説明

リモコン送信機

【課題】主に各種電子機器の遠隔操作に用いられるリモコン送信機に関し、全体を大きくすることなく、多様で確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】ケース21の挿通孔21B下方の押圧部23Bを揺動可能に形成すると共に、この押圧部23B下方に一対のスイッチ接点を設けることによって、揺動可能な一つの押圧部23Bによって一対のスイッチ接点の電気的接離が行え、所定の面積の中に多くのスイッチ接点を設けることができるため、全体を大きくすることなく、多様で確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の遠隔操作に用いられるリモコン送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像や音響、空調等の各種電子機器の多機能化が進むなか、これらを遠隔操作するリモコン送信機においても、多様で確実な操作を行えるものが求められている。
【0003】
このような従来のリモコン送信機について、図5〜図7を用いて説明する。
【0004】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0005】
図5は従来のリモコン送信機の断面図、図6は同平面図であり、同図において、1は略箱状で絶縁樹脂製のケースで、この上面には絶縁樹脂製のパネル2が貼付されると共に、ケース1上面とパネル2には複数の開口孔1Aと挿通孔1B等が設けられている。
【0006】
そして、3はゴム等の操作体で、下方に略ドーム状の薄肉部が形成され、下面に可動接点4Aが形成された複数の操作部3Aが設けられると共に、これらの操作部3Aがケース1上面の開口孔1Aから上下動可能に突出している。
【0007】
さらに、ケース1の挿通孔1B下方には、下方に略ドーム状の薄肉部が形成され、下面に可動接点4Bが形成された複数の押圧部3Bが設けられている。
【0008】
また、5は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板で、この上面には操作部3Aや押圧部3B下面の可動接点4Aや4Bと、所定の間隙を空けて対向する複数の固定接点6Aや6Bが設けられて、操作部3Aや押圧部3B下方に複数のスイッチ接点が形成されている。
【0009】
そして、7は液晶表示素子等の表示手段、8は発光ダイオード等のリモコン信号を送信する送信手段、9はマイコン等の制御手段で、これらが配線基板5の上下面に実装されると共に、複数の固定接点6Aや6B、表示手段7や送信手段8が、配線パターンを介して制御手段9に接続されている。
【0010】
さらに、ケース1下面を絶縁樹脂製のカバー10が覆うと共に、カバー10下面に収納された電池(図示せず)を絶縁樹脂製の蓋体11が覆って、リモコン送信機が構成されている。
【0011】
以上の構成において、リモコン送信機を操作する電子機器、例えばテレビやエアコン等に向けて、図7(a)の断面図に示すように、指で所定の操作部3Aの上面を押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して操作部3Aが下方へ移動し、この下面の可動接点4Aが複数の固定接点6Aに接触して、可動接点4Aを介して複数の固定接点6Aの電気的接離が行われる。
【0012】
そして、この固定接点6Aの電気的接離を制御手段9が検出して、この操作に応じた赤外線のリモコン信号を送信手段8から電子機器へ送信し、これによって例えば、テレビやエアコン等の電源の入/切や、音量や温度の増減等の切換が遠隔操作によって行われる。
【0013】
また、図7(b)に示すように、細い棒状のピン等をケース1上面の挿通孔1B内に挿入し、この下方の所定の押圧部3B上面を押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して押圧部3Bが下方へ移動し、この下面の可動接点4Bが複数の固定接点6Bに接触して、可動接点4Bを介して複数の固定接点6Bの電気的接離が行われる。
【0014】
そして、この固定接点6Bの電気的接離を制御手段9が検出して、例えば表示手段7に表示された時刻の設定や、あるいは設定されていた温度のリセット等が行われる。
【0015】
つまり、ケース1上面から突出した複数の操作部3Aの押圧操作によって、電源の入/切や、音量や温度の切換といった、日常頻繁に行われる電子機器の遠隔操作を行うと共に、時刻設定や温度等のリセットといった、一旦設定した後は使用する頻度の少ない押圧部3Bは、ケース1から突出させずに挿通孔1B下方に設けることで、これらの押圧部3Bを誤って押圧操作することのないように構成されているものであった。
【0016】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2007−53517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記従来のリモコン送信機においては、上下動可能な一つの押圧部3Bの下方には一つのスイッチ接点しか形成されておらず、電子機器の多機能化に伴って、多くのスイッチ接点を設けようとした場合、一つ一つの押圧部3Bを上下動可能に所定間隔で並設して形成する必要があるため、複数の押圧部3Bの占める面積が大きくなり、リモコン送信機全体が大きなものになってしまうという課題があった。
【0019】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、全体を大きくすることなく、多様で確実な操作が可能なリモコン送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明は、ケースの挿通孔下方の押圧部を揺動可能に形成すると共に、この押圧部下方に一対のスイッチ接点を設けてリモコン送信機を構成したものであり、揺動可能な一つの押圧部によって一対のスイッチ接点の電気的接離を行うことで、所定の面積の中に多くのスイッチ接点を設けることができるため、全体を大きくすることなく、多様で確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、全体を大きくすることなく、多様で確実な操作が可能なリモコン送信機を実現できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図
【図2】同平面図
【図3】同断面図
【図4】同断面図
【図5】従来のリモコン送信機の断面図
【図6】同平面図
【図7】同断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。
【0024】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0025】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0026】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図、図2は同平面図であり、同図において、21は略箱状でポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製のケースで、この上面にはポリエチレンテレフタレート等のフィルム状のパネル22が貼付されると共に、ケース21上面とパネル22には複数の開口孔21Aと挿通孔21B等が設けられている。
【0027】
そして、23はゴムやエラストマー等の操作体で、この操作体23には下方に略ドーム状の薄肉部が形成され、下面にカーボンや銀等の可動接点4Aが形成された複数の操作部23Aが設けられると共に、これらの操作部23Aがケース21上面の開口孔21Aから上下動可能に突出している。
【0028】
さらに、ケース21の挿通孔21B下方には、下方に略ドーム状の薄肉部が形成され、下面の左右端にカーボンや銀等の一対の可動接点24Aと24Bが形成された、複数の押圧部23Bが設けられている。
【0029】
また、5は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、この上面には銅やカーボン等によって操作部23A下面の可動接点4Aと、所定の間隙を空けて対向する複数の固定接点6Aが設けられて、複数の操作部23A下方に複数のスイッチ接点が形成されている。
【0030】
さらに、配線基板5上面には銅やカーボン等によって、押圧部23B下面の可動接点24Aや24Bと所定の間隙を空けて対向する、複数の固定接点26Aや26Bが設けられて、複数の押圧部23B下方の左右に一対のスイッチ接点が形成されている。
【0031】
そして、7は液晶表示素子等の表示手段、8は発光ダイオード等のリモコン信号を送信する送信手段、9はマイコン等の制御手段で、これらが配線基板5の上下面に実装されると共に、複数の固定接点6Aや26A、26B、表示手段7や送信手段8が、配線パターンを介して制御手段9に接続されている。
【0032】
また、ケース21下面をポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製のカバー10が覆うと共に、カバー10下面に収納された電池(図示せず)を絶縁樹脂製の蓋体11が覆って、リモコン送信機が構成されている。
【0033】
以上の構成において、リモコン送信機を操作する電子機器、例えばテレビやエアコン等に向けて、図3の断面図に示すように、指で所定の操作部23Aの上面を押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して操作部23Aが下方へ移動し、この下面の可動接点4Aが複数の固定接点6Aに接触して、可動接点4Aを介して複数の固定接点6Aの電気的接離が行われる。
【0034】
そして、この固定接点6Aの電気的接離を制御手段9が検出して、この操作に応じた赤外線のリモコン信号を送信手段8から電子機器へ送信し、これによって例えば、テレビやエアコン等の電源の入/切や、音量や温度の増減等の切換が遠隔操作によって行われる。
【0035】
また、図4(a)の断面図に示すように、細い棒状のピン等をケース21上面の挿通孔21B内に挿入し、この下方の所定の押圧部23Bの上面右端を押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して押圧部23Bが下方右側に揺動し、この下面右端の可動接点24Bが複数の固定接点26Bに接触して、可動接点24Bを介して複数の固定接点26Bの電気的接離が行われる。
【0036】
あるいは、図4(b)に示すように、この左隣の挿通孔21B内にピン等を挿入し、この下方の所定の押圧部23Bの上面左端を押圧操作すると、押圧部23Bが下方左側に揺動し、この下面左端の可動接点24Aが複数の固定接点26Aに接触して、可動接点24Aを介して複数の固定接点26Aの電気的接離が行われる。
【0037】
そして、この固定接点26Aや26Bの電気的接離を制御手段9が検出して、例えば表示手段7に表示された時刻の設定や、あるいは設定されていた温度のリセット等が行われる。
【0038】
つまり、ケース21上面から突出した複数の操作部23Aの押圧操作によって、電源の入/切や、音量や温度の切換といった、日常頻繁に行われる電子機器の遠隔操作を行うと共に、時刻設定や温度等のリセットといった、一旦設定した後は使用する頻度の少ない押圧部23Bは、ケース21から突出させずに挿通孔21B下方に設けることで、これらの押圧部23Bを誤って押圧操作することのないように構成されている。
【0039】
そして、この時、上記のように押圧部23Bが揺動可能に形成されると共に、押圧部23B下方には下面左右端の可動接点24Aと24B、及びこれらと対向する固定接点26Aと26Bによって一対のスイッチ接点が設けられ、一つの押圧部23Bで二つの固定接点26Aと26Bの電気的接離が行えるようになっているため、所定の面積の中に多くのスイッチ接点を形成することが可能なようになっている。
【0040】
すなわち、揺動可能な押圧部23Bの下方に一対のスイッチ接点を形成し、一つの押圧部23Bで二つのスイッチ接点の電気的接離を行うことによって、電子機器の多機能化に伴って、多くのスイッチ接点を設けようとした場合でも、一つのスイッチ接点が形成された多くの押圧部を所定間隔で並設する場合に比べ、所定の面積内に多くのスイッチ接点を設けることができるため、リモコン送信機全体を大きくすることなく、多様で確実な操作が行えるように構成されている。
【0041】
なお、以上の説明では、押圧部23B下面左右端の可動接点24Aと24Bに、固定接点26Aと26Bを対向させて一対のスイッチ接点を形成した構成について説明したが、配線基板5上面の固定接点上に略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を載置したものや、あるいは配線基板5上面に単独のプッシュスイッチ等を実装したもの等、様々なスイッチ接点を用いた構成としても、本発明の実施は可能である。
【0042】
このように本実施の形態によれば、ケース21の挿通孔21B下方の押圧部23Bを揺動可能に形成すると共に、この押圧部23B下方に一対のスイッチ接点を設けることによって、揺動可能な一つの押圧部23Bによって一対のスイッチ接点の電気的接離が行え、所定の面積の中に多くのスイッチ接点を設けることができるため、全体を大きくすることなく、多様で確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によるリモコン送信機は、全体を大きくすることなく、多様で確実な操作が可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0044】
4A 可動接点
5 配線基板
6A 固定接点
7 表示手段
8 送信手段
9 制御手段
10 カバー
11 蓋体
21 ケース
21A 開口孔
21B 挿通孔
22 パネル
23 操作体
23A 操作部
23B 押圧部
24A、24B 可動接点
26A、26B 固定接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状で上面に複数の開口孔と挿通孔が形成されたケースと、上記開口孔から上下動可能に突出する複数の操作部、及び上記挿通孔下方に上下動可能に形成された複数の押圧部が設けられた操作体と、上記操作部と押圧部下方に形成された複数のスイッチ接点と、このスイッチ接点の電気的接離を検出すると共に、送信手段からリモコン信号を送信する制御手段からなり、上記押圧部を揺動可能に形成すると共に、この押圧部下方に一対のスイッチ接点を設けたリモコン送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−169882(P2012−169882A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29357(P2011−29357)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】