説明

リニアガイド用潤滑剤供給機構、それを備えたリニアガイド及びリニアガイド用潤滑剤供給方法

【課題】案内レールとベアリングとの相対移動が短い距離(ストローク)の中で行われる場合や水平以外の取付け姿勢の場合であっても、転動体と転動路の必要な箇所に十分な潤滑剤を供給することができるリニアガイド用潤滑剤供給機構、それを備えたリニアガイド及びリニアガイドへ潤滑剤を供給する方法を提供する。
【解決手段】案内レールを跨いで遊嵌されたベアリング内に潤滑剤を注入するための注入口と、該注入口に連通し前記潤滑剤を吐出する吐出口16と、を備えるリニアガイド用潤滑剤供給機構において、前記吐出口16が、前記ベアリングを構成するベアリング本体14の前記案内レールに面する転動溝116又はその近傍に備えてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアガイド用潤滑剤供給機構、それを備えたリニアガイド及びリニアガイド用潤滑剤供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送装置や半導体製造装置等において直線的に運動する物体を低摩擦で支持する直動案内装置として、リニアガイドが知られている。リニアガイドとしては、例えば、以下のようなものがある。すなわち、リニアガイドは、案内レールと、その案内レールを跨いで案内レールの長手方向に相対移動可能に遊嵌したベアリングとからなり、そのベアリングが、ベアリング本体と、ベアリングの移動時に先頭又は後尾となる両端部にエンドキャップとを備え、多数のボール等の転動体が、ベアリング内を循環しながら案内レールとベアリングとの間の転動路を転動することにより、案内レールとベアリングとの滑らかな相対移動を実現するものである。
【0003】
このようなリニアガイドにおいては、転動体と転動路に潤滑剤が用いられており、潤滑剤を供給する機構としては、エンドキャップに潤滑剤を供給する潤滑剤供給孔を設け、エンドキャップ内を通る転動体の転動路まで潤滑剤の給油路を連通させたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−190363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなリニアガイドにおいては、案内レールとベアリングとの相対移動が短い距離(ストローク)の中で行われる場合、エンドキャップ内を通過する転動体が限られてしまい、転動体と転動路の全体に十分な潤滑剤が供給されないことから、潤滑不具合となってしまうといった問題がある。また、供給された潤滑材は重力によって下方へ伝わり易いことから、リニアガイドを水平以外の取付け姿勢とする場合、潤滑材を吐出する給油路の末端よりも上方に位置する転動体と転動路や、給油路の末端と同程度の高さに離れて位置する転動体と転動路には潤滑材が供給されにくいといった問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、案内レールとベアリングとの相対移動が短い距離(ストローク)の中で行われる場合や水平以外の取付け姿勢の場合であっても、転動体と転動路の全体に十分な潤滑剤を供給することができるリニアガイド用潤滑剤供給機構、それを備えたリニアガイド及びニアガイド用潤滑剤供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構は、案内レールを跨いで遊嵌されたベアリング内に潤滑剤を注入するための注入口と、該注入口に連通し前記潤滑剤を吐出する吐出口と、を備えるリニアガイド用潤滑剤供給機構において、前記吐出口が、前記ベアリングを構成するベアリング本体に形成されると共に、前記案内レールに面する転動溝又はその近傍に備えてあることを特徴としている。
このリニアガイド用潤滑剤供給機構において、前記転動溝が、その中を転動する転動体と非接触の部分を有しており、前記吐出口が、前記転動体と非接触の部分に備えてあることが好ましい。
【0008】
また、このリニアガイド用潤滑剤供給機構において、前記注入口が、前記ベアリング本体に備えてあることが好ましい。
また、このリニアガイド用潤滑剤供給機構において、前記吐出口が、前記転動溝の長手方向の中央部近傍に備えてあることがさらに好ましい。
また、このリニアガイド用潤滑剤供給機構において、前記注入口が、複数備えてあることがさらに好ましい。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明のある態様に係るリニアガイドは、軸方向に延在する側部に案内レール側転動溝を設けた案内レールと、該案内レール上を移動するベアリングと、を有し、前記ベアリングは、前記案内レール側転動溝に対向する露出して形成されたベアリング側転動溝と、該ベアリング側転動溝と略平行で内部に形成された循環路とを有し、前記案内レールを跨いで一体に形成されたベアリング本体と、該ベアリング本体の前記案内レール長手方向両端部に固設され、前記ベアリング側転動溝の端部と前記循環路の端部とを連通する湾曲路が形成されたエンドキャップと、を有し、前記ベアリングが、前記案内レール側転動溝及び前記ベアリング側転動溝の間に形成した転動路内に収容された複数の転動体の転動を介して軸方向に移動可能に前記案内レールに支持されているリニアガイドにおいて、前記リニアガイド用潤滑剤供給機構を備えていることを特徴としている。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明のある態様に係るリニアガイド用潤滑剤供給方法は、案内レールを跨いで遊嵌されたベアリング内に潤滑剤を注入するための注入口と、該注入口に連通し前記潤滑剤を吐出する吐出口と、を設け、前記注入口から前記潤滑剤を注入して、前記吐出口から前記潤滑剤を吐出させるリニアガイド用潤滑剤供給方法において、前記吐出口を、前記ベアリングを構成するベアリング本体に形成すると共に、前記案内レールに面する転動溝又はその近傍に設けていることを特徴とするリニアガイド用潤滑剤供給方法を提供する。
【0011】
このリニアガイド潤滑剤供給方法において、前記転動溝に、その中を転動する転動体と非接触の部分を設け、前記吐出口を前記転動体と非接触の部分に設けることが好ましい。
また、このリニアガイド潤滑剤供給方法において、前記注入口を前記ベアリング本体に設けることが好ましい。
また、このリニアガイド潤滑剤供給方法において、前記吐出口を前記転動溝の長手方向の中央部近傍に設けることがさらに好ましい。
更に、このリニアガイド潤滑剤供給方法において、前記注入口を複数設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、案内レールとベアリングとの相対移動が短い距離(ストローク)の中で行われる場合や水平以外の取付け姿勢の場合であっても、転動体と転動路の全体に十分な潤滑剤を供給することができるリニアガイド用潤滑剤供給機構、それを備えたリニアガイド及びリニアガイドへ潤滑剤を供給する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用することが出来るリニアガイドの一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの平面図であり、(a)は本発明の第1実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの平面図、(b)は本発明の第2実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの平面図、(c)は本発明の第3実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの平面図、(d)は本発明の第4実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドを示し、(a)は図2(a)におけるA−A線に沿う断面図、(b)は(a)における転動路周辺の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドを示し、(a)は本発明の第2実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドであって、図2(b)におけるB−B線に沿う断面図、(b)は本発明の第3実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドであって、図2(c)におけるC−C線に沿う断面図、(c)は本発明の第4実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドであって、図2(d)におけるD−D線に沿う断面図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの部分断面図である。
【図6】本発明の第6実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの部分断面図である。
【図7】本発明の第7実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの部分断面図である。
【図8】参考例に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドを示し、(a)は参考例に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの平面図、(b)は(a)におけるX−X線に沿う断面図である。
【図9】ベアリングの移動量とそれに伴う転動体の移動量を示す模式図であり、(a)はベアリングの移動前の状態を示す模式図、(b)はベアリングが転動路の長さと同じ距離を移動した状態を示す模式図、(c)はベアリングが転動路の長さの2倍の距離を移動した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
最初に、添付の図1、図8及び図9を参照しながら本発明を適用することができるリニアガイドの例とリニアガイド用潤滑剤供給機構の参考例について説明する。
図1は本発明を適用することが可能なリニアガイドの例を一部切り欠いた斜視図で示している。リニアガイド1は、直線状の案内レール2と、案内レール2を跨いで案内レール2の長手方向に相対移動可能に遊嵌したベアリング3とから構成されている。案内レール2は金属製で、略四角柱状をしており、上下に貫通した案内レール取付け穴9を有し、ボール(転動体)7が転動するための断面が略円弧状の転動溝72を両側面の上部と中央部に有している。中央部に設けられた転動溝72の内部には逃げ溝17が形成されている。ベアリング3は、金属製のベアリング本体4と、ベアリングの移動時に先頭又は後尾となる両端部に着脱可能に固設された樹脂製のエンドキャップ5と、そのさらに外側にねじ止めされた樹脂製のサイドシール8と、サイドシール8からエンドキャップ5まで貫通した雌ねじ部に螺合されたグリースニップル79とから成る。ベアリング本体4は、水平板部18と、その下面から案内レール2を跨ぐように下方へ延在する一対の脚部71とから形成されている。水平板部18と脚部71の案内レール2に対向する面には、案内レール2に形成された転動溝72に対向して並行する転動溝116(図3参照)が計4本形成されている。転動溝116は、案内レール2の転動溝72とともに転動体が転動する転動路73を構成している。転動路73は、エンドキャップ5の内部に形成された円弧状の湾曲路74によってその両端部をベアリング3内部に形成された案内レール2と平行な直線状の循環路75に連結されている。転動路73、湾曲路74、及び循環路75全体で環状路6を形成している。下側の転動路73にはボールの脱落を防ぐ保持器77が設けられている。環状路6は案内レール2の両側に上下に2本ずつ、計4本設けてあり、環状路6には多数のボール7が転動可能に収容されている。エンドキャップ5には、グリースニップル79からエンドキャップ5内の湾曲路74まで潤滑剤の供給路78が形成されている。サイドシール8には、案内レール2の断面形状に対応した形状のシールリップ76が形成されている。
【0015】
環状路6に収容された多数のボール7のうち案内レール2側の転動路73に位置するボール7は、ベアリング3を支持し、案内レール2とベアリング3とが相対移動する際に転動して、案内レール2とベアリング3の滑らかな相対移動を実現している。これらのボール7は、やがてエンドキャップ5に入り、後続のボール7に押されることでエンドキャップ5内部の湾曲路74で反転してベアリング本体4内部の循環路75を通って、反対側のエンドキャップ5に入り、エンドキャップ5内部の湾曲路74によって再度反転して、案内レール2側の転動路73に戻るという循環がなされる。
このようなリニアガイド1においては、磨耗や焼付きを防止し、転動面の応力緩和による転がり疲れ寿命を延長し、錆びを防ぐ等の目的のため、ボール7と転動路73に潤滑剤を供給して油膜を形成する。潤滑剤の供給例を示すため、図8に参考例に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイド50を示している。図8(a)はリニアガイド50の平面図であり、図8(b)は、(a)におけるX−X線に沿う断面図である。
【0016】
リニアガイド50への潤滑剤の供給は、一般にエンドキャップ55に設けられたグリースニップル59からグリースガン(不図示)等によって潤滑剤を注入することにより行われる。グリースニップル59に注入された潤滑剤は、エンドキャップ55内の供給路を通ってエンドキャップ55内の湾曲路へ供給される。これにより、エンドキャップ55内の湾曲路を転動するボールに潤滑剤の油膜が形成され、そのボール57が環状路を循環することによって転動路の表面にも潤滑剤の油膜が形成される。
しかしながら、案内レール52とベアリング53との相対移動が短い距離(ストローク)の中で行われる場合、ボール(転動体)57が転動する距離も短くなり、エンドキャップ55内の潤滑剤が供給されている湾曲路とその近傍のみを往復するボール57と、潤滑剤が供給されていない転動路のみを往復するボール57とが生じることとなる。
【0017】
これについて、図9を参照しつつ説明する。図9は、ベアリング63の移動量とそれに伴うボール67の移動量を示す模式図である。図9は、案内レール62を固定した状態でその上をベアリング63が移動する様子を示している。ボール67は環状路60に収容されており、環状路60は転動路61と湾曲路64と循環路65とから形成されており、転動路61の長さをLとしている。図9(a)はベアリング63が移動していない状態を示しており、そこから図面に向かって右向きにベアリング63を転動路61の長さLと同じ距離だけ移動させた状態を図9(b)に示し、そこからさらに転動路61の長さLと同じ距離だけ移動させた状態を図9(c)に示している。
【0018】
図9(a)において、転動路61の進行方向の先頭に配置されたボール67を黒く塗りつぶしている。この黒く塗りつぶしたボール67に注目すると、ベアリング63が移動していない状態(a)から転動路61の長さLと同じ距離移動させて(b)の状態にすると、当該黒く塗りつぶしたボール67は、ベアリング63が移動するのと同じ向きに転動路61の長さLの半分の距離を移動している。これは、ベアリング63との相対的な関係では、黒く塗りつぶしたボール67はベアリング63が移動する向きとは逆向きに転動路61の長さLの半分の距離を移動していることになる。ベアリング63をさらに転動路61の長さLと同じ距離移動させて(c)の状態にすると、黒く塗りつぶしたボール67は、(a)の状態から転動路61の長さLと同じ距離を移動し、ベアリング63との相対的な関係では、(a)の状態からベアリングが移動するのと逆向きに転動路61の長さLと同じ距離を移動し、転動路61の最後尾に移動している。
【0019】
ベアリング63が転動路61の長さLの2倍の距離の中でのみ移動する場合、つまり、ベアリング63が(a)の位置と(c)の位置の間を往復する場合、黒く塗りつぶしたボール67は、その全体が潤滑剤の供給されたエンドキャップ内の湾曲路64に入ることはない。これにより、ボール67表面への油膜の形成が不十分になり易くなる。
ただし、この場合であっても、図9において、ベアリング63の右側の斜線を引いたボール67に注目すると、(a)の状態においてエンドキャップ内の潤滑剤が供給された湾曲路64に収容されていたボール67が、(c)の状態では転動路61の中央を超えて移動しており、(c)の状態から(a)の状態に移動した場合にもベアリング63の左側において同様のことが生じることから、これらのボール67によって転動路61については全体に被膜されることになる。
【0020】
しかし、仮にベアリング63が、転動路61の長さLと同じ距離の中でしか移動しない場合、つまり、ベアリング63が(a)の位置と(b)の位置の間を往復するような場合、斜線を引いたボール67は、転動路61の中央まで達しない。したがって、転動路61の中央部において潤滑剤不足となる。以上のように、ベアリング63と案内軸62の相対移動の距離(ストローク)が短くなればなるほど潤滑剤が転動路61全体に行き渡りにくくなる。
【0021】
なお、各環状路60のうちベアリング63内部に形成された循環路65は、ベアリング63に囲まれた筒状をしているため潤滑剤の喪失は少なく、また、大きな荷重がかかることもないことから、潤滑不具合にはなり難い。これに対し、案内レール62側の転動路61は、案内レール62側の転動溝とベアリング本体側の転動溝と保持器によって構成され隙間を多く有するため、潤滑剤を喪失し易く、また、ベアリングを支持するために大きな荷重がかかることから、潤滑不具合になり易い。
【0022】
(参考例)
図8に記載の参考例においては、このような潤滑不具合を防ぐため、ベアリング本体54の長手方向(図8(a)における左右方向)中央部の側面にもグリースニップル51を設けている。そして、図8(b)に示すように、グリースニップル51から案内レール2の上面に対向する位置まで潤滑剤の供給路を形成し、吐出口56を構成している。潤滑剤の供給路は、ベアリング本体54の長手方向中央部の一側面から幅方向(図8(b)における左右方向)の略中央部に至るまで水平方向に延びる第1供給路511と、第1供給路511から垂直下方に案内レール2の上面に対向する位置まで延びる第2供給512とを備え、第1供給路51の幅方向端部にグリースニップル51が螺合する雌ねじ部517を形成すると共に、第2供給路512の垂直方向下端部に吐出口56を形成している。なお、断面図においては、ボール57を破線で示し、グリースニップル51、レール52の記載は省略しているが、グリースニップル51は雌ねじ部517に螺合される。
【0023】
このような構成によれば、吐出口56から供給された潤滑剤は案内レール52の上部から重力によって案内レール52の表面を伝って転動路の中央部に到達する。しかしながら、このような案内レール52の上面のみへの潤滑剤の供給は、リニアガイド50の取り付け姿勢が、水平以外の垂直、壁掛けなどの場合には重力によって転動路の中央部へ供給する確実性に乏しい。そこで、本第1実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構は、以下のような構成としている。
【0024】
(第1実施形態)
図2(a)は、本発明の第1実施形態に係る潤滑剤供給機構を備えたリニアガイド10の平面図であり、A―A線に沿う断面図を図3(a)に示している。図3(a)においてもグリースニップル11の記載を省略しているが、グリースニップル11は雌ねじ部117に螺合される。
【0025】
また、本第1実施形態においては、注入した潤滑剤を案内レール12の上面に供給するのではなく、潤滑剤の供給路111、112及び113を転動溝116まで連通させることにより、潤滑剤を転動溝116へ直接供給する構成としている。具体的に述べると、潤滑剤の供給路は、ベアリング本体14の長手方向(図2(a)の左右方向)中央部の幅方向(図3(a)における左右方向)一側面から幅方向の他側面に至るまで水平方向に延びる第1供給路111と、第1供給路111の幅方向両側部近傍であって案内レール12を跨ぐ位置から垂直下方に延びる1対の第2供給路112と、ベアリング本体14の幅方向両側面から各第2供給路112に対して交差するように各転動溝116に至るまで斜め下方に延びる第3供給路113とを備えている。そして、第1供給路111の幅方向両端部に1対のグリースニップル11が螺合する1対の雌ねじ部117を形成すると共に、第3供給路113の出口に吐出口16を形成している。これにより、潤滑剤を転動路の中央部に確実に供給することが可能となり、また、リニアガイド10の取付け姿勢が水平以外の場合であってもボール(転動体)と転動路の全体に潤滑材を供給し易くなる。なお、本第1実施形態において、潤滑剤の注入口はグリースニップル11に限らず、グリースカップ等、潤滑剤の注入と漏出防止をすることができるものであれば良い。
【0026】
第1供給路111、第2供給路112及び第3供給路113は、ドリルを用いてベアリング本体14の外周面から孔を開けることで容易に形成することができる。供給路の径は、注入口側の第1供給路111から第2供給路112、第3供給路113と、吐出口16側へ向かうに連れて徐々に細くしている。これにより、注入された潤滑剤を溜めておき、転動溝116に必要な量を供給することができる。供給路の径は潤滑剤の粘度に応じて適宜設定することが好ましい。ベアリング本体14表面の不要な開口部、具体的に述べると第3供給路113には密封栓114で、ベアリング本体14の上面から第1供給路111に至るまでの開口部には密封栓115で栓をして密封して異物の侵入や潤滑剤の漏出を防ぐ。なお、本第1実施形態において供給路はこれに限られず、注入口から吐出口16まで連通していればどのような経路であっても、どのような形成方法であっても良い。例えば、ベアリング13の側面にグリースニップル11を設けずに第1供給路111の端部の開口部に密封栓をして、エンドキャップ15に設けたグリースニップル19から注入した潤滑剤を第1供給路111へ送るように、案内レール12の長手方向に延びる供給路を設けても良い。また、リニアガイドの用途によっては、図3(a)に示す第1供給路111の上部に上下方向に貫通した雌ねじ部を設け、そこにグリースニップル11を螺合し、第1供給路111端部の開口部に密封栓をしても良い。
【0027】
また、本第1実施形態においては、リニアガイド10への潤滑剤の供給につき、エンドキャップ15に設けられたグリースニップル19からグリースガン(不図示)等によって潤滑剤を注入することを上述の形態に加えて付加してもよい。
図3(b)に吐出口16付近の拡大図を示している。転動溝116の断面をゴシックアーク形状としており、吐出口16は、その転動溝116のうちボール(転動体)と非接触の部分に設けている。これにより、吐出口16がボール(転動体)の円滑な転動に影響しないようにしている。なお、本第1実施形態において転動溝116の断面はゴシックアーク形状に限らず、ボール(転動体)よりも曲率の小さい円弧形状でも、そのような円弧形状やゴシックアーク形状に逃げ溝を形成したものであっても良い。
【0028】
本第1実施形態に係るリニアガイド10においては、図3(a),(b)に示すように上下に2段の転動路を形成しており、下段の転動溝116には潤滑剤の吐出口16を設けていないが、下段の転動溝116には、上段の転動溝116に供給された潤滑剤がベアリング表面を伝って供給される。なお、本発明を適用するリニアガイドは、上下2段のものに限らず、1段であっても、3段以上であってもよい。また、転動体はボールでなくてもよく、例えば、ころであってもよい。
【0029】
リニアガイド10は、ベアリング本体14の長手方向の中央部側面に1対のグリースニップル11を対向して備えている点においても図8(a)に示す参考例と異なっている。これにより、いずれの側からも潤滑剤を注入することが可能となり、潤滑剤を注入し易くなるため、潤滑不具合を発生しにくくすることができる。ただし、本第1実施形態においてはこれに限らず、図8に示す参考例と同様に、ベアリング本体14の片側に1箇所だけグリースニップル11を設けても良い。
【0030】
リニアガイド10への潤滑剤の供給は、定期的にグリースガン等を使用してグリースニップル11から潤滑剤を注入することにより行う。注入箇所が多い場合にはグリースニップル11の代わりに配管継手を装着して集中配管によって1箇所から手動ポンプ等を使用して定期的に注入することもできる。注入された潤滑剤は供給路を通って吐出口から吐出され、慣らし運転をすることで潤滑剤がなじみ、転動路及び転動体に油膜が形成される。
【0031】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図2(b)及び図4(a)を参照しつつ説明する。図2(b)は、第2実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの平面図である。図4(a)は、図2(b)におけるB−B線に沿う断面図である。
本第2実施形態においては、図2(b)に示すように、ベアリング23を構成するベアリン本体24の幅方向一側面にグリースニップル21を3箇所設け、そのそれぞれに対応した供給路を設けている。各供給路は、ベアリング本体24の幅方向(図4(a)における左右方向)一側面から幅方向の他側面近傍に至るまで水平方向に延びる第1供給路211と、第1供給路211の幅方向両側部近傍であって案内レール22を跨ぐ位置から垂直下方に延びる1対の第2供給路212と、ベアリング本体24の幅方向両側面から各第2供給路212に対して交差するように各転動溝216に至るまで斜め下方に延びる第3供給路213とを備えている。そして、第1供給路211の幅方向片端部にグリースニップル21が螺合する雌ねじ部217を形成すると共に、第3供給路213の出口に吐出口26を形成している。このようなベアリング23を構成するベアリン本体24の幅方向一側面にグリースニップル21を3箇所設けることで、グリースニップルを1箇所に設けた場合と比較して、案内レール22とベアリング23とのストロークがより短い場合にも転動路全体に潤滑剤を行き渡らせることが可能となる。また、リニアガイド20の取付け姿勢が水平以外の場合であっても転動体と転動路の全体に潤滑材を供給し易くなる。
【0032】
このように、グリースニップル21をベアリング23の幅方向両側に対向して設けない場合であっても、図4(a)に示すように、案内レール22を跨いだ両側の転動路へ連通する供給路を設けることで、両側の転動路へ直接潤滑剤を供給することが可能となる。潤滑剤の供給は第1実施形態と同様にグリースガンや手動ポンプ等を用いて行う。
なお、本第2実施形態においては、リニアガイド20への潤滑剤の供給につき、エンドキャップ25に設けられたグリースニップル29からグリースガン(不図示)等によって潤滑剤を注入することを上述の形態に加えて付加してもよい。
【0033】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図2(c)及び図4(b)を参照しつつ説明する。図2(c)は、本発明の第3実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの平面図である。図4(b)は、図2(c)におけるC−C線に沿う断面図である。
本第3実施形態においては、図2(c)に示すように、グリースニップル31をベアリング33を構成するベアリング本体34の幅方向一側面に1箇所、ベアリング本体34の幅方向他側面に2箇所設け、そのそれぞれに対応した供給路を設けている。各供給路は、ベアリング本体34の幅方向(図4(b)における左右方向)一側面から幅方向の他側面近傍に至るまで水平方向に延びる第1供給路311と、第1供給路311の幅方向両側部近傍であって案内レール32を跨ぐ位置から垂直下方に延びる1対の第2供給路312と、ベアリング本体34の幅方向両側面から各第2供給路312に対して交差するように案内レール32に臨む面に至るまで斜め下方に延びる第3供給路313とを備えている。そして、第1供給路311の幅方向片端部にグリースニップル31が螺合する雌ねじ部317を形成すると共に、第3供給路313の出口に吐出口36を形成している。
【0034】
本発明においては、このようにベアリング本体34の幅方向両側に異なる数のグリースニップル等の注入口を設けても良い。このような構成においても、潤滑剤を転動路の中央部に確実に供給することが可能となり、また、リニアガイド30の取付け姿勢が水平以外の場合であっても転動体と転動路の全体に潤滑材を供給し易くなる。また、本発明においては、一部のグリースニップル等の注入口を対向する位置に配置し、それ以外のグリースニップル等の注入口を対向しない位置に配置してもよい。
【0035】
本第3実施形態においては、図4(b)に示すように、上記第1実施形態及び第2実施形態と異なり、吐出口36を転動溝316の外に設けている。このため、潤滑剤はベアリング本体34の表面を伝って転動溝316へ供給される。これによれば、吐出口36を転動溝316へ設ける場合と比較して、吐出口を設けることによるボール(転動体)の転動への影響を確実に無くすことができる。潤滑剤の供給は第1実施形態と同様にグリースガンや手動ポンプ等を用いて行う。
なお、本第3実施形態においては、リニアガイド30への潤滑剤の供給につき、エンドキャップ35に設けられたグリースニップル39からグリースガン(不図示)等によって潤滑剤を注入することを上述の形態に加えて付加してもよい。
【0036】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を図2(d)及び図4(c)を参照しつつ説明する。図2(d)は、本発明の第4実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの平面図である。図4(c)は、図2(d)におけるD−D線に沿う断面図である。
本第4実施形態においては、図2(d)に示すように、グリースニップル41をベアリング43を構成するベアリング本体44の幅方向両側面に3箇所ずつ、対向する位置に配置して、そのそれぞれに対応した供給路を設けている。各供給路は、ベアリング本体44の幅方向(図4(c)における左右方向)一側面から幅方向の他側面に至るまで水平方向に延びる第1供給路411と、第1供給路411の幅方向両側部近傍であって案内レール42を跨ぐ位置から垂直下方に延びる1対の第2供給路412と、ベアリング本体44の幅方向両側面から各第2供給路412に対して交差するように各転動溝416に至るまで斜め下方に延びる第3供給路413とを備えている。そして、第1供給路411の幅方向両端部に1対のグリースニップル41が螺合する1対の雌ねじ部417を形成すると共に、第3供給路413の出口に吐出口46を形成している。本発明においては、このようにベアリング本体44の幅方向両側に対向する複数のグリースニップル等の注入口を配置することもできる。これによれば、両側から潤滑剤の注入を行うことが可能となり、かつ、よりストロークの短い場合やリニアガイド40の取付け姿勢が水平以外の場合であってもボール(転動体)と転動路の全体に潤滑材を供給し易くなる。なお、本発明においては、ストロークとベアリング43の相対移動方向の長さに応じて、片側のグリースニップル等の注入口の数を4以上とすることも可能である。
【0037】
本第4実施形態においては、図4(c)に示すように、第3供給路413を上下に2段設け、上下2段の転動溝416それぞれに吐出口46を設けている。これにより、全ての転動溝416に潤滑剤を直接供給することが可能となる。なお、本発明においては、第3実施形態で示したように、転動溝416近傍に吐出口46を設けることができるが、そのような吐出口46を上下に複数設けることも可能である。さらに、転動溝416に潤滑剤を直接供給する吐出口と、転動溝近傍に潤滑剤を供給する吐出口を組み合わせて設けることも可能である。潤滑剤の供給は第1実施形態と同様にグリースガンや手動ポンプ等を用いて行う。
なお、本第4実施形態においては、リニアガイド40への潤滑剤の供給につき、エンドキャップ45に設けられたグリースニップル49からグリースガン(不図示)等によって潤滑剤を注入することを上述の形態に加えて付加してもよい。
【0038】
(1)(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を図5を参照しつつ説明する。図5は、本発明の第5実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの部分断面図である。
本第5実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構は、図2(a)及び図3(a),(b)に示す第1実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構と基本構成は同一であるが、第3供給路113の構成が異なっている。
【0039】
即ち、ベアリング本体14の幅方向両側面から各第2供給路112に対して交差するように各転動溝116に至るまで斜め下方に延びる第3供給路113は、ベアリング本体14の幅方向両側面から各第2供給路112に至るまで延びる内径がφD1の大径部分113aと各第2供給路112から各転動溝116に至るまで延びる内径がφD2の小径部分とを備えている。そして、ΦD1>ΦD2に設定されている。
【0040】
ここで、第3供給路113の加工に際しては、予め、ドリル等で、ベアリング本体14の幅方向両側面から各第2供給路112に到達するまで、ΦD1の大径部分113aの穴開け加工を行う。その後、吐出口16に到達するまで、ΦD2の小径部分113bの穴開け加工を行う。ベアリング本体14の幅方向両側面から各第2供給路112に到達するまで、細いドリル等で第3供給路113の穴開け加工をするよりも、太いドリル等で第3供給路113の穴開け加工をした方が、穴開け加工中、細いドリル等が折損するおそれがない。このとき、各第2供給路112から吐出口16に到達するまでの深さ、即ち小径部分113bの深さは、ベアリング本体14の幅方向両側面から各第2供給路112に到達するまで、即ち大径部分113aの深さよりも浅い方が、細いドリル等が折損するおそれはない。
【0041】
そして、第3供給路113を、ベアリング本体14の幅方向両側面から各第2供給路112に至るまで延びる内径がφD1の大径部分113aと各第2供給路112から各転動溝116に至るまで延びる内径がφD2の小径部分とを備えて構成すると、第3供給路113の内径を連続して均一な大きさとする場合と比較して、潤滑剤が吐出口16に届きやすい。
【0042】
(2)(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態を図6を参照しつつ説明する。図6は、本発明の第6実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの部分断面図である。
本第6実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構は、図2(a)及び図3(a),(b)に示す第1実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構と基本構成は同一であるが、第3供給路113の構成が異なっている。
即ち、ベアリング本体14の幅方向両側面から各第2供給路112に対して交差するように各転動溝116に至るまで斜め下方に延びる第3供給路113は、ベアリング本体14の幅方向両側面から各転動溝116に向かうにつれて内径が斬次細くなっている。
【0043】
このように、第3供給路113の内径を先にいくにつれて斬次細くすることで、先端に向けて斬次細くなっているテーパ形状を有するドリルの形状に合わせて穴開け加工をすることができる。また、先端に向けて斬次細くなっているテーパ形状のドリルは、根元が太くなっているので、折損するおそれがない。
そして、第3供給路113を、ベアリング本体14の幅方向両側面から各転動溝116に向かうにつれて内径を斬次細くすることにより、第3供給路113の内径を連続して均一な大きさとする場合と比較して、潤滑剤が吐出口16に届きやすい。
【0044】
(3)(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態を図7を参照しつつ説明する。図7は、本発明の第7実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えたリニアガイドの部分断面図である。
本第7実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構は、図2(a)及び図3(a),(b)に示す第1実施形態に係るリニアガイド用潤滑剤供給機構と基本構成は同一であるが、第3供給路113の配置の仕方が異なっている。
即ち、第3供給路113が、ベアリング本体14の幅方向両側面から各第2供給路112に対して交差するように上下の転動溝116間の端面に至るまで延びている。このように構成することにより、上下の転動溝116に潤滑剤を均等に供給することができる。
【0045】
以上のように、本発明によれば、案内レールとベアリングとの相対移動が短い距離(ストローク)の中で行われる場合や水平以外の取付け姿勢の場合であっても、転動体と転動路の全体に十分な潤滑剤を供給することができるリニアガイド用潤滑剤供給機構、それを備えたリニアガイド及びリニアガイドへ潤滑剤を供給する方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0046】
1、10、20、30、40、50 リニアガイド
2、12、22、32、42、52、62 案内レール
3、13、23、33、43、53、63 ベアリング
4、14、24、34、44、54 ベアリング本体
5、15、25、35、45、55 エンドキャップ
6、60 環状路
7、57、67 ボール(転動体)
8 サイドシール
9 案内レール取付け穴
11、21、31、41、51 グリースニップル(注入口)
16、26、36、46、56 吐出口
17 逃げ溝
18 水平板部
19、29、39、49、59、79 グリースニップル(エンドキャップ)
61、73 転動路
64、74 湾曲路
65、75 循環路
71 脚部
72 転動溝
76 シールリップ
77 保持器
78 供給路(エンドキャップ)
111、211、311、411、511 第1供給路
112、212、312、412、512 第2供給路
113、213、313、413 第3供給路
114、214、314、414 密封栓(側面)
115、215、315、415 密封栓(上面)
116、216、316、416 転動溝
117、217、317、417、517 雌ねじ部
L 転動路長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内レールを跨いで遊嵌されたベアリング内に潤滑剤を注入するための注入口と、
該注入口に連通し前記潤滑剤を吐出する吐出口と、
を備えるリニアガイド用潤滑剤供給機構において、
前記吐出口が、前記ベアリングを構成するベアリング本体に形成されると共に、前記案内レールに面する転動溝又はその近傍に備えてあることを特徴とするリニアガイド用潤滑剤供給機構。
【請求項2】
前記転動溝が、その中を転動する転動体と非接触の部分を有しており、
前記吐出口が、前記転動体と非接触の部分に備えてあることを特徴とする請求項1に記載のリニアガイド用潤滑剤供給機構。
【請求項3】
前記注入口が、前記ベアリング本体に備えてあることを特徴とする請求項1又は2に記載のリニアガイド用潤滑剤供給機構。
【請求項4】
前記吐出口が、前記転動溝の長手方向の中央部近傍に備えてあることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリニアガイド用潤滑剤供給機構。
【請求項5】
前記注入口が、複数備えてあることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載のリニアガイド用潤滑剤供給機構。
【請求項6】
軸方向に延在する側部に案内レール側転動溝を設けた案内レールと、
該案内レール上を移動するベアリングと、を有し、
前記ベアリングは、前記案内レール側転動溝に対向する露出して形成されたベアリング側転動溝と、該ベアリング側転動溝と略平行で内部に形成された循環路とを有し、前記案内レールを跨いで一体に形成されたベアリング本体と、
該ベアリング本体の前記案内レール長手方向両端部に固設され、前記ベアリング側転動溝の端部と前記循環路の端部とを連通する湾曲路が形成されたエンドキャップと、を有し、
前記ベアリングが、前記案内レール側転動溝及び前記ベアリング側転動溝の間に形成した転動路内に収容された複数の転動体の転動を介して軸方向に移動可能に前記案内レールに支持されているリニアガイドにおいて、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のリニアガイド用潤滑剤供給機構を備えてあることを特徴とするリニアガイド。
【請求項7】
案内レールを跨いで遊嵌されたベアリング内に潤滑剤を注入するための注入口と、
該注入口に連通し前記潤滑剤を吐出する吐出口と、を設け、
前記注入口から前記潤滑剤を注入して、前記吐出口から前記潤滑剤を吐出させるリニアガイド用潤滑剤供給方法において、
前記吐出口を、前記ベアリングを構成するベアリング本体に形成すると共に、前記案内レールに面する転動溝又はその近傍に設けることを特徴とするリニアガイド用潤滑剤供給方法。
【請求項8】
前記転動溝に、その中を転動する転動体と非接触の部分を設け、
前記吐出口を前記転動体と非接触の部分に設けることを特徴とする請求項7に記載のリニアガイド用潤滑剤供給方法。
【請求項9】
前記注入口を前記ベアリング本体に設けることを特徴とする請求項7又は8に記載のリニアガイド用潤滑剤供給方法。
【請求項10】
前記吐出口を前記転動溝の長手方向の中央部近傍に設けることを特徴とする請求項7ないし9の何れか1項に記載のリニアガイド用潤滑剤供給方法。
【請求項11】
前記注入口を複数設けることを特徴とする請求項7ないし10の何れか1項に記載のリニアガイド用潤滑剤供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−61067(P2013−61067A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185791(P2012−185791)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】