説明

リテーナコッタ組合せ装置

【課題】コッタとリテーナとが組み合わされたか否かの確認作業が不要であり、サイズ及び製造コストを抑えたリテーナコッタ組合せ装置を提供する。
【解決手段】貫通孔2aを有するリテーナ2と、貫通孔2aに合った形状を成す一対のコッタ3・3と、を組み合わせるリテーナコッタ組合せ装置1であって、リテーナ2及びコッタ3・3を載置する固定盤10と、保持部21が形成され、リテーナ2を搬送する回転盤20と、所定の位置における保持部21にリテーナ2を大径側の表面を下にした状態で供給するリテーナフィーダ30と、リテーナ2の供給位置における保持部21の下方にコッタ3・3を大径側の表面を下にした状態で供給するコッタフィーダ40と、コッタ3・3を持ち上げて貫通孔2aに下方から挿入させるコッタリフタ50と、リテーナ2の供給位置よりも下流側の位置における保持部21にて、組合せ体を上下反転させる反転装置60と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン部品であるリテーナ及びコッタを互いに組み合わせるリテーナコッタ組合せ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エンジンに設けられるバルブには、テーパ状の貫通孔を有する略円板状のリテーナと、互いに組み合わせることでリテーナの貫通孔の形状に合った中空の円錐台となる一対のコッタとが取り付けられる。一対のコッタは、リテーナの貫通孔に挿入された状態でバルブに固定される。
【0003】
従来、リテーナ及びコッタをバルブに取り付ける前に、リテーナの貫通孔に一対のコッタを同時に挿入するリテーナコッタ組合せ装置を用いて、リテーナとコッタとを組み合わせる工程が行われている。
例えば、特許文献1には、リテーナの上方において離間して設けられる2つのコッタ用パーツフィーダからそれぞれ一対のコッタの片方ずつをコッタ供給シュートを通して互いに接近させつつ自重落下させ、当該一対のコッタを同時にリテーナの貫通孔に挿入するリテーナコッタ組合せ装置が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のリテーナコッタ組合せ装置においては、コッタとリテーナとの組み合わせがコッタの自重落下により実現されているため、コッタ用パーツフィーダを高い位置に設置する必要があり、結果として装置が大きくなるという問題が生じる。
更に、落下する双方のコッタの条件(ストック数、摩擦、付着した汚れ等)の違いによって、落下のタイミングのズレ等が生じるため、確実に一対のコッタがリテーナの貫通孔に挿入したか否かを確認する必要があり、結果としてエンジンの製造工程における工数の増加を招き、エンジンの製造コストが高くなるという問題が生じる。
また、リテーナコッタ組合せ装置の上部に設けられたコッタ用パーツフィーダからコッタを滑らかにリテーナへ導くため、コッタ供給シュートを複雑な形状とする必要があり、結果として装置の製造コストが高くなるという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−188335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、コッタとリテーナとが組み合わされたか否かの確認作業が不要であり、サイズ及び製造コストを抑えたリテーナコッタ組合せ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のリテーナコッタ組合せ装置は、段付きの円板状の外形を有し、軸心に沿って大径側の表面から小径側の表面に向けて縮径するテーパ状の貫通孔が形成されるリテーナと、互いに組み合わせることで前記リテーナの貫通孔の形状に合う中空の円錐台形状を成す一対のコッタと、を組み合わせ、前記リテーナの貫通孔に前記一対のコッタが挿入された状態の組合せ体を作製するリテーナコッタ組合せ装置であって、前記リテーナ及び前記一対のコッタを載置する固定盤と、前記リテーナを保持する保持部が形成され、回転することで前記保持部に保持された前記リテーナを周方向に沿って搬送する回転盤と、所定の位置における前記回転盤の保持部に前記リテーナを大径側の表面を下にした状態で供給するリテーナフィーダと、前記リテーナの供給位置における保持部の下方に前記一対のコッタを円錐台の形状を成して大径側の表面を下にした状態で供給するコッタフィーダと、前記コッタフィーダの終端まで搬送された前記一対のコッタを持ち上げて、前記リテーナの供給位置における保持部に保持された前記リテーナの貫通孔に下方から挿入させ、前記組合せ体を作製するコッタリフタと、前記リテーナの供給位置よりも下流側の位置における保持部にて、前記組合せ体を前記リテーナの大径側の表面が上になるように反転させる反転装置と、を具備する。
【0008】
本発明のリテーナコッタ組合せ装置において、前記反転装置は、前記組合せ体を上下から挟持する一対の挟持爪と、前記一対の挟持爪を上下に貫通する孔に、前記一対の挟持爪から前記組合せ体側に突出した状態で設置され、前記リテーナの貫通孔に上下から嵌め込むことで、前記組合せ体を保持する一対の保持球と、前記一対の挟持爪における前記組合せ体と反対側の面にて前記一対の保持球を覆うように設けられ、前記一対の保持球を組合せ体側に向けて付勢する一対の板バネと、前記一対の挟持爪、前記一対の保持球、及び前記一対の板バネを上下反転させる反転アクチュエータと、を具備することが好ましい。
【0009】
本発明のリテーナコッタ組合せ装置において、前記回転盤の保持部は、互いに同一の位相差をもって複数個設けられ、前記複数の保持部に保持された前記組合せ体が同時に取り出されることが好ましい。
【0010】
本発明のリテーナコッタ組合せ装置において、前記組合せ体の搬送方向における最下流の位置における保持部にて、前記組合せ体が排出されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、設備の小型化及びコスト低減が実現できると共に、エンジンの製造工程における工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るリテーナコッタ組合せ装置を示す平面図。
【図2】リテーナフィーダを示す側面断面図。
【図3】コッタフィーダ及びコッタリフタを示す側面断面図。
【図4】コッタフィーダを示す平面図。
【図5】コッタリフタによってコッタがリテーナに挿入される様子を示す側面断面図。
【図6】反転装置を示す平面図。
【図7】図6のA−A線端面図。
【図8】図6のB−B線端面図。
【図9】組合せ体の排出の様子を示す側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図1〜図9を参照して、本発明に係るリテーナコッタ組合せ装置に用いられるリテーナコッタ組合せ装置1について説明する。
リテーナコッタ組合せ装置1は、リテーナ2と、一対のコッタ3・3とを組み合わせ、当該組み合わされた部材(以下、単に「組合せ体」と記す)を搬送する装置である。
リテーナ2は、段付きの円板状の外形を有しており、軸心に沿って大径側の表面から小径側の表面に向けて縮径するテーパ状の貫通孔2aが形成されている。
コッタ3・3は、互いに組み合わせることで、リテーナ2の貫通孔2aの形状に合った中空の円錐台形状を成し、リテーナ2の貫通孔2aに挿入可能となっている。つまり、コッタ3・3は、互いに同形状であって、それぞれ半円筒状に形成されている。コッタ3・3は、リテーナ2の貫通孔2aに挿入された状態では、リテーナ2との間に若干の隙間があるものの、円錐台の形状が崩れることはない。
【0014】
図1に示すように、リテーナコッタ組合せ装置1は、固定盤10と、回転盤20とを具備する。
なお、図1は、リテーナコッタ組合せ装置1の平面図であり、紙面手前側を上側、紙面奥側を下側と規定する。
【0015】
固定盤10は、リテーナ2及びコッタ3・3を載置する円盤であり、所定位置に固定されている。
【0016】
回転盤20は、固定盤10に載置されたリテーナ2を搬送するための円盤であり、所定の駆動装置(不図示)によって軸心回りを所定の方向(本実施形態においては、図1における矢印R方向)に回転可能となっている。回転盤20の外周部には、複数の保持部21・21・・・が形成されている。
保持部21は、リテーナ2を保持するための切り欠きであり、回転盤20の外縁から径方向内側に向けて形成されている。保持部21は、回転盤20の外周部に複数個(本実施形態においては、8個)形成されており、互いに同一の位相差をもって配置されている。保持部21は、回転盤20の径方向外側からリテーナ2を挿入可能な形状であって、保持部21の奥行き寸法(回転盤20における径方向の長さ)及び幅寸法(回転盤20における周方向の長さ)がリテーナ2の外径と同程度に設定されている。
【0017】
以上のような構成のリテーナコッタ組合せ装置1において、リテーナ2が固定盤10に載置されると共に回転盤20の保持部21に保持された状態で、回転盤20が回転することで、リテーナ2(正確には、組合せ体)が回転盤20の周方向に沿って搬送されることとなる。
詳細には、リテーナコッタ組合せ装置1においては、回転盤20が前記駆動装置によって保持部21の数に応じた角度(360度を保持部21の数で割った角度であって、本実施形態においては、45度)ずつ間欠駆動され、複数の保持部21・21・・・が一定の位置で一時的に回転盤20が停止するように、断続的にリテーナ2(正確には、組合せ体)が搬送される。
【0018】
リテーナコッタ組合せ装置1は、回転盤20における保持部21の位置に応じて、所定の作業を行う。
本実施形態においては、回転盤20の右端部(図1における右端部であって、以下、単に「右位置」と記す)に位置する保持部21、回転盤20の下端部(図1における下端部であって、以下、単に「下位置」と記す)に位置する保持部21、回転盤20の左下端部(図1における左下端部であって、以下、単に「左下位置」と記す)に位置する保持部21、回転盤20の左上端部(図1における左上端部であって、以下、単に「左上位置」と記す)に位置する保持部21、回転盤20の上端部(図1における上端部であって、以下、単に「上位置」と記す)に位置する保持部21、及び回転盤20の右上端部(図1における右上端部であって、以下、単に「右上位置」と記す)に位置する保持部21にて所定の作業が行われる。
【0019】
第一に、右位置の保持部21において行われる作業について説明する。
リテーナコッタ組合せ装置1は、リテーナフィーダ30、コッタフィーダ40、及びコッタリフタ50を具備する。
【0020】
図1及び図2に示すように、リテーナフィーダ30は、リテーナ2を右位置の保持部21に供給する直進フィーダである。リテーナフィーダ30は、樋状に形成されており、その内部をリテーナ2が大径側の表面を下にした状態で搬送される。リテーナフィーダ30は、右位置の保持部21の近傍から回転盤20の径方向外側に向けて延出され、延出端部に接続されたリテーナ用パーツフィーダ(不図示)に蓄えられている多量のリテーナ2を1つずつ連続して右位置の保持部21に供給する。
リテーナフィーダ30において、リテーナ2が搬送される際には、リテーナ2が大径側の表面を下にした状態となっている。これにより、リテーナ2の搬送姿勢が安定し、搬送の信頼性を向上させることができる。
【0021】
図1及び図3に示すように、コッタフィーダ40は、一対のコッタ3・3を右位置の保持部21の下方に供給する直進フィーダであり、リテーナフィーダ30よりも下方に配置されている。コッタフィーダ40は、樋状に形成されており、その内部を一対のコッタ3・3が円錐台の形状を成して大径側の表面を下にした状態で搬送される。コッタフィーダ40は、右位置の保持部21の下方から回転盤20の外方に向けて延出され、延出端部に接続されたコッタ用パーツフィーダ(不図示)からコッタ3・3を一対ずつ連続して、右位置の保持部21に保持されたリテーナ2と同心となる位置に供給する。
コッタフィーダ40において、一対のコッタ3・3が搬送される際には、コッタ3・3が円錐台の形状を成して大径側の表面を下にした状態となっている。これにより、コッタ3・3の搬送姿勢が安定し、搬送の信頼性を向上させることができる。
【0022】
図4に示すように、コッタフィーダ40の内部には、一対のコッタ3・3の搬送方向に沿って仕切板41が設けられている。
仕切板41は、コッタフィーダ40を搬送される一対のコッタ3・3を隔てる板材である。仕切板41は、円錐台の形状を成した状態でコッタフィーダ40内部を搬送されるコッタ3・3の間に介在するように設けられ、コッタフィーダ40の延出両端部に亘って連続的に配置されている。つまり、仕切板41は、コッタフィーダ40内部の空間を短手方向における中央位置で長手方向に沿って分割する。
コッタフィーダ40に前記コッタ用パーツフィーダから一対のコッタ3・3が供給される際、コッタフィーダ40における仕切板41によって分割された空間それぞれに一対のコッタ3・3の内の片方が供給される。こうして、一対のコッタ3・3が姿勢の乱れなく、互いに対向して円錐台の形状を成した状態で搬送されることとなる。
【0023】
図2及び図3に示すように、コッタリフタ50は、一対のコッタ3・3を持ち上げて、リテーナ2の貫通孔2aに挿入する部材である。コッタリフタ50は、コッタフィーダ40の終端まで搬送されたコッタ3・3の下方において、コッタフィーダ40を上下に貫通するリフタ設置孔42に挿入するように設けられており、右位置の保持部21に保持されたリテーナ2、及びコッタフィーダ40の終端まで搬送されたコッタ3・3と同心となる位置に配置されている。コッタリフタ50は、エアシリンダ又は油圧シリンダ等のアクチュエータであるリフタ駆動装置51(図1参照)によって上下に移動可能となっており、コッタリフタ50の最下点(初期位置)においては、コッタ3・3がコッタリフタ50の上面へと搬送されるようにコッタリフタ50の上面とコッタフィーダ40内部の下面(搬送面)とが一致する。また、コッタリフタ50の最上点においては、コッタリフタ50の上面と固定盤10の上面とが一致する。
なお、コッタリフタ50の上昇が妨げられないように、固定盤10には、固定盤10を上下に貫通するリフタ貫通孔11がコッタリフタ50の位置に合わせて設けられている。
また、コッタリフタ50の上昇が妨げられないように、コッタリフタ50には、コッタフィーダ40の仕切板41の形状に沿った切込みが形成されている。
【0024】
図5に示すように、コッタリフタ50は、コッタフィーダ40の終端まで搬送されたコッタ3・3を乗せた状態で最上点まで上昇し、右位置の保持部21に保持されたリテーナ2の貫通孔2aにコッタ3・3を挿入することで、リテーナ2とコッタ3・3とを組み合わせる。
この時、所定のセンサ(不図示)によりコッタリフタ50に一対のコッタ3・3が設置されたか否かを判定し、コッタリフタ50に一対のコッタ3・3が設置されていれば、コッタリフタ50が上昇を開始する。コッタリフタ50によって持ち上げられた一対のコッタ3・3は、それらの自重を利用する従来のリテーナコッタ組合せ装置とは異なり、確実にリテーナ2の貫通孔2aに挿入されることとなる。前述のように、コッタ3・3がリテーナ2の貫通孔2aに挿入された状態では、コッタ3・3の姿勢が崩れることはない。したがって、リテーナ2とコッタ3・3とが組み合わされたか否かの確認作業が不要となり、リテーナコッタ組合せ装置1の作業速度を向上させることが可能となって、ひいてはエンジンの製造工程に要する時間を短縮することができる。
【0025】
その後、回転盤20が回転することで、リテーナ2とコッタ3・3とを組み合わせた組合せ体が下位置の保持部21へと搬送される。
【0026】
第二に、下位置の保持部21において行われる作業について説明する。
図1に示すように、リテーナコッタ組合せ装置1は、反転装置60を具備する。
反転装置60は、組合せ体をリテーナ2の大径側の表面が上になるように反転させる装置である。
【0027】
図6、図7、及び図8に示すように、反転装置60は、挟持爪61・61、保持球62・62、板バネ63・63、ブラケット64、及び反転アクチュエータ65を具備する。
【0028】
挟持爪61・61は、下位置の保持部21に保持された組合せ体を上下から挟持する一対の板材である。挟持爪61・61は、上下方向から回転盤20を見た場合に、下位置の保持部21を覆うように設けられ、回転盤20の径方向外側に向けて延出されている。挟持爪61・61は、回転盤20の回転に伴って組合せ体が搬送される際に組合せ体と接触しないように、下側の挟持爪61の上面が固定盤10の上面と一致し、上側の挟持爪61の下面が組合せ体よりも若干高い位置となるように配置されている。
【0029】
挟持爪61には、下位置の保持部21に保持された組合せ体におけるリテーナ2の貫通孔2aと位置を合わせて、保持球62を設置する保持球設置孔61aが設けられている。
保持球設置孔61aは、挟持爪61を上下に貫通する円形の孔であり、保持球62と同程度の径を有する。保持球設置孔61aは、保持球62が挟持爪61から組合せ体側に若干突出した状態で設置されるように、下位置の保持部21に保持された組合せ体側の面において縮径している。
【0030】
保持球62・62は、挟持爪61・61に挟持された組合せ体を保持する一対の球体である。保持球62・62は、挟持爪61・61の保持球設置孔61a・61aにそれぞれ設けられており、組合せ体におけるリテーナ2の貫通孔2aにおいて互いに最も離間した位置に配置される(図7参照)。
保持球62・62は、挟持爪61・61の保持球設置孔61a・61aから脱離しないように、それぞれ板バネ63・63によって組合せ体側に向けて付勢される。
【0031】
板バネ63・63は、保持球62・62を組合せ体側に向けて付勢する板状の弾性部材である。板バネ63・63は、挟持爪61・61における組合せ体と反対側の面において保持球62・62を覆うように設けられ、回転盤20の径方向外側に向けて延出されている。板バネ63・63の延出端部は、挟持爪61・61に固定されている。
こうして、板バネ63・63によって組合せ体側に付勢された保持球62・62における挟持爪61・61から突出した部分が組合せ体におけるリテーナ2の貫通孔2aに上下から嵌め込まれることで組合せ体がずれることなく保持されることとなる。
このような構成により、回転盤20の回転に伴って組合せ体が搬送される際においては、組合せ体が板バネ63・63の付勢力に抗して球状の保持球62・62を挟持爪61・61から突出しない程度まで押し出すため、保持球62・62が回転盤20の回転を妨げることなく組合せ体を搬送することができる。
【0032】
ブラケット64は、挟持爪61・61、及び板バネ63・63を一体的に固定する部材である。
ブラケット64は、反転アクチュエータ65に取り付けられている。
【0033】
反転アクチュエータ65は、ブラケット64を反転させるロータリアクチュエータである。
反転アクチュエータ65の回転軸65aは、挟持爪61・61の延出方向に沿って延出されており、回転軸65a回りにブラケット64を180度回転させることで挟持爪61・61に挟持された組合せ体が上下反転することとなる。
なお、固定盤10には、反転アクチュエータ65による組合せ体の反転の際、挟持爪61・61、及び板バネ63・63が固定盤10と接触しないように、固定盤10を上下に貫通する反転用孔12が下位置の保持部21の位置に合わせて設けられている。更に、固定盤10には、反転アクチュエータ65による組合せ体の反転の際に組合せ体が保持球62・62から脱離した場合、組合せ体の落下を防ぐために、反転用孔12の下部を塞ぐように落下防止ガイド13が設けられている(図7参照)。
【0034】
以上のような、構成の反転装置60において、回転盤20の回転に伴って組合せ体が反転装置60に供給される際には、組合せ体が板バネ63・63の付勢力に抗して球状の保持球62・62を挟持爪61・61から突出しない程度まで押し出しつつ搬送される。そして、組合せ体におけるリテーナ2の貫通孔2aの範囲内に保持球62・62が位置するまで組合せ体が搬送されると、板バネ63・63の付勢力によって保持球62・62が組合せ体側に押し出され、保持球62・62における挟持爪61・61から突出した部分が組合せ体におけるリテーナ2の貫通孔2aに上下から嵌め込まれる。
こうして、組合せ体が挟持爪61・61に挟持され、かつ保持球62・62に保持された状態で、反転アクチュエータ65によって180度反転される。
その後、回転盤20の回転に伴って組合せ体が反転装置60から搬出される際には、組合せ体が板バネ63・63の付勢力に抗して球状の保持球62・62を挟持爪61・61から突出しない程度まで押し出す。そして、組合せ体と保持球62・62とが接触しない位置まで組合せ体が搬送されると、板バネ63・63の付勢力によって保持球62・62が組合せ体側に押し出され、再び保持球62・62が挟持爪61・61から若干突出した状態となる。
反転装置60から搬出された組合せ体は、左下位置の保持部21へと搬送される。
【0035】
第三に、左下位置の保持部21において行われる作業について説明する。
図1に示すように、リテーナコッタ組合せ装置1は、取出アクチュエータ70、及び取出シュート80を具備する。
【0036】
取出アクチュエータ70は、左下位置の保持部21に保持された組合せ体を取り出すためのエアシリンダ又は油圧シリンダ等のアクチュエータである。取出アクチュエータ70は、左下位置の保持部21に保持された組合せ体を回転盤20の径方向外側に向けて掻き出すようにして左下位置の保持部21から取り出し、取出シュート80へと供給する。
なお、リテーナコッタ組合せ装置1の通常作業時には、取出アクチュエータ70が作動しないように設定されており、後述の左上位置の保持部21、及び上位置の保持部21において、通常の作業が行われない場合(後工程において手作業で組合せ体をバルブに組み付ける場合等)に作動する。
【0037】
取出シュート80は、取出アクチュエータ70によって左下位置の保持部21から取り出された組合せ体を所定の位置へ落下させつつ搬送する通路である。取出シュート80は、組合せ体が通過できる程度の大きさの内部空間を有する筒状の部材であり、左下位置の保持部21近傍から回転盤20の径方向外側かつ下方に向けて延出されている。取出シュート80の内部空間は、組合せ体が通過する際に、リテーナ2からコッタ3・3が脱離しないように、高さ(上下方向の長さ)がリテーナ2の高さと同程度に設定され、幅(組合せ体の通過方向に対して水平に直交する方向の長さ)がリテーナ2の外径と同程度に設定されている。
【0038】
前述のように、リテーナコッタ組合せ装置1の通常作業時には、取出アクチュエータ70が作動しないため、組合せ体が取出シュート80へと供給されず、左上位置の保持部21、そして上位置の保持部21へと搬送される。
【0039】
第四に、左上位置の保持部21、及び上位置の保持部21において行われる作業について説明する。
【0040】
左上位置の保持部21に保持された組合せ体、及び上位置の保持部21に保持された組合せ体は、後工程において組合せ体をバルブに組み付ける組付装置(不図示)によって左上位置の保持部21、及び上位置の保持部21から持ち上げるように同時に取り出される。左上位置の保持部21、及び上位置の保持部21から前記組付装置によって同時に取り出された2つの組合せ体は、後工程において前記組付装置によって同時に2つのバルブに組み付けられる。
このように、前記組付装置によって組合せ体が取り出される保持部21を回転盤20に複数(本実施形態においては、2つ)設けることで、一回の作業で複数個(本実施形態においては、2個)の組合せ体を後工程においてバルブに組み付けることができる。したがって、リテーナコッタ組合せ装置1の作業速度を向上させることが可能となり、ひいてはエンジンの製造工程に要する時間を短縮することができる。
なお、前記組付装置によって同時に取り出される組合せ体の数は限定するものではなく、適宜設定され、当該組合せ体の数に合わせて保持部21の数を設定すればよい。
【0041】
第五に、右上位置の保持部21において行われる作業について説明する。
図1に示すように、リテーナコッタ組合せ装置1は、回収ボックス90を具備する。
【0042】
図9に示すように、回収ボックス90は、回転盤20の保持部21に取り残された組合せ体を回収するための上方が開放された箱体である。回収ボックス90は、右上位置の保持部21の下方に設けられており、右上位置の保持部21に保持された組合せ体が固定盤10に設けられた排出孔14を通って回収ボックス90に落下する。
排出孔14は、固定盤10の外縁から径方向内側に向けて形成された切り欠きであり、右上位置の保持部21の位置に合わせて配置されている。
【0043】
リテーナコッタ組合せ装置1の通常作業時には、左上位置の保持部21、及び上位置の保持部21において組合せ体が取り出されるため、組合せ体が回収ボックス90に回収されることはない。しかし、リテーナコッタ組合せ装置1が緊急停止した後の再起動時等に組合せ体が保持部21に取り残されたままになっていると、右位置の保持部21において新たなリテーナ2が供給されるため、リテーナコッタ組合せ装置1に異常が生じるおそれがある。そのため、右上位置の保持部21に保持された組合せ体が固定盤10に設けられた排出孔14を通って回収ボックス90に落下して排出されることで、不測に事態においてもリテーナコッタ組合せ装置1が安定して作業を継続することができる。
なお、保持部21に取り残された組合せ体を排出する方法は、限定するものではなく、取出アクチュエータ70のような装置を用いて組合せ体を排出してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 リテーナコッタ組合せ装置
2 リテーナ
3 コッタ
10 固定盤
20 回転盤
21 保持部
30 リテーナフィーダ
40 コッタフィーダ
41 仕切板
50 コッタリフタ
60 反転装置
61 挟持爪
62 保持球
63 板バネ
64 ブラケット
65 反転アクチュエータ
70 取出アクチュエータ
80 取出シュート
90 回収ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段付きの円板状の外形を有し、軸心に沿って大径側の表面から小径側の表面に向けて縮径するテーパ状の貫通孔が形成されるリテーナと、互いに組み合わせることで前記リテーナの貫通孔の形状に合う中空の円錐台形状を成す一対のコッタと、を組み合わせ、
前記リテーナの貫通孔に前記一対のコッタが挿入された状態の組合せ体を作製するリテーナコッタ組合せ装置であって、
前記リテーナ及び前記一対のコッタを載置する固定盤と、
前記リテーナを保持する保持部が形成され、回転することで前記保持部に保持された前記リテーナを周方向に沿って搬送する回転盤と、
所定の位置における前記回転盤の保持部に前記リテーナを大径側の表面を下にした状態で供給するリテーナフィーダと、
前記リテーナの供給位置における保持部の下方に前記一対のコッタを円錐台の形状を成して大径側の表面を下にした状態で供給するコッタフィーダと、
前記コッタフィーダの終端まで搬送された前記一対のコッタを持ち上げて、前記リテーナの供給位置における保持部に保持された前記リテーナの貫通孔に下方から挿入させ、前記組合せ体を作製するコッタリフタと、
前記リテーナの供給位置よりも下流側の位置における保持部にて、前記組合せ体を前記リテーナの大径側の表面が上になるように反転させる反転装置と、を具備するリテーナコッタ組合せ装置。
【請求項2】
前記反転装置は、
前記組合せ体を上下から挟持する一対の挟持爪と、
前記一対の挟持爪を上下に貫通する孔に、前記一対の挟持爪から前記組合せ体側に突出した状態で設置され、前記リテーナの貫通孔に上下から嵌め込むことで、前記組合せ体を保持する一対の保持球と、
前記一対の挟持爪における前記組合せ体と反対側の面にて前記一対の保持球を覆うように設けられ、前記一対の保持球を組合せ体側に向けて付勢する一対の板バネと、
前記一対の挟持爪、前記一対の保持球、及び前記一対の板バネを上下反転させる反転アクチュエータと、を具備する請求項1に記載のリテーナコッタ組合せ装置。
【請求項3】
前記回転盤の保持部は、互いに同一の位相差をもって複数個設けられ、
前記複数の保持部に保持された前記組合せ体が同時に取り出される請求項1又は請求項2に記載のリテーナコッタ組合せ装置。
【請求項4】
前記組合せ体の搬送方向における最下流の位置における保持部にて、前記組合せ体が排出される請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のリテーナコッタ組合せ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−72662(P2012−72662A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215850(P2010−215850)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】