説明

リソース再使用を考慮する伝送フォーマット選択

【課題】複数のアンテナから同時に送信される複数のデータストリームのリソース再使用度を計上する形で伝送フォーマットを選択する手法を提供する。
【解決手段】各データストリームのリソース再使用度は、そのデータストリームによって観測されるリソース(例えば直交符号又はサブキャリア)の再使用量を示す。初期リソース割り当てに基づき複数のデータストリームの干渉推定が導き出される。その干渉推定に基づきリソース再使用度が判定され、リソース再使用度を用いて少なくとも1つの補正率が導き出される(410)。そして少なくとも1つの補正率を使用し、データストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットを選択する(420)。各データストリームには、データストリームに使用するリソースの量とその他のパラメータとを指示する伝送フォーマットに従ってリソースが割り当てられる(430)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(米国特許法第119条に基づく優先権の主張)
本特許出願は、これの譲受人へ譲渡され、2005年4月28日に出願された仮出願第60/676,123号、表題「適応レートMIMOマルチコードCDMAシステムにおける符号再使用依存型変調符号化方式選択(Code-Reuse Dependent Selection of Modulation Coding Scheme in Adaptive-Rate MIMO Multicode CDMA System)」に対し優先権を主張するものであり、ここで参照として明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般的には通信に、より具体的には無線通信システムで伝送フォーマットを選択する手法に関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信システムの送信器は通常、使用のため選択される伝送フォーマットに従ってトラフィックデータを処理し(例えば符号化し、変調し、チャネライズする)、出力チップを生成する。伝送フォーマットは、レート、変調符号化方式(MCS)、パケットフォーマット、転送フォーマット、伝送モード等と呼ばれることもある。伝送フォーマットは、符号化方式、符号レート、変調方式、データブロックサイズ、符号チャネル又はサブキャリアの数等、伝送にあたって用いる様々なパラメータをユーザ示すことができる。そして送信器は出力チップを処理して変調信号を生成し、無線チャネルを介してこの信号を送信する。無線チャネルはチャネル応答にともない送信信号を歪ませ、ノイズと干渉にともない信号をさらに劣化させる。
【0004】
受信器は送信信号を受信し、受信信号を処理することによりサンプルを得る。そして受信器は、選択された伝送フォーマットに従いサンプルを処理する(例えば、逆チャネライズし、復調し、復号化する)ことにより復号データを得る。受信器は、例えば送信器によって送信されるパイロットに基づき、受信信号品質を推定できる。送信器及び/又は受信器は、受信信号品質に基づき次の時間間隔に用いるしかるべき伝送フォーマットを選択できる。
【0005】
伝送フォーマット選択とは、チャネルの状態やその他の関連要因に基づき伝送に用いる、しかるべき伝送フォーマットを選択することを指す。伝送フォーマット選択はシステム性能に大きく影響し、時間に沿って変動するシステムにとって難題である。複数の受信アンテナへのデータ伝送のため複数の送信アンテナを使用する多重入出力(MIMO)システムにおいては、伝送フォーマット選択がなおさら難題である。複数の送信アンテナからの伝送は互いに干渉するため、受信信号品質を正確に推定し、使用すべき適切な伝送フォーマットを選択することは、より困難になる。
【0006】
したがって、当技術分野においては、MIMOシステムで伝送フォーマットを効率的に選択するための手法が求められている。
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、複数の送信アンテナから送信されるデータストリームによって観測されるリソース再使用の度合いを計上する形で、伝送フォーマットを選択する手法を説明する。各データストリームのリソース再使用度は、そのストリームによって観測されるリソースの再使用量を示す。これらの手法はより正確な伝送フォーマット選択を提供でき、したがって無線チャネルのキャパシティ近くでデータストリームを送信できる。
【0008】
本発明の一実施形態に従い、少なくとも1つのプロセッサとメモリとを含む装置を説明する。プロセッサは、複数のアンテナから送信される複数のデータストリームのリソース再使用度に基づき、少なくとも1つの補正率を判定する。プロセッサは、少なくとも1つの補正率を用いて、複数のデータストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットを選択する。
【0009】
別の実施形態に従い、複数のアンテナから送信される複数のデータストリームのリソース再使用度に基づき、少なくとも1つの補正率が判定される方法を提示する。少なくとも1つの補正率を用いて、複数のデータストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットが選択される。
【0010】
さらに別の実施形態に従い、複数のアンテナから送信される複数のデータストリームのリソース再使用度に基づき、少なくとも1つの補正率を判定する手段と、少なくとも1つの補正率を用いて、複数のデータストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットを選択する手段と、を含む装置を説明する。
【0011】
さらに別の実施形態に従い、少なくとも1つのプロセッサとメモリとを含む装置を説明する。プロセッサは、初期リソース割り当てに基づき複数のデータストリームの干渉推定を導き出す。複数のアンテナからは複数のデータストリームが同時に送信され、干渉推定はストリーム間干渉のものである。プロセッサは、干渉推定に基づき複数のデータストリームの少なくとも1つのパラメータを制御する。少なくとも1つのパラメータは、伝送フォーマット、送信電力、リソース割り当て等に関係することがある。
【0012】
さらに別の実施形態に従い、初期リソース割り当てに基づき複数のデータストリームの干渉推定が導き出される方法を提示する。複数のデータストリームの少なくとも1つのパラメータは、干渉推定に基づき制御される。
【0013】
さらに別の実施形態に従い、初期リソース割り当てに基づき複数のデータストリームの干渉推定を導き出す手段と、干渉推定に基づき複数のデータストリームの少なくとも1つのパラメータを制御する手段と、を含む装置を説明する。
【0014】
これより本発明の様々な態様及び実施形態をさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】SISO CDMAシステムにおけるノードBとUEのブロック図を示す。
【図2】MIMO CDMAシステムにおけるノードBとUEのブロック図を示す。
【図3】伝送フォーマット選択器のブロック図を示す。
【図4】MIMOシステムで伝送フォーマットを選択するプロセスを示す。
【図5】MIMOシステムで伝送フォーマットを選択するプロセスを示す。
【図6】MIMOシステムでデータを送信するプロセスを示す。
【図7】MIMOシステムで基地局と端末のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
用語「例示的」は、本明細書において「例、事例、又は例証として役立つ」ことを意味するために使われている。本明細書で「例示的」なものとして説明する実施形態は、必ずしも他の実施形態より好ましいもの、又は有利なもの、と解釈されるべきものではない。
【0017】
本明細書で説明する伝送フォーマット選択手法は、符号分割多重アクセス(CDMA)システム、時分割多重アクセス(TDMA)システム、周波数分割多重アクセス(FDMA)システム、直交FDMA(OFDMA)システム、単一キャリアFDMA(SC−FDMA)システム等、様々な無線通信システムに用いることができる。CDMAシステムは符号分割多重化法(CDM)を利用し、ワイドバンドCDMA(W−CDMA)、cdma2000等の無線技術を実装できる。OFDMAシステムは直交周波数分割多重化法(OFDM)を利用する。SC−FDMAシステムは単一キャリア周波数分割多重化法(SC−FDM)を利用する。OFDMとSC−FDMは全システム帯域幅を、トーン、ビン等とも呼ばれる複数の直交サブキャリアに仕切る。一般的に変調シンボルは、OFDMなら周波数領域で、SC−FDMなら時間領域で、送信される。
【0018】
CDMA、OFDMA、及びSC−FDMAは、送信に先駆け異なるユーザ及び/又はストリームのためデータを多重化するため、CDM、OFDM、及びSC−FDMをそれぞ利用する、異なる多重アクセス方式である。CDMAは様々な直交符号によりデータをチャネライズし、符号領域にて直交性を達成する。OFDMA/SC−FDMAは異なるサブキャリア上でデータを送信し、周波数領域にて直交性を達成する。
【0019】
伝送に使える総リソースは、システムで使用する多重化方式に応じて、様々なシステムで様々なパラメータにより定量化できる。例えば、CDMAシステムにおける総使用可能リソースは、直交符号の数と総送信電力とによって定量化できる。OFDMA又はSC−FDMAシステムにおける総使用可能リソースは、サブキャリアの数と総送信電力とによって定量化できる。システムは通常、性能を極大化するため総使用可能リソースをできるだけ多く利用しようとする。一般的に、チャネル品質の改善にともない、より多くの符号又はサブキャリアリソースを用いてデータスループットを向上させることができる。
【0020】
単一入出力(SISO)システムは、ひとつの受信アンテナへのデータ送信のためひとつの送信アンテナを使用する。SISOシステムは、総使用可能リソースの全部又は一部を利用することによって伝送を制御できる。直交符号及びサブキャリアは互いに直交であるから、使用可能な直交符号及びサブキャリアの全てを、それらの間に干渉をほとんどともなわず、使用できる。
【0021】
MIMOシステムは、複数の(R個の)受信アンテナへのデータ伝送のため複数の(T個の)送信アンテナを使用する。T個の送信アンテナとR個の受信アンテナとによって形成されるMIMOチャネルはS個の空間チャネルに分解でき、ここでS≦min{T,R}である。MIMOシステムは、直交符号及びサブキャリアに対し直交であるもうひとつのリソース次元(空間次元)を有する。それ故、T個の送信アンテナから複数の(例えばS個の)データストリームを同時に送信でき、ここで各々のデータストリームは、SISOシステムにおけるデータストリームと同様に送信できる。とりわけ、使用可能な直交符号又はサブキャリアの全てを、同時に送信されるデータストリームの各々に使用できる。
【0022】
T個の送信アンテナから送信されるデータストリームは互いに干渉する。受信器は、これらのデータストリームの分離を試みるためMIMO検出を遂行できる。MIMO検出は通常、データストリームを完全には分離できず、各々のデータストリームは他のデータストリームからある程度の干渉を観測する。このストリーム間干渉は、直交符号又はサブキャリアの互いに素な集合をそれぞれのデータストリームに用いることによって回避でき、さもなくば大幅に抑えることができる。例えば、T個の送信アンテナからT個の異なる直交符号を用いて(又はT個の異なるサブキャリア上で)T個のデータストリームを送信でき、T個のデータストリームは受信器にて互いにごくわずかにしか干渉しない。ただし、各直交符号の、又は各サブキャリアの使用を、1つのデータストリームに限定すると、システムキャパシティが大幅に低下するおそれがある。
【0023】
リソース再使用とは、同時に送信される複数のデータストリームに所与のリソース(例えば直交符号又はサブキャリア)を使用することを指す。例えば、あるひとつのデータストリームに所与の直交符号を使用でき、その後1つ以上のさらなるデータストリームに再使用できる。ストリーム間干渉を抑えるには、データストリームへの総使用可能リソースの分配にあたって、各リソース(例えば直交符号又はサブキャリア)が分配されるデータストリームができるだけ少なくなるようにする。リソース再使用度は、所与のリソースが使用され再使用される程度を示す。リソース再使用度は、再使用率、又は他の何らかの用語で呼ばれることもあり、整数又は非整数値によって表すことができる。再使用率は、各々のデータストリームが総使用可能リソースのうち少量を必要とする場合には低くてよく、各々のデータストリームが総使用可能リソースより多くの量を必要とする場合には高くてよい。
【0024】
一態様においては、データストリームによって観測されるリソース再使用の度合いを計上する形で伝送フォーマット選択が遂行される。受信器における信号品質は、ストリーム間干渉のためリソース再使用度によって左右される。信号品質は、あるひとつの再使用率を用いて送信されるパイロットに基づき推定でき、データは、別の再使用率を用いて送信できる。よって、信号品質推定は、データストリームによって観測される実際の信号品質に一致しないことがある。本明細書で説明する手法は、データストリームにとって相応しい伝送フォーマットを選択するにあたって、推定信号品質と実信号品質との差異を計上する。
【0025】
本明細書で説明する手法は、CDMA、OFDMA、SC−FDMA、及びMIMOを使用する他のシステムに用いることができる。明瞭を図るため、これ以降はMIMO CDMAシステムについて手法を具体的に説明し、同システムにおいては直交符号が再使用されるリソースにあたる。MIMO CDMAシステムは、W−CDMA又はcdma2000を実装できる。直交符号は、W−CDMAでは直交可変拡散因子(OVSF)符号と呼ばれ、cdma2000ではウオルシュ符号と呼ばれる。W−CDMAは、1〜15本の高速物理ダウンリンク共有チャネル(HS−PDSCH)でのデータ伝送を可能にする、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)をサポートする。各々のHS−PDSCHには別々の16チップOVSF符号が使われる。cdma2000は、別々のユーザをターゲットとし得る1又は2本の順方向パケットデータチャネル(F−PDCH)で、高速パケットデータ伝送をサポートする。各々のF−PDCHには、1つ以上(28個まで)の32チップウオルシュ符号からなる別々のグループを使用できる。これらの符号の拡散因子は固定されているため、一般に使用する直交符号が多いほどより多くのデータを送信できる。
【0026】
明瞭を図るため、これ以降は3GPPにおけるHSDPAのダウンリンク伝送について手法を具体的に説明する。よって、以降の説明の大部分で3GPP用語が使われている。まずはSISO CDMAシステムにおけるデータ伝送を説明し、その後にMIMO CDMAシステムにおけるデータ伝送が続く。
【0027】
図1は、SISO CDMAシステム100におけるノードB110とユーザ装置(UE)150のブロック図を示す。ノードBは、基地局、アクセスポイント等と呼ばれることもある。UEは、移動局(MS)、ユーザ端末、無線デバイス等と呼ばれることもある。
【0028】
ノードB110側の送信(TX)データプロセッサ120は、選択されたMCSに従ってトラフィックデータを処理し(例えば符号化し、インターリーブし、シンボルマップする)、データシンボルを生成する。選択されたMCSは、特定のデータブロックサイズ、特定の符号レート、特定の変調方式、及び/又は伝送に用いるその他のパラメータを指示できる。一般的に、データシンボルはデータの変調シンボルであり、パイロットシンボルはパイロットの変調シンボルであり、変調シンボルは(例えばPSK又はQAMの)信号コンステレーションにおける1点の複素数値であり、シンボルは複素数値である。パイロットは、送信器と受信器の双方にとって既知のデータ/伝送である。CDMA変調器130は、データチップを生成するため1つ以上のHS−PDSCHに1つ以上のOVSF符号を使用しデータシンボルをチャネライズ(又は拡散)し、さらにパイロットチップを生成するためパイロットOVSF符号を使用しパイロットシンボルをチャネライズする。そして変調器130はデータ及びパイロットチップを合計し、合計したチップをスクランブルすることによって出力チップを生成する。送信器(TMTR)134は出力チップを処理し(例えばアナログに変換し、増幅し、フィルタし、周波数アップコンバートする)、ダウンリンク信号を生成し、同ダウンリンク信号はアンテナ136を介して送信される。
【0029】
UE150側のアンテナ152はノードB110からダウンリンク信号を受信し、受信信号を受信器(RCVR)154に提供する。受信器154は受信信号を調節し(例えばフィルタし、増幅し、周波数ダウンコンバートし、デジタル化する)、受信サンプルを提供する。CDMA復調器(Demod)160は受信サンプルを逆スクランブルし、逆スクランブルされたサンプルをノードB110で使われたOVSF符号を用いて逆チャネライズ(又は逆拡散)し、データシンボル推定を提供する。受信(RX)データプロセッサ170は選択されたMCSに従ってデータシンボル推定を処理し(例えばシンボル逆マップし、逆インターリーブし、復号化する)、復号化されたデータを提供する。一般的に、UE150における処理はノードB110における処理と相補的である。
【0030】
伝送フォーマット選択のため、UE150側のチャネル推定器/プロセッサ180はパイロットの受信サンプルを処理し、UE150における受信信号品質を伝えるチャネル品質指標(CQI)値を提供する。UE150はCQI値をノードB110へ送り返す。ノードB110では、伝送フォーマット選択器140が報告CQI値を受信し、UE150への送信に用いる伝送フォーマットを選択する。HSDPAの場合、選択された伝送フォーマットは、送信に用いるHS−PDSCH数ばかりでなくMCSを指示する。CQIマッピングテーブル142は、システムによってサポートされる1組の伝送フォーマットと、CQI値と伝送フォーマットとのマッピングとを格納する。
【0031】
SISO CDMAシステムでは様々な様態で伝送フォーマット選択を遂行できる。明瞭を図るため、これ以降は伝送フォーマット選択の具体的実施形態を説明する。この実施形態において、UE150は、受信パイロット電力と総受信電力とを測定することによって、受信パイロットの信号対雑音比(SNR)を推定する。そしてUE150は、送信に使われる全HS−PDSCH上で受信データのSNRを推定し、次のとおりに報告CQI値を導き出し、
【数1】

【0032】
ここでEcp/Nは、パイロットのチップ当たりのSNRであるパイロット−チップSNRであり、
ct/Ecpは、上位層信号伝達によって与えられるトラフィック対パイロット電力比であり、
SFは、10log(16)に等しいHS−PDSCHの拡散利得であり、
UE_offsetは、UE固有設計パラメータである。
【0033】
等式(1)の中で、数量はいずれもデシベル(dB)単位で与えられる。
【0034】
cpはパイロットのチップ当たりのエネルギーを表し、Ectはトラフィックデータのチップ当たりのエネルギーを表し、Nは総ノイズ及び干渉を表す。EcpとEctで、下付き文字「c」はチップを表し、下付き文字「t」はトラフィックを表し、下付き文字「p」はパイロットを表す。
【0035】
パイロット−チップSNRは、対象となる全信号路についてパイロットの受信サンプルを処理することによって導き出すことができる。SFは、HS−PDSCHに使用する16チップOVSF符号の拡散利得を計上する。Ect/Ecpは、パイロットに用いる送信電力に対するトラフィックデータに用いる送信電力を計上する。UE_offsetは、UEにおける実装損失及び/又はその他の要因を計上する補正率である。一般的に、CQI値は、受信器アーキテクチャ(例えばレーキ受信器又はイコライザ主体受信器)、SNR計算に利用できるサンプル統計、その他に応じ、様々な方法で導き出すことができる。
【0036】
ノードB110は報告CQI値を受信し、伝送フォーマットを選択する。ノードB110は、報告CQI値に基づき、次のとおりに修正CQI値を導き出すことができ、
【数2】

【0037】
ここでPower_offsetは、HS−PDSCHの電力オフセットであり、
Node_B_offsetは、ノードB固有設計パラメータである。
【0038】
等式(2)の中で、数量はいずれもdB単位で与えられる。
【0039】
Power_offsetは、送信Ect/Ecpと信号伝達Ect/Ecpとの考えられる差を計上し、次のとおりに表すことができる。
【数3】

【0040】
送信Ect/Ecpと信号伝達Ect/Ecpとの差は、ノードB110における送信電力不足及び/又はその他の要因に起因する。
【0041】
Node_B_offsetは、UE150からの報告CQI値と実SNRとのチャネル依存差異を計上する。目標性能水準を達成するため、Node_B_offsetは閉ループ機構を通じて調整できる。例えば、ノードB110によって送信されるパケットについてUE150から受信するACK/NACK報告に基づき、Node_B_offsetを調整することにより、1%又は他の何らかの値の目標パケットエラー率(PER)を達成できる。Node_B_offsetは、各NACK報告につきΔdnずつ減らすことができ、各ACK報告につきΔupずつ増やすことができ、ここでΔup=Δdn・PER/(1−PER)である。
【0042】
ノードB110は、等式(2)に示すとおり報告CQI値に基づき、又はほかの方法で、修正CQI値を導き出すことができる。ノードB110はまた、報告CQI値を無視でき、ノードBが適当とみなす何らかの方法でCQI値を導き出すことができる。一般的に、ノードB110は、報告CQI値、送信すべきデータの量、QoS要求、使用可能送信電力等、様々な要因に基づいて伝送フォーマットを選択できる。
【0043】
表1は、CQI値を推奨伝送フォーマットにマップする例示的なCQIマッピングテーブルを示す。CQIマッピングテーブルを参照のため提供でき、UE150はこれを用いてUE_offsetを計算できる。報告CQI値は、UE150における信号品質で、ノードB110がAWGNチャネルにて関連伝送フォーマットを用いて送信する場合に、10%以下のブロックエラー率(BLER)が達成されることを指示する。
【表1】

【0044】
表1は例示的CQIマッピングテーブルを示すものである。これ以外のCQIマッピングテーブルを使用のため定義することもできる。所与のCQIマッピングテーブルで、データレート、変調次数、そしてOVSF符号数は、概してCQI値が大きいほど増加する。
【0045】
ノードB110はHSDPAにおいて15個のHS−PDSCHに対し15個のOVSF符号を有する。ノードB110によって選択される伝送フォーマットは、UE150への送信に用いる特定のHS−PDSCH数を指示する。UE150のために使用するHS−PDSCHが15に満たない場合(表1で1〜26のCQI値の場合)、ノードB110は、残りのHS−PDSCHをほかのUEに分配する場合とそうでない場合とがある。
【0046】
図2は、MIMO CDMAシステム200におけるノードB210とUE250のブロック図を示す。ノードB210は複数の(T個の)送信アンテナ236a〜236tを装備し、UE250は複数の(R個の)受信アンテナ252a〜252rを装備する。簡潔を図るため、以降の説明ではT≦Rの最高ランクMIMOチャネルを仮定する。一般的に、データはMIMOを用いて様々な方法で送信できる。簡潔を図るため、以降の説明の大部分はアンテナ単位レート制御(PARC)実施形態のものであり、同実施形態においては、T個の送信アンテナから同時にT個までのデータストリームを送信でき、各データストリームにつき伝送フォーマットを選択できる。
【0047】
ノードB210は、S個のデータストリームのため、S個のTXデータプロセッサ220a〜220sとS個のCDMA変調器230a〜230sとを含み、ここでS≦Tであり、さらにTX MIMOプロセッサ232と、T個の送信アンテナのためのT個の送信器234a〜234tとを含む。伝送フォーマット選択器240は、各データストリームにつき伝送フォーマットを選択し、1つ以上のOVSF符号を各データストリームに割り当て、選択されたMCSと各ストリームのOVSF符号とを提供する。TXデータプロセッサ220は、各データストリームにつき、選択されたMCSに従いトラフィックデータを処理し、データシンボルを生成する。CDMA変調器230は、割り当てられたOVSF符号を用いてデータシンボルをチャネライズすることによってデータチップを生成し、パイロットOVSF符号を用いてパイロットシンボルをチャネライズすることによってパイロットチップを生成し、データ及びパイロットチップを合計しスクランブルすることによって出力チップを生成する。
【0048】
TX MIMOプロセッサ232は、CDMA変調器230a〜230sからのS個の出力チップストリームに対し送信器空間処理を遂行し、T個の送信器234a〜234tへT個の送信チップストリームを提供する。一実施形態においてはS=Tであり、TX MIMOプロセッサ232は単純に、各出力チップストリームをそれぞれの送信器234へ提供する。別の実施形態において、TX MIMOプロセッサ232は、複数の(例えば全T個の)送信アンテナから各出力チップストリームを送信するため、正規直交行列、プリコーディング行列、又は他の何らかの行列を用いて、S個の出力チップストリームを倍増させる。いずれにせよ、各送信器234はそれぞれの送信チップストリームを処理し、ダウンリンク信号を生成する。送信器234a〜234tによって生成されたT個のダウンリンク信号は、それぞれアンテナ236a〜236tを通じて送信される。
【0049】
UE250は、R個の受信アンテナのためのR個の受信器254a〜254rと、MIMO検出器256とを含み、さらにS個のデータストリームのためのS個のCDMA復調器260a〜260sと、S個のRXデータプロセッサ270a〜270sとを含む。R個のアンテナ252a〜252rはノードB210からダウンリンク信号を受信し、R個の受信信号をそれぞれ受信器254a〜254rへ提供する。各受信器254はこれの受信信号を調節し、受信サンプルを提供する。MIMO検出器256は全R個の受信器254から受信サンプルを入手し、受信サンプルに対しMIMO検出を遂行することによってS個のデータストリームを分離し、S個のストリームの検出サンプルを提供する。CDMA復調器260は、各データストリームにつき、ストリームの検出サンプルを逆スクランブルし、そのストリームに使われたOVSF符号を用いて逆スクランブルサンプルを逆チャネライズし、データシンボル推定を提供する。RXデータプロセッサ170は選択されたMCSに従いデータシンボル推定を処理し、ストリームの復号化データを提供する。
【0050】
伝送フォーマット選択のため、UE250側のチャネル推定器/プロセッサ280はパイロットの受信サンプルを処理し、S個のデータストリームのCQI値を提供する。UE250はCQI値をノードB210へ送り返す。ノードB210では伝送フォーマット選択器240が報告CQI値を受信し、後述するとおり、各データストリームの伝送フォーマットを選択する。CQIマッピングテーブル242は、サポートされた伝送フォーマットと、CQI値と伝送フォーマットとのマッピングとを格納する。
【0051】
ノードB210は、UE250がMIMOチャネルの特性をつかめるようパイロットを送信でき、S個のデータストリームにつきS個のCQI値を生成する。一実施形態において、ノードB210はT個のパイロットOVSF符号を用いてT個の直交パイロットを生成し、これらT個の直交パイロットをT個の送信アンテナから送信する。別の実施形態において、ノードB210は、S個のパイロットOVSF符号とともにS個の直交パイロットを生成し、送信器空間処理に先駆け、チャネライズされたトラフィックデータとともにこれらの直交パイロットを多重化する(例えば組み合わせる)。一般的にUE250は、ノードB210によってパイロットが送信される様態と、ノードB210によって遂行される送信器空間処理と(これが遂行される場合)、UE250によって遂行されるMIMO検出とに応じて、様々な方法でSNR推定を導き出すことができる。
【0052】
以降の説明では、ノードB210がT個の送信アンテナからT個の直交パイロットを送信すると仮定する。UE250は、受信パイロットに基づき各送信アンテナのパイロット−チップSNRを推定できる。そしてUE250は、このパイロット−チップSNRに基づきデータストリームごとのトラフィック−シンボルSNRを判定でき、次にこのトラフィック−シンボルSNRに基づき各データストリームのCQI値を導き出すことができる。
【0053】
各々のチップ期間kにUE250にて受信するサンプルは次のとおりに表すことができ、
【数4】

【数5】

【0054】
UE250は、i=1,...,Tの場合に、各送信アンテナiにつきチャネル応答ベクトル(k)を次のとおりに推定できる。UE250はまず、送信アンテナiのパイロットOVSF符号p(k)により、異なるチップ期間中の受信サンプルベクトル(k)を逆拡散する。次にUE250は、パイロットOVSF符号長にわたって逆拡散ベクトルを蓄積し、他のOVSF符号とともに送信されたデータ、信号伝達、及びパイロットを除いたパイロット推定を得る。UE250は、の推定を得るため、複数のパイロットシンボル期間にわたって、パイロット推定をフィルタ又は平均できる。MIMOチャネル応答を正確に推定するため、パイロットOVSF符号長は、データと信号伝達に使われる全OVSF符号の整数倍である。3GPPの場合、パイロットOVSF符号長は256チップであり、HS−PDSCH OVSF符号長は16チップである。簡潔を図るため、以降の説明ではチャネル推定誤差がないと仮定する。
【0055】
UE250はまた、R×Rバックグラウンドノイズ共分散行列nnを次のとおりに推定できる。UE250はまず、各パイロットシンボル期間における受信サンプルベクトル(k)を逆拡散し、蓄積することによって、ノイジーなパイロットベクトルを得る。次にUE250は、全T個の送信アンテナのパイロット推定をノイジーパイロットベクトルから引くことによって、ノイズベクトルを得る。UE250はノイズベクトルの外積を計算し、複数のパイロットシンボル期間にわたって外積の平均をとることによって、nnの推定を得ることができる。あるいは、バックグラウンドノイズが時空間的にホワイトであると仮定でき、したがってnn=σであり、ここでσはノイズ分散であり、は恒等行列である。このノイズ分散は、総受信エネルギーの推定と、信号及び干渉エネルギーの推定とに基づき推定できる。
【0056】
UE250は、いずれも当技術分野において公知である線形最小平均二乗誤差(MME)手法、ゼロ強制(ZF)手法、MRC手法、連続干渉除去(SIC)手法等、様々な手法に基づきMIMO検出(又は等化)を遂行できる。明瞭を図るため、以降の説明ではUE250が線形MMSE手法を使用すると仮定する。
【0057】
UE250は、線形MMSE手法に基づき空間フィルタ行列を次のとおりに導き出すことができ、
【数6】

【0058】
ここで、(k)はT×R空間フィルタ行列であり、
【数7】

【0059】
であり、
UE250は受信サンプルに対し次のとおりに検出を遂行でき、
【数8】

【0060】
ここで、
【数9】

【0061】
は、検出サンプルのT×1ベクトルであり、
【数10】

【0062】
は、線形MMSE検出後のノイズである。
【0063】
各データストリームiの線形MMSE検出からの検出サンプルのSNRは、次のとおりに表すことができ、
【数11】

【0064】
ここで、ΨはデータストリームiのR×R干渉/ノイズ共分散行列であり、
(Ectはデータストリームiで送信されるトラフィックデータの総チップエネルギーであり、
(Ect/Nはデータストリームiのトラフィック−チップSNRであり、
はデータストリームiの平均チャネル応答推定である。
【0065】
各データストリームiの干渉/ノイズ共分散行列は次のとおりに表すことができる。
【数12】

【0066】
式(8)で、nnはバックグラウンドノイズを表し、総和項は他のデータストリームからのストリーム間干渉を表す。
【0067】
データストリームiで送信されるトラフィックデータの総チップエネルギーは次のとおりに表すことができ、
【数13】

【0068】
ここで、(Ecpはパイロットのチップエネルギーであり、
(Ect/Ecpはデータストリームiのトラフィック対パイロット電力比である。
【0069】
一般的に、S個のデータストリームに対し同じ、又は異なる、トラフィック対パイロット電力比を使用できる。トラフィック対パイロット電力比やその他の関係情報は、例えば半静的パラメータとして、UE250へ伝達できる。
【0070】
UE250は各データストリームiのCQI値を次のとおりに導き出すことができる。
【数14】

【0071】
各データストリームiの報告CQI値は、データストリームiに使われる全HS−PDSCHで合計した総トラフィック−シンボルSNRを表す。一般的にCQI値は、UE250で使用するMIMO検出手法、SNR計算に利用できるサンプル統計、その他に応じ様々な方法で導き出すことができる。
【0072】
UE250は、S個のデータストリームにつきS個の報告CQI値をノードB210へ送信できる。そしてノードB210は、上述したとおり報告CQI値に基づきS個の修正CQI値を導き出すことができる。ノードB210は、同じく上述したとおり、各データストリームの伝送フォーマットを、そのデータストリームの修正CQI値に基づき選択できる。表1に示すとおり、異なる伝送フォーマットごとに1〜15の範囲から異なる数のOVSF符号を使用できる。
【0073】
一般的に、S個のデータストリームに対し同じ、又は異なる、OVSF符号集合を使用できる。各集合は、使用のため選ばれる伝送フォーマットに応じて、OVSF符号をいくつでも含むことができる。ストリーム間干渉を最小限に抑えるため、ノードB210は、使用可能OVSF符号の全てが割り当てられるまでは、異なるデータストリームに別々のOVSF符号を割り当てることができる。所要総OVSF符号数が使用可能OVSF符号数に等しいか又はこれを下回る場合には、S個のデータストリームに対しOVSF符号のS個の互いに素な集合を使用でき、ストリーム間干渉を回避することができる。ノードB210は、より多くのOVSF符号が必要になると使用可能OVSF符号を再使用できる。符号再使用度が低いほど、ストリーム間干渉を抑えて性能を上げることができる。
【0074】
UE250は通常、次のスケジューリング間隔の符号割り当て又はノードB210によって選択される伝送フォーマットについて情報を得ない。そこでUE250は、等式(8)に示すとおり、データストリームの各々に全てのOVSF符号が使われるという仮定に基づいて、CQI値を導き出すことができる。データストリームがOVSF符号の互いに素な集合を使用する場合、等式(8)のストリーム間干渉項は逆拡散後に消え、各データストリームにつきより高いCQI値を得ることができる。
【0075】
UE250は、次のスケジューリング間隔の符号割り当てと電力分配について情報を得る場合に、より正確な干渉/ノイズ共分散行列を次のとおりに生成でき、
【数15】

【0076】
ここで、(Ectj,lはデータストリームiに使われるOVSF符号lのチップエネルギーであり、
I(lはCに含まれる)はデータストリームjの指数関数であり、
Lは使用できるOVSF符号の数であり、例えばHSDPAでL=15であり、
【数16】

【0077】
はデータストリームiの改善された干渉/ノイズ共分散行列である。
【0078】
指数関数は次のとおりに定義でき、
【数17】

【0079】
ここで、Cは、対象となるスケジューリング間隔でデータストリームjに使われるOVSF符号の集合である。指数関数は、データストリームjに使われる全OVSF符号で1に設定され、残りのOVSF符号で0に設定される。
【0080】
各データストリームの送信電力が、そのデータストリームに使われる全OVSF符号にわたって均一に分配される場合、各OVSF符号の送信電力は次のとおりに表すことができ、
【数18】

【0081】
ここで、Lはデータストリームjに使われるOVSF符号の数である。
【0082】
等式(11)で、データストリームiの共分散行列Ψは、データストリームiのOVSF符号と共通の(又は再使用される)OVSF符号の場合に限り、他のデータストリームからの干渉を含む。さらに、各データストリームの各OVSF符号からの干渉は、そのOVSF符号に使われる送信電力(Ecti、lによって増減される。よって、等式(11)の干渉推定は等式(8)の干渉推定より正確である。共分散行列Ψは、データストリームiのOVSF符号に対し非直交である他のOVSF符号(これが存在する場合)からの干渉を含めて導き出すこともできる。さらに、CDMAシステムにおける逆拡散効果をあらかじめ考慮に入れて共分散行列を導き出すこともでき、この場合、所望の信号成分と同じ符号を使用するストリーム間干渉成分は、バックグラウンドノイズ又はマルチパス干渉成分に対しSFの逆拡散エネルギー利得を得る。
【0083】
ここで、各データストリームiの検出サンプルのSNRは次のとおりに表すことができる。
【数19】

【0084】
UE250は通常、各データストリームの符号再使用度又は符号割り当てについて情報を得ない。この情報は、ノードB210がS個のデータストリームの伝送フォーマットを選択し、各データストリームに1組のOVSF符号を割り当てるまでは入手できない。符号再使用度は、例えば形状が大きく遅延が短い拡散のシナリオで、SNR推定に大きく影響する。よって報告CQI値に基づいて選択される伝送フォーマットは、次のスケジューリング間隔でデータストリームによって観測される実際のチャネル品質と、十分に整合しないことがある。
【0085】
所与の符号再使用度で報告CQI値(データストリームの各々に使用可能OVSF符号を完全に再使用すると仮定)と実際のSNRとの食い違いを計上するため、再使用補正率を使用することができる。一実施形態において、ノードB210は次のとおりに報告CQI値に基づき修正CQI値を導き出し、
【数20】

【0086】
ここで、(Reuse_correction_factor)はデータストリームiの再使用補正率であり、
(修正CQI値)はデータストリームiの修正CQI値である。
【0087】
一般的に、再使用補正率は、1つ以上の関係パラメータからなる任意の集合の任意の関数に基づき判定できる。ノードB210にはこれらのパラメータを用意しなければならない。報告CQI値は、このようなパラメータのひとつである。このほかに、各データストリームiによって観測される干渉もこのようなパラメータであり、これは次のとおりに推定でき、
【数21】

【0088】
ここで、(干渉)はデータストリームiの干渉推定である。等式(16)では、データストリームiのOVSF符号と同じ、他のデータストリームストリームのOVSF符号の積算電力に基づいて、干渉を推定する。数量はどれもノードBで入手可能であるから、ノードB210は等式(16)で干渉推定を導き出すことができる。
【0089】
一実施形態において、各データストリームiの再使用補正率は、干渉推定の関数fと、データストリームiの報告CQI値と、場合によっては他のパラメータとに基づき、次のとおりに定義される。
【数22】

【0090】
関数fは、コンピュータシミュレーション、実験的測定、その他に基づき判定できる。関数fはルックアップテーブルに格納することもでき、同ルックアップテーブルには、しかるべき入力によってインデックスを付すことができる。
【0091】
別の実施形態においては、データストリームiの干渉推定の関数gに基づき、各データストリームiの符号再使用度が次のとおりに判定され、
【数23】

【0092】
ここで、(Degree_code_reuse)はデータストリームiの符号再使用度である。関数gは干渉の単調関数であり、コンピュータシミュレーション、実験的測定、その他に基づき判定できる。
【0093】
そして、データストリームiの符号再使用度に基づき、各データストリームiの再使用補正率を判定できる。一実施形態においては、次のとおり、再使用補正率は、もしも符号再使用度が閾値を下回るならオフセット値Δに設定され、さもなければゼロに設定される。
【数24】

【0094】
別の実施形態においては、比較のため複数の閾値と複数のオフセット値を使用する。符号再使用度は閾値に比較され、比較の結果に基づきオフセット値のうち1つに再使用補正率が設定される。
【0095】
さらに別の実施形態においては、所望の性能水準を、例えば1%の目標PERを達成するため、等式(19)の閾値及び/又はオフセット値が閉ループ機構によって調整される。オフセット値Δは、符号再使用度が閾値より小さいパケットのACK/NACK報告に基づいて調整できる。符号再使用度が閾値を上回るかこれに等しい全てのパケット又はパケットのACK/NACK報告に基づいて、Node_B_offsetを適応的に調整することもできる。
【0096】
上の説明では、等式(8)に示すとおり、全てのデータストリームで使用可能OVSF符号が完全に再使用される状況で、UE250がCQI値を導き出すと仮定している。これは悲観的な報告CQI値に帰結する。ここでノードB210は、悲観的な報告CQI値を計上するため非負の再使用補正率を使用できる。
【0097】
UE250は、全てのデータストリームで使用可能OVSF符号の再使用がないと仮定し、例えば等式(8)の総和項を省いて、CQI値を導き出すことができる。これは楽観的な報告CQI値に帰結する。この場合、ノードB210は楽観的報告CQI値を計上するため非正の再使用補正率を使用できる。所与のスケジューリング間隔にてデータストリームの中でOVSF符号の再使用がない場合、非正の再使用補正率は0dBの最大値に設定できる。符号再使用度が増すにつれ、ノードB210はより大きい負の再使用補正率を用いて、より大きいバックオフを加えることができる。あるいはまた、たとえUE250が符号再使用を仮定しない場合でも再使用補正率が非負の関数となるよう、Node_B_offsetを設計又は適合することができる。
【0098】
上の説明で、干渉推定はデータストリームの初期符号割り当てに基づいて導き出される。この初期符号割り当ては、最後のスケジューリング間隔で使われた符合割り当て、符号再使用を考慮せずに選択された伝送フォーマットに基づく符号割り当て、その他であってよい。干渉推定を用いてデータストリームの伝送フォーマットが選択され、選択された伝送フォーマットに基づき新しい符号割り当てが得られる。新しい符号割り当てが初期符号割り当てと異なる場合、前に導き出された干渉推定は正確でない可能性がある。一般的に、干渉推定と伝送フォーマット選択と符号割り当てとは、所望の精度が得られるまで何度でも繰り返し遂行でき、例えば、繰り返しが始まるときの符号割り当てが、繰り返しが終わるときの符号割り当てと同じになるまで、遂行できる。
【0099】
図3は、図2の伝送フォーマット選択器240の一実施形態のブロック図を示す。選択器240の中で、干渉推定器310はデータストリームの初期符号割り当てと送信電力とを受信し、例えば等式(16)に示すとおり、これらのデータストリームの干渉推定を導き出す。演算ユニット320は、例えば等式(18)及び(19)に示すとおり、各データストリームiの再使用補正率を、そのストリームの干渉推定に基づき、導き出すことができる。演算ユニット320はまた、例えば等式(17)に示すとおり、干渉推定、報告CQI値、及び/又はその他情報に基づき、S個のデータストリームの再使用補正率を導き出すことができる。
【0100】
CQI計算ユニット330は、例えば等式(15)に示すとおり、報告CQI値、再使用補正率、及びデータストリームの電力オフセットとNode_B_offsetに基づき、修正CQI値を導き出すことができる。CQIマッピングテーブル242はデータストリームの修正CQI値を受信し、これらのストリームの伝送フォーマットを提供する。符号割り当てユニット340は、各データストリームに割り当てるOVSF符号の数をこれの伝送フォーマットに基づき判定し、1つ以上のOVSF符号からなる集合を各データストリームに割り当てる。新しい符号割り当てが初期符号割り当てに一致しない場合には、干渉推定と、伝送フォーマット選択と、符号割り当てとを繰り返し遂行することができる。繰り返しの後、ユニット340はMCSと各データストリームの割り当てOVSF符号を提供する。
【0101】
一実施形態においては、上述したとおり、各データストリームにつき干渉推定と、符号再使用度と、再使用補正率とが導き出される。別の実施形態においては、データストリームがほぼ同じ干渉を観測するよう送信され、この場合は、全S個のデータストリームについて、ひとつの符号再使用度とひとつの再使用補正率とを導き出せばよい。例えばデータストリームには、所定又は擬似ランダム置換に基づき時間に沿って変化するOVSF符号を割り当てることができる。符号割り当てはシンボル期間毎に、又はフレーム内の複数のシンボル間隔毎に、変化でき、全てのデータストリームがほぼ同等の符号再使用度を有しほぼ同等の干渉を観測するようにできる。
【0102】
別の実施形態において、データストリームは、それらがほぼ同等の受信信号品質とほぼ同等のリソース再使用度とを観測するよう送信される。各データストリームは、所定又は擬似ランダム置換に基づき、例えば各データストリームを全T個の送信アンテナにマップする正規直交行列を用いて、全T個の送信アンテナから送信できる。データストリームはまた、上述したとおり、それらがほぼ同等の符号再使用度とほぼ同等の干渉とを観測するよう送信できる。この場合は全データストリームに共通の伝送フォーマットを使用でき、CQI報告のための信号伝達と選択された伝送フォーマットのための信号伝達の両方を減らすことができる。各データストリームにつき別々の制御チャネルを使用する代わりに、全データストリームにただひとつの制御チャネル(例えば共通のHS−SCCH)を使用できる。
【0103】
別の実施形態においては、各データストリームに、そのストリームによって観測される符号再使用度に基づき、電力オフセットが適用される。各データストリームの電力オフセットは、データストリームによって観測される干渉の関数としてよく、例えばより多くの干渉にはより大きい電力オフセットを使用でき、その逆もまた同様である。ノードB210は、再使用補正率を使用せず通常どおりに各データストリームの伝送フォーマットを選択できる。そしてノードB210は、各データストリームの送信電力を、そのストリームの電力オフセットに基づき、調整できる。
【0104】
さらに別の実施形態においては、1つ以上のシステム目標に基づいてコード割り当てが遂行される。ノードB210は、再使用補正率を使用せず通常どおりに各データストリームの伝送フォーマットを選択できる。そしてノードB210は、データレートが高い(又はCQI値が大きい)データストリームの符号再使用度ができるだけ低くなるよう、OVSF符号を割り当てることができる。これにより高速データストリームで伝送エラーの見込みを抑えることができ、これは、高速データストリームで伝送エラーが生じると大量のデータを再送する必要があるため、望ましい。データレートが低いデータストリームはより高い符号再使用度を観測してよく、これは、低速ストリームで伝送エラーが生じた場合に再送されるデータは少量ですむため、許容される。スループット、QoS要求、優先課題等、システム目標の違いに応じて、異なる符号割り当て方式を定めることができる。
【0105】
明瞭を図るため、これまではOVSF符号を再使用の対象となるリソースとして、伝送フォーマット選択手法を具体的に説明してきた。これらの手法はタイプの異なるリソースにも応用できる。例えばMIMO OFDMシステム、MIMO OFDMAシステム、及びMIMO SC−FDMAシステムにこの手法を役立てることができ、ここではサブキャリアが再使用されるリソースにあたる。UEは、様々なデータストリームのCQI値を受信パイロットに基づき導き出すことができる。UEは、次のスケジューリング間隔におけるサブキャリア再使用について情報を得ないため、データストリームのため全てのサブキャリアが再使用される(又はされない)と仮定しCQI値を導き出すことができる。ノードBは、次のスケジューリング間隔でサブキャリアの一部だけを再使用できる。例えば、各データストリームにつきパワーウォーターフィリングを遂行でき、信号品質が良好なサブキャリアだけを伝送に使用できる。観察されるサブキャリア再使用度がデータストリームによって異なる場合、ノードBは各データストリームの伝送フォーマットを、そのストリームのサブキャリア再使用度を勘案しながら、選択することができる。
【0106】
本明細書で説明する手法はより正確な伝送フォーマット選択をもたらすことができ、したがってデータは無線チャネルのキャパシティに近いレートで送信できる。本手法はシステムのスループットを改善でき、残留パケットエラー率を目標エラー率近くに保つことができ、及び/又はその他の利益を提供できる。
【0107】
図4は、MIMO伝送のため伝送フォーマットを選択するプロセス400の一実施形態を示す。複数のアンテナから送信される複数のデータストリームのリソース再使用度に基づき、少なくとも1つの補正率を判定する(ブロック410)。各データストリームのリソース再使用度は、そのストリームによって観測されるリソースの再使用量を示す。データストリームのリソース再使用度は、データストリームが送信される様態とリソース割り当てとに応じて同じ場合と異なる場合とがある。少なくとも1つの補正率を用いて、複数のデータストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットを選択する(ブロック420)。各データストリームには、そのストリームに使用するリソースの量を指示する伝送フォーマットが関連づけられる。伝送フォーマットはまた、符号化及び変調方式、ブロックサイズ等、その他のパラメータを指示することもある。各データストリームには、データストリームの伝送フォーマットに従って総使用可能リソースの中からリソースが割り当てられる(ブロック430)。使用可能リソースは、直交符号、サブキャリア、その他であってよい。ブロック410における補正率を判定することと、ブロック420における伝送フォーマットを選択することとは、必要に応じ繰り返し遂行できる(ブロック440)。このさらなる繰り返しは、ブロック430における新しいリソース割り当てが、ブロック410で補正率の判定に用いた初期リソース割り当てと異なる場合に、遂行してよい。
【0108】
図5は、図4のブロック410及び420の一実施形態を示す。ブロック410では、複数のデータストリームの初期リソース割り当てに基づき、複数のデータストリームの干渉推定を導き出す(ブロック510)。この干渉推定に基づき複数のデータストリームのリソース再使用度を判定する(ブロック512)。複数のデータストリームのリソース再使用度に基づき、少なくとも1つの補正率を判定する(ブロック514)。
【0109】
ブロック420では、複数のデータストリームについて少なくとも1つの初期/報告CQI値を入手する(ブロック520)。初期CQI値は、データストリームのリソース再使用度を等しい(例えば最高又は最低)とする仮定に基づいて導き出すことができる。少なくとも1つの初期CQI値と少なくとも1つの補正率とに基づき、少なくとも1つの修正CQI値を導き出す(ブロック522)。そして、少なくとも1つの修正CQI値に基づき、少なくとも1つの伝送フォーマットを選択する(ブロック524)。
【0110】
ストリームごとの個別伝送フォーマット選択の場合には、各データストリームにつき干渉推定と、補正率と、初期CQI値と、修正CQI値と、伝送フォーマットとを得ることができる。あるいは、例えば全てのデータストリームがほぼ同等のチャネル状態とリソース再使用度とを観測するよう送信される場合には、全データストリームに共通の干渉推定と、共通の補正率と、共通の初期CQI値と、共通の修正CQI値と、共通の伝送フォーマットとを得ることができる。
【0111】
図6は、MIMOシステムでデータを送信するプロセス600の一実施形態を示す。初期リソース割り当てに基づき、複数のデータストリームの干渉推定を導き出す(ブロック610)。複数のデータストリームは複数のアンテナから同時に送信され、干渉推定はストリーム間干渉のものである。干渉推定に基づき複数のデータストリームの少なくとも1つのパラメータを制御する(ブロック620)。ブロック620は、(1)干渉推定に基づき、複数のデータストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットを選択すること、(2)干渉推定に基づき複数のデータストリームの送信電力を調整すること、(3)干渉推定に基づき複数のデータストリームにリソース(例えば直交符号又はサブキャリア)を割り当てること、及び/又は(4)他の何らかのパラメータを制御すること、をともなうことがある。
【0112】
図7は、MIMOシステム700にて基地局710と端末750の一実施形態のブロック図を示す。ダウンリンク伝送の場合、基地局710側のTXデータプロセッサ720と、変調器722と、TX MIMOプロセッサ724と、送信器726a〜726tとは、例えば図2のノードB210について上述したとおり、複数のデータストリーム、パイロット、及び信号伝達のためトラフィックデータを処理する。変調器722は、CDMA、OFDMA、SC−FDMA、及び/又は他の何らかの多重化方式の処理を遂行できる。データストリームへ分配されるリソースは、使用のため選択される多重化方式に応じて、直交符号、サブキャリア、及び/又は他の何らかのリソースであってよい。端末750側の受信器745a〜754rと、MIMO検出器756と、復調器760と、RXデータプロセッサ762とは、例えば図2のUE250について上述したとおり、基地局710によって送信された信号を処理する。復調器760は、変調器722によって遂行される処理に対し相補的な処理を遂行する。
【0113】
アップリンク伝送の場合、端末750側のTXデータプロセッサ770と、変調器772と、TX MIMOプロセッサ774と、送信器754a〜754rとは、1つ以上のデータストリーム、パイロット、及び信号伝達(例えばCQI報告)のためトラフィックデータを処理する。基地局710側の受信器726a〜726tと、MIMO検出器730と、復調器732と、RXデータプロセッサ734とは、端末750によって送信された信号を処理する。
【0114】
ダウンリンク伝送のための伝送フォーマット選択の場合、端末750側のチャネル推定器/プロセッサ780はダウンリンク信号品質を推定でき、CQI報告を生成できる。基地局710は端末750からCQI報告を受信でき、端末750へ送信されるデータストリームの伝送フォーマットを選択できる。アップリンク伝送のための伝送フォーマット選択の場合、基地局710側のチャネル推定器/プロセッサ744はアップリンク信号品質を推定でき、CQI報告を生成できる。基地局710は、端末710によって送信されるデータストリームの伝送フォーマットを選択できる。
【0115】
コントローラ/プロセッサ740及び790は、それぞれ基地局710と端末750とにおいてオペレーションを制御する。メモリ742及び792は、それぞれ基地局710と端末750とのためデータとプログラムコードとを格納する。コントローラ/プロセッサ740は、図3の伝送フォーマット選択器240、図4及び6のプロセス400及び600、及び/又は他の伝送フォーマット選択プロセスを実装できる。
【0116】
当業者は、様々な技術及び手法のいずれかを用いて情報と信号を表現できることを理解するであろう。例えば、上の説明の全体を通じて言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場又は磁性粒子、光場又は光粒子、又はこれらの任意の組み合わせによって表現できる。
【0117】
当業者はさらに、本明細書に開示する実施形態との関係で説明した様々な例証的論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムステップを、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実装できることを認めるであろう。このハードウェア及びソフトウェアの互換性を明確に例証するため、様々な例証的コンポーネント、ブロック、モジュール、回路、及びステップを、概してそれらの機能の点で、上述した。このような機能をハードウェア又はソフトウェアとして実装するか否かは、特定のアプリケーションとシステム全体にかかる設計制約次第で決まる。当業者は、特定のアプリケーションのため説明した機能を様々な形で実装してよいが、このような実装決定は、本発明の範囲からの逸脱をもたらすものと解釈されるべきではない。
【0118】
本明細書に開示する実施形態との関係で説明した様々な例証的論理ブロック、モジュール、及び回路は、本明細書で説明した機能を遂行するよう設計された汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はその他プログラマブル論理素子、個別ゲート又はトランジスタロジック、個別ハードウェアコンポーネント、又はこれらの任意の組み合わせにより実装又は遂行できる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってよく、ただし代案において、プロセッサは任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械であってよい。プロセッサはまた、演算装置の組み合わせとして、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動する1つ以上のマイクロプロセッサ、又は他の何らかのこのような構成として、実装できる。
【0119】
本明細書に開示する実施形態との関係で説明した方法又はアルゴリズムのステップは、ハードウェアにて直接的に、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールにて、又は双方の組み合わせにて、具現できる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、又は当技術分野で公知の他の何らかの形をとる記憶媒体の中にあってよい。例示的な記憶媒体はプロセッサへ結合され、したがってプロセッサは記憶媒体から情報を読み取ることができ、且つこれへ情報を書き込むことができる。代案において、記憶媒体はプロセッサに一体化されてよい。プロセッサと記憶媒体はASICの中にあってよい。ASICはユーザ端末の中にあってよい。代案において、プロセッサと記憶媒体は個別コンポーネントとしてユーザ端末の中にあってよい。
【0120】
開示された実施形態の先の説明は、当業者が本発明を製作すること、又は使用することを可能にするため提供されている。これらの実施形態に対する様々な修正は当業者にとって容易に明白となるであろうし、本明細書に定める一般原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱せずに他の実施形態に応用できる。よって本発明は本明細書に紹介された実施形態に限定されることを意図せず、本明細書に開示された原理と新規の特徴とに一致する最も広い範囲が認められるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナから送信される複数のデータストリームのリソース再使用度に基づき少なくとも1つの補正率を判定するべく、且つ前記少なくとも1つの補正率を用いて前記複数のデータストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットを選択するべく構成された、少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサへ結合されたメモリと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記複数のデータストリームの干渉推定を導き出し、且つ前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームの前記リソース再使用度を判定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記複数のデータストリームのため少なくとも1つの初期チャネル品質指標(CQI)値を入手し、前記少なくとも1つの初期CQI値と前記少なくとも1つの補正率とに基づき少なくとも1つの修正CQI値を導き出し、且つ前記少なくとも1つの修正CQI値に基づき前記少なくとも1つの伝送フォーマットを選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの初期CQI値は、前記複数のデータストリームのリソース再使用度をほぼ同等とする仮定に基づき導き出される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの初期CQI値は、前記複数のデータストリームの各々のリソース再使用度を最高とする仮定に基づき導き出される、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記複数のデータストリームの各々につきリソース再使用度を判定し、前記データストリームの前記リソース再使用度に基づき各データストリームの補正率を判定し、且つ前記データストリームの前記補正率を用いて各データストリームの伝送フォーマットを選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記データストリームの前記リソース再使用度に基づき前記複数のデータストリームのため単一の補正率を判定し、且つ前記単一の補正率を用いて前記複数のデータストリームのため単一の伝送フォーマットを選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
各データストリームには、前記データストリームに分配するべきリソースの量を指示する伝送フォーマットが関連づけられ、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記データストリームの前記伝送フォーマットに従って使用可能リソースの中からリソースを各データストリームに割り当てる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記使用可能リソースは、直交符号である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記使用可能リソースは、サブキャリアである、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプロセッサは、初期リソース割り当てに基づき前記複数のデータストリームの前記リソース再使用度を判定し、前記少なくとも1つの伝送フォーマットに基づき新しいリソース割り当てを判定し、且つ前記新しいリソース割り当てが前記初期リソース割り当てと異なる場合には、前記リソース再使用度を判定することと、少なくとも1つの補正率を判定することと、少なくとも1つの伝送フォーマットを選択することとを繰り返し遂行する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
複数のアンテナから送信される複数のデータストリームのリソース再使用度に基づき、少なくとも1つの補正率を判定することと、
前記少なくとも1つの補正率を用いて、前記複数のデータストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットを選択することと、
を備える、方法。
【請求項13】
前記複数のデータストリームの干渉推定を導き出すことと、
前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームの前記リソース再使用度を判定することと、
をさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの伝送フォーマットを前記選択することは、
前記複数のデータストリームのため少なくとも1つの初期チャネル品質指標(CQI)値を入手することと、
前記少なくとも1つの初期CQI値と前記少なくとも1つの補正率とに基づき、少なくとも1つの修正CQI値を導き出すことと、
前記少なくとも1つの修正CQI値に基づき、前記少なくとも1つの伝送フォーマットを選択することと、
を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
初期リソース割り当てに基づき、前記複数のデータストリームの前記リソース再使用度を判定することと、
前記少なくとも1つの伝送フォーマットに基づき、新しいリソース割り当てを判定することと、
前記新しいリソース割り当てが前記初期リソース割り当てと異なる場合には、前記リソース再使用度を判定することと、前記少なくとも1つの補正率を判定することと、前記少なくとも1つの伝送フォーマットを選択することとを、繰り返し遂行することと、
をさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
複数のアンテナから送信される複数のデータストリームのリソース再使用度に基づき、少なくとも1つの補正率を判定する手段と、
前記少なくとも1つの補正率を用いて、前記複数のデータストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットを選択する手段と、
を備える、装置。
【請求項17】
前記複数のデータストリームの干渉推定を導き出す手段と、
前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームの前記リソース再使用度を判定する手段と、
をさらに備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの伝送フォーマットを選択する前記手段は、
前記複数のデータストリームのため少なくとも1つの初期チャネル品質指標(CQI)値を入手する手段と、
前記少なくとも1つの初期CQI値と前記少なくとも1つの補正率とに基づき、少なくとも1つの修正CQI値を導き出す手段と、
前記少なくとも1つの修正CQI値に基づき、前記少なくとも1つの伝送フォーマットを選択する手段と、
を備える、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
初期リソース割り当てに基づき、前記複数のデータストリームの前記リソース再使用度を判定する手段と、
前記少なくとも1つの伝送フォーマットに基づき、新しいリソース割り当てを判定する手段と、
前記新しいリソース割り当てが前記初期リソース割り当てと異なる場合には、前記リソース再使用度を判定することと、前記少なくとも1つの補正率を判定することと、前記少なくとも1つの伝送フォーマットを選択することとを、繰り返し遂行する手段と、
をさらに備える、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
プロセッサ読取り可能媒体であって、
複数のアンテナから送信される複数のデータストリームのリソース再使用度に基づき、少なくとも1つの補正率を判定するべく、且つ、
前記少なくとも1つの補正率を用いて、前記複数のデータストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットを選択するべく、作動できる命令を格納する、プロセッサ読取り可能媒体。
【請求項21】
前記複数のデータストリームの干渉推定を導き出すべく、且つ、
前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームの前記リソース再使用度を判定するべく、作動できる命令をさらに格納する、請求項20に記載のプロセッサ読取り可能媒体。
【請求項22】
前記複数のデータストリームのため少なくとも1つの初期チャネル品質指標(CQI)値を入手するべく、
前記少なくとも1つの初期CQI値と前記少なくとも1つの補正率とに基づき、少なくとも1つの修正CQI値を導き出すべく、且つ、
前記少なくとも1つの修正CQI値に基づき、前記少なくとも1つの伝送フォーマットを選択するべく、作動できる命令をさらに格納する、請求項20に記載のプロセッサ読取り可能媒体。
【請求項23】
初期リソース割り当てに基づき前記複数のデータストリームの前記リソース再使用度を判定するべく、
前記少なくとも1つの伝送フォーマットに基づき新しいリソース割り当てを判定するべく、且つ、
前記新しいリソース割り当てが前記初期リソース割り当てと異なる場合には、前記リソース再使用度を判定することと、少なくとも1つの補正率を判定することと、少なくとも1つの伝送フォーマットを選択することとを、繰り返し遂行するべく、作動できる命令をさらに格納する、請求項20に記載のプロセッサ読取り可能媒体。
【請求項24】
初期リソース割り当てに基づき複数のデータストリームの干渉推定を導き出すべく、且つ前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームの少なくとも1つのパラメータを制御するべく構成された、少なくとも1つのプロセッサであって、前記複数のデータストリームは複数のアンテナから同時に送信され、且つ前記干渉推定はストリーム間干渉のものである、プロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサへ結合されたメモリと、
を備える、装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記干渉推定に基づき、前記複数のデータストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットを選択する、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームの送信電力を調整する、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームのリソースを割り当てる、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームの各々に少なくとも1つの直交符号からなる集合を割り当てる、請求項24に記載の装置。
【請求項29】
初期リソース割り当てに基づき複数のデータストリームの干渉推定を導き出すことであって、前記複数のデータストリームは複数のアンテナから同時に送信され、且つ前記干渉推定はストリーム間干渉のものであることと、
前記干渉推定に基づき、前記複数のデータストリームの少なくとも1つのパラメータを制御することと、
を備える、方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つのパラメータを前記制御することは、前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットを選択することを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つのパラメータを前記制御することは、前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームの送信電力を調整することを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つのパラメータを前記制御することは、前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームのリソースを割り当てることを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
初期リソース割り当てに基づき複数のデータストリームの干渉推定を導き出す手段であって、前記複数のデータストリームは複数のアンテナから同時に送信され、且つ前記干渉推定はストリーム間干渉のものである、手段と、
前記干渉推定に基づき、前記複数のデータストリームの少なくとも1つのパラメータを制御する手段と、
を備える、装置。
【請求項34】
前記少なくとも1つのパラメータを制御する前記手段は、前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットを選択する手段を備える、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つのパラメータを制御する前記手段は、前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームの送信電力を調整する手段を備える、請求項33に記載の装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つのパラメータを制御する前記手段は、前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームのリソースを割り当てる手段を備える、請求項33に記載の装置。
【請求項37】
初期リソース割り当てに基づき複数のデータストリームの干渉推定を導き出すべく、ここで前記複数のデータストリームは複数のアンテナから同時に送信され、且つ前記干渉推定はストリーム間干渉のものである、且つ、
前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームの少なくとも1つのパラメータを制御するべく、作動できる命令を格納する、プロセッサ読取り可能媒体。
【請求項38】
前記干渉推定に基づき、前記複数のデータストリームのため少なくとも1つの伝送フォーマットを選択するべく作動できる命令をさらに格納する、請求項37に記載のプロセッサ読取り可能媒体。
【請求項39】
前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームの送信電力を調整するべく作動できる命令をさらに格納する、請求項37に記載のプロセッサ読取り可能媒体。
【請求項40】
前記干渉推定に基づき前記複数のデータストリームのリソースを割り当てるべく作動できる命令をさらに格納する、請求項37に記載のプロセッサ読取り可能媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−142655(P2011−142655A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−27648(P2011−27648)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【分割の表示】特願2008−509179(P2008−509179)の分割
【原出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】