説明

リジン特異的デメチラーゼ阻害剤

アレン、プロパルギル、シクロプロピルまたはその他の反応部分を有する、ポリアミン化合物、ポリアミン/グアニジノ化合物およびポリアミン/ビグアニド化合物が開示される。化合物は、酵素であるリジン特異的デメチラーゼ−1の不可逆的な阻害剤として、および癌の処置のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年4月13日に出願された米国仮出願第60/911,692号の利益を主張する。該米国仮出願第60/911,692号は、その全体が本明細書において参考として援用される。
技術分野
この発明は、アレン、プロパルギル、アルキニル、シクロプロピル、クロロメチルケトンまたはその他の反応部分を有し、リジン特異的デメチラーゼの阻害に有用な、ポリアミン化合物、ポリアミン/グアニジン化合物およびポリアミン/ビグアニド化合物に関する。該化合物は、癌の処置に有用である。
【背景技術】
【0002】
背景
ポリアミンは、真核および原核細胞で見られ、細胞周期および細胞分裂の制御に特に関わる。ポリアミン生合成を特異的に標的とする薬剤、例えばポリアミン誘導体等は、癌、寄生虫性疾患および他の適応症の治療においての治療効果を有することが示されてきた。これらの増殖抑制効果は、部分的に、薬剤によって誘発された、ポリアミン生合成の阻害、下方調節および/またはポリアミン異化の上方調節によってもたらされる、天然の細胞内ポリアミンの減少の結果であると証明されてきた。例えば、Wang and Casero, J, Biochem. 139:17 (2006)、Casero et al., Proc. West. Pharmacol. Soc. 48:24 (2005)、Casero et al., J. Med. Chem. 44:1 (2001)、米国特許5,889,061号、6,392,098号、6,794,545号、米国特許出願公報2003/0072715号、2003/0195377号、および国際特許出願WO98/17624号、WO00/66587号、WO02/10142号およびWO03/050072号を参照。Bi et al., Bioorgan. Med. Chem. Letters 16:3229 (2006)は、強力な抗トリパノソーマ活性を有する、新規のアルキルポリアミノグアニジンおよびアルキルポリアミノビグアニドについて議論する。
【0003】
近年発見された酵素であるリジン特異的デメチラーゼ1(LSD1)は、遺伝子発現のエピジェネティック制御に大きく関与することが示されてきた(Shi et al., Cell 119:941 (2004)および国際特許出願WO2006/071608号参照)。該LSD1酵素は、いくつかの形態のヒト癌において上方調節されると考えられる(Huang, Y.; Greene, E.; Murray-Stewart, T.; Goodwin, A.C.; Baylin, S.B.; Woster, P.M.; Casero, R.A.: Inhibition of the lysine specific demethylase, LSD1, by novel polyamine analogues results in re-expression of aberrantly silenced genes. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2007、未公開)。ジメチルリジン4ヒストンH3(H3K4me)は、遺伝子プロモーターにおける転写活性化クロマチンのマークであり、ポリアミンオキシダーゼのホモログであるLSD1によるこのマークの脱メチル化は、遺伝子発現を広く抑制し得る。このように、LSD1の特異的阻害剤は、ジメチルリジン4ヒストンH3(H3K4me)の脱メチル化を制限し、したがって多数の異常に不活性化された遺伝子の再発現を促進することにより、抗癌剤として作用する可能性を有する。LSD1の非競合的な阻害剤である新規な一連のポリアミノグアニジンおよびポリアミノビグアニドは、記載されており(国際特許出願WO2007/0218392およびBi et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16:3229 (2006)を参照)、それは、結腸癌の発達に重要な分泌型フリズルド関連タンパク質(SFRPs)およびGATAファミリーの転写因子の再発現を促進させる。これらの事象は、H3K4me2の増加、H3K9me1およびH3K9me2の抑制性のマークの減少、ならびに、いくつかの遺伝子では、これらの遺伝子のプロモーターにおけるCpGアイランドのDNAメチル化の減少とともに起こる。これらの薬剤は、抗癌治療の重要な新しい分野をもたらす。
【0004】
本出願は、アレン、プロパルギル、アルキニル、シクロプロピル、クロロメチルケトンまたはLSD1活性部位において共有結合を形成する他の部分を有するLSD1阻害剤を開示し、ひいてはLSD1の不可逆的阻害剤の新規のセットを提供する。
【発明の概要】
【0005】
発明の開示
本発明は、少なくとも1つのハロ基によって置換された−C(=O)C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−CH=C=CH、−C〜Cアルキル−C≡CH、−C〜Cアルキル−シクロプロパン、および、Rが独立してH、アルキルまたはアラルキルである−シクロプロピル−NRから選択される少なくとも1つの官能基を有するポリアミン、ポリアミン/グアニジンおよびポリアミン/ビグアニド化合物、ならびに癌の治療および予防のためのこれらの化合物の使用を包含する。一態様において、本発明は、−N(CH)(C〜Cアルキル−CH=C=CH)、−N(CH)(C〜Cアルキル−C≡CH)、−N(CH)(C〜Cアルキル−シクロプロパン)、−N(CH)(C(=O)C〜Cアルキル(少なくとも1つのハロ基によって置換されている))および、Rが独立してH、アルキルまたはアラルキルである−C〜Cアルキル−シクロプロピル−NRから選択される少なくとも1つの官能基を有するポリアミン、ポリアミン/グアニジンおよびポリアミン/ビグアニド化合物、ならびに癌の治療および予防のためのこれらの化合物の使用を包含する。一態様において、本発明は、アレン(−CH=C=CH)、プロパルギル(−CH−C≡CH)、シクロプロピルメチル
【化1】

クロロメチルカルボニル(−C(=O)CHCl)および1−N−メチルアミンシクロパ−2−イル
【化2】

式中、Rは、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、前記アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cアルキルである)
から選択される少なくとも1つの官能基を有するポリアミン、ポリアミン/グアニジンおよびポリアミン/ビグアニド化合物、ならびに癌の治療および予防のためのこれらの化合物の使用を包含する。他の態様において、本発明は、−N(CH)(CH−CH=C=CH)、−N(CH)(CH−C≡CH)、−N(CH
【化3】

式中、Rは、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、前記アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cアルキルである。)から選択される少なくとも1つの官能基を有するポリアミン、ポリアミン/グアニジンおよびポリアミン/ビグアニド化合物、ならびに癌の治療および予防のためのこれらの化合物の使用を包含する。一態様において、化合物は、リジンから誘導することができ、官能基として−NR−CH(−COOH)−(CHNR−、−NR−CH(−COOR)−(CHNR−または−NR−CH(−CONHR)−(CHNR−を有し、ここで、Rは、独立して、H、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、前記アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cアルキルである。また、本発明は、リジン特異的デメチラーゼ−1の阻害およびリジン特異的デメチラーゼ−1に関与する疾患の治療のためのこれらの化合物の使用を包含する。
【0006】
一態様において、本発明は、式(M):
E−X−A−NH−B−NH−A−X−E (M)
式中、それぞれのEは、独立して、水素、C〜Cの置換もしくは非置換アルキル、C〜C15の置換もしくは非置換のシクロアルキル、C〜C15の置換もしくは非置換分枝状アルキル、C〜C20の置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール、C〜C24の置換もしくは非置換のアラルキルもしくはヘテロアルキルもしくはヘテロアラルキル、C〜C24の置換もしくは非置換のヘテロアリール、または少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり、ただし、少なくとも1つのEは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、または各Rが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;それぞれのAは独立してC〜Cn−アルキルであり;Bは独立してC〜C12n−アルキルまたはC〜Cシクロアルキルから選択され;かつ、それぞれのXは独立して−NH−、−N(CH)−、−NH−C(=NH)−NH−および−NH−C(=NH)−NH−C(=NH)−NH−から選択される、
で表される化合物、ならびに、これらの全ての塩、溶媒和物、水和物、および立体異性体を包含する。
【0007】
他の態様において、Bは独立して、C〜Cn−アルキルから選択される。他の態様において、Bは、−(CH−である。
【0008】
他の態様において、少なくとも1つのEは、C〜Cアルキル−CH=C=CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHである少なくとも1つのEは、C〜Cn−アルキル−CH=C=CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHである少なくとも1つのEは、−CH−CH=C=CHである。
【0009】
他の態様において、少なくとも1つのEは、C〜Cアルキル−C≡CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−C≡CHである少なくとも1つのEは、C〜Cn−アルキル−C≡CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−C≡CHである少なくとも1つのEは、プロパルギル(−CH−C≡CH)である。
【0010】
他の態様において、少なくとも1つのEは、C〜Cアルキル−シクロプロパンである。他の態様において、C〜Cアルキル−シクロプロパンである少なくとも1つのEは、C〜Cn−アルキル−シクロプロパンである。他の変化形態において、C〜Cアルキル−シクロプロパンである少なくとも1つのEは、シクロプロピルメチル
【化4】

である。
【0011】
他の態様において、少なくとも1つのEは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである少なくとも1つのEは、クロロ基またはフルオロ基から選択される少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである少なくとも1つのEは、少なくとも1つのクロロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである少なくとも1つのEは、C(=O)(CHCHClであり、ここでnは1〜7である。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである少なくとも1つのEは、クロロメチルカルボニル(C(=O)CHCl)である。
【0012】
他の態様において、少なくとも1つのEは、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである。一態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである少なくとも1つのEは、Rが独立してH、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキルである、シクロプロピル−NRである。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである少なくとも1つのEは、1−N−メチルアミンプロパ−2−イル
【化5】

ここで、Rは、C〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキルである)である。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキル、またはアラルキルであるシクロプロピル−NRである少なくとも1つのEは、1−N,N−ジメチルアミノシクロプロパ−2−イルである。
【0013】
他の態様において、少なくとも1つのXは、−NH−C(=NH)−NH−および−NH−C(=NH)−NH−C(=NH)−NH−から選択される。他の態様において、少なくとも1つのXは、−NH−C(=NH)−NH−である。他の態様において、少なくとも1つのXは、−NH−C(=NH)−NH−C(=NH)−NH−である。他の態様において、それぞれのXは、独立して、−NH−C(=NH)−NH−および−NH−C(=NH)−NH−C(=NH)−NH−から選択される。他の態様において、両方のX基は、−NH−C(=NH)−NH−である。他の態様において、両方のX基は、−NH−C(=NH)−NH−C(=NH)−NH−である。他の態様において、一方のXは、−NH−C(=NH)−NH−であり、および他方のXは、−NH−C(=NH)−NH−C(=NH)−NH−である。
【0014】
一態様において、本発明は、少なくとも1つのハロ基によって置換された−C(=O)C〜Cアルキル、−C〜Cアルキル−CH=C=CH、−C〜Cアルキル−C≡CH、−C〜Cアルキル−シクロプロパン、および各Rが独立してH、アルキルまたはアラルキルである−シクロプロピル−NRから選択される少なくとも1つの官能基を有するポリアミン/グアニジンまたはN−アルキル化ポリアミン/グアニジン化合物、例えば、ポリアミノビスグアニジンまたはポリアミノビグアニドまたはこれらのN−アルキル化された異型を包含する。N−アルキル化ポリアミノグアニジンとは、2−メチルグアナジン誘導体などにおけるように、グアニジンのイミン窒素がアルキル化されたポリアミノグアニジンを意味する。一態様において、それぞれのAは、−(CH−であり、Bは、−(CH−である。他の態様において、それぞれのAは、−(CH−であり、Bは、−(CH−である。
【0015】
一態様において、化合物は、式(I):
【化6】

式中、nは1から12までの整数であり、mおよびpは独立して1から5までの整数であり、qは0または1であり、それぞれのRは、独立して、C〜C置換もしくは非置換アルキル、C〜C15置換もしくは非置換シクロアルキル、C〜C15置換もしくは非置換分枝状アルキル、C〜C20置換もしくは非置換アリール、C〜C20置換もしくは非置換ヘテロアリール、C〜C24置換もしくは非置換アラルキル、C〜C24置換もしくは非置換ヘテロアラルキル、または少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、少なくとも1つのRは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;それぞれのRは独立して水素またはC〜C置換もしくは非置換アルキルである、
で表されるポリアミノグアニジンまたはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【0016】
他の態様において、少なくとも1つのRは、C〜Cアルキル−CH=C=CHである。一態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHである少なくとも1つのRは、C〜Cn−アルキル−CH=C=CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHである少なくとも1つのRは、−CH−CH=C=CHである。
【0017】
他の態様において、少なくとも1つのRは、C〜Cアルキル−C≡CHである。一態様において、C〜Cアルキル−C≡CHである少なくとも1つのRは、C〜Cn−アルキル−C≡CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−C≡CHである少なくとも1つのRは、プロパルギル(−CH−C≡CH)である。
【0018】
他の態様において、少なくとも1つのRは、C〜Cアルキル−シクロプロパンである。他の態様において、C〜Cアルキル−シクロプロパンである少なくとも1つのRは、C〜Cn−アルキル−シクロプロパンである。他の異型において、C〜Cアルキル−シクロプロパンである少なくとも1つのRは、シクロプロピルメチル
【化7】

である。
【0019】
他の態様において、少なくとも1つのRは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである少なくとも1つのRは、クロロ基またはフルオロ基から選択される少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである少なくとも1つのRは、少なくとも1つのクロロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである少なくとも1つのRは、C(=O)(CHCHClであり、ここでnは1〜7である。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである少なくとも1つのRは、クロロメチルカルボニル(C(=O)CHCl)である。
【0020】
他の態様において、少なくとも1つのRは、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである。一態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである少なくとも1つのRは、それぞれのRが独立してH、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキルである、シクロプロピル−NRである。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである少なくとも1つのRは、1−N−メチルアミンプロパ−2−イル
【化8】

ここで、Rは、C〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cアルキルである)である。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである少なくとも1つのRは、1−N,N−ジメチルアミノシクロプロパ−2−イルである。
【0021】
一態様において、化合物は、式(I)で表されるものであり、ここで、1つのRは、C〜C20置換または非置換アリール、例えば、置換または非置換フェニルを含むがこれに限定されない、単環置換または非置換アリール、等である。一態様において、化合物は、式(I)で表されるものであり、それぞれのRはフェニルである。一態様において、qは1であり、mおよびpは3であり、ならびにnは4である。一態様において、qは1であり、mおよびpは3であり、ならびにnは7である。
【0022】
一態様において、化合物は、式(I)で表されるものであり、ここで、1つのRは、C〜C12またはC〜Cの置換または非置換アルキルであり、例えば、直鎖アルキル(linear alkyl)等である。Rは、C〜C置換または非置換直鎖アルキルであってもよく、例えば、メチルまたはエチル等であってもよい。一態様において、Rは、メチルである。Rは、直鎖アルキル基を含むシクロアルキル基などのC〜C15シクロアルキル基であるか、またはこれを含んでもよく、該シクロアルキル基は、アルキルまたはシクロアルキル部分のいずれかによって分子に結合されている。例えば、Rは、シクロプロピルメチルまたはシクロヘキシルメチルであってもよい。一態様において、Rは、イソプロピルなどのC〜C15分枝状アルキル基である。Rが、C〜C置換アルキルである場合、該置換アルキルは、第1級、第2級、第3級、または第4級アミンを含む任意の置換基によって置換されていてもよい。したがって、一態様において、Rが、例えば、アルキル−NHまたはアルキル−アミン−アルキル部分、例えば、−(CHNH(CHCH、ここでyおよびzは独立して1から8までの整数である、等であってもよいように、Rは、アミンによって置換されたC〜Cアルキル基である。一態様において、Rは、−(CHNHである。
【0023】
一態様において、化合物は、1つのRがC〜C24置換または非置換アラルキルである式(I)で表されるものであり、これは、一態様において、そのアルキル部分(例えば、ベンジル)を介して前記分子に結合しているアラルキルである。一態様において、それぞれのRは、アラルキル部分であり、ここで、当該部分のそのアルキル部分は、2つのアリール基で置換されており、当該部分は、そのアルキル部分を介して前記分子に結合されている。例えば、一態様において、少なくとも1つまたは両方のRは、アルキル部分が2つのフェニル基によって置換されたC〜C24アラルキルであり、例えば、Rが、2,2−ジフェニルエチルまたは、2,2−ジベンジルエチル等の場合である。一態様において、式(I)のそれぞれのRは、2,2−ジフェニルエチルであり、nは、1,2または5である。一態様において、式(I)のそれぞれのRは、2,2−ジフェニルエチルであり、nは、1,2または5であり、mおよびpはそれぞれ1である。
【0024】
一態様において、少なくとも1つのRは、水素原子である。少なくとも1つのRが水素である場合、他方のRは、アリール基、例えば、ベンジル等を含むRとして上述した任意の部分であってもよい。
【0025】
任意の上述した式(I)の化合物は、Rの少なくとも1つまたは両方が水素またはC〜C置換もしくは非置換アルキルである化合物を含む。一態様において、それぞれのRは、非置換アルキル、例えば、メチル等である。他の態様において、それぞれのRは、水素である。
【0026】
任意の上記に掲載した式(I)の化合物は、qが1であり、mおよびpが同一である化合物であってもよい。したがって、式(I)のポリアミノグアニジンは、ポリアミノグアニジン核に関して対称であってもよい(例えば、Rを除く)。あるいは、式(I)の化合物は、非対称であってもよく、例えば、qが0の場合である。一態様において、mおよびpは1である。一態様において、qは0である。一態様において、nは、1から5までの整数である。
【0027】
式(I)に関して開示されたR、R、m、n、pおよびqのそれぞれは、R、R、m、n、pおよびqのそれぞれのあらゆる組合せが具体的かつ個別に列記されたものと同じであるものとして、これらのすべての組合せを意図し、それらを含むことは、本開示から理解でき、明確に伝えられている。
【0028】
一態様において、化合物は、ポリアミノビグアニドまたはN−アルキル化ポリアミノビグアニドである。N−アルキル化ポリアミノビグアニドは、少なくとも1つのビグアニドの少なくとも1個のイミン窒素がアルキル化されたポリアミノビグアニドを意味する。一態様において、化合物は、式(II):
【化9】

式中、nは、1から12までの整数であり、mおよびpは、独立して1から5までの整数であり、qは0または1であり、それぞれのRは、独立して、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C20置換または非置換アリール、C〜C20置換または非置換ヘテロアリール、C〜C24置換または非置換アラルキル、C〜C24置換または非置換ヘテロアラルキル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、少なくとも1つのRは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり、かつ、それぞれのRは独立して水素またはC〜Cの置換もしくは非置換のアルキルである、
で表されるポリアミノビグアニドまたはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【0029】
一態様において、Rの1つは、C〜C置換または非置換アルキルであり、例えば、これらの式(I)に関して上に列記されたものである。例えば、Rが、C〜Cの置換アルキルである場合、該置換アルキルは、第1級、第2級、第3級、または第4級アミンを含む任意の置換基によって置換されていてもよい。したがって、一態様において、Rは、例えば、アルキル−NHまたは、−(CHNH(CHCH、ここでyおよびzは独立して1から8までの整数である、などのアルキル−アミン−アルキル部分であってもよいように、Rは、アミンによって置換されたC〜Cアルキル基である。一態様において、Rは、−(CHNHである。また、Rは、C〜C15置換もしくは非置換シクロアルキル、C〜C15置換もしくは非置換の分枝状アルキル、例えば、これらの上記式(I)で記載したものであってもよい。また、Rのうち1つは、C〜C20置換もしくは非置換アリール、例えば、これらの上記式(I)で掲載したものであってもよい。一態様において、qは1であり、mおよびpは3であり、ならびにnは4である。一態様において、qは1であり、mおよびpは3であり、ならびにnは7である。
【0030】
他の態様において、少なくとも1つのRは、C〜Cアルキル−CH=C=CHである。一態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHである少なくとも1つのRは、C〜Cn−アルキル−CH=C=CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHである少なくとも1つのRは、−CH−CH=C=CHである。
【0031】
他の態様において、少なくとも1つのRは、C〜Cアルキル−C≡CHである。一態様において、C〜Cアルキル−C≡CHである少なくとも1つのRは、C〜Cn−アルキル−C≡CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−C≡CHである少なくとも1つのRは、プロパルギル(−CH−C≡CH)である。
【0032】
他の態様において、少なくとも1つのRは、C〜Cアルキル−シクロプロパンである。一態様において、C〜Cアルキル−シクロプロパンである少なくとも1つのRは、C〜Cn−アルキル−シクロプロパンである。他の異型において、C〜Cアルキル−シクロプロパンである少なくとも1つのRは、シクロプロピルメチル
【化10】

である。
【0033】
他の態様において、少なくとも1つのRは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである少なくとも1つのRは、クロロ基またはフルオロ基から選択される少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである少なくとも1つのRは、少なくとも1つのクロロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである少なくとも1つのRは、C(=O)(CHCHClであり、ここでnは1〜7である。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである少なくとも1つのRは、クロロメチルカルボニル(C(=O)CHCl)である。
【0034】
他の態様において、少なくとも1つのRは、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである少なくとも1つのRは、それぞれのRが独立してH、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアラルキルのアルキル部分がC〜Cアルキルである、シクロプロピル−NRである。
【0035】
一態様において、化合物は、少なくとも1つまたは両方のRがC〜C24置換または非置換アラルキルである式(II)で表されるものであり、これは、一態様において、そのアルキル部分を介して前記分子に結合されているアラルキルである。一態様において、それぞれのRは、アラルキル部分であり、ここで、当該部分のそのアルキル部分は、1つまたは2つのアリール基で置換されており、かつ、当該部分は、そのアルキル部分にを介して前記分子に結合されている。例えば、一態様において、少なくとも1つまたは両方のRは、アルキル部分が2つのフェニル基またはベンジル基によって置換されたアラルキルであり、例えば、Rが2,2−ジフェニルエチルまたは2,2−ジベンジルエチルであるの場合である。一態様において、式(II)のそれぞれのRは、2,2−ジフェニルエチルであり、nは、1,2または5である。一態様において、式(II)のそれぞれのRは、2,2−ジフェニルエチルであり、nは、1,2または5であり、mおよびpはそれぞれ1である。
【0036】
任意の上述した式(II)の化合物は、Rの少なくとも1つまたは両方が水素またはC〜C置換もしくは非置換アルキルである化合物を含む。一態様において、それぞれのRは、非置換のアルキル、例えば、メチルである。他の態様において、それぞれのRは、水素である。
【0037】
任意の上記に掲載した式(II)の化合物は、qが1であり、mおよびpが同一である化合物を含む。したがって、式(II)のポリアミノグアニジンは、ポリアミノグアニジン核に関して対称であってもよい(例えば、Rを除く)。または、式(II)の化合物は、非対称であってもよく、例えば、qが0の場合である。一態様において、mおよびpは、1である。一態様において、qは0である。一態様において、nは、1から5までの整数である。一態様において、q、mおよびpは、それぞれ1であり、nは、1、2、または5である。
【0038】
式(II)に関して開示されたR、R、m、n、pおよびqのそれぞれは、R、R、m、n、pおよびqのそれぞれのあらゆる組合せが具体的かつ個別に掲載されたものと同じであるものとして、これらのすべての組合せを意図し、それらを含むことは、本開示から理解でき、明確に伝えられている。
【0039】
一態様において、化合物は、ポリアミンである。一態様において、前記ポリアミンは、式(III):
【化11】

式中、nは1から12までの整数であり;mおよびpは独立して1から5までの整数であり;RおよびRは、独立して、水素、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C20置換または非置換アリール、C〜C24置換または非置換アラルキル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、RおよびRのうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;それぞれのRは独立して水素またはC〜Cの置換もしくは非置換アルキルであり;R、R、R、RおよびRは、独立して、水素およびC〜C置換または非置換アルキルからなる群から選択され;かつ、ここで、mとpとは同じ整数ではない、または、R、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つは、C〜Cの置換または非置換アルキルである、
で表されるもの、あるいはその塩、溶媒和物、または水和物である。
【0040】
一態様において、Rは、C〜C置換または非置換アルキルである。Rが、C〜C置換アルキルである場合、該置換アルキルは、第1級、第2級、第3級、または第4級アミンを含む任意の置換基によって置換されていてもよい。したがって、一態様において、Rが、例えば、アルキル−NHまたはアルキル−アミン−アルキル部分、例えば、−(CHNH(CHCH、ここでyおよびzは独立して1から8までの整数である、等であってもよいように、Rは、アミンによって置換されたC〜Cアルキル基である。一態様において、Rは、−(CHNHCHCHである。
【0041】
一態様において、RおよびRのうち1つは、水素である。
【0042】
一態様において、RおよびRのうち1つは、C〜C置換または非置換アルキルであり、置換もしくは非置換n−アルキル(例えば、n−ペンチル)、置換もしくは非置換分枝状(C〜C)アルキル(例えば、2−メチルブチル)、または置換もしくは非置換(C〜C)シクロアルキル(例えば、シクロヘキシルメチル)を含むがこれに限定されない。より大きな鎖状アルキル(直鎖状、分枝状および環状)、例えばC〜C15置換または非置換アルキル、もまた考えられる。RおよびRのうち1つがC〜C置換または非置換n−アルキルである場合には、当該部分は、任意のn−アルキル、例えば、メチルまたはエチルであってもよい。RおよびRのうち1つが直鎖状、分枝状または環状にかかわらず置換アルキルである場合には、当該アルキルは、1または2以上の置換基、例えば、これらの「置換アルキル」において列記されたものによって置換されていてもよく、任意のハロゲンによって置換されたアルキル、例えば、パーフルオロアルキル、パークロロアルキル、例えばトリフロオロメチル、ペンタクロロエチルなどのパーハロアルキルを含むモノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキルまたはマルチハロアルキルを含む。
【0043】
一態様において、RおよびRのうち1つは、C〜C20置換もしくは非置換アリールである。一態様において、RおよびRのうち1つがC〜C20置換アリールであり、そのアリール基は、1または2以上の置換基、例えば、「置換アリール」において列記された置換基等によって置換されていてもよい。一態様において、RおよびRのうち1つがC〜C20置換アリールであり、そのアリール基は、1または2以上のアルコキシ(例えば、−OCH等)、アルキル(分枝状アルキル、例えば、tert−ブチル等、を含む)またはハロ基(例えば、フルオロ等)によって置換されていてもよい。一態様において、RおよびRのうち1つがハロ置換アリールまたはハロ置換アラルキル、例えば、2,4,5−トリフルオロフェニルまたは2,4,5−トリフルオロベンジル等である。一態様において、RおよびRのうち1つは、ジアルキル−モノアルコキシ置換アリールまたはアラルキルであり、例えば、4,5−ジ−tert−ブチル−2−メトキシベンジルまたは4,5−ジ−tert−ブチル−2−メトキシフェニル等である。
【0044】
一態様において、RおよびRのうち1つは、C〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキル、例えば、そのアルキル部分によって分子に結合されたアラルキルまたはヘテロアラルキル等である。一態様において、RおよびRのうち1つは、そのアルキル部分によって分子に結合された置換アラルキルまたはヘテロアラルキルである。置換アラルキルは、1または2以上の置換基、例えば、「置換アラルキル」の中に掲載された置換基等によって置換されていてもよく、置換ヘテロアラルキルは、1または2以上の置換基、例えば、「置換ヘテロアラルキル」の中に掲載された置換基等によって置換されていてもよい。一態様において、RおよびRのうち1つは、少なくとも1個の窒素原子を有する置換ヘテロアラルキルである。一態様において、RおよびRのうち1つは、少なくとも1個の窒素原子を有する単環ヘテロアラルキルである。一態様において、RおよびRのうち1つまたは両方は、1−(2−N−メチルピロリル)−メチルである。
【0045】
他の態様において、RおよびRのうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−CH=C=CHである。一態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるRおよびRのうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−CH=C=CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるRおよびRのうち少なくとも1つは、−CH−CH=C=CHである。
【0046】
他の態様において、RおよびRのうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−C≡CHである。一態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるRおよびRのうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−C≡CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるRおよびRのうち少なくとも1つは、プロパルギル(−CH−C≡CH)である。
【0047】
他の態様において、RおよびRのうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−シクロプロパンである。一態様において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるRおよびRのうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−シクロプロパンである。他の変形態様において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるRおよびRのうち少なくとも1つは、シクロプロピルメチル
【化12】

である。
【0048】
他の態様において、RおよびRのうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるRおよびRのうち少なくとも1つは、クロロ基またはフルオロ基から選択される少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるRおよびRのうち少なくとも1つは、少なくとも1つのクロロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるRおよびRのうち少なくとも1つは、C(=O)(CHCHClであり、ここで、nは、1〜7である。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるRおよびRのうち少なくとも1つは、クロロメチルカルボニル(C(=O)CHCl)である。
【0049】
他の態様において、RおよびRのうち少なくとも1つは、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである。一態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるRおよびRのうち少なくとも1つは、ここでそれぞれのRが独立してH、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分がC〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキルである、シクロプロピル−NRである。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるRおよびRのうち少なくとも1つは、1−N−メチルアミンプロパ−2−イル
【化13】

ここで、Rは、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cアルキルである)である。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるRおよびRのうち少なくとも1つは、1−N,N−ジメチルアミノシクロプロパ−2−イルである。
【0050】
一態様において、R、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つまたは少なくとも2つまたは少なくとも3つは、C〜C置換または非置換アルキルである。R、R、R、RおよびRは、C〜C置換または非置換アルキルであってよい。一態様において、R、R、R、Rのうち少なくとも1つまたは少なくとも2つまたは少なくとも3つは、非置換n−アルキル、例えば、メチル、エチル等である。一態様において、RおよびRの両方は、メチルまたはエチルである。一態様において、RおよびRのうち少なくとも1つは、メチルまたはエチルである。一態様において、Rは、メチルである。
【0051】
式(III)に関して開示されたR、R、R、R、R、R、R、m、n、y、zおよびqのそれぞれは、R、R、R、R、R、R、R、m、n、y、zおよびqのそれぞれのあらゆる組合せが具体的かつ個別に列記されたものと同じであるものとして、これらのすべての組合せを意図し、それらを含むことは、本開示から理解でき、明確に伝えられている。
【0052】
一態様において、前記ポリアミンは、式(IV):
【化14】

式中、A、R10およびR11は、独立して、(CHまたはエテン−1,1−ジイルであり、;nは1から5までの整数であり;R12およびR13は、独立して、水素、C〜C置換または非置換アルケニル、C〜C置換または非置換アルキル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、R12およびR13のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;かつ、それぞれのRは独立して水素またはC〜Cの置換もしくは非置換アルキルである、
で表されるもの、あるいはその塩、溶媒和物、または水和物である。一態様において、A、R10、R11、R12およびR13はアルケニル部分を含む。一態様において、A、R10およびR11のうちいずれかが、アルケニルである場合、そのアルケン部分は、窒素原子に直接連結する鎖から分枝しており、すなわち、A、R10、および/またはR11を挟んでいる一方の窒素原子から他方の挟んでいる窒素までの最短の経路に沿った炭素の節中で、1個より多いsp−混成の炭素は発生しない。例えば、Aがエテンの場合、Aを含むセグメントは、−CH(=CH)−CH−の形態となっており、A部分を含む窒素の間の最短の炭素の経路にある3個の節は、1つのsp−混成した炭素を有するにすぎない。Aがプロペンである場合、Aを含むセグメントは、−CHC(=CHCH)−CH−または−CHC(−CH=CH)−CH−の形態であり得る。
【0053】
一態様において、Aは、(CHであり、nは、1である。一態様において、Aは、エテン−1,1−ジイルである。一態様において、Aは、(CHであり、R12およびR13のうち1つまたは両方は、アルケニル部分、例えば、プロペン−2−イル等を含む。
【0054】
一態様において、R10およびR11のうち1つまたは両方は、エテン−1,1−ジイルである。一態様において、R10およびR11の両方は、(CH、例えば、CH(n=1の場合)である。
【0055】
一態様において、R12およびR13のうち少なくとも1つは、水素である。一態様において、R12およびR13のうち少なくとも1つは、C〜C置換または非置換アルケニル、例えば、プロペン−2−イル等である。一態様において、R12およびR13のうち少なくとも1つは、C〜C置換または非置換アルキル、例えば、メチルまたはエチルまたは式(I)、(II)、(III)のいずれか1つに関して上述した任意のC〜C置換または非置換アルキル等である。
【0056】
他の態様において、R12およびR13のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−CH=C=CHである。一態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるR12およびR13のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−CH=C=CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるR12およびR13のうち少なくとも1つは、−CH−CH=C=CHである。
【0057】
他の態様において、R12およびR13のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−C≡CHである。一態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるR12およびR13のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−C≡CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるR12およびR13のうち少なくとも1つは、プロパルギル(−CH−C≡CH)である。
【0058】
他の態様において、R12およびR13のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−シクロプロパンである。一態様において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるR12およびR13のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−シクロプロパンである。他の異型において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるR12およびR13のうち少なくとも1つは、シクロプロピルメチル
【化15】

である。
【0059】
他の態様において、R12およびR13のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR12およびR13のうち少なくとも1つは、クロロ基またはフルオロ基から選択される少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR12およびR13のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのクロロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR12およびR13のうち少なくとも1つは、C(=O)(CHCHClであり、ここで、nは、1〜7である。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR12およびR13のうち少なくとも1つは、クロロメチルカルボニル(C(=O)CHCl)である。
【0060】
他の態様において、R12およびR13のうち少なくとも1つは、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR12およびR13のうち少なくとも1つは、シクロプロピル−NRであり、ここでそれぞれのRは独立してH、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキルである。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR12およびR13のうち少なくとも1つは、1−N−メチルアミンプロプ−2−イル
【化16】

ここで、Rは、C〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cアルキルである)である。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR12およびR13のうち少なくとも1つは、1−N,N−ジメチルアミノシクロプロパ−2−イルである。
【0061】
式(IV)に関して開示されたA、n、R10、R11、R12、およびR13のそれぞれは、A、n、R10、R11、R12、およびR13のそれぞれのあらゆる組合せが具体的かつ個別に列記されたものと同じであるものとして、これらのすべての組合せを意図し、それらを含むことは、本開示から理解でき、明確に伝えられている。
【0062】
一態様において、ポリアミンは、式(V):
【化17】

式中、nは1から8までの整数であり;mは1から8までの整数であり;R15およびR14は、独立して、水素、C〜Cの置換または非置換のn−アルキルまたは(C〜C)分枝状アルキル、C〜C20の置換または非置換のアリールまたはヘテロアリール、C〜C24の置換または非置換のアラルキルまたはヘテロアラルキル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、R14およびR15のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;それぞれのRは独立して水素またはC〜C置換もしくは非置換アルキルであり;R16およびR17は、独立して水素またはC〜C置換もしくは非置換アルキルであり;かつ、ここで、前記化合物は、R17がC〜Cの置換アルキルである場合を除いて3つ以下の第2級アミノ基を含み、さらにここで、前記化合物は、メチルホスホナートまたは水酸基部分を有しない、
で表されるもの、あるいはその塩、溶媒和物、または水和物である。
【0063】
一態様において、R15およびR14のうち少なくとも1つは、水素である。一態様において、R15およびR14のうち少なくとも1つは、置換または非置換n−アルキル、置換または非置換(C〜C)分枝状アルキル、例えば、メチル、エチル、3−メチル−ブチル、2−エチル−ブチル、5−NH−ペンタ−1−イル、プロパ−1−イル−メチル(フェニル)ホスフィネート等あるいは、式(I)−(IV)に関して上記に掲載された任意の置換もしくは非置換のn−アルキル、または置換もしくは非置換の分枝状(C〜C)アルキルである。一態様において、R15およびR14のうち少なくとも1つは、置換または非置換n−アルキル、例えば、メチル(フェニル)ホスフィナート部分と置換したn−アルキルまたはNH−置換n−アルキル等である。一態様において、R15およびR14のうち1つは、置換もしくは非置換n−アルキル、または置換もしくは非置換分枝状(C〜C)アルキル部分、例えば、R15およびR14のうち1つが3−メチル−ブチルである場合、またはR15およびR14のうち1つが2−エチルブチルである場合等、である。
【0064】
一態様において、R15およびR14のうち1つは、C〜C24の置換または非置換のアラルキルまたはヘテロアラルキルである。一態様において、R15およびR14のうち1つは、2環を有するC〜C24の置換または非置換のアラルキルまたはヘテロアラルキル、例えば、2−フェニルベンジル、4−フェニルベンジル、2−ベンジルベンジル、3−ベンジルベンジル、3,3−ジフェニルプロピル、3−(ベンゾミイミダゾリル)−プロピル等である。一態様において、R15およびR14のうち1つは、単環を有するC〜C24の置換または非置換のアラルキルまたはヘテロアラルキル、例えば、4−イソプロピルベンジル、4−フルオロベンジル、4−tert−ブチルベンジル、3−イミダゾリル−プロピル、2−フェニルエチル等である。一態様において、R15およびR14のうち1つは、C〜C24の置換または非置換のアラルキルまたはヘテロアラルキル、例えば、任意の他の式について列記した具体的な置換または非置換のアラルキルまたはヘテロアラルキル部分等である。
【0065】
他の態様において、R15およびR14のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−CH=C=CHである。一態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるR15およびR14のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−CH=C=CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるR15およびR14のうち少なくとも1つは、−CH−CH=C=CHである。
【0066】
他の態様において、R15およびR14のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−C≡CHである。一態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるR15およびR14のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−C≡CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるR15およびR14のうち少なくとも1つは、プロパルギル(CH−C≡CH)である。
【0067】
他の態様において、R15およびR14のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−シクロプロパンである。一態様において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるR15およびR14のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−シクロプロパンである。他の変化形態において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるR15およびR14のうち少なくとも1つは、シクロプロピルメチル
【化18】

である。
【0068】
他の態様において、R15およびR14のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR15およびR14のうち少なくとも1つは、クロロ基またはフルオロ基から選択される少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR15およびR14のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのクロロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR15およびR14のうち少なくとも1つは、C(=O)(CHCHClであり、ここで、nは、1〜7である。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR15およびR14のうち少なくとも1つは、クロロメチルカルボニル(C(=O)CHCl)である。
【0069】
他の態様において、R15およびR14のうち少なくとも1つは、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR15およびR14のうち少なくとも1つは、シクロプロピル−NRであり、ここでそれぞれのRは独立してH、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキルである。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR15およびR14のうち少なくとも1つは、1−N−メチルアミンプロプ−2−イル
【化19】

ここで、Rは、C〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cアルキルである)である。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR15およびR14のうち少なくとも1つは、1−N,N−ジメチルアミノシクロプロパ−2−イルである。
【0070】
任意の式(V)の化合物について、mおよびnは、同一であってもよいし異なっていてもよい。一態様において、mはnと同一ではなく、例えば、mは1であり、またnは2である。例えば、一態様において、mは1であり、またnは2である。しかしながら、m、n、R15およびR14のすべてのありうる組合せが意図されていることは、認識できる。
【0071】
一態様において、R16およびR17のうち少なくとも1つまたは両方は、水素である。一態様において、R16およびR17のうち少なくとも1つまたは両方は、C〜C置換または非置換アルキル、例えば、メチル、エチル、および例えば−NH−C〜Cアルキルにより置換されたC〜Cアルキル、例えば、R16およびR17が−(CHNHCHCHである場合、である。
【0072】
式(V)に関して開示されたR14、R15、R16、R17、mおよびnのそれぞれは、R14、R15、R16、R17、mおよびnのそれぞれのあらゆる組合せが具体的かつ個別に列記されたものと同じであるものとして、これらのすべての組合せを意図し、それらを含むことは、本開示から理解でき、明確に伝えられている。
【0073】
一態様において、ポリアミンは、式(VI):
【化20】

式中、nは1から12までの整数であり;mおよびpは独立して1から5までの整数であり;R18およびR19は、独立して、水素、C〜C非置換−アルキル(例えば、メチル、エチル、tert−ブチル、イソプロピル、ペンチル、シクロブチル)、少なくとも2つの環を有するシクロアルキル基により置換されたC〜Cn−アルキル、少なくとも2つの環を有するC〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、および各Rが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、R18およびR19のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、または各Rが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;かつ、それぞれのRは独立して水素またはC〜C置換もしくは非置換アルキルである、
で表されるもの、あるいはその塩、溶媒和物、または水和物である。1つの異型としては、R18およびR19が同一である場合には、nは1である。
【0074】
一態様において、R18およびR19のうち少なくとも1つは、少なくとも2つの環を有するシクロアルキル基により置換されたC〜Cn−アルキルである。前記少なくとも2つの環を有するシクロアルキル基は、スピロ、縮合または架橋したシクロアルキル基である。少なくとも2つの環を有するシクロアルキル基により置換されたC〜Cn−アルキルの代表例は、2−(6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル)エチルおよび2−(デカヒドロナフチル)エチルなどの部分を含む。一態様において、R18およびR19のうち少なくとも1つは、2−(6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル)エチルである。一態様において、R18およびR19のうち少なくとも1つは、2−(デカヒドロナフチル)エチルである。
【0075】
一態様において、R18およびR19のうち少なくとも1つは、少なくとも2つの環を有するC〜C24の置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルであり、これらの環は、縮合していてもよいが、縮合されていることを要求されない。式(VI)に関しての置換アラルキルまたはヘテロアラルキルは、アリールまたはヘテロアリール基、すなわち、−C(=O)−アリール、−C(=O)−アラルキル、−C(=O)−ヘテロアリール、−C(=O)−ヘテロアラルキルによって置換されたアルカノイル部分を意味し、かつ含む。一態様において、アラルキルまたはヘテロアラルキル部分のアルキル部分は、そのアルキル部分によって分子に結合されている。例えば、R18およびR19のうち少なくとも1つは、アラルキル部分、例えば、2−フェニルベンジル、4−フェニルベンジル、3,3−ジフェニルプロピル、2−(2−フェニルエチル)ベンジル、2−メチル−3−フェニルベンジル、2−ナプチルエチル、4−(ピレニル)ブチル、2−(3−メチルナプチル)エチル、2−(1,2−ジヒドロジヒドロアセナフサ−4−イル)エチル(2-(1,2-dihydroacenaphth-4-yl)ehtyl)などであってもよい。他の態様において、R18およびR19のうち少なくとも1つは、ヘテロアラルキル部分、例えば、3−(ベンゾイミダゾリル)プロパノイル、1−(ベンゾイミダゾリル)メタノイル、2−(ベンゾイミダゾリル)エタノイル、2−(ベンゾイミダゾリル)エチルなどであってもよい。
【0076】
他の態様において、R18およびR19のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−CH=C=CHである。一態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるR18およびR19のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−CH=C=CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるR18およびR19のうち少なくとも1つは、−CH−CH=C=CHである。
【0077】
他の態様において、R18およびR19のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−C≡CHである。一態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるR18およびR19のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−C≡CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるR18およびR19のうち少なくとも1つは、プロパルギル(−CH−C≡CH)である。
【0078】
他の態様において、R18およびR19のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−シクロプロパンである。一態様において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるR18およびR19のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−シクロプロパンである。他の異型において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるR18およびR19のうち少なくとも1つは、シクロプロピルメチル
【化21】

【0079】
他の態様において、R18およびR19のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR18およびR19のうち少なくとも1つは、クロロ基またはフルオロ基から選択される少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR18およびR19のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのクロロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR18およびR19のうち少なくとも1つは、C(=O)(CHCHClであり、ここで、nは、1〜7である。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR18およびR19のうち少なくとも1つは、クロロメチルカルボニル(C(=O)CHCl)である。
【0080】
他の態様において、R18およびR19のうち少なくとも1つは、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR18およびR19のうち少なくとも1つは、シクロプロピル−NRであり、ここでそれぞれのRは独立してH、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキルである。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR18およびR19のうち少なくとも1つは、1−N−メチルアミンプロプ−2−イル
【化22】

ここで、Rは、C〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cアルキルである)である。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR18およびR19のうち少なくとも1つは、1−N,N−ジメチルアミノシクロプロパ−2−イルである。
【0081】
一態様において、m、nおよびpのそれぞれは、同一であり、例えば、m、nおよびpがそれぞれ1である場合である。
【0082】
式(VI)に関して開示されたR18、R19、m、nおよびpのそれぞれは、R18、R19、m、nおよびpのそれぞれのあらゆる組合せが具体的かつ個別に列記されたものと同じであるものとして、これらのすべての組合せを意図し、それらを含むことは、本開示から理解でき、明確に伝えられている。
【0083】
一態様において、ポリアミンは、式(VII):
【化23】

式中、nは1から12までの整数であり;mおよびpは独立して1から5までの整数であり;qは、0または1であり;R20およびR21は、独立して、水素、C〜C置換または非置換アルキル、−C(=O)−C〜C置換または非置換アルキル、−C(=O)−C〜C置換または非置換アルケニル、−C(=O)−C〜C置換または非置換アルキニル、C〜C24置換または非置換アラルキル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、R20およびR21のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;かつ、それぞれのRは独立して水素原子またはC〜C置換もしくは非置換アルキルである、
で表されるもの、あるいはその塩、溶媒和物、または水和物である。また、一態様において、前記化合物は、t−ブチル、イソプロピル、2−エチルブチル、1−メチルプロピル、1−メチルブチル、3−ブテニル、イソペント−2−エニル、2−メチルプロパン−3−オリル、エチルチイル、フェニルチイル、プロピノイル、1−メチル−1H−ピロール−2−イル、トリフルオロメチル、シクロプロパンカルバルデヒド、ハロ−置換フェニル、ニトロ−置換フェニル、アルキル−置換フェニル、2,4,6−トリメチルベンジル、ハロ−S−置換フェニル(パラ−(FS)−フェニルなど)、アジド、および、2−メチルブチルからなる群から選択される少なくとも1つの部分を含む。
【0084】
一態様において、qは、1である。一態様において、qは、1であり、nは、1である。
【0085】
一態様において、R20およびR21のうち1つは、水素である。一態様において、R20およびR21のうち1つは、C〜C置換または非置換アルキルであり、例えば、式(I)−(VI)で上述した任意のC〜C置換または非置換アルキル部分である。一態様において、R20およびR21のうち1つは、C〜C24置換または非置換アラルキルであり、例えば、式(I)−(VI)で上述した任意のC〜C24置換または非置換アラルキルである。
【0086】
他の態様において、R20およびR21のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−CH=C=CHである。一態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるR20およびR21のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−CH=C=CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるR20およびR21のうち少なくとも1つは、−CH−CH=C=CHである。
【0087】
他の態様において、R20およびR21のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−C≡CHである。一態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるR20およびR21のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−C≡CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるR20およびR21のうち少なくとも1つは、プロパルギル(CH−C≡CH)である。
【0088】
他の態様において、R20およびR21のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−シクロプロパンである。一態様において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるR20およびR21のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−シクロプロパンである。他の異型において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるR20およびR21のうち少なくとも1つは、シクロプロピルメチル
【化24】

である。
【0089】
他の態様において、R20およびR21のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR20およびR21のうち少なくとも1つは、クロロ基またはフルオロ基から選択される少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR20およびR21のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのクロロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR20およびR21のうち少なくとも1つは、C(=O)(CHCHClであり、ここで、nは、1〜7である。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR20およびR21のうち少なくとも1つは、クロロメチルカルボニル(C(=O)CHCl)である。
【0090】
他の態様において、R20およびR21のうち少なくとも1つは、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである。一態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR20およびR21のうち少なくとも1つは、シクロプロピル−NRであり、ここでそれぞれのRは独立してH、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキルである。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR20およびR21のうち少なくとも1つは、1−N−メチルアミンプロパ−2−イル
【化25】

ここで、Rは、C〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cアルキルである)である。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR20およびR21のうち少なくとも1つは、1−N,N−ジメチルアミノシクロプロパ−2−イルである。
【0091】
式(VII)に関して開示されたR20、R21、m、n、qおよびpのそれぞれは、R20、R21、m、n、qおよびpのそれぞれのあらゆる組合せが具体的かつ個別に列記されたものと同じであるものとして、これらのすべての組合せを意図し、それらを含むことは、本開示から理解でき、明確に伝えられている。
【0092】
一態様において、ポリアミンは、式(VIII):
【化26】

式中、mおよびpは、独立して1から5までの整数であり;Xは、−(CH−またはシクロヘキサ−1,3−ジイルであり;nは1から5までの整数であり;R22およびR23は、独立して、水素、n−ブチル、エチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロプロピルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルエタ−2−イル、ベンジル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、R22およびR23のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;かつ、それぞれのRは独立して水素原子またはC〜C置換もしくは非置換アルキルである、
で表されるもの、あるいはこれらの塩、溶媒和物、または水和物である。一態様において、nは、5であり、R22およびR23のうち少なくとも1つは、水素原子である。他の態様において、Xがシクロヘキサ−1,3−ジイルである場合、R22およびR23は、両方がベンジルまたはシクロプロピルメチルではない。
【0093】
一態様において、Xは、−(CH(例えば、nが1の場合、CH)である。一態様において、Xは、CHであり、mおよびpはともに1である。一態様において、Xは、シクロヘキサ−1,3−ジイルである。一態様において、Xは、シクロヘキサ−1,3−ジイルであり、mおよびpは、ともに1である。他の態様において、mおよびpは、同一でなく、例えば、mが3であり、pが4である。
【0094】
他の態様において、R22およびR23のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−CH=C=CHである。一態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるR22およびR23のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−CH=C=CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるR22およびR23のうち少なくとも1つは、−CH−CH=C=CHである。
【0095】
他の態様において、R22およびR23のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−C≡CHである。一態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるR22およびR23のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−C≡CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるR22およびR23のうち少なくとも1つは、プロパルギル(CH−C≡CH)である。
【0096】
他の態様において、R22およびR23のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−シクロプロパンである。一態様において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるR22およびR23のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−シクロプロパンである。他の変化形態において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるR22およびR23のうち少なくとも1つは、シクロプロピルメチル
【化27】

【0097】
他の態様において、R22およびR23のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR22およびR23のうち少なくとも1つは、クロロ基またはフルオロ基から選択される少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR22およびR23のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのクロロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR22およびR23のうち少なくとも1つは、C(=O)(CHCHClであり、ここで、nは、1〜7である。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR22およびR23のうち少なくとも1つは、クロロメチルカルボニル(C(=O)CHCl)である。
【0098】
他の態様において、R22およびR23のうち少なくとも1つは、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである。一態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR22およびR23のうち少なくとも1つは、それぞれのRは独立してH、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキルである、シクロプロピル−NRである。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR22およびR23のうち少なくとも1つは、1−N−メチルアミンプロプ−2−イル
【化28】

ここで、Rは、C〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cアルキルである)である。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR22およびR23のうち少なくとも1つは、1−N,N−ジメチルアミノシクロプロパ−2−イルである。
【0099】
式(VIII)に関して開示されたR22、R23、m、nおよびpのそれぞれは、R22、R23、m、nおよびpのそれぞれのあらゆる組合せが具体的かつ個別に列記されたものと同じであるものとして、これらのすべての組合せを意図し、それらを含むことは、本開示から理解でき、明確に伝えられている。
【0100】
一態様において、ポリアミンは、式(IX):
【化29】

式中、pは、1から5までの整数であり;R24は、アミノ置換シクロアルキル(例えば、第1級、第2級、第3級、第4級アミンによって置換されたシクロアルキル基)、C〜C置換または非置換アルカノイル(置換アルカノイルは、1または2以上の置換基、例えば、これらの「置換アルキル」に列記されたもの、メチルおよびアルキルアジド基によって置換されたアルカノイルを含むがこれに限定されない、によって置換されていてもよい)、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;R25は、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C24置換または非置換アラルキル、例えば、上記の任意の式(I)−(VIII)について列記されるもの等、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり、ただし、R24およびR25のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;かつ、それぞれのRは独立して水素原子またはC〜C置換もしくは非置換アルキルである、
で表されるもの、あるいはこれらの塩、溶媒和物、または水和物である。
【0101】
一態様において、R24は、アミノ置換C〜C24シクロアルキル、例えば、5−NH−シクロヘプチル、3−NH−シクロペンチル等である。一態様において、R25は、C〜C置換または非置換アルキルであり、これは、シクロアルキル基によって置換されたn−アルキル基、例えば、シクロプロピルメチルにおけるもの、を含む。一態様において、R25は、シクロプロピルメチルまたはエチルである。一態様において、R24は、5−NH−シクロヘプチルまたは3−NH−シクロペンチルである。一態様において、R25は、C〜C置換または非置換アルカノイルであるか、あるいは、R24は、C〜C24置換または非置換アラルキル、例えば、4−フェニルベンジルである。
【0102】
他の態様において、R24およびR25のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−CH=C=CHである。一態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるR24およびR25のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−CH=C=CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−CH=C=CHであるR24およびR25のうち少なくとも1つは、−CH−CH=C=CHである。
【0103】
他の態様において、R24およびR25のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−C≡CHである。一態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるR24およびR25のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−C≡CHである。他の態様において、C〜Cアルキル−C≡CHであるR24およびR25のうち少なくとも1つは、プロパルギル(CH−C≡CH)である。
【0104】
他の態様において、R24およびR25のうち少なくとも1つは、C〜Cアルキル−シクロプロパンである。一態様において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるR24およびR25のうち少なくとも1つは、C〜Cn−アルキル−シクロプロパンである。他の異型において、C〜Cアルキル−シクロプロパンであるR24およびR25のうち少なくとも1つは、シクロプロピルメチル
【化30】

【0105】
他の態様において、R24およびR25のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR24およびR25のうち少なくとも1つは、クロロ基またはフルオロ基から選択される少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。一態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR24およびR25のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのクロロ基によって置換されたC(=O)C〜Cn−アルキルである。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR24およびR25のうち少なくとも1つは、C(=O)(CHCHClであり、ここで、nは、1〜7である。他の態様において、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜CアルキルであるR24およびR25のうち少なくとも1つは、クロロメチルカルボニル(C(=O)CHCl)である。
【0106】
他の態様において、R24およびR25のうち少なくとも1つは、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRである。一態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR24およびR25のうち少なくとも1つは、それぞれのRが独立してH、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cn−アルキルであってもよいC〜Cアルキルである、シクロプロピル−NRである。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR24およびR25のうち少なくとも1つは、1−N−メチルアミンプロプ−2−イル
【化31】

ここで、Rは、C〜Cアルキル、またはアラルキルであり、該アラルキル基のアルキル部分は、C〜Cアルキルである)である。他の態様において、それぞれのRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであるR24およびR25のうち少なくとも1つは、1−N,N−ジメチルアミノシクロプロプ−2−イルである。
【0107】
式(IX)に関して開示されたR24、R25およびpのそれぞれは、R24、R25およびpのそれぞれのあらゆる組合せが具体的かつ個別に列記されたものと同じであるものとして、これらのすべての組合せを意図し、それらを含むことは、本開示から理解でき、明確に伝えられている。
【0108】
一態様において、化合物は、式(X):
【化32】

式中、R26は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、ここで、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;Wは、−NH−、
【化33】

pおよびnは、独立して、1から5までの整数であり;tは、1から6までの整数であり;qは、1から10までの整数であり;sは、0または1であり;Xは、−O−C〜Cアルキル、OHまたはNHR28であり、ここで、R28は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;R27は、水素原子、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルである、
で表されるもの、あるいはその塩、溶媒和物、または水和物である。一態様において、Xは、−OCHである。一態様において、qは、3である。一態様において、qは、4である。一態様において、qは、5である。
【0109】
一態様において、化合物は、式(XI):
【化34】

式中、R26、W、p、n、t、s、qおよびR27は、化合物(X)について定義されたものであり、Wは、−NH−、
【化35】

で表されるもの、あるいはその塩、溶媒和物、または水和物である。
【0110】
一態様において、化合物は、式(XII):
【化36】

式中、R26、W、p、n、t、s、X、qおよびR27は、化合物(X)について定義されたものであり、R29は、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cシクロプロパンまたは少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである、
で表されるもの、あるいはその塩、溶媒和物、または水和物である。一態様において、R29は、プロパルギル、シクロプロピルメチルまたはクロロメチルカルボニルである。
【0111】
一態様において、化合物は、式(XIII):
【化37】

で表されるもの、あるいはその塩、溶媒和物、または水和物であり、R26、W、W、p、n、t、s、q、R27およびR29は、上記で定義されている。
【0112】
一態様において、化合物は、式(XIV):
【化38】

で表されるもの、あるいはその塩、溶媒和物、または水和物であり、R26、W、p、n、t、s、q、R27およびR29は、上記で定義されている。
【0113】
一態様において、化合物は、式(XV):
【化39】

で表されるもの、あるいはその塩、溶媒和物、または水和物であり、R26、W、W、p、n、t、s、q、R27およびR29は、上記で定義されている。
【0114】
一態様において、化合物は、式(XVI):
【化40】

式中、R26は、水素原子、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、ここで、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;Wは、−NH−、
【化41】

pおよびnは、独立して、1から5までの整数であり;tは、1から6までの整数であり;qは、1から10までの整数であり;sは、0または1であり;Xは、−O−C〜Cアルキル、OHまたはNHR28であり、ここで、R28は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;R27は、水素原子、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;R29は、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cシクロプロパンまたは少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキルである、
で表されるもの、あるいはその塩、溶媒和物、または水和物である。一態様において、R29は、プロパルギル、シクロプロピルメチルまたはクロロメチルカルボニルである。一態様において、Xは、−OCHである。一態様において、qは、3である。一態様において、qは、4である。一態様において、qは、5である。
【0115】
ここで列記された全ての式、例えば、式(I)−(XVI)、について、明示されていなくても、1つの式で述べられた任意の置換基は、他の任意の式にある同一の置換基を、記載された当該式の構造的特徴にその記載が一致する範囲で、説明することを意図している。例えば、式(I)のRは、任意の他の式中にある任意の他のRを、記載された当該式の構造的特徴にその記載が一致する範囲で、任意の他の式中にある任意の他のRを説明することを意図している。同様に、任意の記載、例えば、C〜C置換または非置換アルキルは、任意の他の式中にある任意の他のC〜C置換または非置換アルキルを、記載された当該式の構造的特徴にその記載が一致する範囲で、説明することを意図している。
【0116】
また、特定の塩として掲載された任意の化合物は、該化合物をこのようなその塩または形態に限定することを意図していないと認められる。同様に、化合物が塩として掲載された場合、その構造は、正電荷または負電荷またはこれらの位置を明示的に示しても示さなくてもよく、全てのこれらの可能性が意図される。例えば、4HBr塩として掲載された化合物は、該化合物をHBr塩のみに限定せず、該化合物は、HBr塩の+または−電荷を示してもよく、むしろ全ての可能性が意図される。
【0117】
任意のポリアミン化合物、例えば、式(I)−(IX)の化合物は、保護された形態となっていてもよく、例えば、保護基(Pg)によって任意の1または2以上のアミン(例えば、−NH−)が、例えば、(−NPg−)の状態で、保護されていてもよい。Pgは、任意の保護基であってよく、例えば、メシチル(例えば、NMes)、Boc(例えば、−NBoc)または任意の他の保護基、例えば、T. W. Green, P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley-Interscience, New York, 1999、これは参照することにより完全な状態で本願に組み込まれる、に記載されたものであってよい。
【0118】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(M)の化合物を投与することによる、癌を治療する方法を包含する。
【0119】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(I)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0120】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(II)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0121】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(III)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0122】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(IV)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0123】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(V)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0124】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(VI)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0125】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(VII)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0126】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(VIII)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0127】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(IX)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0128】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(X)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0129】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(XI)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0130】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(XII)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0131】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(XIII)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0132】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(XIV)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0133】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(XV)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0134】
他の態様において、本発明は、治療有効量の1または2以上の式(XVI)の化合物を投与することによる、癌の治療方法を包含する。
【0135】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の化合物の量を酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含し、該化合物は、アレン、プロパルギル、アルキニル、シクロプロピル、クロロメチルケトンおよび、また少なくとも1つのグアニジン部分または少なくとも1つのビグアニド部分を有する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0136】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(M)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0137】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(I)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0138】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(II)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0139】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(III)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0140】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(IV)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0141】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(V)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0142】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(VI)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0143】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(VII)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0144】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(VIII)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0145】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(IX)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0146】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(X)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0147】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(XI)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0148】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(XII)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0149】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(XIII)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0150】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(XIV)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0151】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(XV)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【0152】
他の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素に1または2以上の式(XVI)の化合物の量を、該酵素を阻害するのに十分な量で接触させることにより、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えば、LSD1を阻害する方法を包含する。前記酵素は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害され得る。
【発明を実施するための形態】
【0153】
発明の詳細な説明
本開示は、本明細書において記載された化合物の全ての塩を含む。本発明は、また、任意の本明細書において命名された化合物の塩の全ての塩でない化合物、および任意の本明細書において命名された化合物の塩の他の塩も含む。一態様において、化合物の塩は、薬学的に許容し得る塩を含む。薬学的に許容し得る塩は、その遊離化合物の生物学的活性を維持し、ヒトおよび/または動物に対し薬剤または製薬として投与され得る、これらの塩である。塩基性化合物の好ましい塩は、該化合物を酸で処理することによる当業者に公知の方法で調製することができる。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸を含むがこれに限定されない。有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、スルホン酸、およびサリチル酸を含むがこれに限定されない。塩基性化合物のアミノ酸との塩、例えば、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩もまた調製されうる。好ましい酸性化合物の塩は、該化合物を塩基で処理することによる当業者に公知の方法で調製することができる。酸性化合物の無機塩の例としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、およびカルシウム塩;アンモニウム塩;およびアルミニウム塩を含むがこれに限定されない。酸性化合物の有機塩の例としては、プロカイン、ジベンジルアミン、N−エチルピペリジン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンおよびトリエチルアミン塩を含むがこれに限定されない。酸性化合物のアミノ酸との塩、例えば、リジン塩もまた調製され得る。
【0154】
本開示は、全てのここで記載された化合物の溶媒和物、例えば、水和物(任意の比率で、例えば、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物(sesquihydrates))、メタノラート(methanolates)、エタノラート(ethanolates)等を含む。
【0155】
任意のここで記載された化合物は、塩および溶媒和物の形態の複合、例えば、ハイクレート(モノヒドロクロライド ヘミエタノレート ヘミヒドレート)型の状態で存在してもよい。
【0156】
本開示は、ここで記載された化合物の全ての立体異性体を含み、光学的に純粋または実質的に光学的に純粋な形のジアステレオマーおよびエナンチオマー、ならびにラセミ混合物を含むがこれに限定されないもまた含む。立体化学が化学構造または化学名において明示的に示されない限り、化学構造または化学名は、表現された化合物の全てのあり得る立体異性体を包含することを意図する。シクロプロピル基について、構造は、シス、トランス置換シクロプロピル基の両方の全ての立体異性体を包含することを意図する。
【0157】
本開示は、ここで記載された化合物の全ての結晶ならびに結晶でない型を含み、全ての多型、多結晶、非結晶型(amorphous)および任意のこれらの混合物を含む。
【0158】
「アルキル」という用語は、特定された炭素原子の数を有するか、または数が特定されていない場合には12個の炭素原子までを有する、直鎖(straight-chain)、分枝状鎖、環式基を含む、飽和脂肪族および脂環式基およびこれらの組合せをいう。「直鎖アルキル(straight-chain alkyl)」または「直鎖アルキル(linear alkyl)」基は、「n−アルキル」基として通常と表す、環式でも分枝状でもないアルキル基をいう。C〜Cn−アルキルは、下記の基からなる:−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHCHCH−、−CHCHCHCHCHCH−、−CHCHCHCHCHCHCH−、および−CHCHCHCHCHCHCHCH−。アルキル基の他の例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ネオペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびアダマンチル等の基を含むがこれに限定されない。シクロアルキル基は、例えば、シクロヘプチル等を含むがこれに限定されない単環、または、例えば、アダマンチル、ノルボルニル基等の基を含むがこれに限定されない架橋もしくは縮合多環等からなることができる。シクロアルキル基は、また、環式の部分に加えてアルキル基を含むことができる、例えば、2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン、2−メチルデカリン(2−メチルデカヒドロナフタレン)、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル等。
【0159】
「置換されたアルキル」は、1または2以上の置換基、例えば、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモおよび/またはヨード置換アルキル、例えば、モノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、マルチハロアルキル等を含み、パーハロアルキル、例えば、パーフルオロアルキル、パークロロアルキル、トリフルオロメチルまたはペンタクロロエチル等を含む)、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ(NH、NHアルキルおよびN(アルキル)を含む。)、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、アシル、アシルアミノ、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、アジド、チオアルキル、−OS(O)−アルキル、チオアルコキシ、カルボキサルデヒド(carboxaldehyde)、カルボアルコキシ、およびカルボキサミド(carboxamide)、または本発明の目的に必要な場合、保護基によって適切にブロックされた官能基等の基を含むがこれに限定されない、によって置換されたアルキル基ををいう。置換アルキル基の例は、CF、CFCF、および他のパーフルオロおよびパーハロ基;−CH−OH、−CHCHCH(NH)CH等を含むがこれに限定されない。アルキル基は、他のアルキル基、例えば、C〜C24シクロアルキル基によって置換され得る。
【0160】
「アルケニル」という用語は、特定された炭素原子の数を有するか、または数が特定されていない場合には12個の炭素原子までを有し、少なくとも1つの2重結合(−C=C−)を含む、直鎖(線状)、分枝鎖、環式基、およびこれらの組合せを含む不飽和脂肪族および脂環式基をいう。アルケニル基の例としては、−CHCH=CH−CH;および任意のとりうる炭素の価数でシクロヘキセニルにエチル基が付加されうる−CHCH−シクロヘキセニルを含むがこれに限定されない。「アルキニル」という用語は、特定された炭素原子の数を有するか、または炭素原子の数が特定されていない場合には12個の炭素原子までを有し、少なくとも1つの3重結合(−C≡C−)を含む、直鎖(線状)、分枝鎖、環式基、およびこれらの組合せを含む不飽和脂肪族および脂環式基をいう。「炭化水素鎖」または「ヒドロカルビル(hydrocarbyl)」は、直鎖、分枝鎖、または環式アルキル、アルケニル、アルキニル基、およびこれらの任意の組合せをいう。「置換アルケニル」「置換アルキニル」および「置換炭化水素鎖」または「置換ヒドロカルビル」は、1または2以上の置換基、例えば、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオアシル、カルボキサルデヒド、カルボアルコキシ、およびカルボキサミド、または本発明の目的に必要な場合保護基によって適切にブロックされた官能基等の基を含むがこれに限定されない、によって置換されたそれぞれの基をいう。
【0161】
「アリール」または「Ar」は、単環(フェニル等の基を含むがこれに限定されない)、互いに結合した2または3以上の環(ビフェニルおよびp−ジフェニルベンゼン等の基を含むがこれに限定されない)または2または3以上の縮合した環(ナフチル、アントリル、またはピレニル等の基を含むがこれに限定されない)を有する芳香族炭素環式基をいい、また、非置換および置換アリール基の両方を含む。アリールは、特定されていないかぎり、6から20個の炭素原子を環部分に含む。アリールのための好ましい範囲は、6から12個の炭素原子を環部分に含むものである。「置換アリール」は、1または2以上の置換基、例えば、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換 アルキニル、置換または非置換炭化水素鎖、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオアルコキシ、カルボキサルデヒド、カルボアルコキシおよびカルボキサミド、または、「置換アルキル」のために上記に掲載した任意の基、または本発明の目的に必要な場合、保護基によって適切にブロックされた官能基等の基を含むがこれに限定されない、によって置換されたアリールをいう。「アラルキル」は、アルキル置換アリール基であり、ここで、任意のアリールがアルキルに結合していてもよく;アルキル部分は、1、2もしくは3つの、それぞれ1〜6個の炭素原子の直鎖または1、2あるいは3つの、それぞれ3〜6個の炭素原子の分枝鎖またはこれらの任意の組合せであってもよい。アラルキル基は、アルキル基によって結合された2つのアリール基、例えば、ジフェニルメタンまたは2−メチル−1−(フェネチル)ベンゼン等からなっていてもよい。アラルキル基が置換基として示される場合、該アラルキル基は、任意のとりうる価数でその分子の残りに、そのアルキル部分またはアリール部分のどちらかにおいて結合されうる。例えば、トリルアラルキル基は、芳香環部分の5つの水素原子のうちの任意の水素原子を分子の残りと置換することにより、または、メチル部分のα−水素原子の1つを分子の残りと置換することにより、分子の残りと結合されうる。好ましくは、アラルキル基は、アルキル部分を介して分子の残りと結合される。
【0162】
好ましいアリール基は、フェニルであり、これは、置換されていても置換されていなくてもよい。置換フェニル基についての置換基は、低級アルキル(−C〜Cアルキル)またはハロゲン(塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)またはフッ素(F));ヒドロキシ(−OH)または低級アルコキシ(−C〜Cアルコキシ)、例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ(プロポキシ)(n−プロポキシあるいはi−プロポキシのどちらか)、ブトキシ(n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ、またはtert−ブトキシのいずれか)を含み、好ましいアルコキシ置換基は、メトキシである。置換フェニル基は、好ましくは、1または2つの置換基を有し、さらに好ましくは、1つの置換基を有する。アラルキル基について、アリール部分に好ましい基は、フェニルであり、これは、直前に上述したように、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0163】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」は、それぞれ、当該基の主鎖、分枝鎖、または環式鎖の部分に1または2以上のヘテロ原子を含む、特定された数の炭素原子(数が特定されていない場合、12個までの炭素原子)を含むアルキル、アルケニル、アルキニル基をいう。ヘテロ原子は、N、S、OおよびPを含むがこれに限定されず、NおよびOが好ましい。ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルおよびヘテロアルキニル基は、任意の価数で、水素原子が外れうる部分、例えばヘテロ原子または炭素原子(水素原子を取り除くことによりかかる原子において価数をとりうる場合)において、分子の残りに付加することができる。ヘテロアルキルの例としては、−O−CH、−CH−O−CH、−CH−CH−O−CH、−S−CH−CH−CH、−CH−CH(CH)−S−CH、−CH−CH−NH−CH−CH−、1−エチル−6−プロピルピペリジノ、およびモルホリノ等の基を含むがこれに限定されない。ヘテロアルケニル基の例としては、−CH=CH−NH−CH−CH−等の基を含むがこれに限定されない。「ヘテロアリール」または「HetAr」は、単環(ピリジル、イミダゾリル、チオフェンまたはフリル等の例を含むがこれに限定されない)または、2または3以上の縮合した環(インドリジニル、インドール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾールまたはベンゾチエニル等の例を含むがこれに限定されない)および、少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、N、O、PまたはS等のヘテロ原子を含むがこれに限定されない、を環内に有する芳香族炭素環式基をいう。他に特定されていなければ、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニルおよびヘテロアリール基は、1から5個の間のヘテロ原子と1から12個の間の炭素原子を有する。「置換ヘテロアルキル」、「置換ヘテロアルケニル」、「置換ヘテロアルキニル」および「置換ヘテロアリール」基は、例えば、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換ベンジル、置換または非置換炭化水素鎖、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオアルコキシ、カルボキサルデヒド、カルボアルコキシおよびカルボキサミドまたは「置換アルキル」のために上記で列記した任意の基、あるいは、本発明の目的に必要な場合、保護基によって適切にブロックされた官能基等を含むがこれに限定されない、1または2以上の置換基で置換されたヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニルおよびヘテロアリール基をいう。置換ヘテロアルキル基の例は、窒素原子または炭素原子においてフェニルまたはベンジル基によって置換され、任意のとりうる価数で炭素原子または窒素原子、−NH−SO−フェニル、−NH−(C=O)O−アルキル、−NH−(C=O)O−アルキル−アリールおよび−NH−(C=O)−アルキル上において分子の残りに付加したピペラジンを含むがこれに限定されない。化学的に可能である場合、前記基のヘテロ原子および/または炭素原子は、置換されうる。「ヘテロアラルキル」基は、少なくとも1つのアルキル基で置換されたヘテロアリール基である。ヘテロ原子は、また、化学的に可能である場合、酸化された状態でありうる。
【0164】
「アルコキシ」という用語は、ここでは、酸素原子に結合され、特定された炭素数を有し、数が特定されていない場合は12個までの炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アルキニルまたは炭化水素鎖をいう。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ(プロポキシ)(n−プロポキシあるいはi−プロポキシのどちらか)、ブトキシ(n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ、またはtert−ブトキシのいずれか)を含むがこれに限定されない。
【0165】
「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、ここでは、VIIa族元素(the 2005 IUPAC Periodic Table, IUPAC Nomenclature of Inorganic Chemistryにおいて17族元素)ならびに、Cl、Br、FおよびI置換基をいう。
【0166】
「保護基」は、次の特徴を示す化学基をいう:1)高収率で所望の官能基と選択的に反応し、保護が望まれる計画された反応に対して安定な保護された基質を生成し、2)保護された基質から選択的に脱離して所望の官能基を生じることができ、3)かかる計画された反応において存在するかまたは生じる他の官能基に適合する試薬により、良好な収率で脱離可能である。適切な官能基の例は、in Greene et al. (1999) Protective Groups in Organic Synthesis, (Wiley-Interscience., New York)において見出される。アミノ保護基は、メシチレンスルホニル(Mts)、ベンジルオキシカルボニル(CBzもしくはZ)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、t−ブチルジメチルシリル(TBSもしくはTBDMS)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、トシル、ベンゼンスルホニル、2−ピリジルスルホニル、または適切な光解離性保護基、例えば、6−ニトロベラトリルオキシカルボニル(Nvoc)、ニトロピペロニル、ピレニルメトキシカルボニル、ニトロベンジル、ジメチルジメトキシベンジル、5−ブロモ−7−ニトロインドリニル等を含むがこれに限定されない。ヒドロキシル保護基は、Fmoc、TBS、光解離性保護基(例えば、ニトロベラトリルオキシメチルエーテル(Nvom))、Mom(メトキシメチルエーテル)およびMem(メトキシエトキシメチルエーテル)、NPEOC(4−ニトロフェネチルオキシカルボニル)およびNPEOM(4−ニトロフェネチルオキシメチルオキシカルボニル)等)を含むがこれに限定されない。
【0167】
合成方法−アルキルポリアミンの合成
対称に置換されたおよび非対称に置換されたポリアミン類似体の両方を含むポリアミン類似化合物の合成のために、いくつかの合成方法が利用できる。これらの方法のいくつかは、次の刊行物に記載されている:Saab et al., J. Med. Chem. 36:2998 (1993);Bellevue et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 6:2765 (1996);Sirisoma et al., Tetrahedron Lett. 39:1489 (1998);Zou et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:1613 (2001)およびCasero et al., J. Med. Chem. 44:1 (2001)。
スキーム1 「Mest」は、メシチレンスルホニル(2,4,6−トリメチルベンゼン−1−スルホニル)部分を示す。
【化42】

【0168】
スキーム1は、様々なポリアミン類への有用な経路を説明する。テトラメシチル化された中間体8は、両末端の窒素原子において容易にアルキル化され、これは、これらの窒素原子上の水素原子が隣接したメシチル保護基によって酸性化されるためである。1.2から1.4当量のハロゲン化またはトシル化アルキルの存在下でのアルキル化は、一置換生成物9を主として生じ、それから、未反応の出発物質は、分離して再利用することができる(Bellevue et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 6:2765 (1996);Zou et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:1613 (2001))。生じたモノアルキル化誘導体9は、それから、脱保護化され(30%HBr、AcOH)、または、異なるハロゲン化アルキルで再びアルキル化され、非対称に置換された中間体11を生じる。11の脱保護化は、それから、所望の非対称に置換されたアルキルポリアミンを生じる。NaHおよびDMFの存在下での8と2.2当量のハロゲン化アルキルの処理は、ビス−置換中間体10を生じ、これは、脱保護化すると対応する対称に置換されたアルキルポリアミンを生成する。したがって、3種の異なるアルキルポリアミンが、容易に単一の中間体から合成されることができ、中央の炭素鎖は、任意の所望の長さ(n=0〜8)に構成されることができる。中間体8の合成は、以前に報告された合成戦略を用いて、大量にかつ容易に達成できる。類似の戦略を、下記の形態のスペルミジン類似物を入手するのに用いることができる:
【化43】

【0169】
他の方法が必要なポリアミン骨格構造の合成に用いられることができ、これは、炭素窒素結合の生成および選択的な窒素原子の保護を含み、これらの手順のいくつかは、スキーム2に示される。
【化44】

【0170】
標準的なペプチド結合技術により、アミノプロピル(または他のアミノアルキル)部分を選択的に保護された第一級アミン、例えば12等に付加することができる(方法A、Woster et al., J. Med. Chem. 32:1300 (1989))。したがって、保護されたベータ−アミノプロピオン酸13(DCC、HoBt、N−メチルモルホリン)による12の処理は、対応するアミド14を与え、これは、ジボランの存在下で還元されて(Woster et al., 1989)所望の第二級アミン16を生じる。化合物16は、還元的アミノ化(方法B)によって直接合成されてもよく、この中で、適当なアルデヒド15が、シアノ水素化ホウ素ナトリウムの存在下で12に添加される。アリルのアセテート官能基を含むアルキル置換基はまた、パラジウムに触媒された、立体配置を保持しつつ進行するカップリング反応を用いて、12に付加されうる(方法C、Sirisoma et al., Tetrahedron Lett. 39:1489 (1998))。この方法は、合成的に窒素原子の等価物としてアリルのアセテート部分にフタルイミドまたはベンジルアミンを導入するのに用いることができる。これらの窒素原子を、次いで、脱保護化し、官能化することができる。
合成方法−ポリアミノグアニジンの合成
【化45】

【0171】
ポリアミノグアニジンの合成は、スキーム3で概説されるように行うことができる。必要なアミン19(必要な場合に対応するシアン化アルキルまたはアラルキルから生成される)は、臭化シアンと反応し、対応するアミノシアン20を生じる。所望のアミンが市販で入手できない場合、触媒による還元により適当なシアノ化合物から製造できる(Bellevue et al., 1996, Zou et al., 2001)。中間体21(Bellevue et al., 1996; Zou et al., 2001)を、次いで、20と結合させて(クロロベンゼン、還流)、その後、脱保護化(30%HBr、酢酸中)により一般構造3のアルキルポリアミノグアニジンを生成する。これらの方法を用いて、置換されたポリアミノグアニジン類似体(例えば、H、メチル、エチル、シクロプロピルメチレン、シクロヘプチルメチレン、フェニル、ベンジル)を合成することができる。N−Boc保護基を利用した類似した経路(示さず)もまた用いた。
【0172】
合成方法−ポリアミノビグアニドの合成
ポリアミノビグアニドの合成は、Bi et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16:3229 (2006)に記載されており、また、スキーム4に概説される。
【化46】

【0173】
スキーム4に概説されるように、一般構造4のアルキルポリアミノビグアニドの合成のために同様の戦略が用いられる。アミン23(必要な場合に対応するシアン化アルキルまたはアラルキルから生成される)は、対応するシアノグアニジン24(NaN(CN)、BuOH/HO)に変換され(Gerhard, R.; Heinz, B;Herbert, F. J. Praktische Chem. (Leipzig), 1964, 26, 414-418)、これは、前述した21と結合されてメシチル保護化された目的とする分子を生じた。その後、上述した脱保護化により置換ビグアニド4が生成した。N−Boc保護基を利用する類似の経路(示さず)もまた、上記のように用いた。
合成方法−固相合成
【化47】

【0174】
上記のスキーム5に示すように、固相合成技術は、アルキルポリアミンおよびこれらのアルファ−メチル同族体(alpha-methyl homologs)の迅速かつ効率的な合成に用いられ得る。Wang et al. , J. Am. Chem. Soc., 95(4):1328 (1973)に記載されているように、化合物22は市販の塩化トリチル樹脂を用いて製造することができ、ここで、結合したアミンは、結合前は第一級または第二級であり、アルファ−メチルは、存在するか、または、存在せず、また、X基は、保護されたアミンまたは合成等価物のいずれか、例えばアジドもしくはフタルアミドなどである。この中間体は、その後、脱保護化されるか対応する第一級アミン23に変換される。鎖の伸長に3つの戦略が用いられ得る:1.シアノ水素化ホウ素ナトリウムの存在下におけるアルデヒド24の還元的アミノ化により25を生成する;2.ペプチド結合条件下での適当なカルボン酸塩26の添加(Woster et al., J. Med. Chem. 32:1300 (1989))、およびその後の生じたアミドのジボラン還元により27を生じる;3.28などの保護されたハロゲン化物による直接的なアルキル化により中間体29を生じる(Woster et al., J. Med. Chem. 32:1300 (1989))。これらのステップの繰り返しは、その後、様々な所望したような置換基を有するアルキルポリアミンおよびアルファ−メチル−アルキルポリアミンの合成を可能とする。
【0175】
式(X)、式(XI)、式(XII)、式(XIII)、式(XIV)、式(XV)および式(XVI)の化合物の合成
式(X)および式(XI)の化合物の合成は、リジン模倣体シントン(lysine-mimic synthons)、例えば、107,112および116の使用を介して、進めることができる(スキーム1−3)。化合物107の合成は、スキーム1において概説され、α−N−Boc−リジンメチルエステル105(R=C〜Cアルキル、例えば、CH)から出発することができる。出発物質105は、Bachem AG Biosciencesから市販のα−N−Boc−リジンメチルエステル(保護されていない第一級ε−アミノ基)から製造することができる。ε−アミノ基は、例えば、塩化アルキル、塩化アラルキル、またはアミノ基に対して反応きる他のアルキルもしくはアラルキル誘導体を用いて、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル−C〜C10アリール基により、アルキル化されることができる。メチルエステル以外のエステルが所望される場合、エステル交換により、所望のエステル、例えば、−OMeの−O−C〜Cアルキルへの交換を容易に行うことができる。あるいは、エステルを、容易に−COOH基に変換することができ、これは、次いでアミンと反応してアミド基を形成することができる。
【化48】

【0176】
化合物105は、臭化プロパルギル(NaH、DMF)と反応し(Bellevue, F.H. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 6:2765-2770 (1996);Saab, N.H. et al., J. Med. Chem., 36:2998-3004 (1993))アルキル化アミノ酸106を与える。アセチレン部分は、これをジイソプロピルアミンの存在下で臭化銅およびホルムアルデヒドで処理することにより、対応する2,3−ブタジエン部分に変換され(Bey, P. et al., J. Med. Chem., 28:1-2 (1985))、所望のシントン107(R=CH)を生じる。メチルエステル(LiOH)の開裂(Bellevue, F.H. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 6:2765-2770 (1996)、Saab, N.H. et al., J. Med. Chem., 36:2998-3004 (1993)、Varghese, S. et al., J. Med. Chem., 48:6350-6365 (2005))は、適切な遊離アミンと結合する(DCC、HOBT使用)ための対応するカルボキシレート基質(108に示す)を生成し(Bellevue, F.H. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 6:2765-2770 (1996)、Saab, N.H. et al., J. Med. Chem., 36:2998-3004 (1993)、Varghese, S. et al., J. Med. Chem., 48:6350-6365 (2005))、一方、(トリフルオロ酢酸による)N−Boc保護基の脱離(108に示す)は、ペプチド結合または還元的アミノ化反応に有用な遊離アミンを生じる(例えば、Casero, Jr. R.A. et al., J. Med. Chem, 44:1-26 (2001)、Bellevue, F.H. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 6:2765-2770 (1996)、Saab, N.H. et al., J. Med. Chem., 36:2998-3004 (1993)、およびVarghese, S. et al., J. Med. Chem., 48:6350-6365 (2005)等を参照)。スキーム2で概説されるように、類似の戦略を1−N−(メチル)−5−N−(tertブチルオキシカルボニル)−1,5−ジアミノペンタンを対応するシントン112(R=CH)に変換するのに用いることができる。上記に記載した臭化プロパルギルによる109の処理は、中間体110を生じ、引き続くプロパルギルアセチレンの対応するアレンへの変換(Bey, P. et al., J. Med. Chem., 28:1-2 (1985))は、次いで111を生じる。(アレン基の代わりにプロパルギル基が所望である場合、このステップは、プロパルギル含有シントンを得るために省略することができることを言及すべきである)。N−Boc保護基の脱離(例えば、トリフルオロ酢酸と)は、遊離アミン112を生じ、これもまた、上記で示したように、ペプチド結合または還元的アミノ化反応に有用である。最終的に、上述したように、1−ヒドロキシ−5−[N−(メチル)]アミノペンタン113のO−メトキシメチル保護型(スキーム3)を、N−プロパルギル誘導体114そして2,3−ブタジエニル誘導体115へ変換し(Bey, P. et al., J. Med. Chem., 28:1-2 (1985))、その後、アルコールの酸脱保護化および対応する水酸基のメシルラートへの変換を行ってもよい(Saab, N.H. et al., J. Med. Chem., 36:2998-3004 (1993))。化合物116は、種々のアルデヒド、アミン、グアニジン、およびグアニドに求核置換によって付加されることができる(Casero, Jr. R.A. et al., J. Med. Chem, 44:1-26 (2001)、Bellevue, F.H. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 6:2765-2770 (1996)、Saab, N.H. et al., J. Med. Chem., 36:2998-3004 (1993)、およびVarghese, S. et al., J. Med. Chem., 48:6350-6365 (2005)参照)。
【化49】

【化50】

【0177】
式(X)および式(XI)の化合物を与えるシントン107、112および116の詳細は、スキーム4、スキーム5、スキーム6において概説されている。シントン107のN−Boc保護基の脱離(スキーム4)は、遊離アミン119を生じ、これは、次いで、上述したように(DCC、HOBT、DMFを使用して;Bellevue、SaabおよびVargheseの直近の参考文献を参照)、一般構造120の保護されたポリアミノカルボン酸塩へ付加し(Casero, Jr. R.A. et al., J. Med. Chem, 44:1-26 (2001);Bellevue, F.H. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 6:2765-2770 (1996);Saab, N.H. et al., J. Med. Chem., 36:2998-3004 (1993);Varghese, S. et al., J. Med. Chem., 48:6350-6365 (2005);Bi, X. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 16:3229-3232 (2006))、121aを生じる。121aのエステル官能基は、加水分解されて(LiOH)(Bellevue、Saab、およびVargheseの参考文献を参照)カルボン酸塩121bを生成し、この中間体は、今度は、置換されたアミド121cへ変換される(DCC、HOBT、DMFを使用;Bellevue、SaabおよびVargheseの参考文献を参照)。化合物121a−c中のメシチレンスルホニル保護基は、その後除去され(Yajima, H. et al., Chem. Pharm. Bull., 26:3752-3757 (1978);Roemmele, R.C., Rappoport, H., J. Org. Chem., 53:2367-2371 (1988))、式(X)(X=OCH、OH、またはNH−R、W=NH)のLD1阻害剤の候補を生じる。
【化51】

【0178】
式(XI)の分子は、スキーム5に示される経路を用いて合成されることができる。シントン112は、上述したように一般構造120のポリアミノカルボキシレートと結合され(Casero, Jr. R.A. et al., J. Med. Chem, 44:1-26 (2001);Bellevue, F.H. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 6:2765-2770 (1996);Saab, N.H. et al., J. Med. Chem., 36:2998-3004 (1993);Varghese, S. et al., J. Med. Chem., 48:6350-6365 (2005);Bi, X. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 16:3229-3232 (2006))、中間体122を生成する。メシチル保護基の脱離(Yajima, H. et al., Chem. Pharm. Bull., 26:3752-3757 (1978);Roemmele, R.C., Rappoport, H., J. Org. Chem., 53:2367-2371 (1988))は、次いで、目的とする式(XI)の分子を生じる。
【0179】
式(XI)の他の化合物の合成経路が、スキーム6およびスキーム7に示されている。スキーム6に示されるように、中間体112は、標準的な還元的アミノ化条件を用いて、一般構造123のアルデヒド(Casero, Jr. R.A. et al., J. Med. Chem, 44:1-26 (2001); Bellevue, F.H. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 6:2765-2770 (1996); Saab, N.H. et al., J. Med. Chem., 36:2998-3004 (1993); Varghese, S. et al., J. Med. Chem., 48:6350-6365 (2005); Bi, X. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 16:3229-3232 (2006)において先に記載されている)と反応させ、その後、脱保護化(AcOH中30%HBr)されて(Yajima, H. et al., Chem. Pharm. Bull., 26:3752-3757 (1978);Roemmele, R.C., Rappoport, H., J. Org. Chem., 53:2367-2371 (1988))、式(XI)の化合物を与える。あるいは、シントン116は、一般構造124のアミン、グアニジンまたはビグアニドと反応し、引き続く脱保護化(AcOH中30%HBr)により、その後式(XI)の化合物を生じる。
【化52】

【化53】

【0180】
式(XII)および式(XIII)の化合物は、スキーム1〜7に示される経路と類似の経路を用いて合成されることができる。中間体105(スキーム8)は、アルキル化され(Saab, N.H. et al., J. Med. Chem., 36:2998-3004 (1993))、その後上述のとおりエステル加水分解およびN−Boc基の脱離がされ、シントン129を生じる。化合物129は、適切なポリアミン前駆体に付加され(Casero, Jr. R.A. et al., J. Med. Chem, 44:1-26 (2001);Bellevue, F.H. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 6:2765-2770 (1996);Saab, N.H. et al., J. Med. Chem., 36:2998-3004 (1993);Varghese, S. et al., J. Med. Chem., 48:6350-6365 (2005);Bi, X. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 16:3229-3232 (2006))、そして、上述されたように合成されて目的とする式(XII)の化合物を生成する。
【0181】
スキーム8に示されるように、式(XVI)のクロロメチルケトン化合物は、中間体129に130を置き換えることにより合成され、続いて、記載されたように製造される。クロロメチルケトン誘導体は、プロテアーゼまたは他の酵素の不可逆的な活性部位指向性の阻害剤として作用し、また、LSD1を不活化すると期待される。一般構造130の中間体は、市販されているか、容易に合成され(Shaw, E.; Glover, G., Arch. Bioch. Bioph., 139:298-305 (1970);Biaas, A. et al., J. Med. Chem., 49:1744-1753 (2006))、上述したようにおよび以前に報告されたように(Biaas, A. et al., J. Med. Chem., 49:1744-1753 (2006))、適切なポリアミン前駆体とペプチド結合によって結合する。
【化54】

【0182】
スキーム9に示されるように、目的とする式(XIII)の化合物を生成するために2つの合成経路が利用される。中間体109は、種々の求電子的または潜在的に求電子的なハロゲン化アルキル(例えば、プロパルギル、シクロプロピルメチル、1−ジフルオロエチル等)を用いてアルキル化され、続いてN−Boc基が上述したように脱離されてシントン132を与える。化合物132は、その後、適切なポリアミン前駆体に付加され(Casero, Jr. R.A. et al., J. Med. Chem, 44:1-26 (2001);Bellevue, F.H. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 6:2765-2770 (1996);Saab, N.H. et al., J. Med. Chem., 36:2998-3004 (1993);Varghese, S. et al., J. Med. Chem., 48:6350-6365 (2005);Bi, X. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 16:3229-3232 (2006))、上述したように合成されて目的とする式(XIII)の化合物を生成する。あるいは、シントン113(スキーム9)は、アルキル化され(Saab, ibid.)、その後、アルコールの脱保護化、および対応するヒドロキシ基のメシラートへの変換がなされて、133を生じる。化合物133は、その後、適切なポリアミン前駆体に付加されて(Casero et al.;Bellevue et al.;Saab et al.;Varghese et al.; Bi et al., ibid.)、また上述したように合成されて目的とする式(XIII)の化合物を生成する。
【化55】

【0183】
式(XIV)および式(XV)は、シクロプロピルアミン部分を含む。これらの類似体の合成は、末端オレフィン134、136および138からそれぞれシクロプロパン/アミノ化すること(Raju, B. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 14:3103-3107 (2004))により入手される置換シクロプロパン120、122、および124を経由して行われ、引き続き生成した末端アミンが上述したようにアルキル化(Casero et al.;Bellevue et al.;Saab et al.;Varghese et al.; Bi et al., ibid.)される。式(XIV)の化合物の合成方法(synthesis leading)は、スキーム10に示されている。市販で入手可能なオレフィン134を、Borne et al.の方法(NCHCO、続いてギ酸エチルクロロおよびアジ化ナトリウム)(Raju, B. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 14:3103-3107 (2004))を用いてシクロプロパン化し、その後、上述のように還元的アミノ化およびその後の求核置換反応を用いてアルキル置換基を窒素原子に加えて、135を生じる(Casero et al.;Bellevue et al.;Saab et al.;Varghese et al.; Bi et al., ibid.)。シントン135を、次いで、上述のように合成して、式(XIV)の化合物を生成する。
【化56】

【0184】
スキーム11に示されるように、式(XV)の化合物の生成に同様の方法を用いることができる。市販で入手可能なオレフィン136は、上述したように、対応するシクロプロピルアミンに変換され、続いて還元的アミノ化および求核的置換によりN−アルキル基が連続的に付加される(上を参照)。その後、N−Boc保護基の脱離により、137を生じ、これは、記載されているように合成されて式(XV)の化合物を生じる。オレフィン138は、同様にシクロプロピルアミン誘導体に変換され、ビス−アルキル化され、その後、MOM保護基(スキーム11および他のスキームにてZで示される)の酸触媒脱離および引き続くメシラート化(Saab, N.H. et al., J. Med. Chem., 36:2998-3004 (1993))により、所望のシントン139を生成する。上記の合成により、次いで、式(XV)の化合物が生成する。
【化57】

【0185】
生物学的応用-リジン特異的デメチラーゼ−1(LSD1)阻害剤
ヒストンは、DNAのための支持足場として作用する、真核細胞にみられるタンパク質である(時に、DNAの糸(thread)を支持するタンパク質糸巻き(protein spool)に例えられる)。ヒストンは、他のタンパク質やDNAと一緒に、細胞核のクロマチンを形成する。そのDNAとの密接な関係のため、ヒストンは、遺伝子制御において役割を果たす。ヒストンタンパク質の末端(tail)は、遺伝子発現に影響を及ぼす共有結合修飾の頻発部位である。
【0186】
リジン特異的デメチラーゼ−1(LSD1;リジン特異的ヒストンデメチラーゼ、BHC110およびKIAA0601としても知られている)は、ヒストンH3のリジン4を脱メチル化することにより、ヒストン末端の共有結合修飾に影響を与える酵素である。Shi et al.(Cell, 119:941 (2004))は、LSD1のRNAi阻害がH3リジン4のメチル化の増加と、その後の標的遺伝子の抑制解除をもたらすことを示した。このため、LSD1は、明らかに、ヒストンH3の脱メチル化により転写を抑制する。反対に、LSD1の阻害は、脱メチル化を防ぐことにより転写を可能にする。
【0187】
LSD1の活性部位とモノアミン酸化酵素(MAO)との間の観察される相同性のため、Lee et al.(Chemistry & Biology 13:563 (2006))は、様々なMAO阻害剤のLSD1を阻害する能力について試験した。彼らは、トラニルシプロミン((1R,2S)―2−フェニルシクロプロパンー1−アミン)を2マイクロモル未満のIC50値を有する阻害剤として同定した。P19胚性癌腫細胞のトラニルシプロミンでの処理は、Egr1およびOct4遺伝子の転写の抑制解除をもたらした。
【0188】
国際特許出願WO2006/071608は、真核生物のヒストンデメチラーゼ活性をモニタリングするための方法、メチル化ヒストン活性化遺伝子を上方調節および下方調節するための方法、ならびにヒストンデメチラーゼのタンパク質の量または活性を調節することにより疾患(例えば、癌などの過剰増殖性疾患)を治療または予防するための方法を目的とする。遺伝子制御、およびLSD1を阻害または調節することにより遺伝子制御に影響を及ぼす能力の重要性の観点から、該酵素の阻害剤は、重要な治療上の可能性を有し得る;Bi, X. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16:3229-3232 (2006)および国際特許出願WO2007/021839は、LSD1の阻害剤として有用なある化合物を記述している。
【0189】
本発明のリジン特異的デメチラーゼ−1−阻害化合物は、約10マイクロモルもしくはそれ未満、約1マイクロモルもしくはそれ未満、約100ナノモルもしくはそれ未満、約10ナノモルもしくはそれ未満、または約100ナノモルもしくはそれ未満の化合物の濃度において少なくとも約25%;約10マイクロモルもしくはそれ未満、約1マイクロモルもしくはそれ未満、約100ナノモルもしくはそれ未満、約10ナノモルもしくはそれ未満、または約100ナノモルもしくはそれ未満の化合物の濃度において少なくとも約50%;約10マイクロモルもしくはそれ未満、約1マイクロモルもしくはそれ未満、約100ナノモルもしくはそれ未満、約10ナノモルもしくはそれ未満、または約100ナノモルもしくはそれ未満の化合物の濃度において少なくとも約75%;約10マイクロモルもしくはそれ未満、約1マイクロモルもしくはそれ未満、約100ナノモルもしくはそれ未満、約10ナノモルもしくはそれ未満、または約100ナノモルもしくはそれ未満の化合物の濃度において少なくとも約90%;約10マイクロモルもしくはそれ未満、約1マイクロモルもしくはそれ未満、約100ナノモルもしくはそれ未満、約10ナノモルもしくはそれ未満、または約100ナノモルもしくはそれ未満の化合物の濃度において少なくとも約95%;あるいは約10マイクロモルもしくはそれ未満、約1マイクロモルもしくはそれ未満、約100ナノモルもしくはそれ未満、約10ナノモルもしくはそれ未満、または約100ナノモルもしくはそれ未満の化合物の濃度において少なくとも約99%、LSD1を阻害することができる。
【0190】
生物学的応用-癌の処置
本発明の方法を用いて疾患を「処置する(treating)」または「処置する(to treat)」とは、疾患もしくは疾患の症状を和らげ、寛解させ、安定させ、逆転させ、遅くし(slow)、遅らせ(delay)、予防し、低減させ、もしくは除去するために、または、疾患もしくは疾患の症状の進行を遅らせ(retard)もしくは停止させるために、1また2以上のポリアミンまたはポリアミン類を、追加の治療薬とともにまたは追加の治療薬なしで、投与することとして定義される。ポリアミンおよびポリアミン類の「治療上の使用」とは、上述したように疾患を治療する(疾患の予防も含む)ために、1また2以上のポリアミンまたはポリアミン類を用いることと定義される。「治療有効量」とは、上述したように、疾患を治療する(予防することも含む)のに十分な量である。予防および抑制は、部分的または全体的でありうる。
【0191】
本明細書において開示された化合物は、抗癌活性を有し、肺癌、乳癌、前立腺癌および大腸癌の主形態を表す多様なヒトの腫瘍細胞の型において実証されてきた。したがって、本明細書において開示された化合物は、肺癌(小細胞肺癌またはSCLC、非小細胞肺癌またはNSCLC、肺胞上皮細胞癌、気管支上皮細胞癌、および扁平上皮癌を含むがこれに限定されない)、乳癌、前立腺癌、および大腸癌を含む癌を治療すること、ならびに、肺癌(小細胞肺癌またはSCLC、非小細胞肺癌またはNSCLC、肺胞上皮細胞癌、気管支上皮細胞癌、および扁平上皮癌を含むがこれに限定されない。)、乳癌、前立腺癌、および大腸癌を含む癌の予防を含む癌を予防することに用いられることができる。
【0192】

例1
化合物のLSD1の阻害についての試験
本発明の化合物を、リジン特異的デメチラーゼ−1に対する阻害活性に関して、Bi, X. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16:3229-3232 (2006)(補足データも参照)に概略されたように試験する。
【0193】
例2
化合物の癌細胞系に対してのインビトロでの試験
H157、H82、A549および/またはBeas2B細胞における、本発明の化合物への96時間の暴露に続いてのMTS用量応答実験を行う。MTSは、細胞における代謝活性を測定するのに用いられる標準的な比色アッセイである。MTS実験を、Promega CorporationからのCellTiter 96(登録商標) AQueous One Solution Cell Proliferation Assayによって行う。細胞を、100μl/ウェルの培地を含む96ウェル組織培養ディッシュ上に3000細胞/ウェルで播種し、一晩接着させる。培地を、吸引し、好適な濃度の試験される化合物を含む100μlの新鮮な培地で置き換える;細胞を、その後、37℃、5%COで96時間インキュベートする。化合物を、0.1マイクロモル〜50マイクロモルの範囲の濃度で試験する。評価化合物を含まないウェルを、対照として用いる。処理後に、各ウェルに20μlのMTS試薬を添加し、37℃にて1.5時間インキュベートする。各ウェルの吸光度を、次いで、490nmで測定し、試験化合物の存在下において、対照と比較して、細胞の代謝活性を決定するために用いる。結果を基にして、試験化合物のIC50値を抽出する。
【0194】
235、MCF7、435および10A細胞における、本発明の化合物への暴露に続いてのMTS用量応答実験を行う。MTTは、細胞における代謝活性を測定するために用いられる標準的な比色アッセイである。細胞を含まない約200μlの培地を96ウェルプレートのカラムAに添加し、ブランクとして使用される。細胞を含む約200μlの培地を、残りのウェルに添加し、一晩インキュベートする。残りのウェルは、約4000〜5000個/ウェルのMCF7細胞、3000個の231細胞、12,000個/ウェルの468細胞、または9000個/ウェルのMCF 10A細胞を含んでいる。インキュベーションの後で、96ウェルプレートのカラムAおよびBにおいて、ウェル中の培地を吸引し、200μlの新鮮な培地と置き換える。カラムBを、対照として用いる。試験される化合物を含む次の200μlの新鮮な培地を、残りのウェルに添加し、96時間インキュベートする。化合物を、慣例的に、0.1マイクロモル〜50マイクロモルの範囲の濃度で試験する。96時間のインキュベーションの後で、各ウェル中の培地を吸引し、血清を含まない培地中の5mg/mlのMTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)溶液100μlで置き換え、4時間インキュベートする。MTT溶液とのインキュベーションの後でて、MTT溶液を除去し、200μlの1:1 EtOH+DMSO溶液で置き換え、20分インキュベートする。EtOH+DMSO溶液とのインキュベーションの後で、プレートを540nmで読み、対照と比較ての、試験化合物の存在下での細胞における代謝活性を定量するために用いる。結果を基にして、試験化合物のIC50値を抽出する。
【0195】
H157、H82、A549細胞において、本発明の化合物への暴露に続いてのSSAT(スペルミジン/スペルミン−N−アセチル基転移酵素)活性実験が行われる。SSAT活性を決定するための詳細な手順は、Casero et al., Cancer Research, 49:3829 (1989)に記載されている。簡潔に述べると、SSAT活性は、処理された細胞を暴露時間で採取することによって測定される。次いで、細胞を溶解させ、スペルミジンおよび1−[14C]アセチル補酵素Aにより5分間処理する。酵素活性を、1分あたりの細胞タンパク質1mgあたりの生成した[14C]アセチルスペルミジンのピコモル(pmol/mgP/min)単位で測定する。
【0196】
H157およびH82細胞において、本発明の化合物への暴露の後のプトレシン、スペルミジン、およびスメルミンポリアミンのレベルを測定する実験を行う。ポリアミンレベルは、Kabra et al., J. Chromotography, 380:19 (1986)に記載されているように、プレカラムダンシル化標識、逆相高速液体クロマトグラフィー法を用いて決定する。
【0197】
H157細胞における、本発明の化合物への暴露の後のSMO(スペルミン酸化酵素)活性を測定する実験を行う。SMO活性を測定する詳細な手順は、Wang et al., Cancer Research, 61:5370 (2001)に記載されている。
【0198】
H157細胞における、本発明の化合物への暴露の後のODC(オルニチン脱炭酸酵素)活性実験を行う。ODC活性を測定する詳細な手順は、Pegg et al., Methods Enzymology, 94:158 (1983)に記載されている。
【0199】
処理が導入されたH157細胞における細胞周期測定を行う。10μMの濃度においての24時間の目的とする化合物への細胞の暴露の後で、細胞を採取し、細胞周期分析のためにFACS用に準備してFACSへ移す(Carlisle et al., Clinical Cancer Research 8:2684 (2002)および同文献における引用文献を参照)。
【0200】
引用を特定することにより本明細書において参照された全ての刊行物、特許、特許出願および公開された特許出願は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0201】
前述の本発明は、理解を明確にすることを目的として、一部の詳細について説明および例によって記載されてきたが、当業者にとって、若干の小さな変更および修正が実施されるであろうことは、明らかである。したがって、記述および例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】

式中、nは1から12までの整数であり、mおよびpは独立して1から5までの整数であり、qは0または1であり、それぞれのRは、独立して、C〜C置換もしくは非置換アルキル、C〜C15置換もしくは非置換シクロアルキル、C〜C15置換もしくは非置換分枝状アルキル、C〜C20置換もしくは非置換アリール、C〜C20置換もしくは非置換ヘテロアリール、C〜C24置換もしくは非置換アラルキル、C〜C24置換もしくは非置換ヘテロアラルキル、または少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、少なくとも1つのRは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;かつ、それぞれのRは独立して水素またはC〜C置換もしくは非置換アルキルから選択される、
で表される化合物またはその塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項2】
下記式(II):
【化2】

式中、nは、1から12までの整数であり、mおよびpは、独立して1から5までの整数であり、qは0または1であり、それぞれのRは、独立して、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C20置換または非置換アリール、C〜C20置換または非置換ヘテロアリール、C〜C24置換または非置換アラルキル、C〜C24置換または非置換ヘテロアラルキル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NR、からなる群から選択され、ただし、少なくとも1つのRは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;かつ、それぞれのRは独立して水素またはC〜Cの置換もしくは非置換のアルキルである、
で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項3】
下記式(III):
【化3】

式中、nは1から12までの整数であり;mおよびpは独立して1から5までの整数であり;RおよびRは、独立して、水素、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C20置換または非置換アリール、C〜C24置換または非置換アラルキル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、RおよびRのうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;それぞれのRは独立して水素またはC〜Cの置換もしくは非置換アルキルであり;R、R、R、RおよびRは、独立して、水素およびC〜C置換または非置換アルキルからなる群から選択され;かつ、mおよびpのどちらかは、同じ整数ではないか、または、R、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つは、C〜Cの置換または非置換アルキルである、
で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項4】
下記式(IV):
【化4】

式中、A、R10およびR11は、独立して、(CHまたはエテン−1,1−ジイルであり;nは1から5までの整数であり;R12およびR13は、独立して、水素、C〜C置換または非置換アルケニル、C〜C置換または非置換アルキル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、R12およびR13のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;かつ、それぞれのRは独立して水素またはC〜Cの置換もしくは非置換アルキルである、
で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項5】
下記式(V):
【化5】

式中、nは1から8までの整数であり;mは1から8までの整数であり;R15およびR14は、独立して、水素、C〜Cの置換または非置換のn−アルキルまたは(C〜C)分枝状アルキル、C〜C20の置換または非置換のアリールまたはヘテロアリール、C〜C24の置換または非置換のアラルキルまたはヘテロアラルキル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、R14およびR15のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;それぞれのRは独立して水素またはC〜C置換もしくは非置換アルキルであり;R16およびR17は、独立して水素またはC〜C置換もしくは非置換アルキルであり;かつ、前記化合物は、R17がC〜C置換アルキルである場合を除いて3つ以下の第2級アミノ基を含み、前記化合物は、メチルホスホナートまたは水酸基部分を有しない、
で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【請求項6】
下記式(VI):
【化6】

式中、nは1から12までの整数であり;mおよびpは独立して1から5までの整数であり;R18およびR19は、独立して、水素、C〜C非置換−アルキル(例えば、メチル、エチル、tert−ブチル、イソプロピル、ペンチル、シクロブチル)、少なくとも2つの環を含むシクロアルキル基で置換されたC〜Cn−アルキル、少なくとも2つの環を含むC〜C24の置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、R18およびR19のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;かつ、それぞれのRは独立して水素またはC〜C置換もしくは非置換アルキルである、
で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項7】
下記式(VII):
【化7】

式中、nは1から12までの整数であり;mおよびpは独立して1から5までの整数であり;qは、0または1であり;R20およびR21は、独立して、水素、C〜C置換または非置換アルキル、−C(=O)−C〜C置換または非置換アルキル、−C(=O)−C〜C置換または非置換アルケニル、−C(=O)−C〜C置換または非置換アルキニル、C〜C24置換または非置換アラルキル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、R20およびR21のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;かつ、それぞれのRは独立して水素またはC〜C置換もしくは非置換アルキルである、
で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項8】
下記式(VIII):
【化8】

式中、mおよびpは、独立して1から5までの整数であり;Xは、−(CH−またはシクロヘキサ−1,3−ジイルであり;nは1から5までの整数であり;R22およびR23は、独立して、水素、n−ブチル、エチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロプロピルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルエタ−2−イル、ベンジル、ベンジル、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、およびRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRからなる群から選択され、ただし、R22およびR23のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;かつ、それぞれのRは独立して水素またはC〜C置換もしくは非置換アルキルである、
で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項9】
下記式(IX):
【化9】

式中、pは、1から5までの整数であり;R24は、アミノ置換シクロアルキル(例えば、第1級、第2級、第3級、第4級アミンによって置換されたシクロアルキル基等)、C〜C置換または非置換アルカノイル(置換アルカノイルは、1もしくは2以上の置換基、例えば、「置換アルキル」について例示されたもの、メチル基およびアルキルアジド基によって置換されたアルカノイルを含むがこれに限定されない、によって置換されていてもよい)、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;R25は、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C24置換または非置換アラルキル(I)−(VIII)、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−CH=C=CH、C〜Cアルキル−C≡CH、C〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルまたはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり、ただし、R24およびR25のうち少なくとも1つは、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、またはC〜Cアルキル−CH=C=CH、またはC〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cアルキル−シクロプロパン、またはRが独立してH、アルキルもしくはアラルキルであるシクロプロピル−NRであり;かつ、それぞれのRは独立して水素またはC〜C置換もしくは非置換アルキルである、
で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項10】
下記式(X):
【化10】

式中、R26は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、ここで、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;Wは、−NH−、
【化11】

pおよびnは、独立して、1から5までの整数であり;tは、1から6までの整数であり;qは、1から10までの整数であり;sは、0または1であり;Xは、−O−C〜Cアルキル、OHまたはNHR28であり、ここで、R28は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;R27は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルである、
で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項11】
下記式(XI):
【化12】

式中、R26は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、ここで、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;Wは、−NH−、
【化13】

pおよびnは、独立して、1から5までの整数であり;tは、1から6までの整数であり;qは、1から10までの整数であり;sは、0または1であり;R27は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり、かつWは、−NH−、
【化14】

で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項12】
下記式(XII):
【化15】

式中、R26は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、ここで、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;Wは、−NH−、
【化16】

pおよびnは、独立して、1から5までの整数であり;tは、1から6までの整数であり;qは、1から10までの整数であり;sは、0または1であり;R27は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり、R29は、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cシクロプロパンである、
で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項13】
下記式(XIII):
【化17】

式中、R26は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、ここで、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;Wは、−NH−、
【化18】

pおよびnは、独立して、1から5までの整数であり;tは、1から6までの整数であり;qは、1から10までの整数であり;sは、0または1であり;R27は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアリール基のアルキル部分はC〜Cアルキルであり、R29は、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cシクロプロパンであり;Wは、−NH−、
【化19】

で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項14】
下記式(XIV):
【化20】

式中、R26は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、ここで、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;Wは、−NH−、
【化21】

pおよびnは、独立して、1から5までの整数であり;tは、1から6までの整数であり;qは、1から10までの整数であり;sは、0または1であり;R27は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアリール基のアルキル部分はC〜Cアルキルであり、R29は、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cシクロプロパンである、
で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項15】
下記式(XV):
【化22】

式中、R26は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、ここで、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;Wは、−NH−、
【化23】

pおよびnは、独立して、1から5までの整数であり;tは、1から6までの整数であり;qは、1から10までの整数であり;sは、0または1であり;R27は、水素原子、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアリール基のアルキル部分はC〜Cアルキルであり、かつ、R29は、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cシクロプロパンである、
で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項16】
下記式(XVI):
【化24】

式中、R26は、水素原子、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、ここで、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;Wは、−NH−、
【化25】

pおよびnは、独立して、1から5までの整数であり;tは、1から6までの整数であり;qは、1から10までの整数であり;sは、0または1であり;Xは、−O−C〜Cアルキル、OHまたはNHR28であり、ここで、R28は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;R27は、水素、C〜Cアルキルまたはアラルキルであり、そのアリール基のアルキル部分は、C〜Cアルキルであり;かつ、R29は、少なくとも1つのハロ基によって置換されたC(=O)C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−C≡CH、またはC〜Cシクロプロパンである、
で表される化合物またはこれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物および薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物および該化合物の治療上の使用についての説明書を含むキット。
【請求項19】
説明書が、癌の処置のための化合物の使用について執筆された説明書である、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその任意の塩、溶媒和物、水和物もしくは立体異性体を対象に投与することを含む、前記対象において癌を処置する方法。
【請求項21】
対象が、癌を罹患しているものとして同定されており、化合物が、同定された前記対象に投与される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
対象が哺乳動物である、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
対象がヒトである、請求項20または21に記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその任意の塩、溶媒和物、水和物もしくは立体異性体の医薬としての使用。
【請求項25】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはれその任意の塩、溶媒和物、水和物もしくは立体異性体の、癌の処置のための医薬の製造のための使用。

【公表番号】特表2010−523685(P2010−523685A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503095(P2010−503095)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/004874
【国際公開番号】WO2008/127734
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(398076227)ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティー (35)
【Fターム(参考)】