説明

レトルト装置

【課題】熱媒体の流量低下をリアルタイムに検出して報知でき、その後の対処を迅速かつ的確に講じることができるレトルト装置を提供する。
【解決手段】熱媒体噴射ノズル14は、処理槽12に収容された被処理物に熱媒体36を噴射させる。熱媒体循環回路20は、噴射された熱媒体36を貯留部1202から熱媒体噴射ノズル14に循環させ供給する。熱媒体加熱回路22は、熱媒体36を高温蒸気によって加熱する。流量計26は、熱媒体循環用配管2202を流れる熱媒体36の流量を検出しその検出結果を制御部28に供給する。制御部28は、流量計26の検出結果に基づいて検出された熱媒体36の流量が予め定められた基準流量を下回るという判定条件が成立したと判定したならば、ブザー30から警告音を発生させ操作パネル34に流量低下を警告する旨の文字情報を表示させさらに表示灯32を点灯(あるいは点滅)させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルト食品や医薬品などの被処理物を加圧下で加熱殺菌する際に使用されて好適なレトルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処理槽に収容された被処理物を加熱された熱媒体あるいは高温蒸気を用いて、加熱、殺菌したのち、処理槽に設けられた熱媒体噴射ノズルから常温あるいは冷却された冷却用熱媒体を被処理物に噴射させて冷却するレトルト装置が提供されている。
このようなレトルト装置では、冷却工程は冷却用熱媒体の噴射時間に基づいて制御されていることが多く、予め定められた噴射時間、熱媒体噴射ノズルから冷却用熱媒体を噴射すると冷却工程を終了する。
したがって、熱媒体噴射ノズルから噴射される冷却用熱媒体の流量が予め定められた基準流量を満たしていることが、被処理物の冷却を適切に行う上で必要である。
すなわち、冷却用熱媒体の流量が予め定められた基準流量に対して低下すると、冷却不良によって、被処理物の味や色合いに影響する可能性があり、さらに流量が低下すると、冷却時の処理槽内の温度と被処理物の温度との差が大きくなってしまい、処理槽内が大気圧に開放されたとき、被処理物がパック内で沸騰してパックの変形や破袋が生じるおそれがある。
そこで、被処理物を加熱殺菌、冷却する通常運転モードとは別に、自己診断モードを実行できるようにし、自己診断モードにおいては、冷却用熱媒体を熱媒体噴射ノズルに供給する熱媒体循環ポンプの吐出圧力が許容範囲内であるか否かを診断するようにしたレトルト装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−347105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術は、通常運転を行う前に自己診断モードを実施することで熱媒体循環ポンプの不具合を診断することに留まるものであり、通常運転において冷却用熱媒体を被処理物に噴射させて冷却を行っている間に発生する冷却用熱媒体の流量低下をリアルタイムに検出することはできない。
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、被処理物に対する冷却を行っている間に発生する冷却用熱媒体の流量低下をリアルタイムに検出して報知でき、その後の対処を迅速かつ的確に講じることができるレトルト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、処理槽に収容された被処理物を加熱する被処理物加熱手段と、前記処理槽に設けられ前記被処理物に向けられた熱媒体噴射ノズルと、冷却用熱媒体を前記熱媒体噴射ノズルに供給して前記熱媒体噴射ノズルから噴射させる熱媒体供給手段と、前記熱媒体供給手段による熱媒体噴射ノズルへの前記冷却用熱媒体の供給を制御する制御手段とを備えるレトルト装置であって、前記熱媒体噴射ノズルから噴射される前記冷却用熱媒体の流量を検出する熱媒体流量検出手段と、前記熱媒体流量検出手段の検出結果に基づいて前記検出された冷却用熱媒体の流量が予め定められた基準流量を下回るという判定条件が成立したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記判定条件が成立したと判定されたときに流量低下が発生した旨を報知する報知手段とが設けられていることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、冷却用熱媒体の流量が予め定められた基準流量を下回るという判定条件が成立したときに、報知手段によって流量低下が発生した旨を報知するようにした。したがって、被処理物に対する冷却を行っている間に発生する熱媒体の流量低下をリアルタイムに検出して報知することにより、被処理物の冷却不足が発生するおそれがあることを迅速かつ的確にオペレータに知らせることができ、オペレータは、その後の対処を迅速かつ的確に講じることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレトルト装置において、前記熱媒体噴射ノズルから前記被処理物に前記冷却用熱媒体を噴射させる噴射時間は第1設定噴射時間に予め定められ、前記第1設定噴射時間を延長させる際にオペレータによって所定の操作がなされる操作手段と、前記判定手段により前記判定条件が成立したと判定されたとき、前記所定の操作を促す操作案内情報を表示する表示手段とがさらに設けられ、前記制御手段は、前記操作手段の所定の操作に基づいて前記第1設定噴射時間を延長させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、流量が低下したことが報知されると共に、オペレータに対して冷却する時間を延長するように促すので、オペレータは被処理物に応じて冷却する時間を適切に延長することができ、冷却不足によって生じる被処理物の品質の悪化や破袋、容器の変形などを防止することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のレトルト装置において、前記熱媒体噴射ノズルから前記被処理物に前記冷却用熱媒体を噴射させる時間は第1設定噴射時間に予め定められ、前記制御手段は、前記判定手段により前記判定条件が成立した判定されたとき、前記冷却用熱媒体を噴射させる噴射時間を前記第1設定噴射時間よりも延長させるように前記熱媒体供給手段を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、流量低下時に冷却用熱媒体の噴射時間を自動的に延長するので、被処理物の変質を損なうことなく、確実な冷却を行うことができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のレトルト装置において、前記制御手段による前記熱媒体供給手段の制御は、前記熱媒体流量検出手段によって検出された前記冷却用熱媒体の流量が前記基準流量に対して低下した低下流量分に応じた時間、前記噴射時間を延長することでなされることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、低下した冷却用熱媒体の流量に応じて噴射時間の延長時間を自動的に設定できるので、被処理物の品質を損なうことなく、確実な冷却を行うことができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載のレトルト装置において、前記熱媒体供給手段は、前記処理槽の底部と前記熱媒体噴射ノズルとを接続する熱媒体循環用配管と、前記熱媒体循環用配管に設けられ前記処理槽の底部に貯留された前記冷却用熱媒体を前記熱媒体噴射ノズルに向けて供給する熱媒体循環ポンプとを含んで構成され、前記熱媒体流量検出手段は、前記熱媒体循環用配管のうち前記熱媒体循環ポンプの吐出口と前記熱媒体噴射ノズルとを接続する部分に設けられた流量計によって構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、熱媒体流量検出手段として流量計を用いたので、冷却用熱媒体の流量低下を確実に検出でき、流量低下の報知を的確に行うことができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載のレトルト装置において、前記熱媒体供給手段は、前記処理槽の底部と前記熱媒体噴射ノズルとを接続する熱媒体循環用配管と、前記熱媒体循環用配管の中間に設けられ前記処理槽の底部に貯留された前記熱媒体を前記熱媒体噴射ノズルに向けて供給する熱媒体循環ポンプとを含んで構成され、前記熱媒体流量検出手段は、前記処理槽内の圧力P1と、前記熱媒体循環用配管のうち前記熱媒体循環ポンプの吐出口と前記熱媒体噴射ノズルとを接続する部分を流れる前記冷却用熱媒体の圧力P2とを検出すると共に、差圧ΔP=P2−P1が予め定められた基準圧力Prに到達したか否かを検出する差圧スイッチで構成され、前記判定手段による前記判定条件が成立したとの判定は、前記差圧ΔPが前記基準圧力Prに到達していないことをもってなされることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、熱媒体流量検出手段として差圧スイッチを用いたので、冷却用熱媒体の流量低下の判定動作を簡単な構成で確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被処理物の加熱不足、あるいは、冷却不足が発生するおそれがあることを迅速かつ的確にオペレータに報知することができ、オペレータがその後の対処を迅速かつ的確に講じることができる。また、オペレータに報知しながら、流量低下に応じて自動的に冷却時間を延長することもできるので、被処理物の冷却を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態におけるレトルト装置10の全体の構成を示す構成図である。
【図2】レトルト装置10における全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】加熱殺菌工程を示すフローチャートである。
【図4】冷却工程を示すフローチャートである。
【図5】冷却工程において判定条件が成立した場合に実行される処理を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態において判定条件が成立した場合に実行される処理を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施の形態におけるレトルト装置10の全体の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかるレトルト装置の実施の形態について図1を参照して説明する。
本実施の形態では、被処理物がレトルト食品(レトルトパウチ食品)である場合について説明する。レトルト食品は、プラスチックフィルム若しくは金属箔又はこれらを多層に合わせたものを袋状その他の形に成形した容器(レトルトパウチ)に調製した食品を詰め、熱溶融により密封し、加圧加熱殺菌したものである。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態のレトルト装置10は、処理槽12と、熱媒体噴射ノズル14と、熱媒体供給回路16と、熱媒体排出回路18と、熱媒体循環回路20と、熱媒体加熱回路22と、圧力調整手段24と、流量計26と、制御部28と、ブザー30と、表示灯32と、操作パネル34とを含んで構成されている。
【0021】
処理槽12は、貯留部1202と、収容部1204とを含んで構成されている。
本実施の形態では、処理槽12は、水平方向に延在する円筒壁と、円筒壁の延在方向の一端に設けられた開口と、円筒壁の他端を閉塞する閉塞壁と、開口を開閉する密閉扉とを備えている。
貯留部1202は、処理槽12の底部に設けられ、熱媒体供給回路16から供給された熱媒体36を貯留するものである。本実施の形態では、熱媒体36は水であり、熱媒体36が熱媒体噴射ノズル14から被処理物に噴射される冷却用熱媒体となっている。
収容部1204は、被処理物が収容される部分であり、前記開口を介して被処理物を出し入れする。
【0022】
また、処理槽12には、水位計1206と、温度センサ1208が設けられている。
水位計1206は、貯留部1202に貯留された熱媒体36の液面の位置(水位)を検出してその検出結果を制御部28に供給するものであり、水位の検出方法には、公知の技術である電極式水位検出方式を用いている。より詳細には、水位計1206は、処理槽12に配管を介して連通する金属製の容器と、水位検出用の3本の電極棒とを含んで構成されており、電極棒の長さが最も長い低水位用電極棒で検出される水位が低水位、2番目に長い中水位用電極棒で検出される水位が中水位、最も短い高水位用電極棒で検出される水位が高水位としている。
温度センサ1208は、収容部1204内の温度である槽内温度T1を検出するものである。
【0023】
熱媒体噴射ノズル14は、処理槽12に設けられ、収容部1204に収容された被処理物に対して側方から、貯留部1202に貯留された熱媒体36を噴射させるものである。
本実施の形態では、熱媒体噴射ノズル14は、貯留部1202に貯留された熱媒体36の液面よりも上方の箇所に配置され、収容部1204の左右幅方向の両側方に配置されている。また、熱媒体噴射ノズル14は、前記円筒壁の延在方向である前後方向および上下方向に間隔をおいて複数設けられている。
【0024】
熱媒体供給回路16は、貯留部1202に熱媒体36を供給するものである。
熱媒体供給回路16は、熱媒体タンク1602と、給水用配管1604と、給水ポンプ1606と、給水弁1608とを含んで構成されている。
熱媒体タンク1602は、熱媒体36を収容するものである。
熱媒体タンク1602には、給水源から熱媒体タンク1602に貯留される水量を一定のレベルに制御するボールタップ1610が設けられている。
給水用配管1604は、熱媒体タンク1602と貯留部1202との間を接続するものである。
給水ポンプ1606は、給水用配管1604に設けられ熱媒体タンク1602に収容された熱媒体36を貯留部1202に供給するものである。
給水弁1608は、給水ポンプ1606と貯留部1202との間の給水用配管1604の箇所に設けられている。
【0025】
熱媒体排出回路18は、貯留部1202に貯留されている使用済みの熱媒体36を排出するものである。
熱媒体排出回路18は、配管1802と、排水弁1804とを含んで構成されている。
配管1802は、貯留部1202と外部(下水溝)とを接続するものである。
排水弁1804は、配管1802に介設されている。
【0026】
熱媒体循環回路20は、噴射された熱媒体36および高温蒸気が凝縮したドレンを貯留部1202から熱媒体噴射ノズル14に循環させ供給するものである。
すなわち、熱媒体循環回路20は、貯留部1202に貯留されている熱媒体36を熱媒体噴射ノズル14に供給することにより、熱媒体36を熱媒体噴射ノズル14から収容部1204に収容された被処理物に噴射させることにより、熱媒体36により被処理物を加熱あるいは冷却するものである。
熱媒体循環回路20は、熱媒体循環用配管2002と、熱媒体循環ポンプ2004とを含んで構成されている。
熱媒体循環用配管2002は、貯留部1202と熱媒体噴射ノズル14とを接続するものである。
熱媒体循環ポンプ2004は、熱媒体循環用配管2002に介設され、貯留部1202の熱媒体36を熱媒体噴射ノズル14に向けて供給し、熱媒体噴射ノズル14から噴射されて貯留部1202に流れ落ちた熱媒体36を再び噴射ノズル14に供給するものである。
したがって、熱媒体循環回路20は、熱媒体36を、貯留部1202、熱媒体循環用配管2002、熱媒体循環ポンプ2004、熱媒体循環用配管2002、熱媒体噴射ノズル14、貯留部1202という経路で循環させることになる。
【0027】
熱媒体加熱回路22は、熱媒体36を高温蒸気によって加熱するものである。
本実施の形態では、熱媒体加熱回路22は、混合器2202と、蒸気供給用配管2204と、給蒸弁2206とを含んで構成されている。
混合器2202は、熱媒体循環用配管2002の中間箇所に設けられている。
蒸気供給配管2204は、不図示の蒸気供給源(ボイラ)と混合器2202とを接続する。
給蒸弁2206は、蒸気供給用配管2204に介設されている。
したがって、給蒸弁2206が開動作されると、蒸気供給源からの高温蒸気が蒸気供給配管2204を介して混合器2202に供給され、混合器2202において熱媒体36に高温蒸気が混合されることによって熱媒体36が加熱される。
【0028】
圧力調整手段24は、処理槽12内の圧力を調整するものである。
本実施の形態では、圧力調整手段24は、圧縮空気供給弁2402と、排気弁2404と、逆止弁2406と、減圧手段2408と、真空弁2410、エア供給弁2412と、開放弁2414と、逆止弁2416と、フィルタ2418とを含んで構成されている。
【0029】
圧縮空気供給弁2402は、不図示の圧縮空気供給源と処理槽12との間に接続されており、圧縮空気供給弁2402が開動作されることにより圧縮空気が処理槽12内に供給される。
【0030】
排気弁2404は、その上流側が処理槽12に接続され、下流側が逆止弁2406を介して処理槽12の外部に接続されており、排気弁2404が開動作すると、処理槽12内の加圧空気が排気弁2404、逆止弁2406を介して処理槽12外へ放出される。
【0031】
減圧手段2408は、真空弁2410を介して処理槽12に接続されている。真空弁2410が開動作した状態で、圧縮空気供給弁2402を開動作させることにより、減圧手段2408によって処理槽12内が減圧される。
本実施の形態では、減圧手段2408としてエアエゼクタを用いたが、水封式真空ポンプを使用するなど従来公知のさまざまな装置が使用可能である。
【0032】
開放弁2414は、下流側が逆止弁2416を介して処理槽12に接続され、上流側がフィルタ2418を介して処理槽12外部に接続されている。
処理槽12内が負圧となった状態で開放弁2414が開動作すると、処理槽12外部の空気(大気)がフィルタ2418、開放弁2414、逆止弁2416を介して処理槽12内に供給され、これにより、処理槽12内が大気圧に戻る。この際、フィルタ2418は、処理槽12内に吸入される空気中の塵埃等を除去する。
【0033】
流量計26は、熱媒体循環用配管2202のうち熱媒体循環ポンプ2004の吐出口2004Aと熱媒体噴射ノズル14とを接続する部分に設けられ、熱媒体循環用配管2202を流れる熱媒体36の流量を検出しその検出結果を制御部28に供給するものである。
したがって、流量計26は、熱媒体噴射ノズル14から噴射される熱媒体36の流量を検出する熱媒体流量検出手段を構成している。
【0034】
制御部28は、水位計1206、温度センサ1208からの検出信号を受け付けると共に、給水ポンプ1606、熱媒体循環ポンプ2004、給水弁1608、排水弁1804、給蒸弁2206、圧縮空気供給弁2402、排気弁2404、真空弁2410、エア供給弁2412、開放弁2414を被処理物の加熱殺菌処理手順に従って制御するものである。
また、制御部28は、ブザー30、表示灯32を動作させると共に、操作パネル34が操作されることにより操作信号を受け付け、また、表示情報を操作パネル34に供給するものである。
制御部28は、予め以下に示す各時間を計時する第1タイマ2802A,第2タイマ2802B、第3タイマ2802Cを備えている。
本実施の形態では、レトルト装置10の1バッチの運転が開始される前に、第1タイマ2802A,第22802B、第3タイマ2802Cは、予め定められた設定時間がそれぞれセットされており、制御部28によって起動されることにより、計時動作を開始し、計時時間が設定時間に到達するとタイムアップした旨を制御部28に通知するものとする。
1)第1タイマ2802A:加熱用設定時間thが設定時間としてセットされる(後述する殺菌工程(S14)で使用)。
2)第2タイマ2802B:第1設定噴射時間tx、あるいは、第1設定噴射時間txを延長する第2設定噴射時間tyが設定時間としてセットされる(後述する冷却工程(S16)で使用)。
3)第3タイマ2802C:延長時間tcdが設定時間としてセットされる(後述する冷却工程(S306)で使用)。
【0035】
このような制御部28は、マイクロコンピュータによって構成することができる。
すなわち、マイクロコンピュータは、CPUと、バスラインを介して接続されたROM、RAM、インタフェースなどを含んで構成されている。ROMはCPUが実行する加熱殺菌処理用の制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供する。
そして、CPUが前記の制御プログラムを実行することにより制御部28が実現される。
【0036】
ブザー30は、制御部28から供給される制御信号に基づいて鳴動し、警告音を発生させることで、後述する熱媒体36の流量低下を報知するものである。
【0037】
表示灯32は、制御部28から供給される制御信号に基づいて、点灯あるいは点滅することで、後述する熱媒体36の流量低下を報知するものである。
本実施の形態では、表示灯32の構成は例えば以下のように構成される。
1)緑色、赤色の2つのランプを設ける。制御部28から供給される制御信号に基づいて、正常動作時には緑色のランプを点灯させ、流量低下時に緑色のランプを点滅させる。また、異常停止時に赤色のランプを点灯(点滅)させる。
2)緑色、黄色、赤色の3つのランプを設ける。制御部28から供給される制御信号に基づいて、正常動作時には緑色のランプを点灯させ、流量低下時に黄色ランプを点灯(点滅)させる。また、異常停止時に赤色のランプを点灯(点滅)させる。
【0038】
操作パネル34は、文字や画像を表示する液晶パネルなどから構成される表示部3402と、表示部3402の表示面に貼り付けられた透明なタッチパネルスイッチ3404とを含んで構成されている。
制御部28から操作パネル34に制御信号を供給することにより、表示部3402に、数値入力用の置数ボタン、操作を決定するためのエンターボタン、メニュー画面を表示させるメニューボタンなどの複数の操作ボタンが表示される。そして、各操作ボタンに対応するタッチパネルスイッチ3404の部分を触れることにより、各操作ボタンに対応する操作信号が制御部28に供給される。
本実施の形態では、操作パネル34は、熱媒体36が熱媒体噴射ノズル14から噴射される第1設定噴射時間txを延長させるための所定の操作ができ、それら所定の操作に対応した操作信号を制御部28に供給するように構成されている。
また、操作パネル34は、制御部28から供給される表示制御信号に基づいてオペレータに報知するべき各種の情報を表示部3402により表示する。
本実施の形態では、操作パネル34は、表示部3402に、文字による警告を表示することにより、後述する熱媒体36の流量低下の報知を行い、また、流量低下に応じて第1設定噴射時間txの延長を促す、すなわち、前記の所定の操作を促す操作案内情報を表示する。
なお、説明の便宜上、以下では、タッチパネルスイッチ3404を操作することを、操作パネル34を操作するといい、表示部3402に情報を表示させることを、操作パネル34に情報を表示させるという。
【0039】
次に、本実施の形態におけるレトルト装置10の処理手順について図2を参照して説明する。
図2に示すように、レトルト装置によるレトルト食品などの被処理物の加熱殺菌処理は、以下に示す各工程を順次実行することでなされる。
1)処理槽12への給水工程(S10)。
2)熱媒体36を循環して被処理物に噴射しながら加熱する加熱工程(S12)。
3)被処理物を加圧下で加熱殺菌する殺菌工程(S14)。
4)被処理物を加圧下で冷却する冷却工程(S16)。
5)処理槽12内の熱媒体36を排出する排水工程(S18)。
6)処理槽12内の加圧空気を排出して大気圧にする排気工程(S20)。
7)処理槽12内を一旦負圧にした後、大気圧に戻す終了工程(S22)。
以下、上記各工程について説明する。
【0040】
1)給水工程(S10)
処理槽12内に被処理物を収容し、前記の密閉扉を閉止する。
そして、給水工程の実行前の初期状態において、給水弁1608、排水弁1804、給蒸弁1606、圧縮空気供給弁2402、真空弁2410、エア供給弁2412、開放弁2414は閉状態とし、排気弁2404は開状態とする。
制御部28は、給水弁1608を開動作させ、給水ポンプ1606を起動して、給水タンク1802から処理槽12の貯留部1202に熱媒体36を供給し、水位計1206の検出結果に基づいて貯留部1202の給水レベルが予め定められた所定の水位に到達したと判定したならば、給水ポンプ1606を停止し、給水弁1608を閉動作させ、排気弁2404を閉動作させる。本実施の形態では、制御部28は、高水位用電極棒によって高位の水位が検出されると、貯留部1202への給水を停止する。
なお、給水タンク1802から貯留部1202に供給される熱媒体36は常温である。
一方、熱媒体タンク1602から貯留部1202への給水に伴い、給水源から熱媒体タンク1602への給水が行われ、熱媒体タンク1602内の水量が減少した分だけ、給水源から補水される。
【0041】
2)加熱工程(S12)
図3のフローチャートを参照して説明する。
制御部28は、熱媒体循環ポンプ2004を動作させることにより熱媒体36を被処理物に循環して噴射させつつ、給蒸弁2206を開動作させ、高温蒸気を混合器2202から熱媒体36に混合させることにより熱媒体36を加熱する(S100、S102)。
熱媒体噴射ノズル14から被処理物に噴射された熱媒体36によって被処理物が加熱される。被処理物に噴射された熱媒体36は、被処理物に接触したのち、下方に流れ落ち貯留部1202へ落下して貯留され、貯留された熱媒体36は混合器2202により高温蒸気と混合されることで加熱され、熱媒体循環回路22により熱媒体噴射ノズル14から噴射される。このようにして熱媒体36は加熱されつつ循環して被処理物に噴射される。
また、高温蒸気が熱媒体36に噴射、混合されることにより、熱媒体36の量は増加するので、貯留部1202における熱媒体36の水位は徐々に上昇する。したがって、制御部28は、貯留部1202に貯留される熱媒体36の水位が予め定められた水位となるように排水弁1804の開閉動作を制御する。本実施の形態では、制御部28は、水位計1206で高水位用電極棒および中水位用電極棒の間に水位が検出されるように制御を行う。
制御部28は、温度センサ1208で検出される槽内温度T1が予め定められた目標温度TAに到達したか否かを判定する(S104)。目標温度TAは、被処理物を加熱殺菌するために必要な高温(殺菌温度)であって、本実施の形態では、110℃〜120℃程度である。
【0042】
3)殺菌工程(S14)
制御部28は、槽内温度T1が目標温度TAに到達したならば、予め加熱用設定時間thがセットされている第1タイマ2802Aを起動させ、槽内温度T1が目標温度TAに維持されている間、計時動作を開始させ殺菌時間を計時させる(S106)。制御部28は、さらに槽内温度T1を目標温度TAに維持するよう、温度センサ1208の検出温度に基づいて給蒸弁2206の開度を調整し、処理槽12内に噴射される熱媒体36に混合する高温蒸気の供給量を制御する(S108)。
この結果、槽内温度T1が目標温度TAに維持され、したがって、熱媒体36も目標温度TAに維持された状態で熱媒体36が被処理物に噴射されることによって熱媒体36の加熱がなされる。
【0043】
制御部28は、第1タイマ2802Aのタイムアップの有無を判定し(S110)、第1タイマ2802Aがタイムアップしていなければ(目標温度TAでの殺菌時間が加熱用設定時間thに到達していなければ)、S108に戻り、第1タイマ2802Aがタイムアップすれば(目標温度TAでの殺菌時間が加熱用設定時間thに到達すれば)、熱媒体循環ポンプ2004の運転を継続させたまま、給蒸弁2404を閉動作させて高温蒸気の供給を停止させる(S112)。これにより、被処理物の加熱殺菌処理が終了する。
【0044】
なお、加熱工程から殺菌工程における処理槽12内の圧力は大気圧より高く設定されている。
例えば、制御部28は、処理槽12内に設けられた圧力センサ(不図示)の検出結果に基づいて圧縮空気供給弁2802および排気弁2404を開閉動作させることにより処理槽12内の圧力を大気圧より高い予め定められた目標圧力P1に制御する。
【0045】
4)冷却工程(S16)
図4のフローチャートを参照して説明する。
本実施の形態では、冷却工程は、1次冷却工程(S200〜S206)のみで終了する場合と、1次冷却工程ののち、2次冷却工程(S208〜S232)をさらに行う場合との2通りがあり、2次冷却工程は、その冷却運転回数が設定されている場合には、その回数分繰り返して実施される。
【0046】
1次冷却工程について説明する。
制御部28は、給水弁1608を開動作させると共に給水ポンプ1606を動作させ、水位計1206で中水位が検出されるまで熱媒体36の処理槽12への供給を行う(S200)。
次に、制御部28は、中水位が検出されたならば、熱媒体36の処理槽12への供給を維持しつつ、水位計1206の検出結果に基づき中水位を維持するように排水弁1804の開閉動作を制御し、熱媒体循環ポンプ2004を動作させて複数の熱媒体噴射ノズル14から熱媒体36を被処理物に向けて噴射させる(S202)。
噴射された熱媒体36は、被処理物を伝わって下方に流れ落ち貯留部1202に至り貯留される。貯留部1202に貯留された熱媒体36は、配管2202および熱媒体循環ポンプ2004を介して熱媒体噴射ノズル14から噴射される。このようにして熱媒体36は循環しながら被処理物に噴射され、被処理物の温度が徐々に低下する。
次に、制御部28は、温度センサ1208によって検出される槽内温度T1が90℃〜100℃に低下したか否かを判定する(S204)。
S204の判定結果がNOならば、S202に戻り熱媒体36の噴射を継続し、判定結果がYESならば、熱媒体循環ポンプ2004、給水ポンプ1606を停止し、給水弁1608を閉動作させる(S206)、これにより1次冷却工程が終了する。
次いで、制御部28は、予め設定された2次冷却工程の運転回数、すなわち設定運転回数N(Nは0以上の整数)が1回以上であるか否か、すなわち、2次冷却工程の実施の有無を判定する(S208)。
S208の判定結果がNOの場合(N=0)は、排水工程(S18)に移行する。
S208の判定結果がYESの場合は2次冷却工程に移行する。
【0047】
2次冷却工程について説明する。
本実施の形態において、2次冷却工程は0〜n回(nは1以上)が設定されているものとする。
制御部28は、これから実行する2次冷却工程の運転回数がn回目か否かを判定する(S210)。
S210の判定結果がNOであれば、制御部28は、排水弁1804を開動作させ、低水位用電極棒の検出レベルまで熱媒体36を排水し(S212)、そののち、排水弁1804を閉動作させ、給水弁1608を開動作させ、給水ポンプ1606を動作させて、常温の熱媒体36を処理槽12に供給し、高水位用電極棒の検出レベルまで給水する(S214)。
制御部28は、高水位用電極棒の検出レベルまで給水したら、給水弁1608を閉じ、給水ポンプ1606を停止し、第1設定噴射時間txがセットされている第2タイマ2802Bを起動させ(S216)、熱媒体循環ポンプ2004を動作させて複数の熱媒体噴射ノズル14から熱媒体36を被処理物に向けて噴射させる(S218)。
第2タイマ2802Bがタイムアップしたら、熱媒体循環ポンプ2004を停止させる(S220、S222)。
そして、S210に戻り、S210の判定結果がNOであれば、S212〜S222の動作を繰り返す。
制御部28は、S210の判定結果がYESであれば、すなわち、2次冷却工程の運転回数がn回目に到達すると、第2タイマ2802Bを起動させ(S224)、熱媒体循環ポンプ2004を動作させて複数の熱媒体噴射ノズル14から熱媒体36を被処理物に向けて噴射させる(S226)。
そして、制御部28は、給水弁1608を開動作させ、給水ポンプ1606を動作させ、中水位用電極棒の検出レベルに水位を維持するように排水弁1804を開閉させる(S228)。
制御部28は、第2タイマ2802Bがタイムアップしたならば、熱媒体循環ポンプ2004、給水ポンプ1606を停止し、給水弁1608を閉動作させる(S230、S232)。
次いで、排水工程(S18)に移行する。
【0048】
制御部28は、各回の2次冷却工程において、熱媒体36が噴射されている時間、すなわち、S218、または、S226が実行されている時間、図5に示す処理を実行する。
制御部28は、流量計26の検出結果に基づいて検出された熱媒体36の流量が予め定められた基準流量を下回るか否か(判定条件が成立するか否か)を判定する(S300)。
S300がNO(基準流量以上)であれば、S218、または、S226を継続する。
S300がYES(基準流量未満)であれば、制御部28は、流量低下を報知するために報知動作を実行する(S302)。
具体的には、(1)ブザー30から警告音を発生させる、(2)操作パネル34に流量低下を警告する旨の文字情報を表示させる、(3)表示灯32を点灯(あるいは点滅)させる、これらの何れか、あるいはこれらの組み合わせによって報知動作を実行する。
本実施の形態では、表示灯32の点滅を行うとともに、操作パネル34に「流量低下」の警告文字を表示させ、さらに、操作パネル34に噴射時間の延長を行うか、否かの選択操作キーとして「はい」のキー、「いいえ」のキーを表示させる(S304)。本実施の形態では、操作パネル34に表示される選択操作キーが操作案内情報に相当する。
また、制御部28は、S302と同時に、噴射時間を制御するタイマを、第2タイマ2802Bから、予め延長時間tcdが設定されている第3タイマ2802Cに切り替えて、第3タイマ2802Cを起動し、熱媒体36の噴射を継続する(S306)。延長時間tcdは、後述するオペレータによる熱媒体36の噴射時間の延長操作が実施されなかった場合でも被処理物を確実に冷却するために熱媒体36を噴射する時間を確保するための時間であり、延長時間tcdは第1設定噴射時間txよりも長い時間である。
制御部28は、オペレータによる操作パネル34に対する入力操作が有るか否かを判定する(S308)。すなわち、「はい」のキーあるいは「いいえ」のキーが操作されたかを判定する。
制御部28は、S308がYESならば、「はい」のキーが操作されたか否かを判定する(S310)。
S310がYESならば、制御部28は、噴射時間を制御するタイマを、第3タイマ2802Cから再び第2タイマ2802Bに切り替え(S312)、第2タイマ2802Bに設定されている時間を第1設定噴射時間txから第2設定噴射時間tyに延長して第2タイマ2802Bを起動する(S314,S316)。そして、S218、または、S226に戻り熱媒体36の噴射を継続する。
なお、S314で第2タイマ2802Bの設定噴射時間が第1設定噴射時間txから第2設定噴射時間tyに延長された後で実施される2次冷却工程は、第2タイマ2802Bに第2設定噴射時間tyがセットされて実施される。
すなわち、図4のS216、S224における第2タイマ2802Bの起動は、第2設定噴射時間tyがセットされた状態でなされる。
【0049】
なお、本実施の形態では、S306において、噴射時間を制御するタイマを、第2タイマ2802Bから、予め延長時間tcdが設定されている第3タイマ2802Cに切り替えたのち、S308、S310が共にYESになった場合は、S316において、噴射時間を制御するタイマを、再び第2設定噴射時間tyが設定されている第2タイマ2802Bに切り替える。
すなわち、第3タイマ2802Cが既に時間Δt1を計時した段階で、第2タイマ2802Bによる第2設定噴射時間tyの計時動作が新たに開始されることになる。
この場合、S314において、制御部28は、以下に説明するように、時間Δt1を考慮して第2タイマ2802Bに第2設定噴射時間tyをセットしてもよく、あるいは、時間Δt1を考慮せずに第2タイマ2802Bに第2設定噴射時間tyをセットしてもよい。
1)時間Δt1を考慮する場合:
制御部28は、予め定められた当初の第2設定噴射時間tyから、第3タイマ2802Cによって計時された時間Δt1を減算し、(ty−Δt1)を新たな第2設定噴射時間ty′として第2タイマ2802Bにセットして計時動作を実行する。
したがって、実際の噴射時間は、当初の第2設定噴射時間tyと一致する。
2)時間Δt1を考慮しない場合:
制御部28は、時間Δt1に拘わらず、予め定められた当初の第2設定噴射時間tyを変更することなく、第2タイマ2802Bにセットして計時動作を実行する。
したがって、実際の噴射時間は、当初の第2設定噴射時間ty+時間Δt1となる。
【0050】
第1設定噴射時間txから第2設定噴射時間tyへの延長は、以下に示す(1)〜(4)の方法が例示される。
説明の都合上、2次冷却工程が3回(N=3)繰り返されるものとする。
そして、
1回目における第1設定噴射時間tx1=10分
2回目における第1設定噴射時間tx2=10分
3回目における第1設定噴射時間tx3=5分
とする。
【0051】
(1)各第1設定噴射時間txを一律に同じ時間の第2設定噴射時間tyとする方法。
例えば、1回目の工程が5分経過した時点でS316が実行された場合、以下のように第2設定噴射時間tyに延長する。第2設定噴射時間tyは20分とする。
1回目における第2設定噴射時間ty1=20分
2回目における第2設定噴射時間ty2=20分
3回目における第2設定噴射時間ty3=20分
ただし、1回目の工程が5分経過しているため、1回目の工程では、実際の噴射時間は5分+20分=25分となる。
【0052】
(2)各第1設定噴射時間txを一律に同じ時間の第2設定噴射時間tyに延長し、かつ、経過時間を噴射時間に含める方法。第2設定噴射時間tyは20分とする。
例えば、1回目の工程が5分経過した時点でS316が実行された場合、以下のように第2設定噴射時間tyに延長する。
1回目における第2設定噴射時間ty1=20分−5分=15分
2回目における第2設定噴射時間ty2=20分
3回目における第2設定噴射時間ty3=20分
したがって、1回目から3回目の工程の何れにおいても、実際の噴射時間は20分となる。
【0053】
(3)予め定められた付加時間Δtを第1設定噴射時間txに加算して第2設定噴射時間tyとする方法。
例えば、1回目の工程が5分経過した時点でS316が実行された場合、付加時間Δtを10分とする。
1回目における第2設定噴射時間ty1=10分+10分=20分
2回目における第2設定噴射時間ty2=10分+10分=20分
3回目における第2設定噴射時間ty3=5分+10分=15分
ただし、1回目の工程が5分経過しているため、1回目の工程では、実際の噴射時間は5分+20分=25分となる。
【0054】
(4)予め定められた付加時間Δtを第1設定噴射時間txに加算して第2設定噴射時間tyとし、かつ、かつ、経過時間を噴射時間に含める方法。
例えば、1回目の工程が5分経過した時点でS316が実行された場合、付加時間Δtを10分とする。
1回目における第2設定噴射時間ty1=10分+10分−5分=15分
2回目における第2設定噴射時間ty2=10分+10分=20分
3回目における第2設定噴射時間ty3=5分+10分=15分
したがって、1回目から3回目の工程の何れにおいても、実際の噴射時間は20分となる。
【0055】
上述した(1)、(2)における第2設定噴射時間tyと、(3)、(4)における付加時間Δtとは、予め定められているものとした。しかしながら、第2設定噴射時間ty、付加時間Δtを、オペレータが操作パネル34を操作することにより任意の時間で設定するようにしてもよい。
この場合は、図5のS310で「はい」のキーが操作されたのち、表示部28が操作パネル34にテンキーや決定キーを表示させると共に、操作パネル34に第2設定噴射時間ty、または、付加時間Δtを延長する時間の入力操作を促すメッセージを含む情報を表示させる。
そして、操作パネル34に表示されたテンキーや決定キーをオペレータが操作することによって第2設定噴射時間ty、または、付加時間Δtの時間が操作信号として制御部28に供給される。
したがって、この場合は、「はい」のキー、「いいえ」のキーに加えて、テンキー、決定キー、入力操作を促す情報が、前記の操作案内情報となっている。
なお、操作案内情報の表示形態は、上述の形態に限定されるものではなく、以下のものが例示される。
(1)「はい」のキー、「いいえ」のキーの表示をスキップして、テンキー、決定キーを操作パネル34に表示する。この場合は、テンキー、決定キーが、操作案内情報となる。
(2)「はい」のキー、「いいえ」のキーの表示をスキップして、テンキー、決定キーを操作パネル34に表示し、かつ、操作対象となる操作パネル34の部分、すなわち、テンキー、決定キーを点滅させる。この場合は、点滅するテンキー、決定キーが、操作案内情報となる。
【0056】
また、S308の判定結果がNOである場合は(操作パネル34の操作がなされない場合は)、制御部28は、第3タイマ2802Cがタイムアップするまで、すなわち、延長時間tcdが経過するまで、熱媒体36の噴射を継続させ、第3タイマ2802Cがタイムアップしたら、S220に戻り、あるいは、S18に移行する(S318)。
すなわち、2次冷却工程をさらに行う場合にはS220に戻り、それ以降は、熱媒体36の噴射時間は、第2タイマ2802Bによって制御される。また、2次冷却工程の最終回(N回目)である場合には排水工程(S18)に移行する。
また、S310の判定結果がNOである場合は(「いいえ」のキーが操作された場合は)、上記と同様に、制御部28は、延長時間tcdが経過するまで、熱媒体36の噴射を継続させ、第3タイマ2802Cがタイムアップしたら、S220に戻り、あるいは、S18に移行する(S318)。
【0057】
5)排水工程(S18)
制御部28は、給水ポンプ1606、熱媒体循環ポンプ2004の停止を維持し、給水弁1608の閉動作を維持した状態で、排水弁1804を開動作させ処理槽12内の熱媒体36を全て排出させる。
制御部28は、水位計1206の検出結果に基づいて処理槽12内の熱媒体36が全て排出されたと判定したならば、給水ポンプ1606、熱媒体循環ポンプ2004の停止を維持し、給水弁1608の閉動作を維持し、排水弁1804の開動作を維持した状態で排水工程を終了する。
6)排気工程(S20)
制御部28は、排水弁1804の開動作を維持しつつ、排気弁2404を開動作させることにより、処理槽12内の加圧空気を排出する。
制御部28は、前記の圧力センサにより処理槽12内の圧力が大気圧となったことが検出されたならば、排水弁1804および排気弁2404を閉動作させ、排気工程を終了する。
【0058】
7)終了工程(S22)
制御部28は、真空弁2410、エア供給弁2412、圧縮空気供給弁2402を開動作させて減圧手段2408を動作させ処理槽12内を大気圧に対して僅かに負圧となるようにする。前記の圧力計により処理槽12内が負圧であることが検出されたならば、真空弁2410、エア供給弁2412、圧縮空気供給弁2402を閉動作させることによって減圧手段2408を停止させ、開放弁2414を開動作させる。
その後、前記の圧力計により処理槽12内が大気圧となったことが検出されたならば、終了工程を終了し、これにより1バッチ分の処理(運転)が完了する。
【0059】
本実施の形態では、処理槽12に収容された被処理物を加熱する被処理物加熱手段が、熱媒体循環回路20と、熱媒体加熱回路22とで構成されている。
また、冷却用熱媒体を熱媒体噴射ノズル14に供給して熱媒体噴射ノズル14から噴射させる熱媒体供給手段が、熱媒体循環回路20と、熱媒体供給回路16とで構成されている。
また、熱媒体供給手段による熱媒体噴射ノズル14への冷却用熱媒体の供給を制御する制御手段が、制御部28で構成されている。
また、熱媒体流量検出手段の検出結果に基づいて検出された熱媒体36の流量が予め定められた基準流量を下回るという判定条件が成立したか否かを判定する判定手段が、制御部28で構成されている。
また、判定手段により判定条件が成立したと判定されたときに流量低下が発生した旨を報知する報知手段が、制御部28、ブザー30、表示灯32、操作パネル34で構成されている。
また、第1設定噴射時間txを延長させる際にオペレータによって所定の操作がなされる操作手段が、操作パネル34で構成されている。
また、判定手段により判定条件が成立したと判定されたとき、操作パネル34に対する所定の操作を促す操作案内情報を表示する表示手段が、操作パネル34で構成されている。
また、本実施の形態では、操作パネル34によって操作手段と表示手段とが一体的に構成されている場合について説明したが、操作手段を操作スイッチやキーボードで構成し、表示手段をディスプレイ装置で構成することにより、操作手段と表示手段とを独立して構成するなど任意である。
【0060】
本実施の形態によれば、流量計26(熱媒体流量検出手段)の検出結果に基づいて検出された熱媒体36の流量が予め定められた基準流量を下回るという判定条件が成立したときに、ブザー30、表示灯32、操作パネル34によって流量低下が発生した旨を報知するようにした。
したがって、被処理物に対する冷却を行っている間に発生する熱媒体36の流量低下をリアルタイムに検出して報知することにより、被処理物の冷却不足が発生するおそれがあることを迅速かつ的確にオペレータに知らせることができ、オペレータがその後の対処を迅速かつ的確に講じることができる。
【0061】
また、本実施の形態では、熱媒体36の流量が低下したことが報知されると共に、オペレータに対して冷却する時間を延長するように促すので、オペレータは被処理物に応じて冷却する時間を適切に延長することができ、冷却不足によって生じる被処理物の品質の悪化や破袋、容器の変形などを防止することができる。
【0062】
また、本実施の形態では、熱媒体流量検出手段として流量計26を用いたので、熱媒体36の流量低下を確実に検出でき、流量低下の報知を的確に行うことができる。
【0063】
なお、第1の実施の形態では、第1設定噴射時間txの延長を促す表示として、「はい」、「いいえ」のキーを表示させ、あるいは、「はい」のキーを操作したのち、第1設定噴射時間txの延長を行うための数値を入力するためのテンキー、決定キーを表示させる場合について説明した。
しかしながら、第1設定噴射時間txの延長を促す表示はこれに限定されるものではなく、例えば、以下のものが例示される。
(1)第1設定噴射時間txの延長を行うための数値を入力するためのテンキー、決定キー、噴射時間の延長を行うための操作を促すメッセージを含む画面を表示させる。
(2)第1設定噴射時間txの延長を行うための数値を入力するためのテンキーを表示部に表示させるとともに、表示部全体あるいは一部を点滅させる。
【0064】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、判定条件が成立した状態でオペレータが流量低下の報知に応じて操作パネル34を操作することによって、第1設定噴射時間txを延長させる場合について説明した。
これに対して、第2の実施の形態では、判定条件が成立したならば、オペレータの操作を介在させることなく、第1設定噴射時間txを自動的に延長させるように、制御部28が、熱媒体循環回路20と熱媒体供給回路16とを制御するものである。
【0065】
第2の実施の形態では、制御部28は、各回の2次冷却工程が実行されている期間のうち、熱媒体36が噴射されている時間、すなわち、図4のS218、または、S226が実行されている時間、図6に示す処理を実行する。
制御部28は、流量計26の検出結果に基づいて検出された熱媒体36の流量が予め定められた基準流量を下回るか否か(判定条件が成立するか否か)を判定する(S400)。
S400がNO(基準流量以上)であれば、S218、または、S226を継続する。
S400がYES(基準流量未満)であれば、制御部28は、流量低下を報知するために報知動作を実行する(S402)。
具体的には、(1)ブザー30から警告音を発生させる、(2)操作パネル34に流量低下を警告する旨の文字情報を表示させる、(3)表示灯32を点灯(あるいは点滅)させる、これらの何れか、あるいはこれらの組み合わせによって報知動作を実行する。
本実施の形態では、表示灯32の点滅を行うとともに、操作パネル34に「流量低下」の警告文字を表示させる。
また、制御部28は、S402と同時に、第2タイマ2802Bに設定されている時間を第1設定噴射時間txから第2設定噴射時間tyに延長して第2タイマ2802Bを起動する(S404、S406)。そして、S218、または、S226に戻り熱媒体36の噴射を継続する。
なお、第1設定噴射時間txから第2設定噴射時間tyへの延長は、前述した(1)〜(4)の方法が適用可能である。
また、S404で第2タイマ2802Bの設定噴射時間が第1設定噴射時間txから第2設定噴射時間tyに延長された後で実施される2次冷却工程は、第2タイマ2802Bに第2設定噴射時間tyがセットされて実施される。
すなわち、図4のS216、S224における第2タイマ2802Bの起動は、第2設定噴射時間tyがセットされた状態でなされる。
【0066】
第2の実施の形態によれば、熱媒体36の流量低下時に熱媒体の噴射時間を自動的に延長するので、被処理物の変質を損なうことなく、確実な冷却を行うことができる。
【0067】
また、流量低下時に熱媒体の噴射時間を自動的に延長する場合、制御部28が、流量計26(熱媒体流量検出手段)によって検出された熱媒体36の流量が基準流量に対して低下した低下流量分が大きいほど時間、噴射時間を延長するようにしてもよい。
具体的には、熱媒体36の低下流量分と第2設定噴射時間tyとを関連付けたテーブル、あるいは、熱媒体36の低下流量分と付加時間Δtとを関連付けたテーブルを予め用意しておき、制御部28がそれらのテーブルに基づいて熱媒体36の低下流量分から第2設定噴射時間ty、あるいは、付加時間Δtを特定して、第2設定噴射時間tyを決定すればよい。
あるいは、前記のテーブルに代えて、熱媒体36の低下流量分から第2設定噴射時間tyを算出する関係式、あるいは、熱媒体36の低下流量分から付加時間Δtを算出する関係式を予め設定しておき、これら関係式を用いて熱媒体36の低下流量分から第2設定噴射時間ty、あるいは、付加時間Δtを特定して、第2設定噴射時間tyを決定してもよい。
このようにすると、熱媒体36の低下流量分が大きいほど熱媒体36の噴射時間が長く延長されるため、冷却不足によって生じる被処理物の品質の悪化や破袋、容器の変形などを防止することができる。
【0068】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態においては、第1の実施の形態と同一あるいは同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略しあるいは簡単に行う。
第3の実施の形態では、熱媒体流量検出手段として、差圧スイッチを用いた点が第1の実施の形態と異なっており、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
図7に示すように、熱媒体循環回路22は、第1の実施の形態と同様に、処理槽12の底部と熱媒体噴射ノズル14とを接続する熱媒体循環用配管2002と、熱媒体循環用配管2002の中間に設けられ処理槽12の底部に貯留された熱媒体36を熱媒体噴射ノズル14に向けて供給する熱媒体循環ポンプ2004とを含んで構成されている。
【0069】
本実施の形態では、差圧スイッチ40が設けられている。
差圧スイッチ40は、処理槽12内の圧力P1と、熱媒体循環用配管2002のうち熱媒体循環ポンプ2004の吐出口2004Aと熱媒体噴射ノズル14とを接続する部分2002Aを流れる熱媒体の圧力P2とを検出すると共に、差圧ΔP=P2−P1が予め定められた基準圧力Prに到達したか否かを検出するものである。
本実施の形態では、差圧スイッチ40は、差圧ΔPが基準圧力Prに到達すると閉成し、差圧ΔPが基準圧力Prを下回ると開成するものであり、制御部28は差圧スイッチ40の開閉によって生成される検出信号を受け付ける。
制御部28は、差圧スイッチ40が開成していることをもって(差圧ΔPが基準圧力Prに到達していないことをもって)、熱媒体36の流量が予め定められた基準流量を下回るという判定条件が成立したと判定する。
なお、差圧ΔPに基づいて熱媒体36の流量を判断する理由は、以下の式(1)に基づいて差圧ΔPから熱媒体36の流量が算出されることによる。
熱媒体噴射ノズル14から噴射される熱媒体36の流量をQとしたとき、流量Qは以下の式(1)で示される。ただし、Cは定数。
Q=C(P2−P1)1/2=CΔP1/2 (1)
第3の実施の形態のレトルト装置10の動作内容は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0070】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、熱媒体流量検出手段として差圧スイッチ40を用いたので、熱媒体36の流量低下の判定動作を簡単な構成で確実に行うことができる。
【0071】
なお、第3の実施の形態においても、第1設定噴射時間txから第2設定噴射時間tyへの延長は、前述した(1)〜(4)の方法が適用可能である。
また、第2の実施の形態のように、熱媒体36の流量低下時に熱媒体の噴射時間を自動的に延長させるようにしても良く、その場合は、被処理物の変質を損なうことなく、確実な冷却を行うことができる。
【0072】
なお、各実施の形態では、被処理物を加熱するにあたり、熱媒体36に高温蒸気を混合することで熱媒体36を直接的に加熱し、加熱された熱媒体36を熱媒体噴射ノズル14から被処理物に噴射させて被処理物を加熱する場合について説明した。
しかしながら、被処理物を加熱する構成として、熱交換器を介して熱媒体36を間接的に加熱しつつ、加熱された熱媒体36を熱媒体噴射ノズル14から被処理物に循環させて噴射させて被処理物を加熱する構成、あるいは、処理槽12内に高温蒸気を供給することで被処理物を加熱する構成など任意である。
また、各実施の形態では、被処理物を冷却するにあたり、処理槽12に供給する熱媒体36を入れ替えることで熱媒体36を冷却する場合について説明した。
しかしながら、被処理物を冷却する構成として、熱媒体36を熱交換器を介して間接的に冷却しつつ、冷却された熱媒体36を循環させて熱媒体噴射ノズル14から被処理物に噴射させて被処理物を冷却する構成、あるいは、常温あるいは冷却された熱媒体36を循環させることなく熱媒体噴射ノズル14から被処理物に噴射させて被処理物を冷却する構成など任意である。
また、実施の形態では、被処理物がレトルト食品である場合について説明したが、被処理物は缶詰や医薬品など任意である。
また、実施の形態では、加熱処理工程によって被処理物の殺菌を行う場合について説明したが、加熱処理工程によって被処理物の調理、あるいは、調理および殺菌の双方を行うなど任意である。
【符号の説明】
【0073】
10……レトルト装置
12……処理槽
1202……貯留部
1204……収容部
14……熱媒体噴射ノズル
16……熱媒体供給回路
18……熱媒体排出回路
20……熱媒体循環回路
2002……熱媒体循環用配管
2004……熱媒体循環ポンプ
22……熱媒体加熱回路
24……圧力調整手段
26……流量計
28……制御部
30……操作スイッチ
32……ブザー
34……警告ランプ
36……熱媒体
40……差圧スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽に収容された被処理物を加熱する被処理物加熱手段と、
前記処理槽に設けられ前記被処理物に向けられた熱媒体噴射ノズルと、
冷却用熱媒体を前記熱媒体噴射ノズルに供給して前記熱媒体噴射ノズルから噴射させる熱媒体供給手段と、
前記熱媒体供給手段による熱媒体噴射ノズルへの前記冷却用熱媒体の供給を制御する制御手段とを備えるレトルト装置であって、
前記熱媒体噴射ノズルから噴射される前記冷却用熱媒体の流量を検出する熱媒体流量検出手段と、
前記熱媒体流量検出手段の検出結果に基づいて前記検出された冷却用熱媒体の流量が予め定められた基準流量を下回るという判定条件が成立したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記判定条件が成立したと判定されたときに流量低下が発生した旨を報知する報知手段と、
が設けられていることを特徴とするレトルト装置。
【請求項2】
前記熱媒体噴射ノズルから前記被処理物に前記冷却用熱媒体を噴射させる噴射時間は第1設定噴射時間に予め定められ、
前記第1設定噴射時間を延長させる際にオペレータによって所定の操作がなされる操作手段と、
前記判定手段により前記判定条件が成立したと判定されたとき、前記所定の操作を促す操作案内情報を表示する表示手段とがさらに設けられ、
前記制御手段は、前記操作手段の所定の操作に基づいて前記第1設定噴射時間を延長させることを特徴とする、
請求項1に記載のレトルト装置。
【請求項3】
前記熱媒体噴射ノズルから前記被処理物に前記冷却用熱媒体を噴射させる時間は第1設定噴射時間に予め定められ、
前記制御手段は、前記判定手段により前記判定条件が成立した判定されたとき、前記冷却用熱媒体を噴射させる噴射時間を前記第1設定噴射時間よりも延長させるように前記熱媒体供給手段を制御することを特徴とする、
請求項1に記載のレトルト装置。
【請求項4】
前記制御手段による前記熱媒体供給手段の制御は、前記熱媒体流量検出手段によって検出された前記冷却用熱媒体の流量が前記基準流量に対して低下した低下流量分に応じた時間、前記第1設定噴射時間を延長することでなされることを特徴とする、
請求項3に記載のレトルト装置。
【請求項5】
前記熱媒体供給手段は、前記処理槽の底部と前記熱媒体噴射ノズルとを接続する熱媒体循環用配管と、前記熱媒体循環用配管に設けられ前記処理槽の底部に貯留された前記冷却用熱媒体を前記熱媒体噴射ノズルに向けて供給する熱媒体循環ポンプとを含んで構成され、
前記熱媒体流量検出手段は、前記熱媒体循環用配管のうち前記熱媒体循環ポンプの吐出口と前記熱媒体噴射ノズルとを接続する部分に設けられた流量計によって構成されていることを特徴とする、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のレトルト装置。
【請求項6】
前記熱媒体供給手段は、前記処理槽の底部と前記熱媒体噴射ノズルとを接続する熱媒体循環用配管と、前記熱媒体循環用配管の中間に設けられ前記処理槽の底部に貯留された前記熱媒体を前記熱媒体噴射ノズルに向けて供給する熱媒体循環ポンプとを含んで構成され、
前記熱媒体流量検出手段は、前記処理槽内の圧力P1と、前記熱媒体循環用配管のうち前記熱媒体循環ポンプの吐出口と前記熱媒体噴射ノズルとを接続する部分を流れる前記冷却用熱媒体の圧力P2とを検出すると共に、差圧ΔP=P2−P1が予め定められた基準圧力Prに到達したか否かを検出する差圧スイッチで構成され、
前記判定手段による前記判定条件が成立したとの判定は、前記差圧ΔPが前記基準圧力Prに到達していないことをもってなされることを特徴とする、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のレトルト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−116560(P2012−116560A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270770(P2010−270770)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】