説明

リリーフ圧変更機能付きリリーフバルブ

【課題】スリーブの位置の変更によりリリーフ圧を切り換えるリリーフ弁において、スリーブが作動端に達した状態で偏った圧力の作用を解消する。
【解決手段】スリーブ4が背圧空間Bの方向に移動した際に、このスリーブ4の背面4Bに当接することで、このスリーブ4の移動限界を決める複数のストッパーSを設けた。つまり、スリーブ4の内部空間に嵌り込むように軸芯Xと同軸芯上にガイド体25が備えられ、このガイド体25の基端位置の外周で軸芯Xを取り囲む位置で、軸芯Xを取り囲む位置に複数のストッパーSを配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リリーフバルブ、特にエンジン潤滑系の油圧調整に用いられるリリーフ圧力が変更可能なリリーフバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
リリーフバルブは、油圧回路の圧力が設定圧以上になると、リリーフバルブの内部に設けられている余剰油の逃し路を開くことによって、油圧回路の圧力上昇を抑制するものである。
【0003】
この種のリリーフバルブは、例えば、非特許文献1のように、ボディ、バルブ、スプリング、リテーナ、プラグ、リテーナとプラグ間にオイルを導入する油路、及び、オイル導入をコントロールする背圧用コントロールバルブで構成される。
【0004】
このリリーフバルブにおいて、リテーナとプラグ間にオイルが導入されない場合には、リテーナはプラグ端面位置にありスプリング長が長くセットされて、バルブ開弁圧が低圧に設定される。一方、リテーナとプラグ間にオイルが導入される場合には、リテーナが上昇してスプリングを収縮させ、バルブ開弁圧が高圧に設定される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】公技番号2006−505946
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リリーフ圧変更機能付きリリーフ弁の一例として、図10及び図11に示す構成のものを想定できる。つまり、この比較例では、オイルポンプ20から流体が供給される供給用流路10に接続する第1ポート11と流体を排出する第2ポート12とを有するバルブボディ2に軸芯Xに沿って収容空間が形成されている。この収容空間に対して軸芯Xに沿って移動自在にスリーブ4を備え、このスリーブ4の内部で軸芯Xに沿って移動自在にバルブ5を備え、このバルブ5を突出付勢するバネ6を備えている。スリーブ4の端部には第1ポート11に連通する流入孔7と、側面には第2ポート12に連通する排出口8が形成され、このスリーブ4の内面に摺接する軸状のガイド体25がバルブボディ2に備えられている。
【0007】
スリーブ4は所定の直径となる第1摺接面4aと、この第1摺接面4aより大径となる第2摺接面4bとが形成され、第1摺接面4aの短部に端面4Aが形成され、第2摺接面4bの側の端部に背面4Bが形成されている。収容空間のうち背面4Bが面する領域に背圧空間Bが形成され、この背圧空間Bに流体圧を供給する制御油路16が形成されている。この制御油路16を介して流体が供給された場合には、スリーブ4の背面4Bに作用する流体圧により、図10に示す如くスリーブ4を第1ポート側の作動端の低圧機能位置まで移動させ、この制御油路16から背圧空間Bの流体が排出された(圧力をなくす)場合には、図11に示す如くスリーブ4を第1ポート11の反対側の端部の高圧機能位置まで移動させることが可能となる。
【0008】
このように構成されたリリーフ弁では、スリーブ4を高圧機能位置に設定した後に低圧機能位置に切り換える場合には、スリーブ4の背面4Bに全面に流体の圧力を作用させることが理想であり、この全面に対して迅速に流体の圧力を作用させるために背面4Bを背圧空間Bの内壁面より少し浮き上がらせる必要がある。そこで、図に示す如くガイド体25の端部にストッパーSを備えることも考えられるが、このストッパーが単一である場合には、高圧機能位置に設定されたスリーブ4の背面4Bと単一のストッパーSとが軸芯Xと離間する位置で接触するため、スリーブ4の第1摺接面4aや第2摺接面4bの一部が収容空間に強く接触する状態に陥ることも考えられた。
【0009】
このようにスリーブ4に対して偏った力が作用する状況では、スリーブ4が高圧機能位置にある状態において背圧空間Bに流体が供給された場合に、偏った力によって接触する部位の摩擦によりスリーブ4の移動に遅れを招くことになり、応答速度を低下させることに繋がることも考えられた。特に、このように偏った接触が発生する場合には、偏った摩耗も招くことになり改善の余地がある。
【0010】
本発明の目的は、スリーブの位置の変更によりリリーフ圧を切り換えるリリーフ弁において、スリーブが作動端に達した状態で偏った圧力の作用を解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特徴は、流体が流入する第1ポートと流体を排出する第2ポートとを有するバルブボディと、
前記バルブボディに軸芯に沿って形成された収容空間の内部で摺動するように前記軸芯を中心とする円筒状で、前記第1ポートに連通する流入口、及び、前記第2ポートに連通する排出口を備えたスリーブと、
前記第1ポートからの前記流体の圧力を受けつつ前記スリーブの内部で前記軸芯に沿う方向に摺動し、前記流入口に近接して前記排出口を閉じる閉じ状態と、前記流入口から離間することにより前記流入口からの流体を前記排出口から排出する開き状態とを作り出すバルブと、
前記バルブに対して前記第1ポートからの流体圧に抗う方向に付勢力を付与する付勢部材と、
前記スリーブの前記第1ポートの反対側の背面に対して流体圧を作用させることで、このスリーブを第1ポート側の低圧機能位置に設定し、前記背面に対する流体圧の作用を解除することで前記スリーブの前記第1ポート側の端面に作用する流体圧で前記スリーブを前記第1ポートと反対側の高圧機能位置に設定するバルブ位置変更機構とを備え、
前記スリーブの前記高圧機能位置の方向への移動限界を設定するストッパーが、前記軸芯を中心にして、この軸芯を取り囲む位置に形成されている点にある。
【0012】
この構成によると、軸芯を中心にして、この軸芯を取り囲む位置にストッパーが形成されているので、スリーブが高圧機能位置にセットされた状態では、ストッパーに当接することでスリーブの背面側の移動限界が決まることにより、スリーブの背面とバルブボディの内壁面との間に隙間を確保する。これと同時に、スリーブに対して偏った圧力が作用する不都合を解消し、スリーブの姿勢を安定させて保持できる。
その結果、スリーブの位置の変更によりリリーフ圧を切り換えるリリーフ弁において、スリーブが作動端に達した状態で偏った圧力の作用を解消し応答性を向上させ、偏った摩耗も解消できるものとなった。
【0013】
本発明は、前記ストッパーが、前記軸芯を中心とする円周状の領域に等間隔で複数個形成されても良い。
【0014】
これによると、軸芯を中心とする円周状の領域に等間隔で形成されたストッパーにより偏りのなく圧力を受け、しかも、ストッパーの隙間の空間を介して作動油の給排を行えるため低圧機能位置と高機能位置との切り換えを迅速に行える。
【0015】
本発明は、前記スリーブの内部空間に嵌め込まれることにより、前記スリーブの内面に摺接するガイド面を外周に形成したガイド体が前記バルブボディに備えられると共に、このガイド体の基端位置に前記ストッパーが一体的に形成され、このストッパーと前記ガイド面との間に前記ガイド面より小径となる溝部が形成されても良い。
【0016】
これによると、ガイド体とガイド面とストッパーとの間にガイド面より小径の溝部が形成されているので、ガイド面を仕上げる際ための工具が溝部にオーバハングしてもストッパの部位に工具が達して不必要な加工が行われることはなく、加工が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】低圧機能状態にあるリリーフバルブを示す図である。
【図2】低圧機能状態でリリーフ状態のリリーフバルブを示す図である。
【図3】高圧機能状態にあるリリーフバルブを示す図である。
【図4】高圧機能状態でリリーフ状態のリリーフバルブを示す図である。
【図5】スリーブの構造を示す斜視図ある。
【図6】ストッパーの構造を示す断面図である。
【図7】ストッパーの構造を示す平面図及び斜視図である。
【図8】別実施形態(a)のストッパーの構造を示す断面図である。
【図9】別実施形態(a)のストッパーの構造を示す平面図及び斜視図である。
【図10】低圧機能状態の比較例のリリーフバルブを示す図である。
【図11】高圧機能状態の比較例のリリーフバルブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図5に示すように、バルブボディ2にスリーブ4を収容し、このスリーブ4の内部にバルブ5を収容することによりリリーフ圧の切り換えが可能なリリーフ圧変更機能付きリリーフバルブ1が構成されている。
【0019】
このリリーフバルブ1はエンジンで駆動されるオイルポンプ20によりエンジンのオイルパン21の流体(オイル)を吸引し、エンジンの潤滑系に供給する油路系に備えられるものであり、電磁操作式の切換弁15の操作によりスリーブ4の位置を切り換えてリリーフ圧の切り換えを実現している(切り換え作動形態は後述する)。また、本発明のリリーフバルブ1は流体として水のようにオイル以外の液体を制御対象にして良く、また、ガスを制御対象にしても良い。
【0020】
バルブボディ2には、オイルポンプ20からの流体(オイル)が供給される供給用流路10と、この供給用流路からの流体(オイル)が流入する第1ポート11と、流体を排出する第2ポート12と、第1ポート11と第2ポート12に連通する位置に軸芯Xに沿って形成された収容空間とを備えている。
【0021】
収容空間は、前記第1ポート11側に所定内径のシリンダ状内面が形成され、第1ポート11の反対側に前記所定内径より大径のシリンダ状内面が形成された構造を有している。この収容空間のうち軸芯Xに沿う方向の一方の端部に前記第1ポート11が連通し、この軸芯Xに沿う方向の中間で軸芯Xに直交する方向から第2ポート12が連通している。更に、この収容空間のうち第1ポート11の反対側の端部には背圧空間Bが形成され、この背圧空間Bに連通する制御油路16がバルブボディ2に形成されている。
【0022】
この収容空間の内面に摺接する状態で軸芯Xの方向に移動自在にスリーブ4を収容しており、更に、このスリーブ4の内面に摺接する状態で軸芯Xの方向に移動自在にバルブ5を収容している。スリーブ4の第1ポート11と反対側の内周に嵌り込んでスリーブ4をガイドする軸状のガイド体25と、バルブ5を第1ポート11の方向に付勢するバネ6(付勢部材の一例)を備えている。
【0023】
スリーブ4は、全体的に軸芯Xを中心とし、端部に流入口7が形成された円筒状であり、側面に複数の排出口8が形成され、1つの開放口9が形成されている。また、このスリーブ4のうち、第1ポート11に対向する端部に端面4Aが形成され、これと反対側に平坦な形状の背面4Bが形成されている。このスリーブ4の端面4Aの近い領域には収容空間の所定内径の部位に内嵌する第1摺接面4aと、背面4Bに近い領域には収容空間の大径部に内嵌する第2摺接面4bとが形成され、第1摺接面4aと第2摺接面4bとの中間の領域には収容空間の内壁には摺接しないように収容空間の内径より小径となる外周面4cが形成されている。
【0024】
尚、収容空間の内壁に摺接しない外周面4cを備えているので、スリーブ4の作動時における摺動抵抗を低減している。前記開放口9は、供給用流路10の圧力上昇に伴いバルブ5が作動する際に、このバルブ5の背面側の流体を第2ポート12に逃がす位置に形成されている。
【0025】
このスリーブ4の端面4Aには、図5に示すように、全周にわたる平坦な外周面と、外周面より第1ポート11の側に位置し、全周にわたる平坦な内周面と、外周面から内周面にかけて径が小さくなる方向に傾斜して連続する傾斜面が形成されている。さらに、端面4Aには、内周面から外周面にかけて切り欠き部4dが形成されている。このような構造であるため、スリーブ4が第1ポート11の側に作動した場合には、端面4Aがバルブボディ2の第1ポートの側の当接面2Aに当接する。このとき端面4Aと当接面2Aとが密接することで、端面4Aの外周面への流体通路が狭められ、第1ポートの流体が端面4Aの外周面に流れ難い状態になることがある。このような不都合を解消するために、端面4Aに切り欠き部4dが形成されている。このような構造から、第1ポート11の流体が、切り欠き部4dを通じて端面4Aの外周面全体に流れ込み、第1ポート11の流体圧を端面4Aの外周面にまで行き渡り、スリーブ4の動作を円滑なものにしている。
【0026】
バルブ5は、スリーブ4の内部空間に内嵌する外径を有する軸状であり、スリーブ4の内面に接触する状態で軸芯Xに沿って移動自在に備えられている。また、内部には軸芯Xに沿ってバネ収容空間が形成され、このバネ収容空間とガイド体25との間に前述したバネ6が介装されている。
【0027】
ガイド体25は、図6及び図7に示すように、このガイド体25より大径のベース部26を介してプレート27に対して直交する姿勢で形成されている。プレート27をボルト28でバルブボディ2に連結することによりバルブボディ2と一体化し収容空間を閉塞することで前述した背圧空間Bが形成される。また、ガイド体25は軸芯Xを中心に配置されるものであり、このガイド体25のうちベース部26との境界部分に(プレート27の近傍位置に)は軸芯Xを中心にして、この軸芯Xを取り囲む位置に複数のストッパーSが一体的に形成されている。
【0028】
ストッパーSは、スリーブ4の背圧空間Bの方向への移動限界を決めるものであり、複数のストッパーSの当接面は、スリーブ4の背面4Bに当接した状態でスリーブ4の長手方向を軸芯Xに対して平行に維持するように、夫々の当接面が軸芯Xに直交する姿勢の仮想平面と一致する位置に形成されている。また、ストッパーSは、このスリーブ4の背面4Bとプレート27の内面(バルブボディ2の内面の一例)との距離を所定値に維持するように機能する。このようにスリーブ4の移動限界を決める場合には、複数のストッパーSがスリーブ4の移動限界を決めるのでスリーブ4に対して偏った力が作用する不都合を抑制できるものにしている。
【0029】
特に、本発明のリリーフ圧変更機能付きリリーフバルブ1では、スリーブ4が軸芯Xに沿って移動する際には、スリーブ4の内面がガイド体25の外周のガイド面25aに摺接する状態で移動することになる。ガイド面25aは高精度で加工し仕上げられるものであり、このように高精度で仕上げる際の加工時に工具がストッパーSを不必要に切削しないように、ガイド面25aとストッパーSとの中間にガイド面25aより小径の溝部25bが形成されている。
【0030】
また、切換弁15は、供給用流路10からの作動油の圧力を制御油路16に作用させるように中間油路14が形成されている。この中間油路14と切換弁15と制御油路16とで本発明のバルブ位置変更機構が構成されている。
【0031】
〔作動形態〕
このような構成から、切換弁15を供給位置に操作することにより、図1及び図2に示すように、供給用流路10の流体が中間油路14と制御油路16とを介して背圧空間Bに供給され、スリーブ4は低圧機能位置(低圧機能状態)に設定される。つまり、スリーブ4の端面4Aに対して第1ポート11から流体圧が作用すると同時に、スリーブ4の背面4Bに作用することになり、端面4Aと背面4Bとの受圧面積の差からスリーブ4が第1ポート11の側に移動し、スリーブ4の端面4Aの外周部分がバルブボディ2の当接面2Aに当接する低圧機能位置の移動端に達する。
【0032】
スリーブ4が低圧機能位置に設定された状態で供給用流路10の圧力が上昇した際には、図2に示すように、バネ6の付勢力に抗してバルブ5が第1ポート11から離間する方向に変位し、このスリーブ4の端部が排出口8の位置に達することにより第1ポート11の余剰流体が排出口8から第2ポート12に排出され、オイルパンに還流することになりリリーフ弁として機能する。
【0033】
これに対し、切換弁15を排出位置に操作することにより、図3及び図4に示すように、供給用流路10の流体からの圧力が遮断されると同時に、制御油路16の流体が排出され、スリーブ4は高圧機能位置(高圧機能位置)に設定される。つまり、エンジンが稼動する状態ではスリーブ4の端面4Aに対しては第1ポート11から流体圧が常に作用しており、スリーブ4の背面4Bに作用する流体圧がなくなることから、端面4Aに作用する流体圧からスリーブ4が高圧機能位置の移動端に達し、スリーブ4の背面4BがストッパーSに当接して限界位置に達する。
【0034】
スリーブ4が高圧機能位置に設定された状態で供給用流路10の圧力が上昇した際には、図4に示すように、バネ6の付勢力に抗してバルブ5が第1ポート11から離間する方向に変位し、このスリーブ4の端部が排出口8の位置に達することにより第1ポート11の余剰流体が排出口8から第2ポート12に排出され、オイルパンに還流することになりリリーフ弁として機能する。そして、スリーブ4が高圧機能位置に設定された状態でリリーフ弁として機能する際にはスリーブ4が限界位置に達しているので、リリーフ弁として機能する際にはスリーブ4が低圧機能位置に設定された状態と比較してバネ6の圧縮量が大きく高いリリーフ圧となる。
【0035】
このように本発明によると、切換弁15を操作することにより、流体の圧力を利用してスリーブ4の位置を変更することによりリリーフ圧の切り換えを可能にする。また、リリーフ圧を切り換える際には電動モータ等のアクチュエータを用いてバネ圧を調節するもののように機械的な作動系を用いる必要がなく構成が簡素となる。
【0036】
特に、本発明のように軸芯Xを中心として、この軸芯Xを取り囲む位置に複数のストッパーSを配置することにより、スリーブ4の端面4Aに作用する流体圧によってスリーブ4の背面4Bが複数のストッパーSに当接する位置まで変位した場合には、背面4Bからの圧力を複数のストッパーSが均等に受け止めることになる。このような理由から、スリーブ4に作用する流体圧がスリーブ4に対して偏った方向(軸芯Xと非平行となる方向)に作用することがなく偏摩耗を抑制すると同時に、背圧空間Bに流体圧が作用した場合にスリーブ4の迅速な作動開始を可能にし、リリーフ圧を切り換える際の応答速度の高速化を実現している。
【0037】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
【0038】
(a)図8及び図9に示すように、軸芯Xを中心する円周状の領域に、この領域を複数に分割するように複数の円弧状のストッパーSを形成する。このように円周状の領域を分割した形態でストッパーSを形成することにより、複数のストッパーSの広い面をスリーブ4の背面4Bに当接させてスリーブ4の傾きを確実に抑制できるものにする。
【0039】
(b)スリーブ4の背面4Bから軸芯Xに沿って突出するように、ストッパーSをスリーブ4と一体的に形成する。このようにスリーブ4と一体的にストッパーSを形成する構造として前述した実施形態と同様に軸芯Xを取り囲む位置に複数のストッパーSを形成することや、〔別実施形態〕(a)のように軸芯Xを中心とする円周状の領域の全てに形成しても良い。そして、このようにスリーブ4と一体的にストッパーSを形成したものでは、ガイド体25の外周の全てをガイド面25aとして形成できるので加工が容易となる。
【0040】
(c)ストッパーSをプレート27等の部材で成るバルブボディ2に形成する。このようにバルブボディ2にストッパーSを形成する構造として前述した実施形態と同様に軸芯Xを取り囲む位置に複数のストッパーSを形成することや、〔別実施形態〕(a)のように軸芯Xを中心とする円周状の領域の全てに形成しても良い。また、プレート27やバルブボディ2等にストッパーSを構造としてストッパーSを構成する部材を取り付ける構造であっても、プレート27やバルブボディ2等と一体的に形成する構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るリリーフバルブは、エンジン潤滑系の油圧調整に限らず、広く、さまざまな液圧調整に用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
2 バルブボディ
4 スリーブ
4A 端面
4B 背面
5 バルブ
6 付勢部材(バネ)
7 流入口
8 排出口
11 第1ポート
12 第2ポート
25 ガイド体
25b 溝部
S ストッパー
X 軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流入する第1ポートと流体を排出する第2ポートとを有するバルブボディと、
前記バルブボディに軸芯に沿って形成された収容空間の内部で摺動するように前記軸芯を中心とする円筒状で、前記第1ポートに連通する流入口、及び、前記第2ポートに連通する排出口を備えたスリーブと、
前記第1ポートからの前記流体の圧力を受けつつ前記スリーブの内部で前記軸芯に沿う方向に摺動し、前記流入口に近接して前記排出口を閉じる閉じ状態と、前記流入口から離間することにより前記流入口からの流体を前記排出口から排出する開き状態とを作り出すバルブと、
前記バルブに対して前記第1ポートからの流体圧に抗う方向に付勢力を付与する付勢部材と、
前記スリーブの前記第1ポートの反対側の背面に対して流体圧を作用させることで、このスリーブを第1ポート側の低圧機能位置に設定し、前記背面に対する流体圧の作用を解除することで前記スリーブの前記第1ポート側の端面に作用する流体圧で前記スリーブを前記第1ポートと反対側の高圧機能位置に設定するバルブ位置変更機構とを備え、
前記スリーブの前記高圧機能位置の方向への移動限界を設定するストッパーが、前記軸芯を中心にして、この軸芯を取り囲む位置に形成されているリリーフ圧変更機能付きリリーフバルブ。
【請求項2】
前記ストッパーが、前記軸芯を中心とする円周状の領域に等間隔で複数個形成されている請求項1記載のリリーフ圧変更機能付きリリーフバルブ。
【請求項3】
前記スリーブの内部空間に嵌め込まれることにより、前記スリーブの内面に摺接するガイド面を外周に形成したガイド体が前記バルブボディに備えられると共に、このガイド体の基端位置に前記ストッパーが一体的に形成され、このストッパーと前記ガイド面との間に前記ガイド面より小径となる溝部が形成されている請求項1又は2記載のリリーフ圧変更機能付きリリーフバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−17797(P2012−17797A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155130(P2010−155130)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】