説明

リン量を減じた潤滑油組成物

本発明は、依然優秀な粘度制御性を保持しつつ優れたデポジット制御を提供する内燃機関用の低リン潤滑剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本明細書は、その開示全体が参考文献として本明細書に引用される2005年3月29日付け米国暫定特許願第60/665961号に優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に依然優秀な粘度制御性を保持しつつ優れたデポジット(deposit)制御を提供する内燃機関用の低リン潤滑剤に関する。
【背景技術】
【0003】
未来のエンジン油潤滑剤は、排気系を保護するために低リン量であることが要求されるであろうが、潤滑剤に対する広い酸化保護並びにエンジンにおける低減された磨耗性とデポジットを提供することも必要となろう。これは、最も効果的な耐摩耗性及び酸化防止性添加剤がリンを含むジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)であるから、現存する潤滑剤にとって困難な課題である。過去においては、ZDDPが安価な物質で、優れた耐摩耗性及び酸化防止性を提供するから、高量で使用されてきた。しかしながら、未来においては、ZDDPは低量でしか許容されなくなるであろう。2004年において、いくつかの商業的ガソリンエンジン油の仕様書はZDDPからのリンを最大800ppmとして提示した。未来のエンジン油仕様書においては、リン量が500ppm以下に、可能ならばそれより低下するかもしれない。ZDDPの量を減じる場合には、その失われた酸化防止性能を無灰分酸化防止剤で代替できることが良く知られている。しかしながら、高量の無灰分酸化防止剤が必ずしも改善された酸化制御性をもたらさないことも公知である。事実現代のエンジン油は、一般により少ないZDDPによって失われる酸化安定性を補填するために2種またはそれ以上の無灰分酸化防止剤成分の使用を必要としている。その上、デポジット制御に対する仕様は、要求がより高まりつつある。多くの場合現代の及び未来の潤滑剤は、これらの種々の無灰分酸化防止剤を非常に高量で必要とするであろう。しかし通常の2.0重量%以上という無灰分酸化防止剤のレベルは、潤滑剤及びエンジンの適切な保護にとって適当でない可能性がある。これらの高量の通常の無灰分酸化防止剤は、高価であり、潤滑剤の欠陥、例えば腐食、錆、及びシールの不適合性をもたらす可能性がある。今や、潤滑剤の酸化を制御し且つエンジンデポジットを最小にする点で、有効な低価格で低量の無灰分酸化防止剤系が必要とされている。
【0004】
4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)及びアルキル化ジフェニルアミンの特別な組合せ及び割合が予期を超えて低リンエンジン油において優れた程度の酸化及びデポジット制御を提供することが本発明において発見された。これはかなり低添加量の無灰分酸化防止剤の使用を許容する。本発明の酸化防止剤系は、潤滑剤の加熱及び酸化時に生じる揮発性有機分子の生成をかなり減じる点でも有効である。この効果は、揮発性有機分子の低減が排気物の低減に寄与しうるから、環境にとってもかなりの利点をもたらす。
【発明の開示】
【0005】
(発明の概略)
本発明の1つの観点は、優秀な粘度制御を依然保持しつつ優れたデポジット制御を提供する内燃機関用の新規な潤滑油組成物に関する。本発明の他の観点は、内燃機関におけるデポジット量を減じるための新規な潤滑油組成物の使用法に関する。本発明の更なる観点は、内燃機関系における触媒の被毒を減じるための新規な潤滑油組成物の使用法に関する。
【0006】
本発明の1つの組成物である低リンエンジン油は、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)及びアルキル化ジフェニルアミンを含んでなる。但し、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)とアルキル化ジフェニルアミンの重量比は約0.5に等しいか、それより大きく、また該エンジン油はASTM D7097測定法による全デポジットが35mgに等しいか、またはそれ未満である。
【0007】
本発明の他の組成物は、
(A)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(C)アルキル化ジフェニルアミン、
(D)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分、
(E)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、
随時(F)油溶性有機モリブデン化合物、及び
随時(G)ヒンダードフェノール酸化防止剤、但し該ヒンダードフェノール酸化防止剤が4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ではない、
を含んでなる、但し
潤滑油組成物が該ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを約600ppmまたはそれ未満で含有し、且つ
(B)と(C)の重量比が約0.5に等しいか、それより大きい、
ものである。
【0008】
本発明の他の組成物は、
(A)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(C)アルキル化ジフェニルアミン、
(E)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、及び
(F)油溶性有機モリブデン化合物、及び
随時(G)ヒンダードフェノール酸化防止剤、但し該ヒンダードフェノール酸化防止剤が4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ではない、
を含んでなる、但し
(B)と(C)の重量比が約0.5に等しいか、それより大きく、且つ
組成物がASTM D7097測定法による全デポジットが35mgに等しいか、またはそれ未満である、
ものである。
【0009】
本発明の他の組成物は、
(A)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(C)アルキル化ジフェニルアミン、
(D)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分、
(E)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、
(F)油溶性有機モリブデン化合物、及び
(G)ヒンダードフェノール酸化防止剤、但し該ヒンダードフェノール酸化防止剤が4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ではない、
を含んでなる、但し組成物が
ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを約600ppmまたはそれ未満で、及び
油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデンを約50−400ppmで含んでなる、
ものである。
【0010】
本発明の更に他の組成物は、
(A)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(C)アルキル化ジフェニルアミン0.2−1.0重量%、
(E) ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン200−600ppm、及び
(F)油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデン50−400ppm、
を含んでなる、但し(B)と(C)の重量比が0.5に等しいか、それより大きい、
エンジン油潤滑組成物である。
【0011】
本発明の更に他の組成物は、
(A)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)0.1−1.5重量%、
(C)アルキル化ジフェニルアミン、
(D)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物1.0−12.0重量%、
(E)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン200−600ppm、及び
(F)油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデン50−400ppm、
を含んでなる、但し(B)と(C)の重量比が0.5に等しいか、それより大きい、
エンジン油潤滑組成物である。
【0012】
本発明の他の組成物は、
(A)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(C)アルキル化ジフェニルアミン0.2−1.0重量%、
(D) ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン300−600ppm、
を含んでなる、但し(B)と(C)の重量比が0.5に等しいか、それより大きい、
エンジン油潤滑組成物である。
【0013】
本発明の更に他の組成物は、
(A)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)0.1−1.5重量%、
(C)アルキル化ジフェニルアミン、
(D)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物1.0−12.0重量%、及び
(E) ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン300−600ppm、及び
を含んでなる、但し(B)と(C)の重量比が0.5に等しいか、それより大きい、
エンジン油潤滑組成物である。
【0014】
ここに主成分量とは、組成物の全重量に基づいて50重量%より大きい量を意味する。
【0015】
(発明の詳細な説明)
I.定義
ASTM D7097は、本明細書に全体が引用される2004年12月に認められた”適度に高温のピストンデポジットを熱酸化エンジン油模倣試験で決定するための標準試験法”である。ASTM D7097は、エンジン油の酸化及び炭素質デポジット生成特性を評価するための新しい標準潤滑剤工業試験法である。この試験は、現代のエンジンのピストンリングベルト付近における高温デポジット生成を模倣するように設計されている。種々の議定書(protocols)に対する試験法及び特別な条件の詳細は、全体が参考文献として本明細書に引用される以下の文献に更に報告されている:
セルビー(Selby)及びフローコウスキー(Florkowski)著、“エンジン油ピストンデポジット傾向のベンチ試験としてのTEOST議定書MHT”、第12回國際コロキュームトライボロジー予稿集補遺55−62ページ、独国オストフィルデルン(Ostfildern)、TAE、2000年1月11−13日。
セルビー、リチャードソン(Richardson)及びフローコウスキー著、“エンジン油デポジットとTEOST−議定書33とそれ以降”、SAE技術論文シリーズ、962039、テキサス、サンアントニオ、1996年10月14−17日、國際秋季燃料及び潤滑剤会議及び展示会より。
セルビー著、“潤滑剤試験の最近の進歩”、第6回國際LFE会議、ベルギー国ブリュッセル、1999年6月2−4日。
【0016】
この試験はエンジン油の酸化時の揮発性有機分子の生成を研究するためにも有用な手法である。潤滑剤の酸化時の揮発性有機分子の生成は、それらが排気物の増加になり且つ潤滑剤の更なる重合も促進しうるから、致命的であることが一般に知られている。この潤滑剤の重合は、望ましくない粘度の上昇ももたらす。本発明の添加剤の組み合わせは、デポジットの生成及び揮発性有機分子の生成の両方を制御することに関して有効である。典型的には、極性の揮発性有機分子は、潤滑剤中の有機過酸化物の分解によって生成する。この分解は、他のオイル分子と反応してアルコールを生成しうる且つ分解してアルデヒド及びケトンを生成しうる有機アルコキシラジカルを与える。このアルデヒド及びケトンへの劣化は、分子量を減じ、かくして汚染物ともなり且つ潤滑剤を増粘するオリゴマー及びポリマーへの活性な前駆物質でもある揮発性画分をより多く生成する。それ故にこれらの極性の揮発性有機分子の生成を防ぎまたは排除することは非常に望ましい。
【0017】
本発明で使用するごとき“低リンエンジン油”は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを約600ppm未満で含むエンジン油に関するものである。
【0018】
本明細書で使用するごとき“ヒドロカルビル”とは、線状、環式、またはこれらの組み合わせであってよいアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を意味する。但しこれらの基は随時置換されていてもよい。そのような置換基は、限定するわけではないがコハク酸基を含む反応性基を含んでいてよい。
【0019】
本明細書で使用するごとき“約”とは、特に明示した終点を含む且つそれを20%まで越える事を意味する。従って範囲は広くなり、例えば“約1”とは、範囲0.8−1.2を包含するものである。
【0020】
有機摩擦緩和剤は、金属エンジン表面に親和性を有する極性末端基を持つ長い非極性炭化水素鎖を含む分子である。本明細書に使用するごとき“有機摩擦緩和剤”は長鎖有機脂肪酸またはカルボン酸、エステル、エーテル、アミン、イミド、アミド、硫化脂肪酸、有機金属化合物、高分子量有機リン及びリン酸エステルを含むが、これらに限定されるものではない。他の通常の有機摩擦緩和剤の例は、全体が本明細書に参考文献として引用されるR.フーゲンヅーム(Hoogendoom) 及びD.ケンビーク(Kenbeek)著、“保全に対する摩擦緩和剤”、リューブズ−n−グリーシーズ(Lubes−n−Greases)、第9巻、14−20ページ(2003)に記述されている。有機摩擦緩和剤は、典型的には完全に処方されたエンジン油中に0−0.1重量で使用される。
【0021】
本明細書で使用するごとき“さび止め剤”とは、炭素数5−50のチアジアゾールポリスルフィド、その誘導体及びそのポリマーを含むがこれに限定されるものではない。典型的なさび止め剤は、ハンブリン(Hamblin)ら著、“無灰分酸化防止剤、銅不活性化剤及びさび止め剤:これらの潤滑油における使用法”、潤滑科学、2(4)、287−318ページ(1990)に開示されている。適当なさび止め剤は、1,3,4−チアジアゾール、例えば一般式
【0022】
【化1】

【0023】
[式中、R及びRは同一のまたは異なる炭化水素基であり且つアルキル、アラルキ
ル、アリール、及びアルカリール基を含む脂肪族または芳香族であってよく、x及びy
は0−約8であり、x及びyの合計は少なくとも1で、いくつかの具体例では2−16
である]
を有する2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールのポリスルフィド誘導体(1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド)を含む。そのような化合物の製造法は、全体が本明細書に引用される米国特許第2,719,125号、第2,719,126号及び第3,087,932号に開示されている。他の同様な物質は、米国特許第3,821,236号、第3,904,537号、第4,097,387号、第4,107,059号、第4,136,043号、第4,188,299号、及び第4,193,882号に記述されている。他のさび止め剤は、チアジアゾールのチオ及びポリチオスルフェンアミド、例えば英国特許第1,560,830号に記述されているような一般式
【0024】
【化2】

【0025】
[式中、zは2−5であり、Rは水素、ヒドロカルビル基、他のスルフェンアミドま
たはチオスルフェンアミド基であり、R及びRは両方が水素でないという条件下に
水素または水素と炭素を含む基であり或いはR及びRはそれらが結合する窒素とヘ
テロ環式環を形成する]
のものである。ここに上述したすべての参考文献は、全体が参考文献として本明細書に引用される。ベンゾトリアゾール誘導体もこの種の添加剤に入る。さび止め剤の他の例は、ドデセニルコハク酸,エステル、アミド、及び混合エステル/アミド、脂肪族アミン、線状アルキルアミン、いくつかの分岐鎖カルボン酸、硫黄及びリン化合物、及びいくつかの清浄剤を含む。さび止め剤は典型的には完全に処方されたエンジン油において0−0.5重量%で使用される。
【0026】
本明細書で使用されるような“粘度調整剤”とは、潤滑油に高温及び低温作動性を付与する働きをする改変剤である。そのような調整剤は、ポリイソブチレン、エチレンとプロピレン及び高級α−オレフィンのコポリマー、ポリメタクリレート、ポリアルキルメタクリレート、メタクリレートコポリマー、不飽和ジカルボン酸とビニル化合物のコポリマー、スチレンとアクリルエステルのインターポリマー、及びスチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエン、及びイソプレン/ブタジエンの部分水素化コポリマー、並びにブタジエン及びイソプレン及びイソプレン/ジビニルベンゼンの部分水素化ホモポリマーを含むが、これに限定されるものではない。典型的な粘度調整剤は、20,000−1,000,000の範囲の分子量を有するポリマーである。典型的な粘度調整剤は、本明細書に参考文献として引用されるM.K.ミシュラ(Mishra)及びR.G.サクストン(Saxton)著、“エンジン油用ポリマー添加剤“、ケムテック、1995年4月号、35−41ページに記述されている。
【0027】
流動点降下剤は、低温におけるワックス結晶の成長を防止し且つ変換する、油に添加される分子である。本明細書に使用されるような“流動点降下剤”とは、流体が流動しまたは注げる最小温度を低下させる働きをする降下剤を含む。そのような硬化剤は、C−C18ジアルキルフマレート/酢酸ビニルコポリマー、ポリアルキルメタクリレートなどを含むがこれに限定されるものではない。典型的な流動点降下剤は、ミシュラ及びサクストン著、“エンジン油用ポリマー添加剤“、ケムテック、1995年4月号、35−41ページに記述されている。
【0028】
本明細書で使用されるような“無リン磨耗防止添加剤”とは、完全に処方されたエンジン油に添加したとき、エンジン、エンジン試験、またはベンチ磨耗試験において磨耗を減じる無リンの化合物である。無リン磨耗防止添加剤の例は、硫化オレフィン、硫化脂肪酸及び油、硫化脂肪酸エステル、硫化混合脂肪酸/脂肪酸エステル、硫化混合脂肪酸/オレフィン、硫化混合脂肪酸エステル/脂肪酸、有機スルフィド、ジスルフィド、トリスルフィド及びポリスルフィド、チオカーバメート、チウラムスルフィド、ジスルフィド、トリスルフィド、及びポリスルフィド、ジチオカルバミン酸モリブデン、ジチオカルバミン酸亜鉛、モリブデンアミン錯体、モリブデンアルコール錯体、混合モリブデンアミン/モリブデンアルコール錯体、及びカルボン酸モリブデンを含む。
【0029】
本明細書に使用されるような“完全に処方されたエンジン油”とは、同業者には公知の更なる典型的な添加剤を含有していてよく、且つそのままでエンジン油として使用されるものである。
【0030】
II.本発明の組成物
成分(A)
成分(A)はグループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイルのいずれの組み合わせであってもよい。成分(A)は更にグループIベース原料を約15重量%まで含んでいてよい。種々のベース原料群は、アメリカ石油協会(API)出版のエンジン油認可及び検定システム、工業サービス部門、第14編(1996年12月)、補遺I(1998年12月)に化学的に及び物理的に識別されている。本発明の1つの具体例においてベース原料は100℃において3−12mm/s (cSt)の粘度を有し、他の具体例においてベース原料は100℃において4−10mm/s (cSt)の粘度を有し、そして更に他の具体例においてベース原料は100℃において4.5−8mm/s (cSt)の粘度を有する。
【0031】
グループII鉱油ベース原料は、90重量%に等しいまたはそれより多い飽和物及び0.03重量%に等しいまたはそれより少ない硫黄を含み、そして下表1で特定する試験法で80に等しいまたはそれ以上で、120未満の粘度指数を有する。ある具体例において、グループIIのベース原料は、95重量%に等しいまたはそれより多い飽和物及び0.01重量%に等しいまたはそれより少ない硫黄を含み、そして下表1で特定する試験法で100に等しいまたはそれ以上で、120未満の粘度指数を有する。
【0032】
グループIII鉱油ベース原料は、90重量%に等しいまたはそれより多い飽和物及び0.03重量%に等しいまたはそれより少ない硫黄を含み、そして下表1で特定する試験法で120に等しいまたはそれ以上の粘度指数を有する。ある具体例において、グループIIIのベース原料は、98重量%に等しいまたはそれより多い飽和物及び0.01重量%に等しいまたはそれより少ない硫黄を含み、そして下表1で特定する試験法で130に等しいまたはそれ以上の粘度指数を有する。
【0033】
グループIVのベース原料はポリ−α−オレフィンである。
【0034】
使用できる適当なエステルベース原料は、ジカルボン酸(例えばフタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸など)の、種々のアルコール(例えばブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールなど)とのエステルを含む。これらのエステルの特別な例は、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸ダイマーの2−エチルヘキシルジエステル、セバシン酸1モルをテトラエチレングリコール2モル及び2−エチルヘキサン酸2モルと反応させて得られる複合エステルなどを含む。
【0035】
ベース原料油として有用なエステルは、Cs−C12モノカルボン酸及びポリオール及びポリオールエーテル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどから作られたものも含む。
【0036】
【表1】

【0037】
成分A は組成物の全重量に基づいて組成物の約75−97重量%をなす。最も好ましくは成分A は約80−95重量%をなすであろう。
【0038】
成分(B)
4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、すなわちヒンダードフェノール酸化防止剤の化学構造は、以下の通りである:
【0039】
【化3】

【0040】
本発明のある具体例において、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)は完全に処方されたエンジン油において約0.1−約1.5重量%で使用される。
【0041】
成分(C)
アルキル化ジフェニルアミン(化合物C)は一般式
−NH−R
[式中、R及びRはそれぞれ独立に置換または未置換フェニル基を表
す]
を有する。フェニル環の置換基は炭素数1−20のアルキル基、アルキル
アリール基、ヒドロキシ、カルボキシ、及びニトロ基を含むが、これに
限定されるわけではない。本発明のある具体例においては、フェニル基
の1つまたは両方がアルキルで置換されている。本発明の更なる具体例
においては、両方のフェニル基がアルキル置換されている。
【0042】
本発明で使用できるアルキル化ジフェニルアミンの例は、3−ヒドロキシジフェニルアミン、N−フェニル−1,2−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、ブチルジフェニルアミン、ジブチルジフェニルアミン、オクチルジフェニルアミン、ジオクチルジフェニルアミン、ノニルジフェニルアミン、ジノニルジフェニルアミン、ヘプチルジフェニルアミン、ジヘプチルジフェニルアミン、メチルスチリルジフェニルアミン、混合ブチル/オクチルアルキル化ジフェニルアミン、混合ブチル/スチリルアルキル化ジフェニルアミン、混合エチル/ノニルアルキル化ジフェニルアミン、混合オクチル/スチリルアルキル化ジフェニルアミン、混合エチル/スチリルアルキル化ジフェニルアミン、及びこれらの組み合わせ物であってよく、これは石油化学で通常使用される種々の程度の純度であってよい。
【0043】
本発明の1つの具体例において、アルキル化ジフェニルアミンの窒素含量は、アルキル化ジフェニルアミンの約2−約12重量%の範囲である。完全に処方されたオイルにおけるアルキル化ジフェニルアミンの濃度は、使用者の要求や用途、並びに本発明の特別な組成物に対して必要とされる酸化防止剤保護の期待する程度に依存して変えることができる。本発明のある具体例において、アルキル化ジフェニルアミンは組成物重量の約0.05−約1.0重量%の量で本発明の組成物中に存在する。他の具体例ではアルキル化ジフェニルアミンは約0.1−約0.75重量%の量で、更に他の具体例では約0.2−約1.0重量%の量で存在する。
【0044】
成分(D)
本組成物は、エンジン油で使用される且つ技術的に公知である分散剤及び/または清浄剤(成分D)を更に含んでなる。本発明のある具体例において、清浄剤または分散剤のいずれかは完全に処方されたエンジン油処方物中に存在する。他の具体例において、清浄剤及び分散剤の両方は完全に処方されたエンジン油処方物中に存在する。分散剤または清浄剤のいずれかはホウ素化またはホウ酸化されていてよい。
【0045】
分散剤は潤滑剤の分野でよく知られており、基本的には(潤滑組成物に混合する前に)それらが灰分を生成する金属を含まない且つそれらが潤滑剤に添加されたとき普通灰分を生成する金属に寄与しないという理由で、時に無灰分分散剤として言及されるものを含む。
【0046】
分散剤は、典型的には窒素または酸素極性基が高分子量炭化水素鎖に結合している無金属添加剤である。この炭化水素鎖は炭化水素ベース原料への溶解性を提供する。分散剤は分解生成物を油中に懸濁させる機能を果たす。適当な分散剤の例は、ポリメタクリレート、スチレン−マレイン酸エステルコポリマー、置換サクシンイミド(例えばPIBSA(ポリイソブチレン無水コハク酸))、ポリアミンサクシンイミド、ポリヒドロキシコハク酸エステル、置換マンニッヒ塩基、及び置換トリアゾールを含むが、これに限定されるものではない。
【0047】
分散剤はホウ素化されていてよい。ホウ素化分散剤は、よく知られた物質であり、ホウ酸のようなホウ素化剤で処理することによって製造できる。この典型的な条件は、分散剤をホウ酸と約100−150℃に加熱することを含む。分散剤は、無水マレイン酸との反応で処理されていてもよい。例えばサクシンイミド分散剤は、ある量のα,β−不飽和酸または同等物、例えば無水マレイン酸をある量の、置換基等量重量あたり少なくとも1.3コハク酸基で特定されるヒドロカルビル置換アシル化剤を伴うアミンの反応により製造することができる。但しこの場合、酸の反応は、全体が本明細書に参考文献として引用される1999年10月13日付のWO第00/26327号に記述されているように、アミンとヒドロカルビル置換アシル化剤の反応と同時であっても、これに続いて起こってもよい。
【0048】
本発明のある具体例において、本発明の組成物中の分散剤の量は、全組成物重量に基づいて約0.5−約10重量%の範囲である。本発明の他の具体例において本発明の組成物中の分散剤の量は約1.0−約12.0重量%、更に他の具体例において分散剤の量は約1.0−約8.0重量%の範囲である。本発明の他の具体例において本発明の組成物中の分散剤の量は約3.0−約7.0重量%の範囲である。その濃厚物中の濃度は、対応して例えば約5−約90重量%になるであろう。
【0049】
清浄剤は一般にしばしば塩基過剰の有機酸の塩である。有機酸の金属塩基過剰の塩は、同業者には広く知られており、一般に存在する金属量が化学量論量を超える金属塩を含む。清浄剤は典型的には金属イオンと極性基、例えばスルホネートまたはカルボキシレートを脂肪族、脂環族またはアルキル芳香族鎖と共に含む金属化添加剤である。この清浄剤はエンジンの種々の表面からデポジットを浮遊させる機能を果たす。適当な清浄剤は、中性の及び塩基過剰のアルカリ及びアルカリ土類金属スルホン酸塩、中性の及び塩基過剰のアルカリ及びアルカリ土類金属フェネート、硫化フェネート、及び塩基過剰のアルカリ土類金属サリチル酸塩を含む。清浄剤の製造技術を記述する特許は、一般にすべてが本明細書に参考文献として引用される米国特許第2,501,731号、第2,616,905号、第2,616,911号、第2,616,925号、第2,777,874号、第3,256,186号、第3,384,585号、第3,365,396号、第3,320,162号、第3,318,809号、第3,488,284号、及び第3,629,109号を含む。
【0050】
清浄剤は一般にホウ酸塩化剤、例えばホウ酸での処理でホウ酸塩化できる。典型的な条件は、清浄剤をホウ酸と約100−150℃に加熱することを含む。このときホウ酸の当量数は大まかには塩の金属の当量数に等しい。米国特許第3,929,650号は、親油性液体反応媒体中においてホウ酸をアルカリ金属炭酸塩過剰塩基の金属スルホン酸塩(中性のアルカリまたはアルカリ土類金属スルホン酸塩をアルカリ金属炭酸塩で塩基過剰にして製造)と接触させることによって製造されるホウ酸化錯体を開示しており、本明細書に参考文献として引用される。
【0051】
本発明のある具体例において、本発明の組成物中の清浄剤の量は、全組成物重量に基づいて約0.5−約5重量%の範囲である。本発明の他の具体例において本発明の組成物中の清浄剤の量は約1.0−約6.0重量%、更に他の具体例においてその量は約1.0−約4.0重量%の範囲である。本発明の他の具体例において本発明の組成物中の清浄剤の量は約1.0−約3.0重量%の範囲である。その濃厚物中の濃度は、対応して例えば約5−約70重量%になるであろう。
【0052】
成分(E)
オイル組成物中のジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP) はアルコールまたはフェノールと五硫化リン(P)とを反応させてジアルキルジチオリン酸誘導体(DDPA)を製造し、ついで塩基性金属化合物で中和することによって製造できる。
【0053】

【0054】
【化4】

【0055】
[式中、R及びRは独立に炭素数3−30のヒドロカルビル基である]
の亜鉛塩(M=Zn)はPとアルコールまたはフェノールと反応させて式
【0056】
【化5】

【0057】
のO,O−ジヒドロカルビルホスホロチオン酸を製造することによって容易に得られる。この反応はアルコールまたはフェノール4モルを、五硫化リン1モルと20−200℃で混合することを含む。この反応では硫化水素が遊離する。ついでこの酸を塩基性亜鉛化合物と反応させて、塩とする。本発明のある具体例において、塩基性亜鉛化合物は酸化亜鉛(ZnO)であり、得られる亜鉛化合物は式
【0058】
【化6】

【0059】
[式中、R及びRは独立にヒドロカルビル基であり、これは本発明の1つの具体例 においてアセチレン性不飽和を含まない]
で表される。他の具体例においてR及びRはエチレン性不飽和を含まず、更に他の具体例においてR及びRはアセチレン性及びエチレン性不飽和の両方を含まない。1つの具体例において、R及びRはアルキル、シクロアルキル、アラルキルまたはアルカリール基であって、3−20の炭素原子を有し、他の具体例においては3−16の炭素原子を有し、そして更に他の具体例においては13までの、例えば3−13の炭素原子を有する。R及びR基を与えるアルコールは1種またはそれ以上の第1級アルコール、1種またはそれ以上の第2級アルコール、または第2級アルコールと第1級アルコールの混合物であってよい。2種の第2級アルコール、例えばイソプロパノール及び4−メチル−2−ペンタノールの混合物も使用できる。
【0060】
上述した物質はしばしばジアルキルジチオリン酸亜鉛または単にジチオリン酸亜鉛として言及される。これらはよく知られており、潤滑剤処方物の業者から容易に入手できる。
【0061】
本発明の1つの具体例において、ZDDPのレベルは約600ppm未満のリンを本発明の組成物に与える。他の具体例では約300−約600ppmのリンが与えられる。このppmは、組成物の全重量に基づくものである。他の具体例において、ZDDPのレベルは約550ppm未満のリンを本発明の組成物に与える。例えば8.5重量%のリンを含むZDDPは本発明の組成物中に0.65重量%未満の量で使用されるであろう。更に他の具体例において、ZDDP量は約500ppm以下のリンしか本発明の組成物に与えない量である。
【0062】
成分(F)
油溶性有機モリブデン化合物(化合物F)は本発明の潤滑組成物において随意の成分として使用しうる。本発明の組成物に添加されるモリブデンの量は、使用者の要求及び用途並びに本発明の特別な組成物に必要とされる酸化防止保護の所望の程度に依存して変化するであろう。油溶性有機モリブデンは、いずれかの濃度で使用できるが、ある具体例ではそのレベルは約600ppm未満である。他の具体例においてそのレベルは約500ppm未満である。更に他の具体例において、そのレベルは約50−400ppmである。他の具体例において、そのモリブデンのレベルは約100−250ppmである。更に他の具体例において、モリブデン金属のレベルは約250−400ppmである。ここにppmは組成物の全重量に基づくものである。
【0063】
一般にモリブデンは潤滑油組成物における効果的な酸化防止剤である。しかしながら、本発明の組成物におけるモリブデンの使用は、油溶性有機モリブデン化合物の価格と他の酸化防止剤、例えばZDDPのそれとを考慮しての上である。
【0064】
本発明で使用できるいくつかの油溶性有機モリブデン化合物の例は、ジチオカルバミン酸モリブデン、ジチオカルバミン酸オキシモリブデンスルフィド、ジチオキサントゲン酸モリブデン、ジチオキサントゲン酸オキシモリブデンスルフィド、有機ホスホロジチオン酸モリブデン、有機ホスホロジチオン酸オキシモリブデンスルフィド、カルボン酸モリブデン、モリブデンアミン錯体、モリブデンアルコール錯体、モリブデンアミド錯体、混合モリブデンアミン/アルコール/アミド錯体、及びこれらの組み合わせ物を含む。本発明のある具体例において、モリブデン化合物は硫黄含有で、無リンの化合物である。
【0065】
成分(G)
成分(G)は4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)以外のヒンダードフェノール系酸化防止剤であってよい。成分(G)は、例えば2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸イソオクチルエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸C−Ccr分岐鎖アルキルエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸n−オクタデシルエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸n−ブチルエステル、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、4,4’−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ジチオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ポリチオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ジチオビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ポリチオビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−エチリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ポリチオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ジチオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ポリチオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−エチリデンビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、チオビス(オクチルフェノール)、チオビス(ノニルフェノール)、チオビス(ドデシルフェノール)、ジチオビス(オクチルフェノール)、ジチオビス(ノニルフェノール)、ジチオビス(ドデシルフェノール)、ポリチオビス(オクチルフェノール)、ポリチオビス(ノニルフェノール)、ポリチオビス(ドデシルフェノール)、メチレンビス(オクチルフェノール)、メチレンビス(ノニルフェノール)、メチレンビス(ドデシルフェノール)、エチリデンビス(オクチルフェノール)、エチリデンビス(ノニルフェノール)、エチリデンビス(ドデシルフェノール)、ブチリデンビス(オクチルフェノール)、ブチリデンビス(ノニルフェノール)、ブチリデンビス(ドデシルフェノール)、α,α’−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)、α,α’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチル−p−クレゾール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−オクチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソヘプチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソオクチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(2−エチルヘキシル)フェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソノニルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ノニルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソデシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソデシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ドデシルフェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸イソヘプチルエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸イソノニルエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸イソデシルエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸イソドデシルエステル、或いは下式
【0066】
【化7】

【0067】
[式中、Xは1−5で変化でき、Rは水素またはtert−ブチルである]
で定義されるような、または例えばRが水素または炭素数4−約9のアルキル基であってよい米国特許第3,211,652号、米国特許願第2002/0142923号、及び例えばRが水素または炭素数約9までの炭化水素基であってよい米国特許第2,807,653号のいずれか1つに定義されるような非揮発性多環(またはメチレン橋)tert−ブチルフェノールであってよい。ここに記載した参考文献は、全体が本明細書に引用される。
【0068】
本発明のある具体例において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は硫黄を含む。本発明の他の具体例において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は硫黄を含まない。
【0069】
本発明の1つの具体例において4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)以外のヒンダードフェノール系酸化防止剤の量は本発明の組成物中に約0.1−約0.75重量%で、他の具体例では約0.1−約0.5重量%の量で存在する。ここにすべての重量%は組成物の全重量に基づくものである。
【0070】
III.本発明の他の具体例
本発明は、改良されたデポジット制御を内燃機関に付与しうる潤滑油組成物を提供する。
【0071】
本発明のある具体例において、低リンエンジン油組成物は、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)及びアルキル化ジフェニルアミンを、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)とアルキル化ジフェニルアミンの重量比が約0.5に等しいか、それ以上であり且つエンジン油がASTM D7097測定による全デポジットが35mgに等しいか、またはそれ以下であるように含んでなる。1つの具体例において、本組成物は更にジアルキルジチオリン酸亜鉛を、ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンが約600ppmまたはそれ以下であるように含んでなる。他の具体例において、本組成物は更に油溶性有機モリブデン化合物を含んでなる。エンジン油はガソリン、ジーゼル、天然ガス及び鉄道エンジンで使用される処方油を含む。
【0072】
本発明の1つの観点において、エンジン油は、
(A)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(C)アルキル化ジフェニルアミン、
(D)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分、及び
(E)ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)、
を含んでなり、但し組成物が
該ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)に由来するリンを約600ppmまたはそれ以下で含んでなり、且つ(B)と(C)の重量比が約0.5に等しいか、それより大きい、
ものである。
【0073】
本発明の他の具体例において、組成物は油溶性有機モリブデン化合物を更に含んでなる。更に他の具体例において、油溶性有機モリブデン化合物は、硫黄を含んでなり、無リンである。本発明の1つの具体例において、組成物中のリンとモリブデンの重量比は、1.0に等しいか、それより大きい。他の具体例において、組成物中のリンとモリブデンの重量比は、0.0より大きく、1.0より小さい。本発明の更に他の具体例において、組成物中のリンとモリブデンの重量比は、1.0に等しいか、それより小さい。本発明の他の具体例において、組成物は(G)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を、それが4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ではないという条件下に含むことができる。本発明の他の具体例において、(B)、(C)及び(G)の合計は組成物の約1.5重量%に等しいか、それより小さい。本発明の他の具体例において、潤滑粘度のオイル(成分(A))はグループIのベースオイルを(成分Aの重量に基づいて)約15重量%まで含んでなる。更なる具体例は、組成物がASTM D7097測定による全デポジットを約35mgに等しいか、それよりも低い量で与える上述した潤滑油組成物である。他の具体例では本組成物はASTM D7097測定による全デポジットを約25mgに等しいか、それよりも低い量で与え、更に他の具体例では本組成物は全デポジットを約15mgに等しいか、それよりも低い量で与える。
【0074】
本発明の他の観点において、エンジン油は、
(A)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(C)アルキル化ジフェニルアミン、
(E) ジアルキルジチオリン酸亜鉛、
(F)油溶性有機モリブデン化合物、及び
を含んでなり、
(B)と(C)の重量比が約0.5に等しいか、それより大きく、組成物がASTM D7097測定による全デポジットが約35mgに等しいか、それよりも低い量で与えられる
ものである。
【0075】
本発明の1つの具体例において、油溶性有機モリブデン化合物物は、硫黄を含んでなり、無リンである。ある具体例において、リンとモリブデンの重量比は、1.0に等しいか、それより大きい。他の具体例においてその重量比は、0.0より大きく、1.0より小さい。本発明の更に他の具体例において、組成物中のリンとモリブデンの重量比は、1.0に等しいか、それより小さい。本発明の他の具体例において、組成物は分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分を更に含んでなる。本発明の他の具体例において、エンジン油は(G)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を、それが4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ではないという条件下に含むことができる。本発明の更に他の具体例において、(B)、(C)及び(G)の合計は組成物の約1.5重量%に等しいか、それより小さい。本発明の更なる具体例において、そのような組成物はASTM D7097測定による全デポジットを約25mgに等しいか、それよりも低い量で与える。本発明の更に他の具体例において、エンジン油は(D)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分を、及び(G)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を、それが4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ではないという条件下に、含むことができる。本発明の更に他の具体例において、(B)、(C)及び(G)の合計はエンジン油の約1.5重量%に等しいか、それより小さい。本発明の更なる具体例において、エンジン油はASTM D7097測定による全デポジットを約25mgに等しいか、それよりも低い量で与える。更なる具体例は、エンジン油がASTM D7097測定による全デポジットを約15mgに等しいか、それよりも低い量で与える上述エンジン油である。
【0076】
本発明の更に他の観点において、エンジン油は、
(A)グループII、グループIII、グループIV合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、及び
(C)アルキル化ジフェニルアミン、
(D)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、
(E)油溶性有機モリブデン化合物、
(F)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分、及び
(G)ヒンダードフェノール酸化防止剤、但し該ヒンダードフェノール酸化防止剤が4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ではない、
を含んでなる、但し組成物が
該ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを約600ppmまたはそれ以下で、及び
該油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデンを約50−400ppmで、
含んでなる、
ものである。
【0077】
本発明の1つの具体例において、油溶性有機モリブデン化合物物は、硫黄を含んでなり、無リンである。ある具体例において、リンとモリブデンの重量比は、1.0に等しいか、それより大きい。他の具体例においてその重量比は、0.0より大きく、1.0より小さい。本発明の他の具体例において、エンジン油はジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを約550ppmまたはそれ以下で含んでなる。本発明の更に他の具体例において、組成物中のリンとモリブデンの重量比は、1.0に等しいか、それより小さい。本発明の他の具体例において、エンジン油はジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを約550ppmまたはそれ以下で含んでなる。本発明の更に他の具体例において、エンジン油はジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを約400ppmまたはそれ以下で含んでなる。本発明の更なる他の具体例において、エンジン油はジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを約300ppmまたはそれ以下で含んでなる。本発明の他の具体例において、エンジン油は油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデンを約100−250ppmで含んでなる。本発明の更に他の具体例において、エンジン油は油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデンを約250−400ppmで含んでなる。本発明の更なる他の具体例において、エンジン油は油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデンを約300−400ppmで含んでなる。本発明の更に他の具体例において、組成物は油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデンを約50−150ppmで含んでなる。ここに、この節で示すppmはすべてエンジン油の全重量に基づくものである。
【0078】
本発明の更に他の観点は、
(A)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(C)アルキル化ジフェニルアミン0.2−1.0重量%、
(E) ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを200−600ppm、及び
(F)油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデンを50−400ppm、
を含んでなる、但し(B)と(C)の重量比が0.5に等しいか、それより大きい、
エンジン油である。
【0079】
本発明の更に他の観点は、
(A)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)0.1−1.5重量%、
(C)アルキル化ジフェニルアミン、
(D)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物1.0−12.0重量%、
(E)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを200−600ppm、及び
(F)油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデンを50−400ppm、
を含んでなる、但し(B)と(C)の重量比が0.5に等しいか、それより大きい、
エンジン油潤滑組成物である。
【0080】
本発明の1つの具体例において、エンジン油は3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸に由来するエステルを0.1−0.5重量%で含んでなる。
【0081】
本発明の他の観点は、
(A)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(C)アルキル化ジフェニルアミン0.2−1.0重量%、及び
(E) ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン300−600ppm、
を含んでなる、但し(B)と(C)の重量比が0.5に等しいか、それより大きい、
エンジン油である。
【0082】
本発明の1つの具体例において、エンジン油は3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸に由来するエステルを0.1−0.5重量%で更に含んでなる。
【0083】
本発明の他の観点は、
(A)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(B)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)0.1−1.5重量%、
(C)アルキル化ジフェニルアミン、
(D)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物1.0−12.0重量%、及び
(E) ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン300−600ppm
を含んでなる、但し(B)と(C)の重量比が0.5に等しいか、それより大きい、
エンジン油である。
【0084】
本発明のエンジン油に対して上述したすべての重量%は、エンジン油の全重量に基づくものである。また“主成分量”とは、エンジン油の全重量に基づいて50重量%以上の量を意味する。
【0085】
本発明の更なる具体例は、有機摩擦緩和剤、さび止め剤、粘度調整剤、流動点降下剤、及び無リン磨耗防止添加剤からなる群から選択される1つまたはそれ以上の成分を更に含んでなる上述した組成物またはエンジン油である。
【0086】
本発明の更なる観点は、本明細書に記述する組成物またはエンジン油でエンジンを潤滑することを含んでなる、内燃機関によりエンジン油の加熱時及び酸化時に生じる全揮発性有機物(本質的に極性及び非極性の両物質)を減じる方法である。
【0087】
本発明の更に他の観点は、本明細書に記述する組成物またはエンジン油でエンジンを潤滑することを含んでなる内燃機関内のデポジット量を減じる方法である。
【0088】
本発明の更なる観点は、本明細書に記述する組成物またはエンジン油でエンジンを潤滑することを含んでなる、内燃機関排気系における触媒被毒を減じる方法である。
【0089】
以下の組み合わせ物は本発明の具体例である。但し、(B)、(C)及び(G)の合計は、組成物の約1.5重量%に等しいか、それ以下である。
【0090】
【表2】

【0091】
TEOST MHT装置は、ASTM D7097法及び製造業者の仕様書に従って操作すべきである。この試験は、精密ポンプを用いて加熱線の巻かれたデポジターロッド(depositor rod)上に試験エンジン油の薄膜を通過させることを含む。試験ロッドは285℃に加熱され、試験は24時間行われる。オイルの薄膜は均一にロッドを下降し、試験アセンブリー装置の流れ出し点で集められる。改修されたオイルは精密ポンプによりデポシターロッドへ循環される。24時間の試験期間中、揮発物が熱いロッド表面から噴出し、試験アセンブリー装置のガラスマントル上に凝縮する。これらの揮発物は試験アセンブリーの揮発物流出口で回収され、ガラス瓶に集められる、試験の終わりに、デポジターロッドの重量増加によりデポジットを決定し、mgの単位で報告する。集められた揮発物は正確に秤量され、グラム(g)で報告する。
【0092】
この方法は、例えば空気流速、オイルのポンプ速度、温度制御設定、及び制御熱電対の補正を含めて多くの独立した補正を必要とする。またこの方法は、試験の厳密さを決定するために、周期的に認定された標準オイルを試験することも必要である。例えば認定された中程度デポジットの標準オイルはデポジット約40−60mgを生成すべきであり、一方認定された高程度デポジットの標準オイルはデポジット約70−90mgを生成すべきである。厳しい試験条件は普通かなりのデポジット及び高量の揮発物を与えよう。一方温和な試験条件は普通少量のデポジット及び非常に低量の揮発物を与えよう。厳しい試験条件下に良好に機能する、すなわち低デポジット及び低揮発物をもたらすエンジン油は、温和な試験条件下では更によい性能を示すと予想される。しかしながら温和な試験条件下に良好に機能するエンジン油は、厳しい試験条件下により悪く機能すると予想される。本発明の添加剤組み合わせ物は、過酷及び温和の両条件下において優秀なデポジット制御と減じられた揮発物の生成をもたらす。過酷及び温和の両条件下における本新規な添加剤組み合わせ物の良好な性能は、本発明の他の利点である。
【実施例】
【0093】
TEOST−MHTにおけるデポジットと揮発物の測定
完全に処方されたオイル(8.4g)及び有機金属触媒(約0.1g)を、テフロン攪拌棒を備えたフラスコに入れ、加熱しないで20−60分間攪拌した。製造業者の仕様に従い、TEOST装置にデポジターロッド、サンプルフラスコ、オイル入り口、空気入り口、及び揮発物捕集瓶を取り付けた。ポンプを高流速で始動させ、試験オイルがポンプとオイル供給管の連結部に達するまで運転し、この時点でポンプ流をゼロに戻した。加熱器のスィッチを入れ、デポジターロッド温度制御器が200−210℃になったときポンプ速度を上昇させて試料供給を0.25+0.02g/分に設定し、オイルがデポジターロッドを流下し、漏れのないことを保証した。温度を285±2℃で安定化させ、この条件下に試験を24時間行った。
【0094】
デポジターロッドからのオイルの抽出に対しては、シクロヘキサンまたは他の適当な炭化水素溶媒を有する3つの試験管を準備した。試験装置を製造業者の教示に従って解体し、デポジターロッドを秤量ボートに移し、カバーをかけた。このデポジターロッドを、炭化水素溶媒で準備した3つの試験管のそれぞれに10分間連続的に入れた。このロッドを、風袋を差し引いた秤量ボートに置き、10分間放置して炭化水素溶媒を蒸発させた。このロッドとボートを秤量し、一定重量になったことを確認した。3つの試験管の内容物を、低端の蓋のデポジット及びガラスマントルのデポジットと一緒に共通の容器に洗いこみ、ついでこれをフィルターカートリッジつきのガラスロートでろ過した。ろ過の完了後、フィルターカートリッジを、一定重量になるまで真空下に乾燥し、秤量した。デポジターロッドからのデポジット及びフィルターデポジットの合計重量を引き続き決定した。
【0095】
24時間の試験期間中、もともと存在した処方されたオイル中の揮発性化合物または試験中に生成したものを、デポジターロッドから噴出させた。これら揮発物はガラスマントル上で凝集し、連続的に小さい秤量瓶に集められた。この瓶と揮発物を、24時間の試験の終わりに測定し、瓶の初期重量を差し引いて揮発物の量を計算した。
【0096】
[実施例A]
予混合物を次の物質を混合して調製した:
150NグループIIベースオイル、92.1重量%
無灰分分散剤濃厚物、4.92重量%
カルシウムを含む塩基過剰の清浄剤濃厚物、1.85重量%
カルシウムを含む中性の清浄剤濃厚物、0.51重量%、及び
セカンダリージアルキルジチオリン酸亜鉛、0.62重量%
【0097】
この予混合物に、表2に示すように種々のエンジン油の製造に対して次の成分を添加した。最終のエンジン油は次の(計算値)、カルシウム2400ppm、リン470ppm、亜鉛520ppmを含み、全塩基数7.5mg KOH/gオイルを有した。
【0098】
最終のオイルを、ASTM D7097によるTEOST MHTで試験した。認定された中程度デポジット標準オイルは、補正実験において96.8mgのデポジットを与えた。これらの結果はTEOST MHT装置に対する過酷な条件を表す。過酷な条件下での解析結果を表2に示す。
【0099】
【表3】

【0100】
表2は、本発明におけるMBDTBP、NDPA、及びMoDTCの組み合わせ物は、ASTM D7097によるTEOST MHTにおいて、明白に低量のデポジット(12及び10mg)及び揮発物(2.2及び1.9g)を示す。更に本発明におけるMoDTCを含まないMBDTBP及びNDPAの組み合わせ物はASTM D7097によるTEOST MHTにおいて、低量のデポジット(14mg)及び揮発物(2.3g)をもたらすことも明白である。
MoDTCの存在下におけるデポジットの結果のグラフを図1に示し、
MoDTCの不在下におけるデポジットの結果のグラフを図2に示す。
【0101】
[実施例B]昇温におけるオイルの増粘と酸化
【0102】
予混合物を以下の物質を混合して調製した:
無灰分降分散剤濃厚物、4.92重量%
カルシウムを含む塩基過剰の清浄剤濃厚物、1.85重量%
カルシウムを含む中性の清浄剤濃厚物、0.51重量%
セカンダリージアルキルジチオリン酸亜鉛、0.62重量%、及び
150NグループIIベースオイル、92.10重量%
【0103】
このエンジン油予混合物に、表3に示す成分を添加した:
【0104】
【表4】

【0105】
これらの最終エンジン油は次の元素及び物理性(計算値)を有した。例えばB.1、B.3、B.4、B.5、及びB.6:カルシウム2400ppm、リン690ppm、亜鉛765ppm、及び全塩基数(TBN)8.6mg KOH/gオイル。またB.2:カルシウム2400ppm、リン470ppm、亜鉛520ppm、及び全塩基数(TBN)8.6mg KOH/gオイル。
【0106】
これらの最終エンジン油の酸化安定性をバルク油酸化試験で評価した。各オイル(300ml)をナフテン酸鉄酸化触媒で処理して、鉄110ppmをこの最終オイルに添加した。ついでオイルをブロック加熱器で160℃に加熱し、一方で乾燥酸素10リットル/時をオイル中にバブリングした。酸化されたオイル試料を24,48,72、及び96時間で取り出した。各試料の動的粘度を40℃で決定した。酸化されたオイルの、新鮮なオイルに対する粘度上昇%を計算した。この粘度上昇%を表4に示す。
【0107】
【表5】

【0108】
高い粘度上昇%は、潤滑剤の酸化及び劣化の増大の尺度である。表のTVTMは潤滑剤のひどい劣化を示している。これらの結果は、実施例B.6における本発明の酸化防止剤組み合わせ物が他の実施例 (B.1−B.5)と比べて優れた酸化保護を提供していることを明らかに示している。有機モリブデン成分を含まない酸化防止剤系は貧弱な酸化制御しか示さず、一方ヒンダードフェノールMBDTBPを含む系(B.6)はヒンダードフェノールHPEを含む系(B.3)よりも優れている。
【0109】
[実施例C]オイルの増粘と酸化
オイルA.2、A.3、A.7、A.9、A.11、A.13、A.15、A.16、及びA.17(表2)を、実施例Bに記述したバルクオイル酸化試験で評価した。この実験において、オイルを加熱ブロック中で150℃に加熱し、一方で乾燥酸素10リットル/時をオイル中にバブリングした。酸化されたオイル試料を24,48,72、及び96時間で取り出した。各試料の動的粘度を40℃で決定した。酸化されたオイルの、新鮮なオイルに対する粘度上昇%を計算した。この粘度上昇%を表5に示す。
【0110】
【表6】

【0111】
これらの結果は、オイルA.11がオイルA.2及びA.9に匹敵し、オイルA.3及びA.7よりもかなり良好であることを示す。しかしながら、オイルA.11は実施例Aで示したようにすべてのオイルに比べてデポジット制御及び揮発物においてかなりの改善も示す。それ故に、本発明のA.11は優秀な粘度制御、デポジット制御、及び揮発性有機化合物の制御をもたらす総じて良好な性能のエンジン油である。本発明のオイルA.11がすべてのこれらのパラメーターで利点を示す能力は有用である。有機モリブデン化合物を含む酸化防止剤計(A.13、A.15、A.16及びA.17)は優れた粘度制御を示す。
【0112】
上述した実施例は、限定するものではなく、本発明の種々の観点及び具体例を単に例示するものである。本明細書に引用されるすべての文書は、本発明が関わる同業者の現状を示すものであり、その全体が関連する目的のために本明細書で参考文献として参照される。しかしながら、何も従来の技術であることを認めてはいない。
【0113】
同業者は、本発明がその目的を遂行し、言及した目的及び利点を得るのに十分適していること、並びにそれに固有のものであることを容易に認めるであろう。記述した方法及び組成物は、種々の具体例を示す例示であって、本発明の範囲を制限する意図はない。同業者はそのある改変や他の用途を想起するであろうが、特許請求の範囲で定義されるように本発明の精神に包含されるものである。
【0114】
本明細書に例示的に記述された本発明は、本明細書に特に開示してない要素(単複)、限定(単複)の不在下に適当に実施しうるかもしれない。使用した用語及び表現は限定ではなくて、記述の語句として使用されており、示した且つ記述した特長またはその一部の同等性を排除するというそのような用語及び記述の使用は意図してない。特許請求した範囲内で種々の改変が可能であることは認める。すなわち、本発明は記述した具体例によって特にそれを開示してきた。同業者は本明細書に開示された概念の随意の特徴、改変及び変化を想定できるが、そのような改変及び変化は記述により及び特許請求の範囲により規定される本発明の範囲内であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】図1は、MoDTC(モリブデン4.5重量%含むビス(ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン)の不在下におけるASTM D7097 (TEOST MHT−4)から得たデポジットの結果を示すグラフである。
【図2】図2は、MoDTCの存在下におけるASTM D7097 (TEOST MHT−4)から得たデポジットの結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)及び
アルキル化ジフェニルアミン
を含んでなる、
但し4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)と該アルキル化ジフェニルアミンの重量比が約0.5に等しいか、それより大きく、且つ
ASTM D7097測定法による全デポジットが35mgに等しいか、それより少ない、
低リンエンジン油。
【請求項2】
ジアルキルジチオリン酸亜鉛を更に含んでなる、但し該エンジン油が該ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを約600ppmまたはそれ以下で含んでなる、請求項1のエンジン油。
【請求項3】
油溶性有機モリブデン化合物を更に含んでなる、請求項2のエンジン油。
【請求項4】
(a)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(b)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(c)アルキル化ジフェニルアミン、
(d)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分、及び
(e) ジアルキルジチオリン酸亜鉛
を含んでなる、但し
組成物が該ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを約600ppmまたはそれ以下で含んでなり、且つ
(b)と(c)の重量比が約0.5に等しいか、またはそれより大きい、
組成物。
【請求項5】
(f)油溶性有機モリブデン化合物、
を更に含んでなる、請求項4の組成物。
【請求項6】
該油溶性有機モリブデン化合物が硫黄を含んでなり且つ無リンである、請求項5の組成物。
【請求項7】
リンとモリブデンの重量比が1.0に等しいか、それより大きい、請求項6の組成物。
【請求項8】
リンとモリブデンの重量比が0.0より大きく、1.0より小さい、請求項6の組成物
【請求項9】
リンとモリブデンの重量比が1.0に等しいか、それより小さい、請求項6の組成物。
【請求項10】
(g)ヒンダードフェノール酸化防止剤、
を更に含んでなり、但し該ヒンダードフェノール酸化防止剤が4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ではない、
請求項4の組成物。
【請求項11】
(b)、(c)及び(g)の合計が該組成物の約1.5重量%に等しいか、それより少ない、請求項10の組成物。
【請求項12】
(g)ヒンダードフェノール酸化防止剤、
を更に含んでなり、但し該ヒンダードフェノール酸化防止剤が4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ではない、
請求項6の組成物。
【請求項13】
(b)、(c)及び(g)の合計が該組成物の約1.5重量%に等しいか、それより少ない、請求項12の組成物。
【請求項14】
潤滑粘度の該オイルがグループIのベースオイルを約15重量%まで含んでなる、請求項4の組成物。
【請求項15】
(a) グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(b)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(c)アルキル化ジフェニルアミン、
(e)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、及び
(f)油溶性有機モリブデン化合物
を含んでなる、但し
(b)と(c)の重量比が約0.5に等しいか、またはそれより大きく、且つ
組成物がASTM D7097測定法による全デポジットが35mgに等しいか、それより少ない、
組成物。
【請求項16】
該油溶性有機モリブデン化合物が硫黄を含んでなり且つ無リンである、請求項15の組成物。
【請求項17】
リンとモリブデンの重量比が1.0に等しいか、それより大きい、請求項15の組成物。
【請求項18】
リンとモリブデンの重量比が0.0より大きく、1.0より小さい、請求項15の組成物
【請求項19】
リンとモリブデンの重量比が1.0に等しいか、それより小さい、請求項15の組成物。
【請求項20】
(d)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分、
を更に含んでなる、請求項15の組成物。
【請求項21】
(g)ヒンダードフェノール酸化防止剤、
を更に含んでなり、但し該ヒンダードフェノール酸化防止剤が4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ではない、
請求項15の組成物。
【請求項22】
(b)、(c)及び(g)の合計が該組成物の約1.5重量%に等しいか、それより少ない、請求項21の組成物。
【請求項23】
該組成物がASTM D7097測定法による全デポジットが25mgに等しいか、それより少ない、請求項21の組成物。
【請求項24】
(g)ヒンダードフェノール酸化防止剤、
を更に含んでなり、但し該ヒンダードフェノール酸化防止剤が4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ではない、
請求項20の組成物。
【請求項25】
(b)、(c)及び(g)の合計が該組成物の約1.5重量%に等しいか、それより少ない、請求項24の組成物。
【請求項26】
該組成物がASTM D7097測定法による全デポジットが25mgに等しいか、それより少ない、請求項24の組成物。
【請求項27】
(a)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(b)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(c)アルキル化ジフェニルアミン、
(d)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分、
(e)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、
(f)油溶性有機モリブデン化合物、及び
(g)ヒンダードフェノール酸化防止剤、但し該ヒンダードフェノール酸化防止剤が4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)ではない、
を含んでなる、但し組成物が
該ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを約600ppmまたはそれ以下で、且つ
該油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデンを約50−400ppmで、
含んでなる、
組成物。
【請求項28】
該油溶性有機モリブデン化合物が硫黄を含んでなり且つ無リンである、請求項27の組成物。
【請求項29】
リンとモリブデンの重量比が1.0に等しいか、それより大きい、請求項27の組成物。
【請求項30】
リンとモリブデンの重量比が0.0より大きく、1.0より小さい、請求項27の組成物
【請求項31】
リンとモリブデンの重量比が1.0に等しいか、それより小さい、請求項27の組成物。
【請求項32】
該組成物が該ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを約550ppmまたはそれ以下で含んでなる、請求項27の組成物。
【請求項33】
該組成物が該油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデンを約100−250ppmで含んでなる、請求項27の組成物。
【請求項34】
該組成物が該ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを約500ppmまたはそれ以下で含んでなる、請求項27の組成物。
【請求項35】
該組成物が該油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデンを約250−400ppmで含んでなる、請求項27の組成物。
【請求項36】
(a)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(b)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(c)アルキル化ジフェニルアミン0.2−1.0重量%、
(d)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物1.0−12.0重量%、
(e)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンを200−600ppm、及び
(f)油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデンを50−400ppm、
を含んでなる、但し(b)と(c)の重量比が0.5に等しいか、それより大きい、エンジン油。
【請求項37】
(a)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(b)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)0.1−1.5重量%、
(c)アルキル化ジフェニルアミン、
(d)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物1.0−12.0重量%、
(e)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン200−600ppm、及び
(f)油溶性有機モリブデン化合物に由来するモリブデン50−400ppm、
を含んでなる、但し(b)と(c)の重量比が0.5に等しいか、それより大きい、エンジン油。
【請求項38】
(g)3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸に由来するエステル0.1−0.5重量%、
を更に含んでなる、請求項37のエンジン油。
【請求項39】
(a)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(b)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
(c)アルキル化ジフェニルアミン0.2−1.0重量%、
(d)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物1.0−12.0重量%、及び
(e)ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン300−600ppm、
を含んでなる、但し(b)と(c)の重量比が0.5に等しいか、それより大きい、エンジン油。
【請求項40】
(g)3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸に由来するエステル0.1−0.5重量%、
を更に含んでなる、請求項39のエンジン油。
【請求項41】
(a)グループII、グループIII、グループIV及び合成エステルベース原料からなる群から選択される潤滑粘度のオイル主成分量、
(b)4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)0.1−1.5重量%、
(c)アルキル化ジフェニルアミン、
(d)分散剤及び清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物1.0−12.0重量%、及び
(e) ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン300−600ppm、
を含んでなる、但し(b)と(c)の重量比が0.5に等しいか、それより大きい、エンジン油。
【請求項42】
請求項1の組成物でエンジンを潤滑すること含んでなる、該内燃機関でエンジン油の加熱時及び酸化時に生じる全揮発性有機物量を減じる方法。
【請求項43】
請求項1の組成物でエンジンを潤滑すること含んでなる、該内燃機関のデポジット量を減じる方法。
【請求項44】
請求項1の組成物でエンジンを潤滑すること含んでなる、該内燃機関の排気系における触媒の被毒を減じる方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−535965(P2008−535965A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504340(P2008−504340)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/011598
【国際公開番号】WO2006/105267
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】