説明

リモートアダプタ装置および指針値伝達方法

【課題】エンコーダ方式のメータから指針値を取得するように設計された集中検針盤に対して、電子式メータから取得した指針値を伝達すること。
【解決手段】電子式メータから指針値を読み込み、み込んだ指針値をメモリ34に記録するメータ通信部33と、検針盤20が測定電流を出力している系統と、当該測定電流の流れの向きとを検出し、検出した系統および向きに対応するメモリに格納されている指針値の桁の値に応じた抵抗値を前記測定電流検出部が検出する系統に挿入するエンコーダ出力部35とを具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子式メータの指針値をエンコーダ方式のメータから指針値を読み出すように設計された集中検針盤に伝達するリモートアダプタ装置および指針値伝達方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中高層住宅において、水道の使用量を検針するために検針員が一戸ずつ訪問して検針用メータの検針を行わずにすむように、集中検針盤を設けることがある。検針員は、集中検針盤を操作することで各戸のメータの指針を読み取ることができる。集中検針盤に対応するメータとして、エンコーダ方式および電子式指示方式等がある。
【0003】
エンコーダ方式は、計量機構の羽根車の回転をマグネットカップリングを介してエンコーダユニットに導くものである。エンコーダユニットは、単位水量ごとに羽根車の回転により蓄積されたエネルギーを放出する間欠早送り機構によって、桁別(1,O00、l00、10、1など)のロータリスイッチを動かし、計量値が保持、記憶される。
【0004】
集中検針盤がメータの計量値を読み取る場合、保持、記憶されている計量値を変換器により電気信号化し、集中検針盤が電気信号を受信する。例えば、集中検針盤は、以下のように計量値を読み取っていた。
【0005】
1.集中検針盤はメータに対して定電流を送出する。
【0006】
2.メータは、定電流送出後、一定時間経過した後、抵抗値を電圧として取り込みA/D変換を行う。
【0007】
3.集中検針盤は、A/D変換値から値を特定する。
【0008】
4.上記2、3を各桁に対して行い4桁の各桁の値を取得する。
【0009】
また、電子式指示方式は、水道メータの指示部を電子化し、計量値を電気的に記憶するものである。集中検針盤が計量値を読み出す場合、メータは集中検針盤側からの起動により記憶している計量値を決められたフォーマットで出力し、それを集中検針盤側で読取表示する。
【0010】
上述したように、メータの方式に応じて集中検針盤に送信される信号が異なるので、集中検針盤はメータの方式に対応する物を用いる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−326782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
現在、出願人は、エンコーダ方式および電子式指針方式のメータを製造している。しかし、今後、エンコーダ方式のメータの販売を打ち切る。
【0013】
ところで、メータは計量法により使用期限が定められている。そのため、メータは定期的に交換しなければならない。従って、エンコーダ方式のメータの製造打ち切りに伴い、エンコーダ方式のメータが電子式指針方式のメータに置き換わることになる。
【0014】
先に述べたように、集中検針盤はメータの方式に対応する物を用いる必要がある。エンコーダ方式のメータを電子式指針方式のメータに交換すると、エンコーダ方式のメータに対応する集中検針盤が電子式指針方式のメータの計量値を読み取ることができない。
【0015】
メータと集中検針盤との双方を全面的に置き換える方法もあるが、初期コストがかかってしまう。通常、集中検針盤は20年から30年使用され、メータと同時に交換するものではない。
【0016】
本発明の目的は、エンコーダ方式のメータから指針値を取得するように設計された集中検針盤に対して、電子式メータから取得した指針値を伝達することが可能なリモートアダプタ装置および指針値伝達方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一例に係わるリモートアダプタ装置は、エンコーダ方式の1台のメータから指示値を読み出すために測定電流を出力する複数の系統を有し、前記測定電流を出力する系統および前記測定電流の流れの向きを変化させ、前記測定電流が流れる系統の抵抗を測定することによって指針値を取得する検針盤に、電子式メータから取得した指針値を伝達するリモートアダプタ装置であって、電子式メータから指針値を読み込むメータ通信部と、前記読み込んだ指針値を記憶する記憶部と、前記検針盤が測定電流を出力している系統と、当該測定電流の流れの向きとを検出する測定電流検出部と、前記メモリから前記指針値を読み出し、前記測定電流検出部が検出する系統および向きに対応する指針値の桁の値に応じた抵抗値を前記測定電流検出部が検出する系統に挿入する抵抗挿入部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エンコーダ方式のメータから指針値を取得するように設計された集中検針盤に対して、電子式メータから取得した指針値を伝達することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係わる検針システムの概略を示す図。
【図2】リモートアダプタ装置と電子式メータとの間で通信を行って、リモートアダプタ装置が指針値を取得する際のメッセージを示す図。
【図3】図1に示すエンコーダ出力部および検針盤の構成を示す図。
【図4】図3に示す測定電流検出部の構成の一例を示す図。
【図5】図3に示す可変抵抗部の構成の一例を示す図。
【図6】メータ通信部が電子式メータから指針値を取得する手順を示すフローチャート。
【図7】リモートアダプタ装置が検針盤に指針値を伝達する手順を示すフローチャート。
【図8】図1に示す内蔵電池電圧監視部が行う処理の手順を示すフローチャート。
【図9】5線式に対応するエンコーダ出力部および検針盤の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係わる検針システムの概略を示す図である。
図1に示すように、本システムは、中高層住宅の各戸にそれぞれ設けられる電子式指針方式メータ10、集中検針盤20、およびリモートアダプタ装置30等から構成される。集中検針盤20はエンコーダ方式のメータに対応し、電子式指針方式のメータに対応していない。なお、リモートアダプタ装置30はメータ10の近傍に設けられる。
【0022】
リモートアダプタ装置30は、テストスイッチ31、カレンダークロック32、メータ通信部33、メモリ34、エンコーダ出力部35、内蔵電池36、内蔵電池電圧監視部37、および表示部38等を備えている。
【0023】
カレンダークロック32は、日時の計測を行う時計である。また、メータ通信部33が定期的(例えば毎日定時)にメータ10から指針値を取得するための日時が設定される。カレンダークロック32は、設定された日時になると、メータ通信部33に対して割込命令を送信する。割込命令を受信したメータ通信部33は、電子式指針方式メータ10と通信を行って、メータ10の計量値を取得する。
【0024】
また、ユーザがテストスイッチ31を操作すると、割込命令がメータ通信部33に送信される。割込命令を受信したメータ通信部33は、電子式指針方式メータ10と通信を行って、メータ10の計量値を取得する。
【0025】
カレンダークロック32またはテストスイッチ31から割込命令を受信したメータ通信部33は、電子式指針方式メータ10と通信を行って、メータ10の計量値を取得する。また、メータ通信部33は、ユーザによるテストスイッチ31に応じてメータ10と通信を行う。メータ通信部33は、取得した計量値を取得日時と共にメモリ34(例えば、不揮発性メモリ)に記録する。
【0026】
ところで、検針盤20が、エンコーダ式のメータから4桁の値を取得するために200ms程度必要である。ところが、電子式メータが指針値を出力するのに1S程度必要である。従って、検針盤20が測定電流を出力してからリモートアダプタ装置30が電子式メータ10から指針値を取得するのでは、検針盤20側でエラーとなってしまう。従って、リモートアダプタ装置30は、検針盤20が測定電流を出力してから、電子式メータ10から指針値を取得することができない。そのため、リモートアダプタ装置30は予め電子式メータ10から指針値を取得しておく必要がある。そのため、リモートアダプタ装置30は、1日1回以上電子式メータ10から指針値を取得する必要がある。
【0027】
図2にリモートアダプタ装置30と電子式メータ10との間で通信を行って、リモートアダプタ装置30が指針値を取得する際のメッセージを示す。図2(A)は、リモートアダプタ装置30が電子式メータ10に送信する起動電文である。図2(B)は、起動電文を受信した電子式メータ10がリモートアダプタ装置30に送信する指針値を含む応答電文である。図2(C)は、電子式メータ10から応答電文を正常に受信したリモートアダプタ装置30が電子式メータ10に送信する終了電文である。
【0028】
図2(A)に示すように、起動電文は“STX”、“5”、“ETX”、“BCC”から構成される。“STX(Start of TEXT)”は、メッセージコマンドの先頭を示すキャラクタである。“5”は、指針値の送信を命令するコマンドである。“ETX(End of TEXT”は、“STX”によって始まったメッセージを終了するためのキャラクタである。“BCC”は、“STX“直後から“ETX”まで(“ETX”を含む)の排他的論理和を演算したもので、チェックサムである。
【0029】
図2(B)に示すように、応答電文は“STX”、“事業体コード(2桁)”、“メータID(2桁)”、“D05”、“指針値(8桁)”、“アラーム情報(5桁)”、“小数点情報(1桁)”、“日時(8桁)”、“ETX”、および“BCC”から構成されている。“事業体コード”は、メータが測定する物理量とメータの指針値を受けるものを表す情報を含む。“事業体コード”はガス、水道、および電力を識別する符号と、指針値を受ける者に固有なコード番号とから構成される。“メータID”は、メータに固有なID番号である。起動電文中の“5”に対応するものであり、“D05”は後に指針値があることを示すキャラクタである。“指針値”は、メータが検針した値である。アラーム情報はメータを駆動する内蔵電池の電圧低下等の異常事態を通知するためのメッセージである。“小数点情報”は、指針値の小数点位置を示す情報である。“日時”は、検針日時を示す。“STX”、“ETX”、および“BCC”は起動電文と同様である。
【0030】
図2(C)に示すように、終了電文は、“STX”、“A”、“ETX”、および“BCC”から構成されている。“A”はリモートアダプタ装置30が応答電文を正常に受信したことを示すキャラクタである。
【0031】
リモートアダプタ装置30は、定期的、あるいはテストスイッチ31の操作があった場合に、電子式メータ10に対して起動電文を送信する。
【0032】
電子式メータ10は、指針値を応答電文として返信する。メータ通信部33は、正常に電文受信できたら、終了電文を送信し、指針値読み取り処理を終了する。メータ通信部33は、返信された指針値から電文中の小数点情報の値の桁数分指針値を切り出す。メータ通信部33は、切り出した指針値を日時とともにメモリ34に記録する。応答電文に対して返信がない場合、メータ通信部33は、起動電文を3回までリトライする。リトライしても応答電文がない場合、メータ通信部33は、通信異常とし、指針値未取得状態としメモリ34に記憶する。
【0033】
なお、メータ10との通信確認を行うため、また手動で指針値を読み取る機能としてテストスイッチ31を設け、スイッチ31を作動することにより、メータ10へ起動電文を送信し、指針値を取得し、メモリ34の指針値を更新する。これにより、手動で指針値を読み出すことができ、通信異常であっても指針値を更新することが可能となる。また、内蔵電池の電圧低下を監視する内蔵電池電圧監視部37をさらに備え、内蔵電池36の電圧を所定周期で監視し、あらかじめ決められた値以下の状態が連続した場合、状態を表示することにより、内蔵電池交換、充電などの処置を行えるようにした。
【0034】
エンコーダ出力部35および検針盤20の構成について図3を参照して説明する。
検針盤20は、定電流源21、22、スイッチ部23、24、およびA/D変換回路25等を備えている。検針盤20は検針値を取得するために、スイッチ部23およびスイッチ部24を操作して黒線LB−白線LW、または黒線LB−赤線LRに定電流源21または定電流源22から定電流(測定電流)を流す。そして、抵抗値を電圧として取り込みA/D変換回路25によってA/D変換を行う。つまり、検針盤20は、測定電流を出力する黒線LB−白線LWの系統と、黒線LB−赤線LRの系統との複数の系統を有する。そして、電圧値から抵抗を求め、抵抗から桁の値を求める。また、測定時、黒線LB−白線LW、または黒線LB−赤線LRに流れる電流の向きを変えることによって、黒線LB−白線LW、または黒線LB−赤線LRでそれぞれ2桁の値を取得している。つまり、検針盤20は、4桁の値を取得するための測定系統として電流が黒線LB−赤線LRに流れる系統と、赤線LR−黒線LBに流れる系統と、黒線LB−白線LWに流れる系統と、白線LW−黒線LBに流れる系統との4つの測定系統を有する。
【0035】
通常は、先ず、スイッチ部23およびスイッチ部24を操作することによって赤線LRから黒線LBに電流を流して始めてからから10ms後、20ms後、および30ms後の3回、千の位の値に対応する電圧(抵抗)を測定する。そして、測定結果の平均値から千の位の値を決定する。次に、赤線LRから黒線LBに電流を流してから40ms後にスイッチ部23を操作することによって、黒線LBから赤線LRに電流を流す。黒線LBから赤線LRに電流を流し始めてから10ms後、20ms後、および30ms後の3回、百の位の値に対応する電圧(抵抗)を測定する。そして、測定結果の平均値から百の位の値を決定する。次に、黒線LBから赤線LRに電流を流してから40ms後にスイッチ部24を操作することによって、黒線LBから白線Lwに電流を流す。黒線LBから白線Lwに電流を流し始めてから10ms後、20ms後、および30ms後の3回、十の位の値に対応する電圧(抵抗)を測定する。そして、測定結果の平均値から十の位の値を決定する。次に、黒線LBから白線Lwに電流を流してから40ms後にスイッチ部23を操作することによって、白線Lwから黒線LBに電流を流す。白線Lwから黒線LBに電流を流し始めてから10ms後、20ms後、および30ms後の3回、一の位の値に対応する電圧(抵抗)を測定する。そして、測定結果の平均値から一の位の値を決定する。
【0036】
エンコーダ出力部35は、測定電流検出部351、スイッチ部352、抵抗値設定部353、および可変抵抗部354等を備えている。
【0037】
測定電流検出部351は、測定電流の有無、測定電流が流れるライン、および測定電流が流れる向きを検出する。測定電流検出部351は、抵抗値設定部353およびスイッチ部352に測定電流が流れるラインおよび向きを通知する。
【0038】
黒線LB−赤線LR間に電流が流れ、黒線LBから赤線LRに電流が流れている場合、測定電流検出部351は、スイッチ部352および抵抗値設定部353に出力する信号SBRをイネーブルにする。黒線LB−赤線LR間に電流が流れ、赤線LRから黒線LBに電流が流れている場合、測定電流検出部351は、スイッチ部352および抵抗値設定部353に出力する信号SRBをイネーブルにする。黒線LB−白線LW間に電流が流れ、黒線LBから白線LWに電流が流れている場合、測定電流検出部351は、スイッチ部352および抵抗値設定部353に出力する信号SBWをイネーブルにする。黒線LB−白線LW間に電流が流れ、白線LWから黒線LBに電流が流れている場合、測定電流検出部351は、スイッチ部352および抵抗値設定部353に出力する信号SWBをイネーブルにする。測定電流検出部351は、この4種類の信号によってスイッチ部352および抵抗値設定部353に測定電流が流れるラインおよび向きを通知する。
【0039】
スイッチ部352は、測定電流検出部351から通知された測定電流が流れるラインに応じて、通知されたラインに電流が流れるように制御する。スイッチ部352は、信号SBRまたは信号SRBがイネーブルであり、黒線LB−赤線LR間に電流が流れていることが通知された場合、線LRWを赤線LRに接続する。また、スイッチ部352は、信号SBWまたは信号SWBがイネーブルであり、黒線LB−白線LW間に電流が流れていることが通知された場合、線LRWを白線LWに接続する。
【0040】
抵抗値設定部353は、測定電流検出部351から測定電流が流れていることを通知すると、メモリ34に記憶されている4桁の検針値を読み出す。抵抗値設定部353は、測定電流検出部351から通知された測定電流が流れるラインおよび流れの向きに応じて、読み出した検針値の対応する桁の値に対応する抵抗値を可変抵抗部354に設定する。
【0041】
値に対応する抵抗値を表1に示す。
【表1】

【0042】
なお、本実施形態の場合、通常のメータと異なり測定電流検出部351等が接続されているので、測定電流検出部351の内部抵抗等に応じて、可変抵抗部354の抵抗値を設定しなければならない。
【0043】
次に、測定電流検出部351の構成の一例を図4に示す。図4に示すように、ダイオードDBR、ダイオードDRB、ダイオードDBW、ダイオードDWB、電圧計VMBR、電圧計VMRB、電圧計VMBW、電圧計VMWB、および検出部3511等を備えている。ダイオードDBRの一端が黒線LBに接続され、他端側が赤線LBに接続されている。ダイオードの他端側と赤線LBとの間に電圧計VMBRが挿入されている。電圧計VMBRの測定値は検出部3511に送信される。ダイオードDRBの一端が黒線LBに接続され、他端側が赤線LBに接続されている。ダイオードの他端側と赤線LBとの間に電圧計VMRBが挿入されている。電圧計VMRBの測定値は検出部3511に送信される。ダイオードDBWの一端が黒線LBに接続され、他端側が白線LBに接続されている。ダイオードDBWの他端側と白線LWとの間に電圧計VMBWが挿入されている。電圧計VMBWの測定値は検出部3511に送信される。ダイオードDWBの一端が黒線LBに接続され、他端側が白線LBに接続されている。ダイオードDWBの他端側と白線LWとの間に電圧計VMWBが挿入されている。電圧計VMWBの測定値は検出部3511に送信される。
【0044】
黒線LBから赤線LRに測定電流が流れている場合、電圧計VMBRのみが電圧値を測定し、他の電圧計VMRB、VMBW、VMWBは電圧値を測定することができない。同様に、赤線LRから黒線LBに測定電流が流れている場合、電圧計VMRBのみが電圧値を測定し、他の電圧計VMBR、VMBW、VMWBは電圧値を測定することができない。同様に、黒線LBから白線LWに測定電流が流れている場合、電圧計VMBWのみが電圧値を測定し、他の電圧計VMBR、VMRB、VMWBは電圧値を測定することができない。同様に、白線LWから黒線LBに測定電流が流れている場合、電圧計VMWBのみが電圧値を測定し、他の電圧計VMBR、VMRB、VMBWは電圧値を測定することができない。
【0045】
従って、検出部3511は、電圧計VMBR、電圧計VMRB、電圧計VMBW、電圧計VMWBの測定値を監視することで、測定電流の有無、測定電流が流れるライン、および測定電流が流れる向きを検出する。
【0046】
次に、可変抵抗部354の構成の一例について図5を参照して説明する。可変抵抗部354は、抵抗R0、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4、抵抗R5、抵抗R6、抵抗R7、抵抗R8、抵抗R9、スイッチ部SW0、スイッチ部SW1、スイッチ部SW2、スイッチ部SW3、スイッチ部SW4、スイッチ部SW5、スイッチ部SW6、スイッチ部SW7、スイッチ部SW8、およびスイッチ部SW9等を備えている。
【0047】
抵抗R0、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4、抵抗R5、抵抗R6、抵抗R7、抵抗R8、および抵抗R9が直列に接続されている。抵抗R0の一端は黒線LBに接続されている。抵抗R0の他端はスイッチ部SW0を介して線LRWに接続されている。抵抗R1の一端は抵抗R0に接続されている。抵抗R1の他端はスイッチ部SW1を介して線LRWに接続されている。抵抗R2の一端は抵抗R1に接続されている。抵抗R2の他端はスイッチ部SW2を介して線LRWに接続されている。抵抗R3の一端は抵抗R2に接続されている。抵抗R3の他端はスイッチ部SW3を介して線LRWに接続されている。抵抗R4の一端は抵抗R3に接続されている。抵抗R4の他端はスイッチ部SW4を介して線LRWに接続されている。抵抗R5の一端は抵抗R4に接続されている。抵抗R5の他端はスイッチ部SW5を介して線LRWに接続されている。抵抗R6の一端は抵抗R5に接続されている。抵抗R6の他端はスイッチ部SW6を介して線LRWに接続されている。抵抗R7の一端は抵抗R6に接続されている。抵抗R7の他端はスイッチ部SW7を介して線LRWに接続されている。抵抗R8の一端は抵抗R7に接続されている。抵抗R8の他端はスイッチ部SW8を介して線LRWに接続されている。抵抗R9の一端は抵抗R8に接続されている。抵抗R9の他端はスイッチ部SW9を介して線LRWに接続されている。
【0048】
抵抗R0の抵抗値は“0”の値に対応する。抵抗R0および抵抗R1の合成抵抗値は“1”の値に対応する。抵抗R0〜抵抗R2の合成抵抗値は“2”の値に対応する。抵抗R0〜抵抗R3の合成抵抗値は“3”の値に対応する。抵抗R0〜抵抗R4の合成抵抗値は“4”の値に対応する。抵抗R0〜抵抗R5の合成抵抗値は“5”の値に対応する。抵抗R0〜抵抗R6の合成抵抗値は“6”の値に対応する。抵抗R0〜抵抗R7の合成抵抗値は“7”の値に対応する。抵抗R0〜抵抗R8の合成抵抗値は“8”の値に対応する。抵抗R0〜抵抗R9の合成抵抗値は“9”の値に対応する。
【0049】
抵抗値設定部353は、0の値に相当する抵抗を可変抵抗部354に設定する場合、スイッチ部SW0のみをオンにし、他のスイッチ部SW1〜SW9をオフにする。また、抵抗値設定部353は、2の値に相当する抵抗を可変抵抗部354に設定する場合、スイッチ部SW2のみをオンにし、他のスイッチ部SW0、SW1、SW3〜SW9をオフにする。また、抵抗値設定部353は、3の値に相当する抵抗を可変抵抗部354に設定する場合、スイッチ部SW3のみをオンにし、他のスイッチ部SW0〜SW2、SW4〜SW9をオフにする。また、抵抗値設定部353は、4の値に相当する抵抗を可変抵抗部354に設定する場合、スイッチ部SW4のみをオンにし、他のスイッチ部SW0〜SW3、SW5〜SW9をオフにする。また、抵抗値設定部353は、5の値に相当する抵抗を可変抵抗部354に設定する場合、スイッチ部SW5のみをオンにし、他のスイッチ部SW0〜SW4、SW6〜SW9をオフにする。また、抵抗値設定部353は、6の値に相当する抵抗を可変抵抗部354に設定する場合、スイッチ部SW6のみをオンにし、他のスイッチ部SW0〜SW5、SW7〜SW9をオフにする。また、抵抗値設定部353は、7の値に相当する抵抗を可変抵抗部354に設定する場合、スイッチ部SW7のみをオンにし、他のスイッチ部SW0〜SW6、SW8、SW9をオフにする。また、抵抗値設定部353は、8の値に相当する抵抗を可変抵抗部354に設定する場合、スイッチ部SW8のみをオンにし、他のスイッチ部SW0〜SW7、SW9をオフにする。また、抵抗値設定部353は、9の値に相当する抵抗を可変抵抗部354に設定する場合、スイッチ部SW9のみをオンにし、他のスイッチ部SW0〜SW8をオフにする。
【0050】
前述したように、検針盤20は、電流を流してから10ms毎に3回A/D変換を行って電圧値(抵抗値)を取得する。従って、測定電流検出部351が測定電流の検出、測定電流が流れる向きの変化の検出、測定電流が流れる系統の切り替えの検出を行ってから、10ms未満の間に可変抵抗部354に桁の値に対応する抵抗値を設定しなければならない。従って、可変抵抗部354は、機械式のスイッチを設けるのではなく、例えばトランジスタ等の電気的にオン/オフを切り替えることができる電子素子を用いて、抵抗値を設定することが好ましい。なお、10ms未満の間に可変抵抗部354に桁の値に対応する抵抗値を設定すると述べたが、マージンを取って5ms以内に抵抗値を設定できるようにすることが好ましい。
【0051】
次に、メータ通信部33が電子式メータ10から指針値を取得する手順について図6のフローチャートを参照して説明する。
先ず、メータ通信部33は、カレンダークロック32またはテストスイッチ31から割込信号を受信するまで待機する(ステップS11)。割込信号を受信した場合(ステップS11のYes)、メータ通信部33は電子式メータ10から指針値を取得する(ステップS12)。メータ通信部33は、電子式メータ10から指針値を正常に取得できたか否かを判別する(ステップS13)。正常に取得できなかったと判断した場合(ステップS13のNo)、メータ通信部33は表示部38に通信エラーがあったことを示す表示を行う(ステップS16)。正常に取得できたと判断した場合(ステップS13のYes)、メータ通信部33は読み取った指針値を日時と共にメモリ34に記録する。メータ通信部33は表示部38に、正常に指針値を読み取ったことを示す表示を行う(ステップS15)。そして、メータ通信部33は再度割込信号を取得するまで待機する。
【0052】
次に、図7を参照してリモートアダプタ装置30が検針盤20に指針値を伝達する手順を説明する。抵抗値設定部353は、測定電流検出部351から赤線LRから黒線LBに測定電流が流れていることを示す信号SRBがイネーブルになるまで待機する。信号SRBがイネーブルになった場合(ステップS21のYes)、抵抗値設定部353はメモリ34から指針値を読み出す(ステップS22)。そして、抵抗値設定部353は指針値の千の位の値に対応する抵抗値を可変抵抗部354に設定する(ステップS23)。続いて、信号SRBがディスイネーブル、且つ測定電流が黒線LBから赤線LRに流れていることを示す信号SBRがイネーブルになり、電流の向きが反転した場合(ステップS24のYes)、抵抗値設定部353は指針値の百の位の値に対応する抵抗値を可変抵抗部354に設定する(ステップS25)。
【0053】
続いて、信号SBRがディスイネーブル、且つ測定電流が黒線LBから白線LWに流れていることを示す信号SBWがイネーブルになり、測定電流の流れる系統が変化した場合(ステップS26のYes)、抵抗値設定部353は指針値の十の位の値に対応する抵抗値を可変抵抗部354に設定する(ステップS27)。信号SBWがディスイネーブル、且つ測定電流が白線LWから黒線LBに流れていることを示す信号SWBがイネーブルになり、電流の向きが反転した場合(ステップS28のYes)、抵抗値設定部353は指針値の一の位の値に対応する抵抗値を可変抵抗部354に設定する(ステップS29)。
【0054】
信号SBR、SRB、SBW、SWBが全てディスイネーブルになり、測定電流の供給が停止した場合(ステップS30のYes)、抵抗値設定部353は正常に終了したか否かを判別する(ステップS31)。
【0055】
正常に終了したと判断した場合(ステップS31のYes)、抵抗値設定部353は表示部38に正常終了したことを示す(ステップS32)。正常に終了しなかったと判断した場合(ステップS31のNo)、抵抗値設定部353は表示部38に異常終了したことを示す(ステップS33)。以上の処理で、メモリ34に格納されている指針値を検針盤20に通知することができる。
【0056】
次に、図8を参照して内蔵電池電圧監視部37が行う処理について説明する。
内蔵電池電圧監視部37は、予め設定された内蔵電池36の電圧をチェックする周期であるか否かを判別する(ステップS41)。設定された周期であると判断した場合(ステップS41のYes)、内蔵電池電圧監視部37は内蔵電池36の電圧を測定する(ステップS42)。内蔵電池電圧監視部37は測定値が設定値より低いか否かを判別する(ステップS43)。設定値より低くないと判断した場合(ステップS43)、内蔵電池電圧監視部37は内部に設けられているカウンタの値をリセットする(ステップS47)。設定値より低いと判断した場合(ステップS43のYes)、内蔵電池電圧監視部37は内部のカウンタの値を+1カウントアップする(ステップS44)。内蔵電池電圧監視部37は、カウンタの値を読み出し、カウント値が8以上であるか否かを判別する(ステップS45)。8以上であると判断した場合(ステップS45のYes)内蔵電池電圧監視部37は表示部38に電圧低下を示す表示を行う。8以上では無いと判断した場合(ステップS45のNo)、内蔵電池電圧監視部37は次のチェック周期まで待機する。以上の処理で内蔵電池36電圧が低下した場合に、表示部38に電圧が低下したことを表示することができる。
【0057】
なお、上記説明は3線式で行ったが、5線式にも対応することができる。5線式では電流の向きを変えずに4桁の値を取得するために5本の線を用いている。つまり、5線式の検針盤は、4桁の値を取得するための4つの測定系統が、5本の線を用いて構成される。
【0058】
図9に示すように、定電流源201の一端側に接続する共通線LCがエンコーダ出力部35内の可変抵抗部354の一端側に接続する。定電流源201の他端側は、スイッチ部202を介して線L1〜L4の何れかに接続する。線L1〜L4はエンコーダ出力部35内で共通な線L5に接続されている。線L5は可変抵抗部354の他端側に接続されている。指針値の取得時、スイッチ部202は、定電流源201の他端側に接続する線をL1から順にL2、L3、L4へと順次切り替える。L1は千の位の桁の値を読み取るためのラインである。また、L2は百の位の桁の値を読み取るためのラインである。L3は十の位の桁の値を読み取るためのラインである。L4は一の位の桁の値を読み取るためのラインである。
【0059】
エンコーダ出力部35の測定電流検出部351は、線L1〜L4の中から定電流(測定電流)が流れている線を検出し、検出した線の情報を抵抗値設定部353に通知する。抵抗値設定部353は通知された線の情報に応じた、メモリ10に格納されている指針値の桁の値に対応する抵抗値を可変抵抗部354に設定する。
【0060】
なお、図9に示す構成では、図3に示す3線式の場合と異なり、エンコーダ出力部35内に可変抵抗部354に接続する線を選択するためのスイッチ部(352)を設けていない。これは、検針盤20内で定電流源201に接続する線をスイッチ部202を用いて切り替えているからである。同様に、図3に示す構成でも、スイッチ部352を省略し、赤線LRおよび白線LWを線LRWに直接接続しても良い。
【0061】
なお、図9に示した5線式のメータにおいて、千の位の値を通知する線L1に可変抵抗が挿入されておらず、線L1に0等の値に相当する抵抗が挿入されている場合がある。この場合、線L1は線L2〜L4の測定値を校正するために用いられる。この場合、リモートアダプタ装置は、線L1の測定値から線L2〜L4の測定値を校正する構成を有することが好ましい。また、このようなメータの場合、リモートアダプタ装置は、指針値の一の位の桁の値、十の位の桁の値、および百の位の桁の値の3桁の値のみを取得することができる。
【0062】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…電子式指針方式メータ,10…電子式メータ,20…集中検針盤,21,22…定電流源,23,24…スイッチ部,25…A/D変換回路,30…リモートアダプタ装置,31…テストスイッチ,32…カレンダークロック,33…メータ通信部,34…メモリ,35…エンコーダ出力部,36…内蔵電池,37…内蔵電池電圧監視部,38…表示部,351…測定電流検出部,352…スイッチ部,353…抵抗値設定部,354…可変抵抗部,3511…検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンコーダ方式の1台のメータから指示値を読み出すために測定電流を出力する複数の系統を有し、前記測定電流を出力する系統を変化させ、前記測定電流が流れる系統の抵抗を測定することによって指針値を取得する検針盤に、電子式メータから取得した指針値を伝達するリモートアダプタ装置であって、
電子式メータから指針値を取得するメータ通信部と、
前記取得した指針値を記憶する記憶部と、
前記検針盤が測定電流を出力している系統を検出する測定電流検出部と、
前記メモリから前記指針値を読み出し、前記測定電流検出部が検出する系統に対応する指針値の桁の値に応じた抵抗値を前記測定電流検出部が検出する系統に挿入する抵抗挿入部と
を具備することを特徴とするリモートアダプタ装置。
【請求項2】
前記リモートアダプタ装置は内蔵電池によって駆動され、
表示部と、前記内蔵電池の電圧を測定し、測定した電圧値が設定値より低い場合に、前記表示部に前記内蔵電池の電圧が低くなっていることを示す電池電圧監視部とを更に具備することを特徴とする請求項1に記載のリモートアダプタ装置。
【請求項3】
エンコーダ方式の1台のメータから指示値を読み出すために測定電流を出力する複数の系統を有し、前記測定電流を出力する系統を変化させ、前記測定電流が流れる系統の抵抗を測定することによって指針値を取得する検針盤に、電子式メータから取得した指針値を伝達するリモートアダプタ装置の指針値伝達方法であって、
電子式メータから指針値を定期的に取得し、
前記取得した指針値を記憶部に格納し、
前記検針盤が測定電流を出力している系統を検出し、
前記メモリから前記指針値を読み出し、前記検出された系統に対応する指針値の桁の値に応じた抵抗値を前記検出された系統に挿入することを特徴とする指針値伝達方法。
【請求項4】
前記リモートアダプタ装置は内蔵電池によって駆動され、
前記内蔵電池の電圧を測定し、測定した電圧値が設定値より低い場合に、表示部に前記内蔵電池の電圧が低くなっていることを示すことを特徴とする請求項3に記載の指針値伝達方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−204950(P2010−204950A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49645(P2009−49645)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000142425)株式会社金門製作所 (40)
【Fターム(参考)】