説明

レジスト下層膜用芳香族環含有重合体およびこれを含むレジスト下層膜組成物

本発明は、レジスト下層膜用芳香族環含有重合体およびこれを含むレジスト下層膜組成物を提供する。
前記芳香族環含有重合体は、化学式1で表される単位構造を含む。前記化学式1の定義は、明細書に記載されたとおりである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト下層膜用芳香族環含有重合体およびこれを含むレジスト下層膜組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクス産業およびマイクロスコピック構造物(例えば、マイクロマシン、磁気抵抗(magnetoresist)ヘッドなど)などの産業分野においては、構造的形状の大きさを小さくすることが引き続き要求されている。また、マイクロエレクトロニクス産業において、マイクロエレクトロニクデバイスの大きさを減少させ、与えられた大きさのチップに、より多くの回路を提供しようとする要求が依然として存在する。
【0003】
このような形状の大きさを小さくするためには、効果的なリソグラフィー技法が必須である。
【0004】
典型的なリソグラフィー工程は、まず、下層材料にレジストを塗布した後、放射線に露光してレジスト層を形成する。続いて、レジスト層を現像液で現像してパターン化されたレジスト層を形成し、パターン化されたレジスト層の開口部内の物質をエッチングし、下層材料にパターンを転写させる。転写が完了した後、残留するレジスト層を除去する。
【0005】
しかしながら、従来のレジストは、下層材料に所定のパターンを効果的に転写することができるほど、エッチング工程に対して十分な耐性を有していない場合がある。したがって、レジスト物質を極めて薄く形成する超薄膜レジスト層が必要な場合、エッチング処理しようとする基板が厚い場合、深いエッチングが要求される場合、または所定の下層材料に対して特定のエッチング剤(etchant)を使用することが必要な場合などには、レジスト下層膜が使用されてきた。
【0006】
レジスト下層膜は、レジスト層とパターニングしようとする基板との間の中間層の役割を担い、パターン化されたレジスト層のパターンを下層材料に転写させる役割を果たすので、パターンを転写するのに必要なエッチング工程に耐えうるものでなければならない。
【0007】
このような下層膜を形成するために多様な材料が試みられてきたが、依然として下層膜組成物に対するさらなる改善の要求がある。
【0008】
従来のレジスト下層膜を形成するための材料は基板に塗布し難いため、例えば、化学的または物理的蒸着、特殊溶媒、および/または高温焼成を用いるが、これらは多額の費用を要するという問題がある。そこで、最近では、高温焼成を行う必要がなく、スピン−コーティング技法により塗布されうるレジスト下層膜組成物に関する研究が進められている。また、上部に形成されるレジスト層をマスクとして選択的に容易にエッチングできると同時に、特に下層が金属層である場合、下層膜層をマスクとして、下層をパターン化することができるのに必要なエッチング工程に耐性を有する下層膜組成物に関する研究が進められている。
【0009】
また、適当な保存寿命を提供し、レジスト層と間に好ましくない相互作用(例えば、下層膜組成物に含まれている酸触媒によるレジストまたは基板の汚染)を回避できる下層膜組成物に関する研究も進められており、さらには、より短い波長(例:157nm、193nmまたは248nm)の放射線に対する所定の光学特性を有する下層膜組成物に関する研究も進められている。
【0010】
結論としては、エッチング選択性が高く、多重エッチングに対する耐性が十分であり、レジストと下層材料との間の反射を最小化する反射防止組成物を用いてリソグラフィー技術を行うことが要望されている。このようなリソグラフィー技術は、非常に精細な半導体装置の生産を可能にするであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、スピンオン塗布技法(spin−on application technique)を用いて塗布可能な、光学的特性、機械的特性、エッチング選択性(etchs electivity)に優れたレジスト下層膜用芳香族環含有重合体を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、前記重合体を含み、エッチング選択性に優れて、多重エッチングに対する十分な耐性を有し、酸触媒を使用せず、酸触媒の使用による汚染問題のないレジスト下層膜組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態は、下記化学式1で表される単位構造を含む芳香族環含有重合体を提供する。
【0014】
【化1】

【0015】
前記化学式1中、
pは、1または2の整数であり、qは、1〜5の整数であり、kは、1〜6の整数であり、q+kは、1〜6の整数であり、
Xは、ヒドロキシ基(−OH)、置換もしくは非置換のC1〜C10アルコキシ基または置換もしくは非置換のC6〜C30アリールオキシ基であり、
は、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C8シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C10アルケニル基またはハロゲンであり、
は、水素、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C8シクロアルキル基または置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基である。
【0016】
前記芳香族環含有重合体は、下記化学式2で表される単位構造をさらに含むことができる。
【0017】
【化2】

【0018】
前記化学式2中、
rは、1〜8の整数であり、
は、水素、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C8シクロアルキル基または置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基である。
【0019】
前記化学式2の単位構造は、前記化学式1の単位構造1モルに対して1〜10モルの範囲で含まれうる。
【0020】
前記芳香族環含有重合体の重量平均分子量は、2,000〜10,000であってもよい。
【0021】
本発明の他の一実施形態は、前記化学式1で表される単位構造を含む芳香族環含有重合体および有機溶媒を含むレジスト下層膜組成物を提供する。
【0022】
前記レジスト下層膜組成物は、界面活性剤または架橋成分をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の芳香族環含有重合体は、非常に優れた光学的特性、機械的特性およびエッチング選択性を有する。また、前記重合体を含む下層膜組成物は、スピンオン塗布技法で基板に塗布することができ、より短い波長のリソグラフィー工程に有用で、酸触媒による汚染の問題がない。
【0024】
また、前記重合体を含む組成物は、フィルム形成時にArF(193nm)波長領域などのDUV(Deep UV)領域における反射防止膜として有用な範囲の屈折率および吸収度を有することによって、レジストと材料層との間の反射を最小化することができ、これによって、パターンプロファイルやマージン面で優れたパターン形成能を有するリソグラフィー構造物を提供することができる。また、リソグラフィー工程において、既存の物質と比較してエッチング選択性が非常に高く、多重エッチングに対する耐性が十分であるため、下部層に転写するイメージである下層膜のエッチングプロファイルが非常に良好である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の例示的な実施形態を詳しく説明する。但し、これらの実施形態は単なる例示であり、これらによって本発明が制限されず、後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0026】
本明細書で「置換」の用語は、ヒドロキシ基、ハロゲン、C1〜C10アルキル基、C5〜C20アリール基またはC2〜C10のアルケニル基で置換されたものを意味し、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素などを意味する。
【0027】
本明細書で、別途の定義がない限り、アルキル基は、C1〜C10のアルキル基であり、アリール基は、C6〜C20のアリール基であり、アルケニル基は、ビニル基またはアリル基のようなC2〜C10のアルケニル基である。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、下記化学式1で表される単位構造を含むレジスト下層膜用芳香族環含有重合体が提供される。
【0029】
【化3】

【0030】
前記化学式1中、
pは、1または2の整数であり、qは、1〜5の整数であり、kは、1〜6の整数であり、q+kは、1〜6の整数であり、
Xは、ヒドロキシ基(−OH)、置換もしくは非置換のC1〜C10アルコキシ基または置換もしくは非置換のC6〜C30アリールオキシ基であり、
は、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C8シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C10アルケニル基またはハロゲンであり、
は、水素、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C8シクロアルキル基または置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基である。
【0031】
化学式1中、アセナフテン構造に置換される置換基が二つのベンゼン環を全て交差するように表示したことは、二つのベンゼン環のうち、いずれか一つまたは二つ共に存在し得ることを意味する。
【0032】
化学式1で表される単位構造を含む芳香族環含有重合体は、短い波長領域(特に、193nmおよび248nm)で強い吸収を有する芳香族環(aromatic ring)を重合体の骨格部分に含むため、反射防止膜として使用可能である。また、側鎖にXとRで表される作用基を有することによって、エッチング選択性に優れ、多重エッチングに対する耐性および耐熱性に優れている。
【0033】
化学式1中、Rは、下記化学式1−1〜1−12からなる群より選択されうる。
【0034】
【化4−1】

【0035】
【化4−2】

【0036】
前記化学式1−1〜1−12中、
〜R54は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基またはハロゲンであり、
〜h54は、それぞれ独立して、0〜k−1である(ここで、kは、それぞれの芳香族環に存在し得るHの総数に対応する)。
【0037】
芳香族環含有重合体は、下記化学式2で表される単位構造をさらに含むことができる。
【0038】
【化5】

【0039】
前記化学式2中、
rは、1〜8の整数であり、
は、水素、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C8シクロアルキル基または置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基である。
【0040】
化学式2の単位構造は、化学式1の単位構造1モルに対して1〜10モルの範囲で含まれうる。また、化学式2の単位構造は、化学式1の単位構造1モルに対して1〜3モルの範囲で含まれることが好ましい。化学式2の単位構造が前記範囲で含まれる場合、エッチング耐性面で好適である。
【0041】
化学式1と化学式2の単位構造を含む共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体または交互共重合体であってもよく、特に限定されない。
【0042】
芳香族環含有重合体の重量平均分子量は、2,000〜10,000であってもよい。芳香族環含有重合体の重量平均分子量が前記範囲に含まれる場合、目的とするコーティングの厚さを実現でき、または良好な薄膜を形成することができる。
【0043】
本発明の他の一実施形態は、芳香族環含有重合体を含む下層膜組成物に関する。前記芳香族環含有重合体は、前記化学式1で表される単位構造を含むホモポリマーまたは前記化学式1および化学式2で表される単位構造を含む共重合体である。
【0044】
本発明の一実施形態による芳香族環含有重合体は、特別な触媒を使用しなくても、高い温度下で架橋反応が進行し、架橋反応のための触媒を別途に使用する必要がないため、触媒、特に酸触媒がレジストまたは基板を汚染することによってエッチング性が低下する問題を防止することができる。
【0045】
また、レジスト下層膜組成物は、有機溶媒を含む。この有機溶媒としては、重合体に対して十分な溶解性を有する有機溶媒であれば特別に限定されない。しかし、有機溶媒の代表的な例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate;PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(propylene glycol monomethyl ether:PGME)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、乳酸エチル(ethyl lactate)、ガンマ−ブチロラクトン(γ−butyrolactone;GBL)、アセチルアセトン(acetyl acetone)などが挙げられる。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、下層膜組成物において、芳香族環含有重合体の含量は、1〜20重量%であってもよく、3〜10重量%であることがより好ましい。芳香族環含有重合体の含量が前記範囲に含まれる場合、この組成物を塗布して下層膜を形成する際に、目的とするコーティングの厚さに適切に調節することができる。
【0047】
また、有機溶媒の含量は、残部、つまり、80〜99重量%であってもよく、有機溶媒の含量が前記範囲に含まれる場合、この組成物を塗布して下層膜を形成する際に、目的とするコーティングの厚さに調節することができる。
【0048】
本発明の一実施形態による下層膜組成物は、酸触媒をさらに含むことができる。この際、酸触媒の含量は、下層膜組成物100重量部に対して0.001〜0.05重量部であってもよい。酸触媒の含量が前記範囲に含まれる場合、好ましい架橋特性を得ることができ、保管安定性も改善されて優れたものとなる。前記酸触媒の例としては、p−トルエンスルホン酸1水和物(p−toluenesulfonic acid mono hydrate)、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレートおよび有機スルホン酸のアルキルエステルからなる群より選択されうるが、これに限定されない。
【0049】
本発明の一実施形態による下層膜組成物は、また、界面活性剤をさらに含むことができる。この際、界面活性剤の含量は、下層膜組成物100重量部に対して0.01〜1重量部であってもよい。界面活性剤の含量が前記範囲に含まれる場合、形成される下層膜組成物のコーティング性能を好適なものとすることができる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール類、第4アンモニウム塩などを使用することができるが、これに限定されない。
【0050】
本発明の一実施形態による下層膜組成物はまた、架橋成分をさらに含むこともできる。架橋成分の含量は、下層膜組成物100重量部に対して0.1〜5重量部であってもよく、0.1〜3重量部であることがより好ましい。架橋成分の含量が前記範囲に含まれる場合、形成される下層膜の光学的特性が変化せず、かつ適切な架橋特性を得ることができる。
【0051】
架橋成分は、重合体の自己架橋がより良好に起こるようにするために使用するもので、生成した酸により触媒作用化されうる方式で重合体のヒドロキシ基と反応可能な架橋剤であれば、特に限定されない。架橋成分の代表的な例としては、メラミン樹脂、アミノ樹脂、グリコルリル化合物、ビスエポキシ化合物またはこれらの混合物を使用することができる。
【0052】
架橋成分の具体的な例としては、エーテル化されたアミノ樹脂、例えば、メチル化またはブチル化されたメラミン樹脂(具体的な例としては、N−メトキシメチル−メラミン樹脂またはN−ブトキシメチル−メラミン樹脂)およびメチル化またはブチル化されたウレア(urea)樹脂(具体的な例としては、Cymel U−65 ResinまたはUFR 80 Resin)、下記化学式3で表されるグリコルリル誘導体(具体的な例としては、Powderlink 1174)、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール化合物)などを例に挙げられる。また、下記化学式4で表されるビスエポキシ系化合物および下記化学式5で表されるメラミン誘導体も架橋成分として使用することができる。
【0053】
【化6】

【0054】
以下、前記レジスト下層膜用組成物を用いて素子のパターンを形成する方法について説明する。
【0055】
まず、基板上に材料層を形成する。
【0056】
基板としては、シリコン基板を使用することができ、材料層を構成する材料は、伝導性、半伝導性、磁性または絶縁性材料のいずれも使用することができ、その代表的な例としては、アルミニウム、SiN(シリコンナイトライド)などが挙げられる。材料層を形成する方法は通常の方法であるので、本明細書で詳しい説明は省略する。
【0057】
次に、本発明の一実施形態によるレジスト下層膜組成物を用いて下層膜を形成する。下層膜形成工程は、レジスト下層膜組成物を500〜4000Åの厚さにコーティングし、ベーキングして形成することができる。コーティング工程は、スピンコーティング工程で行うことができ、ベーキング工程は、100〜500℃で10秒〜10分間行うことができる。コーティング工程、下層膜の厚さ、ベーキング温度および時間は、前記範囲に限定されず、互いに異なる多様な形態に製造することができ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に実施可能であることを理解できるだろう。
【0058】
下層膜が形成されると、この下層膜層の上にレジスト層(感光性イメージ化層)を形成する。レジスト層は、感光性レジスト組成物を塗布し、ベーキングする一般に知られた工程で施すことができるので、本明細書で詳しい説明は省略する。
【0059】
レジスト層を形成する前に、シリコン含有レジスト下層膜を形成する工程をさらに行うこともでき、または反射防止層を形成する工程をさらに行うこともできる。もちろん、シリコン含有レジスト下層膜を形成した後、反射防止層を形成する工程を全て行うこともできる。シリコン含有レジスト下層膜および反射防止層の形成は、当該分野に広く知られた事項であるので、本明細書で詳しい説明は省略する。
【0060】
次に、レジスト層を露光(exposure)する。この露光工程は、多様な露光源、例えば、ArFまたはEUV(extreme UV)、E−ビームなどを利用して行う。露光が完了すると、露光領域で化学反応が起こるようにベーキング工程を行う。このベーキング工程は、90〜120℃の温度範囲で60〜90秒間実施することができる。
【0061】
その後、現像(develop)工程を実施し、下層膜およびレジスト層を除去する。現像工程は、塩基性水溶液で行うことができる。塩基性水溶液現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylammonium hydroxide、TMAH)水溶液を使用することができる。使用された露光源がArFエキシマレーザーである場合、5〜30mJ/cmのドーズ(dose)で80〜100nmのラインアンドスペースパターン(line and space pattern)を形成することができる。
【0062】
上述した過程から得られたレジストパターンをマスクで使用し、特定のエッチングガス、例えば、ハロゲンガスまたはCHF、CF等のようなフルオロカ−ボンガスなどのプラズマを使用してエッチングする。次に、ストリッパ(stripper)を使用して基板上に残っているレジストパターンを除去して所望のパターンを形成することができる。
【0063】
この工程により半導体集積回路デバイスが提供され得る。
【0064】
したがって、本発明の組成物および形成されたリソグラフィー構造物は、通常の半導体素子製造工程により集積回路デバイスの製造および設計に用いることができる。例えば、金属配線、コンタクトまたはバイアスのためのホール、絶縁セクション(例:DT(Damascene Trench)またはSTI(Shallow Trench Isolation))、キャパシタ構造物のためのトレンチなどのようなパターン化された材料層構造物を形成させるのに使用することができる。また、本発明は、任意の特定リソグラフィー技法またはデバイス構造物に限定されないことを理解しなければならない。
【実施例】
【0065】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明するが、下記実施例は単に説明の目的のためのものに過ぎず、本発明の権利範囲を制限するためのものではない。
【0066】
合成例1:1−アセナフテン−5ニル−エタノールとノルボニレン共重合体との合成
合成例1−1:1−ホルミル−アセナフチレンとノルボニレン共重合体との合成
温度計、コンデンサおよびメカニカル撹拌機を備えた5,000mLの3口フラスコを準備した後、20℃のオイル恒温槽中に浸漬した。この恒温槽をホットプレートの上に乗せ、恒温を維持しつつ、磁石による撹拌を行い、コンデンサの冷却水温度は5℃に固定した。0.2molの1−ホルミル−アセナフチレン30.44gと0.6molのノルボニレン56.50gとを反応器に投入して250mLの1,2−ジクロロエタンに溶かした後、30分間撹拌した。0.01molの重合開始剤であるAIBN2.3gを徐々に投入して12時間程度反応させた。
【0067】
一定時間の間隔ごとに分子量を測定して反応完了時点を決定した。この際、分子量を測定するためのサンプルを、1gの反応物を採取して常温に急冷させた後、そのうちの0.02gを取って溶媒であるテトラヒドロフラン(THF)を使用して固形分が4重量%になるように希釈させて準備した。その後、反応物を常温に徐々に冷却した。
【0068】
合成例1−2:置換基の導入
合成例1−1で得られた共重合体は、重合が完了すると温度を常温に下げ、その後、0.071molのメチルマグネシウムブロミド8.5gを徐々に加えた。常温を維持したまま3時間程度反応を行った後、300mLの蒸留水で反応を終結させた。有機層を十分な水で水洗した後、有機層のみを別に分離してマグネシウムスルフェートで少量の水分を除去した。固体はろ過した後、減圧下で溶媒を完全に除去した。
【0069】
得られた共重合体の重量平均分子量および分散度(polydispersity)をテトラヒドロフラン下でGPCにより測定した結果、重量平均分子量は4,000であり、分散度1.58である下記化学式6の高分子(n1:n2モル比=1:2)を得た。
【0070】
【化7】

【0071】
合成例2:アセナフテン−5ニル−ナフタレン−2−イル−メタノールとノルボニレン共重合体との合成
合成例1−1で合成された共重合体に0.071molのナフチルマグネシウムブロミド11.88gを反応器に加えたことを除いては、合成例1と同一の工程で共重合体を合成した。
【0072】
得られた共重合体の重量平均分子量および分散度をテトラヒドロフラン下でGPCにより測定した結果、重量平均分子量が4,300であり、分散度が1.72である下記化学式7の高分子(n1:n2モル比=1:3)を得た。
【0073】
【化8】

【0074】
合成例3:アセナフテン−5ニル−ナフタレン−2−イル−メタノールとノルボニレン共重合体との合成
合成例1−1で合成された共重合体に0.071molのシクロヘキシルマグネシウムブロミド9.21gを反応器に加えたことを除いては、合成例1と同一の工程で共重合体を合成した。
【0075】
得られた共重合体の分子量および分散度をテトラヒドロフラン下でGPCにより測定した結果、重量平均分子量が3,800であり、分散度が1.61である下記化学式8(n1:n2モル比=1:1)の高分子を得た。
【0076】
【化9】

【0077】
合成例4:アセナフテン−5ニル−フェニル−2−イル−メタノール重合体の合成
合成例4−1:1−ホルミル−アセナフチレンの重合
温度計、コンデンサおよびメカニカル撹拌機を備えた5,000mLの3口フラスコを準備した後、20℃のオイル恒温槽中に浸漬した。この恒温槽をホットプレートの上に乗せ、恒温を維持しつつ、磁石による撹拌を行い、コンデンサの冷却水温度は5℃に固定した。0.2molの1−ホルミル−アセナフチレン30.44gを反応器に投入して250mlの1,2−ジクロロエタンに溶かした後、30分間撹拌した。0.01molの重合開始剤であるAIBN2.3gを徐々に投入して12時間程度反応させた。
【0078】
一定時間間隔に分子量を測定して反応完了時点を決定した。この際、分子量を測定するためのサンプルを、1gの反応物を採取して常温に急冷させた後、そのうちの0.02gを取って溶媒であるTHFを使用して固形分が4wt%になるように希釈させて準備した。その後、反応物を常温に徐々に冷却した。
【0079】
合成例4−2:置換基の導入
重合が完了すると温度を常温に下げ、その後、0.071molのフェニルマグネシウムブロミド8.8gを徐々に加えた。常温を維持したまま、3時間程度反応を実施した後、300mLの蒸留水で反応を終結させた。有機層を十分な水で水洗した後、有機層のみを別に分離してマグネシウムスルフェートで少量の水分を除去した。固体はろ過した後、減圧下で溶媒を完全に除去した。
【0080】
得られた共重合体の分子量および分散度をテトラヒドロフラン下でGPCにより測定した結果、重量平均分子量が4、200であり、分散度1.63である下記化学式9の高分子を得た。
【0081】
【化10】

【0082】
合成例5:1−アセナフテン−5ニル−ブテン3−1オールとノルボニレン共重合体との合成
合成例1−1で合成された共重合体に0.071molのアリルマグネシウムブロミド8.54gを反応器に加えたことを除いては、合成例1と同一の工程で共重合体を合成した。
【0083】
得られた共重合体の重量平均分子量および分散度をテトラヒドロフラン下でGPCにより測定した結果、重量平均分子量が4,100であり、分散度が1.68である下記化学式10の高分子(n1:n2モル比=1:2)を得た。
【0084】
【化11】

【0085】
比較合成例1:フルオレニリデンジフェノールとα、α'−ジクロロ−p−キシレン共重合体との合成
メカニカル撹拌機、冷却管、300ml滴加漏斗、窒素ガス導入管を備えた1リットルの4口フラスコに窒素ガスを流入しながらα、α'−ジクロロ−p−キシレン8.75g(0.05モル)と塩化アルミニウム(Aluminum Chloride)26.66gと200gのγ−ブチロラクトンを入れて撹拌した。10分後に4,4'−(9−フルオレニリデン)ジフェノール35.03g(0.10モル)を200gのγ−ブチロラクトンに溶かした溶液を30分間徐々に滴下した後、12時間反応を実施した。反応終了後、水を使用して酸を除去した後に蒸発器で濃縮した。次に、メチルアミルケトン(MAK)とメタノールとを使用して希釈し、15重量%濃度のMAK/メタノール=4/1(重量比)の溶液に調整した。この溶液3リットルを分液漏斗に入れ、これにn−ヘプタンを添加してモノマーを含有する低分子量体を除去し、下記化学式11で表される重合体(Mw=12,000、polydispersity=2.0)を得た。
【0086】
【化12】

【0087】
実施例1〜5
合成例1〜5で作られた高分子をそれぞれ0.8gずつ計量して下記化学式3で表される架橋剤(Powderlink 1174)0.2gとピリジニウムp−トルエンスルホネート2mgをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(Propyleneglycolmonomethyletheracetate、以下、PGMEAという)9gとに入れて溶かした後、ろ過してそれぞれ実施例1〜5のサンプル溶液を作った。
【0088】
【化13】

【0089】
サンプル溶液をそれぞれシリコンウエハーにスピン−コーティング法でコーティングし、60秒間240℃で焼いて厚さ3000Åのフィルムを形成させた。
【0090】
比較例1
比較合成例1で作られた高分子0.8gと架橋剤(Cymel 303)0.2gおよびピリジニウムp−トルエンスルホネート2mgとを、PGMEA9gに入れて溶かした後、ろ過して比較例1のサンプル溶液を作った。
【0091】
製造したサンプル溶液をシリコンウエハーにスピン−コーティング法でコーティングし、60秒間240℃で焼いて厚さ3000Åのフィルムを形成させた。
【0092】
屈折率および吸光係数の測定
実施例1〜5および比較例1で形成されたフィルムに対する屈折率(refractive index)nと吸光係数(extinction coefficient)kとをそれぞれ求めた。使用機器は、Ellipsometer(J.A.Woollam社)であり、その測定結果を表1に示した。
【0093】
【表1】

【0094】
表1のように、実施例1〜5によるサンプル溶液で製造されたフィルムは、ArF(193nm)とKrF(248nm)波長とで、反射防止膜として使用可能な屈折率および吸収度(吸光係数)を有することが分かる。これに比べて、比較例1のサンプル溶液で製造したフィルムは、評価した結果、ArF(193nm)波長では反射防止膜として使用可能な屈折率および吸収度(吸光係数)を確認したが、KrF(248nm)波長では吸収度が相対的に低い結果を示した。
【0095】
パターン特性の評価
実施例1〜5および比較例1で作製したサンプル溶液を、それぞれアルミニウムで被覆されたシリコンウエハーの上にスピン−コーティング法でコーティングし、60秒間240℃で焼いて厚さ3000Åのフィルムを形成させた。
【0096】
形成されたそれぞれのフィルムの上にKrF用フォトレジストをコーティングし、110℃で60秒間焼き、ASML(XT:1400、NA 0.93)社の露光装備を使用してそれぞれ露光した後、TMAH(2.38wt%水溶液)でそれぞれ現像した。そして、FE−SEMを使用して90nmのラインアンドスペースパターンをそれぞれ考察した結果、下記表2のような結果を得た。露光量の変化によるEL(expose latitude)マージンと光源との距離変動によるDoF(depth of focus)マージンとを考察して表2に記載した。
【0097】
【表2】

【0098】
表2のように、実施例1〜5のサンプル溶液で得られたフィルムは、パターンプロファイルやマージンの面で良好な結果を示した。これに比べて、比較例1によるサンプル溶液で製造されたフィルムは、パターンプロファイルやマージンの面で相対的に不利な結果を確認し、これはKrF(248nm)波長での吸収特性の差に起因したものと判断される。
【0099】
エッチング選択性の評価
実施例1〜5および比較例1で作製したサンプル溶液を、それぞれアルミニウムで被覆されたシリコンウエハーの上にスピン−コーティング法でコーティングし、60秒間200℃で焼いて厚さ1500Åのフィルムを形成させた。形成されたそれぞれのフィルムの上にKrF用フォトレジストをコーティングし、110℃で60秒間焼き、ASML(XT:1450G、NA 0.93)社の露光装備を使用してそれぞれ露光をした後、TMAH(2.38wt%水溶液)でそれぞれ現像して90nmのラインアンドスペースパターンを得た。
【0100】
得られたパターン化された試片をCHF/CF混合ガスを使用してそれぞれドライエッチングを行い、次にBCl/Cl混合ガスを使用してドライエッチングを再びそれぞれ行った。最後にOガスを使用して残っている有機物を全て除去した後、FE−SEMで断面をそれぞれ考察した。その結果を表3に記載した。
【0101】
【表3】

【0102】
表3の結果から、実施例1〜5のサンプル溶液で製造したパターン化された試片は、良好なエッチングプロファイルを有することを確認でき、これは優れたエッチング選択性を有することを示す。これに比べて、比較例1のサンプル溶液で製造したパターン化された試片は、エッチング評価結果、エッチングプロファイルでテーパ現象を確認でき、これは当該エッチング条件での選択性の不足によるものと判断される。
【0103】
以上で、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付図面の範囲内で多様に変形して施すことが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される単位構造を含む、レジスト下層膜用芳香族環含有重合体:
【化1】

前記化学式1中、
pは、1または2の整数であり、qは、1〜5の整数であり、kは、1〜6の整数であり、q+kは、1〜6の整数であり、
Xは、ヒドロキシ基(−OH)、置換もしくは非置換のC1〜C10アルコキシ基または置換もしくは非置換のC6〜C30アリールオキシ基であり、
は、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C8シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C10アルケニル基またはハロゲンであり、
は、水素、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C8シクロアルキル基または置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基である。
【請求項2】
芳香族環含有重合体は、下記化学式2で表される単位構造をさらに含む、請求項1に記載のレジスト下層膜用芳香族環含有重合体:
【化2】

前記化学式2中、
rは、1〜8の整数であり、
は、水素、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C8シクロアルキル基または置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基である。
【請求項3】
前記化学式2の単位構造は、前記化学式1の単位構造1モルに対して1〜10モルの範囲で含まれる、請求項2に記載のレジスト下層膜用芳香族環含有重合体。
【請求項4】
前記化学式1のRは、下記化学式1−1〜1−12からなる群より選択される、請求項1に記載のレジスト下層膜用芳香族環含有重合体:
【化3−1】

【化3−2】

前記化学式1−1〜1−12中、
〜R54は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基またはハロゲンであり、
〜h54は、それぞれ独立して、0〜k−1である(ここで、kは、それぞれの芳香族環に存在し得るHの総数に対応する)。
【請求項5】
下記化学式1の単位構造を含む芳香族環含有重合体および有機溶媒を含むレジスト下層膜組成物:
【化4】

前記化学式1中、
pは、1または2の整数であり、qは、1〜5の整数であり、kは、1〜6の整数であり、q+kは、1〜6の整数であり、
Xは、ヒドロキシ基(−OH)、置換もしくは非置換のC1〜C10アルコキシ基または置換もしくは非置換のC6〜C30アリールオキシ基であり、
は、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C8シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C10アルケニル基またはハロゲンであり、
は、水素、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C8シクロアルキル基または置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基である。
【請求項6】
前記芳香族環含有重合体は、下記化学式2で表される単位構造をさらに含む、請求項5に記載のレジスト下層膜用組成物:
【化5】

前記化学式2中、
rは、1〜8の整数であり、
は、水素、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換のC3〜C8シクロアルキル基または置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基である。
【請求項7】
前記化学式2の単位構造は、前記化学式1の単位構造1モルに対して1〜10モルの範囲で含まれる、請求項5に記載のレジスト下層膜用組成物。
【請求項8】
前記化学式1のRは、下記化学式1−1〜1−12からなる群より選択される、請求項5に記載のレジスト下層膜用組成物:
【化6−1】

【化6−2】

前記化学式1−1〜1−12中、
〜R54は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基またはハロゲンであり、
〜h54は、それぞれ独立して、0〜k−1である(ここで、kは、それぞれの芳香族環に存在し得るHの総数に対応する)。
【請求項9】
前記芳香族環含有重合体の混合物の含量は、1〜20重量%である、請求項5に記載のレジスト下層膜組成物。
【請求項10】
前記レジスト下層膜組成物は、界面活性剤をさらに含む、請求項5に記載のレジスト下層膜組成物。
【請求項11】
前記レジスト下層膜組成物は、架橋成分をさらに含む、請求項5に記載のレジスト下層膜組成物。

【公表番号】特表2013−516643(P2013−516643A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546981(P2012−546981)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006948
【国際公開番号】WO2011/081285
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】