説明

リフトオフ工程を用いてテンプレートを生成する方法

特に、本体上に導電層を形成し、導電層上に、突起部と導電層の部分を露出させる凹部とを有するパターン形成層を形成することによって、多層構造体を生成し、多層構造体上にハードマスク材料を異方性に堆積させ、パターン形成層の上面及び導電層の部分を覆うようにし、ハードマスク材料が導電層の部分上に残っている状態で、リフトオフ・プロセスによってパターン形成層を除去し、多層構造体上にレジスト・パターンを配置して多層構造体の領域を定め、ハードマスク材料をエッチング・マスクとして使用して、領域と重なり合う多層構造体の部分を選択的に除去するステップを含む、リソグラフィ・テンプレートを生成する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィ用のテンプレートを形成する方法に関するものであり、特にリフトオフ工程を用いてテンプレートを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノファブリケーションは、例えばナノメートル又はそれより小さいオーダーの構造部を有する、非常に小さい構造体の製造を伴う。ナノファブリケーションが著しい影響を及ぼしている1つの分野は、集積回路の加工である。半導体加工業界が、基板上に形成される単位面積当たりの回路を増大しながら、より大きい製造歩留まりを得ようと努力し続けるに従い、ナノファブリケーションが、ますます重要になっている。ナノファブリケーションにより、形成される構造体の最小構造部寸法を更に低減させることを可能にしながら、より大きいプロセス制御が与えられる。ナノファブリケーションが用いられている他の発展分野として、バイオテクノロジー、光学技術、機械システム等が挙げられる。
【0003】
1つの例示的なナノファブリケーションは、一般的にインプリント・リソグラフィと呼ばれる。例示的なインプリント・リソグラフィ法は、「Method and a Mold to Arrange Features on a Substrate to Replicate Features having Minimal Dimensional Variability]という名称の米国特許出願第10/264,960号として出願された特許文献1、「Method of Forming a Layer on a Substrate to Facilitate Fabrication of Metrology Standards」という名称の米国特許出願第10/264,926号として出願された特許文献2、及び「Functional Patterning Material for Imprint Lithography Processes」という名称の特許文献3のような、多くの刊行物に詳細に記述されており、これらの全てが本発明の譲受人に譲渡されている。
【0004】
前述の米国特許出願公開及び米国特許の各々に開示されるインプリント・リソグラフィ技術は、重合可能な層にレリーフ・パターンを形成し、このレリーフ・パターンに対応するパターンを下にある基板に転写することを含む。パターン形成を容易にするためには、基板を、台上で所望の位置が得られるように配置すればよい。そのために、金型を該基板から離した状態で置き、該金型と基板との間に形成可能な液体を入れる。この液体は、固化して、液体と接触している金型の表面形状と一致するパターンが記録されたパターン形成層を形成する。次いで、金型がパターン形成層から分離され、該金型と基板が離される。次に、基板及びパターン形成層には、パターン形成層におけるパターンに対応するレリーフ像を基板に転写する工程が施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0065976号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0065252号
【特許文献3】米国特許第6,936,194号
【特許文献4】米国特許第6,873,087号
【特許文献5】米国特許第6,932,934号
【特許文献6】米国特許第7,077,992号
【特許文献7】米国特許第7,179,396号
【特許文献8】米国特許出願公開第2004/0211754号
【特許文献9】米国特許第4,190,488号
【特許文献10】米国特許第4,498,953号
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】金型が多層構造体から離間された状態におけるリソグラフィ・システムの単純化された側面図である。
【図2】導電層が上に配置された基板からなる、図1に示される多層構造体の単純化された側面図である。
【図3】パターン形成層が上に配置された、図2に示される多層構造体の単純化された側面図である。
【図4】ハードマスク材料が上に堆積された、図3に示される多層構造体の単純化された側面図である。
【図5】リフトオフ工程が施された、図4に示される多層構造体の単純化された側面図である。
【図6】レジスト・パターンが上に配置された、図5に示される多層構造体の単純化された側面図である。
【図7】ハードマスク材料及びレジスト・パターン層のパターンが導電層及び基板内に転写された、図6に示される多層構造体の単純化された側面図である。
【図8】ハードマスク材料及びレジスト・パターン層が実質的に除去された、図7に示される多層構造体の単純化された側面図である。
【図9】接着層が上に堆積された、図8に示される多層構造体の単純化された側面図である。
【図10】像形成層が上に配置された、図9に示される多層構造体の単純化された側面図である。
【図11】像形成層のパターンが接着層内に転写された、図10に示される多層構造体の単純化された側面図である。
【図12】像形成層のパターンが基板内に転写された、図11に示される多層構造体の単純化された側面図である。
【図13】導電層、接着層、及び像形成層が実質的に除去された、図12に示される多層構造体の単純化された側面図である。
【発明の詳細な説明】
【0007】
図1を参照すると、基板12上にレリーフ・パターンを形成するためのシステム10が示される。基板12は、以下にさらに説明される基板チャック14に結合することができる。基板12及び基板チャック14は、台16上に支持することができる。さらに、台16、基板12、及び基板チャック14は、基部(示さず)上に配置することができる。台16は、x軸及びy軸を中心とする運動を与えることができる。
【0008】
テンプレート18が基板12から離して配置されており、このテンプレート18は、そこから基板12に向かって延びるメサ20を有し、該メサは、その上にパターン形成面22を有する。さらに、メサ20は、金型20と呼ぶことができる。メサ20は、ナノインプリント金型20と呼ぶこともできる。さらに別の実施形態では、テンプレート18は、実質的に金型20がない場合もある。テンプレート18及び/又は金型20は、これらに限定されるものではないが、溶融シリカ、石英、シリコン、有機ポリマー、シロキサンポリマー、ホウケイ酸ガラス、フッ素樹脂、金属及び硬化されたサファイアを含む材料から形成することができる。示されるように、パターン形成面22は、離間配置された複数の凹部24及び突起部26により定められる構造部を含む。しかしながら、さらに別の実施形態では、パターン形成面22は、実質的に平滑及び/又は平坦であってもよい。パターン形成面22は、基板12上に形成されるパターンの基礎を形成するオリジナルのパターンを定めることができる。
【0009】
引用により本明細書に組み入れられる「High−Precision Orientation Alignment and Gap Control Stages for Imprint Lithography Processes」という名称の特許文献4に記載されるように、テンプレート18は、テンプレート・チャック28に結合することができ、テンプレート・チャック28は、真空型、ピン型、溝型、または電磁型を含むいずれかのチャックであるが、これらに限定されるものではない。さらに、テンプレート・チャック28をインプリント・ヘッド30と結合させて、テンプレート18、よって金型20の動きを容易にすることができる。
【0010】
システム10は、流体分配システム32をさらに含む。この流体分配システム32は、基板12と流体連通して、その上にポリマー材料34を堆積させることができる。システム10は、任意の数の流体分配器を含むことができ、流体分配システム32は、その中に複数の分配ユニットを含むことができる。例えば、液滴の供給、スピン・コーティング、浸漬コーティング、化学気相堆積(CVD)、物理気相堆積(PVD)、薄膜堆積、厚膜堆積等のいずれかの周知の技術を用いて、基板12上にポリマー材料34を配置することができる。典型的には、ポリマー材料34が基板12上に堆積され、その後で所望の容積が金型20と基板12との間に形成される。しかしながら、所望の容積が得られた後に、このポリマー材料34によって該容積を充填するようにしてもよい。
【0011】
システム10は、経路42に沿ってエネルギー40を導くように結合されたエネルギー40の源38をさらに含む。インプリント・ヘッド30と台16は、金型20と基板12が、それぞれ重ね合わせられ、経路42内に配置されるように構成されている。インプリント・ヘッド30及び台16のいずれか又はその両方は、金型20と基板12との間の距離を変化させて、これらの間に所望の容積を定め、この容積がポリマー材料34で充填される。所望の容積をポリマー材料34で充填した後、源38は、エネルギー40、例えば広帯域紫外線を生成し、該紫外線がポリマー材料34を基板12の表面44及びパターン形成面22の形状に従って固化及び/又は架橋させる。源38は、紫外線エネルギーを生成することができる。しかしながら、熱、電磁、可視光等の他のエネルギー源を用いることもできる。ポリマー材料34の重合を開始するために用いられるエネルギーの選択は、当業者には周知であり、典型的には所望の特定の用途によって決まる。システム10は、台16、インプリント・ヘッド30、流体分配システム32及び源38とデータ通信状態にあり、メモリ56内に格納されたコンピュータ可読プログラム上で動作するプロセッサ54によって調整することができる。
【0012】
上述の内容は、「Formation of Discontinuous Films During an Imprint Lithography Process」という名称の特許文献5、「Step And Repeat Imprint Lithography Processes」という名称の特許文献6、「Positive Tone Bi−Layer Imprint Lithography Method」という名称の特許文献7、及び「Method of Forming Stepped Structures Employing Imprint Lithography」という名称の米国特許出願第10/432,642号として出願された特許文献8に記載されているインプリント・リソグラフィ法及びシステムにおいてさらに用いることができ、これら特許文献の全てを引用により本明細書に組み入れる。
【0013】
そのために、図2を参照すると、基板12は、導電層60が上に配置されて、多層構造体62を定める状態で示されている。1つの実施形態において、基板12は、溶融シリカから形成することができるが、基板12は、いずれの材料から形成することもできる。基板12は、粗さが細かく、欠陥の少ない高品質光学表面を有するものとすることができ、さらにスクラッチ/ディグは20/10が好ましい。基板12は、厚さt1が該基板12にわたって実質的に均一である。1つの実施形態において、厚さt1は、基板の加工中の基板12の曲げ/変形を容易にするように、1mm未満とすることができる。
【0014】
導電層60は、例えば、液滴供給、スピン・コーティング、浸漬コーティング、化学気相堆積(CVD)、物理気相堆積(PVD)等のいずれかの周知の技術を用いて形成することができる。導電層60は、該導電層60を通るエッチング転写を容易にし、かつ、基板12にわたって実質的に均一である厚さt2を有するものとすることができる。一例において、厚さt2は、10nm未満とすることができ、5nm未満の粗さを有するものとすることができる。さらに、導電層60を構成する材料に応じて、厚さt2は、導電層60が導電性であり、従って、e−ビーム・リソグラフィの露光の際に電荷を逃がすことができるような大きさとすることができる。一例において、5キロ・オーム/スクエアより小さいシート抵抗が用いられる。さらに、導電層60は、適切なドライ・エッチング法により、実質的に異方性となるようにエッチングすることができる。また、導電層60は、堆積後に実質的に安定しており、例えば化学的酸化又は物理的脱湿等、化学的又は物理的変化が生じにくいものであることが望ましい。さらに、導電層60は、例えば、酸及び/又はベース溶液等による一般的な洗浄プロセスと両立性があることが望ましい。さらに、導電層60は、基板12との間で、又は以下にさらに説明されるように該導電層の上に配置される材料との間で、混入又は混合を生じることに対して実質的に耐性があることが望ましい。さらに、導電層60は、基板12に対して、及び以下にさらに説明されるように該導電層の上に配置される材料のいずれに対しても、接着性を有することが望ましい。
【0015】
導電層60は、これらに限定されるものではないが、タンタル、タングステン、モリブデン、チタン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン、窒化モリブデン、タンタルシリサイド、タングステンシリサイド、チタンシリサイド、モリブデンシリサイド、窒化タンタルシリコン、窒化タングステンシリコン、窒化チタンシリコン、及び窒化モリブデンシリコンを含む材料から形成することができる。さらに別の実施形態では、導電層60は、これらに限定されるものではないが、合金ターゲットからのスパッタリング、反応性スパッタリング、反応性同時スパッタリング、及び真空蒸着技術を含む方法により、上述の材料の合金膜から形成することができる。本例においては、導電層60は、タンタルから形成することができ、厚さt2は5nmの大きさを有するものとすることができる。
【0016】
さらに別の実施形態では、導電層60は望ましくない酸化物を形成し易いものであり、そのため、キャッピング層(図示せず)が導電層60上に堆積される場合がある。キャッピング層(図示せず)は、シリコン、及びエッチングが容易な酸化物を形成することができる他の材料から形成することもできる。
【0017】
図3を参照すると、パターン形成層64を導電層60上に配置して、導電層60が基板12と該パターン形成層64との間に置かれた構成の多層構造体162を形成することができる。パターン形成層64は、複数の突起部66及び凹部68を有するものとすることができ、該凹部68は導電層60の部分70を露出させる。さらに、突起部66は、上面72及び側壁74を有するものとすることができる。パターン形成層64は、厚さt3が45nmの大きさであることが好ましいが、特定の用途及び所望のパターン形成解像度に応じて、どのような厚さを用いてもよい。パターン形成層64は、e−ビーム・リソグラフィを用いて形成することができる。パターン形成層64は、Nippon Zeon Corporation社(日本ゼオン株式会社)から入手可能なZEP520Aのようなポジ型電子ビーム・レジスト、又は950k MW ポリメチルメタクリレート(PMMA)電子ビーム・レジストとすることができる。
【0018】
一例において、パターン形成層64は、100kV、2nmのビームステップ格子、及び0.1nA−1nAのビーム電流で動作するVistec VB6HRのような電子ビーム・リソグラフィ・ツールにより露光させることができる。このために、露光パターンとして、25nmの直径のドットで50nmのピッチを有するパターン形成層64を用いることができる。ZEP520Aレジストを現像する1つの方法は、5秒から120秒の間、摂氏−10度から10度までの温度で、アミルアセテート中に浸漬させることである。PMMAを現像する1つの方法は、5秒から120秒の間、摂氏−10度から10度までの温度で、イソプロピルアルコールと水の混合物中に浸漬させることである。現像中、30kHz−50kHzでの超音波撹拌を用いることが可能である。さらに、異方性デスカム・エッチングを用いて、導電層60の露出された表面からレジスト残留物を除去することができる。
【0019】
図4及び図5を参照すると、リフトオフ技術を図3に示される多層構造体162に用いることができる。より具体的には、引用により本明細書に組み入れられる「Etch−Enhanced Technique for Lift−Off Patterning」という名称の米国特許出願第11/856,862号に記載されているように、エッチングにより助長されたリフトオフ工程を用いることができる。このために、図4を参照すると、図3に示される多層構造体162上にハードマスク材料76を配置し、多層構造体262を形成することができる。ハードマスク材料76aは、図3に示される導電層60の部分70上に直接堆積させることができる。ハードマスク材料76bは、図3に示されるパターン形成層64の表面72上に堆積させることができる。1つの実施形態において、ハードマスク材料76は、真空蒸着などの方向性堆積プロセスを用いて、図3に示される多層構造体162上に配置することができる。
【0020】
ハードマスク材料76は、約10nmの厚さt4及び5nmより小さい粗さを有するものとすることができる。ハードマスク材料76は、該ハードマスク材料76を著しくエッチング又は侵食することなく、導電層60及び基板12に選択的エッチングを行うことができる。さらに、ハードマスク材料76は、高度の選択性をもって多層構造体262から除去できることが望ましい。さらに、ハードマスク材料76は、導電層60の部分70に接着することが望ましい。さらに、ハードマスク材料76は、堆積後に実質的に安定しており、例えば化学酸化又は物理的除湿のような、化学的又は物理的変化が生じにくいものであることが望ましい。さらに、ハードマスク材料76は、例えば、酸及び/又はベース溶液等による一般的な洗浄工程に対して両立性があることが望ましい。
【0021】
ハードマスク材料76は、これらに限定されるものではないが、クロム、ニッケル、白金、又はこれらの合金を含む材料から形成することができる。クロムは、容易に気化させることができ、等方性エッチングに好適であり、溶融シリカ(基板12)のための周知のエッチング・マスク材料である。
【0022】
図3及び図4を参照すると、パターン形成層64の側壁74上にハードマスク材料76が付着することがあるが、これは望ましいことではない。パターン形成層64の側壁74上に付着したハードマスク材料76を除去するために、多層構造体262に対して等方性ドライ・エッチングを施すことができる。1つの等方性ドライ・エッチングとして、90mTの圧力で、60sccmのCl2及び20sccmのO2のガス流量を用い、30ボルトのDC(直流)バイアスにより行う反応性イオン・エッチング工程がある。
【0023】
図5を参照すると、リフトオフ工程を完了するための1つの方法は、多層構造体262を、パターン形成層64を迅速に溶解させるものとして知られている溶剤中に浸漬させ、図4に示される多層構造体362を形成することからなる。PMMAに対する1つの溶剤は、ジクロロメタンである。ZEP520Aに対する1つの溶剤は、ジメチルアセトアミドである。1つの実施形態において、リフトオフ工程を30kHz−50kHzの超音波浴中で行なって、リフトオフ工程を促進することができる。後で、多層構造体362をイソプロパノールでリンスすることができる。
【0024】
図6を参照すると、レジスト・パターン層78を、図5に示される多層構造体362上に配置して、多層構造体462を形成することができる。このレジスト・パターン層78は、多層構造体462における、ハードマスク材料76aと導電層60の露出部分82とを含む領域80を定める。レジスト・パターン層78は、光リソグラフィ法その他のリソグラフィ法のいずれかを用いて形成することができる。
【0025】
図7を参照すると、図6に示される多層構造体462に対してエッチング工程を施し、その形状を基板12に転写して、多層構造体562を形成することができる。より具体的には、レジスト・パターン層78及びハードマスク材料76aのパターンを、基板12上に、従って図6に示される導電層60の露出部分82に転写すること、すなわち、該部分82及びこれと重なり合う基板12の部分を除去することができる。この点で、エッチング工程は、単一ステップ及びマルチステップ工程の両方を含むドライ・エッチングとすることができる。1つの実施形態において、フッ素含有のエッチング用化学物質を用いることができる。さらに、導電層60は、ハードマスク材料76aに対して、高い選択性でエッチングすることができる。
【0026】
さらに別の実施形態において、エッチング中、導電層60の露出部分82の反射率を計測することにより、導電層60のエッチングをその場で監視することができる。この計測は、光源(図示せず)を露出部分82に合焦させ、検知器(図示せず)を用いてそこから反射する光を監視することによって行なうことができる。導電層60のエッチングにより図2に示される導電層60の厚さt2を低減させ得るので、導電層60の露出部分82の反射率が変化する。導電層60の露出部分82の計測された反射率は、導電層60の露出部分82が図6に示される多層構造体462から実質的に除去される時点で変化を示すものであり、したがって、この時点では、エッチング工程が、露出された基板12を除去するようになっていることを示す。この変化が生じる時点をその場で計測することは、基板12内へのエッチング深度の精密な制御を助長するものとなる。
【0027】
図8を参照すると、図7に示されるハードマスク材料76a及びレジスト・パターン層78の両方を除去し、多層構造体662及び構造部84を形成することができる。図7に示されるレジスト・パターン層78を除去するための工程は、図7に示される多層構造体562を、5分間又はそれ以上にわたり、高温のピラニア溶液(3部のH2SO4、1部のH22)中に浸漬させることである。前述したように、ハードマスク材料76のための1つの材料はクロムであり、従って、クロムを除去する方法は、図7に示される多層構造体562を、硝酸セリウムアンモニウムを含む水溶液中に浸漬することである。
【0028】
図9を参照すると、図8に示す多層構造体662上にメサを形成することができる。メサを形成するためには、接着層86を図8に示す多層構造体662上に配置して、多層構造体762を形成する。1つの実施形態において、接着層86は、Crから形成することができ、かつ、これらに限定されるものではないが、スパッタリング及び蒸着を含む方法によって堆積させることができる。接着層86は、厚さt5が10nm−50nmの大きさのものとすることができる。
【0029】
図10を参照すると、像形成層88を図9に示される多層構造体762上に配置して、多層構造体862を形成することができる。より具体的には、多層構造体862上の、図8に示す構造部84と重なる領域90上に、像形成層88を配置する。この像形成層88は、光リソグラフィにより形成することができる。
【0030】
図11を参照すると、図10に示される多層構造体862に対してエッチング工程を施して、像形成層88のパターンを接着層86内に転写し、多層構造体962を形成することにより、導電層60の露出部分87を定めることができる。上述したように、接着層86のための1つの材料はクロムであり、従って、クロムをエッチングするための1つの方法は、図10に示される多層構造体862を、硝酸セリウムアンモニウムを含む水溶液中に浸漬させることを含むウェット・エッチング法である。
【0031】
図12を参照すると、図11に示される多層構造体962に対してエッチング工程を施して、像形成層88及び接着層86のパターンを基板12内に転写し、多層構造体1062を形成することができる。すなわち、図11に示される導電層60の露出部分87、及びこれと重なり合う基板12の部分を除去することができる。導電層60をエッチングするための1つの方法は、導電層60の露出部分を実質的に除去するドライ・エッチングである。基板12をエッチングするための1つの方法は、緩衝HF酸溶液中でのウェット・エッチングである。しかしながら、基板12にウェット・エッチングを行うと、接着層86及びレジスト層88の下にある基板12にアンダーカット部が生じることがある。さらに、一例においては、基板12は、約15ミクロンだけエッチングされ、その後、脱イオン化水中で十分にリンスすることができる。
【0032】
図13を参照すると、全てが図12に示される、像形成層88、接着層86、及び導電層60を除去し、多層構造体1162を形成することができる。導電層60は、実質的に選択的な工程により、基板12から除去することができる。1つの実施形態において、該導電層60は、本明細書に組み入れられる「Etching Method Using Noble Gas Halides」という名称の特許文献9に記載されるように、XeF2、XeF4、XeF6、KrF2、KrF4、及びKrF6などの希ガスハロゲン化物を用いて除去することができる。さらに別の実施形態においては、本明細書に組み入れられる「Etching Techniques」という名称の特許文献10におけるように、多原子ハロゲンフッ化物を用いることができる。1つの実施形態においては、溶融シリカ(基板12)に対して非常に低いエッチング速度を有しているため、XeF2(二フッ化キセノン)を用いることができる。結果として、導電層60の除去は、溶融シリカ(基板12)に対して極めて高い選択性をもって行なうことができる。さらに別の実施形態においては、導電層60を基板12上に残すことが望ましい。
【0033】
上述した本発明の実施形態は、例示的なものである。本発明の範囲内において、上記に説明した開示に対して、多くの変更及び修正をなすことができる。従って、本発明の範囲は、上記の記載により制限されるべきではなく、代わりに、添付の特許請求の範囲並びに均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。
【符号の説明】
【0034】
10 システム; 12 基板; 14 基板チャック; 16 台;
18 テンプレート; 20 メサ(金型); 22 パターン形成面;
30 インプリント・ヘッド; 32 液体分配システム; 34 ポリマー材料;
54 プロセッサ; 56 メモリ; 60 導電層;
62、162、262、362、462、562、662、762、862、962、1062 多層構造体; 64 パターン形成層; 66 突起部; 68 凹部;
76、76a ハードマスク材料; 78 レジスト・パターン層; 86 接着層;
88 像形成層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ・テンプレートを形成する方法であって、
(i)本体上に導電層を形成し、
(ii)前記導電層上に、突起部と、前記導電層の部分を露出させる凹部とを有するパターン形成層を形成することによって、多層構造体を生成し、
前記多層構造体上にハードマスク材料を堆積させ、前記堆積されたハードマスク材料が前記パターン形成層の上面及び前記導電層の前記露出された部分を覆うようにし、
前記ハードマスク材料が前記導電層の前記部分上に残っている状態で、前記パターン形成層を除去し、
前記多層構造体上にレジスト・パターンを配置して前記多層構造体の領域を定め、
前記ハードマスク材料をエッチング・マスクとして使用して、前記領域と重なり合う前記多層構造体の部分を選択的に除去する、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ハードマスク材料及び前記レジスト・パターンを除去するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電層を除去するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記本体内にメサを定めるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記多層構造体上に接着層を配置するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項2、請求項3、又は請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記多層構造体上に像形成層を配置してメサ・パターンを定め、前記像形成層をエッチング・マスクとして使用して該多層構造体の部分を選択的に除去し、該像形成層、前記接着層、及び前記導電層を除去するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記導電層は、タンタル、タングステン、モリブデン、チタン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン、窒化モリブデン、タンタルシリサイド、タングステンシリサイド、チタンシリサイド、モリブデンシリサイド、窒化タンタルシリコン、窒化タングステンシリコン、窒化チタンシリコン、窒化モリブデンシリコン、又は他の高融点金属合金からなる1組の材料から選択される材料を含むことを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記導電層は、10ナノメートルより小さい厚さを有することを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、又は請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ハードマスク材料は、クロム、ニッケル、白金、及びこれらの合金からなる1組の材料から選択される材料を含むことを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記導電層を除去するステップは、二フッ化キセノン、四フッ化キセノン、六フッ化キセノン、二フッ化クリプトン、四フッ化クリプトン、六フッ化クリプトン、多原子ハロゲンフッ化物、及び希ガスハロゲン化物を含む1組のガスから選択されるガスを用いて、前記導電層を気相エッチングするステップをさらに含むことを特徴とする、請求項3、請求項4、請求項5、請求項7、請求項8、又は請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記多層構造体の部分を除去するステップは、前記導電層の部分及び前記基板を単一のステップで除去するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記導電層の前記部分を除去するステップは、上に当たる光の反射率を監視するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項3、請求項10、又は請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ハードマスク材料は、前記多層構造体上に異方性に堆積されることを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、又は請求項12に記載の方法。
【請求項26】
前記パターン形成層は、リフトオフ・プロセスによって除去されることを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12、又は請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2011−505066(P2011−505066A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534938(P2010−534938)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/012637
【国際公開番号】WO2009/067149
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(503193362)モレキュラー・インプリンツ・インコーポレーテッド (94)
【Fターム(参考)】