説明

リバビリン/インターフェロン併用療法の副作用軽減剤

イコサペント酸(EPA)、その製薬学上許容しうる塩およびエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する、C型慢性肝炎のリバビリンおよびインターフェロン併用療法の副作用の軽減剤、とりわけ貧血の軽減剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、イコサペント酸(以下EPAと略する)、その製薬学上許容しうる塩およびエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有することを特徴とする、C型慢性肝炎のリバビリンおよびインターフェロン(以下IFNと略する)併用療法の副作用、とりわけ貧血の軽減剤に関する。
【背景技術】
C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善を目的としたリバビリン/IFN併用療法は、従来のC型慢性肝炎の治療法に比べて、ウイルス消失率が高いことから、世界的にC型慢性肝炎の標準的な第一選択の治療法の一つとなっている。しかしながら、当該治療法においては多岐にわたる副作用が高頻度に発現することが知られている。とりわけ貧血は高頻度(添付文書によればヘモグロビン減少、赤血球減少の副作用の発現頻度はそれぞれ63.1%、51.3%)に発現し、また、重大な副作用の筆頭に掲げられている。副作用が重篤な場合には、リバビリンおよび/またはIFNの減量、中止が余儀なくされ、当該治療法を制限する要因の一つとなっている。
例えば、特表2002−542202号公報には、リバビリンの副作用の一つである溶血を改善するために抗酸化剤を使用することについての開示がある。当該文献は、ビタミンCとビタミンEの合剤を投与することにより、4ヶ月間のリバビリン/IFN併用療法がリバビリンを減量することなく実施できたと報告している(第9頁参照)。
一方、特開平11−239464号公報には、本発明の副作用軽減剤の有効成分であるEPAに関連して、n−3系高度不飽和脂肪酸を有効成分とする、運動時の危険因子除去能を有する組成物についての開示がある。当該文献は、健常人にEPAのエチルエステルを投与することにより、赤血球溶血開始値、最大溶血値、溶血終了値が低浸透圧側に移行し、赤血球膜の強化が示唆されたと開示している。また、当該文献は、EPA28%を含有する精製魚油カプセルを高地トレーニング前に服用することにより赤血球変形能の上昇が認められ、また、魚油非摂取群に認められた全血粘度の上昇が認められなかったと開示している(第4−7頁参照)。
また、EPA30%を含有する魚油を8週間服用した16例の健常者と12例の高トリグリセリド血症患者において、服用後の酸化的溶血反応に対する抵抗性が上昇したとの報告もある(Mabile L.et al.,“Moderate intake of n−3 fatty acids is associated with stable erythrocyte resistance to oxidative stress in hypertriglyceridemic subjects”,Am.J.Clin.Nutr.(米国),2001,74(4),449−456)(第449−451頁、図1参照)。
しかしながら、EPAがC型慢性肝炎患者のリバビリン/IFN併用療法における副作用軽減剤、とりわけ、貧血の軽減剤として有効であることに関する報告は、本発明者らの知る限りこれまでなされていなかった。
C型慢性肝炎におけるリバビリン/IFN併用療法は、C型慢性肝炎の標準的な第一選択の治療法の一つとなっている。しかしながら当該療法は副作用の発現頻度が高く、当該治療法を制限する要因の一つとなっている。
【発明の開示】
従って、C型慢性肝炎のリバビリン/IFN併用療法時に認められる副作用を軽減することにより、リバビリンおよび/またはIFNを減量または中止することなく、薬物治療を可能にする副作用軽減剤を提供することが本発明の課題である。
本発明者は、C型慢性肝炎のリバビリンおよびIFN併用療法の副作用を軽減し、リバビリンおよび/またはIFNを減量または中止することなく、薬物治療を可能にする副作用軽減剤について鋭意研究を行ったところ、EPAを有効成分とする本発明の副作用軽減剤が上記作用を有することを見いだし、本発明を完成した。
本発明の態様は、イコサペント酸(別称:イコサペンタエン酸、エイコサペンタエン酸)、その製薬学上許容しうる塩およびエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有することを特徴とする、C型慢性肝炎のリバビリンおよびインターフェロン併用療法の副作用軽減剤であり、副作用が貧血である上記副作用軽減剤が好ましい。
また、本発明の他の態様は、リバビリン;インターフェロンおよび;イコサペント酸、その製薬学上許容しうる塩およびエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つを含有する副作用が軽減されたC型慢性肝炎の治療剤である。
また、C型慢性肝炎のリバビリンおよびインターフェロン併用療法実施の際に、リバビリンおよびインターフェロンの投与前、投与中および/または投与後に、イコサペント酸、その製薬学上許容しうる塩およびエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する薬剤を投与することを特徴とするリバビリンおよびインターフェロン併用療法の副作用を軽減する方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「リバビリンおよびIFN併用療法の副作用軽減剤」とは、例えば、市販のリバビリン含有製剤(商品名レベトール、シェリング・プラウ社製)の添付文書において(IFNα−2b(遺伝子組換え)との併用の場合)として記載されている各種副作用、具体的には、重大な副作用としての貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少)、白血球減少、顆粒球減少、血小板減少、再生不良性貧血、抑うつ、自殺企図、幻覚、妄想、昏迷、攻撃的行動、重篤な肝機能障害、ショック、消化管出血、呼吸困難、喀痰増加、脳出血、膀胱癌、大腸癌など、およびその他の副作用としての発熱及びインフルエンザ様症状(発熱、全身倦怠感、頭痛、関節痛、筋肉痛、悪寒)、精神神経系副作用(不眠、めまい、神経過敏、知覚減退、眠気、不安、感情鈍麻、集中力障害、嗄声、感覚異常)、過敏症(そう痒、蕁麻疹、接触皮膚炎)、血液系の副作用(血小板減少、鉄代謝障害、網赤血球減少、単球増多、リンパ球増多、血清鉄上昇、リンパ球減少、白血球増多、血清鉄低下、ESR亢進、好酸球増多、好塩基球増多、リンパ節症、血小板増多)、肝臓系の副作用(ビリルビン血症、LDH上昇、γ−GTP上昇、ウロビリン尿、ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇、ビリルビン値低下、硫酸亜鉛混濁反応異常、ビリルビン尿)、腎臓系の副作用(蛋白尿、血尿、頻尿、腎機能異常、排尿障害)、循環器系の副作用(心悸亢進、潮紅、不整脈、浮腫(四肢・顔面)、末梢性虚血、高血圧)、消化器系の副作用(食欲不振、腹痛、悪心・嘔吐、下痢、口内炎、便秘、膵酵素異常(膵炎)、口渇、歯髄・歯周炎、胃炎、腹部膨満感、消化不良、メレナ、歯痛、舌炎、痔核、口唇炎)、皮膚系の副作用(脱毛、発疹、湿疹、白癬、皮膚乾燥、脂漏、紅斑、せつ、皮膚炎、毛嚢炎)、神経・筋系の副作用(緊張亢進、無力症、手足のこわばり、舌麻痺、振戦、神経痛)、呼吸器系の副作用(咳、咽頭炎、鼻炎、鼻出血、呼吸器感染症)、眼の副作用(眼痛、眼底出血・眼底白斑等の網膜の微小循環障害、視力異常、眼球乾燥、結膜炎、眼の異和感)、その他の副作用(背部痛、甲状腺機能異常、高尿酸血症、体重減少、皮膚・四肢等の疼痛、ほてり、味覚障害、自己抗体産生、胸痛、高血糖、低アルブミン血症、CRP上昇、耳鳴、疲労、多汗、高蛋白血症、単純疱疹、尿糖、嗅覚障害、低コレステロール血症、低蛋白血症、右季肋部痛、血中尿酸低下、難聴、中耳炎)、およびリバビリン/IFN併用療法においてこれまでに報告されているその他の副作用の少なくとも一つを軽減する作用を有するものであるが、これらに限定されるものではない。
上記副作用の中で、血液系の副作用、具体的には、重大な副作用としての貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少)、白血球減少、顆粒球減少、血小板減少、再生不良性貧血、およびその他の副作用としての血液系の副作用(血小板減少、鉄代謝障害、網赤血球減少、単球増多、リンパ球増多、血清鉄上昇、リンパ球減少、白血球増多、血清鉄低下、ESR亢進、好酸球増多、好塩基球増多、リンパ節症、血小板増多)を軽減する副作用軽減剤が好ましく、とりわけ、貧血を軽減する副作用軽減剤が好ましい。
本明細書において、貧血とは、赤血球数および/またはヘモグロビン量が絶対的に減少した状態をいう。日常臨床では絶対的測定は困難であるのでヘモグロビン濃度の正常下限以下を貧血と定義している。貧血とする具体的な数値をあげることは困難であるが、一例として、WHOの基準によると健常成人男子では13.0g/dL、女子では12.0g/dL以下とされている。
本明細書において、慢性肝炎とは、6ヶ月以上肝臓に炎症が持続あるいは持続していると思われる病態と定義し、C型慢性肝炎は、慢性肝炎のうち、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)感染により発症した慢性肝炎と定義する。
本明細書において、リバビリンとは、下式で表される核酸構造類似化合物であり、種々のRNAウイルス、DNAウイルスに対し、幅広い抗ウイルス活性を示す。

市販のリバビリン含有製剤としてはレベトール(商品名、シェリング・プラウ社製のカプセル剤)が知られている。また、C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善を目的として用いる場合には、通常、IFNと併用により、成人には、リバビリンとして、1日400〜1600mg、好ましくは600〜800mgを1日2回に分けて連日、24週間、朝夕食後経口投与するものであるが、その剤形、投与方法、1日当たりの投与回数、投与期間は、症状の程度、体重、年齢等によって適宜変更することができる。
IFNは抗ウイルス作用、抗腫瘍作用をはじめとする様々な生理活性を有するタンパク質であり、その構造、物理化学的性質の違いなどによりα型、β型、γ型に分類されている。本明細書において、IFNとは、C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善を目的として用られるIFNであれば特に制限はなく、市販または臨床開発中の任意のIFN、具体的には天然型IFNα(IFNαモチダ:持田製薬社製、オーアイエフ:大塚製薬社製、スミフェロン:住友製薬社製)、IFNα−2a(キャンフェロンA:武田薬品工業社製、ロフェロンA:中外製薬社製)、IFNα−2b(イントロンA:シェリング・プラウ社製)、ポリエチレングリコール(以下PEGと略す)化天然型IFNα、PEG化IFNα−2a(ペガシス:中外製薬社製)、PEG化IFNα−2b(PEG−イントロンA)、天然型IFNβ(IFNβモチダ:持田製薬社製、フェロン:東レ社製)、PEG化天然型IFNβ、天然型IFNγ、コンセンサスIFN(アドバフェロン:山之内製薬社製)、PEG化コンセンサスIFNなど、およびこれらの組合せが挙げられる。天然型IFNα、IFNα−2b、PEG化IFNα−2a、PEG化IFNα−2b、天然型IFNβなどがさらに好ましい。
本明細書におけるIFNの投与量、投与期間、投与スケジュール、投与経路などは、通常C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善を目的として実施される範囲内であれば特に制限はない。通常は、1日100〜1000万国際単位を1日1回あるいは複数回に分けて、2週〜48週、連日または週3回程度の間歇投与により、皮下、筋肉内あるいは静脈内に投与されるが、ウイルスの型やウイルス量、患者の体重、年齢等によって適宜変更することができる。好ましくは、1日600〜1000万単位を、2週〜8週連日投与後、22週〜46週間歇投与するが、投与するIFNの種類や剤形によって適宜変更することができる。例えば、PEG化IFNα−2a(ペガシス:中外製薬社製)の場合、通常、1回180μgを週1回、皮下に投与することができる。
本発明に用いられるEPAは市販品の他、魚油やEPA産生菌およびその培養液を公知の方法、例えば連続式蒸留法、尿素付加法、液体クロマトグラフィー法、超臨界流体クロマトグラフィー法等あるいはこれらの組み合わせで精製して得ることができ、必要によりエステル化処理してエチルエステル等のアルキルエステルやグリセリド等のエステルとすることができる。また、ナトリウム塩、カリウム塩等の無機塩基またはベンジルアミン塩、ジエチルアミン塩等の有機塩基あるいはアルギニン塩、リジン塩等の塩基性アミノ酸との塩とすることができる。本発明においてEPAとは、特に断らない限りは、脂肪酸の遊離体のほか上記のような塩およびエステルも含むものとする。ヒトあるいは動物に投与する場合は、製薬学上許容しうるものが好ましい。
本発明の副作用軽減剤はEPAの純品を使用できることはもちろん、有効成分にさらにEPA以外の脂肪酸を含有してもよい。これらの脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサモノエン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサモノエン酸、オクタデカテトラエン酸、α−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、パルミトオレイン酸、ヘキサデカテトラエン酸、ヘキサデカトリエン酸およびヘキサデカジエン酸等の不飽和脂肪酸あるいはベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸およびミリスチン酸等の飽和脂肪酸等が例示される。また、上述の例の脂肪酸は遊離体のほか、それらのナトリウム塩等の無機塩基との塩またはベンジルアミン塩等の有機塩基との塩、さらにはそれらのエチルエステル等のアルキルエステルまたはグリセリド等のエステル体であってもよい。
本発明の副作用軽減剤の全脂肪酸中のEPA含量は50質量%以上、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上のものが使用でき、アラキドン酸含量は少ないことが望まれる。また、有効成分としてはイコサペント酸エチルエステル(以下EPA−Eと略する)が好ましい。本発明の副作用軽減剤は、有効成分を化合物単独で投与するか、或いは一般的に用いられる適当な担体または媒体の類、例えば賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、香味剤、必要に応じて滅菌水や植物油、更には無害性有機溶媒あるいは無害性溶解補助剤(たとえばグリセリン、プロピレングリコール)、乳化剤、懸濁化剤(例えばツイーン80、アラビアゴム溶液)、等張化剤、pH調整剤、安定化剤、無痛化剤などと適宜選択組み合わせて適当な医薬用製剤に調製することができる。
EPAは高度に不飽和であるため、上記の製剤は、さらに、抗酸化剤たとえばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、プロピルガレート、没食子酸、医薬として許容されうるキノンおよびα−トコフェロールをEPAの酸化を抑制する有効量含有させることが望ましい。
製剤の剤形としては、錠剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、経口用液体製剤、坐剤、シロップ剤、吸入剤、点眼剤、軟膏、注射剤(乳濁性、懸濁性、非水性)、あるいは用時乳濁または懸濁して用いる固形注射剤の形態が例示できる。投与方法は、経口および静脈内あるいは動脈内、吸入、点眼、直腸内、膣内あるいは外用を問わず患者に投与されるが、とりわけカプセルたとえば、軟カプセルやマイクロカプセルに封入しての経口投与が好ましい。また、注射剤(乳濁性、懸濁性、非水性)、あるいは用時乳濁または懸濁して用いる固形注射剤での静脈内あるいは動脈内投与が好ましい。
なお、副作用の発現が少ない安全な閉塞性動脈硬化症および高脂血症治療薬として既に日本で市販されている高純度EPA−E含有軟カプセル剤であるエパデールおよびエパデールS(いずれも持田製薬社製)を使用することもできる。
本発明の副作用軽減剤の投与量は対象となる作用を現すのに十分な量とされるが、その剤形、投与方法、1日当たりの投与回数、症状の程度、体重、年齢等によって適宜増減することができる。また、経口投与する場合はEPAとして0.1〜9g/日、好ましくは0.5〜6g/日、さらに好ましくは1〜3g/日を3回に分けて投与するが、必要に応じて全量を1回あるいは数回に分けて投与してもよい。静脈内あるいは動脈内投与の場合は、EPAとして1〜200mg、好ましくは5〜100mg、さらに好ましくは10〜50mgを1回あるいは数回に分けて投与するが、必要に応じて点滴あるいはインフュージョンポンプ等を用いて数時間から数日にかけて持続的に投与することもできる。
EPAの投与期間および投与スケジュールについては、標準的なリバビリン/IFN併用療法におけるリバビリンおよび/またはIFNの投与前から、リバビリンおよび/またはIFNの投与期間中を経て、リバビリン/IFN投与終了後まで、任意の投与期間、任意の投与スケジュールで投与することが可能である。副作用を予防する観点からは、リバビリン/IFNの投与を決定した段階で、その前からEPAの投与を開始するのが好ましく、発現したリバビリン/IFNの副作用を軽減する観点からはリバビリン/IFN投与後に開始するのが好ましい。投与期間の目安として、1週間以上続けて投与することが好ましく、さらに好ましい投与期間は1ヶ月〜2年である。
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
[対象および方法]
リバビリン/IFNα併用療法により貧血(本実施例においては、ヘモグロビン値が男性は14g/dL以下、女性は11g/dL以下を貧血とした)を発症したC型慢性肝炎患者6名(男性5名、女性1名、年齢38歳〜60歳)を対象とした。それぞれの患者に、貧血発症後より、EPA−E(商品名エパデール、持田製薬社製)1回600mgを1日3回、毎食後に2ヶ月間経口投与した。EPA−Eの投与開始時期は症例により異なるが、いずれもリバビリン/IFNα投与開始から1ヶ月〜4ヶ月の範囲内に投与を開始した。なお、リバビリン/IFNα併用療法については、リバビリン(商品名レベトール、シェリング・プラウ社製)を体重60kgを超える患者については1回400mgを朝食後および夕食後に、体重60kg以下の患者については朝食後に200mg、夕食後に400mgをそれぞれ経口投与し、併せてIFNα−2b(商品名イントロンA、シェリング・プラウ社製)1日600万国際単位の筋肉内投与を2週連日投与後、22週、週3回の間歇投与を実施した。
[結果]
各症例毎のリバビリン/IFN併用療法前、EPA投与前、EPA投与1ヵ月後およびEPA投与2ヵ月後のヘモグロビン値およびその平均を表1にまとめた。

表1に示すように、EPA投与によりヘモグロビン値の有意な改善が認められた。また、6例全例について、リバビリンおよびIFNαを減量または中止することなく、24週間の薬物投与を完了することができた。
なお、EPA投与によると思われる有害事象は全く認められなかった。
以上から、EPAはC型慢性肝炎のリバビリン/IFN併用療法の有効かつ有用な副作用軽減剤となりうることが確認された。
【産業上の利用可能性】
イコサペント酸、その製薬学上許容しうる塩およびエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有することを特徴とする、C型慢性肝炎のリバビリンおよびインターフェロン併用療法の副作用軽減剤は、当該療法時に認められる副作用を軽減することにより、リバビリンおよび/またはIFNを減量または中止することなく、薬物治療を可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イコサペント酸、その製薬学上許容しうる塩およびエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有することを特徴とする、C型慢性肝炎のリバビリンおよびインターフェロン併用療法の副作用軽減剤。
【請求項2】
副作用が貧血である請求項1の副作用軽減剤。
【請求項3】
インターフェロンがα型インターフェロンである請求項1または2に記載の副作用軽減剤。
【請求項4】
C型慢性肝炎のリバビリンおよびインターフェロン併用療法実施の際に、リバビリンおよびインターフェロンの投与前、投与中および/または投与後に、リバビリンおよびインターフェロン併用療法の副作用を軽減するために投与されることを特徴とするイコサペント酸、その製薬学上許容しうる塩およびエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する薬剤。
【請求項5】
C型慢性肝炎のリバビリンおよびインターフェロン併用療法の副作用軽減剤の製造のための、イコサペント酸、その製薬学上許容しうる塩およびエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの使用。
【請求項6】
リバビリン;インターフェロンおよび;イコサペント酸、その製薬学上許容しうる塩およびエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つを含有する副作用が軽減されたC型慢性肝炎の治療剤。

【国際公開番号】WO2004/073706
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502680(P2005−502680)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001325
【国際出願日】平成16年2月9日(2004.2.9)
【出願人】(000181147)持田製薬株式会社 (62)
【Fターム(参考)】