説明

ルーバー装置

【課題】構成簡単で組み立てが容易に行なえ、しかもほぼ平行四辺形の軌跡上で往復運動を行なわせるための空間を必要とせず、駆動部を狭い空間内に収納できるようにしたルーバー装置を提供する。
【解決手段】等間隔おきに多数枚並設された状態の羽根1が正面形状が矩形の枠体17で囲まれる空間内に組み込まれ、各羽根1の両端が枠体17に回転可能に支持され各羽根1の一端側は各羽根1に対する取り付け角度が全てにおいて同じとなるようにリンク8の一端と結合され、リンク8の他端は全てのリンク8に対して1本の連続するロッド11に枢結されており、何れか1枚の羽根1を回転させることにより全ての羽根1が連動して回転して開閉するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば室内に入る日差しなどの調整を行なうのに好適なルーバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種ルーバー装置としては、例えば特許文献1に開示されているような、略平行に配置された複数のルーバー羽根の長さ方向の両端部に回転軸部材を取付け、ルーバー羽根の両端部の回転軸部材をルーバー羽根の両端部において一連となった回転支持体に回動自在に支持し、回転軸部材に回転中心より偏心した位置に連結軸を延出し、各連結軸を駆動用の移動体に連係し、移動体を移動させてルーバー羽根を回動させる駆動手段を設け、回転軸部材の外周部の一部に突出させて係合片を設け、回転支持体に係入孔を形成し、係合片を係入孔に貫通して係入孔に対して係合片の位相をずらせて回転軸部材を回転支持体から抜止めして連結し、かつ、係入孔はルーバー羽根の通常の係合片の回動範囲外に設定して成ることを特徴とするルーバー装置が知られている。
【0003】
そして、この特許文献1に開示されているルーバー装置によれば、駆動手段によって移動体を移動させることで偏心している連結軸を介して回転支持体を回転させてルーバー羽根を回転させることができるものである。
【特許文献1】特許第3606207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載のルーバー装置の構成では、駆動手段によって移動される移動体の動きは一直線上での動きではなく、ほぼ平行四辺形の軌跡上での往復運動の動きとなり、この移動体の動きを可能とする空間が必要となり、ルーバー装置の取り付け空間に限りがある箇所では取り付けができないという問題がある。
【0005】
また、この特許文献1に記載のルーバー装置の構成では、回転軸部材の外周部の一部に突出させて係合片を設け、回転支持体に係入孔を形成し、係合片を係入孔に貫通して係入孔に対して係合片の位相をずらせて回転軸部材を回転支持体から抜止めして連結するという構成となっており、細かく複雑な構成を備えることから製造並びに組み立てに手間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、構成簡単で組み立てが容易に行なえ、しかもほぼ平行四辺形の軌跡上で往復運動を行なわせるための空間を必要とせず、駆動部を狭い空間内に収納できるようにしたルーバー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載のルーバー装置は、等間隔おきに多数枚並設された状態の羽根が正面形状が矩形の枠体で囲まれる空間内に組み込まれ、各羽根の両端が枠体に回転可能に支持され各羽根の少なくとも一方の端部は各羽根に対する取り付け角度が全てにおいて同じとなるようにリンクの一端と結合され、リンクの他端は全てのリンクに対して1本の連続するロッドに枢結されており、何れか1枚の羽根を回転させることにより全ての羽根が連動して回転して開閉するように構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のルーバー装置は、リンクは他端側が一端側に比べて外側に向って段差があるように成形されてあり、一端側に比べて外側に向って段差がある他端側にロッドを枢結して、リンクの回転によりリンクとロッドとの枢結部がリンクと軸体との結合部に当たることがないようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明のルーバー装置は、全ての羽根をリンクとロッドで結合させることにより何れか1枚の羽根を回転させることにより全ての羽根を連動して開閉させることが可能となり、構成簡単で組み立てが容易に行なえ、リンクとロッドからなる駆動部を狭い空間内に収納できるようにしたルーバー装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。
先ず、図1〜図7に示す第1の実施の形態について説明すると、1は上下方向に向く羽根で、内部が空洞で軽量に作られていて、等間隔おきに多数枚並設されている。2は各羽根1の上下両端に被さり羽根1の上下両端を閉じるキャップで、羽根1の上端におけるキャップ2の下面には羽根1の上端に嵌入して外面が羽根1の上端内面に当接する補強部材3が一体に設けられ、またこのキャップ2の上面には平面形状が円形の軸体4を介して平面形状が正方形の軸体5が一体に設けられている。また、羽根1の下端におけるキャップ2の上面にも羽根1の下端に嵌入して外面が羽根1の下端内面に当接する補強部材3が一体に設けられ、またこのキャップ2の下面にも底面形状が円形の軸体4を介して底面形状が正方形の軸体5が一体に設けられている。上記多数枚の羽根1は上下両端が支持板6に回転自在に支持される。詳しくは上下の各支持板6は全ての羽根1に亘る長さの1枚の板で構成され、上下の支持板6には羽根1の取り付け位置において円形の孔7が形成され、羽根1の上下の円形の軸体4が上下の支持板6の円形の孔7に嵌入して正方形の軸体5が円形の孔7から突出するようになる。上下の支持板6の内、上側の支持板6の円形の孔7から突出した正方形の軸体5にはフラットな板状のリンク8の一端が結合される。リンク8の一端には軸体5に嵌合する正方形の孔8aが形成され、この孔8aを軸体5に嵌合させた状態で孔8aから突出する軸体5にワッシャ9a,9bを嵌合させ、かかる状態で軸体5の端面より軸体5に形成されている雌ねじ孔5aにビス10をねじ込むことによりリンク8の一端を軸体5に結合させている。各羽根1に対するリンク8の取り付け角度は全てにおいて同じとなるようにリンク8の一端を軸体5に結合させてあり、リンク8の他端は全てのリンク8に対して1本の連続するロッド11がワッシャ12を介在させてビス13とナット14で枢結されている。前記多数枚の羽根1の内、中央に位置する羽根1の下端の軸体5にはハンドル15がビス16により取り付けられ、このハンドル15により中央に位置する羽根1を鉛直軸心の周りで回転させることにより前記ロッド11とリンク8を介して全ての羽根1が連動して回転するようになっている。
【0011】
ところで、ルーバー装置は正面形状が矩形の枠体17で囲まれる空間内に組み込まれ、各羽根1の下端の底面形状が円形の軸体4は下枠18の上板部を兼ねる前記支持板6に形成されている孔7に回転可能に嵌り込み、底面形状が正方形の軸体5の下端にスペーサー19を介して浮き上がり防止金具20をビス16により取り付けている。浮き上がり防止金具20は下枠18の内部空間を上下に仕切るために下枠18内において水平に形成された突出片21の下面に両側が当接するようになる。各羽根1の上端の軸体5に取り付けられるリンク8と、全てのリンク8を繋ぐロッド11は上枠22の内部空間に収納され、上枠22の下板部を兼ねる前記支持板6に形成されている孔7に回転可能に羽根1の上部の平面形状が円形の軸体4が差し込まれた状態で羽根1の上部の平面形状が正方形の軸体5が上枠22の内部空間内でリンク8を介してロッド11に結合される。なお、前記中央に位置する羽根1の下部の軸体5に対しハンドル15は前記浮き上がり防止金具20の下側から取り付けられ、このハンドル15は下枠18の正面の板部23に形成されている細幅の開口部24より前方に突出して下枠18の外側でハンドル15の操作が行なえるようになっている。
【0012】
かかる構成により、各羽根1が開かれた状態からハンドル15を反時計方向に90度回転操作することにより、ハンドル15に直結されている中央に位置する羽根1も同方向に90度回転し、他の羽根1も前記リンク8およびロッド11を介して同方向に90度回転して全ての羽根1が同時に閉じられることになる。閉じられた羽根1を開くときは前記ハンドル15を時計方向に90度回転操作すれば良い。
【0013】
次に、図8および図9に示す第2の実施の形態について説明すると、前記第1の実施の形態に使用されるリンク8はフラットな板状となっていて、ハンドル15により羽根1を90度以上回転させようとするとリンク8とロッド11との枢結部がリンク8と軸体5との結合部に当たって90度を超える回転は不可能となっているが、第2の実施の形態ではリンク8は他端側が一端側に比べて外側に向って段差があるように成形されたものが使用され、一端側に比べて外側に向って段差がある他端側にロッド11を枢結するようにしてあり、これによりリンク8の回転によりリンク8とロッド11との枢結部がリンク8と軸体5との結合部に当たるようなことがなく、ハンドル操作により羽根1を360度回転させ得るようになっている。
【0014】
なお、以上述べた2つの実施の形態では、羽根1の上端側、つまり羽根1の一端側にリンク8とロッド11を介して全ての羽根1を連動するように繋いでいるが、羽根1の下端側、つまり他端側でリンク8とロッド11を介して全ての羽根1を連動するように繋いでも良く、あるいは羽根1の両端でリンク8とロッド11を介して全ての羽根1を連動するように繋いでも良い。また、中央に位置する羽根1の下端にハンドル15を取り付けてハンドル15操作により全ての羽根1を回転操作するようになっているが、モーター駆動により羽根1を回転させるようにしても良い。
【0015】
次に、図10〜図15に示す第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態は前記第2の実施の形態の段差のあるリンク8を用いて羽根1を90度以上、具体的には360度回転させる場合のルーバー装置である。前記第2の実施の形態の段差のあるリンク8を用いて羽根1の上端側、つまり羽根1の一端側でロッド11を介して全ての羽根1を連動するように繋いだ場合、各連結部での遊びにより、一端側に位置する羽根1の回転よりも他端側に位置する羽根1の回転が遅れ、全ての羽根1が完全に同期して開閉することが困難である。特に、全ての羽根1を360度回転させようとした場合、一端側に位置する羽根1が90度回転していても他端側に位置する羽根1が途中までしか回転しておらず、一端側に位置する羽根1を90度以上回転させようとしても乗り越えることができないという問題が生じる。そこで、全ての羽根1を完全に同期させて、全ての羽根1を特に90度を超えて回転させるために、第3の実施の形態では、羽根1の下端側、つまり羽根1の他端側において一端側に位置する羽根1と他端側に位置する羽根1とを前記リンク8と同様に段差のあるリンク25と前記ロッド11と同様のロッド26を介して繋ぐものである。この場合、下側の支持板6から突出する軸体5にリンク25の一端が結合される。リンク25の一端には前記リンク8と同様に下端の軸体5に嵌合する正方形の孔25aが形成され、この孔25aを軸体5に嵌合させた状態で軸体5の端面にワッシャ9を当接させ、軸体5に形成されている雌ねじ孔5aにビス10をねじ込むことによりリンク25の一端を軸体5に結合させている。両端の羽根1に対するリンク25の取り付け角度は各羽根1の上端に結合されるリンク8の取り付け角度とは異ならしており、図面に示す実施の形態では90度異ならしている。両端の羽根1の下端に取り付けられたリンク25の他端には1本の連続するロッド26の両端がワッシャ12を介在させてビス13とナット14で枢結されている。なお、両端の羽根1を除く他の羽根1の下端はこの第3の実施の形態では軸体5の端面にワッシャ9を当接させ、軸体5に形成されている雌ねじ孔5aにビス10をねじ込むことにより下側の支持板6からの抜け外れを防止している。さらに、この第3の実施の形態では上側の支持板6から突出する軸体5にリンク8の一端の正方形の孔8aを嵌合させた状態で軸体5の端面にワッシャ9を当接させ、軸体5に形成されている雌ねじ孔5aにビス10をねじ込むことによりリンク8の一端を軸体5に結合させている。リンク8の他端とロッド11との結合は第1の実施の形態と同様である。
【0016】
このように、羽根1の一端側で全ての羽根1を繋ぐリンク8の取り付け角度と、羽根1の他端側で両端の羽根1のみを繋ぐリンク25の取り付け角度とを異ならしてあることにより、全ての羽根1を完全に同期させて、全ての羽根1を360度、つまり全回転させることが可能となるもので、前記第1の実施の形態で設けたハンドル15を用いずに、何れか1枚の羽根1、例えば一端側に位置する羽根1もしくは他端側に位置する羽根1を手で回転させれば良い。
【0017】
なお、この第3の実施の形態では両端に位置する羽根1同士をリンク25とロッド26で繋ぐように構成してあるが、両端に近い位置の羽根1同士をリンク25とロッド26で繋ぐようにしても良い。また、羽根1の上端側である一端側もしくは羽根1の下端側である他端側で全ての羽根1をリンク8とロッド11で繋ぐとともに、両端もしくは両端に近い位置の羽根1同士をリンク25とロッド26で繋ぐようにしても良い。
【0018】
また、上記した実施の形態のルーバー装置では各羽根1は鉛直軸心の周りで回転するように上下方向に向いているが、各羽根1が水平軸心の周りで回転するように水平方向に配設することも可能である。そして、このルーバー装置は例えば室内に入る日差しなどの調整を行なうルーバー装置、あるいは各羽根1の表裏両面に絵や模様などを画し、宣伝広告媒体用のルーバー装置などに利用できるものである。さらには、建物のバルコニーの手摺部に配設することも可能である。
【0019】
さらに、図16に示す第4の実施の形態のように、例えば、多数枚の羽根1の左側半分(もしくは上側半分)を開、右側半分(もしくは下側半分)を閉となるように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態のルーバー装置の主要部の分解斜視図である。
【図2】同ルーバー装置を枠体の下枠と上枠との間に組み込んだ状態を示す斜視図である。
【図3】図2の要部拡大切欠き斜視図である。
【図4】同羽根とリンクとの結合部の拡大断面図である。
【図5】同ルーバー装置を枠体に組み込んだ状態を示す正面図である。
【図6】図5のX−X断面図である。
【図7】同ルーバー装置の動作説明平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態のルーバー装置に使用されるリンクの斜視図である。
【図9】同羽根に結合されたリンクとロッドとの枢結部を示す要部拡大切欠き斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態のルーバー装置の主要部の分解斜視図である。
【図11】同ルーバー装置を枠体の下枠と上枠との間に組み込んだ状態を下方から見た斜視図である。
【図12】同羽根の上端に結合されたリンクとロッドとの枢結部を示す要部拡大切欠き斜視図である。
【図13】図11の要部拡大切欠き斜視図である。
【図14】(A)は同ルーバー装置の羽根が開いた状態における羽根の上端部のリンクとロッドの関係を示す平面図、(B)は同ルーバー装置の羽根が開いた状態における羽根の下端部のリンクとロッドの関係を示す底面図である。
【図15】(A)は同ルーバー装置の羽根が閉じた状態における羽根の上端部のリンクとロッドの関係を示す平面図、(B)は同ルーバー装置の羽根が閉じた状態における羽根の下端部のリンクとロッドの関係を示す底面図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態におけるルーバー装置の正面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 羽根
2 キャップ
3 補強部材
4,5 軸体
5a 雌ねじ孔
6 支持板
7 孔
8 リンク
8a 孔
9a,9b ワッシャ
10 ビス
11 ロッド
12 ワッシャ
13 ビス
14 ナット
15 ハンドル
16 ビス
17 枠体
18 下枠
19 スペーサー
20 浮き上がり防止金具
21 突出片
22 上枠
23 板部
24 細幅の開口部
25 リンク
25a 孔
26 ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
等間隔おきに多数枚並設された状態の羽根が正面形状が矩形の枠体で囲まれる空間内に組み込まれ、各羽根の両端が枠体に回転可能に支持され各羽根の少なくとも一方の端部は各羽根に対する取り付け角度が全てにおいて同じとなるようにリンクの一端と結合され、リンクの他端は全てのリンクに対して1本の連続するロッドに枢結されており、何れか1枚の羽根を回転させることにより全ての羽根が連動して回転して開閉するように構成したことを特徴とするルーバー装置。
【請求項2】
リンクは他端側が一端側に比べて外側に向って段差があるように成形されてあり、一端側に比べて外側に向って段差がある他端側にロッドを枢結して、リンクの回転によりリンクとロッドとの枢結部がリンクと軸体との結合部に当たることがないようにしたことを特徴とする請求項1記載のルーバー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2009−197562(P2009−197562A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61939(P2008−61939)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000107985)セイコー産業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】