薬物質、例えばリカルバゼピンを摂取し得る。その後、医薬物質、例えばリカルバゼピンの投与後2時間後に少量の水を摂取して良いが、例えば4時間食事を摂ってはならない。
【0033】
本明細書で言及する“標準FDA認定高脂肪食”には、GI管中の食物の存在により最大摂動を供すると予期され得るいかなる食事も包含され得る。該高脂肪食は、典型的に、脂肪分をそのカロリー値の50%含み得る。代表的な例は、バターで炒めた2個の卵、ベーコン2切れ、バターを塗った2枚のトースト、4オンスのフライドポテトおよび8オンスのミルクであり得る。
【0034】
医薬物質の生物学的利用能への食物の影響を試験するため、何らかの当技術分野で公知の常套的試験デザイン、例えば無作為化、平衡化1回投与、2処置、2期間、2連、クロスオーバーデザインを用いることができる。その分析を、SAS institute, Cary, North Carolinaにより供されるソフトウェア、例えば、SAS PROC GLMを用いて行うことができる。
【0035】
本発明の経口剤形の食物の影響を含む生物学的利用能を決定するために適する実験デザインは、無作為化、非盲検、1回経口投与、クロスオーバー試験であり得、ここで、本発明の化合物を含む本発明の経口剤形の生物学的利用能と、所望によりオクスカルバゼピンフィルムコート錠剤を含んでいても良い本発明の同じ化合物の溶液の生物学的利用能を比較し、そして食後または空腹状態の健康な男性対象における食物の影響を評価することができる。
【0036】
試験において、例えばリカルバゼピン、オクスカルバゼピンフィルムコート錠剤(600mg)であり、例えば500mgのリカルバゼピンを含む本発明の経口剤形である医薬物質を、対象に対して240mlの水道水と共に投与できる。粉末として送達されるリカルバゼピン臨床供給形態(500mg)は、薬剤投与の前に水道水に溶かさなければならない。空腹状態を要する処置期間中、試験薬物の1回用量を、少なくとも10時間の一晩絶食後投与する。食後状態を要する処置期間中、各対象は、薬剤投与前30分以内に標準FDA認定高脂肪朝食を摂る必要がある。空腹状態を要する処置期間中、薬剤投与前に朝食を摂ってはならず、対象は、投薬後4時間まで絶食を継続しなければならない。安全性および耐容性モニタリングには、有害事象、理学的検査、血圧および心拍測定、ECG記録ならびに日常的臨床検査(血液化学、尿検査および血液学)の継続的なモニタリングが含まれる。
【0037】
最初の7日間に、対象は、空腹状態下で本発明の経口剤形のうち1個を与えられ、そして第二の期間に、前記対象は、食後状態下で同じ処置剤を与えられる。対象は、本発明の化合物の最初の投薬前の晩に、最低10時間の一晩絶食する(期間1)。例えば朝食時に投薬後、薬物動態的血液試料を適当な時間間隔で、例えば、投与後0.5、1、2、3、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、32および48時間に採り、そして分析に用いることができる。
【0038】
本発明の化合物の吸収プロフィールは、1回投与でかまたは定常状態でAUC測定をすることにより定量することができる。
【0039】
本発明の化合物の一定の血漿濃度は、本発明の化合物の血漿濃度が、小さい変動指数を示すことを示す。本発明の化合物のCmin値およびCmax値は、狭い範囲内に維持され得る。CminからCmaxの変動を測定するため、本発明の化合物の血漿濃度を定常状態で測定し、そして変動指数を、(Cmax−Cmin)/Cav(式中、Cmaxは最大濃度であり、Cminは最小濃度であり、そしてCavは平均濃度であり、それらは、定常状態で、一定の時間間隔、例えば24時間以内に観察される。)に従い計算する。
【0040】
minおよびCmaxの小さい変動は、患者にとって毒性となり得る、本発明の化合物の血漿濃度のピーク値を回避し得る。変動が小さいほど、本発明の化合物で処置される患者により良好な耐容性および安全性を提供し得る。
【0041】
従って、さらなる局面において、本発明は、医薬物質としてリカルバゼピンを含む本発明の経口剤形を投与することを含む、リカルバゼピンの経口療法中の患者におけるリカルバゼピンの生物学的利用能レベルの患者内変化を減ずる方法であって、食後または空腹状態の区別なく、例えば任意の時間にそのような患者に投与されたとき、食事の影響を示さない方法に関する。
【0042】
さらなる局面において、本発明は、感情障害を有する患者の処置用医薬の製造を目的とした、リカルバゼピンの使用に関する。
【0043】
本明細書で用いる用語“感情障害”には、行動安定化が望まれる、単極性および双極性鬱病、双極性障害、月経前不快気分障害、産後抑鬱症、閉経後鬱病、神経変性関連抑鬱症状、精神刺激薬摂取の休止後に起こる鬱病、精神病的状態、例えば躁病、統合失調症および過度の気分変化が含まれるが、それらに限定されない。
【0044】
感情障害の処置のための本発明の経口剤形の有用性は、標準的動物試験または標準的臨床試験、例えば双極性障害患者の臨床試験において、例えば、1日当たり約500から約3000mgの範囲のリカルバゼピン投与量を投与することで観察され得る。
【0045】
本発明の経口剤形を、常套方法にて成分を混合することにより製造することができる。結果の混合物は、常套的な打錠機で錠剤を形成するために圧縮され得る粉末形態であり得る。
【0046】
好都合には、本発明の経口剤形を、例えば、常套的には、常套的打錠法を用いて錠剤コアを形成するために打錠用賦形剤と共に本発明の化合物を圧縮し、次いでコアをコーティングすることにより製造することができる。錠剤コアを、常套的造粒法、例えば湿式造粒法または乾式造粒法、次いで圧縮およびコーティング法を用いて製造することができる。造粒法は、例えば、R. Voigt著、“Lehrbuch der Pharmazeutischen Technologie”, Verlag Chemie, 6th edition, pages 156−169に記載されている。
【0047】
顆粒を、それ自体公知の方法、例えば、“集積型(build−up)”顆粒または“崩壊型(broken−down)”顆粒の製造法として公知の湿式造粒法を用いて、製造することができる。
【0048】
集積型顆粒の形成のための方法には、例えば、造粒塊と造粒溶液を、例えばドラム型造粒機中、パン型造粒機中、ディスク型造粒機上または流動床中の噴霧乾燥または噴霧凝固により同時に噴霧して乾燥させること、または、例えば流動床中、バッチ混合機中または噴霧乾燥ドラム中で、不連続に操作することが含まれ得る。
【0049】
用いる方法に依存するが、前記造粒塊は、予混合物の形態であり得るか、または、例えば、本発明の化合物を1個またはそれ以上の賦形剤と共に混合することにより得ることができる。湿潤顆粒を、好ましくは、例えばトレイ乾燥することによるか、または流動床中で乾燥させる。
【0050】
本発明の経口剤形には、本発明の化合物に加えて、製剤の実際の性質に依存して変わる常用の賦形剤が含まれ得る。賦形剤の適する範疇には、充填剤、潤滑剤、フィルムコーティング剤、結合剤、流動促進剤、可溶化剤、界面活性物質および崩壊剤が含まれる。
【0051】
参照によりその内容を本明細書に包含される文献、例えばFiedlerの“Lexikon der Hilfsstoffe”, 4th Edition, ECV Aulendorfおよび“Handbook of Pharmaceutical Excipients”, Wade and Weller, Third Edition (2000)において開示される賦形剤は、本発明の医薬組成物に用いられ得る。好都合には、賦形剤は、剤形の40重量%未満含まれる。
【0052】
本発明者らは、下記のある賦形剤が、リカルバゼピンを含む本発明の経口剤形においてとりわけ興味深い特性を示すことを発見した。例えば、
i)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えば、
好ましくは、約1:4から約1:8の重量比の、Methocel 60 HG 4000 CP
約4000mPa sの2%水溶液粘度、26〜30%のメトキシ含有量、および7〜12%のヒドロキシプロピル含有量を有する、Methocel HG
約4,000mPa sの2%水溶液粘度、約90,000の数平均分子量、28.0〜30.0%のメトキシ含有量、および7.0〜12.0%またはそれと同等な量、例えば錠剤の10〜20%のヒドロキシプロポキシル含有量を有する、CR等級のMethocelE−4M
約50mPa sの2%水溶液粘度、約20,000の数平均分子量、28.0〜30.0%のメトキシル含有量、および7.0〜12.0%またはそれと同等な量(例えば、錠剤当たり10〜20重量%)のヒドロキシプロポキシ含有量を有する、Methocel E−50 Premium
のようなセルロースエーテル。
【0053】
総ヒドロキシプロピルメチルセルロースとリカルバゼピンの好ましい重量比は、顆粒内および外顆粒相内で約1:3から約1:10である。
【0054】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーは、単独または他の物質との組合せのどちらかで、薬剤の放出を修飾するマトリックス成分として用いられ得る。HPMCポリマーを含む本発明の経口剤形は、胃液への暴露により、胃液の剤形への浸透を防止するかまたは遅延し、それ故にその急速な分解を防止する膨潤マトリックスを形成することにより薬剤放出を延長し得る。ゲルマトリックスが、HPMCポリマーの水和の結果として形成され得る。オクスカルバゼピン、複数の賦形剤とHPMCの組合せを含む本発明の経口剤形の貯蔵期間中に、重要でない不安定性の問題が起こり得る。
【0055】
マトリックス成分としての使用に好ましい賦形剤は、メチルセルロースおよび、ヒドロキシプ口ピルメチルセルロース(hypromellose)のようなセルロースエーテル製品である。そのようなヒドロキシプ口ピルメチルセルロース製品は、酸化プロピレンを、セルロースのアンヒドログルコース単位上のヒドロキシプロピル置換を得るために、塩化メチルに加えて用い作製され得る。この置換基、−OCH2CH(OH)−CH3には、2番目の炭素上に第2級ヒドロキシが含まれ、また、セルロースのプロピレングリコールエーテルを形成すると考えられ得る。これらの製品は、ヒドロキシプロピルおよびメチル置換の様々な比、有機溶解性および水溶液の熱ゲル化温度に影響する因子を有する。
粘度は、好ましくは、20℃で100から120.000mPasである。
【0056】
かかる製品には、Dow Chemical company USAにより入手可能なMethocel製品が含まれる。その他には、FMCまたはSureleaseにより30重量%エチルセルロース分散液として入手可能なAquacoat(登録商標)のようなエチルセルロースがある。
【0057】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(上記の通り)、例えば、Pharmacoat(登録商標)603(Fiedler, loc.cit., p. 1172)として入手可能な、例えば約3mPa sの粘度を有するセルロース HPM 603の品質が、好ましい賦形剤である。それは、結合剤として作用し得る。ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体は、好ましくは、10,000から1,500,000ダルトンの分子量を有する。
【0058】
ii)約7cpsの2%水溶液粘度および44.0〜51.0%またはそれと同等な量、例えば7〜10%のエトキシ含有量を有するエチルセルロース、例えば、Ethocel Premium 7cps。
【0059】
iii)約100cpsの5%粘度、および約54〜77%またはそれと同等な量(例えば、錠剤当たり0.5〜5重量%)のヒドロキシプロポキシ含有量を有するヒドロキシプロピルセルロース、例えば、Klucel LF、またはヒドロキシエチルセルロース(HEC)。
【0060】
ヒドロキシプロピルセルロースは、例えば、5〜16重量%のヒドロキシプロピル含有量および80,000から1,150,000、より好ましくは140,000から850,000の分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースであり得る。
【0061】
他の結合剤の例には、
例えば、30,000〜120,000の分子量を有するデンプン、例えばじゃがいもデンプン、小麦デンプン、とうもろこしデンプン;
とりわけ、約1000の平均分子量および約500から2500の重合度を有するポリビニルピロリドン、例えばポビドン、
ならびに、Eudragit RL 30D(Handbook of Pharmaceutical Excipients loc.cit., p. 402)として公知の、≧100,000ダルトンの分子量を有するポリメチルアクリレート、例えば、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのコポリマー、
が含まれる。
【0062】
微結晶セルロースが存在するのが好ましい。それは、充填剤として用いられ得る。例には、Avicel(登録商標)型(FMC Corp.)、例えば、AVICEL PH101、102、105、RC581またはRC591型(Fiedler loc.cit., p. 216)、Emcocel(登録商標)型(Mendell Corp.)、Elcema(登録商標)型(Degussa)、Filtrak(登録商標)型、Heweten(登録商標)型またはPharmacel(登録商標)が含まれる。微結晶セルロースと本発明の化合物の好ましい重量比は、約1:3から約1:6であり、より好ましくは1:4から1:5である。
【0063】
もう1つの好ましい充填剤は、糖、糖アルコール、デンプンまたはデンプン誘導体、例えばラクトース、デキストロース、サッカロース、グルコース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、じゃがいもデンプン、とうもろこしデンプン、米デンプン、小麦デンプンまたはアミロペクチンのような炭水化物、リン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウムを含む、例えば、とりわけ所望により流動条件特性を有していて良い粉状充填剤である。
【0064】
ポリビニル−ポリピロリドンが存在するのが好ましい。好都合には、それは、崩壊剤として作用する。好ましい例は、架橋ポリビニルポリピロリドン、例えば、クロスポビドン、例えば、ポリプラスドン(登録商標)XL(Fiedler loc.cit., p. 1245)およびKollidon(登録商標)CL崩壊剤である。
【0065】
他の崩壊剤の例には、(i)トウモロコシデンプン、じゃがいもデンプンなどの天然デンプン、直接圧縮性デンプン、例えばSta−rx(登録商標)1500、修飾デンプン、例えばPrimojel(登録商標)、Explotab(登録商標)、Explosol(登録商標)として入手可能なカルボキシメチルデンプンおよびデンプングリコール酸ナトリウム、ならびにアミロースのようなデンプン誘導体;(ii)例えば、Ac−di−sol(登録商標)、Primellose(登録商標)、Pharmacel(登録商標)XL、Explocel(登録商標)およびNymcel(登録商標)ZSXとして入手可能な架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース;(iii)アルギン酸およびアルギン酸ナトリウム;(iv)メタクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマー塩、例えば、Amberlite(登録商標)IRP−88;ならびに、(vi)ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ベントナイト、アルギン酸およびアルギン酸塩が含まれる。
【0066】
コロイド状シリカ、例えばAerosil200(Fiedler, loc.cit., p117)は、好ましくは存在し得る。これらは、流動促進剤として作用し得る。他の流動促進剤の例には、シリカ、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルクおよびリン酸三カルシウムが含まれる。
【0067】
ステアリン酸マグネシウムは、好ましい賦形剤である。それは、潤滑剤として作用し得る。他の潤滑剤の例には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、タルク、ポリエチレングリコール、ステアリン酸、安息香酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(ドデシルアルコールモノ硫酸エステルナトリウム塩としても公知)、鉱物油およびモノステアリン酸ポリオキシエチレンが含まれ得る。潤滑剤の組合せもまた使用できる。
【0068】
粒状のリカルバゼピンはコートされ得る。適するコーティング材には、コーティング錠、顆粒などに日常的に用いられる物質が含まれる。態様の1つの群において、前記コーティングは水溶性である。態様のもう1つの群において、前記コーティングは、胃液に耐性であるが、腸液に可溶性である。
【0069】
他に記載がない限り、すべてのパーセンテージは、重量%である。
【0070】
本発明の経口剤形を、即時放出系と組み合わせることができる。組合せ剤は、即時放出系および本発明の化合物、例えばリカルバゼピンを含むマトリックス系を含む二層錠剤であり得る。二層錠剤は、本発明の化合物の2個の用量を含み得、その一方の部分は、持続放出用量を提供するのに適し、もう一方の部分は、即時放出用量を提供するのに適する。リカルバゼピンを含む錠剤に関して、即時放出により、本発明のインビトロでのリカルバゼピン溶解試験条件下で、0.5時間以内に用量の少なくとも90%、そして1.5時間以内に用量の100%の放出が意図される。
【0071】
本発明の1つの態様において、好ましくは500mgのリカルバゼピン用量を用いる。
【0072】
さらに、本発明は、下記:
・1日1回投与に適する、10,11−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミドおよび親水性膨潤性物質を含む制御放出型経口用医薬組成物;
・例えば、感情障害の処置を目的として10−ヒドロキシ−10,11−ジヒドロカルバマゼピンを経口投与する方法であって、10−ヒドロキシ−10,11−ジヒドロカルバマゼピン療法を必要とする患者に上記のいずれかに記載の医薬組成物を1日1回経口投与することを含む方法
を提供する。
【0073】
本発明の組成物および方法を、例示のみを目的として以下に記載する。実施例1において、500mgの医薬物質(粗医薬物質;x50:40ミクロン)を用いる。同様の方法において、750mg、250mgまたは125mgの医薬物質を含む錠剤を、製造することができる。
【0074】
【表1】

【実施例】
【0075】
実施例1:HPMCマトリックスに基づくリカルバゼピンの修飾放出型組成物
リカルバゼピン、微結晶セルロースおよびセルロースHPM603を含む予混合物を作製する。精製水を、その予混合物に添加し、それを高剪断混合機(Collette25)を用いて顆粒状にする。得られる顆粒をQuadracomillを用いて篩い、その後、流動床乾燥機(Aeromatic Fielder MP1)を用いて乾燥させる。ポリビニルポリピロリドンXL、微結晶セルロース、Methocel 60HG 4000 CPおよびAerosil200を、1mmメッシュを備えたFrewittミルを用いて乾燥顆粒と共に篩い、その後、蓋付き混合機(Turbula)を用いて混合する。ステアリン酸マグネシウムを、ハンドスクリーン(0.8mmメッシュ)を通して篩い、そして添加する。最終混合物を、蓋付き混合機(Turbula)を用いて混合する。
【0076】
最終混合物を、Korsch PH250打錠プレスを用いて圧縮する。その錠剤は、卵状、曲線形、長さ18.0mm、幅7.1mmおよび割線なしである。その錠剤重量は、730.00mgである。
【0077】
処方
【表2】

【0078】
実施例2:10−オキソ−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボン酸アミドからR(−)−10,11−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミドへのエナンチオマー選択的水素移動
10−オキソ−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボン酸アミド(300mg、1.189mmol)およびRuCl[(1R,2R)−p−TsNCH(C)CH(C)NH](η−p−シメン、Aldrich, Switzerland)(8.8mg、0.0138mmol)の混合物のCHCl溶液(15ml)に、ギ酸およびNEt(5:2、328mg:289mg)の予混合溶液を23℃で滴下し、そして10分間撹拌する。透明溶液を16時間加熱還流する。その反応混合物をRTまで冷却し、CHCl(20ml)で希釈し、そしてNaHCO水溶液で中和する。塩水で洗浄後、その溶液を減圧下で濃縮する。残渣を、溶離剤として6:1 EtOAc−MeOH混合物を用いてシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、R(−)−10,11−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミドを得る(HPLCによりChiracel ODで決定されるエナンチオマー純度(ee)>99%、保持時間:9.46分)。[α]rt=−195.3°(エタノール)。1H−NMR (400 MHz, CDCl3):7.70−7.20 (m, 8 H), 5.30 (br s,1 H), 5.10−4.60 (br s, 2 H), 3.75−3.40 (m, 1 H), 3.20−2.90 (m, 1 H), 2.50 (br s, 2 H)。NMRデータは、文献:Benes, J. et al., J. Med. Chem. 1999, 42, 2582−2587を引用。分子量:254.291。
【0079】
実施例3:10−オキソ−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボン酸アミドからS(+)−10,11−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミドへのエナンチオマー選択的水素移動
10−オキソ−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボン酸アミド(300mg、1.189mmol)およびRuCl[(1S,2S)−p−TsNCH(C)CH(C)NH](η−p−シメン)(11mg、0.0173mmol)の混合物のCHCl溶液(15ml)に、ギ酸およびNEt(5:2、656mg:578mg)の予混合溶液を23℃にて2回で添加し、そして10分間撹拌する。ギ酸(50μl)を添加後、透明溶液を16時間加熱還流する。反応混合物をRTまで冷却し、CHCl(20ml)で希釈し、そしてNaHCO水溶液で中和する。塩水で洗浄後、その溶液を減圧下で濃縮する。残渣を、溶離剤として6:1 EtOAc−MeOH混合物を用いてシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、S(+)−10,11−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミドを得る(HPLCによりChiracel ODでee>99%)。保持時間:12.00分。[α]rt=+196.6°(エタノール)。1H−NMR (400 MHz, CDCl3):7.70−7.20 (m, 8 H), 5.30 (br s, 1 H), 5.10−4.60 (br s, 2 H), 3.75−3.40 (m, 1 H), 3.20−2.90 (m, 1 H), 2.50 (br s, 2 H)。NMRデータは、文献:Benes, J. et al., J. Med. Chem. 1999, 42, 2582−2587を引用。分子量:254.291。
【0080】
別の製造法:10−オキソ−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボン酸アミド(300mg、1.189mmol)およびRuCl[(1S,2S)−p−ダンシルNCH(C)CH(C)NH](η−p−シメン)(8.5mg、0.012mmol)の混合物のCHCl溶液(15ml)に、ギ酸およびNEt(5:2、328mg:289mg)の予混合溶液を23℃にて滴下し、そして10分間撹拌する。その透明溶液を16時間加熱還流する。反応混合物をRTまで冷却し、CHCl(20ml)で希釈し、そしてNaHCO水溶液で中和する。塩水で洗浄後、その溶液を減圧下で濃縮する。残渣を、溶離剤として6:1 EtOAc−MeOH混合物を用いてシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、S(+)−10,11−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミドを得る。
【0081】
実施例4:RuCl[(1S,2S)−p−ダンシルNCH(C)CH(C)NH](η−p−シメン)の製造
a)(S,S)−5−ジメチルアミノ−ナフタレン−1−スルホン酸(2−アミノ−1,2−ジフェニル−エチル)−アミドの製造:(S,S)−ジフェニルエチレンジアミン(250mg、1.2mmol)およびトリエチルアミン(0.5ml)のTHF溶液に、ダンシルクロライド(318mg、1.2mmol)のTHF溶液(2ml)を0℃にて滴下する。16時間RTで撹拌後、溶媒を真空中で除去し、そして残渣をメチレンクロライド(20ml)中に溶解させる。有機溶液を、NaHCO溶液(5ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、そしてろ過後、溶媒を除去する。フラッシュクロマトグラフィーにより、(S,S)−5−ジメチルアミノ−ナフタレン−1−スルホン酸(2−アミノ−1,2−ジフェニル−エチル)−アミドを黄色油として得、それを真空中で乾燥することにより結晶化させる。M:445.59。1H−NMR (400 MHz, CDCl3):8.36 (t, J=7.5 Hz, 2 H), 8.17 (dd, J=7.2, 1.2 Hz, 1 H), 7.47 (dd, J=8.8 Hz, 1 H), 7.34 (dd, J=8.5 Hz, 1 H), 7.24−7.16 (m, 4 H), 7.11 (d, J=7.5 Hz, 1 H), 6.99−6.74 (m, 6 H), 4.61 (d, J=8.5 Hz, 1 H), 4.20 (d, J=8.5 Hz, 1 H), 2.80 (s, 6 H)。
【0082】
b)RuCl[(1S,2S)−p−ダンシルNCH(C)CH(C)NH](η−p−シメン)の製造:(S,S)−5−ジメチルアミノ−ナフタレン−1−スルホン酸(2−アミノ−1,2−ジフェニル−エチル)−アミド(80mg、0.18mmol)、NEt(36mg、0.36mmol)および[RuCl(p−シメン)](55mg、0.09mmol)の2−プロパノール溶液を、80℃で1時間加熱する。その後、溶媒を除去し、そして暗赤色残渣を水(2ml)で洗浄する。固体を真空中で乾燥させ、そしていかなる精製もなしに用いる。M:715.34。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10,11−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミド(リカルバゼピン)を含む、制御放出型経口用医薬組成物。
【請求項2】
リカルバゼピンおよび親水性または脂溶性膨潤性物質を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
親水性膨潤性物質が、組成物全体の5〜35重量%の割合で存在する、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
リカルバゼピンを組成物全体の55〜80重量%含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
20から50μmの中央粒子サイズ(median particle size)を有するリカルバゼピンを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
錠剤コアおよびコーティングからなり、前記コアが、リカルバゼピン、所望により充填剤、およびセルロースエーテルである少なくとも1個の親水性膨潤性物質を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースを親水性膨潤性物質として用いる、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
総ヒドロキシプロピルメチルセルロースとリカルバゼピンの重量比が、約1:3から約1:10である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
微結晶セルロースを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
リカルバゼピンを含む制御放出型経口用医薬組成物であって、500mgの剤形について、約6.8のpHを有するリン酸緩衝液中、50rpmの撹拌速度で、37℃での標準的インビトロ溶解試験において、使用するとき該リカルバゼピンの70〜90%が8から12時間以内に放出される、制御放出型経口用医薬組成物。
【請求項11】
請求項10に記載のリカルバゼピンを含む制御放出型経口用医薬組成物であって、500mgの剤形について、約6.8のpHを有するリン酸緩衝液中、50rpmの撹拌速度で、37℃での標準的インビトロ溶解試験において、使用するとき該リカルバゼピンの80〜90%が8から12時間以内に放出される、制御放出型経口用医薬組成物。
【請求項12】
1日1回の投与に適するリカルバゼピンおよび親水性膨潤性物質を含む、制御放出型経口用医薬組成物。
【請求項13】
感情障害を有する患者の処置用医薬の製造を目的とした、請求項1から12のいずれか一項に定義のリカルバゼピンおよび賦形剤の使用。
【請求項14】
リカルバゼピン治療の必要な患者に、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物を1日1回経口投与することを含む、例えば感情障害の処置のために、リカルバゼピンを経口投与する方法。

【公表番号】特表2007−529564(P2007−529564A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504334(P2007−504334)
【出願日】平成17年3月21日(2005.3.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002988
【国際公開番号】WO2005/092294
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】