説明

リンゴの包装体及びリンゴの包装体の保存方法

【課題】 リンゴの包装体において、食味の低下を伴う果肉の軟化、酸味の低下、内部褐変、異臭を防止でき、鮮度保持が可能な包装体を提供する。
【解決手段】 リンゴの包装体において、包装体に用いられる包装袋の酸素透過速度がリンゴ100gあたり50〜300cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度がリンゴ100gあたり70〜650cc/100g・day・atmであり、リンゴの包装体内の酸素濃度および二酸化炭素濃度が、包装袋を開封する前の状態で酸素濃度が1.8%以上15%未満、二酸化炭素濃度が3%以上10%未満であるリンゴの包装体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンゴの包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リンゴは、CA(Controlled Atmosphere)貯蔵によって長期的な品質保持が可能であり、「ふじ」という品種のリンゴではおよそ半年に及ぶ長期的な保存が行われている。ただし、このCA貯蔵は、大規模な専用貯蔵庫が必要であること、庫内のみでは効果を発揮するが流通中での鮮度保持が困難であること、短期的な鮮度保持には向かず対象となる品種や熟度も長期貯蔵に適したものに限られることといった欠点がある。
近年、青果物自身の呼吸と包装体のガス透過量のバランスにより包装体内を大気中よりも低酸素濃度、高二酸化炭素濃度とすることで青果物の代謝を抑制して品質を保持するMA(Modified Atmosphere)包装が開発され、枝豆、ブロッコリーやホウレンソウなど様々な青果物で実用化されている。しかし、リンゴに関しては、効果が十分でなかったり、貯蔵期間が長くなると炭酸ガス障害による果肉の褐変が起こるため実用化されていない。
【0003】
リンゴの鮮度保持に関しては、特開2000−004781号公報があり、リンゴの鮮度保持に適した条件として、リンゴの包装体の袋内の酸素濃度として3〜12%、二酸化炭素濃度として8〜15%が望ましいと記載されている。しかし、リンゴの種類や袋掛けの有無等栽培方法によっては、このような二酸化炭素濃度の高い条件で、例えば30日以上長期間保管すると、りんごに果肉褐色が発生し易くなる可能性がある。
【特許文献1】特開2000−004781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、リンゴについて、従来よりも鮮度保持効果が顕著であり、長期的な貯蔵においては、従来MA包装の際懸念されていた炭酸ガス障害によるリンゴの果肉の褐変が起こりにくい包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
リンゴの包装体において、前記包装体に用いられる包装袋の酸素透過速度が前記リンゴ100gあたり50〜300cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が前記リンゴ100gあたり70〜650cc/100g・day・atmであり、リンゴの包装体内の酸素濃度および二酸化炭素濃度が、包装袋を開封する前の状態で酸素濃度が1.8%以上15%未満、二酸化炭素濃度が3%以上10%未満であるリンゴの包装体である。
更に好ましい形態としては、包装体内の二酸化炭素濃度が3.2%以上8%未満であり、包装袋に、傷、クラック、微細孔、切れ目の何れか1種以上の加工を施してあり、包装袋が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートのいずれか、或いはこれらの中から2種以上を積層したものであり、二酸化炭素透過速度/酸素透過速度の値が1以上であり、エチレン吸着剤あるいはエチレン分解剤を包装体内に内封しており、リンゴが1−メチルシクロプロペンで処理してあるリンゴの包装体である。
また、上記のリンゴの包装体が、保管温度が0〜10℃の範囲で保存されるリンゴの包装体の保存方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の方法に従うと、収穫後のリンゴの果肉軟化防止、萎れ防止、食味低下防止ができ、長期的な貯蔵においてもリンゴ果肉の褐変も発生しにくい包装体を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、リンゴの包装体に関するものである。リンゴの種類は特に限定されないが、例えば、ふじ、つがる、陸奥、王林、ジョナゴールド、紅玉、千秋、さんさなどがある。これらは、袋掛けの有無に関わらず適用可能であり、国産に限らず輸入品であっても良い。また、つがる、サンふじなど比較的劣化が早く、CA貯蔵による長期貯蔵に適さないとされるリンゴに関しても適用可能である。
【0008】
本発明は、リンゴを包装袋に入れて保存する際、包装袋の酸素透過速度は、リンゴ100gあたり50〜300cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度は、リンゴ100gあたり70〜650cc/100g・day・atmである。酸素透過速度及び二酸化炭素透過速度がこの範囲内にあると、酸素不足や炭酸ガス障害で内容物の劣化が促進される可能性が少なく、また、リンゴの呼吸抑制が不十分となり鮮度保持効果が弱くなる可能性も少なく、鮮度保持効果により好ましい。
【0009】
包装袋にリンゴを入れて包装袋の口を閉じ、包装体内の酸素濃度及び二酸化炭素濃度が安定した後は、酸素濃度が1.8%以上15%未満、二酸化炭素濃度が3%以上10%未満となることが鮮度保持の点から好ましい。更には、酸素濃度が1.8%以上9%未満、二酸化炭素濃度が3.3%以上8%未満の範囲がより好ましい。酸素濃度が1.8%以上15%未満の範囲にあるとリンゴの傷みがより少なく、二酸化炭素濃度が3%以上10%未満の範囲にあると長期貯蔵時に果肉の褐変がより起こりにくくなる。二酸化炭素濃度を3%未満にするためには炭酸ガス吸収剤などを併用する必要があり、コストアップにつながるため好ましくない。
【0010】
リンゴの品質を維持し、鮮度保持を保つためには、大気中より酸素濃度を下げつつも、二酸化炭素濃度が高くなりすぎないようにしなければならず、そのためには、包装体の二酸化炭素透過速度/酸素透過速度の値が1以上であることが好ましい。より好ましくは、二酸化炭素透過量/酸素透過量の値が1.4以上である。
【0011】
包装体に用いられる包装袋は、合成樹脂フィルムが好ましい。合成樹脂フィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリ乳酸などが挙げられる。これらの内いずれかの素材を単独あるいは複数積層して用いればよい。また、これらは、延伸してあってもよく、防曇加工や印刷が施してあっても良い。これらの中では酸素透過量よりも炭酸ガス透過量が大きい素材、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどを用いることがより好ましい。
合成樹脂フィルムの厚みは、経済的に100μm以下が好ましく、強度的に10μm以上が好ましい。
【0012】
包装体に合成樹脂フィルムを用いた場合、合成樹脂フィルム自体の酸素透過速度および二酸化炭素透過速度では、リンゴの鮮度保持に必要な透過速度に及ばない場合がある。このような場合は、微細孔1個の開孔面積が0.05mm2以下である微細孔、未貫通及び/又は貫通のクラック、又は距離5mm以下の切り込みのいずれかをフィルムに加工して透加速度を調節することが好ましい。開口面積が0.05mm2を超えたり、切り込みの距離が5mmを超えると1袋あたりのこれら加工数が少なくなり、包装体の酸素透加速度及び二酸化炭素透過速度の透過速度を調節する精度が悪くなる可能性がある。
【0013】
包装袋の透湿度は、2〜800g/m2・日(40℃、90%RH)であることが好ましい。リンゴの萎れを防止するためには、透湿度2〜50g/m2・日(40℃、90%RH)のフィルムを用いるのが好ましく、逆に結露が気になる場合には、50〜800g/m2・日(40℃、90%RH)のフィルム、例えば、ポリ乳酸フィルムなどを用いれば余剰水分が包装体外へ放出され、結露を防止できる。
【0014】
リンゴは、植物の老化を促進させるホルモンであるエチレンを多く生じ、それによって劣化が進んでしまう。したがって、エチレンに関しても何らかの対策を施すことがより好ましい。これには、活性炭などのエチレン吸着剤や過マンガン酸カリウムや臭素酸カリウムなどエチレン分解剤などをリンゴの包装体内に設置する、あるいは、エチレン作用阻害剤、例えば、1−メチルシクロプロペンなどを用いてリンゴを処理する方法が挙げられる。吸着剤などは、使用するフィルムに練りこんだタイプでも使用可能である。これらと併用して本発明の包装体を用いることで、エチレンによるリンゴの老化を抑制しつつ、さらにMA包装による呼吸抑制効果でより効果的な品質保持が可能である。
【0015】
本発明の包装体の保管温度は、凍結しない範囲で極力、低温を維持することが好ましい。特に長期的な保存を行う場合は、0〜10℃の範囲である必要がある。0℃未満では、凍結の恐れがあり、10℃を超えると元々の劣化スピードが速いので、本発明の包装体でリンゴの呼吸を抑制しても、従来包装よりは品質が良好に保たれるが、長期間良い状態を維持するのは困難である。現状の冷蔵設備の能力等考慮すると、理想的には、2℃程度での保管が良い。
【実施例】
【0016】
以下実施例で本発明を説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
縦200mm、横240mmで厚さ40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム製袋にリンゴ(品種ふじ、約280g/個)を2個入れて封をした。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔7個をあけ、リンゴ100g当たりの酸素透過速度が225cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が600cc/100g・day・atmであり、二酸化炭素透過速度/酸素透過速度=2.67となるようにしている。これを、25℃で14日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表1に示す。
《実施例2》
縦200mm、横240mmで厚さ40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム製袋にリンゴ(品種ふじ、約280g/個)を2個入れて封をした。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔1個をあけ、リンゴ100g当たりの酸素透過速度が105cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が476cc/100g・day・atmであり、二酸化炭素透過速度/酸素透過速度=4.53となるようにしている。これを、25℃で14日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表1に示す。
《実施例3》
縦200mm、横240mmで厚さ40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム製袋にリンゴ(品種ふじ、約280g/個)を2個入れて封をした。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔1個をあけ、リンゴ100g当たりの酸素透過速度が105cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が475cc/100g・day・atmであり、二酸化炭素透過速度/酸素透過速度=4.52となるようにしている。これを、5℃で60日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表2に示す。
《実施例4》
縦200mm、横240mmで厚さ40μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム製袋にリンゴ(品種ふじ、約280g/個)を2個入れて封をした。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔5個をあけ、リンゴ100g当たりの酸素透過速度が136cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が222cc/100g・day・atmであり、二酸化炭素透過速度/酸素透過速度=1.63となるようにしている。これを、5℃で60日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表2に示す。
《実施例5》
縦200mm、横240mmで厚さ30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム製袋にリンゴ(品種つがる、約300g/個)を2個入れて封をした。袋には、開口面積1.96×10-3mm2の微細孔8個をあけ、リンゴ100g当たりの酸素透過速度が122cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が214cc/100g・day・atmであり、二酸化炭素透過速度/酸素透過速度=1.75となるようにしている。これを、5℃で60日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表2に示す。
《実施例6》
縦200mm、横240mmで厚さ40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム製袋にリンゴ(品種つがる、約300g/個)を2個入れて封をした。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔7個をあけ、リンゴ100g当たりの酸素透過速度が210cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が560cc/100g・day・atmであり、二酸化炭素透過速度/酸素透過速度=2.67となるようにしている。これを、25℃で7日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表3に示す。
《実施例7》
縦200mm、横240mmで厚さ40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム製袋にリンゴ(品種ふじ、約280g/個)を2個入れて封をした。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔1個をあけ、リンゴ100g当たりの酸素透過速度が105cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が476cc/100g・day・atmであり、二酸化炭素透過速度/酸素透過速度=4.53となるようにしている。これを、12℃で40日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表4に示す。
【0017】
《比較例1》
縦200mm、横240mmで厚さ35μmのナイロンとポリエチレンの積層フィルム製袋にリンゴ(品種ふじ、約280g/個)を2個入れて封をした。袋には、開口面積1.96×10-3mm2の微細孔3個をあけ、リンゴ100g当たりの酸素透過速度が35cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が35cc/100g・day・atmであり、二酸化炭素透過速度/酸素透過速度=1となるようにしている。これを、25℃で14日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表1に示す。
《比較例2》
縦200mm、横240mmで厚さ40μmの延伸ポリプロピレン製袋にリンゴ(品種ふじ、約280g/個)を2個入れて封をした。袋には、直径5mmの穴を8個開けた。
これを、25℃で14日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表1に示す。この場合の酸素透過速度及び二酸化炭素透過速度は、本発明の範囲より明らかに大きかったため測定不能であった。
《比較例3》
縦200mm、横240mmで厚さ40μmの延伸ポリプロピレン製袋にリンゴ(品種ふじ、約280g/個)を2個入れて封をした。袋には、微細孔などの加工を施さなかった。リンゴ100g当たりの酸素透過速度が16cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が90cc/100g・day・atmであり、二酸化炭素透過速度/酸素透過速度=5.6となるようにしている。これを、5℃で60日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表2に示す。
《比較例4》
縦200mm、横240mmで厚さ40μmの延伸ポリプロピレン製袋にリンゴ(品種ふじ、約280g/個)を2個入れて封をした。袋には、直径5mmの穴を8個開けた。
これを、5℃で60日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表2に示す。この場合の酸素透過速度及び二酸化炭素透過速度は、本発明の範囲より明らかに大きかったため測定不能であった。
《比較例5》
縦200mm、横240mmで厚さ35μmのナイロンとポリエチレンの積層フィルム製袋にリンゴ(品種つがる、約300g/個)を2個入れて封をした。袋には、開口面積1.96×10-3mm2の微細孔3個をあけ、リンゴ100g当たりの酸素透過速度が33cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が33cc/100g・day・atmであり、二酸化炭素透過速度/酸素透過速度=1となるようにしている。これを、25℃で7日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表3に示す。
《比較例6》
縦200mm、横240mmで厚さ40μmの延伸ポリプロピレン製袋にリンゴ(品種つがる、約300g/個)を2個入れて封をした。袋には、直径5mmの穴を8個開けた。これを、25℃で7日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表3に示す。この場合の酸素透過速度及び二酸化炭素透過速度は、本発明の範囲より明らかに大きかったため測定不能であった。
《比較例7》
縦200mm、横240mmで厚さ35μmのナイロンとポリエチレンの積層フィルム製袋にリンゴ(品種ふじ、約280g/個)を2個入れて封をした。袋には、開口面積1.96×10-3mm2の微細孔3個をあけ、リンゴ100g当たりの酸素透過速度が35cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が35cc/100g・day・atmであり、二酸化炭素透過速度/酸素透過速度=1となるようにしている。これを、12℃で40日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表1に示す。
《比較例8》
縦200mm、横240mmで厚さ40μmの延伸ポリプロピレン製袋にリンゴ(品種ふじ、約280g/個)を2個入れて封をした。袋には、直径5mmの穴を8個開けた。
これを、12℃で40日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表1に示す。この場合の酸素透過速度及び二酸化炭素透過速度は、本発明の範囲より明らかに大きかったため測定不能であった。
《比較例9》
縦200mm、横240mmで厚さ35μmのナイロンとポリエチレンの積層フィルム製袋にリンゴ(品種ふじ、約280g/個)を2個入れて封をした。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔個をあけ、リンゴ100g当たりの酸素透過速度が227cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が308cc/100g・day・atmであり、二酸化炭素透過速度/酸素透過速度=1.36となるようにしている。これを、12℃で40日間保管して、袋内ガス組成及びリンゴの品質を調査した結果を表4に示す。
【0018】
品質の調査結果を下記の表にて示す。なお、下記の表内の○、□、△、×は、次の内容を示している。
○良好
□ やや劣化
△ 明らかな劣化(商品性無し)
× 著しい劣化(食べられない)
果肉の硬さは、(島津 卓上試験機EZ−test)を用いてリンゴに直径3mmの丸棒を100mm/分で突き刺し、変位5mmでの数値を読み取った。ふじの初期の硬さは約6.6N、つがるの初期の硬さは約4.4Nであり、おおよそ、ふじが5N以上、つがるが2.5N以上で商品価値があると判断した。
内部褐変発生率は、0%が非常に好ましい。7%以下でも市場性はあるが、15%を越えると商品価値はかなり劣る。
食味の酸味少とは、酸味が低下して少ししか感じられない状態で商品価値はかなり劣る。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
【表3】

【0022】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、リンゴの鮮度保持用の包装に用いることができ、食味の低下を伴うリンゴの果肉の軟化、酸味の低下、内部褐変、異臭がなく、鮮度の良好なリンゴを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンゴの包装体において、前記包装体に用いられる包装袋の酸素透過速度が前記リンゴ100gあたり50〜300cc/100g・day・atm、二酸化炭素透過速度が前記リンゴ100gあたり70〜650cc/100g・day・atmであり、リンゴの包装体内の酸素濃度および二酸化炭素濃度が、包装袋を開封する前の状態で酸素濃度が1.8%以上15%未満、二酸化炭素濃度が3%以上10%未満であることを特徴とするリンゴの包装体。
【請求項2】
包装体内の二酸化炭素濃度が3.2%以上8%未満である請求項1記載のリンゴの包装体。
【請求項3】
包装袋に、傷、クラック、微細孔、切れ目の何れか1種以上の加工を施した請求項1又は2記載のリンゴの包装体。
【請求項4】
包装袋が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートのいずれか、或いはこれらの中から2種以上を積層したものである請求項1、2又は3記載のリンゴの包装体。
【請求項5】
二酸化炭素透過速度/酸素透過速度の値が1以上である請求項1、2、3、又は4記載のリンゴの包装体。
【請求項6】
エチレン吸着剤あるいはエチレン分解剤を包装体内に内封している請求項1、2、3、4又は5記載のリンゴの包装体。
【請求項7】
リンゴが1−メチルシクロプロペンで処理してある請求項1、2、3、4、5又は6記載のリンゴの包装体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のリンゴの包装体が、保管温度が0〜10℃の範囲で保存されることを特徴とするリンゴの包装体の保存方法。

【公開番号】特開2006−109765(P2006−109765A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300958(P2004−300958)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】