説明

リッドのロック構造

【課題】軽量化を図ることができ、部品点数を少なくすることができ、組み付け性を向上させることができ、耐久性を向上させることができるリッドのロック構造を提供する。
【解決手段】係合部材30の係合部34,35が内装材1側の被係合部9に係合したロック状態と係合解除したロック解除状態とに操作レバー50により切り換えられ、係合部材30は、リッド10に形成された支持爪23に摺動自在に支持され、操作レバー50はレバー収容部12に収容され、操作レバー50が回転するに伴って、係合部材30が内装材1側に出退するよう構成され、操作レバー50の周部に複数の係合部51,52,53が分散配設され、複数の係合部51,52,53が各別に挿入係合されて摺動する複数の係合溝16,17,18がレバー収容部12に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
車両の内装材の開口を覆うリッドに、前記内装材の開口の周縁部に向かって出退する係合部材と、前記係合部材を出退操作する操作レバーとが設けられ、
前記係合部材の係合部が前記内装材側の被係合部に係合したロック状態と係合解除したロック解除状態とに前記操作レバーにより切り換えられるリッドのロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内装材であるクォータトリムには、ジャッキ収納部へのジャッキの出し入れのためやサスペンションのメンテナンスのための開口が形成されている。そして、この開口を覆うリッドがクォータトリムに着脱可能に設けられ、リッドにロック機構が設けられている。
従来、上記のリッドのロック構造では、操作レバーなどの部品はスクリューでリッドに締結されていた。
この従来の構造によれば、スクリューが金属製であるためにロック機構の重量が増加するとともに部品点数が増加し、その上、スクリューの締結作業に手間がかかって組み付け工数が増加していた。
また、スクリューでの締結構造にはスクリューのねじ山以上の空間(すなわち、ねじ山が形成されているスクリュー本体部を収容する空間とスクリューの締結の際に生じる削りカスを収容する空間とを合計した空間)等の確保が必要になっていた。さらに、前記ロック機構は複数の部品で構成されるものであり、部品間には作動スペースだけでなく部品にガタツキが起きても部品同士が干渉しないようにするためクリアランスを設けており、部品点数が増えれば増えるほどリッドのロック構造のスペースが大きくなってしまっていた。
特に回転式の操作レバーの場合、回転する作動部に組み付け部(組み付け機構)を近づけると作動部と組み付け部が干渉してしまうために両者を離さなければならず、リッドのロック構造のスペースが大きくなっていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−132203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、軽量化を図ることができ、部品点数を少なくすることができ、組み付け性を向上させることができ、耐久性を向上させることができるリッドのロック構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、
車両の内装材の開口を覆うリッドに、前記内装材の開口の周縁部に向かって出退する係合部材と、前記係合部材を出退操作する操作レバーとが設けられ、
前記係合部材の係合部が前記内装材側の被係合部に係合したロック状態と係合解除したロック解除状態とに前記操作レバーにより切り換えられるリッドのロック構造であって、
前記係合部材は、前記リッドに形成された支持爪に摺動自在に支持され、
前記リッドにレバー収容部が形成され、
前記操作レバーは、レバー軸芯がリッド面と直交又はほぼ直交するように前記レバー収容部に収容され、
前記操作レバーが前記レバー軸芯周りに回転するに伴って、前記係合部材が前記内装材の開口の周縁部側に出退するよう構成され、
前記操作レバーの周部に複数の係合部が分散配設され、
前記操作レバーの複数の係合部が各別に挿入係合されて摺動する複数の係合溝が前記レバー収容部に形成されている点にある。(請求項1)
【0006】
上記の構成により、操作レバーがレバー軸芯周りに回転するに伴って、操作レバーの複数の係合部がレバー収容部の複数の係合溝内を各別に摺動しながら係合部材が内装材の開口の周縁部に向かって出退し、係合部材の係合部が内装材側の被係合部に係合したロック状態と係合解除したロック解除状態とに切り換えられる。
この構成によれば、係合部材は、リッドに形成された支持爪に摺動自在に支持され、操作レバーの周部に複数の係合部が分散配設され、操作レバーの複数の係合部が各別に挿入係合されて摺動する複数の係合溝がレバー収容部に形成されているから、スクリューを用いることなく操作レバーをレバー収容部に組み付けることができ、スクリューを省くことができる。
従って、操作レバーをレバー収容部にスクリューで組み付ける場合に比べると、軽量化することができ、部品点数を少なくすることができ、締結操作が不要で組み付け性を向上させることができる。(請求項1)
【0007】
本発明において、
前記レバー軸芯に沿う方向で、前記操作レバーの複数の係合部が互いに位置ずれするとともに前記複数の係合溝が各係合部に対応するように互いに位置ずれしていると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
【0008】
例えば、レバー軸芯に沿う方向で、操作レバーの複数の係合部が互いに同一位置に位置するとともに前記複数の係合溝が互いに同一位置に位置している構造(以下、「比較例の構造」と称する)では、係合部と係合溝が異なる組み合わせで組み付けられる虞がある。すなわち、第1の係合部を第1の係合溝に係合させるべきところを、誤って第1の係合部を第2の係合溝に係合させる虞がある。
これに対して、本発明の上記の構成によれば、前記レバー軸芯周りでの前記レバー収容部に対する操作レバーの向きが正しい向きでなければ操作レバーをレバー収容部に組み付けることができないことから、係合部と係合溝を正しい組み合わせで組み付けることができ、組み付け不良を防止することができる。
例えば、比較例の構造では、レバー収容部の周壁を設けなくてもよくなり(例えば、レバー収容部の底壁を、周方向に位置する複数の支持柱を介してリッド本体で支持した構造でもよくなる)、これではリッドの剛性が低下するが、本発明の構造によれば、操作レバーのレバー軸芯に沿う方向においてレバー収容部の周壁が形成できるので、リッドの剛性を確保することができる。(請求項2)
【0009】
本発明において、
前記操作レバーは円板状に形成され、
前記レバー収容部は前記リッドの裏側に凹む円形の凹部状に形成され、
前記操作レバーの複数の係合部のうち1個の係合部は前記操作レバーの周部から前記レバー収容部の底壁側に突出し、残りの係合部は前記操作レバーの周部から前記レバー収容部の周壁側に突出し、
前記複数の係合溝のうちの1個の係合溝は前記レバー収容部の底壁に形成され、残りの係合溝は前記レバー収容部の周壁に形成されて、
前記1個の係合部が前記1個の係合溝に挿入係合し、
前記残りの係合部が前記残りの係合溝に挿入係合していると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
【0010】
前記操作レバーは円板状に形成され、前記レバー収容部は前記リッドの裏側に凹む円形の凹部状に形成されているから、操作レバーとレバー収容部の構造を簡素化することができる。
また、前記操作レバーの複数の係合部のうち1個の係合部は前記操作レバーの周部から前記レバー収容部の底壁側に突出し、残りの係合部は前記操作レバーの周部から前記レバー収容部の周壁側に突出しているから、前記複数の係合部の全てを操作レバーの周部から前記レバー収容部の周壁側に突出させる構造に比べると、操作レバーの高さ寸法(操作レバーのレバー軸芯方向における長さ)を短く設定することができ、操作レバーを小型化することができる。
そして、前記複数の係合溝のうちの1個の係合溝は前記レバー収容部の底壁に形成され、残りの係合溝は前記レバー収容部の周壁に形成されているから、複数の係合部の全てをリッドのレバー収容部の周壁に形成する構造に比べると、周壁の高さ寸法(操作レバーのレバー軸芯方向における周壁の長さ)を短く設定することができ、レバー収容部を小型化することができる。
さらに、操作レバーをレバー収容部に組み付ける場合、前記残りの係合部を前記残りの係合溝に挿入係合させた後、前記1個の係合部を前記1個の係合溝に挿入係合させる手段を採用することができ、操作レバーをレバー収容部に円滑に組み付けることができる。
そして、前記操作レバーの周部から前記レバー収容部の周壁側に突出する前記残りの係合部が、前記レバー収容部の周壁に形成された前記残りの係合溝に挿入係合することで、レバー軸芯方向におけるレバー収容部からの操作レバーの抜け落ちを防止することができる。
また、前記操作レバーの周部からレバー収容部の底壁側に突出する前記1個の係合部が、レバー収容部の底壁に形成された前記1個の係合溝に挿入係合しているから、レバー収容部に対する操作レバーの径方向の移動を阻止することができて、操作レバーのガタツキを防止することができる。(請求項3)
【0011】
本発明において、
前記操作レバーの1個の係合部は突出端部に係合突起を備えた爪状に形成され、
前記操作レバーの1個の係合部が前記1個の係合溝に挿通されて、前記係合突起が前記レバー収容部の底壁の裏面に当接係合すると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
【0012】
前記1個の係合部の係合突起が前記レバー収容部の底壁の裏面に当接係合するから、レバー収容部に対して操作レバーがレバー収容部からリッドの意匠面の外方側に抜け出ることを防止することができる。(請求項4)
【0013】
本発明において、
前記1個の係合部の係合突起に前記操作レバーの表側に向かって突出する第1リブが形成され、
前記残りの係合部に前記操作レバーの表側に向かって突出する第2リブが形成され、
前記第1リブが前記レバー収容部の底壁の裏面に当接し、
前記第2リブが前記残りの係合溝の溝面に当接すると、次の作用を奏することができる。(請求項5)
【0014】
例えば、操作レバーの前記1個の係合部がリッドのレバー収容部の前記1個の係合溝に挿入係合し、前記残りの係合部が前記残りの係合溝に挿入係合しただけの構造に比べると、レバー収容部に対する操作レバーの圧力を大きくすることができ、操作レバーのガタツキを抑制することができる。(請求項5)
【0015】
本発明において、
前記操作レバーのロック解除側のストローク端の近傍で、前記1個の係合部の第1リブが、前記1個の係合溝の周方向の一端部に設けられた第3リブを乗り越えるとともに、前記残りの係合部の第2リブが、前記残りの係合溝の周方向の一端部に設けられた第3リブを乗り越え、
前記操作レバーのロック側のストローク端の近傍で、前記1個の係合部の第1リブが、前記1個の係合溝の周方向の他端部に設けられた第4リブを乗り越えるとともに、前記残りの係合部の第2リブが、前記残りの係合溝の周方向の他端部に設けられた第4リブを乗り越えると、次の作用を奏することができる。(請求項6)
【0016】
操作レバーをロック状態に切り換えた時やロック解除状態に切り換えた時に適度な節度感を得ることができる。(請求項6)
【0017】
本発明において、
前記操作レバーの係合部の数は3個、前記係合溝の数は3個であり、
前記3個の係合部が前記操作レバーの周方向に等間隔に位置していると、次の作用を奏することができる。(請求項7)
【0018】
前記3個の係合部が前記操作レバーの周方向に等間隔に位置しているから、3個の係合部を操作レバーの周部にバランスよく配置することができる。
また、操作レバーをレバー収容部に組み付ける場合、2個の係合部を2個の係合溝に挿入係合させた後、1個の係合部を1個の係合溝に挿入係合させる手段を採用することができ、操作レバーをレバー収容部に円滑に組み付けることができる。(請求項7)
【0019】
本発明において、
前記被係合部は前記開口の周縁部に前記周縁部の周方向に間隔を空けて一対設けられ、
前記係合部材は、一端部が前記被係合部を臨む一対の第1プレート部と、前記第1プレート部の前記被係合部とは反対側の端部同士を連結する第2プレート部と、前記第2プレート部の長手方向中間部から前記被係合部とは反対側に突出する第3プレート部とから構成されて、前記第1プレート部の一端部に前記係合部材の係合部が形成され、
前記支持爪は、前記第1プレート部の両側部を各別に支持する一対の第1爪部と、前記第2プレート部の両側部を各別に支持する一対の第2爪部と、前記第3プレート部の両側部を各別に支持する一対の第3爪部とから成り、
前記第1爪部と第2爪部は前記レバー収容部の外側の前記リッドの裏面から突出し、
前記第3爪部は前記レバー収容部の底壁の裏面から突出し、
前記操作レバーの前記レバー軸芯周りの回転に伴って、前記係合部材を前記被係合部に向かって出退させるカム機構が設けられ、
前記カム機構は、前記操作レバーの裏面に突設されたカムピンと、
前記レバー収容部の底壁に形成され、前記カムピンが挿通されて前記操作レバーの前記レバー軸芯周りの回転を許すピン挿通部と、
前記第2プレート部に形成され、前記カムピンが挿入するカム溝とから成ると、次の作用を奏することができる。(請求項8)
【0020】
上記の構成により、操作レバーが操作レバーのレバー軸芯周りに回転すると、操作レバーの裏面に突設されたカムピンが、係合部材の第2プレート部に形成されたカム溝内を移動して係合部材を押圧し、この係合部材を前記被係合部側に向かって出退させる。
上記の構成によれば、前記係合部材の第1プレート部の両側部が一対の第1爪部に各別に支持され、第2プレート部の両側部が一対の第2爪部に各別に支持され、第3プレート部の両側部が一対の第3爪部に各別に支持されるから、係合部材を第1爪部〜第3爪部で安定支持することができ、係合部材を被係合部に向かって確実に出退させることができる。
そして、前記第1爪部と第2爪部はレバー収容部の外側の前記リッドの裏面から突出し、前記第3爪部は前記レバー収容部の底壁の裏面から突出しているから、操作レバーと係合部材をリッドの肉厚方向(リッドの表裏方向)で重ね合わせることができ、操作レバーと係合部材をコンパクトに纏めることができて構造を簡素化することができる。(請求項8)
【0021】
本発明において、
ロック解除側のストローク端に位置した前記第3プレート部の端部を受け止める第5リブと、ロック解除側のストローク端に位置した前記操作レバーの残りの係合部を受け止める第6リブとが前記リッドに設けられていると、次の作用を奏することができる。(請求項9)
【0022】
前記係合部材のストロークと操作レバーのストロークとを精度よく設定することができる。
また、例えば、前記第5リブや第6リブを係合部材や操作レバーに設けた構造では、操作レバーの回転時や係合部材の出退時に、他の部品にリブが引っ掛かる虞があり、係合部材や操作レバーが円滑に作動せずに操作性が低下する不具合が生じることがある。
これに対して、本発明の上記構成によれば、前記第5リブや第6リブは固定状態のリッドに設けられているから、上記の不具合を回避でき、係合部材や操作レバーを円滑に作動させることができて操作性を向上させることができる。(請求項9)
【0023】
本発明において、
前記ピン挿通部は前記操作レバーと同芯の4分の1円弧の長孔状に形成され、
前記カムピンが前記ピン挿通部の周方向一端部の内面に当接して前記ロック状態に設定され、前記カムピンが前記ピン挿通部の周方向他端部の内面に当接して前記ロック解除状態に設定されると、次の作用を奏することができる。(請求項10)
【0024】
前記ピン挿通部は前記操作レバーと同芯の4分の1円弧の長孔状に形成され、前記カムピンが前記ピン挿通部の周方向一端部の内面に当接して前記ロック状態に設定され、前記ピン挿通部の周方向他端部の内面に当接して前記ロック解除状態に設定されるから、操作レバーの回転角を0度〜90度に設定することができる。
これにより、レバー操作する者が、操作レバーの向きによってロック状態かロック解除状態かを把握でき、リッドを着脱操作しやすくすることができる。
また、前記ピン挿通部にカムピンが挿入されていることで、操作レバーがリッドのレバー収容部に対して径方向外方側に移動することを防止でき、操作レバーの径方向でのガタツキを防止することができる。(請求項10)
【0025】
本発明において、
前記操作レバーの1個の係合部との干渉を回避する干渉回避空間部が前記第2プレート部に形成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項11)
【0026】
前記1個の係合部と第2プレート部との干渉を回避することができる。また、リッドの肉厚方向(リッドの表裏方向)で同一位置に高さ上に前記1個の係合部と係合部材を配置することができ、構造を小型化することができる。(請求項11)
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、
軽量化を図ることができ、部品点数を少なくすることができ、組み付け性を向上させることができ、耐久性を向上させることができるリッドのロック構造を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】リッドの取り付け構造を車室内側から見た斜視図
【図2】リッドの取り付け構造の拡大斜視図
【図3】リッドの分解斜視図
【図4】(a)は操作レバー等を除いたリッド(リッド本体)をリッドの意匠面側から見た斜視図、(b)は操作レバー等を除いたリッド(リッド本体)をリッドの裏面側から見た斜視図
【図5】レバー収容部をリッドの意匠面側から見た斜視図
【図6】レバー収容部をリッドの裏面側から見た斜視図
【図7】(a)はリッドを意匠面側から見た図、(b)はリッドを裏面側から見た図
【図8】操作レバーの側面図
【図9】操作レバーをレバー収容部に組み付けた状態をリッドの裏側側方から見た斜視図
【図10】操作レバーをレバー収容部に組み付けた状態をリッドの裏側から見た斜視図
【図11】(a)はロック状態のリッドのロック構造をリッドの意匠面側から見た図、(b)はロック状態のリッドのロック構造をリッドの裏面側から見た図
【図12】(a)はロック解除状態のリッドのロック構造をリッドの意匠面側から見た図、(b)はロック解除状態のリッドのロック構造をリッドの裏面側から見た図
【図13】第5リブと第6リブを示す斜視図
【図14】係合部材の第3プレート部が第5リブに受け止められ、操作レバーの第2の係合部が第6リブに受け止められた状態を示す斜視図
【図15】第2の係合部の第2リブがレバー収容部の第4リブを乗り越えた状態を示す斜視図
【図16】係合部材の各部の構造を示す図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1,図2に示すように、自動車(車両に相当)のクォータトリム1(内装材に相当)の後ろ下端部に、ジャッキ収納部へのジャッキの出し入れのため開口5が形成され、この開口5を覆う長方形状のリッド10がクォータトリム1に着脱可能に設けられている。符号2はドア開口、Frは車両前方側、Rrは車両後方側である。クォータトリム1とリッド10はいずれも樹脂で成形されている。
【0030】
そして、図3,図11(a),図11(b),図12(a),図12(b)にも示すように、前記リッド10の車両後方側Rrの端部の上下方向中央部に、クォータトリム1の開口5の後ろ側の周縁部5Sに向かって車両前後方向に出退する板状の係合部材30と、係合部材30を出退操作する回転式の円板状の操作レバー50とが設けられ、係合部材30の係合部34,35がクォータトリム1側の被係合部9に係合したロック状態(図11(a),図11(b)参照)と係合解除したロック解除状態(図12(a),図12(b))とに操作レバー50により切り換えられるよう構成されている。
【0031】
図3〜図6に示すように、前記リッド10の車両後方側Rrの端部の上下方向中央部に、リッド10の裏側に凹む円形の凹部状のレバー収容部12が形成されている。前記操作レバー50は、レバー軸芯O(図8参照)がリッド面10M(リッド10の意匠面、図4(a)参照)と直交又はほぼ直交するようにレバー収容部12に収容されており、操作レバー50がレバー軸芯O周りに回転するに伴って、係合部材30がクォータトリム1の開口5の周縁部5S側に向かって出退する。
【0032】
図4(a),図4(b)に示すように、リッド10の車両前方側Frの端部には、クォータトリム1の開口5の前側の周縁部に係合する上下一対の長方形状の係合片11が車両前方側Frに突出する状態に形成されている。また、リッド10の裏面に格子状の補強リブ10Rが形成されている。
【0033】
[係合部材30の構造]
図11(b)に示すように、クォータトリム1側の被係合部9は前記開口5の後ろ側の周縁部5Sに前記周縁部5Sの周方向(上下方向)に間隔を空けて上下一対設けられている。
【0034】
前記係合部材30は、一端部が被係合部9を臨む上下一対の第1プレート部31と、第1プレート部31の前記被係合部9とは反対側(車両前方側Fr)の端部同士を連結する第2プレート部32と、第2プレート部32の長手方向中間部から前記被係合部9とは反対側に突出する第3プレート部33とから構成されて、第1プレート部31の一端部に前記係合部材30の係合部34,35が舌片状に形成されている。この係合部材30は、リッド10に形成された支持爪23に摺動自在に支持されている。
【0035】
第1プレート部31は車両前方側Frに延び、第2プレート部32は上下方向に延びている。また、第1プレート部31〜第3プレート部33の裏面(車幅方向外側の面、車室外側の面)に、各プレート部31〜33の長手方向に沿う複数の補強リブ30Aが形成されている。係合部材30の一対の第1プレート部31の構造については後でさらに詳しく説明する。
【0036】
[支持爪23の構造]
図6,図11(a),図11(b)に示すように、前記支持爪23は、第1プレート部31の両側部を各別に支持する一対の第1爪部20と、前記第2プレート部32の両側部を各別に支持する一対の第2爪部21と、前記第3プレート部33の両側部を各別に支持する一対の第3爪部22とから成る。
【0037】
前記第1爪部20と第2爪部21は前記レバー収容部12の外側のリッド10の裏面(リッド10の意匠面10Mとは反対側の面)から突出し、第3爪部22はレバー収容部12の底壁13の裏面から突出している。一対の第3爪部22のうち、一方の第3爪部22は他方の第3爪部22よりも車両前後方向の長さ(係合部材30の出退方向の長)が短く設定されている。
【0038】
[操作レバー50とレバー収容部12の構造]
図7(a),図7(b),図8に示すように、操作レバー50は、周部よりも径方向内方側の部分が車幅方向外側(車室外側)に窄まる円錐台状に形成され、操作レバー50の意匠面側に、操作レバー50のレバー軸芯Oを通って操作レバー50の径方向に延びる断面長方形状の一直線状のつまみ79が突設されている。
【0039】
そして、操作レバー50の周部に第1の係合部51と第2の係合部52と第3の係合部53(複数の係合部に相当)が分散配設され、操作レバー50の第1の係合部51と第2の係合部52と第3の係合部53が各別に挿入係合されて摺動する円弧状の第1の係合溝16と第2の係合溝17と第3の係合溝18(複数の係合溝に相当、図6参照)がレバー収容部12に形成されている。
【0040】
操作レバー50の第1の係合部51〜第3の係合部53の数は上記のように3個、第1の係合溝16〜第3の係合溝18の数は3個であり、第1の係合部51〜第3の係合部53が操作レバー50の周方向に等間隔(レバー軸芯O周りに120度の角度ごと)に位置している。
【0041】
図8,図9に示すように、前記レバー軸芯Oに沿う方向で、操作レバー50の第1の係合部51〜第3の係合部53が互いに位置ずれするとともに、図6に示すように、第1の係合溝16〜第3の係合溝18が互いに位置ずれしている。
【0042】
操作レバー50の第1の係合部51〜第3の係合部53のうち1個の第1の係合部51は操作レバー50の周部からレバー収容部12の底壁13側(操作レバー50の裏側)に突出し、残りの第2の係合部52と第3の係合部53は操作レバー50の周部からレバー収容部12の周壁14側(操作レバー50の径方向外方側)に突出している。
【0043】
前記第1の係合溝16〜第3の係合溝18のうちの1個の第1の係合溝16はレバー収容部12の底壁13に形成され、残りの第2の係合溝17と第3の係合溝18は前記レバー収容部12の周壁14に形成されている。
【0044】
詳しくは、図6に示すように、第2の係合溝17はレバー収容部12の底壁13と周壁14とのコーナー部にレバー収容部12に沿う円弧状に形成され、第3の係合溝18はレバー収容部12の周壁14とレバー収容部12の外側のリッド10とのコーナー部にレバー収容部12に沿う円弧状に形成されている。
【0045】
そして、図9,図10に示すように、前記1個の第1の係合部51が前記1個の第1の係合溝16に挿入係合し、残りの第2の係合部52と第3の係合部53が残りの第2の係合溝17と第3の係合溝18に各別に挿入係合している。
【0046】
図8に示すように、前記第1の係合部51は突出端部に係合突起51Aを備えた爪状に形成され、第1の係合部51が第1の係合溝16に挿通されて、係合突起51Aがレバー収容部12の底壁13の裏面に当接係合している。係合突起51Aは第1の係合部51の突出端部から操作レバー50の径方向外方側に突出している。
【0047】
また、図7(a),図8に示すように、前記1個の第1の係合部51の係合突起51Aに操作レバー50の表側に向かって突出する第1リブR1が形成され、前記残りの第2の係合部52と第3の係合部53に、操作レバー50の表側に向かって突出する第2リブR2が形成されている。そして、第1リブR1がレバー収容部12の底壁13の裏面に当接し、第2リブR2が第2の係合溝17の溝面と第3の係合溝18の溝面に当接している。前記第1リブR1〜第2リブR2は断面円弧状に形成され、第1の係合部51〜第3の係合部53の幅方向中央部(操作レバー50の周方向における第1の係合部51〜第3の係合部53の中央部)を操作レバー50の径方向に延びている(図7(a)参照)。
【0048】
また、前記操作レバー50のロック解除側のストローク端の近傍で、前記1個の第1の係合部51の第1リブR1が、前記1個の第1の係合溝16の周方向の一端部に設けられた断面円弧状の第3リブR3(図6,図10参照)を乗り越えるとともに、前記残りの第2の係合部52と第3の係合部53の第2リブR2が、前記残りの第2の係合溝17と第3の係合溝18の周方向の一端部に設けられた断面円弧状の第3リブR3を乗り越え、
前記操作レバー50のロック側のストローク端の近傍で、前記1個の第1の係合部51の第1リブR1が、前記1個の第1の係合溝16の周方向の他端部に設けられた断面円弧状の第4リブR4(図6,図10参照)を乗り越えるとともに、前記残りの第2の係合部52と第3の係合部53の第2リブR2が、前記残りの第2の係合溝17と第3の係合溝18の周方向の他端部に設けられた断面円弧状の第4リブR4を乗り越えるよう構成されている。
【0049】
これにより、操作レバー50をロック状態に切り換えた時やロック解除状態に切り換えた時に操作した者(乗員)が適度な節度感を得ることができる。
【0050】
図7(b)に示すように、操作レバー50の径方向中央部の裏面には、レバー収容部12の底壁13に当接する複数の円弧状の第1当接リブ54がレバー軸芯Oを中心として同芯状に形成されている。操作レバー50の周部よりも径方向内方側の円錐台状に形成された部分の裏面には、レバー軸芯Oを通って操作レバー50の径方向に延びるスリット57が形成されている。
【0051】
図5に示すように、レバー収容部12の底壁13の径方向中央部の内面には大小複数の円形リング状の第2当接リブ15が同芯状に形成されている。この第2当接リブ15は操作レバー50の裏面に当接する。
【0052】
[カム機構59の構造]
図11(a),図11(b)に示すように、操作レバー50のレバー軸芯O周りの回転に伴って、係合部材30を前記被係合部9に向かって出退させるカム機構59が設けられている。このカム機構59は、操作レバー50の裏面に突設された断面円形のカムピン55と、レバー収容部12の底壁13に形成され、カムピン55が挿通されて操作レバー50の前記レバー軸芯O周りの回転を許すピン挿通孔19(ピン挿通部に相当)と、第2プレート部32に形成され、カムピン55が挿入するカム溝39とから成る。
【0053】
ピン挿通孔19は前記第2当接リブ15と第1の係合溝16の間に形成されている(図5参照)。また、カム溝39は係合部材30の出退方向(車両前後方向)と直交する方向(車幅方向)に長く形成されている。
【0054】
前記ピン挿通孔19は操作レバー50と同芯の4分の1円弧の長孔状に形成され、カムピン55がピン挿通孔19の周方向一端部の内面に当接してロック状態(図11(a),図11(b)参照)に設定され、カムピン55がピン挿通孔19の周方向他端部の内面に当接してロック解除状態(図12(a),図12(b)参照)に設定される。
【0055】
従って、操作レバー50の回転角を0度〜90度に設定することができる。また、レバー操作する者が、操作レバー50の向き(つまみ79の向き)によってロック状態かロック解除状態かを把握でき、リッド10を着脱操作しやすくすることができる。
すなわち、図11(a)に示すように、ロック状態ではつまみ79が上下方向に沿い、図12(a)に示すように、ロック解除状態ではつまみ79がロック状態から90度回転して車両前後方向に沿っていることから、レバー操作する者は、ロック状態かロック解除状態かを容易に把握することができる。
【0056】
また、ピン挿通孔19にカムピン55が挿入されていることで、操作レバー50がリッド10のレバー収容部12に対して径方向外方側に移動することを防止でき、操作レバー50の径方向でのガタツキを防止することができる。
【0057】
図13,図14に示すように、ロック解除側のストローク端に位置した第3プレート部33の端部を受け止める第5リブR5がリッド10に設けられ、ロック解除側のストローク端に位置した操作レバー50の第2の係合部52と第3の係合部53の端面(レバー軸芯O周りの方向における端面)を各別に受け止める一対の第6リブR6がリッド10に設けられている。
【0058】
前記第5リブR5は、レバー収容部12の周壁14の外側のリッド裏面から立ち上がる立ち上がり部29の上端部に設けられ、レバー収容部12の底壁13の裏面に対して直角に位置するとともに前記底壁13の裏面に連なっている。また、第6リブR6は第1の係合溝17の周方向の他端部の端面と第2の係合溝18の周方向の他端部の端面とに設けられている。第2の係合部52を受け止める第6リブR6は前記立ち上がり部29の上下方向中央部の近傍に位置している(図13参照)。
【0059】
これにより、係合部材30のストロークと操作レバー50のストロークとを精度よく設定することができる。また、例えば、第5リブR5や第6リブR6を係合部材30や操作レバー50等の可動部品に設けた構造では、操作レバー50の回転時や係合部材30の出退時に、他の部品にリブが引っ掛かる虞があり、係合部材30や操作レバー50が円滑に作動せずに操作性が低下する不具合が生じることがある。これに対して、本発明の上記構成によれば、第5リブR5や第6リブR6は固定状態のリッド10に設けられているから、上記の不具合を回避でき、係合部材30や操作レバー50を円滑に作動させることができて操作性を向上させることができる。
【0060】
また、図11(b)に示すように、ロック側のストローク端に位置した操作レバー50の1個の第1の係合部51(操作レバー50の周部からレバー収容部12の底壁13側に突出する第1の係合部51)との干渉を回避する干渉回避空間部38が、第2プレート部32と一方の第1プレート部31との内側コーナー部に切り欠き状に形成されている。ストローク端に位置した操作レバー50の1個の第1の係合部51は前記干渉回避空間部38に入り込む。
これにより、第1の係合部51と第2プレート部32との干渉を回避することができ、リッド10の肉厚方向(リッド10の表裏方向)で前記1個の第1の係合部51と係合部材30を同一位置に配置することができ、構造を小型化することができる。
【0061】
図16に示すように、前記一方の第1プレート部31の係合部34の先端34Aと他方の第1プレート部31の係合部35の先端35Aとは係合部材30の出退方向(車両前後方向)で同一位置に位置する。また、前記干渉回避空間部38が形成された側の一方の第1プレート部31の長さL1は、干渉回避空間部38が形成されていない側の他方の第1プレート部31の長さL2よりも車両前方側Frに長く形成されている。
例えば、前記一対の第1プレート部31の出退方向の長さを同一に設定すると、前記干渉回避空間部38を形成したことに起因して、前記一方の第1プレート部31の基端部(前記係合部34とは反対側の端部)に連なる第2プレート部32の幅D1が、他方の第1プレート部31の基端部に連なる第2プレート部32の幅D2よりも小さくなり過ぎ、剛性バランスが取れずに係合部材30の強度が低下する不具合がある。
これに対して、本発明の上記構成によれば、前記干渉回避空間部38が形成された側の一方の第1プレート部31の長さL1は、干渉回避空間部38が形成されていない側の他方の第1プレート部31の長さL2よりも車両前方側Frに長く形成されているから、上記の不具合を回避することができ、係合部材30の剛性バランスを取ることができて、係合部材30の耐久性を向上させることができる。
【0062】
本発明の構成によれば、
図11(a),図11(b),図12(a),図12(b)に示すように、前記操作レバー50がレバー軸芯O周りに回転するに伴って、第1の係合部51〜第3の係合部53がレバー収容部12の第1の係合溝16〜第3の係合溝18内を各別に摺動しながら係合部材30がクォータトリム1の開口5の周縁部5Sに向かって出退し、係合部材30の係合部34,35がクォータトリム1側の被係合部9に係合したロック状態と係合解除したロック解除状態とに操作レバー50により切り換えられる。
また、前記係合部材30は、リッド10に形成された支持爪23に摺動自在に支持され、操作レバー50の周部に第1の係合部51〜第3の係合部53が分散配設され、操作レバー50の第1の係合部51〜第3の係合部53が各別に挿入係合されて摺動する第1の係合溝16〜第3の係合溝18がレバー収容部12に形成されているから、スクリューを用いることなく操作レバー50をレバー収容部12に組み付けることができ、スクリューを省くことができる。
従って、操作レバー50をレバー収容部12にスクリューで組み付ける場合に比べると、軽量化することができ、部品点数を少なくすることができ、締結操作が不要で組み付け性を向上させることができる。
【0063】
例えば、レバー軸芯Oに沿う方向で、操作レバー50の第1の係合部51〜第3の係合部53が互いに同一位置に位置するとともに第1の係合溝16〜第3の係合溝18が互いに同一位置に位置している構造(「比較例の構造」)では、第1の係合部51〜第3の係合部53と第1の係合溝16〜第3の係合溝18が異なる組み合わせで組み付けられる虞がある。
これに対して、本発明の上記の構成によれば、前記レバー軸芯O周りでのレバー収容部12に対する操作レバー50の向きが正しい向きでなければ操作レバー50をレバー収容部12に組み付けることができないことから、第1の係合部51〜第3の係合部53と第1の係合溝16〜第3の係合溝18を正しい組み合わせで組み付けることができ、組み付け不良を防止することができる。
例えば、比較例の構造では、レバー収容部12の周壁14を設けなくてもよくなり(例えば、レバー収容部12の底壁13を周方向に位置する複数の支持柱で支持した構造でもよくなる)、これではリッド10の剛性が低下するが、本発明の構造によれば、操作レバー50のレバー軸芯Oに沿う方向においてレバー収容部12の周壁14が形成されるので、リッド10の剛性を確保することができる。
【0064】
前記操作レバー50は円板状に形成され、レバー収容部12はリッド10の裏側に凹む円形の凹部状に形成されているから、操作レバー50とレバー収容部12の構造を簡素化することができる。
また、第1の係合部51は操作レバー50の周部からレバー収容部12の底壁13側に突出し、残りの第2の係合部52と第3の係合部53は操作レバー50の周部からレバー収容部12の周壁14側に突出しているから、第1の係合部51〜第3の係合部53の全てを操作レバー50の周部からレバー収容部12の周壁14側に突出させる構造に比べると、操作レバー50の高さ寸法(操作レバー50のレバー軸芯方向における長さ)を短く設定することができ、操作レバー50を小型化することができる。
そして、第1の係合溝16はレバー収容部12の底壁13に形成され、残りの第2の係合溝17と第3の係合溝18はレバー収容部12の周壁14に形成されているから、第1の係合溝16〜第3の係合溝18の全てをリッド10のレバー収容部12の周壁14に形成する構造に比べると、周壁14の高さ寸法(操作レバー50のレバー軸芯方向における周壁14の長さ)を短く設定することができ、レバー収容部12を小型化することができる。
そして、操作レバー50の周部からレバー収容部12の周壁14側に突出する前記残りの第2の係合部52と第3の係合部53が、レバー収容部12の周壁14に形成された前記残りの第2の係合溝17と第3の係合溝18に各別に挿入係合することで、レバー軸芯方向におけるレバー収容部12からの操作レバー50の抜け落ちを防止することができる。
また、操作レバー50の周部からレバー収容部12の底壁13側に突出する前記第1の係合部51が、レバー収容部12の底壁13に形成された前記第1の係合溝16に挿入係合しているから、レバー収容部12に対する操作レバー50の径方向の移動を阻止することができて、操作レバー50のガタツキを防止することができる。
【0065】
さらに、操作レバー50の第1の係合部51の係合突起51Aがレバー収容部12の底壁13の裏面に当接係合するから、レバー収容部12に対して操作レバー50がレバー収容部12からリッド10の意匠面の外方側に抜け出ることを防止することができる。
【0066】
操作レバー50の第1の係合部51の突出端部に操作レバー50の表側に向かって突出する第1リブR1が形成され、残りの第2の係合部52と第3の係合部53に操作レバー50の表側に向かって突出する第2リブR2が形成され、第1リブR1がレバー収容部12の底壁13の裏面に当接し、各第2リブR2が第2の係合溝17の溝面と第3の係合溝18の溝面に当接するから、次の作用効果を奏することができる。
例えば、操作レバー50の前記第1の係合部51がリッド10のレバー収容部12の第1の係合溝16に挿入係合し、前記残りの第2の係合部52と第3の係合部53が前記残りの第2の係合溝17と第3の係合溝18に各別に挿入係合しただけの構造に比べると、レバー収容部12に対する操作レバー50の圧力を大きくすることができ、操作レバー50のガタツキを抑制することができる。
【0067】
前記第1の係合部51〜第3の係合部53が操作レバー50の周方向に等間隔に位置しているから、第1の係合部51〜第3の係合部53を操作レバー50の周部にバランスよく配置することができる。また、操作レバー50をレバー収容部12に組み付ける場合、第2の係合部52と第3の係合部53を第2の係合溝17と第3の係合溝18に各別に挿入係合させた後、第1の係合部51を第1の係合溝16に挿入係合させる手段を採用することができ、操作レバー50をレバー収容部12に円滑に組み付けることができる。
【0068】
前記操作レバー50が操作レバー50のレバー軸芯O周りに回転すると、操作レバー50の裏面に突設されたカムピン55が、係合部材30の第2プレート部32に形成されたカム溝39内を移動して係合部材30を押圧し、この係合部材30を被係合部側に向かって出退させる。
上記の構成によれば、係合部材30の第1プレート部31の両側部が一対の第1爪部20に各別に支持され、第2プレート部32の両側部が一対の第2爪部21に各別に支持され、第3プレート部33の両側部が一対の第3爪部22に各別に支持されるから、係合部材30を第1爪部20〜第3爪部22で安定支持することができ、係合部材30を被係合部に向かって確実に出退させることができる。
そして、第1爪部20と第2爪部21はレバー収容部12の外側の前記リッド10の裏面から突出し、第3爪部22はレバー収容部12の底壁13の裏面から突出しているから、操作レバー50と係合部材30をリッド10の肉厚方向(リッド10の表裏方向)で重ね合わせることができ、操作レバー50と係合部材30をコンパクトに纏めることができて構造を簡素化することができる。
また、ロック状態から係合部材30がロック解除側に勝手に移動(被接合部9とは反対側に引退)しようとすると、係合部材30のカム溝39に操作レバー50のカムピン55が当たって移動を阻止されるように、前記ピン挿通孔19が形成されるとともに、前記カムピン55が配置されている。これにより、カムピン55は係合部材30の引退方向には勝手に移動できず、操作レバー50が操作されていないのに係合部材30が引退してロック解除されることを防止することができる。
【0069】
[別実施形態]
前記操作レバー50の係合部の数や係合溝の数は3個以外であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 内装材(クォータトリム)
5 内装材の開口(クォータトリムの開口)
5S 内装材の開口の周縁部
9 内装材側の被係合部
10 リッド
10M リッド面(リッドの意匠面)
12 レバー収容部
13 底壁(レバー収容部の底壁)
14 周壁(レバー収容部の周壁)
16 複数の係合溝のうちの1個の係合溝(第1の係合溝)
17 残りの係合溝(第2の係合溝)
18 残りの係合溝(第3の係合溝)
19 ピン挿通部(ピン挿通孔)
20 第1爪部
21 第2爪部
22 第3爪部
23 支持爪
30 係合部材
31 第1プレート部
32 第2プレート部
33 第3プレート部
34 係合部材の係合部
35 係合部材の係合部
38 干渉回避空間部
39 カム溝
50 操作レバー
51 複数の係合部のうち1個の係合部(第1の係合部)
51A 係合突起
52 残りの係合部(第2の係合部)
53 残りの係合部(第3の係合部)
55 カムピン
59 カム機構
O レバー軸芯
R1 第1リブ
R2 第2リブ
R3 第3リブ
R4 第4リブ
R5 第5リブ
R6 第6リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装材の開口を覆うリッドに、前記内装材の開口の周縁部に向かって出退する係合部材と、前記係合部材を出退操作する操作レバーとが設けられ、
前記係合部材の係合部が前記内装材側の被係合部に係合したロック状態と係合解除したロック解除状態とに前記操作レバーにより切り換えられるリッドのロック構造であって、
前記係合部材は、前記リッドに形成された支持爪に摺動自在に支持され、
前記リッドにレバー収容部が形成され、
前記操作レバーは、レバー軸芯がリッド面と直交又はほぼ直交するように前記レバー収容部に収容され、
前記操作レバーが前記レバー軸芯周りに回転するに伴って、前記係合部材が前記内装材の開口の周縁部側に出退するよう構成され、
前記操作レバーの周部に複数の係合部が分散配設され、
前記操作レバーの複数の係合部が各別に挿入係合されて摺動する複数の係合溝が前記レバー収容部に形成されているリッドのロック構造。
【請求項2】
前記レバー軸芯に沿う方向で、前記操作レバーの複数の係合部が互いに位置ずれするとともに前記複数の係合溝が各係合部に対応するように互いに位置ずれしている請求項1記載のリッドのロック構造。
【請求項3】
前記操作レバーは円板状に形成され、
前記レバー収容部は前記リッドの裏側に凹む円形の凹部状に形成され、
前記操作レバーの複数の係合部のうち1個の係合部は前記操作レバーの周部から前記レバー収容部の底壁側に突出し、残りの係合部は前記操作レバーの周部から前記レバー収容部の周壁側に突出し、
前記複数の係合溝のうちの1個の係合溝は前記レバー収容部の底壁に形成され、残りの係合溝は前記レバー収容部の周壁に形成されて、
前記1個の係合部が前記1個の係合溝に挿入係合し、
前記残りの係合部が前記残りの係合溝に挿入係合している請求項2記載のリッドのロック構造。
【請求項4】
前記操作レバーの1個の係合部は突出端部に係合突起を備えた爪状に形成され、
前記操作レバーの1個の係合部が前記1個の係合溝に挿通されて、前記係合突起が前記レバー収容部の底壁の裏面に当接係合する請求項3記載のリッドのロック構造。
【請求項5】
前記1個の係合部の係合突起に前記操作レバーの表側に向かって突出する第1リブが形成され、
前記残りの係合部に前記操作レバーの表側に向かって突出する第2リブが形成され、
前記第1リブが前記レバー収容部の底壁の裏面に当接し、
前記第2リブが前記残りの係合溝の溝面に当接する請求項4記載のリッドのロック構造。
【請求項6】
前記操作レバーのロック解除側のストローク端の近傍で、前記1個の係合部の第1リブが、前記1個の係合溝の周方向の一端部に設けられた第3リブを乗り越えるとともに、前記残りの係合部の第2リブが、前記残りの係合溝の周方向の一端部に設けられた第3リブを乗り越え、
前記操作レバーのロック側のストローク端の近傍で、前記1個の係合部の第1リブが、前記1個の係合溝の周方向の他端部に設けられた第4リブを乗り越えるとともに、前記残りの係合部の第2リブが、前記残りの係合溝の周方向の他端部に設けられた第4リブを乗り越える請求項5に記載のリッドのロック構造。
【請求項7】
前記操作レバーの係合部の数は3個、前記係合溝の数は3個であり、
前記3個の係合部が前記操作レバーの周方向に等間隔に位置している請求項3〜6のいずれか一つに記載のリッドのロック構造。
【請求項8】
前記被係合部は前記開口の周縁部に前記周縁部の周方向に間隔を空けて一対設けられ、
前記係合部材は、一端部が前記被係合部を臨む一対の第1プレート部と、前記第1プレート部の前記被係合部とは反対側の端部同士を連結する第2プレート部と、前記第2プレート部の長手方向中間部から前記被係合部とは反対側に突出する第3プレート部とから構成されて、前記第1プレート部の一端部に前記係合部材の係合部が形成され、
前記支持爪は、前記第1プレート部の両側部を各別に支持する一対の第1爪部と、前記第2プレート部の両側部を各別に支持する一対の第2爪部と、前記第3プレート部の両側部を各別に支持する一対の第3爪部とから成り、
前記第1爪部と第2爪部は前記レバー収容部の外側の前記リッドの裏面から突出し、
前記第3爪部は前記レバー収容部の底壁の裏面から突出し、
前記操作レバーの前記レバー軸芯周りの回転に伴って、前記係合部材を前記被係合部に向かって出退させるカム機構が設けられ、
前記カム機構は、前記操作レバーの裏面に突設されたカムピンと、
前記レバー収容部の底壁に形成され、前記カムピンが挿通されて前記操作レバーの前記レバー軸芯周りの回転を許すピン挿通部と、
前記第2プレート部に形成され、前記カムピンが挿入するカム溝とから成る請求項3〜7のいずれか一つに記載のリッドのロック構造。
【請求項9】
ロック解除側のストローク端に位置した前記第3プレート部の端部を受け止める第5リブと、ロック解除側のストローク端に位置した前記操作レバーの残りの係合部を受け止める第6リブとが前記リッドに設けられている請求項8記載のリッドのロック構造。
【請求項10】
前記ピン挿通部は前記操作レバーと同芯の4分の1円弧の長孔状に形成され、
前記カムピンが前記ピン挿通部の周方向一端部の内面に当接して前記ロック状態に設定され、前記カムピンが前記ピン挿通部の周方向他端部の内面に当接して前記ロック解除状態に設定される請求項8又は9記載のリッドのロック構造。
【請求項11】
前記操作レバーの1個の係合部との干渉を回避する干渉回避空間部が前記第2プレート部に形成されている請求項3〜10のいずれか一つに記載のリッドのロック構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−250603(P2012−250603A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124010(P2011−124010)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】