リフター及びフィルムロール用コア
【課題】一段と安定かつ確実にフィルムロールを移動し得るフィルムロール用のリフター及びフィルムロール用コアを提供すること。
【解決手段】互いに接近することによりフィルムロール用コア11を把持する一対のフォーク部材72、73と、フォーク部材72、73に把持されたフィルムロール用コア11の軸方向が少なくとも水平方向に向く状態と垂直方向に向く状態との間を遷移可能にフォーク部材72、73を回転させる回転機構部33と、フォーク部材72、73を水平方向に移動させる水平移動機構部32とを具備する構成とした。
【解決手段】互いに接近することによりフィルムロール用コア11を把持する一対のフォーク部材72、73と、フォーク部材72、73に把持されたフィルムロール用コア11の軸方向が少なくとも水平方向に向く状態と垂直方向に向く状態との間を遷移可能にフォーク部材72、73を回転させる回転機構部33と、フォーク部材72、73を水平方向に移動させる水平移動機構部32とを具備する構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムロールを水平に取り付けて、フィルムの巻き出し、巻き取りを行う横搬送装置と、フィルムロールを垂直に取り付けて、フィルムの巻き出し、巻き取りを行う縦搬送装置との間で、フィルムロールの移動、着脱、回転を行うためのリフター及びフィルムロール用コアに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化問題に対する対策の一つとして、化石燃料に代わるエネルギーへの要望が高まっている。特に太陽電池は、その安全性と扱い易さから一般家庭にも導入されるようになっている。
【0003】
代表的な太陽電池には、結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、化合物半導体太陽電池等がある。この中でもアモルファスシリコン太陽電池や薄膜結晶シリコン太陽電池は、比較的低コストで大面積化が可能であるため、各方面で活発に研究開発が進められている。
【0004】
近年、開発が進んでいるプラスチック基板に薄膜半導体を形成したアモルファスシリコン太陽電池モジュールは、ポリイミド等の耐熱樹脂フィルム基板上にアモルファスシリコン層、ITO(Indium Tin Oxide)透明電極層及び金属膜の背面電極層からなる太陽電池を、EVA(Ethylene-Vinyl Acetate)等の接着性樹脂フィルムで接着封止することにより形成される。アモルファスシリコン太陽電池は、生産工程の自動化が容易であり、量産に適した太陽電池である。
【0005】
ポリイミド等の耐熱樹脂フィルム基板は、プラスチックや紙、アルミ等の円筒型コア材に巻き付けられたロール状で供給される。太陽電池の製造工程においては、フィルムロールを水平に取り付けて、フィルムの巻き出し、巻き取りを行う横搬送装置と、フィルムロールを垂直に取り付けて、フィルムの巻き出し、巻き取りを行う縦搬送装置とがあり、フィルム基板が巻き付けられたフィルムロールをこれらの間で移動させながら、成膜処理が進められる。
【0006】
横(縦)搬送装置の間でフィルムロールを移動させるためには、横(縦)搬送装置からフィルムロールを取り外し(アンローディングし)、他の縦(横)搬送装置に取り付け(ローディング)する必要があり、この着脱方法としては、専用のローディング装置及びアンローディング装置を用いる方法、又は、手動式、油圧電動式のリフターと呼ばれる装置を用いる方法等がある。
【0007】
専用のローディング装置やアンローディング装置を用いる場合、例えば横搬送装置同士の間でフィルムロールを移動させる場合には、ローディング装置及びアンローディング装置をコンパクトに設置し得るのに対して、横搬送装置と縦搬送装置との間でフィルムロールを移動させる場合、フィルムロールを90°回転させる必要があり、そのような機構を持たせる分、ローディング装置及びアンローディング装置が大型化することを避け得ない。
【0008】
一方、手動式又は電動式のリフターによってフィルムロールを移動させる場合、複数の設備間におけるフィルムロールの移動、着脱を同一のリフターで行うことができれば、リフターの数を低減できる分、設備費用を低減することができると考えられる。
【0009】
回転機構のないリフターにより、フィルムロールを横搬送装置と縦搬送装置との間で移動させる場合、リフターによるフィルムの移動工程の他に、別途フィルムロール反転装置によりフィルムロールを90°回転させる工程(反転工程)が必要となり、その分、移動工程に要する時間が長くなる。
【0010】
かかる課題を解決するための一つの方策として、回転機構を追加したリフターが考えられている(特許文献1参照)。すなわち、図14に示すように、このリフター1は、フィルムロール2を保持した状態で、これを回転機構部3によって90°回転させるように構成されている。また、下部フレーム4には、車輪5が設けられており、リフター1全体の移動が可能となっている。
【特許文献1】特開2006−232548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、かかる構成の従来のリフター1においては、フィルムロール2を垂直方向に立てた状態では、荷重受け部6によってフィルムロール2の端面2aを受けるようになっていることにより、フィルムロール2の質量をその端面2aによって受けることとなり、端面2aに傷や曲がりが発生し、フィルムロール2からフィルムを巻き出して成膜工程等を実行する際に、フィルムの蛇行、折れ又はしわが発生するおそれがある。
【0012】
また、従来のリフター1においては、固定ベルト7を用いてフィルムロール2の腹部2bをクランプするようになっていることにより、例えば、成膜後のフィルムロール2の腹部2bを固定ベルト7によってクランプした場合、フィルムの成膜面に損傷を受ける可能性があり、損傷を受けたフィルムによって製造されたフィルム型太陽電池では、電流リーク等の不良の発生につながる恐れがある。
【0013】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、一段と安定かつ確実にフィルムロールを移動し得るフィルムロール用のリフター及びフィルムロール用コアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のリフターは、フィルムが巻き取られたフィルムロール用コアを移動させるリフターであって、互いに接近することにより前記フィルムロール用コアを把持する一対のフォーク部材と、前記フォーク部材に把持されたフィルムロール用コアの軸方向が少なくとも水平方向に向く状態と垂直方向に向く状態との間を遷移可能に前記フォーク部材を回転させる回転機構部と、前記フォーク部材を水平方向に移動させる水平移動機構部とを具備することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、横搬送装置と縦搬送装置との間でフィルムロールを搬送するにつき、1台のリフターでフィルムロールの向き(水平方向、垂直方向)を変えることができると共に、フィルムロールの水平方向の位置を微調整しながらフィルムロールを搬送装置との間で受け渡すことができる。これにより、一段と容易にフィルムロールの着脱及び移動作業を行うことができる。
【0016】
また本発明は、上記リフターにおいて、前記フォーク部材、前記回転機構部及び前記水平移動機構部を支持するフレームの下部に設けられた走行用の第1の車輪部と、前記フレームから互いに逆の外方向に延設された一対の張出し脚部と、前記張出し脚部にそれぞれ設けられた転倒防止用の第2の車輪部とを具備することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、フィルムロールを移動させる際に、これを高揚程にリフトした場合であっても、リフターを第2の車輪部によって安定化させることができる。また、第2の車輪部によって安定化するので、第1の車輪部の配置間隔を狭くすることができ、その分、リフターの回転半径を小さくすることができる。これにより、リフターの操作性を向上し得ると共に、リフターによってフィルムロールを回転走行して移動させる搬送装置間のスペースを圧縮することができる。
【0018】
また本発明は、上記リフターにおいて、前記第2の車輪部と床面との間に間隙が形成されることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、リフターを移動させる際に、床面の凹凸による床面から不要な反力が加わることを防止して、リフター走行時の安定性を向上させることができる。また、リフターの傾斜角度が大きくなった場合には、第2の車輪部によって反力を得て、リフターの転倒を防止することができる。
【0020】
また本発明は、上記リフターにおいて、前記フォーク部材は、前記フィルムロール用コアを把持する溝部と、前記溝部に設けられた緩衝材とを具備することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、フィルムロール用コアに過大な圧縮力が加わり変形することを防止することができる。
【0022】
また本発明は、上記リフターにおいて、前記一対のフォーク部材の接近間隔を制限するストッパと、前記フォーク部材に設けられ、前記フィルムロール用コアを把持する溝部と、前記溝部に設けられた緩衝材とを具備することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、フィルムロール用コアに過大な圧縮力が加わり変形することを防止することができる。
【0024】
また本発明は、上記リフターにおいて、前記溝部は、台形形状の凹部であることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、一対のフォーク部材に設けられた溝部のうちの一方の溝部でフィルムロール用コアの質量を支え、他方の溝部でフィルム用コアの位置決めをしながら、フィルムロール用コアを水平方向から垂直方向へ回転させることができ、回転中、フィルムロール用コアが安定位置に滑動し易くなると共に、滑動後には、2つの台形の溝部によって形成される六角形の孔部により、フィルムロール用コアに設けられた突縁部を確実に受けることができる。これにより、フィルムロール用コアにスクラッチ傷が発生することを防止し得ると共に、フィルムロール用コアの回転及び搬送装置との間の着脱作業を一段と容易に行うことができるようになる。
【0026】
また本発明のフィルムロール用コアは、フィルムを巻き取るためのフィルムロール用コアであって、フィルムが巻き付けられた際の該フィルムの端部位置とコア端部との間であって前記フィルムの端部位置及び前記コア端部から離間した位置にコア外周面から突出する突縁部が形成されたことを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、突縁部によってフィルムロール用コアの質量を受けることができ、フィルムロール用コアに巻き付けられたフィルムの端面に損傷が発生することを防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、一段と安定かつ確実にフィルムロールを移動し得るフィルムロール用のリフター及びフィルムロール用コアを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るフィルムロール用着脱リフター(以下、リフターと呼ぶ)20を示し、図1(A)は、リフター20の正面図、図1(B)は側面図である。また、図2は、リフター20の上面図である。
【0030】
このリフター20は、互いに接近することによりフィルムロール用のコア11を把持する一対のクランプフォーク部材(フォーク部材)72、73と、クランプフォーク部材72、73に把持されたフィルムロール用のコア11の軸方向が少なくとも水平方向に向く状態と垂直方向に向く状態との間を遷移可能にクランプフォーク部材72、73を回転させる回転機構部33と、クランプフォーク部材72、73を水平方向に移動させる水平移動機構部32とを備える。
【0031】
このリフター20によって移動されるフィルムロール10は、円筒形状のコア11に薄膜太陽電池を製造するためのポリイミド等の耐熱樹脂フィルム(以下、フィルムと呼ぶ)12が巻き付けられたものである。コア11は、プラスチック、紙又はアルミ等で形成され、その外周面には、突縁状のプレート(突縁部)13a、13bが嵌合、接着又は溶着等によって固定されている。プレート13a、13bの材質はコア11と同等の材質又はそれ以外の種々の材質を用いることができ、コア11への固定方法も嵌合、接着、溶着以外の方法であってもよい。プレート13a及び13bの取り付け位置は、コア11に巻き付けられたフィルム12の端部から離間した位置であって、かつ、コア11の端部から離間した位置となっている。
【0032】
図1及び図2に示すように、リフター20においては、互いに平行に前後方向に延設された一対の前脚部25と、この前脚部25の後端部に立設されたマスト部(フレーム)26とを有し、前脚部25の前端部には、前輪27a、27bが前後進用固定輪として前脚部25に支持され、マスト部26の下部には後輪28a、28bが回転自在に支持されている。この後輪28a、28bは、首振り可能に支持された自在輪であり、対角の前輪(後輪28aに対して前輪27b、後輪28bに対して前輪27a)を支点として後輪28a、28bが首振りして回転するようになっている。これら前輪27a、27bと後輪28a、28bとによって走行用の第1の車輪部が構成される。
【0033】
マスト部26には、上下移動機構部31が設けられ、上下移動機構部31には、水平移動機構部32が設けられ、水平移動機構部32には回転機構部33が設けられ、回転機構部33にはクランプ機構部34が設けられている。
【0034】
図3は、リフター20の上下移動機構部31を示す正面図(図3(A))及び側面図(図3(B))である。図3に示すように、上下移動機構部31においては、平板状の移動体41がマスト部26にガイドされて矢印aで示す上下方向に移動可能となっている。この移動体41には、チェーン44の両端部が固定されており、このチェーン44は、マスト部26の上部に設けられたプーリ42と下部に設けられたプーリ43とに係合されている。プーリ42は、歯車45を介してハンドル部46により回転可能に枢支されており、ハンドル部46を回転させることにより、移動体41をマスト部26に沿って上下移動させることができるようになっている。
【0035】
移動体41の前面には、水平方向に延設されてなるガイド突起47が設けられている。このガイド突起47は、図4について後述する水平移動機構部32の水平方向への移動をガイドするようになっている。また、移動体41の前面には、後述する水平移動機構32の送りねじ52に螺合されるねじ軸受(ねじ軸用ナット)49が形成された軸受部48が固定されている。
【0036】
図4は、リフター20の水平移動機構部32を示す正面図(図4(A))及び側面図(図4(B))である。図4に示すように、水平移動機構部32においては、フレーム状の移動体51が移動体41のガイド突起47にガイドされて矢印bで示す水平方向に移動可能となっている。移動体51には、送りねじ52が回転自在に枢支されており、この送りねじ52は、移動体41に設けられたねじ軸受49に螺合されている。これにより、送りねじ52を回転させるためのハンドル部53を回転させることにより、移動体51をガイド突起47に沿って水平方向へ移動させることができるようになっている。
【0037】
図5は、リフター20の回転機構部33を示す正面図(図5(A))及び側面図(図5(B))である。図5に示すように、回転機構部33においては、円柱形状の回転体61が前後方向の回転軸(図示せず)を中心に矢印cで示す方向に回転自在に枢支されており、回転体61の一方の端部には、その外周面に突縁部62が形成され、該突縁部62に沿ってギア63が形成されている。また、回転体61は、円筒状のカバー64の内部に設けられており、このカバー64には、回転体61を回転させるための操作軸65が回転自在に枢支されている。操作軸65の一方の端部にはギア66が設けられており、このギア66が回転体61の突縁部62に形成されたギア63に歯合されている。これにより、操作軸65の他方の端部に設けられたハンドル部67を回転させることにより、回転体61を回転させることができるようになっている。
【0038】
回転体61には、クランプ機構部34が固定され、回転体61と一体に回転するようになっている。すなわち、図1及び図2に示すように、クランプ機構部34においては、回転機構部33の回転体61と一体に回転するようになされたフレーム71を備え、このフレーム71には、クランプフォーク部材72、73をガイドするためのガイド孔74が形成されている。クランプフォーク部材72、73は、このガイド孔74に沿って互いに接近する方向又は反対に離間する方向に移動可能となっている。
【0039】
図6に示す通り、フレーム71には、送りねじ76が回転自在に支持されており、この送りねじ76は、クランプフォーク部材72、73にそれぞれ形成されたねじ軸受(図示せず)に螺合されている。送りねじ76においては、クランプフォーク部材72が螺合されて移動する領域と、クランプフォーク部材73が螺合されて移動する領域とで反対方向にねじが形成されている。これにより、送りねじ76を回転させるためのハンドル部77を回転させることにより、クランプフォーク部材72、73をガイド孔74に沿って互いに接近する方向又は離間する方向に移動させることができるようになっている。すなわち、クランプ機構部34においては、正ねじ、逆ねじを切ったスクリューシャフト2本に、対向するクランプフォーク部材72、73が各々セットされた状態で、リフター中央部において、スクリューシャフト同士を連結カプラーによりセットピン等で連結し一体化することにより送りねじ76を構成している。このように、正ねじ、逆ねじが組み合わされたスクリューシャフトを用いることにより、片側のハンドル部77の操作のみで両方のクランプフォーク部材72、73を同時移動させて対象ワーク(フィルムロール10)をクランプ機構部34の中心位置(すなわち、回転機構部33の回転中心位置)でクランプすることが可能となる。このように、中心位置でクランプすることにより、対象ワークをクランプした状態で回転機構部33によりクランプ機構部34を回転させても、アンバランスな状態となることを防止することができる。なお、片側のハンドル部77を操作している際、他方のハンドル部は空回りすることになるので、ハンドル部77を着脱自在として不要な側のハンドル部を取り外すことができる。
【0040】
クランプフォーク部材72は、一方の端部(フォーク部72a)と他方の端部(フォーク部72b)とが略平行となるように全体が略U字状に形成されている。また、クランプフォーク部材73も同様にして、一方の端部(フォーク部73a)と他方の端部(フォーク部73b)とが略平行となるように全体が略U字状に形成されている。クランプ機構部34では、フォーク部72aとフォーク部73aとが対向し、フォーク部72bとフォーク部73bとが対向するように設けられ、クランプフォーク部材72、73が互いに接近する方向に移動した場合にフォーク部72aとフォーク部73aとが接近すると共に、フォーク部72bとフォーク部73bとが接近するようになっている。また、反対にクランプフォーク部材72、73が互いに離間する方向に移動した場合にフォーク部72aとフォーク部73aとが離間すると共に、フォーク部72bとフォーク部73bとが離間するようになっている。
【0041】
フォーク部72a、73aには、互いに対向する部分に半円形の凹状に形成されたフォーク溝72c、73cが形成されており、このフォーク溝72c、73c間にフィルムロール10のコア11を挟んで挟持するようになっている。また、フォーク部72b、73bにおいても同様にして、互いに対向する部分に凹状のフォーク溝が形成されており、このフォーク溝間にフィルムロール10のコア11を挟んで挟持するようになっている。
【0042】
フォーク部72aと72bとの間の距離、及びフォーク部73aと73bとの間の距離は、それぞれ、フィルムロール10のコア11に設けられたプレート13aと13bとの間の距離よりも大きく、コア11の長さよりも小さくなるように形成されている。これにより、図1(A)に示すように、フォーク部72a、72bとフォーク部73a、73bとによって、フィルムロール10のコア11を、プレート13a、13bが設けられた外側で挟持することができるようになっている。
【0043】
因みに、上述したように、フィルムロール用のコア11において、プレート13a及び13bの取り付け位置は、コア11に巻き付けられたフィルム12の端部から離間した位置であって、かつ、コア11の端部から離間した位置となっている。これにより、プレート13a、13bとコア11の端部との間でフィルムロール10を把持することができ、フィルム12の端部に傷が付くことを回避するようになっている。
【0044】
リフター20においては、クランプ機構部34によってフィルムロール10を挟持した状態で、回転機構部33によってクランプ機構部34を回転させることにより、クランプ機構部34に挟持されたフィルムロール10を回転させることができる。すなわち、図1に示すように、クランプ機構部34によってフィルムロール10を水平方向に挟持した状態において、回転機構部33によってクランプ機構部34を例えば矢印d方向に回転させることにより、図6に示すように、クランプ機構部34に挟持されたフィルムロール10が斜めに保持された状態を介して、図7及び図8に示すように、フィルムロール10が垂直に挟持された状態となる。なお、図7(A)は、リフター20の正面図、図7(B)は、リフター20の側面図、図8は、リフター20の上面図である。
【0045】
以上説明したリフター20を用いて、フィルムロール10を移送する工程について説明する。フィルム12をフィルムロール10から巻き出し又は巻き取る搬送装置としては、フィルムロール10をそのコア11の向きが水平方向となるように取り付ける横搬送装置と、フィルムロール10をそのコア11の向きが垂直方向となるように取り付ける縦搬送装置とがある。ここでは、水平搬送装置に取り付けられているフィルムロール10を、縦搬送装置に移送して受け渡す場合について説明する。なお、横搬送装置は、薄膜太陽電池の成膜工程に使用されるフィルムの巻き取り室に設置されており、縦搬送装置は、成膜工程におけるその後の工程に使用されるフィルムの巻き出し室に設置されているものとする。
【0046】
図9(A)に示すように、まず、リフター20の回転機構部33を操作することにより、クランプ機構部34のクランプフォーク部材72及び73が上下に配置された状態にすると共に、上下移動機構部31を操作することにより、クランプ機構部34の高さを、横搬送装置(図示せず)からフィルムロール10を受け取るための高さに調節する。また、クランプ機構部34を操作することにより、クランプフォーク部材72を上方へ移動させると共に、クランプフォーク部材73を下方へ移動させる。これにより、フォーク部72a、72bと、フォーク部73a、73bとの間にフィルムロール10のコア11を挿入するための間隙が形成される。
【0047】
この状態において、図9(B)に示すように、横搬送装置からフィルムロール10をクランプ機構部34の下側のフォーク部73a、73bのフォーク溝73cに受け取る。この場合、クランプ機構部34においては、横搬送装置に合わせて、フィルムロール10を水平方向に支持する状態でこれを受け取ることができる。
【0048】
そして、この状態において、クランプ機構部34を操作することにより、フィルムロール10を支持した下側のフォーク部73a、73bを上方に移動させると共に、上側のフォーク部72a、72bを下方に移動させる。これにより、図9(C)に示すように、フォーク部72a及び73aによって、フィルムロール10のコア11の一方の端部が、フォーク部72a及び73aの各フォーク溝72c及び73cの間で挟持され、また、コア11の他方の端部が、フォーク部72b及び73bの各フォーク溝の間で挟持される。なお、フォーク部72a、73aのフォーク溝72c、73cと、フォーク部72b、73bのフォーク溝とは、それぞれの溝の深さが、コア11を挟持し得る程度に限定されている。これにより、フォーク部72a、72bとフォーク部73a、73bとを接近する方向に移動させた場合に、フォーク部72a、73aのフォーク溝72c、73cと、フォーク部72b、73bのフォーク溝との間に形成される略円形の孔部において、コア11が不用意に動くことを防止し得、確実にコア11を挟持することができる。
【0049】
またこの場合、フォーク部72aと72bとの間の距離及びフォーク部73aと73bとの間の距離は、フィルムロール10のコア11に固定されたプレート13aと13bとの間の距離よりも大きく、かつコア11の長さよりも小さくなっていることにより、コア11の両端部近傍をプレート13a、13bの外側(コア11の端部側)でクランプすることができる。
【0050】
このようにして、クランプ機構部34によってフィルムロール10のコア11を挟持した後、図6及び図7に示したように、回転機構部33を操作することによって、クランプ機構部34を矢印d(図6、図7)で示す方向に90°回転させる。これにより、リフター20によるフィルムロール10の移送先である縦搬送装置におけるフィルムロール10の取り付け状態に合わせて、フィルムロール10をそのコア11の軸線が垂直方向を向くように保持することができる。
【0051】
この場合、フィルムロール10が水平状態から回転して垂直状態となる過程において、クランプ機構部34にクランプされたフィルムロール10は、コア11の両端部近傍に固定された2つのプレート13a、13bのうち、回転に伴って下側となるプレート(例えば13a(図6))がフォーク部72a、73aに当接する方向(下向き)に徐々に滑り落ちることになる。そして、プレート13aがフォーク部72a、73aに当接した状態で、このフォーク部72a、73aによってプレート13aが支えられる。すなわち、プレート13aによってフィルムロール10の質量が受け止められることとなる。従って、フィルムロール10に巻き付けられたフィルム12の端面にはフィルムロール10の荷重がかからないことにより、該端面に傷や曲がり等が発生することを防止することができる。
【0052】
そして、図7に示すように、回転機構部33によって、フィルムロール10がそのコア11の軸方向が垂直方向となる状態とした後、上下移動機構部31を操作することにより、クランプ機構部34に挟持されたフィルムロール10を、必要な揚程まで上昇させる。この状態で、リフター20を手押し又は電動で走行させることにより、縦搬送装置が設置されているフィルムの巻き出し室へ搬入する。
【0053】
リフター20によりフィルムロール10を巻き出し室へ搬入した後、クランプ機構部34に挟持されているフィルムロール10の水平位置を、水平移動機構32の操作によって微調整することにより、巻き出し装置においてチャッキング可能な水平位置にフィルムロール10を位置決めすることができる。このように、水平移動機構部32によってフィルムロール10の水平位置を微調整し得ることにより、リフター20全体を前後方向に移動させながら徐々に水平位置を微調整するといった煩雑な手間を回避することができる。
【0054】
かくして、以上説明した本実施の形態のリフター20によれば、クランプ機構部34にクランプされたフィルムロール10を、回転機構部33によって回転させることができることにより、横搬送装置及び縦搬送装置に対して同一のリフター20によってフィルムロール10の受け渡しを行うことができる。そして、このように回転機構部33を設けた分、リフター20の質量が増加した場合であっても、水平移動機構部32によってフィルムロール10の水平位置を微調整し得ることにより、リフター20全体を少しずつ移動させながら位置合わせするといった煩雑な手間を回避して、一段と容易にフィルムロール10の受け渡しを行うことが可能となる。
【0055】
また、コア11の軸方向が垂直方向となるようにフィルムロール10をクランプした状態において、コア11に固定されたプレート13a、13bによってフィルムロール10の質量を受け止めることにより、フィルムロール10のフィルム端面に損傷が発生することを防止することができ、この結果、フィルム12を用いて製造された薄膜太陽電池の品質を向上させることができる。
【0056】
なお、上述の第1の実施の形態においては、コア11の両端近傍にそれぞれプレート13a及び13bを設ける場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、回転機構部33によってフィルムロール10を回転させた場合に、下側となる端部が常に決まっている場合には、その側にのみプレート13aを設けるようにしてもよい。
【0057】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係るリフターは、第1の実施の形態に係るリフター20に対して、リフターの転倒防止用のアウトリガー車輪(張出し車輪)を設け、前輪27a、27bの間隔を狭くした点のみが異なる。従って、第2の実施の形態に係るリフター120を示す図10及び図11においては、第1の実施の形態のリフター20を示す図1との対応部分に同一符号を付して、重複した説明を省略する。
【0058】
図10及び図11に示すように、リフター120においては、一対の前脚部25の間隔Wを、図1に示したリフター20の構成に比べて狭く配置すると共に、各前脚部25から互いに逆の外方向へ張出し脚部123a及び123bを設け、この張出し脚部123a、123bの各先端部に第2の車輪部として張出し車輪124a及び124bを設けた構成を有している。張出し車輪124a、124bの取り付け高さは、該張出し車輪124a、124bと床との間に1〔mm〕〜5〔mm〕のクリアランスが生じるような高さとなっている。
【0059】
本実施の形態においては、張出し車輪124a、124bを設けることにより、図10に示すように、クランプ機構部34によってクランプされたフィルムロール10を、回転機構部33によってコア11の軸方向が垂直方向となるように回転させた状態で、上下移動機構部31によって高い位置に保持した場合であっても、十分な転倒防止機能を有することとなる。すなわち、前輪27a、27bと後輪28a、28bによって構成される第1の車輪部においては、前輪27a、27bと後輪28a、28bとの間に十分な間隔が設けられていることにより、前方に突出したフォーク部72a、72b、73a、73bによってフィルムロール10をクランプした場合であっても、リフター120がフィルムロール10の荷重によって前方に倒れることを防止しており、本実施の形態では、さらにこれに加えて、張出し車輪124a、124bによって側方への安定性を保つようになっている。
【0060】
また、張出し車輪124a、124bを設けて十分な転倒防止機能持たせることにより、一対の前脚部25の間隔Wを狭くすることができる。これにより、リフター120の回転半径を小さくすることができ、操作性を向上することができると共に、リフター120によってフィルムロール10を受け渡す搬送装置(例えば横搬送装置と縦搬送装置)の間隔を狭くすることができる。従って、薄膜太陽電池の製造工程に係るスペースを一段と圧縮することが可能となる。なお、図11に示すように、リフター120においては、前輪27a、27bは固定輪であり、後輪28a、28bは自在輪である。これにより、対角の前輪(後輪28aに対して前輪27b、後輪28bに対して前輪27a)を支点として後輪28a、28bがそれぞれ首振りして回転するようになっている。この場合、回転半径rは、リフター120の構造部分のうち、例えば前輪27bの中心点Oを中心として、中心点Oから最も離れた部位Sを通る円弧までの距離が回転半径rとなる。この実施の形態のリフター120では、対角後輪(前輪27aに対して後輪28b、前輪27bに対して後輪28a)が中心点Oから最も離れた部位となっていることにより、図11に示すように、前輪28bを中心として見た場合に対角後輪28aの最も離れた位置Sを通る円弧までの距離が回転半径rとなる。なお、本実施の形態のリフター120では、後輪28a、28bが中心点Oから最も離れた部位Sとなっているが、リフターによっては他の構造部位が最も離れた部位となる場合もある。例えば、図12は、他のリフターの一部を簡略的に示す上面図であり、このリフターにおいては、その構造部分であるフレーム126の角部が中心点Oから最も離れた部位Sとなっており、この場合には、このフレーム126の角部と中心点Oとの間の距離が回転半径rとなる。
【0061】
因みに、近年、開発が進んでいる1〔m〕幅程度のフィルムを使用した大面積アモルファスシリコン太陽電池を製造するための縦搬送装置を用いた製造設備では、排気抵抗や装置設置面積の低減を図るため、成膜用真空容器の下部に真空ポンプを設置することが望ましく、この場合には、リフター120によるフィルムロール10の受け渡し対象となる搬送装置の高さが高くなり、リフター120によるフィルムロール10の揚程は、例えば、1.5〔m〕から2〔m〕と高くなる。この場合、リフターの前脚部25の間隔を広げることでリフターの転倒防止性を高める方法も考えられるが、このようにすると、リフターの回転半径が大きくなり、リフターの操作性が低下すると共に、リフターの可動スペースを大きくとる必要がある分、工場建屋面積が拡大することとなる。本実施の形態に係るリフター120を用いることにより、係る問題点を解決することが可能となる。
【0062】
また、張出し車輪124a、124bと床との間に、1〔mm〕〜5〔mm〕のクリアランスを設けることにより、床面のうねりや凹凸による床面からの不要な反力が張出し車輪124a、124bを介してリフター120に加わることを防止することができる。これにより、リフター120の走行時における安定性を確保することができると共に、リフター120の傾斜角度が大きくなった場合には、張出し車輪124a、124bにより反力を得てリフター120の転倒を防止することができる。
【0063】
なお、上述の第2の実施の形態においては、張出し脚部123a、123bを固定式とする場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、折りたたみ式として、フィルムロール10を高揚程にリフトする場合においてのみ張出し車輪124a、124bを引き出して使用するようにしてもよい。このようにすれば、フィルムロール10の揚程を低くして移送する場合には、リフター120の操作性を向上することができる。特に、長距離移動時にはフィルムロール10の揚程を低くし、張出し車輪124a、124bを折りたたむことで、操作性良くフィルムロール10を移送することができる。
【0064】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係るリフターは、第1の実施の形態に係るリフター20に対して、クランプ機構部34のフォーク部72a、73aに形成された凹状のフォーク溝72c、73cの構成、及び一対のクランプフォーク部材72及び73(すなわちフォーク部72a及び73a(72b及び73b))が必要以上に接近しないように制限するストッパを設けた点のみが異なる。すなわち、図13は、本実施の形態に係るリフターのフォーク部72a、73aを示し、このフォーク部72a、73aには、凹状のフォーク溝172c、173cとして、台形形状の凹部が形成されている。そして、各フォーク溝172c、173cには、クランプされるコア11との接触部位に、低硬度の緩衝材181が設けられている。
【0065】
また、フォーク部72a(72b)には、フォーク部73a(73b)と対向する位置にストッパ172dが形成されており、フォーク部72a(72b)と73a(73b)とを接近する方向に移動させた際に、フォーク部72a(72b)と73a(73b)とが必要以上に接近しないように制限されている。このストッパ172dによって、フォーク部72a(72b)と73a(73b)によるコア11のクランプ(把持)寸法を制限するようになっている。なお、図13においては、フォーク部72a及び73a側のみを示しているが、反対側のフォーク部72b及び73bにおいても同様の構成を有しているものとする。
【0066】
以上の構成において、図13(A)に示すように、フィルムロール10のコア11をフォーク部72a(72b)のフォーク溝172cに載せ、クランプ機構部34(図1)を操作することにより、フォーク部72a(72b)及び73a(73b)を互いに接近する方向に移動させる。そして、図13(B)に示すように、コア11がフォーク溝172cによって上下からクランプされた状態となると、ストッパ172dが対向するフォーク部73aに当接することにより、フォーク部72a(72b)と73a(73b)とがそれ以上接近しないように制限される。この制限状態においては、コア11が緩衝材181の変形範囲内で挟持される。このように、緩衝材181及びストッパ172dを用いることにより、コア11に過大な圧縮力が加わることを回避して、コア11が変形することを防止することができる。
【0067】
また、図13(B)に示すように、コア11がフォーク部72a(72b)及び73a(73b)によって挟持された状態においては、上下のフォーク溝172cによって六角形の孔部が形成される。この場合、下側のフォーク部73a(73b)によってフィルムロール10の質量を支え、上側のフォーク部72a(72b)によってコア11の位置決めを行いながら、回転機構部33(図1)によってフィルムロール10を90°回転させてコア11の軸方向が垂直方向となるようにすることにより、フィルムロール10の回転中においては、コア11が安定位置に滑動し易くなると共に、滑動後には、2つのフォーク溝172cによって形成される六角形の孔部によってコア11の荷重受け用のプレート13aが確実に保持される。これにより、コア11にスクラッチ傷が発生することを防止し得ると共に、フィルムロール10の回転、着脱作業を一段と容易に行うことができる。
【0068】
なお、上述の第3の実施の形態においては、フォーク部72aの一部にストッパ172dを設ける場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、要は、フォーク部72a(72b)と73a(73b)との接近を制限するものであればよい。
【0069】
(他の実施の形態)
なお、上述の第3の実施の形態においては、台形形状のフォーク溝172c、173cに緩衝部材181を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、図1について上述した第1の実施の形態に係る半円形状のフォーク溝72c、73cに緩衝部材181を設けるようにしてもよい。
【0070】
また、上述の第3の実施の形態においては、台形形状のフォーク溝172c、173cに緩衝材181を設けた構成において、ストッパ172dを設ける場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、図1について上述した第1の実施の形態に係る半円形状のフォーク溝72c、73cを有する構成において、フォーク部72、73の必要以上の接近を制限するストッパを設けるようにしてもよい。また、この場合にフォーク溝72c、73cに緩衝材181を設けるようにしてもよい。
【0071】
また、上述の各実施の形態においては、フィルムロール10のコア11に円板形状のプレート13a、13bを設ける場合について述べたが、プレート13a、13bの形状はこれに限られるものではなく、要は、コア11の外周面から突出した突縁形状であればよく、円形には限られない。また、コア11の外周面の全周に亘って形成されていなくてもよい。
【0072】
また、上述の第3の実施の形態においては、図1に示した第1の実施の形態の構成に対して、台形のフォーク溝172c及びストッパ172dを設けた場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、図10及び図11に示した第2の実施の形態の構成に対して、台形のフォーク溝172c及びストッパ172dを設けるようにしてもよい。
【0073】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、構成について適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、可撓性のあるフィルム基板上に光電変換層を形成してなる薄膜太陽電池を製造する設備に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるリフターの構成を示す正面図及び側面図
【図2】図1のリフターの上面図
【図3】図1のリフターの上下移動機構部を示す正面図及び側面図
【図4】図1のリフターの水平移動機構部を示す正面図及び側面図
【図5】図1のリフターの回転機構部を示す正面図及び側面図
【図6】図1のリフターの回転機構部による回転動作の説明に供する正面図
【図7】図1のリフターによるフィルムロールの垂直把持状態を示す正面図及び側面図
【図8】図7の状態におけるリフターの上面図
【図9】図1のリフターのクランプ機構部による把持動作の説明に供する側面図
【図10】本発明の第2の実施の形態にかかるリフターの構成を示す正面図及び側面図
【図11】本発明の第2の実施の形態にかかるリフターの構成を示す上面図
【図12】他のリフターの構成を示す上面図
【図13】本発明の第3の実施の形態にかかるリフターのフォーク部の構成を示す側面図
【図14】従来のリフターの構成を示す正面図
【符号の説明】
【0076】
1、20、120…リフター、10…フィルムロール、11…コア、12…フィルム、13a、13b…プレート、25…前脚部、26…マスト部、27a、27b…前輪、28a、28b…後輪、31…上下移動機構部、32…水平移動機構部、33…回転機構部、34…クランプ機構部、41、51…移動体、72、73…クランプフォーク部材、72a、72b、73a、73b…フォーク部、72c、73c、172c、173c…フォーク溝、123a、123b…張出し脚部、124a、124b…張出し車輪、181…緩衝材
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムロールを水平に取り付けて、フィルムの巻き出し、巻き取りを行う横搬送装置と、フィルムロールを垂直に取り付けて、フィルムの巻き出し、巻き取りを行う縦搬送装置との間で、フィルムロールの移動、着脱、回転を行うためのリフター及びフィルムロール用コアに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化問題に対する対策の一つとして、化石燃料に代わるエネルギーへの要望が高まっている。特に太陽電池は、その安全性と扱い易さから一般家庭にも導入されるようになっている。
【0003】
代表的な太陽電池には、結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、化合物半導体太陽電池等がある。この中でもアモルファスシリコン太陽電池や薄膜結晶シリコン太陽電池は、比較的低コストで大面積化が可能であるため、各方面で活発に研究開発が進められている。
【0004】
近年、開発が進んでいるプラスチック基板に薄膜半導体を形成したアモルファスシリコン太陽電池モジュールは、ポリイミド等の耐熱樹脂フィルム基板上にアモルファスシリコン層、ITO(Indium Tin Oxide)透明電極層及び金属膜の背面電極層からなる太陽電池を、EVA(Ethylene-Vinyl Acetate)等の接着性樹脂フィルムで接着封止することにより形成される。アモルファスシリコン太陽電池は、生産工程の自動化が容易であり、量産に適した太陽電池である。
【0005】
ポリイミド等の耐熱樹脂フィルム基板は、プラスチックや紙、アルミ等の円筒型コア材に巻き付けられたロール状で供給される。太陽電池の製造工程においては、フィルムロールを水平に取り付けて、フィルムの巻き出し、巻き取りを行う横搬送装置と、フィルムロールを垂直に取り付けて、フィルムの巻き出し、巻き取りを行う縦搬送装置とがあり、フィルム基板が巻き付けられたフィルムロールをこれらの間で移動させながら、成膜処理が進められる。
【0006】
横(縦)搬送装置の間でフィルムロールを移動させるためには、横(縦)搬送装置からフィルムロールを取り外し(アンローディングし)、他の縦(横)搬送装置に取り付け(ローディング)する必要があり、この着脱方法としては、専用のローディング装置及びアンローディング装置を用いる方法、又は、手動式、油圧電動式のリフターと呼ばれる装置を用いる方法等がある。
【0007】
専用のローディング装置やアンローディング装置を用いる場合、例えば横搬送装置同士の間でフィルムロールを移動させる場合には、ローディング装置及びアンローディング装置をコンパクトに設置し得るのに対して、横搬送装置と縦搬送装置との間でフィルムロールを移動させる場合、フィルムロールを90°回転させる必要があり、そのような機構を持たせる分、ローディング装置及びアンローディング装置が大型化することを避け得ない。
【0008】
一方、手動式又は電動式のリフターによってフィルムロールを移動させる場合、複数の設備間におけるフィルムロールの移動、着脱を同一のリフターで行うことができれば、リフターの数を低減できる分、設備費用を低減することができると考えられる。
【0009】
回転機構のないリフターにより、フィルムロールを横搬送装置と縦搬送装置との間で移動させる場合、リフターによるフィルムの移動工程の他に、別途フィルムロール反転装置によりフィルムロールを90°回転させる工程(反転工程)が必要となり、その分、移動工程に要する時間が長くなる。
【0010】
かかる課題を解決するための一つの方策として、回転機構を追加したリフターが考えられている(特許文献1参照)。すなわち、図14に示すように、このリフター1は、フィルムロール2を保持した状態で、これを回転機構部3によって90°回転させるように構成されている。また、下部フレーム4には、車輪5が設けられており、リフター1全体の移動が可能となっている。
【特許文献1】特開2006−232548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、かかる構成の従来のリフター1においては、フィルムロール2を垂直方向に立てた状態では、荷重受け部6によってフィルムロール2の端面2aを受けるようになっていることにより、フィルムロール2の質量をその端面2aによって受けることとなり、端面2aに傷や曲がりが発生し、フィルムロール2からフィルムを巻き出して成膜工程等を実行する際に、フィルムの蛇行、折れ又はしわが発生するおそれがある。
【0012】
また、従来のリフター1においては、固定ベルト7を用いてフィルムロール2の腹部2bをクランプするようになっていることにより、例えば、成膜後のフィルムロール2の腹部2bを固定ベルト7によってクランプした場合、フィルムの成膜面に損傷を受ける可能性があり、損傷を受けたフィルムによって製造されたフィルム型太陽電池では、電流リーク等の不良の発生につながる恐れがある。
【0013】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、一段と安定かつ確実にフィルムロールを移動し得るフィルムロール用のリフター及びフィルムロール用コアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のリフターは、フィルムが巻き取られたフィルムロール用コアを移動させるリフターであって、互いに接近することにより前記フィルムロール用コアを把持する一対のフォーク部材と、前記フォーク部材に把持されたフィルムロール用コアの軸方向が少なくとも水平方向に向く状態と垂直方向に向く状態との間を遷移可能に前記フォーク部材を回転させる回転機構部と、前記フォーク部材を水平方向に移動させる水平移動機構部とを具備することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、横搬送装置と縦搬送装置との間でフィルムロールを搬送するにつき、1台のリフターでフィルムロールの向き(水平方向、垂直方向)を変えることができると共に、フィルムロールの水平方向の位置を微調整しながらフィルムロールを搬送装置との間で受け渡すことができる。これにより、一段と容易にフィルムロールの着脱及び移動作業を行うことができる。
【0016】
また本発明は、上記リフターにおいて、前記フォーク部材、前記回転機構部及び前記水平移動機構部を支持するフレームの下部に設けられた走行用の第1の車輪部と、前記フレームから互いに逆の外方向に延設された一対の張出し脚部と、前記張出し脚部にそれぞれ設けられた転倒防止用の第2の車輪部とを具備することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、フィルムロールを移動させる際に、これを高揚程にリフトした場合であっても、リフターを第2の車輪部によって安定化させることができる。また、第2の車輪部によって安定化するので、第1の車輪部の配置間隔を狭くすることができ、その分、リフターの回転半径を小さくすることができる。これにより、リフターの操作性を向上し得ると共に、リフターによってフィルムロールを回転走行して移動させる搬送装置間のスペースを圧縮することができる。
【0018】
また本発明は、上記リフターにおいて、前記第2の車輪部と床面との間に間隙が形成されることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、リフターを移動させる際に、床面の凹凸による床面から不要な反力が加わることを防止して、リフター走行時の安定性を向上させることができる。また、リフターの傾斜角度が大きくなった場合には、第2の車輪部によって反力を得て、リフターの転倒を防止することができる。
【0020】
また本発明は、上記リフターにおいて、前記フォーク部材は、前記フィルムロール用コアを把持する溝部と、前記溝部に設けられた緩衝材とを具備することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、フィルムロール用コアに過大な圧縮力が加わり変形することを防止することができる。
【0022】
また本発明は、上記リフターにおいて、前記一対のフォーク部材の接近間隔を制限するストッパと、前記フォーク部材に設けられ、前記フィルムロール用コアを把持する溝部と、前記溝部に設けられた緩衝材とを具備することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、フィルムロール用コアに過大な圧縮力が加わり変形することを防止することができる。
【0024】
また本発明は、上記リフターにおいて、前記溝部は、台形形状の凹部であることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、一対のフォーク部材に設けられた溝部のうちの一方の溝部でフィルムロール用コアの質量を支え、他方の溝部でフィルム用コアの位置決めをしながら、フィルムロール用コアを水平方向から垂直方向へ回転させることができ、回転中、フィルムロール用コアが安定位置に滑動し易くなると共に、滑動後には、2つの台形の溝部によって形成される六角形の孔部により、フィルムロール用コアに設けられた突縁部を確実に受けることができる。これにより、フィルムロール用コアにスクラッチ傷が発生することを防止し得ると共に、フィルムロール用コアの回転及び搬送装置との間の着脱作業を一段と容易に行うことができるようになる。
【0026】
また本発明のフィルムロール用コアは、フィルムを巻き取るためのフィルムロール用コアであって、フィルムが巻き付けられた際の該フィルムの端部位置とコア端部との間であって前記フィルムの端部位置及び前記コア端部から離間した位置にコア外周面から突出する突縁部が形成されたことを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、突縁部によってフィルムロール用コアの質量を受けることができ、フィルムロール用コアに巻き付けられたフィルムの端面に損傷が発生することを防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、一段と安定かつ確実にフィルムロールを移動し得るフィルムロール用のリフター及びフィルムロール用コアを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るフィルムロール用着脱リフター(以下、リフターと呼ぶ)20を示し、図1(A)は、リフター20の正面図、図1(B)は側面図である。また、図2は、リフター20の上面図である。
【0030】
このリフター20は、互いに接近することによりフィルムロール用のコア11を把持する一対のクランプフォーク部材(フォーク部材)72、73と、クランプフォーク部材72、73に把持されたフィルムロール用のコア11の軸方向が少なくとも水平方向に向く状態と垂直方向に向く状態との間を遷移可能にクランプフォーク部材72、73を回転させる回転機構部33と、クランプフォーク部材72、73を水平方向に移動させる水平移動機構部32とを備える。
【0031】
このリフター20によって移動されるフィルムロール10は、円筒形状のコア11に薄膜太陽電池を製造するためのポリイミド等の耐熱樹脂フィルム(以下、フィルムと呼ぶ)12が巻き付けられたものである。コア11は、プラスチック、紙又はアルミ等で形成され、その外周面には、突縁状のプレート(突縁部)13a、13bが嵌合、接着又は溶着等によって固定されている。プレート13a、13bの材質はコア11と同等の材質又はそれ以外の種々の材質を用いることができ、コア11への固定方法も嵌合、接着、溶着以外の方法であってもよい。プレート13a及び13bの取り付け位置は、コア11に巻き付けられたフィルム12の端部から離間した位置であって、かつ、コア11の端部から離間した位置となっている。
【0032】
図1及び図2に示すように、リフター20においては、互いに平行に前後方向に延設された一対の前脚部25と、この前脚部25の後端部に立設されたマスト部(フレーム)26とを有し、前脚部25の前端部には、前輪27a、27bが前後進用固定輪として前脚部25に支持され、マスト部26の下部には後輪28a、28bが回転自在に支持されている。この後輪28a、28bは、首振り可能に支持された自在輪であり、対角の前輪(後輪28aに対して前輪27b、後輪28bに対して前輪27a)を支点として後輪28a、28bが首振りして回転するようになっている。これら前輪27a、27bと後輪28a、28bとによって走行用の第1の車輪部が構成される。
【0033】
マスト部26には、上下移動機構部31が設けられ、上下移動機構部31には、水平移動機構部32が設けられ、水平移動機構部32には回転機構部33が設けられ、回転機構部33にはクランプ機構部34が設けられている。
【0034】
図3は、リフター20の上下移動機構部31を示す正面図(図3(A))及び側面図(図3(B))である。図3に示すように、上下移動機構部31においては、平板状の移動体41がマスト部26にガイドされて矢印aで示す上下方向に移動可能となっている。この移動体41には、チェーン44の両端部が固定されており、このチェーン44は、マスト部26の上部に設けられたプーリ42と下部に設けられたプーリ43とに係合されている。プーリ42は、歯車45を介してハンドル部46により回転可能に枢支されており、ハンドル部46を回転させることにより、移動体41をマスト部26に沿って上下移動させることができるようになっている。
【0035】
移動体41の前面には、水平方向に延設されてなるガイド突起47が設けられている。このガイド突起47は、図4について後述する水平移動機構部32の水平方向への移動をガイドするようになっている。また、移動体41の前面には、後述する水平移動機構32の送りねじ52に螺合されるねじ軸受(ねじ軸用ナット)49が形成された軸受部48が固定されている。
【0036】
図4は、リフター20の水平移動機構部32を示す正面図(図4(A))及び側面図(図4(B))である。図4に示すように、水平移動機構部32においては、フレーム状の移動体51が移動体41のガイド突起47にガイドされて矢印bで示す水平方向に移動可能となっている。移動体51には、送りねじ52が回転自在に枢支されており、この送りねじ52は、移動体41に設けられたねじ軸受49に螺合されている。これにより、送りねじ52を回転させるためのハンドル部53を回転させることにより、移動体51をガイド突起47に沿って水平方向へ移動させることができるようになっている。
【0037】
図5は、リフター20の回転機構部33を示す正面図(図5(A))及び側面図(図5(B))である。図5に示すように、回転機構部33においては、円柱形状の回転体61が前後方向の回転軸(図示せず)を中心に矢印cで示す方向に回転自在に枢支されており、回転体61の一方の端部には、その外周面に突縁部62が形成され、該突縁部62に沿ってギア63が形成されている。また、回転体61は、円筒状のカバー64の内部に設けられており、このカバー64には、回転体61を回転させるための操作軸65が回転自在に枢支されている。操作軸65の一方の端部にはギア66が設けられており、このギア66が回転体61の突縁部62に形成されたギア63に歯合されている。これにより、操作軸65の他方の端部に設けられたハンドル部67を回転させることにより、回転体61を回転させることができるようになっている。
【0038】
回転体61には、クランプ機構部34が固定され、回転体61と一体に回転するようになっている。すなわち、図1及び図2に示すように、クランプ機構部34においては、回転機構部33の回転体61と一体に回転するようになされたフレーム71を備え、このフレーム71には、クランプフォーク部材72、73をガイドするためのガイド孔74が形成されている。クランプフォーク部材72、73は、このガイド孔74に沿って互いに接近する方向又は反対に離間する方向に移動可能となっている。
【0039】
図6に示す通り、フレーム71には、送りねじ76が回転自在に支持されており、この送りねじ76は、クランプフォーク部材72、73にそれぞれ形成されたねじ軸受(図示せず)に螺合されている。送りねじ76においては、クランプフォーク部材72が螺合されて移動する領域と、クランプフォーク部材73が螺合されて移動する領域とで反対方向にねじが形成されている。これにより、送りねじ76を回転させるためのハンドル部77を回転させることにより、クランプフォーク部材72、73をガイド孔74に沿って互いに接近する方向又は離間する方向に移動させることができるようになっている。すなわち、クランプ機構部34においては、正ねじ、逆ねじを切ったスクリューシャフト2本に、対向するクランプフォーク部材72、73が各々セットされた状態で、リフター中央部において、スクリューシャフト同士を連結カプラーによりセットピン等で連結し一体化することにより送りねじ76を構成している。このように、正ねじ、逆ねじが組み合わされたスクリューシャフトを用いることにより、片側のハンドル部77の操作のみで両方のクランプフォーク部材72、73を同時移動させて対象ワーク(フィルムロール10)をクランプ機構部34の中心位置(すなわち、回転機構部33の回転中心位置)でクランプすることが可能となる。このように、中心位置でクランプすることにより、対象ワークをクランプした状態で回転機構部33によりクランプ機構部34を回転させても、アンバランスな状態となることを防止することができる。なお、片側のハンドル部77を操作している際、他方のハンドル部は空回りすることになるので、ハンドル部77を着脱自在として不要な側のハンドル部を取り外すことができる。
【0040】
クランプフォーク部材72は、一方の端部(フォーク部72a)と他方の端部(フォーク部72b)とが略平行となるように全体が略U字状に形成されている。また、クランプフォーク部材73も同様にして、一方の端部(フォーク部73a)と他方の端部(フォーク部73b)とが略平行となるように全体が略U字状に形成されている。クランプ機構部34では、フォーク部72aとフォーク部73aとが対向し、フォーク部72bとフォーク部73bとが対向するように設けられ、クランプフォーク部材72、73が互いに接近する方向に移動した場合にフォーク部72aとフォーク部73aとが接近すると共に、フォーク部72bとフォーク部73bとが接近するようになっている。また、反対にクランプフォーク部材72、73が互いに離間する方向に移動した場合にフォーク部72aとフォーク部73aとが離間すると共に、フォーク部72bとフォーク部73bとが離間するようになっている。
【0041】
フォーク部72a、73aには、互いに対向する部分に半円形の凹状に形成されたフォーク溝72c、73cが形成されており、このフォーク溝72c、73c間にフィルムロール10のコア11を挟んで挟持するようになっている。また、フォーク部72b、73bにおいても同様にして、互いに対向する部分に凹状のフォーク溝が形成されており、このフォーク溝間にフィルムロール10のコア11を挟んで挟持するようになっている。
【0042】
フォーク部72aと72bとの間の距離、及びフォーク部73aと73bとの間の距離は、それぞれ、フィルムロール10のコア11に設けられたプレート13aと13bとの間の距離よりも大きく、コア11の長さよりも小さくなるように形成されている。これにより、図1(A)に示すように、フォーク部72a、72bとフォーク部73a、73bとによって、フィルムロール10のコア11を、プレート13a、13bが設けられた外側で挟持することができるようになっている。
【0043】
因みに、上述したように、フィルムロール用のコア11において、プレート13a及び13bの取り付け位置は、コア11に巻き付けられたフィルム12の端部から離間した位置であって、かつ、コア11の端部から離間した位置となっている。これにより、プレート13a、13bとコア11の端部との間でフィルムロール10を把持することができ、フィルム12の端部に傷が付くことを回避するようになっている。
【0044】
リフター20においては、クランプ機構部34によってフィルムロール10を挟持した状態で、回転機構部33によってクランプ機構部34を回転させることにより、クランプ機構部34に挟持されたフィルムロール10を回転させることができる。すなわち、図1に示すように、クランプ機構部34によってフィルムロール10を水平方向に挟持した状態において、回転機構部33によってクランプ機構部34を例えば矢印d方向に回転させることにより、図6に示すように、クランプ機構部34に挟持されたフィルムロール10が斜めに保持された状態を介して、図7及び図8に示すように、フィルムロール10が垂直に挟持された状態となる。なお、図7(A)は、リフター20の正面図、図7(B)は、リフター20の側面図、図8は、リフター20の上面図である。
【0045】
以上説明したリフター20を用いて、フィルムロール10を移送する工程について説明する。フィルム12をフィルムロール10から巻き出し又は巻き取る搬送装置としては、フィルムロール10をそのコア11の向きが水平方向となるように取り付ける横搬送装置と、フィルムロール10をそのコア11の向きが垂直方向となるように取り付ける縦搬送装置とがある。ここでは、水平搬送装置に取り付けられているフィルムロール10を、縦搬送装置に移送して受け渡す場合について説明する。なお、横搬送装置は、薄膜太陽電池の成膜工程に使用されるフィルムの巻き取り室に設置されており、縦搬送装置は、成膜工程におけるその後の工程に使用されるフィルムの巻き出し室に設置されているものとする。
【0046】
図9(A)に示すように、まず、リフター20の回転機構部33を操作することにより、クランプ機構部34のクランプフォーク部材72及び73が上下に配置された状態にすると共に、上下移動機構部31を操作することにより、クランプ機構部34の高さを、横搬送装置(図示せず)からフィルムロール10を受け取るための高さに調節する。また、クランプ機構部34を操作することにより、クランプフォーク部材72を上方へ移動させると共に、クランプフォーク部材73を下方へ移動させる。これにより、フォーク部72a、72bと、フォーク部73a、73bとの間にフィルムロール10のコア11を挿入するための間隙が形成される。
【0047】
この状態において、図9(B)に示すように、横搬送装置からフィルムロール10をクランプ機構部34の下側のフォーク部73a、73bのフォーク溝73cに受け取る。この場合、クランプ機構部34においては、横搬送装置に合わせて、フィルムロール10を水平方向に支持する状態でこれを受け取ることができる。
【0048】
そして、この状態において、クランプ機構部34を操作することにより、フィルムロール10を支持した下側のフォーク部73a、73bを上方に移動させると共に、上側のフォーク部72a、72bを下方に移動させる。これにより、図9(C)に示すように、フォーク部72a及び73aによって、フィルムロール10のコア11の一方の端部が、フォーク部72a及び73aの各フォーク溝72c及び73cの間で挟持され、また、コア11の他方の端部が、フォーク部72b及び73bの各フォーク溝の間で挟持される。なお、フォーク部72a、73aのフォーク溝72c、73cと、フォーク部72b、73bのフォーク溝とは、それぞれの溝の深さが、コア11を挟持し得る程度に限定されている。これにより、フォーク部72a、72bとフォーク部73a、73bとを接近する方向に移動させた場合に、フォーク部72a、73aのフォーク溝72c、73cと、フォーク部72b、73bのフォーク溝との間に形成される略円形の孔部において、コア11が不用意に動くことを防止し得、確実にコア11を挟持することができる。
【0049】
またこの場合、フォーク部72aと72bとの間の距離及びフォーク部73aと73bとの間の距離は、フィルムロール10のコア11に固定されたプレート13aと13bとの間の距離よりも大きく、かつコア11の長さよりも小さくなっていることにより、コア11の両端部近傍をプレート13a、13bの外側(コア11の端部側)でクランプすることができる。
【0050】
このようにして、クランプ機構部34によってフィルムロール10のコア11を挟持した後、図6及び図7に示したように、回転機構部33を操作することによって、クランプ機構部34を矢印d(図6、図7)で示す方向に90°回転させる。これにより、リフター20によるフィルムロール10の移送先である縦搬送装置におけるフィルムロール10の取り付け状態に合わせて、フィルムロール10をそのコア11の軸線が垂直方向を向くように保持することができる。
【0051】
この場合、フィルムロール10が水平状態から回転して垂直状態となる過程において、クランプ機構部34にクランプされたフィルムロール10は、コア11の両端部近傍に固定された2つのプレート13a、13bのうち、回転に伴って下側となるプレート(例えば13a(図6))がフォーク部72a、73aに当接する方向(下向き)に徐々に滑り落ちることになる。そして、プレート13aがフォーク部72a、73aに当接した状態で、このフォーク部72a、73aによってプレート13aが支えられる。すなわち、プレート13aによってフィルムロール10の質量が受け止められることとなる。従って、フィルムロール10に巻き付けられたフィルム12の端面にはフィルムロール10の荷重がかからないことにより、該端面に傷や曲がり等が発生することを防止することができる。
【0052】
そして、図7に示すように、回転機構部33によって、フィルムロール10がそのコア11の軸方向が垂直方向となる状態とした後、上下移動機構部31を操作することにより、クランプ機構部34に挟持されたフィルムロール10を、必要な揚程まで上昇させる。この状態で、リフター20を手押し又は電動で走行させることにより、縦搬送装置が設置されているフィルムの巻き出し室へ搬入する。
【0053】
リフター20によりフィルムロール10を巻き出し室へ搬入した後、クランプ機構部34に挟持されているフィルムロール10の水平位置を、水平移動機構32の操作によって微調整することにより、巻き出し装置においてチャッキング可能な水平位置にフィルムロール10を位置決めすることができる。このように、水平移動機構部32によってフィルムロール10の水平位置を微調整し得ることにより、リフター20全体を前後方向に移動させながら徐々に水平位置を微調整するといった煩雑な手間を回避することができる。
【0054】
かくして、以上説明した本実施の形態のリフター20によれば、クランプ機構部34にクランプされたフィルムロール10を、回転機構部33によって回転させることができることにより、横搬送装置及び縦搬送装置に対して同一のリフター20によってフィルムロール10の受け渡しを行うことができる。そして、このように回転機構部33を設けた分、リフター20の質量が増加した場合であっても、水平移動機構部32によってフィルムロール10の水平位置を微調整し得ることにより、リフター20全体を少しずつ移動させながら位置合わせするといった煩雑な手間を回避して、一段と容易にフィルムロール10の受け渡しを行うことが可能となる。
【0055】
また、コア11の軸方向が垂直方向となるようにフィルムロール10をクランプした状態において、コア11に固定されたプレート13a、13bによってフィルムロール10の質量を受け止めることにより、フィルムロール10のフィルム端面に損傷が発生することを防止することができ、この結果、フィルム12を用いて製造された薄膜太陽電池の品質を向上させることができる。
【0056】
なお、上述の第1の実施の形態においては、コア11の両端近傍にそれぞれプレート13a及び13bを設ける場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、回転機構部33によってフィルムロール10を回転させた場合に、下側となる端部が常に決まっている場合には、その側にのみプレート13aを設けるようにしてもよい。
【0057】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係るリフターは、第1の実施の形態に係るリフター20に対して、リフターの転倒防止用のアウトリガー車輪(張出し車輪)を設け、前輪27a、27bの間隔を狭くした点のみが異なる。従って、第2の実施の形態に係るリフター120を示す図10及び図11においては、第1の実施の形態のリフター20を示す図1との対応部分に同一符号を付して、重複した説明を省略する。
【0058】
図10及び図11に示すように、リフター120においては、一対の前脚部25の間隔Wを、図1に示したリフター20の構成に比べて狭く配置すると共に、各前脚部25から互いに逆の外方向へ張出し脚部123a及び123bを設け、この張出し脚部123a、123bの各先端部に第2の車輪部として張出し車輪124a及び124bを設けた構成を有している。張出し車輪124a、124bの取り付け高さは、該張出し車輪124a、124bと床との間に1〔mm〕〜5〔mm〕のクリアランスが生じるような高さとなっている。
【0059】
本実施の形態においては、張出し車輪124a、124bを設けることにより、図10に示すように、クランプ機構部34によってクランプされたフィルムロール10を、回転機構部33によってコア11の軸方向が垂直方向となるように回転させた状態で、上下移動機構部31によって高い位置に保持した場合であっても、十分な転倒防止機能を有することとなる。すなわち、前輪27a、27bと後輪28a、28bによって構成される第1の車輪部においては、前輪27a、27bと後輪28a、28bとの間に十分な間隔が設けられていることにより、前方に突出したフォーク部72a、72b、73a、73bによってフィルムロール10をクランプした場合であっても、リフター120がフィルムロール10の荷重によって前方に倒れることを防止しており、本実施の形態では、さらにこれに加えて、張出し車輪124a、124bによって側方への安定性を保つようになっている。
【0060】
また、張出し車輪124a、124bを設けて十分な転倒防止機能持たせることにより、一対の前脚部25の間隔Wを狭くすることができる。これにより、リフター120の回転半径を小さくすることができ、操作性を向上することができると共に、リフター120によってフィルムロール10を受け渡す搬送装置(例えば横搬送装置と縦搬送装置)の間隔を狭くすることができる。従って、薄膜太陽電池の製造工程に係るスペースを一段と圧縮することが可能となる。なお、図11に示すように、リフター120においては、前輪27a、27bは固定輪であり、後輪28a、28bは自在輪である。これにより、対角の前輪(後輪28aに対して前輪27b、後輪28bに対して前輪27a)を支点として後輪28a、28bがそれぞれ首振りして回転するようになっている。この場合、回転半径rは、リフター120の構造部分のうち、例えば前輪27bの中心点Oを中心として、中心点Oから最も離れた部位Sを通る円弧までの距離が回転半径rとなる。この実施の形態のリフター120では、対角後輪(前輪27aに対して後輪28b、前輪27bに対して後輪28a)が中心点Oから最も離れた部位となっていることにより、図11に示すように、前輪28bを中心として見た場合に対角後輪28aの最も離れた位置Sを通る円弧までの距離が回転半径rとなる。なお、本実施の形態のリフター120では、後輪28a、28bが中心点Oから最も離れた部位Sとなっているが、リフターによっては他の構造部位が最も離れた部位となる場合もある。例えば、図12は、他のリフターの一部を簡略的に示す上面図であり、このリフターにおいては、その構造部分であるフレーム126の角部が中心点Oから最も離れた部位Sとなっており、この場合には、このフレーム126の角部と中心点Oとの間の距離が回転半径rとなる。
【0061】
因みに、近年、開発が進んでいる1〔m〕幅程度のフィルムを使用した大面積アモルファスシリコン太陽電池を製造するための縦搬送装置を用いた製造設備では、排気抵抗や装置設置面積の低減を図るため、成膜用真空容器の下部に真空ポンプを設置することが望ましく、この場合には、リフター120によるフィルムロール10の受け渡し対象となる搬送装置の高さが高くなり、リフター120によるフィルムロール10の揚程は、例えば、1.5〔m〕から2〔m〕と高くなる。この場合、リフターの前脚部25の間隔を広げることでリフターの転倒防止性を高める方法も考えられるが、このようにすると、リフターの回転半径が大きくなり、リフターの操作性が低下すると共に、リフターの可動スペースを大きくとる必要がある分、工場建屋面積が拡大することとなる。本実施の形態に係るリフター120を用いることにより、係る問題点を解決することが可能となる。
【0062】
また、張出し車輪124a、124bと床との間に、1〔mm〕〜5〔mm〕のクリアランスを設けることにより、床面のうねりや凹凸による床面からの不要な反力が張出し車輪124a、124bを介してリフター120に加わることを防止することができる。これにより、リフター120の走行時における安定性を確保することができると共に、リフター120の傾斜角度が大きくなった場合には、張出し車輪124a、124bにより反力を得てリフター120の転倒を防止することができる。
【0063】
なお、上述の第2の実施の形態においては、張出し脚部123a、123bを固定式とする場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、折りたたみ式として、フィルムロール10を高揚程にリフトする場合においてのみ張出し車輪124a、124bを引き出して使用するようにしてもよい。このようにすれば、フィルムロール10の揚程を低くして移送する場合には、リフター120の操作性を向上することができる。特に、長距離移動時にはフィルムロール10の揚程を低くし、張出し車輪124a、124bを折りたたむことで、操作性良くフィルムロール10を移送することができる。
【0064】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係るリフターは、第1の実施の形態に係るリフター20に対して、クランプ機構部34のフォーク部72a、73aに形成された凹状のフォーク溝72c、73cの構成、及び一対のクランプフォーク部材72及び73(すなわちフォーク部72a及び73a(72b及び73b))が必要以上に接近しないように制限するストッパを設けた点のみが異なる。すなわち、図13は、本実施の形態に係るリフターのフォーク部72a、73aを示し、このフォーク部72a、73aには、凹状のフォーク溝172c、173cとして、台形形状の凹部が形成されている。そして、各フォーク溝172c、173cには、クランプされるコア11との接触部位に、低硬度の緩衝材181が設けられている。
【0065】
また、フォーク部72a(72b)には、フォーク部73a(73b)と対向する位置にストッパ172dが形成されており、フォーク部72a(72b)と73a(73b)とを接近する方向に移動させた際に、フォーク部72a(72b)と73a(73b)とが必要以上に接近しないように制限されている。このストッパ172dによって、フォーク部72a(72b)と73a(73b)によるコア11のクランプ(把持)寸法を制限するようになっている。なお、図13においては、フォーク部72a及び73a側のみを示しているが、反対側のフォーク部72b及び73bにおいても同様の構成を有しているものとする。
【0066】
以上の構成において、図13(A)に示すように、フィルムロール10のコア11をフォーク部72a(72b)のフォーク溝172cに載せ、クランプ機構部34(図1)を操作することにより、フォーク部72a(72b)及び73a(73b)を互いに接近する方向に移動させる。そして、図13(B)に示すように、コア11がフォーク溝172cによって上下からクランプされた状態となると、ストッパ172dが対向するフォーク部73aに当接することにより、フォーク部72a(72b)と73a(73b)とがそれ以上接近しないように制限される。この制限状態においては、コア11が緩衝材181の変形範囲内で挟持される。このように、緩衝材181及びストッパ172dを用いることにより、コア11に過大な圧縮力が加わることを回避して、コア11が変形することを防止することができる。
【0067】
また、図13(B)に示すように、コア11がフォーク部72a(72b)及び73a(73b)によって挟持された状態においては、上下のフォーク溝172cによって六角形の孔部が形成される。この場合、下側のフォーク部73a(73b)によってフィルムロール10の質量を支え、上側のフォーク部72a(72b)によってコア11の位置決めを行いながら、回転機構部33(図1)によってフィルムロール10を90°回転させてコア11の軸方向が垂直方向となるようにすることにより、フィルムロール10の回転中においては、コア11が安定位置に滑動し易くなると共に、滑動後には、2つのフォーク溝172cによって形成される六角形の孔部によってコア11の荷重受け用のプレート13aが確実に保持される。これにより、コア11にスクラッチ傷が発生することを防止し得ると共に、フィルムロール10の回転、着脱作業を一段と容易に行うことができる。
【0068】
なお、上述の第3の実施の形態においては、フォーク部72aの一部にストッパ172dを設ける場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、要は、フォーク部72a(72b)と73a(73b)との接近を制限するものであればよい。
【0069】
(他の実施の形態)
なお、上述の第3の実施の形態においては、台形形状のフォーク溝172c、173cに緩衝部材181を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、図1について上述した第1の実施の形態に係る半円形状のフォーク溝72c、73cに緩衝部材181を設けるようにしてもよい。
【0070】
また、上述の第3の実施の形態においては、台形形状のフォーク溝172c、173cに緩衝材181を設けた構成において、ストッパ172dを設ける場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、図1について上述した第1の実施の形態に係る半円形状のフォーク溝72c、73cを有する構成において、フォーク部72、73の必要以上の接近を制限するストッパを設けるようにしてもよい。また、この場合にフォーク溝72c、73cに緩衝材181を設けるようにしてもよい。
【0071】
また、上述の各実施の形態においては、フィルムロール10のコア11に円板形状のプレート13a、13bを設ける場合について述べたが、プレート13a、13bの形状はこれに限られるものではなく、要は、コア11の外周面から突出した突縁形状であればよく、円形には限られない。また、コア11の外周面の全周に亘って形成されていなくてもよい。
【0072】
また、上述の第3の実施の形態においては、図1に示した第1の実施の形態の構成に対して、台形のフォーク溝172c及びストッパ172dを設けた場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、図10及び図11に示した第2の実施の形態の構成に対して、台形のフォーク溝172c及びストッパ172dを設けるようにしてもよい。
【0073】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、構成について適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、可撓性のあるフィルム基板上に光電変換層を形成してなる薄膜太陽電池を製造する設備に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるリフターの構成を示す正面図及び側面図
【図2】図1のリフターの上面図
【図3】図1のリフターの上下移動機構部を示す正面図及び側面図
【図4】図1のリフターの水平移動機構部を示す正面図及び側面図
【図5】図1のリフターの回転機構部を示す正面図及び側面図
【図6】図1のリフターの回転機構部による回転動作の説明に供する正面図
【図7】図1のリフターによるフィルムロールの垂直把持状態を示す正面図及び側面図
【図8】図7の状態におけるリフターの上面図
【図9】図1のリフターのクランプ機構部による把持動作の説明に供する側面図
【図10】本発明の第2の実施の形態にかかるリフターの構成を示す正面図及び側面図
【図11】本発明の第2の実施の形態にかかるリフターの構成を示す上面図
【図12】他のリフターの構成を示す上面図
【図13】本発明の第3の実施の形態にかかるリフターのフォーク部の構成を示す側面図
【図14】従来のリフターの構成を示す正面図
【符号の説明】
【0076】
1、20、120…リフター、10…フィルムロール、11…コア、12…フィルム、13a、13b…プレート、25…前脚部、26…マスト部、27a、27b…前輪、28a、28b…後輪、31…上下移動機構部、32…水平移動機構部、33…回転機構部、34…クランプ機構部、41、51…移動体、72、73…クランプフォーク部材、72a、72b、73a、73b…フォーク部、72c、73c、172c、173c…フォーク溝、123a、123b…張出し脚部、124a、124b…張出し車輪、181…緩衝材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムが巻き取られたフィルムロール用コアを移動させるリフターであって、
互いに接近することにより前記フィルムロール用コアを把持する一対のフォーク部材と、
前記フォーク部材に把持されたフィルムロール用コアの軸方向が少なくとも水平方向に向く状態と垂直方向に向く状態との間を遷移可能に前記フォーク部材を回転させる回転機構部と、
前記フォーク部材を水平方向に移動させる水平移動機構部とを具備することを特徴とするリフター。
【請求項2】
前記フォーク部材、前記回転機構部及び前記水平移動機構部を支持するフレームの下部に設けられた走行用の第1の車輪部と、
前記フレームから互いに逆の外方向に延設された一対の張出し脚部と、
前記張出し脚部にそれぞれ設けられた転倒防止用の第2の車輪部とを具備することを特徴とする請求項1に記載のリフター。
【請求項3】
前記第2の車輪部と床面との間に間隙が形成されることを特徴とする請求項2に記載のリフター。
【請求項4】
前記フォーク部材は、
前記フィルムロール用コアを把持する溝部と、
前記溝部に設けられた緩衝材とを具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のリフター。
【請求項5】
前記一対のフォーク部材の接近間隔を制限するストッパと、
前記フォーク部材に設けられ、前記フィルムロール用コアを把持する溝部と、
前記溝部に設けられた緩衝材とを具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のリフター。
【請求項6】
前記溝部は、台形形状の凹部であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のリフター。
【請求項7】
フィルムを巻き取るためのフィルムロール用コアであって、
フィルムが巻き付けられた際の該フィルムの端部位置とコア端部との間であって前記フィルムの端部位置及び前記コア端部から離間した位置にコア外周面から突出する突縁部が形成されたことを特徴とするフィルムロール用コア。
【請求項1】
フィルムが巻き取られたフィルムロール用コアを移動させるリフターであって、
互いに接近することにより前記フィルムロール用コアを把持する一対のフォーク部材と、
前記フォーク部材に把持されたフィルムロール用コアの軸方向が少なくとも水平方向に向く状態と垂直方向に向く状態との間を遷移可能に前記フォーク部材を回転させる回転機構部と、
前記フォーク部材を水平方向に移動させる水平移動機構部とを具備することを特徴とするリフター。
【請求項2】
前記フォーク部材、前記回転機構部及び前記水平移動機構部を支持するフレームの下部に設けられた走行用の第1の車輪部と、
前記フレームから互いに逆の外方向に延設された一対の張出し脚部と、
前記張出し脚部にそれぞれ設けられた転倒防止用の第2の車輪部とを具備することを特徴とする請求項1に記載のリフター。
【請求項3】
前記第2の車輪部と床面との間に間隙が形成されることを特徴とする請求項2に記載のリフター。
【請求項4】
前記フォーク部材は、
前記フィルムロール用コアを把持する溝部と、
前記溝部に設けられた緩衝材とを具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のリフター。
【請求項5】
前記一対のフォーク部材の接近間隔を制限するストッパと、
前記フォーク部材に設けられ、前記フィルムロール用コアを把持する溝部と、
前記溝部に設けられた緩衝材とを具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のリフター。
【請求項6】
前記溝部は、台形形状の凹部であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のリフター。
【請求項7】
フィルムを巻き取るためのフィルムロール用コアであって、
フィルムが巻き付けられた際の該フィルムの端部位置とコア端部との間であって前記フィルムの端部位置及び前記コア端部から離間した位置にコア外周面から突出する突縁部が形成されたことを特徴とするフィルムロール用コア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−84016(P2009−84016A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257829(P2007−257829)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
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