説明

リンケージクランプ

【課題】開き角を調節でき、多くの作業に使用できるようにしたクランプを提供することにある。
【解決手段】第1位置と第2位置との間で移動するアームを備えた動力駆動アクチュエータ。リンケージ機構はリンクおよびベースを備えている。リンクおよびベースは互いにピボット運動可能に連結されている。リンクは動力アクチュエータのアームに連結されている。アクチュエータおよびベースはブラケットに連結されている。ブラケットは、リンクとベースとの間の開き角を調節すべく、ベースに沿って移動できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2010年11月5日付米国仮特許出願第61/410,487号の利益を主張する。また、該米国仮特許出願の全開示は本願に援用する。
【0002】
本発明は、クランプ、より詳しくは開き型動力クランプに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の動力クランプは、クランピング構造を収容するハウジングを有している。かくして、クランプは、単一作業に使用できる。クランプは、これらの意図した目的に対しては満足できる作業ができるが、種々の作業に使用できるように改変することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、開き角を調節でき、多くの作業に使用できるようにしたクランプを提供する。シリンダは、異なる開き角が得られるように、リンケージベース上に配置されかつ該ベースに沿う種々の位置に組付けられる。本発明は、異なる直径を有する多くのシリンダに同じ部品を使用できるようにする。本発明のクランプには、電気リニア駆動装置を使用できる。クランプには、溶接作業中の衝撃およびスプラッタから保護されるようにして、センサが配置されている。クランプは、より大きい開き角が得られるように相互に組付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様によれば、クランプは、空気圧シリンダまたは油圧シリンダ、または電気リニア駆動装置等のアクチュエータを有している。アクチュエータは、第1位置と第2位置との間でリンクを移動させるようにリンケージに連結されている。アクチュエータは、リンケージベース上に固定されたブラケットを有している。ベースは、リンクに移動可能に連結されている。ブラケットは、アクチュエータの位置を変えられるようにベースに沿って調節でき、この調節により、アクチュエータに対するリンクの開き角も調節される。異なるサイズの複数のアクチュエータに、同じリンケージを使用できる。リンクとベースとの間には、開き角を検出するためのセンサが配置される。センサは、少なくともベースの部分に固定される。また、一対のセンサピックアップピンが、ベースの部分に固定される。ピンは、センサを付勢して、第1開位置および第2開位置を決定する。センサピンの1つは所定位置に固定され、他のセンサピンはベースの部分に沿って調節できる。
【0006】
本発明の第2態様によれば、クランプは、第1位置と第2位置との間で移動するアームを備えた動力駆動アクチュエータを有している。該アクチュエータは、空気圧シリンダ、油圧シリンダ、または電気リニアアクチュエータである。リンケージ機構は一対のリンクを有している。両リンクは互いにピボット可能に連結されている。第1リンクは、動力アクチュエータのアームに連結されている。第2リンクは、アクチュエータに連結されている。動力アクチュエータは、一対の両リンク間の開き角を調節すべく、第2リンクに沿って移動できる。異なるサイズの複数のアクチュエータに、同じリンケージに使用できる。リンクとベースとの間には、開き角を検出するセンサが配置される。センサは、少なくともベースの部分に固定される。また、一対のセンサピックアップピンが、ベースの部分に固定される。ピンは、センサを付勢して、第1開位置および第2開位置を決定する。センサピンの1つは所定位置に固定され、他のセンサピンはベースの部分に沿って調節できる。
【0007】
他の適用領域は、以下に述べる説明から明らかになるであろう。以下の説明および特定の例は、例示のみを目的とし、本発明の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本願で説明する図面は選択された実施形態の例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0009】
【図1】クランプ組立体を示す斜視図である。
【図2】クランプ組立体を示す斜視図である。
【図3】図1および図2のクランプ組立体を示す分解図である。
【図4】閉位置を示すセンサの断面図である。
【図5】開位置を示すセンサの断面図である。
【図6】他のクランプ組立体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照すると、クランプ組立体が参照番号10で示されている。クランプ組立体10は、アクチュエータ12およびリンケージ14を有している。アクチュエータ12は、図示のように油圧形式または空気圧形式のシリンダで構成できる。また、アクチュエータ12として、電気リニア駆動装置を使用できる。
【0011】
アクチュエータ12は、ハウジング16と、該ハウジング16から延びているロッド18とを有している。図示されていないが、ロッド18は、当業界で良く知られているように、ハウジング16内の流体圧力に応答して移動するピストンに連結されている。ハウジング16からはクレビス19が突出している。クレビス19は一対の耳部20、22を有し、両耳部はクレビスピン26を受入れるボア24を有している。同様に、ピストンロッド18は耳部30、32を備えるクレビス28を有し、これら耳部は、クレビスピン36を受入れるボア34を有している。
【0012】
リンケージ14は、リンク部材40およびベース部材42を有している。リンク部材40は、耳部46、48を備えたクレビス44を有している。耳部46、48は、クレビスピン52を受入れるボア50を有している。少なくとも一方の耳部50は複数の孔60を有し、該孔60は、後述のように、センサ100に伝達するピン102、104を受入れることができる。
【0013】
リンク40は全体として直方体の本体部分62を有し、該本体からクレビス44が延びている。直方体の本体部分62は複数のねじボア64を有している。ボア64は、図6に示すように、大きい開き角を得るべく、付加ベース42に連結できるようにする。ねじボア64は、ベース42のボアと整合している。本体62からはガイド部分66が延びており、該ガイド部分66は全体としてU型の形状を有している。ガイド部分66は、本体部分62が同方向にあり、左右に移動しないようにする。ガイド部分66は、部品の公差を補償する。
【0014】
ベース42は本体70を有し、該本体からはアーム部分72が延びている。本体70は全体として直方体の形状を有し、かつ複数のねじボア74が設けられている。ねじボア74は、ベース42を支持体に固定できるようにする。アーム72は、ピン52を受入れる孔76を有している。アーム72は、ベース42を、リンク部材40にピボット運動可能に連結する。リンク部材40およびベース42は、互いにピボット運動する。本体70は、リンク部材40とベース42との適正位置決めを確保すべくガイド部分66と協働するガイド71を有している。
【0015】
ベース本体70およびシリンダ12には、ブラケット80が固定されている。ブラケット80は、本体部分82およびアーム部分84を有している。本体部分82は、ねじファスナ88を受入れる一対のボア86を有している。ファスナ88は、ねじボア74を介してブラケット80をベース本体70に固定する。アーム84は、クレビスピン26を受入れるボア90を有している。かくして、ブラケット80はシリンダ12をベース42に対して移動可能に固定する。複数のねじボア74は、ブラケット80を、本体70の長手方向軸線に沿う異なる位置に整合させることができる。これにより、ベース42に対するリンク部材40の開き角を変えるべく、アクチュエータ12をベース42に沿う種々の位置に整合させることができる。
【0016】
センサ100は、ベース42のアーム72上に配置される。センサ100は、リンク部材40とベース42との間に配置される。センサ100は、溶接環境での衝撃およびスプラッタから保護される。センサ100は、ベース42に対するリンク40の開センサ101および閉センサ103を検出すべく、コントローラに接続される。図4に示すように、リンケージ14のストップ位置を知るための付加ピン102が、クレビスの耳部46、48を通って配置されている。図5に示すように、複数のボア60の1つには、センサ100により表示すべきリンケージ14の開位置を表示するための他のピン104が配置されている。アクチュエータ12がベース42の本体70に沿う種々の位置に配置されるとき、ピン104が、クレビスの複数のボア60の1つに配置される。したがって、リンケージ14の開き角が変えられるときには、リンケージ14が開位置にあることをセンサが検出できるように、検出ピン104も複数のボア60内で変えなければならない。閉ピン102は、常時、クレビス44の1位置に留まっている。
【0017】
図示のように、同じリンケージ14に種々のサイズのシリンダを使用できる。したがって、シリンダのハウジングにクレビスを備えているものであれば、大型または小型のシリンダをリンケージに連結することができる。
【0018】
図6に示すように、ベース42およびリンク部材40のそれぞれのボア74、64は同じパターンを有している。これにより、ベース42を、図6に示すようにリンク40上に整合させかつ配置することができる。したがって、より大きい開き角を得るため、第1アクチュエータ上に第2アクチュエータを配置できる。
【0019】
本発明の上記説明は本質の単なる例示に過ぎず、したがって、本発明の本旨から逸脱しない変更形態は本発明の範囲内に包含されるものである。このような変更形態は本発明の精神および範囲から逸脱しないと理解すべきである。
【符号の説明】
【0020】
10 クランプ組立体
12 アクチュエータ(シリンダ)
14 リンケージ
40 リンク部材
42 ベース部材
100 センサ
101 開センサ
102 付加ピン(閉ピン)
103 閉センサ
104 検出ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置と第2位置との間で移動するアームを備えた動力駆動アクチュエータと、
リンクおよびベースを備えたリンケージ機構とを有し、
前記リンクおよびベースは互いにピボット運動可能に連結され、リンクは動力アクチュエータのアームに連結されており、
アクチュエータおよびベースに連結されたブラケットを更に有し、
該ブラケットは、リンクとベースとの間の開き角を調節すべく、ベースに沿って移動できることを特徴とするクランプ。
【請求項2】
前記リンクとベースとの間に配置された、開き角を検出するためのセンサを更に有することを特徴とする請求項1記載のクランプ。
【請求項3】
前記リンケージ機構に使用できる、異なるサイズの複数のアクチュエータを更に有することを特徴とする請求項1記載のクランプ。
【請求項4】
前記リンクまたはベースには、センサを付勢するための少なくとも1つのセンサピックアップピンが固定されていることを特徴とする請求項2記載のクランプ。
【請求項5】
前記動力アクチュエータは、空気圧シリンダ、油圧シリンダまたは電気リニアアクチュエータであることを特徴とする請求項1記載のクランプ。
【請求項6】
一対のセンサピックアップピンが、センサを付勢して第1位置および第2位置を決定することを特徴とする請求項4記載のクランプ。
【請求項7】
前記一対のセンサピックアップピンの一方が所定位置に固定され、他方がリンクまたはベースに沿って調節できることを特徴とする請求項6記載のクランプ。
【請求項8】
第1位置と第2位置との間で移動するアームを備えた動力駆動アクチュエータと、
一対のリンクを備えたリンケージ機構とを有し、
両リンクが互いにピボット運動可能に連結され、第1リンクは動力アクチュエータのアームに連結され、第2リンクはアクチュエータに連結されており、
動力アクチュエータは、リンクとベースとの間の開き角を調節すべく、第2リンクに沿って移動できることを特徴とするクランプ。
【請求項9】
前記リンクとベースとの間に配置された、開き角を検出するためのセンサを更に有することを特徴とする請求項8記載のクランプ。
【請求項10】
前記リンクまたはベースには、センサを付勢するための少なくとも1つのセンサピックアップピンが固定されていることを特徴とする請求項9記載のクランプ。
【請求項11】
一対のセンサピックアップピンが、センサを付勢して第1位置および第2位置を決定することを特徴とする請求項10記載のクランプ。
【請求項12】
前記一対のセンサピックアップピンの一方が所定位置に固定され、他方がリンクまたはベースに沿って調節できることを特徴とする請求項11記載のクランプ。
【請求項13】
前記リンケージ機構に使用できる、異なるサイズの複数のアクチュエータを更に有することを特徴とする請求項8記載のクランプ。
【請求項14】
前記動力アクチュエータは、空気圧シリンダ、油圧シリンダまたは電気リニアアクチュエータであることを特徴とする請求項8記載のクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−101349(P2012−101349A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−238098(P2011−238098)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(501465366)デラウエア キャピタル フォーメイション、インコーポレイテッド (7)
【住所又は居所原語表記】501 Silverside Road, Suite 5, Wilmington, Delaware 19809, U.S.A.
【Fターム(参考)】