リフト又はエレベータのドアの可動板の脱線防止装置
リフト又はエレベータのドアの可動板(2)のための脱線防止装置であって、前記ドアの下部ドア台(6)に形成されるか、あるいは、前記ドアの上部領域に規定される溝(5)の中をスライドするガイド滑走部(4)を、下部あるいは上部に少なくとも1つ有する形態の脱線防止装置であり、前記滑走部(4)又は前記可動板(2)に設置され、フック状の形状を有し、前記滑走部(4)の脱線を生じさせる前記可動板(2)に対する圧力に応じて、前記溝(5)の少なくとも1つの対応する屈曲されたエッジ(11)に係合されるる部材(9)を有することを特徴とする脱線防止装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフトまたはエレベータのドア可動板の脱線防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この装置は、可動板の中央が開くような、あるいは、サイドが伸縮して開くような、直線状及び曲線のあるスライド可動板を有するような、機構が可動板の上部領域に配置されている可動板を有するような及び機構が底部に配置されている可動板を有するようなスライドドアに適用可能である。
【0003】
リフト又はエレベータの乗場側ドア(ランディングドア)は、通常、底部に、ドア台(敷居)の中に形成される溝の中をスライドし、かご(CAR)が乗場側ドアの位置となった時に生じる開閉動作の間、ガイドの内側に可動板を保持するという目的を有する滑走部を伴って設置される。
【0004】
しかしながら、外側からドアに対する圧力、衝撃及び無理な押圧は、滑走部をそのスライド溝から脱線させる場合があり、その結果、ドアは下方の規制から外れ、危険にも、そのようなドアは、かごが無い状態においても、リフトあるいはエレベータの昇降路への自由な立ち入りを可能とする場合がある。
【0005】
このような可能性を防ぐために、これまで、リフトあるいはエレベータのドアの製造者は、高い圧力に耐えるような、非常に頑丈で重いドアを製造するように努めてきた。
【0006】
しかしながら、必要な耐力と安全の要求に適合するようにしたそのようなドアは、著しいコスト増を招いている。
【0007】
国際公開公報WO2009/128686A2、WO2009/128688A2及びW2008/108556A1は、脱線防止装置を開示しているが、しかし、それは、複雑で、ドア台と可動板との間に強堅な係合機構が無いために実質的に効果がなかった。
【0008】
米国特許出願公開US2001/010426A1は、移動/スライド機構と連係するよく知られた上部の脱線防止装置を示しているが、それは案内凹部とは連係しないため、ドア台の中の底部には適用されない。
【0009】
米国特許公報US7424935B1も、知られたタイプのリフト用ドアを示しているが、上述した不利益を克服するものではない。
【0010】
このような状況において、本発明の基本となる技術的課題は、上述した従来技術の不利益を克服する脱線防止装置を提案することである。
【発明の開示】
【0011】
特に、極めて簡単で経済的で、可動板が曲がったり脱線したりそうになるような、すなわち可動板の案内滑走部が各スライド溝ガイドからはずれそうになるような強度と方向の圧力がドアにかかった場合にも、外れずに介在し続けることが可能な脱線防止装置を提供することが、本発明の目的である。
【0012】
本発明の他の目的は、既存の既に設置されている可動板に対しても容易に適用することができる装置を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、火災によりドアが熱された時には、脱線防止装置が自動的に介在するような装置を提供することにある。
【0014】
上記の技術的課題及びその特別な目的は、添付のクレームの1つあるいはそれ以上に記載されている技術的特徴を有する脱線防止装置によって実質上達成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の特徴及び利益は、添付の図面に記載されている脱線防止装置の、好適ではあるが排他的なものではない実施形態の、ほぼ正確であって限定されるものではない以下の記載からより明確になる。
【図1】図1は、ドア全体の概略図である。
【図2】図2は、図1のドアの詳細を示す図であり、同様の正面図である。
【図3】図3は、図2の詳細を示す図であり、側面方向断面図である。
【図4】図4は、滑走部のスライド溝が最上部に位置している状態のドアを示す図である。
【図5】図5は、異なる実施形態に係るドアの詳細の側面方向断面図である。
【図6】図6は、装置を可動板に固定する方法の他の実施形態の側面方向断面図である。
【図7】図7は、2種の材料から構成される脱線防止装置の他の実施形態の2つの異なる動作状態における側面方向断面図である。
【図8】図8は、2種の材料から構成される脱線防止装置の他の実施形態の2つの異なる動作状態における側面方向断面図である。
【図9】図9は、ダブルフックで提供される装置及びドア台の変形例の側面方向断面図である。
【図10】図10は、図9の装置の変形例の他の図である。
【図11】図11は、図9の装置の変形例の他の図である。
【図12】図12は、図9の装置の変形例の他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、1は、1つあるいはそれ以上のスライド可動板2を有するリフトあるいはエレベータ用のドア全体を示す。
【0017】
ドアには、可動板を移動させる装置が設置されている。その装置は、全体が番号3により示されており、大体は知られたタイプのものであり、(図1に示すように)ドアの上部領域、あるいは、(図4に示すように)下部領域に配置させることができるものである。いずれの場合も、ドアの可動板には溝5の中をスライドする滑走部4が設けられる。
【0018】
より正確には、滑走部4は、(例えば、スクリューあるいはボルト等の手段により)可動板に固定されている部分と、(通常は異なる材料で構成される)溝5の中をスライドする部分とから構成される。
【0019】
例えば車輪あるいはパッドの形状のスライド部分が、好ましくは、例えば内側の金属製コアをコーティングした、プラスチック素材であるのに対して、可動板に固定される部分は、通常、金属製(鉄、鋼鉄、アルミニウム等)である。
【0020】
上部に駆動装置が配置されているドアの場合(図1−3)には、滑走部4は、可動板の底に固定されており、リフト又はエレベータの乗場側のドア台(敷居)6の中に形成された溝5の中をスライドする。
【0021】
底部に駆動装置が配置されているドアの場合(図4−5)には、滑走部4は、可動部の上部に固定されており、ドアの固定フレーム8に付随する、あるいは、フレーム8が設置されていない壁に直接固定された、バー7の中に形成された溝の中をスライドする。
【0022】
両方の場合とも、これまでにない新たな構成として、ドアは、複数の脱線防止部材9を有する。第1の実施の形態の脱線防止部材9は、例えばスクリューあるいはボルトという手段により、実質的に滑走部4に沿って並行に可動板に設置することができ(図1,2,3,6)、これに対して、第2の実施の形態(図5)においては、滑走部4に設置することができる。
【0023】
各部材9は、それが脱線防止装置を構成するものであるが、(リフトのかごとは反対方向において、図示しないが、あるいはかご方向において)フックのように曲げられた一端部10に実質的にクリップの形状を有し、ドアを脱線させるようなストレスがドアにかかっている時においても、その一端部10が溝に規定される屈曲エッジ11に係合されるように構成され、これにより可動板の脱線を不可能にしている。
【0024】
部材9は、その端部10が内側に曲げられて鋭角を形成してフックのように曲げられている。さらに、その端部10は、好適には、溝5の内側に延伸するように構成されている。Dは、端部10の縁端部と溝のエッジ11の縁端部との間の干渉の範囲(高さの差)を示している。
【0025】
この干渉(好ましくは、1mm以上)は、端部10とエッジ11の間の係合を確実なものとし、異常に大きな圧力があった場合にも可動板の脱線を防止する。
【0026】
用途、適応性に応じて、部材9は、鉄、鋼鉄、アルミニウムあるいはプラスチック材料等の種々の材料により構成することができる。
しかしながら、プラスチック材料による構成は、耐火性がなく、ドアが火災に被災した場合には、脱線防止は効果のないものとなる可能性がある。
稼動板に固定される装置部分及び溝の中をスライドする部分は、異なる材料で構成してもよい。
【0027】
図7及び8は、変形例を示し、部材9(滑走部ではなく稼動板に設置されたもの)は、異なる熱膨張係数を有する2つの材料を結合して構成されている。
【0028】
例えば、より高い膨張係数を有する外側の材料(ハッチングで示されている)とより低い膨張係数を有する内側の材料とが結合されている。
【0029】
火災の時には、2つの材料の熱膨張係数の差が、それらの異なる膨張を引き起こし、その結果、部材9は屈曲し(図では破線によって示されている)、溝のエッジ11に自動的に係合する。
【0030】
前述の材料の組み合わせは、実質的に、熱結合対あるいは熱伝対を構成している。
【0031】
熱結合対を構成するために、例えば、銅−コンスタンタン、白金−白金、及び、ロジウム、鉄−コンスタンタン、タングステン−タングステン、及び、ロジウム、クロメル−コンスタンタン、あるいは、chロメル−アルメルなどを含む種々の金属あるいは合金の組み合わせを用いることができる。
【0032】
溝のエッジ11は、ドア台6あるいはバー7の中に自然なフックの一種を定義するように、数センチ隔てて遮断されるようになっているが、これもまた、滑走部4と溝自信の壁との間の接触面を縮小するという目的をもったものである。
【0033】
脱線防止部材9は、上述したように、図2に示すように、滑走部4に沿って平行に、可動板2に直接固定することができる。
この場合、部材9は、既に設置されて使用されている可動板に対しても、部材9を溝5の中に垂直方向に挿入し、スクリューあるいはボルトにより可動板に固定することにより、容易に設置することができる。
【0034】
可動板2に対する固定は、正面の位置で(ほぼ水平軸に沿ってスクリューあるいはボルトを用いることにより)行うことができるか、さもなければ、図6に例示するように、部材9は水平方向に屈曲された一端部を有し、その一端部は可動板のC形状の輪郭の水平部分に連結され、その固定用のスクリュー又はボルトは略垂直に配置されているという構成において、上方から行うことができるものである。
【0035】
図示されているのは、可動板の下部に脱線防止部材が設置されている構成であるが、同様の対策は、必要な場合には、可動板の上部においても、適用することができる。
【0036】
脱線防止部材9は、図5に例示するように、滑走部の中に一体化されることもできる。
部材9は、溝の中をスライドする滑走部の部分を実質的に通過し、必要な場合には溝のエッジ11に係合することができるように、それを突き抜けている。
【0037】
この場合、部材9を挿入あるいは交換するために垂直方向の作業を行うのは不可能であろうから、溝自体の端部から、あるいは、下部のドア台6あるいは上部のバー7の端部から、横方向に外部に出てくるまで、それを横向きにスライドさせることにより、溝から引き出すことが必要となる。
【0038】
これは難しいことであるが、1つの部材により滑走部と脱線防止装置の両方の機能を実行することができるという事情の保障されるものである。
【0039】
脱線防止部材9は、ドアのタイプに応じて、少なくとも合計2箇所、底部あるいは上部の位置に設けるのが好ましい。
【0040】
図9〜12はさらなる変形例を示し、部材9は、溝5のエッジ11及び追加エッジ11aに各々係合されるように、部材9に対して反対側にフック状に曲げられた2つの端部10及び10aを有するものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフトまたはエレベータのドア可動板の脱線防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この装置は、可動板の中央が開くような、あるいは、サイドが伸縮して開くような、直線状及び曲線のあるスライド可動板を有するような、機構が可動板の上部領域に配置されている可動板を有するような及び機構が底部に配置されている可動板を有するようなスライドドアに適用可能である。
【0003】
リフト又はエレベータの乗場側ドア(ランディングドア)は、通常、底部に、ドア台(敷居)の中に形成される溝の中をスライドし、かご(CAR)が乗場側ドアの位置となった時に生じる開閉動作の間、ガイドの内側に可動板を保持するという目的を有する滑走部を伴って設置される。
【0004】
しかしながら、外側からドアに対する圧力、衝撃及び無理な押圧は、滑走部をそのスライド溝から脱線させる場合があり、その結果、ドアは下方の規制から外れ、危険にも、そのようなドアは、かごが無い状態においても、リフトあるいはエレベータの昇降路への自由な立ち入りを可能とする場合がある。
【0005】
このような可能性を防ぐために、これまで、リフトあるいはエレベータのドアの製造者は、高い圧力に耐えるような、非常に頑丈で重いドアを製造するように努めてきた。
【0006】
しかしながら、必要な耐力と安全の要求に適合するようにしたそのようなドアは、著しいコスト増を招いている。
【0007】
国際公開公報WO2009/128686A2、WO2009/128688A2及びW2008/108556A1は、脱線防止装置を開示しているが、しかし、それは、複雑で、ドア台と可動板との間に強堅な係合機構が無いために実質的に効果がなかった。
【0008】
米国特許出願公開US2001/010426A1は、移動/スライド機構と連係するよく知られた上部の脱線防止装置を示しているが、それは案内凹部とは連係しないため、ドア台の中の底部には適用されない。
【0009】
米国特許公報US7424935B1も、知られたタイプのリフト用ドアを示しているが、上述した不利益を克服するものではない。
【0010】
このような状況において、本発明の基本となる技術的課題は、上述した従来技術の不利益を克服する脱線防止装置を提案することである。
【発明の開示】
【0011】
特に、極めて簡単で経済的で、可動板が曲がったり脱線したりそうになるような、すなわち可動板の案内滑走部が各スライド溝ガイドからはずれそうになるような強度と方向の圧力がドアにかかった場合にも、外れずに介在し続けることが可能な脱線防止装置を提供することが、本発明の目的である。
【0012】
本発明の他の目的は、既存の既に設置されている可動板に対しても容易に適用することができる装置を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、火災によりドアが熱された時には、脱線防止装置が自動的に介在するような装置を提供することにある。
【0014】
上記の技術的課題及びその特別な目的は、添付のクレームの1つあるいはそれ以上に記載されている技術的特徴を有する脱線防止装置によって実質上達成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の特徴及び利益は、添付の図面に記載されている脱線防止装置の、好適ではあるが排他的なものではない実施形態の、ほぼ正確であって限定されるものではない以下の記載からより明確になる。
【図1】図1は、ドア全体の概略図である。
【図2】図2は、図1のドアの詳細を示す図であり、同様の正面図である。
【図3】図3は、図2の詳細を示す図であり、側面方向断面図である。
【図4】図4は、滑走部のスライド溝が最上部に位置している状態のドアを示す図である。
【図5】図5は、異なる実施形態に係るドアの詳細の側面方向断面図である。
【図6】図6は、装置を可動板に固定する方法の他の実施形態の側面方向断面図である。
【図7】図7は、2種の材料から構成される脱線防止装置の他の実施形態の2つの異なる動作状態における側面方向断面図である。
【図8】図8は、2種の材料から構成される脱線防止装置の他の実施形態の2つの異なる動作状態における側面方向断面図である。
【図9】図9は、ダブルフックで提供される装置及びドア台の変形例の側面方向断面図である。
【図10】図10は、図9の装置の変形例の他の図である。
【図11】図11は、図9の装置の変形例の他の図である。
【図12】図12は、図9の装置の変形例の他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、1は、1つあるいはそれ以上のスライド可動板2を有するリフトあるいはエレベータ用のドア全体を示す。
【0017】
ドアには、可動板を移動させる装置が設置されている。その装置は、全体が番号3により示されており、大体は知られたタイプのものであり、(図1に示すように)ドアの上部領域、あるいは、(図4に示すように)下部領域に配置させることができるものである。いずれの場合も、ドアの可動板には溝5の中をスライドする滑走部4が設けられる。
【0018】
より正確には、滑走部4は、(例えば、スクリューあるいはボルト等の手段により)可動板に固定されている部分と、(通常は異なる材料で構成される)溝5の中をスライドする部分とから構成される。
【0019】
例えば車輪あるいはパッドの形状のスライド部分が、好ましくは、例えば内側の金属製コアをコーティングした、プラスチック素材であるのに対して、可動板に固定される部分は、通常、金属製(鉄、鋼鉄、アルミニウム等)である。
【0020】
上部に駆動装置が配置されているドアの場合(図1−3)には、滑走部4は、可動板の底に固定されており、リフト又はエレベータの乗場側のドア台(敷居)6の中に形成された溝5の中をスライドする。
【0021】
底部に駆動装置が配置されているドアの場合(図4−5)には、滑走部4は、可動部の上部に固定されており、ドアの固定フレーム8に付随する、あるいは、フレーム8が設置されていない壁に直接固定された、バー7の中に形成された溝の中をスライドする。
【0022】
両方の場合とも、これまでにない新たな構成として、ドアは、複数の脱線防止部材9を有する。第1の実施の形態の脱線防止部材9は、例えばスクリューあるいはボルトという手段により、実質的に滑走部4に沿って並行に可動板に設置することができ(図1,2,3,6)、これに対して、第2の実施の形態(図5)においては、滑走部4に設置することができる。
【0023】
各部材9は、それが脱線防止装置を構成するものであるが、(リフトのかごとは反対方向において、図示しないが、あるいはかご方向において)フックのように曲げられた一端部10に実質的にクリップの形状を有し、ドアを脱線させるようなストレスがドアにかかっている時においても、その一端部10が溝に規定される屈曲エッジ11に係合されるように構成され、これにより可動板の脱線を不可能にしている。
【0024】
部材9は、その端部10が内側に曲げられて鋭角を形成してフックのように曲げられている。さらに、その端部10は、好適には、溝5の内側に延伸するように構成されている。Dは、端部10の縁端部と溝のエッジ11の縁端部との間の干渉の範囲(高さの差)を示している。
【0025】
この干渉(好ましくは、1mm以上)は、端部10とエッジ11の間の係合を確実なものとし、異常に大きな圧力があった場合にも可動板の脱線を防止する。
【0026】
用途、適応性に応じて、部材9は、鉄、鋼鉄、アルミニウムあるいはプラスチック材料等の種々の材料により構成することができる。
しかしながら、プラスチック材料による構成は、耐火性がなく、ドアが火災に被災した場合には、脱線防止は効果のないものとなる可能性がある。
稼動板に固定される装置部分及び溝の中をスライドする部分は、異なる材料で構成してもよい。
【0027】
図7及び8は、変形例を示し、部材9(滑走部ではなく稼動板に設置されたもの)は、異なる熱膨張係数を有する2つの材料を結合して構成されている。
【0028】
例えば、より高い膨張係数を有する外側の材料(ハッチングで示されている)とより低い膨張係数を有する内側の材料とが結合されている。
【0029】
火災の時には、2つの材料の熱膨張係数の差が、それらの異なる膨張を引き起こし、その結果、部材9は屈曲し(図では破線によって示されている)、溝のエッジ11に自動的に係合する。
【0030】
前述の材料の組み合わせは、実質的に、熱結合対あるいは熱伝対を構成している。
【0031】
熱結合対を構成するために、例えば、銅−コンスタンタン、白金−白金、及び、ロジウム、鉄−コンスタンタン、タングステン−タングステン、及び、ロジウム、クロメル−コンスタンタン、あるいは、chロメル−アルメルなどを含む種々の金属あるいは合金の組み合わせを用いることができる。
【0032】
溝のエッジ11は、ドア台6あるいはバー7の中に自然なフックの一種を定義するように、数センチ隔てて遮断されるようになっているが、これもまた、滑走部4と溝自信の壁との間の接触面を縮小するという目的をもったものである。
【0033】
脱線防止部材9は、上述したように、図2に示すように、滑走部4に沿って平行に、可動板2に直接固定することができる。
この場合、部材9は、既に設置されて使用されている可動板に対しても、部材9を溝5の中に垂直方向に挿入し、スクリューあるいはボルトにより可動板に固定することにより、容易に設置することができる。
【0034】
可動板2に対する固定は、正面の位置で(ほぼ水平軸に沿ってスクリューあるいはボルトを用いることにより)行うことができるか、さもなければ、図6に例示するように、部材9は水平方向に屈曲された一端部を有し、その一端部は可動板のC形状の輪郭の水平部分に連結され、その固定用のスクリュー又はボルトは略垂直に配置されているという構成において、上方から行うことができるものである。
【0035】
図示されているのは、可動板の下部に脱線防止部材が設置されている構成であるが、同様の対策は、必要な場合には、可動板の上部においても、適用することができる。
【0036】
脱線防止部材9は、図5に例示するように、滑走部の中に一体化されることもできる。
部材9は、溝の中をスライドする滑走部の部分を実質的に通過し、必要な場合には溝のエッジ11に係合することができるように、それを突き抜けている。
【0037】
この場合、部材9を挿入あるいは交換するために垂直方向の作業を行うのは不可能であろうから、溝自体の端部から、あるいは、下部のドア台6あるいは上部のバー7の端部から、横方向に外部に出てくるまで、それを横向きにスライドさせることにより、溝から引き出すことが必要となる。
【0038】
これは難しいことであるが、1つの部材により滑走部と脱線防止装置の両方の機能を実行することができるという事情の保障されるものである。
【0039】
脱線防止部材9は、ドアのタイプに応じて、少なくとも合計2箇所、底部あるいは上部の位置に設けるのが好ましい。
【0040】
図9〜12はさらなる変形例を示し、部材9は、溝5のエッジ11及び追加エッジ11aに各々係合されるように、部材9に対して反対側にフック状に曲げられた2つの端部10及び10aを有するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフト又はエレベータのドアの可動板(2)のための脱線防止装置であって、前記ドアの下部ドア台(6)に形成されるか、あるいは、前記ドアの上部領域に規定される溝(5)の中をスライドするガイド滑走部(4)を、下部あるいは上部に少なくとも1つ有する形態の脱線防止装置であり、
前記滑走部(4)又は前記可動板(2)に設置され、フック状の形状を有し、前記滑走部(4)の脱線を生じさせる前記可動板(2)に対する圧力に応じて、前記溝(5)の少なくとも1つの対応する屈曲されたエッジ(11)に係合されるる部材(9)を有する
ことを特徴とする脱線防止装置。
【請求項2】
前記部材(9)は、その一の端部(10)が鋭角に形成されてフック状の形状とされている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記端部(10)は、前記溝(5)の内部に延伸し、当該端部(10)の縁端部と前記溝の前記エッジ(11)の縁端部との間で干渉(D)が生じるように構成されている請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記干渉(D)の長さは1mm以上である請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記部材(9)は、前記滑走部(4)に一体化された部材であり、前記溝(5)の前記エッジ(11)の対応する屈曲形状部分に係合するフック状の形状を有する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記部材(9)は、クリップの形状を有し、前記滑走部(4)を通過して、末端部を越えて、必要な時に前記溝(5)の前記エッジ(11)に係合するのに有効な端部に延伸している請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記部材(9)は、前記可動板(2)に適用されるクリップであり、当該クリップは、前記溝(5)の前記エッジ(11)の対応する屈曲形状部分に係合するフック状の形状を有するものである請求項1に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも2つの前記滑走部(4)及び少なくとも2つの前記部材(9)を有する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記部材(9)は、前記リフト又はエレベータのかごが停止している側に対して反対方向に屈曲したフック状の形状を有する請求項3に記載の装置。
【請求項10】
前記部材(9)は、前記リフト又はエレベータのかごが停止している側に向かって屈曲したフック状の形状を有する請求項1又は3に記載の装置。
【請求項11】
前記部材(9)の前記可動板(2)に固定された部分は、水平か、あるいは、垂直である請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記部材(9)は、溝(5)のエッジ(11)及び追加エッジ(11a)に各々係合されるように、部材9の異なる側にフック状に曲げられた2つの端部(10及び10a)を有する請求項1に記載の装置。
【請求項13】
リフト又はエレベータのドアの可動板(2)のための脱線防止装置であって、前記ドアの下部ドア台(6)に形成されるか、あるいは、前記ドアの上部領域に規定される溝(5)の中をスライドするガイド滑走部(4)を、下部あるいは上部に少なくとも1つ有する形態の脱線防止装置であり、
前記可動板(2)に設置され、フック状の形状を有し、2つの材料を結合して構成された部材(9)であって、熱結合を構成する異なる材料の2つの反対面を有しており、前記2つの面の各々を構成する材料は異なる熱膨張係数を有するものであり、前記可動板(2)の熱ストレスに応答して、前記溝(5)の少なくとも1つの対応する屈曲エッジ(11)に係合する
ことを特徴とする脱線防止装置。
【請求項1】
リフト又はエレベータのドアの可動板(2)のための脱線防止装置であって、前記ドアの下部ドア台(6)に形成されるか、あるいは、前記ドアの上部領域に規定される溝(5)の中をスライドするガイド滑走部(4)を、下部あるいは上部に少なくとも1つ有する形態の脱線防止装置であり、
前記滑走部(4)又は前記可動板(2)に設置され、フック状の形状を有し、前記滑走部(4)の脱線を生じさせる前記可動板(2)に対する圧力に応じて、前記溝(5)の少なくとも1つの対応する屈曲されたエッジ(11)に係合されるる部材(9)を有する
ことを特徴とする脱線防止装置。
【請求項2】
前記部材(9)は、その一の端部(10)が鋭角に形成されてフック状の形状とされている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記端部(10)は、前記溝(5)の内部に延伸し、当該端部(10)の縁端部と前記溝の前記エッジ(11)の縁端部との間で干渉(D)が生じるように構成されている請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記干渉(D)の長さは1mm以上である請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記部材(9)は、前記滑走部(4)に一体化された部材であり、前記溝(5)の前記エッジ(11)の対応する屈曲形状部分に係合するフック状の形状を有する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記部材(9)は、クリップの形状を有し、前記滑走部(4)を通過して、末端部を越えて、必要な時に前記溝(5)の前記エッジ(11)に係合するのに有効な端部に延伸している請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記部材(9)は、前記可動板(2)に適用されるクリップであり、当該クリップは、前記溝(5)の前記エッジ(11)の対応する屈曲形状部分に係合するフック状の形状を有するものである請求項1に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも2つの前記滑走部(4)及び少なくとも2つの前記部材(9)を有する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記部材(9)は、前記リフト又はエレベータのかごが停止している側に対して反対方向に屈曲したフック状の形状を有する請求項3に記載の装置。
【請求項10】
前記部材(9)は、前記リフト又はエレベータのかごが停止している側に向かって屈曲したフック状の形状を有する請求項1又は3に記載の装置。
【請求項11】
前記部材(9)の前記可動板(2)に固定された部分は、水平か、あるいは、垂直である請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記部材(9)は、溝(5)のエッジ(11)及び追加エッジ(11a)に各々係合されるように、部材9の異なる側にフック状に曲げられた2つの端部(10及び10a)を有する請求項1に記載の装置。
【請求項13】
リフト又はエレベータのドアの可動板(2)のための脱線防止装置であって、前記ドアの下部ドア台(6)に形成されるか、あるいは、前記ドアの上部領域に規定される溝(5)の中をスライドするガイド滑走部(4)を、下部あるいは上部に少なくとも1つ有する形態の脱線防止装置であり、
前記可動板(2)に設置され、フック状の形状を有し、2つの材料を結合して構成された部材(9)であって、熱結合を構成する異なる材料の2つの反対面を有しており、前記2つの面の各々を構成する材料は異なる熱膨張係数を有するものであり、前記可動板(2)の熱ストレスに応答して、前記溝(5)の少なくとも1つの対応する屈曲エッジ(11)に係合する
ことを特徴とする脱線防止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−507304(P2013−507304A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532721(P2012−532721)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/IT2010/000341
【国際公開番号】WO2011/042925
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(512091637)
【氏名又は名称原語表記】WITTUR S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Macedonio Melloni, 12,I−43052 Colorno(Parma)(IT)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/IT2010/000341
【国際公開番号】WO2011/042925
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(512091637)
【氏名又は名称原語表記】WITTUR S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Macedonio Melloni, 12,I−43052 Colorno(Parma)(IT)
【Fターム(参考)】
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