リレー局およびリレー方法
【課題】リレーによる遅延を軽減する。
【解決手段】本発明のリレー局は、それぞれ第1シーケンス番号が付与された複数の第1セグメントを有する第1のデータを、第1セグメント毎に第1の無線通信装置から受信する手段と、一定時間内に受信された複数の第1セグメントを第1シーケンス番号順に並べ、第1シーケンス番号が不連続になるセグメント間で分割することでG個のグループを生成する手段と、グループ毎に第1セグメントを連結して連結データを生成し、連結データを1つ以上の第2セグメントに再セグメント化する手段と、M(Mは2以上G以下の整数)番目のグループに含まれる第2セグメントに対し、先頭がX+P(Xは、M−1番目のグループの末尾の第2セグメントの第2シーケンス番号、Pは3以上の整数)で始まる連続した第2シーケンス番号を付与する手段と、第2セグメントを第2の無線通信装置に送信する手段と、を備える。
【解決手段】本発明のリレー局は、それぞれ第1シーケンス番号が付与された複数の第1セグメントを有する第1のデータを、第1セグメント毎に第1の無線通信装置から受信する手段と、一定時間内に受信された複数の第1セグメントを第1シーケンス番号順に並べ、第1シーケンス番号が不連続になるセグメント間で分割することでG個のグループを生成する手段と、グループ毎に第1セグメントを連結して連結データを生成し、連結データを1つ以上の第2セグメントに再セグメント化する手段と、M(Mは2以上G以下の整数)番目のグループに含まれる第2セグメントに対し、先頭がX+P(Xは、M−1番目のグループの末尾の第2セグメントの第2シーケンス番号、Pは3以上の整数)で始まる連続した第2シーケンス番号を付与する手段と、第2セグメントを第2の無線通信装置に送信する手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信システムにおけるリレー局およびリレー方法に関し、たとえばリレー局のMAC(Media Access Control)層における受信および送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代PHS(Personal Handy-phone System)について物理層およびMAC層の規格が規定されている(非特許文献1)。
【0003】
次世代PHS規格では、MAC層よりも上位層のデータは、PHYペイロード内にマッピングされるMACフレームサイズに応じてセグメントに分割される。セグメントそのものに相当するMACペイロード、もしくは、サイズ調整のためにパディングビットを含むMACペイロードには、適切なMACヘッダが付加されてMACフレームが生成される。さらにMACフレームにCRC符号とテールビットが付加されてPHYデータユニットが生成され、このPHYデータユニットが時間と周波数とで区切られた無線リソース上にマッピングされて送信される。
【0004】
MACヘッダには、MACフレームに含まれるセグメントを連結して上位層データを再構築するために必要な情報が幾つか含まれている。特に、MACヘッダに含まれているシーケンス番号は、送信元の装置がMACフレームを生成した順に付けた連続する番号である。また、MACヘッダには、MACフレームに上位層データのセグメントが含まれるか否かという情報、そのセグメントが上位層データを切り出した先頭セグメントか否かという情報、セグメントのサイズ情報が含まれている。これらの情報と前述のシーケンス番号の順序を基にして、受信したMACフレームからセグメントを取り出して、それらを連結することで上位層データの再構成を行うことができる。
【0005】
また、基地局および端末間で通信が行われている場合に、基地局と端末との間にリレー局が介在し、基地局からの送信データをリレー局が受信して端末にリレー送信する、もしくは、端末からの送信データをリレー局が受信して基地局にリレー送信するという利用形態が知られている(例えば、非特許文献1)。
【0006】
次世代PHS規格に基づいて、基地局と端末との間にリレー局が介在して運用される場合、基地局から見てリレー局は端末のように、端末から見てリレー局は基地局のように振舞うものと想定され、基地局とリレー局間、およびリレー局と端末間の無線通信では、前記の物理層およびMAC層の手続きに沿った以下のような処理が通常行われる。
【0007】
例えば、基地局から送信されたデータをリレー局が受信し、そのデータを端末までリレー送信する場合を想定する。この場合において上位層のデータは常にリレー送信されるものとすると、リレー局は、受信したMACフレームのMACヘッダを見て、上位層データが含まれている場合には、セグメントを取り出し、MACヘッダ情報をもとに上位層データを再構成する。さらに再構成された上位層データから、リレー局が送信で利用できるPHYペイロードサイズに応じてセグメントを切り出し、そのセグメントを含むMACペイロードにMACヘッダを付加してMACフレームを生成する。そして、MACフレームから上述のPHYデータユニットを生成し、このPHYデータユニットを無線リソースにマッピングして、リレー局がリレー送信する。
【0008】
一方、別のリレー方法として、受信MACフレームの単位のままで、リレー送信を行う方法も知られている(特許文献1)。
【0009】
この方法では、リレー局がリレー元装置から受信したMACフレームのMACヘッダを確認し、上位層データが含まれている場合は、MACペイロードからセグメントを取り出す。リレー局がリレー先装置への送信で利用可能なMACペイロードサイズに応じて、前記のセグメントがそのまま送信が出来るサイズであれば、必要に応じてパディングビットでサイズ調整してMACフレームを生成し、さらにPHYデータユニットを生成して無線リソースにマッピングして送信する。サイズが大きすぎる場合には、セグメントを適切なサイズに分割して複数のMACフレームを生成し、さらに複数のPHYデータユニットを生成して複数の無線リソースにマッピングして送信する。本方法では、上位層データの再構成処理などを行なわずに、リレー局が受信したMACフレームの単位でリレー送信できる。
【非特許文献1】ARIB標準 STD-T95「OFDMA/TDMA TDD Broadband Wireless Access System (Next Generation PHS)ARIB STANDARD」,1.0版
【特許文献1】特開2008-153778号公報、第15項、第10図
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述のリレー局が受信したMACフレーム単位でそのままリレー送信する方法は、リレー送信するデータと、リレー局がリレー送信で利用できる無線リソースとのサイズ差をパディングビットで埋めるため、実効スループットが低下し、伝送効率が悪いという問題がある。
【0011】
よって、伝送効率を考慮すると、受信したMACフレーム単位そのままではなく、複数の受信MACフレームに含まれるセグメントから上位層データを再構築した上で、リレー局が新たに送信MACフレームを生成しなおすことが通常考えられる方法である。
【0012】
上述した通り、次世代PHS規格では、上位層データから切り出したセグメントからMACフレームを生成した順に必ず連続したシーケンス番号を付けている。
【0013】
ここで、基地局から端末にデータが送信される際に、途中でリレー局が介在する場合は、前述の通り、リレー局が受信したMACフレームから上位層データを一度再構成し、その後、リレー局が送信する都合に合わせたセグメントに新たに切りなおしてMACフレームを生成する。
【0014】
しかし、CRCエラーの発生などにより、リレー局は、受信MACフレームをシーケンス番号順に沿って必ず受信できるとは限らず、一部のシーケンス番号のMACフレームがエラーで抜けて、シーケンス番号が不連続に並んだ状態で受信することがある。
【0015】
受信したMACフレームから上位層データを再構成しているときに、途中でシーケンス番号が不連続になって一部のMACフレームが抜けていた場合には、通常は、抜けていたMACフレームが、後の時間で再送によって受信できるまで上位層データの再構成を中断することになる。それにより、リレー局がリレー送信するMACフレームの生成も遅れてしまう。
【0016】
したがって、もし、前記の途中で抜けたMACフレームよりシーケンス番号が後続となるMACフレームが正しく受信できていて、さらに、その時点でリレー局がリレー送信するための無線リソースが確保されていたとしても、リレー送信するMACフレームが準備できていないので、そのリソースを使うことが出来ない。その結果、そのリレー送信の処理が後回しにされることで、リレー送信による遅延がより大きくなってしまうという問題がある。
【0017】
本発明は、これらの問題に対処するものであり、リレーによる遅延を軽減できるリレー局およびリレー方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様としてのリレー局は、
第1の無線通信装置から第2の無線通信装置への通信を中継するリレー局であって
それぞれ第1シーケンス番号が付与された複数の第1セグメントを有する第1のデータを、前記第1セグメント毎に前記第1の無線通信装置から受信する受信手段と、
一定時間内に受信された複数の前記第1セグメントを前記第1シーケンス番号順に並べ、前記第1シーケンス番号が不連続になるセグメント間で分割することでG(Gは2以上の整数)個のグループを生成するグループ生成手段と、
前記グループ毎に前記第1セグメントを連結して連結データを生成し、前記連結データを1つ以上の第2セグメントに再セグメント化する再セグメント化手段と、
M(Mは2以上G以下の整数)番目の前記グループに含まれる前記第2セグメントに対し、先頭がX+P(Xは、M−1番目の前記グループの末尾の第2セグメントの第2シーケンス番号、Pは3以上の整数)で始まる連続した前記第2シーケンス番号を付与するシーケンス番号付与手段と、
前記第2セグメントを前記第2の無線通信装置に送信する送信手段と、
を備える。
【0019】
本発明の一態様としてのリレー方法は、
第1の無線通信装置から第2の無線通信装置への通信を中継するリレー局において実行するリレー方法であって
それぞれ第1シーケンス番号が付与された複数の第1セグメントを有する第1のデータを、前記第1セグメント毎に前記第1の無線通信装置から受信するセグメント受信ステップと、
一定時間内に受信された複数の前記第1セグメントを前記第1シーケンス番号順に並べ、前記第1シーケンス番号が不連続になるセグメント間で分割することでG(Gは2以上の整数)個のグループを生成するグループ生成ステップと、
前記グループ毎に前記第1セグメントを連結して連結データを生成し、前記連結データを1つ以上の第2セグメントに再セグメント化する再セグメント化ステップと、
M(Mは2以上G以下の整数)番目の前記グループに含まれる前記第2セグメントに対し、先頭がX+P(Xは、M−1番目の前記グループの末尾の第2セグメントの第2シーケンス番号、Pは3以上の整数)で始まる連続した前記第2シーケンス番号を付与するシーケンス番号付与ステップと、
前記第2セグメントを前記第2の無線通信装置に送信する送信ステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、リレーによる遅延を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図2は、次世代PHSにおいて、基地局がリレー局を介して端末と無線通信を行う利用形態を示している。
【0023】
本利用形態において、下りリンクでは、基地局201が通信エリア202内に存在するリレー局203に下りリンクのデータを送信し、リレー局203がそのデータを端末204にリレー送信する。この下りリンクの場合、基地局201は第1の無線通信装置に対応し、端末204は第2の無線通信装置に対応する。一方、上りリンクでは、端末204がリレー局203に上りリンクのデータを送信してリレー局203がそのデータを基地局201にリレー送信するものとする。この上りリンクの場合、端末204は第1の無線通信装置に対応し、基地局201は第2の無線通信装置に対応する。また、本利用形態におけるリレー局203を介した無線接続では、リレー局203は、基地局からは端末のように、端末からは基地局のように振舞う。
【0024】
次世代PHSはTDD(Time Division Duplex)システムであり、図3のように、物理層で定義された5msフレーム内に上りスロット4つと下りスロット4つの計8スロットが含まれている。また、図4のように、周波数軸方向にはシステム帯域分を900kHz間隔に区切ったサブチャネル(SCH)が定義されており、スロットとサブチャネルで区切られた区画(無線リソース)に前記PHYデータユニットをマッピングする。
【0025】
リレー局が存在する場合、下りリンクでは、前記の下り4スロット分を、基地局とリレー局間と、リレー局から端末間の2つの無線接続に分けることで無線通信を行うことになる。例えば、図5のように、下り4スロットのうち、前半2スロット(A)を基地局からリレー局に、後半2スロット(B)をリレー局から端末で利用する方法が考えられる。この例では、基地局からスロット(A)で受信したデータは、同一の5msフレームのスロット(B)を利用してリレー局から端末に送信する、もしくは、受信データの復号遅延を考慮して、それ以降の5msフレームのスロット(B)を利用して前記データをリレー局から端末にリレー送信することになる。
【0026】
以下では、主に下りリンクのデータを基地局からリレー局に送信し、リレー局がそのデータを端末にリレー送信するまでを詳細に説明する。すなわち基地局が第1の無線通信装置、端末が第2の無線通信装置の場合におけるリレー局によるリレー動作を説明する。ただし、下りリンクに限定されるものではなく、同等の手順を上りリンクに適用することも可能である。
【0027】
基地局は、図1のように、MAC層より上位層のデータ(以下、上位層データを呼ぶ)を、基地局が送信で利用できるPHYデータユニットのサイズに合わせて分割することにより、セグメントを生成する。ここで、PHYデータユニットのサイズは、伝送路の状況に応じて基地局により事前に設定され、端末側には制御チャネルにより事前に通知されているものとする(端末にリレー送信するリレー局は、端末から見ると基地局のように振舞うため、端末に送信するときのPHYデータユニットサイズは、リレー局自身が伝送路の状況に応じて設定したものを用いるものとし、端末側にも制御チャネルにより事前に通知されている)。
【0028】
さらに、基地局は、生成したセグメントを含むMACペイロードに、シーケンス番号等を含むMACヘッダを付加してMACフレームを生成する。基地局で付与されるシーケンス番号は本発明の第1のシーケンス番号に相当する(なお後述するようにリレー局で付与されるシーケンス番号は第2のシーケンス番号に相当する)。生成された複数のMACフレームには、エラー検出のためのCRCチェックビットとテールビットが付加され、PHYデータユニットが生成される。PHYデータユニットは、一時的に確保された無線リソースの一部(図4に示したスロットとサブチャネルで区切られた区画)に割り当てられることで無線送信が行われる。上記上位層データを元に生成された各MACフレーム(または各PHYデータユニット)のそれぞれは、本発明の第1シーケンス番号が付与された第1セグメントに相当し、これら第1セグメントの組は本発明の第1のデータを形成する。
【0029】
また、シーケンス番号等を含むMACヘッダには、図6に示すように3つのフォーマットが定義されている。各フォーマットには幾つかのエレメントが含まれる。各エレメントの説明は以下の通りである。
・ B :上位層データをセグメントに分割した時の先頭セグメントかどうかを示す(1bit、先頭なら”1”)。
・ CD :MACペイロードに含まれるデータの種別を示す(2bit、“11”なら上位層データ)。
・ MD :MACペイロード内に2つ以上の上位層データが含まれるかどうかを示す。
・ F :MACペイロード長がLで表されるかを示す(1bit、”0”ならLで表される)。
・ QI :セッションIDを示す。
・ N :シーケンス番号を示す(8bit)(シーケンス番号は必ず連続する番号が付けられる)。
・ L :MACペイロードサイズをバイト数で示す(8 or 16bit)。
・ IX :上位層データをセグメントに分割して送信する場合に、このMACフレーム以前に送信済みのバイト数を示す(8 or 16bit)。
【0030】
ここで、シーケンス番号は、セグメントに分割された上位層データを並び替えて再構成するための情報となるものであり、送信装置が送信するMACフレームを生成した順に連続した番号が付けられる。ただし、シーケンス番号は8ビットで表されるため、0〜255までの番号となり、最大値255に達すると、その次のシーケンス番号は0に戻ることになる。
【0031】
図7は、基地局が上位層データを複数のセグメントに分割し、各セグメントを含むMACペイロードにMACヘッダを付加して、複数の送信MACフレームを生成するまでの処理の一例を説明する図である。
【0032】
上位層データnの先頭セグメントは、MACヘッダのエレメントBで区別される。よって、先頭セグメントを含むMACフレーム1は、フォーマット1が適用され、エレメントBが1にセットされたMACヘッダ1が、先頭セグメントを含むMACペイロードに付加される。また、このときMACヘッダ1のエレメントLは、MACペイロード長よりも大きい値となり、セグメントに分割前の上位層データ全体のサイズを示している。またMACヘッダ1のシーケンス番号はkである。これは1つ前の上位層データn-1の末尾のセグメントのシーケンス番号がk−1であり、このk−1に連続する整数値である必要があるためである。
【0033】
続いて、中間のセグメントを含むMACペイロードにそれぞれMACヘッダ2、3、4、・・・9が付加されてMACフレーム2〜9が生成される。この際、各MACヘッダ2〜9のエレメントNは、必ず連続する整数のシーケンス番号k+1〜k+8となる。
【0034】
最後のセグメントはサイズが10バイトで、MACペイロードサイズが40byteであるので、サイズ差をパディングビットで調整した上、MACヘッダ10を付加してMACフレーム10を生成する。最後のセグメントを含むMACペイロードに付加されるMACヘッダ10では、エレメントLを見ることでパディングされた量が分かる。またMACヘッダ10のシーケンス番号Nは、1つ前のセグメントのシーケンス番号k+8に連続する整数であるk+9である(したがって、後続の上位層データn+1の先頭セグメントのシーケンス番号はk+10となる)
以上のように、上位層データ1つから切り出した各セグメントから生成したMACフレームはそれぞれ末尾にCRCおよびTAILが付されてPHYデータユニットとされ、各PHYデータユニットはそれぞれ無線リソースにマッピングされて送信される。すなわち上位層データを基に生成された複数のPHYデータユニット(それぞれ第1のシーケンス番号が付与された複数の第1セグメント)を有するデータ(第1のデータ)を、PHYデータユニット毎(第1セグメント毎)に送信する。
【0035】
ここで各MACフレームは、図8のように5msフレームの1フレーム内で閉じて送信される場合や、図9のように5msフレームの2フレーム以上にまたいで送信される場合も想定される。以下の説明では、図9のような場合を想定する。
【0036】
次に、図10を用いて、基地局が送信したMACフレームをリレー局が受信し、それらから取り出した上位層データをリレー局が端末に送信するまでの処理を説明する。
【0037】
リレー局は、5ms幅の1フレーム(一定時間)に含まれる基地局からの送信データを受信手段により受信し、受信したPHYデータユニットからCRCチェックにて正しく受信できたMACフレームを取り出す。さらに、MACフレームに含まれるMACヘッダ情報を見て、リレーするかどうかを判断する。ここで、上位層データは必ずリレーする場合を考えると、MACヘッダのエレメントCDにより上位層データが含まれるかどうか分かるので、エレメントCDでリレーする必要があるかが判断できる。
【0038】
次に、リレーするMACフレームに含まれるMACヘッダのエレメントN、すなわちシーケンス番号(第1のシーケンス番号)を見て、シーケンス番号順に、リレーする各MACフレームを並べる。さらに、シーケンス番号が連続するMACフレームを選択してグループ化して順に番号付けをしておく。つまり、途中にシーケンス番号が不連続となっているMACフレームがあると、その前後でグループが分かれることになる。このように基地局は1フレーム(一定時間)内に受信されたMACフレームをシーケンス番号順に並べ、シーケンス番号が不連続になるMACフレーム間で分割することでG(Gは2以上の整数)個のグループを生成する。この処理は基地局が備えるグループ生成手段により行い、グループ生成手段は、基地局のPHY/MACフレーム処理部2707に含まれる(図27参照)。ただし、シーケンス番号が連続していても、MACヘッダのエレメントBが”1”、つまり、上位層データの先頭セグメントを含むMACフレームがある場合は、その前後でグループを分けるものとする。
【0039】
図10の例では、CRCチェックにて正しく受信できたMACフレームのシーケンス番号が全て連続していて、不連続となる部分がない場合を示している。この場合では、図10のSTEP10−1でシーケンス番号順にMACフレームを並べて、STEP10−2でシーケンス番号が連続するMACフレームをグループ化する。シーケンス番号が連続するグループはグループ1の1つのみとなる。STEP10―3でMACフレームからセグメントを取り出し、STEP10−4でMACヘッダをもとにセグメントを連結して、上位層データの部分連結データ(単に連結データとも称される)を生成する。セグメントの連結よる連結データの生成は基地局が備える再セグメント化手段によりその一機能として行う。後述するように再セグメント化手段は連結データを1つ以上のセグメント(第2セグメント)に再セグメント化する処理も行う。再セグメント化手段は基地局のPHY/MACフレーム処理部(図27参照)に含まれる。
【0040】
ここで、リレー局は、図11のような受信MACフレーム管理テーブルを保持し、このテーブルで受信したMACフレームのヘッダ情報を管理する。
【0041】
図11のテーブルで、“MAC Seq Num”はMACフレームのシーケンス番号(MACヘッダのエレメントNの値)を示し、“完了フラグ”は受信データのリレー送信処理が完了したかどうかを示し(”1”なら完了、”0”は未完)、“再送フラグ”は受信したMACフレームが再送されたものかどうかを示す("1”なら再送、”0”なら再送ではない)。また、テーブルには各MACフレームのグループ番号を保持させ、異なるグループ同士を区別できるようにしておく。
【0042】
上位層データの先頭セグメントを含むMACフレームのヘッダには上位層データ全体のサイズ(L)が記載されている。この先頭セグメントを含むMACフレームのヘッダのLの値は、セグメントの連結を行うときに、上位層データの最後のセグメントを特定するために必要となる。
【0043】
図11の例では、シーケンス番号12のセグメントが先頭セグメントであり(Bの値が1である)、このセグメントから順に連結していく。IX値は、これまでに送信済みのセグメントの合計サイズを示すので、あるセグメントに対応するIX値と当該あるセグメントのサイズ(=MAC Payload Size)の和が、次のセグメントに対応するIX値となっているかを順にチェックして連結を行えばよい。この際、あるセグメントに対応するIX値とそのセグメントサイズの和が上位層データの全体サイズ(先頭セグメントのヘッダに記載されたLの値)と一致したときは、そのセグメントが最後のセグメントとなるため、連結処理はそこで終了する。ここではセグメント19が最後のセグメントとなるため、ここで連結処理が終了する。
【0044】
次に、リレー局は、リレー送信するMACフレームの生成のために、各グループの受信セグメントで連結した部分連結データを、リレー局が送信で利用できるMACペイロードサイズに応じて上記再セグメント化手段によりセグメント化して1つ以上のセグメント(第2セグメント)を生成する。
【0045】
図10に示した例では、グループ数は1つであり、生成した上位層データの部分連結データは1個のみであるため、図12のように、リレー局が送信できるMACペイロードサイズに応じてセグメントを切り出して、適切なMACヘッダを付加してMACフレームを生成して送信する。
【0046】
ここで送信MACフレームに設定するシーケンス番号(本発明の第2のシーケンス番号に相当)は、リレー局が自身の送信状態に応じて決定するものであり、基地局がリレー局に送信するMACフレームに設定されているシーケンス番号(本発明の第1のシーケンス番号に相当)とは独立したものであることに注意が必要である。シーケンス番号(第2のシーケンス番号)の決定および付与は基地局が備えるシーケンス番号付与手段により行う。シーケンス番号付与手段は、後述するように基地局のヘッダ情報生成部(図27参照)に含まれる。
【0047】
図11に示したように、グループ番号1の最初のセグメントは、上位層データの先頭セグメントになっている。本例では、グループ1の部分連結データからセグメントを切り出すときに、最初のセグメントは、図12に示すように、シーケンス番号34とし、MACフレームフォーマットは1としている。
【0048】
その後に続くMACフレームでは、シーケンス番号を順にインクリメントしてMACペイロードサイズに合わせてセグメントを切り出し、MACヘッダの値を決定すればよい。MACフレームフォーマットは2を利用すればよい。最後に切り出したセグメントは、MACペイロードサイズに合わない場合があるので、MACフレームフォーマット3を利用して、セグメントサイズをMACヘッダエレメントLで指定し、余った部分はパディングビットで処理しておけばよい。なお、最後のセグメントもパディングビットを付加する必要のない場合はフォーマット2を利用してもよい。
【0049】
ここでリレー局は、図13の送信MACフレーム管理テーブルを有し、このテーブルを利用して、上述のようにして生成した送信MACフレームのヘッダ情報を管理する。
【0050】
次に、シーケンス番号が不連続となる部分が存在する場合を考える。
【0051】
図14は、シーケンス番号が不連続となる部分が存在しグループ数が2となる場合(G=2の場合)における、リレー局がMACフレームを受信しそれらから取り出した上位層データを端末に送信するまでの処理の例を説明する図である。
【0052】
この場合は、基地局は、上記グループ生成手段により、図14のSTEP14−1でシーケンス番号順に並べて、STEP14−2でシーケンス番号が連続するMACフレームをグループ化する。生成されるグループはグループ1とグループ2の2つとなる。次に、基地局は、上記再セグメント化手段により、STEP14−3でMACフレームからセグメントを取り出し、STEP14−4でMACヘッダをもとにセグメントを連結して、各グループで上位層データの部分連結データを生成する。グループが2つあるので、部分連結データも2つ生成される。
【0053】
受信したMACフレームのヘッダ情報は上述したように受信MACフレーム管理テーブルで管理され、本例のテーブルは図15のようになる。図15のテーブルではグループ1とグループ2の間にシーケンス番号が抜けている分の空行を入れているが、これは見やすくするためのものであり、詰めておいても問題はない。
【0054】
次に、リレー局は、上記再セグメント化手段により、リレー送信するMACフレームの生成のために、各グループの受信セグメントで連結した部分連結データを、リレー局が送信で利用できるMACペイロードサイズに応じてセグメント化して、グループ毎に1つ以上のセグメント(第2セグメント)を生成する。
【0055】
まず、最初のグループ1から生成された部分連結データからセグメントを切り出してMACフレームを生成するまでは図10の場合と同様である。具体的には図16のように、リレー局が送信できるMACペイロードサイズに応じてグループ1の部分連結データからセグメントを切り出して、適切なMACヘッダを付加してMACフレームを生成して送信する。さらに、リレー送信処理済みのMACフレームについては、MACヘッダ等の内容を、上述したように送信MACフレーム管理テーブルで保持し、現時点のテーブルは図17のようになる。
【0056】
次に、図16のグループ2の部分連結データからセグメントを切り出してMACフレームを生成する処理に入るが、このときグループ1とグループ2の間に並ぶはずのMACフレームが受信できていないため、グループ1の部分連結データから生成した最後のMACフレームのシーケンス番号から順に“連続となる”ようにシーケンス番号を決めることが出来ない。従来の方法では、既に述べた通り、再送が完了するまで待機して、必要なデータが揃った時点でリレー送信のためのMACフレーム生成を開始することになるが、リレーによる遅延が大きくなり効率が悪い。
【0057】
そこで、グループ1の部分連結データから生成した最後のMACフレームのシーケンス番号から幾らかの量を進めておいたシーケンス番号を、グループ2の部分連結データから切り出した最初のセグメントから生成するMACフレームのシーケンス番号とするものとする。すなわち、幾らかのシーケンス番号を未使用にして予約しておく。ここで、シーケンス番号を進める量はPによって表し、Pは3以上の整数であるものとする。これは、まだ受信できていないMACフレーム部分に、上位層データの切れ目が含まれる場合を考慮するためである。上位層データの切れ目がある場合、その前後のMACフレームのシーケンス番号は異なるものにして区別される必要があるため、未使用とされる番号は少なくとも2つは確保されるようにしておく。
【0058】
このように、シーケンス番号を進めるとグループ1とグループ2との間でシーケンス番号の付け方が連続にはならないが、これは、途中に抜けているまだ未受信のデータ(すなわち、グループ1の末尾に位置するセグメントのシーケンス番号(第1シーケンス番号)と、グループ2の先頭に位置するセグメントのシーケンス番号(第1シーケンス番号)との間のシーケンス番号(第1シーケンス番号)をもつセグメント(MACフレームまたはPHYデータユニット))を、後の時間で受信したときに、それらのデータを送るために用いる番号として予め予約しておくものである。後ほど、途中に抜けているまだ未受信データを時間で受信したときは、その予約したシーケンス番号を必ず使い切るようにしてMACフレームを生成して送信することにより端末側でセグメント連結の順序に問題が出ないようにする。このようにすることで、最終的に端末がMACフレームを受信して、シーケンス番号順に並べたときに番号が不連続になることは無く、上位層データの再構成は問題なく行うことが出来る。
【0059】
ここで、前記のように、シーケンス番号を前もって進めておく具体的な量Pを決定する方法が必要となるが、本実施形態では、受信MACフレームのシーケンス番号が不連続となっている量を用いる。リレー元装置とリレー局間および、リレー局とリレー先装置間で利用できる無線リソースの使用状況に極端に大きな差が生じることは少ないと仮定すると、リレー局がMACフレームを受信した際に、シーケンス番号が不連続になっている部分のずれ量にあわせておけば簡単な処理で、シーケンス番号の予約量を決定することが出来る。
【0060】
例えば、図14の例では、図15のテーブルを参照すれば、受信時のシーケンス番号のずれ量は4(=18−14)ということが分かる。したがって、図17においてグループ1の部分連結データから生成した最後の送信MACフレームのシーケンス番号が35となっているので、リレー局がグループ2の部分連結データのセグメントを送信する際の最初の送信MACフレームに付けるシーケンス番号は、4つ進めた39から開始する。具体的には、図18のように、グループ2の部分連結データから切り出した先頭セグメントにシーケンス番号39を設定したMACヘッダを付加して送信MACフレームを生成する。2番目のセグメントには続くシーケンス番号40を設定したMACヘッダを付加して送信MACフレームを生成する。
【0061】
一般的に、M(Mは2以上G以下の整数)番目のグループに含まれるセグメントへのシーケンス番号の付与は以下のようにすればよい。すなわち、M番目のグループに含まれるセグメント(第2セグメント)に対し、先頭がX+P(Xは、M−1番目のグループの末尾のセグメント(第2セグメント)のシーケンス番号(第2シーケンス番号)、Pは3以上の整数)で始まる連続したシーケンス番号(第2シーケンス番号)を付与する。
【0062】
以上のように、シーケンス番号がきまってリレー送信が完了したら、図17の内容を図19のように更新しておく。図19を見ることで、未使用のシーケンス番号が存在することが確認できる。後にシーケンス番号が15,16,17の未受信であったMACフレームが受信できた場合には、それらに含まれるセグメントから生成される部分連結データをリレー局が送信する際には、シーケンス番号が36,37,38を必ず使い切るようにしてMACフレームを生成して送信しなければならない。
【0063】
次に、途中の未受信であったMACフレームを、後の時間で正しく受信できた場合に、未使用のシーケンス番号をすべて使いきって送信MACフレームを生成して送る方法を説明する。
【0064】
図20は、途中の未受信であったMACフレームを、後の時間で正しく受信できた場合を示している。まず、STEP20−1で、MACフレームをシーケンス番号の順に並べる。次に、シーケンス番号が連続する部分でグループ化し、未受信であったMACフレームのシーケンス番号は、図15から15、16、17の3つであると分かっているので、それらのシーケンス番号のMACフレームを抜き出す(STEP20−2)。さらに、抜き出したMACフレームからセグメントを取り出し(STEP20−3)、これらのセグメントを連結して上位層データの部分連結データ(第2の連結データ)を生成する(STEP20−4)。また、ここで受信したMACフレームの情報をテーブルに含めることにより、テーブルの状態を図19から図21に更新する。
【0065】
ここで、図21では、グループ番号がテーブル行の上から1→3→2となり、昇順とならないため、図22のようにグループ番号を上から昇順となるように変更する。さらに、これに対応するように、図19のテーブルについても、対応するグループ番号の部分を図23のように変更する。この例では、グループ番号2が番号3に変更される。この作業は、後に説明する処理フローに従った処理を行うために必要となるものである。
【0066】
次に、図24のように、部分連結データ(第2の連結データ)を、リレー局が送信できるサイズに合わせて3つのセグメントに切り出す。一般的に、上述した、シーケンス番号のずれ量P(本例ではP=4)を用いて、部分連結データ(第2の連結データ)をP−1個のセグメントに切り出す。最後のセグメントについては、MACペイロードとのサイズ差がある場合はパディングビットを入れて調整すればよい。
【0067】
さらに、未使用であった3つのシーケンス番号36,37,38を使い切るようにMACヘッダを付けて送信MACフレームを生成してリレー送信を行う。一般的に、上記切り出したP−1個のセグメントにX+1〜X+P-1(Xは上述したようにM−1番目のグループの末尾のセグメントのシーケンス番号(第2シーケンス番号))の連続するシーケンス番号(第2シーケンス番号)を付与する。これにより、未使用のシーケンス番号を全て使い切る。リレー送信が完了したら、図23の送信MACフレームのテーブルを図25のように更新しておく。
【0068】
図26は、本実施形態におけるリレー局がMACフレームを受信してリレー送信するまでの処理フローを示すフローチャートである。
【0069】
まず、ステップ26−1にて、5msフレーム(一定時間)内でCRCチェックにて正しく受信できたMACフレームを特定し、ステップ26−2に進む。
【0070】
ステップ26−2にて、正しく受信できたMACフレームのMACヘッダを読み取ってMACフレームのグループ化を行い、受信MACフレーム管理テーブルを更新する。このとき、受信MACフレーム管理テーブルのグループ番号が上から昇順となるように変更しておく。また送信MACフレーム管理テーブルについても同様にグループ番号が上から昇順となるように変更しておく。ステップ26−3に進む。
【0071】
ステップ26−3にて、受信MACフレーム管理テーブルの中で、完了フラグが“0”となっているグループについてセグメント連結を行い、ステップ26−4に進む。
【0072】
ステップ26−4にて、受信MACフレーム管理テーブルから完了フラグが“0”で最も小さいグループ番号Kを選択し、ステップ26−5に進む。
【0073】
ステップ26−5にて、グループK−1とKのデータ間に連結される未受信データがあるかどうかを確認する。
【0074】
ステップ26−6にて、グループK−1とKのデータ間に連結される未受信データがある場合において(ステップ26−5のNO)、グループKのデータが再送データかどうかを確認する。再送データであれば(ステップ26−6のNO)、ステップ26−1に戻る。これは、再送されるデータで、シーケンス番号が連続するものについては、すべてのデータの受信が完了するまで待機させるようにするものである。
【0075】
ステップ26−8にて、グループKのデータが再送データでない場合(ステップ26−6のYES)、グループKから生成した部分連結データを再セグメント化し、最初のセグメントのシーケンス番号をX+Pとして順次MACフレームを生成しリレー送信する。XはグループK−1から生成した送信MACフレームでシーケンス番号が最大のものである。Pは3以上の整数であり、本例では、Pの値は、受信MACフレームのグループ間でシーケンス番号が不連続になっているずれ量にあわせるものとする。ずれ量が2のときはPの値は最低値の3とし、ずれ量が3以上のときはPの値はたとえばずれ量と同一値にする。さらに、送信MACフレーム管理テーブルを、送信したMACフレームの情報に基づき更新する。ステップ26−12に進む。
【0076】
ステップ26−7にて、グループK−1とKのデータ間に連結される未受信データがない場合は(ステップ26−5のYES)、グループKのデータが再送データかどうかを確認する。
【0077】
ステップ26−9にて、グループKのデータが再送データである場合には(ステップ26−7のYES)、送信MACフレーム管理テーブルを確認して、未使用となっている予約されたシーケンス番号があるかを確認する。
【0078】
ステップ26−10にて、未使用のシーケンス番号が予約されている場合には(ステップ26−9のYES)、その番号を全て使い切るようにしてMACフレームを生成してリレー送信する。さらに、送信MACフレーム管理テーブルを、送信したMACフレームの情報に基づき更新する。ステップ26−12に進む。
【0079】
ステップ26−11にて、グループKのデータが再送データでない場合(ステップ26−7のNO)または未使用のシーケンス番号が予約されていない場合(ステップ26−9のNO)グループKの部分連結データをセグメント化し、各セグメントからMACフレームを生成してリレー送信する。シーケンス番号は、原則通り、最初のセグメントのシーケンス番号をX+1として、順次、連続する値を設定する。さらに、送信MACフレーム管理テーブルを、送信したMACフレームの情報に基づき更新する。ステップ26−12に進む。
【0080】
ステップ26−12にて、受信MACフレーム管理テーブルのグループKの完了フラグを“1”に変更し、ステップ26−13に進む。
【0081】
ステップ26−13にて、グループKより後に完了フラグが“0”となるグループがあるかを確認する。無ければ処理が終了し、あればステップ26−4に戻る。
【0082】
図27はリレー局構成の一例を示すブロック図である。
【0083】
基地局からの信号はアンテナ2702で受信され、受信された信号は、RF処理部2703でベースバンド信号にダウンコンバートされる。
【0084】
ベースバンド受信ディジタル処理部2704ではベースバンド信号の復調処理を行うことによりディジタルの受信データを取得し、取得した受信データを、PHY/MAC層でのフレーム処理およびプロトコル処理を行う通信制御部2706に送る。RF処理部27およびベースバンド受信ディジタル処理部2704は本発明の受信手段に相当する。アンテナ2702を受信手段に含めてもよい。
【0085】
通信制御部2706のPHY/MACフレーム処理部2707では、受信データからPHYデータユニットを取り出し、さらに、TAILビットを取り除いた部分についてCRCチェックを行い、CRCチェックにより誤りが検出されなかったものについて受信MACフレームを取り出す。この取り出した受信MACフレームは一時的にデータバッファ2708で保存される。このデータバッファ2708は、MACフレームから取り出したセグメントを連結した部分連結データを保持するためや、連結が完了して再構成が完成した上位層データの一時的な保持にも用いられるものとする。
【0086】
また、取り出した受信MACフレームはヘッダ情報抽出部2711に送られてMACヘッダが抽出され、MACヘッダの情報は受信MACフレーム管理テーブル2709で保存される。
【0087】
PHY/MACフレーム処理部2707は、受信MACフレームのMACペイロードに含まれるセグメントを取り出す処理、シーケンス番号が不連続になるセグメント間で分割することでG(Gは2以上の整数)個のグループを生成する処理(グループ生成手段の処理)、グループ毎にセグメントを連結して部分連結データを生成する処理(再セグメント化手段の一機能による連結データ生成処理)などを行って、上位層データを再構成し、再構成が完了した上位層データは通信制御部2706内のデータバッファ2708で一時的に保持される。PHY/MACフレーム処理部2707で生成される部分連結データもデータバッファ2708で一時的に保持される。
【0088】
また、PHY/MACフレーム処理部2707では、データバッファ2708に一時的に保持している上位層データや、部分連結データの再セグメント化、およびMACフレーム生成処理も行う。特にPHY/MACフレーム処理部2707は、リレー処理において連結処理した部分連結データの再セグメント化の処理(再セグメント化手段の別の一機能による再セグメント化処理)を行い、この際、各セグメントに対する送信MACフレームのヘッダ生成を、ヘッダ情報生成部2712を用いて行う。送信MACフレームのMACヘッダの情報は、送信MACフレーム管理テーブル2710に保存される。
【0089】
ヘッダ情報生成部(シーケンス番号付与手段)2712はシーケンス番号進め量決定部2713を有し、このシーケンス番号進め量決定部2713を用いて、図26の処理フローのSTEP26-8の処理、すなわち、シーケンス番号を進める処理を行う。この処理では、受信MACフレーム管理テーブル2709から、受信MACフレームのグループ間でシーケンス番号が不連続になっている量を、シーケンス番号を進める量Pとして決定する。ヘッダ情報生成部(シーケンス番号付与手段)2712は、送信MACフレーム管理テーブル2710を基に、この量のシーケンス番号だけ、グループK−1から生成した部分連結データの再セグメント化による末尾のセグメントのシーケンス番号から進めた値から、グループKから生成した部分連結データの再セグメント化によるセグメントに割り当てていく。このようにシーケンス番号が決定され、MACヘッダがヘッダ情報生成部2712で決定されると、MACヘッダがPHY/MACフレーム処理部2707に送られ、PHY/MACフレーム処理部2707にて送信MACフレームが生成される。
【0090】
PHY/MACフレーム処理部2707は、送信MACフレームを生成したら、送信MACフレームをベースバンド送信ディジタル処理部2705に送り、ベースバンド送信ディジタル処理部2705でベースバンド信号に変換される。ベースバンド信号はRF処理部2703にてアップコンバートされてアンテナ2702を介して無線送信され、これによりリレー送信が行われる。
【0091】
ベースバンド送信ディジタル処理部に送り、RF処理部2703にてアップコンバートされて無線送信され、リレー送信が行われる。
【0092】
なお、本実施形態では、1時間フレームを単位としてリレー処理を行う例を示したが本発明はこれに限定されず、2以上の時間フレームを単位(所定の一定時間)としてリレー処理を行うことも可能である。
【0093】
また、本実施形態では、リレー局が受信したMACフレームをグループ化して連結し、再セグメント化することで、リレー送信する相手である端末との通信に使用する無線リソース(ここで無線リソースとは、例えば周波数帯域、通信時間等を指す)を実際の通信路状況等を考慮して利用することができる。すなわち、無線リソースの最適な使用が可能となる。このような無線リソースの最適化を考慮しなくてもよい場合は、MACフレームの連結、再セグメント化は不要である。リレー局は、受信したMACフレームに含まれるセグメントに対して、新たに第2シーケンス番号と、さらに、リレー局とリレー先通信装置との無線回線の接続状態に合わせたMACヘッダ要素を含んだ適切なMACヘッダを付加してMACフレームを生成し、端末に送信してもよい。
【0094】
以上のように、本実施形態によれば、一部未受信で抜けがあっても、それらの再送の完了を待たずに、次の送信可能なMACフレームの送信処理を先に開始できる。このように、送信が可能なデータがそろった時点で先にリレー送信を行うことにより、再送の完了を待ってからリレー送信する方法と比べ、リレー処理を後回しにすることが減らせるので、リレーによる遅延を軽減することが可能となる。
【0095】
(第2の実施形態)
第1の実施の形態では、シーケンス番号を前もって進めておく具体的な量を、リレー局がMACフレームを受信した際に、シーケンス番号が不連続になっている部分のずれ量にあわせていた。これに対し、本実施形態では、シーケンス番号を進めておく量を以下のように見積もる。
【0096】
本実施形態では、データサイズの見積もりは、MACヘッダエレメントのIX値を利用する。IX値は、そのIX値を含むMACフレームの前までに送信済みのセグメント総サイズを示している。IX値は本発明の合計サイズ情報に相当する。よって、例えば図15の場合では、シーケンス番号14でのIX値が90、そのシーケンス番号14のセグメントサイズは20であるので、その和は110となり、このサイズまでは受信済みとなる。次に、シーケンス番号18でのIX値は250となっているため、途中に未受信の合計データサイズVは250−110=140という計算で見積もることができる。このようにグループ1(M−1番目のグループ)の末尾のセグメントのシーケンス番号14と、グループ2(M番目のグループ)の先頭のセグメントのシーケンス番号18との間のシーケンス番号をもつセグメントの合計サイズVを見積もる。ただしここで見積もった値は、正味のデータのみならず、パディングデータを含む可能性があるため、後に基地局から再送されるデータのサイズは、ここで見積もった値よりも小さいことも起こりえる。
【0097】
次に、リレー局がその時点にリレー送信で利用できるMACペイロードの平均サイズWを求める。図15の場合、5msフレーム内で受信した完了フラグが0となっている各MACフレームのMACペイロードサイズがテーブルから分かるので、その平均値を求めることで算出することが出来る。図15では、シーケンス番号12のMACペイロードサイズ60から途中未受信の部分は除いて、シーケンス番号19のMACペイロードサイズ30までの和を求め、その平均値を出せばよい。なお、図15に示した以外にも利用可能な他のMACペイロードが存在する場合は、これら他のMACペイロードも含めて平均サイズを計算する。
【0098】
さらに、シーケンス番号を進める量P(整数)としたとき、未使用となるシーケンス番号数”P−1”の値が、V/W以上で最小の整数となるように決めるものとする。すなわち、”P”の値が、(V/W以上で最小の整数)+1となるように決める。ただし、V/W以上で最小の整数が2以下のときは、Pの値を、最低値の3に設定するものとする。
【0099】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1および第2の実施形態と異なる方法で、シーケンス番号を進めておく量を見積もる。
【0100】
まず、本実施形態では、第2の実施形態の同様に途中に抜けていて未受信となっているデータサイズVを見積もる。見積もる方法は第2の実施形態と同じである。
【0101】
さらに、そのサイズVを、リレー局がその時点リレー送信すると仮定したときに利用できるMACペイロードのサイズを調べ、サイズVのデータを送るのに必要なMACペイロード数Z個を計算し、シーケンス番号を進める量PをZ+1となるように決定する。リレー局がリレー送信で利用できるMACペイロードの個数とそれらの各サイズは事前に基地局から通知されている。図15の例では、たとえばシーケンス番号が18、19のMACフレームのMACペイロードと、さらにこの他に利用可能なMACペイロードが存在すればこれらとを、利用可能なMACペイロードとする。よって、前記途中の未受信データの合計サイズVを、事前に通知されている利用可能なMACペイロードで再セグメント化したときに生成されるセグメントの数Zが、サイズVのデータを送信するに必要となるMACペイロード数となる。よって、この数Z+1をシーケンス番号の進め量Pとしておけばよい。ただしこの値が2以下のときは、Pの値を最低値の3に設定するものとする。
【0102】
(第4の実施形態)
本実施の形態では、第1〜第3の実施形態と異なる方法で、シーケンス番号を進めておく量を見積もる。
【0103】
まず、本実施の形態では、第2の実施形態の同様に途中に抜けていて未受信となっているデータサイズVを見積もる。見積もる方法は第2の実施形態と同じである。
【0104】
さらに、規格で規定されている最小MCS(Modulation and Channel coding Scheme:変調符号化方式)、すなわち最小伝送レートで送信する場合のMACペイロードサイズがHであるとする。最小MCS(最小伝送レート)で送信できるサイズは規格で規定されている既知情報である。シーケンス番号を進める量Pとするとき、未使用となるシーケンス番号数”P−1”の値が、V/H以上で最小の整数となるように決めるものとする。すなわち、”P”の値が、(V/H以上で最小の整数)+1となるように決める。ただし、V/H以上で最小の整数が2以下のときは、Pの値を、最低値の3に設定するものとする。
【0105】
(第5の実施形態)
第1の実施の形態では、図24において、未使用のシーケンス番号の36,37,38を使い切るために、3つのセグメントに分割することができたが、使い切らなければならないシーケンス番号の個数と同じ個数のセグメントが生成できるとは限らない。
【0106】
リレー局がリレー送信する際に利用できるMACペイロードサイズが小さいものしか確保できず、部分連結データからセグメントを切り出すと、使い切らなければならないシーケンス番号数以上のセグメント数になる場合も考えられる。例えば、図28では、使い切らなければならないシーケンス番号数が3に対して、4つのセグメントが生成されている。
【0107】
このような場合には、図28のように、後半の2つのセグメントに同じシーケンス番号38を付けておけばよい。一般的に、1番目からP−2番目までのセグメントにはX+1〜X+P−2の連続するシーケンス番号を付与し、P−1番目以降のセグメントにはすべてX+P+1のシーケンス番号を共通に付与する。
【0108】
ここで、シーケンス番号は不連続なく連続する番号を付けることが原則であるが、次世代PHS規格には同じシーケンス番号をもつMACフレームが存在してもよいという規定がある。本手続きは、この規定をリレー送信時にて利用することで、使い切らなければならないシーケンス番号数よりもセグメント数の方が多くなった状況でも、「シーケンス番号は不連続なく連続する番号を付ける」という原則を守ることが出来る。この場合、同じシーケンス番号が付されたMACフレームの実際の順番は、MACヘッダのIXの値を参照することで特定可能である。
【0109】
(第6の実施形態)
本実施の形態では、未使用のシーケンス番号の36,37,38を使い切るために、3つのセグメントにほぼ均等分割しておき、そのセグメントのサイズを入れることが出来るMACペイロードを選ぶというものである。図29のように、140byteの部分連結データを3つのセグメントにほぼ均等分割し、各セグメントを含めることが出来るMACペイロードを選択する。ここでは10byteを単位として分割しているため、50byte,50byte,40byteの3つのセグメントにほぼ均等分割している。セグメントとMACペイロードとのサイズ差は、必要に応じてパディングを行えばよい。なおセグメントサイズが、MACペイロードサイズよりも大きいときは、たとえばセグメントの末尾の余分なデータを切り出して、別のMACペイロードに割り当てればよい。
【0110】
このように、最初に使い切る必要があるシーケンス番号の個数と等しいセグメント数に最初に分割しておき、後はサイズ調整だけを意識すればよいので処理を軽く出来る。
【0111】
(第7の実施形態)
第6の実施の形態では、図29において、未使用のシーケンス番号の36,37,38を使い切るために3つのセグメントにほぼ均等に分割したが、送信するデータを前詰めで送るほうが、受信処理の遅延を少なくする点で好ましい。
【0112】
例えば、図30のように、リレー局がリレー送信する際に利用できるMACペイロードサイズが大きく取れ、部分連結データを前から切り出すと2つのセグメントしか生成できなかったとする。つまり上記ずれ量Pを用いて、P−1未満のR個のセグメントしか生成できなかったとする。この場合では、前2つのシーケンス番号36、37のMACフレームでデータを全て送ってしまい、後の不必要なシーケンス番号38の部分は、ダミーデータを入れておけばよい。つまり、上記R個のセグメントにX+1〜X+Rの連続するシーケンス番号を付与し、残りのX+R+1〜X+P−1のシーケンス番号はダミーデータに付与すればよい。このときのMACヘッダは、データのサイズが0、すなわちエレメントLを0とすることで、ダミーデータだけを送ることができ、不必要なシーケンス番号も含めて使い切ることが可能となる。
【0113】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】次世代PHS規格における上位層データからMACフレーム生成までを説明するための図面。
【図2】次世代PHS規格において、基地局がリレー局を介して端末と無線通信を行う利用形態を説明するための図面。
【図3】物理層における5msフレームとスロットの関係を説明するための図。
【図4】5msフレームのスロットとサブチャネルの関係を説明するための図。
【図5】下りリンクにおいて、基地局とリレー局間と、リレー局と端末間で下りリンクスロットを使い分ける一例を説明するための図。
【図6】次世代PHSのMACフレームフォーマットの種類を説明するための図。
【図7】上位層データがセグメントに分割されてMACフレームが生成されるまでを説明するための図。
【図8】生成されたMACフレームが5msフレーム区間で送信される一例を説明するための図。
【図9】生成されたMACフレームが複数の5msフレーム区間にわたって送信される一例を説明するための図。
【図10】リレー元装置が送信したMACフレームをリレー局が受信して、それらに含まれるセグメントから上位層データの部分連結データを再構成するまでの一例を説明するための図(途中に未受信のMACフレームがない場合)。
【図11】リレー局が保持する受信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図12】生成した部分連結データから、リレー局がリレー送信で利用できるMACペイロードサイズに合わせてMACフレームを生成するまでを説明するための図(グループが1つのみの場合)。
【図13】リレー局が保持する送信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図14】リレー元装置が送信したMACフレームをリレー局が受信して、それらに含まれるセグメントから上位層データの部分連結データを再構成するまでの一例を説明するための図(途中に未受信のMACフレームがある場合)。
【図15】リレー局が保持する受信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図16】リレー局が生成した部分連結データから、リレー送信で利用できるMACペイロードサイズに合わせてMACフレームを生成するまでを説明するための図(グループが複数存在する場合)。
【図17】リレー局が保持する送信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図18】グループ2のセグメントから生成した部分連結データを、リレー局がリレー送信で利用できるMACペイロードサイズに合わせてセグメントに切ってリレー送信するMACフレームを生成するまでの説明するための図。
【図19】リレー局が保持する受信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図20】途中抜けていたシーケンス番号がついたMACフレームを後にリレー局が受信したときにその部分のセグメント連結を説明するための図。
【図21】リレー局が保持する受信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図22】リレー局が保持する受信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図23】リレー局が保持する送信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図24】使い切らなければならないシーケンス番号を使い切ってMACフレームを生成する一例を説明するための図。
【図25】リレー局が保持する送信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図26】リレー処理のフローを説明するための図。
【図27】リレー局の一構成例を説明するための図。
【図28】使い切らなければならないシーケンス番号を使い切ってMACフレームを生成する一例を説明するための図。
【図29】使い切らなければならないシーケンス番号を使い切ってMACフレームを生成する一例を説明するための図。
【図30】使い切らなければならないシーケンス番号を使い切ってMACフレームを生成する一例を説明するための図。
【符号の説明】
【0115】
201:基地局(BS)
202:通信エリア
203:リレー局(RS)
204:端末(MS)
2702:アンテナ
2703:RF処理部
2704:ベースバンド受信ディジタル処理部
2705:ベースバンド送信ディジタル処理部
2706:通信制御部
2707:PHY/MACフレーム処理部
2708:データバッファ
2709:受信MACフレーム管理テーブル
2710:送信MACフレーム管理テーブル
2711:ヘッダ情報抽出部
2712:ヘッダ情報生成部
2713:シーケンス番号進め量決定部
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信システムにおけるリレー局およびリレー方法に関し、たとえばリレー局のMAC(Media Access Control)層における受信および送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代PHS(Personal Handy-phone System)について物理層およびMAC層の規格が規定されている(非特許文献1)。
【0003】
次世代PHS規格では、MAC層よりも上位層のデータは、PHYペイロード内にマッピングされるMACフレームサイズに応じてセグメントに分割される。セグメントそのものに相当するMACペイロード、もしくは、サイズ調整のためにパディングビットを含むMACペイロードには、適切なMACヘッダが付加されてMACフレームが生成される。さらにMACフレームにCRC符号とテールビットが付加されてPHYデータユニットが生成され、このPHYデータユニットが時間と周波数とで区切られた無線リソース上にマッピングされて送信される。
【0004】
MACヘッダには、MACフレームに含まれるセグメントを連結して上位層データを再構築するために必要な情報が幾つか含まれている。特に、MACヘッダに含まれているシーケンス番号は、送信元の装置がMACフレームを生成した順に付けた連続する番号である。また、MACヘッダには、MACフレームに上位層データのセグメントが含まれるか否かという情報、そのセグメントが上位層データを切り出した先頭セグメントか否かという情報、セグメントのサイズ情報が含まれている。これらの情報と前述のシーケンス番号の順序を基にして、受信したMACフレームからセグメントを取り出して、それらを連結することで上位層データの再構成を行うことができる。
【0005】
また、基地局および端末間で通信が行われている場合に、基地局と端末との間にリレー局が介在し、基地局からの送信データをリレー局が受信して端末にリレー送信する、もしくは、端末からの送信データをリレー局が受信して基地局にリレー送信するという利用形態が知られている(例えば、非特許文献1)。
【0006】
次世代PHS規格に基づいて、基地局と端末との間にリレー局が介在して運用される場合、基地局から見てリレー局は端末のように、端末から見てリレー局は基地局のように振舞うものと想定され、基地局とリレー局間、およびリレー局と端末間の無線通信では、前記の物理層およびMAC層の手続きに沿った以下のような処理が通常行われる。
【0007】
例えば、基地局から送信されたデータをリレー局が受信し、そのデータを端末までリレー送信する場合を想定する。この場合において上位層のデータは常にリレー送信されるものとすると、リレー局は、受信したMACフレームのMACヘッダを見て、上位層データが含まれている場合には、セグメントを取り出し、MACヘッダ情報をもとに上位層データを再構成する。さらに再構成された上位層データから、リレー局が送信で利用できるPHYペイロードサイズに応じてセグメントを切り出し、そのセグメントを含むMACペイロードにMACヘッダを付加してMACフレームを生成する。そして、MACフレームから上述のPHYデータユニットを生成し、このPHYデータユニットを無線リソースにマッピングして、リレー局がリレー送信する。
【0008】
一方、別のリレー方法として、受信MACフレームの単位のままで、リレー送信を行う方法も知られている(特許文献1)。
【0009】
この方法では、リレー局がリレー元装置から受信したMACフレームのMACヘッダを確認し、上位層データが含まれている場合は、MACペイロードからセグメントを取り出す。リレー局がリレー先装置への送信で利用可能なMACペイロードサイズに応じて、前記のセグメントがそのまま送信が出来るサイズであれば、必要に応じてパディングビットでサイズ調整してMACフレームを生成し、さらにPHYデータユニットを生成して無線リソースにマッピングして送信する。サイズが大きすぎる場合には、セグメントを適切なサイズに分割して複数のMACフレームを生成し、さらに複数のPHYデータユニットを生成して複数の無線リソースにマッピングして送信する。本方法では、上位層データの再構成処理などを行なわずに、リレー局が受信したMACフレームの単位でリレー送信できる。
【非特許文献1】ARIB標準 STD-T95「OFDMA/TDMA TDD Broadband Wireless Access System (Next Generation PHS)ARIB STANDARD」,1.0版
【特許文献1】特開2008-153778号公報、第15項、第10図
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述のリレー局が受信したMACフレーム単位でそのままリレー送信する方法は、リレー送信するデータと、リレー局がリレー送信で利用できる無線リソースとのサイズ差をパディングビットで埋めるため、実効スループットが低下し、伝送効率が悪いという問題がある。
【0011】
よって、伝送効率を考慮すると、受信したMACフレーム単位そのままではなく、複数の受信MACフレームに含まれるセグメントから上位層データを再構築した上で、リレー局が新たに送信MACフレームを生成しなおすことが通常考えられる方法である。
【0012】
上述した通り、次世代PHS規格では、上位層データから切り出したセグメントからMACフレームを生成した順に必ず連続したシーケンス番号を付けている。
【0013】
ここで、基地局から端末にデータが送信される際に、途中でリレー局が介在する場合は、前述の通り、リレー局が受信したMACフレームから上位層データを一度再構成し、その後、リレー局が送信する都合に合わせたセグメントに新たに切りなおしてMACフレームを生成する。
【0014】
しかし、CRCエラーの発生などにより、リレー局は、受信MACフレームをシーケンス番号順に沿って必ず受信できるとは限らず、一部のシーケンス番号のMACフレームがエラーで抜けて、シーケンス番号が不連続に並んだ状態で受信することがある。
【0015】
受信したMACフレームから上位層データを再構成しているときに、途中でシーケンス番号が不連続になって一部のMACフレームが抜けていた場合には、通常は、抜けていたMACフレームが、後の時間で再送によって受信できるまで上位層データの再構成を中断することになる。それにより、リレー局がリレー送信するMACフレームの生成も遅れてしまう。
【0016】
したがって、もし、前記の途中で抜けたMACフレームよりシーケンス番号が後続となるMACフレームが正しく受信できていて、さらに、その時点でリレー局がリレー送信するための無線リソースが確保されていたとしても、リレー送信するMACフレームが準備できていないので、そのリソースを使うことが出来ない。その結果、そのリレー送信の処理が後回しにされることで、リレー送信による遅延がより大きくなってしまうという問題がある。
【0017】
本発明は、これらの問題に対処するものであり、リレーによる遅延を軽減できるリレー局およびリレー方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様としてのリレー局は、
第1の無線通信装置から第2の無線通信装置への通信を中継するリレー局であって
それぞれ第1シーケンス番号が付与された複数の第1セグメントを有する第1のデータを、前記第1セグメント毎に前記第1の無線通信装置から受信する受信手段と、
一定時間内に受信された複数の前記第1セグメントを前記第1シーケンス番号順に並べ、前記第1シーケンス番号が不連続になるセグメント間で分割することでG(Gは2以上の整数)個のグループを生成するグループ生成手段と、
前記グループ毎に前記第1セグメントを連結して連結データを生成し、前記連結データを1つ以上の第2セグメントに再セグメント化する再セグメント化手段と、
M(Mは2以上G以下の整数)番目の前記グループに含まれる前記第2セグメントに対し、先頭がX+P(Xは、M−1番目の前記グループの末尾の第2セグメントの第2シーケンス番号、Pは3以上の整数)で始まる連続した前記第2シーケンス番号を付与するシーケンス番号付与手段と、
前記第2セグメントを前記第2の無線通信装置に送信する送信手段と、
を備える。
【0019】
本発明の一態様としてのリレー方法は、
第1の無線通信装置から第2の無線通信装置への通信を中継するリレー局において実行するリレー方法であって
それぞれ第1シーケンス番号が付与された複数の第1セグメントを有する第1のデータを、前記第1セグメント毎に前記第1の無線通信装置から受信するセグメント受信ステップと、
一定時間内に受信された複数の前記第1セグメントを前記第1シーケンス番号順に並べ、前記第1シーケンス番号が不連続になるセグメント間で分割することでG(Gは2以上の整数)個のグループを生成するグループ生成ステップと、
前記グループ毎に前記第1セグメントを連結して連結データを生成し、前記連結データを1つ以上の第2セグメントに再セグメント化する再セグメント化ステップと、
M(Mは2以上G以下の整数)番目の前記グループに含まれる前記第2セグメントに対し、先頭がX+P(Xは、M−1番目の前記グループの末尾の第2セグメントの第2シーケンス番号、Pは3以上の整数)で始まる連続した前記第2シーケンス番号を付与するシーケンス番号付与ステップと、
前記第2セグメントを前記第2の無線通信装置に送信する送信ステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、リレーによる遅延を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図2は、次世代PHSにおいて、基地局がリレー局を介して端末と無線通信を行う利用形態を示している。
【0023】
本利用形態において、下りリンクでは、基地局201が通信エリア202内に存在するリレー局203に下りリンクのデータを送信し、リレー局203がそのデータを端末204にリレー送信する。この下りリンクの場合、基地局201は第1の無線通信装置に対応し、端末204は第2の無線通信装置に対応する。一方、上りリンクでは、端末204がリレー局203に上りリンクのデータを送信してリレー局203がそのデータを基地局201にリレー送信するものとする。この上りリンクの場合、端末204は第1の無線通信装置に対応し、基地局201は第2の無線通信装置に対応する。また、本利用形態におけるリレー局203を介した無線接続では、リレー局203は、基地局からは端末のように、端末からは基地局のように振舞う。
【0024】
次世代PHSはTDD(Time Division Duplex)システムであり、図3のように、物理層で定義された5msフレーム内に上りスロット4つと下りスロット4つの計8スロットが含まれている。また、図4のように、周波数軸方向にはシステム帯域分を900kHz間隔に区切ったサブチャネル(SCH)が定義されており、スロットとサブチャネルで区切られた区画(無線リソース)に前記PHYデータユニットをマッピングする。
【0025】
リレー局が存在する場合、下りリンクでは、前記の下り4スロット分を、基地局とリレー局間と、リレー局から端末間の2つの無線接続に分けることで無線通信を行うことになる。例えば、図5のように、下り4スロットのうち、前半2スロット(A)を基地局からリレー局に、後半2スロット(B)をリレー局から端末で利用する方法が考えられる。この例では、基地局からスロット(A)で受信したデータは、同一の5msフレームのスロット(B)を利用してリレー局から端末に送信する、もしくは、受信データの復号遅延を考慮して、それ以降の5msフレームのスロット(B)を利用して前記データをリレー局から端末にリレー送信することになる。
【0026】
以下では、主に下りリンクのデータを基地局からリレー局に送信し、リレー局がそのデータを端末にリレー送信するまでを詳細に説明する。すなわち基地局が第1の無線通信装置、端末が第2の無線通信装置の場合におけるリレー局によるリレー動作を説明する。ただし、下りリンクに限定されるものではなく、同等の手順を上りリンクに適用することも可能である。
【0027】
基地局は、図1のように、MAC層より上位層のデータ(以下、上位層データを呼ぶ)を、基地局が送信で利用できるPHYデータユニットのサイズに合わせて分割することにより、セグメントを生成する。ここで、PHYデータユニットのサイズは、伝送路の状況に応じて基地局により事前に設定され、端末側には制御チャネルにより事前に通知されているものとする(端末にリレー送信するリレー局は、端末から見ると基地局のように振舞うため、端末に送信するときのPHYデータユニットサイズは、リレー局自身が伝送路の状況に応じて設定したものを用いるものとし、端末側にも制御チャネルにより事前に通知されている)。
【0028】
さらに、基地局は、生成したセグメントを含むMACペイロードに、シーケンス番号等を含むMACヘッダを付加してMACフレームを生成する。基地局で付与されるシーケンス番号は本発明の第1のシーケンス番号に相当する(なお後述するようにリレー局で付与されるシーケンス番号は第2のシーケンス番号に相当する)。生成された複数のMACフレームには、エラー検出のためのCRCチェックビットとテールビットが付加され、PHYデータユニットが生成される。PHYデータユニットは、一時的に確保された無線リソースの一部(図4に示したスロットとサブチャネルで区切られた区画)に割り当てられることで無線送信が行われる。上記上位層データを元に生成された各MACフレーム(または各PHYデータユニット)のそれぞれは、本発明の第1シーケンス番号が付与された第1セグメントに相当し、これら第1セグメントの組は本発明の第1のデータを形成する。
【0029】
また、シーケンス番号等を含むMACヘッダには、図6に示すように3つのフォーマットが定義されている。各フォーマットには幾つかのエレメントが含まれる。各エレメントの説明は以下の通りである。
・ B :上位層データをセグメントに分割した時の先頭セグメントかどうかを示す(1bit、先頭なら”1”)。
・ CD :MACペイロードに含まれるデータの種別を示す(2bit、“11”なら上位層データ)。
・ MD :MACペイロード内に2つ以上の上位層データが含まれるかどうかを示す。
・ F :MACペイロード長がLで表されるかを示す(1bit、”0”ならLで表される)。
・ QI :セッションIDを示す。
・ N :シーケンス番号を示す(8bit)(シーケンス番号は必ず連続する番号が付けられる)。
・ L :MACペイロードサイズをバイト数で示す(8 or 16bit)。
・ IX :上位層データをセグメントに分割して送信する場合に、このMACフレーム以前に送信済みのバイト数を示す(8 or 16bit)。
【0030】
ここで、シーケンス番号は、セグメントに分割された上位層データを並び替えて再構成するための情報となるものであり、送信装置が送信するMACフレームを生成した順に連続した番号が付けられる。ただし、シーケンス番号は8ビットで表されるため、0〜255までの番号となり、最大値255に達すると、その次のシーケンス番号は0に戻ることになる。
【0031】
図7は、基地局が上位層データを複数のセグメントに分割し、各セグメントを含むMACペイロードにMACヘッダを付加して、複数の送信MACフレームを生成するまでの処理の一例を説明する図である。
【0032】
上位層データnの先頭セグメントは、MACヘッダのエレメントBで区別される。よって、先頭セグメントを含むMACフレーム1は、フォーマット1が適用され、エレメントBが1にセットされたMACヘッダ1が、先頭セグメントを含むMACペイロードに付加される。また、このときMACヘッダ1のエレメントLは、MACペイロード長よりも大きい値となり、セグメントに分割前の上位層データ全体のサイズを示している。またMACヘッダ1のシーケンス番号はkである。これは1つ前の上位層データn-1の末尾のセグメントのシーケンス番号がk−1であり、このk−1に連続する整数値である必要があるためである。
【0033】
続いて、中間のセグメントを含むMACペイロードにそれぞれMACヘッダ2、3、4、・・・9が付加されてMACフレーム2〜9が生成される。この際、各MACヘッダ2〜9のエレメントNは、必ず連続する整数のシーケンス番号k+1〜k+8となる。
【0034】
最後のセグメントはサイズが10バイトで、MACペイロードサイズが40byteであるので、サイズ差をパディングビットで調整した上、MACヘッダ10を付加してMACフレーム10を生成する。最後のセグメントを含むMACペイロードに付加されるMACヘッダ10では、エレメントLを見ることでパディングされた量が分かる。またMACヘッダ10のシーケンス番号Nは、1つ前のセグメントのシーケンス番号k+8に連続する整数であるk+9である(したがって、後続の上位層データn+1の先頭セグメントのシーケンス番号はk+10となる)
以上のように、上位層データ1つから切り出した各セグメントから生成したMACフレームはそれぞれ末尾にCRCおよびTAILが付されてPHYデータユニットとされ、各PHYデータユニットはそれぞれ無線リソースにマッピングされて送信される。すなわち上位層データを基に生成された複数のPHYデータユニット(それぞれ第1のシーケンス番号が付与された複数の第1セグメント)を有するデータ(第1のデータ)を、PHYデータユニット毎(第1セグメント毎)に送信する。
【0035】
ここで各MACフレームは、図8のように5msフレームの1フレーム内で閉じて送信される場合や、図9のように5msフレームの2フレーム以上にまたいで送信される場合も想定される。以下の説明では、図9のような場合を想定する。
【0036】
次に、図10を用いて、基地局が送信したMACフレームをリレー局が受信し、それらから取り出した上位層データをリレー局が端末に送信するまでの処理を説明する。
【0037】
リレー局は、5ms幅の1フレーム(一定時間)に含まれる基地局からの送信データを受信手段により受信し、受信したPHYデータユニットからCRCチェックにて正しく受信できたMACフレームを取り出す。さらに、MACフレームに含まれるMACヘッダ情報を見て、リレーするかどうかを判断する。ここで、上位層データは必ずリレーする場合を考えると、MACヘッダのエレメントCDにより上位層データが含まれるかどうか分かるので、エレメントCDでリレーする必要があるかが判断できる。
【0038】
次に、リレーするMACフレームに含まれるMACヘッダのエレメントN、すなわちシーケンス番号(第1のシーケンス番号)を見て、シーケンス番号順に、リレーする各MACフレームを並べる。さらに、シーケンス番号が連続するMACフレームを選択してグループ化して順に番号付けをしておく。つまり、途中にシーケンス番号が不連続となっているMACフレームがあると、その前後でグループが分かれることになる。このように基地局は1フレーム(一定時間)内に受信されたMACフレームをシーケンス番号順に並べ、シーケンス番号が不連続になるMACフレーム間で分割することでG(Gは2以上の整数)個のグループを生成する。この処理は基地局が備えるグループ生成手段により行い、グループ生成手段は、基地局のPHY/MACフレーム処理部2707に含まれる(図27参照)。ただし、シーケンス番号が連続していても、MACヘッダのエレメントBが”1”、つまり、上位層データの先頭セグメントを含むMACフレームがある場合は、その前後でグループを分けるものとする。
【0039】
図10の例では、CRCチェックにて正しく受信できたMACフレームのシーケンス番号が全て連続していて、不連続となる部分がない場合を示している。この場合では、図10のSTEP10−1でシーケンス番号順にMACフレームを並べて、STEP10−2でシーケンス番号が連続するMACフレームをグループ化する。シーケンス番号が連続するグループはグループ1の1つのみとなる。STEP10―3でMACフレームからセグメントを取り出し、STEP10−4でMACヘッダをもとにセグメントを連結して、上位層データの部分連結データ(単に連結データとも称される)を生成する。セグメントの連結よる連結データの生成は基地局が備える再セグメント化手段によりその一機能として行う。後述するように再セグメント化手段は連結データを1つ以上のセグメント(第2セグメント)に再セグメント化する処理も行う。再セグメント化手段は基地局のPHY/MACフレーム処理部(図27参照)に含まれる。
【0040】
ここで、リレー局は、図11のような受信MACフレーム管理テーブルを保持し、このテーブルで受信したMACフレームのヘッダ情報を管理する。
【0041】
図11のテーブルで、“MAC Seq Num”はMACフレームのシーケンス番号(MACヘッダのエレメントNの値)を示し、“完了フラグ”は受信データのリレー送信処理が完了したかどうかを示し(”1”なら完了、”0”は未完)、“再送フラグ”は受信したMACフレームが再送されたものかどうかを示す("1”なら再送、”0”なら再送ではない)。また、テーブルには各MACフレームのグループ番号を保持させ、異なるグループ同士を区別できるようにしておく。
【0042】
上位層データの先頭セグメントを含むMACフレームのヘッダには上位層データ全体のサイズ(L)が記載されている。この先頭セグメントを含むMACフレームのヘッダのLの値は、セグメントの連結を行うときに、上位層データの最後のセグメントを特定するために必要となる。
【0043】
図11の例では、シーケンス番号12のセグメントが先頭セグメントであり(Bの値が1である)、このセグメントから順に連結していく。IX値は、これまでに送信済みのセグメントの合計サイズを示すので、あるセグメントに対応するIX値と当該あるセグメントのサイズ(=MAC Payload Size)の和が、次のセグメントに対応するIX値となっているかを順にチェックして連結を行えばよい。この際、あるセグメントに対応するIX値とそのセグメントサイズの和が上位層データの全体サイズ(先頭セグメントのヘッダに記載されたLの値)と一致したときは、そのセグメントが最後のセグメントとなるため、連結処理はそこで終了する。ここではセグメント19が最後のセグメントとなるため、ここで連結処理が終了する。
【0044】
次に、リレー局は、リレー送信するMACフレームの生成のために、各グループの受信セグメントで連結した部分連結データを、リレー局が送信で利用できるMACペイロードサイズに応じて上記再セグメント化手段によりセグメント化して1つ以上のセグメント(第2セグメント)を生成する。
【0045】
図10に示した例では、グループ数は1つであり、生成した上位層データの部分連結データは1個のみであるため、図12のように、リレー局が送信できるMACペイロードサイズに応じてセグメントを切り出して、適切なMACヘッダを付加してMACフレームを生成して送信する。
【0046】
ここで送信MACフレームに設定するシーケンス番号(本発明の第2のシーケンス番号に相当)は、リレー局が自身の送信状態に応じて決定するものであり、基地局がリレー局に送信するMACフレームに設定されているシーケンス番号(本発明の第1のシーケンス番号に相当)とは独立したものであることに注意が必要である。シーケンス番号(第2のシーケンス番号)の決定および付与は基地局が備えるシーケンス番号付与手段により行う。シーケンス番号付与手段は、後述するように基地局のヘッダ情報生成部(図27参照)に含まれる。
【0047】
図11に示したように、グループ番号1の最初のセグメントは、上位層データの先頭セグメントになっている。本例では、グループ1の部分連結データからセグメントを切り出すときに、最初のセグメントは、図12に示すように、シーケンス番号34とし、MACフレームフォーマットは1としている。
【0048】
その後に続くMACフレームでは、シーケンス番号を順にインクリメントしてMACペイロードサイズに合わせてセグメントを切り出し、MACヘッダの値を決定すればよい。MACフレームフォーマットは2を利用すればよい。最後に切り出したセグメントは、MACペイロードサイズに合わない場合があるので、MACフレームフォーマット3を利用して、セグメントサイズをMACヘッダエレメントLで指定し、余った部分はパディングビットで処理しておけばよい。なお、最後のセグメントもパディングビットを付加する必要のない場合はフォーマット2を利用してもよい。
【0049】
ここでリレー局は、図13の送信MACフレーム管理テーブルを有し、このテーブルを利用して、上述のようにして生成した送信MACフレームのヘッダ情報を管理する。
【0050】
次に、シーケンス番号が不連続となる部分が存在する場合を考える。
【0051】
図14は、シーケンス番号が不連続となる部分が存在しグループ数が2となる場合(G=2の場合)における、リレー局がMACフレームを受信しそれらから取り出した上位層データを端末に送信するまでの処理の例を説明する図である。
【0052】
この場合は、基地局は、上記グループ生成手段により、図14のSTEP14−1でシーケンス番号順に並べて、STEP14−2でシーケンス番号が連続するMACフレームをグループ化する。生成されるグループはグループ1とグループ2の2つとなる。次に、基地局は、上記再セグメント化手段により、STEP14−3でMACフレームからセグメントを取り出し、STEP14−4でMACヘッダをもとにセグメントを連結して、各グループで上位層データの部分連結データを生成する。グループが2つあるので、部分連結データも2つ生成される。
【0053】
受信したMACフレームのヘッダ情報は上述したように受信MACフレーム管理テーブルで管理され、本例のテーブルは図15のようになる。図15のテーブルではグループ1とグループ2の間にシーケンス番号が抜けている分の空行を入れているが、これは見やすくするためのものであり、詰めておいても問題はない。
【0054】
次に、リレー局は、上記再セグメント化手段により、リレー送信するMACフレームの生成のために、各グループの受信セグメントで連結した部分連結データを、リレー局が送信で利用できるMACペイロードサイズに応じてセグメント化して、グループ毎に1つ以上のセグメント(第2セグメント)を生成する。
【0055】
まず、最初のグループ1から生成された部分連結データからセグメントを切り出してMACフレームを生成するまでは図10の場合と同様である。具体的には図16のように、リレー局が送信できるMACペイロードサイズに応じてグループ1の部分連結データからセグメントを切り出して、適切なMACヘッダを付加してMACフレームを生成して送信する。さらに、リレー送信処理済みのMACフレームについては、MACヘッダ等の内容を、上述したように送信MACフレーム管理テーブルで保持し、現時点のテーブルは図17のようになる。
【0056】
次に、図16のグループ2の部分連結データからセグメントを切り出してMACフレームを生成する処理に入るが、このときグループ1とグループ2の間に並ぶはずのMACフレームが受信できていないため、グループ1の部分連結データから生成した最後のMACフレームのシーケンス番号から順に“連続となる”ようにシーケンス番号を決めることが出来ない。従来の方法では、既に述べた通り、再送が完了するまで待機して、必要なデータが揃った時点でリレー送信のためのMACフレーム生成を開始することになるが、リレーによる遅延が大きくなり効率が悪い。
【0057】
そこで、グループ1の部分連結データから生成した最後のMACフレームのシーケンス番号から幾らかの量を進めておいたシーケンス番号を、グループ2の部分連結データから切り出した最初のセグメントから生成するMACフレームのシーケンス番号とするものとする。すなわち、幾らかのシーケンス番号を未使用にして予約しておく。ここで、シーケンス番号を進める量はPによって表し、Pは3以上の整数であるものとする。これは、まだ受信できていないMACフレーム部分に、上位層データの切れ目が含まれる場合を考慮するためである。上位層データの切れ目がある場合、その前後のMACフレームのシーケンス番号は異なるものにして区別される必要があるため、未使用とされる番号は少なくとも2つは確保されるようにしておく。
【0058】
このように、シーケンス番号を進めるとグループ1とグループ2との間でシーケンス番号の付け方が連続にはならないが、これは、途中に抜けているまだ未受信のデータ(すなわち、グループ1の末尾に位置するセグメントのシーケンス番号(第1シーケンス番号)と、グループ2の先頭に位置するセグメントのシーケンス番号(第1シーケンス番号)との間のシーケンス番号(第1シーケンス番号)をもつセグメント(MACフレームまたはPHYデータユニット))を、後の時間で受信したときに、それらのデータを送るために用いる番号として予め予約しておくものである。後ほど、途中に抜けているまだ未受信データを時間で受信したときは、その予約したシーケンス番号を必ず使い切るようにしてMACフレームを生成して送信することにより端末側でセグメント連結の順序に問題が出ないようにする。このようにすることで、最終的に端末がMACフレームを受信して、シーケンス番号順に並べたときに番号が不連続になることは無く、上位層データの再構成は問題なく行うことが出来る。
【0059】
ここで、前記のように、シーケンス番号を前もって進めておく具体的な量Pを決定する方法が必要となるが、本実施形態では、受信MACフレームのシーケンス番号が不連続となっている量を用いる。リレー元装置とリレー局間および、リレー局とリレー先装置間で利用できる無線リソースの使用状況に極端に大きな差が生じることは少ないと仮定すると、リレー局がMACフレームを受信した際に、シーケンス番号が不連続になっている部分のずれ量にあわせておけば簡単な処理で、シーケンス番号の予約量を決定することが出来る。
【0060】
例えば、図14の例では、図15のテーブルを参照すれば、受信時のシーケンス番号のずれ量は4(=18−14)ということが分かる。したがって、図17においてグループ1の部分連結データから生成した最後の送信MACフレームのシーケンス番号が35となっているので、リレー局がグループ2の部分連結データのセグメントを送信する際の最初の送信MACフレームに付けるシーケンス番号は、4つ進めた39から開始する。具体的には、図18のように、グループ2の部分連結データから切り出した先頭セグメントにシーケンス番号39を設定したMACヘッダを付加して送信MACフレームを生成する。2番目のセグメントには続くシーケンス番号40を設定したMACヘッダを付加して送信MACフレームを生成する。
【0061】
一般的に、M(Mは2以上G以下の整数)番目のグループに含まれるセグメントへのシーケンス番号の付与は以下のようにすればよい。すなわち、M番目のグループに含まれるセグメント(第2セグメント)に対し、先頭がX+P(Xは、M−1番目のグループの末尾のセグメント(第2セグメント)のシーケンス番号(第2シーケンス番号)、Pは3以上の整数)で始まる連続したシーケンス番号(第2シーケンス番号)を付与する。
【0062】
以上のように、シーケンス番号がきまってリレー送信が完了したら、図17の内容を図19のように更新しておく。図19を見ることで、未使用のシーケンス番号が存在することが確認できる。後にシーケンス番号が15,16,17の未受信であったMACフレームが受信できた場合には、それらに含まれるセグメントから生成される部分連結データをリレー局が送信する際には、シーケンス番号が36,37,38を必ず使い切るようにしてMACフレームを生成して送信しなければならない。
【0063】
次に、途中の未受信であったMACフレームを、後の時間で正しく受信できた場合に、未使用のシーケンス番号をすべて使いきって送信MACフレームを生成して送る方法を説明する。
【0064】
図20は、途中の未受信であったMACフレームを、後の時間で正しく受信できた場合を示している。まず、STEP20−1で、MACフレームをシーケンス番号の順に並べる。次に、シーケンス番号が連続する部分でグループ化し、未受信であったMACフレームのシーケンス番号は、図15から15、16、17の3つであると分かっているので、それらのシーケンス番号のMACフレームを抜き出す(STEP20−2)。さらに、抜き出したMACフレームからセグメントを取り出し(STEP20−3)、これらのセグメントを連結して上位層データの部分連結データ(第2の連結データ)を生成する(STEP20−4)。また、ここで受信したMACフレームの情報をテーブルに含めることにより、テーブルの状態を図19から図21に更新する。
【0065】
ここで、図21では、グループ番号がテーブル行の上から1→3→2となり、昇順とならないため、図22のようにグループ番号を上から昇順となるように変更する。さらに、これに対応するように、図19のテーブルについても、対応するグループ番号の部分を図23のように変更する。この例では、グループ番号2が番号3に変更される。この作業は、後に説明する処理フローに従った処理を行うために必要となるものである。
【0066】
次に、図24のように、部分連結データ(第2の連結データ)を、リレー局が送信できるサイズに合わせて3つのセグメントに切り出す。一般的に、上述した、シーケンス番号のずれ量P(本例ではP=4)を用いて、部分連結データ(第2の連結データ)をP−1個のセグメントに切り出す。最後のセグメントについては、MACペイロードとのサイズ差がある場合はパディングビットを入れて調整すればよい。
【0067】
さらに、未使用であった3つのシーケンス番号36,37,38を使い切るようにMACヘッダを付けて送信MACフレームを生成してリレー送信を行う。一般的に、上記切り出したP−1個のセグメントにX+1〜X+P-1(Xは上述したようにM−1番目のグループの末尾のセグメントのシーケンス番号(第2シーケンス番号))の連続するシーケンス番号(第2シーケンス番号)を付与する。これにより、未使用のシーケンス番号を全て使い切る。リレー送信が完了したら、図23の送信MACフレームのテーブルを図25のように更新しておく。
【0068】
図26は、本実施形態におけるリレー局がMACフレームを受信してリレー送信するまでの処理フローを示すフローチャートである。
【0069】
まず、ステップ26−1にて、5msフレーム(一定時間)内でCRCチェックにて正しく受信できたMACフレームを特定し、ステップ26−2に進む。
【0070】
ステップ26−2にて、正しく受信できたMACフレームのMACヘッダを読み取ってMACフレームのグループ化を行い、受信MACフレーム管理テーブルを更新する。このとき、受信MACフレーム管理テーブルのグループ番号が上から昇順となるように変更しておく。また送信MACフレーム管理テーブルについても同様にグループ番号が上から昇順となるように変更しておく。ステップ26−3に進む。
【0071】
ステップ26−3にて、受信MACフレーム管理テーブルの中で、完了フラグが“0”となっているグループについてセグメント連結を行い、ステップ26−4に進む。
【0072】
ステップ26−4にて、受信MACフレーム管理テーブルから完了フラグが“0”で最も小さいグループ番号Kを選択し、ステップ26−5に進む。
【0073】
ステップ26−5にて、グループK−1とKのデータ間に連結される未受信データがあるかどうかを確認する。
【0074】
ステップ26−6にて、グループK−1とKのデータ間に連結される未受信データがある場合において(ステップ26−5のNO)、グループKのデータが再送データかどうかを確認する。再送データであれば(ステップ26−6のNO)、ステップ26−1に戻る。これは、再送されるデータで、シーケンス番号が連続するものについては、すべてのデータの受信が完了するまで待機させるようにするものである。
【0075】
ステップ26−8にて、グループKのデータが再送データでない場合(ステップ26−6のYES)、グループKから生成した部分連結データを再セグメント化し、最初のセグメントのシーケンス番号をX+Pとして順次MACフレームを生成しリレー送信する。XはグループK−1から生成した送信MACフレームでシーケンス番号が最大のものである。Pは3以上の整数であり、本例では、Pの値は、受信MACフレームのグループ間でシーケンス番号が不連続になっているずれ量にあわせるものとする。ずれ量が2のときはPの値は最低値の3とし、ずれ量が3以上のときはPの値はたとえばずれ量と同一値にする。さらに、送信MACフレーム管理テーブルを、送信したMACフレームの情報に基づき更新する。ステップ26−12に進む。
【0076】
ステップ26−7にて、グループK−1とKのデータ間に連結される未受信データがない場合は(ステップ26−5のYES)、グループKのデータが再送データかどうかを確認する。
【0077】
ステップ26−9にて、グループKのデータが再送データである場合には(ステップ26−7のYES)、送信MACフレーム管理テーブルを確認して、未使用となっている予約されたシーケンス番号があるかを確認する。
【0078】
ステップ26−10にて、未使用のシーケンス番号が予約されている場合には(ステップ26−9のYES)、その番号を全て使い切るようにしてMACフレームを生成してリレー送信する。さらに、送信MACフレーム管理テーブルを、送信したMACフレームの情報に基づき更新する。ステップ26−12に進む。
【0079】
ステップ26−11にて、グループKのデータが再送データでない場合(ステップ26−7のNO)または未使用のシーケンス番号が予約されていない場合(ステップ26−9のNO)グループKの部分連結データをセグメント化し、各セグメントからMACフレームを生成してリレー送信する。シーケンス番号は、原則通り、最初のセグメントのシーケンス番号をX+1として、順次、連続する値を設定する。さらに、送信MACフレーム管理テーブルを、送信したMACフレームの情報に基づき更新する。ステップ26−12に進む。
【0080】
ステップ26−12にて、受信MACフレーム管理テーブルのグループKの完了フラグを“1”に変更し、ステップ26−13に進む。
【0081】
ステップ26−13にて、グループKより後に完了フラグが“0”となるグループがあるかを確認する。無ければ処理が終了し、あればステップ26−4に戻る。
【0082】
図27はリレー局構成の一例を示すブロック図である。
【0083】
基地局からの信号はアンテナ2702で受信され、受信された信号は、RF処理部2703でベースバンド信号にダウンコンバートされる。
【0084】
ベースバンド受信ディジタル処理部2704ではベースバンド信号の復調処理を行うことによりディジタルの受信データを取得し、取得した受信データを、PHY/MAC層でのフレーム処理およびプロトコル処理を行う通信制御部2706に送る。RF処理部27およびベースバンド受信ディジタル処理部2704は本発明の受信手段に相当する。アンテナ2702を受信手段に含めてもよい。
【0085】
通信制御部2706のPHY/MACフレーム処理部2707では、受信データからPHYデータユニットを取り出し、さらに、TAILビットを取り除いた部分についてCRCチェックを行い、CRCチェックにより誤りが検出されなかったものについて受信MACフレームを取り出す。この取り出した受信MACフレームは一時的にデータバッファ2708で保存される。このデータバッファ2708は、MACフレームから取り出したセグメントを連結した部分連結データを保持するためや、連結が完了して再構成が完成した上位層データの一時的な保持にも用いられるものとする。
【0086】
また、取り出した受信MACフレームはヘッダ情報抽出部2711に送られてMACヘッダが抽出され、MACヘッダの情報は受信MACフレーム管理テーブル2709で保存される。
【0087】
PHY/MACフレーム処理部2707は、受信MACフレームのMACペイロードに含まれるセグメントを取り出す処理、シーケンス番号が不連続になるセグメント間で分割することでG(Gは2以上の整数)個のグループを生成する処理(グループ生成手段の処理)、グループ毎にセグメントを連結して部分連結データを生成する処理(再セグメント化手段の一機能による連結データ生成処理)などを行って、上位層データを再構成し、再構成が完了した上位層データは通信制御部2706内のデータバッファ2708で一時的に保持される。PHY/MACフレーム処理部2707で生成される部分連結データもデータバッファ2708で一時的に保持される。
【0088】
また、PHY/MACフレーム処理部2707では、データバッファ2708に一時的に保持している上位層データや、部分連結データの再セグメント化、およびMACフレーム生成処理も行う。特にPHY/MACフレーム処理部2707は、リレー処理において連結処理した部分連結データの再セグメント化の処理(再セグメント化手段の別の一機能による再セグメント化処理)を行い、この際、各セグメントに対する送信MACフレームのヘッダ生成を、ヘッダ情報生成部2712を用いて行う。送信MACフレームのMACヘッダの情報は、送信MACフレーム管理テーブル2710に保存される。
【0089】
ヘッダ情報生成部(シーケンス番号付与手段)2712はシーケンス番号進め量決定部2713を有し、このシーケンス番号進め量決定部2713を用いて、図26の処理フローのSTEP26-8の処理、すなわち、シーケンス番号を進める処理を行う。この処理では、受信MACフレーム管理テーブル2709から、受信MACフレームのグループ間でシーケンス番号が不連続になっている量を、シーケンス番号を進める量Pとして決定する。ヘッダ情報生成部(シーケンス番号付与手段)2712は、送信MACフレーム管理テーブル2710を基に、この量のシーケンス番号だけ、グループK−1から生成した部分連結データの再セグメント化による末尾のセグメントのシーケンス番号から進めた値から、グループKから生成した部分連結データの再セグメント化によるセグメントに割り当てていく。このようにシーケンス番号が決定され、MACヘッダがヘッダ情報生成部2712で決定されると、MACヘッダがPHY/MACフレーム処理部2707に送られ、PHY/MACフレーム処理部2707にて送信MACフレームが生成される。
【0090】
PHY/MACフレーム処理部2707は、送信MACフレームを生成したら、送信MACフレームをベースバンド送信ディジタル処理部2705に送り、ベースバンド送信ディジタル処理部2705でベースバンド信号に変換される。ベースバンド信号はRF処理部2703にてアップコンバートされてアンテナ2702を介して無線送信され、これによりリレー送信が行われる。
【0091】
ベースバンド送信ディジタル処理部に送り、RF処理部2703にてアップコンバートされて無線送信され、リレー送信が行われる。
【0092】
なお、本実施形態では、1時間フレームを単位としてリレー処理を行う例を示したが本発明はこれに限定されず、2以上の時間フレームを単位(所定の一定時間)としてリレー処理を行うことも可能である。
【0093】
また、本実施形態では、リレー局が受信したMACフレームをグループ化して連結し、再セグメント化することで、リレー送信する相手である端末との通信に使用する無線リソース(ここで無線リソースとは、例えば周波数帯域、通信時間等を指す)を実際の通信路状況等を考慮して利用することができる。すなわち、無線リソースの最適な使用が可能となる。このような無線リソースの最適化を考慮しなくてもよい場合は、MACフレームの連結、再セグメント化は不要である。リレー局は、受信したMACフレームに含まれるセグメントに対して、新たに第2シーケンス番号と、さらに、リレー局とリレー先通信装置との無線回線の接続状態に合わせたMACヘッダ要素を含んだ適切なMACヘッダを付加してMACフレームを生成し、端末に送信してもよい。
【0094】
以上のように、本実施形態によれば、一部未受信で抜けがあっても、それらの再送の完了を待たずに、次の送信可能なMACフレームの送信処理を先に開始できる。このように、送信が可能なデータがそろった時点で先にリレー送信を行うことにより、再送の完了を待ってからリレー送信する方法と比べ、リレー処理を後回しにすることが減らせるので、リレーによる遅延を軽減することが可能となる。
【0095】
(第2の実施形態)
第1の実施の形態では、シーケンス番号を前もって進めておく具体的な量を、リレー局がMACフレームを受信した際に、シーケンス番号が不連続になっている部分のずれ量にあわせていた。これに対し、本実施形態では、シーケンス番号を進めておく量を以下のように見積もる。
【0096】
本実施形態では、データサイズの見積もりは、MACヘッダエレメントのIX値を利用する。IX値は、そのIX値を含むMACフレームの前までに送信済みのセグメント総サイズを示している。IX値は本発明の合計サイズ情報に相当する。よって、例えば図15の場合では、シーケンス番号14でのIX値が90、そのシーケンス番号14のセグメントサイズは20であるので、その和は110となり、このサイズまでは受信済みとなる。次に、シーケンス番号18でのIX値は250となっているため、途中に未受信の合計データサイズVは250−110=140という計算で見積もることができる。このようにグループ1(M−1番目のグループ)の末尾のセグメントのシーケンス番号14と、グループ2(M番目のグループ)の先頭のセグメントのシーケンス番号18との間のシーケンス番号をもつセグメントの合計サイズVを見積もる。ただしここで見積もった値は、正味のデータのみならず、パディングデータを含む可能性があるため、後に基地局から再送されるデータのサイズは、ここで見積もった値よりも小さいことも起こりえる。
【0097】
次に、リレー局がその時点にリレー送信で利用できるMACペイロードの平均サイズWを求める。図15の場合、5msフレーム内で受信した完了フラグが0となっている各MACフレームのMACペイロードサイズがテーブルから分かるので、その平均値を求めることで算出することが出来る。図15では、シーケンス番号12のMACペイロードサイズ60から途中未受信の部分は除いて、シーケンス番号19のMACペイロードサイズ30までの和を求め、その平均値を出せばよい。なお、図15に示した以外にも利用可能な他のMACペイロードが存在する場合は、これら他のMACペイロードも含めて平均サイズを計算する。
【0098】
さらに、シーケンス番号を進める量P(整数)としたとき、未使用となるシーケンス番号数”P−1”の値が、V/W以上で最小の整数となるように決めるものとする。すなわち、”P”の値が、(V/W以上で最小の整数)+1となるように決める。ただし、V/W以上で最小の整数が2以下のときは、Pの値を、最低値の3に設定するものとする。
【0099】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1および第2の実施形態と異なる方法で、シーケンス番号を進めておく量を見積もる。
【0100】
まず、本実施形態では、第2の実施形態の同様に途中に抜けていて未受信となっているデータサイズVを見積もる。見積もる方法は第2の実施形態と同じである。
【0101】
さらに、そのサイズVを、リレー局がその時点リレー送信すると仮定したときに利用できるMACペイロードのサイズを調べ、サイズVのデータを送るのに必要なMACペイロード数Z個を計算し、シーケンス番号を進める量PをZ+1となるように決定する。リレー局がリレー送信で利用できるMACペイロードの個数とそれらの各サイズは事前に基地局から通知されている。図15の例では、たとえばシーケンス番号が18、19のMACフレームのMACペイロードと、さらにこの他に利用可能なMACペイロードが存在すればこれらとを、利用可能なMACペイロードとする。よって、前記途中の未受信データの合計サイズVを、事前に通知されている利用可能なMACペイロードで再セグメント化したときに生成されるセグメントの数Zが、サイズVのデータを送信するに必要となるMACペイロード数となる。よって、この数Z+1をシーケンス番号の進め量Pとしておけばよい。ただしこの値が2以下のときは、Pの値を最低値の3に設定するものとする。
【0102】
(第4の実施形態)
本実施の形態では、第1〜第3の実施形態と異なる方法で、シーケンス番号を進めておく量を見積もる。
【0103】
まず、本実施の形態では、第2の実施形態の同様に途中に抜けていて未受信となっているデータサイズVを見積もる。見積もる方法は第2の実施形態と同じである。
【0104】
さらに、規格で規定されている最小MCS(Modulation and Channel coding Scheme:変調符号化方式)、すなわち最小伝送レートで送信する場合のMACペイロードサイズがHであるとする。最小MCS(最小伝送レート)で送信できるサイズは規格で規定されている既知情報である。シーケンス番号を進める量Pとするとき、未使用となるシーケンス番号数”P−1”の値が、V/H以上で最小の整数となるように決めるものとする。すなわち、”P”の値が、(V/H以上で最小の整数)+1となるように決める。ただし、V/H以上で最小の整数が2以下のときは、Pの値を、最低値の3に設定するものとする。
【0105】
(第5の実施形態)
第1の実施の形態では、図24において、未使用のシーケンス番号の36,37,38を使い切るために、3つのセグメントに分割することができたが、使い切らなければならないシーケンス番号の個数と同じ個数のセグメントが生成できるとは限らない。
【0106】
リレー局がリレー送信する際に利用できるMACペイロードサイズが小さいものしか確保できず、部分連結データからセグメントを切り出すと、使い切らなければならないシーケンス番号数以上のセグメント数になる場合も考えられる。例えば、図28では、使い切らなければならないシーケンス番号数が3に対して、4つのセグメントが生成されている。
【0107】
このような場合には、図28のように、後半の2つのセグメントに同じシーケンス番号38を付けておけばよい。一般的に、1番目からP−2番目までのセグメントにはX+1〜X+P−2の連続するシーケンス番号を付与し、P−1番目以降のセグメントにはすべてX+P+1のシーケンス番号を共通に付与する。
【0108】
ここで、シーケンス番号は不連続なく連続する番号を付けることが原則であるが、次世代PHS規格には同じシーケンス番号をもつMACフレームが存在してもよいという規定がある。本手続きは、この規定をリレー送信時にて利用することで、使い切らなければならないシーケンス番号数よりもセグメント数の方が多くなった状況でも、「シーケンス番号は不連続なく連続する番号を付ける」という原則を守ることが出来る。この場合、同じシーケンス番号が付されたMACフレームの実際の順番は、MACヘッダのIXの値を参照することで特定可能である。
【0109】
(第6の実施形態)
本実施の形態では、未使用のシーケンス番号の36,37,38を使い切るために、3つのセグメントにほぼ均等分割しておき、そのセグメントのサイズを入れることが出来るMACペイロードを選ぶというものである。図29のように、140byteの部分連結データを3つのセグメントにほぼ均等分割し、各セグメントを含めることが出来るMACペイロードを選択する。ここでは10byteを単位として分割しているため、50byte,50byte,40byteの3つのセグメントにほぼ均等分割している。セグメントとMACペイロードとのサイズ差は、必要に応じてパディングを行えばよい。なおセグメントサイズが、MACペイロードサイズよりも大きいときは、たとえばセグメントの末尾の余分なデータを切り出して、別のMACペイロードに割り当てればよい。
【0110】
このように、最初に使い切る必要があるシーケンス番号の個数と等しいセグメント数に最初に分割しておき、後はサイズ調整だけを意識すればよいので処理を軽く出来る。
【0111】
(第7の実施形態)
第6の実施の形態では、図29において、未使用のシーケンス番号の36,37,38を使い切るために3つのセグメントにほぼ均等に分割したが、送信するデータを前詰めで送るほうが、受信処理の遅延を少なくする点で好ましい。
【0112】
例えば、図30のように、リレー局がリレー送信する際に利用できるMACペイロードサイズが大きく取れ、部分連結データを前から切り出すと2つのセグメントしか生成できなかったとする。つまり上記ずれ量Pを用いて、P−1未満のR個のセグメントしか生成できなかったとする。この場合では、前2つのシーケンス番号36、37のMACフレームでデータを全て送ってしまい、後の不必要なシーケンス番号38の部分は、ダミーデータを入れておけばよい。つまり、上記R個のセグメントにX+1〜X+Rの連続するシーケンス番号を付与し、残りのX+R+1〜X+P−1のシーケンス番号はダミーデータに付与すればよい。このときのMACヘッダは、データのサイズが0、すなわちエレメントLを0とすることで、ダミーデータだけを送ることができ、不必要なシーケンス番号も含めて使い切ることが可能となる。
【0113】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】次世代PHS規格における上位層データからMACフレーム生成までを説明するための図面。
【図2】次世代PHS規格において、基地局がリレー局を介して端末と無線通信を行う利用形態を説明するための図面。
【図3】物理層における5msフレームとスロットの関係を説明するための図。
【図4】5msフレームのスロットとサブチャネルの関係を説明するための図。
【図5】下りリンクにおいて、基地局とリレー局間と、リレー局と端末間で下りリンクスロットを使い分ける一例を説明するための図。
【図6】次世代PHSのMACフレームフォーマットの種類を説明するための図。
【図7】上位層データがセグメントに分割されてMACフレームが生成されるまでを説明するための図。
【図8】生成されたMACフレームが5msフレーム区間で送信される一例を説明するための図。
【図9】生成されたMACフレームが複数の5msフレーム区間にわたって送信される一例を説明するための図。
【図10】リレー元装置が送信したMACフレームをリレー局が受信して、それらに含まれるセグメントから上位層データの部分連結データを再構成するまでの一例を説明するための図(途中に未受信のMACフレームがない場合)。
【図11】リレー局が保持する受信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図12】生成した部分連結データから、リレー局がリレー送信で利用できるMACペイロードサイズに合わせてMACフレームを生成するまでを説明するための図(グループが1つのみの場合)。
【図13】リレー局が保持する送信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図14】リレー元装置が送信したMACフレームをリレー局が受信して、それらに含まれるセグメントから上位層データの部分連結データを再構成するまでの一例を説明するための図(途中に未受信のMACフレームがある場合)。
【図15】リレー局が保持する受信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図16】リレー局が生成した部分連結データから、リレー送信で利用できるMACペイロードサイズに合わせてMACフレームを生成するまでを説明するための図(グループが複数存在する場合)。
【図17】リレー局が保持する送信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図18】グループ2のセグメントから生成した部分連結データを、リレー局がリレー送信で利用できるMACペイロードサイズに合わせてセグメントに切ってリレー送信するMACフレームを生成するまでの説明するための図。
【図19】リレー局が保持する受信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図20】途中抜けていたシーケンス番号がついたMACフレームを後にリレー局が受信したときにその部分のセグメント連結を説明するための図。
【図21】リレー局が保持する受信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図22】リレー局が保持する受信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図23】リレー局が保持する送信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図24】使い切らなければならないシーケンス番号を使い切ってMACフレームを生成する一例を説明するための図。
【図25】リレー局が保持する送信MACフレーム管理テーブルの内容を示す図。
【図26】リレー処理のフローを説明するための図。
【図27】リレー局の一構成例を説明するための図。
【図28】使い切らなければならないシーケンス番号を使い切ってMACフレームを生成する一例を説明するための図。
【図29】使い切らなければならないシーケンス番号を使い切ってMACフレームを生成する一例を説明するための図。
【図30】使い切らなければならないシーケンス番号を使い切ってMACフレームを生成する一例を説明するための図。
【符号の説明】
【0115】
201:基地局(BS)
202:通信エリア
203:リレー局(RS)
204:端末(MS)
2702:アンテナ
2703:RF処理部
2704:ベースバンド受信ディジタル処理部
2705:ベースバンド送信ディジタル処理部
2706:通信制御部
2707:PHY/MACフレーム処理部
2708:データバッファ
2709:受信MACフレーム管理テーブル
2710:送信MACフレーム管理テーブル
2711:ヘッダ情報抽出部
2712:ヘッダ情報生成部
2713:シーケンス番号進め量決定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信装置から第2の無線通信装置への通信を中継するリレー局であって
それぞれ第1シーケンス番号が付与された複数の第1セグメントを有する第1のデータを、前記第1セグメント毎に前記第1の無線通信装置から受信する受信手段と、
一定時間内に受信された複数の前記第1セグメントを前記第1シーケンス番号順に並べ、前記第1シーケンス番号が不連続になるセグメント間で分割することでG(Gは2以上の整数)個のグループを生成するグループ生成手段と、
前記グループ毎に前記第1セグメントを連結して連結データを生成し、前記連結データを1つ以上の第2セグメントに再セグメント化する再セグメント化手段と、
M(Mは2以上G以下の整数)番目の前記グループに含まれる前記第2セグメントに対し、先頭がX+P(Xは、M−1番目の前記グループの末尾の第2セグメントの第2シーケンス番号、Pは3以上の整数)で始まる連続した前記第2シーケンス番号を付与するシーケンス番号付与手段と、
前記第2セグメントを前記第2の無線通信装置に送信する送信手段と、
を備えたリレー局。
【請求項2】
前記受信手段は、前記一定時間の後、前記M−1番目のグループの末尾に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号と、M番目のグループの先頭に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号との間の第1シーケンス番号をもつ第1セグメントを受信し、
前記セグメント生成手段は、前記受信手段が前記一定時間の後に受信した前記第1セグメントを連結して第2の連結データを生成し、前記第2の連結データをP−1個の第2セグメントに再セグメント化し、
前記シーケンス番号付与手段は、前記P−1個の第2セグメントにX+1〜X+P−1の連続する第2シーケンス番号を付与する
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー局。
【請求項3】
前記受信手段は、前記一定時間の後、前記M−1番目のグループの末尾に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号と、M番目のグループの先頭に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号との間の第1シーケンス番号をもつ第1セグメントを受信し、
前記セグメント生成手段は、前記受信手段が前記一定時間の後に受信した前記第1セグメントを連結して第2の連結データを生成し、前記第2の連結データをP−1より大きい個数の第2セグメントに再セグメント化し、
前記シーケンス番号付与手段は、1番目からP−2番目までの第2セグメントにX+1〜X+P−2の連続する第2シーケンス番号を付与し、P−1番目以降の第2セグメントにはすべてX+P−1の第2シーケンス番号を共通に付与する
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー局。
【請求項4】
前記受信手段は、前記一定時間の後、前記M−1番目のグループの末尾に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号と、M番目のグループの先頭に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号との間の第1シーケンス番号をもつ第1セグメントを受信し、
前記セグメント生成手段は、前記受信手段が前記一定時間の後に受信した前記第1セグメントを連結して第2の連結データを生成し、前記第2の連結データをP−1未満のR個の第2セグメントに再セグメント化し、
前記シーケンス番号付与手段は、前記R個の第2セグメントにX+1〜X+Rの連続する第2シーケンス番号を付与し、X+R+1〜X+P−1の第2シーケンス番号をダミーデータにそれぞれ付与し、
前記セグメント送信手段は、前記第2のセグメントに加えて前記ダミーデータを送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー局。
【請求項5】
前記Pの値は、前記M番目のグループの先頭の第1セグメントの第1シーケンス番号の値から、前記M−1番目のグループの末尾の第1セグメントの第1シーケンス番号の値を減算した値である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のリレー局。
【請求項6】
各前記第1セグメントにはそれぞれ直前の第1セグメントまでの合計サイズ情報が付加され、
前記シーケンス番号付与手段は、前記合計サイズ情報を利用して、前記M−1番目のグループの末尾に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号と、M番目のグループの先頭に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号との間の第1シーケンス番号をもつ第1セグメントの合計サイズVを計算し、
前記Pの値は、予め定められた最小伝送レートで送信できる第2セグメントのサイズをHとしたとき、前記Vを前記Hで除した値以上の最小の整数である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のリレー局。
【請求項7】
各前記第1セグメントにはそれぞれ直前の第1セグメントまでの合計サイズ情報が付加され、
前記シーケンス番号付与手段は、前記合計サイズ情報を利用して、前記M−1番目のグループの末尾に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号と、M番目のグループの先頭に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号との間の第1シーケンス番号をもつ第1セグメントの合計サイズVを計算し、
前記所定の一定時間内で受信された第1セグメント群の平均セグメントサイズWを計算し、
前記Pの値は、前記Vを前記Wで除した値以上の最小の整数に1を加算した値である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のリレー局。
【請求項8】
前記シーケンス番号付与手段は、前記一定時間の後、前記M−1番目のグループの末尾に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号と、M番目のグループの先頭に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号との間の第1シーケンス番号をもつ第1セグメントが前記所定の一定時間に受信されていたと仮定した場合に、これらの第1セグメントの連結データの再セグメント化により生成されるセグメント数Zを計算し、前記Pの値を、Z+1に決定する、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のリレー局。
【請求項9】
前記所定の一定時間は、システムで規定された時間フレーム区間である
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載のリレー局。
【請求項10】
第1の無線通信装置から第2の無線通信装置への通信を中継するリレー局において実行するリレー方法であって
それぞれ第1シーケンス番号が付与された複数の第1セグメントを有する第1のデータを、前記第1セグメント毎に前記第1の無線通信装置から受信するセグメント受信ステップと、
一定時間内に受信された複数の前記第1セグメントを前記第1シーケンス番号順に並べ、前記第1シーケンス番号が不連続になるセグメント間で分割することでG(Gは2以上の整数)個のグループを生成するグループ生成ステップと、
前記グループ毎に前記第1セグメントを連結して連結データを生成し、前記連結データを1つ以上の第2セグメントに再セグメント化する再セグメント化ステップと、
M(Mは2以上G以下の整数)番目の前記グループに含まれる前記第2セグメントに対し、先頭がX+P(Xは、M−1番目の前記グループの末尾の第2セグメントの第2シーケンス番号、Pは3以上の整数)で始まる連続した前記第2シーケンス番号を付与するシーケンス番号付与ステップと、
前記第2セグメントを前記第2の無線通信装置に送信する送信ステップと、
を備えたリレー方法。
【請求項1】
第1の無線通信装置から第2の無線通信装置への通信を中継するリレー局であって
それぞれ第1シーケンス番号が付与された複数の第1セグメントを有する第1のデータを、前記第1セグメント毎に前記第1の無線通信装置から受信する受信手段と、
一定時間内に受信された複数の前記第1セグメントを前記第1シーケンス番号順に並べ、前記第1シーケンス番号が不連続になるセグメント間で分割することでG(Gは2以上の整数)個のグループを生成するグループ生成手段と、
前記グループ毎に前記第1セグメントを連結して連結データを生成し、前記連結データを1つ以上の第2セグメントに再セグメント化する再セグメント化手段と、
M(Mは2以上G以下の整数)番目の前記グループに含まれる前記第2セグメントに対し、先頭がX+P(Xは、M−1番目の前記グループの末尾の第2セグメントの第2シーケンス番号、Pは3以上の整数)で始まる連続した前記第2シーケンス番号を付与するシーケンス番号付与手段と、
前記第2セグメントを前記第2の無線通信装置に送信する送信手段と、
を備えたリレー局。
【請求項2】
前記受信手段は、前記一定時間の後、前記M−1番目のグループの末尾に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号と、M番目のグループの先頭に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号との間の第1シーケンス番号をもつ第1セグメントを受信し、
前記セグメント生成手段は、前記受信手段が前記一定時間の後に受信した前記第1セグメントを連結して第2の連結データを生成し、前記第2の連結データをP−1個の第2セグメントに再セグメント化し、
前記シーケンス番号付与手段は、前記P−1個の第2セグメントにX+1〜X+P−1の連続する第2シーケンス番号を付与する
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー局。
【請求項3】
前記受信手段は、前記一定時間の後、前記M−1番目のグループの末尾に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号と、M番目のグループの先頭に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号との間の第1シーケンス番号をもつ第1セグメントを受信し、
前記セグメント生成手段は、前記受信手段が前記一定時間の後に受信した前記第1セグメントを連結して第2の連結データを生成し、前記第2の連結データをP−1より大きい個数の第2セグメントに再セグメント化し、
前記シーケンス番号付与手段は、1番目からP−2番目までの第2セグメントにX+1〜X+P−2の連続する第2シーケンス番号を付与し、P−1番目以降の第2セグメントにはすべてX+P−1の第2シーケンス番号を共通に付与する
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー局。
【請求項4】
前記受信手段は、前記一定時間の後、前記M−1番目のグループの末尾に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号と、M番目のグループの先頭に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号との間の第1シーケンス番号をもつ第1セグメントを受信し、
前記セグメント生成手段は、前記受信手段が前記一定時間の後に受信した前記第1セグメントを連結して第2の連結データを生成し、前記第2の連結データをP−1未満のR個の第2セグメントに再セグメント化し、
前記シーケンス番号付与手段は、前記R個の第2セグメントにX+1〜X+Rの連続する第2シーケンス番号を付与し、X+R+1〜X+P−1の第2シーケンス番号をダミーデータにそれぞれ付与し、
前記セグメント送信手段は、前記第2のセグメントに加えて前記ダミーデータを送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のリレー局。
【請求項5】
前記Pの値は、前記M番目のグループの先頭の第1セグメントの第1シーケンス番号の値から、前記M−1番目のグループの末尾の第1セグメントの第1シーケンス番号の値を減算した値である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のリレー局。
【請求項6】
各前記第1セグメントにはそれぞれ直前の第1セグメントまでの合計サイズ情報が付加され、
前記シーケンス番号付与手段は、前記合計サイズ情報を利用して、前記M−1番目のグループの末尾に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号と、M番目のグループの先頭に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号との間の第1シーケンス番号をもつ第1セグメントの合計サイズVを計算し、
前記Pの値は、予め定められた最小伝送レートで送信できる第2セグメントのサイズをHとしたとき、前記Vを前記Hで除した値以上の最小の整数である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のリレー局。
【請求項7】
各前記第1セグメントにはそれぞれ直前の第1セグメントまでの合計サイズ情報が付加され、
前記シーケンス番号付与手段は、前記合計サイズ情報を利用して、前記M−1番目のグループの末尾に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号と、M番目のグループの先頭に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号との間の第1シーケンス番号をもつ第1セグメントの合計サイズVを計算し、
前記所定の一定時間内で受信された第1セグメント群の平均セグメントサイズWを計算し、
前記Pの値は、前記Vを前記Wで除した値以上の最小の整数に1を加算した値である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のリレー局。
【請求項8】
前記シーケンス番号付与手段は、前記一定時間の後、前記M−1番目のグループの末尾に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号と、M番目のグループの先頭に位置する第1セグメントの第1シーケンス番号との間の第1シーケンス番号をもつ第1セグメントが前記所定の一定時間に受信されていたと仮定した場合に、これらの第1セグメントの連結データの再セグメント化により生成されるセグメント数Zを計算し、前記Pの値を、Z+1に決定する、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のリレー局。
【請求項9】
前記所定の一定時間は、システムで規定された時間フレーム区間である
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載のリレー局。
【請求項10】
第1の無線通信装置から第2の無線通信装置への通信を中継するリレー局において実行するリレー方法であって
それぞれ第1シーケンス番号が付与された複数の第1セグメントを有する第1のデータを、前記第1セグメント毎に前記第1の無線通信装置から受信するセグメント受信ステップと、
一定時間内に受信された複数の前記第1セグメントを前記第1シーケンス番号順に並べ、前記第1シーケンス番号が不連続になるセグメント間で分割することでG(Gは2以上の整数)個のグループを生成するグループ生成ステップと、
前記グループ毎に前記第1セグメントを連結して連結データを生成し、前記連結データを1つ以上の第2セグメントに再セグメント化する再セグメント化ステップと、
M(Mは2以上G以下の整数)番目の前記グループに含まれる前記第2セグメントに対し、先頭がX+P(Xは、M−1番目の前記グループの末尾の第2セグメントの第2シーケンス番号、Pは3以上の整数)で始まる連続した前記第2シーケンス番号を付与するシーケンス番号付与ステップと、
前記第2セグメントを前記第2の無線通信装置に送信する送信ステップと、
を備えたリレー方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2010−154285(P2010−154285A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330755(P2008−330755)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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