説明

リユースCAD面版

【課題】 打抜機の厚い高硬度のカッティングプレート11が使用可能であり、打抜作業を効率的に行うことができる、リユースが可能なCAD面版1を提供する。
【解決手段】 CAD面版の裏面側に貼付け、剥離、再貼付けが可能なリユース糊を塗布し、記打抜機の高硬度のカッティングプレート上に、貼付け、剥離、再貼付けを繰り返して転写貼付けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は段ボールシートや板紙シートのシート体(12)を抜型(8)により打抜き加工を行いブランク(13)とし、該ブランク(13)の折り目となる正確な折り筋(14)の刻設と該ブランク(13)の折り筋(14)の表層割れを防ぐCAD面版(1)であって、打抜機のカッティングプレート(11)上に転写貼付けされたCAD面版(1)と打抜機に取り付けされた抜型(8)の押し罫(9)とが協働し、シート体(12)に箱体成形に必要な折り筋(14)を刻設と打抜かれたブランク(13)の折り筋(14)の表層割れを防ぐ、打抜機のカッティングプレート(11)上に転写貼付けするCAD面版(1)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブランク13の包装容器等の製造に際して、シート体12を打抜き加工により、抜型8のトムソン刃10で所定の形状に裁断するとともに、抜型8の押し罫9によりブランク13に折り筋14を多数刻設する。次に打抜かれたブランク13の該折り筋14に沿って折り曲げを行って箱体を形成するようになされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種従来のシート体12の打抜き加工に使用される抜型8は箱の形状にしたがって、ベニヤ板の基盤にレーザーカットにより、箱の外形形状のトムソン刃10用溝及び押し罫9用溝を形成し、それぞれの溝にトムソン刃10及び押し罫9を埋め込んで抜型8が製作される。打抜き加工では、打抜機の上側に装着された前記抜型8と打抜機のカッティングプレート11の上にシート体12を挿入し、前記カッティングプレート11を上昇させ、打抜き加工することで、前記抜型8のトムソン刃10で所定の形状に裁断するとともに、前記押し罫9によって所要部に折り筋14を多数刻設されたブランク13が形成される。次に打抜かれたブランク13の該折り筋14に沿って折り曲げを行って箱体を形成するようになされている。
【0004】
抜型8による打抜き加工には一般的に表抜きと称される、抜型8のトムソン刃10及び押し罫9をシート体12の印刷面(シート体の表側)から、前記トムソン刃10で所定の形状に裁断するとともに、抜型8の前記押し罫9によりブランク13に折り筋14を多数刻設する、板紙シートの打抜き加工に多用され、前記折り筋14を折り目として、打抜かれたブランク13の折り筋14を逆に折り曲げ箱体を成形する打抜き加工方法があり、該表抜きの打抜き加工では打抜機のカッティングプレート11上に転写接着されたCAD面版1が必ず必要であり、CAD面版1の基材は薄いフイルム4がラミネートされたベーク板材3やPET板材2などが一般的に用いられ、箱の形状にしたがって形成され、抜型8の押し罫9に対向する位置にはそれぞれ打抜かれる材料厚み及び紙目や前記押し罫9の幅により、ベース部分の0.1mm程度を残して適宜幅の面溝7が削り取られ、抜型8のトムソン刃10に対応する位置の内側近傍と外側が切り除かれ、該CAD面版1の裏面には接着剤が塗布されている、該CAD面版1はカッティングプレート11上の適宜位置に転写接着され、打抜機に取り付けされた抜型8の押し罫9が協働し、板紙シートをしごき、箱体成形に必要な折り筋14を多数刻設する。
【0005】
他方、抜型8による打抜き加工には、一般的に裏抜きと称され、抜型8のトムソン刃10及び押し罫9をシート体12の印刷面の反対側(シート体の裏側から)、トムソン刃10で所定の形状に裁断するとともに、打抜機のカッティングプレート11上に転写固定されたCAD面版1と打抜機に取り付けされた抜型8の押し罫9とが協働し、抜型8の押し罫9によりブランク13に折り筋14を多数刻設する、段ボールシート等のシート体12の打抜き加工に多く利用され、折り筋14を折り目として、打抜かれたブランク13の折り筋14に沿って、順方向に折り曲げを行って箱体を成形する方法がある、該裏抜きの打抜き加工では、抜型8のトムソン刃10及び押し罫9を印刷面の反対側(シート体の裏側)から打抜き加工を行うが、箱に組み立てる際、折り曲げ角度が90度に折り曲げた状態では特段問題は生じないが、180度にまで折り曲げが進むと、段ボールシートの品質によっては、段ボールシートの印刷面(シート体の表側)にブランク13の前記折り筋14部分に表層割れの問題が発生する。又箱体の形状によっては折り筋14を逆方向に折り曲げ(図5)を行って箱体を成形する必要があり、折り筋14が正確に折れない問題が発生するため、打抜機のカッティングプレート11上に転写接着されたCAD面版1が必要であり、該カッティングプレート11上に転写接着されたCAD面版1と打抜機に取り付けされた抜型8の押し罫9が協働し、段ボールシートに箱体成形に必要な折り筋14を多数刻設する。
【0006】
前記表抜き及び裏抜きのいずれの方法であっても、最良の折り筋14を得るためには、該カッティングプレート11上に転写接着するCAD面版1が必要である。
【0007】
従来CAD面版1の基材はPET板材2やベーク板材3などが一般的に用いられ、箱の形状にしたがって形成され、抜型8の押し罫9に対向する位置にはそれぞれ打抜かれる材料厚み及び紙目や前記押し罫9の幅により、ベース部分の0.1mm程度を残して適宜幅の面溝7が削り取られ、抜型8のトムソン刃10に対応する位置の内側近傍と外側が切り除かれ、該CAD面版1の裏面には接着剤が塗布されており、カッティングプレート11上に一度転写接着された該CAD面版1はカッティングプレート11から剥がすことが困難で、無理に剥がそうとすると前記基材のPET板材2やベーク板材3が破壊する問題があり再利用が困難であった。
【0008】
ところで近年、打抜機の厚い高硬度のカッティングプレート11は大きく重く、取り外して移動することが困難である為、打抜機の厚い(8mm程度)高硬度のカッティングプレート11上に薄い(1mm程度)ステンレス板15を脱着可能に固定し、CAD面版1を転写接着し、打抜き作業終了後、前記打抜機の厚い高硬度のカッティングプレート11から前記薄いステンレス板15を取り外し、次回に再利用するステンレス置版16を使用する方法が発明されている。該ステンレス置版16を使用する方法は薄いステンレス板15の厚さは薄く(1mm程度)且つカッティングプレート11に比べ硬度が低い為、抜型(8)のトムソン刃10により、該ステンレス板15の表面にトムソン刃10の傷痕17が発生し、該傷痕17が原因で打抜かれたブランク13の切り口に大量の紙粉が発生する問題があり、またステンレス板15も大きく且つ重く、取り扱いが危険であるという問題もある(図6)。
【0009】
本発明は、前記の問題点を解消するためになされたもので、打抜機の厚い高硬度のカッティングプレート11が使用可能であり、打抜作業を効率的に行うことができる、リユースが可能なCAD面版1を提供することを課題とし、実施の形態について図面を参照し詳細に説明する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
CAD面版1の基材は薄いフイルム4がラミネートされたPET板材2やベーク板材3などを一般的に用い、箱の形状にしたがって形成され、抜型8の押し罫9に対向する位置にはそれぞれ打抜かれる材料厚み及び紙目や前記押し罫9の幅により、ベース部分の0.1mm程度を残して適宜幅の面溝7を削り取り、抜型8のトムソン10に対応する位置の内側近傍と外側が切り除かれ、該CAD面版1の裏面側に貼付け、剥離、再貼付けが可能なリユース糊5を塗布し、ほこりや紙粉などが付着しないようにリユース糊5面を離継紙6で保護する(図1)。該CAD面版1は打抜機の厚い高硬度のカッティングプレート11に転写貼付けし、利用後はカッティングプレート11から剥がし取り、リユース糊5面を離継紙6で保護する事で一時保管が簡単に行なえ、リユース時には再度、打抜機の厚い高硬度のカッティングプレート11上に転写貼付けを可能にする。
【0011】
前記CAD面版の転写方法は、抜型8に取り付けたセットピンに取り付けるなど適宜方法により行い、該CAD面版1の離継紙6を取り、打抜機の厚い高硬度のカッティングプレート11上に転写する(図2)。すなわち、前記リユース糊を塗布したリユースが可能なCAD面版1を前記打抜機の高硬度のカッティングプレート11上に、貼付け、剥離、再貼付けを繰り返して転写貼付けする。このような使用後は打抜機の厚い高硬度のカッティングプレート11から剥がし取り、リユース糊5面を離継紙6で保護し一時保管を行なうリユース時には再度、打抜機の厚い高硬度のカッティングプレート11上に適宜方法により転写貼付けし利用する。
【0012】
図3はCAD面版1が転写貼付けされた打抜機の厚い高硬度のカッティングプレート11上にシート体12を挿入し、該カッティングプレート11を上昇させ、打抜き加工することで、前記抜型8のトムソン刃10で所定の形状に裁断するとともに、前記抜型8の押し罫9と前記CAD面版1が協働し、シート体12をしごき、箱体成形に必要な折り筋14を多数刻設する側面図である。
【発明の効果】
【0013】
以上詳述した本発明によれば、以下の各効果を奏する。
CAD面版1の裏面側に貼付け、剥離、再貼付けが可能なリユース糊5を塗布し、ほこりや紙粉などが付着しないように糊面を離継紙6で保護するリユース可能なCAD面版1を採用することで、従来の接着剤が塗布されたCAD面版のカッティングプレート1)上に一度転写接着された該CAD面版1はカッティングプレート11から剥がすことが困難で、無理に剥がそうとすると基材のPET板材2やベーク板材3が破壊する問題を解消し、打抜機の厚い高硬度のカッティングプレート11の利用が可能で、又ステンレス置版16方法の薄いステンレス板が抜型8のトムソン刃10により、該ステンレス板15の表面にトムソン刃10の傷痕17が発生し、該傷痕17が原因で打抜かれたブランク13の切り口に大量の紙粉が発生する問題やステンレスの置版16が重く取り扱いが危険であるという問題も解消される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるリユース可能なCAD面版の斜視図である。
【図2】本発明による打抜機のカッティングプレートにリユース糊により転写貼付けされたリユース可能なCAD面版の斜視図である。
【図3】本発明によるシート体に折り筋を刻設するCAD面版が転写貼付けされた打抜機のカッティングプレートと抜型の側面図である。
【図4】ブランクの斜視図である。
【図5】順折り曲げと逆折り曲げの説明図である。
【図6】ステンレス置版の斜視図及び断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 CAD面版
2 PET板材
3 ベーク板材
4 薄いフイルム
5 リユース糊
6 離継紙
7 面溝
8 抜型
9 押し罫
10 トムソン刃
11 カッティングプレート
12 シート体
13 ブランク
14 折り筋
15 ステンレス板
16 ステンレス置版
17 傷痕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打抜機に取り付けされた抜型と協働し、シート体に折り筋を形成する、打抜機の高硬度のカッティングプレート上に転写貼付けされるCAD面版であって、該CAD面版の裏面側に貼付け、剥離、再貼付けが可能なリユース糊を塗布したことを特徴とするリユースが可能なCAD面版。
【請求項2】
前記請求項1記載のリユース糊を塗布したことを特徴とするリユースが可能なCAD面版を前記打抜機の高硬度のカッティングプレート上に、貼付け、剥離、再貼付けを繰り返して転写貼付けすることを特徴とする請求項1記載のリユースが可能なCAD面版の転写貼付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−107354(P2009−107354A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26683(P2009−26683)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3137395号
【原出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(302065873)株式会社メイク・ア・ボックス (11)
【Fターム(参考)】