説明

レセプタクルのシールドケース

【課題】GND接点部として機能するバネ片のバネ性の強度をシールドケース周壁の制約を受けずに強めに設定できるようにする。
【解決手段】上面壁11Aと下面壁11Cと左右側面壁11Bとを備え且つ左右側面壁に透孔14を有するシールドケース本体11と、シールドケース本体の左右側面壁の外側に重ね合わせて固定された補助側壁20とを具備する。補助側壁は、シールドケース本体に一体に延設された延長板を前方に向けて180°折り曲げることで形成され、補助側壁の前端が、シールドケース本体の左右側面壁の形成された係止片19によって係止されている。補助側壁は、透孔からシールドケース本体の内部に自由端が突出するバネ片22を一体に有する。補助側壁の下端には突片23、24が突設され、これら突片が基板固定用端子とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグと接続されるレセプタクル(レセプタクルコネクタとも呼ばれる)のシールドケース(シェルとも呼ばれる)に係り、例えば、シェルを必要とする高速伝送用コネクタのレセプタクルのシールドケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は非特許文献1に開示された従来例のレセプタクルの構成を示す斜視図である。
このレセプタクル101は、シールドケース111と、シールドケース111に装着されたインシュレータ102と、インシュレータ102に保持された複数のコンタクト103とからなる。
【0003】
シールドケース111は、前方に向けて開口したプラグ挿入用の開口部112を有し、この開口部112に挿入されたプラグ(図示略)の嵌合部を包囲するように、上面壁111Aと、下面壁111Cと、左右側面壁111Bと、下面壁111Cと左右側面壁111Bとを繋ぐ傾斜壁111Dと、を備えた角筒形状をなしている。
【0004】
上面壁111Aには、コ字状の打ち抜き溝113が形成されることで、自由端をシールドケース111内部に突出させたロック用バネ115が設けられ、そのロック用バネ115の自由端がシールドケース111の内部に挿入されたプラグを押えるようになっている。また、傾斜壁111Dから下面壁111Cにかけてコ字状の打ち抜き溝121が形成されることで、左右側面壁111Bの下端に基板固定用の端子123、124が突設されており、シールドケース111の下面壁111Cを、実装しようとする回路基板の上に載せ、基板固定用の端子123、124を、回路基板のスルーホール等に挿入して半田付けすることで、レセプタクル101を回路基板に固定できるようになっている。なお、基板固定用の端子123、124を切り起こした部分は、孔として残っている。
【0005】
図9は別の従来例のレセプタクルの構成を示す斜視図である。
このレセプタクル201は、シールドケース211と、シールドケース211に装着されたインシュレータ202と、インシュレータ202に保持された複数のコンタクト203とからなる。
【0006】
シールドケース211は、前方に向けて開口したプラグ挿入用の開口部212を有し、この開口部212に挿入されたプラグ(図示略)の嵌合部を包囲するように、上面壁211Aと、下面壁211Cと、左右側面壁211Bと、下面壁211Cと左右側面壁211Bとを繋ぐ傾斜壁211Dと、を備えた角筒形状をなしている。
【0007】
左右側面壁211Bには、開口部212からシールドケース211内部に挿入されたプラグを押えるバネ部222が設けられている。また、左右側面壁211Bの下端には、シールドケース211の下面壁211Cや傾斜壁211Dなどを打ち抜くことで形成された基板固定用の端子223、224が突設されており、シールドケース211の下面壁211Cを、実装しようとする回路基板の上に載せ、基板固定用の端子223、224を、回路基板のスルーホール等に挿入して半田付けすることで、レセプタクル201を回路基板に固定できるようになっている。この場合も、基板固定用の端子223、224を切り起こした部分は、孔として残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】日本モレックス株式会社のホームページ:http://www.molex.com/pdm_docs/sd/467651001_sd.pdf(2010年9月検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した従来のレセプタクルのシールドケース111、211は、GND(グランド)接続用のバネ性を持った明確な接点部がなかったので、GND接続(プラグ側のシールドケースとレセプタクル側のシールドケースの電気的な接続)が不安定であった。例えば、図8のシールドケース111のロック用バネ115や図9のシールドケース211のバネ部222をGND接点部として機能させる場合でも、それらのバネ(ロック用バネ115やバネ部222)を、シールドケース111、211の周壁(上面壁111A、211A、下面壁111C、211C、左右側面壁111B、211B、傾斜壁111D、211Dなど)の一部で構成しているので、その構成上の制約から強いバネ性を持たせることが難しかった。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、GND接点部として機能させることのできるバネ片のバネ性の強度を、シールドケース周壁の制約を受けずにできるだけ自由に設定できるようにして、GND接続の安定化を図れるようにしたレセプタクルのシールドケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明に係るレセプタクルのシールドケースは、下記(1)〜(6)を特徴としている。
(1) プラグと接続されるレセプタクルのシールドケースであって、前方に向けて開口したプラグ挿入用の開口部を有し、該開口部に挿入されたプラグの嵌合部を包囲するように上面壁と下面壁と左右側面壁とを備えた角筒形状のシールドケースであって、
前記開口部を有すると共に前記上面壁と下面壁と左右側面壁とを備え、該左右側面壁に透孔を有するシールドケース本体と、該シールドケース本体の前記左右側面壁の外側に重ね合わせて固定された補助側壁と、を備え、
前記補助側壁に、前記透孔から前記シールドケース本体の内部に自由端が突出し、前記シールドケース本体の内部に前記プラグが挿入されたときに、該プラグ側のシールドケースに押圧接触するバネ片が一体に形成されていること。
(2) 上記(1)の構成のレセプタクルのシールドケースにおいて、
前記補助側壁の下端に突片が突設されており、該突片が、回路基板に前記レセプタクルを実装するときに回路基板にレセプタクルを固定するための基板固定用端子とされていること。
(3) 上記(1)または(2)の構成のレセプタクルのシールドケースにおいて、
前記シールドケース本体の左右側面壁の下端に突片が突設されており、該突片が、前記補助側壁の下端に突設された突片と重ね合わされることで、前記基板固定用端子とされていること。
(4) 上記(1)〜(3)の構成のレセプタクルのシールドケースにおいて、
前記補助側壁が、前記シールドケース本体に一体に延設された延長板を折り曲げることで形成されていること。
(5) 上記(4)の構成のレセプタクルのシールドケースにおいて、
前記延長板が、前記シールドケース本体の左右側面壁の後端に延設されており、該延長板を前方に向けて180°折り返すことで前記補助側壁が構成され、該補助側壁の前端が、前記シールドケース本体の左右側面壁の形成された係止部によって係止されていること。
(6) 上記(1)〜(3)の構成のレセプタクルのシールドケースにおいて、
前記補助側壁が、前記シールドケース本体と別体に形成された上で、前記シールドケース本体の左右側面壁の外側に重ね合わせて固定されていること。
【0012】
上記(1)の構成のシールドケースによれば、角筒形状のシールドケース本体の左右側面壁の外側に補助側壁を重ね合わせて設け、その補助側壁にバネ片を一体に設け、そのバネ片の自由端を、シールドケース本体の左右側面壁に設けた透孔からシールドケース本体の内部に突出させて、シールドケース本体の内部にプラグが挿入されたときに、プラグ側のシールドケースに押圧接触するようにしているので、バネ片のバネ強度を、シールドケース本体の周壁に制約されずに強めに設定することができ、プラグ側のシールドケースとの接触力を高めることができる。また、シールドケース本体の周壁(左右側面壁)には、バネ片を形成するための孔や溝ではなく、バネ片の自由端を挿入できる大きさの透孔を設けておくだけでよいため、シールドケース本体の周壁に余計な欠落部を設ける必要がなく、シールドケース本体のシェルとしての強度を十分に高く維持することができると共に、シールドケース本体の形状の簡素化を図ることができる。
上記(2)の構成のシールドケースによれば、補助側壁の下端に突片を突設し、その突片を、回路基板にレセプタクルを実装するときに回路基板にレセプタクルを固定するための基板固定用端子としているので、シールドケース本体の周壁の一部を切り起こして基板固定用端子を作るのと違い、シールドケース本体の周壁に余計な孔を開けずに、自由に基板固定用端子を作ることができ、強度の高い基板固定用端子を形成することができる。また、シールドケース本体の下面壁や傾斜壁の一部を切り起こして基板固定用端子を作る場合は、切り起こした部分が孔として残るので、半田付け時にその孔からフラックスがシールドケース本体内部に侵入するおそれがあるが、その心配を無くすこともできる。
上記(3)の構成のシールドケースによれば、シールドケース本体の左右側面壁の下端に突片を突設し、その突片を、補助側壁の下端に突設した突片と重ね合わせることで基板固定用端子としているので、より強度の高い基板固定用端子を形成することができ、回路基板への実装強度の向上が図れる。
上記(4)の構成のシールドケースによれば、補助側壁を、シールドケース本体に一体に延設された延長板を折り曲げることで形成しているので、一貫したプレス工程だけで製造することができ、製造コストの低減が図れる。
上記(5)の構成のシールドケースによれば、補助側壁を構成する延長板が、シールドケース本体の左右側面壁の後端に延設されており、その延長板を前方に向けて180°折り返すことで補助側壁が構成されているので、シールドケース本体の前端付近の形状を無理に複雑化しないですみ、プラグを挿入する上で精度の必要な開口部の周囲の歪みの発生を抑えることができる。また、折り曲げて形成した補助側壁の後端を折り曲げ部で支持し、前端を係止部で支持しているので、補助側壁をシールドケース本体の側面壁に強固に密着固定させておくことができる。従って、バネ片の支持強度が高まることで、安定したバネ力を発揮させることができる。
上記(6)の構成のシールドケースによれば、補助側壁を、シールドケース本体と別体に形成した上で、シールドケース本体の左右側面壁の外側に重ね合わせて固定しているので、補助側壁の製作の容易化を図ることができる。また、シールドケース本体を構成する材料とは別に補助側壁の材料を選ぶことができるので、バネ片のバネ力の設定の自由度が増す。例えば、シールドケース本体と補助側壁の材料の厚みを違えることで、バネ片のバネ強度を強めに設定することが容易にできるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、GND接点部として機能させるバネ片のバネ強度を、シールドケース本体の周壁に制約されずに強めに設定することができる。従って、プラグ側のシールドケースとの接触力を高めることができ、GND接続の安定化を図ることができる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態のシールドケースを使用したレセプタクルの前方斜め上から見た斜視図である。
【図2】同レセプタクルを前方斜め横から見た斜視図である。
【図3】同レセプタクルの正面図である。
【図4】同レセプタクルの後方斜め上から見た斜視図である。
【図5】同レセプタクルに使用するシールドケースの前方斜め上から見た斜視図である。
【図6】同シールドケースを前方斜め横から見た斜視図である。
【図7】同シールドケースの補助側壁を折り曲げる前の状態を示す斜視図である。
【図8】従来のレセプタクルの第1例を示す斜視図である。
【図9】従来のレセプタクルの第2例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1〜図4は実施形態のシールドケースを使用したレセプタクルの構成を示す斜視図、図5及び図6は同レセプタクルに使用するシールドケースの構成を示す斜視図、図7は同シールドケースの補助側壁を折り曲げる前の状態を示す斜視図である。
【0017】
図1〜図4に示すように、このレセプタクル1は、オス側コネクタであるプラグと接続されるメス側のコネクタであり、角筒形状のシールドケース10と、シールドケース10にその後端開口から装着されたインシュレータ2と、インシュレータ2に保持された複数のコンタクト3とからなる。
【0018】
シールドケース10は、図1〜図6に示すように、角筒形状のシールドケース本体11と、2枚の補助側壁20とからなる。シールドケース本体11は、前方に向けて開口したプラグ挿入用の開口部12を有し、この開口部12に挿入されたプラグ(図示略)の嵌合部を包囲するように、上面壁11Aと、下面壁11Cと、左右側面壁11Bと、下面壁11Cと左右側面壁11Bとを繋ぐ傾斜壁11Dと、を備えた角筒形状をなしている。シールドケース本体11の左右側面壁11Bには、矩形の透孔14(図7参照)が形成され、その透孔14の内側片を外側に曲げ起こすことで、補助側壁20の前端を係止する係止片(係止部)19が形成されている。
【0019】
補助側壁20は、矩形板状のもので、シールドケース本体11の左右側面壁11Bの外側に重ね合わせて固定されている。この実施形態の場合、補助側壁20は、シールドケース本体11と一体の金属板をプレス加工することで形成されており、シールドケース本体11に一体に延設された延長板を折り曲げることで形成されている。
【0020】
即ち、図7に示すように、延長板20Pは、シールドケース本体11の左右側面壁11Bの後端に延設されており、この延長板20Pを折り曲げ部20Aにより前方に向けて180°折り返すことで、補助側壁20が構成されている。そして、図5及び図6に示すように、補助側壁20の前端に設けた係合凹部25に、シールドケース本体11に形成した係止片19を嵌めて加締めることによって、補助側壁20の前端がシールドケース本体11の左右側面壁11Bの外面に密着固定されている。なお、折り曲げ部20Aは、折り曲げやすいように細幅の帯板状に形成されている。
【0021】
補助側壁20には、透孔14からシールドケース本体11の内部に自由端22Bが突出し、シールドケース本体11の内部にプラグが挿入されたときに、プラグ側のシールドケースに押圧接触する帯板状のバネ片22が一体に形成されている。バネ片22は、コ字状の打ち抜き溝21の内側片により構成されており、固定端22Aが補助側壁20の後端側に位置し、自由端22Bが補助側壁20の前端側に向かって延びた片持バネとして形成されている。自由端22Bはシールドケース本体11の内部側に向かって傾斜しており、その自由端22Bが、シールドケース本体11の側面壁11Bに形成された透孔14を通して、シールドケース本体11の内部に突出している。なお、バネ片22の自由端22Bはへの字状に曲げられており、プラグを受け入れやすくなっている。
【0022】
また、補助側壁20の下端には前後に離間して突片23、24が突設されており、これら突片23、24が、回路基板にレセプタクル1を実装するときに回路基板にレセプタクルを固定するための基板固定用端子とされている。後側の突片24に対応したシールドケース本体11の左右側面壁11Bの下端にも突片18が突設されており、この突片18が、補助側壁20の下端に突設された後側の突片24と重ね合わされることで、基板固定用端子とされている。レセプタクル1を回路基板に実装する場合は、シールドケース本体11の下面壁11Cを、実装しようとする回路基板の上に載せ、基板固定用端子としての突片23、24、18を回路基板のスルーホール等に挿入して半田付けすることで、レセプタクル1を回路基板に固定することができる。
【0023】
また、シールドケース本体11の上面の幅方向の両端付近には、上面壁11Aの後端部から前方に折り返されて前方側に延びる一対のアーム15が設けられている。各アーム15の自由端には、シールドケース本体11の上面壁11Aに形成した孔13からシールドケース本体11の内部に突出するストッパ部17とプラグ拾い部16とが設けられている。
【0024】
ストッパ部17は、非正規プラグ(正規プラグより幅の小さいプラグ)が開口部12に挿入されたときに、非正規プラグと干渉して、それ以上の非正規プラグの挿入を阻止するためのもので、非正規プラグに干渉する幅方向内側の位置に配置されている。プラグ拾い部16は、非正規プラグより幅広の正規プラグが開口部12に挿入されたとき、ストッパ部17より先に正規プラグと干渉し、正規プラグに押されてアーム15を撓ませ、ストッパ部17を正規プラグの挿入経路外に退避させるためのものである。
【0025】
この場合、正規プラグの例としては、HDMI Type−D(HDMIマイクロともいう)用プラグが挙げられる。また、非正規プラグの例としては、HDMI用プラグよりもシールドケースの横幅が短く、シールドケースの横幅がプラグ拾い部16間の距離よりも短い小型のデジタルカメラ用USBプラグが挙げられる。
【0026】
次に作用を説明する。
このレセプタクル1を回路基板に固定する場合には、基板固定用の端子として機能する突片23、24、18を、回路基板にスルーホールに挿入して半田付けすることで固定することができる。その状態でシールドケース本体11の開口部12に正規のプラグを挿入すると、プラグがプラグ拾い部16に干渉してアーム15を撓ませ、ストッパ部17を退避させる。それにより、プラグを適正位置まで挿入することができる。その状態で、シールドケース10のバネ片22がプラグのシールドケースに強く押圧接触するので、安定したGND接続が達成される。
【0027】
この場合、角筒形状のシールドケース本体11の左右側面壁11Bの外側に補助側壁20を重ね合わせて設け、その補助側壁20にバネ片22を一体に設け、そのバネ片22の自由端を、シールドケース本体11の左右側面壁11Bに設けた透孔14からシールドケース本体11の内部に突出させているので、バネ片22のバネ強度を、シールドケース本体11の周壁に制約されずに強めに設定することができ、プラグ側のシールドケースとの接触力を高めることができる。また、シールドケース本体11の周壁(左右側面壁11B)には、バネ片22を形成するための孔や溝ではなく、バネ片22の自由端を挿入できる大きさの透孔14を設けておくだけでよいため、シールドケース本体11の周壁に余計な欠落部を設ける必要がなく、シールドケース本体11のシェルとしての強度を十分に高く維持することができると共に、シールドケース本体11の形状の簡素化を図ることができる。
【0028】
また、補助側壁20の下端に突片23、24を突設し、その突片23、24を、回路基板にレセプタクルを実装するときに回路基板にレセプタクルを固定するための基板固定用端子としているので、シールドケース本体11の周壁の一部を切り起こして基板固定用の端子を作るのと違い、シールドケース本体11の周壁に余計な孔を開けずに、自由に基板固定用の端子を作ることができ、強度の高い基板固定用の端子を形成することができる。また、従来例のように、シールドケース本体11の下面壁11Cや傾斜壁11Dの一部を切り起こして基板固定用端子を作る場合は、切り起こした部分が孔として残るので、半田付け時にその孔からフラックスがシールドケース本体内部に侵入するおそれがあるが、本実施形態のシールドケース10によれば、その心配を無くすこともできる。
【0029】
また、シールドケース本体11の左右側面壁11Bの下端に突片18を突設し、その突片18を、補助側壁20の下端に突設した突片24と重ね合わせることで基板固定用端子としているので、より強度の高い基板固定用端子を形成することができ、回路基板への実装強度の向上が図れる。
【0030】
また、補助側壁20を、シールドケース本体11に一体に延設された延長板20Pを折り曲げることで形成しているので、一貫したプレス工程だけで製造することができ、製造コストの低減が図れる。特に、補助側壁20を構成する延長板20Pが、シールドケース本体11の左右側面壁11Bの後端に延設されており、その延長板20Pを前方に向けて180°折り返すことで補助側壁20が構成されているので、シールドケース本体11の前端付近の形状を無理に複雑化しないですみ、プラグを挿入する上で精度の必要な開口部の周囲の歪みの発生を抑えることができる。
【0031】
また、折り曲げて形成した補助側壁20の後端を折り曲げ部20Aで支持し、前端を係止片19で支持しているので、補助側壁20をシールドケース本体11の左右側面壁11Bに強固に密着固定させておくことができる。従って、バネ片22の支持強度が高まることで、安定したバネ力を発揮させることができる。
【0032】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0033】
例えば、上記実施形態では、補助壁部20をシールドケース本体11に一体に形成していたが、補助側壁20を、シールドケース本体11と別体に形成した上で、シールドケース本体11の左右側面壁11Bの外側に重ね合わせて固定してもよい。
【0034】
そのようにした場合、補助側壁20の製作の容易化を図ることができる。また、シールドケース本体11を構成する材料とは別に補助側壁20の材料を選ぶことができるので、バネ片22のバネ力の設定の自由度が増す。例えば、シールドケース本体11と補助側壁20の材料の厚みを違えることで、バネ片22のバネ強度を強めに設定することが容易にできるようになる。
【符号の説明】
【0035】
1 レセプタクル
2 インシュレータ
3 コンタクト
10 シールドケース
11 シールドケース本体
11A 上面壁
11B 側面壁
11C 下面壁
12 開口部
14 透孔
18 突片
19 係止片(係止部)
20 補助側壁
20P 延長板
20A 折り曲げ部
22 バネ片
22B 自由端
23,24 突片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグと接続されるレセプタクルのシールドケースであって、前方に向けて開口したプラグ挿入用の開口部を有し、該開口部に挿入されたプラグの嵌合部を包囲するように上面壁と下面壁と左右側面壁とを備えた角筒形状のシールドケースであって、
前記開口部を有すると共に前記上面壁と下面壁と左右側面壁とを備え、該左右側面壁に透孔を有するシールドケース本体と、該シールドケース本体の前記左右側面壁の外側に重ね合わせて固定された補助側壁と、を備え、
前記補助側壁に、前記透孔から前記シールドケース本体の内部に自由端が突出し、前記シールドケース本体の内部に前記プラグが挿入されたときに、該プラグ側のシールドケースに押圧接触するバネ片が一体に形成されていることを特徴とするレセプタクルのシールドケース。
【請求項2】
前記補助側壁の下端に突片が突設されており、該突片が、回路基板に前記レセプタクルを実装するときに回路基板にレセプタクルを固定するための基板固定用端子とされていることを特徴とする請求項1に記載されたレセプタクルのシールドケース。
【請求項3】
前記シールドケース本体の左右側面壁の下端に突片が突設されており、該突片が、前記補助側壁の下端に突設された突片と重ね合わされることで、前記基板固定用端子とされていることを特徴とする請求項2に記載されたレセプタクルのシールドケース。
【請求項4】
前記補助側壁が、前記シールドケース本体に一体に延設された延長板を折り曲げることで形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレセプタクルのシールドケース。
【請求項5】
前記延長板が、前記シールドケース本体の左右側面壁の後端に延設されており、該延長板を前方に向けて180°折り返すことで前記補助側壁が構成され、該補助側壁の前端が、前記シールドケース本体の左右側面壁の形成された係止部によって係止されていることを特徴とする請求項4に記載されたレセプタクルのシールドケース。
【請求項6】
前記補助側壁が、前記シールドケース本体と別体に形成された上で、前記シールドケース本体の左右側面壁の外側に重ね合わせて固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレセプタクルのシールドケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−59463(P2012−59463A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200168(P2010−200168)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】