説明

リチウムニッケル複合金属酸化物用原料粉末

【課題】高い放電容量を示す非水電解質二次電池に好適なリチウムニッケル複合金属酸化物用原料粉末の提供。
【解決手段】リチウム化合物と、ニッケル含有複合金属化合物とからなる粉末であり、該粉末を構成する粒子について、粒子プラズマ発光分析を行ったとき、以下の(1)および(2)の要件を有することを特徴とするリチウムニッケル複合金属酸化物用原料粉末。
(1)粉末を構成するそれぞれの粒子について、リチウム発光強度とニッケル発光強度との関係をプロットした同期分布図から求められる近似直線に対する前記プロットの絶対偏差値が、0.10以下である。
(2)粉末を構成するそれぞれの粒子について、リチウムを含有する粒子の数をa、ニッケルを含有しないでかつリチウムを含有する粒子の数をbとしたときの(b/a)×100(%)で表されるリチウム遊離率が80%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムニッケル複合金属酸化物用原料粉末に関する。詳しくは、非水電解質二次電池の正極活物質として用いられるリチウムニッケル複合金属酸化物に好適な原料粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムニッケル複合金属酸化物は、リチウム二次電池などの非水電解質二次電池の正極活物質として用いられている。リチウム二次電池は、既に携帯電話やノートパソコン等の電源として実用化されており、更に自動車用途や電力貯蔵用途などの中・大型用途においても、適用が試みられている。
【0003】
非水電解質二次電池の正極活物質としては、NiとCo等の遷移金属元素とを含有する複合金属水酸化物と、リチウム化合物とを混合して得られる原料粉末を焼成して得られるリチウムニッケル複合金属酸化物がしばしば用いられる。ここで、前記混合手法としては、湿式混合して溶媒蒸発する湿式手法(例えば、特許文献1)、乾式ボールミルを行う乾式手法(例えば、特許文献2)などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第02/073718号パンフレット
【特許文献2】特開平8−222220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、混合手法としては種々知られているものの、混合により得られるどのような原料粉末が、リチウムニッケル複合金属酸化物に好適な原料粉末なのかについては未だ検討がなされておらず、また、従来の原料粉末を焼成して得られるリチウムニッケル複合金属酸化物を、正極活物質として用いて得られる非水電解質二次電池の放電容量についても、十分なものとまではいえない。
【0006】
本発明の目的は、高い放電容量を示す非水電解質二次電池に好適なリチウムニッケル複合金属酸化物用原料粉末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記事情に鑑み、種々検討した結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明は、下記の発明を提供する。
<1>リチウム化合物と、ニッケル含有複合金属化合物とからなる粉末であり、該粉末を構成する粒子について、粒子プラズマ発光分析を行ったとき、以下の(1)および(2)の要件を有することを特徴とするリチウムニッケル複合金属酸化物用原料粉末。
(1)粉末を構成するそれぞれの粒子について、リチウム発光強度とニッケル発光強度との関係をプロットした同期分布図から求められる近似直線に対する前記プロットの絶対偏差値が、0.10以下である。
(2)粉末を構成するそれぞれの粒子について、リチウムを含有する粒子の数をa、ニッケルを含有しないでかつリチウムを含有する粒子の数をbとしたときの(b/a)×100(%)で表されるリチウム遊離率が80%以下である。
<2>ニッケル含有複合金属化合物を構成する遷移金属元素が、ニッケルと、コバルト、マンガンおよび鉄からなる群より選ばれる1種以上の元素とからなり、遷移金属元素に対するニッケルのモル比が、0.3以上0.9以下である前記<1>記載の原料粉末。
<3>遷移金属元素に対するリチウムのモル比が、0.9以上1.3以下である前記<1>または<2>記載の原料粉末。
<4>リチウム化合物が水酸化リチウムである前記<1>〜<3>のいずれかに記載の原料粉末。
<5>ニッケル含有複合金属化合物が、ニッケル含有複合金属水酸化物である前記<1>〜<4>のいずれかに記載の原料粉末。
<6>前記<1>〜<5>のいずれかに記載の原料粉末を、650℃以上1050℃以下の範囲の温度で焼成して得られるリチウムニッケル複合金属酸化物。
<7>かさ比重が、2.0〜3.5g/cmである前記<6>記載のリチウムニッケル複合金属酸化物。
<8>前記<6>または<7>記載のリチウムニッケル複合金属酸化物を有する電極。
<9>正極、負極および電解質を有する非水電解質二次電池であって、正極が前記<8>記載の電極である非水電解質二次電池。
<10>さらにセパレータを有する前記<9>記載の非水電解質二次電池。
<11>セパレータが、耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層されてなる積層フィルムからなるセパレータである前記<10>記載の非水電解質二次電池。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高い放電容量を示す非水電解質二次電池を与えることができ、本発明は工業的に極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のリチウムニッケル複合金属酸化物用原料粉末は、リチウム化合物と、ニッケル含有複合金属化合物とからなる粉末であり、該粉末を構成する粒子について、粒子プラズマ発光分析を行ったとき、以下の(1)および(2)の要件を有することを特徴とする。
(1)粉末を構成するそれぞれの粒子について、リチウム発光強度とニッケル発光強度との関係をプロットした同期分布図から求められる近似直線に対する前記プロットの絶対偏差値が、0.10以下である。
(2)粉末を構成するそれぞれの粒子について、リチウムを含有する粒子の数をa、ニッケルを含有しないでかつリチウムを含有する粒子の数をbとしたときの(b/a)×100(%)で表されるリチウム遊離率が80%以下である。
【0011】
原料粉末を構成する粒子について行う粒子プラズマ発光分析は、原料粉末を構成するそれぞれの粒子におけるリチウム元素と遷移金属元素の分散状態を判定する分析方法であり、分析装置として、パーティクルアナライザー(堀場製作所製:DP−1000型)を挙げることができる。この分析方法は、粉末を直接プラズマ中に投入し、粉末を構成するそれぞれの粒子の発光分光により元素を同定し、かつ、その発光時刻を計測する分析方法である。この分析方法により、例えば、2種の元素が1個の粒子に含まれている場合、これらの2種の元素は同時に発光するため、1個の粒子に2種の元素が含まれていることを判定することができ、また、例えば、2種の元素がそれぞれ別の粒子に含まれている場合、これらの2つの元素は異なる時刻に発光するため、2種の元素がそれぞれ別の粒子に含まれていることを判定することができる。
【0012】
上記の(1)の要件において、リチウム発光強度とニッケル発光強度との関係をプロットした同期分布図における各プロットは、ニッケル含有粒子が、リチウム元素をニッケル元素量に対してどの程度の量含有するかを意味し、この同期分布図から求められる近似直線に対する前記プロットの絶対偏差値は、各ニッケル含有粒子におけるニッケル元素量に対するリチウム元素の含有量のバラツキを意味する。完全に均一混合されている場合、理論的には、前記絶対偏差値はゼロになる。本発明において、要件(1)における絶対偏差値は、0.10以下であり、好ましくは0.08以下、より好ましくは0.06以下である。この絶対偏差値は、通常、0.01以上であり、粉末の取り扱い性の観点で、好ましくは0.03以上である。また、この同期分布図において、リチウムを含有しないでかつニッケルを含有する粒子はニッケル発光強度の軸に表示され、ニッケルを含有しないでかつリチウムを含有する粒子はリチウム発光強度の軸に表示される。なお、パーティクルアナライザーにおいて、リチウム発光強度、ニッケル発光強度は、その単位を三乗根電圧として表示され、原料粉末を構成する粒子の粒子径の指標とみることができる。
【0013】
上記の(2)の要件において、リチウムを含有する粒子の数をa、ニッケルを含有しないでかつリチウムを含有する粒子の数をbとしたときの(b/a)×100(%)で表されるリチウム遊離率が80%以下であり、好ましくは70%以下であり、より好ましくは50%以下である。また、リチウム遊離率は、通常、10%以上であり、粉末の取り扱い性の観点で、好ましいリチウム遊離率は、20%以上である。
【0014】
また、得られる非水電解質二次電池の容量、出力をより高める意味で、本発明におけるニッケル含有複合金属化合物を構成する遷移金属元素は、ニッケルと、コバルト、マンガンおよび鉄からなる群より選ばれる1種以上の元素とからなることが好ましく、遷移金属元素に対するニッケルのモル比が、0.3以上0.9以下であることがより好ましい。また、遷移金属元素に対するリチウムのモル比が、0.9以上1.3以下であることが好ましい。
【0015】
また、本発明におけるニッケル含有複合金属化合物は、ニッケルとニッケル以外の元素1種以上の共沈工程を経て得ることができる。このことにより、得られる非水電解質二次電池は、充放電サイクル性に極めて優れる。この共沈工程として、具体的には、以下の(1)、(2)の工程をこの順で含む製造方法を挙げることができる。
(1)ニッケルとニッケル以外の元素1種以上を含有する水溶液と沈殿剤とを接触させて共沈物スラリーを得る工程。
(2)該共沈物スラリーから、共沈物を得る工程。
【0016】
上記工程(1)において、ニッケルとニッケル以外の元素1種以上を含有する水溶液(以下、遷移金属水溶液ということがある。)は、例えば、ニッケル以外の元素が、コバルト、マンガンおよび鉄からなる群より選ばれる1種以上の遷移金属元素Mである場合には、Ni、M(ここで、MはCo、MnおよびFeからなる群より選ばれる1種以上の元素)を含有する水溶液を用いればよい。遷移金属水溶液は、それぞれの遷移金属元素原料として、それぞれの塩化物、硝酸塩、酢酸塩、蟻酸塩、蓚酸塩等の化合物を用いて、これらを水に溶解することにより、得ることができる。また、水に溶解し難い遷移金属元素原料を用いる場合、すなわち、例えば、原料として、酸化物、水酸化物、金属材料を用いる場合には、これらの原料を、塩酸、硫酸、硝酸等の酸もしくはこれらの水溶液に溶解させて、遷移金属水溶液を得ることもできる。
【0017】
上記工程(1)において、沈殿剤としては、LiOH(水酸化リチウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、Li2CO3(炭酸リチウム)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、K2CO3(炭酸カリウム)、(NH42CO3(炭酸アンモニウム)および(NH22CO(尿素)からなる群より選ばれる化合物を1種以上用いることができ、該化合物の水和物を1種以上用いてもよく、化合物と水和物とを併用してもよい。また、これらの沈殿剤を水に溶かして、水溶液状で用いることが好ましい。
【0018】
上記工程(1)において、遷移金属水溶液と沈殿剤とを接触させる方法としては、遷移金属水溶液に、沈殿剤(水溶液状の沈殿剤を含む)を添加する方法、水溶液状の沈殿剤に、遷移金属水溶液を添加する方法、水に、遷移金属水溶液および沈殿剤(水溶液状の沈殿剤を含む)を添加する方法などを挙げることができる。これらの添加時には、攪拌を伴うことが好ましい。工程(1)においては、上記の接触により、共沈物スラリーを得ることができる。
【0019】
工程(2)においては、上記共沈物スラリーから、共沈物を得る。共沈物を得ることができれば、工程(2)は如何なる方法によってもよいが、操作性の観点では、ろ過などの固液分離による方法が、好ましく用いられる。共沈物スラリーを用いて、噴霧乾燥などの加熱して液体を揮発させる方法によっても共沈物を得ることができる。
【0020】
工程(2)において、固液分離により共沈物を得る場合には、前記(2)の工程は、以下の(2´)の工程であることが好ましい。
(2´)該共沈物スラリーを固液分離後、洗浄、乾燥して、共沈物を得る工程。
【0021】
工程(2´)において、洗浄することにより、固液分離後に得られる固形分に不純物、例えば、アルカリ、Clなどが過剰に存在する場合には、これを除去することができる。固形分を効率よく洗浄する意味では、洗浄液として水を用いることが好ましい。なお、必要に応じてアルコール、アセトンなどの水溶性有機溶媒を洗浄液に加えても良い。また、洗浄は2回以上行ってもよく、例えば、水洗浄を行った後、前記のような水溶性有機溶媒で再度洗浄することもできる。
【0022】
工程(2´)において、洗浄後、乾燥して、共沈物を得る。乾燥は、通常、熱処理によって行うが、送風乾燥、真空乾燥等によってもよい。熱処理によって行う場合には、通常50〜300℃で行い、好ましくは100℃〜200℃程度である。
【0023】
上記のようにして得られる共沈物は、ニッケル含有複合金属化合物であり、沈殿剤として、アルカリ金属や、アンモニアなどのアルカリを用いた場合には、ニッケル含有複合金属化合物は、ニッケル含有複合金属水酸化物であり、これは、好ましいニッケル含有複合金属化合物である。
【0024】
また、リチウム化合物としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウムおよび炭酸リチウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物および/または該1種以上の水和物を挙げることができる。得られる非水電解質二次電池の容量をより高くする意味では、水酸化リチウムが好ましい。
【0025】
また、本発明の原料粉末を得るためには、上記のリチウム化合物と、ニッケル含有複合金属化合物とを、混合する。ここで、混合は、得られる原料粉末が、上記(1)および(2)の要件を満たすよう調節する必要がある。例えば、粉砕メディアを使用しない攪拌型混合機を用いたり、乾式混合を行ったりすることが好ましい。混合装置としては、レーディゲミキサーなどの攪拌型混合機、V型混合機、W型混合機、リボン混合機、ドラムミキサー等を挙げることができる。粉砕メディアを使用する混合機を用いると、粉砕メディアが、リチウム化合物、ニッケル含有複合金属化合物に、大きなせん断応力を与え、リチウム化合物、ニッケル含有複合金属化合物が粉砕されて微細化され、それぞれ遊離しやすくなる傾向にあり、リチウム遊離率が大きくなる傾向がある。例えば、攪拌型混合機を用いる場合には、攪拌翼による攪拌時間を長くするほど、本発明の要件(1)における標準偏差値は、小さくなる傾向にあり、要件(2)におけるリチウム遊離率は、小さくなる傾向にある。また、攪拌速度を大きくするほど、本発明の要件(1)における標準偏差値は小さくなる傾向にあり、要件(2)におけるリチウム遊離率は小さくなる傾向にある。また、攪拌翼による攪拌に加えて、チョッパーなどの第2の攪拌羽根がある場合には、これを併用すると、本発明の要件(1)における標準偏差値は小さくなる傾向にあり、要件(2)におけるリチウム遊離率は小さくなる傾向にある。
【0026】
また、上記原料粉末は焼成することによりリチウムニッケル複合金属酸化物となる。前記焼成における保持温度は、得られるリチウムニッケル複合金属酸化物の一次粒子の粒子径、二次粒子の粒子径およびBET比表面積に影響を与える。通常、保持温度が高くなればなるほど、一次粒子の粒子径および二次粒子の粒子径は大きくなり、BET比表面積は小さくなる傾向にある。焼成における保持温度は、用いる遷移金属元素の種類、沈殿剤にもよるが、500℃以上1150℃以下であることが好ましく、より好ましくは650℃以上1050℃以下である。また、前記保持温度で保持する時間は、通常、0.1〜20時間であり、好ましくは0.5〜10時間である。前記保持温度までの昇温速度は、通常50〜400℃/時間であり、前記保持温度から室温までの降温速度は、通常10〜400℃/時間である。また、焼成の雰囲気としては、大気、酸素、窒素、アルゴンまたはこれらの混合ガスを用いることができる。
【0027】
前記焼成は、不活性溶融剤の存在下で行ってもよい。不活性溶融剤としては、例えば、NaCl、KCl、NH4Clなどの塩化物、NaF、KF、HN4Fなどのフッ化物、ホウ酸などを挙げることができる。不活性溶融剤の存在下で焼成を行うことで、原料粉末の反応性を向上させ、得られるリチウムニッケル複合金属酸化物の一次粒子の粒子径、二次粒子の粒子径およびBET比表面積を調整することが可能な場合がある。また、不活性溶融剤を2種以上併用することもできる。不活性溶融剤は、焼成後のリチウムニッケル複合金属酸化物に残留していてもよいし、焼成後に洗浄、蒸発等により除去されていてもよい。
【0028】
また、前記焼成後において、得られるリチウムニッケル複合金属酸化物を、ボールミルやジェットミルなどを用いて粉砕してもよい。また、粉砕と焼成を2回以上繰り返してもよい。また、リチウムニッケル複合金属酸化物は必要に応じて洗浄あるいは分級することもできる。このようにして、リチウムニッケル複合金属酸化物のかさ比重を調整することも可能であり、好ましいかさ比重は、2.0〜3.5g/cmである。
【0029】
上記の本発明の原料粉末を用いて、得られるリチウムニッケル複合金属酸化物は、非水電解質二次電池における単位体積あたりの放電容量が極めて高い。
【0030】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のリチウムニッケル複合金属酸化物を構成する粒子の表面に、該リチウムニッケル複合金属酸化物とは異なる化合物を付着させてもよい。該化合物としては、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Mgおよび遷移金属元素からなる群より選ばれる1種以上の元素を含有する化合物、好ましくはB、Al、Mg、Ga、InおよびSnからなる群より選ばれる1種以上の元素を含有する化合物、より好ましくはAlの化合物を挙げることができ、化合物として具体的には、前記元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、有機酸塩を挙げることができ、好ましくは、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物である。また、これらの化合物を混合して用いてもよい。これら化合物の中でも、特に好ましい化合物はアルミナである。また、付着後に加熱を行ってもよい。
【0031】
上記のリチウムニッケル複合金属酸化物を用いて、次のようにして、電極を得ることができる。すなわち、リチウムニッケル複合金属酸化物、導電材およびバインダーを含む電極合剤を電極集電体に担持させて製造する。前記導電材としては炭素材料を用いることができ、炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック、アセチレンブラック、繊維状炭素材料などを挙げることができる。カーボンブラックやアセチレンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量電極合剤中に添加することにより電極内部の導電性を高め、充放電効率及びレート特性を向上させることができるが、多く入れすぎるとバインダーによる電極合剤と電極集電体との結着性を低下させ、内部抵抗を増加させる原因となる。通常、電極合剤中の導電材の割合は、リチウムニッケル複合金属酸化物100重量部に対して5重量部以上20重量部以下である。導電材として黒鉛化炭素繊維、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素材料を用いる場合には、この割合を下げることも可能である。
【0032】
前記バインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができ、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また、これらの二種以上を混合して用いてもよい。また、バインダーとしてフッ素樹脂およびポリオレフィン樹脂を用い、電極合剤に対する該フッ素樹脂の割合が1〜10重量%、該ポリオレフィン樹脂の割合が0.1〜2重量%となるように含有させることによって、電極集電体との結着性に優れた電極合剤を得ることができる。
【0033】
前記電極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどを用いることができるが、薄膜に加工しやすく、安価であるという点でAlが好ましい。電極集電体に電極合剤を担持させる方法としては、加圧成型する方法、または有機溶媒などを用いてペースト化し、電極集電体上に塗布、乾燥後プレスするなどして固着する方法が挙げられる。ペースト化する場合、リチウムニッケル複合金属酸化物、導電材、バインダー、有機溶媒からなるスラリーを作製する。有機溶媒としては、N,N―ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル等のエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒等が挙げられる。
【0034】
電極合剤を電極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等が挙げられる。以上に挙げた方法により、電極を製造することができる。
【0035】
上記の本発明の電極は、非水電解質二次電池における正極として極めて有用である。この場合、正極、負極および電解質を有する非水電解質二次電池において、本発明の電極を正極として用いる。具体的には、次のようにして、非水電解質二次電池を製造することができる。すなわち、セパレータ、負極、および正極を、積層および必要に応じて巻回することにより得られる電極群を、電池缶等の電池ケース内に収納した後、電解質を含有する有機溶媒からなる電解液を含浸させて製造することができる。
【0036】
前記の電極群の形状としては、例えば、該電極群を巻回の軸と垂直方向に切断したときの断面が、円、楕円、長方形、角がとれたような長方形等となるような形状を挙げることができる。また、電池の形状としては、例えば、ペーパー型、コイン型、円筒型、角型などの形状を挙げることができる。
【0037】
前記負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープが可能であればよく、負極材料を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、または負極材料単独からなる電極を挙げることができる。負極材料としては、炭素材料、酸化物、硫化物などのカルコゲン化合物、窒化物、金属または合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な材料が挙げられる。また、これらの負極材料を混合して用いてもよい。
【0038】
前記の負極材料につき、以下に例示する。前記炭素材料として、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体などを挙げることができる。前記酸化物として、具体的には、SiO2、SiOなど式SiOx(ここで、xは正の実数)で表されるケイ素の酸化物、TiO2、TiOなど式TiOx(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの酸化物、V25、VO2など式VOx(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの酸化物、Fe34、Fe23、FeOなど式FeOx(ここで、xは正の実数)で表される鉄の酸化物、SnO2、SnOなど式SnOx(ここで、xは正の実数)で表されるスズの酸化物、WO3、WO2など一般式WOx(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの酸化物、Li4Ti512、LiVO2(たとえばLi1.10.92)などのリチウムとチタンおよび/またはバナジウムとを含有する複合金属酸化物などを挙げることができる。前記硫化物として、具体的には、Ti23、TiS2、TiSなど式TiSx(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの硫化物、V34、VS2、VSなど式VSx(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの硫化物、Fe34、FeS2、FeSなど式FeSx(ここで、xは正の実数)で表される鉄の硫化物、Mo23、MoS2など式MoSx(ここで、xは正の実数)で表されるモリブデンの硫化物、SnS2、SnSなど式SnSx(ここで、xは正の実数)で表されるスズの硫化物、WS2など式WSx(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの硫化物、Sb23など式SbSx(ここで、xは正の実数)で表されるアンチモンの硫化物、Se53、SeS2、SeSなど式SeSx(ここで、xは正の実数)で表されるセレンの硫化物などを挙げることができる。前記窒化物として、具体的には、Li3N、Li3-xxN(ここで、AはNiおよび/またはCoであり、0<x<3である。)などのリチウム含有窒化物を挙げることができる。これらの炭素材料、酸化物、硫化物、窒化物は、併用して用いてもよく、結晶質または非晶質のいずれでもよい。また、これらの炭素材料、酸化物、硫化物、窒化物は、主に、負極集電体に担持して、電極として用いられる。
【0039】
また、前記金属として、具体的には、リチウム金属、シリコン金属、スズ金属が挙げられる。また、前記合金としては、Li−Al、Li−Ni、Li−Siなどのリチウム合金、Si−Znなどのシリコン合金、Sn−Mn、Sn−Co、Sn−Ni、Sn−Cu、Sn−Laなどのスズ合金のほか、Cu2Sb、La3Ni2Sn7などの合金を挙げることもできる。これらの金属、合金は、主に、単独で電極として用いられる(例えば箔状で用いられる)。
【0040】
上記負極材料の中で、電位平坦性が高い、平均放電電位が低い、サイクル性が良いなどの観点からは、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛を主成分とする炭素材料が好ましく用いられる。炭素材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、または微粉末の凝集体などのいずれでもよい。
【0041】
前記の負極合剤は、必要に応じて、バインダーを含有してもよい。バインダーとしては、熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、PVdF、熱可塑性ポリイミド、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
【0042】
前記の負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどを挙げることができ、リチウムと合金を作り難い点、薄膜に加工しやすいという点で、Cuを用いればよい。該負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、正極の場合と同様であり、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法等が挙げられる。
【0043】
前記セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができ、また、前記の材質を2種以上用いてセパレータとしてもよいし、前記の材料が積層されていてもよい。セパレータとしては、例えば特開2000−30686号公報、特開平10−324758号公報等に記載のセパレータを挙げることができる。セパレータの厚みは電池の体積エネルギー密度が上がり、内部抵抗が小さくなるという点で、機械的強度が保たれる限り薄くした方がよく、通常5〜200μm程度、好ましくは5〜40μm程度である。
【0044】
セパレータは、好ましくは、熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムを有する。非水電解質二次電池においては、通常、正極−負極間の短絡等が原因で電池内に異常電流が流れた際に、電流を遮断して、過大電流が流れることを阻止(シャットダウン)する機能を有することが好ましい。ここで、シャットダウンは、通常の使用温度を越えた場合に、セパレータにおける多孔質フィルムの微細孔を閉塞することによりなされる。そしてシャットダウンした後、ある程度の高温まで電池内の温度が上昇しても、その温度により破膜することなく、シャットダウンした状態を維持することが好ましい。かかるセパレータとしては、耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層されてなる積層フィルムが挙げられ、該フィルムをセパレータとして用いることにより、本発明における二次電池の耐熱性をより高めることが可能となる。ここで、耐熱多孔層は、多孔質フィルムの両面に積層されていてもよい。
【0045】
以下、前記の耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層されてなる積層フィルムについて説明する。前記積層フィルムにおいて、耐熱多孔層は、多孔質フィルムよりも耐熱性の高い層であり、該耐熱多孔層は、無機粉末から形成されていてもよいし、耐熱樹脂を含有していてもよい。耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有することにより、塗工などの容易な手法で、耐熱多孔層を形成することができる。耐熱樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、芳香族ポリエステル、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドを挙げることができ、耐熱性をより高める観点で、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドが好ましく、より好ましくは、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドである。さらにより好ましくは、芳香族ポリアミド(パラ配向芳香族ポリアミド、メタ配向芳香族ポリアミド)、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド等の含窒素芳香族重合体であり、とりわけ好ましくは芳香族ポリアミド、製造面で、特に好ましいのは、パラ配向芳香族ポリアミド(以下、「パラアラミド」ということがある。)である。また、耐熱樹脂として、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状オレフィン系重合体を挙げることもできる。これらの耐熱樹脂を用いることにより、積層フィルムの耐熱性、すなわち、積層フィルムの熱破膜温度をより高めることができる。これらの耐熱樹脂のうち、含窒素芳香族重合体を用いる場合には、その分子内の極性によるためか、電解液との相性、すなわち、耐熱多孔層における保液性も向上する場合があり、非水電解質二次電池製造時における電解液の含浸の速度も高く、非水電解質二次電池の充放電容量もより高まる。
【0046】
かかる積層フィルムの熱破膜温度は、耐熱樹脂の種類に依存し、使用場面、使用目的に応じ、選択使用される。より具体的には、耐熱樹脂として、上記含窒素芳香族重合体を用いる場合は400℃程度に、また、ポリ−4−メチルペンテン−1を用いる場合は250℃程度に、環状オレフィン系重合体を用いる場合は300℃程度に、夫々、熱破膜温度をコントロールすることができる。また、耐熱多孔層が、無機粉末からなる場合には、熱破膜温度を、例えば、500℃以上にコントロールすることも可能である。
【0047】
上記パラアラミドは、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドの縮合重合により得られるものであり、アミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位(例えば、4,4’−ビフェニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフタレン等のような反対方向に同軸または平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実質的になるものである。具体的には、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロ−パラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体等のパラ配向型またはパラ配向型に準じた構造を有するパラアラミドが例示される。
【0048】
前記の芳香族ポリイミドとしては、芳香族の二酸無水物とジアミンの縮重合で製造される全芳香族ポリイミドが好ましい。該二酸無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4―ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などがあげられる。該ジアミンの具体例としては、オキシジアニリン、パラフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン、3,3’−メチレンアニリン、3,3’−ジアミノベンソフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5’−ナフタレンジアミンなどがあげられる。また、溶媒に可溶なポリイミドが好適に使用できる。このようなポリイミドとしては、例えば、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンとの重縮合物のポリイミドが挙げられる。
【0049】
前記の芳香族ポリアミドイミドとしては、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジイソシアネートを用いてこれらの縮合重合から得られるもの、芳香族二酸無水物および芳香族ジイソシアネートを用いてこれらの縮合重合から得られるものが挙げられる。芳香族ジカルボン酸の具体例としてはイソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。また芳香族二酸無水物の具体例としては無水トリメリット酸などが挙げられる。芳香族ジイソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、オルソトリランジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0050】
また、イオン透過性をより高める意味で、耐熱多孔層の厚みは、1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下、特に1μm以上4μm以下という薄い耐熱多孔層であることが好ましい。また、耐熱多孔層は微細孔を有し、その孔のサイズ(直径)は通常3μm以下、好ましくは1μm以下である。また、耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有する場合には、さらに、耐熱多孔層は、後述のフィラーを含有することもできる。
【0051】
前記積層フィルムにおいて、多孔質フィルムは、微細孔を有し、シャットダウン機能を有することが好ましい。この場合、多孔質フィルムは、熱可塑性樹脂を含有する。多孔質フィルムにおける微細孔のサイズは通常3μm以下、好ましくは1μm以下である。多孔質フィルムの空孔率は、通常30〜80体積%、好ましくは40〜70体積%である。非水電解質二次電池において、通常の使用温度を越えた場合には、熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムは、それを構成する熱可塑性樹脂の軟化により、微細孔を閉塞することができる。
【0052】
前記熱可塑性樹脂は、非水電解質二次電池における電解液に溶解しないものを選択すればよい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂を挙げることができ、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。より低温で軟化してシャットダウンさせる意味で、ポリエチレンを含有することが好ましい。ポリエチレンとして、具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン等のポリエチレンを挙げることができ、分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンを挙げることもできる。多孔質フィルムの突刺し強度をより高める意味では、該フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、少なくとも超高分子量ポリエチレンを含有することが好ましい。また、多孔質フィルムの製造面において、熱可塑性樹脂は、低分子量(重量平均分子量1万以下)のポリオレフィンからなるワックスを含有することが好ましい場合もある。
【0053】
また、積層フィルムにおける多孔質フィルムの厚みは、通常、3〜30μmであり、さらに好ましくは3〜25μmである。また、本発明において、積層フィルムの厚みとしては、通常40μm以下、好ましくは、20μm以下である。また、耐熱多孔層の厚みをA(μm)、多孔質フィルムの厚みをB(μm)としたときには、A/Bの値が、0.1以上1以下であることが好ましい。
【0054】
また、耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有する場合には、耐熱多孔層は、1種以上のフィラーを含有していてもよい。フィラーは、その材質として、有機粉末、無機粉末またはこれらの混合物のいずれから選ばれるものであってもよい。フィラーを構成する粒子は、その平均粒子径が、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。
【0055】
前記有機粉末としては、例えば、スチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチル等の単独あるいは2種類以上の共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等のフッ素系樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;ポリオレフィン;ポリメタクリレート等の有機物からなる粉末が挙げられる。該有機粉末は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの有機粉末の中でも、化学的安定性の点で、ポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。
【0056】
前記無機粉末としては、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等の無機物からなる粉末が挙げられ、これらの中でも、導電性の低い無機物からなる粉末が好ましく用いられる。具体的に例示すると、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、または炭酸カルシウム等からなる粉末が挙げられる。該無機粉末は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの無機粉末の中でも、化学的安定性の点で、アルミナ粉末が好ましい。ここで、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子であることがより好ましく、さらにより好ましいのは、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子であり、その一部または全部が略球状のアルミナ粒子である実施形態である。因みに、耐熱多孔層が、無機粉末から形成される場合には、上記例示の無機粉末を用いればよく、必要に応じてバインダーと混ぜて用いればよい。
【0057】
耐熱多孔層が耐熱樹脂を含有する場合のフィラーの含有量としては、フィラーの材質の比重にもよるが、例えば、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子である場合には、耐熱多孔層の総重量を100としたとき、フィラーの重量は、通常5以上95以下であり、20以上95以下であることが好ましく、より好ましくは30以上90以下である。これらの範囲は、フィラーの材質の比重により、適宜設定できる。
【0058】
フィラーの形状については、略球状、板状、柱状、針状、ウィスカー状、繊維状等が挙げられ、いずれの粒子も用いることができるが、均一な孔を形成しやすいことから、略球状粒子であることが好ましい。略球状粒子としては、粒子のアスペクト比(粒子の長径/粒子の短径)が1以上1.5以下の範囲の値である粒子が挙げられる。粒子のアスペクト比は、電子顕微鏡写真により測定することができる。
【0059】
本発明において、セパレータは、イオン透過性との観点から、ガーレー法による透気度において、透気度が50〜300秒/100ccであることが好ましく、50〜200秒/100ccであることがさらに好ましい。また、セパレータの空孔率は、通常30〜80体積%、好ましくは40〜70体積%である。セパレータは空孔率の異なるセパレータを積層したものであってもよい。
【0060】
二次電池において、電解液は、通常、電解質を含有する有機溶媒からなる。電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LIBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiN(SO2CF3)(COCF3)、Li(C49SO3)、LiC(SO2CF33、Li210Cl10、LiBOB(ここで、BOBは、bis(oxalato)borateのことである。)、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4などのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。リチウム塩として、通常、これらの中でもフッ素を含むLiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32およびLiC(SO2CF33からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むものを用いる。
【0061】
また前記電解液において、有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、または上記の有機溶媒にさらにフッ素置換基を導入したものを用いることができるが、通常はこれらのうちの二種以上を混合して用いる。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネート、または環状カーボネートとエーテル類の混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートの混合溶媒としては、動作温度範囲が広く、負荷特性に優れ、かつ負極の活物質として天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという点で、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。また、特に優れた安全性向上効果が得られる点で、LiPF6等のフッ素を含むリチウム塩およびフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル等のフッ素置換基を有するエーテル類とジメチルカーボネートとを含む混合溶媒は、大電流放電特性にも優れており、さらに好ましい。
【0062】
上記の電解液の代わりに固体電解質を用いてもよい。固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの有機系高分子電解質を用いることができる。また、高分子化合物に非水電解質溶液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。またLi2S−SiS2、Li2S−GeS2、Li2S−P25、Li2S−B23、Li2S−SiS2−Li3PO4、Li2S−SiS2−Li2SO4などの硫化物を含む無機系固体電解質を用いてもよい。これら固体電解質を用いて、安全性をより高めることができることがある。また、本発明の非水電解質二次電池において、固体電解質を用いる場合には、固体電解質がセパレータの役割を果たす場合もあり、その場合には、セパレータを必要としないこともある。
【実施例】
【0063】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0064】
(1)パーティクルアナライザーによる粒子プラズマ発光分析
原料粉末について、装置パーティクルアナライザー(堀場製作所製:DP−1000型)を用い、以下の方法で粒子プラズマ発光分析を行った。原料粉末をサンプリング装置(堀場製作所製 ローボリュームサンプラー LS−1000)により、メンブランフィルター上に載せた後、フィルター上の原料粉末を構成する粒子1個をアスピレーターで吸引してプラズマ中に投入した。1000個以上の粒子について測定を実施した。ニッケルについては、装置の検出器のチャンネルを2とし、発光波長341.480nmの発光スペクトルを高圧電源倍率1.00で測定した。リチウムについては、装置の検出器のチャンネルを4とし、発光波長670.780nmの発光スペクトルを高圧電源倍率0.90で測定した。パーティクルアナライザーを用いて、粉末を構成するそれぞれの粒子について、リチウム発光強度とニッケル発光強度との関係をプロットした同期分布図を得て、その同期分布図から求められる近似直線に対するプロットの絶対偏差値を求めた。また、この同期分布図から、リチウム遊離率を求めた。
【0065】
(2)かさ密度の測定
JIS R 1628に準ずる方法に従って、かさ密度を測定した。
【0066】
(3)BET比表面積の測定
BET比表面積測定装置(Flow Sorb II 2300、Micromeritics社)を用い、BET一点法により測定した。
【0067】
(4)非水電解質二次電池の作製およびその充放電試験
リチウムニッケル複合金属酸化物と導電材(アセチレンブラックと黒鉛を1:9の重量比で混合したもの)の混合物に、バインダーとしてPVdFのN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)溶液を、活物質:導電材:バインダー=86:10:4(重量比)の組成となるように加えて混練することによりペーストとし、集電体となる厚さ40μmのAl箔に該ペーストを塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、電極を得た。
【0068】
得られた電極を正極として用い、電解液としてエチレンカーボネート(以下、ECということがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCということがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCということがある。)の30:35:35(体積比)混合液にLiPF6を1モル/リットルとなるように溶解したもの(以下、LiPF6/EC+DMC+EMCと表すことがある。)を用い、セパレータとしてポリプロピレン多孔質膜を用い、負極として金属リチウムを用いて、これらを組み合わせて非水電解質二次電池(コイン型電池R2032)を作製した。
【0069】
上記のコイン型電池を用いて、25℃保持下、以下に示す条件で充放電試験を実施した。充放電試験は、繰返し充電と放電の容量を測定し、以下に従い、初回充放電効率と放電容量維持率を計算した。
【0070】
<充放電試験>
1サイクル目
充電最大電圧:4.2V
充電電流 :0.2mA/cm2
充電時間 :12時間
放電最小電圧:3.0V
放電電流 :0.2mA/cm2
2〜20サイクル目
充電最大電圧:4.2V
充電電流 :1.0mA/cm2
充電時間 :3時間
放電最小電圧:3.0V
放電電流 :1.0mA/cm2
【0071】
<初回充放電効率>
初回充放電効率(%)=1サイクル目の放電容量/1サイクル目の充電容量×100
【0072】
実施例1
(原料粉末の製造)
水酸化リチウム(LiOH・H2O:本荘ケミカル株式会社製、粉砕品平均粒径10〜25μm)とニッケル含有複合金属水酸化物(Ni0.85Co0.15(OH)2:平均粒径10μm)を、Li:Ni:Coのモル比が1.03:0.85:0.15となるよう秤量し、これらを、レーディゲミキサー(株式会社マツボー製、FM−130D型)を用いて、主軸(攪拌翼)160rpmで5分間撹拌して、さらに主軸160rpmを保持したままチョッパー3000rpmで30分間攪拌することにより、混合して、原料粉末1を得た。この原料粉末1について、パーティクルアナライザーにより、要件(1)における絶対偏差値を求めたところ、0.05であった。また、要件(2)におけるリチウム遊離率は、40%であった。
【0073】
(リチウムニッケル複合金属酸化物の製造)
この原料粉末1をアルミナさやに充填し、酸素気流中、750℃で10時間焼成することで塊状物を得た。この塊状物を、粉砕メディアとして15mmφナイロン被覆鋼球を用いて乾式ボールミルにて粉砕して得られた粉末と、酸化アルミニウム(日本アエロジル株式会社製、製品名はアルミナC、1次粒子径13nm、BET比表面積113m2/g)とを、重量比が1:0.03となるように秤量して、上記レーディゲミキサー(株式会社マツボー製、FM−130D型)にて混合し、酸素気流中750℃で1.2時間熱処理し、風力分級機(ターボプレックス、ホソカワミクロン株式会社製、ATP−50)を用いて分級を行い、微粒側を低減して、粒状のリチウムニッケル複合金属酸化物1を得た。
【0074】
リチウムニッケル複合金属酸化物1のかさ密度は2.59g/cm、BET比表面積は、0.35m2/gであった。
【0075】
(充放電試験)
リチウムニッケル複合金属酸化物1を用いて、非水電解質二次電池を作製し、充放電試験により、容量を測定したところ、充電容量は218mAh/gであり、放電容量は186mAh/gであり、高容量であった。初回充放電効率は85.5%と高い値であった。また10サイクル目の放電容量は171mAh/gであり、20サイクル目の放電容量は166mAh/gであった。
【0076】
比較例1
(原料粉末の製造)
原料粉末1について、120℃、10時間乾燥させた後、さらに粉砕メディアを使用するタイプのダイナミックミル(三井鉱山株式会社製、MYD−5XA型)を用いて、次の条件で粉砕・混合を行い、原料粉末2を得た。
粉砕メディア:5mmφハイアルミナ(6.1kg)
アジテータシャフトの回転数:500rpm
粉末の供給量:7kg/h
【0077】
この原料粉末2について、パーティクルアナライザーにより、要件(1)における絶対偏差値を求めたところ、0.13であった。また、要件(2)におけるリチウム遊離率は、91%であった。
【0078】
(リチウムニッケル複合金属酸化物の製造)
原料粉末1のかわりに原料粉末2を用いる以外は、実施例1と同様にして、リチウムニッケル複合金属酸化物2を得た。
【0079】
リチウムニッケル複合金属酸化物2のかさ密度は2.58g/cm、BET比表面積は、0.46m2/gであった。
【0080】
(充放電試験)
リチウムニッケル複合金属酸化物2を用いて、非水電解質二次電池を作製し、充放電試験により、容量を測定したところ、充電容量は219mAh/gであり、放電容量は168mAh/gであった。初回充放電効率は76.3%であった。また10サイクル目の放電容量は155mAh/gであり、20サイクル目の放電容量は156mAh/gであった。
【0081】
製造例(積層フィルムの製造)
(1)塗工液の製造
NMP4200gに塩化カルシウム272.7gを溶解した後、パラフェニレンジアミン132.9gを添加して完全に溶解させた。得られた溶液に、テレフタル酸ジクロライド243.3gを徐々に添加して重合し、パラアラミドを得て、さらにNMPで希釈して、濃度2.0重量%のパラアラミド溶液(A)を得た。得られたパラアラミド溶液100gに、アルミナ粉末(a)2g(日本アエロジル社製、アルミナC、平均粒子径0.02μm)とアルミナ粉末(b)2g(住友化学株式会社製スミコランダム、AA03、平均粒子径0.3μm)とをフィラーとして計4g添加して混合し、ナノマイザーで3回処理し、さらに1000メッシュの金網で濾過、減圧下で脱泡して、スラリー状塗工液(B)を製造した。パラアラミドおよびアルミナ粉末の合計重量に対するアルミナ粉末(フィラー)の重量は、67重量%となる。
【0082】
(2)積層フィルムの製造および評価
多孔質フィルムとしては、ポリエチレン製多孔質膜(膜厚12μm、透気度140秒/100cc、平均孔径0.1μm、空孔率50%)を用いた。厚み100μmのPETフィルムの上に上記ポリエチレン製多孔質膜を固定し、テスター産業株式会社製バーコーターにより、該多孔質膜の上にスラリー状塗工液(B)を塗工した。PETフィルム上の塗工された該多孔質膜を一体にしたまま、貧溶媒である水中に浸漬させ、パラアラミド多孔質膜(耐熱多孔層)を析出させた後、溶媒を乾燥させて、耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層された積層フィルム1を得た。積層フィルム1の厚みは16μmであり、パラアラミド多孔質膜(耐熱多孔層)の厚みは4μmであった。積層フィルム1の透気度は180秒/100cc、空孔率は50%であった。積層フィルム1における耐熱多孔層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察をしたところ、0.03μm〜0.06μm程度の比較的小さな微細孔と0.1μm〜1μm程度の比較的大きな微細孔とを有することがわかった。尚、積層フィルムの評価は以下の方法で行った。
【0083】
<積層フィルムの評価>
(A)厚み測定
積層フィルムの厚み、多孔質フィルムの厚みは、JIS規格(K7130−1992)に従い、測定した。また、耐熱多孔層の厚みとしては、積層フィルムの厚みから多孔質フィルムの厚みを差し引いた値を用いた。
(B)ガーレー法による透気度の測定
積層フィルムの透気度は、JIS P8117に基づいて、株式会社安田精機製作所製のデジタルタイマー式ガーレー式デンソメータで測定した。
(C)空孔率
得られた積層フィルムのサンプルを一辺の長さ10cmの正方形に切り取り、重量W(g)と厚みD(cm)を測定した。サンプル中のそれぞれの層の重量(Wi(g))を求め、Wiとそれぞれの層の材質の真比重(真比重i(g/cm3))とから、それぞれの層の体積を求めて、次式より空孔率(体積%)を求めた。
空孔率(体積%)=100×{1−(W1/真比重1+W2/真比重2+・・+Wn/真比重n)/(10×10×D)}
【0084】
上記の実施例1の電池において、セパレータとして、製造例と同様の積層フィルムを用いれば、熱破膜をより防ぐことのできる非水電解質二次電池を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム化合物と、ニッケル含有複合金属化合物とからなる粉末であり、該粉末を構成する粒子について、粒子プラズマ発光分析を行ったとき、以下の(1)および(2)の要件を有することを特徴とするリチウムニッケル複合金属酸化物用原料粉末。
(1)粉末を構成するそれぞれの粒子について、リチウム発光強度とニッケル発光強度との関係をプロットした同期分布図から求められる近似直線に対する前記プロットの絶対偏差値が、0.10以下である。
(2)粉末を構成するそれぞれの粒子について、リチウムを含有する粒子の数をa、ニッケルを含有しないでかつリチウムを含有する粒子の数をbとしたときの(b/a)×100(%)で表されるリチウム遊離率が80%以下である。
【請求項2】
ニッケル含有複合金属化合物を構成する遷移金属元素が、ニッケルと、コバルト、マンガンおよび鉄からなる群より選ばれる1種以上の元素とからなり、遷移金属元素に対するニッケルのモル比が、0.3以上0.9以下である請求項1記載の原料粉末。
【請求項3】
遷移金属元素に対するリチウムのモル比が、0.9以上1.3以下である請求項1または2記載の原料粉末。
【請求項4】
リチウム化合物が水酸化リチウムである請求項1〜3のいずれかに記載の原料粉末。
【請求項5】
ニッケル含有複合金属化合物が、ニッケル含有複合金属水酸化物である請求項1〜4のいずれかに記載の原料粉末。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の原料粉末を、650℃以上1050℃以下の範囲の温度で焼成して得られるリチウムニッケル複合金属酸化物。
【請求項7】
かさ比重が、2.0〜3.5g/cmである請求項6記載のリチウムニッケル複合金属酸化物。
【請求項8】
請求項6または7記載のリチウムニッケル複合金属酸化物を有する電極。
【請求項9】
正極、負極および電解質を有する非水電解質二次電池であって、正極が請求項8記載の電極である非水電解質二次電池。
【請求項10】
さらにセパレータを有する請求項9記載の非水電解質二次電池。
【請求項11】
セパレータが、耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層されてなる積層フィルムからなるセパレータである請求項10記載の非水電解質二次電池。

【公開番号】特開2010−280530(P2010−280530A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134833(P2009−134833)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】