説明

リモート保守・管理サービス提供システム

【課題】顧客(ユーザ)の製品に対する保守・管理サービス(監視)を、遠隔地から行えるようにしたリモート保守・管理サービス提供システムであって、サービス提供開始の可否や、サービス提供の可否の判断を、販売情報や契約情報などを利用して自動的に行うリモート保守・管理サービス提供システムの提供。
【解決手段】販売・契約時の情報が格納されるDB23(ユーザ情報DB231・製品情報DB232・サポート契約情報DB233)をシステム(サポートセンタ2)内に備え、リモート保守・管理サービス(監視)対象となるユーザ側システム3内のサーバ31から、リモートサービス開始要求を行う際には、サポートセンタ2へユーザ情報や製品情報を送信させ、当該情報をサポートセンタ2内でDB23(ユーザ情報DB231・製品情報DB232・サポート契約情報DB233)内の情報と照合することにより、サービス提供の可否の判断を自動的に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客の製品に対する保守・管理サービス(監視)を、遠隔地から行えるようにしたリモート保守・管理サービス提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク(インターネット等)を介してサービスや商品の提供を行うこと(例えば、インターネットを介したソフトウェアの提供)が行われており、サービスや商品の提供の際には、サービス提供側においてサービス享受者の認証を行うこと等が行われている。このようなものに関する従来技術が、特許文献1などによって開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−343500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顧客の製品(例えば業務サーバ等)に対する保守・管理サービス(監視)を、ネットワークを介して遠隔地から行えるようにしたリモート保守・管理サービス提供システムでは、従来、製品の販売者とサービス提供者が異なる場合が多く、製品の販売時の販売情報や契約情報がリモート保守・管理サービス提供システム上で効率良く使用されていないという問題があった。
【0005】
また、「ネットワークを介した商品の提供」には無い保守・管理サービス特有の特徴として、継続性があると共に、契約等により定められる“サポート範囲”という概念が存在し、従って、リモート保守・管理サービス提供システムにおいては、サービス享受者の認証を行うことのみならず、サービス享受者の要求が“サポート範囲”内であるか否かについての判別をも行う必要がある。
【0006】
本発明は、上述した点に鑑み、顧客の製品に対する保守・管理サービス(監視)を、遠隔地から行えるようにしたリモート保守・管理サービス提供システムであって、サービス提供開始の可否や、サービス提供の可否の判断を、販売情報や契約情報などを利用して自動的に行うリモート保守・管理サービス提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のリモート保守・管理サービス提供システムは、通信ネットワークと、前記通信ネットワークに接続されるユーザが使用する装置と、前記通信ネットワークに接続される保守・管理サービス提供者の情報処理システムと、によって構成されるリモート保守・管理サービス提供システムであって、前記ユーザが使用する装置が、ユーザに対する出力インターフェースとなる出力部と、ユーザに対する入力インターフェースとなる入力部と、通信部と、記憶部と、リモートサービス実行手段と、を備え、前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムが、ユーザ情報DBと、製品情報DBと、サポート契約情報DBと、情報比較手段と、リモートサービス提供手段と、を備えることにより、ユーザからのリモート保守・管理サービスの提供開始要求があった際には、前記出力部に必要情報入力要求画面を出力しつつこれに対する前記入力部からの入力情報を得ることによって取得した、若しくは、前記記憶部に予め格納されている、ユーザ情報及び製品情報を、前記通信部によって前記通信ネットワークを介して前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムへと送信し、これを受信した前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムにおいて、前記情報比較手段によって、前記ユーザ情報及び製品情報を、前記ユーザ情報DB、前記製品情報DB、前記サポート契約情報DBと照合することにより、リモート保守・管理サービスの提供開始の可否を判別し、この結果サービスの提供可と判断された場合には、当該結果を前記ユーザが使用する装置に前記通信ネットワークを介して送信すると共に、リモート保守・管理サービスの提供を開始し、前記サービスの提供可である旨の情報を受信した前記ユーザが使用する装置において、前記記憶部に予め記憶されている若しくは前記必要情報入力によって得られる若しくは前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムから送信される、前記リモートサービス実行手段と前記リモートサービス提供手段との間で情報を送受信するための設定情報である通信先情報、通信手段情報を、前記リモートサービス実行手段若しくは前記通信部又はこれらの双方に自動的に設定することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、ユーザ側からのリモート保守・管理サービスの提供開始要求(ユーザ情報と製品情報を含む)がネットワークを介してサービス提供側のシステムへ送信され、これを受けたサービス提供側のシステムにおいて、当該情報を、ユーザ情報DB、製品情報DB、サポート契約情報DBと照合することにより、自動的にサービスの提供開始の可否を判別し、当該判別が、“サービスの提供開始可”であった場合には、これがユーザ側の装置へと送信され、ユーザ側の装置において、ネットワークを介したリモート保守・管理サービスの提供を受けるために必要な設定が自動的に行われる。即ち、製品の販売や契約時に得られるユーザ情報やサポート契約情報が格納されたユーザ情報DBやサポート契約情報DBと、製品情報が格納された製品情報DBを、サービス提供側のシステムが備えることにより、ユーザからのサービス提供開始要求があった際に、サービス提供側のシステムにおいて自動的に「ユーザ側から送信されたユーザ情報や製品情報」と「販売や契約時のユーザ情報やサポート契約情報、製品情報」とが比較され、サービスの提供開始の可否が判別される。
【0009】
請求項2のリモート保守・管理サービス提供システムは、請求項1記載のリモート保守・管理サービス提供システムであって、前記ユーザが使用する装置が備える前記リモートサービス実行手段は、障害発生検出部を備え、当該障害発生検出部によって、前記ユーザが使用する装置の障害が検出された場合には、当該障害情報と、ユーザ情報と、製品情報とを、前記通信部によって前記通信ネットワークを介して前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムへと送信し、これを受信した前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムにおいて、前記情報比較手段によって、前記障害情報及びユーザ情報及び製品情報を、前記ユーザ情報DB、前記製品情報DB、前記サポート契約情報DBと照合することにより、リモート保守・管理サービスの提供の可否を判別し、この結果サービスの提供可と判断された場合には、リモート保守・管理サービスを提供し、サービスの提供不可と判断された場合には、その旨を前記ユーザが使用する装置に前記通信ネットワークを介して送信することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、ユーザ側の装置において障害が発生した場合に、障害情報とユーザ情報と製品情報とがサービス提供側のシステムへ送信され、これを受けたサービス提供側のシステムにおいて、当該情報を、ユーザ情報DB、製品情報DB、サポート契約情報DBと照合することにより、自動的にサービスの提供の可否を判別し、サービスの提供可と判断された場合には、サービスが提供され、サービスの提供不可と判断された場合には、その旨が、ユーザ側に通信ネットワークを介して送信される。
【0011】
請求項3のリモート保守・管理サービス提供システムは、請求項1又は請求項2に記載のリモート保守・管理サービス提供システムであって、前記製品情報DBには、装置製造時又は出荷時に付与される製品を一意に定める製品名と、製品型名と、製品番号及び、これらの情報に対応付けられた各装置の構成部品に関する情報とが格納され、且つ、前記ユーザが使用する装置には、自己を構成する部品を検出する構成判別手段が備えられ、前記ユーザが使用する装置から前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムへと送信される前記製品情報に、前記構成判別手段によって得られる自己の構成部品に関する情報と、前記記憶部に予め格納されている前記製品名若しくは前記製品型名又はこれら双方の情報と、を含むことによって、前記ユーザが使用する装置から当該情報を受信した前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムが、前記リモート保守・管理サービスの提供開始の可否若しくは前記リモート保守・管理サービスの提供の可否の判別を行う際には、前記構成部品に関する情報、製品名・製品型名・製品番号の情報と、前記製品情報DBとの照合を行い、当該照合結果も使用して、前記リモート保守・管理サービスの提供開始の可否若しくは前記リモート保守・管理サービスの提供の可否の判別を行うことを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、リモート保守・管理サービスの提供開始要求時若しくはリモート保守・管理サービスの提供要求時において、ユーザ側の装置から自己の構成部品に関する情報がサービス提供側のシステムへ送信され、これを受けたサービス提供側のシステムにおいて、当該情報を、製品情報DBと照合することが、サービスの提供開始の可否若しくはサービスの提供の可否が判断要素の1つとされる。これにより、例えば、「装置の構成を変更した場合はサポート対象外」という“サポート契約”がなされていた場合で、ユーザ側の装置の構成をユーザが変更した場合(例えば、サーバ(ユーザ側の装置)に対するメモリの増設)などにおいて、製品情報やユーザ情報と共に「構成部品に関する情報」がサービス提供側のシステムに送信されるため、サービス提供側のシステムにおいて、ユーザ情報DB、製品情報DB、サポート契約情報DBと照合することにより、“サポート対象外”であると自動的に判別できるのである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1の、通信ネットワークと、前記通信ネットワークに接続されるユーザが使用する装置と、前記通信ネットワークに接続される保守・管理サービス提供者の情報処理システムと、によって構成されるリモート保守・管理サービス提供システムであって、前記ユーザが使用する装置が、ユーザに対する出力インターフェースとなる出力部と、ユーザに対する入力インターフェースとなる入力部と、通信部と、記憶部と、リモートサービス実行手段と、を備え、前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムが、ユーザ情報DBと、製品情報DBと、サポート契約情報DBと、情報比較手段と、リモートサービス提供手段と、を備えることにより、ユーザからのリモート保守・管理サービスの提供開始要求があった際には、前記出力部に必要情報入力要求画面を出力しつつこれに対する前記入力部からの入力情報を得ることによって取得した、若しくは、前記記憶部に予め格納されている、ユーザ情報及び製品情報を、前記通信部によって前記通信ネットワークを介して前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムへと送信し、これを受信した前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムにおいて、前記情報比較手段によって、前記ユーザ情報及び製品情報を、前記ユーザ情報DB、前記製品情報DB、前記サポート契約情報DBと照合することにより、リモート保守・管理サービスの提供開始の可否を判別し、この結果サービスの提供可と判断された場合には、当該結果を前記ユーザが使用する装置に前記通信ネットワークを介して送信すると共に、リモート保守・管理サービスの提供を開始し、前記サービスの提供可である旨の情報を受信した前記ユーザが使用する装置において、前記記憶部に予め記憶されている若しくは前記必要情報入力によって得られる若しくは前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムから送信される、前記リモートサービス実行手段と前記リモートサービス提供手段との間で情報を送受信するための設定情報である通信先情報、通信手段情報を、前記リモートサービス実行手段若しくは前記通信部又はこれらの双方に自動的に設定することを特徴とするリモート保守・管理サービス提供システムによれば、ユーザからのサービス提供開始要求があった際には、サービス提供側のシステムにおいて自動的にサービスの提供開始の可否が判別され、これが“可”であった場合には、ユーザ側の装置においてサービスの提供を受けるために必要な設定が自動的に行われる。従って、リモート保守・管理サービスの提供開始のための処理において、ユーザ若しくはサービスマンによる設定作業等を削減することができ、サービスの提供を迅速に開始させることが可能となる。
【0014】
本発明の請求項2の、前記ユーザが使用する装置が備える前記リモートサービス実行手段は、障害発生検出部を備え、当該障害発生検出部によって、前記ユーザが使用する装置の障害が検出された場合には、当該障害情報と、ユーザ情報と、製品情報とを、前記通信部によって前記通信ネットワークを介して前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムへと送信し、これを受信した前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムにおいて、前記情報比較手段によって、前記障害情報及びユーザ情報及び製品情報を、前記ユーザ情報DB、前記製品情報DB、前記サポート契約情報DBと照合することにより、リモート保守・管理サービスの提供の可否を判別し、この結果サービスの提供可と判断された場合には、リモート保守・管理サービスを提供し、サービスの提供不可と判断された場合には、その旨を前記ユーザが使用する装置に前記通信ネットワークを介して送信することを特徴とする請求項1記載のリモート保守・管理サービス提供システムによれば、例えば、ユーザ側の装置において障害が発生した場合にサービス提供側のシステムに送られる障害情報から判別される、障害のあった箇所(部品)等が、“サポート契約”の対象外であったような場合には、これを自動的に判別する(ユーザ情報DB、製品情報DB、サポート契約情報DBと照合することにより判別される)ことができるため、サービス提供側の利便性が向上する(負担が軽減される)。
【0015】
本発明の請求項3の、前記製品情報DBには、装置製造時又は出荷時に付与される製品を一意に定める製品名と、製品型名と、製品番号及び、これらの情報に対応付けられた各装置の構成部品に関する情報とが格納され、且つ、前記ユーザが使用する装置には、自己を構成する部品を検出する構成判別手段が備えられ、前記ユーザが使用する装置から前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムへと送信される前記製品情報に、前記構成判別手段によって得られる自己の構成部品に関する情報と、前記記憶部に予め格納されている前記製品名若しくは前記製品型名又はこれら双方の情報と、を含むことによって、前記ユーザが使用する装置から当該情報を受信した前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムが、前記リモート保守・管理サービスの提供開始の可否若しくは前記リモート保守・管理サービスの提供の可否の判別を行う際には、前記構成部品に関する情報、製品名・製品型名・製品番号の情報と、前記製品情報DBとの照合を行い、当該照合結果も使用して、前記リモート保守・管理サービスの提供開始の可否若しくは前記リモート保守・管理サービスの提供の可否の判別を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリモート保守・管理サービス提供システムによれば、例えば、装置の構成をユーザが変更したことにより、サポート対象外となったような場合に、これをサービス提供側のシステムにおいて自動的に判別できるため、サービス提供側の利便性が向上する(負担が軽減される)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の具体的実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施態様は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するためのものではない。
【実施例1】
【0017】
図1は本実施例のリモート保守・管理サービス提供システムの構成の概略を示すブロック図である。図2は、サービス提供対象の製品であるユーザ側の装置(サーバ)の本発明に関する部分の概略を示すブロック図である。
【0018】
図1に示されるように、本実施例のリモート保守・管理サービス提供システム10は、通信ネットワーク(インターネット)4と、通信ネットワーク4に接続されるユーザ側システム3と、サポートセンタ(保守・管理サービス提供者の情報処理システム)2と、当該サポートセンタ2に専用線5によって接続される販売会社システム1などによって構成される。サポートセンタ2は、HTTPサーバ211を含む公開サーバ21や、リモートサービスサーバ(リモートサービス提供手段)221を含む内部サーバ22、ユーザ情報DB231・製品情報DB232・サポート契約情報DB233を含むDB23、ネットワーク間接続装置であるルータ24やファイアウォール25などを備える。なお、リモートサービス提供手段であるリモートサービスサーバ221は、情報比較手段(以下に説明するように、保守・管理サービス提供対象の製品であるユーザ側の装置(サーバ31)から送られてくる情報と、DB23に格納されている各情報との比較を行うもの)でもある。販売会社システム1には、サーバ11やPC12、製品販売時の販売・契約情報が格納される販売情報DB13などによって構成される。
【0019】
本実施例では、サービス提供対象の製品であるユーザ側の装置を、ユーザ側システム3内に備えられるサーバ31とする。当該サーバ31は、図2に示されるように、ユーザに対する出力インターフェース(モニタ等)となる出力部311と、ユーザに対する入力インターフェース(キーボードやマウス等)となる入力部312と、通信部313と、記憶部314と、演算処理等を行う制御部315と、自己の障害の有無やその内容を検出する障害発生検出部316などを備える。なお、主に制御部315と障害発生検出部316によってリモートサービス実行手段が構成される。
【0020】
サーバ31は、販売会社システム1を有する販売会社によって販売され、当該販売時にユーザ情報(例えば、お客様名、住所、担当者名、電話番号、E−mailアドレスなど)と、製品情報(例えば、製品番号、製品型名など)と、サポート契約情報(例えば、サポート期間、サポート内容、製品購入年月日など)が、取得され、当該各情報が販売情報DB13に蓄積されると共に、専用線5を介して、サポートセンタ2のデータベース(以下単にDB)23(ユーザ情報DB231・製品情報DB232・サポート契約情報DB233)に、格納される。
【0021】
サポートセンタ2に備えられる製品情報DB232には、製品番号・製品型名と、各製品の構成部品に関する情報とが、それぞれ対応付けられて格納される。
【0022】
以上の構成を有するリモート保守・管理サービス提供システム10の本発明に関する部分の動作の概略を図3〜図4を参照しつつ説明する。
【0023】
図3は、サーバ31(サービス提供対象の製品であるユーザ側の装置)の、リモート保守・管理サービスの提供開始要求時の処理の概略を示したフローチャートである。当該処理は、サーバ31を購入したユーザがこれを設置した(ユーザ側システム3内のネットワーク39に接続した)際の初期設定時などに行われるものである。図4は、リモート保守・管理サービスの提供開始要求が、サービス提供対象の製品であるユーザ側の装置からあった場合のサポートセンタ2における処理の概略を示したフローチャートである。
【0024】
リモート保守・管理サービスの提供開始の申込みを行う際には、サービス申込みに必要な各情報(例えば、お客様名、住所、担当者名、電話番号、E−mailアドレスなどのユーザ情報)の入力を求める画面を出力部311に表示し、これに対する入力部312へのユーザによる入力情報を取得する(図3:ステップ301)。当該処理は、制御部315によって入力を求める画面を出力部311に表示しつつ、入力部312に対する入力内容を制御部315によって判別・取得し、必要に応じて記憶部314に格納することによって行われる。
【0025】
当該取得した情報と、予め記憶部314に格納されている(製造時若しくは出荷時に登録されている)当該サーバ31の製品番号及び製品型名の情報と、をリモートサービス申込み要求としてHTTP(HyperText Transfer Protocol)によってサポートセンタ2内のHTTPサーバ211へと送信し(ステップ302)、これに対するHTTPサーバ211からのレスポンスを待つ(ステップ303)。なお、「製品番号及び製品型名の情報」や、「HTTPサーバ211のアドレス情報等の、HTTPサーバ211との通信に必要な情報」は、製品(サーバ31)の製造若しくは出荷時に予め記憶部314に格納しておき、これを使用するものとしてもよいし、これらの情報も、ステップ301の処理において入力を求める若しくは変更可能なようにしても構わない。また、HTTPサーバ211へ送信する情報を、ステップ301で取得した情報全てとする必要は必ずしもなく、ユーザ及び製品を一意に定めることができる情報が含まれていることが必要十分条件である。
【0026】
サポートセンタ2内のHTTPサーバ211では、「リモートサービス申込み」があった場合にステップ402へと移行し(図4:ステップ401)、ユーザ側装置(サーバ31)から送信された情報を取得する。当該取得された情報はサポートセンタ2内においてHTTPサーバ211からリモートサービスサーバ221へと送られる。リモートサービスサーバ221では、受け取った情報(ユーザ及び製品を一意に定めることができる情報)を、DB23(ユーザ情報DB231・製品情報DB232・サポート契約情報DB233)と比較・照合し、「リモートサービス申込み」を承認するか否かを判別する(ステップ403)。当該判別は、ユーザ及び製品情報に間違いが無いか、リモートサービスの対象となる製品であるか否か、サポート契約がなされている製品であるか否か、等をDB23に格納された各情報(サーバ31の販売時に販売会社によって取得された情報)と照合することによって行われる。
【0027】
当該判別の結果、「リモートサービス申込み」が承認された場合にはステップ405へと移行し(ステップ404)、リモートサービスサーバ221において、ユーザ側装置であるサーバ31に対するリモートサービス提供開始のための設定処理を行う。ステップ403で得られた判別結果は、サポートセンタ2内においてリモートサービスサーバ221からHTTPサーバ211へと送られ、これを受けたHTTPサーバ211は当該判別結果をユーザ側装置のサーバ31へと送信する(ステップ406・ステップ407)。
【0028】
サーバ31では、HTTPサーバ211からのレスポンスあった際にステップ304へと移行して(図3:ステップ303)、これが「リモートサービス申込み」の承認であった場合には、リモートサービス提供開始のための設定処理(リモートサービスを行うためのプログラムに、サーバ31の製品型名や製品番号、通信先であるリモートサービスサーバ221のアドレス、通信手段などを設定する処理など)を行い(ステップ305)、リモートサービスを開始する(ステップ306)。一方、「リモートサービス申込み」が承認されなかった場合にはステップ307へ移行し(ステップ304)、「リモートサービスの即時開始ができない」旨を出力部311に画面表示する。なお、サポートセンタ2における「リモートサービス申込み」の承認が不可であった場合には、その理由となる情報(例えばユーザ情報が間違っている等)をサーバ31へと送信し、当該情報に応じてサーバ31において情報の再入力を求めて、再度サポートセンタ2に承認を求めるような処理とするなどしてもよい。また、“リモートサービスサーバ221のアドレス”などの情報は、予め記憶部314に格納されているものであってもよいが、“「リモートサービス申込み」の承認”の情報を送信する際にサポートセンタ2から一緒に送信し、これを利用して、「リモートサービス提供開始のための設定処理」を行うようにしてもよい。
【0029】
以上のごとく、本実施例のリモート保守・管理サービス提供システム10によれば、ユーザからのサービス提供開始要求があった際には、サービス提供側のシステム(サポートセンタ2)において自動的にサービスの提供開始の可否が判別され、これが“可”であった場合には、ユーザ側の装置(サーバ31)においてサービスの提供を受けるために必要な設定が自動的に行われる。従って、リモート保守・管理サービスの提供開始のための処理において、ユーザ若しくはサービスマンによる設定作業等を削減することができ、サービスの提供を迅速に開始させることが可能となる。
【0030】
次に、リモート保守・管理サービスの提供を受けているユーザ側装置であるサーバ31に障害が発生した場合の処理の概略を、図5を参照しつつ説明する。図5は、サーバ31から障害情報を受信した際のサポートセンタ2における処理の概略を示したフローチャートである。
【0031】
サーバ31において障害が発生すると、障害発生検出部316によってこれが検出され、障害のあった箇所(部品)や障害の内容に関する情報が、判別できる範囲において取得される。当該取得された障害情報は、製品情報及びユーザ情報(ユーザ及び製品を一意に定めることができる情報)と共に、サポートセンタ2内のリモートサービスサーバ221へと送信される。
【0032】
当該障害情報等を受信したリモートサービスサーバ221は(ステップ501)、これをDB23(ユーザ情報DB231・製品情報DB232・サポート契約情報DB233)と比較・照合し、「サポート対象」であるか否かを判別する(ステップ502)。当該判別は、ユーザ及び製品情報に間違いが無いか、リモートサービスの対象となる製品であるか否か、サポート契約がなされている製品であるか否か、障害が発生した箇所(部品)がサポート契約内のものであるか否か(契約に反するものでないか)等をDB23に格納された各情報と照合することによって行われる。
【0033】
ステップ502における判別の結果、サポート対象であった場合には(ステップ503)、保守・管理サービス(例えば、障害内容を解析し、必要に応じて部品やサービスマンの手当を行い、ユーザ側に通知するなど)を提供し(ステップ504)、サポート対象でなかった場合にはサポート対象でない旨をユーザ側に通知する(サーバ31に送信してもよいが、サーバ31は障害の発生している装置であるため、ユーザ情報DBを参照して、E−mailや電話等による通知としてもよい)。
【0034】
以上のごとく、本実施例のリモート保守・管理サービス提供システム10によれば、例えば、製品(サーバ31)の販売時には搭載されていなかったHDD(ユーザが増設したものであり、サポートの範囲外となるもの)に障害が発生したような場合に、サービス提供側のシステム(サポートセンタ2)において、これが“サポート契約”の対象外であることを自動的に判別する(ユーザ情報DB、製品情報DB、サポート契約情報DBと照合することにより判別される)ことができるため、サービス提供側の利便性が向上する(負担が軽減される)。
【実施例2】
【0035】
図6は、本実施例の、サービス提供対象の製品であるユーザ側の装置(サーバ)の本発明に関する部分の概略を示すブロック図である。なお、本実施例のリモート保守・管理サービス提供システムの基本的構成は実施例1(図1)と同様であるため、ここでの説明を省略し、必要があるときは図1を参照しつつ説明する。
【0036】
図6に示されるように、本実施例の、サービス提供対象の製品であるユーザ側装置であってユーザ側システム3内に備えられるサーバ61は、自己を構成する部品を検出する構成判別手段617を備える。その他の構成要素は実施例1(図2:サーバ31)と同様であるため、図2と同一の符号を使用し、ここでの説明を省略する。「自己を構成する部品を検出する」とは、例えば、自己の装置内に何台のHDDが搭載されているかやメモリ容量が幾らか等の情報を取得するものである。
【0037】
図7は、サーバ61(サービス提供対象の製品であるユーザ側の装置)の、リモート保守・管理サービスの提供開始要求時の処理の概略を示したフローチャートである。なお、実施例1(図3)と同様の処理概念となるものについては同一の符号を使用し、ここでの説明を省略する。
【0038】
リモート保守・管理サービスの提供開始(申込み)要求があった場合には、ステップ301で各種情報(ユーザ情報など)を取得し、続くステップ701において、構成判別手段617によってサーバ61の構成内容を取得し、当該構成内容に関する情報を、続くステップ302におけるユーザ情報・製品情報の送信と共に、サポートセンタ2へと送信する。なお、これ以下の処理概念は実施例1と同様である。
【0039】
リモート保守・管理サービスの提供開始要求があった場合のサポートセンタ2における処理の概略は、実施例1(図4)と同様のものであるが、サーバ61からの情報を受けたサポートセンタ2では、構成内容に関する情報についても、DB23(ユーザ情報DB231・製品情報DB232・サポート契約情報DB233)と比較・照合し、サーバ61がサポート対象であるか否かを判別する。即ち、例えば、製品(サーバ61)購入後にユーザが勝手にメモリを増設しているような場合(サポート対象外となっている場合)には、サポートセンタ2(リモートサービスサーバ221)において自動的にサポート対象外であることが判別されることとなる。
【0040】
なお、リモート保守・管理サービスの提供を受けているユーザ側装置であるサーバ61に障害が発生した場合の処理においても、サーバ61からサポートセンタ2への障害情報送信時に構成内容に関する情報を送信し、これを受けたサポートセンタ2(リモートサービスサーバ221)において、構成内容に関する情報を使用してサポート対象であるか否かが判別される。
【0041】
以上のごとく、本実施例のリモート保守・管理サービス提供システムによれば、装置の構成をユーザが変更したことにより、ユーザの使用する装置がサポート対象外となったような場合に、これをサービス提供側のシステム(サポートセンタ2)において自動的に判別できるため、サービス提供側の利便性が向上する(負担が軽減される)。例えば、サーバのような電子装置の場合、いわゆる“部品間の相性問題”等が生じる場合があるため、ユーザが勝手に装置の構成を変更したような場合に、障害が発生した箇所がたとえユーザが増設した部分でなくとも、ユーザの増設行為が障害の原因である場合もあり、このような事情から、「装置の構成を変更した場合はサポート対象外」という“サポート契約”がなされることが多い。本実施例によれば、このような場合にも、サービス提供側のシステムにおいて自動的にサポート対象であるか否かを判断させることが可能なため、サービス提供側の利便性が向上するのである。
【0042】
なお、上記実施例中では、リモート保守・管理サービスの対象となる「ユーザが使用する装置」を、サーバとして説明しているが本発明をこれに限るものではなく、ネットワーク(有線のみならず無線も含む)を介して情報を送受信できる電子装置であれば、本発明を有効に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】リモート保守・管理サービス提供システムの構成の概略を示すブロック図
【図2】ユーザが使用する装置(サーバ)の本発明に関する部分の概略を示すブロック図
【図3】サーバ31の、リモート保守・管理サービスの提供開始要求時の処理の概略を示したフローチャート
【図4】リモート保守・管理サービスの提供開始要求があった場合のサポートセンタ2における処理の概略を示したフローチャート
【図5】サーバ31から障害情報を受信した際のサポートセンタ2における処理の概略を示したフローチャート
【図6】実施例2のユーザが使用する装置(サーバ)の本発明に関する部分の概略を示すブロック図
【図7】サーバ61の、リモート保守・管理サービスの提供開始要求時の処理の概略を示したフローチャート
【符号の説明】
【0044】
2 サポートセンタ(保守・管理サービス提供者の情報処理システム)
3 ユーザ側システム
4 通信ネットワーク
10 リモート保守・管理サービス提供システム
31・61 サーバ(ユーザが使用する装置)
221 リモートサービスサーバ(リモートサービス提供手段)
231 ユーザ情報DB
232 製品情報DB
233 サポート契約情報DB
311 出力部
312 入力部
313 通信部
314 記憶部
315 制御部(リモートサービス実行手段)
316 障害発生検出部(リモートサービス実行手段)
617 構成判別手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークと、前記通信ネットワークに接続されるユーザが使用する装置と、前記通信ネットワークに接続される保守・管理サービス提供者の情報処理システムと、によって構成されるリモート保守・管理サービス提供システムであって、前記ユーザが使用する装置が、ユーザに対する出力インターフェースとなる出力部と、ユーザに対する入力インターフェースとなる入力部と、通信部と、記憶部と、リモートサービス実行手段と、を備え、前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムが、ユーザ情報DBと、製品情報DBと、サポート契約情報DBと、情報比較手段と、リモートサービス提供手段と、を備えることにより、ユーザからのリモート保守・管理サービスの提供開始要求があった際には、前記出力部に必要情報入力要求画面を出力しつつこれに対する前記入力部からの入力情報を得ることによって取得した、若しくは、前記記憶部に予め格納されている、ユーザ情報及び製品情報を、前記通信部によって前記通信ネットワークを介して前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムへと送信し、これを受信した前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムにおいて、前記情報比較手段によって、前記ユーザ情報及び製品情報を、前記ユーザ情報DB、前記製品情報DB、前記サポート契約情報DBと照合することにより、リモート保守・管理サービスの提供開始の可否を判別し、この結果サービスの提供可と判断された場合には、当該結果を前記ユーザが使用する装置に前記通信ネットワークを介して送信すると共に、リモート保守・管理サービスの提供を開始し、前記サービスの提供可である旨の情報を受信した前記ユーザが使用する装置において、前記記憶部に予め記憶されている若しくは前記必要情報入力によって得られる若しくは前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムから送信される、前記リモートサービス実行手段と前記リモートサービス提供手段との間で情報を送受信するための設定情報である通信先情報、通信手段情報を、前記リモートサービス実行手段若しくは前記通信部又はこれらの双方に自動的に設定することを特徴とするリモート保守・管理サービス提供システム。
【請求項2】
前記ユーザが使用する装置が備える前記リモートサービス実行手段は、障害発生検出部を備え、当該障害発生検出部によって、前記ユーザが使用する装置の障害が検出された場合には、当該障害情報と、ユーザ情報と、製品情報とを、前記通信部によって前記通信ネットワークを介して前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムへと送信し、これを受信した前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムにおいて、前記情報比較手段によって、前記障害情報及びユーザ情報及び製品情報を、前記ユーザ情報DB、前記製品情報DB、前記サポート契約情報DBと照合することにより、リモート保守・管理サービスの提供の可否を判別し、この結果サービスの提供可と判断された場合には、リモート保守・管理サービスを提供し、サービスの提供不可と判断された場合には、その旨を前記ユーザが使用する装置に前記通信ネットワークを介して送信することを特徴とする請求項1記載のリモート保守・管理サービス提供システム。
【請求項3】
前記製品情報DBには、装置製造時又は出荷時に付与される製品を一意に定める製品名と、製品型名と、製品番号及び、これらの情報に対応付けられた各装置の構成部品に関する情報とが格納され、且つ、前記ユーザが使用する装置には、自己を構成する部品を検出する構成判別手段が備えられ、前記ユーザが使用する装置から前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムへと送信される前記製品情報に、前記構成判別手段によって得られる自己の構成部品に関する情報と、前記記憶部に予め格納されている前記製品名若しくは前記製品型名又はこれら双方の情報と、製品番号と、を含むことによって、前記ユーザが使用する装置から当該情報を受信した前記保守・管理サービス提供者の情報処理システムが、前記リモート保守・管理サービスの提供開始の可否若しくは前記リモート保守・管理サービスの提供の可否の判別を行う際には、前記構成部品に関する情報、製品名・製品型名・製品番号の情報と、前記製品情報DBとの照合を行い、当該照合結果も使用して、前記リモート保守・管理サービスの提供開始の可否若しくは前記リモート保守・管理サービスの提供の可否の判別を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリモート保守・管理サービス提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−65972(P2007−65972A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251035(P2005−251035)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000233491)日立電子サービス株式会社 (394)
【Fターム(参考)】